WO2011114455A1 - 真偽判別装置、真偽判別方法および蛍光センサ - Google Patents
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Abstract
励起光の照射によって励起される蛍光のピーク波長が互いに近い蛍光体同士を区別して検出することを課題とする。この課題を解決するために、UV_LEDが、紙葉類に対して励起光を照射し、第1受光部が、励起光の照射によって蛍光体から励起される蛍光のピーク波長を含んだ第1の波長領域の光を受光し、第2受光部が、第1受光部によって受光される光を発した紙葉類上の領域と同一領域から発せられた光であり、かつ、第1の波長領域の近傍に位置する第2の波長領域の光を受光する。そして、蛍光体特定部が、第1受光部からの出力および第2受光部からの出力に基づいて紙葉類に付加された蛍光体の種類を特定し、判別部が、蛍光体特定部による特定結果に基づいて紙葉類の真偽を判別する。
Description
この発明は、蛍光体が付加された紙葉類の真偽を判別する真偽判別装置、真偽判別方法および蛍光センサに関し、特に、励起光の照射によって励起される蛍光のピーク波長が互いに近い蛍光体同士を区別して検出することができる真偽判別装置、真偽判別方法および蛍光センサに関する。
従来、搬送機構を用いて商品券などの紙葉類を搬送し、可視光線や赤外線等の光を受発光する光学センサを用いて紙葉類の真偽を判別する真偽判別装置が知られている。
また、近年では、紙葉類の偽造を防止する観点から、肉眼では確認できない蛍光体含有インクで文字や模様を紙葉類へ付加することも行われている。かかる蛍光体含有インクは、所定の励起光(たとえば、紫外線)が照射されると、含有する蛍光体に応じたピーク波長の蛍光を発光する。
このため、蛍光体含有インクの特性を利用した真偽識別装置も提案されている。具体的には、紙葉類に対して蛍光体含有インクなどの偽造防止インクで潜像マークを印字しておき、真偽判別装置では、所定の波長の励起光を紙葉類へ照射し、蛍光体含有インクが発する蛍光を受光することで、潜像マークを検出する。そして、潜像マーク検出の可否に基づいて紙葉類の真偽を判別する。
たとえば、特許文献1には、800~900nmにピーク波長を有する蛍光体を含有した偽造防止インクで形成された視認不可能なバーコードを印刷物に印刷し、かかるバーコードを読み取ることで印刷物の真偽を判別する技術が開示されている。
具体的には、特許文献1に記載の技術では、バーコードに対して励起光を照射し、蛍光体のピーク波長(800~900nm)を含む所定の波長領域の光を検出する検出器を用いてバーコードからの蛍光を検出することで、バーコードの読み取りを行う。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ピーク波長が互いに近い蛍光体同士を区別して検出することができないという問題があった。これは、特許文献1に記載の技術が、検出器の検出範囲内にピーク波長を有する何かしらの蛍光体が紙葉類へ付加されていることしか判別できないためである。
このため、特許文献1に記載の技術では、たとえば、紙葉類へ付加される蛍光体が複数種類あり、これらのピーク波長が互いに近い場合に、検出器によって検出された蛍光体がどの種類の蛍光体であるかを区別することができなかった。
特に、近年では、更なる偽造防止のため、単一の紙葉類に対して複数種類の蛍光体が付加される場合もあるたるため、ピーク波長が近い蛍光体同士をいかにして区別するかが大きな課題となっている。
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであって、励起光の照射によって励起される蛍光のピーク波長が互いに近い蛍光体同士を区別して検出することができる真偽判別装置、真偽判別方法および蛍光センサを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、蛍光体が付加された紙葉類の真偽を判別する真偽判別装置であって、前記紙葉類に対して励起光を照射する照射手段と、前記励起光の照射によって前記蛍光体から励起される蛍光のピーク波長を含んだ第1の波長領域の光を受光する第1の受光手段と、前記第1の受光手段によって受光される光を発した紙葉類上の領域と同一領域から発せられた光であり、かつ、前記第1の波長領域の近傍に位置する第2の波長領域の光を受光する第2の受光手段と、前記第1の受光手段からの出力および前記第2の受光手段からの出力に基づいて前記紙葉類に付加された蛍光体の種類を特定する特定手段と、前記特定手段による特定結果に基づいて前記紙葉類の真偽を判別する真偽判別手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記第1の受光手段および前記第2の受光手段は、前記紙葉類上の同一領域から励起される蛍光を受光するように同一平面に設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記特定手段は、前記第1の受光手段からの出力と前記第2の受光手段からの出力との比較値が所定の閾値以上である場合に、前記紙葉類に付加された蛍光体の種類を特定することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記特定手段は、前記第1の受光手段からの出力と前記第2の受光手段からの出力との比較値が所定の閾値未満である場合に、前記紙葉類に付加された蛍光体を第1の蛍光体と特定するとともに、前記比較値が所定の閾値以上である場合に、前記第1の蛍光体よりも帯域幅が狭い第2の蛍光体と特定することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記第1の受光手段によって受光される光を発した紙葉類上の領域と同一領域から発せられた光であり、かつ、前記第1の波長領域および前記第2の波長領域を含む第3の波長領域の光を受光する第3の受光手段をさらに備え、前記特定手段は、前記第1の受光手段からの出力および前記第2の受光手段からの出力を前記第3の受光手段からの出力に基づいて補正したうえで、前記蛍光体の種類を特定することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記特定手段は、前記第3の受光手段からの出力と予め設定された基準値との比較結果に基づいて前記第1の受光手段からの出力および前記第2の受光手段からの出力を補正したうえで、前記蛍光体の種類を特定することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記特定手段は、前記第3の受光手段からの出力のうち、蛍光体が付加された領域からの光に基づく出力と、蛍光体が付加されていない領域からの光に基づく出力との比較値が所定の閾値以上である場合に、前記紙葉類に付加された蛍光体を第1の蛍光体と特定するとともに、前記比較値が所定の閾値未満である場合に、前記第1の蛍光体よりも帯域幅が狭い第2の蛍光体と特定することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記特定手段は、前記第1の受光手段からの出力と前記第2の受光手段からの出力との比較値である第1の評価値、および、前記第3の受光手段からの出力のうち蛍光体が付加された領域からの光に基づく出力と蛍光体が付加されていない領域からの光に基づく出力との比較値である第2の評価値に基づき、前記紙葉類上に付加された蛍光体の種類を特定することを特徴とすることを特徴とする。
また、本発明は、蛍光体が付加された紙葉類の真偽を判別する真偽判別方法であって、前記紙葉類に対して励起光を照射する照射工程と、前記励起光の照射によって前記紙葉類上の同一領域から発せられる光のうち、前記蛍光体から励起される蛍光のピーク波長を含んだ第1の波長領域の光を第1の受光部を用いて受光するとともに、前記第1の波長領域の近傍に位置する第2の波長領域の光を第2の受光部を用いて受光する受光工程と、前記第1の受光部からの出力および前記第2の受光部からの出力に基づいて前記紙葉類に付加された蛍光体の種類を特定する特定工程と、前記特定工程による特定結果に基づいて前記紙葉類の真偽を判別する真偽判別工程とを含んだことを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、紙葉類へ付加された蛍光体を検出する蛍光センサであって、前記紙葉類に対して励起光を照射する照射手段と、前記励起光の照射によって前記蛍光体から励起される蛍光のピーク波長を含んだ第1の波長領域の光を受光する第1の受光手段と、前記第1の受光手段によって受光される光を発した紙葉類上の領域と同一領域から発せられた光であり、かつ、前記第1の波長領域の近傍に位置する第2の波長領域の光を受光する第2の受光手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記第1の受光手段は、第1の受光素子と、前記紙葉類からの光のうち前記蛍光体から励起される蛍光のピーク波長を含んだ第1の波長領域の光のみを透過させる第1のフィルタとを含み、前記第2の受光手段は、第2の受光素子と、前記紙葉類からの光のうち前記第1の波長領域の近傍に位置する第2の波長領域の光のみを透過させる第2のフィルタとを含み、前記第1の受光素子および前記第2の受光素子は、前記励起光の照射によって前記紙葉類上の同一領域から励起される蛍光を受光するように同一平面に設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記第1の受光手段によって受光される光を発した紙葉類上の領域と同一領域から発せられた光であり、かつ、前記第1の波長領域および前記第2の波長領域を含む第3の波長領域の光を受光する第3の検出手段をさらに備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記第1の受光手段、前記第2の受光手段、前記第3の受光手段および前記照射手段を含んだコア部を導電性材料からなるフレーム部へ収容して形成されることを特徴とする。
本発明によれば、照射手段が、紙葉類に対して励起光を照射し、第1の受光手段が、励起光の照射によって蛍光体から励起される蛍光のピーク波長を含んだ第1の波長領域の光を受光し、第2の受光手段が、第1の受光手段によって受光される光を発した紙葉類上の領域と同一領域から発せられた光であり、かつ、第1の波長領域の近傍に位置する第2の波長領域の光を受光し、特定手段が、第1の受光手段からの出力および第2の受光手段からの出力に基づいて紙葉類に付加された蛍光体の種類を特定し、真偽判別手段が、特定手段による特定結果に基づいて紙葉類の真偽を判別することとしたため、励起光の照射によって励起される蛍光のピーク波長が互いに近い蛍光体同士を区別して検出することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、第1の受光手段および第2の受光手段が、紙葉類上の同一領域から励起される蛍光を受光するように同一平面に設けられることとしたため、紙葉類上の同一領域からの蛍光を簡易な構成で第1の受光手段および第2の受光手段へ受光させることができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、特定手段が、第1の受光手段からの出力と第2の受光手段からの出力との比較値が所定の閾値以上である場合に、紙葉類に付加された蛍光体の種類を特定することとしたため、ピーク波長が互いに近い蛍光体のうち、帯域幅の狭い蛍光体を区別して検出することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、特定手段が、第1の受光手段からの出力と第2の受光手段からの出力との比較値が所定の閾値未満である場合に、紙葉類に付加された蛍光体を第1の蛍光体と特定するとともに、比較値が所定の閾値以上である場合に、第1の蛍光体よりも帯域幅が狭い第2の蛍光体と特定することとしため、ピーク波長が互いに近い2種類の蛍光体が紙葉類上へ付加されているであっても、これらを区別して検出することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、第1の受光手段によって受光される光を発した紙葉類上の領域と同一領域から発せられた光であり、かつ、第1の波長領域および第2の波長領域を含む第3の波長領域の光を受光する第3の受光手段をさらに備え、特定手段が、第1の受光手段からの出力および第2の受光手段からの出力を第3の受光手段からの出力に基づいて補正したうえで、蛍光体の種類を特定することとしたため、ピーク波長が互いに近い蛍光体同士をより精度良く区別することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、特定手段が、第3の受光手段からの出力と予め設定された基準値との比較結果に基づいて第1の受光手段からの出力および第2の受光手段からの出力を補正したうえで、蛍光体の種類を特定することとしたため、ピーク波長が互いに近い蛍光体同士をより精度良く区別することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、特定手段が、第3の受光手段からの出力のうち、蛍光体が付加された領域からの光に基づく出力と、蛍光体が付加されていない領域からの光に基づく出力との比較値が所定の閾値以上である場合に、紙葉類に付加された蛍光体を第1の蛍光体と特定するとともに、比較値が所定の閾値未満である場合に、第1の蛍光体よりも帯域幅が狭い第2の蛍光体と特定することとしたため、ピーク波長が互いに近い2種類の蛍光体が紙葉類上へ付加されているであっても、これらを区別して検出することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、特定手段が、第1の受光手段からの出力と第2の受光手段からの出力との比較値である第1の評価値、および、第3の受光手段からの出力のうち蛍光体が付加された領域からの光に基づく出力と蛍光体が付加されていない領域からの光に基づく出力との比較値である第2の評価値に基づき、紙葉類上に付加された蛍光体の種類を特定することとしたため、ピーク波長が互いに近い蛍光体同士をより精度良く区別することができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る真偽判別装置、真偽判別方法および蛍光センサの実施例を詳細に説明する。
まず、実施例の詳細な説明に先立って、本発明に係る真偽判別手法の概要について図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る真偽判別手法の概要を示す図である。なお、同図の(A)には、本発明に係る真偽判別手法に用いられる蛍光センサの概要について、同図の(B)には、ナローインクおよびブロードインクの判別方法について、それぞれ示している。
ここで、「ナローインク」とは、紫外線が照射された場合に狭帯域の蛍光スペクトルを呈する蛍光体が含有された蛍光体含有インクである。また、「ブロードインク」とは、紫外線が照射された場合に広帯域の蛍光スペクトルを呈する蛍光体が含有された蛍光体含有インクである。
図1の(A)に示したように、商品券等の紙葉類には、偽造防止の観点から、肉眼では確認できない蛍光体含有インクが付加される場合がある。かかる蛍光体含有インクは、所定の励起光(たとえば、紫外線)が照射されると、含有する蛍光体に応じたピーク波長の蛍光を発光する。従来では、かかるピーク波長の光を検出することによって、紙葉類に付加された蛍光体含有インクの検出を行っていた。
ところが、近年では、ピーク波長が互いに近い蛍光体含有インクであるブロードインクおよびナローインクが紙葉類へ付加される場合がある。このような場合、従来技術では、これらブロードインクとナローインクとを区別して検出することができなかった。
一方、ナローインクから励起される蛍光の帯域幅は、ブロードインクから励起される蛍光の帯域幅と比較して狭いことが知られている。そこで、本発明に係る真偽判別手法では、帯域幅の違い(すなわち、ピークの急峻度)を検出することによって、ブロードインクとナローインクとを区別して検出することとした。
まず、本発明に係る真偽判別手法では、図1の(A)に示したように、励起光の照射によって紙葉類上の同一範囲から発せられる光を第1のフィルタを介して第1の受光部へ受光させると共に、第2のフィルタを介して第2の受光部へ受光させる。
具体的には、第1のフィルタは、ブロードインクおよびナローインクのピーク波長である第1の波長の光を透過させるバンドパスフィルタである(図1の(A-1)参照)。また、第2のフィルタは、第1の波長の近傍に位置する第2の波長の光を透過させるバンドパスフィルタである(図1の(A-2)参照)。
すなわち、本発明に係る真偽判別手法では、第1の受光部が、ブロードインクおよびナローインクのピーク波長を含む第1の波長の光を受光し、第2の受光部が、第1の波長の近傍に位置する第2の波長の光を受光する。
ここで、蛍光体から励起される蛍光は、その性質上、比較的広範囲に拡散することが知られている。本発明に係る真偽判別手法では、かかる性質を利用し、紙葉類上の同一範囲から励起される蛍光の照射範囲内に第1の受光部および第2の受光部を設けることで、紙葉類上の同一領域からの蛍光を簡易な構成で各受光部へ受光させることとしている。
そして、本発明に係る真偽判別手法では、第1の受光部からの出力および第2の受光部からの出力に基づいて紙葉類に付加された蛍光体の種類を特定する。なお、ここで言う「種類」とは、インクの特性を示すものである。
具体的には、図1の(B)に示したように、ナローインクから励起される蛍光の帯域幅は、ブロードインクから励起される蛍光の帯域幅よりも狭い。このため、ピーク波長のスペクトル強度とピーク波長近傍のスペクトル強度との差分は、ブロードインクと比較してナローインクの方が大きくなる。すなわち、ナローインクに対して励起光を照射すると、第1の受光部からの出力と第2の受光部からの出力との比較値(たとえば、差分値)が、ブロードインクと比較して大きくなる。
これを利用して、本発明に係る真偽判別手法では、第1の受光部からの出力および第2の受光部からの出力との比較値が所定の閾値以上である場合には、紙葉類上に付加された蛍光体含有インクをナローインクと特定し、閾値未満である場合にはブロードインクと特定することとした。そして、本発明に係る真偽判別手法では、蛍光体含有インクの特定結果に基づいて紙葉類の真偽を判別する。
このように、本発明に係る真偽判別手法では、紙葉類上の同一領域から発せられた光のうち、第1の受光部が、励起光の照射によって蛍光体から励起される蛍光のピーク波長を含んだ第1の波長領域の光を受光し、第2の受光部が、第1の波長領域の近傍に位置する第2の波長領域の光を受光する。
そして、本発明に係る真偽判別手法では、第1の受光部からの出力および第2の受光手段からの出力に基づいて紙葉類に付加された蛍光体の種類を特定することとした。したがって、励起光の照射によって励起される蛍光のピーク波長が互いに近い蛍光体同士を区別して検出することができる。
ところで、ここでは、第2の波長の位置を単に第1の波長の近傍としたが、第2の波長の位置は、ナローインクやブロードインクのスペクトル波形に基づいてより具体的に決定されてもよい。たとえば、本発明に係る真偽判別手法では、第1の検出部からの出力と第2の検出部からの出力との比較値が、ナローインクとブロードインクとの間で最も大きく現れる波長を第2の波長として決定することもできる。これによって、ナローインクとブロードインクとをより精度良く区別することができる。
また、本発明に係る真偽判別手法では、第1の波長および第2の波長を含む波長領域の光を受光する第3の受光部をさらに設けている。そして、本発明に係る真偽判別手法では、第3の受光部からの出力をさらに用いて蛍光体含有インクの特定精度を向上させることとしている。なお、かかる点の詳細については、後述することとする。
以下では、図1を用いて説明した真偽判別手法を適用した真偽判別装置、真偽判別方法および蛍光センサについての実施例を詳細に説明する。なお、以下では、真偽判別の対象となる紙葉類に対してブロードインクとナローインクの2種類の蛍光体含有インクが付加される場合について説明する。また、紙葉類は、商品券、証券、証書、小切手類、紙幣等を含む。
まず、真偽判別装置1の構成について図2を用いて説明する。図2は、真偽判別装置1の構成を示すブロック図である。同図に示すように、真偽判別装置1は、蛍光センサ11と、その他センサ12と、記憶部13と、制御部14とを備えている。また、制御部14は、蛍光体特定部14aと、判別部14bとを備えている。
なお、ここでは、真偽判別装置1の特徴点を説明するために必要と考える構成要素のみを示している。真偽判別装置1のより具体的な構成については、図8等を用いて後述することとする。
蛍光センサ11は、紙葉類に対して励起光を照射することによって紙葉類へ付加された蛍光体含有インクを検出するセンサである。本実施例では、蛍光体含有インクとして、ナローインクとブロードインクとが紙葉類へ付加されている。
ここで、ナローインクおよびブロードインクの分光特性について図3を用いて説明しておく。図3は、ナローインクおよびブロードインクの分光特性を示す図である。なお、同図の(A)には、ナローインクとブロードインクとが付加された紙葉類の一例を示し、同図の(B)には、ナローインクおよびブロードインクの分光特性を示している。
図3の(A)に示したように、紙葉類には、ナローインクとブロードインクとがそれぞれ所定の領域に付加されている。なお、真偽判別装置1は、ナローインクの付加領域およびブロードインクの付加領域を紙葉類の種別ごとにテンプレートとして記憶しているものとする。
たとえば、本実施例では、図3の(B)に示したように、ナローインクおよびブロードインクから励起される蛍光は、何れも613nmにピーク波長を有している。一方、ナローインクから励起される蛍光は、帯域幅の狭い(急峻な)ピークであるナローピークを示し(図3の(B-1)参照)、ブロードインクから励起される蛍光は、帯域幅の広い(緩やかな)ピークであるブロードピークを示す(図3の(B-2)参照)。
なお、図3の(B)に示した第1の波長領域および第2の波長領域は、それぞれ後述する第1受光部111aおよび第2受光部111bが受光する光の波長領域を示している。
つづいて、蛍光センサ11の構成について図4を用いて説明する。図4は、蛍光センサ11の構成を示す図である。なお、同図の(A)には、蛍光センサの概略的な断面図を、同図の(B)には、4分割フォトダイオード、バンドパスフィルタおよびUVカットフィルタの配置関係を、それぞれ示している。
図4の(A)に示すように、蛍光センサ11は、UV_LED111と、UV透過フィルタ112と、UV反射フィルタ113と、ウィンドウ114とを備えている。また、蛍光センサ11は、4分割フォトダイオード115と、2種類のバンドパスフィルタ116a,116bと、UVカットフィルタ117とを備えている。
UV_LED111は、蛍光体含有インクを蛍光反応させるための励起光を照射する光源である。具体的には、UV_LED111は、励起光としての紫外線を照射する。UV透過フィルタ112は、紫外線を透過させ、可視光を遮断するフィルタであり、UV_LED111とUV反射フィルタ113との間に設けられる。
UV反射フィルタ113は、UV_LED111からUV透過フィルタ112を介して照射された紫外線を反射させて紙葉類へ照射するためのフィルタである。また、UV反射フィルタ113は、紫外線の照射によって紙葉類から発せられた光のうち、可視光を透過させて4分割フォトダイオード115に受光させるためのフィルタでもある。ウィンドウ114は、UV反射フィルタ113と紙葉類との間に設けられる透光窓である。
すなわち、UV_LED111から照射された紫外線は、UV透過フィルタ112を通過したのち、UV反射フィルタ113によって紙葉類に垂直に入射する方向へ反射されて紙葉類へ到達する。また、紫外線の照射によって紙葉類から拡散された蛍光は、UV反射フィルタ113を通過したのち、バンドパスフィルタ116a,116bまたはUVカットフィルタ117を介して4分割フォトダイオード115へ到達することとなる。
4分割フォトダイオード115は、4つの受光部115a~115dを2×2の枡状(田の字状)に配列した受光ユニットである(図4の(B)参照)。なお、4分割フォトファイオード115としては、たとえば、浜ホトニクス製S5980「分割型フォトダイオード」を使用することができる。この分割型フォトダイオードは、同一の波長領域の光を4点同時に検出するものであり、たとえば、位置検出やレーザ光軸合わせなどに用いられる。この4分割された受光部は、図4の(B)に示したように、同一平面上に設けられている。
本実施例では、4分割フォトダイオード115の各受光部115a~115d上にそれぞれバンドパスフィルタ116a,116bまたはUVカットフィルタ117を設けることによって、各受光部115a~115dに対してそれぞれ異なる波長領域の光を受光させることとした。
バンドパスフィルタ116a,116bは、紙葉類からUV反射フィルタ113を介して4分割フォトダイオード115へ照射される可視光のうち、それぞれ異なる波長領域の可視光を透過させるフィルタであり、紙面手前側と奥側にそれぞれ設けられている。
具体的には、バンドパスフィルタ116aは、ナローインクおよびブロードインクのピーク波長である613nmを中心とする12nmの波長領域(第1の波長領域)の可視光を透過させる。また、バンドパスフィルタ116bは、613nmの近傍に位置する600nmを中心とする12nmの波長領域(第2の波長領域)の可視光を透過させる。
UVカットフィルタ117は、紫外線を遮断し、第1の波長領域および第2の波長領域を含んだ全可視光領域の可視光を透過させるフィルタである。
4分割フォトダイオード115は、第1受光部115aと、第2受光部115bと、第3受光部115cと第4受光部115dとを備えている。そして、第1受光部115aには、バンドパスフィルタ116aが設けられ、第2受光部115bには、バンドパスフィルタ116bが設けられている。また、第3受光部115cおよび第4受光部115dには、UVカットフィルタ117が設けられている。
これによって、4分割フォトダイオード115では、それぞれ異なる3つの波長領域の可視光を受光することとなる。具体的には、4分割フォトダイオード115では、第1受光部115aが、ナローインクおよびブロードインクのピーク波長(613nm)を含む第1の波長領域の可視光を受光し、第2受光部115bが、第1の波長領域の近傍に位置する第2の波長領域の可視光を受光する。また、第3受光部115cおよび第4受光部115dが、全可視光領域の可視光を受光する。
ここで、本実施例に係る蛍光センサでは、蛍光体から励起される蛍光が比較的広範囲に拡散することを利用し、4つの受光部115a~115dを紙葉類から励起される蛍光の照射範囲内に配置することとしている。すなわち、本実施例に係る蛍光センサは、4つの受光部115a~115dが、紙葉類上の同一領域から励起される蛍光を受光するように同一平面に設けられている。したがって、紙葉類上の同一領域から励起される蛍光を簡易な構成で各受光部115a~115dへ受光させることができる。
しかも、このような構成とすることによって、紙葉類から励起される蛍光を集光するレンズや、レンズによって集光された蛍光を各受光部へ投光するビームスプリッタ等を設ける必要がなくなる。したがって、蛍光センサを小型化させることができ、製造コストも抑えることができる。
つづいて、蛍光センサ11の受光回路部の構成について図5を用いて説明しておく。図5は、蛍光センサ11の受光回路部の構成を示す図である。
図5に示すように、第1受光部115aから出力された信号は、アンプ120aによって増幅され、AD(Analog-Digital)変換部122aによってデジタル信号へ変換されて613nm中心領域データとして記憶部13に記憶される。以下では、かかる613nm中心領域データを「出力値A」と呼ぶこととする。同様に、第2受光部115bから出力された信号は、アンプ120bによって増幅され、AD変換部122bによってデジタル信号へ変換されて600nm中心領域データとして記憶部13に記憶される。以下では、かかる600nm中心領域データを「出力値B」と呼ぶこととする。
また、第3受光部115bおよび第4受光部115dから出力された信号は、アンプ120cによって増幅され、AD変換部122cによってデジタル信号へ変換されて可視全域データとして記憶部13に記憶される。以下では、かかる可視全域データを「出力値C」と呼ぶこととする。
ここで、図5に示したように、受光回路部には、各アンプ120a~120cのゲイン値を調整するゲイン調整部121a~121cが設けられている。蛍光センサ11は、これらゲイン調整部121a~121cを用いて各アンプ120a~120cのゲイン値を個別に調整することによって、バンドパスフィルタ116a,116bやUVカットフィルタ117の影響により受光条件がそれぞれ異なる受光部115a~115dから、出力値A~Cを適切に取り出すことができる。
図2へ戻り、その他の構成要素について説明する。その他センサ12は、紙葉類の真偽判別のために設けられる蛍光センサ11以外のセンサである。ここで、その他センサ12としては、たとえば、紙葉類の通過を検知する通過センサや紙葉類の画像データを取得するラインセンサ、磁気によって紙葉類の情報を読み取る磁気センサ等がある。記憶部13は、蛍光センサ11から出力される出力値A~出力値Cを記憶する記憶デバイスである。
制御部14は、蛍光体の種別を特定し、特定結果に基づいて紙葉類の真偽を判別する処理部である。蛍光体特定部14aは、記憶部13から出力値A~Cを取り出し、取り出した出力値A~Cに基づいて紙葉類へ付加された蛍光体含有インクがナローインクであるかブロードインクであるかを特定する処理部である。また、蛍光体特定部14aは、蛍光体含有インクの特定結果を判別部14bへ渡す処理も行う。
判別部14bは、蛍光体特定部14aによる蛍光体含有インクの特定結果やその他センサ12からの出力結果に基づいて紙葉類の真偽を判別する処理部である。
ここで、蛍光体特定部14aによる蛍光体特定処理について図6および図7を用いて説明する。まず、4分割フォトダイオード115からの出力結果について図6を用いて説明する。図6は、4分割フォトダイオード115からの出力結果を示す図である。
ここで、図6の左側には、ナローインクから励起された蛍光を受光した場合の出力結果を、図6の右側には、ブロードインクから励起された蛍光を受光した場合の出力結果を、それぞれ示している。また、図6の(A)には出力値A(図5の613nm中心領域データ)のグラフを、図6の(B)には出力値B(図5の600nm中心領域データ)のグラフを、図6の(C)には出力値Aから出力値Bを減算した値のグラフを、図6の(D)には出力値C(図5の可視全域データ)のグラフを、それぞれ示している。なお、図6の(A)~(D)に示したグラフの横軸は、紙葉類上の位置を示し、縦軸は、電圧を示している。
図6の(A)に示したように、第1の波長領域の出力結果である出力値Aのち、ナローインク付加領域における出力値Aおよびブロードインク付加領域における出力値Aは、何れも高い値を示している。これは、図3の(B)に示したように、ナローインクから励起される蛍光およびブロードインクから励起される蛍光が、ともに第1の波長領域内にピークを有するためである。
一方、図6の(B)に示したように、第2の波長領域の出力結果である出力値Bのち、ナローインク付加領域における出力値Bとブロードインク付加領域における出力値Bとを比較すると、ナローインク付加領域における出力値Bの方がより小さい値を示していることがわかる。これは、ナローインクおよびブロードインクのスペクトルの急俊度の違いによるものである。すなわち、図3の(B)に示したように、ナローインクの帯域幅がブロードインクの帯域幅よりも狭いため、ピーク波長近傍のスペクトル強度が、ブロードインクと比較して小さくなるのである。
このため、図6の(C)に示したように、出力値Aから出力値Bを差し引くと、ナローインク付加領域における値は、ブロードインク付加領域における値よりも大きくなる。
蛍光体特定部14aは、かかる出力値Aと出力値Bとの比較結果に基づいて蛍光体がナローインクであるかブロードインクであるかを特定する。ここで、蛍光体特定部14aによる蛍光体特定処理の動作例について図7を用いて説明する。
図7は、蛍光体特定部14aの判定例を示す図である。なお、同図の(A)には、評価値1を用いて蛍光体を特定する場合の判定例を、同図の(B)には、評価値2を用いて蛍光体を特定する場合の動作例を、同図の(C)には、総合評価値を用いて蛍光体を特定する場合の判定例を、それぞれ示している。
図7の(A)に示したように、評価値1は、スペクトルの急俊度に基づく評価値である。具体的には、評価値1は、出力値Aから出力値Bを減算した値を出力値Cで除算することによって得られる(図7の(A-1)参照)。
そして、蛍光体特定部14aは、評価値1が大きい場合、すなわち、評価値1が所定の閾値以上である場合には、紙葉類へ付加された蛍光体をナローインクと特定する。一方、蛍光体特定部14aは、評価値1が小さい場合、すなわち、評価値1が所定の閾値未満である場合には、紙葉類へ付加された蛍光体をブロードインクと特定する(図7の(A-2)参照)。
ここで、蛍光体特定部14aは、評価値1として、単に出力値Aから出力値Bを減算した値を使用するのではなく、かかる値を可視全域データである出力値Cで除算した値を使用することとしている。このように、本実施例では、第1受光部115aからの出力値Aおよび第2受光部115bからの出力値Bを第3受光部115cおよび第4受光部115dからの出力値Cに基づいて補正(正規化)したうえで、蛍光体の種類を特定することとした。したがって、評価値1と所定の閾値との比較をより正確に行うことができ、ナローインクとブロードインクとをより精度良く区別することが可能となる。
なお、ここでは、出力値Aから出力値Bを差し引くこととしたが、これに限ったものではなく、出力値Bを出力値Aで減算した値の絶対値を用いてもよい。また、出力値Aを出力値Bで除算した値や出力値Bを出力値Aで除算した値、すなわち、出力値Aと出力値Bとの比率を用いることもできる。このように、評価値1は、出力値Aと出力値Bとの比較値であればよい。
また、ここでは、出力値Aと出力値Bとの比較値を出力値Cで除算することによってかかる比較値の補正を行うこととしたが、比較値の補正方法は、これに限ったものではない。たとえば、出力値Cと予め設定された基準値との比較結果に基づいて、出力値Aと出力値Bとの比較値を補正してもよい。
すなわち、蛍光体特定部14aは、出力値Cが基準値の2/3である場合には、出力値Aと出力値Bとの減算値を3/2倍したものを評価値1'とする。これによっても、評価値1'と閾値との比較をより正確に行うことができ、ナローインクとブロードインクとをより精度良く区別することが可能となる。
ところで、これまでは、出力値Aと出力値Bとの比較値である評価値1を用いてナローインクとブロードインクとを区別する場合について説明したが、蛍光体特定部14aは、出力値Cのみを用いてナローインクとブロードインクとを区別することもできる。以下、かかる点について説明する。
図6の(D)に示したように、可視全域データである出力値Cのうち、ブロードインク付加領域の値(図6の(D-1)参照)とブロードインクが付加されていない隣接領域の値(図6の(D-2)参照)との差は、ナローインク付加領域の値(図6の(D-3)参照)とナロードインクが付加されていない隣接領域の値(図6の(D-4)参照)との差と比較して大きいことがわかる。これは、ナローインクおよびブロードインクのスペクトル面積の差によるものと考えられる。
すなわち、図3の(B)に示したように、ナローインクのスペクトル面積は、ブロードインクのスペクトル面積よりも小さい。このため、紙葉類上の蛍光体含有インクが付加された領域と蛍光体含有インクが付加されていない領域とのスペクトル面積の差は、ブロードインクの方が大きくなると考えられる。そこで、蛍光体特定部14aは、かかる出力値Cに基づいて蛍光体の特定を行うこともできる。
具体的には、図7の(B)に示したように、スペクトル面積に基づく評価値である評価値2は、インク付加領域の出力値Cからインクが付加されていない隣接領域の出力値Cを減算することによって得られる(図7の(B-1)参照)。
そして、蛍光体特定部14aは、評価値2が大きい場合、すなわち、評価値2が所定の閾値以上である場合には、紙葉類へ付加された蛍光体をブロードインクと特定する。一方、蛍光体特定部14aは、評価値2が小さい場合、すなわち、評価値2が所定の閾値未満である場合には、紙葉類へ付加された蛍光体をナロードインクと特定する(図7の(B-2)参照)。
このように、蛍光体特定部14aは、出力値C(図5の可視全域データ)のうち、蛍光体が付加された領域からの光に基づく出力値Cと、蛍光体が付加されていない領域からの光に基づく出力値Cとの比較値が所定の閾値以上である場合には、紙葉類に付加された蛍光体をブロードインクと特定する。また、蛍光体特定部14aは、比較値が所定の閾値未満である場合には、紙葉類に付加された蛍光体をナローインクと特定する。したがって、ピーク波長が互いに近い蛍光体同士を単一の受光部を用いて区別することができる。
さらに、蛍光体特定部14aは、評価値1および評価値2の両方を考慮して蛍光体含有インクの特定を行うこともできる。具体的には、図7の(C)に示したように、評価値1および評価値2の考慮した総合評価値は、評価値1に対して重み付け係数m1を乗じた値から評価値2に対して重み付け係数m2を乗じた値を減算することによって得られる。
ここで、本実施例では、信頼性のより高い評価値1をメインの評価値として使用するため、重み付け係数m1の値を重み付け係数m2の値よりも大きく設定する。なお、m1およびm2はともに正の数である。
このように、評価値1と評価値2とに基づいて紙葉類上に付加された蛍光体の種類を特定することとすれば、ナローインクとブロードインクとをより精度良く区別することができる。すなわち、実際にはブロードインクであるにもかかわらず、評価値1が所定の閾値よりもわずかに高いためにナロードインクと誤って特定されるような場合であっても、評価値2も含めて総合的に評価することによって、ブロードインクと特定することができる。
上述してきたように、本実施例では、UV_LED111が、紙葉類に対して励起光を照射し、第1受光部が、励起光の照射によって蛍光体から励起される蛍光のピーク波長を含んだ第1の波長領域の光を受光し、第2受光部が、第1受光部によって受光される光を発した紙葉類上の領域と同一領域から発せられた光であり、かつ、第1の波長領域の近傍に位置する第2の波長領域の光を受光することとした。
また、本実施例では、蛍光体特定部が、第1受光部からの出力および第2受光部からの出力に基づいて紙葉類に付加された蛍光体の種類を特定し、判別部が、蛍光体特定部による特定結果に基づいて紙葉類の真偽を判別することとした。したがって、励起光の照射によって励起される蛍光のピーク波長が互いに近い蛍光体同士を区別して検出することができる。
次に、真偽判別装置1の全体構成について図8を用いて説明しておく。図8は、真偽判別装置1の全体構成を示す図である。なお、同図では、本実施例に係る真偽判別装置1が、紙葉類の真偽を判別する(すなわち、紙葉類を識別する)だけでなく、紙葉類の計数も行う識別計数装置である場合について示している。
図8に示したように、真偽判別装置1は、識別および計数が行われるべき複数の紙葉類Pが積層状態で載置される載置部24と、載置部24に載置された積層状態の紙葉類Pのうち最下層にある紙葉類Pを筐体22の内部に1枚ずつ繰り出すための繰出部26と、繰出部26により筐体22の内部に繰り出された紙葉類Pを1枚ずつ搬送するための搬送部32と、を備えている。
そして、搬送部32には、本実施例に係る蛍光センサ11やその他センサ12を備えた識別計数ユニット34が設けられている。この識別計数ユニット34は、載置部24から筐体22の内部に繰り出された紙葉類Pの識別を蛍光センサ11やその他センサ12を用いて行う識別計数装置である。なお、かかる識別計数ユニット34の構成については、図9を用いて後述することとする。
繰出部26は、載置部24に積層状態で載置された複数の紙葉類Pのうち最下層にある紙葉類Pの表面に当接するキッカローラ26aと、紙葉類Pの繰出方向においてキッカローラ26aの下流側に配置され当該キッカローラ26aにより送り込まれた紙葉類Pの筐体22の内部への繰り出しを行うフィードローラ26bとを有している。また、フィードローラ26bに対向してゲートローラ(逆転ローラ)26cが設けられており、フィードローラ26bとゲートローラ26cとの間にゲート部が形成されている。
キッカローラ26aにより送り込まれた紙葉類Pは、ゲート部を通過して1枚ずつ筐体22内の搬送部32に繰り出されるようになっている。図8に示したように、識別計数ユニット34よりも下流側の箇所において搬送部32は、2つの搬送路に分岐しており、一方の搬送路には集積部36が接続されており、他方の搬送路にはリジェクト部40が接続されている。
識別計数ユニット34を通過した紙葉類Pは、搬送部32により集積部36またはリジェクト部40に選択的に送られるようになっている。集積部36の前面(図8における右側の面)には開口が設けられており、操作者はこの開口を介して集積部36に集積された紙葉類Pを取り出すことができるようになっている。また、リジェクト部40の前面にも開口が設けられており、操作者はこの開口を介してリジェクト部40に集積された紙葉類P’を取り出すことができるようになっている。
図8に示したように、搬送部32における2つの搬送路に分岐する箇所には、分岐部材とその駆動部(図示せず)とからなる分岐部41が設けられており、この分岐部41により、当該分岐部41の上流側から送られた紙葉類Pが、分岐した2つの搬送路のうちいずれか一方の搬送路に選択的に送られるようになっている。
集積部36は、筐体22の背面側の位置(図8の集積部36における左側の位置)において羽根車式集積機構38を有している。この羽根車式集積機構38は、羽根車38aとその駆動部(図示せず)とからなり、羽根車38aは、図8の紙面に対して直交する、略水平方向に延びる軸を中心として図8における時計回りの方向(図8における矢印方向)に回転するようになっている。羽根車38aには、外周面から回転方向とは逆方向(図8における反時計回りの方向)の外方に延びる複数の羽根38bが設けられている。これらの羽根38bは、図8に示すように羽根車38aの外周面において等間隔に設けられている。
羽根車式集積機構38の羽根車38aは、真偽判別装置1の動作中、駆動部により常に図8における時計回りに回転させられるようになっており、この羽根車38aには、搬送部32から紙葉類Pが1枚ずつ送られるようになっている。そして、羽根車38aは、搬送部32から送られた紙葉類Pを2枚の羽根38bの間に受け止めてこの羽根38b間に受け止められた紙葉類Pを集積部36に送るようになっている。このようにして、集積部36には羽根車38aから紙葉類Pが1枚ずつ送られ、この集積部36において複数の紙葉類Pが集積される。
真偽判別装置1には、集積部36の前面に設けられた開口を閉止するためのシャッター50が設けられており、このシャッター50により集積部36の前面の開口が選択的に閉止されるようになっている。このシャッター50は、当該シャッター50の駆動を行うシャッター駆動部(図示せず)により、集積部36の前面の開口から退避して当該開口を開く開口位置と、集積部36の前面の開口を閉止する閉止位置との間で移動させられるようになっている。すなわち、シャッター50が開口位置にあるときには、シャッター50は集積部36の前面の開口から退避して当該開口は開かれることとなり、操作者は集積部36に集積された紙葉類Pにアクセスすることができるようになる。
一方、シャッター50が閉止位置にあるときには、集積部36の前面の開口はシャッター50により開止され、操作者は集積部36に集積された紙葉類Pにアクセスすることができない。なお、図8において、開口位置にあるときのシャッター50を実線で、閉上位置にあるときのシャッター50を二点鎖線で示している。
また、図8に示すように、真偽判別装置1には様々なセンサが設けられている。具体的には、載置部24には、当該載置部24に紙葉類Pが残留しているか否かを検出するための反射式の光センサからなる載置部残留紙葉類検出センサ62が設けられている。また、搬送部32における分岐部41の上流側には、光センサからなる分岐用タイミングセンサ64が設けられている。分岐部41の分岐部材は、紙葉類Pが分岐用タイミングセンサ64により検出されたタイミングで、紙葉類Pを集積部36に送る位置またはリジェクト部40に送る位置のいずれかの位置に移動することとなる。
また、分岐部41が設置された箇所で分岐される2つの搬送路のうち集積部36側の搬送路には、当該搬送路に送られた紙葉類Pの検出を行う光センサからなる紙葉類通過検出センサ66が設けられている。この紙葉類通過検出センサ66によって、分岐部41により紙葉類Pが集積部36側の搬送路に送られたことが検出される。
また、集積部36には、当該集積部36に紙葉類Pが集積されているか否かを検出するための光センサからなる集積部紙葉類検出センサ68が設けられている。さらに、リジェクト部40には、当該リジェクト部40に紙葉類P’が集積されているか否かを検出するための光センサからなるリジェクト部紙葉類検出センサ70が設けられている。
また、図2に示したように、真偽判別装置1には、当該真偽判別装置1の各構成要素を制御するための制御部14が設けられている。具体的には、制御部14には、繰出部26、搬送部32、識別計数ユニット34、羽根車式集積機構38を含む集積部36、および分岐部41等がそれぞれ接続されている。
そして、制御部14の蛍光体特定部14aは、識別計数ユニット34に設けられた蛍光センサ11からの出力結果に基づいて紙葉類に付加された蛍光体含有インクを特定する。また、制御部14の判別部14bは、蛍光体特定部14aによる蛍光体含有インクの特定結果やその他センサ12からの出力結果に基づいて紙葉類の真偽を判別する。
また、制御部14は、紙葉類の真偽判別の結果に基づき、繰出部26、搬送部32、集積部36、および分岐部41等に指令信号を送りこれらの構成要素の制御を行うようになっている。
また、制御部14には、載置部残留紙葉類検出センサ62、分岐用タイミングセンサ64、紙葉類通過検出センサ66、集積部紙葉類検出センサ68、リジェクト部紙葉類検出センサ70がそれぞれ接続されており、これらのセンサから検出結果がそれぞれ送られるようになっている。また、制御部14には操作表示部42が接続されている。図8に示したように、操作表示部42は、筐体22の前面に設けられた操作表示デバイスである。この操作表示部42には、真偽判別装置1による紙葉類Pの処理状況、より具体的には、識別計数ユニット34により計数された紙葉類Pの金種毎の枚数や合計金額等の情報が表示されるようになっている。また、操作者が操作表示部42により制御部14に対して様々な指令を与えることができるようになっている。
ここで、図8に示した識別計数ユニット34の構成について図9を用いて説明しておく。図9は、識別計数ユニット34の構成を示す図である。なお、同図の(A)には、識別計数ユニット34の構成を、同図の(B)には、蛍光センサ11の配置例を、それぞれ示している。
図9の(A)に示したように、識別計数ユニット34は、通過センサ301a~301dと、ラインセンサ302と、磁気センサ303と、厚み検知センサ304と、蛍光センサ11とを備えている。なお、通過センサ301a~301d、ラインセンサ302、磁気センサ303および厚み検知センサ304は、図2に示したその他センサ12に相当するものである。
通過センサ301a~301dは、紙葉類の通過を検知するセンサである。具体的には、通過センサ301a,301bは、搬送部32の上流側に設けられ、通過センサ301c,301dは、搬送部32の下流側に設けられている。通過センサ301a~301dは、紙葉類を検知すると、検知結果を制御部14へ渡す。なお、制御部14では、通過センサ301a,301bが紙葉類を検知したことを契機として、蛍光センサ11、ラインセンサ302、磁気センサ303および厚み検知センサ304によるサンプリングを開始させることとなる。
ラインセンサ302は、紙葉類の画像データを取得するセンサである。ラインセンサ302は、紙葉類の画像データを取得すると、取得した画像データを図示しないメモリへ格納する。磁気センサ303は、磁気によって紙葉類の情報を読み取るセンサである。この磁気センサ303もラインセンサ302と同様に、紙葉類から読み取った情報を図示しないメモリへ格納する。
厚み検知センサ304は、紙葉類の厚みを検出するセンサであり、ラインセンサ302や磁気センサ303と同様、検出結果を図示しないメモリへ格納する。なお、制御部14の判別部14bは、かかるメモリに記憶された各センサの検出結果および蛍光体特定部14aによる特定結果を用いて紙葉類の真偽判別を行うこととなる。
なお、図9の(B)に示したように、識別計数ユニット34は、ラインセンサ302と対向する位置にLED光源305を備えている(図9の(B-1)参照)。そして、ラインセンサ302は、ラインセンサ302から発せられ、紙葉類によって反射された反射光に基づく画像データと、LED光源305から発せられ、紙葉類によって透過された透過光に基づく画像データとを取得する。
また、識別計数ユニット34は、蛍光センサ11と対向する位置に紫外透過センサ306を備えている(図9の(B-2)参照)。かかる紫外透過センサ306は、蛍光センサ11から発せられた紫外線のうち、紙葉類を透過した紫外線を検知するためのセンサである。
次に、本実施例に係る真偽判別装置1の具体的動作について説明する。まず、蛍光体特定部14aによる蛍光体特定処理の処理手順について図10を用いて説明する。図10は、本実施例に係る蛍光体特定処理の処理手順を示すフローチャートである。
図10に示すように、真偽判別装置1では、通過センサ301a,301bが、紙葉類を検知すると(ステップS101)、蛍光センサ11が励起光である紫外線の照射を開始する(ステップS102)。ここで、4分割フォトダイオード115の各受光部115a~115dは、紫外線の照射によって紙葉類から発せられた光をバンドパスフィルタ116a,116bあるいはUVカットフィルタ117を介して受光する。また、各受光部115a~115dからの出力信号は、それぞれアンプ120a~120cおよびAD変換部122a~122cを経て、出力値A~Cとして記憶部13に記憶される。
つづいて、真偽判別装置1では、蛍光体特定部14aが、記憶部13から出力値A~Cを取得し(ステップS103)、評価値1および評価値2をそれぞれ算出する(ステップS104)。また、蛍光体特定部14aは、算出した評価値1および評価値2を用いて総合評価値を算出する(ステップS105)。
つづいて、蛍光体特定部14aは、算出した総合評価値が所定の閾値以上であるか否かを判定し(ステップS106)、閾値以上である場合には、紙葉類へ付加された蛍光体含有インクをナローインクと特定して(ステップS107)、処理を終える。一方、蛍光体特定部14aは、総合評価値が所定の閾値未満である場合には、紙葉類へ付加された蛍光体含有インクをブロードインクと特定して(ステップS108)、処理を終える。
ところで、これまでは、蛍光体特定部14aが、4分割フォトダイオード115からの出力値A~Cに基づいて算出した各種評価値と所定の閾値とを比較することによって蛍光体含有インクを特定する場合について説明したが、これに限ったものではない。たとえば、真偽判別装置1は、出力値A~Cを予め記憶されたテンプレートと照合し、照合結果に基づいて紙葉類の真偽を判別することもできる。
以下では、かかる場合の処理手順について図11を用いて説明する。図11は、本実施例に係る真偽判別装置1の他の処理手順を示すフローチャートである。なお、上述したように、真偽判別装置1は、紙葉類の種別ごとに予め用意された照合判定データであるテンプレートを所定の記憶領域に記憶しているものとする。
図11に示すように、真偽判別装置1では、通過センサ301a,301bが紙葉類を検知すると(ステップS201)、制御部14が、蛍光センサ11やラインセンサ302、磁気センサ303といった各種センサによる紙葉類のサンプリングを開始させる(ステップS202)。なお、この処理によって、蛍光センサ11は、図10のステップS102に示したように、励起光の照射を開始する。
つづいて、真偽判別装置1では、制御部14が、各センサからの出力結果から紙葉類の種別を特定したのち(ステップS203)、ブロッキング処理を行う(ステップS204)。ここで、ブロッキング処理とは、各センサのサンプリングデータに対して、所定ライン×所定チャンネル分のサンプリングデータを1ブロックとしてまとめる処理である。具体的には、制御部14は、紙葉類の所定搬送距離(たとえば、10mm)ごとのサンプリング値の総和値をブロック値として算出する。
なお、制御部14は、算出した各ブロック値の平均値で各ブロック値を割ることによって正規化を行ってもよい。また、制御部14は、出力値Aまたは出力値Bのブロック値を算出する場合には、出力値Aや出力値Bの正規化したブロック値を出力値Cの正規化したブロック値を用いて補正してもよい。
つづいて、真偽判別装置1では、判別部14bが、特定した紙葉類の種別に対応したテンプレートを所定の記憶領域から読み出し(ステップS205)、各センサからの出力結果に基づき算出したブロック値と、テンプレートとの照合度を算出する(ステップS206)。そして、判別部14bは、算出した照合度が所定値以上であるか否かを判定し(ステップS207)、所定値以上である場合には(ステップS207、Yes)、紙葉類を真券と判定して(ステップS208)、処理を終える。一方、判別部14bは、照合度が所定値未満である場合には(ステップS207、No)、紙葉類を偽券と判定して(ステップS209)、処理を終える。
ところで、図4に示した蛍光センサ11は、筐体となるフレーム部に対してUV_LED111や4分割フォトダイオード115等を備えたコア部を収容することによって形成される。以下では、蛍光センサ11のより具体的な構成について図12~14を用いて説明する。
まず、フレーム部の構成について図12を用いて説明する。図12は、蛍光センサ11のフレーム部の構成を示す図である。なお、同図の(A)は、紙葉類と対向する面を下側に向けた状態のフレーム部の斜視図であり、同図の(B)は、紙葉類と対向する面を上側に向けた状態のフレーム部の斜視図である。
図12の(A)に示したように、フレーム部11aは、導電性ケース118内にUV透過フィルタ112とUV反射フィルタ113を取り付けて形成される。また、図12の(B)に示したように、電導性ケース118の紙葉類と対向する面には、ウィンドウ114が取り付けられる。ここで、導電性ケース118は、4分割フォトダイオード115からの出力値A~Cの静電気ノイズによるデータ化け等を防止するために、導電性樹脂によって形成されている。
つづいて、蛍光センサ11のコア部の構成について図13を用いて説明する。図13は、蛍光センサ11のコア部の構成を示す図である。同図に示すように、コア部11bは、UV_LED111と、バンドパスフィルタ116a,116bと、UVカットフィルタ117と、基板119とを備えている。なお、基板119には、図5に示した受光回路部(4分割フォトダイオード115を含む)が裏面に取り付けられている。
また、図14は、コア部11bがフレーム部11aに収容される様子を示す図である。同図に示すように、蛍光センサ11は、フレーム部11a内にコア部11bを収容して形成される。このとき、コア部11bに取り付けられた基板119によってフレーム部11aの開口部分が閉塞され、UV_LED111やバンドパスフィルタ116a,116b、UVカットフィルタ117、4分割フォトダイオード等がフレーム部11a内に略密閉状態で収容されることとなる。
このように、本実施例では、4分割フォトダイオード115およびUV_LED111を含んだコア部11bを導電性材料からなるフレーム部11aへ収容することによって4分割フォトダイオード115からの出力値A~Cが静電気ノイズによる影響を受けることを防止することができる。
以上のように、本発明に係る真偽判別装置、真偽判別方法および蛍光センサは、励起光の照射によって励起される蛍光のピーク波長が互いに近い蛍光体同士を区別して検出したい場合に有用であり、特に、単一の紙葉類へ付加されたこれらの蛍光体を区別して検出する場合に適している。
1 真偽判別装置
11 蛍光センサ
11a フレーム部
11b コア部
111 UV_LED
112 UV透過フィルタ
113 UV反射フィルタ
114 ウィンドウ
115 4分割フォトダイオード
115a 第1受光部
115b 第2受光部
115c 第3受光部
115d 第4受光部
116a,116b バンドパスフィルタ
117 UVカットフィルタ
120a~120c アンプ
121a~121c ゲイン調整部
122a~122c AD変換部
12 その他センサ
13 記憶部
14 制御部
14a 蛍光体特定部
14b 判別部
34 識別計数ユニット
301a~301d 通過センサ
302 ラインセンサ
303 磁気センサ
304 厚み検知センサ
305 LED光源
306 紫外透過センサ
11 蛍光センサ
11a フレーム部
11b コア部
111 UV_LED
112 UV透過フィルタ
113 UV反射フィルタ
114 ウィンドウ
115 4分割フォトダイオード
115a 第1受光部
115b 第2受光部
115c 第3受光部
115d 第4受光部
116a,116b バンドパスフィルタ
117 UVカットフィルタ
120a~120c アンプ
121a~121c ゲイン調整部
122a~122c AD変換部
12 その他センサ
13 記憶部
14 制御部
14a 蛍光体特定部
14b 判別部
34 識別計数ユニット
301a~301d 通過センサ
302 ラインセンサ
303 磁気センサ
304 厚み検知センサ
305 LED光源
306 紫外透過センサ
Claims (13)
- 蛍光体が付加された紙葉類の真偽を判別する真偽判別装置であって、
前記紙葉類に対して励起光を照射する照射手段と、
前記励起光の照射によって前記蛍光体から励起される蛍光のピーク波長を含んだ第1の波長領域の光を受光する第1の受光手段と、
前記第1の受光手段によって受光される光を発した紙葉類上の領域と同一領域から発せられた光であり、かつ、前記第1の波長領域の近傍に位置する第2の波長領域の光を受光する第2の受光手段と、
前記第1の受光手段からの出力および前記第2の受光手段からの出力に基づいて前記紙葉類に付加された蛍光体の種類を特定する特定手段と、
前記特定手段による特定結果に基づいて前記紙葉類の真偽を判別する真偽判別手段と
を備えたことを特徴とする真偽判別装置。 - 前記第1の受光手段および前記第2の受光手段は、
前記紙葉類上の同一領域から励起される蛍光を受光するように同一平面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の真偽判別装置。 - 前記特定手段は、
前記第1の受光手段からの出力と前記第2の受光手段からの出力との比較値が所定の閾値以上である場合に、前記紙葉類に付加された蛍光体の種類を特定することを特徴とする請求項1に記載の真偽判別装置。 - 前記特定手段は、
前記第1の受光手段からの出力と前記第2の受光手段からの出力との比較値が所定の閾値未満である場合に、前記紙葉類に付加された蛍光体を第1の蛍光体と特定するとともに、前記比較値が所定の閾値以上である場合に、前記第1の蛍光体よりも帯域幅が狭い第2の蛍光体と特定することを特徴とする請求項1に記載の真偽判別装置。 - 前記第1の受光手段によって受光される光を発した紙葉類上の領域と同一領域から発せられた光であり、かつ、前記第1の波長領域および前記第2の波長領域を含む第3の波長領域の光を受光する第3の受光手段
をさらに備え、
前記特定手段は、
前記第1の受光手段からの出力および前記第2の受光手段からの出力を前記第3の受光手段からの出力に基づいて補正したうえで、前記蛍光体の種類を特定することを特徴とする請求項1に記載の真偽判別装置。 - 前記特定手段は、
前記第3の受光手段からの出力と予め設定された基準値との比較結果に基づいて前記第1の受光手段からの出力および前記第2の受光手段からの出力を補正したうえで、前記蛍光体の種類を特定することを特徴とする請求項5に記載の真偽判別装置。 - 前記特定手段は、
前記第3の受光手段からの出力のうち、蛍光体が付加された領域からの光に基づく出力と、蛍光体が付加されていない領域からの光に基づく出力との比較値が所定の閾値以上である場合に、前記紙葉類に付加された蛍光体を第1の蛍光体と特定するとともに、前記比較値が所定の閾値未満である場合に、前記第1の蛍光体よりも帯域幅が狭い第2の蛍光体と特定することを特徴とする請求項5に記載の真偽判別装置。 - 前記特定手段は、
前記第1の受光手段からの出力と前記第2の受光手段からの出力との比較値である第1の評価値、および、前記第3の受光手段からの出力のうち蛍光体が付加された領域からの光に基づく出力と蛍光体が付加されていない領域からの光に基づく出力との比較値である第2の評価値に基づき、前記紙葉類上に付加された蛍光体の種類を特定することを特徴とする請求項5に記載の真偽判別装置。 - 蛍光体が付加された紙葉類の真偽を判別する真偽判別方法であって、
前記紙葉類に対して励起光を照射する照射工程と、
前記励起光の照射によって前記紙葉類上の同一領域から発せられる光のうち、前記蛍光体から励起される蛍光のピーク波長を含んだ第1の波長領域の光を第1の受光部を用いて受光するとともに、前記第1の波長領域の近傍に位置する第2の波長領域の光を第2の受光部を用いて受光する受光工程と、
前記第1の受光部からの出力および前記第2の受光部からの出力に基づいて前記紙葉類に付加された蛍光体の種類を特定する特定工程と、
前記特定工程による特定結果に基づいて前記紙葉類の真偽を判別する真偽判別工程と
を含んだことを特徴とする真偽判別方法。 - 紙葉類へ付加された蛍光体を検出する蛍光センサであって、
前記紙葉類に対して励起光を照射する照射手段と、
前記励起光の照射によって前記蛍光体から励起される蛍光のピーク波長を含んだ第1の波長領域の光を受光する第1の受光手段と、
前記第1の受光手段によって受光される光を発した紙葉類上の領域と同一領域から発せられた光であり、かつ、前記第1の波長領域の近傍に位置する第2の波長領域の光を受光する第2の受光手段と
を備えたことを特徴とする蛍光センサ。 - 前記第1の受光手段は、
第1の受光素子と、前記紙葉類からの光のうち前記蛍光体から励起される蛍光のピーク波長を含んだ第1の波長領域の光のみを透過させる第1のフィルタとを含み、
前記第2の受光手段は、
第2の受光素子と、前記紙葉類からの光のうち前記第1の波長領域の近傍に位置する第2の波長領域の光のみを透過させる第2のフィルタとを含み、
前記第1の受光素子および前記第2の受光素子は、
前記励起光の照射によって前記紙葉類上の同一領域から励起される蛍光を受光するように同一平面に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の蛍光センサ。 - 前記第1の受光手段によって受光される光を発した紙葉類上の領域と同一領域から発せられた光であり、かつ、前記第1の波長領域および前記第2の波長領域を含む第3の波長領域の光を受光する第3の検出手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項10に記載の蛍光センサ。 - 前記第1の受光手段、前記第2の受光手段、前記第3の受光手段および前記照射手段を含んだコア部を導電性材料からなるフレーム部へ収容して形成されることを特徴とする請求項12に記載の蛍光センサ。
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