JPWO2015045186A1 - 紙葉類真偽判定装置 - Google Patents

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Abstract

この紙葉類真偽判定装置は、蛍光発光特性以外の特徴で紙葉類の種類を判別し、波長の異なる励起光を順に紙葉類に照射し、紙葉類に付加された蛍光体の発光光の強度を所定の範囲の波長ごとに測定し、結果である蛍光発光特性データを得る。紙葉類の種類ごとにあらかじめ記憶した真正な紙葉類の蛍光発光特性データ又はそれから得られた閾値と、取得した蛍光発光特性データとを用いて紙葉類の真偽判定を行う。

Description

この発明は、蛍光体が付加された紙葉類の真偽を判定するための紙葉類真偽判定装置に関する。
従来、所定の蛍光発光特性を有する蛍光体を紙葉類の所定の位置に付加して、該蛍光体の蛍光発光特性に応じた蛍光発光を検知することによって当該紙葉類の真偽判定をする技術が知られている。蛍光体は、蛍光体ごとに、蛍光体を蛍光発光させる光(以下、励起光という)の波長や、該励起光の照射により発光する光のスペクトルの特徴が決まっており、これらを蛍光発光特性という。
例えば、特許文献1には、紫外光を照射して紫外光を発光する蛍光物質や、赤外光を照射して赤外光を発光する蛍光物質が開示され、これらの物質が所定の位置に付加された有価書類の真偽判定を行う場合に、紫外光若しくは赤外光を判定対象の書類に照射して、蛍光物質に応じた蛍光の発光の有無を確認することにより書類の真偽判定を行う技術が開示されている。この特許文献1に係る技術を紙葉類の真偽判定に適用すると、人の目では検知できない蛍光体の蛍光発光の有無により紙葉類の真偽判定を行うことから、可視光で観測しただけでは判別できない差異を検知することによって、厳格な紙葉類の真偽判定を行うことができる。
ところが、蛍光体には類似した蛍光発光特性を有するものもある。具体的には、励起光の波長及び励起光の照射によって発光する蛍光スペクトルのピーク波長がほぼ同じで、蛍光スペクトルのピーク波長以外の特徴が異なるような蛍光体が存在する。例えば、励起光の波長及び励起光の照射によって発光する蛍光スペクトルのピーク波長はほぼ同じで、蛍光スペクトルの半値幅が異なる蛍光体が付加された紙葉類については、特許文献1に開示されている技術だけでは、差異を判定することができない。このような紙葉類であっても、差異を判定することのできる技術も知られている。
例えば、特許文献2には、同じ波長の励起光の照射によって発光して蛍光スペクトルのピーク波長がほぼ同じで蛍光スペクトルの半値幅が異なる蛍光体が付加された紙葉類に対して、所定の波長の励起光を紙葉類に照射して、付加されている蛍光体の蛍光スペクトルのピーク波長近辺の受光強度とピーク波長から所定数量分離れた波長近辺の受光強度とを測定して、その2つの波長に対する受光強度の差の大きさによって、いずれの蛍光体が付加された紙葉類なのかを判別することのできる技術が開示されている。
欧州特許第1647946号明細書 国際公開第2011/114455号
しかしながら、異なる蛍光発光特性を有する蛍光体がそれぞれ付加された複数種類の紙葉類をそれぞれ、真偽判定の対象とする真偽判定装置が必要とされている。従い、異なる波長を有する複数種類の励起光を照射して、複数種類の蛍光体の発光する蛍光スペクトルの特徴を判別することができるセンサが必要となる。
また、様々な蛍光体の蛍光発光特性を測定することのできる蛍光分光光度計という装置も一般に知られている。この蛍光分光光度計は、所定の範囲の全ての波長の励起光を蛍光体に対して照射することが可能で、それぞれの波長の励起光を照射することによって発光した光のスペクトルの情報である波長ごとの発光強度を測定することのできる装置である。該蛍光分光光度計を利用すれば、様々な蛍光体の蛍光発光特性データを測定することが可能であり、測定した蛍光発光特性データを活用して、蛍光体が付加された紙葉類の真偽判定をすることも可能である。しかしながら、蛍光分光光度計は非常に高価な装置であるとともに、蛍光体を含有するインクで一部の領域の印刷が行われた紙葉類の真偽判定を行うには不便なものである。
本発明は、上述した従来技術の課題を解決するためのものであって、異なる蛍光発光特性を有する蛍光体が付加された複数種類の紙葉類の真偽判定を高速に行うことのできる簡易な紙葉類真偽判定装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、蛍光体が付加された紙葉類の真偽を判定する紙葉類真偽判定装置であって、少なくとも、前記紙葉類の種類を判別する種類判別部と、波長の異なる複数の励起光から1つの励起光を選択して前記紙葉類に照射する励起光光源と、前記紙葉類に付加された蛍光体が発する光のうち、それぞれが異なる所定範囲の波長帯域の光のみを透過する複数種のフィルタと、前記複数種のフィルタの各々に対応して設けられ、前記フィルタが透過した光を受光する複数の受光器と、前記励起光光源から選択された波長の励起光が照射されたときに前記複数の受光器が受光した前記所定範囲の波長帯域の受光強度に基づいた蛍光発光特性データを生成する蛍光発光特性データ生成部と、予め、前記紙葉類の種類に応じた真正な紙葉類の蛍光発光特性データもしくは、真正な紙葉類の蛍光発光特性データから求めた判定基準値を格納している記憶部と、前記種類判別部により判別された前記紙葉類の種類に対する真正な前記紙葉類の前記記憶部に記憶されている蛍光発光特性データもしくは判定基準値と、前記蛍光発光特性データ生成部により生成された前記蛍光発光特性データとを用いて、前記紙葉類の真偽の判定を行う真偽判定部とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記励起光光源、前記複数種のフィルタ及び前記複数の受光器が全て、前記紙葉類の一方の面側に設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記励起光光源を前記紙葉類の一方の面の側に設け、前記複数種のフィルタ及び前記複数の受光器を前記紙葉類の他方の面の側に設けたことを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記励起光光源が前記紙葉類に波長の異なる複数の励起光から1つの励起光を選択して前記紙葉類に照射している間に、前記複数の受光器のそれぞれは、前記複数種のフィルタを透過したそれぞれの光の強度を同時又は、シーケンシャルに受光することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記励起光光源は周期的に複数の波長の励起光をそれぞれ順次照射し、前記複数の受光器は周期的に複数の波長帯域の光を一波長帯域ずつ順次受光し、前記蛍光発光特性データ生成部は、前記複数の受光器で受光した当該波長帯域の受光強度に基づいた前記蛍光発光特性データをそれぞれ生成することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記蛍光発光特性データ生成部は、前記複数の励起光の波長がそれぞれ属する複数の励起光波長範囲と、前記複数種のフィルタがそれぞれ透過する受光波長帯域とで励起波長と受光波長帯域によるマトリクスを構成し、前記励起光光源によって波長の異なる複数の励起光を順次前記紙葉類に照射し、前記複数種のフィルタで透過された光のそれぞれの受光強度を対応する受光器で受光し、前記マトリクスの各領域における受光強度に基づいた前記蛍光発光特性データを生成し、前記記憶部が更に、前記紙葉類の種類毎に真偽判定に使用する前記マトリクスの領域を記憶しており、前記真偽判定部が、前記種類判別部の結果に基づいて、前記記憶部に記憶されている紙葉類の種類毎に特定されているマトリクスの利用領域の前記蛍光発光特性データを用いて真偽判別を行うことを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記真偽判定部は、前記受光器の受光強度が所定値以上の場合には対応する波長帯域の光の受光ありと判定し、受光強度が所定値未満の場合には対応する波長帯域の光の受光がないと判定することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記紙葉類の光学イメージを取得する光学イメージ取得部をさらに備え、前記種類判別部は、前記紙葉類を搬送しつつ前記光学イメージ取得部により取得された所定の領域の画像データを利用して前記紙葉類の少なくとも種類の判別を行うことを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記複数の受光器は、搬送される前記紙葉類の受光強度を測定し、前記蛍光発光特性データ生成部は、前記紙葉類の位置に対して前記複数の受光器で測定した受光強度に基づいて前記蛍光発光特性データを生成することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記複数の受光器は、前記励起光光源による励起光を照射中の前記受光強度を受光するとともに、前記励起光光源消灯後の受光強度を燐光強度として受光し、前記蛍光発光特性データ生成部は、更に前記燐光強度に基づいた燐光発光特性データを生成し、前記記憶部は、予め、前記紙葉類の種類に応じた真正な紙葉類の燐光発光特性データもしくは、該燐光発光特性データから求めた判定基準値を更に格納しており、前記真偽判定部は、前記種類判別部で判別された前記紙葉類の種類に基づいて、前記記憶部に格納されている前記真正な紙葉類の燐光についての燐光発光特性データ、もしくは燐光発光特性データ及び蛍光発光特性データの両方と、前記記憶部に格納されている燐光発光特性データ、もしくは燐光発光特性データ及び蛍光発光特性データの両方とを用いて、前記紙葉類の真偽の判定を行うことを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記励起光光源は、可視光領域で波長の異なる複数の励起光を発光するとともに、前記複数種のフィルタは赤外光領域で異なる波長の範囲の光を透過させることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記励起光光源は、赤外光領域で波長の異なる複数の励起光を発光するとともに、前記複数種のフィルタは赤外光領域で異なる波長の範囲の光を透過させることを特徴とする。
本発明によれば、紙葉類の種類を判定し、波長の異なる複数の励起光を順次紙葉類に照射し、紙葉類に付加された蛍光体が発する光に対して複数の異なる所定範囲の波長の光を透過させるフィルタリングを行い、複数の異なる所定範囲の波長でフィルタリングした光をそれぞれ受光してその受光強度を測定し、励起光の波長とフィルタリングで透過させた波長の範囲とを測定した受光強度を基に蛍光発光特性データを生成し、紙葉類の種類に対する真正な前記紙葉類の蛍光発光特性データ又は、蛍光発光特性データから得た閾値を用いて紙葉類の真偽判定を行うよう構成したので、異なる蛍光発光特性を有する蛍光体が付加された複数種類の紙葉類の真偽判定を高速かつ簡便に行うことができる。
図1は、実施例1に係る紙葉類真偽判定装置の概要を説明するための説明図である。 図2は、実施例1で紙葉類に付加する蛍光体の蛍光発光特性を説明するための説明図である。 図3は、図1に示した紙葉類真偽判定装置の物理的な内部構造を説明するための物理構造図である。 図4は、図3に示した反射型の蛍光センサの内部構造を説明するための内部構造図である。 図5は、図4に示した蛍光センサの受光部フィルタの構成を説明するための説明図である。 図6は、図4に示した蛍光センサの光源の点灯タイミングと受光部による受光強度の測定タイミングを説明するための図である。 図7は、図1に示した紙葉類真偽判定装置の実施例1に係る機能的な内部構成を説明するための機能ブロック図である。 図8は、図7に示した蛍光センサの詳細な機能構成を説明するための詳細機能ブロック図である。 図9は、図4に示した物理構造を有する蛍光センサで取得した蛍光センサ取得データの特性を説明するための説明図である。 図10は、図1に示した紙葉類真偽判定装置による紙葉類の真偽判定処理の処理手順を示すフローチャートである。 図11は、実施例2で紙葉類に付加された蛍光体の蛍光発光特性及び蛍光センサの受光部の特徴を説明するための説明図である。 図12は、実施例2で使用する透過型の蛍光センサの構造を説明するための内部構造図である。 図13は、燐光物質の発光の残光特性について説明するための説明図である。 図14は、図12に示した蛍光センサの光源部の点灯タイミングと受光部による受光強度の測定タイミングを説明するための図である。 図15は、紙葉類真偽判定装置の実施例2に係る機能的な内部構成を説明するための機能ブロック図である。 図16は、図15に示した蛍光センサの詳細な機能構成を説明するための詳細機能ブロック図である。
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る紙葉類真偽判定装置の好適な実施例を詳細に説明する。
まず、図1を用いて実施例1に係る紙葉類真偽判定装置10の概要を説明する。図1(a)は紙葉類真偽判定装置10の外観構成と、真偽判定対象の紙葉類の例を示す図である。図1(b)は、紙葉類真偽判定装置10の内部にあって紙葉類の蛍光発光特性を取得するための蛍光センサ14の構造概要を示す図である。図1(c)は、図1(b)で示した蛍光センサ14で取得した蛍光発光特性データの例である。
図1(a)に示すように、真偽判定対象となる紙葉類は、所定の位置に蛍光体を含有した特殊インクによる印刷が行われている。実施例1では、該蛍光体の蛍光発光特性を検知することによって紙葉類の真偽判定を行う。紙葉類真偽判定装置10は、装置の前面に真偽判定対象の紙葉類を重ねて載置することのできる載置部11と載置部11にセットされた紙葉類の真偽判定を行って、真正な紙葉類を搬送する集積部15と、真正ではない紙葉類を搬送するリジェクト部16とを備えている。紙葉類真偽判定装置10は、載置部11にセットされた紙葉類の図1(a)に示す走査ライン上の複数の位置において、図1(b)に示す蛍光センサ14によって得た蛍光センサ取得データから蛍光発光特性データを生成し、該測定結果に基づいて真偽の判定を行う。
図1(b)は、紙葉類真偽判定装置10の内部にあって、載置部11から繰り出された紙葉類の蛍光発光特性を測定する蛍光センサ14での構造概要を示す図である。蛍光センサ14は、搬送路ガイド板に挟まれた紙葉搬送路に搬送されてきた紙葉類に対して、第1から第4の光源部145a、145b、145c、145dの発光によって励起光を照射して、紙葉類の発光した蛍光を受光部142で受光することによって発光強度の測定を行う。本実施例1では、第1から第4の光源部145a、145b、145c、145dから発光される励起光は可視光で、紙葉類に付加された蛍光体の発光光は赤外光である。
第1から第4の光源部145a、145b、145c、145dは、それぞれが異なる波長の可視光を発光することができる4種類の発光ダイオードである。蛍光センサ14は、第1から第4の光源部145a、145b、145c、145dの4種類の発光ダイオードを順番に点灯して、波長の異なる励起光に対する紙葉類の蛍光体の反応を受光部142で検知する。本実施例1は、第1から第4の光源部145a、145b、145c、145dは、それぞれ波長がA、B、C及びDの4種類の励起光を発光することができる例として説明する。受光部142は、蛍光体の発光光である赤外光を受光して、該赤外光の強度を検知する。
また、第1から第4の光源部145a、145b、145c、145dと紙葉類との間には光源部フィルタ144が存在する。光源部フィルタ144は、第1から第4の光源部145a、145b、145c、145dから発光された励起光の赤外光成分をカットするフィルタである。これによって、励起光の赤外光成分が受光部142で検知されることがないので、受光部142は蛍光体の発光した赤外光のみを受光することとなる。また、受光部142は、1枚のサブストレートに4つのフォトダイオードが田の字型に配置された4分割フォトダイオードであり、4つの独立した受光部を有する。受光部142と紙葉類との間には受光部フィルタ143が存在し、受光部フィルタ143は、4つの受光部ごとに赤外光の異なる波長範囲を透過するバンドパスフィルタである。これによって、受光部142の4つの受光部は、受光部フィルタ143によってフィルタリングされたバンドごとの光を受光することが可能で、紙葉類から発光された蛍光の赤外成分のバンドごとの強度を検知することができる。本実施例1では、受光部142の4分割フォトダイオードのうち3つを、蛍光発光特性の検出用に使用した例を示す。また、3つの受光部は波長がλ1以上λ2未満の受光強度、波長がλ2以上λ3未満の受光強度及び波長がλ3以上λ4未満の受光強度を検知することとして説明する。
図1(c)は、図1(b)で示した蛍光センサ14で、図1(a)に示した真偽判定対象の紙葉類の走査ライン上で蛍光発光特性データを取得した例である。また、図1(a)に示した真偽判定対象の紙葉類上の蛍光パターンを印刷したインクに含まれる蛍光体は、波長がAの励起光の照射によって、λ3以上λ4未満の波長で発光する蛍光発行特性を有する。図1(c)に示すそれぞれのグラフは縦軸が受光部142の検知した受光した光の強度で、横軸が真偽判定対象の紙葉類の走査ライン上の紙葉類の右端からの距離を表している。蛍光パターンを印刷したインクに含まれる蛍光体は、波長がAの励起光の照射によって、λ3以上λ4未満の波長で発光することから、蛍光パターンに含まれる蛍光体による発光による影響は図1(c)の右上のグラフのみに現れる。また、図1(c)の右上のグラフが3つの山が表れているのは、図1(a)の蛍光パターンの位置と形状を反映したものである。
紙葉類真偽判定装置10は、予め真正な紙葉類に対応する図1(c)に示した蛍光発光特性データを記憶しておき、真偽判定対象の紙葉類に対応する図1(c)に示した蛍光発光特性データを取得して、その類似性を評価することによって真偽判定対象の紙葉類の真偽判定を実施する。図1(C)で示す真偽判定対象の紙葉類は、波長がA、B、CまたはDの励起光を照射した場合に、波長Aの励起光で発光し、その発光光がλ1以上λ4未満の波長となるような蛍光発光特性を有する蛍光体が付加されたものである。また、紙葉類真偽判定装置10は、紙葉類の種類ごとに真正な紙葉類の図1(c)に示した蛍光発光特性データを予め記憶しておき、紙葉類の可視光又は赤外光照射時のイメージ画像から紙葉類の種類及び方向を判別し、判別した紙葉類の種類及び方向に対応する真正な紙葉類の蛍光発光特性データと、真偽判定対象の紙葉類から取得した蛍光発光特性データを比較して類似性を評価することによって、複数種類の紙葉類の真偽判定を行うことができる。また、蛍光発光特性データの比較には、相関係数を用いて、真性な紙葉類の蛍光発光特性データとの類似性を評価するほか、所定区間を積分値した累積値から敷居値を設定して、その敷居値より多ければ所定の蛍光発光があると判断するようにしてもよい。
このように、蛍光発光特性以外の特徴で紙葉類の種類を判別し、波長の異なる励起光を順に紙葉類に照射し、紙葉類に付加された蛍光体の発光光の強度を所定の範囲の波長ごとに測定した結果である蛍光発光特性データを、紙葉類の種類及び搬送(走査)方向ごとにあらかじめ記憶した真正な紙葉類の蛍光発光特性データと比較して類似性の評価を行うことによって紙葉類の真偽判定を行うので、異なる蛍光発光特性を有する蛍光体が付加された複数種類の紙葉類の真偽判定を簡便に行うことができる。
次に、実施例1で紙葉類に付加されている蛍光体の蛍光発光特性を図2を用いて説明する。図2(a)は、実施例1で真偽判定の対象とする紙葉類に付加される蛍光体を判別するためのブロックを説明するための図である。また、図2(b)は近赤外光の領域で発光する蛍光体の一般的な発光スペクトルの特徴を説明するための図である。
蛍光体は、蛍光体の種類ごとに所定の波長の励起光で蛍光発光して、蛍光体の種類に応じたスペクトルの特徴を有する蛍光を発光する。本実施例1では、波長が380nmから780nmの範囲の可視光を励起光として、波長が780nm以上の赤外光を発光する蛍光体を付加した紙葉類を、真偽判定対象の紙葉類とする実施例である。希土類を含む蛍光体には、特定の波長範囲が強く発光するという蛍光発光特性をもつ蛍光体があることが知られている。具体的には、
Er:Gd22
Er:NaYW26
Yb,Er:CaF2
などを用いることができる。これらの物質は、波長が約550nmの励起光で波長が約1100nmの蛍光発光をすることが知られている。
図2(a)は、励起光の波長と蛍光センサの受光部142が受光する蛍光体の発光波長の関係を示すブロックを定義したものである。本実施例1では、励起光の波長は380nmから780nmの範囲を4つの領域に分割して、それぞれの領域にスペクトルのピークを有する4種類の励起光を紙葉類に照射することを可能としている。また、該4種類の励起光のスペクトルのピーク波長をそれぞれA、B、C及びDと表す。また、本実施例1では、それぞれの励起光の照射によって発光した蛍光を受光する受光部142が、波長がλ1以上λ2未満の範囲のバンド1、波長がλ2以上λ3未満の範囲のバンド2若しくは波長がλ3以上λ4未満の範囲のバンド3のそれぞれバンドごとの光の強度の測定を行うことが可能である。
本実施例1では、図2に示す通りA1〜A3、B1〜B3、C1〜C3及びD1〜D3の12のブロックに分割する。A1は、励起光のスペクトルのピーク波長がAで、蛍光発光の波長がλ1以上λ2未満の範囲のバンド1のブロックである。A2は、励起光のスペクトルのピーク波長がAで、波長がλ2以上λ3未満の範囲のバンド2のブロックである。A3は、励起光のスペクトルのピーク波長がAで、波長がλ3以上λ4未満の範囲のバンド3のブロックである。同様にB1〜B3は励起光のスペクトルのピーク波長がBのブロックで、C1〜C3は励起光のスペクトルのピーク波長がCのブロックで、D1〜D3は励起光のスペクトルのピーク波長がDのブロックである。
蛍光体の種類によって、A1〜A3、B1〜B3、C1〜C3若しくはD1〜D3のいずれのブロックで蛍光発光するのかが決まる。本実施例1の紙葉類の真偽判定は、これを利用して実施するものであり、所定の蛍光体が所定の位置に付加された紙葉類であれば、紙葉類の所定位置に対して、真正な紙葉類に付加されている蛍光体に応じたブロック別の発光の有無を検知することをもって正しい紙葉類であることを判定する。
図2(b)は、希土類を含む蛍光体で近赤外光の波長範囲で蛍光発光する蛍光体の代表的な蛍光発光スペクトルの例を示したものである。また、図2(b)は、蛍光発光特性の異なる蛍光体1、蛍光体2及び蛍光体3の蛍光スペクトルの例である。
蛍光のピーク波長が赤外光範囲にある蛍光体は、蛍光体2及び蛍光体3のスペクトル波形に示すように、スペクトルの波形が急峻なピークを特徴とするものが多い。蛍光体2の場合にはバンド2で蛍光の発光が検知され、蛍光体3の場合にはバンド3で蛍光の発光が検知される。
また、可視光域に隣接するバンド1で蛍光の発光が検知される蛍光体1のような蛍光体の場合には、蛍光のスペクトルのピーク波長が可視光範囲であるものが多い。しかし蛍光のスペクトルのピークが可視光にあるような蛍光体の場合には、蛍光体1の蛍光スペクトルの例に示すように、ピーク波長での発光強度が強くスペクトルの広がりも大きくバンド1の範囲でも蛍光発光の検出が可能である。このような蛍光体1の蛍光スペクトルの特徴を有する蛍光体が付加された紙葉類では、該蛍光体1の蛍光スペクトルのピーク波長は可視光範囲ではあるが、赤外光範囲のバンド1で蛍光の発光を検知することができる。
次に、図1に示した紙葉類真偽判定装置10の物理的な内部構造を図3を用いて説明する。図3(a)は、紙葉類真偽判定装置10の断面図であり、図3(b)は、紙葉類真偽判定装置10の搬送部12における紙葉類の識別、真偽判定及び計数などの処理を行う識別計数ユニット52のセンサなどの配置を示す図である。
まず、図3(a)を参照し、紙葉類真偽判定装置10の全体の内部構造について説明する。図3(a)に示したように、紙葉類真偽判定装置10は、識別及び計数が行われるべき複数の紙葉類Pが積層状態で載置される載置部11と、載置部11に載置された積層状態の紙葉類Pのうち最下層にある紙葉類Pを筐体内部に1枚ずつ繰り出すための繰出部51と、繰出部51により筐体内部に繰り出された紙葉類Pを1枚ずつ搬送するための搬送部12とを備えている。
そして、搬送部12には、本実施例に係る蛍光センサ14やその他のセンサを備えた識別計数ユニット52が設けられている。この識別計数ユニット52は、載置部11から筐体内部に繰り出された紙葉類Pの識別、真偽判定及び計数を蛍光センサ14やその他のセンサを用いて行う識別処理部である。なお、かかる識別計数ユニット52の構成については、図3(b)を用いて後述することとする。
繰出部51は、載置部11に積層状態で載置された複数の紙葉類Pのうち最下層にある紙葉類Pの表面に当接するキッカローラ51aと、紙葉類Pの繰出方向においてキッカローラ51aの下流側に配置され当該キッカローラ51aにより送り込まれた紙葉類Pの筐体内部への繰り出しを行うフィードローラ51bとを有している。また、フィードローラ51bに対向してゲートローラ(逆転ローラ)51cが設けられており、フィードローラ51bとゲートローラ51cとの間にゲート部が形成されている。
キッカローラ51aにより送り込まれた紙葉類Pは、ゲート部を通過して1枚ずつ筐体内の搬送部12に繰り出されるようになっている。搬送部12に繰り出された紙葉類は、識別計数ユニット52に搬送されて、識別計数ユニット52は、搬送された紙葉類の画像データや蛍光発光データの取得を行う。また、図3(a)に示したように、識別計数ユニット52よりも下流側の箇所において搬送部12は、2つの搬送路に分岐しており、一方の搬送路には集積部15が接続されており、他方の搬送路にはリジェクト部16が接続されている。識別計数ユニット52で取得した紙葉類の画像データや蛍光発光データなどに基いた紙葉類の真偽判定において、真正な紙葉類であると判定された場合には集積部15に搬送され、真正ではない紙葉類であると判定された場合にはリジェクト部16に搬送される。
集積部15の前面(図3(a)における右側の面)には開口が設けられており、操作者はこの開口を介して集積部15に集積された紙葉類Pを取り出すことができるようになっている。また、リジェクト部16の前面にも開口が設けられており、操作者はこの開口を介してリジェクト部16に集積された紙葉類P’を取り出すことができるようになっている。
図3(a)に示したように、搬送部12における2つの搬送路に分岐する箇所には、分岐部材とその駆動部(図示せず)とからなる分岐部53が設けられており、この分岐部53により、当該分岐部53の上流側から送られてきた紙葉類Pが分岐した2つの搬送路のうちいずれか一方の搬送路に選択的に送られるようになっている。
集積部15は、筐体の背面側の位置(図3(a)の集積部15における左側の位置)において羽根車式集積機構55を有している。この羽根車式集積機構55は、羽根車55aとその駆動部(図示せず)とからなり、羽根車55aは図3(a)の紙面に対して直行する略水平方向に延びる軸を中心として図3(a)における時計回りの方向(図3(a)における矢印方向)に回転するようになっている。羽根車55aには、外周面から回転方向とは逆方向(図3(a)における反時計回りの方向)の外方に延びる複数の羽根55bが設けられている。これらの羽根55bは、図3(a)に示すように羽根車55aの外周面において等間隔に設けられている。
羽根車式集積機構55の羽根車55aは、紙葉類真偽判定装置10の動作中、駆動部により常に図3(a)における時計回りに回転させられるようになっており、この羽根車55aには、搬送部12から紙葉類Pが1枚ずつ送られるようになっている。そして、羽根車55aは、搬送部12から送られた紙葉類Pを2枚の羽根55bの間に受け止めてこの羽根55b間に受け止められた紙葉類Pを集積部15に送るようになっている。このようにして、集積部15には羽根車55aから紙葉類Pが1枚ずつ送られ、この集積部15において複数の紙葉類Pが集積される。
紙葉類真偽判定装置10には、集積部15の前面に設けられた開口を閉止するためのシャッター56が設けられており、このシャッター56により集積部15の前面の開口が選択的に閉止されるようになっている。このシャッター56は、当該シャッター56の駆動を行うシャッター駆動部(図示せず)により、集積部15の前面の開口から退避して当該開口を開く開口位置と、集積部15の前面の開口を閉止する閉止位置との間で移動させられるようになっている。すなわち、シャッター56が開口位置にあるときには、シャッター56は集積部15の前面の開口から退避して当該開口は開かれることとなり、操作者は集積部15に集積された紙葉類Pにアクセスすることができるようになる。
一方、シャッター56が閉止位置にあるときには、集積部15の前面の開口はシャッター56により閉止され、操作者は集積部15に集積された紙葉類Pにアクセスすることができない。なお、図3(a)において、開口位置にあるときのシャッター56を実線で、閉止位置にあるときのシャッター56を二点鎖線で示している。
また、図3(a)に示すように、紙葉類真偽判定装置10には様々なセンサが設けられている。具体的には、載置部11には、当該載置部11に紙葉類Pが残留しているか否かを検出するための反射式の光センサからなる載置部残留紙葉類検出センサ61が設けられている。また、搬送部12における分岐部53の上流側には光センサからなる分岐用タイミングセンサ63が設けられている。分岐部53の分岐部材は、紙葉類Pが分岐用タイミングセンサ63により検出されたタイミングで、紙葉類Pを集積部15に送る位置またはリジェクト部16に送る位置のいずれかの位置に移動することとなる。
また、分岐部53が設置された箇所で分岐される2つの搬送路のうち集積部15側の搬送路には当該搬送路に送られた紙葉類Pの検出を行う光センサからなる紙葉類通過検出センサ64が設けられている。この紙葉類通過検出センサ64によって、分岐部53により紙葉類Pが集積部15側の搬送路に送られたことが検出される。
また、集積部15には、当該集積部15に紙葉類Pが集積されているか否かを検出するための光センサからなる集積部紙葉類検出センサ65が設けられている。さらに、リジェクト部16には、当該リジェクト部16に紙葉類P’が集積されているか否かを検出するための光センサからなるリジェクト部紙葉類検出センサ66が設けられている。
また、図3(a)に示したように、紙葉類真偽判定装置10の筐体の前面には表示操作部54が設けられている。表示操作部54は、情報の表示と操作者の入力を受け付ける入出力部である。具体的には、表示操作部54には、識別計数ユニット52により計数された紙葉類Pの金種ごとの枚数や合計金額などの情報が表示される。また、表示操作部54は、処理に対する操作者の指示を受け付ける。
次に、図3(b)は、図3(a)の識別計数ユニット52の構成を示している。識別計数ユニット52には紙葉類の搬送方向の順に、紙葉類の通過を検知する紙葉類通過検出センサ62a、62b、ラインセンサ13、紙葉類通過検出センサ62c、62d、蛍光センサ14及び紙葉類通過検出センサ62e、62fが設けられている。
紙葉類通過検出センサ62a、62bによる紙葉類の先端の検知を契機にして、ラインセンサ13の読み取りを開始し、紙葉類通過検出センサ62c、62dによる紙葉類の後端の検知を契機にして、ラインセンサ13の読み取りを停止する。また、紙葉類通過検出センサ62c、62dによる紙葉類の先端の検知を契機にして、蛍光センサ14の読み取りを開始して、紙葉類通過検出センサ62e、62fによる紙葉類の後端の検知を契機にして、蛍光センサ14の読み取りを停止する。
ラインセンサ13は紙葉類の幅をカバーする領域の画像を取得する。また蛍光センサ14は、紙葉類の所定の走査ライン上を走査する位置に配置されている。図3(b)の例では蛍光センサ14は2つ設置されていて、紙葉類の2つの走査ライン上の蛍光発光特性を取得できる構造となっている。なお、多数の蛍光センサ14をアレイ状に並べることもできる。
次に、図3に示した反射型の蛍光センサ14の内部構造を図4を用いて説明する。図4(a)は、蛍光センサ14の励起光の光源である光源部145と、紙葉類の蛍光発光を検知する受光部142の構造を紙葉類搬送路の方向から見た図である。また、図4(b)は、反射型の蛍光センサ14を紙葉類の搬送方向に平行な垂直面で切った断面図である。
まず、図4(a)で光源部145と受光部142の構造を説明する。光源部145は、4つの異なる波長の励起光を発光する発光ダイオードである。第1光源部145aは波長Aの励起光を発光し、第2光源部145bは波長Bの励起光を発光し、第3光源部145cは波長Cの励起光を発光し、第4光源部145dは波長Dの励起光を発光する。
受光部142は4分割フォトダイオードであり、4つのフォトダイオードが独立に受光した光の強度を測定することができる。また、4つのフォトダイオードは、図4(b)に示す受光部フィルタ143によってそれぞれのフォトダイオードが異なる波長帯の光を受光するようにフィルタリングされるので、それぞれのフォトダイオードが異なる波長帯の光の強度を測定することができる。第1受光部142aは波長がλ1以上λ2未満のバンド1の波長帯の光の強度を測定し、第2受光部142bは波長がλ2以上λ3未満のバンド2の波長帯の光の強度を測定し、第3受光部142cは波長がλ3以上λ4未満のバンド3の波長帯の光の強度を測定し、第4受光部142dは波長によるフィルタリングは行わずに受けた光の強度を測定する。
次に、図4(b)の反射型の蛍光センサ14の断面図を用いて、反射型の蛍光センサ14の構造を説明する。図4(b)に示す通り蛍光センサ14は、上の搬送板と下の搬送板に挟まれる紙葉類搬送路の上側に設置され、光源部145と受光部142は紙葉類搬送路に対して同じ側に存在する。光源部145から励起光を発光すると、光源部フィルタ144を通して真偽判定対象の紙葉類に照射され、紙葉類から反射した光や紙葉類上に付加された蛍光体が発光した蛍光を受光部フィルタ143でフィルタリングして、バンドごとに受光した光の強度を受光部142で検知する。光源部フィルタ144は、赤外光カットフィルタであって、光源の赤外光成分をカットすることによって、光源部145の発光する光の赤外光成分が受光部142で受光されないようにするためのものである。これによって、受光部142は、蛍光発光による赤外光だけを検知することができる。
また、図(4)(b)に示すように、蛍光センサ14の真下の下側の搬送路ガイド板には、ガラス窓の下に光量モニタ用試験媒体が配置されている。これは、紙葉類の処理をしていないときに、自動メンテナンスの処理で使用するものである。この自動メンテナンスの処理では、紙葉類が搬送路上にない状態で光源部145を発光して、搬送路下部の光量モニタ用試験媒体に照射して、反射した光を受光部フィルタ143のかかっていない第4受光部142dで受光する。4つの光源の発光ダイオードを順番に点灯して第4受光部142dで受光した光の強度を測定し、正常時の光の強度と比較して、光の受光強度が所定の閾値未満の場合には故障と判定する。また、4つの光源ごとに故障判断の閾値以上の強度はあるが、本来の光の強度とは差がある場合には、発光ダイオードに流す電流を調整することによって、励起光の強度の調整を行うことを可能とする。
次に、図4に示した蛍光センサ14の受光部フィルタ143の構成を図5を用いて説明する。
図5(a)に示すように、受光部142は、第1受光部142a、第2受光部142b、第3受光部142c及び第4受光部142dの4つの受光部を有している。該受光部142に、第1受光部フィルタ143a、第2受光部フィルタ143b及び第3受光部フィルタ143cの3枚のフィルタで構成される受光部フィルタ143が重ねられている。また、図5(a)に示すように、第1受光部フィルタ143aは第1受光部142a、第2受光部142b及び第3受光部142cに重ねられ、第2受光部フィルタ143bは第2受光部142b及び第3受光部142cに重ねられ、第3受光部フィルタ143cは第3受光部142cに重ねられている。また、第4受光部142dは、いずれのフィルタも重なっていないことから、可視光を含めた全ての波長の光を受光することとなる。
また、図5(b)に示すように、第1受光部フィルタ143aは波長がλ1以上の光を透過し、第2受光部フィルタ143bは波長がλ2以上の光を透過し、第3受光部フィルタ143cは波長がλ3以上の光を透過する。また、実施例1で使用する受光部142のフォトダイオードの素材はシリコンであり、シリコンを素材とするフォトダイオードによる検出限界の波長がおよそ1100nmであることから、λ4を1100nmとする。これにより、第1受光部142aで受光した強度をVa、第2受光部142bで受光した強度をVb、第3受光部142cで受光した強度をVcとすると、バンド1の波長の光の強度は(Va−Vb)で算出され、バンド2の波長の光の強度は(Vb−Vc)で算出され、バンド3の波長の光の強度はVcである。
次に、図4に示した蛍光センサ14の光源部145の点灯タイミングと受光部142による受光強度の測定タイミングとを図6を用いて説明する。
光源は、波長がAの第1光源部145aは時間t1に発光開始して時間t4に消灯し、波長がBの第2光源部145bは時間t5に発光開始して時間t8に消灯し、波長がCの第3光源部145cは時間t9に発光開始して時間t12に消灯し、波長がDの第4光源部145dは時間t13に発光開始して時間t16に消灯する。また、受光部142ではそれぞれの光源が発光しているタイミングにおいて、第1受光部142a、第2受光部142b及び第3受光部142cの受光した光の強度をそれぞれ取得する。
具体的には、第1光源部145aの発光している時間t1と時間t4の間の時間t2と時間t3の間で第1受光部142a、第2受光部142b及び第3受光部142cの受光した光の強度を取得する。また、第2光源部145bの発光している時間t5と時間t8の間の時間t6と時間t7の間で第1受光部142a、第2受光部142b及び第3受光部142cの受光した光の強度を取得する。また、第3光源部145cの発光している時間t9と時間t12の間の時間t10と時間t11の間で第1受光部142a、第2受光部142b及び第3受光部142cの受光した光の強度を取得する。また、第4光源部145dの発光している時間t13と時間t16の間の時間t14と時間t15の間で第1受光部142a、第2受光部142b及び第3受光部142cの受光した光の強度を取得する。
また、図1に示した真偽判定対象の紙葉類の走査ライン上を走査する場合には、図6に示した4つの光源の発光動作と受光部142の光の強度取得の一連の処理を走査ライン上の1点に対して実施し、紙葉類を所定量搬送して同様の一連の動作を実施することを繰り返すことによって、図1(c)に示した蛍光発光特性データを取得することができる。
図6では、光源部145により励起光の波長Aが照射されているときに第1受光部142a、第2受光部142b、第3受光部142cはシーケンシャルに受光を行ってもよいし、受光回路を並列に設けることにより、同時に並行して読み出すこともできる。受光部142の後段には、図示しないアンプ回路とデジタル変換するためのADコンバータが設けられている。
次に、図1に示した紙葉類真偽判定装置10の実施例1に係る機能的な内部構成を図7を用いて説明する。
図7に示すように、紙葉類真偽判定装置10は、真偽判定対象の紙葉類をセットする載置部11、紙葉類を搬送する搬送部12、紙葉類のイメージを採取するラインセンサ13、走査ライン上の紙葉類の蛍光発光特性を検知する蛍光センサ14、真正な紙葉類と判定された紙葉類を収納する集積部15、真正な紙葉類ではないと判定された紙葉類を排出する口であるリジェクト部16、記憶部17及び制御部18を有する。
記憶部17は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスである。記憶部17は、紙葉類データベース17a、蛍光センサ取得データ17b、時間軸調整後データ17c、レベル補正前データ17d、レベル補正後データ17e、バンド別データ17f及び蛍光発光特性データ17gを記憶する。
紙葉類データベース17aは、紙葉類を識別した結果の紙葉類識別コードに関連付けて、事前に真正な紙葉類のイメージデータから生成したイメージの特徴データと、事前に真正な紙葉類をから取得した情報から生成した蛍光発光特性のデータとを有している。詳述すると、紙葉類識別コードには、種類、搬送方向が少なくとも含まれる。紙葉類データベース17aには、紙葉類の種類、搬送方向、蛍光センサが複数ありチャンネル番号が付与されている場合には、そのチャンネル番号、光源部(145a〜145d)の励起波長(A〜D)、受光部142の受光バンド(1〜3)毎に、真正な紙葉類の蛍光発光特性データが格納されている。当実施例では、格納される真正な紙葉類の蛍光発光特性データとしては各サンプリングポイントに応じた複数個のデータを使った例を示すが、これに限らず、ピーク値、所定領域分の積分値、平均値、それらの正規化値などの統計値等であってもよい。
蛍光センサ取得データ17bは、走査ライン上のポイントのデータを取得した時間ごと若しくは所定距離ごとに、励起光の波長ごとの、第1受光部142a、第2受光部142b及び第3受光部142cで受光した光の強度を記憶したデータである。
図4に示した通り、第1から第4の受光部142a〜142dは、受光する波長のバンドによって物理的に位置の異なるフォトダイオードを使用して光の強度を測定している。詳細は後述するが、受光部の紙葉類の搬送方向に対する物理的な位置の差異は、同一ポイントのデータを取得する時間のずれとなる。時間軸調整後データ17cは、蛍光センサ取得データ17bに対して時間のずれを補正したデータである。
レベル補正前データ17dは、時間軸調整後データ17cに対して、その中に含まれるフォトダイオードのオペアンプのオフセット信号に対応する分を差し引き、さらに各フォトダイオードの信号の最小値をゼロとなるよう補正を行ったデータである。
レベル補正後データ17eは、レベル補正前データ17dに対して、4つの光源(第1光源部145a、第2光源部145b、第3光源部145c及び第4光源部145d)と、3つの受光部(第1受光部142a、第2受光部142b及び第3受光部142c)の物理的な位置関係に起因する検出感度差を補正する所定の計数を掛けて算出したデータである。
つまり、レベル補正後データ17eは、蛍光センサ取得データ17bに対して、時間軸の補正と第1受光部142a、第2受光部142b及び第3受光部142cで受光した光の強度の補正を行ったデータであるので、補正を行っているものの、第1受光部142aで受光した光の強度はバンド1、バンド2及びバンド3の光の強度であり、第2受光部142bで受光した光の強度はバンド2及びバンド3の光の強度であり、第3受光部142cで受光した光の強度はバンド3の光の強度である。バンド別データ17fは、レベル補正後データ17eを基にして、第1受光部142aで受光した強度をVa、第2受光部142bで受光した強度をVb、第3受光部142cで受光した強度をVcとした時に、バンド1の波長の光の強度を(Va−Vb)で算出し、バンド2の波長の光の強度を(Vb−Vc)で算出することよって、バンドごとの光の強度を算出したデータである。なおこれらの演算はオペアンプの回路で行ってもよいし、AD変換した後のデジタルデータで行うこともできる。
蛍光発光特性データ17gは、バンド別データ17fに対して、紙葉類の汚れや紙葉類の表裏の違いによる検出信号のレベル差を補正するために、正規化前の最大値付近のデータが所定範囲内に入っていることを条件に最大値で正規化したデータである。また、紙葉類データベース17aに含まれる真正な紙葉類の蛍光発光特性のデータは、この蛍光発光特性データ17gと同じデータ形式であり、蛍光発光特性データ17gとの類似性を評価することによって紙葉類の真偽判定を行う。
制御部18は、紙葉類真偽判定装置10の全体を制御する制御部であり、搬送制御部18a、紙葉類種類判定部18b、蛍光センサデータ取得部18c、蛍光発光特性データ生成部18d及び真偽判定部18eを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、それぞれに対応するプロセスを実行させることになる。
搬送制御部18aは、搬送部12を制御して、繰出部51が繰り出した載置部11に載置された紙葉類を、ラインセンサ13及び蛍光センサ14などが配置された識別計数ユニット52の位置まで搬送する。搬送制御部18aは、紙葉類の真偽判定の結果に基づいて、分岐部53を制御して、真正であると判定された紙葉類を集積部15に搬送し、真正ではないと判定された紙葉類をリジェクト部16に搬送する。
紙葉類種類判定部18bは、識別計数ユニット52に搬送された紙葉類のイメージデータをラインセンサ13で取得して、取得したイメージデータからイメージの特徴データを生成し、紙葉類データベース17aに登録されている紙葉類のイメージの特徴データとの類似性を評価することによって、紙葉類識別コードを特定することによって紙葉類の種類の判定を行う。
蛍光センサデータ取得部18cは、識別計数ユニット52に搬送された紙葉類の蛍光発光に係るデータを蛍光センサ14を制御して取得し、取得したデータを蛍光センサ取得データ17bとして記憶する。蛍光発光特性データ生成部18dは、蛍光センサデータ取得部18cによって取得された蛍光センサ取得データ17bを基にして、時間軸調整後データ17c、レベル補正前データ17d、レベル補正後データ17e、バンド別データ17f及び蛍光発光特性データ17gを順番に生成する。
真偽判定部18eは、蛍光発光特性データ生成部18dの生成した蛍光発光特性データ17gと、紙葉類データベース17aに含まれる真正な紙葉類の蛍光発光特性データとの類似性を評価することによって、紙葉類の真偽判定を実施する。類似性の判断には、両蛍光発光特性データの対応する各ポイントの差分値の絶対和、相関値などと所定の閾値の関係等の一般的に知られた類似性の判断手法を用いて判断される。
次に、図7に示した蛍光センサ14の詳細な機能構成を図8を用いて説明する。蛍光センサ14は、Amp基板141、受光部142、受光部フィルタ143、光源部フィルタ144、光源部145、LED制御基板146及び蛍光センサ制御部147を有する。
Amp基板141は、受光部142が受光した受光強度信号を増幅する。受光部142は、シリコンを素材とする検出波長範囲がおよそ190nmから1100nmの4分割フォトダイオードであり、第1受光部142a、第2受光部142b、第3受光部142c及び第4受光部142dを有する。
受光部フィルタ143は、受光部142の4つの受光部に対して異なる波長帯の光を透過させるバンドパスフィルタであり、第1受光部フィルタ143a、第2受光部フィルタ143b及び第3受光部フィルタ143cを有している。第1受光部フィルタ143aは、波長がλ1以上の光を透過し、第2受光部フィルタ143bは、波長がλ2以上の光を透過し、第3受光部フィルタ143cは、波長がλ3以上の光を透過する。
また、第1受光部フィルタ143aは、第1受光部142a、第2受光部142b及び第3受光部142cに入る光をフィルタリングし、第2受光部フィルタ143bは、第2受光部142b及び第3受光部142cに入る光をフィルタリングし、第3受光部フィルタ143cは、第3受光部142cに入る光をフィルタリングするように構成されている。これによって、第1受光部142aは波長がλ1以上の光の強度、第2受光部142bは波長がλ2以上の光の強度、第3受光部142cは波長がλ3以上の光の強度を検知することになる。また、第4受光部142dには、いずれのフィルタもかからないことから全ての波長を含む光の強度を検知することとなる。
光源部フィルタ144は、650nm以下の波長の光のみを透過する赤外光カットフィルタである。光源部145は、4つの発光ダイオードであり、それぞれの発光ダイオードは波長の異なる可視光を発光する。第1光源部145aは波長がAの可視光を発光し、第2光源部145bは波長がBの可視光を発光し、第3光源部145cは波長がCの可視光を発光し、第4光源部145dは波長がDの可視光を発光する。
LED制御基板146は、光源部145の発光ダイオードの発光強度の制御を行う。蛍光センサ制御部147は、図6に示した第1光源部145a、第2光源部145b、第3光源部145c及び第4光源部145dの発光タイミングと、受光部142による受光強度データの取得タイミングの制御を行う。
次に、図4に示した物理構造を有する蛍光センサ14で取得した蛍光センサ取得データ17bの特性を図9を用いて説明する。
図9に示す例は、波長Aの励起光の照射によりバンド2で蛍光発光する蛍光体で図に示すような蛍光パターンの印刷がされている紙葉類の蛍光に係るデータを蛍光センサ14で取得した場合の、蛍光センサ取得データ17bの一部のデータを示したものである。図9の蛍光センサ14で取得したデータに示すグラフは、波長Aの励起光照射した時の第1受光部142a及び第2受光部142bの走査ライン上を走査した時間と検出した光の強度の関係を示した図である。
バンド2で蛍光発光する蛍光体を使用していることから、第1受光部142aと第2受光部142bは同じデータが取得されるのが理想形であるが、図に示す通り紙葉類の搬送方向に対して第1受光部142aと第2受光部142bは物理的な位置にΔdの差異がある。これによって、紙幣搬送方向の上流に位置する第1受光部142aで取得したデータの描く波形は、下流に位置する第2受光部142bで取得したデータの描く波形と類似しているものの、発現するタイミングがΔt時間遅れる。遅れる時間は紙葉類の搬送速度をvとすると、Δt=Δd÷vで算出することができる。
時間軸調整後データ17cは、図9に示したように第1受光部142a、第2受光部142b及び第3受光部142cの紙葉類の搬送方向に対する物理的な位置の差に起因する時間のずれを含む蛍光センサ取得データ17bの時間を補正したデータである。図9の説明では第1受光部142aと第2受光部142bとの間の時間の補正を説明したが、同様に第1受光部142aと第3受光部142cとの間の時間の補正も必要である。
このような時間の補正は、同一時間の第1受光部142aでの検出値、第2受光部142bの検出値及び第3受光部142cの検出値を使った計算によってバンド別データ17fを生成することから、バンド別データ17fを生成するためには事前に時間のずれを補正しておかなければならない。
次に、図1に示した紙葉類真偽判定装置10による紙葉類の真偽判定処理の処理手順を図10を用いて説明する。
まず、紙葉類種類判定部18bは、ラインセンサ13を使って載置部11から搬送部12に繰り出された紙葉類のイメージの採取を開始する(ステップS101)。また、蛍光センサデータ取得部18cは、紙葉類種類判定部18bによるイメージ採取処理に並行して、蛍光センサ14を使って蛍光センサデータを取得して、取得したデータを蛍光センサ取得データ17bとして記憶する(ステップS102)。
紙葉類種類判定部18bは、紙葉類のイメージデータの採取処理が終了したならば、採取したイメージデータからイメージの特徴データを生成し、紙葉類データベース17aに登録されている紙葉類のイメージ特徴データとの類似性を評価して、所定の基準を満たす類似度を有する紙葉類を探すことによって紙葉類の種類の判別を行う(ステップS103)。イメージデータから生成した特徴データが、紙葉類データベース17aに登録されている紙葉類のいずれのイメージ特徴データとの類似度も所定の基準を満たさなかった場合(ステップS104;No)には、紙葉類の種類の判別は行えないことから、本装置で真偽判定を行う対象の紙葉類ではないものと判断して、挿入された紙葉類をリジェクト部16に搬送して(ステップS114)、処理を終了する。
イメージデータから生成した特徴データが、紙葉類データベース17aに登録されている紙葉類のいずれかのイメージ特徴データとの類似度が所定の基準を満たした場合(ステップS104;Yes)には、挿入した紙葉類の種類を、類似度が所定の基準を満たした紙葉類データベース17aに登録されている紙葉類であると判定し、蛍光発光特性データ生成部18dは、蛍光センサ取得データ17bに対して時間軸の補正を行って、補正後のデータを時間軸調整後データ17cとして記憶する(ステップS105)。
また、蛍光発光特性データ生成部18dは、時間軸調整後データ17cに対して、その中に含まれるフォトダイオードの信号を増幅するアンプ回路のオフセット電圧に対応する分を差し引き、さらに各フォトダイオードの信号の最小値がゼロとなるよう補正して、その結果をレベル補正前データ17dとして記憶する(ステップS106)。また、蛍光発光特性データ生成部18dは、4つの光源(第1光源部145a、第2光源部145b、第3光源部145c及び第4光源部145d)と、3つの受光部(第1受光部142a、第2受光部142b及び第3受光部142c)の物理的な位置関係に起因する検出感度差を補正する所定の係数をレベル補正前データ17dに掛けて、その算出結果をレベル補正後データ17eとして記憶する(ステップS107)。
また、蛍光発光特性データ生成部18dは、レベル補正後データ17eからバンド別データ17fの算出を行い(ステップ108)、バンド別データ17fに含まれる紙葉類の汚れや紙葉類の表裏の違いによる検出信号のレベル差を補正するために、最大値で正規化してその結果を蛍光発光特性データ17gとして記憶する(ステップS109)。
真偽判定部18eは、紙葉類データベース17aからステップS103で判別した紙葉類の種類に対応する特定位置における蛍光発光特性データの判定規準データを取り出して(ステップS110)、ステップS109で正規化された紙葉類の蛍光発光特性データ17gとの特定領域における類似性の判定を行う(ステップS111)。この類似性の判定方法は、求められる厳密性や真偽判定の対象とする紙葉類の種類数によって方法を変更してもよい。例えば、厳密性が必要な場合や真偽判定の対象とする紙葉類の種類が多い場合などは、図2に示した励起光の波長と蛍光発光の波長の範囲を示すバンドによって決定するブロックごとの、紙葉類の走査ラインを走査した時間と蛍光発光強度の関係を示すグラフの形状の類似性を評価して、すべてのブロックのグラフの類似性が高いと判断された場合に真正な紙葉類であると判定してもよい。この場合には、紙葉類の種類、搬送方向、及び、蛍光センサが複数ある場合には、蛍光センサの個々にチャンネル番号を振り当てることにすると、そのチャンネル番号別に判定基準データが用意されている。また、蛍光発光特性データとして、グラフの全域を使う、或いは、特徴のある部位を用いる等は適宜選択できるものとする。更に、それほど高い厳密性が必要ではない場合や真偽判定対象とする紙葉類の種類が少ない場合などは、図2に示した励起光の波長と蛍光発光の波長の範囲を示すバンドによって決定するブロックごとの蛍光発光の有無が一致する場合に真正な紙葉類であると判定してもよい。蛍光発光の有無判別としては所定領域幅の積分値、平均値、ピーク値等が使用可能である。
ステップS111において挿入された紙葉類の蛍光発光特性データ17gと紙葉類データベース17aから取り出したステップS103で判別した紙葉類の種類に対応する蛍光発光特性データとの類似性が高いと判定された場合(ステップS112;Yes)には、搬送制御部18aは、挿入された紙葉類を集積部15に搬送し収納して(ステップS113)、処理を終了する。また、ステップS111において、類似性が高くないと判定された場合(ステップS112;No)には、挿入された紙葉類をリジェクト部16に排出して(ステップS114)、処理を終了する。
上述してきたように、本実施例1では、紙葉類のイメージデータの特徴で紙葉類の種類を判別する。また、異なる波長の光を発光する発光ダイオードを使用して、波長の異なる励起光を順に紙葉類に照射する。また、透過する波長の範囲の異なるフィルタと受光した光の強度の測定が可能な4分割フォトダイオードとを組み合わせた波長の範囲を示すバンドごとの光の強度の測定可能なセンサを利用して、紙葉類の励起光の波長と発光光のバンドとに対応付けた蛍光発光の強度である蛍光発光特性データを取得する。このようにして取得した紙葉類の蛍光発光特性データと、紙葉類の種類ごとにあらかじめ記憶した真正な紙葉類の蛍光発光特性データとを比較することによって紙葉類の真偽判定を行うように構成したので、異なる蛍光発光特性を有する蛍光体が付加された複数種類の紙葉類の真偽判定を高速かつ簡便に行うことができる。
実施例1では、反射型の蛍光センサ14を使用して蛍光発光特性を検知した。また、実施例1では、受光部142に使用したフォトダイオードの素材はシリコンで、検出できる光の波長はおよそ190nm〜1100nmの範囲であった。ここで、蛍光発光する物質の中には可視光ではない光で発光する物質や、1100nmを超える波長範囲で発光する物質や、励起光の照射を止めても発光が持続する物質が存在する。励起光の照射を止めた後に持続して発光がある場合、この発光を特に燐光と言う。実施例2では、構造が反射型ではなく透過型の蛍光センサ24を使用して、励起光として赤外光を使用して、実施例1よりも長い波長領域の光の検知が可能なインジウムガリウムヒ素を素材とするフォトダイオードを使用し、励起光を照射中の発光特性だけではなく励起光の照射を停止した後の発光特性、すなわち燐光の発光特性も利用して紙葉類の真偽判定を行う実施例を説明する。
まず、実施例2で紙葉類に付加された蛍光体の蛍光発光特性及び蛍光センサ24の受光部242の特徴を図11を用いて説明する。
実施例1で真偽判定対象とした紙葉類は、波長が可視光範囲のA、B、C若しくはDの励起光で蛍光発光し、シリコンを素材とするフォトダイオードで検出可能な波長が1100nm以下の赤外光を発光する蛍光体が付加された紙葉類であった。実施例2で真偽判定対象とする紙葉類は、波長が赤外光の範囲のA’、B’、C’若しくはD’の励起光で蛍光発光もしくは燐光発光し、発光波長がA’より大きくインジウムガリウムヒ素を素材とするフォトダイオードで検出可能な波長が2600nm以下の赤外光を発光する蛍光体が付加された紙葉類である。
実施例2では、蛍光発光若しくは燐光発光を検知するバンドを、励起光A’より長い波長領域に3つ設定し、波長がλ1’以上λ2’未満の領域をバンド1、λ2’以上λ3’未満の領域をバンド2、λ3’以上λ4’未満の領域をバンド3とする。このように実施例2では、A’1〜A’3、B’1〜B’3、C’1〜C’3及びD’1〜D’3の12のブロックに分割する。A’1は、励起光のスペクトルのピーク波長がA’で、蛍光発光の波長がλ1’以上λ2’未満の範囲のバンド1のブロックである。A’2は、励起光のスペクトルのピーク波長がA’で、波長がλ2’以上λ3’未満の範囲のバンド2のブロックである。A’3は、励起光のスペクトルのピーク波長がA’で、波長がλ3’以上λ4’未満の範囲のバンド3のブロックである。同様にB’1〜B’3は励起光のスペクトルのピーク波長がB’のブロックで、C’1〜C’3は励起光のスペクトルのピーク波長がCのブロックで、D’1〜D’3は励起光のスペクトルのピーク波長がD’のブロックである。
また実施例1では、ブロックごとの走査ライン上の蛍光発光強度を測定したが、実施例2では蛍光発光強度と燐光発光強度の測定を行い、真正な紙葉類のそれと比較することによって紙葉類の真偽判定を行う。
次に、実施例2で使用する透過型の蛍光センサ24の構造を図12を用いて説明する。図12(a)は蛍光センサ24の励起光の光源である光源部245を紙葉類搬送路の方向から見た図である。図12(b)は、蛍光発光及び燐光発光を検知する受光部242の構造を紙葉類搬送路の方向から見た図である。また、図12(c)は、透過型の蛍光センサ24を紙葉類の搬送方向に平行な垂直面で切った断面図である。
まず、図12(a)で光源部245の構造を説明する。光源部245は、4つの異なる波長の励起光を発光する発光ダイオードである。第1光源部245aは波長A’の励起光を発光し、第2光源部245bは波長B’の励起光を発光し、第3光源部245cは波長C’の励起光を発光し、第4光源部245dは波長D’の励起光を発光する。
次に、図12(b)で受光部242の構造を説明する。受光部242はインジウムガリウムヒ素を素材とする1枚のサブストレートを4分割してそれぞれにフォトダイオードを設けた4分割フォトダイオードであり、4つのフォトダイオードが独立に受光した光の強度を測定することができる。また、4つのフォトダイオードは、図12(c)に示す受光部フィルタ243によって、それぞれのフォトダイオードが異なる波長帯の光の強度を測定することができる。第1受光部242aは波長がλ1’以上λ2’未満のバンド1の波長帯の光の強度を測定し、第2受光部242bは波長がλ2’以上λ3’未満のバンド2の波長帯の光の強度を測定し、第3受光部242cは波長がλ3’以上λ4’未満のバンド3の波長帯の光の強度を測定し、第4受光部242dは波長によるフィルタリングは行わずに受けた光の強度を測定する。
次に、図12(c)の透過型の蛍光センサ24の断面図を用いて、透過型の蛍光センサ24の構造を説明する。図12(c)に示す通り蛍光センサ24は、紙葉類搬送路を挟んで設置され、光源部245は紙葉類搬送路の下側に、受光部242は紙葉類搬送路の上側に存在する。光源部245から励起光を発光すると、光源部フィルタ244を通して真偽判定対象の紙葉類に照射され、紙葉類上に付加された蛍光体が発光した蛍光及び燐光が紙葉類を透過して受光部フィルタ243でフィルタリングされて、バンドごとに受光した光の強度が受光部242で検知される。光源部フィルタ244は、λ1’以上の波長の光をカットするフィルタであって、光源のλ1’以上の波長の成分をカットすることによって、光源部245の発光する光の波長がλ1’以上の成分が受光部242で受光されないようにするためのものである。これによって、受光部242は、蛍光発光若しくは燐光発光による波長がλ1’以上の光だけを検知することができる。
第4受光部242dは、紙葉類の処理をしていないときに、自動メンテナンスの処理で使用するものである。この自動メンテナンスの処理では、紙葉類が搬送路上にない状態で光源部245を発光して第4受光部242dで受光する。4つの光源の発光ダイオードを順番に点灯して第4受光部242dで受光した光の強度を測定し、正常時の光の強度と比較して所定の閾値未満の場合には故障と判定する。また、4つの光源ごとに故障判断の閾値以上の強度はあるが、本来の光の強度とは差がある場合には、発光ダイオードに流す電流を調整することによって、励起光の強度の調整を行うことを可能とする。
次に、燐光物質の発光の残光特性について図13を用いて説明する。
蛍光物質の中には、励起光の照射を止めても発光が持続する燐光発光特性を有する物質が存在する。図13のグラフは横軸が励起光消灯後の経過時間を表し、縦軸は発光強度を表している。縦軸の発光強度は、起光照射時の発光強度を1とした時の割合で表現したものである。燐光の特性を有する物質に励起光を照射して、励起光の照射を停止しても、燐光の特性を有する物体の発光は、励起光の照射停止後に発光強度は徐々に下がるものの、時間経過に対して緩やかな下降となる。このように、燐光の特性を有する物質に所定の波長の励起光を照射すると、励起光の照射を停止してもある程度の時間の範囲であれば燐光発光を検知することが可能である。
この燐光発光の励起光を止めた後でもある程度の時間発光が継続するという特性は、通常の蛍光体にはない特性であることから、燐光発光特性を有する物質が付加された紙葉類の真偽判定に、励起光の照射を止めた後に残る発光特性を利用して行うことは、判定の厳密性を高めることになる。
次に、図12に示した蛍光センサ24の光源部245の点灯タイミングと受光部242による受光強度の測定タイミングを図14を用いて説明する。
光源は、波長がA’の第1光源部245aは時間t1に発光開始して時間t4に消灯し、波長がB’の第2光源部245bは時間t7に発光開始して時間t10に消灯し、波長がC’の第3光源部245cは時間t13に発光開始して時間t16に消灯し、波長がD’の第4光源部245dは時間t19に発光開始して時間t22に消灯する。また、受光部242はそれぞれの光源が発光しているタイミングとそれぞれの光源が発光停止して所定時間経過したタイミングにおいて、第1受光部242a、第2受光部242b及び第3受光部242cで受光した光の強度を取得する。
具体的には、第1光源部245aの発光している時間t1と時間t4の間の時間t2と時間t3の間で第1受光部242a、第2受光部242b及び第3受光部242cの受光した蛍光及び燐光の強度を取得する。また、第1光源部245aを消灯して所定時間経過後の時間t5と時間t6の間で第1受光部242a、第2受光部242b及び第3受光部242cの受光した燐光の強度を取得する。
また、第2光源部245bの発光している時間t7と時間t10の間の時間t8と時間t9の間で第1受光部242a、第2受光部242b及び第3受光部242cの受光した蛍光及び燐光の強度を取得する。また、第2光源部245bを消灯して所定時間経過後の時間t11と時間t12の間で第1受光部242a、第2受光部242b及び第3受光部242cの受光した燐光の強度を取得する。
また、第3光源部245cの発光している時間t13と時間t16の間の時間t14と時間t15の間で第1受光部242a、第2受光部242b及び第3受光部242cの受光した蛍光及び燐光の強度を取得する。また、第3光源部245cを消灯して所定時間経過後の時間t17と時間t18の間で第1受光部242a、第2受光部242b及び第3受光部242cの受光した燐光の強度を取得する。
また、第4光源部245dの発光している時間t19と時間t22の間の時間t20と時間t21の間で第1受光部242a、第2受光部242b及び第3受光部242cの受光した蛍光及び燐光の強度を取得する。また、第4光源部245dを消灯して所定時間経過後の時間t23と時間t24の間で第1受光部242a、第2受光部242b及び第3受光部242cの受光した燐光の強度を取得する。
次に、紙葉類真偽判定装置20の実施例2に係る機能的な内部構成を図15を用いて説明する。図15に示す紙葉類真偽判定装置20の内部構成では、実施例1で説明した紙葉類真偽判定装置10と同じ部分については実施例1の紙葉類真偽判定装置10と同じ符号をつけ、同じ部分の説明は省略して、変更になっている部分を中心に説明する。
蛍光センサ24は、図12で説明したように透過型の構造であり、光源部245の発光する励起光は赤外光である。また、受光部242は、インジウムガリウムヒ素を素材とするフォトダイオードであり、実施例1のシリコンを素材とするフォトダイオードと比較すると長い波長領域の赤外光を検知することができる。また、励起光照射中の蛍光若しくは燐光だけではなく励起光の照射を止めた後の燐光の検知も行うことから、図14で説明したように、それぞれの光源部の発光タイミングに対して、光源の発光中の蛍光若しくは燐光の発光強度と、光源の消灯後の燐光発光強度を測定することができる。
図15に示す記憶部17は、構成するデータ名称は同じであるがそれぞれのデータの内部構成が実施例1とは異なっている。具体的には、実施例2では、図14に示した通り励起光の消灯後の燐光を検知し、励起光の消灯後の燐光の検知結果も紙葉類の真偽判定に使用することから、それぞれのデータに励起光の消灯後の燐光に関する情報が含まれている。
紙葉類データベース27aは、実施例1の紙葉類データベース17aに加えて、紙葉類を識別する紙葉類識別コードに関連付けて、事前に真正な紙葉類から取得した情報から生成した励起光の消灯後の燐光発光特性のデータを有している。
また、実施例1の蛍光センサ取得データ17b、時間軸調整後データ17c、レベル補正前データ17d、レベル補正後データ17e、バンド別データ17f及び蛍光発光特性データ17gのデータ構造は同一であり、図2に示したブロック別の走査ライン上のポイントごとの蛍光発光強度を有していた。実施例2の蛍光センサ取得データ27b、時間軸調整後データ27c、レベル補正前データ27d、レベル補正後データ27e、バンド別データ27f及び蛍光発光特性データ27gのデータ構造も同一であり、図11に示したブロック別の走査ライン上のポイントごとの励起光照射中の蛍光と燐光の発光強度と、励起光の消灯後の燐光発光強度とを有しており、実施例1のデータと比較すると励起光の消灯後の燐光発光強度の情報が追加されている。
蛍光センサデータ取得部28cは、実施例1の蛍光センサデータ取得部18cと比較すると、蛍光センサ24が励起光の消灯後の燐光発光強度を検知する機能が追加になっていることから、蛍光センサ24が検知した励起光の消灯後の燐光発光強度を検出して蛍光センサ取得データ27bとして記憶する機能が追加となっている。
蛍光発光特性データ生成部28dは、蛍光センサ取得データ27bのデータ構造が、実施例1の蛍光センサ取得データ17bのデータ構造に励起光の消灯後の燐光発光強度に係る情報が追加になっているので、励起光の消灯後の燐光発光強度に係る情報の部分に対しても蛍光発光強度に係る情報部分と同様の処理が追加となっている。
真偽判定部28eは、紙葉類データベース27aや蛍光発光特性データ27gに追加になった励起光の消灯後の燐光に関するデータを利用して、励起光照射中の蛍光及び燐光の発光の特性と励起光照射停止後の燐光発光の特性とによって紙葉類の真偽判定を行う。
次に、図15に示した蛍光センサ24の詳細な機能構成を図16を用いて説明する。
受光部242は、素材がインジウムガリウムヒ素のフォトダイオードであり、検知可能な波長範囲が2600nmまでの赤外光であり、実施例1と比較すると長い波長の光を検知することが可能である。第1受光部242a、第2受光部242b、第3受光部242c及び第4受光部242dは、受光部フィルタ243により異なる波長域の光の強度を検知する。
第1受光部フィルタ243aは、波長がλ1’未満の光を非透過とするフィルタで、第2受光部フィルタ243bは、波長がλ2’未満の光を非透過とするフィルタで、第3受光部フィルタ243cは、波長がλ3’未満の光を非透過とするフィルタである。
第1受光部フィルタ243aは、第1受光部242a、第2受光部242b及び第3受光部242cに入る光をフィルタリングし、第2受光部フィルタ243bは、第2受光部242b及び第3受光部242cに入る光をフィルタリングし、第3受光部フィルタ243cは、第3受光部242cに入る光をフィルタリングするように構成されている。これによって、第1受光部242aは波長がλ1’以上の光の強度、第2受光部242bは波長がλ2’以上の光の強度、第3受光部242cは波長がλ3’以上の光の強度を検知することになる。また、第4受光部242dには、いずれのフィルタもかからないことから全ての波長を含む光の強度を検知することとなる。
光源部フィルタ244は、λ1’未満の波長の光のみを透過するフィルタである。光源部245は、4つの発光ダイオードであり、それぞれの発光ダイオードは波長の異なる可視光を発光する。第1光源部245aは波長がA’の赤外光を発光し、第2光源部245bは波長がB’の赤外光を発光し、第3光源部245cは波長がC’の赤外光を発光し、第4光源部245dは波長がD’の赤外光を発光する。
蛍光センサ制御部247は、図14に示した第1光源部245a、第2光源部245b、第3光源部245c及び第4光源部245dの発光タイミングと、受光部242による受光強度データの取得タイミングの制御を行う。
上述してきたように、本実施例2では、紙葉類のイメージデータの特徴で紙葉類の種類を判別する。また、異なる波長の赤外光を発光する発光ダイオードを使用して、波長の異なる赤外光である励起光を順に紙葉類に照射する。また、透過する波長の範囲の異なるフィルタと受光した光の強度の測定が可能な広い波長範囲の赤外光を検知可能な4分割フォトダイオードとを組み合わせた、波長の範囲を示すバンドごとの光の強度の測定可能なセンサを用いて、紙葉類の発光光のバンドごとの受光強度を測定する。さらに、励起光の波長と受光光のバンドとに対応付けた、励起光照射中の蛍光発光光の受光強度信号である蛍光発光特性データと、励起光照射停止後の燐光発光光の受光強度信号である燐光発光特性データとを生成する。このようにして取得した紙葉類の蛍光発光特性データ及び燐光発光特性データと、紙葉類の種類ごとにあらかじめ記憶した真正な紙葉類の蛍光発光特性データ及び燐光発光特性データとを比較することによって紙葉類の真偽判定を行うように構成した。これによって、赤外光の照射で赤外光の蛍光発光若しくは燐光発光するような物質を利用することによって異なる発光特性を有する蛍光体もしくは燐光体が付加された複数種類の紙葉類の真偽判定を高速かつ簡便に行うことができる。また、蛍光発光特性データと燐光発光データの取り扱いは両方使用してもよいし、いずれか片方のみを使っても真偽判定ができることはいうまでもない。また、真偽判定にあたり、実施例1で説明をしたように、敷居値をもちいる方法であってもよい。
なお、上述の実施例1および実施例2では、真偽判定の対象は紙葉類としたが、紙葉類は、証券、小切手、商品券などの有価証券や紙幣を含むこととする。
また、上述の実施例1および実施例2では、可視光若しくは赤外光を照射することによって赤外光の蛍光若しくは燐光を発光する蛍光体が付加された紙葉類の真偽判定を行う例を説明してきたが、本発明はこれに限定するものではなく、紫外光の光源を設けて可視光や紫外光を検知するフォトダイオードを設けて、紫外光の照射によって紫外光や可視光で発光する蛍光体が付加された紙葉類の真偽判定を行ってもよい。
また、上述の実施例1および実施例2では、受光部142、242に4分割フォトダイオードを使用する例を説明したが、本発明はこれに限定するものではない。例えば、単体のフォトダイオードを複数使用してもよい。また、分割フォトダイオードの個数も4つである必要はなく、真偽判定の対象とする紙葉類に付加されている蛍光体の種類に応じて4つより少なくても多くてもよい。また、複数のフォトダイオードが全て同じ素材である必要はなく、検出したい波長に応じたフォトダイオードを使用して、フォトダイオードの検出感度に応じて検出した強度を補正するようにしてもよい。
また、上述の実施例1および実施例2では、紙葉類の種類を紙葉類のイメージの特徴で判別したが、本発明はこれに限定するものではない。例えば、紙葉類の所定の位置に印刷されたバーコードなどによって紙葉類の種類を示す情報を印刷しておいて、その印刷された情報を認識することによって紙葉類の種類を判別してもよい。
また、上述の実施例1では紙葉類に付加された蛍光体の蛍光発光特性、実施例2では紙葉類に付加された蛍光体若しくは蛍光・燐光体の蛍光発光特性および燐光発光特性を使用して紙葉類の真偽判定を行ったが、本発明はこれに限定するものではなく、紙葉類に付加された燐光体の燐光発光特性のみを使用して真偽判定を行うものとしてもよい。
また、上述の実施例1および実施例2では、受光部フィルタ143、243に関して所定の波長以下の波長の光をカットする複数のフィルタを使用して、測定された受光強度を使用した計算によって所定範囲の波長の光の強度としたが、本発明はこれに限定するものではなく、所定範囲のみを透過するフィルタを使用して所定範囲の波長の光の強度を直接測定するようにしてもよい。
また、図2(a)及び図11のブロックA1〜D3、A’1〜D’3をマトリクスと呼ぶこともできる。紙葉類の真偽を判定する際に、紙葉類の種類、搬送方向に応じて紙葉類のどの部分を蛍光部142が受光するかが決まるので、記憶部17の紙葉類データベース17a、27aには、紙葉類の種類、搬送方向に応じてマトリクスのどのブロックを使用したらよいかを定めて、予め格納しておき、真偽判定時に読み取った紙葉類の種類、搬送方向に応じて、使うブロックを読み出して、そのブロックの蛍光発光特性データを使用することができる。
また、上述の実施例1および実施例2で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
以上のように、本発明に係る紙葉類真偽判定装置は、異なる蛍光及び/又は燐光発光特性を有する蛍光、燐光体が付加された複数種類の紙葉類の真偽判定を高速かつ簡便に実現することに適している。
10、20 紙葉類真偽判定装置
11 載置部
12 搬送部
13 ラインセンサ
14、24 蛍光センサ
141 Amp基板
142、242 受光部
142a、242a 第1受光部
142b、242b 第2受光部
142c、242c 第3受光部
142d、242d 第4受光部
143、243 受光部フィルタ
143a、243a 第1受光部フィルタ
143b、243b 第2受光部フィルタ
143c、243c 第3受光部フィルタ
144、244 光源部フィルタ
145、245 光源部
145a、245a 第1光源部
145b、245b 第2光源部
145c、245c 第3光源部
145d、245d 第4光源部
146 LED制御基板
147、247 蛍光センサ制御部
15 集積部
16 リジェクト部
17 記憶部
17a、27a 紙葉類データベース
17b、27b 蛍光センサ取得データ
17c、27c 時間軸調整後データ
17d、27d レベル補正前データ
17e、27e レベル補正後データ
17f、27f バンド別データ
17g、27g 蛍光発光特性データ
18 制御部
18a 搬送制御部
18b 紙葉類種類判定部
18c、28c 蛍光センサデータ取得部
18d、28d 蛍光発光特性データ生成部
18e、28e 真偽判定部
51 繰出部
51a キッカローラ
51b フィードローラ
51c ゲートローラ
52 識別計数ユニット
53 分岐部
54 表示操作部
55 羽根車式集積機構
55a 羽根車
55b 羽根
56 シャッター
61 載置部残留紙葉類検出センサ
62a、62b、62c、62d、62e、62f、64 紙葉類通過検出センサ
63 分岐用タイミングセンサ
65 集積部紙葉類検出センサ
66 リジェクト部紙葉類検出センサ
図1(c)は、図1(b)で示した蛍光センサ14で、図1(a)に示した真偽判定対象の紙葉類の走査ライン上で蛍光発光特性データを取得した例である。また、図1(a)に示した真偽判定対象の紙葉類上の蛍光パターンを印刷したインクに含まれる蛍光体は、波長がAの励起光の照射によって、λ3以上λ4未満の波長で発光する蛍光発光特性を有する。図1(c)に示すそれぞれのグラフは縦軸が受光部142の検知した受光した光の強度で、横軸が真偽判定対象の紙葉類の走査ライン上の紙葉類の右端からの距離を表している。蛍光パターンを印刷したインクに含まれる蛍光体は、波長がAの励起光の照射によって、λ3以上λ4未満の波長で発光することから、蛍光パターンに含まれる蛍光体による発光による影響は図1(c)の右上のグラフのみに現れる。また、図1(c)の右上のグラフが3つの山が表れているのは、図1(a)の蛍光パターンの位置と形状を反映したものである。
紙葉類真偽判定装置10は、予め真正な紙葉類に対応する図1(c)に示した蛍光発光特性データを記憶しておき、真偽判定対象の紙葉類に対応する図1(c)に示した蛍光発光特性データを取得して、その類似性を評価することによって真偽判定対象の紙葉類の真偽判定を実施する。図1(c)で示す真偽判定対象の紙葉類は、波長がA、B、CまたはDの励起光を照射した場合に、波長Aの励起光で発光し、その発光光がλ1以上λ4未満の波長となるような蛍光発光特性を有する蛍光体が付加されたものである。また、紙葉類真偽判定装置10は、紙葉類の種類ごとに真正な紙葉類の図1(c)に示した蛍光発光特性データを予め記憶しておき、紙葉類の可視光又は赤外光照射時のイメージ画像から紙葉類の種類及び方向を判別し、判別した紙葉類の種類及び方向に対応する真正な紙葉類の蛍光発光特性データと、真偽判定対象の紙葉類から取得した蛍光発光特性データを比較して類似性を評価することによって、複数種類の紙葉類の真偽判定を行うことができる。また、蛍光発光特性データの比較には、相関係数を用いて、真正な紙葉類の蛍光発光特性データとの類似性を評価するほか、所定区間を積分した累積値から閾値を設定して、その閾値より多ければ所定の蛍光発光があると判断するようにしてもよい。
次に、図4(b)の反射型の蛍光センサ14の断面図を用いて、反射型の蛍光センサ14の構造を説明する。図4(b)に示す通り蛍光センサ14は、上の搬送路ガイド板と下の搬送路ガイド板に挟まれる紙葉類搬送路の上側に設置され、光源部145と受光部142は紙葉類搬送路に対して同じ側に存在する。光源部145から励起光を発光すると、光源部フィルタ144を通して真偽判定対象の紙葉類に照射され、紙葉類から反射した光や紙葉類上に付加された蛍光体が発光した蛍光を受光部フィルタ143でフィルタリングして、バンドごとに受光した光の強度を受光部142で検知する。光源部フィルタ144は、赤外光カットフィルタであって、光源の赤外光成分をカットすることによって、光源部145の発光する光の赤外光成分が受光部142で受光されないようにするためのものである。これによって、受光部142は、蛍光発光による赤外光だけを検知することができる。
また、図4(b)に示すように、蛍光センサ14の真下の下側の搬送路ガイド板には、ガラス窓の下に光量モニタ用試験媒体が配置されている。これは、紙葉類の処理をしていないときに、自動メンテナンスの処理で使用するものである。この自動メンテナンスの処理では、紙葉類が搬送路上にない状態で光源部145を発光して、搬送路下部の光量モニタ用試験媒体に照射して、反射した光を受光部フィルタ143のかかっていない第4受光部142dで受光する。4つの光源の発光ダイオードを順番に点灯して第4受光部142dで受光した光の強度を測定し、正常時の光の強度と比較して、光の受光強度が所定の閾値未満の場合には故障と判定する。また、4つの光源ごとに故障判断の閾値以上の強度はあるが、本来の光の強度とは差がある場合には、発光ダイオードに流す電流を調整することによって、励起光の強度の調整を行うことを可能とする。
レベル補正後データ17eは、レベル補正前データ17dに対して、4つの光源(第1光源部145a、第2光源部145b、第3光源部145c及び第4光源部145d)と、3つの受光部(第1受光部142a、第2受光部142b及び第3受光部142c)の物理的な位置関係に起因する検出感度差を補正する所定の係数を掛けて算出したデータである。
紙葉類種類判定部18bは、識別計数ユニット52に搬送された紙葉類のイメージデータをラインセンサ13で取得して、取得したイメージデータからイメージの特徴データを生成し、紙葉類データベース17aに登録されている紙葉類のイメージの特徴データとの類似性を評価することによって、紙葉類の種類の判定を行い、紙葉類識別コードを特定する
バンド2で蛍光発光する蛍光体を使用していることから、第1受光部142aと第2受光部142bは同じデータが取得されるのが理想形であるが、図に示す通り紙葉類の搬送方向に対して第1受光部142aと第2受光部142bは物理的な位置にΔdの差異がある。これによって、紙葉類搬送方向の上流に位置する第1受光部142aで取得したデータの描く波形は、下流に位置する第2受光部142bで取得したデータの描く波形と類似しているものの、発現するタイミングがΔt時間遅れる。遅れる時間は紙葉類の搬送速度をvとすると、Δt=Δd÷vで算出することができる。
実施例2では、蛍光発光若しくは燐光発光を検知するバンドを、波長がA’の励起光より長い波長領域に3つ設定し、波長がλ1’以上λ2’未満の領域をバンド1、λ2’以上λ3’未満の領域をバンド2、λ3’以上λ4’未満の領域をバンド3とする。このように実施例2では、検出領域をA’1〜A’3、B’1〜B’3、C’1〜C’3及びD’1〜D’3の12のブロックに分割する。A’1は、励起光のスペクトルのピーク波長がA’で、蛍光発光の波長がλ1’以上λ2’未満の範囲のバンド1のブロックである。A’2は、励起光のスペクトルのピーク波長がA’で、波長がλ2’以上λ3’未満の範囲のバンド2のブロックである。A’3は、励起光のスペクトルのピーク波長がA’で、波長がλ3’以上λ4’未満の範囲のバンド3のブロックである。同様にB’1〜B’3は励起光のスペクトルのピーク波長がB’のブロックで、C’1〜C’3は励起光のスペクトルのピーク波長がC’のブロックで、D’1〜D’3は励起光のスペクトルのピーク波長がD’のブロックである。
蛍光物質の中には、励起光の照射を止めても発光が持続する燐光発光特性を有する物質が存在する。図13のグラフは横軸が励起光消灯後の経過時間を表し、縦軸は発光強度を表している。縦軸の発光強度は、励起光照射時の発光強度を1とした時の割合で表現したものである。燐光の特性を有する物質に励起光を照射して、励起光の照射を停止しても、燐光の特性を有する物体の発光は、励起光の照射停止後に発光強度は徐々に下がるものの、時間経過に対して緩やかな下降となる。このように、燐光の特性を有する物質に所定の波長の励起光を照射すると、励起光の照射を停止してもある程度の時間の範囲であれば燐光発光を検知することが可能である。
紙葉類データベース27aは、実施例1の紙葉類データベース17aに加えて、紙葉類のタイプを示す紙葉類識別コードに関連付けて、事前に真正な紙葉類から取得した情報から生成した励起光の消灯後の燐光発光特性のデータを有している。
上述してきたように、本実施例2では、紙葉類のイメージデータの特徴で紙葉類の種類を判別する。また、異なる波長の赤外光を発光する発光ダイオードを使用して、波長の異なる赤外光である励起光を順に紙葉類に照射する。また、透過する波長の範囲の異なるフィルタと受光した光の強度の測定が可能な広い波長範囲の赤外光を検知可能な4分割フォトダイオードとを組み合わせた、波長の範囲を示すバンドごとの光の強度の測定可能なセンサを用いて、紙葉類の発光光のバンドごとの受光強度を測定する。さらに、励起光の波長と受光光のバンドとに対応付けた、励起光照射中の蛍光発光光の受光強度信号である蛍光発光特性データと、励起光照射停止後の燐光発光光の受光強度信号である燐光発光特性データとを生成する。このようにして取得した紙葉類の蛍光発光特性データ及び燐光発光特性データと、紙葉類の種類ごとにあらかじめ記憶した真正な紙葉類の蛍光発光特性データ及び燐光発光特性データとを比較することによって紙葉類の真偽判定を行うように構成した。これによって、赤外光の照射で赤外光の蛍光発光若しくは燐光発光するような物質を利用することによって異なる発光特性を有する蛍光体もしくは燐光体が付加された複数種類の紙葉類の真偽判定を高速かつ簡便に行うことができる。また、蛍光発光特性データと燐光発光データの取り扱いは両方使用してもよいし、いずれか片方のみを使っても真偽判定ができることはいうまでもない。また、真偽判定にあたり、実施例1で説明をしたように、閾値をもちいる方法であってもよい。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、発光特性に基づいて紙葉類の真偽を判定する紙葉類真偽判定装置であって、紙葉類を搬送する搬送部と、波長の異なる複数の励起光から1つ選択して、前記搬送部が搬送する前記紙葉類に照射する励起光光源と、それぞれが異なる所定範囲の波長帯域の光のみを透過する複数種のフィルタと、前記複数種のフィルタ対応して設けられ、それぞれが異なる波長範囲の光を受光する複数の受光器と、前記励起光によって励起された前記紙葉類の発光を各受光器受光して、受光強度のデータを取得し、紙葉類搬送方向の異なる位置に配置された受光器の間で生ずるデータの時間ずれを、紙葉類搬送方向の受光器の位置及び紙葉類搬送速度で補正して、発光特性データを生成する蛍光発光特性データ生成部と、予め準備されている真正な前記紙葉類の発光特性データ、前記蛍光発光特性データ生成部により生成された前記発光特性データとの類似性に基づいて、前記紙葉類の真偽の判定を行う真偽判定部とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記蛍光発光特性データ生成部は、各受光器の物理的な位置関係に起因する検出感度差を補正する所定の係数によって、前記データの発光強度を補正することを特徴とする請求項1に記載の紙葉類真偽判定装置。
また、本発明は、上記発明において、前記蛍光発光特性データ生成部は、一方の軸を励起光波長、他方の軸を発光波長として、記励起光光源から照射する各励起光波長範囲に基づいて励起光波長の軸を分割すると共に受光器が受光する光の波長範囲に基づいて発光波長の軸を分割して、励起波長範囲と受光波長範囲とで定義される複数のブロックから成るマトリクスを構成し、前記励起光光源によって波長の異なる複数の励起光を順次前記紙葉類に照射して前記紙葉類で励起された発光を各受光器で受光し、前記マトリクスを形成する各ブロックにおける発光の受光強度を示す発光特性データを生成することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記真偽判定部は、前記受光器の受光強度が所定値以上の場合には対応するブロックで発光ありと判定し、受光強度が所定値未満の場合には対応するブロックで発光なしと判定して、前記マトリクスを構成する各ブロックの発光の有無に基づいて前記紙葉類の真偽を判定することを特徴とする。
また、本発明は上記発明において、前記複数種のフィルタは、波長λ n 以上(nは1以上の整数)の光を透過して第n受光器に受光させる第nフィルタと、前記波長λ n より波長の長い波長λ n+1 以上の光を透過して第n+1受光器に受光させる第n+1フィルタとを含み、前記蛍光発光特性データ生成部は、前記第n受光器で受光した光の発光強度から、前記第n+1受光器で受光した光の発光強度を差し引いて、前記波長λ n 〜λ n+1 の波長範囲のブロックで得られた光の発光強度とすることを特徴とする。
また、本発明は上記発明において、前記第nフィルタは前記第n受光器及び前記第n+1受光器に重ねて配置され、前記第n+1フィルタは前記第n+1受光器に重ねて配置されることを特徴とする。
また、本発明は上記発明において、紙葉類が搬送される搬送路に配置された光量モニタ用試験媒体と、フィルタのかかっていない受光器とをさらに備え、紙葉類が前記搬送路上にない状態で前記励起光光源から複数の励起光を1つずつ順に照射して、前記フィルタのかかっていない受光器で受光した光の強度に基づいて各励起光の強度を調整することを特徴とする。
また、本発明は上記発明において、前記フィルタのかかっていない受光器で受光した光の強度が所定の閾値未満の場合は故障と判定することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記紙葉類の光学イメージを取得する光学イメージ取得部と、前記搬送部により前記紙葉類を搬送しつつ前記光学イメージ取得部により取得された所定の領域の画像データを利用して前記紙葉類の少なくとも種類の判別を行う種類判別部とをさらに備え、前記真偽判定部は、前記種類判別部により判別された前記紙葉類の種類に対応する真正な前記紙葉類の発光特性データと、前記蛍光発光特性データ生成部により生成された前記発光特性データとの類似性に基づいて、前記紙葉類の真偽を判定することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記蛍光発光特性データ生成部は、前記励起光光源による励起光を照射中に前記受光器で受光した光の受光強度を蛍光発光強度、前記励起光光源消灯後に前記受光部で受光した光の受光強度を燐光強度として、前記蛍光発光強度と前記燐光強度の少なくともいずれか1つに基づいて前記発光特性データを生成することを特徴とする。

Claims (12)

  1. 蛍光体が付加された紙葉類の真偽を判定する紙葉類真偽判定装置であって、
    少なくとも、前記紙葉類の種類を判別する種類判別部と、
    波長の異なる複数の励起光から1つの励起光を選択して前記紙葉類に照射する励起光光源と、
    前記紙葉類に付加された蛍光体が発する光のうち、それぞれが異なる所定範囲の波長帯域の光のみを透過する複数種のフィルタと、
    前記複数種のフィルタの各々に対応して設けられ、前記フィルタが透過した光を受光する複数の受光器と、
    前記励起光光源から選択された波長の励起光が照射されたときに前記複数の受光器が受光した前記所定範囲の波長帯域の受光強度に基づいた蛍光発光特性データを生成する蛍光発光特性データ生成部と、
    予め、前記紙葉類の種類に応じた真正な紙葉類の蛍光発光特性データもしくは、真正な紙葉類の蛍光発光特性データから求めた判定基準値を格納している記憶部と、
    前記種類判別部により判別された前記紙葉類の種類に対する真正な前記紙葉類の前記記憶部に記憶されている蛍光発光特性データもしくは判定基準値と、前記蛍光発光特性データ生成部により生成された前記蛍光発光特性データとを用いて、前記紙葉類の真偽の判定を行う真偽判定部と
    を備えたことを特徴とする紙葉類真偽判定装置。
  2. 前記励起光光源、前記複数種のフィルタ及び前記複数の受光器が全て、前記紙葉類の一方の面側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類真偽判定装置。
  3. 前記励起光光源を前記紙葉類の一方の面の側に設け、前記複数種のフィルタ及び前記複数の受光器を前記紙葉類の他方の面の側に設けたことを特徴とする請求項1に記載の紙葉類真偽判定装置。
  4. 前記励起光光源が前記紙葉類に波長の異なる複数の励起光から1つの励起光を選択して前記紙葉類に照射している間に、前記複数の受光器のそれぞれは、前記複数種のフィルタを透過したそれぞれの光の強度を同時又は、シーケンシャルに受光することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の紙葉類真偽判定装置。
  5. 前記励起光光源は周期的に複数の波長の励起光をそれぞれ順次照射し、前記複数の受光器は周期的に複数の波長帯域の光を一波長帯域ずつ順次受光し、前記蛍光発光特性データ生成部は、前記複数の受光器で受光した当該波長帯域の受光強度に基づいた前記蛍光発光特性データをそれぞれ生成することを特徴とする請求項4に記載の紙葉類真偽判定装置。
  6. 前記蛍光発光特性データ生成部は、
    前記複数の励起光の波長がそれぞれ属する複数の励起光波長範囲と、前記複数種のフィルタがそれぞれ透過する受光波長帯域とで励起波長と受光波長帯域によるマトリクスを構成し、
    前記励起光光源によって波長の異なる複数の励起光を順次前記紙葉類に照射し、前記複数種のフィルタで透過された光のそれぞれの受光強度を対応する受光器で受光し、前記マトリクスの各領域における受光強度に基づいた前記蛍光発光特性データを生成し、
    前記記憶部が更に、前記紙葉類の種類毎に真偽判定に使用する前記マトリクスの領域を記憶しており、
    前記真偽判定部が、前記種類判別部の結果に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記紙葉類の種類毎に特定されているマトリクスの利用領域の前記蛍光発光特性データを用いて真偽判別を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の紙葉類真偽判定装置。
  7. 前記真偽判定部は、前記受光器の受光強度が所定値以上の場合には対応する波長帯域の光の受光ありと判定し、受光強度が所定値未満の場合には対応する波長帯域の光の受光がないと判定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の紙葉類真偽判定装置。
  8. 前記紙葉類の光学イメージを取得する光学イメージ取得部をさらに備え、
    前記種類判別部は、前記紙葉類を搬送しつつ前記光学イメージ取得部により取得された所定の領域の画像データを利用して前記紙葉類の少なくとも種類の判別を行う
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の紙葉類真偽判定装置。
  9. 前記複数の受光器は、搬送される前記紙葉類の受光強度を測定し、前記蛍光発光特性データ生成部は、前記紙葉類の位置に対して前記複数の受光器で測定した受光強度に基づいて前記蛍光発光特性データを生成することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の紙葉類真偽判定装置。
  10. 前記複数の受光器は、前記励起光光源による励起光を照射中の前記受光強度を受光するとともに、前記励起光光源消灯後の受光強度を燐光強度として受光し、
    前記蛍光発光特性データ生成部は、更に前記燐光強度に基づいた燐光発光特性データを生成し、
    前記記憶部は、予め、前記紙葉類の種類に応じた真正な紙葉類の燐光発光特性データもしくは、該燐光発光特性データから求めた判定基準値を更に格納しており、
    前記真偽判定部は、前記種類判別部で判別された前記紙葉類の種類に基づいて、前記記憶部に格納されている前記真正な紙葉類の燐光についての燐光発光特性データ、もしくは燐光発光特性データ及び蛍光発光特性データの両方と、前記記憶部に格納されている燐光発光特性データ、もしくは燐光発光特性データ及び蛍光発光特性データの両方とを用いて、前記紙葉類の真偽の判定を行う
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の紙葉類真偽判定装置。
  11. 前記励起光光源は、可視光領域で波長の異なる複数の励起光を発光するとともに、
    前記複数種のフィルタは赤外光領域で異なる波長の範囲の光を透過させる
    ことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つに記載の紙葉類真偽判定装置。
  12. 前記励起光光源は、赤外光領域で波長の異なる複数の励起光を発光するとともに、
    前記複数種のフィルタは赤外光領域で異なる波長の範囲の光を透過させる
    ことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つに記載の紙葉類真偽判定装置。
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