JPWO2015050138A1 - 搬送装置 - Google Patents
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Abstract
機械的構成、電気的構成が簡単な搬送装置(1)を提供することを課題とする。搬送装置(1)は、絶縁性を有しエラストマー製の誘電層(20)と、誘電層(20)の表裏両側に配置され導電性を有する一対の電極層(21)と、を有し、基部(2a)と、基部(2a)よりも弾性変形しやすく表面に被搬送物(W)を搬送する搬送路(22)を有する搬送部(2b)と、に区画される搬送部材(2)と、一対の電極層(21)間に、時間と共に周期的に変化する電圧を印加する電源部(4)と、を備える。電圧の変化に応じて、搬送部(2b)が基部(2a)を起点に弾性的に伸縮することにより、搬送装置(1)は、搬送路(22)において、被搬送物(W)を搬送する。
Description
本発明は、例えば、小麦粉、塩などの粉体や、錠剤などの粒体を搬送可能な搬送装置に関する。
特許文献1には、微小粉体搬送装置が開示されている。微小粉体搬送装置は、多数の電極を備えている。多数の電極は、搬送方向に並んで配置されている。多数の電極には、搬送方向に沿って、交番電圧が印加されている。粉体は、クーロン力で吸引されることにより、隣り合う電極間を移動する。特許文献2には、特許文献1同様に、搬送方向に並ぶ多数の電極を備える粉体ハンドリング装置が開示されている。
しかしながら、特許文献1の微小粉体搬送装置、特許文献2の粉体ハンドリング装置によると、搬送方向に沿って、搬送方向全長に亘って、多数の電極を配置する必要がある。また、多数の電極に対して、粉体を搬送可能に、交番電圧を印加する必要がある。このため、特許文献1の微小粉体搬送装置、特許文献2の粉体ハンドリング装置によると、機械的構成、電気的構成が複雑である。そこで、本発明は、機械的構成、電気的構成が簡単な搬送装置を提供することを目的とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明の搬送装置は、絶縁性を有しエラストマー製の誘電層と、該誘電層の表裏両側に配置され導電性を有する一対の電極層と、を有し、基部と、該基部よりも弾性変形しやすく表面に被搬送物を搬送する搬送路を有する搬送部と、に区画される搬送部材と、一対の該電極層間に、時間と共に周期的に変化する電圧を印加する電源部と、を備え、該電圧の変化に応じて、該搬送部が該基部を起点に弾性的に伸縮することにより、該搬送路において該被搬送物を搬送することを特徴とする。
本明細書において、「交流電圧」とは、時間と共に周期的に変化する電圧をいう。「直流電圧」とは、極性が反転しない電圧をいう。電圧の大きさは、一定でなくてもよい。つまり、本明細書においては、概念上、直流電圧が交流電圧に含まれる場合がある。「交流電源」とは、交流電圧のうち、極性が反転する電圧を、供給可能な電源をいう。「直流電源」とは、直流電圧を供給可能な電源をいう。直流電圧には、大きさが一定のバイアス電圧が含まれる。
本発明の搬送装置は、誘電層と、一対の電極層と、を備えている。一対の電極層間に電圧を印加すると、一対の電極層間に静電引力が加わる。静電引力は、誘電層、つまり搬送部を、積層方向(誘電層と電極層とが積層される方向)に収縮させる方向に作用する。一方、誘電層は、弾性変形可能である。つまり、誘電層は、弾性復元力を有している。弾性復元力は、誘電層、つまり搬送部を、積層方向に伸張させる方向に作用する。このように、搬送部には、静電引力と、弾性復元力と、が作用している。双方の力のバランスにより、搬送部の形状は、弾性的に変化する。
電圧が大きくなると、一対の電極層間の静電引力が大きくなる。このため、搬送部は、誘電層の弾性復元力に抗して、積層方向に収縮する。また、搬送部は、積層方向の収縮量に応じて、面方向(搬送部の表面が展開される方向)に伸張する。反対に、電圧が小さくなると、一対の電極層間の静電引力が小さくなる。このため、搬送部は、誘電層の弾性復元力により、積層方向に伸張する。また、搬送部は、積層方向の伸張量に応じて、面方向に収縮する。
このように、搬送部は、電圧の変化に応じて、伸張と収縮とを弾性的に繰り返すことができる。ここで、基部は、搬送部と比較して、弾性変形しにくい。このため、搬送部は、基部を起点に、伸張と収縮とを弾性的に繰り返すことができる。言い換えると、搬送部は、基部を起点に、振動することができる。当該振動により、搬送部は、搬送路上の被搬送物を、搬送することができる。
本発明の搬送装置によると、搬送路に沿って、搬送路の全長に亘って、多数の電極を配置する必要がない。また、多数の電極に対して、被搬送物を搬送可能に、交番電圧を印加する必要がない。このため、機械的構成、電気的構成が簡単である。また、被搬送物の電気的特性(導電性、絶縁性など)によらず、被搬送物を搬送することができる。
また、一般的な振動コンベアの場合、搬送路を有する硬質(例えば鋼製)のトラフを、多数のコイルばねにより振動させている。トラフ自体は弾性変形しない。これに対して、本発明の搬送装置の場合、誘電層は、柔軟な(ヤング率の小さい)エラストマー製である。このため、誘電層は、搬送部の振動が被搬送物に与える衝撃を、吸収することができる。したがって、搬送時に、搬送部の振動により、被搬送物が損傷を受けるおそれが小さい。
(1−1)上記(1)の構成において、前記誘電層と前記電極層とが積層される方向を積層方向、前記搬送部の表面における前記搬送路の延在方向を搬送方向、該搬送部が該積層方向に最大限伸張すると共に該搬送方向に最大限収縮した状態を収縮状態、該搬送部が該積層方向に最大限収縮すると共に該搬送方向に最大限伸張した状態を伸張状態、該収縮状態から該伸張状態に切り替わる際の、該搬送方向における、該搬送路の変形加速度を伸張加速度、該伸張状態から該収縮状態に切り替わる際の、該搬送方向における、該搬送路の変形加速度を収縮加速度として、該伸張加速度と該収縮加速度とは、相違している構成とする方がよい。
搬送路の変形加速度が小さい場合、搬送路が変形する際、搬送路に対して、被搬送物がずれにくい。このため、搬送路の変形に伴って、被搬送物が移動しやすい。これに対して、搬送路の変形加速度が大きい場合、搬送路が変形する際、搬送路に対して、被搬送物がずれやすい。このため、搬送路の変形に伴って、被搬送物が移動しにくい。
本構成によると、収縮状態から伸張状態への切替時と、伸張状態から収縮状態への切替時と、で変形加速度に差異を設けている。このため、いずれか一方の切替時において、優先的に被搬送物を移動させることができる。したがって、本構成によると、被搬送物の搬送方向を制御することができる。
(2)上記(1)の構成において、前記搬送部の表面における、前記搬送路の延在方向を搬送方向として、前記基部は、該搬送路の該搬送方向一端または該搬送方向他端に配置される構成とする方がよい。
本構成によると、基部を起点に、搬送路の全長に亘って、搬送部を振動させることができる。このため、一回のストローク(収縮状態→伸張状態→再び収縮状態、または伸張状態→収縮状態→再び伸張状態)あたりの被搬送物の搬送距離を大きくすることができる。
(3)上記(1)または(2)の構成において、前記搬送部材の一部を拘束する拘束部材を備え、前記基部は、該搬送部材の該一部が該拘束部材で拘束されることにより、形成される構成とする方がよい。
本構成によると、拘束部材で搬送部材を部分的に拘束することにより、搬送部材に、基部と、搬送部と、を区画することができる。すなわち、拘束部材で搬送部材の一部を拘束することにより、搬送部材の一部に、基部を設定することができる。並びに、搬送部材の他部(拘束部材で拘束されない部分)に、搬送部を設定することができる。本構成によると、搬送部の振動に伴う基部の弾性変形、位置ずれを抑制することができる。
(4)上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記搬送部の表面における、前記搬送路の延在方向を搬送方向、該搬送方向に直交する方向を幅方向として、該搬送路の搬送方向全長は、該搬送路の幅方向全長よりも、長い構成とする方がよい。
本構成によると、搬送路の搬送方向の伸縮量を、幅方向の伸縮量よりも、大きくすることができる。このため、一回のストロークあたりの被搬送物の搬送距離を大きくすることができる。
(5)上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、前記搬送部材は、最も表側の前記電極層の表側に配置されると共に、絶縁性を有しエラストマー製の保護層を有する構成とする方がよい。
保護層は、エラストマー製であり柔軟性を有している。このため、本構成によると、電極層を外部から保護することができる。また、保護層は、絶縁性を有している。このため、本構成によると、電極層と外部との導通を遮断することができる。
(6)上記(1)ないし(5)のいずれかの構成において、前記搬送部材の裏側に配置され、前記搬送部が弾性的に伸縮する際に、該搬送部に摺接する裏地部材を備える構成とする方がよい。本構成によると、弾性変形時に、搬送部が、裏地部材に摺接することができる。
(6−1)上記(6)の構成において、前記裏地部材は、樹脂製または金属製である構成とする方がよい。本構成によると、搬送部が裏地部材に摺接する際の摩擦抵抗が小さくなる。このため、搬送部の弾性変形が、裏地部材に拘束されにくくなる。
(7)上記(1)ないし(6)のいずれかの構成において、前記電源部は、極性が反転しない電圧(つまり直流電圧)を供給可能な直流電源、または極性が反転する電圧を供給可能な交流電源と、該直流電源または該交流電源から供給される該電圧の波形を調整する波形調整部と、を有する構成とする方がよい。本構成によると、波形調整部により、直流電源または交流電源から供給される電圧の波形を、調整することができる。
(8)上記(1)ないし(6)のいずれかの構成において、前記電源部は、極性が反転せず大きさが一定のバイアス電圧を供給可能な直流電源と、極性が反転する電圧を供給可能な交流電源と、を有する構成とする方がよい。本構成によると、直流電圧と交流電圧とを、重畳的に搬送部材に印加することができる。このため、所定のバイアス電圧を基準に、搬送部材に交流電圧を加えることができる。
(9)上記(1)ないし(8)のいずれかの構成において、一対の前記電極層間に前記電源部が印加する前記電圧は、極性が反転しない直流電圧である構成とする方がよい。本構成によると、一対の電極層間に、時間と共に周期的に変化し、かつ極性が反転しない電圧を、印加することができる。
(9−1)上記(9)の構成において、前記直流電圧の時間変化の1周期分の波形は、三角形波、のこぎり波、矩形波のいずれかである構成とする方がよい。本構成によると、波形の形成が容易である。このため、搬送部の伸縮を制御しやすい。
(9−2)上記(9)の構成において、前記直流電圧の時間変化の波形は、連続波、またはパルス波である構成とする方がよい。本構成によると、周波数の調整が容易である。このため、搬送速度を制御しやすい。
(10)上記(9)の構成において、前記直流電圧の時間変化の1周期分の波形は、時間と共に該直流電圧が上昇する昇圧区間と、時間と共に該直流電圧が下降する降圧区間と、を有し、該昇圧区間における該直流電圧の時間微分値の絶対値は、該降圧区間における該直流電圧の時間微分値の絶対値よりも、小さい構成とする方がよい。
ここで、直流電圧の時間微分値とは、直流電圧をV、時間をtとして、直流電圧の時間変化率(dV/dt、傾き)をいう。なお、昇圧区間、降圧区間における直流電圧の時間微分値が一定でない場合、言い換えると2階時間微分値(d2V/dt2)が0でない場合は、「時間微分値の絶対値」とは、時間微分値の絶対値の最大値をいう。例えば、昇圧区間または降圧区間に、複数の区間(直線区間、曲率一定の曲線区間、曲率が変化する曲線区間など)がある場合、「時間微分値の絶対値」とは、複数の区間の時間微分値の絶対値のうち、最大値をいう。
昇圧区間に対応して、搬送部は伸張する。すなわち、搬送部が、上記(1−1)の収縮状態から伸張状態に切り替わる。昇圧区間における直流電圧の時間微分値は、上記(1−1)の伸張加速度に対応している。時間微分値の絶対値が大きいほど、伸張加速度は大きくなる。
降圧区間に対応して、搬送部は収縮する。すなわち、搬送部が、上記(1−1)の伸張状態から収縮状態に切り替わる。降圧区間における直流電圧の時間微分値は、上記(1−1)の収縮加速度に対応している。時間微分値の絶対値が大きいほど、収縮加速度は大きくなる。
本構成によると、昇圧区間における直流電圧の時間微分値の絶対値は、降圧区間における直流電圧の時間微分値の絶対値よりも、小さい。このため、搬送部をゆっくりと伸張させ、素早く収縮させることができる。したがって、搬送部の伸張時に、搬送路に対して、被搬送物がずれにくい。よって、搬送路の伸張に伴って、被搬送物が移動しやすい。並びに、搬送部の収縮時に、搬送路に対して、被搬送物がずれやすい。よって、搬送路の収縮に伴って、被搬送物が移動しにくい。
このように、本構成によると、被搬送物の慣性を利用することにより、搬送部の伸張時において、被搬送物を効率よく搬送することができる。並びに、搬送部の収縮時において、被搬送物の逆行を抑制することができる。
(11)上記(1)ないし(10)のいずれかの構成において、前記電源部を制御する制御部を備える構成とする方がよい。本構成によると、電源部を介して電圧の波形や周期などを、制御部により制御することができる。
(11−1)上記(11)の構成において、前記制御部は、前記電圧が予め設定された波形、周期になるように、前記電源を制御する構成とする方がよい。本構成によると、電圧の波形、周期を規定値に設定することができる。なお、電圧の波形、周期は、制御部の記憶部に格納してもよい。
(12)上記(11)の構成において、前記搬送部の伸縮を検出する検出部を備え、前記制御部は、該検出部の検出値を基に前記電源部を制御する構成とする方がよい。本構成によると、搬送部の伸縮を基に、電源部を制御することができる。例えば、制御部は、上記(1−1)の伸張状態→収縮状態→伸張状態と搬送部が切り替わる際に、検出部を用いて搬送部の収縮の完了を確認してから、電源部を用いて搬送部の伸張を開始してもよい。こうすると、搬送部の収縮が未完了のまま搬送部の伸張を開始する場合と比較して、同等の搬送速度を確保しながら、一対の電極層間に電源部が印加する電圧の周波数を減らすことができる。
(12−1)上記(12)の構成において、前記搬送路には、検出位置が設定され、前記検出部は、前記搬送部の伸縮に伴う該検出位置の変位を検出する変位センサである構成とする方がよい。本構成によると、検出位置の変位を基に、電源部を制御することができる。
(13)上記(1)ないし(12)のいずれかの構成において、前記搬送部の表面における、前記搬送路の延在方向を搬送方向、該搬送方向に直交する方向を幅方向として、前記電極層は、該搬送方向に延在し、該幅方向に並ぶ、複数の帯部を有し、該幅方向に隣り合う一対の該帯部間には、隙間が区画されている構成とする方がよい。
本構成によると、幅方向に隣り合う一対の帯部間に、隙間が区画されている。このため、隙間が区画されていない場合と比較して、電極層の面積を小さくすることができる。したがって、隙間が区画されていない場合と比較して、同等あるいはそれを上回る搬送速度を確保しながら、搬送部の駆動に要する電流値を小さくすることができる。また、本構成によると、幅方向に隣り合う一対の帯部同士が、互いに相手方の帯部の伸縮を規制しにくい。このため、複数の帯部が、各々、搬送方向に伸縮しやすい。
本発明によると、機械的構成、電気的構成が簡単な搬送装置を提供することができる。
以下、本発明の搬送装置の実施の形態について説明する。以下に示す図面において、上側は本発明の「表側」に、下側は本発明の「裏側」に、左右方向は本発明の「搬送方向」に、前後方向は本発明の「幅方向」に、各々対応する。また、上下方向は「積層方向」に、前後左右方向は「面方向」に、各々対応する。
<第一実施形態>
[搬送装置の構成]
まず、本実施形態の搬送装置の構成について説明する。図1に、本実施形態の搬送装置の上面図を示す。図2に、図1のII−II方向断面図を示す。なお、図2においては、説明の便宜上、搬送装置の上下方向厚さを誇張して示す。図1、図2に示すように、本実施形態の搬送装置1は、搬送部材2と、拘束部材30と、裏地部材31と、前後一対のコネクタ32と、電源部4と、を備えている。
[搬送装置の構成]
まず、本実施形態の搬送装置の構成について説明する。図1に、本実施形態の搬送装置の上面図を示す。図2に、図1のII−II方向断面図を示す。なお、図2においては、説明の便宜上、搬送装置の上下方向厚さを誇張して示す。図1、図2に示すように、本実施形態の搬送装置1は、搬送部材2と、拘束部材30と、裏地部材31と、前後一対のコネクタ32と、電源部4と、を備えている。
搬送部材2は、合計5層の誘電層20と、合計6層の電極層21と、上下一対の保護層23と、を備えている。誘電層20は、水素化ニトリルゴム(H−NBR)製であって、左右方向に長い長方形状を呈している。H−NBRは、本発明の「エラストマー」の概念に含まれる。誘電層20は、柔軟性、絶縁性を有している。誘電層20の積層方向厚さは、20μmである。
電極層21は、アクリルゴム中にカーボン粉末が充填された電極材料製である。電極層21は、電極材料を含む塗料が誘電層20に印刷されることにより、形成されている。電極層21は、左右方向に長い長方形状を呈している。電極層21は、柔軟性、導電性を有している。電極層21の積層方向厚さは、15μmである。
6層の電極層21と5層の誘電層20とは、上下方向に交互に積層されている。上下方向に隣り合う一対の電極層21の間には、誘電層20が介在している。上から数えて奇数番目(1番目、3番目、5番目)の電極層21は、後述する交流電源40に電気的に接続されている。上から数えて偶数番目(2番目、4番目、6番目)の電極層21は、後述する直流電源41に電気的に接続されている。
保護層23は、ブチルゴム(IIR)製であって、左右方向に長い長方形状を呈している。IIRは、本発明の「エラストマー」の概念に含まれる。保護層23は、柔軟性、絶縁性を有している。保護層23の積層方向厚さは、5μmである。上側の保護層23は、最上層の電極層21の上側に積層されている。下側の保護層23は、最下層の電極層21の下側に積層されている。
搬送部材2は、基部2aと、搬送部2bと、に区画されている。基部2aは、後述する拘束部材30に、上下方向から拘束されている。当該拘束により、基部2aは、後述する搬送路22の左端に設定されている。搬送部2bは、基部2aの右側に設定されている。搬送部2bは、後述する電圧の変化に応じて、伸張状態と、収縮状態と、に交互に切り替わることができる。すなわち、搬送部2bは、振動することができる。搬送部2bの上面(具体的には上側の保護層23の上面)には、搬送路22が配置されている。搬送路22は、左右方向に直線状に延在している。搬送路22の左端は搬送方向の上流端に、搬送路22の右端は搬送方向の下流端に、各々対応している。
拘束部材30は、硬質の樹脂製であって、クランプ状を呈している。拘束部材30は、絶縁性を有している。拘束部材30は、基部2aを、上下方向から挟持している。このため、搬送部2bと比較して、基部2aは、弾性変形が規制されている。
裏地部材31は、硬質のアクリル樹脂製であって、左右方向に長い長方形状を呈している。裏地部材31は、絶縁性を有している。裏地部材31は、搬送部材の下側(具体的には下側の保護層23の下側)に配置されている。裏地部材31の上面は、平面状(滑面状)を呈している。裏地部材31の上面の左縁には、拘束部材30が固定されている。すなわち、基部2aは、拘束部材30を介して、裏地部材31に固定されている。一方、搬送部2bは、裏地部材31に固定されていない。後述する伸張状態と収縮状態とに切り替わる際、搬送部2bの下面(具体的には下側の保護層23の下面)は、裏地部材31の上面に摺接する。
コネクタ32は、基部2aに連なっている。前側のコネクタ32は、基部2aに配置された銀ペースト製の配線(図略)を介して、上から数えて奇数番目の電極層21に、電気的に接続されている。一方、後側のコネクタ32は、基部2aに配置された配線を介して、上から数えて偶数番目の電極層21に、電気的に接続されている。
電源部4は、交流電源40と、直流電源41と、を備えている。交流電源40は、前側のコネクタ32に、電気的に接続されている。直流電源41は、後側のコネクタ32に、電気的に接続されている。
図3に、搬送部材に印加される電圧の模式図を示す。図3に示すように、交流電源40は、搬送部材2に、正弦波状の交流電圧を印加している。直流電源41は、搬送部材2に、直流電圧(バイアス電圧)を印加している。具体的には、交流電源40は、0Vを中心に極性が反転する電圧を形成している。並びに、直流電源41は、大きさが一定のバイアス電圧を形成している。搬送部材2には、直流電圧と交流電圧とが重畳的に印加されている。なお、交流電圧の振幅Vpは、直流電圧Vdcよりも、小さい。また、波高Vppは、交流電圧の最大値Vmaxと最小値Vminとの差である。波高Vppは、振幅Vpの二倍である。
[搬送装置の動き]
次に、本実施形態の搬送装置の動きについて説明する。図4(a)に、本実施形態の搬送装置の収縮状態(その1)の左右方向断面図を示す。図4(b)に、本実施形態の搬送装置の伸張状態(その1)の左右方向断面図を示す。図4(c)に、本実施形態の搬送装置の収縮状態(その2)の左右方向断面図を示す。図4(d)に、本実施形態の搬送装置の伸張状態(その2)の左右方向断面図を示す。図4(a)〜図4(d)においては、説明の便宜上、搬送装置の上下方向厚さを誇張して示す。なお、図4(a)は図3の点Aに、図4(b)は図3の点Bに、図4(c)は図3の点Cに、図4(d)は図3の点Dに、各々対応している。
次に、本実施形態の搬送装置の動きについて説明する。図4(a)に、本実施形態の搬送装置の収縮状態(その1)の左右方向断面図を示す。図4(b)に、本実施形態の搬送装置の伸張状態(その1)の左右方向断面図を示す。図4(c)に、本実施形態の搬送装置の収縮状態(その2)の左右方向断面図を示す。図4(d)に、本実施形態の搬送装置の伸張状態(その2)の左右方向断面図を示す。図4(a)〜図4(d)においては、説明の便宜上、搬送装置の上下方向厚さを誇張して示す。なお、図4(a)は図3の点Aに、図4(b)は図3の点Bに、図4(c)は図3の点Cに、図4(d)は図3の点Dに、各々対応している。
前述したように、搬送部材2の基部2aは、拘束部材30を介して、裏地部材31に固定されている。このため、搬送部材2に電圧が印加されると、搬送部2bは、基部2aを起点として、図4(a)、図4(c)に示す収縮状態と、図4(b)、図4(d)に示す伸張状態と、を交互に繰り返す。すなわち、搬送部2bは、図3に示す電圧の周波数に対応して、振動する。
(収縮状態から伸張状態に切り替わる際の搬送装置の動き)
まず、図4(a)、図4(c)に示す収縮状態から、図4(b)、図4(d)に示す伸張状態に、切り替わる際の搬送部2bの動きについて説明する。図4(a)、図4(c)に示す収縮状態において、搬送部2bには、図3の点A、点Cに示すように、電圧の最小値Vminが印加されている。このため、上下方向に隣り合う一対の電極層21間の静電引力が最小になる。したがって、搬送部2bは、合計5層の誘電層20、合計6層の電極層21の弾性復元力により、上下方向に最大限に伸張し、水平方向に最大限に収縮している。
まず、図4(a)、図4(c)に示す収縮状態から、図4(b)、図4(d)に示す伸張状態に、切り替わる際の搬送部2bの動きについて説明する。図4(a)、図4(c)に示す収縮状態において、搬送部2bには、図3の点A、点Cに示すように、電圧の最小値Vminが印加されている。このため、上下方向に隣り合う一対の電極層21間の静電引力が最小になる。したがって、搬送部2bは、合計5層の誘電層20、合計6層の電極層21の弾性復元力により、上下方向に最大限に伸張し、水平方向に最大限に収縮している。
図3の点A→点B、点C→点Dに示すように、搬送部2bに印加される電圧が大きくなると、上下方向に隣り合う一対の電極層21間の静電引力が大きくなる。このため、図4(a)→図4(b)、図4(c)→図4(d)に示すように、搬送部2bは、合計5層の誘電層20、合計6層の電極層21の弾性復元力に抗して、上下方向に収縮し、水平方向に伸張する。なお、図1に示すように、搬送路22の左右方向全長は、前後方向全長よりも、長い。このため、搬送路22の左右方向の伸張量は、前後方向の伸張量よりも、大きい。
図4(b)、図4(d)に示す伸張状態において、搬送部2bには、図3の点B、点Dに示すように、電圧の最大値Vmaxが印加されている。このため、上下方向に隣り合う一対の電極層21間の静電引力が最大になる。したがって、搬送部2bは、上下方向に最大限に収縮し、水平方向に最大限に伸張している。なお、伸張状態においては、搬送部2bに、合計5層の誘電層20、合計6層の電極層21の弾性復元力が蓄積されている。このようにして、搬送部2bは、収縮状態から伸張状態に切り替わる。
(伸張状態から収縮状態に切り替わる際の搬送装置の動き)
次に、図4(b)に示す伸張状態から、図4(c)に示す収縮状態に、切り替わる際の搬送部2bの動きについて説明する。図3の点B→点Cに示すように、搬送部2bに印加される電圧が小さくなると、上下方向に隣り合う一対の電極層21間の静電引力が小さくなる。このため、図4(b)→図4(c)に示すように、搬送部2bは、合計5層の誘電層20、合計6層の電極層21の弾性復元力により、上下方向に伸張し、水平方向に収縮する。なお、図1に示すように、搬送路22の左右方向全長は、前後方向全長よりも、長い。このため、搬送路22の左右方向の収縮量は、前後方向の収縮量よりも、大きい。このようにして、搬送部2bは、伸張状態から収縮状態に切り替わる。
次に、図4(b)に示す伸張状態から、図4(c)に示す収縮状態に、切り替わる際の搬送部2bの動きについて説明する。図3の点B→点Cに示すように、搬送部2bに印加される電圧が小さくなると、上下方向に隣り合う一対の電極層21間の静電引力が小さくなる。このため、図4(b)→図4(c)に示すように、搬送部2bは、合計5層の誘電層20、合計6層の電極層21の弾性復元力により、上下方向に伸張し、水平方向に収縮する。なお、図1に示すように、搬送路22の左右方向全長は、前後方向全長よりも、長い。このため、搬送路22の左右方向の収縮量は、前後方向の収縮量よりも、大きい。このようにして、搬送部2bは、伸張状態から収縮状態に切り替わる。
(伸張加速度と収縮加速度との関係)
次に、伸張加速度と収縮加速度との関係について説明する。図4(a)、図4(c)に示す収縮状態から、図4(b)、図4(d)に示す伸張状態に、切り替わる際の、搬送路22の左右方向の変形加速度を伸張加速度a1とする。また、図4(b)に示す伸張状態から図4(c)に示す収縮状態に切り替わる際の、搬送路22の左右方向の変形加速度を収縮加速度a2とする。本実施形態においては、伸張加速度a1<収縮加速度a2の関係が成立している。このため、搬送路22は、収縮状態から伸張状態にゆっくりと切り替わる。反対に、搬送路22は、伸張状態から収縮状態に素早く切り替わる。
次に、伸張加速度と収縮加速度との関係について説明する。図4(a)、図4(c)に示す収縮状態から、図4(b)、図4(d)に示す伸張状態に、切り替わる際の、搬送路22の左右方向の変形加速度を伸張加速度a1とする。また、図4(b)に示す伸張状態から図4(c)に示す収縮状態に切り替わる際の、搬送路22の左右方向の変形加速度を収縮加速度a2とする。本実施形態においては、伸張加速度a1<収縮加速度a2の関係が成立している。このため、搬送路22は、収縮状態から伸張状態にゆっくりと切り替わる。反対に、搬送路22は、伸張状態から収縮状態に素早く切り替わる。
なお、搬送路22の変形加速度は、一例として、収縮状態から伸張状態、あるいは伸張状態から収縮状態に切り替わる際の、搬送路22上の任意の一点の、左右方向の移動加速度から算出することができる。
(被搬送物の動き)
次に、本実施形態の搬送装置により搬送される、被搬送物Wの動きについて説明する。図4(a)〜図4(d)に示すように、被搬送物Wは、図3に示す電圧の変化に応じて、左側から右側に向かって、搬送路22上を移動する。
次に、本実施形態の搬送装置により搬送される、被搬送物Wの動きについて説明する。図4(a)〜図4(d)に示すように、被搬送物Wは、図3に示す電圧の変化に応じて、左側から右側に向かって、搬送路22上を移動する。
図4(a)→図4(b)に示すように、収縮状態から伸張状態に切り替わる際、搬送路22は、基部2aを起点に右側に伸張する。ここで、収縮状態から伸張状態に切り替わる際の、搬送路22の伸張加速度a1は小さい。このため、被搬送物Wは、搬送路22に対して、左右方向にずれにくい。したがって、被搬送物Wは、搬送路22の伸張に伴って、位置P1から位置P2に、右側に移動する。
図4(b)→図4(c)に示すように、伸張状態から収縮状態に切り替わる際、搬送路22は、基部2aを起点に左側に収縮する。ここで、伸張状態から収縮状態に切り替わる際の、搬送路22の収縮加速度a2は大きい。このため、被搬送物Wは、搬送路22に対して、左右方向にずれやすい。加えて、伸張状態から収縮状態に切り替わる際、搬送部2bは、弾性復元力により、上下方向に伸張する。このため、被搬送物Wは、搬送路22から、上側に跳ねやすい。この点においても、被搬送物Wは、搬送路22に対して、左右方向にずれやすい。したがって、被搬送物Wは、搬送路22が収縮しても、位置P2から位置P1に復動しない。被搬送物Wは、位置P2に留まる。
図4(c)→図4(d)に示すように、再び、収縮状態から伸張状態に切り替わる際は、図4(a)→図4(b)の場合と同様に、被搬送物Wは、搬送路22の伸張に伴って、位置P2から位置P3に、右側に移動する。
このように、搬送部2bが収縮状態と伸張状態とを繰り返すことにより、被搬送物Wは、コマ送り状に、左側から右側に向かって、搬送路22上を移動する。すなわち、被搬送物Wは、収縮状態から伸張状態への切替時に所定のピッチ(=P2−P1=P3−P2)だけ移動し、伸張状態から収縮状態への切替時に停止する。
[作用効果]
次に、本実施形態の搬送装置の作用効果について説明する。本実施形態の搬送装置1によると、搬送部2bは、基部2aを起点に、図4(b)、図4(d)に示す伸張状態と、図4(a)、図4(c)に示す収縮状態と、を繰り返すことができる。言い換えると、搬送部2bは、基部2aを起点に、振動することができる。当該振動により、搬送部2bは、搬送路22上の被搬送物Wを、搬送することができる。
次に、本実施形態の搬送装置の作用効果について説明する。本実施形態の搬送装置1によると、搬送部2bは、基部2aを起点に、図4(b)、図4(d)に示す伸張状態と、図4(a)、図4(c)に示す収縮状態と、を繰り返すことができる。言い換えると、搬送部2bは、基部2aを起点に、振動することができる。当該振動により、搬送部2bは、搬送路22上の被搬送物Wを、搬送することができる。
本実施形態の搬送装置1によると、搬送路22に沿って、搬送路22の全長に亘って、多数の電極を配置する必要がない。また、多数の電極に対して、被搬送物Wを搬送可能に、交番電圧を印加する必要がない。このため、機械的構成、電気的構成が簡単である。また、被搬送物Wの電気的特性(導電性、絶縁性など)によらず、被搬送物Wを搬送することができる。
また、一般的な振動コンベアの場合、搬送路22を有する硬質(例えば鋼製)のトラフを、多数のコイルばねにより振動させている。トラフ自体は弾性変形しない。これに対して、本実施形態の搬送装置1の場合、誘電層20は、柔軟な(ヤング率の小さい)エラストマー製である。このため、誘電層20は、搬送部2bの振動が被搬送物Wに与える衝撃を、吸収することができる。したがって、搬送時に、搬送部2bの振動により、被搬送物Wが損傷を受けるおそれが小さい。
また、本実施形態の搬送装置1によると、搬送路22の左右方向の変形加速度について、伸張加速度a1<収縮加速度a2の関係が成立している。このため、搬送部2bは、収縮状態から伸張状態にゆっくりと切り替わる。反対に、搬送部2bは、伸張状態から収縮状態に素早く切り替わる。したがって、被搬送物Wの搬送方向を、左側から右側に向かう方向に、制御することができる。
また、本実施形態の搬送装置1によると、図4(a)〜図4(d)に示すように、基部2aが、搬送部2bの左端に連なっている。このため、基部2aを起点に、搬送路22の左右方向全長に亘って、搬送部2bを振動させることができる。このため、一回のストローク(収縮状態→伸張状態→再び収縮状態)あたりの被搬送物Wの搬送距離を大きくすることができる。
また、本実施形態の搬送装置1によると、図3に示すように、直流電圧と交流電圧とを、重畳的に搬送部材2に印加することができる。このため、所定のバイアス電圧を基準に、搬送部材2に交流電圧(時間と共に周期的に変化する電圧)を加えることができる。
また、本実施形態の搬送装置1によると、図1、図2に示すように、拘束部材30で搬送部材2を部分的に拘束することにより、搬送部材2に、基部2aと、搬送部2bと、を区画することができる。すなわち、拘束部材30で搬送部材2の一部を拘束することにより、搬送部材2の一部に、基部2aを設定することができる。並びに、搬送部材2の他部(拘束部材30で拘束されない部分)に、搬送部2bを設定することができる。このため、図4(a)〜図4(d)に示すように、搬送部2bが振動する場合であっても、基部2aの弾性変形、位置ずれを抑制することができる。
また、基部2aには、電極層21の左縁が含まれている。また、コネクタ32は、基部2aの左側(基部2aを挟んで搬送部2bの反対側)に配置されている。このため、図4(a)〜図4(d)に示すように、搬送部2bが振動する場合であっても、電極層21とコネクタ32とが電気的に断線しにくい。
また、図1に示すように、本実施形態の搬送装置1の搬送路22の左右方向全長は、前後方向全長よりも、長い。このため、搬送路22の左右方向の伸縮量は、前後方向の伸縮量よりも、大きい。したがって、搬送方向が前後方向である場合と比較して、一回のストローク(収縮状態→伸張状態→再び収縮状態)あたりの被搬送物Wの搬送距離を大きくすることができる。
また、本実施形態の搬送装置1は、図2に示すように、上下一対の保護層23を備えている。保護層23は、IIR製であって、柔軟性を有している。このため、本実施形態の搬送装置1によると、最上層、最下層の電極層21を、外部から保護することができる。また、保護層23は、絶縁性を有している。このため、本実施形態の搬送装置1によると、最上層、最下層の電極層21と外部との導通を遮断することができる。
また、本実施形態の搬送装置1は、図4(a)〜図4(d)に示すように、裏地部材31を備えている。このため、弾性変形時に、搬送部2bが、裏地部材31に摺接することができる。また、裏地部材31は、硬質のアクリル樹脂製である。このため、裏地部材31がエラストマー製である場合と比較して、搬送部2bが裏地部材31に摺接する際の摩擦抵抗を小さくすることができる。したがって、搬送部2bの弾性変形が、裏地部材31に拘束されにくくなる。
<第二実施形態>
本実施形態の搬送装置と、第一実施形態の搬送装置との相違点は、前後方向に二つの搬送装置が並置されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。図5に、本実施形態の搬送装置の前後方向断面図を示す。なお、図2と対応する部位については、同じ符号で示す。
本実施形態の搬送装置と、第一実施形態の搬送装置との相違点は、前後方向に二つの搬送装置が並置されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。図5に、本実施形態の搬送装置の前後方向断面図を示す。なお、図2と対応する部位については、同じ符号で示す。
図5に示すように、搬送ユニット10は、二つの搬送装置1を備えている。二つの搬送装置1は、上下方向にずれて、前後方向(幅方向)に並置されている。二つの搬送路22間には高度差が設定されている。二つの搬送装置1の間には、重複部O1が配置されている。重複部O1においては、上側から見て、前側の搬送装置1の後縁と、後側の搬送装置1の前縁と、が重複している。重複部O1の上下方向隙間L1は、被搬送物Wの直径よりも、短い。このため、被搬送物Wは、重複部O1から脱落しにくい。
本実施形態の搬送装置と、第一実施形態の搬送装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。また、二つの搬送装置1は、前後方向に並置されている。このため、単位時間あたりの被搬送物Wの搬送量を多くすることができる。
<第三実施形態>
本実施形態の搬送装置と、第二実施形態の搬送装置との相違点は、二つの搬送装置の間に、緩衝部材が介装されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。図6に、本実施形態の搬送装置の前後方向断面図を示す。なお、図5と対応する部位については、同じ符号で示す。
本実施形態の搬送装置と、第二実施形態の搬送装置との相違点は、二つの搬送装置の間に、緩衝部材が介装されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。図6に、本実施形態の搬送装置の前後方向断面図を示す。なお、図5と対応する部位については、同じ符号で示す。
図6に示すように、二つの搬送装置1は、前後方向(幅方向)に並置されている。二つの搬送路22間には高度差が設定されていない。二つの搬送装置1の間には、発泡エラストマー製の緩衝部材91が介装されている。緩衝部材91は、スポンジ状を呈している。緩衝部材91は、柔軟性、絶縁性を有している。緩衝部材91の前後方向のばね定数は、搬送装置1の前後方向のばね定数よりも、小さい。
本実施形態の搬送装置と、第二実施形態の搬送装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。また、本実施形態の搬送装置1によると、二つの搬送装置1の間に、柔軟な緩衝部材91が介装されている。このため、搬送装置1が収縮状態(図4(a)、図4(c)参照)から伸張状態(図4(b)、図4(d)参照)に切り替わる際の前後方向の弾性変形を、緩衝部材91により、吸収することができる。したがって、二つの搬送装置1間において、一方の搬送装置1の弾性変形が、他方の搬送装置1の弾性変形を、阻害するおそれが小さい。よって、二つの搬送装置1を、互いに独立して駆動することができる。
<第四実施形態>
本実施形態の搬送装置と、第一実施形態の搬送装置との相違点は、制御部と変位センサとが配置されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。図7に、本実施形態の搬送装置の前後方向断面図を示す。なお、図2と対応する部位については、同じ符号で示す。
本実施形態の搬送装置と、第一実施形態の搬送装置との相違点は、制御部と変位センサとが配置されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。図7に、本実施形態の搬送装置の前後方向断面図を示す。なお、図2と対応する部位については、同じ符号で示す。
図7に示すように、搬送装置1は、制御部5と、変位センサ6と、を備えている。また、電源部4は、交流電源40と、波形調整部42と、を備えている。変位センサ6は、本発明の「検出部」の概念に含まれる。変位センサ6と、制御部5と、波形調整部42と、は電気的に接続されている。搬送路22には、検出位置P4が設定されている。変位センサ6は、搬送部2bの伸縮に伴う検出位置P4の変位を検出する。制御部5は、変位センサ6の検出値、つまり検出位置P4の変位を基に、波形調整部42を制御する。波形調整部42は、交流電源40から供給される交流電圧の周波数、波形、最大値Vmax、最小値Vminなどを調整する。
本実施形態の搬送装置と、第一実施形態の搬送装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。また、本実施形態の搬送装置1によると、搬送速度や被搬送物Wの性状(体積、質量、形状など)などに応じて、波形調整部42により、電圧を調整することができる。
例えば、交流電圧の波形が正弦波状の場合、波形調整部42により、当該交流電圧からパルス波(孤立波)を生成することができる。また、波形調整部42により、変位センサ6の検出値、つまり検出位置P4の変位を基に、パルス波のパルス幅や周期を調整することができる。すなわち、時系列的に隣り合う一対のパルス波間の間隔を、調整することができる。具体的には、制御部5は、変位センサ6を用いて、図4(b)に示す伸張状態から図4(c)に示す収縮状態(図3に示す電圧の波形がパルス波の場合は電圧0V)に切り替わる際の、搬送部2bの収縮の完了を確認することができる。並びに、制御部5は、搬送部2bの収縮の完了を確認してから、波形調整部42を用いて、搬送部2bの伸張(図4(c)に示す収縮状態から図4(d)に示す伸張状態への切替)を開始することができる。こうすると、搬送部2bの収縮が未完了のまま搬送部2bの伸張を開始する場合と比較して、同等の搬送速度を確保しながら、図3に示す電圧の周波数を減らすことができる。
<第五実施形態>
本実施形態の搬送装置と、第一実施形態の搬送装置との相違点は、電極層が、複数の帯部を備えている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。図8に、本実施形態の搬送装置の上面図を示す。なお、図1と対応する部位については、同じ符号で示す。
本実施形態の搬送装置と、第一実施形態の搬送装置との相違点は、電極層が、複数の帯部を備えている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。図8に、本実施形態の搬送装置の上面図を示す。なお、図1と対応する部位については、同じ符号で示す。
図8に透過して示すように、合計6層の電極層21は、各々、7本の帯部210と、連結部211と、を備えている。7本の帯部210は、各々、左右方向(搬送方向)に延在している。また、7本の帯部210は、前後方向(幅方向)に平行に並んでいる。連結部211は、前後方向に延在している。連結部211は、7本の帯部210の左端(搬送方向の上流端)を、前後方向に連結している。連結部211は、拘束部材30に、上下方向から拘束されている。前後方向に隣り合う一対の帯部210間には、隙間Fが区画されている。
本実施形態の搬送装置と、第一実施形態の搬送装置とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。また、本実施形態の搬送装置1によると、前後方向に隣り合う一対の帯部210間に、隙間Fが区画されている。このため、隙間Fが区画されていない場合と比較して、電極層21の面積(上面、下面の面積)を小さくすることができる。したがって、隙間Fが区画されていない場合と比較して、同等あるいはそれを上回る搬送速度を確保しながら、搬送部2bの駆動に要する電流値を小さくすることができる。また、本実施形態の搬送装置1によると、前後方向に隣り合う一対の帯部210同士が、互いに相手方の帯部210の伸縮を規制しにくい。このため、7本の帯部210が、各々、左右方向に伸縮しやすい。
<その他>
以上、本発明の搬送装置の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
以上、本発明の搬送装置の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
図9に、その他の実施形態(その1)の搬送装置の上面図を示す。なお、図1と対応する部位については、同じ符号で示す。図9に示すように、基部2aを境に、左右二つの搬送部2bを配置してもよい。左側の搬送部2bは、基部2aを起点に、左側に伸縮可能である。右側の搬送部2bは、基部2aを起点に、右側に伸縮可能である。このため、本実施形態の搬送装置1によると、左右両方向に被搬送物を搬送することができる。
図10に、その他の実施形態(その2)の搬送装置の左右方向断面図を示す。なお、図2と対応する部位については、同じ符号で示す。図10に示すように、拘束部材兼用の裏地部材31を配置してもよい。すなわち、左端に拘束部310を有する裏地部材31を配置してもよい。こうすると、部品点数が少なくなる。また、電源部4に交流電源40だけを配置してもよい。こうすると、電気的な回路構成が簡単になる。また、搬送路22に、前後方向に延在するリブ220を、左右方向に並置してもよい。リブ220の右斜面(下流側斜面)は、左斜面(上流側斜面)よりも、傾斜がきつい。このため、搬送装置1が収縮状態(図4(a)、図4(c)参照)から伸張状態(図4(b)、図4(d)参照)に切り替わる際に、搬送路22に対して、被搬送物がずれにくい。反対に、搬送装置1が伸張状態から収縮状態に切り替わる際に、搬送路22に対して、被搬送物がずれやすい。
図1、図2に示す拘束部材30の種類は特に限定しない。基部2aの変形、位置ずれを拘束できればよい。例えば、ボルト−ナット、スクリューなどの締結部材、クリップなどの係合部材、バンド、テープなどの結束部材、接着剤、ステープラなどの固定部材を、拘束部材30として用いてもよい。
また、搬送装置1は、拘束部材30を備えていなくてもよい。基部2aの変形、位置ずれが規制できればよい。例えば、搬送部2bの質量(自重)に対して、基部2aの質量を、過大にすればよい。また、搬送部2bの下面の摩擦係数に対して、基部2aの下面の摩擦係数を、過大にすればよい。また、基部2aに対して、前後方向(幅方向)両側から、張力を加えてもよい。また、裏地部材31に、下側の保護層23の左縁を接着することにより、基部2aを設定してもよい。また、搬送装置1は、上側、下側の保護層23、裏地部材31を備えていなくてもよい。
また、搬送路22における搬送方向は特に限定しない。搬送方向が一方向の場合、基部2aから離間する方向でも、基部2aに接近する方向でもよい。また、搬送方向を切替可能としてもよい。すなわち、搬送方向を、基部2aに対する離間方向と、接近方向と、で適宜切り替えてもよい。
また、搬送路22は傾斜していてもよい。傾斜方向は特に限定しない。例えば、傾斜方向は、上流側から下流側に向かって上昇する方向であってもよい。反対に、傾斜方向は、上流側から下流側に向かって下降する方向であってもよい。
搬送方向を制御するためには、収縮状態(図4(a)、図4(c))から伸張状態(図4(b)、図4(d))への切替時と、伸張状態から収縮状態への切替時と、で搬送路22の変形加速度に差異を設定すればよい。伸張加速度a1>収縮加速度a2の場合、被搬送物Wは、主に、伸張状態から収縮状態への切替時に移動する。このため、被搬送物Wは、基部2aに接近する方向に移動しやすい。反対に、伸張加速度a1<収縮加速度a2の場合、被搬送物Wは、主に、収縮状態から伸張状態への切替時に移動する。このため、被搬送物Wは、基部2aから離間する方向に移動しやすい。
なお、変形加速度(伸張加速度a1、収縮加速度a2)の制御は、例えば、図3に示す交流電圧の周波数、波形、最大値Vmax、最小値Vmin、直流電圧Vdcの電圧値、図2に示す搬送部2bのヤング率、搬送部2bにおける(電極層21−誘電層20−電極層21)の積層数などを調整することにより、実行することができる。搬送速度の制御についても同様である。
搬送部2bにおける(電極層21−誘電層20−電極層21)の積層数は特に限定しない。積層数を多くすると、一回のストローク(収縮状態→伸張状態→再び収縮状態)あたりの被搬送物Wの搬送距離を大きくすることができる。
誘電層20に対する電極層21の配置方法は特に限定しない。接着、印刷などの方法を用いることができる。裏地部材31に対する拘束部材30の配置方法は特に限定しない。固定しても、固定しなくてもよい。
図3に示す電圧の波形は特に限定しない。三角形波(例えば、二等辺三角形波、直角三角形波など)、のこぎり波、矩形波、台形波などであってもよい。また、電圧の波形は、連続波でもパルス波でもよい。また、交流電圧の振幅Vpは、直流電圧Vdcに、近い値である方がよい。振幅Vp=直流電圧Vdcとするのが好ましい。こうすると、一回のストローク(収縮状態→伸張状態→再び収縮状態)あたりの被搬送物Wの搬送距離を大きくすることができる。
図7に示す変位センサ6(検出部)の種類は特に限定しない。例えば、柔軟な伸びセンサ、歪みセンサなどであってもよい。柔軟な伸びセンサ、歪みセンサは、搬送部2bに内蔵してもよい。また、柔軟な伸びセンサ、歪みセンサは、搬送部2bから独立して配置してもよい。また、図7に示す交流電源40の代わりに、直流電源を配置してもよい。そして、波形調整部42により、直流電圧から所定の波形を生成してもよい。また、波形調整部42を、制御部5や交流電源40、直流電源に内蔵してもよい。
誘電層20の材質は特に限定しない。エラストマー製であればよい。例えば、誘電率の高いエラストマーを用いることが好ましい。具体的には、常温における比誘電率(100Hz)が2以上、さらには5以上のエラストマーが好ましい。例えば、エステル基、カルボキシル基、水酸基、ハロゲン基、アミド基、スルホン基、ウレタン基、ニトリル基等の極性官能基を有するエラストマー、あるいは、これらの極性官能基を有する極性低分子量化合物を添加したエラストマーを採用するとよい。H−NBR以外の好適なエラストマーとしては、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリルゴム、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、等が挙げられる。保護層23の材質は特に限定しない。上記誘電層20と同様の材質としてもよい。
電極層21の材質は、特に限定しない。例えば、シリコーンゴム、アクリルゴム、H−NBR中に銀粉末、カーボンが充填された柔軟導電材料製としてもよい。電極層21を金属や炭素材料から形成してもよい。伸縮性を付与するという観点から、例えば、金属等をメッシュ状に編むことにより、電極層21を形成することができる。また、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等の導電性高分子から、電極層21を形成してもよい。また、バインダーと導電材とを含む柔軟導電材料を採用する場合、バインダーには、エラストマーを用いることが好ましい。エラストマーとしては、例えば、シリコーンゴム、NBR、EPDM、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリルゴム、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン等が好適である。また、導電材としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料、銀、金、銅、ニッケル、ロジウム、パラジウム、クロム、チタン、白金、鉄、およびこれらの合金等の金属材料、酸化インジウム錫(ITO)や、酸化チタン、酸化亜鉛にアルミニウム、アンチモン等の他金属をドーピングしたもの等の導電性酸化物の中から、適宜選択すればよい。導電材は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。配線の材質は特に限定しない。上記電極層21と同様の材質としてもよい。
拘束部材30、裏地部材31の材質は特に限定しない。誘電層20を形成するエラストマーよりもヤング率が高い、樹脂製、金属製であればよい。搬送部2bが裏地部材31に摺接する際の摩擦抵抗を小さくするために、裏地部材31の表面に、潤滑剤(離型剤、オイルなど)を塗布してもよい。また、搬送部2bに対する接触面積を小さくするために、裏地部材31の表面に、凸部を配置してもよい。また、裏地部材31自体をフッ素樹脂製としてもよい。
図6に示す緩衝部材91の構造、材質等は特に限定しない。例えば、中実体、多孔質体(ハニカム構造体、ダンボールなど)、発泡体(発泡スチロールなど)、中空体等でもよい。中空体の場合、内部に気体、液体等を充填してもよい。
被搬送物Wの種類は特に限定しない。図4(b)に示す伸張状態から図4(c)に示す収縮状態に切り替わる際、被搬送物Wは、跳ねる方が好ましい。この観点から、被搬送物Wは、質量が小さい、粉体(小麦粉、塩、砂糖、化粧品、顆粒など)や粒体(薬の錠剤など)などであってもよい。
また、単位ストロークあたりの被搬送物Wの搬送距離は、質量が小さいほど、より長くなる。このことを利用して、本実施形態の搬送装置1により、複数種類の被搬送物Wを、質量ごとに分級してもよい。
以下、被搬送物の好適な搬送条件を調べるために行った、実験について説明する。
表1に示すように、実験に用いたサンプルは、実施例1〜7である。なお、実施例2は、第一実施形態の搬送装置1(図1〜図4参照)である。実施例1〜7の誘電層20、電極層21、保護層23、拘束部材30、裏地部材31の材質、積層方向厚さは、一致している。また、実施例1〜7は、いずれも搬送方向に長い長方形状を呈している。
なお、後述する実験1〜3の場合、搬送対象となる被搬送物Wは薄力粉である。薄力粉を構成する単位粒子の平均粒径(直径)は、56μmである。薄力粉の使用量は2gである。また、後述する実験4の場合、搬送対象となる被搬送物Wは塩(具体的には塩の粒子の集合体)である。塩一粒の平均粒径(直径)は、400μmである。塩の使用量は2gである。また、後述する実験5の場合、搬送対象となる被搬送物Wは錠剤3錠である。錠剤一錠は、短軸円柱状を呈している。錠剤一錠の直径は15mm、軸長は6mmである。錠剤1錠の質量は1gである。実験1〜4は、被搬送物Wを、搬送部2bの一端部の中央付近に乗せ、ヘラを用いて平らにした状態で、行った。
<実験1>
実験1に用いたサンプルは、表1の実施例2である。搬送路22の搬送方向の順方向は、図1〜図4における左側から右側に向かう方向(基部2aから離間する方向)である。実験1においては、図3に示す直流電圧Vdc、交流電圧を変化させ、実施例2による被搬送物Wの搬送状態を観察した。表2に、実験結果を示す。
実験1に用いたサンプルは、表1の実施例2である。搬送路22の搬送方向の順方向は、図1〜図4における左側から右側に向かう方向(基部2aから離間する方向)である。実験1においては、図3に示す直流電圧Vdc、交流電圧を変化させ、実施例2による被搬送物Wの搬送状態を観察した。表2に、実験結果を示す。
表2中、「○」は、被搬送物Wの搬送速度が速いことを示す。「△」は、被搬送物Wの搬送速度が普通であることを示す。表2に示すように、交流電圧だけを印加しても(直流電圧Vdcを印加しなくても)、被搬送物Wの搬送は可能である。
また、図3に示す波高Vppが大きい場合、搬送部2bから発生するジュール熱が大きくなる。このため、ジュール熱の発生を抑制する観点からは、波高Vppを小さく(一例として400V以下)する方がよい。ただし、波高Vppを小さくすると、その分、被搬送物Wの搬送状態が悪くなる。このため、波高Vppを小さくする代わりに、直流電圧Vdcを大きく(一例として500V以上)する方がよい。
なお、被搬送物Wを、搬送部2bの一端部の中央付近に山盛り状に載せた状態(ヘラを用いて平らにしない状態)で本実験を行っても、被搬送物Wの山を徐々に崩しながら、表2同様に、被搬送物Wを搬送することができた。
<実験2>
実験2に用いたサンプルは、表1の実施例1〜3である。表1に示すように、実施例1〜3の相違点は、サイズである。搬送路22の搬送方向の順方向は、図1〜図4における左側から右側に向かう方向(基部2aから離間する方向)である。反対に、搬送路22の搬送方向の逆方向は、図1〜図4における右側から左側に向かう方向(基部2aに接近する方向)である。
実験2に用いたサンプルは、表1の実施例1〜3である。表1に示すように、実施例1〜3の相違点は、サイズである。搬送路22の搬送方向の順方向は、図1〜図4における左側から右側に向かう方向(基部2aから離間する方向)である。反対に、搬送路22の搬送方向の逆方向は、図1〜図4における右側から左側に向かう方向(基部2aに接近する方向)である。
実験2においては、図3に示す交流電圧の周波数(搬送部2bの振動数)を変化させ、実施例1〜3による被搬送物Wの搬送状態を観察した。なお、図3に示す直流電圧Vdcを350Vとした。また、波高Vppを700V(つまり振幅Vp=350V)とした。表3に、実験結果を示す。
表3中、「○」は、被搬送物Wの搬送方向が順方向であり、被搬送物Wの搬送速度が速いことを示す。「△」は、被搬送物Wの搬送方向が順方向であり、被搬送物Wの搬送速度が普通であることを示す。「−○」は、被搬送物Wの搬送方向が逆方向であり、被搬送物Wの搬送速度が速いことを示す。「−△」は、被搬送物Wの搬送方向が逆方向であり、被搬送物Wの搬送速度が普通であることを示す。「×」は、被搬送物Wの搬送速度が遅いことを示す。
表3に示すように、実施例1〜3のサイズにより、被搬送物Wの搬送に適した周波数は異なる。また、周波数を調整することにより、順方向のみならず、逆方向に、被搬送物Wを搬送することができる。
また、人間の可聴周波数帯域は、20〜20000Hz程度である。この点、表3に示すように、実施例1〜3は、40Hz〜100Hz程度の低周波数帯域、言い換えると人間に聞こえにくい低周波数帯域で、駆動可能である。このため、実施例1〜3は、静音性(低騒音性)に優れている。
<実験3>
実験3に用いたサンプルは、表1の実施例2、4〜7である。表1に示すように、実施例2、4〜7の相違点は、積層数である。積層数とは、電極層21と誘電層20とを交互に積層させた場合の誘電層20の枚数を意味する。例えば、積層数=9枚は、誘電層20=9枚、電極層21=10枚であることを意味する。
実験3に用いたサンプルは、表1の実施例2、4〜7である。表1に示すように、実施例2、4〜7の相違点は、積層数である。積層数とは、電極層21と誘電層20とを交互に積層させた場合の誘電層20の枚数を意味する。例えば、積層数=9枚は、誘電層20=9枚、電極層21=10枚であることを意味する。
実験3においては、実験2と同様に、図3に示す交流電圧の周波数(搬送部2bの振動数)を変化させ、実施例2、4〜7による被搬送物Wの搬送状態を観察した。なお、図3に示す直流電圧Vdcを350Vとした。また、波高Vppを700V(つまり振幅Vp=350V)とした。表4に、実験結果を示す。順方向、逆方向、「○」、「△」、「−○」、「−△」、「×」の定義は、実験2と同様である。
表4に示すように、実施例2、4〜7の積層数により、被搬送物Wの搬送に適した周波数は異なる。また、周波数を調整することにより、順方向のみならず、逆方向に、被搬送物Wを搬送することができる。
また、人間の可聴周波数帯域は、20〜20000Hz程度である。この点、表4に示すように、実施例2、4〜7は、40Hz〜100Hz程度の低周波数帯域、言い換えると人間に聞こえにくい低周波数帯域で、駆動可能である。このため、実施例2、4〜7は、静音性(低騒音性)に優れている。
<実験4>
実験4に用いたサンプルは、表1の実施例2である。実験4と実験1との相違点は、被搬送物Wの種類だけである。すなわち、実験4においては、被搬送物Wとして、薄力粉(実験1)ではなく、塩を用いた。表5に、実験結果を示す。
実験4に用いたサンプルは、表1の実施例2である。実験4と実験1との相違点は、被搬送物Wの種類だけである。すなわち、実験4においては、被搬送物Wとして、薄力粉(実験1)ではなく、塩を用いた。表5に、実験結果を示す。
表5中、「○」は、被搬送物Wの搬送速度が速いことを示す。「△」は、被搬送物Wの搬送速度が普通であることを示す。表5に示すように、被搬送物Wが塩の場合であっても、搬送可能である。
なお、被搬送物Wを、搬送部2bの一端部の中央付近に山盛り状に載せた状態(ヘラを用いて平らにしない状態)で本実験を行っても、被搬送物Wの山を徐々に崩しながら、表5同様に、被搬送物Wを搬送することができた。
<実験5>
実験5に用いたサンプルは、表1の実施例2である。実験5と実験1との相違点は、被搬送物Wの種類だけである。すなわち、実験5においては、被搬送物Wとして、薄力粉(実験1)ではなく、錠剤を用いた。表6に、実験結果を示す。
実験5に用いたサンプルは、表1の実施例2である。実験5と実験1との相違点は、被搬送物Wの種類だけである。すなわち、実験5においては、被搬送物Wとして、薄力粉(実験1)ではなく、錠剤を用いた。表6に、実験結果を示す。
表6中、「○」は、被搬送物Wの搬送速度が速いことを示す。「△」は、被搬送物Wの搬送速度が普通であることを示す。表6に示すように、被搬送物Wが錠剤の場合であっても、搬送可能である。
<実験6〜実験9について>
実験6〜実験9に関する図11〜図24の縦軸、横軸の単位は、各々、任意単位である。同種の図同士は、互いに比較可能である。すなわち、横軸が時間、縦軸が電圧、位置である図11、図13、図15〜図18、図20、図22は、互いに比較可能である。また、横軸が時間、縦軸が距離の図12、図14、図19、図21、図24は、互いに比較可能である。
実験6〜実験9に関する図11〜図24の縦軸、横軸の単位は、各々、任意単位である。同種の図同士は、互いに比較可能である。すなわち、横軸が時間、縦軸が電圧、位置である図11、図13、図15〜図18、図20、図22は、互いに比較可能である。また、横軸が時間、縦軸が距離の図12、図14、図19、図21、図24は、互いに比較可能である。
また、図11、図13、図15〜図18、図20、図22の縦軸の「位置」とは、図7に示すように、搬送路22に設定される検出位置P4の搬送方向(左右方向)位置である。位置の基点(0点)は、搬送路22の上流端(左端)P5である。
また、図12、図14、図19、図21、図24の縦軸の「距離」とは、図7に示すように、被搬送物Wの位置P6と、検出位置P4と、の間の搬送方向の距離Eである。ただし、搬送前における距離Eを「0」と定義している。なお、実験は、高速度カメラにより撮影した。検出位置P4、被搬送物Wの位置P6、距離Eは、高速度カメラの映像から測定した。
図7に示すように、位置P6は、検出位置P4の搬送方向上流側に設定されている。このため、搬送に伴って距離Eが0から正方向に変化した場合は、被搬送物Wが上流側(搬送方向の逆方向)に動いたことを意味する。反対に、搬送に伴って距離Eが0から負方向に変化した場合は、被搬送物Wが下流側(搬送方向の順方向)に動いたことを意味する。なお、被搬送物Wは、ジルコニアビーズ(具体的にはジルコニアビーズの集合体)である。ジルコニアビーズ一粒の平均粒径(直径)は、300μmである。
<実験6>
実験6においては、電圧(極性が反転しない直流電圧)の波形(矩形波、三角形波)の相違による搬送速度の相違を調べた。実験6に用いたサンプルは、表1の実施例2である。図11に、電圧の波形が矩形波の場合の、位置の時間変化を示す。図12に、図11の場合の距離の時間変化を示す。図13に、電圧の波形が右に尖る直角三角形波の場合の、位置の時間変化を示す。図14に、図13の場合の距離の時間変化を示す。なお、図11、図13に示す電圧の波形は、図7に示す波形調整部42により生成した。
実験6においては、電圧(極性が反転しない直流電圧)の波形(矩形波、三角形波)の相違による搬送速度の相違を調べた。実験6に用いたサンプルは、表1の実施例2である。図11に、電圧の波形が矩形波の場合の、位置の時間変化を示す。図12に、図11の場合の距離の時間変化を示す。図13に、電圧の波形が右に尖る直角三角形波の場合の、位置の時間変化を示す。図14に、図13の場合の距離の時間変化を示す。なお、図11、図13に示す電圧の波形は、図7に示す波形調整部42により生成した。
[電圧の波形が矩形波の場合]
まず、電圧の波形が矩形波の場合について説明する。図11に示すように、電圧M1の時間変化の波形G(ただし1周期分の波形。以下同じ。)は、昇圧区間Hと、降圧区間Kと、を備えている。昇圧区間Hにおいては、電圧M1がオフからオンに切り替わる。すなわち、時間と共に電圧M1が上昇する。昇圧区間Hに対応して、搬送部2bは、搬送方向に伸張する。このため、検出位置P4は下流側に変位する。昇圧区間Hにおける電圧M1の時間微分値(傾き)は、搬送部2bの伸張加速度に対応している。時間微分値の絶対値が大きいほど、搬送部2bの伸張加速度は大きくなる。反対に、降圧区間Kにおいては、電圧M1がオンからオフに切り替わる。すなわち、時間と共に電圧M1が下降する。降圧区間Kに対応して、搬送部2bは、搬送方向に収縮する。このため、検出位置P4は上流側に変位する。降圧区間Kにおける電圧M1の時間微分値(傾き)は、搬送部2bの収縮加速度に対応している。時間微分値の絶対値が大きいほど、搬送部2bの収縮加速度は大きくなる。波形Gが矩形波の場合、昇圧区間Hにおける電圧M1の時間微分値の絶対値と、降圧区間Kにおける電圧M1の時間微分値の絶対値と、は同じである。
まず、電圧の波形が矩形波の場合について説明する。図11に示すように、電圧M1の時間変化の波形G(ただし1周期分の波形。以下同じ。)は、昇圧区間Hと、降圧区間Kと、を備えている。昇圧区間Hにおいては、電圧M1がオフからオンに切り替わる。すなわち、時間と共に電圧M1が上昇する。昇圧区間Hに対応して、搬送部2bは、搬送方向に伸張する。このため、検出位置P4は下流側に変位する。昇圧区間Hにおける電圧M1の時間微分値(傾き)は、搬送部2bの伸張加速度に対応している。時間微分値の絶対値が大きいほど、搬送部2bの伸張加速度は大きくなる。反対に、降圧区間Kにおいては、電圧M1がオンからオフに切り替わる。すなわち、時間と共に電圧M1が下降する。降圧区間Kに対応して、搬送部2bは、搬送方向に収縮する。このため、検出位置P4は上流側に変位する。降圧区間Kにおける電圧M1の時間微分値(傾き)は、搬送部2bの収縮加速度に対応している。時間微分値の絶対値が大きいほど、搬送部2bの収縮加速度は大きくなる。波形Gが矩形波の場合、昇圧区間Hにおける電圧M1の時間微分値の絶対値と、降圧区間Kにおける電圧M1の時間微分値の絶対値と、は同じである。
図12に示すように、波形Gが矩形波の場合、図7に示す距離E(詳しくは、被搬送物Wの位置P6と、検出位置P4と、の間の搬送方向の距離E)は、0から負方向に変化している。すなわち、波形Gが矩形波の場合、被搬送物Wを下流側に搬送可能である。
しかしながら、図12にハッチングで示すように、波形Gが矩形波の場合、距離Eが正方向に変化する区間が、複数、存在している。すなわち、被搬送物Wが上流側に動く区間(逆行区間)が、複数、存在している。
[電圧の波形が三角形波の場合]
次に、電圧の波形が右(時系列的に後)に尖る直角三角形波の場合について説明する。図13に示すように、電圧M2の時間変化の1周期分の波形Gは、昇圧区間Hと、降圧区間Kと、を備えている。昇圧区間Hにおける電圧M2の時間微分値の絶対値は、降圧区間Kにおける電圧M2の時間微分値の絶対値よりも、小さい。
次に、電圧の波形が右(時系列的に後)に尖る直角三角形波の場合について説明する。図13に示すように、電圧M2の時間変化の1周期分の波形Gは、昇圧区間Hと、降圧区間Kと、を備えている。昇圧区間Hにおける電圧M2の時間微分値の絶対値は、降圧区間Kにおける電圧M2の時間微分値の絶対値よりも、小さい。
図14に示すように、図7に示す距離E(詳しくは、被搬送物Wの位置P6と、検出位置P4と、の間の搬送方向の距離E)は、0から負方向に変化している。すなわち、波形Gが右に尖る直角三角形波の場合、被搬送物Wを下流側に搬送可能である。
また、昇圧区間Hにおける電圧M2の時間微分値の絶対値は、降圧区間Kにおける電圧M2の時間微分値の絶対値よりも、小さい。このため、搬送部2bは、ゆっくりと伸張し、素早く収縮する。したがって、搬送部2bの伸張時に、搬送路22に対して、被搬送物Wがずれにくい。よって、搬送路22の伸張に伴って、被搬送物Wが下流側に移動しやすい。並びに、搬送部2bの収縮時に、搬送路22に対して、被搬送物Wがずれやすい。よって、搬送路22の収縮に伴って、被搬送物Wが移動しにくい。
このように、昇圧区間Hにおける電圧M2の時間微分値の絶対値を、降圧区間Kにおける電圧M2の時間微分値の絶対値よりも、小さくすると、図14に示すように、被搬送物Wが逆行しにくい。また、図12、図14に示すように、電圧M2によると、電圧M1に対して、搬送速度を速くすることができる。
<実験7>
実験7においては、電圧(極性が反転しない直流電圧)の波形(4種類の三角形波)の相違による搬送速度の相違を調べた。実験7に用いたサンプルは、表1の実施例2である。図15に、電圧の波形が左に尖る直角三角形波の場合の、位置の時間変化を示す。図16に、電圧の波形が二等辺三角形波の場合の、位置の時間変化を示す。図17に、電圧の波形が右に尖る三角形波の場合の、位置の時間変化を示す。図18に、電圧の波形が右に尖る直角三角形波の場合の、位置の時間変化を示す。図19に、図15〜図18の場合の距離の時間変化を示す。なお、図15〜図18に示す電圧M3〜M6の波形は、図7に示す波形調整部42により生成した。また、図18の電圧M6の波形は、図13の電圧M2の波形と同様である。
実験7においては、電圧(極性が反転しない直流電圧)の波形(4種類の三角形波)の相違による搬送速度の相違を調べた。実験7に用いたサンプルは、表1の実施例2である。図15に、電圧の波形が左に尖る直角三角形波の場合の、位置の時間変化を示す。図16に、電圧の波形が二等辺三角形波の場合の、位置の時間変化を示す。図17に、電圧の波形が右に尖る三角形波の場合の、位置の時間変化を示す。図18に、電圧の波形が右に尖る直角三角形波の場合の、位置の時間変化を示す。図19に、図15〜図18の場合の距離の時間変化を示す。なお、図15〜図18に示す電圧M3〜M6の波形は、図7に示す波形調整部42により生成した。また、図18の電圧M6の波形は、図13の電圧M2の波形と同様である。
図15〜図18に示すように、電圧M3〜M6各々の時間変化の1周期分の波形Gは、昇圧区間Hと、降圧区間Kと、を備えている。図15に示すように、電圧M3の波形が左(時系列的に前)に尖る直角三角形波の場合、昇圧区間Hにおける電圧M3の時間微分値の絶対値は、降圧区間Kにおける電圧M3の時間微分値の絶対値よりも、大きい。図16に示すように、電圧M4の波形が二等辺三角形波の場合、昇圧区間Hにおける電圧M4の時間微分値の絶対値と、降圧区間Kにおける電圧M4の時間微分値の絶対値と、は同じである。図17に示すように、電圧M5の波形が右(時系列的に後)に尖る三角形波の場合、昇圧区間Hにおける電圧M5の時間微分値の絶対値は、降圧区間Kにおける電圧M5の時間微分値の絶対値よりも、やや小さい。図18に示すように、電圧M6の波形が右に尖る直角三角形波の場合、昇圧区間Hにおける電圧M6の時間微分値の絶対値は、降圧区間Kにおける電圧M6の時間微分値の絶対値よりも、小さい。
図19に示すように、搬送方向、搬送速度の相違はあるものの、波形Gが4種類の三角形波の場合、いずれも被搬送物Wを搬送可能である。また、図19中のM5、M6に示すように、昇圧区間Hにおける電圧M5、M6の時間微分値の絶対値を、降圧区間Kにおける電圧M5、M6の時間微分値の絶対値よりも、小さくすると、被搬送物Wが逆行しにくい。また、絶対値の比(=(昇圧区間Hにおける電圧M5、M6の時間微分値の絶対値)/(降圧区間Kにおける電圧M5、M6の時間微分値の絶対値))が小さいほど、搬送速度が速くなる。また、図19中のM3に示すように、昇圧区間Hにおける電圧M3の時間微分値の絶対値を、降圧区間Kにおける電圧M3の時間微分値の絶対値よりも、大きくすると、被搬送物Wを逆行させることができる。
<実験8>
実験8においては、電圧(極性が反転しない直流電圧)の波形を右(時系列的に後)に尖る直角三角形波とした。並びに、実験8においては、時系列的に隣り合う一対の波形間に、電圧がオフになる間隔を設定した。また、実験8においては、搬送速度を調べた。実験8に用いたサンプルは、表1の実施例2である。図20に、電圧の波形が右に尖る直角三角形波であって時系列的に隣り合う一対の波形間に電圧がオフになる間隔を設定した場合の、位置の時間変化を示す。図21に、図20の場合の距離の時間変化を示す。なお、図21においては、比較のために、図14の電圧M2を、図20の電圧M7と併せて示す。
実験8においては、電圧(極性が反転しない直流電圧)の波形を右(時系列的に後)に尖る直角三角形波とした。並びに、実験8においては、時系列的に隣り合う一対の波形間に、電圧がオフになる間隔を設定した。また、実験8においては、搬送速度を調べた。実験8に用いたサンプルは、表1の実施例2である。図20に、電圧の波形が右に尖る直角三角形波であって時系列的に隣り合う一対の波形間に電圧がオフになる間隔を設定した場合の、位置の時間変化を示す。図21に、図20の場合の距離の時間変化を示す。なお、図21においては、比較のために、図14の電圧M2を、図20の電圧M7と併せて示す。
図13、図20に示すように、電圧M2の波形Gと、電圧M7の波形Gと、は同じである。また、波形Gの周期、波長、波高も同じである。ただし、図20にハッチングで示すように、電圧M7の隣り合う一対の波形G間には、電圧がオフになる間隔が設定されている。間隔の幅は、波形Gの幅と同じである。これに対して、図13に示すように、電圧M2の隣り合う一対の波形G間には、電圧がオフになる間隔が設定されていない。波形Gは連続している。このため、電圧M7の周波数は、電圧M2の周波数の、半分である。
図21に示すように、電圧M2(間隔なし)と電圧M7(間隔あり)とを比較すると、搬送速度はほぼ同じである。電圧M7によると、電圧M2に対して、同等の搬送速度を確保しながら、周波数を減らすことができる。
<実験9>
実験9においては、電圧(極性が反転しない直流電圧)の波形を右(時系列的に後)に尖る直角三角形波とし、搬送速度を調べた。実験9に用いたサンプルは、表1の実施例2の全ての電極層21に対して、図8に示す7本の帯部210、連結部211、隙間Fを形成したものである。図22に、電圧の波形が右に尖る直角三角形波である場合の、位置の時間変化を示す。図23に、図22の場合の搬送部の伸縮の加速度を示す。図24に、図22の場合の距離の時間変化を示す。なお、図23、図24においては、比較のために、図14の電圧M2の一部(時間0〜200の部分)を、図22の電圧M8と併せて示す。また、図23の縦軸においては、正方向が伸張方向の加速度を、負方向が収縮方向の加速度を、各々示す。
実験9においては、電圧(極性が反転しない直流電圧)の波形を右(時系列的に後)に尖る直角三角形波とし、搬送速度を調べた。実験9に用いたサンプルは、表1の実施例2の全ての電極層21に対して、図8に示す7本の帯部210、連結部211、隙間Fを形成したものである。図22に、電圧の波形が右に尖る直角三角形波である場合の、位置の時間変化を示す。図23に、図22の場合の搬送部の伸縮の加速度を示す。図24に、図22の場合の距離の時間変化を示す。なお、図23、図24においては、比較のために、図14の電圧M2の一部(時間0〜200の部分)を、図22の電圧M8と併せて示す。また、図23の縦軸においては、正方向が伸張方向の加速度を、負方向が収縮方向の加速度を、各々示す。
図13、図22に示すように、電圧M2の波形Gと、電圧M8の波形Gと、は同じである。また、波形Gの周期、波長、波高も同じである。図23に示すように、電圧M8(実験9のサンプル。実線)の方が、電圧M2(実施例2。点線)よりも、搬送部2bの伸張加速度、収縮加速度が大きい。また、電圧M8の場合、特に、伸張加速度に対して、収縮加速度を、大きくすることができる。すなわち、搬送部2bを、ゆっくりと伸張させ、素早く収縮させることができる。このため、図24に示すように、電圧M8(実験9のサンプル)の方が、電圧M2(実施例2)よりも、搬送速度を速くすることができる。
また、図1(表1の実施例2)、図8(実験9のサンプル)に示すように、実験9のサンプルは、実施例2に対して、上側から見た場合の電極層21の面積が小さい。このため、搬送部2bの駆動に要する電流値を小さくすることができる。
1:搬送装置、2:搬送部材、2a:基部、2b:搬送部、20:誘電層、21:電極層、210:帯部、211:連結部、22:搬送路、220:リブ、23:保護層、30:拘束部材、31:裏地部材、310:拘束部、32:コネクタ、4:電源部、40:交流電源、41:直流電源、42:波形調整部、5:制御部、6:変位センサ(検出部)、91:緩衝部材、10:搬送ユニット。
E:距離、F:隙間、G:波形、H:昇圧区間、K:降圧区間、L1:上下方向隙間、O1:重複部、Vdc:直流電圧、Vmax:最大値、Vmin:最小値、Vp:振幅、Vpp:波高、W:被搬送物、a1:伸張加速度、a2:収縮加速度。
E:距離、F:隙間、G:波形、H:昇圧区間、K:降圧区間、L1:上下方向隙間、O1:重複部、Vdc:直流電圧、Vmax:最大値、Vmin:最小値、Vp:振幅、Vpp:波高、W:被搬送物、a1:伸張加速度、a2:収縮加速度。
Claims (13)
- 絶縁性を有しエラストマー製の誘電層と、該誘電層の表裏両側に配置され導電性を有する一対の電極層と、を有し、基部と、該基部よりも弾性変形しやすく表面に被搬送物を搬送する搬送路を有する搬送部と、に区画される搬送部材と、
一対の該電極層間に、時間と共に周期的に変化する電圧を印加する電源部と、
を備え、
該電圧の変化に応じて、該搬送部が該基部を起点に弾性的に伸縮することにより、該搬送路において該被搬送物を搬送する搬送装置。 - 前記搬送部の表面における、前記搬送路の延在方向を搬送方向として、
前記基部は、該搬送路の該搬送方向一端または該搬送方向他端に配置される請求項1に記載の搬送装置。 - 前記搬送部材の一部を拘束する拘束部材を備え、
前記基部は、該搬送部材の該一部が該拘束部材で拘束されることにより、形成される請求項1または請求項2に記載の搬送装置。 - 前記搬送部の表面における、前記搬送路の延在方向を搬送方向、該搬送方向に直交する方向を幅方向として、
該搬送路の搬送方向全長は、該搬送路の幅方向全長よりも、長い請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の搬送装置。 - 前記搬送部材は、最も表側の前記電極層の表側に配置されると共に、絶縁性を有しエラストマー製の保護層を有する請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の搬送装置。
- 前記搬送部材の裏側に配置され、前記搬送部が弾性的に伸縮する際に、該搬送部に摺接する裏地部材を備える請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の搬送装置。
- 前記電源部は、極性が反転しない電圧を供給可能な直流電源、または極性が反転する電圧を供給可能な交流電源と、該直流電源または該交流電源から供給される該電圧の波形を調整する波形調整部と、を有する請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の搬送装置。
- 前記電源部は、極性が反転せず大きさが一定のバイアス電圧を供給可能な直流電源と、極性が反転する電圧を供給可能な交流電源と、を有する請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の搬送装置。
- 一対の前記電極層間に前記電源部が印加する前記電圧は、極性が反転しない直流電圧である請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の搬送装置。
- 前記直流電圧の時間変化の1周期分の波形は、時間と共に該直流電圧が上昇する昇圧区間と、時間と共に該直流電圧が下降する降圧区間と、を有し、
該昇圧区間における該直流電圧の時間微分値の絶対値は、該降圧区間における該直流電圧の時間微分値の絶対値よりも、小さい請求項9に記載の搬送装置。 - 前記電源部を制御する制御部を備える請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の搬送装置。
- 前記搬送部の伸縮を検出する検出部を備え、
前記制御部は、該検出部の検出値を基に前記電源部を制御する請求項11に記載の搬送装置。 - 前記搬送部の表面における、前記搬送路の延在方向を搬送方向、該搬送方向に直交する方向を幅方向として、
前記電極層は、該搬送方向に延在し、該幅方向に並ぶ、複数の帯部を有し、
該幅方向に隣り合う一対の該帯部間には、隙間が区画されている請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の搬送装置。
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