JP6944258B2 - 燐光検出装置、紙葉類処理装置及び燐光検出方法 - Google Patents

燐光検出装置、紙葉類処理装置及び燐光検出方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6944258B2
JP6944258B2 JP2017061074A JP2017061074A JP6944258B2 JP 6944258 B2 JP6944258 B2 JP 6944258B2 JP 2017061074 A JP2017061074 A JP 2017061074A JP 2017061074 A JP2017061074 A JP 2017061074A JP 6944258 B2 JP6944258 B2 JP 6944258B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phosphorescence
detection
intensity
combination
detected
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017061074A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018163567A (ja
Inventor
佐藤 剛
剛 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Glory Ltd
Original Assignee
Glory Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Glory Ltd filed Critical Glory Ltd
Priority to JP2017061074A priority Critical patent/JP6944258B2/ja
Priority to US16/498,440 priority patent/US11467087B2/en
Priority to CN201880020836.4A priority patent/CN110537092A/zh
Priority to EP18775854.5A priority patent/EP3605067A4/en
Priority to PCT/JP2018/012046 priority patent/WO2018181134A1/ja
Priority to AU2018242894A priority patent/AU2018242894B2/en
Publication of JP2018163567A publication Critical patent/JP2018163567A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6944258B2 publication Critical patent/JP6944258B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、励起光によって励起された検出対象から放射される燐光を検出する燐光検出装置、当該燐光検出装置を備える紙葉類処理装置及び燐光検出方法に関する。
従来、紙幣や文書等の紙葉類、商品等の真偽を識別するために所定の光学特性を有するセキュリティマークが利用されている。例えば、可視光下では燐光を放射せず、紫外線等の所定波長の光が照射された場合にのみ燐光を放射する燐光体を含むセキュリティマークを紙葉類や商品パッケージ上に印刷等によって付しておき、燐光の放射状態から紙葉類や商品等の真偽を判別することが行われている。燐光体としては、減衰時定数が単一の物質や、互いに減衰時定数が異なる複数種類の物質を混合したものが用いられる。
特許文献1には、同一の波長範囲内で発光し、互いに減衰時定数が異なる2種類の色素を異なる比率で含有する2つのルミネッセンス材料を区別する装置が開示されている。この装置は、経路に沿って光検出器を多数備えることによりルミネッセンス強度プロファイルを検出し、正規化した強度プロファイルの強度値や減衰に要する時間を基準値と比較したり、あるいは、正規化した強度プロファイルの曲線形状と基準ルミネッセンス強度プロファイルの曲線形状とを比較する。これによって、2種類の色素の比率が異なるにもかかわらず、2つのルミネッセンス材料の正規化されたルミネッセンス強度プロファイルが非常に似ている場合でも、ルミネッセンス材料を認証できる。
特許文献2には、紙幣に励起光を照射し、放射される燐光を検出して、紙幣の真偽を検証する装置が開示されている。この装置は、2つのセンサを用いて燐光を検出し、それぞれのセンサが検出した燐光の強度の比を検証する。
特許文献3には、紙幣に励起光を照射し、放射される燐光を検出して、紙幣の真偽を検証する装置が開示されている。この装置は、励起光を照射して得た燐光のスペクトルのピークを検出し、検出したピークの波長ごとに減衰の特徴を検出する。
特表2014−519130号公報 米国特許出願公開第2015/348351号明細書 米国特許第7262420号明細書
しかしながら、特許文献1に開示された装置は、単一の色素によるルミネッセンス材料か減衰時定数が異なる複数種類の色素からなるルミネッセンス材料かに関わらず、ルミネッセンス材料を区別するためには、ルミネッセンス材料毎に基準値や基準の曲線形状を予め用意する必要がある。すなわち、基準が有るルミネッセンス材料については、どのようなルミネッセンス材料かを認証できるが、基準のないルミネッセンス材料については、単一の色素によるルミネッセンス材料か複数種類の色素からなるルミネッセンス材料かを認証することが出来ない。
また、特許文献2に開示された装置は、2つのセンサがそれぞれ検出した燐光の強度の比を特徴として、紙幣の真偽を検証するもので、それぞれの燐光を放射したルミネッセンス材料が単一の色素によるルミネッセンス材料か減衰時定数が異なる複数種類の色素からなるルミネッセンス材料かについては、判定することが出来ない。
また、特許文献3に開示された装置は、検出したピークの波長ごとに減衰の特徴を検出するもので、燐光を放射したルミネッセンス材料が単一の色素によるルミネッセンス材料か燐光の色が異なる複数種類の色素からなるルミネッセンス材料かについては、ピークの数によって判定することが出来るかもしれない。しかしながら、燐光を放射したルミネッセンス材料が単一の色素によるルミネッセンス材料か、同一の波長範囲内で発光し減衰時定数の異なる複数種類の色素からなるルミネッセンス材料かについては、判別することが出来ない。
以上のように、特許文献1〜3に開示された装置は、いずれも、燐光を放射した燐光体が単一の色素による燐光体か、同一の波長範囲内で発光し減衰時定数の異なる複数種類の色素からなる燐光体かについては、判別することが出来ない。
本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、検出された燐光が、同一の波長範囲内であって互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光によるものであるか否かを判別することを課題とする。
検出した燐光が単一の燐光体または減衰時定数が同じ複数の燐光体から放射された燐光なら、検出時期を変えて強度を2回検出し、燐光の強度と時間の関係式の連立方程式を解けば、燐光体の減衰時定数を求めることができる。しかし、検出した燐光が減衰時定数の異なる複数種類の燐光体から放射された燐光なら、複雑な指数関数の連立方程式を解く必要があり、複数種類の燐光体の減衰時定数を求めることは難しい。
一方で、セキュリティマーク等の真偽判定においては、燐光が同一の波長範囲内で発光し互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光によるものか否かも特徴の1つであり、これが判別できれば有用である。具体的には、検出時期を変えて燐光の強度を少なくとも3回検出すれば、検出した燐光が単一の減衰時定数を有する燐光によるものか否かが判別できる。言い換えると、検出した燐光が互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光によるものなのか否かが判別できる。
すなわち、本発明に係る燐光検出装置は、燐光体を含む検出対象に励起光を照射する光源と、前記検出対象から放射される燐光の強度を検出する光検出器と、前記光源及び前記光検出器を制御し、前記励起光の照射の停止時以降に、前記強度を検出時期を変えて少なくとも3回検出する検出部と、前記検出部によって検出された少なくとも3つの前記強度及びそれらの検出時期に基づいて、基準値を用いずに、前記燐光が互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光によるものであるか否かを判別する判別部と、を備えることによって上記課題を解決する。
また、本発明に係る燐光検出方法は、燐光体を含む検出対象に励起光を照射する工程と、前記励起光の照射の停止時以降に、前記検出対象から放射される燐光の強度を検出時期を変えて少なくとも3回検出する工程と、検出された少なくとも3つの前記強度及びそれらの検出時期に基づいて、基準値を用いずに、前記燐光が互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光によるものであるか否かを判別する工程と、を有することによって上記課題を解決する。
本発明によれば、検出された燐光が、同一の波長範囲内で発光し互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光によるものであるか否かを判別することが可能となる。
燐光体から放射される燐光の減衰特性を示すグラフである。 本発明に係る燐光検出装置の一実施例の構成を示すブロック図である。 光センサの構造を示す模式図である。 図3中のII−II断面図である。 図3中のIII−III断面図である。 図3中のIV−IV断面図である。 図3中のV−V断面図である。 本発明に係る燐光検出装置の動作フローを示すフローチャートである。 図1に示されるグラフの縦軸を対数値に変換した片対数グラフである。
(1)燐光の減衰特性
まず、燐光体から放射される燐光の減衰特性について簡単に説明する。
燐光体とは、可視光や紫外線等の励起光を受光すると励起されて燐光を放射する物質である。燐光体から放射される燐光の強度(光量)は、励起光の照射の停止時に最大値となり、その後徐々に減衰する。燐光体から放射される燐光の色と減衰時定数は、燐光体によって決まっている。なお、燐光体が異なっても、燐光の色や減衰時定数のいずれかが同じ、又は、両方が同じ場合がある。また、単一の燐光体から放射される燐光は、一種類に限られず複数種類の場合もある。以下では、説明を簡単にするため、単一の燐光体から放射される燐光は一種類として説明する。また、見かけ上の燐光の色が異なっても、光検出器で検出可能な波長範囲内にあれば、同じ波長範囲内の燐光として扱う。単一の燐光体αから放射される燐光の強度と時間の関係は数式1で表される。
Figure 0006944258
数式1において、Pαは燐光体αから放射される燐光の強度、Aαは燐光体αの濃度や発光効率によって決まる定数、tは励起光の消灯時から検出までに経過した時間、ταは燐光体αから放射される燐光の減衰時定数である。燐光強度Pαと時間tの関係は、図1に示されるLαのような曲線となる。なお、曲線Lαは最大強度を1として正規化されている。
また、燐光体α及び燐光体βから放射される各燐光が、互いに減衰時定数が等しく、光検出器で検出可能な波長範囲内の波長を有する場合、それらの混合物から放射される燐光の強度と時間の関係は数式2で表される。
Figure 0006944258
数式2において、Pα+βは燐光体αと燐光体βの混合物から放射される燐光の強度、Aα及びAβは、それぞれ、燐光体α及び燐光体βの濃度や発光効率によって決まる定数、tは励起光の消灯時から検出までに経過した時間、ταは燐光体αから放射される燐光及び燐光体βから放射される燐光の減衰時定数である。燐光強度Pα+βと時間tの関係は、最大強度を1として正規化すれば、図1に示されるLαのような曲線となる。
すなわち、単一の燐光体αから放射される燐光の強度と時間の関係を示す正規化された曲線と、減衰時定数が同じ燐光体αと燐光体βの混合物から放射される燐光の強度と時間の関係を示す正規化された曲線は等しい。このような燐光の強度と時間の関係は、各燐光体から放射される燐光の減衰時定数が等しく、それらの波長が光検出器で検出可能な波長範囲内であれば、混合物を構成する燐光体が3種類以上であっても同様に成り立つ。よって、以下、本明細書では、単一の燐光体及び減衰時定数が互いに等しい複数の燐光体の混合物を代表する燐光体として、単一の燐光体αを例に挙げて説明を行う。
一方、互いに減衰時定数が異なる2種類の燐光体γ及び燐光体δの混合物から放射される燐光の強度と時間の関係は数式3で表される。
Figure 0006944258
数式3において、Pγ+δは燐光体γと燐光体δの混合物から放射される燐光の強度、Aγ及びAδはそれぞれ燐光体γ及び燐光体δの濃度や発光効率によって決まる定数、tは励起光の消灯時から検出までに経過した時間、τγ及びτδはそれぞれ燐光体γ及び燐光体δから放射される燐光の減衰時定数である。燐光強度Pγ+δと時間tの関係は、図1に示されるLγ+δのような曲線となる。なお、Lγ+δは最大強度を1として正規化されている。
以下では、上記数式1から数式3における時間tに関して、燐光の検出時期を時刻tとして説明する。時刻tは励起光の消灯時から検出までに経過した時間で表され、励起光の消灯時はt=0である。なお検出時期は、励起光の消灯時とは異なる時点から検出までに経過した時間や標準時でもよいが、その場合は数式は適切に修正される。
燐光体αから放射される燐光の強度と、燐光体γと燐光体δの混合物から放射される燐光の強度は、それらの燐光体の減衰時定数次第で、図1に示されるようにある時刻tにおいて等しくなる場合がある。そのような時刻tで燐光強度を検出しても、検出対象に含まれる燐光体が、単一の燐光体αであるのか、互いに減衰時定数が異なる燐光体γと燐光体δの混合物であるのか判別できない。例えば、真のセキュリティマークが単一の燐光体αを含んでいるとともに、時刻tで検出された燐光強度を評価することでセキュリティマークの真偽を判別している場合を考える。この場合、偽のセキュリティマークが燐光体γと燐光体δの混合物を含んでいると、セキュリティマークの真偽判定を正しく行うことができなくなってしまう。真のセキュリティマークが燐光体γと燐光体δの混合物を含んでおり、偽のセキュリティマークが単一の燐光体αを含んでいる場合も同様である。
しかしながら、本発明に係る燐光検出装置によれば、そのような問題は生じない。以下、図面を参照しながら、本発明に係る燐光検出装置を説明する。なお、上述のように、単一の燐光体から減衰時定数が異なる複数種類の燐光が放射される場合は、燐光体γと燐光体δの混合物から放射される燐光と同様に考えることができる。以下では、減衰時定数の異なる複数種類の燐光を放射する単一の燐光体及び互いに減衰時定数が異なる複数の燐光体の混合物を代表する燐光体として、互いに減衰時定数が異なる複数の燐光体の混合物を例に挙げて説明を行う。
なお、本発明において、検出された燐光が、単一の燐光体から放射された燐光であるか、複数の燐光体の混合物から放射された燐光であるかという点は、発明の一側面に過ぎない。本発明は、検出された燐光が、同一波長範囲内で発光し、単一の減衰時定数を有する燐光によるものか、同一波長範囲内で発光し、互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光によるものか、を判別するものである。
(2)燐光検出装置の構成
図2は、本発明に係る燐光検出装置100の構成を模式的に示すブロック図である。燐光検出装置100は、被搬送物Xに付された検出対象Tの真偽を判定するために用いられる装置である。燐光検出装置100は、搬送装置80、搬送装置80の上方に設置された光センサ10、並びに、搬送装置80及び光センサ10を制御する制御装置90を有している。被搬送物Xを紙幣等の紙葉類として、燐光検出装置100を紙葉類処理装置とすることができる。
図3〜図7を参照しながら光センサ10の構造について説明する。図3は、光センサ10の構造を示す側方断面模式図である。また、図4、図5、図6及び図7は、それぞれ、図3中のII−II断面図、III−III断面図、IV−IV断面図及びV−V断面図である。なお、図3は光センサ10が下向きに取り付けられる場合を示しているが、光センサ10は任意の向きに取り付け可能である。
光センサ10は、ホルダ20、光源30、光検出器40、導光体50、基板60及び光学フィルタ70を備えている。
ホルダ20は黒色樹脂等の光を透過しない物質からなり、上下が開口した貫通孔を有し、筒状となっている。この貫通孔内には、下方側から順に、導光体50、光学フィルタ70、光源30及び光検出器40が配置されている。また、この貫通孔の上側開口は基板60によって塞がれている。また、ホルダ20はその一部として、光源30と光検出器40との間に配置される仕切り21を有している。仕切り21が導光体50に接触すると、導光体50の表面に傷をつけ、この傷によって光の漏れや減衰又は拡散を引き起こし、導光体50の導光性能を低下させる恐れがある。そのため、仕切り21の下端と導光体50の表面との間にはわずかに隙間が設けられている。但し、そのような恐れがない場合は、仕切り21を導光体50に接触させてもよい。また、仕切り21はホルダ20とは別体の部材であってもよいことは勿論である。
光源30は、検出対象に励起光を照射する。具体的には、光源30は紫外線LEDであり、基板60の下面に取り付けられている。光源30が照射する励起光は、検出対象を励起させることができる波長が含まれており、検出する放射光の波長域を含まないものが望ましい。
光検出器40は、検出対象から放射された放射光を検出する。具体的には、光検出器40は受光した光の強度(光量)に応じて変化する信号を出力するフォトダイオードであり、基板60の下面に取り付けられている。図7に示されるように、光センサ10は光検出器40を2つ備えている。これらの光検出器40は検出できる波長域が異なる。よって、同時に2種類の放射光を検出することができる。なお、特定の波長の放射光のみを検出したり、波長に関わらず放射光の強度を検出する場合は、光検出器40の数は1つでもよい。また、光検出器40の数を3つ以上とすることで、同時に3種類以上の放射光を検出することも可能である。
導光体50は、光源30から照射された励起光を検出対象へ導き、検出対象から放射された放射光を光検出器40へ導く。すなわち、導光体50は、導光部として機能する。導光体50は、アクリルやポリカーボネート等の透明な樹脂でできたブロックであり、その上部に、励起光入射面51と放射光出射面52を有し、その下部に、光入出射面53を有する。光入出射面53は光検出器40の受光面よりも大きい。また、導光体50は、励起光入射面51と放射光出射面52との間に起立面54を有し、励起光入射面51と起立面54と放射光出射面52によって、段差が形成されている。また、導光体50は、励起光入射面51及び放射光出射面52と、光入出射面53との間に延在する側面55を有している。側面55とホルダ20の内面との間にはわずかに隙間が設けられている。なお、特に限られるわけではないが、本実施例において、導光体50の側面55で取り囲まれる部分の形状は、光源30及び光検出器40の側から見て、略正方形の光源30側の2つの角を面取りした六角形状である。この形状によって、光源30からの励起光を効率よく検出対象に照射することができる。また、導光体50の素材は、透明な樹脂に限らず、透明なガラスであってもよい。なお、導光体50の素材は、励起光と放射光を透過する材料であればよく、透明な材料には限られない。
光源30と励起光入射面51とは、光学フィルタ70の一種であり紫外線を透過し可視光をカットする可視光カットフィルタ71を介して対向するように配置されている。また、光検出器40と放射光出射面52とは、光学フィルタ70の一種である紫外線カットフィルタ72及びカラーフィルタ73を介して対向するように配置されている。本実施例に係る光センサ10のように、光検出器40が複数個備わっている場合は、各光検出器40に対向するカラーフィルタ73の種類を変え、各光検出器40がそれぞれ異なる波長(色)の光を検出できるようにすることができる。例えば、赤色、緑色、青色の放射光を検出する場合は、3つの光検出器40と放射光出射面52との間に、1つずつ、計3つのカラーフィルタ73を配置する。各カラーフィルタ73は、それぞれ赤色波長範囲、緑色波長範囲、または青色波長範囲の光を透過する。これらの光学フィルタ70は目的に応じて他の特性のフィルタに替えてもよいし、不要であれば配置しなくてもよい。
図2に戻って燐光検出装置100の説明を続ける。搬送装置80は、所定の位置に検出対象Tが付された被搬送物Xを、矢印で示される方向に連続的に搬送する装置であり、被搬送物Xの形状等の特性に応じ、ベルトコンベヤやローラコンベヤ、浮上搬送装置等とすることができる。本実施例においては、搬送装置80はベルトコンベヤである。当該ベルトコンベヤは、ベルト及び当該ベルトを駆動するプーリーを有している。当該プーリーの回転軸には、当該プーリーの回転数(回転角度)を検出するロータリーエンコーダが接続されている。また、搬送装置80は、光センサ10よりも上流側に、被搬送物Xの通過を検知する通過検知センサ(図示略)を有している。
燐光検出装置100において、光センサ10は、光源30が搬送装置80における被搬送物Xの搬送方向上流側、光検出器40が同下流側に位置するように配置されている。また、光センサ10は、導光体50の光入出射面53が、搬送装置80上を搬送される被搬送物Xに付された検出対象Tに対向するように配置されている。
制御装置90は、電源、CPU及びメモリ等から構成されており、機能部として、搬送装置制御部91、検出部92、補正部93、判別部94及び記憶部95を有している。
搬送装置制御部91は、搬送装置80の動作を制御する。また、搬送装置制御部91は、通過検知センサによって被搬送物Xの通過が検知された後のロータリーエンコーダのパルス数に基づいて、ベルトの移動距離、すなわち、検出対象Tの移動距離(検出対象Tの存在位置に関する情報)を算出する。
検出部92は、被搬送物Xの通過が通過検知センサによって検知された後、所定のタイミングで、光源30に対し、励起光の照射及びその停止を指令する。また、検出部92は、光検出器40から送信される信号を受信して、検出された蛍光と燐光の強度を算出する。
補正部93は、検出対象Tの存在位置に関する情報を搬送装置制御部91から得るとともに、光検出器40で検出された燐光の強度に関する情報を検出部92から得る。補正部93は、更に、後述する記憶部95から補正係数に関する情報を得る。補正部93はこれらの情報に基づいて検出された燐光の強度を補正する。
判別部94は、検出部92で得られた燐光の強度、又は、補正部93で得られた補正後の燐光の強度と、記憶部95に記憶されている基準値とを比較することによって、検出対象Tに含まれる物質を判別し、検出対象Tの真偽を判定する。また、判別部94は、燐光の減衰時定数τを算出し、この減衰時定数τに基づいて検出対象Tに含まれる物質を判別し、検出対象Tの真偽を判定することもできる。
記憶部95は、燐光強度の補正に用いられる補正係数に関する情報を記憶している。この情報は、例えば、光検出器40と検出対象Tの相対位置と、補正係数との関係を示す関数又はテーブルである。
また、記憶部95は、真の検出対象Tから放射される燐光の強度や、燐光の減衰時定数等の情報を記憶している。これらの情報は、検出対象Tの真偽を判定するための基礎となる。
(3)燐光の検出方法
燐光の検出は次のように行われる。なお、燐光は、検出対象への励起光の照射が停止された後に検出対象から放射される放射光である。検出対象から放射される燐光の強度は、励起光の照射の停止後、時間の経過とともに徐々に減衰する。
まず、光源30が励起光を照射する。照射された励起光は導光体50を透過する。導光体50を透過した励起光は検出対象に達し、検出対象を励起する。続いて、光源30は消灯する。すると、励起された検出対象は燐光を放射する。検出対象から放射された燐光は、導光体50を透過する。光検出器40は、導光体50を透過した燐光を検出する。
燐光を検出した光検出器40は、燐光の検出を知らせる信号、又は、検出した燐光の強度に応じて変化する信号を制御装置に送信する。光検出器40から信号を受信した制御装置は、燐光の強度の算出等を行う。このようにして燐光の検出が行われる。
燐光の検出は、励起光の照射の停止後、速やかに開始するのが好ましい。燐光の検出時間は任意に定めることが出来るが、後述のように減衰時定数を算出する場合は、検出時間を短くするほど減衰時定数を正確に算出できる。検出する燐光の強度は、検出中に行った1回の測定の信号から算出してもよく、検出中に行った複数回の測定の信号を積分または平均して算出してもよい。
(4)燐光検出装置の動作
以上のように構成された燐光検出装置100の動作フローの一例を、図8を参照しながら説明する。
燐光検出装置100の動作が開始されると、搬送装置80が被搬送物Xを搬送し、通過検知センサが被搬送物Xの通過を検知する(S1)。
通過検知センサによる被搬送物Xの通過の検知後、ロータリーエンコーダのパルス数が所定数に達すると、光源30が点灯する(S2)。このとき、被搬送物Xに付された検出対象Tは光センサ10の下に移動している。また、光源30から照射された励起光は導光体50によって検出対象Tに導かれ、検出対象Tを励起する。励起光が照射されている間、検出対象Tから蛍光が放射される。
次に、光検出器40が蛍光を検出する(S3)。
光源30の点灯開始から所定時間経過後、光源30は消灯する(S4)。すると、検出対象Tからの蛍光の放射は停止する。また、検出対象Tからの燐光の放射が開始する。
続いて、光源30の消灯後、所定のタイミングで、検出対象Tから放射される燐光を複数の光検出器40それぞれが検出時期を変えて複数回検出する(S5)。
光検出器40毎(放射光の色毎)に蛍光の強度と燐光の減衰特徴を検出し、それらに基づいて、検出対象Tに含まれている物質の判別を行うとともに、被搬送物Xの真偽を判定する(S6)。
なお、燐光検出装置100の動作は、上述のように蛍光や燐光の検出を1回行うものには限られない。すなわち、被搬送物Xが通過する間に、蛍光や燐光の検出を複数回行ってもよい。また、被搬送物Xの検出対象Tが付されているべきではない位置に励起光を照射するとともに、放射光が放射されないことを確認することで被搬送物Xの真偽判定を行うことも可能である。更に、1つの被搬送物Xに対して、検出対象Tが付されているべき位置と、検出対象Tが付されているべきではない位置の両方に励起光を照射することで、被搬送物Xの真偽判定を行うことも可能である。この場合、検出対象Tが付されているべき位置から放射光が放射されるとともに、検出対象Tが付されているべきではない位置から放射光が放射されないことが確認されれば、被搬送物Xは真と判定され、それ以外の場合は、偽であると判定される。
(5)燐光体の判別方法
燐光検出装置100は、ステップS6において、検出対象Tに含まれている物質のうちの燐光体が同一の波長範囲内で発光し減衰時定数の異なる複数種類の色素からなる燐光体であるか否かを判別する。
すなわち、ステップS5において検出された少なくとも3つの燐光強度とそれらの検出時期の全てについて、数式1で表される燐光強度Pαと時間tとの関係が成り立つAαとταがない場合、検出された燐光は、互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光体から放射されたものであると判別される。逆に、少なくとも3つの燐光強度とそれらの検出時期の全てについて、数式1で表される燐光強度Pαと時間tとの関係が成り立つAαとταがあれば、検出された燐光は、単一の燐光体から放射されたものであると判別される。
具体的な判別方法例を以下に説明する。
なお、ステップS5において少なくとも燐光強度が3回検出されるが、光検出器40に対する検出対象Tの相対位置が一定である場合は、検出された燐光強度を補正する必要はなく、検出された燐光強度を用いて以下に説明する判別方法が行われる。一方、燐光を検出する度に光検出器40に対する検出対象Tの相対位置が変動する又はその恐れがある場合は、検出された燐光強度は補正され、補正された燐光強度を用いて以下に説明する判別方法が行われる。よって、以下の説明において、強度という用語は、補正された強度と補正されていない強度の両方を包含する意味で使用される。
(5−1)判別方法の具体例1
本例の判別方法は、単一の燐光体αから放射される燐光の強度は検出時期にかかわらず図1の曲線Lαより示される関係を満たす、ということを利用するものである。
具体的には、検出部92は、励起光の放射停止時以降、時刻t、時刻t及び時刻tが経過した時点で検出対象Tから放射される燐光の強度P、強度P及び強度Pを検出する。判別部94は、これらの3つ強度のうちの2つ、例えば強度P及び強度Pと、それらを検出した時刻t及び時刻tを用いて、次の数式4に基づいて、検出対象Tから放射される燐光の減衰時定数τを算出する。
Figure 0006944258
このような減衰時定数τで表される燐光強度Pと励起光の消灯時から検出までに経過した時間tの関係は、次の数式5で表される。
Figure 0006944258
数式5において、Aは検出対象T中の燐光体の濃度や発光効率によって決まる定数である。
なお、定数Aは、減衰時定数τを求めるために使用した燐光強度とその検出時刻(例えばPとt)を数式5に代入することで算出することができる。
判別部94は、前記減衰時定数τの算出に用いられなかった強度P及びその検出時刻tが、数式5で表される関係に当てはまるか否か、すなわち、数式5の時間tに時刻tを代入した場合に強度Pが強度Pとなるか否かを判別する。当てはまる場合は、検出された燐光が単一の燐光体又は同一の減衰時定数を有する複数種類の燐光体から放射されたものであると判別部94は判別する。
一方、前記減衰時定数τの算出に用いられなかった強度P及びその検出時刻tが、数式5で表される関係に当てはまらない場合は、検出された燐光が互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光体から放射されたものであると判別部94は判別する。
なお、燐光強度を4回以上検出し、その中から2つを適宜選択して減衰時定数を算出し、当該減衰時定数で表される燐光強度と時間の関係に、当該減衰時定数の算出に用いられなかった1つ以上の燐光強度及びその検出時間が当てはまるか否かを判別するようにしてもよいことは勿論である。
(5−2)判別方法の具体例2
本例の判別方法は、図1中の曲線Lα上のいずれか2点の燐光強度及びそれらの検出時期に基づいて算出される減衰時定数は、それら2点をどのように選択しようとも、燐光体αに固有の値になるということを利用するものである。
本例において、検出部92は、励起光の放射停止時以降、時刻t、時刻t、時刻t及び時刻tが経過した時点で検出対象Tから放射される燐光の強度P、強度P、強度P及び強度Pを検出する。これらの4つの強度のうちの2つの組み合わせである第1の組み合わせを、例えば強度Pと強度Pの組み合わせとすれば、判別部94は、次の数式6に基づいて、検出対象Tから放射される燐光の減衰時定数τを算出する。
Figure 0006944258
また、上記4つの強度のうちの2つの組み合わせであって、上記第1の組み合わせとは異なる組み合わせである第2の組み合わせを、例えば強度P及び強度Pの組み合わせとすれば、判別部94は、次の数式7に基づいて、検出対象Tから放射される燐光の減衰時定数τを算出する。
Figure 0006944258
判別部94は、減衰時定数τと減衰時定数τとを比較する。それらの差が閾値以下である場合には、判別部94は、検出された燐光が単一の燐光体又は同一の減衰時定数を有する複数種類の燐光体から放射されたものであると判別する。(上記閾値は0であってもよい。)
一方、減衰時定数τと減衰時定数τとの差が閾値を超える場合には、判別部94は、検出された燐光が互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光体から放射されたものであると判別する。
なお、本例においては、燐光の強度を4回検出して燐光の判別を行っているが、燐光の強度の検出は3回でもよいことは勿論である。例えば、第1の組み合わせを強度PとPの組み合わせとするとともに、第2の組み合わせを、強度PとPの組み合わせ、又は、強度PとPの組み合わせとすることによっても、本例の方法に従って燐光の判別を行うことができる。また、燐光強度の検出回数を5回以上として、検出された燐光強度の中から3つ又は4つを適宜選択して利用することも随意である。
ここで、第1の組み合わせを構成する2つの燐光強度を検出するタイミングである時刻tと時刻tの間隔と、第2の組み合わせを構成する2つの燐光強度を検出するタイミングである時刻tと時刻tの間隔が等しい場合を考える。その場合、数式6及び数式7から容易に理解されるように、減衰時定数τと減衰時定数τとの比較に代えて、ln(P/P)とln(P/P)、又は(P/P)と(P/P)を比較することによって、検出された燐光の判別を行うことができる。その場合、燐光の判別を行うために制御装置90のCPUが行う除算の回数を減らすことができるので、短時間で燐光の判別を行うことができる。
(5−3)判別方法の具体例3
本例の判別方法は、図1のグラフを、図9に示されるような縦軸が常用対数の片対数グラフに変換した場合、曲線Lαが右下がりの直線で表される一方、曲線Lγ+δは、時刻tでLαと交差する右下がりの曲線で表される、ということを利用するものである。
具体的には、検出部92は、時刻t、時刻t及び時刻t10が経過した時点で検出対象Tから放射される燐光の強度P、強度P及び強度P10を検出する。これらの3つの強度のうちの2つの組み合わせである第1の組み合わせを、例えば強度Pと強度Pの組み合わせとする。この場合、判別部94は、次の数式8に基づいて、燐光強度の対数値の第1の変化速度(単位時間あたりの第1の変化量)Rを算出する。
Figure 0006944258
また、上記3つの強度のうちの2つの組み合わせである第2の組み合わせを、例えば強度P及び強度P10の組み合わせとする。この場合、判別部94は、次の数式9に基づいて、燐光強度の対数値の第2の変化速度(単位時間あたりの第2の変化量)Rを算出する。なお、第2の組み合わせは、第1の組み合わせとは異なる組み合わせである。
Figure 0006944258
判別部94は、第1の変化速度Rと第2の変化速度Rとを比較する。それらの差が閾値以下である場合、判別部94は、検出された燐光が単一の燐光体又は同一の減衰時定数を有する複数種類の燐光体から放射されたものであると判別する。(上記閾値は0であってもよい。)
一方、第1の変化速度Rと第2の変化速度Rとの差が閾値を超える場合は、判別部94は、検出された燐光が互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光体から放射されたものであると判別する。
ここで、第1の組み合わせを構成する2つの燐光強度を検出するタイミングである時刻tと時刻tの間隔と、第2の組み合わせを構成する2つの燐光強度を検出するタイミングである時刻tと時刻t10の間隔が等しい場合を考える。その場合、数式8及び数式9から容易に理解されるように、第1の変化速度Rと第2の変化速度Rとの比較に代えて、logPとlogPとの差と、logP10とlogPとの差を比較することによって、検出された燐光の判別を行うことができる。その場合、燐光の判別を行うために制御装置90のCPUが行う除算の回数を減らすことができるので、短時間で燐光の判別を行うことができる。
なお、本例においては、第2の組み合わせをPとP10の組み合わせとしてもよいことは勿論である。また、時刻t11において燐光強度P11を検出し、第1の組み合わせをPとPの組み合わせとするとともに第2の組み合わせをP10とP11の組み合わせとしてもよい。更に、燐光検出回数を5回以上として、検出された燐光強度の中から3つ又は4つを適宜選択して利用することも随意である。
また、燐光検出装置100は、燐光強度を検出時期を変えて3回検出すれば、燐光の判別ができるので、処理すべきデータ量が少ない。すなわち、燐光検出装置100は、データ処理、ひいては燐光の判別を短時間で行うことができる。よって、燐光検出装置100は、短時間で大量の検出対象Tの真偽識別処理を行うことができる。
また、燐光検出装置100は、複数回の燐光強度の検出を単一の光センサ10によって行うので、複数回の燐光検出の時間間隔を小さくすることができる。よって、検出対象Tに含まれる燐光体の減衰時定数が小さい(燐光が短時間で減衰する)場合であっても、検出限界以下となる前の燐光強度を複数回検出することができる。したがって、検出対象Tに含まれる燐光体の減衰時定数が小さくても、検出対象Tの真偽識別処理を行うことができる。
更に、燐光検出装置100は、複数回の燐光強度の検出を単一の光センサ10によって行うので、検出対象Tに含まれる燐光体から放射される燐光の減衰時定数に応じて、燐光検出タイミングを柔軟に設定することができる。
(6)検出対象の真偽判別方法
被搬送物Xに付された検出対象T(セキュリティ特徴)の真偽判定は、例えば次のように行われる。
まず、光検出器40毎に燐光の放射の有無を確認する。燐光が放射されている場合は、その減衰時定数を算出する。更に、上に説明した方法に従い、当該燐光が互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光体から放射されたものであるか否かを判別する。これらの結果を基準となる属性と比較する。比較の結果、両者が一致すれば、その検出対象Tは真であると判別される。両者が一致しなければ、その検出対象Tは偽であると判別される。
基準となる属性の例を表1に示す。
Figure 0006944258
表1において、横軸は検出される燐光の波長範囲を表す。すなわち、横軸は、燐光が赤色波長範囲、緑色波長範囲、青色波長範囲の波長範囲毎に区分されることを意味する。縦軸は検出される燐光の減衰特徴を表す。すなわち、縦軸は、燐光の減衰時定数が0.2msec、1msec、10msecに区分されることを意味する。「single」は、該当する燐光が、単一の燐光体又は同一の減衰時定数を有する複数種類の燐光体から放射されることを意味する。「complex」は、該当する燐光が互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光体から放射されることを意味する。また、「none」は燐光が検出されないことを意味する。
基準となる属性が表1に示される属性である場合、真の検出対象Tには、減衰時定数が0.2msecであり、且つ、色が青色である燐光を放射する単一の又は複数種類の燐光体が含まれている。また、減衰時定数が1msecであり、且つ、色が赤色である燐光を放射する単一の又は複数種類の燐光体が含まれている。また、減衰時定数が互いに異なり、且つ、色がいずれも緑色である燐光を放射する複数種類の燐光体であって、所定のタイミングで検出された緑色の燐光の全強度に基づいて算出された減衰時定数が1msecとなる燐光体が含まれている。
この場合、検出対象Tの真偽判定は次のように行われる。まず、3つの光検出器40を介して、検出部92は赤色、緑色及び青色の燐光を個別に検出する。続いて、判別部94は各色の燐光の減衰時定数を算出する。更に、各色の燐光が互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光体から放射されたものであるか否か(「complex」であるか「single」であるか)を、判別部94は判別する。判別部94は記憶部95に記憶されている表1に係る情報を参照し、各色毎に求めた燐光の減衰時定数や判別結果と比較する。その結果、ある検出対象Tから放射された燐光が有する属性が、表1に示される属性と一致すれば、その検出対象Tは真であると判別される。逆に、表1に示される燐光の属性と一致しなければ、その検出対象Tは偽であると判別される。
なお、互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光体から燐光が放射される場合、当該燐光体から放射される燐光の全強度の減衰時定数は、基準となる属性に含まれるいずれの減衰時定数に対応しているのかを知るための手がかりに過ぎない。よって、おおよその値が算出されれば十分であり、例えば次のようにして求めることができる。すなわち、検出部92毎に検出可能な波長範囲内で検出した3つ以上の強度のうちのいずれか2つの組み合わせとそれらの検出時期に基づいて、第1の仮の減衰時定数を算出する。次に、検出した3つ以上の強度のうちのいずれか2つの組み合わせであって、先の組み合わせとは異なる組み合わせとそれらの検出時期に基づいて、第2の仮の減衰時定数を算出する。続いて、第1の仮の減衰時定数と第2の仮の減衰時定数の平均値を求め、これを全強度の減衰時定数とする。また、第1の仮の減衰時定数をそのまま全強度の減衰時定数としてもよい。
このように、燐光が互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光体から放射されたものであるか否かを特徴として、検出対象T(セキュリティ特徴)の真偽、ひいては、紙葉類等の被搬送物Xの真偽を判別することができる。
なお、ここでは燐光の特徴のみを検出対象Tの特徴とする例を示したが、検出した蛍光の特徴を更に加えて検出対象Tの特徴とすることができる。具体的には、表1において、赤色波長範囲、緑色波長範囲、青色波長範囲の波長範囲毎に、蛍光の検出の有無を特徴として追加することができる。
本発明の燐光検出装置及び燐光検出方法は、例えば銀行券や証券等の有価書類(value document)に代表される、紙葉類の表面にセキュリティ特徴(security feature)として取り付けられた燐光体を検出するもので、検出対象となる燐光体に励起光を照射し、燐光体から放射された燐光を検出する。燐光のスペクトルや減衰特徴などの特徴は燐光体の組成によって決まるので、燐光を検出して特徴を比較することによってセキュリティ特徴の真偽を判定することが出来る。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、燐光検出装置100は、被搬送物Xの搬送経路上で搬送方向に間隔を空けて配置された3つ以上の光センサを有し、各光センサで1回ずつ、計3回以上の燐光強度の検出をおこなってもよい。3回以上にわたって検出された各強度P及びそれらの検出時期tを用いて、上述の判定を行うことができる。この場合、検出対象Tに含まれる燐光体の減衰時定数が大きく(燐光の減衰に長時間を要し)、且つ、搬送装置80の搬送速度が大きくても、有意に強度が小さくなった燐光を下流側の光センサで検出することができる。よって、検出対象Tに含まれる燐光体の減衰時定数が大きい場合にも、被搬送物Xを搬送しながら、大量の検出対象Tの真偽識別処理を行うことができる。
本発明は、燐光体を含むセキュリティマークが付された紙幣等の紙葉類や商品の真偽を識別するための装置、例えば紙幣処理装置に適用することができるので、その産業上の利用可能性は多大である。
10 光センサ
20 ホルダ
30 光源
40 光検出器
50 導光体
51 励起光入射面
52 放射光出射面
53 光入出射面
54 起立面
55 側面
60 基板
70 光学フィルタ
71 可視光カットフィルタ
72 紫外線カットフィルタ
73 カラーフィルタ
80 搬送装置
90 制御装置
91 搬送装置制御部
92 検出部
93 補正部
94 判別部
95 記憶部
100 燐光検出装置

Claims (7)

  1. 燐光体を含む検出対象に励起光を照射する光源と、
    前記検出対象から放射される燐光の強度を検出する光検出器と、
    前記光源及び前記光検出器を制御し、前記励起光の照射の停止時以降に、前記強度を検出時期を変えて少なくとも3回検出する検出部と、
    前記検出部によって検出された少なくとも3つの前記強度及びそれらの検出時期に基づいて、基準値を用いずに、前記燐光が互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光によるものであるか否かを判別する判別部と、
    を備える燐光検出装置。
  2. 前記判別部は、少なくとも3つの前記強度のうちの2つに基づいて前記燐光の減衰時定数を算出するとともに、当該算出に用いられなかった前記強度及びその検出時期が、算出された前記減衰時定数で表される燐光強度と検出時期の関係に当てはまらない場合に、前記燐光が互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光によるものであると判別する、請求項1記載の燐光検出装置。
  3. 前記判別部は、少なくとも3つの前記強度のうちの2つの組み合わせである第1の組み合わせに基づいて前記燐光の第1の減衰時定数を算出するとともに、少なくとも3つの前記強度のうちの2つの組み合わせであって前記第1の組み合わせとは異なる第2の組み合わせに基づいて前記燐光の第2の減衰時定数を算出し、前記第1の減衰時定数と前記第2の減衰時定数との差が閾値を超える場合に、前記燐光が互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光によるものであると判別する、請求項1記載の燐光検出装置。
  4. 前記判別部は、少なくとも3つの前記強度のうちの2つの組み合わせである第1の組み合わせに基づいて前記強度の対数値の第1の変化速度を算出するとともに、少なくとも3つの前記強度のうちの2つの組み合わせであって前記第1の組み合わせとは異なる第2の組み合わせに基づいて前記強度の対数値の第2の変化速度を算出し、前記第1の変化速度と前記第2の変化速度との差が閾値を超える場合に、前記燐光が互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光によるものであると判別する、請求項1記載の燐光検出装置。
  5. 前記判別部は、前記燐光が互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光によるものか否かを特徴の1つとして、前記検出対象の真偽を判別する請求項1乃至4のいずれかに記載の燐光検出装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の燐光検出装置を備える紙葉類処理装置。
  7. 燐光体を含む検出対象に励起光を照射する工程と、
    前記励起光の照射の停止時以降に、前記検出対象から放射される燐光の強度を検出時期を変えて少なくとも3回検出する工程と、
    検出された少なくとも3つの前記強度及びそれらの検出時期に基づいて、基準値を用いずに、前記燐光が互いに減衰時定数が異なる複数種類の燐光によるものであるか否かを判別する工程と、を有する燐光検出方法。
JP2017061074A 2017-03-27 2017-03-27 燐光検出装置、紙葉類処理装置及び燐光検出方法 Active JP6944258B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017061074A JP6944258B2 (ja) 2017-03-27 2017-03-27 燐光検出装置、紙葉類処理装置及び燐光検出方法
US16/498,440 US11467087B2 (en) 2017-03-27 2018-03-26 Optical sensor, light detection apparatus, sheet processing apparatus, light detection method, and phosphorescence detection apparatus
CN201880020836.4A CN110537092A (zh) 2017-03-27 2018-03-26 光传感器、光检测装置、纸张处理装置、光检测方法及磷光检测装置
EP18775854.5A EP3605067A4 (en) 2017-03-27 2018-03-26 OPTICAL SENSOR, LIGHT DETECTION DEVICE, SHEET OF PAPER PROCESSING DEVICE, LIGHT DETECTION METHOD AND PHOSPHORESCENCE DETECTION DEVICE
PCT/JP2018/012046 WO2018181134A1 (ja) 2017-03-27 2018-03-26 光センサ、光検出装置、紙葉類処理装置、光検出方法及び燐光検出装置
AU2018242894A AU2018242894B2 (en) 2017-03-27 2018-03-26 Optical sensor, light detection apparatus, sheet processing apparatus, light detection method, and phosphorescence detection apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017061074A JP6944258B2 (ja) 2017-03-27 2017-03-27 燐光検出装置、紙葉類処理装置及び燐光検出方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018163567A JP2018163567A (ja) 2018-10-18
JP6944258B2 true JP6944258B2 (ja) 2021-10-06

Family

ID=63860185

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017061074A Active JP6944258B2 (ja) 2017-03-27 2017-03-27 燐光検出装置、紙葉類処理装置及び燐光検出方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6944258B2 (ja)

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3228372B2 (ja) * 1993-04-27 2001-11-12 古河電気工業株式会社 蛍光検出装置
JP2001291458A (ja) * 2000-02-01 2001-10-19 Stanley Electric Co Ltd 光学式タッチスイッチ装置
ES2312314T5 (es) * 2000-05-16 2017-07-18 Sicpa Holding Sa Método, dispositivo y sistema de seguridad, todos para autenticar una marcación
JP2002197506A (ja) * 2000-12-26 2002-07-12 Glory Ltd Uv・蛍光検出装置及びそのセンシング方法
TWI293363B (en) * 2001-12-11 2008-02-11 Sensors For Med & Science Inc High performance fluorescent optical sensor
CA2453229A1 (en) * 2003-12-12 2005-06-12 Cashcode Company Inc. Reflective optical sensor for bill validator
US7911655B2 (en) * 2004-10-06 2011-03-22 Iuval Hatzav System for extracting information from an identity card
US8759794B2 (en) * 2012-07-20 2014-06-24 Honeywell International Inc. Articles, methods of validating the same, and validation systems employing decay constant modulation
EP3054427A4 (en) * 2013-09-30 2017-05-17 Glory Ltd. Paper sheet counterfeit determination device
WO2015159438A1 (ja) * 2014-04-18 2015-10-22 グローリー株式会社 紙葉類真偽判別装置及び紙葉類真偽判別方法
US9761077B2 (en) * 2014-07-02 2017-09-12 Toshiba International Corporation Bank note processing system having a combined florescence and phosphorescence detection system
US10650630B2 (en) * 2014-10-31 2020-05-12 Honeywell International Inc. Authentication systems, authentication devices, and methods for authenticating a value article

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018163567A (ja) 2018-10-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2018181134A1 (ja) 光センサ、光検出装置、紙葉類処理装置、光検出方法及び燐光検出装置
US10176659B2 (en) Paper sheet authentication apparatus
JP5208801B2 (ja) 光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置
CN109415629B (zh) 识别材料的方法
EP2290622B1 (en) Light detection device and sheet processing apparatus including the same
US8546771B2 (en) Method and device for identifying a photoluminescent material
US10685524B2 (en) Method for authenticating a security marking utilizing long afterglow emission, and security marking comprising one or more afterglow compound
WO2015159438A1 (ja) 紙葉類真偽判別装置及び紙葉類真偽判別方法
EP1378868A2 (en) Document authenticating apparatus and method
US20190066428A1 (en) Invisible-feature detection device, sheet recognition device, sheet handling device, print inspection device, and invisible-feature detection method
US9989411B2 (en) Sensor and method for checking authenticity of valuable documents with a luminscent security feature
JP6944258B2 (ja) 燐光検出装置、紙葉類処理装置及び燐光検出方法
US11402329B2 (en) Method for identifying pledged property
EP3129959A1 (en) Apparatus and method
US20200273279A1 (en) Completeness check of a value document
CN109074696B (zh) 用于检查有价文件特别是钞票的装置和方法及有价文件处理系统
JP6944259B2 (ja) 燐光検出装置、紙葉類処理装置及び燐光検出方法
JP6967660B2 (ja) 光検出センサ、光検出装置、および、紙葉類処理装置
EP2790159A1 (en) Fluorescence and afterglow detection device and sheet processing apparatus
JP7017862B2 (ja) 光センサ、光検出装置、紙葉類処理装置及び光検出方法
WO2010026646A1 (ja) 紙葉類識別装置、紙葉類識別方法及び紙葉類識別プログラム
RU158936U1 (ru) Устройство для автоматической проверки наличия на банкнотах защитных антистоксовых меток (спецэлемент и)
JP2012093987A (ja) 光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置
RU158422U1 (ru) Устройство для подсчета банкнот с возможностью проверки защитных антистоксовых меток (спецэлемент и)
JP2007209851A (ja) 分光検出装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20190617

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20191030

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191106

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20191107

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210126

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210319

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210824

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210910

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6944258

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150