WO2021054367A1 - 紙葉類処理装置、紙葉類処理システム、紙葉類処理方法及び紙葉類処理プログラム - Google Patents

紙葉類処理装置、紙葉類処理システム、紙葉類処理方法及び紙葉類処理プログラム Download PDF

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Abstract

本発明は、突発的な外乱の影響を受け難い、信頼性の高い紙葉類処理装置、紙葉類処理システム、紙葉類処理方法及び紙葉類処理プログラムを提供する。 本発明は、紙葉類に光を照射し、前記紙葉類から放出される光を受光し、信号として出力する光学センサと、前記光学センサが前記信号を出力するための測定を繰り返し行うように制御し、各々の測定にて前記光学センサから出力された信号から光学特性を取得する制御部と、を備え、前記制御部は、第1の測定にて前記光学センサから出力された信号から取得した第1の光学特性と、第2の測定にて前記光学センサから出力された信号から取得した第2の光学特性と、を比較し、当該比較結果に基づき、外乱の影響が有るか否かを判定する第1の判定処理を行う紙葉類処理装置である。

Description

紙葉類処理装置、紙葉類処理システム、紙葉類処理方法及び紙葉類処理プログラム
本発明は、紙葉類処理装置、紙葉類処理システム、紙葉類処理方法及び紙葉類処理プログラムに関する。
紙幣等の紙葉類を処理する紙葉類処理装置として、従来から様々なタイプのものが知られており、紙葉類の真偽を判定するものが知られている。
例えば、特許文献1には、紙幣の入金処理や出金処理を行う紙幣処理装置内に搬送部及び識別部を設け、紙幣処理装置内を搬送部により搬送される紙幣の真偽を紙幣処理装置内で識別部により識別するものが開示されている。
他方、特許文献2には、上述のような専用の搬送機構を設けなくとも紙幣の真偽を簡便に鑑別することができる携帯型の真偽鑑別装置が開示されている。
特開2018-49328号公報 特許第3574219号
しかしながら、特許文献2に記載の真偽鑑別装置のように、操作者により直接取り扱われる小型の装置において紙幣の光学特性を検出する場合では、手振れや、太陽光や室内灯の光の一時的な入射等の突発的な外乱の影響により突発的な値が一時的に出力され、誤った判定結果が得られるおそれがある。例えば、真券を偽券と誤判定する場合や、偽券を真券と誤判定する可能性がある。このような誤判定の原因としては、(1)必ずしも操作に熟練していない人の手を介して操作が行われることや、(2)専用の搬送機構を設けている場合のように外乱の影響が少ない閉ざされた空間において真贋判定が行われないこと等が挙げられる。また、突発的な外乱の影響があると、真偽判定以外の判定処理、例えば、紙葉類の種類(紙幣の場合は金種)を識別する処理や、紙葉類の正損を判定する処理においても誤った判定結果が得られるおそれがある。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、突発的な外乱の影響を受け難い、信頼性の高い紙葉類処理装置、紙葉類処理システム、紙葉類処理方法及び紙葉類処理プログラムを提供することを目的とするものである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、紙葉類処理装置であって、前記紙葉類処理装置は、紙葉類に光を照射し、前記紙葉類から放出される光を受光し、信号として出力する光学センサと、前記光学センサが前記信号を出力するための測定を繰り返し行うように制御し、各々の測定にて前記光学センサから出力された信号から光学特性を取得する制御部と、を備え、前記制御部は、第1の測定にて前記光学センサから出力された信号から取得した第1の光学特性と、第2の測定にて前記光学センサから出力された信号から取得した第2の光学特性と、を比較し、当該比較結果に基づき、外乱の影響が有るか否かを判定する第1の判定処理を行うことを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、前記第1の光学特性と前記第2の光学特性との前記比較において、前記第1の光学特性及び前記第2の光学特性の間の相違が所定の許容範囲内であるか否かを判定することにより、少なくとも前記第2の光学特性に外乱の影響が有るか否かを判定することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記第1の判定処理において外乱の影響が有ると判定された場合は、前記紙葉類処理装置は、前記第1の光学特性及び前記第2の光学特性のいずれに基づいても前記紙葉類が真正な紙葉類であるか否かを判定しないことを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、前記第1の光学特性及び前記第2の光学特性のうちの少なくとも一つが、真正な紙葉類に係る光学特性であるか否かを判定する第2の判定処理を行い、かつ前記第1の判定処理の判定結果及び前記第2の判定処理の判定結果に基づき、前記紙葉類が真正な紙葉類であるか否かを総合的に判定することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、前記第1の判定処理において、少なくとも前記第2の光学特性が所定の条件を満たすか否かを更に判定し、当該判定結果に基づき、少なくとも前記第2の光学特性に外乱の影響が有るか否かを更に判定し、かつ前記第1の判定処理において少なくとも前記第2の光学特性に外乱の影響がないと判定された場合に、前記第2の判定処理を行うことを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、前記第2の測定にて前記光学センサから出力された前記信号から波形データを生成し、前記所定の条件は、前記波形データが単調減少しているか否かであることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、前記波形データが単調減少していない場合に、前記第1の判定処理において、少なくとも前記波形データの信号値のばらつきが所定の許容範囲内であるか否かを更に判定することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、前記第2の判定処理として、前記第1の光学特性及び前記第2の光学特性のうちの前記少なくとも一つを基準となる基準光学特性と比較することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記光学センサは、互いに異なる波長の光を照射する複数の光源により前記紙葉類に光を照射し、前記制御部は、前記各波長の光に起因する光学特性を前記測定毎に取得し、かつ前記紙葉類処理装置は、前記各波長の光に起因する前記光学特性に基づいて前記第1の判定処理及び前記第2の判定処理を行うことを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、前記第1の判定処理及び前記第2の判定処理をそれぞれ複数回行うことを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記紙葉類処理装置は、前記複数回の前記第1の判定処理のうちの所定の回数以上の第1の判定処理において前記制御部により外乱の影響が有ると判定された場合に、前記制御部が前記紙葉類を真正な紙葉類である、又は真正な紙葉類でないと総合的に判定した場合のいずれの場合とも異なる態様にて操作者に報知する報知部を更に備えることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記報知部は、前記複数回の前記第2の判定処理において前記制御部により真正な紙葉類であると判定された回数が所定数以上の場合は、前記紙葉類が真正な紙葉類であると操作者に報知する一方で、前記複数回の前記第2の判定処理において前記制御部により真正な紙葉類でないと判定された回数が前記所定数未満の場合は、前記紙葉類が真正な紙葉類でないと操作者に報知することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、前記第1の判定処理及び前記第2の判定処理をそれぞれ複数回行い、前記紙葉類処理装置は、前記複数回の前記第1の判定処理のうちの所定の回数以上の第1の判定処理において前記制御部により外乱の影響が有ると判定された場合に操作者に報知する報知部を更に備えることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記各々の測定にて前記光学センサから出力された前記信号は、前記紙葉類の同一線上の互いに異なる箇所で受光した光に係るものであることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記各々の測定にて前記光学センサから出力された前記信号は、前記紙葉類の同一箇所で受光した光に係るものであることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記光学センサが受光する前記光は、前記紙葉類から放出された燐光であり、前記光学特性は、前記紙葉類から放出された燐光に係る特性であることを特徴とする。
また、本発明は、紙葉類処理システムであって、前記紙葉類処理システムは、紙葉類に光を照射し、前記紙葉類から放出される光を受光し、信号として出力する光学センサと、前記光学センサが前記信号を出力するための測定を繰り返し行うように制御し、各々の測定にて前記光学センサから出力された信号から光学特性を取得する制御部と、を備え、前記制御部は、第1の測定にて前記光学センサから出力された信号から取得した第1の光学特性と、第2の測定にて前記光学センサから出力された信号から取得した第2の光学特性と、を比較し、当該比較結果に基づき、外乱の影響が有るか否かを判定する第1の判定処理を行うことを特徴とする。
また、本発明は、紙葉類に光を照射し、前記紙葉類から放出される光を受光し、信号として出力する光学センサを用いた紙葉類処理方法であって、前記紙葉類処理方法は、前記光学センサが前記信号を出力するための測定を繰り返し行うように制御し、各々の測定にて前記光学センサから出力された信号から光学特性を取得する光学特性取得ステップと、第1の測定にて前記光学センサから出力された信号から取得した第1の光学特性と、第2の測定にて前記光学センサから出力された信号から取得した第2の光学特性と、を比較し、当該比較結果に基づき、外乱の影響が有るか否かを判定する第1の判定処理を行う第1の判定ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明は、紙葉類処理プログラムであって、前記紙葉類処理プログラムは、紙葉類に光を照射し、前記紙葉類から放出される光を受光し、信号として出力する光学センサを備える紙葉類処理装置を制御するコンピュータを、前記光学センサが前記信号を出力するための測定を繰り返し行うように制御し、各々の測定にて前記光学センサから出力された信号から光学特性を取得する光学特性取得手段、及び第1の測定にて前記光学センサから出力された信号から取得した第1の光学特性と、第2の測定にて前記光学センサから出力された信号から取得した第2の光学特性と、を比較し、当該比較結果に基づき、外乱の影響が有るか否かを判定する第1の判定処理を行う第1の判定手段、として機能させることを特徴とする。
本発明の紙葉類処理装置、紙葉類処理システム、紙葉類処理方法及び紙葉類処理プログラムによれば、突発的な外乱の影響を受け難い、信頼性の高い紙葉類処理装置、紙葉類処理システム、紙葉類処理方法及び紙葉類処理プログラムを実現することができる。
実施形態1の概要を説明するための図である。 実施形態1に係る紙幣処理装置の正面側の斜視模式図である。 実施形態1に係る紙幣処理装置の後面側の斜視模式図である。 実施形態1に係る紙幣処理装置の長手方向の断面模式図である。 実施形態1に係る紙幣処理装置の短手方向の断面模式図である。 実施形態1に係る紙幣処理装置の構成を説明するブロック図である。 実施形態1において、励起光の照射タイミングと、紙幣から蛍光及び燐光が放出されるタイミングとの関係を模式的に示したタイミングチャートであり、(a)は、光源による励起光の照射タイミングを示し、(b)は、紙幣から蛍光及び燐光が放出されるタイミングを示す。 実施形態1に係る紙幣処理装置で判定処理において使用される燐光特性、具体的には波形データ、燐光の強度及び時定数を説明するためのグラフである。 実施形態1に係る紙幣処理装置で取得される連続する複数の測定に係る波形データの例を示すグラフである。 実施形態1に係る紙幣処理装置で行われる第1の判定処理において、複数の波形データを比較する手法を説明するためのグラフである。 実施形態1に係る紙幣処理装置で行われる第1の判定処理において、正規化された複数の波形データの例を示すグラフである。 実施形態1に係る紙幣処理装置で行われる媒体処理の手順の一例を示すフローチャートである。 実施形態1に係る紙幣処理装置で行われる燐光反応検出モードの手順の一例を示すフローチャートである。 実施形態1に係る紙幣処理装置で行われる第1の判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。 実施形態2に係る紙幣処理装置で行われる付加的な判定処理において判定される条件、具体的には波形データが単調減少しているか否かを説明するためのグラフである。 燐光の強度の経時変化を示したグラフであり、(a)は、通常の変化を示し、(b)は、手振れ時の変化の一例を示し、(c)は、手振れ時の変化の他の例を示す。 実施形態2及び3に係る紙幣処理装置で行われる第1の判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。 実施形態4に係る紙幣処理装置で行われる燐光反応検出モードの手順の一例を示すフローチャートである。 実施形態7に係る紙幣処理装置で行われる燐光反応検出モードの手順の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明に係る紙葉類処理装置、紙葉類処理システム、紙葉類処理方法及び紙葉類処理プログラムの好適な実施形態を、図面を参照しながら説明する。本発明の対象となる紙葉類としては、紙幣(銀行券)、小切手、商品券、手形、帳票、有価証券、カード状媒体等の様々な紙葉類が適用可能であるが、以下においては、紙幣を対象とする紙幣処理装置、紙幣処理システム、紙幣処理方法及び紙幣処理プログラムを例として、本発明を説明する。なお、紙幣処理プログラムは、紙幣処理装置に予め導入されてもよいし、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、又は、ネットワークを介して、操作者(利用者)に提供されてもよい。また、以下の説明は、紙幣処理装置、紙幣処理システム、紙幣処理方法及び紙幣処理プログラムの一例である。
また、本発明によって取得される光学特性(光学的な特性)は、光学センサから出力される信号(以下、単に、出力信号とも言う)から取得可能なものであれば特に限定されず、例えば、紙葉類から放出された蛍光に係る特性や、紙葉類を反射又は透過した光(例えば可視光)に係る特性等が挙げられるが、なかでも紙葉類から放出される燐光に係る特性(以下、燐光特性とも言う)が好適である。これにより、後述する第1の判定処理において燐光特性の再現性を高精度に検査できることから、セキュリティ要素として燐光インクが用いられた紙葉類を外乱の影響下であっても処理可能な信頼性の高い紙葉類処理装置を実現可能である。以下の実施形態では、紙葉類の光学特性として紙幣の燐光特性を取得する場合について説明する。
また、燐光特性の具体例は、特に限定されないが、燐光の強度、燐光の時定数、及び燐光の減衰特性を示す波形データ(好ましくは、所定の時間間隔でサンプリングされた複数の燐光の強度からなる波形データ)が好適である。
なお、以下の説明において、同一又は同様の機能を有する構成には同一の符号を異なる実施形態及び図面間で共通して適宜用い、その構成についての繰り返しの説明は適宜省略する。
(実施形態1)
<本実施形態の概要>
まず、図1を用いて、本実施形態の概要について説明する。本実施形態に係る紙幣処理装置1は、光学センサの検出結果に基づき紙幣BNの真偽を判定し、当該判定結果を操作者に報知する、片手又は片手の指で把持可能な大きさの携帯型の装置である。図1に示すように、紙幣処理装置1は、光学センサ(図1では図示せず)を備えた本体10と、本体10に対向して配置されたアタッチメント20との間に設けられたスリット部(隙間)30に紙幣BNを挿入し、手動により紙幣BNを走査することにより紙幣BNから放出される燐光を光学センサが受光し、信号として出力する。そして、燐光に係る信号から燐光特性(例えば、燐光の強度や燐光の時定数)を取得し、取得した燐光特性に基づいて紙幣BNの真偽を判定する。
このように、燐光の受光中、紙幣BNは、本体10とアタッチメント20との間には挟まれており、外来光が光学センサに出来るだけ入射しない構造が採用されているが、場合によっては外来光が光学センサに入射するおそれがある。また、手動により紙幣BNをスリット部30内をスライドさせながら燐光が受光されることから、操作者の手振れにより光学センサの出力信号が想定外の変動を生じるおそれがある。また、携帯型の装置であることから、使用環境によっては電磁波等の他の外乱の影響を受ける場合も想定できる。
そこで、本実施形態では、このような外乱の影響、特に突発的な外乱の影響を受け難い判定方式を実現している。具体的には、まず、光学センサが燐光を受光して信号として出力するための測定を、紙幣BNがスリット部30内へ挿入されてから繰り返し実行する。そして、複数の測定に係る光学センサの出力信号のそれぞれから燐光特性(好ましくは波形データ)を取得し、それらの複数の燐光特性を比較し、その再現性(一致度)を確認し、再現性がなければ、操作者に操作のやり直しを促す報知を行う。そのため、手振れや一時的な外来光の入射等の突発的な外乱に起因する再現性の低い燐光特性を選別して使用しないようにすることができる。したがって、外乱の影響を受け難い、信頼性の高い装置を実現することができる。なお、複数の燐光特性を比較した結果、再現性のある特性であれば、当該燐光特性に基づく真偽判定処理を行い、その結果に基づく報知を行う。例えば真券である、真券でない等の報知を行う。このとき、真偽判定処理に用いる燐光特性は、再現性の確認のために比較した複数の燐光特性のうちの少なくとも一つであればよい。それらの燐光特性は、再現性が担保された特性であるためである。
<紙幣処理装置の構造>
次に、図2~5を用いて、本実施形態に係る紙幣処理装置1の構造的な構成について説明する。図2に示すように、紙幣処理装置1は、略直方体の形状を有する本体10と、本体10が挿入可能な開口部が設けられ、当該開口部に挿入されることによって本体10に取り付けられた着脱可能なアタッチメント20とを有する。
本体10は、底面(下面)110、上面120、長手方向の側面である第一の側面130(以下、単に「側面130」ということがある)及び第二の側面140(以下、単に「側面140」ということがある)、並びに長手方向の端面である前面150及び後面160から構成される筐体100を備えている。なお、これらの上下や前後といった方向は、あくまで説明の便宜のために用いるものであり、紙幣処理装置1の配置は、それらの方向に限定されず、使用状況に応じて適宜変更可能である。
また、筐体100は、下部10A1及び上部10A2からなる上方が開口した箱状部10Aと、箱状部10Aの開口を覆う蓋部10Bとを備える。
図3に示すように、本体10の後面160は、電源スイッチ161と発光窓162とを有する。
図2及び3に示したように、アタッチメント20は、本体10の長手方向にスライド可能な状態で本体10に接続固定されている。アタッチメント20は、矩形状の平板部210と、平板部210の長辺部分からそれぞれ筐体100側に突出した規制部220と、本体10が挿入される空間を平板部210と形成するU字状部230とを有している。
アタッチメント20の平板部210の底面110側の一部は、第一のガイド部211として機能し、第一のガイド部211に対向する筐体100の底面110の平らな部分は、第二のガイド部111として機能する。第一のガイド部211と第二のガイド部111とによって、紙幣処理装置1の前面150側から紙幣BNの一部が挿入されるスリット部30が形成されている。スリット部30は、少なくとも3方向に開口しており、側面視略U字状の形状を有する。第一のガイド部211及び第二のガイド部111は、紙幣BNが走査される方向(走査方向)に紙幣を案内する。具体的には、第一のガイド部211及び第二のガイド部111は、第一の側面130及び第二の側面140のいずれか一方から他方に向かう方向に紙幣BNが走査されるよう紙幣BNを案内する。また、第一のガイド部211及び第二のガイド部111は、紙幣BNがスリット部30内で紙幣処理装置1に対して紙幣BNの走査方向に相対的に移動されるように紙幣BNを案内する。
図4に示すように、規制部220は、スリット部30に挿入される紙幣BNを当接させて、紙幣BNの挿入量を規制する。規制部220は、位置調整が可能であり、スリット部30に挿入した紙幣BNが規制部220に当接するまでの距離であるスリット深さDは、規制部220の位置に応じて変更可能である。
図4及び5に示すように、筐体100の内部には、底面110及び上面120に沿って設けられた制御基板101と、制御基板101の底面110側に配置された光学センサ102と、制御基板101の上面120側に配置された、電源としてのバッテリー103と、が設けられている。なお、バッテリー103は、箱状部10Aから蓋部10Bを取り外すことにより交換される。
光学センサ102は、スリット部30に挿入された紙幣BNに対して励起光を照射する2つの光源1021と、スリット部30内で紙幣処理装置1に対して相対的に移動される紙幣BNから発せられた燐光を受光する受光素子1022と、を備える。本実施形態では、光源1021は、励起光として同じ波長の紫外光を照射する。紙幣BNの片側を走査する光学センサ102によって、紙幣BNの光学センサ102側の主面の燐光発光(燐光インク)のみならず、紙幣BNの光学センサ102と反対側の主面の燐光発光(燐光インク)を検知することができる。
光源1021からの励起光は、底面110に設けられた窓部113を通過して、スリット部30に挿入された紙幣BNに照射される。窓部113は、光源1021から照射される励起光及び紙幣BNから発せられた燐光が透過する透明な部材から構成されている。
<紙幣処理装置の機能>
次に、図6を用いて、本実施形態に係る紙幣処理装置の機能的な構成について説明する。図6に示すように、本実施形態の紙幣処理装置1は、紙幣に光を照射し、その紙幣から放出される光を受光し、信号として出力する光学センサ102と、紙幣処理装置1の各部を制御するとともに、第1及び第2の判定処理を含む種々の判定処理を行う制御部(コンピュータ)41と、紙幣処理装置1に電力を供給するバッテリー103等の電源42と、操作者に押圧されることによって電源42のオン・オフを切り替える電源スイッチ161と、紙幣処理装置1のステータス、及び制御部41による判定処理の結果を操作者に報知する報知部43と、制御部41の動作に必要なプログラムやデータを記憶する記憶部44と、を備えている。
報知部43は、本実施形態では、発光窓162から構成されており、電源42がオフである場合は消灯し、電源42がオンである場合は点灯する。また、発光窓162は、制御部41による判定処理の結果に応じて異なる色で点灯することによって、その結果を操作者に報知する。
記憶部44は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶装置から構成され、制御基板101上に設けられている。
制御部41は、例えば、各種の処理を実現するためのプログラムと、該プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、該CPUによって制御される各種ハードウェア等によって構成され、CPU及びその他のハードウェアは、制御基板101上に設けられている。
本実施形態における制御部41の主な特徴的な機能は、(1)光学センサ102の制御、(2)光学センサ102の出力信号に基づく判定処理、及び(3)報知部43の制御である。以下、順に説明する。
(1)光学センサの制御
制御部41は、光学センサ102が紙幣に光を照射し、当該紙幣から放出される光を受光し、信号として出力するための所定の測定を繰り返し行うように制御する。より詳細には、図7(a)に示すように、各測定では、所定の第1の期間T1(時刻t1~t2の間)、光源1021を点灯して光源1021から紙幣に励起光が照射された後に、所定の第2の期間T2(時刻t2~t3の間)、光源1021が消灯される。図7(b)に示すように、第1及び第2の期間T1及びT2の間、受光素子1022が紙幣から放出される光を受光する。そして、光学センサ102が、受光素子1022の受光レベル、すなわち受光素子1022で受光した光の強度に応じて変動する信号(アナログ信号)を出力する。第1の期間T1では紙幣から放出される蛍光が受光され、光学センサ102からは当該蛍光に係る信号が出力され、第2の期間T2では紙幣から放出される燐光が受光され、光学センサ102からは当該燐光に係る信号(以下、燐光信号)が出力される。
そして、制御部41は、各々の測定にて光学センサ102から出力された信号から、燐光特性として、燐光の減衰特性、すなわち燐光の強度の経時変化を取得する。詳細には、制御部41は、光学センサ102から出力される各測定に係る燐光信号(アナログ信号)をデジタル信号にA/D変換する。すなわち、所定の時間間隔で所定の複数回(例えば8回)サンプリングし、量子化する。これにより、図8に示すように、燐光の減衰特性を示す波形データ(プロファイル)を光学センサ102による測定毎に生成する。
手動により紙幣を紙幣処理装置1に対して相対的にスライドさせながら光学センサ102による測定を行う場合、サンプリングされた複数のサンプル間で測定ポイントがわずかにずれ、また、複数の測定に係る測定ポイントもわずかにずれてしまう。そのため、燐光インクの濃度、光学センサ102からの距離、背景の模様の濃度等が変化し、外乱の影響が無い場合であっても、複数の測定に係る波形データは、通常、完全には一致しない。例えば、連続する複数の測定に係る波形データであっても、図9に示すように、再現性の低いデータが得られる可能性がある。このような動的な測定に起因するデータ変動を低減する観点からは、燐光信号のサンプリングの周期(上記所定の時間間隔)は、短いことが好ましく、具体的には例えば1m秒以下が好ましく、1回あたりの測定に係る時間(上記所定の複数回のサンプリングに要する時間)も短いことが好ましく、具体的には例えば500μ秒以下が好ましい。
(2)光学センサの出力信号に基づく判定処理
制御部41は、光学センサの出力信号に基づく判定処理として、主に、(a)光学センサ102による各測定が外乱の影響を受けたか否かを判定する第1の判定処理と、(b)取得した燐光特性が真正な紙幣に係るものであるか否かを判定する第2の判定処理と、(c)第1及び第2の判定処理の判定結果に基づいて対象紙幣が真正な紙幣であるか否かを総合的に(最終的に)判定する真偽判定処理(以下、最終的な真偽判定処理とも言う)を行う。以下、順に説明する。
(a)第1の判定処理
制御部41は、第1の判定処理において、第1の測定にて光学センサ102から出力された信号から取得した第1の燐光特性と、第2の測定にて光学センサ102から出力された信号から取得した第2の燐光特性とを比較する。そして、当該比較結果に基づき、外乱の影響が有るか否かを判定する。
なお、本明細書において、「第1の光学特性と第2の光学特性とを比較する」とは、少なくとも第1の光学特性と第2の光学特性を含む2以上の所定数の光学特性(以下、単に、所定数の光学特性とも言う)を互いに比較することを意味する。
好ましくは、制御部41は、第1の燐光特性と第2の燐光特性との比較において、第1の燐光特性と第2の燐光特性の間の相違が所定の許容範囲内であるか否かを判定することにより、少なくとも第2の燐光特性に外乱の影響が有るか否かを判定する。
なお、上述のように所定数の光学特性を互いに比較する場合、「第1の光学特性と第2の光学特性の間の相違」とは、少なくとも第1の光学特性と第2の光学特性を含む2以上の所定数の光学特性の間の相違を意味する。また、外乱の影響が有るか否かが判定される対象は、第2の光学特性のみでもよいし、第1の光学特性と第2の光学特性の各々でもよいし、2以上の所定数の光学特性の各々でもよい。
より詳細には、制御部41は、第1の判定処理において、連続する2以上の所定回数(例えば3回)の測定にて光学センサ102から出力された燐光信号からそれぞれ取得した2以上の所定数(例えば3個)の燐光特性(以下、単に、所定数の燐光特性とも言う)を互いに比較する。そして、少なくとも当該比較結果に基づき、所定数の燐光特性の少なくとも一つ(所定数の燐光特性の各々でもよい)に外乱の影響が有るか否かを判定する。
好ましくは、制御部41は、所定数の燐光特性の比較において、所定数の燐光特性の間の相違が所定の許容範囲内であるか否かを判定することにより、所定数の燐光特性の少なくとも一つ(所定数の燐光特性の各々でもよい)に外乱の影響が有るか否かを判定する。
第1の判定処理において比較される対象となる燐光特性の具体例は、特に限定されないが、波形データが好適である。
例えば、図10に示すように、制御部41は、所定数の燐光特性に対応する2以上の所定数の波形データについて、対応するサンプル同士(すなわちサンプリングされた順番が同じサンプル同士)の信号値(ここでは燐光の強度)のばらつきが、それぞれ所定の許容範囲内であるか否かを判定する。そして、全てのばらつきが所定の許容範囲内であれば、所定数の燐光特性の各々に外乱の影響がないと判定し、少なくとも一つのばらつきが所定の許容範囲内でなければ、所定数の燐光特性に外乱の影響があると判定する。
このとき、ばらつきが所定の許容範囲内であるか否かは、具体的には、例えば、以下の方法により判定することができる。本実施形態では、紙幣を紙幣処理装置1に対して相対的にスライドさせながら光学センサ102による測定を行うことから、図9に示したように、再現性の低いデータが得られる可能性がある。しかしながら、このような紙幣の相対的なスライドに起因して燐光の強度が変動する場合であっても、同一の燐光インクであれば、これらの波形データから得られる時定数は、通常は変動しない。そこで、まず、図11に示すように、各波形データの燐光の強度の正規化を行う。具体的には、各波形データについて、1番目にサンプリングされたサンプルの強度をI(1)とし、所定の値をX(ただし、Xは任意の実数、例えば1)としたとき、X=I(1)/Yの関係を満たす値Y(ただし、Yは0を除く実数)を算出する。その後、各波形データにおいて、各サンプルの強度を値Yとの比に変換する。すなわち、各サンプルの強度を値Yで割り算する。これにより、各波形データにおける1番目のサンプルの強度を所定の値とした各サンプルの強度の正規化が行われる。そして、所定数の波形データの対応するサンプル同士(例えば、第1の波形データの2番目のサンプルと第2の波形データの2番目のサンプル)の正規化された強度のうちの最大値と最小値との比率を算出し、その比率が所定の比率(例えば3%)未満であれば、ばらつきが所定の許容範囲内であると判定し、その比率が所定の比率(例えば3%)以上であれば、ばらつきが所定の許容範囲内でないと判定する。
(b)第2の判定処理
制御部41は、第2の判定処理において、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のうちの少なくとも一つが、真正な紙幣に係る燐光特性であるか否かを判定する。
なお、本明細書にて、第2の判定処理における「第1の光学特性及び第2の光学特性のうちの少なくとも一つ」とは、第1の光学特性のみを使用する場合、第2の光学特性のみを使用する場合、並びに第1の光学特性及び第2の光学特性に基づく光学特性(例えば平均)を使用する場合のいずれの場合も包含するものとする。
同様に、上述のように、第1の判定処理において所定数の光学特性を互いに比較する場合は、第2の判定処理において真正な紙幣に係る燐光特性であるか否かが判定される対象は、第1の光学特性のみでもよいし、第2の光学特性のみでもよいし、第1の光学特性と第2の光学特性の各々でもよいし、第1の光学特性及び第2の光学特性に基づく光学特性(例えば平均)でもよいし、所定数の光学特性の各々でもよい。所定数の光学特性に基づく光学特性(例えば平均)でもよい。
好ましくは、制御部41は、第2の判定処理として、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のうちの少なくとも一つを基準となる基準燐光特性と比較する。すなわち、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のうちの少なくとも一つを基準燐光特性と比較し、所定の許容範囲内であれば当該燐光特性を真正な紙幣に係るものであると判定し、所定の許容範囲内でなければ当該燐光特性を真正な紙幣に係るものでないと判定する。
第2の判定処理において比較される対象となる燐光特性の具体例は、特に限定されないが、燐光の時定数及び燐光の強度が好適である。
このように、本明細書において、第2の判定処理において判定対象となる具体的な光学特性と、第1の判定処理において比較される対象となる具体的な光学特性とは、互いに異なっていてもよいし、互いに同一のものであてもよいが、上述のように異なっていることが好ましい。
例えば、図8に示したように、制御部41は、所定数の燐光特性のうちのいずれか一つ(例えば、制御部41によって最後に生成された燐光特性)に係る波形データに基づき、その波形データに含まれる強度のうちのいずれか(好ましくは1番目にサンプリングされたサンプルの強度)を記憶部44に記憶されている基準強度と比較する。また、それと同じ波形データに基づき、燐光の時定数を算出し、算出した時定数を記憶部44に記憶されている基準時定数と比較する。そして、強度が所定の許容範囲内(例えば、基準強度±30%以内)であり、かつ時定数が所定の許容範囲内(例えば、基準強度±10%以内)であれば、判定対象とした燐光特性を真正な紙幣に係るものであると判定し、強度及び時定数の少なくとも一方が対応する所定の許容範囲内でなければ、判定対象とした燐光特性を真正な紙幣に係るものでないと判定する。
第1の判定処理及び第2の判定処理を行う順序は、特に限定されず、(i)第1の判定処理及び第2の判定処理の順に行ってもよいし、(ii)第2の判定処理及び第1の判定処理の順に行ってもよいし、(iii)第1の判定処理及び第2の判定処理を並行して行ってもよいが、本実施形態では、上記(i)の場合について主に説明し、上記(ii)及び(iii)の場合については後記の実施形態で詳述する。
なお、上記(i)及び(ii)の場合、先行する処理の結果に関わらず後の処理を行ってもよいが、先行する処理の結果に応じて後の処理の実施の有無を変更することが好ましい。具体的には、上記(i)の場合は、第1の判定処理において外乱の影響がないと判定された場合に、外乱の影響がないと判定された燐光特性に基づく第2の判定処理を行うことが好ましく、第1の判定処理において外乱の影響があると判定された場合に、外乱の影響があると判定された燐光特性に基づく第2の判定処理を行わないことが好ましい。上記(ii)の場合は、第2の判定処理において複数の燐光特性が真正な紙幣に係る燐光特性でないと判定された場合に、それらの燐光特性に基づく第1の判定処理を行うことが好ましく、第2の判定処理においてある燐光特性が真正な紙幣に係る燐光特性であると判定された場合に、その燐光特性を第1の判定処理に使用しないことが好ましい。
このように、制御部41は、第1の判定処理において外乱の影響が有ると判定された場合は、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のいずれに基づいても紙幣が真正な紙幣であるか否かを判定しないことが好ましい。例えば、所定数の燐光特性の少なくとも一つに外乱の影響が有ると判定された場合は、所定数の燐光特性のいずれに基づいても紙幣が真正な紙幣であるか否かを判定しないことが好ましい。
また、制御部41は、第1の判定処理及び第2の判定処理をそれぞれ複数回行うことが好ましい。
なお、その場合、第1の判定処理及び第2の判定処理の回数は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよく、上記(i)~(iii)の場合に応じて適宜設定可能であるが、上記(i)の場合は、通常、第1の判定処理及び第2の判定処理の回数は、互いに同じである。
(c)最終的な真偽判定処理
制御部41は、第1の判定処理の判定結果及び第2の判定処理の判定結果に基づき、紙幣が真正な紙幣であるか否かを総合的に判定する。
なお、本明細書にて、「紙葉類が真正な紙幣であるか否かを総合的に判定する」とは、第1の判定処理の判定結果次第では紙幣が真正な紙幣であるか否かを判定しない形態も包含する。
また、最終的な真偽判定処理は、第1の判定処理の判定結果及び第2の判定処理の判定結果を集約して最終的な判定を下すものであることから、通常は、第1の判定処理及び第2の判定処理のように具体的な燐光特性(波形データや燐光の強度、燐光の時定数等)に基づく判定処理は実行されない。
(3)報知部の制御
制御部41は、第1及び第2の判定処理のそれぞれの判定結果や、最終的な真偽判定処理の判定結果に基づいて報知部43を制御する。そして、報知部43は、それらの結果に対応した所定の態様にて操作者に報知する。以下、報知部43による好適な報知の例について説明する。
報知部43は、複数回の第1の判定処理のうちの所定の回数以上の第1の判定処理において外乱の影響が有ると判定された場合、操作者に報知することが好ましい。これにより、取得した燐光特性が外乱の影響を受けている場合に、その旨を操作者に知らせ、操作をやり直すように促すことができる。その結果、操作者が正しい操作方法を効果的に学習することができる。
また、この場合、報知部43は、制御部41が、最終的な真偽判定処理において、紙幣を真正な紙幣である、又は真正な紙幣でないと総合的に判定した場合のいずれの場合とも異なる態様にて報知することが好ましい。例えば、発光窓162が、最終的な真偽判定処理にて紙幣が真正な紙幣である、又は真正な紙幣でないと総合的に判定された場合と異なる色にて発光する。これにより、取得した燐光特性が外乱の影響を受けている場合に、その旨を操作者に知らせ、操作をやり直すように、操作者の注意を効果的に喚起することができる。その結果、外乱の影響による真偽の誤判定をより確実に低減することができるとともに、操作者が正しい操作方法を効果的に学習することができる。
報知部43は、複数回の第2の判定処理において真正な紙幣であると判定された回数が所定数以上の場合は、当該紙幣が真正な紙幣であると操作者に報知する一方で、複数回の第2の判定処理において真正な紙葉類でないと判定された回数がその所定数未満の場合は、当該紙幣が真正な紙幣でないと操作者に報知することが好ましい。これにより、所定の回数以上の第2の判定処理の結果が真でなければ真券と報知されないことから、所定の回数に応じて紙幣の真偽判定の合否レベルを適宜変更することが可能である。
<紙幣処理の手順>
次に、図12~14を用いて、本実施形態に係る紙幣処理装置1で行われる紙幣処理の手順について説明する。
図12に示すように、操作者により紙幣のスライド(スワイプ)が開始されると、まず、制御部41が光学センサ102の出力信号に基づいて紙幣のエッジを検出する(ステップS11)。すなわち、紙幣が紙幣処理装置1にセットされたことを検出する。紙幣の有無によって受光素子1022の受光レベルが変化することから、この受光レベルの変化に基づいて紙幣がスリット部30内に挿入されたことを検出する。
次に、制御部41が、上記(1)~(3)の制御及び判定を含む燐光反応検出モードを実行し、(ステップS12)、燐光反応検出モードが終了すると紙幣処理を終了する。以下、燐光反応検出モードについて詳述する。本実施形態では、上記(i)の第1の判定処理及び第2の判定処理の順に行う場合について、図13及び14を用いて説明する。
燐光反応検出モードでは、図13に示すように、まず、制御部41が、光学センサ102が上述の所定の測定を行うように制御し、当該測定にて光学センサ102から出力された燐光信号から燐光特性(波形データ)を取得し、記憶部44に記憶する(ステップS21)。
次に、取得した燐光特性が所定数以上であるか否かを判定し(ステップS22)、所定数未満であれば(ステップS22:No)、ステップS21に戻る。これにより、光学センサ102が上述の所定の測定を繰り返し行うように制御し、各々の測定にて光学センサ102から出力された燐光信号から燐光特性を所定数だけ取得することができる。所定数以上であれば(ステップS22:Yes)、制御部41が、第1の判定処理を行う(ステップS23)。
第1の判定処理では、例えば、図14に示すように、制御部41が、第1の燐光特性及び第2の燐光特性(又は所定数の燐光特性)を互いに比較し、それらの相違が所定の許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS101)。許容範囲内であれば(ステップS101:Yes)、制御部41が、”外乱無し”フラグに1をセットし(ステップS102)、第1の判定処理を終了する。許容範囲内でなければ(ステップS101:No)、制御部41が、”外乱有り”フラグに1をセットし(ステップS103)、第1の判定処理を終了する。
次に、図13に示すように、”外乱有り”フラグが1の場合、すなわち第1の判定処理にて外乱の影響有りと判定された場合(ステップS24:有り)、制御部41が、異常データカウントを1だけ増加する処理を行い(ステップS25)、ステップS29に進む。
なお、第1の判定処理にて外乱の影響有りと判定された場合(ステップS24:有り)、制御部41は、第1の判定処理にて使用した第1の燐光特性及び第2の燐光特性(又は所定数の燐光特性)を不要なデータとして破棄、すなわち記憶部44から消去してもよい。
”外乱無し”フラグが1の場合、すなわち第1の判定処理にて外乱の影響無しと判定された場合は(ステップS24:無し)、制御部41が、第2の判定処理を行う(ステップS26)。例えば、第1の燐光特性及び第2の燐光特性(又は所定数の燐光特性)のうちのいずれか一つを基準燐光特性と比較する。そして、第2の判定処理にて当該燐光特性が真正な紙幣に係る燐光特性であると判定された場合(ステップS27:Yes)、制御部41が、燐光有り判定カウントを1だけ増加する処理を行い(ステップS28)、ステップS29に進む。第2の判定処理にて当該燐光特性が真正な紙幣に係る燐光特性でないと判定された場合(ステップS27:No)、そのままステップS29に進む。
ステップS29では、制御部41が、第1及び第2の判定処理の終了条件を満たすか否かを判定し、満たしていなければ(ステップS29:No)、制御部41が、ステップS21以降の上述の処理を繰り返す。この結果、第1の判定処理及び第2の判定処理がそれぞれ複数回行われることになる。終了条件としては、例えば、ステップS11にて紙幣のエッジを検出してから所定の時間が経過しているか、紙幣のスライドが終了しているか、すなわち紙幣がスリット部30を通過したか、等の条件が挙げられる。他には、紙幣のスライドが終了したことを操作者が直接入力可能な入力部(例えば押圧可能なボタン)を別途設け、その入力部への操作者からの入力があったか否かを終了条件としてもよい。なお、紙幣がスリット部30を通過したか否かは、光学センサ102の出力信号に基づいて判定可能である。
上記終了条件を満たしている場合は(ステップS29:Yes)、制御部41が、第1の判定処理の判定結果及び第2の判定処理の判定結果を集約して最終的な判定を下す。具体的には、制御部41が、異常データカウントを所定数と比較し(ステップS30)、所定数以上であれば(ステップS30:所定数以上)、制御部41が、報知部43を制御し、報知部43により測定に外乱の影響が有った旨の報知が操作者にされ(ステップS31)、紙幣処理を終了する。例えば、発光窓162が、測定に外乱の影響が有った場合に特有の色で発光する。
異常データカウントが所定数未満であれば(ステップS30:所定数未満)、制御部41が、燐光有り判定カウントを所定数と比較し(ステップS32)、所定数以上であれば(ステップS32:所定数以上)、制御部41が、報知部43を制御し、報知部43により取り扱い紙幣が真券である旨の報知が操作者にされ(ステップS33)、紙幣処理を終了する。例えば、発光窓162が、取り扱い紙幣が真券であった場合に特有の色で発光する。所定数未満であれば(ステップS32:所定数未満)、制御部41が、報知部43を制御し、報知部43により取り扱い紙幣が真券でない旨の報知(偽券である旨の報知でもよい)が操作者にされ(ステップS34)、紙幣処理を終了する。例えば、発光窓162が、取り扱い紙幣が真券でなかった場合に特有の色で発光する。
(実施形態2)
本実施形態は、制御部41が、第1の判定処理において、付加的な判定処理を更に行うことを除いて、実質的に実施形態1と同じである。
本実施形態では、制御部41は、第1の判定処理において、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のうちの第2の燐光特性が所定の条件を満たすか否かを更に判定し、当該判定結果に基づき、第2の燐光特性に外乱の影響が有るか否かを更に判定する。第1の判定処理において上述のように所定数の燐光特性を互いに比較する場合は、制御部41は、所定数の燐光特性のうちのいずれか一つの燐光特性(以下、所定の燐光特性とも言う)が所定の条件を満たすか否かを更に判定し、当該判定結果に基づき、所定の燐光特性に外乱の影響が有るか否かを更に判定する。これにより、第1の判定処理において、外来光が安定的に継続して入射した場合等、再現性はあるが正しく検出できていない燐光特性を排除できることから、第2の燐光特性(又は所定の燐光特性)がより正しく検出されたものであるか否かを判定することができる。
上記所定の条件とは、種々の条件が適用可能であるが、図15に示すように、波形データが単調減少しているか否かとの条件が好適である。すなわち、制御部41は、第2の燐光特性(又は所定の燐光特性)に係る波形データが単調減少しているか(より後にサンプリングされたサンプルの燐光の強度ほどより小さな値となっているか)否かを判定することが好ましい。以下、このような判定処理を第1の付加的な外乱判定処理とも言う。一般的に燐光強度は、時間の経過とともに減衰することから、第1の付加的な外乱判定処理によれば、第2の燐光特性(又は所定の燐光特性)が燐光の減衰特性を示す信頼性の高いものであるか否かを判定することができる。したがって、燐光インク等の燐光の特性を利用したセキュリティ要素を備えた紙幣の真偽判定を外乱の影響下であってもより高精度に行うことが可能である。そして、制御部41は、図8に示したように、波形データが単調減少している場合は、当該燐光特性に外乱の影響がないと判定し、図15に示したように、波形データが単調減少していない場合は、当該燐光特性に外乱の影響があると判定する。
また、本実施形態では、制御部41は、第2の燐光特性(又は所定の燐光特性)に係る波形データが減少していくペースが所定の許容範囲内であるか否かを更に判定する。以下、このような判定処理を第2の付加的な外乱判定処理とも言う。燐光の強度は、負の指数関数で(物理的に)減衰することから、燐光信号を所定の周期でサンプリングした場合、隣り合う2つのサンプル間の比率は、どの組み合わせであっても常に略一定となる。したがって、第2の付加的な外乱判定処理によって、第2の燐光特性(又は所定の燐光特性)が燐光の減衰特性を示す信頼性の高いものであるか否かをより高精度に判定することができる。そして、制御部41は、波形データの減少ペースが所定の許容範囲内であれば、当該燐光特性に外乱の影響がないと判定し、波形データの減少ペースが所定の許容範囲内でなければ、当該燐光特性に外乱の影響があると判定する。
より詳細には、例えば、n番目(ただし、nは自然数)及びn+1番目にサンプリングされた燐光の強度をそれぞれI(n)及びI(n+1)とすると、I(n+1)/I(n)の比率(以下、第1の比率)を、全てのサンプルの組み合わせについて算出し、そして、第1の比率のばらつきが所定の許容範囲内であるか否かを判定する。例えば、算出した全ての第1の比率のうちの最大値と最小値との比率(以下、第2の比率)を算出し、そして、第2の比率が所定の比率(例えば10%)以下であれば、波形データの減少ペースが所定の許容範囲内であると判定し、第2の比率が所定の比率(例えば10%)を超えれば、波形データの減少ペースが所定の許容範囲内でないと判定する。
また、図16(a)に示すように、燐光の強度は、通常、きれいに単調減少するはずであるが、操作者が手振れを起こした場合、図16(b)及び(c)に示すように、燐光の強度が急降下したり急上昇したりして、きれいな波形がとれなくなる可能性がある。紙幣の紙面に対して平行な方向、例えば紙幣をスライドさせる方向に対して左右方向に手振れした場合は、図16(b)に示すように、燐光の強度が急降下する可能性がある。紙幣の紙面に対して垂直な方向、例えば上下方向に手振れした場合は、図16(c)に示すように、燐光の強度が急上昇する可能性がある。
それに対して、第1の付加的な外乱判定処理によれば、図16(c)に示したような手振れによる燐光の強度の急変が発生したか否かを効果的に判定することができる。また、第2の付加的な外乱判定処理によれば、図16(b)及び(c)に示したような手振れによる燐光の強度の急変が発生したか否かを効果的に判定することができる。
更に、本実施形態では、第1の付加的な外乱判定処理において、第2の燐光特性(又は所定の燐光特性)に係る波形データが単調減少していない場合、制御部41は、当該波形データの信号値(ここでは燐光の強度)のばらつきが所定の許容範囲内であるか否かを更に判定する。以下、このような判定処理を第3の付加的な外乱判定処理とも言う。燐光インク等の燐光の特性を利用したセキュリティ要素を備えた紙幣から光学センサ102が燐光を検出していない状況(例えば、燐光インクが印刷されていない箇所を測定している場合)では、外乱の影響が無ければ、光学センサ102の出力信号は、暗出力にて安定する。したがって、第3の付加的な外乱判定処理によれば、光学センサ102が燐光を検出していない状況であっても、波形データが再現性の高いものであるか否かを判定することが可能である。そして、制御部41は、波形データの信号値のばらつきが所定の許容範囲内であれば、当該燐光特性に外乱の影響がないと判定し、波形データの信号値のばらつきが所定の許容範囲内でなければ、当該燐光特性に外乱の影響があると判定する。
第3の付加的な外乱判定処理において、波形データの信号値のばらつきが所定の許容範囲内であるか否かは、例えば、当該波形データに含まれる強度のうちの最大値と最小値との比率を算出し、その比率が所定の比率(例えば3%)未満であれば、ばらつきが所定の許容範囲内であると判定し、その比率が所定の比率(例えば3%)以上であれば、ばらつきが所定の許容範囲内でないと判定する。
また、本実施形態では、制御部41は、第1~第3の付加的な外乱判定処理において、第2の燐光特性(又は所定の燐光特性)に、外乱の影響がないと判定された場合は、第2の判定処理を行い、外乱の影響があると判定された場合は、第2の判定処理を行わない。これにより、第2の判定処理において、再現性だけでなく信頼性の高い第2の燐光特性(又は所定の燐光特性)に基づいて紙幣の真偽判定を行うことができる。その結果、外乱の影響下であってもより高精度に紙幣の真偽判定を行うことが可能となり、より信頼性の高い真偽判定を実現することができる。
次に、図17を用いて、本実施形態に係る紙幣処理装置1で行われる紙幣処理、特に第1の判定処理の手順について説明する。第1の判定処理の手順以外は、図12及び13で説明した実施形態1の場合と実質的に同じであるので説明を省略する。
本実施形態では、例えば、図17に示すように、制御部41が、第1の燐光特性及び第2の燐光特性(又は所定数の燐光特性)を互いに比較し、それらの相違が所定の許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS111)。許容範囲内でなければ(ステップS111:No)、制御部41が、”外乱有り”フラグに1をセットし(ステップS112)、第1の判定処理を終了する。
許容範囲内であれば(ステップS111:Yes)、制御部41が、第2の燐光特性(又は所定の燐光特性)に係る波形データが単調減少しているか否かを判定する(ステップS113)。
単調減少していれば(ステップS113:Yes)、制御部41が、第2の燐光特性(又は所定の燐光特性)に係る波形データが減少していくペースが所定の許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS114)。減少ペースが許容範囲内でなければ(ステップS114:No)、制御部41が、”外乱有り”フラグに1をセットし(ステップS112)、第1の判定処理を終了する。
減少ペースが許容範囲内であれば(ステップS114:Yes)、制御部41が、”外乱無し”フラグに1をセットし(ステップS115)、第1の判定処理を終了する。
ステップS113にて単調減少していなければ(ステップS113:No)、制御部41が、第2の燐光特性(又は所定の燐光特性)に係る波形データの信号値(燐光の強度)のばらつきが所定の許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS116)。ばらつきが所定の許容範囲内でなければ(ステップS116:No)、制御部41が、”外乱有り”フラグに1をセットし(ステップS112)、第1の判定処理を終了する。ばらつきが所定の許容範囲内であれば(ステップS116:Yes)、制御部41が、”外乱無し”フラグに1をセットし(ステップS115)、第1の判定処理を終了する。
(実施形態3)
本実施形態では、制御部41は、第1の判定処理において、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のそれぞれが所定の条件を満たすか否かを更に判定し、当該判定結果に基づき、第1の燐光特性及び第2の燐光特性に外乱の影響が有るか否かを更に判定する。第1の判定処理において上述のように所定数の燐光特性を互いに比較する場合は、制御部41は、所定数の燐光特性のそれぞれが所定の条件を満たすか否かを更に判定し、当該判定結果に基づき、所定数の燐光特性の各々に外乱の影響が有るか否かを更に判定する。
このように、本実施形態は、付加的な外乱判定処理の対象が第1の判定処理に使用する燐光特性のそれぞれであることを除いて、実施形態2と実質的に同じであるので、重複する内容については説明を省略する。
実施形態2の場合と同様に、上記所定の条件は、波形データが単調減少しているか否かとの条件が好適である。すなわち、制御部41は、第1の付加的な外乱判定処理において、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のそれぞれ(又は所定数の燐光特性のそれぞれ)に係る波形データが単調減少しているか否かを判定することが好ましい。
また、本実施形態では、制御部41は、第2の付加的な外乱判定処理において、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のそれぞれ(又は所定数の燐光特性のそれぞれ)に係る波形データが減少していくペースが所定の許容範囲内であるか否かを更に判定する。
更に、本実施形態では、第1の付加的な外乱判定処理において、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のそれぞれ(又は所定数の燐光特性のそれぞれ)に係る波形データが単調減少していない場合、制御部41は、第3の付加的な外乱判定処理において、それぞれの波形データの信号値(燐光の強度)のばらつきが所定の許容範囲内であるか否かを更に判定する。
また、本実施形態では、制御部41は、第1~第3の付加的な外乱判定処理において、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のそれぞれ(又は所定数の燐光特性のそれぞれ)に、外乱の影響がないと判定された場合は、第2の判定処理を行い、第1の燐光特性及び第2の燐光特性の少なくとも一つ(又は所定数の燐光特性のうちの少なくとも一つ)に外乱の影響があると判定された場合は、第2の判定処理を行わない。
次に、図17を用いて、本実施形態に係る紙幣処理装置1で行われる紙幣処理、特に第1の判定処理の手順について説明する。第1の判定処理の手順以外は、図12及び13で説明した実施形態1の場合と同じであるので説明を省略する。
本実施形態では、例えば、図17に示すように、制御部41が、第1の燐光特性及び第2の燐光特性(又は所定数の燐光特性)を互いに比較し、それらの相違が所定の許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS111)。許容範囲内でなければ(ステップS111:No)、制御部41が、”外乱有り”フラグに1をセットし(ステップS112)、第1の判定処理を終了する。
許容範囲内であれば(ステップS111:Yes)、制御部41が、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のそれぞれ(又は所定数の燐光特性のそれぞれ)に係る波形データが単調減少しているか否かを判定する(ステップS113)。
全ての波形データが単調減少していれば(ステップS113:Yes)、制御部41が、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のそれぞれ(又は所定数の燐光特性のそれぞれ)に係る波形データが減少していくペースが所定の許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS114)。少なくとも一つの減少ペースが許容範囲内でなければ(ステップS114:No)、制御部41が、”外乱有り”フラグに1をセットし(ステップS112)、第1の判定処理を終了する。
全ての減少ペースが許容範囲内であれば(ステップS114:Yes)、制御部41が、”外乱無し”フラグに1をセットし(ステップS115)、第1の判定処理を終了する。
ステップS113にて少なくとも一つの波形データが単調減少していなければ(ステップS113:No)、制御部41が、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のそれぞれ(又は所定数の燐光特性のそれぞれ)に係る波形データの信号値(燐光の強度)のばらつきが所定の許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS116)。少なくとも一つのばらつきが所定の許容範囲内でなければ(ステップS116:No)、制御部41が、”外乱有り”フラグに1をセットし(ステップS112)、第1の判定処理を終了する。全てのばらつきが所定の許容範囲内であれば(ステップS116:Yes)、制御部41が、”外乱無し”フラグに1をセットし(ステップS115)、第1の判定処理を終了する。
(実施形態4)
本実施形態は、第1の判定処理及び第2の判定処理を行う順序が、上記(ii)の第2の判定処理及び第1の判定処理の順に行うことを除いて、実質的に実施形態1と同じである。
本実施形態における燐光反応検出モードについて、図18を用いて説明する。図18に示すように、まず、制御部41が、上記(i)の場合、すなわち実施形態1の場合と同様に、上述の所定の測定にて光学センサ102から出力された燐光信号から燐光特性を取得し、記憶部44に記憶する(ステップS21)。
次に、制御部41が、上記(i)の場合と同様に、第2の判定処理を行う(ステップS26)。例えば、第1の燐光特性及び第2の燐光特性(又は所定数の燐光特性)のうちのいずれか一つを基準燐光特性と比較する。そして、第2の判定処理にて当該燐光特性が真正な紙幣に係る燐光特性であると判定された場合(ステップS27:Yes)、制御部41が、燐光有り判定カウントを1だけ増加する処理を行い(ステップS28)、ステップS29に進む。第2の判定処理にて当該燐光特性が真正な紙幣に係る燐光特性でないと判定された場合(ステップS27:No)、取得した燐光特性が所定数以上であるか否かを判定し(ステップS22)、所定数未満であれば(ステップS22:No)、ステップS21に戻り、所定数以上であれば(ステップS22:Yes)、制御部41が、第1の判定処理を行う(ステップS23)。
第1の判定処理では、上記(i)の場合と同様に、例えば、図14に示したように、制御部41が、第1の燐光特性及び第2の燐光特性(又は所定数の燐光特性)を互いに比較し、それらの相違が所定の許容範囲内であるか否かを判定し(ステップS101)、”外乱有り”フラグに1をセットして外乱の影響有りとして終了するか(ステップS102)、”外乱無し”フラグに1をセットして外乱の影響無しとして終了する(ステップS103)。
次に、図18に示すように、上記(i)の場合と同様に、”外乱有り”フラグが1の場合、すなわち第1の判定処理にて外乱の影響有りと判定された場合は(ステップS24:有り)、異常データカウントを1だけ増加する処理を行い(ステップS25)、ステップS29に進む。”外乱無し”フラグが1の場合、すなわち第1の判定処理にて外乱の影響無しと判定された場合は(ステップS24:無し)、ステップS29に進む。
ステップS29以降は、上記(i)の場合と同じであるので説明は省略する。
(実施形態5)
本実施形態は、制御部41が、第1の判定処理において、実施形態2で説明した付加的な判定処理を更に行うことを除いて、実質的に実施形態4と同じである。すなわち、本実施形態でも、制御部41は、第1の判定処理において、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のうちの第2の燐光特性が所定の条件を満たすか否かを更に判定し、当該判定結果に基づき、第2の燐光特性に外乱の影響が有るか否かを更に判定する。また、第1の判定処理において上述のように所定数の燐光特性を互いに比較する場合は、制御部41は、所定数の燐光特性のうちのいずれか一つの燐光特性(所定の燐光特性)が所定の条件を満たすか否かを更に判定し、当該判定結果に基づき、所定の燐光特性に外乱の影響が有るか否かを更に判定する。
実施形態2の場合と同様に、上記所定の条件は、波形データが単調減少しているか否かとの条件が好適である。すなわち、制御部41は、第1の付加的な外乱判定処理において、第2の燐光特性(又は所定の燐光特性)に係る波形データが単調減少しているか否かを判定することが好ましい。
また、本実施形態では、制御部41は、第2の付加的な外乱判定処理において、第2の燐光特性(又は所定の燐光特性)に係る波形データが減少していくペースが所定の許容範囲内であるか否かを更に判定する。
更に、本実施形態では、第1の付加的な外乱判定処理において、第2の燐光特性(又は所定の燐光特性)に係る波形データが単調減少していない場合、制御部41は、第3の付加的な外乱判定処理において、当該波形データの信号値(燐光の強度)のばらつきが所定の許容範囲内であるか否かを更に判定する。
また、本実施形態では、制御部41は、第1~第3の付加的な外乱判定処理において、第2の燐光特性(又は所定の燐光特性)に、外乱の影響がないと判定された場合は、第2の判定処理を行い、外乱の影響があると判定された場合は、第2の判定処理を行わない。
本実施形態に係る紙幣処理装置1で行われる紙幣処理の手順については、第1の判定処理の手順以外は、図18で説明した実施形態4の場合と実質的に同じであり、第1の判定処理の手順は、図17で説明した実施形態2の場合と実質的に同じであるので説明を省略する。
(実施形態6)
本実施形態は、制御部41が、第1の判定処理において、実施形態3で説明した付加的な判定処理を更に行うことを除いて、実質的に実施形態4と同じである。すなわち、本実施形態でも、制御部41は、第1の判定処理において、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のそれぞれが所定の条件を満たすか否かを更に判定し、当該判定結果に基づき、第1の燐光特性及び第2の燐光特性に外乱の影響が有るか否かを更に判定する。また、第1の判定処理において上述のように所定数の燐光特性を互いに比較する場合は、制御部41は、所定数の燐光特性のそれぞれが所定の条件を満たすか否かを更に判定し、当該判定結果に基づき、所定数の燐光特性の各々に外乱の影響が有るか否かを更に判定する。
実施形態2の場合と同様に、上記所定の条件は、波形データが単調減少しているか否かとの条件が好適である。すなわち、制御部41は、第1の付加的な外乱判定処理において、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のそれぞれ(又は所定数の燐光特性のそれぞれ)に係る波形データが単調減少しているか否かを判定することが好ましい。
また、本実施形態では、制御部41は、第2の付加的な外乱判定処理において、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のそれぞれ(又は所定数の燐光特性のそれぞれ)に係る波形データが減少していくペースが所定の許容範囲内であるか否かを更に判定する。
更に、本実施形態では、第1の付加的な外乱判定処理において、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のそれぞれ(又は所定数の燐光特性のそれぞれ)に係る波形データが単調減少していない場合、制御部41は、第3の付加的な外乱判定処理において、それぞれの波形データの信号値(燐光の強度)のばらつきが所定の許容範囲内であるか否かを更に判定する。
また、本実施形態では、制御部41は、第1~第3の付加的な外乱判定処理において、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のそれぞれ(又は所定数の燐光特性のそれぞれ)に、外乱の影響がないと判定された場合は、第2の判定処理を行い、第1の燐光特性及び第2の燐光特性の少なくとも一つ(又は所定数の燐光特性のうちの少なくとも一つ)に外乱の影響があると判定された場合は、第2の判定処理を行わない。
本実施形態に係る紙幣処理装置1で行われる紙幣処理の手順については、第1の判定処理の手順以外は、図18で説明した実施形態4の場合と実質的に同じであり、第1の判定処理の手順は、図17で説明した実施形態3の場合と実質的に同じであるので説明を省略する。
(実施形態7)
本実施形態は、第1の判定処理及び第2の判定処理を行う順序が、上記(iii)の第1の判定処理及び第2の判定処理を並行して行うことを除いて、実質的に実施形態1と同じである。
本実施形態における燐光反応検出モードについて、図19を用いて説明する。図19に示すように、まず、制御部41が、上記(i)の場合、すなわち実施形態1の場合と同様に、上述の所定の測定にて光学センサ102から出力された燐光信号から燐光特性を取得し、記憶部44に記憶する(ステップS21)。
次に、制御部41が、上記(i)の場合と同様に、第2の判定処理を行う(ステップS26)。例えば、第1の燐光特性及び第2の燐光特性(又は所定数の燐光特性)のうちのいずれか一つを基準光学特性と比較する。そして、第2の判定処理にて当該燐光特性が真正な紙幣に係る燐光特性であると判定された場合(ステップS27:Yes)、制御部41が、燐光有り判定カウントを1だけ増加する処理を行い(ステップS28)、ステップS29に進む。第2の判定処理にて当該燐光特性が真正な紙幣に係る燐光特性でないと判定された場合(ステップS27:No)、そのままステップS29に進む。
また、制御部41は、第2の判定処理に係る処理と並行して、第1の判定処理に係る処理(ステップS22~26)を行う。これらの処理は、上記(ii)の場合、すなわち実施形態4の場合と同じであるので説明は省略する。
ステップS29以降については、上記(i)の場合と同じであるので説明は省略する。
(実施形態8)
本実施形態は、制御部41が、第1の判定処理において、実施形態2で説明した付加的な判定処理を更に行うことを除いて、実質的に実施形態7と同じである。すなわち、本実施形態でも、制御部41は、第1の判定処理において、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のうちの第2の燐光特性が所定の条件を満たすか否かを更に判定し、当該判定結果に基づき、第2の燐光特性に外乱の影響が有るか否かを更に判定する。また、第1の判定処理において上述のように所定数の燐光特性を互いに比較する場合は、制御部41は、所定数の燐光特性のうちのいずれか一つの燐光特性(所定の燐光特性)が所定の条件を満たすか否かを更に判定し、当該判定結果に基づき、所定の燐光特性に外乱の影響が有るか否かを更に判定する。
実施形態2の場合と同様に、上記所定の条件は、波形データが単調減少しているか否かとの条件が好適である。すなわち、制御部41は、第1の付加的な外乱判定処理において、第2の燐光特性(又は所定の燐光特性)に係る波形データが単調減少しているか否かを判定することが好ましい。
また、本実施形態では、制御部41は、第2の付加的な外乱判定処理において、第2の燐光特性(又は所定の燐光特性)に係る波形データが減少していくペースが所定の許容範囲内であるか否かを更に判定する。
更に、本実施形態では、第1の付加的な外乱判定処理において、第2の燐光特性(又は所定の燐光特性)に係る波形データが単調減少していない場合、制御部41は、第3の付加的な外乱判定処理において、当該波形データの信号値(燐光の強度)のばらつきが所定の許容範囲内であるか否かを更に判定する。
また、本実施形態では、制御部41は、第1~第3の付加的な外乱判定処理において、第2の燐光特性(又は所定の燐光特性)に、外乱の影響がないと判定された場合は、第2の判定処理を行い、外乱の影響があると判定された場合は、第2の判定処理を行わない。
本実施形態に係る紙幣処理装置1で行われる紙幣処理の手順については、第1の判定処理の手順以外は、図19で説明した実施形態7の場合と実質的に同じであり、第1の判定処理の手順は、図17で説明した実施形態2の場合と実質的に同じであるので説明を省略する。
(実施形態9)
本実施形態は、制御部41が、第1の判定処理において、実施形態3で説明した付加的な判定処理を更に行うことを除いて、実質的に実施形態7と同じである。すなわち、本実施形態でも、制御部41は、第1の判定処理において、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のそれぞれが所定の条件を満たすか否かを更に判定し、当該判定結果に基づき、第1の燐光特性及び第2の燐光特性に外乱の影響が有るか否かを更に判定する。また、第1の判定処理において上述のように所定数の燐光特性を互いに比較する場合は、制御部41は、所定数の燐光特性のそれぞれが所定の条件を満たすか否かを更に判定し、当該判定結果に基づき、所定数の燐光特性の各々に外乱の影響が有るか否かを更に判定する。
実施形態2の場合と同様に、上記所定の条件は、波形データが単調減少しているか否かとの条件が好適である。すなわち、制御部41は、第1の付加的な外乱判定処理において、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のそれぞれ(又は所定数の燐光特性のそれぞれ)に係る波形データが単調減少しているか否かを判定することが好ましい。
また、本実施形態では、制御部41は、第2の付加的な外乱判定処理において、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のそれぞれ(又は所定数の燐光特性のそれぞれ)に係る波形データが減少していくペースが所定の許容範囲内であるか否かを更に判定する。
更に、本実施形態では、第1の付加的な外乱判定処理において、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のそれぞれ(又は所定数の燐光特性のそれぞれ)に係る波形データが単調減少していない場合、制御部41は、第3の付加的な外乱判定処理において、それぞれの波形データの信号値(燐光の強度)のばらつきが所定の許容範囲内であるか否かを更に判定する。
また、本実施形態では、制御部41は、第1~第3の付加的な外乱判定処理において、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のそれぞれ(又は所定数の燐光特性のそれぞれ)に、外乱の影響がないと判定された場合は、第2の判定処理を行い、第1の燐光特性及び第2の燐光特性の少なくとも一つ(又は所定数の燐光特性のうちの少なくとも一つ)に外乱の影響があると判定された場合は、第2の判定処理を行わない。
本実施形態に係る紙幣処理装置1で行われる紙幣処理の手順については、第1の判定処理の手順以外は、図19で説明した実施形態7の場合と実質的に同じであり、第1の判定処理の手順は、図17で説明した実施形態3の場合と実質的に同じであるので説明を省略する。
なお、上述の第1~第3の付加的な判定処理を行う場合は、すなわち実施形態2、3、5、6、8及び9では、第2の判定処理において比較される対象となる燐光特性の具体例は、燐光の時定数又は燐光の強度のいずれか一方のみでもよい。すなわち、第2の判定処理において、燐光の強度の基準強度との比較のみを行ってもよいし、又は燐光の時定数の基準時定数との比較のみを行ってもよい。
以上説明したように、上記実施形態では、制御部41が、第1の測定にて光学センサ102から出力された信号から取得した第1の燐光特性と、第2の測定にて光学センサ102から出力された信号から取得した第2の燐光特性と、を比較し、当該比較結果に基づき、外乱の影響が有るか否かを判定する第1の判定処理を行うことから、第1の判定処理において、取得した燐光特性が再現性の高いものであるか否かを判定することが可能である。したがって、手振れや一時的な外来光の入射等の突発的な外乱に起因する再現性の低い燐光特性を選別して使用しないようにすることができる。したがって、外乱の影響を受け難い、信頼性の高い紙幣処理装置を実現することができる。
また、上記実施形態では、制御部41が、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のうちの少なくとも一つが、真正な紙幣に係る燐光特性であるか否かを判定する第2の判定処理を行い、第1の判定処理の判定結果及び第2の判定処理の判定結果に基づき、紙幣が真正な紙幣であるか否かを総合的に判定することから、第1の判定処理による外乱の影響の有無と、第2の判定処理による真偽判定とのいずれも考慮して紙幣の総合的(最終的)な真偽判定を行うことが可能である。したがって、突発的な外乱の影響下であっても高精度に紙幣の真偽判定を行うことが可能となり、信頼性の高い真偽判定を実現することができる。
また、上記実施形態では、制御部41が、第1の判定処理及び第2の判定処理をそれぞれ複数回行うことから、複数回の第1及び第2の判定処理の結果に基づいて紙幣の真偽が判定される。したがって、より高精度に紙幣の真偽判定を行うことが可能である。
また、上記実施形態では、紙幣処理装置1と紙幣とを相対的に移動(スライド)させながら光学センサ102による各測定を行う、すなわち各測定にて光学センサ102から出力された信号は、紙幣の同一線上の互いに異なる箇所で受光した光に係るものであることから、紙幣を紙幣処理装置1に対して相対的に移動させながら紙幣からの光を検出できる。したがって、紙幣においてセキュリティ要素が付与されている位置を操作者に分かり難くすることができる。なお、光が受光される上記線の形状は、特に限定されず、例えば、直線でもよいし、曲線でもよいし、折れ曲がり線でもよいし、不定形であってもよい。
また、上記実施形態、特に実施形態1~3では、第1の判定処理において外乱の影響が有ると判定された場合は、第1の燐光特性及び第2の燐光特性のいずれに基づいても紙幣が真正な紙幣であるか否かを判定しないことから、取得した燐光特性が再現性の低いものである場合に、当該燐光特性に基づいて紙葉類の真偽判定を行わないようにすることができる。その結果、外乱の影響による真偽の誤判定をより確実に低減することができる。
また、上記実施形態、特に実施形態2、3、5、6、8及び9では、制御部41が、第1の判定処理において、少なくとも第2の燐光特性が所定の条件を満たすか否かを更に判定し、当該判定結果に基づき、少なくとも第2の燐光特性に外乱の影響が有るか否かを更に判定し、かつ第1の判定処理において少なくとも第2の燐光特性に外乱の影響がないと判定された場合に、第2の判定処理を行う。これにより、第1の判定処理において、外来光が安定的に継続して入射した場合等、再現性はあるが正しく検出できていない燐光特性を排除できることから、取得した燐光特性がより正しく検出されたものであるか否かを判定することができる。そのため、第2の判定処理において、再現性だけでなく信頼性の高い燐光特性に基づいて紙幣の真偽判定を行うことができる。その結果、外乱の影響下であってもより高精度に紙幣の真偽判定を行うことが可能となり、より信頼性の高い真偽判定を実現することができる。
なお、上記実施形態では、光源1021が紙幣に対して紫外光を照射し、受光素子1022が紙幣から発せられる燐光を受光する場合について説明したが、光源1021が照射する光は紫外光に限定されず、例えば、可視光、赤外光等であってもよい。また、受光素子1022が受光する光は燐光に限定されず、紙幣から発せられる蛍光、光源1021から照射された光が紙幣で反射した反射光、光源1021から照射された光が紙幣を透過した透過光であってもよい。
また、上記実施形態では、複数の光源1021が同じ波長の励起光を照射する場合について説明したが、光学センサ102は、互いに異なる波長の光を紙幣に照射する複数の光源を備え、それらの光源により紙幣に光を照射してもよく、制御部41が、各波長の光に起因する燐光特性を光学センサ102による測定毎に取得し、かつ各波長の光に起因する燐光特性に基づいて第1の判定処理及び第2の判定処理を行ってもよい。これにより、複数波長の光に起因する複数の燐光特性に基づいて紙幣の真偽判定を実施できることから、高度な偽造券をより確実に検出することが可能である。また、紙幣に用いられている燐光インクを燐光発光させる励起光の種類は、通常、各国によって異なるため、紙幣処理装置1がより多くの国に対応できるようになる。なお、この場合、光源1021の種類は、2種類であっても、3種類以上であってもよい。また、この場合、制御部41は、全ての波長についての第1の判定処理の判定結果及び第2の判定処理の判定結果に基づいて、最終的な真偽判定処理を行ってもよい。
また、上記実施形態では、利用者が、一方の手で紙幣を把持し、他方の手で紙幣処理装置1を把持し、紙幣を把持した側の手を動かして紙幣と紙幣処理装置1とを相対的に移動させる場合について説明したが、紙幣処理装置1を把持した側の手を動かして紙幣と紙幣処理装置1とを相対的に移動させてもよく、紙幣を把持した側の手及び紙幣処理装置1を把持した側の手の両者を動かして紙幣と紙幣処理装置1とを相対的に移動させてもよい。
また、上記実施形態では、利用者が、一方の手で紙幣を把持し、他方の手で紙幣処理装置1を把持した状態で紙幣の真偽判定を行う場合について説明したが、紙幣処理装置1を把持せずに所定の場所(例えば、レジの横等)に設置して、設置した装置に対して手動で紙幣をスライドさせてもよい。
また、上記実施形態では、本体10にアタッチメント20を取り付け、本体10とアタッチメント20との間に設けられたスリット部30に紙幣を挿入してスライドさせる場合について説明したが、本体10にアタッチメント20を取り付けなくてもよい。この場合、例えば、平らな台や手のひらの上に載置した紙幣上を手動により紙幣処理装置1をスライドさせてもよい。
また、上記実施形態では、紙幣処理装置1と紙幣とを相対的に移動(スライド)させながら光学センサ102による各測定を行う場合について説明したが、紙幣処理装置1と紙幣とを相対的に静止した状態で光学センサ102による各測定を行ってもよい。すなわち、各測定にて光学センサ102から出力された信号は、紙幣の同一箇所(実質的に同じ箇所である場合も含む)で受光した光に係るものであってもよい。なお、この場合、第1の判定処理において上述のように対応するサンプル同士の信号値(燐光の強度)のばらつきが所定の許容範囲内であるか否かを判定する際は、正規化を行わなくてもよい。同一濃度で印刷された同一の燐光インクであれば、固有の燐光の強度及び時定数を持つことから、紙幣の同一箇所で光学センサ102による測定を行う場合は、外乱の影響が無ければ何回測定しても実質的に同じ燐光の強度及び時定数が得られるためである。
また、上記実施形態では、電源スイッチ161と発光窓162とが別々に設けられる場合について説明したが、電源スイッチ161と発光窓162とは一体となっていてもよく、電源スイッチ161の押圧される部分が発光窓162となっていてもよい。
また、上記実施形態では、紙幣処理装置1を一つの装置として構成する場合について説明したが、紙幣処理装置1の各機能を適宜複数の装置に分散した分散処理システムにより実現してもよい。
具体的には、上記実施形態では、判定結果を紙幣処理装置1の本体10の発光窓162により報知する場合について説明したが、判定結果の報知方法はこれに限定されず、例えば、紙幣処理装置1と、スマートフォンやスマートウォッチ等の携帯端末とを含む紙葉類処理システムを構築し、紙幣処理装置1と携帯端末とをbluetooth(登録商標)等にて無線通信接続し、判定結果を携帯端末で確認することもできる。すなわち、携帯端末を報知部として機能させてもよく、例えば、外乱の影響が有った場合、操作者に操作をやり直すように促すメッセージを携帯端末に表示してもよい。
また、上記実施形態では、紙幣処理装置1が第2の判定処理において紙幣の真偽判定を行う場合について説明したが、真偽判定の代わりに、紙幣の金種識別を行ってもよいし、紙幣の正損判定を行ってもよい。
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。また、各実施形態の構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
以上のように、本発明は、紙葉類の処理時に発生し得る外乱の影響を低減するのに有用な技術である。
1:紙幣処理装置
10:本体
10A:箱状部
10A1:下部
10A2:上部
10B:蓋部
20:アタッチメント
30:スリット部
41:制御部
42:電源
43:報知部
44:記憶部
100:筐体
101:制御基板
102:光学センサ
103:バッテリー
110:底面
111:第二のガイド部
113:窓部
120:上面
130、140:側面
150:前面
160:後面
161:電源スイッチ
162:発光窓
210:平板部
211:第一のガイド部
220:規制部
230:U字状部
1021:光源
1022:受光素子
BN:紙幣
D:スリット深さ

 

Claims (19)

  1. 紙葉類に光を照射し、前記紙葉類から放出される光を受光し、信号として出力する光学センサと、
    前記光学センサが前記信号を出力するための測定を繰り返し行うように制御し、各々の測定にて前記光学センサから出力された信号から光学特性を取得する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、第1の測定にて前記光学センサから出力された信号から取得した第1の光学特性と、第2の測定にて前記光学センサから出力された信号から取得した第2の光学特性と、を比較し、当該比較結果に基づき、外乱の影響が有るか否かを判定する第1の判定処理を行う
    ことを特徴とする紙葉類処理装置。
  2. 前記制御部は、前記第1の光学特性と前記第2の光学特性との前記比較において、前記第1の光学特性及び前記第2の光学特性の間の相違が所定の許容範囲内であるか否かを判定することにより、少なくとも前記第2の光学特性に外乱の影響が有るか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項1記載の紙葉類処理装置。
  3. 前記第1の判定処理において外乱の影響が有ると判定された場合は、前記第1の光学特性及び前記第2の光学特性のいずれに基づいても前記紙葉類が真正な紙葉類であるか否かを判定しない
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の紙葉類処理装置。
  4. 前記制御部は、前記第1の光学特性及び前記第2の光学特性のうちの少なくとも一つが、真正な紙葉類に係る光学特性であるか否かを判定する第2の判定処理を行い、かつ
    前記第1の判定処理の判定結果及び前記第2の判定処理の判定結果に基づき、前記紙葉類が真正な紙葉類であるか否かを総合的に判定する
    ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の紙葉類処理装置。
  5. 前記制御部は、前記第1の判定処理において、少なくとも前記第2の光学特性が所定の条件を満たすか否かを更に判定し、当該判定結果に基づき、少なくとも前記第2の光学特性に外乱の影響が有るか否かを更に判定し、かつ
    前記第1の判定処理において少なくとも前記第2の光学特性に外乱の影響がないと判定された場合に、前記第2の判定処理を行う
    ことを特徴とする請求項4記載の紙葉類処理装置。
  6. 前記制御部は、前記第2の測定にて前記光学センサから出力された前記信号から波形データを生成し、
    前記所定の条件は、前記波形データが単調減少しているか否かである
    ことを特徴とする請求項5記載の紙葉類処理装置。
  7. 前記制御部は、前記波形データが単調減少していない場合に、前記第1の判定処理において、少なくとも前記波形データの信号値のばらつきが所定の許容範囲内であるか否かを更に判定する
    ことを特徴とする請求項6記載の紙葉類処理装置。
  8. 前記制御部は、前記第2の判定処理として、前記第1の光学特性及び前記第2の光学特性のうちの前記少なくとも一つを基準となる基準光学特性と比較する
    ことを特徴とする請求項4~7のいずれかに記載の紙葉類処理装置。
  9. 前記光学センサは、互いに異なる波長の光を照射する複数の光源により前記紙葉類に光を照射し、
    前記制御部は、前記各波長の光に起因する光学特性を前記測定毎に取得し、かつ
    前記各波長の光に起因する前記光学特性に基づいて前記第1の判定処理及び前記第2の判定処理を行う
    ことを特徴とする請求項4~8のいずれかに記載の紙葉類処理装置。
  10. 前記制御部は、前記第1の判定処理及び前記第2の判定処理をそれぞれ複数回行う
    ことを特徴とする請求項4~9のいずれかに記載の紙葉類処理装置。
  11. 前記複数回の前記第1の判定処理のうちの所定の回数以上の第1の判定処理において前記制御部により外乱の影響が有ると判定された場合に、前記制御部が前記紙葉類を真正な紙葉類である、又は真正な紙葉類でないと総合的に判定した場合のいずれの場合とも異なる態様にて操作者に報知する報知部を更に備える
    ことを特徴とする請求項10記載の紙葉類処理装置。
  12. 前記報知部は、前記複数回の前記第2の判定処理において前記制御部により真正な紙葉類であると判定された回数が所定数以上の場合は、前記紙葉類が真正な紙葉類であると操作者に報知する一方で、前記複数回の前記第2の判定処理において前記制御部により真正な紙葉類でないと判定された回数が前記所定数未満の場合は、前記紙葉類が真正な紙葉類でないと操作者に報知する
    ことを特徴とする請求項10又は11記載の紙葉類処理装置。
  13. 前記制御部は、前記第1の判定処理及び前記第2の判定処理をそれぞれ複数回行い、
    前記複数回の前記第1の判定処理のうちの所定の回数以上の第1の判定処理において前記制御部により外乱の影響が有ると判定された場合に操作者に報知する報知部を更に備える
    ことを特徴とする請求項2~9のいずれかに記載の紙葉類処理装置。
  14. 前記各々の測定にて前記光学センサから出力された前記信号は、前記紙葉類の同一線上の互いに異なる箇所で受光した光に係るものである
    ことを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載の紙葉類処理装置。
  15. 前記各々の測定にて前記光学センサから出力された前記信号は、前記紙葉類の同一箇所で受光した光に係るものである
    ことを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載の紙葉類処理装置。
  16. 前記光学センサが受光する前記光は、前記紙葉類から放出された燐光であり、
    前記光学特性は、前記紙葉類から放出された燐光に係る特性である
    ことを特徴とする請求項1~15のいずれかに記載の紙葉類処理装置。
  17. 紙葉類に光を照射し、前記紙葉類から放出される光を受光し、信号として出力する光学センサと、
    前記光学センサが前記信号を出力するための測定を繰り返し行うように制御し、各々の測定にて前記光学センサから出力された信号から光学特性を取得する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、第1の測定にて前記光学センサから出力された信号から取得した第1の光学特性と、第2の測定にて前記光学センサから出力された信号から取得した第2の光学特性と、を比較し、当該比較結果に基づき、外乱の影響が有るか否かを判定する第1の判定処理を行う
    ことを特徴とする紙葉類処理システム。
  18. 紙葉類に光を照射し、前記紙葉類から放出される光を受光し、信号として出力する光学センサを用いた紙葉類処理方法であって、
    前記光学センサが前記信号を出力するための測定を繰り返し行うように制御し、各々の測定にて前記光学センサから出力された信号から光学特性を取得する光学特性取得ステップと、
    第1の測定にて前記光学センサから出力された信号から取得した第1の光学特性と、第2の測定にて前記光学センサから出力された信号から取得した第2の光学特性と、を比較し、当該比較結果に基づき、外乱の影響が有るか否かを判定する第1の判定処理を行う第1の判定ステップと、
    を含むことを特徴とする紙葉類処理方法。
  19. 紙葉類に光を照射し、前記紙葉類から放出される光を受光し、信号として出力する光学センサを備える紙葉類処理装置を制御するコンピュータを、
    前記光学センサが前記信号を出力するための測定を繰り返し行うように制御し、各々の測定にて前記光学センサから出力された信号から光学特性を取得する光学特性取得手段、及び
    第1の測定にて前記光学センサから出力された信号から取得した第1の光学特性と、第2の測定にて前記光学センサから出力された信号から取得した第2の光学特性と、を比較し、当該比較結果に基づき、外乱の影響が有るか否かを判定する第1の判定処理を行う第1の判定手段、
    として機能させることを特徴とする紙葉類処理プログラム。

     
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