JP2013019819A - 蛍光分析装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】蛍光分析装置1は、測定対象に励起光を照射するための励起光源12、測定対象が発する蛍光を検出する検出器13、測定対象の励起波長を選択的に透過させる励起光フィルタ14、励起光成分を除去し、検出器13への励起光の侵入を避けるために励起光をカットする励起光カットフィルタ15、測定対象が発する蛍光波長を選択的に透過させる蛍光フィルタ16を備えており、励起光源12は励起光の光軸がカートリッジ30の表面30cに対して傾斜するように配置され、検出器13は受光面13aがカートリッジ30の励起光照射領域に対向して配置され、受光面13aが励起光照射領域よりも大きくなるように構成されている。
【選択図】 図2
Description
そこで、これら方法よりも短時間で測定可能な蛍光発光測定法の適用が考えられる。
オンサイト分析を行うために測定時間を短縮するには、蛍光発光分析法を適用することが有効と考えられる。従来の蛍光分析装置(例えば、特許文献1)では、対象物質の励起光及び蛍光波長が解らないケースや測定精度を向上させるため、励起光及び蛍光を分光する分光器を用いている。また、測定対象の蛍光発光領域を小さくし、レンズなどの光学系により集光効率を高めることにより感度向上を図っているため、分析装置の小型化やフィールド等へ持ち運び使用することが困難である。
一方、分析装置を小型化する試みとして、光学系にプリズムを用いた蛍光検出装置(例えば、特許文献2)などが提案されている。
また、カートリッジの表面に対して傾斜して励起光を照射するため、吸着剤に対して励起光の照射する面積を拡大することができる。これにより、測定対象の吸着剤による吸着状態に吸着量の多少の分布がある場合でも、局所の測定でなく広い範囲を測定することができるので、測定精度を向上させることができる。
そして、検出器は、受光面がカートリッジの励起光照射領域に対向して配置され、当該受光面がカートリッジの励起光照射領域よりも大きくなるように構成されているため、蛍光を効率よく検出器に入射させることができ、測定精度を向上させることができる。
以上のように、高精度の測定が可能で、オンサイト分析に適した小型、堅牢な蛍光分析装置を実現することができる。
充填部30aは吸着剤31全体に励起光が照射され受光効率が高くなるように、例えば、厚さが10mm以下に、薄く形成されている。一方、吸着剤31の量は、測定対象の吸着量に関係し、少ないと十分な量の測定対象を吸着できず分析感度の低下を招く。そこで、測定対象を十分に吸着するために、必要量の吸着剤を充填できるように、面積が十分に広く形成されている。励起光照射領域及び蛍光検出領域は、十分な面積を有する平坦面となるため、励起光の受光効率を高くすることができるとともに、蛍光が広がりにくく検出器13による検出効率を高くすることができる。
本実施形態では、充填部30aは1辺5mmの6角形状で、面積75mm2、深さ1.6mm、容積120mm3となるように形成した。
本実施形態では、筐体11は、アルミニウム合金を加工したブロックにより作製され、照射室11dなどの内面には励起光により蛍光発光しない材料により黒塗装が施されている。これにより、励起光の迷光及び外光の散乱によるバックグラウンド光増に起因する測定精度の低下を防ぐことができる。
傾斜角度θが小さすぎると励起光を十分拡大し十分な面積に照射することができないため、蛍光発光の再現性や測定精度を向上させることができない。また、カートリッジ30の表面30cにおいて励起光が正反射して検出器13に励起光が入射してしまいバックグラウンドが増大し、測定精度が低下してしまう。
励起光カットフィルタ15、蛍光フィルタ16は、光吸収性の色ガラスや金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物などの誘電体薄膜または金属薄膜からなる多層膜を基板上に形成したフィルタである。誘電体薄膜としては、親水性あるいは非親水性の無機化合物であって、例えばTiO2(二酸化チタン)、Ta2O5(五酸化タンタル)、ZrO2(酸化ジルコン)、A12O3(酸化アルミニウム)、Nb2O5(五酸化ニオブ)、SiO2(酸化ケイ素)、Si3N4(窒化ケイ素)、MgF2(フッ化マグネシウム)などが挙げられる。誘電体多層薄膜層の各膜厚は、数十nm〜数百nmに設定される。ここで、「金属薄膜層」は、例えば金、銀、プラチナのような酸化されにくく、金属光沢を有する金属のごく薄い膜構造体をいう。これらの誘誘電体薄膜および金属薄膜の成膜方法は特に限定されるものではないが、蒸着法やスパッタリング法で成膜されることが好ましい。このような干渉フィルタは、透明なガラスやプラスチックなどから成る基板の表面に成膜されるが、本件では励起光により基板自身からの蛍光発光が無いものを選択する必要があるため、ガラスで特に石英ガラスまたは白板ガラスへの成膜が望ましい。ここで、励起光カットフィルタ15と蛍光フィルタ16とは同一基板を用いて一体的に構成することもできる。
本実施形態では、励起光源12として紫外線発光ダイオードを用いたが、これに限定されるものではない。例えば、可視光発光ダイオードや励起光として良好な波長特性を有する半導体レーザ、励起光を連続して発光するハロゲンランプや超高圧水銀灯などを用いることができる。ここで、励起光源12として可視光LED、半導体レーザを用いる場合には、励起光制御部22により励起光をパルス光として照射するように構成することができる。また、励起光源12は複数個用意することができ、パルス光を用いる場合には、発光タイミングを任意に設定することができる。
例えば、図6に示すような円筒を半割した半円筒状のカートリッジや角柱型、三角柱型など多角柱状に形成されたカートリッジを用いることができる。
カートリッジ40は、一端部が細く絞られて試料溶液の導入及び洗浄液の排出が可能とするための流路41bが形成された半円筒状の本体部41の内部空間を多孔質材料からなるフリット41d、41eにより吸着剤31を充填する充填部41aを区画してなる。カートリッジ40は、平坦面41cが励起光照射領域及び蛍光検出領域となるように筐体11に取り付けて用いる。
ここで、フリット41eの右側の空間は流路41bに相当し、本実施形態では、試料溶液は図中右側から充填部41aに導入される。
本発明の蛍光分析装置1によれば、励起光フィルタ14により測定対象の励起に有効な励起波長を選択的に照射することができるので、測定精度を向上させることができる。励起光カットフィルタ15及び蛍光フィルタ16を用いることにより、励起光をカットし、測定対象が発した蛍光だけを選択的に検出器13に入射させることができる。これにより、分光器を使用しない構成により高精度の測定が可能となり、オンサイト分析に適した小型、堅牢な蛍光分析装置1を実現することができる。
また、カートリッジ30の表面30cに対して傾斜して励起光を照射するため、吸着剤31に対して励起光の照射する面積を拡大することができる。これにより、測定対象の吸着剤31による吸着状態に吸着量の多少の分布がある場合でも、局所の測定でなく広い範囲を測定することができるので、測定精度を向上させることができる。
そして、検出器13は、受光面13aがカートリッジ30の励起光照射領域(充填部30a)に対向して配置され、受光面13aがカートリッジ30の充填部30aよりも大きくなるように構成されているため、蛍光を効率よく検出器13に入射させることができ、測定精度を向上させることができる。
励起光源12に発光ダイオードを用い、パルス発光させる構成では、励起光源12の出力を上げ、輝度を向上させることができる。パルス発光では励起光源12の温度が上昇しにくいため、励起光のピーク波長のドリフト、発光強度の変化などが生じにくい。そして、パルス光を矩形波で制御し、励起光発光後に蛍光強度が一定となったときの蛍光強度に基づいて定量分析を行うことにより測定精度を向上させることができる。
以上のように、高精度の測定が可能で、オンサイト分析に適した小型、堅牢な蛍光分析装置1を実現することができる。
励起光源はカートリッジに対して45°傾斜させて配置し、カートリッジの表面と検出器の受光面との距離は18.2mmと近接して配置した。
図8に示すように、本発明の蛍光分析装置による測定結果(縦軸:蛍光強度の出力値)は、高精度測定が可能な高速液体クロマトグラフィー(HPLC)−蛍光分析法による定量値(横軸)と指数関数的な相関を示した。これは固相表面上でのオクラトキシンAの密度が高いために濃度消光を起こしているものと考えられたが、絶対負荷量1μgまでは、精度が高い測定が可能であることが確認された。
10…装置本体
11…筐体
11a…ホルダ
11b…励起光源固定部
11c…検出器固定部
11d…照射室
11e…照射窓
12…励起光源
13…検出器
13a…受光面
14…励起光フィルタ
15…励起光カットフィルタ
16…蛍光フィルタ
20…制御装置
21…定量分析部
22…励起光制御部
30…カートリッジ
30a…充填部
30b…流路
30c…表面
31…吸着剤
Claims (6)
- 測定対象を吸着する吸着剤が充填部に充填されたカートリッジに励起光を照射し、測定対象が発する蛍光の蛍光強度に基づいて定量分析を行う蛍光分析装置であって、
測定対象に励起光を照射する励起光源と、
測定対象が発する蛍光を検出する検出器と、
励起光源の前方に配置され、測定対象の励起波長を選択的に透過させる励起光フィルタと、
検出器の手前に配置され、励起光成分を除去する励起光カットフィルタと、
検出器の手前に配置され、測定対象が発する蛍光波長を選択的に透過させる蛍光フィルタと、
前記検出器により検出された蛍光の発光強度に基づき対象物質の定量分析を行う定量分析部と、
前記励起光源による励起光の照射を制御する励起光制御部と、を備え、
前記励起光源による励起光の光軸が、前記カートリッジの表面において励起光が全反射しない角度で前記カートリッジの表面に対して傾斜するように励起光源を配置し、
前記検出器に蛍光が入射する受光面は、カートリッジの励起光照射領域に対向して配置され、当該受光面がカートリッジの励起光照射領域よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする蛍光分析装置。 - 前記励起光源による励起光の光軸が、前記カートリッジの励起光照射領域が前記カートリッジの充填部より広くなる角度で傾斜するように励起光源を配置することを特徴とする請求項1に記載の蛍光分析装置。
- 前記励起光源として、発光ダイオードまたは半導体レーザを用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蛍光分析装置。
- 前記励起光制御部は、前記励起光源による励起光をパルス発光させることを特徴とする請求項3に記載の蛍光分析装置。
- 前記パルス発光される励起光は矩形波で制御され、前記定量分析部は、励起光発光後に蛍光強度が一定となったときの蛍光強度に基づいて定量分析を行うことを特徴とする請求項4に記載の蛍光分析装置。
- 励起光及び蛍光に対する透光性を有し、励起光に対して発蛍光性を持たない材料により作製された平坦面を有する基体の内部に、吸着剤を充填保持する充填部と、当該充填部に測定対象を含む溶液の通液及び排出が可能な流路と、が形成されているカートリッジを用い、前記平坦面側から前記充填部に励起光を照射し、蛍光を検出することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の蛍光分析装置。
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