JP2006266810A - 真偽判別装置及び真偽判別方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は、複数の波長域において発光体の励起時の発光特性と残光特性をそれぞれに取得する安価でかつ精度の高い真偽判別に使用する装置を提供する。
【解決手段】
本発明は、発光体が励起して発する光から真偽を判別する装置であって、発光体に対して励起光を照射する投光部と、励起光の照射による発光体の発光から、複数の特定波長域における発光特性及び残光特性を取得する複数の受光部と、あらかじめ設定した発光体の複数の特定波長域における発光特性及び残光特性の基準値と前記受光部で取得した複数の特定波長域における発光特性及び残光特性をそれぞれ比較演算して真偽判別する比較演算部と、を備えることを特徴とする真偽判別装置である。
【選択図】図1
本発明は、複数の波長域において発光体の励起時の発光特性と残光特性をそれぞれに取得する安価でかつ精度の高い真偽判別に使用する装置を提供する。
【解決手段】
本発明は、発光体が励起して発する光から真偽を判別する装置であって、発光体に対して励起光を照射する投光部と、励起光の照射による発光体の発光から、複数の特定波長域における発光特性及び残光特性を取得する複数の受光部と、あらかじめ設定した発光体の複数の特定波長域における発光特性及び残光特性の基準値と前記受光部で取得した複数の特定波長域における発光特性及び残光特性をそれぞれ比較演算して真偽判別する比較演算部と、を備えることを特徴とする真偽判別装置である。
【選択図】図1
Description
本発明は、蛍光体や燐光体といった発光体の励起光照射中の発光特性及び励起光遮断後の残光特性の両方を利用した安価でかつ精度の高い真偽判別に使用する装置及び方法に関する。
蛍光体及び燐光体といった発光体は特定の波長の光で励起して、ある一定の波長の光を放出する特性を持っている。また、燐光体に関しては励起光の照射が終わったのちでも減衰しながら微弱な光を蛍光体と比較して長く放出する残光特性を有し、この残光の減衰率もそれぞれに特有の値を持っている。前記の励起波長と放出する発光波長、発光特性、残光特性はそれぞれの発光体に固有であるため、昨今のカラーコピーやパソコンを使用した出力物、及びに印刷機を使用した偽造印刷物に対抗するため、真偽判別の一手段として特定の発光体を印刷や塗布等の手段を用いて印刷物やカード等の一部あるいは全面に付与することは有効であることが知られている。
また、特定励起光投光時の目視による発光体の発光確認による真偽判別方法のほかに、その光を光電変換によって電気信号に変換して数値化することで偽造物との判別を行う機械システムは公知である。
これらの多くは、特定波長の励起光を発光体に照射し、発光体の発光から特定の波長域における発光あるいは残光のどちらか一つを取得し、あらかじめ設定した基準値と比較することで印刷物やカード等の真偽判別を行うものであった。
この発光体の光学特性を利用して真偽判別までを行う一連のシステムあるいは装置として、切手検出装置が挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。
発光体の照射中の発光ならびに照射直後の残光を取得することが可能な装置として、発光体の残光特性測定装置が挙げられる(例えば、特許文献2参照。)。
特殊な分光器を用いて発光体の励起光照射中の分光分布と、照射遮断後の単位時間当たりに分光分布を測定することが可能な高機能な装置として、蛍光・燐光測定装置が挙げられる(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、上記記載の切手検出装置では、燐光については励起光遮断直後の残光値のみを取得するものであり、異種の発光体でありながら同一励起波長域での発光特性が近似しているものや、照射遮断後の残光の減衰特性が似た材料に対しては、基準値の設定によっては比較照合を誤る可能性があった。
また、基材として蛍光増白剤を使用した塗工紙を使用する場合には、塗工層自体がある一定の発光特性を有することがあるほか、発光体と有色顔料の重ね刷りの場合には、その励起光照射中の発光特性には有色顔料の吸収特性が反映されることがある。このように発光体印刷物は結果的に基材や他の着色画線の発光特性や吸収特性の影響を強く受けるため、発光体の発光特性か残光特性のいずれか1種類の光学特性で真偽判別を行う装置や手法ではその判定精度は十分でない場合が多いことから、装置を使用する条件が極めて狭い範囲に限定されるものであった。
また、上記記載の発光体の残光特性測定装置のように、発光体の励起光照射中の発光ならびに照射直後の残光の両方を取得することが可能な装置はあるが、1回の励起光照射に対して取得可能であるのは、可視光の全波長領域あるいは1特定波長域の発光数値と残光数値のみであった。現在、発光体を入手することは容易であり、販売されている異種の発光体の中には、可視光の全波長領域あるいは特定の波長域においてのみ発光と残光が近い値を有するものは多く存在することから、任意の発光体の真偽を判定するにあたっては精度が十分ではなかった。
さらに、蛍光・燐光測定装置のように、特殊な分光器を用いて発光体への励起光照射中の発光の分光分布と、照射遮断後の単位時間当たりの残光の分光分布を測定することが可能な高機能な装置が存在するが、この装置は試料分析を目的としているため、高性能であるものの、判定回路を持たないうえに、一定の発光体に対して真偽判別を実施する目的に対しては極めて高価であるという問題があった。
また、発光体のなかには励起特性の異なる異種の発光体を混合することで、照射する励起波長に応じて発光色が変化する発光体が存在する(例えば、特許文献4参照。)。この発光体は、例えば紫外線長波領域(400nmから300nm)の光で励起した場合には緑色で発光していたものが、紫外線短波領域(300nmから200nm)の光で励起した場合には赤に発光するといった顕著な色変化を特徴としたものである。このように照射する紫外線波長に応じて発光ピークが変化する発光体を真偽判別することは、従来の検出器では不可能であった。
本発明は、特定波長を選択限定的に通過させる複数のフィルタと光電変換器を組み合わせ、複数の波長域の発光特性と残光特性を取得するとともにそれぞれに真偽判定のための基準値をもたせることで、従来の1波長域あるいは、発光特性と残光特性のどちらか一つのみに基準値を設けていた従来の判別装置と比較して、より高精度な真偽判別を自動的に行う装置、あるいは発光体を自動的に識別する汎用性の高い装置を安価で提供するものである。
また、照射する紫外線波長に応じて発光色が変化する発光体も真偽判別対象とするために、投光部も特定波長域の光のみを通過させるフィルタを備えることで、紫外線長波や紫外線短波といった異なった励起光を照射することを可能とし、それぞれの照射波長ごとに、複数の特定波長域の発光特性および残光特性を取得し、それぞれを真偽判別要素とすることで精度を飛躍的に向上させることも可能とした。
発光体が励起して発する光から真偽を判別する方法であって、前記発光体に対して投光部から励起光を照射し、前記励起光の照射による発光体の発光から、複数の受光部で複数の特定波長域における発光特性及び残光特性を取得し、比較演算部であらかじめ設定した発光体の複数の特定波長域における発光特性及び残光特性の基準値と前記受光部で取得した複数の特定波長域における発光特性及び残光特性をそれぞれ比較演算して真偽判別することを特徴とする真偽判別方法である。
発光体が励起して発する光から真偽を判別する装置であって、前記発光体に対して励起光を照射する投光部と、前記励起光の照射による発光体の発光から、複数の特定波長域における発光特性及び残光特性を取得する複数の受光部と、あらかじめ設定した発光体の複数の特定波長域における発光特性及び残光特性の基準値と前記受光部で取得した複数の特定波長域における発光特性及び残光特性をそれぞれ比較演算して真偽判別する比較演算部と、を備えることを特徴とする真偽判別装置である。
前記投光部から照射される励起光は、照射する波長領域を選択可能としたことを特徴とする真偽判別装置である。
前記投光部は、広域な波長を投光する光源と、特定波長を選択的に通過するフィルタと、で構成されていることを特徴とする真偽判別装置である。
前記受光部は、特定波長を選択的に透過するフィルタと、光電変換器からなる受光器とで構成されることを特徴とする真偽判別装置である。
前記投光部は、パルス点灯する回路を備えたことを特徴とする真偽判別装置である。
本発明は上記の如く、複数の波長域において発光体の励起時の発光特性と残光特性をそれぞれに取得することが可能である。これによって励起光波長と発光波長のみならず、複数の波長域における励起光照射中の発光値と励起光照射後一定時間経過後の残光値が基準値内でなければ真と判定しないため、真偽判定の精度は飛躍的に高まるものとなった。
また、あらかじめ複数の発光体の特定波長域における発光・残光特性を取得して基準値を入力しておくことで、1種類の発光体に真偽判定のみならず、あらかじめ取得している複数の発光体の中から基材に含まれる発光体を自動的に選択判定することも可能となった。
また、要求される判定精度や発光体の光学特性に応じて受光部数を増やすことで取得する波長域を拡大し、それぞれに対して基準値を加えることで真偽判別及び選択判定の精度をいっそう向上させることが可能となり、発光体のすべてに対する汎用性が高く、かつ光電変換装置の組み合わせで実現可能となったため、極めて安価に実施が可能となった。
図1にしたがって本発明の基本的な装置の概要を説明する。装置は、光源となる投光器を持つ投光部と取得波長を調節するための光学フィルタと受光器からなる複数の受光部を備え、電気信号を増幅する増幅器とデジタル信号に変換するAD変換器と演算処理する比較演算部からなることを主な構成としている。
判定対象物に対して紫外線を照射する投光器には、単体で広範囲な輝線を有し、波長200nmから400nmの紫外線全波長を照射可能な150Wのキセノンランプ(ウシオ電機製:UXL−157)を用いた。判定対象物を励起させる紫外線は、このキセノンランプと特定のフィルタを組み合わせることによって波長200nmから400nmの広域な波長のなかから、ユーザが意図する波長域のみを任意に選択できる仕様とした。投光器に用いる光源については、キセノンランプに限定されるものではなく、判定対象物に達する特定波長の励起光量が十分であること、及びユーザが判別や識別に必要としている波長域の光を判定対象物に照射可能であることを条件として水銀灯やその他の紫外線照射ランプでも使用可能であることは言うまでもない。
この光源と判定対象物の間に特定の波長域の光のみを通過させる光学フィルタとして各種フィルタを容易に着脱可能な形態で配置した。また、この例においては照射する紫外線波長も任意に選択可能とするために、交換可能なフィルタと紫外線光源の組み合わせで投光部を構成しているが、判定精度をある程度低くしても問題ない場合には、光源単体でキセノンランプや水銀灯等と比較してシャープな波長域の紫外線のみを照射することが可能な紫外線照射LEDを、フィルタと組み合わせずに用いても何ら問題ない。
この例においては、判定照合に用いる発光体を長波励起タイプ(紫外線長波領域400nmから300nmで強く励起され、この波長領域で特に強く発光する。)の発光体、短波励起タイプ(紫外線短波領域で強く励起され、この波長領域で特に強く発光する。)の発光体、長短波励起タイプ(紫外線長波域及び短波域で同様に励起され、発光の強さは波長域に大きく依存しない。)の発光体の3つと想定していることから、照射する紫外線の波長域は100nmスパンの比較的広い範囲と仮定しているために2種類のカラーフィルタガラス(HOYA製:U330(透過波長範囲200nmから400nm)、U360(透過波長範囲300nmから400nm))を用いたが、高精度な判定が要求される場合にはより透過させる波長域を絞ったフィルタを使用することが望ましく、逆に判定及び識別対象となるすべての発光体の励起特性が紫外線照射波長に大きく依存しない場合や、ユーザが希望する判定及び識別精度が低くても良い場合には、各判定対象物の測定条件を同一に保つことを条件として1種類のフィルタや、あるいはフィルタを使用しなくとも問題はなく、判別及び識別対象となる発光体の特性やニーズに応じてフィルタの種類の選択や、フィルタ使用又は未使用の選択を行うことが適当である。
発光及び残光特性を取得する第1の受光器及び第2の受光器にはそれぞれSiフォトダイオード(浜松ホトニクス製:S2281シリーズ)を用い、判定対象物と第1の受光器及び第2の受光器を成すフォトダイオード受光面の間に特定の波長域の光のみを通過させる第2のフィルタ及び第3のフィルタを配した(以下、第2のフィルタと第1の受光器の組み合わせを第1の受光部、第3のフィルタと第2の受光器の組み合わせを第2の受光部と呼称する)。ただし、本発明は複数の波長域の光をそれぞれ光電変換して真偽判別及び識別を行うことにあるために、受光器を光電変換センサひとつのみとし、その前面に切り替え可能な複数のフィルタを備える形態であっても何ら問題ない。
この実施例においては判別及び識別対象とする発光体の発光強度自体が高かったためにフォトダイオードを使用したが、発光体の発光強度が低い場合にはフォトマルチプライヤーやイメージインテンシィファイア等の高感度な光電変換センサを用いることが望ましく、発明の本質としては受光に光電変換センサを用いるものであればなんら問題ない。また、当然のことながら、第2のフィルタ及び第3のフィルタはそれぞれ通過波長域の異なるフィルタを使用している。後記の測定例において当該フィルタ第2、第3のフィルタにいずれも極めて狭い範囲の波長域の光のみを通過させるバンドパスフィルタ(ケンコー製:BPシリーズ)を使用したが、シャープカットフィルタやパスフィルタ等、発光体の特性やユーザが所望する使用目的に応じて使い分けることが可能である。ただし、フィルタによっては透過させる領域の光であっても、光を大きく減衰させる特性を有するため、フィルタの交換にあたってはあらかじめそのフィルタを使用した場合の光の透過光量を確認しておく必要がある。第1のフィルタと同様にこの第2のフィルタ及び第3のフィルタも容易に着脱可能とし、判定すべき発光体の特性に応じてフィルタを任意に選択することが可能な形態としている。光電変換センサやフィルタの選択は自動であっても良い。
この実施例においては判別及び識別に用いた発光体の発光特性は2領域で充分な判定精度に達したため、受光部で取得する波長域を2領域としている。このため、性質の異なる2種類の第2、第3のフィルタと2つの光電変換センサ(Siフォトダイオード)を使用したが、言うまでもなくフィルタや光電変換センサの数はこれに限定されるものではなく、必要とする真偽判定精度や発光体の発光特性に応じて装置の受光部の数を増やして対応することが望ましい。逆に光電変換センサをひとつとし、その受光部前面のフィルタのみが複数備えられた形態であっても、複数の波長域の光を光電変換して真偽判別及び識別を行う本発明の本質から外れるものではないことは言うまでもない。
発光体からの発光及び残光は第1の受光部及び第2の受光部で取得され、それぞれの受光部で光電変換され、電気信号として各々に接続された増幅器(浜松ホトニクス製:C2719)へ送信される。増幅器によって強度を高めた信号はAD変換器(AD National Instrument製:DAQcard−1200)を通じてデジタルデータとして比較演算回路を有するコンピュータに送信される仕組みとなっている。比較演算部では設定したそれぞれの基準値と、取得したそれぞれの波長域における発光特性及び残光特性が、判別及び識別すべき発光体の特性と一致するかを判定フローに従って判別し、真偽判別時の結果は判定表示部に「真」「偽」、識別時の結果は「発光体の名称」あるいは「該当なし」と表示される仕組みとなっている。制御部においては操作部で設定された励起光のパルス点灯の制御及び投光部と受光部におけるサンプリング周期を同期させるための制御、並びに記録部にあらかじめ備えられた判別又は識別対象となる発光体データの基準値の読み出し命令等を主に行っている。
本発明の装置の測定部における投光器及び2つの受光器の位置関係を図2に示した。投光器1から照射される紫外線は、第1のフィルタ2と判定対象物3に対して垂直に入射される位置関係とした。第1の受光部6´及び第2の受光部7´は投光器1と判定対象物3を結ぶ直線に対してそれぞれ45度を成す角度に配し、両受光部から判定対象物3までの距離は同一としている。第1の受光部6´及び第2の受光部7´と判定対象物の間にはそれぞれ通過させる波長域の異なった特性を持つ第2のフィルタ4及び第3のフィルタ5をそれぞれの受光面に対して平行に配した。測定時のSN比向上のため、判定対象物3は、外部からの光が入らないよう函体8で完全に密閉した形態で測定される。
第1の受光部6´及び第2の受光部7´で光電変換されたそれぞれの光は、電圧としてAD変換器を通してデジタルデータで比較演算部に送られる。本発明においてはAD変換したデータをコンピュータに送り、データ処理ソフトウェアを使用して作製した判定プログラムに基づいて真偽判別又は識別される構成とした。
図3は測定時にコンピュータに送られる判定対象物3の発光を光電変換して取得した「時間と電圧」のデジタル波形と、基準値と比較される測定値であるV1、V2、V3、V4の関係を示したものである。具体的には励起光照射開始時をT0とし、照射開始T1秒後に第1の受光部6´で取得した電圧をV1、照射開始T2秒後に第1の受光部6´で取得した電圧をV2とする。また、照射開始T3秒後に第2の受光部7´で取得した電圧をV3、照射開始T4秒後に第2の受光部7´で取得した電圧をV4とする。多くの場合、T1=T3、T2=T4の時間設定で問題はないが、使用する発光体の特性に応じた設定を可能とするために、それぞれの受光部で光を取得するタイミングを各々設定できる。また、発光体の蛍光発光と残光を真偽判別に利用するためにはT1及びT3は発光体が完全に励起された蛍光発光状態である時間に定めることが肝要であることから、紫外線照射ランプ点灯中あるいは点灯直後の時間となる。また、T2、T4は発光体の残光を取得することが必要であることから、紫外線照射ランプが照射した後の時間となる。特に、T2及びT4は使用する発光体の残光特性に応じて判定に適したタイミングに設定することが、真偽判別精度を高め、かつ誤判別をなくすためには極めて重要である。
引き続いて1つの励起光に対する真偽判別のための最も基本的な判定フローを図4に示す。基本にはあらかじめ設定した基準値を中心として、基準値±誤差として許容範囲を設定し、許容最大値と許容最小値の間に判定対象物から得た波長域1の発光・残光電圧と波長域2の発光・残光電圧が許容されるか否かで各ブロックにおいて各々真偽を判定する方式とした。
ここで、V1、V2、V3、V4がそれぞれ単独で真偽判定される。V1、V2、V3、V4すべての判定が合格(yes)であった場合に「真」判定が行われる基本フローとなっている。
また、1つの発光体に対して異なった波長域の紫外線をそれぞれ照射する場合の判定フローを図5に示す。発光体の中には異なった発光体同士であっても、ある波長域においてはほとんど同じ発光を示すものが存在するため、1つの波長域の紫外線のみ照射する場合には、異なった発光体を真正品として判定してしまう場合があると考えられる。このフローは、判定対象物となる1つの発光体に対して波長の異なった複数の紫外線を照射して、発光体の紫外線波長毎の発光をそれぞれ真正品の基準値と比較して真偽判別の精度を飛躍的に向上させるためのものである。
操作部で判別に用いる照射する紫外線波長域を複数選択すると、選択した波長域に応じて励起波長1、励起波長2・・・励起波長I・・・励起波長N(I及びNは任意の数)までの励起波長のナンバリングが行われたのち、それぞれの波長域に適合したフィルタに切り替えられたことを確認してランプの点灯が開始される。励起波長1と設定された波長域の紫外線の照射が行われるとともに、励起波長1照射時の真正品の基準値が記録部から読み出され、判定対象物から得たV1、V2、V3、V4と比較判定される。比較には図4に示した最も基本的な判定フロー(内部フロー1)が用いられ、励起波長1における判定フローの結果が合格(yes)した場合にのみ、引き続いて励起波長2の照射のステップへと入る。判定の結果が不合格(No)の場合にはこの時点で「偽」判定となり、表示部に「偽」の文字が表示される。励起波長2の照射も励起波長1の照射と同様に適合したフィルタに切り替えられたことを確認したのちにランプの点灯が開始され、励起波長1と同様なステップでV1、V2、V3、V4を取得し、基準値と比較される。この真偽判別は操作部で選択した紫外線波長数が終了するまで照射波長毎に繰り替えされ、最終的に選択したすべての波長域での蛍光と残光が基準値の誤差範囲内に入った場合に、判定対象に対して「真」の判定が行われる。
次に、これまでの判定対象物が真正品であるか否かを判定する真偽を目的とした真偽判別用フローとは異なり、あらかじめ記録部に保存された発光体群の中から判定対象物の名称を選択する識別用フローについて、図6に示す。基本フローは図4及び図5に記載した真偽判別のための判定フローを使用し、内部フローとして格納している。この識別モードへの変更を行った場合には、あらかじめ記録部に保存して照合対象とする発光体群の数によっては比較しなければならない基準値が膨大な量となる可能性があることから判定対象物の励起波長1から励起波長NまでのそれぞれのV1、V2、V3、V4はまとめて測定されて一時的に記録部に格納される形態となっており、全データの取得が終了した時点で各基準値との比較が開始される仕組みとなっている。第1の発光体の基準値に対して真偽判別し、フローの過程で不合格(No)判定が行われた場合には第2の発光体の基準値に変更して同様な判定フローに従い、随時第3、第4・・・第Nまでの基準値と比較し、第1から第Nまでで「合格」(yes)判定が行われない場合には「該当なし」判定を行うものとした。真判定が行われた場合には判定表示部にその発光体の名称を表示するとともに発光・残光値を表示する方式とした。
それぞれの許容範囲の発光・残光量を取得した場合に「真」の判定をする仕組みとしたが、最終的な判定の基準となる基準値はもちろん、誤差についてもあらかじめ入力・変更が可能な形態とした。
判定フロー及び識別フローについてはあくまで単純な判定処理の一例であり、本発明の判定フロー及び識別フローの構成はこれに限定されるものではないことはいうまでもない。
(測定例:真偽判別例1)
以下に、本装置を使用した場合の実際の真偽判別例を説明する。真正品となる発光体Aはスチレンアクリル系樹脂水溶液85重量部と顔料15重量部を混合し、これにノルマルプロピルアルコールに水を加えた溶剤を適宜添加してグラビアインキとした。このインキをグラビア平版試験機(クラボウ株式会社製:GP−2型)を使用し線数175線/inch、網点100%の版でグラビア印刷を行い、基準となる印刷物を得た。発光体の真偽判別を行うためには、あらかじめ真正品の分光特性を調査し、真偽判別あるいは識別を行うために使用する適切な波長域の選択を行う必要がある。
以下に、本装置を使用した場合の実際の真偽判別例を説明する。真正品となる発光体Aはスチレンアクリル系樹脂水溶液85重量部と顔料15重量部を混合し、これにノルマルプロピルアルコールに水を加えた溶剤を適宜添加してグラビアインキとした。このインキをグラビア平版試験機(クラボウ株式会社製:GP−2型)を使用し線数175線/inch、網点100%の版でグラビア印刷を行い、基準となる印刷物を得た。発光体の真偽判別を行うためには、あらかじめ真正品の分光特性を調査し、真偽判別あるいは識別を行うために使用する適切な波長域の選択を行う必要がある。
図7は分光測定器(日立製作所製:850型分光蛍光光度計)を使用して確認した発光体Aの長波紫外線励起時と短波紫外線励起時の分光特性である。いずれの場合にも3つの顕著な発光ピークを持つことから、500nm以上の波長に存在する特徴的な2つピークを中心とした±3nmの範囲の検出対象と想定し、第1の受光部6´で520nm±3nmの波長域1を、第2の受光部7´で620nm±3nmの波長域2を取得することとし、図1に示した第1の受光部の第2のフィルタは波長域1(520nm±3nm)の光のみを通過させるバンドパスフィルタ(ケンコー製:BP52)を、第3のフィルタには波長域2(620nm±3nm)の光のみを通過させるバンドパスフィルタ(ケンコー製:BP62)を使用した。また、照射する紫外線波長の違いによる発光体Aの発光強度の差異は、図7に表されるように長波紫外線域の波長(365nmを中心波長とする)で励起した場合と、短波紫外線域の波長(長254nmを中心波長とする)で励起した場合に、長短波紫外線励起タイプに分類される程度のものしか見られないことから、バンドパスフィルタを使用して紫外線のある一定の波長域のみの紫外線を照射して真偽判別を必要とするレベルではないと判断できた。以上のことから、この発光体Aにおいては真偽判別に使用する紫外線波長は特に限定せず、照射側は、ひとつの波長域の紫外線のみで真偽判別を行うこととした。発光体Aに対して使用する照射用のフィルタには、200nmから400nmの紫外線をすべて通過させるカラーガラスフィルタ(HOYA製:U330)を使用することで目的を達成できる。
投光部で照射する紫外線波長域と受光部(第1の受光部6´及び第2の受光部7´)で取得する複数の波長域を決定し、使用する各フィルタを選択したのち、基準値となる蛍光発光値及び残光値を取得するために、実際に前記のフィルタを用いた構成(第1のフィルタ2にカラーガラスフィルタU330、第2のフィルタ4に中心波長を520nmとしたバンドパスフィルタBP52、第3のフィルタ5には中心波長を620nmとしたバンドパスフィルタBP62を使用)で発光体Aの基準となる印刷物を測定したところ、図8のような時間と電圧の関係を得た。図8の第1の受光部6´と示したグラフは中心波長520nmのバンドパスフィルタを透過した発光体Aの光学特性を表しており、図8の第2の受光部7´と示したグラフは中心波長620nmのバンドパスフィルタを透過した発光体Aの光学特性を示している。投光部での紫外線照射開始時間をT0とし、T0から10ms(ミリ秒)後に紫外線の照射を停止させる照射条件としている。各波長における蛍光発光のしきい値となるV1及びV3は、発光体の蛍光発光時の電圧値を取得することが前提条件であることから、その取得のタイミングとして設定するT1、T3は紫外線照射によって発光体の蛍光発光が完全に飽和して安定したとき以後の時間が望ましく、かつ紫外線照射終了までの時間のなかに設定することが適当である。また、各波長における残光の基準値となるV2及びV4は、発光体の残光放出時の電圧値を取得することが前提条件であることから、その取得のタイミングとして設定するT2、T4は紫外線照射終了以後の時間であって、かつ発光体の残光が十分取得できる強度を有している時間までのタイミングに設定することが適当である。この発光体Aについては、キセノンランプ10msの照射において、第1の受光部6´及び第2の受光部7´のそれぞれの蛍光発光は紫外線照射開始後2msから3ms後には完全に飽和することが確認できたことから、発光体Aを対象としたT1、T3は両設定とも同様にT0+6msのタイミングに設定した。また、紫外線照射後12ms経過した時点(照射終了後2ms経過後)において、発光体Aの残光値がノイズにまぎれることなく検出できるレベルであったことから、V2、V4取得のタイミングとなるT2、T4はT0+12msのタイミングと設定した。引き続き、発光体Aを印刷した印刷物を同一印刷条件で50枚作製し、50回の測定を行い、T1、T2、T3、T4のタイミングでそれぞれV1、V2、V3、V4を取得した。その平均値となったそれぞれの電圧値はV1=5.5V、V2=1.0V、V3=4.0V、V4=0.7Vであり、これらの値を発光体Aの基準値として記録部に入力した。また、その測定のあばれを考慮し、判定で許容する誤差をすべて基準値の10%と設定した。
また、本装置の真偽判別機能の確認を行った。前記同様に発光体Aの顔料を15重量部としたインキで印刷した印刷物を判定対象物iとし、発光体Aの顔料を5重量部にしたインキで印刷した印刷物を判定対象物iiとし、基準とする印刷物とした発光体Aの印刷物をカラーコピーした複写物を判定対象物iiiとし、加えて図9に示す520nmを中心とする波長域1においてのみ発光体Aと似た発光強度を持つ発光体Bを用いた模造印刷物を作製し、判定対象物ivとした。この4つの判定対象物に対して本装置を用いて真偽判別を行った結果、表1に示すとおりの結果となった。
本発明の実施に係る真偽判別例1の結果を表1に示す。
本来のフローに従うと、「No」判定があった時点で測定が終了する仕様であるが、比較のために「No」判定が行われた場合でも測定を終了させず継続して発光値の測定を行った。
判定対象物ii、iiiについては、蛍光発光値及び残光値ともに不足の判定で「偽」判定となり、判定対象物ivについては波長域1における蛍光発光値及び残光値はともに基準値の許容誤差内に収まる強度であったものの、波長域2での蛍光発光値及び残光値のいずれもが不十分であることから判定対象物ii、iiiと同様に「偽」判定を下す結果となった。この結果から、受光する波長域が仮に波長域1のみの蛍光発光値と残光値を基準として真偽判別を行う装置の構成であった場合には、発光体Bを印刷した判定対象物ivは「真」と判定されており、複数の異なった波長域の蛍光発光値と残光特性値を基準として真偽判別を行う本装置は、単一の波長域の発光特性のみを基準値とする判定装置と比較して高い真偽判別精度を持つことが証明された。
(測定例:識別例1)
また、本装置の識別装置としての精度を確認するため、識別対象として前記の発光体Aに加え、発光体Bの蛍光・残光特性の基準値を設定し、識別フローを用いた場合の測定例について説明する。発光体Aと発光体Bの分光測定器を用いて測定した発光スペクトルのグラフは、図7及び図9に示したとおりであり、発光特性は公知であることから、前記測定例同様に第1の受光部6´及び第2の受光部7´のバンドパスフィルタについては中心波長520nm、及び620nmのものを使用した。また、T1、T2、T3、T4は前記の例と同じタイミングとし、発光体Aの基準値V1a、V2a、V3a、V4aは前例同様の値とし、発光体Bの基準値V1b、V2b、V3b、V4bは新たに基準となる印刷物を作製して設定することとした。発光体Bについても発光体A同様にスチレンアクリル系樹脂水溶液85重量部と顔料15重両部を混合してインキを作製して同様にグラビア印刷を行い、基準印刷物を作製した。本装置を使用して発光体Bの基準となる印刷物のそれぞれの波長域における「時間と電圧」の関係を取得したところ、図10のとおりであった。T1、T2、T3、T4における発光・残光強度V1b、V2b、V3b、V4bを表2のとおり基準値として入力した。
また、本装置の識別装置としての精度を確認するため、識別対象として前記の発光体Aに加え、発光体Bの蛍光・残光特性の基準値を設定し、識別フローを用いた場合の測定例について説明する。発光体Aと発光体Bの分光測定器を用いて測定した発光スペクトルのグラフは、図7及び図9に示したとおりであり、発光特性は公知であることから、前記測定例同様に第1の受光部6´及び第2の受光部7´のバンドパスフィルタについては中心波長520nm、及び620nmのものを使用した。また、T1、T2、T3、T4は前記の例と同じタイミングとし、発光体Aの基準値V1a、V2a、V3a、V4aは前例同様の値とし、発光体Bの基準値V1b、V2b、V3b、V4bは新たに基準となる印刷物を作製して設定することとした。発光体Bについても発光体A同様にスチレンアクリル系樹脂水溶液85重量部と顔料15重両部を混合してインキを作製して同様にグラビア印刷を行い、基準印刷物を作製した。本装置を使用して発光体Bの基準となる印刷物のそれぞれの波長域における「時間と電圧」の関係を取得したところ、図10のとおりであった。T1、T2、T3、T4における発光・残光強度V1b、V2b、V3b、V4bを表2のとおり基準値として入力した。
本発明の実施に係る発光体A及び発光体Bの基準値を表2に示す。
誤差範囲についてはV1b、V2b、V3b、V4bも前記例と同様にそれぞれ±10%と設定した。
本発明の真偽判別装置として使用した前記の真偽判別例1と同様に、発光体Aのインキの顔料を15重両部として印刷を行った判定対象物i、発光体Bのインキの顔料を15重両部とした判定対象物v、また発光体Aを付与した印刷物をカラーコピーした判定対象物iii、発光体Bを付与した基準となる印刷物をカラーコピーした判定対象物vi、図11に示す分光特性を持つ任意の発光体Cを付与した判定対象物viiを使用して確認を行った。この5つの判定対象物に対して真偽判定を行った結果、表3に示すとおりの結果を得た。
本発明の実施に係る識別例1の結果を表3に示す。
本来のフローに従うと、「No」判定があった時点で測定が終了する仕様であるが、比較のために「No」判定が行われた場合でも測定を終了させず継続して発光値の測定を行った。
判定対象物iは発光体Aの判定、判定対象物vは発光体Bの判定、その他についてはすべて「該当なし」の結果となった。以上のことから、本装置が識別装置として機能することを確認できた。
(測定例:真偽判別例2)
引き続き、本装置を使用して受光部で取得する波長域を複数とすることにとどまらず、照射する紫外線の波長域も複数とし、さらに真偽判別精度を高めた場合の真偽判別例を説明する。本例において真正品となる発光体Dは、照射する紫外線の波長に応じてその発光スペクトルを著しく変化させるいわゆる二色性発光体と呼称される発光体である。
引き続き、本装置を使用して受光部で取得する波長域を複数とすることにとどまらず、照射する紫外線の波長域も複数とし、さらに真偽判別精度を高めた場合の真偽判別例を説明する。本例において真正品となる発光体Dは、照射する紫外線の波長に応じてその発光スペクトルを著しく変化させるいわゆる二色性発光体と呼称される発光体である。
図12に分光測定器(日立製作所製:850型分光蛍光光度計)を用いて、紫外線長波(365nmを中心波長とする)で励起した場合の分光特性と、紫外線短波(254nmを中心波長とする)で励起した場合の分光特性をそれぞれ示す。照射する紫外線波長域によって、極めて大きな発光波長の変化が現れていることがわかる。このように照射する波長域に応じて発光特性が大きく変化する発光体を高い精度で判別及び識別するには、前記の真偽判別例1及び識別例1のように受光する波長域を複数とするだけでなく、照射する紫外線波長域も複数とした場合に判定及び識別精度が著しく高まることは言うまでもない。前記の真偽判別例1と同様に発光体Dをスチレンアクリル系樹脂水溶液85重量部と混合して顔料15重量部で混合し、これにノルマルプロピルアルコールに水を加えた溶剤を若干添加してグラビアインキとした。このインキをグラビア平版試験機(クラボウ株式会社製:GP−2型)を使用し、線数175線/inch、網点100%の版でグラビア印刷を行い、基準となる印刷物を得た。
図12の分光特性から特徴的な波長域は450nmを中心として±数nmの波長域と、610nmを中心として±数nmの波長域であることが容易に判断できることから、第1の受光部6´で450nm±3nmの波長域1を、第2の受光部7´で610nm±3nmの波長域2を取得することとし、第1の受光部6´の第2のフィルタ4は波長域1(450nm±3nm)の光のみを通過させるバンドパスフィルタ(ケンコー製:BP45)を、第2の受光部7´の第3のフィルタ5には波長域2(610nm±3nm)の光のみを通過させるバンドパスフィルタ(ケンコー製:BP61)を使用することとした。また、照射する紫外線波長の違いによる発光体Dの発光強度の差異は、図12に表されるように長波紫外線域の波長(365nmを中心波長とする)で励起した場合と、短波紫外線域の波長(254nmを中心波長とする)で励起した場合に、極めて顕著な差が見受けられることから、2種類のフィルタを使用して紫外線波長の異なった複数の波長域の紫外線を照射した真偽判別が必要であると判断できた。発光体Dに対して使用する照射用の第1のフィルタ2には、200nmから400nmの紫外線をすべて通過させるカラーガラスフィルタ(HOYA製:U330)と、300nmから400nmの紫外線のみを通過させるカラーガラスフィルタ(HOYA製:U360)の2種類を使用して真偽判別を行うこととした。この場合、200nmから400nmを励起波長1、300nmから400nmを励起波長2と設定した。
本発明の実施に係る発光体Dの基準値を表4に示す。
各フィルタの特性を決定したのち、本装置の各受光部に各フィルタを取り付けた状態で第1のフィルタ2にU330をセットし、基準となる印刷物に対して紫外線の照射を行い、前記例と同様に受光部1及び受光部2で励起波長1における基準値V11、V21、V31、V41を取得した。続いて、フィルタ1をU330からU360に変更し、励起波長1における基準値V12、V22、V32、V42を取得した。T1、T3は両設定とも前例と同様にT0+6ms、また、V2、V4取得のタイミングとなるT2、T4はT0+12msのタイミングの設定となっている。加えて、前例同様に誤差は±10%の設定とした。
引き続き、本装置で複数の励起光を照射した場合の真偽判別機能の確認を行った。前記真偽判別例1及び識別例1と同様に発光体Dの顔料を15重量部としたインキで印刷した印刷物を判定対象物viiiとし、発光体Dの顔料を5重量部に落としたインキで印刷した印刷物を判定対象物ixとし、基準となる印刷物とした発光体Dの印刷物をカラーコピーした複写物を判定対象物xとし、加えて図13に示す紫外線長波照射時のみ発光体Dと似た発光強度を持つ発光体Eを用いた模造印刷物を顔料3重量部で作製し、判定対象物xiとした。この4つの判定対象物に対して本装置を用いて真偽判別を行った結果、表5に示すとおりの結果となった。
本発明の実施に係る真偽判別例2の結果を表5に示す。
本来のフローに従うと、「No」判定があった時点で測定が終了する仕様であるが、比較のために「No」判定が行われた場合でも測定を終了させず継続して発光値の測定を行った。
判定対象物ix、xについては、蛍光発光値及び残光値ともに不足の判定で「偽」判定となり、判定対象物xiについては励起波長2における蛍光発光値及び残光値はすべて基準値の許容誤差内に収まる強度であったものの、励起波長1照射時の第2の受光部7´における蛍光発光値及び残光値が不十分であることから判定対象物ix、xと同様に「偽」判定を下す結果となった。
この結果から、照射する波長が仮に励起波長2のみで、かつ受光側において1波長域の蛍光発光値と残光値を基準として真偽判別を行う装置の構成であった場合には、発光体Eを印刷した判定対象物xiは「真」と判定されており、異なった励起光を照射し、かつ複数の異なった波長域の蛍光発光値と残光値を基準として真偽判別を行う本装置は、単一の波長の紫外線を照射し、かつ単一の波長域の発光特性のみを基準値とする判定装置と比較して高い真偽判別精度を持つことが証明された。
この確認のために作製した発光体A〜Eの被印刷基材は上質紙であったため、発光強度及び残光強度にバラツキの少ない測定結果となったが、被印刷基材が蛍光増白剤を含む塗工紙である場合や、発光体を付与する下地にあらかじめ印刷が施されている場合には取得する波長によっては蛍光又は燐光体自体の発光又は残光特性に影響を及ぼすことから、判定対象物3の構成が変わる場合には、それぞれの条件にあった基準値を見出す必要があり、取得する波長域については、事前に発光体のスペクトルを確認し、その特性に応じたフィルタを適宜選定したうえで発光・残光特性を利用すべきであることはいうまでもない。
1 投光器
2 第1のフィルタ
3 判定対象物
4 第2のフィルタ
5 第3のフィルタ
6 第1の受光器
7 第2の受光器
6´ 第1の受光部
7´ 第2の受光部
8 函体
2 第1のフィルタ
3 判定対象物
4 第2のフィルタ
5 第3のフィルタ
6 第1の受光器
7 第2の受光器
6´ 第1の受光部
7´ 第2の受光部
8 函体
Claims (6)
- 発光体が励起して発する光から真偽を判別する方法であって、
前記発光体に対して投光部から励起光を照射し、前記励起光の照射による発光体の発光から、複数の受光部で複数の特定波長域における発光特性及び残光特性を取得し、比較演算部であらかじめ設定した発光体の複数の特定波長域における発光特性及び残光特性の基準値と前記受光部で取得した複数の特定波長域における発光特性及び残光特性をそれぞれ比較演算して真偽判別することを特徴とする真偽判別方法。 - 発光体が励起して発する光から真偽を判別する装置であって、
前記発光体に対して励起光を照射する投光部と、前記励起光の照射による発光体の発光から、複数の特定波長域における発光特性及び残光特性を取得する複数の受光部と、あらかじめ設定した発光体の複数の特定波長域における発光特性及び残光特性の基準値と前記受光部で取得した複数の特定波長域における発光特性及び残光特性をそれぞれ比較演算して真偽判別する比較演算部と、を備えることを特徴とする真偽判別装置。 - 前記投光部から照射される励起光は、照射する波長領域を選択可能としたことを特徴とする請求項2記載の真偽判別装置。
- 前記投光部は、広域な波長を投光する光源と、特定波長を選択的に通過するフィルタと、で構成されていることを特徴とする請求項2又は3のいずれかに記載の真偽判別装置。
- 前記受光部は、特定波長を選択的に透過するフィルタと、光電変換器からなる受光器とで構成されることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の真偽判別装置。
- 前記投光部は、パルス点灯する回路を備えたことを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の真偽判別装置。
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