JPWO2015068804A1 - 防振装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2013年11月11日に日本に出願された特願2013−233281号、及び2014年6月19日に日本に出願された特願2014−126681号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
この防振装置には、例えばアイドル振動やシェイク振動など、周波数が異なる複数種類の振動が入力される。この防振装置では、第1の制限通路および第2の制限通路の共振周波数が、異なる種類の振動の周波数にそれぞれ設定(チューニング)されている。また、プランジャ部材が、入力された振動の周波数に応じて開放位置と閉塞位置との間で移動することで、液体が流通する制限通路を、第1の制限通路と第2の制限通路とで切り替えている。
また前記従来の防振装置では、例えば、制限通路の路長や断面積などにより決定される制限通路の共振周波数よりも周波数が高く振幅が極めて小さい微振動など、意図しない振動が入力されたときに、制限通路が目詰まりする等して動ばね定数が上昇し、例えば自動車の乗り心地性など防振装置の製品特性に影響が生じる場合がある。
本発明の第1の態様に係る防振装置は、振動発生部および振動受部のうちの一方に連結される筒状の第1取付け部材と、前記振動発生部および前記振動受部のうちの他方に連結される第2取付け部材と、前記第1取付け部材と前記第2取付け部材とを連結する弾性体と、液体が封入される前記第1取付け部材内の液室を、第1液室および第2液室に仕切る仕切り部材と、を備えている。前記第1液室および前記第2液室のうちの少なくとも一方の壁面の一部が、前記弾性体によって形成されている。前記仕切り部材には、前記第1液室と前記第2液室とを連通する連通路が設けられている。前記連通路の内周面には、この内周面から突出し、この連通路内をその軸方向に流通する液体の流れを変化させる変流突部が設けられている。前記変流突部には、前記連通路に対向し前記軸方向と交差する案内面が設けられている。前記変流突部の突端部と前記連通路の他の内周面とによって、前記軸方向の両側に向けて開口する通過孔が形成されている。前記変流突部は、前記連通路内を流通して前記案内面に到達した液体の流れを、前記突端部側に向けて変化させるように構成されている。また、前記案内面は、前記軸方向に窪む凹曲面状に形成されている。
このとき、液体の流速が高められていると、例えば、変流突部により流れを変化させられた液体と、直接に通過孔に向かっている液体とが衝突することによるエネルギー損失などを起因として、液体の圧力損失が高められて振動が吸収および減衰される。また、変流突部の案内面が、前記軸方向に窪む凹曲面状に形成されているので、変流突部により液体の流れが変化させられることで、この流れの向きが前記軸方向に対して反転させられる。したがって、この液体が、直接に通過孔に向かっている液体に、前記軸方向の反対側から衝突し、液体の圧力損失が効果的に高められる。
一方、液体の流速が低いと、前述のような液体の衝突による液体の圧力損失が抑えられ、液体が連通路内を円滑に流通して防振装置の動ばね定数の上昇が抑えられる。
この防振装置によれば、連通路内を流通する液体の流速に応じて液体の圧力損失を高めることで、振動を吸収および減衰することができる。これにより、例えばアイドル振動やシェイク振動などの通常の振動が入力されたときに、振動の周波数によらず振動を吸収および減衰することができる。したがって、互いに周波数が異なる複数種類の振動を適切に吸収および減衰できる。また、この防振装置は、移動可能に設けられるプランジャ部材等を有しないので、異音の発生を抑制し、構造の簡素化および製造の容易化を図ることができる。
また、流速が低く液体の圧力損失が抑制された状態下では、液体が連通路内を円滑に通過して動ばね定数の上昇が抑えられる。したがって、例えば、通常の振動よりも周波数が高く振幅が極めて小さい微振動などの意図しない振動が入力されたとき等、通常の振動が入力されたときよりも液体の流速が低いときには、動ばね定数の上昇を抑えることができる。その結果、この防振装置の製品特性を確保し易くすることができる。
このように、例えば通常の振動が入力されたときに、液体の圧力損失だけでなく、制限通路内での共振によっても振動を吸収および減衰することができる。これにより、振動を効果的に吸収および減衰することができる。
この第4の態様によれば、案内面が連通路の軸線に関して非線対称に設けられているため、この案内面が設けられている変流突部も連通路の軸線に関して非線対称に設けられている。すなわち、変流突部は、上記軸線を挟んで互いに対向する連通路の2つの内周面のうち、一方の内周面に設けられている。このため、連通路内を流通する液体の流速が最も高くなる連通路の中央部(上記軸線の近傍)の近くに変流突部を配置しやすくなり、上記中央部の近くに変流突部の案内面を配置しやすくなる。よって、連通部の中央部において高い流速で流通している液体を変流突部の案内面に効果的に衝突させることができ、液体の圧力損失が高められて振動の減衰を大きくすることができる。
この防振装置10は、図1に示すように、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付け部材11と、それらのうちの他方に連結される第2取付け部材12と、これらの両取付け部材11、12同士を互いに連結する弾性体13と、液体Lが封入される第1取付け部材11内の液室を、弾性体13を壁面の一部に有する主液室(第1液室)14、および副液室(第2液室)15に仕切る仕切り部材16と、を備えている。
第1外筒体21における一方側の端部には、前記弾性体13が液密状態で連結されていて、この弾性体13により第1外筒体21の一方側の開口部が閉塞されている。第1外筒体21のうち、他方側の端部21aは、他の部分より大径に形成されている。第1外筒体21の内部が前記主液室14となっている。主液室14の液圧は、防振装置10への振動の入力時に、弾性体13が変形してこの主液室14の内容積が変化することで変動する。
なお、第1外筒体21において、弾性体13が連結された部分に対して他方側から連なる部分には、全周にわたって連続して延びる環状溝21bが形成されている。
なお、第1取付け部材11の第1外筒体21の内周面は、弾性体13と一体に形成されたゴム膜により、ほぼ全域にわたって覆われている。
案内面32は、連通路30の軸線(本実施形態では軸線O)に関して非線対称となるように設けられている。連通路30の軸線に関して非線対称とは、この軸線に関する2回回転対称(360°/n、n=2)において非対称であることをいう。すなわち、案内面32は、連通路30の軸線周りで180°回転させたときに対称とならないように設けられている。また、連通路30の軸線とは、連通路30の中心軸線であり、例えば連通路30の横断面視形状(図3参照)における重心を通る線である。
通過孔34の流路断面積は、連通路30において、変流突部31が設けられた部分を除いた部分である除外部分における最大の流路断面積の半分以下となっている。連通路30の上記除外部分は、変流突部31が設けられた部分と軸線O方向で異なる位置における部分(変流突部31よりも一方側の部分)である。なお図示の例では、除外部分における流路断面積は、軸線O方向の位置によらず同等となっている。
制限通路41は、仕切り部材16に連通路30から独立して設けられている。すなわち、制限通路41は、連通路30と異なる位置で仕切り部材16に設けられており、主液室14と副液室15とを互いに連通している。制限通路41の流路断面積は、この制限通路41の流路軸方向の全長にわたって同等となっている。
制限通路41の共振周波数は、この防振装置10に通常入力される振動の周波数と同等となっていて、制限通路41は、このような通常の振動(第1振動)の入力に対して共振(液柱共振)を生じさせる。通常の振動としては、例えば、シェイク振動(例えば、周波数が14Hz以下、振幅が±0.5mmより大きい)や、シェイク振動よりも周波数が高くかつ振幅が小さいアイドル振動(例えば、周波数が18Hz〜30Hz、振幅が±0.5mm以下)等が挙げられる。
案内面32に到達した液体Lは、この案内面32に沿って変流突部31の基端部31a側から突端部31b側に向けて流れる。これにより、液体Lの流れが径方向に変化させられる。
なお、本実施形態では、案内面32が連通路30の軸線(本実施形態では軸線O)に関して非線対称に設けられているため、案内面32が設けられている変流突部31も連通路30の軸線に関して非線対称に設けられている(図2,3参照)。すなわち、変流突部31は、上記軸線を挟んで互いに対向する連通路30の2つの内周面(基準平坦面30aおよび対向平坦面30b)のうち、一方の内周面(基準平坦面30a)に設けられている。このため、連通路30内を軸方向に流通する液体Lの流速が最も高くなる連通路の中央部(上記軸線の近傍)の近くに変流突部31を配置しやすくなり、上記中央部の近くに案内面32を配置しやすくなる。よって、連通部30の中央部において高い流速で流通している液体L(高い運動エネルギーを有する液体L)を変流突部31の案内面32に効果的に衝突させることができ、液体Lの圧力損失が高められて振動の減衰を大きくすることができる。なお、連通路の内周面近傍を流通する液体は、この内周面から摩擦抵抗を受けるため、連通路の中央部を流通する液体の流速は、内周面近傍を流通する液体よりも一般的に高い。
しかも、例えば通常の振動が入力されたときに、液体Lの圧力損失だけでなく、制限通路41内での共振によっても振動を吸収および減衰することができる。これにより、振動を効果的に吸収および減衰することができる。
また、図5に示す第2変形例のように、変流突部31が、仕切り部材16での連通路30の開口部から軸線O方向にずらされた位置に設けられている上で、案内面32が、変流突部31における軸線O方向の両端面に設けられていてもよい。
さらに、図6に示す第3変形例のように、変流突部31を軸線O方向に間隔をあけて一対設け、軸線O方向の他方側に設けられた変流突部31(図6の下側)に、軸線O方向の一方側を向く案内面32を設け、軸線O方向の一方側に設けられた変流突部31(図6の上側)に、軸線O方向の他方側を向く案内面32を設けてもよい。この変形例では、一対の変流突部31が、連通路30における軸線Oを間に挟んで対向し合う内周面(例えば基準平坦面30aと対向平坦面30b)から各別に突出している。また、一対の変流突部31の案内面32同士が、軸線O方向で対向している。
これらのうち、図5および図6に示す第2変形例および第3変形例では、主液室14から連通路30内に流入する液体L、および副液室15から連通路30内に流入する液体Lのいずれについても本発明の案内面32に到達させることができる。これにより、液体Lの圧力損失を効果的に高めることができる。
さらに制限通路41がなくてもよい。
また前記実施形態では、連通路30が、多角柱状に形成されているが、本発明はこれに限られない。例えば、連通路が、円柱状に形成されていてもよい。
また前記実施形態では、連通路30が、軸線Oと同軸に配置されているが、本発明はこれに限られない。例えば、連通路が、軸線O方向に延びつつ、連通路の軸線が、軸線Oに対して径方向(軸線Oに直交する方向)にずらされていてもよい。また、連通路が、周方向に延びていたり径方向に延びていたりしていてもよい。例えば、周方向や径方向に延びる本発明の連通路と、この連通路と第1、第2液室とを接続する接続路とが仕切り部材に形成されていてもよい。なお、連通路の軸線とは、その中心軸線であり、例えば連通路の横断面視形状における重心を通る線である。
上記実施形態では、変流突部31は、連通路30の軸線(上記実施形態では軸線O)と交わる位置に設けられている。しかし、本発明の変流突部は連通路の軸線と交わらないように設けられていてもよく、例えば図2における軸線Oよりも左側の領域に変流突部が設けられていてもよい。
11 第1取付け部材
12 第2取付け部材
13 弾性体
14 主液室(第1液室)
15 副液室(第2液室)
16 仕切り部材
30 連通路
31 変流突部
31b 突端部
32 案内面
34 通過孔
41 制限通路
L 液体
本発明の第1の態様に係る防振装置は、振動発生部および振動受部のうちの一方に連結される筒状の第1取付け部材と、前記振動発生部および前記振動受部のうちの他方に連結される第2取付け部材と、前記第1取付け部材と前記第2取付け部材とを連結する弾性体と、液体が封入される前記第1取付け部材内の液室を、第1液室および第2液室に仕切る仕切り部材と、を備えている。前記第1液室および前記第2液室のうちの少なくとも一方の壁面の一部が、前記弾性体によって形成されている。前記仕切り部材には、前記第1液室と前記第2液室とを連通する連通路が設けられている。前記連通路の内周面には、この内周面から突出し、この連通路内をその軸方向に流通する液体の流れを変化させる変流突部が設けられている。前記変流突部には、前記連通路に対向し前記軸方向と交差する案内面が設けられている。前記変流突部の突端部と前記連通路の他の内周面とによって、前記軸方向の両側に向けて開口する通過孔が形成されている。前記変流突部は、前記連通路内を流通して前記案内面に到達した液体の流れを、前記突端部側に向けて変化させるように構成された剛性体である。また、前記案内面は、前記軸方向に窪む凹曲面状に形成されている。
Claims (5)
- 振動発生部および振動受部のうちの一方に連結される筒状の第1取付け部材と、
前記振動発生部および前記振動受部のうちの他方に連結される第2取付け部材と、
前記第1取付け部材と前記第2取付け部材とを連結する弾性体と、
液体が封入される前記第1取付け部材内の液室を、第1液室および第2液室に仕切る仕切り部材と、を備え、
前記第1液室および前記第2液室のうちの少なくとも一方の壁面の一部が、前記弾性体によって形成されている防振装置であって、
前記仕切り部材には、前記第1液室と前記第2液室とを連通する連通路が設けられ、
前記連通路の内周面には、この内周面から突出し、この連通路内をその軸方向に流通する液体の流れを変化させる変流突部が設けられ、
前記変流突部には、前記連通路に対向し前記軸方向と交差する案内面が設けられ、
前記変流突部の突端部と前記連通路の他の内周面とによって、前記軸方向の両側に向けて開口する通過孔が形成され、
前記変流突部は、前記連通路内を流通して前記案内面に到達した液体の流れを、前記突端部側に向けて変化させるように構成され、
前記案内面は、前記軸方向に窪む凹曲面状に形成されている防振装置。 - 前記案内面は、前記仕切り部材での前記連通路の開口部に前記軸方向で対向している請求項1に記載の防振装置。
- 前記仕切り部材には、前記連通路と異なる位置に設けられ、前記第1液室と前記第2液室とを連通する制限通路が設けられている請求項1または2に記載の防振装置。
- 前記案内面は、前記連通路の軸線に関して非線対称となるように設けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の防振装置。
- 前記変流突部は、前記連通路内を第1の方向で流通して前記案内面に到達した液体の流れを、凹曲面状の前記案内面に沿って前記液体を流動させることで、前記第1の方向と略反対の第2の方向に変化させるように構成されている請求項1から4のいずれか一項に記載の防振装置。
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