JP2009236143A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】シェイク振動とアイドリング振動とに対する防振効果とが、簡略且つコンパクトで、低コストな構造にて有利に発揮され得る流体封入式防振装置を提供する。
【解決手段】オリフィス通路64をシェイク振動に相当する周波数域にチューニングする一方、オリフィス通路64の平衡室側開口部68内に突入するように可撓性膜36に設けられた突起70と平衡室側開口部68との間に隙間74を形成し、更に、可撓性膜36の変形に伴う突起70の平衡室側開口部68内での移動により、隙間74の流路断面積の最小値:Sを増減させる流路断面積変更手段72,76を設け、そして、オリフィス通路64の流路断面積:Aと隙間74の流路断面積の最小値:Sとが、シェイク振動入力時にはS≧Aで、アイドリング振動入力時にはS<Aとなるように構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、内部に封入された非圧縮性流体の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置であって、例えば自動車用エンジンマウントやボデーマウント,デフマウント等に有利に採用され得る流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体や防振支持体等の一種として、互いに離間配置された第一の取付部材と第二の取付部材とを、それらの間に介装された本体ゴム弾性体で連結すると共に、第二の取付部材に支持された仕切部材を挟んで、第一の取付部材側に、本体ゴム弾性体により壁部の一部が構成されて、振動入力時に内圧変動が惹起される、内部に所定の非圧縮性流体が封入された受圧室を形成する一方、受圧室とは反対側に、壁部の一部が可撓性膜で構成されて、可撓性膜の変形に基づいて容積変化が許容される、内部に所定の非圧縮性流体が封入された平衡室を形成し、更に、それら受圧室と平衡室とを相互に連通するオリフィス通路を設けてなる流体封入式防振装置が、知られている。
かくの如き構造を有する流体封入式防振装置にあっては、振動入力時における受圧室の内圧変動により、オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、ゴム弾性体のみでは得られ難い優れた防振効果を容易に得ることが出来る。そのため、例えば、自動車用エンジンマウントやボデーマウント、デフマウント等として、有利に採用されている。
ところで、そのような防振装置では、流体の流動作用に基づく防振効果が、オリフィス通路のチューニング周波数域の入力振動だけに有効となる。一方、防振装置において防振効果が要求される周波数域は、広い範囲、或いは複数の範囲に亘る。例えば、自動車用のエンジンマウントでは、走行時に生ずるシェイク振動等の低周波数域の振動に対する防振効果と、停車時に生ずるアイドリング振動等の中乃至は高周波数域の振動に対する防振効果とが、要求される。
そこで、近年では、シェイク振動に相当する低周波数域にチューニングされた第一のオリフィス通路と、アイドリング振動に相当する中乃至は高周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路とを、受圧室と平衡室との間に設けて、通路切換手段で第二のオリフィス通路を連通状態と遮断状態に切り換えることにより、第一のオリフィス通路によるシェイク振動に対する防振効果と、第二のオリフィス通路によるアイドリング振動に対する防振効果とを、入力振動に応じて選択的に発揮せしめるようにしたものが、提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
しかしながら、そのような防振装置にあっては、チューニング周波数域が互いに異なる2種類のオリフィス通路と、それらの2種類のオリフィス通路のうちの一方を連通状態と遮断状態に切り換える通路切換手段とを有するものであるため、例えば、1種類のオリフィス通路のみが設けられてなる防振装置に比して、構造が複雑且つ大型のものとなり、またそれ故に、製造コストも不可避的に高騰するといった問題が内在していたのである。
特開2001−214953号公報
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、シェイク振動に対する防振効果とアイドリング振動に対する防振効果とが、簡略且つコンパクトで、しかも低コストな構造において、有利に発揮され得る流体封入式防振装置を提供することにある。
そして、本発明者等が、かかる課題を解決するために検討を行うに際して、例えば、自動車用のエンジンマウントでは、停車時においてアイドリング振動が発生したときに入力されるエンジン荷重が、走行時においてシェイク振動が発生したときに入力されるエンジン荷重よりも実質的に小さくなるといった現象が生じ、また、そのために、受圧室と平衡室との間にオリフィス通路が設けられてなる従来の流体封入式のエンジンマウントにおいては、アイドリング振動が入力せしめられたときに、シェイク振動の入力時に比して、可撓性膜が受圧室側に変位するように変形して、平衡室の容積が減少するといった現象が生ずることに着目した。そして、そのような着目点を十分に考慮しつつ、鋭意研究を重ねた結果、上記の二つの現象を利用して、アイドリング振動の入力時とシェイク振動の入力時とにおいて、所定の周波数域にチューニングされた一種類のオリフィス通路の平衡室側の開口部における流路断面積を変化させることにより、互いにチューニング周波数域の異なる2種類のオリフィス通路を何等形成することなく、アイドリング振動に対する防振効果とシェイク振動に対する防振効果の両方を良好に確保し得ることを見出した。そして、そのような知見に基づいて、本発明が、完成に至ったのである。
なお、本発明にあっては、上記した課題又は明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、有利に実施され得るものであり、また、以下に記載の各態様は、任意の組合せにおいても採用可能である。更に、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示乃至は示唆される発明思想に基づいて認識され得るものであることが、理解されるべきである。
(1) 互いに離間配置された第一の取付部材と第二の取付部材とを、それらの間に介装された本体ゴム弾性体で連結すると共に、該第二の取付部材に支持された仕切部材を挟んで、該第一の取付部材側に、該本体ゴム弾性体により壁部の一部が構成されて、振動入力時に内圧変動が惹起される、内部に所定の非圧縮性流体が封入された受圧室を形成する一方、該受圧室とは反対側に、壁部の一部が可撓性膜で構成されて、該可撓性膜の変形に基づいて容積変化が許容される、内部に所定の非圧縮性流体が封入された平衡室を形成し、更に、それら受圧室と平衡室とを相互に連通するオリフィス通路を設けてなる流体封入式防振装置において、前記オリフィス通路をシェイク振動に相当する周波数域にチューニングする一方、前記可撓性膜に対して、該オリフィス通路の前記平衡室側の開口部内に突入位置せしめられる突起を一体的に設け、更に、該突起の外周面と該平衡室側開口部の内周面との間に、該オリフィス通路を通じた該平衡室と前記受圧室との間での前記流体の流動を常に許容する隙間を形成して、該隙間を通じての該流体の流動による該可撓性膜の変形に伴って、該突起が、該平衡室側開口部内で該平衡室側と該受圧室側の両側に移動せしめられるように構成すると共に、該突起が該平衡室側に移動したときに、該隙間の流路断面積の最小値:Sを増大させる一方、該突起が該受圧室側に移動したときに、該隙間の流路断面積の最小値:Sを減少させる流路断面積変更手段を設け、そして、シェイク振動の入力時とアイドリング振動の入力時とにおける該平衡室開口部内での該突起の位置の差異に基づいて、該隙間の流路断面積の最小値:Sと前記オリフィス通路の流路断面積:Aとが、シェイク振動の入力時に、S≧Aとなる関係を満たし、且つアイドリング振動の入力時に、S<Aとなる関係を満たすように構成したことを特徴とする流体封入式防振装置。
本態様においては、シェイク振動に相当する周波数域にチューニングされたオリフィス通路が設けられている。つまり、オリフィス通路の流路(通路)断面積:Aと流路(通路)長さ:Lの比:A/Lの値が、シェイク振動に対して有効な防振効果を発揮するように設定されている。また、そのようなオリフィス通路の平衡室側開口部内に、可撓性膜に一体形成された突起が突入位置せしめられているものの、シェイク振動の入力時には、かかる突起の外周面とオリフィス通路の平衡室側開口部の内周面との間に、流体が流動可能に形成される隙間の流路断面積の最小値:Sが、オリフィス通路の流路断面積:A以上の大きさとされている。それ故、シェイク振動の入力時に、受圧室の内圧変動により、シェイク振動に相当する周波数域にチューニングされたオリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、十分な振動減衰作用が発揮され、以て、シェイク振動に対する防振効果が、有効に確保され得る。
また、本態様では、アイドリング振動の入力時に、シェイク振動の入力時に比して、可撓性膜が受圧室側に変位するのに伴って、可撓性膜の突起が、オリフィス通路の平衡室側開口部内を受圧室側に移動せしめられ、それによって、かかる平衡室側開口部の内周面と突起との間に形成される隙間の流路断面積の最小値:Sが、流路断面積変更手段にて減少せしめられて、特に、オリフィス通路の流路断面積:Aよりも小さな大きさとされる。
それ故、本態様においては、アイドリング振動の入力時に、オリフィス通路のチューニング周波数域が、隙間の流路断面積の最小値:Sとオリフィス通路の流路長さ:Lの比:S/Lの値にて決定された領域となる。そして、かかるS/Lの値は、上記せるA/Lの値よりも小さな値となる。そのため、アイドリング振動の入力時には、オリフィス通路のチューニング周波数域が、シェイク振動に相当する周波数域よりも、実質的に低い領域となる。従って、そのようなオリフィス通路内を流動せしめられる流体の流動作用に基づいて発揮される動ばね特性における絶対ばね定数のピークが、低周波数側に移行せしめられる。そして、その結果、アイドリング振動に相当する周波数域で、より有効な低動ばね効果が得られるようになり、以て、アイドリング振動に対する防振効果が、有利に発揮され得ることとなる。
さらに、本態様にあっては、オリフィス通路として、シェイク振動に相当する周波数域にチューニングされた1種類のもののみが形成されているに過ぎないため、シェイク振動に相当する周波数域にチューニングされた第一のオリフィス通路と、アイドリング振動に相当する周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路の2種類のオリフィス通路や、第二のオリフィス通路を連通状態と遮断状態に切り換える通路切換手段が設けられた従来装置に比して、オリフィス通路が1種類である分だけ、また通路切換手段が設けられていない分だけ、構造の簡略化と小型化が実現され、しかも、製造コストの低減も有利図られ得る。
(2) 前記突起の外周面と前記平衡室側開口部の内周面のうちの少なくとも何れか一方に、前記受圧室側から前記平衡室側に向かって次第に大径化するテーパ面部が設けられる一方、それらのうちの少なくとも何れか他方に、該テーパ面部に対して、該テーパ面部の径方向において対向する対向面部が設けられて、それらテーパ面部と対向面部とにて、前記流路断面積変更手段が構成され、該突起が該平衡室側に移動したときに、該テーパ面部と該対向面部との間の距離の最小値が大きくされることにより、前記隙間の流路断面積の最小値:Sが増大せしめられる一方、該突起が前記受圧室側に移動したときに、該テーパ面部と該対向面部との間の距離の最小値が小さくされることにより、前記隙間の流路断面積の最小値:Sが減少せしめられるようになっている上記態様(1)に記載の流体封入式防振装置。
本態様によれば、単に、隙間内での流体の流動方向と直角な方向において互いに対向する突起の外周面と平衡室側開口部の内周面の少なくとも何れか一方の形状をテーパ面形状としただけの極めて簡略な構造にて、流路断面積変更手段が構成され得る。これによって、流体封入式防振装置の構造が、更に一層有利に簡略化され得る。
(3) 前記テーパ面部が、前記突起の外周面のみに設けられる一方、前記対向面部が、前記平衡室側開口部の内周面のみに設けられている上記態様(2)に記載の流体封入式防振装置。
本態様によれば、テーパ面部を平衡室開口部の内周面に設けて、対向面部を突起の外周面に設ける場合とは異なって、振動入力時に、受圧室側と平衡室側への突起の往復移動により不可避的に生ずる隙間の流路断面積の最小値:Sの変動を可及的に小さくするため、テーパ面のテーパ角度を小さくしても、テーパ面の高さ方向における平衡室開口部の内周面の幅寸法が大きくなって、かかる平衡室側開口部やオリフィス通路を形成する部材が大型化するようなことが有利に回避され、以て、そのようなオリフィス通路の形成部材の大型化に伴う流体封入式防振装置全体の大型化も、効果的に防止され得ることとなる。
(4) 前記突起が、前記オリフィス通路内を流動する前記流体の流動作用によって変形しないだけの剛性を有している上記態様(1)乃至(3)のうちの何れか一つに記載の流体封入式防振装置。
本態様によれば、オリフィス通路内を流動する流体の流動作用によって、例えば、突起が倒れ込んで、オリフィス通路の側面や平衡室側開口部の内周面と接触する等して、オリフィス通路の流路断面積:Aや隙間の流路断面積の最小値:Sを変化させることにより、オリフィス通路のチューニング周波数域を予め設定された値から変更させてしまうようなことが、未然に防止され得る。その結果、所望の防振効果が、確実に発揮され得るのである。
(5) 前記オリフィス通路が、前記仕切部材に設けられて、該オリフィス通路の前記平衡室側開口部が、該仕切部材における該平衡室側の端面の中心部に形成される一方、前記突起が、前記可撓性膜の中心部に設けられている上記態様(1)乃至(4)のうちの何れか一つに記載の流体封入式防振装置。
本態様によれば、流体封入式防振装置の製作過程において、突起や平衡室側開口部の可撓性膜や仕切部材での周方向位置を特別に考慮することなく、平衡室側開口部内に突起を容易に突入位置させることが出来、以て、流体封入式防振装置の製作性の向上が有利に図られ得る。
(6) 前記オリフィス通路が、前記仕切部材に対して、その外周部に沿って周方向に延びるように設けられると共に、該オリフィス通路の前記受圧室側の開口部が、該仕切部材における該受圧室側の端面の外周部に形成されている上記態様(1)乃至(5)のうちの何れか一つに記載の流体封入式防振装置。
本態様によれば、限られた大きさを有する仕切部材に対して、オリフィス通路が、可及的に長い流路長さで形成され、それによって、仕切部材が比較的に小型のものであっても、オリフィス通路が、シェイク振動に相当する周波数域に容易に且つ確実にチューニングされ得る。
(7) 前記オリフィス通路における前記平衡室側の端部に、該オリフィス通路内を流動せしめられる前記流体の流れを前記平衡室側開口部内に向かう方向に導く導流手段が設けられて、該平衡室側開口部内に位置する前記突起に対して、該突起を該平衡室側に移動させる方向に押圧する流動作用が与えられるようになっている上記態様(1)乃至(6)のうちの何れか一つに記載の流体封入式防振装置。
本態様によれば、オリフィス通路内から平衡室内への隙間を通じての流体の流動によって、突起が、平衡室側開口部内で、より確実に平衡室側に移動せしめられ、以て、アイドリング振動の入力時に、隙間の流路断面積の最小値:Sとオリフィス通路の流路断面積:Aとの間において、S<Aの関係が、更に確実に満たされるようになる。その結果、オリフィス通路がシェイク振動に相当する周波数域にチューニングされているにも拘わらず、アイドリング振動の入力時に、アイドリング振動に対する防振効果が、より有効に発揮され得ることとなる。
上述の説明から明らかなように、本発明に従う流体封入式防振装置にあっては、シェイク振動に対する優れた防振効果とアイドリング振動に対する十分な防振効果とが、より簡略で且つ小型化が可能な構造において、しかも可及的に低いコストで、極めて有効に発揮され得るのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、本発明に従う流体封入式防振装置の一実施形態としての自動車用エンジンマウントが、その縦断面形態において、概略的に示されている。かかる図1から明らかなように、本実施形態のエンジンマウントは、第一の取付部材としての第一の取付金具10と、第二の取付部材としての第二の取付金具12を備えており、それら第一の取付金具10と第二の取付金具12とが、上下方向に互いに離間配置されて、本体ゴム弾性体14により弾性的に連結されている。そして、第一の取付金具10がパワーユニット側に、第二の取付金具12が車体側に、それぞれ取り付けられることにより、パワーユニットを車体に対して防振支持せしめるようになっている。また、そのような装着時、かかるエンジンマウントには、パワーユニット荷重が及ぼされると共に、防振すべき主たる振動荷重が、上下方向に入力されることとなる。なお、以下の説明中、上下方向とは、原則として図1中の上下方向を言う。
より詳細には、第一の取付金具10は、上方に向かって次第に大径となる略円錐台形状のブロック形態を有している。また、この第一の取付金具10の上面となる大径側端面の中央部には、取付ボルト16が、一体的に立設されている。この取付ボルト16によって、第一の取付金具12が、図示しない自動車のパワーユニット側に取り付けられるようになっている。
一方、第二の取付金具12は、全体として、略円筒形状を呈する筒部18を有している。また、この第二の取付金具12の筒部18の上側開口部には、径方向内方に、略90°屈曲されてなる狭幅の円環板部20が、一体的に設けられていると共に、上方に向かって徐々に大径化するテーパ筒部22が、円環板部20の先端(径方向内方の端縁部)から一体的に延び出すように設けられている。更に、このテーパ筒部22の大径側の開口周縁部には、径方向外方に広がる円環板状の外フランジ部24が、一体形成されている。
また、第二の取付金具12には、ブラケット26が、取り付けられている。このブラケット26は、全体として、上方に向かって開口する有底円筒形状を呈している。そして、第二の取付金具12が、ブラケット26に対して、その上側開口部から圧入される等して、固定されている。また、ブラケット26の底部側の下端部には、径方向外方に広がるフランジ状取付部28を有する固定筒金具30が外挿、固定されている。この固定筒金具30が、フランジ状取付部28において、ボデー側にボルト等で固定されることにより、第二の取付金具12が、ブラケット26を介して、ボデー側に取り付けられるようになっている。
そして、第一の取付金具10が、第二の取付金具12の上方に、所定距離を隔てて、同軸上に配置されており、これら第一の取付金具10と第二の取付金具12との間に、本体ゴム弾性体14が、介装されている。
この本体ゴム弾性体14は、全体として、上方に向かって次第に小径化する略円錐台形状を呈している。そして、かかる本体ゴム弾性体14の小径側の端部に、第一の取付金具10が、取付ボルト16を本体ゴム弾性体14の小径側端面(上側端面)から上方に突出させて、同軸上に埋入された状態で、加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体14の大径側端部(下側端部)の外周面に、第二の取付金具12におけるテーパ筒部22の外周面が重ね合わされて、加硫接着されている。これによって、第一の取付金具12と第二の取付金具14とが、それらの間に介装された本体ゴム弾性体14にて相互に連結されている。
つまり、本実施形態では、本体ゴム弾性体14が、第一の取付金具10と第二の取付金具12とを備えた一体加硫成形品として形成されている。なお、かかる一体加硫成形品において、本体ゴム弾性体14の大径側端面には、下方に向かって開口する凹所32が形成されている。また、第二の取付金具12の内周面には、本体ゴム弾性体14と一体で形成されたシールゴム34が、被着されている。
また、そのような一体加硫成形品における第二の取付金具12の筒部18の下端部の内側には、可撓性膜としてのダイヤフラム36が、本体ゴム弾性体14の凹所32の内面に対して、上下方向において所定距離を隔てて対向するように、配置されている。このダイヤフラム36は、薄肉円板状のゴム膜からなり、その外周縁部に、金属リング38が、加硫接着されている。そして、この金属リング38が、第二の取付金具12の筒部18の下端部の内側に挿入された状態下で、かかる筒部18の下端部に対して縮径加工やかしめ加工等が施されることによって、第二の取付金具12に対して嵌着固定されている。また、金属リング38は、第二の取付金具12の筒部18の下端縁部(下側開口部の開口周縁部)に形成された係合爪40によって、筒部18の下側開口部からの抜出しが阻止されるようになっている。
かくして、ここでは、ダイヤフラム36が、第二の取付金具12に対して固定的に支持されて、第二の取付金具12の筒部18の下側開口部が、ダイヤフラム36にて、流体密に閉塞されている。また、それによって、略円筒状の第二の取付金具12内における本体ゴム弾性体14とダイヤフラム36との対向面間に、外部空間に対して密閉されて、内部に、所定の非圧縮性流体が封入された流体室42が形成されている。なお、この流体室42内に封入される非圧縮性流体としては、例えば水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等が採用され得、特に後述する流体の共振作用に基づく防振効果を有効に得るために、0.1Pa・s以下の低粘性流体が好適に採用される。
そして、そのような第二の取付金具12の筒部18内には、流体室42内を上下に二つに仕切る仕切部材44が、収容配置されている。この仕切部材44は、図2から明らかなように、仕切部材本体46と蓋体48とが、上下方向に重ね合わされて、組み付けられてなる組付構造を有している。
仕切部材44を構成する仕切部材本体46は、図2及び図3に示されるように、全体として、高さの低い円柱形状乃至は厚肉の円板形状を呈する金属部材からなっている。また、かかる仕切部材本体46においては、その外周部に、仕切部材本体46の外周面と上側端面とにおいてそれぞれ開口する溝部50が、一周に満たない長さで、周方向に連続して延びるように設けられており、また、中心部には、それを高さ方向乃至は板厚方向(上下方向)に貫通する貫通孔52が、円筒状の内周面を有して、形成されている。そして、それら溝部50と貫通孔52とが、溝部50の周方向一端部から、仕切部材本体46の中心部に向かって径方向内方に真っ直ぐに延びる、仕切部材本体46の上端面において開口する連結溝54にて、互いに連通せしめられている。なお、溝部50は、連結溝54よりも、溝幅が小さくされている。
一方、仕切部材本体46と共に、仕切部材44を構成する蓋体48は、図2及び図4に示されるように、全体として、仕切部材本体46と略同一の径の円板形状を呈する薄肉の金属プレートからなっている。また、この蓋体48の外周部の周上の一箇所には、矩形の切欠部56が、形成されている。この切欠部56は、その深さ寸法(図4にdにて示される寸法)が、仕切部材本体46の溝部50の幅寸法(図3にwにて示される寸法)と略同じか又はそれよりも僅かに小さな大きさとされている。
そして、図2に示されるように、かかる蓋体48が、仕切部材本体46に対して、その上面に重ね合わされて、溝部50と連結溝54と貫通孔52のそれぞれの上側開口部を覆蓋するように組み付けられた状態で、固着されている。また、かかる状態下において、蓋体48の切欠部56が、仕切部材本体46の溝部50の周方向の両側端部のうち、連結溝54との連通側とは反対側の端部に対応位置せしめられている。
これによって、仕切部材44が、仕切部材本体46と蓋体48との一体組付品にて構成され、また、かかる仕切部材44に対して、溝部50と連結溝54とが蓋体48にて覆蓋されてなるオリフィス溝58が、形成されている。そして、かくして形成されたオリフィス溝58は、仕切部材44の径方向外方に向かって開口せしめられていると共に、仕切部材44の上端面において、蓋体48の切欠部56を通じて、軸方向上方に向かって開口せしめられ、また、下端面において、仕切部材本体46の貫通孔52の下側開口部を通じて、軸方向下方に向かって開口せしめられている。更に、かかるオリフィス溝58においては、その流路長さ(通路長さ)が、溝部50の連結溝54のそれぞれの長さの合計寸法、つまり、仕切部材本体46の外周部の一周に満たない長さと仕切部材本体46の径寸法との合計寸法と同一の長さとされている。
そして、このような構造とされた仕切部材44が、図1に示されるように、第二の取付金具12の筒部18の内側の流体室42内を上下に二つに仕切るように収容配置された状態下で、外周縁部において、筒部18の円環板部20の下面と、第二の取付金具12の筒部18内に嵌着固定された金属リング38の上端面との間で挟持されると共に、その外周面が、縮径加工された第二の取付金具12の筒部18にて挟圧保持されることにより、第二の取付金具12に固定的に支持されている。
かくして、流体室42における仕切部材44を挟んだ上側部分が、壁部の一部が本体ゴム弾性体14にて構成されて、振動入力時に、本体ゴム弾性体14の弾性変形に伴う圧力変化が生ぜしめられる受圧室60とされる一方、仕切部材44よりも下側部分が、壁部の一部がダイヤフラム36にて構成されて、ダイヤフラム36の変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室62とされている。
また、仕切部材44が第二の取付金具12に固定的に支持された状態下で、仕切部材44の外周縁部と円環板部20の下面との間及び金属リング38の上端面との間や、仕切部材44の外周面と筒部18との間に、本体ゴム弾性体14に一体形成されたシールゴム34やダイヤフラム36の金属リング38との接着部分が介在せしめられて、仕切部材44に設けられたオリフィス溝58の径方向外方への開口部が、それらシールゴム34やダイヤフラム36の一部にて流体密に覆蓋されている。更に、かかるオリフィス溝58の軸方向(上方及び下方)への開口部たる切欠部56と貫通孔52のうちの前者が、受圧室60内に開口せしめられている一方、後者が、平衡室62内に開口せしめられている。
これによって、受圧室60と平衡室62との間に、それらを相互に連通するオリフィス通路64が、オリフィス溝58にて形成されている。また、そのようなオリフィス通路64の受圧室60への連通口となる受圧室側開口部66が、切欠部56にて構成され、更に、オリフィス通路64の平衡室62への連通口となる平衡室側開口部68が、貫通孔52の下側開口部にて構成されている。そして、ここでは、かかるオリフィス通路64が、その内部を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、シェイク振動等の低周波振動に対する防振効果(減衰効果)を発揮し得るように、溝幅の小さな溝部50にて構成されるオリフィス通路64部分の流路断面積:Aと、オリフィス通路64の全部の流路長さ:Lとがチューニングされている。
而して、図1から明らかなように、本実施形態のエンジンマウントにおいては、特に、平衡室62の内壁面の一部を構成するダイヤフラム36の上面(本体ゴム弾性体14の凹所32の内面との対向面)の中心部に、突起70が設けられ、この突起70が、仕切部材44の中心部に設けられた貫通孔52の平衡室側開口部68を通じて、オリフィス通路64内に突入せしめられている。
より詳細には、突起70は、上方に向かって次第に小径化するテーパ状外周面72を備えた円錐状の全体形状を有している。そして、この突起70においては、ダイヤフラム36の上面からの突出高さが、仕切部材44の貫通孔52の延出長さ(仕切部材本体46の高さに相当する寸法)よりも所定寸法だけ小さくされていると共に、最大外径が、平衡室側開口部68の内径よりも所定寸法小さくされている。また、突起70は、薄肉のゴム膜からなるダイヤフラム36に一体で形成された、中実のゴム弾性体にて構成されて、適度な剛性が具備せしめられている。それによって、オリフィス通路64内への突入状態下で、オリフィス通路64内を流動せしめられる流体の流れ(流動作用)によって、容易に倒伏したり、変形したりしないようになっている。
そして、図5に示される如く、本実施形態のエンジンマウントが自動車に装着される前の状態下において、突起70の高さ方向の略中間部よりも上側部分が、平衡室側開口部68を通じて、オリフィス通路64内に突入位置せしめられている。それによって、図6に示されるように、突起70の平衡室側開口部68を通じてのオリフィス通路64内への突入状態下で、突起70のテーパ状外周面72と平衡室側開口部68の内周面との間に、円環状の隙間74が、形成されるようになっている。
かくして、本実施形態では、突起70が平衡室側開口部68内に突入位置せしめられているにも拘わらず、平衡室側開口部68内の隙間74を通じての流体の流動により、受圧室60からオリフィス通路64を経て、平衡室62内に向かって流れる流体の流動と、その逆に、平衡室62からオリフィス通路64を経て、受圧室60内に向かって流れる流体の流動とが、何れも許容されるようになっている。
また、それにより、第一の取付金具10と第二の取付金具12との間に、それらを互いに接近させる方向への荷重が入力せしめられて、本体ゴム弾性体14が下方に変位するように弾性変形せしめられることで、流体が、受圧室60内から平衡室62内に向かって流動した時に、平衡室側開口部68内の隙間74を通じてオリフィス通路64内から平衡室62内に流出せしめられる流体の流動作用によって、ダイヤフラム36が、その中心部を下方に変位させるように撓み変形させられ、それに伴って、突起70が、平衡室側開口部68内(オリフィス通路64内)において、下方に向かって、つまり受圧室60側から平衡室側62側に向かって移動せしめられるようになっている。
一方、そのような第一の取付金具10と第二の取付金具12とを互いに接近させる方向への荷重が入力された状態から、かかる入力荷重が軽減乃至は解消されて、本体ゴム弾性体14が上方に変位するように弾性変形せしめられることで、流体が、平衡室62内から受圧室60内に向かって流動した時に、平衡室側開口部68内の隙間74を通じて平衡室62内からオリフィス通路64内に流入せしめられる流体の流動作用によって、ダイヤフラム36が、その中心部を上方に変位させるように撓み変形させられ、それに伴って、突起70が、平衡室側開口部68内(オリフィス通路64内)において、上方に向かって、つまり平衡室側62側から受圧室60側に向かって移動せしめられるようになっている。
そして、ここでは、前記貫通孔52の内周面の一部からなる、平衡室開口部68の内周面が、円筒面形状を有して、突起70のテーパ状外周面72と径方向に対向する対向面部76とされている。そのため、上記せるように、隙間74を通じての流体の流動によるダイヤフラム36の撓み変形に伴って、突起70が下方(平衡室62側)に移動せしめられたときには、突起70のテーパ状外周面72と平衡室側開口部68の対向面部76との間の距離(図5においてmにて示される寸法)が、突起70の移動前に比して、突起70の移動量に応じた分だけ大きくされ、以て、隙間74内を流動する流体の流動方向に直角な方向における隙間74の流路断面積の最小値:S(平衡室側開口部68の対向面部76の下端縁と、それに対向する突起70のテーパ状外周面72部分との間に水平方向に広がる円環状の仮想面の面積の値)も、突起70の移動前に比して、突起70の移動量に応じた分だけ増大せしめられるようになっている。
また、その逆に、隙間74を通じての流体の流動によるダイヤフラム36の撓み変形に伴って、突起70が上方(受圧室60側)に移動せしめられたときには、突起70のテーパ状外周面72と平衡室側開口部68の対向面部76との間の距離(図5においてmにて示される寸法)が、突起70の移動前に比して、突起70の移動量に応じた分だけ小さくされ、以て、隙間74内を流動する流体の流動方向に直角な方向における隙間74の流路断面積の最小値:Sも、突起70の移動前に比して、突起70の移動量に応じた分だけ減少せしめられるようになっている。このことから明らかなように、本実施形態では、突起70のテーパ状外周面72と平衡室側開口部68の対向面部76とにて、流路断面積変更手段が、構成されている。
ここにおいて、本実施形態のエンジンマウントにあっては、従来より公知の構造を有するエンジンマウントと同様に、第一の取付金具10がパワーユニット側に、第二の取付金具12が車体側に、それぞれ取り付けられて、パワーユニットを車体に対して防振支持せしめるようにして、自動車に装着されたときに、パワーユニットの重量荷重が、第一の取付金具10と第二の取付金具12との間に入力されることで、本体ゴム弾性体14が下方に変位するように(図7及び図8に二点鎖線で示される位置から実線で示される位置まで変位するように)弾性変形せしめられる。
そのため、図7及び図8に示されるように、本実施形態のエンジンマウントにおいては、自動車への装着状態下で、ダイヤフラム36が、エンジンマウントの自動車への装着前の状態よりも、その中心部を下方に変位させるように(図7及び図8に二点鎖線で示される位置から実線で示される位置まで変位させるように)撓み変形せしめられて、突起70が、平衡室側開口部74内において、平衡室側62側に移動せしめられた位置に配置される。それによって、エンジンマウントの自動車への装着前の状態に比して、突起70のテーパ状外周面72と平衡室側開口部68の対向面部76との間の距離(図7においてmにて示される寸法)が増大せしめられ、またそれに伴って、隙間74の流路断面積の最小値:Sも増大せしめられるようになっている。
そして、そのような平衡室側開口部68内への突起70の配置状態下において、隙間74の流路断面積の最小値:Sが、オリフィス通路64の流路断面積:Aと同じか又はそれよりも大きな値となるように、即ち、S≧Aの関係を満足するように、突起70の高さやテーパ状外周面72のテーパ角度、或いはダイヤフラム36のばね定数等が、設定されている。
かくして、本実施形態のエンジンマウントにおいては、自動車への装着状態において、オリフィス通路64の平衡室側開口部68の開口面積が、かかる平衡室側開口部68内へのダイヤフラム36の突起70に突入により小さくされているにも拘わらず、オリフィス通路64が、その流路断面積:Aと流路長さ:Lとの比:A/Lの値に基づいて、シェイク振動等の低周波大振幅振動に相当する周波数域、具体的には5〜15Hz程度の範囲内の領域にチューニングされている。そして、それにより、自動車の走行時に生ずるシェイク振動に対して、優れた防振効果(減衰効果)が、有効に発揮され得るようになっているのである。
また、公知の如く、自動車が停止して、アイドリング状態とされているときには、かかる自動車に装着されたエンジンマウントに入力されるパワーユニットの重量荷重が、自動車の走行時に比して減少せしめられ、そのため、本体ゴム弾性体14が、自動車の走行時よりも上方に変位するように(図9及び図10に二点鎖線で示される位置から実線で示される位置まで変位するように)弾性変形せしめられる。
それ故、図9及び図10に示されるように、本実施形態のエンジンマウントにおいては、自動車のアイドリング時、つまり20〜60Hz程度の範囲内の中乃至は高周波小振幅振動たるアイドリング振動の入力時に、ダイヤフラム36が、自動車の走行時よりも、その中心部を上方に変位させるように(図9及び図10に二点鎖線で示される位置から実線で示される位置まで変位させるように)撓み変形せしめられて、突起70が、平衡室側開口部74内において、受圧室側60側に移動せしめられた位置で上下方向に移動可能に配置される。それによって、自動車の走行時の状態に比して、突起70のテーパ状外周面72と平衡室側開口部68の対向面部76との間の距離(図9においてmにて示される寸法)が減少せしめられ、それに伴って、隙間74の流路断面積の最小値:Sも減少せしめられる。
そして、そのような平衡室側開口部68内への突起70の配置状態下において、隙間74の流路断面積の最小値:Sが、オリフィス通路64の流路断面積:Aよりも小さな値となるように、即ち、S<Aの関係を満足するように、突起70の高さやテーパ状外周面72のテーパ角度が、或いはダイヤフラム36のばね定数等、設定されている。
このため、本実施形態のエンジンマウントにおいては、アイドリング振動の入力時に、オリフィス通路64のチューニング周波数域が、隙間74の流路断面積の最小値:Sとオリフィス通路64の流路長さ:Lの比:S/Lの値にて決定される領域となる。そして、そのようなS/Lの値が、オリフィス通路64の流路断面積:Aと流路長さ:Lの比よりも小さな値となるところから、アイドリング振動の入力時に、オリフィス通路64のチューニング周波数域が、シェイク振動に相当する周波数域よりも、実質的に低い領域となる。
従って、かかるエンジンマウントにあっては、図11に示されるように、アイドリング振動の入力時に、オリフィス通路64内を流動せしめられる流体の流動作用に基づいて発揮される防振特性における減衰値のピークと絶対ばね定数のピークとが、自動車の走行時に比して、何れも低周波数側に移行せしめられる。なお、図11において、実線は、自動車の走行時における振動周波数と減衰値との関係を示す。一点鎖線は、自動車の走行時における振動周波数と絶対ばね定数との関係を示す。二点鎖線は、アイドリング時における振動周波数と減衰値との関係を示す。破線は、アイドリング時における振動周波数と絶対ばね定数との関係を示す。
かくして、本実施形態では、アイドリング振動に相当する周波数域(例えば、24Hz付近)で、絶対ばね定数の値が十分に小さくなり、それによって、更に有効な低動ばね効果が得られるようになる。そして、その結果として、アイドリング振動に対する防振効果が、有利に発揮され得るようになっているのである。
そして、かかるエンジンマウントにおいては、流路断面積:Aと流路長さ:Lの比:A/Lが、シェイク振動に対する防振効果を発揮するように調節されたオリフィス通路64が、唯一つだけしか設けられているに過ぎないのであって、それ故に、例えば、シェイク振動に相当する周波数域にチューニングされたオリフィス通路とアイドリング振動に相当する周波数域にチューニングされたオリフィス通路の2種類のオリフィス通路を備えた従来装置に比して、オリフィス通路を形成するための部材や部品の点数が、可及的に少ない点数に抑えられていると共に、オリフィス通路の形成するための構造が、有利に簡素化されている。
従って、かくの如き本実施形態のエンジンマウントにあっては、振動周波数が互いに異なるシェイク振動とアイドリング振動の両方の入力振動に対する優れた防振効果が、極めて有効に発揮され得るのであり、また、それが、唯一つのオリフィス通路64を利用するだけの簡略且つ小型で、しかも低コストな構造において、有利に実現され得ることとなったのである。
また、かかるエンジンマウントでは、ダイヤフラム36に設けられた突起70の外周面がテーパ状外周面72とされると共に、オリフィス通路64の平衡室側開口部68の内周面が、突起70のテーパ状外周面72と径方向に対向する円筒面状の対向面部76とされていることで、平衡室側開口部68内での突起70の上下方向への移動に伴って、隙間74の流路断面積の最小値:Sが増減せしめられるようになっている。それ故、突起70の移動に伴って、隙間74の流路断面積の最小値:Sを増減させるための構造が、特別な部材や余分な部品を何等追加することなく、極めて単純で且つ安価な構造にて実現され得ている。そして、その結果として、シェイク振動とアイドリング振動の両方の入力振動に対する優れた防振効果が、更に簡略で且つ安価な構造にて、より有利に実現され得るのである。
さらに、本実施形態では、突起70の外周面がテーパ状外周面72とされて、平衡室側開口部68の内周面が円筒面からなる対向面部76とされているところから、例えば、平衡室側開口部68の内周面がテーパ面とされる一方、突起70の外周面が円筒面とされる場合とは異なって、シェイク振動やアイドリング振動の入力時に、突起70の上下方向への往復移動により生ずる隙間74の流路断面積の最小値:Sの変動を可及的に小さくするために、テーパ状外周面72のテーパ角度を小さくしても、かかるテーパ状外周面72の高さ方向における平衡室開口部68の内周面の幅寸法が大きくなって、かかる平衡室側開口部68や形成する仕切部材44が大型化するようなことが有利に回避され得る。そして、それによって、そのような仕切部材44の大型化に伴うエンジンマウント全体の大型化が、効果的に防止され得る。
更にまた、本実施形態のエンジンマウントにおいては、突起70が、中実のゴム弾性体にて構成されて、オリフィス通路64内への突入状態下で、オリフィス通路64内を流動せしめられる流体の流動作用によって、容易に倒伏したり、変形したりしないだけの剛性が具備せしめられている。それ故、突起70が、平衡室側開口部68内での倒伏や変形によって、平衡室側開口部68の対向面部76に接触する等して、隙間74の流路断面積の最小値:Sを変化させ、それによって、オリフィス通路64のチューニング周波数域を予め設定された値から変更させてしまうようなことが未然に防止され得る。そして、その結果、所望の防振効果が、確実に発揮され得るのである。
また、かかるエンジンマウントでは、オリフィス通路64の平衡室側開口部68が仕切部材44(仕切部材本体46)の中心部に設けられる一方、ダイヤフラム36の中心部に突起70が一体形成されているところから、突起70を平衡室側開口部68内に突入位置させる際に、それら突起70と平衡室側開口部68の周方向位置を何等考慮することなく、平衡室側開口部68内への突起70の突入作業を容易に行うことが出来る。これによって、エンジンマウントの製作性の向上が有利に図られ得る。
さらに、本実施形態においては、オリフィス通路64が、仕切部材44に対して、その外周部に沿って延びるオリフィス溝58にて構成されている。そのため、限られた大きさの仕切部材44に対して、十分に長い流路長さを有するオリフィス通路64が、効率的且つ確実に形成され、以て、シェイク振動に相当する周波数域に有利にチューニングされ得る。
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
例えば、突起70の外周面をテーパ状外周面72とすると共に、平衡室側開口部68の内周面も、受圧室60側から平衡室62側に向かって次第に大径化するテーパ面形状としたり、或いはその逆のテーパ面形状としても良い。また、平衡室側開口部68の内周面を、受圧室60側から平衡室62側に向かって次第に大径化するテーパ面形状とする一方、突起70の外周面を円筒面からなる対向面部とすることも可能である。
さらに、突起70の全体形状、又は平衡室側開口部68内への突入部分の形状が、平衡室62側から受圧室60側に向かって先細りとなる形状、例えば、角錐形状や、球面形状、半紡錘形状、更には、少なくとも一つの側面が、受圧室60側に向かうに従って、平衡室側開口部68の内周面から徐々に離間する傾斜面又は湾曲面とされた形状となっていても良い。勿論、突起70を円錐形状とする場合にあっても、その高さやテーパ状外周面72のテーパ角度等は、適宜に変更され得る。
また、可撓性膜としてのダイヤフラム36に対する突起70の形成位置も、必ずしも、ダイヤフラム36の中心部に限定されるものではなく、例えば、オリフィス通路64の平衡室側開口部68の形成位置等に応じて、適宜に変更され得るところである。
さらに、オリフィス通路64は、仕切部材44に対して、どのような位置に設けられていても良く、また、仕切部材44とは別の部材や部位に設けられていても、何等差し支えない。
また、例えば、図12に示されるように、仕切部材44の仕切部材本体46に設けられた貫通孔52の内周面の一部を凹状湾曲面として、かかる凹状湾曲面にて、オリフィス通路64内を流動せしめられる流体の流れを平衡室側開口部68内に向かう方向に導く、導流手段としての導流部78とし、それによって、平衡室側開口部68内に突入位置する突起70に対して、それを平衡室62側に移動させる方向に押圧する流動作用が与えられるように構成しても良い。このような構造によれば、隙間74を通じて、オリフィス通路64内から平衡室62内に流れる流体の流動作用によって、突起70が、平衡室側開口部68内で、より確実に平衡室62側に移動せしめられ、以て、アイドリング振動の入力時に、隙間74の流路断面積の最小値:Sとオリフィス通路64の流路断面積:Aとの間において、S<Aの関係が更に確実に満たされるようになる。その結果、オリフィス通路64がシェイク振動に相当する周波数域にチューニングされているにも拘わらず、アイドリング振動の入力時に、アイドリング振動に対する防振効果が、より有効に発揮され得ることとなる。
加えて、前記実施形態では、本発明を、自動車用エンジンマウントに適用したものの具体例を示したが、本発明は、自動車用以外のエンジンマウント、更にはエンジンマウント以外の流体封入式防振装置のうち、シェイク振動やアイドリング振動に対する防振性能を発揮する流体封入式防振装置の何れに対しても、有利に適用されるものであることは、勿論である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
本発明に従う構造を有する流体封入式防振装置の一例を示す縦断面説明図である。 図1に示された流体封入式防振装置の装備される仕切部材の横断面説明図であって、図3のII−II断面に相当する図である。 図2のIII−III断面説明図である。 図2のIV矢視説明図である。 図1の部分拡大説明図である。 図5のVI−VI断面説明図である。 図1に示された流体封入式防振装置を自動車に装着した状態での図5に対応する図である。 図7のVIII−VIII断面説明図である。 図1に示された流体封入式防振装置を自動車に装着した状態において、かかる流体封入式防振装置にアイドリング振動が入力されたときの状態を示す図5に対応する図である。 図9のX−X断面説明図である。 図1に示された流体封入式防振装置の走行時とアイドリング時とにおける振動周波数と減衰値との関係と、振動周波数と絶対ばね定数との関係を、それぞれ示すグラフである。 本発明に従う流体封入式防振装置の別の例を示す、図3のXII−XII断面で見たときの図5に対応する図である。
符号の説明
10 第一の取付金具 12 第二の取付金具
14 本体ゴム弾性体 36 ダイヤフラム
44 仕切部材 58 オリフィス溝
60 受圧室 62 平衡室
64 オリフィス通路 66 受圧室側開口部
68 平衡室側開口部 70 突起
72 テーパ状外周面 74 隙間
76 対向面部 78 導流部

Claims (7)

  1. 互いに離間配置された第一の取付部材と第二の取付部材とを、それらの間に介装された本体ゴム弾性体で連結すると共に、該第二の取付部材に支持された仕切部材を挟んで、該第一の取付部材側に、該本体ゴム弾性体により壁部の一部が構成されて、振動入力時に内圧変動が惹起される、内部に所定の非圧縮性流体が封入された受圧室を形成する一方、該受圧室とは反対側に、壁部の一部が可撓性膜で構成されて、該可撓性膜の変形に基づいて容積変化が許容される、内部に所定の非圧縮性流体が封入された平衡室を形成し、更に、それら受圧室と平衡室とを相互に連通するオリフィス通路を設けてなる流体封入式防振装置において、
    前記オリフィス通路をシェイク振動に相当する周波数域にチューニングする一方、前記可撓性膜に対して、該オリフィス通路の前記平衡室側の開口部内に突入位置せしめられる突起を一体的に設け、更に、該突起の外周面と該平衡室側開口部の内周面との間に、該オリフィス通路を通じた該平衡室と前記受圧室との間での前記流体の流動を常に許容する隙間を形成して、該隙間を通じての該流体の流動による該可撓性膜の変形に伴って、該突起が、該平衡室側開口部内で該平衡室側と該受圧室側の両側に移動せしめられるように構成すると共に、該突起が該平衡室側に移動したときに、該隙間の流路断面積の最小値:Sを増大させる一方、該突起が該受圧室側に移動したときに、該隙間の流路断面積の最小値:Sを減少させる流路断面積変更手段を設け、そして、シェイク振動の入力時とアイドリング振動の入力時とにおける該平衡室開口部内での該突起の位置の差異に基づいて、該隙間の流路断面積の最小値:Sと前記オリフィス通路の流路断面積:Aとが、シェイク振動の入力時に、S≧Aとなる関係を満たし、且つアイドリング振動の入力時に、S<Aとなる関係を満たすように構成したことを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記突起の外周面と前記平衡室側開口部の内周面のうちの少なくとも何れか一方に、前記受圧室側から前記平衡室側に向かって次第に大径化するテーパ面部が設けられる一方、それらのうちの少なくとも何れか他方に、該テーパ面部に対して、該テーパ面部の径方向において対向する対向面部が設けられて、それらテーパ面部と対向面部とにて、前記流路断面積変更手段が構成され、該突起が該平衡室側に移動したときに、該テーパ面部と該対向面部との間の距離の最小値が大きくされることにより、前記隙間の流路断面積の最小値:Sが増大せしめられる一方、該突起が前記受圧室側に移動したときに、該テーパ面部と該対向面部との間の距離の最小値が小さくされることにより、前記隙間の流路断面積の最小値:Sが減少せしめられるようになっている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記テーパ面部が、前記突起の外周面のみに設けられる一方、前記対向面部が、前記平衡室側開口部の内周面のみに設けられている請求項2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 前記突起が、前記オリフィス通路内を流動する前記流体の流動作用によって変形しないだけの剛性を有している請求項1乃至請求項3のうちの何れか1項に記載の流体封入式防振装置。
  5. 前記オリフィス通路が、前記仕切部材に設けられて、該オリフィス通路の前記平衡室側開口部が、該仕切部材における該平衡室側の端面の中心部に形成される一方、前記突起が、前記可撓性膜の中心部に設けられている請求項1乃至請求項4のうちの何れか1項に記載の流体封入式防振装置。
  6. 前記オリフィス通路が、前記仕切部材に対して、その外周部に沿って周方向に延びるように設けられると共に、該オリフィス通路の前記受圧室側の開口部が、該仕切部材における該受圧室側の端面の外周部に形成されている請求項1乃至請求項5のうちの何れか1項に記載の流体封入式防振装置。
  7. 前記オリフィス通路における前記平衡室側の端部に、該オリフィス通路内を流動せしめられる前記流体の流れを前記平衡室側開口部内に向かう方向に導く導流手段が設けられて、該平衡室側開口部内に位置する前記突起に対して、該突起を該平衡室側に移動させる方向に押圧する流動作用が与えられるようになっている請求項1乃至請求項6のうちの何れか1項に記載の流体封入式防振装置。
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