JPWO2015037571A1 - 有機ケイ素化合物含有熱硬化性組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Abstract
Description
また、近年の半導体チップの高集積化、大容量化に伴い、半導体デバイスの発熱量が増える一方であるのに対して、半導体デバイスを内包する電子機器の筐体は、軽薄短小化している。そのため、電子機器内部における高密度化は更に進み、電子回路基板及び電子部品の熱的環境は厳しくなっている。加えて、電子機器を使用した際の負荷の変動や環境変化に伴って温度の急変動が繰り返される状況になっている。このような状況は発光ダイオード(LED)に対しても言える。LEDの用途の拡大に伴って、屋外等の厳しい環境で用いられることもあるため、発熱を伴う部品への、保護膜の必要性が高まっている。しかしながら、LEDの高輝度化に伴う高い発熱量に対して、十分な除熱をすることが難しく、点滅の度にLEDを含む電子部品の温度が大きく上下する場合に、保護膜において、熱衝撃による剥離やクラックを生じることがあった。このように、電子回路材料に用いられる耐熱性(耐熱衝撃性)の高い硬化膜が求められている。
また、出願人は、特定構造の珪素含有高分子化合物から得られるヒドロシリル化重合体を含有する耐熱性樹脂組成物を開示している(特許文献2)。更に、耐熱衝撃性に優れた硬化物を製造する方法として、特定のケイ素含有モノマーの共重縮合によりエチレン性不飽和結合を有する硬化物前駆体を得る工程と、該エチレン性不飽和結合の少なくとも一部を硬化させる工程とを備える方法を提案している(特許文献3)。
特許文献3号に記載の方法はヒドロシリル化反応を利用するものではなく、当該方法により得られる硬化物は、高温で繰り返し熱衝撃を受けても剥離やクラックを生ずることがなく、耐熱衝撃性に優れるものであった。しかしながら、上記の通り、LED関連用途等では、熱的環境の厳しい条件下での使用における信頼性確保等の観点から、硬化膜を100〜150℃程度の加熱条件下に数百時間〜千時間程度の長期間おいた場合であっても、同様に剥離やクラックを生じることのない高い耐熱性も要求されている。特許文献3に記載の方法により得られる硬化物は、このような条件下にも耐え得るような高い耐熱性も有するものであるが、熱硬化により硬化物を得た場合に、条件によっては耐熱性に改善の余地が見られることが判った。
〔1〕下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物100質量部、及び10時間半減期温度が80〜130℃の範囲にある重合開始剤0.01〜10質量部を含む熱硬化性組成物。
〔2〕上記エチレン性不飽和基を有する基が下記一般式(2)で表される上記〔1〕に記載の熱硬化性組成物。
〔3〕上記重合開始剤が有機過酸化物を含む上記〔1〕又は〔2〕に記載の熱硬化性組成物。
〔4〕上記有機ケイ素化合物を示す一般式(1)におけるw及びxは、両方とも正の数であり、R1はエチレン性不飽和基を有する基である上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物。
〔5〕上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物を加熱処理することにより得られる硬化物。
〔6〕上記熱硬化性組成物の加熱温度が60〜200℃である上記〔5〕に記載の硬化物。
本発明の熱硬化性組成物は、下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物と、10時間半減期温度が80〜130℃の範囲にある重合開始剤とを含む。
R1、R2、R3、R4及びR5のうちの少なくとも1つはエチレン性不飽和基を有する基であるが、それ以外の場合の好ましいR1、R2、R3、R4及びR5は、水素原子、メチル基及びフェニル基であり、硬化物が変色しにくい点で水素原子及びメチル基がより好ましい。尚、2つのR5は、互いに、同一であってよいし、異なってもよい。また、R5がエチレン性不飽和基を有する基である場合、少なくとも1つのR5がエチレン性不飽和基を有する基であればよい。
また、R6は、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基である。
wは、硬化物の耐熱性の観点から、0≦w/(v+x+y+z)≦10を満たし、好ましくは0.01≦w/(v+x+y+z)≦5を満たし、より好ましくは0.1≦w/(v+x+y+z)≦2を満たす。
また、vは、硬化物の耐熱性の観点から、好ましくは0≦v/(v+w+x+y+z)<1を満たし、より好ましくは0≦v/(v+w+x+y+z)<0.4を満たす。
本発明において、w及びxは、両方とも正の数であることが好ましい。
ここで、上記加水分解性基は、縮合によりシロキサン結合を生成するため、シロキサン結合生成基ともいう。
上記モノマーユニット(1−1)を与えるモノマーは、好ましくは、1分子中に4つのシロキサン結合生成基を有するモノマー(以下、「Qモノマー」という)である。上記モノマーユニット(1−2)を与えるモノマーは、好ましくは、1分子中に3つのシロキサン結合生成基を有するモノマー(以下、「Tモノマー」という)である。上記モノマーユニット(1−3)を与えるモノマーは、好ましくは、1分子中に2つのシロキサン結合生成基を有するモノマー(以下、「Dモノマー」という)である。また、上記モノマーユニット(1−4)を与えるモノマーは、好ましくは、1分子中に1つのシロキサン結合生成基を有するモノマー(以下、「Mモノマー」という)、及び、後述する一般式(3)で表される化合物である。
金属化合物としては、例えば、チタンキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、反応溶媒として、沸点が100℃未満の化合物を用いる場合には、縮合反応後に揮発除去が容易であるので好ましい。この性質を有する反応溶媒は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール及びt−ブチルアルコールであり、これらの中から選択されるアルコールを用いることが特に好ましい。
本発明の熱硬化性組成物は、10時間半減期温度が80〜130℃の範囲にある重合開始剤を含む。この重合開始剤は、10時間半減期温度が80〜130℃の範囲であれば、特に限定されるものではなく、有機過酸化物、アゾ化合物等の公知の重合開始剤を用いることができる。10時間半減期温度が80℃未満の重合開始剤のみを用いた場合、得られる硬化物の耐熱性が十分でなく、耐熱性試験において硬化物にクラックが発生する場合がある。10時間半減期温度が130℃を超える重合開始剤のみを用いた場合は、硬化速度が遅く、硬化が十分進行しない傾向がある。また、耐熱性の点でも不十分となりやすい。本発明に係る重合開始剤における10時間半減期温度の好ましい範囲は、90〜120℃であり、より好ましくは95〜110℃である。
10時間半減期温度が80℃未満の重合開始剤として、有機過酸化物としては、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(10時間半減期温度:72.1℃)、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(10時間半減期温度:69.9℃)、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(10時間半減期温度:65.3℃)、ジラウロイルパーオキシド(10時間半減期温度:61.6℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(10時間半減期温度:54.6℃)、t−ヘキシルパーピバレート(10時間半減期温度:53.2℃)及びt−ブチルパーオキシネオヘプタノエート(10時間半減期温度:50.6℃)が挙げられる。
また、アゾ化合物としては、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(10時間半減期温度:67℃)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(10時間半減期温度:66℃)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(10時間半減期温度:65℃)及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(10時間半減期温度:51℃)等が挙げられる。
10時間半減期が80〜130℃の範囲にある重合開始剤と、10時間半減期が80〜130℃の範囲にない重合開始剤とを併用する場合、本発明による効果を有効に得る点から、10時間半減期が80〜130℃の範囲にある重合開始剤は、重合開始剤の全量に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。
本発明の熱硬化性組成物は、上記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物と、10時間半減期温度が80〜130℃の範囲にある重合開始剤とからなる組成物であってよいし、有機ケイ素化合物の種類に応じて、これらの成分が有機溶剤に溶解している組成物であってもよい。有機溶剤は、特に限定されないが、上記有機ケイ素化合物の合成時に用いた反応溶媒を用いることができる。そして、この反応溶媒と同じ化合物を用いることが経済的であり、より好ましい。
有機溶剤の使用量を10〜1000質量部とすることにより、熱硬化性組成物の粘度を、後述する公知の塗布方法等に好適な粘度とすることができる。また、その塗布方法に対応した塗料組成物を調製し易い。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールZのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、チオビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールZのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSのジ(メタ)アクリレート、チオビスフェノールのジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリンのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ダイマー酸ジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのトリ及びテトラアクリレート、ペンタエリスリトールのアルキレンオキサイド付加物のトリ及びテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ及びペンタアクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、末端に(メタ)アクリロイル基を有するシリコーン樹脂等が挙げられる。
ここで、ポリオールとしては、低分子量ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
低分子量ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメチロール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、及びグリセリン等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコールやポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、これら低分子量ポリオール及び/又はポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分との反応物が挙げられる。
有機ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールや、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール等のイオウ系二次酸化防止剤、リン系二次酸化防止剤等が挙げられる。これらは、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用することもできる。ラジカル重合禁止剤及び酸化防止剤を併用すると、熱硬化性組成物の保存安定性、硬化物の熱安定性等を向上させることができる。
上記フィラーとしては、シリカやアルミナ等が挙げられる。
本発明の熱硬化性組成物の塗布方法としては、具体的には、バーコート、ロールコート、スピンコート、ディップコート、グラビアコート、ダイコート、フローコート及びスプレーコート等が挙げられる。組成物を基材に塗布した後に、乾燥機又は乾燥炉等を用いて塗膜を加熱処理することにより、硬化膜を形成することができる。
基材に対する組成物の塗布条件及び硬化後の膜厚は、目的に応じて、適宜、設定すればよいが、硬化膜の厚さは、1〜300μm程度である。
本発明の熱硬化性組成物を成形する場合も、公知の成形方法を採用することができる。具体的な例としては、押出成形、射出成形、鋳込み成形及び圧縮成形等が挙げられる。
加熱処理により、上記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物中のエチレン性不飽和結合の少なくとも一部が重合反応し、有機ケイ素化合物を架橋させて硬化物を得ることができる。本発明の硬化物は、エチレン性不飽和結合の重合による架橋構造を含んでいるので、縮合反応のみによって硬化させた硬化物よりも柔軟性に富んで、基材等に対する密着性にも優れる。また、本発明の硬化物は、縮合反応による架橋構造も含んでいることから、エチレン性不飽和結合の重合のみによる従来の硬化物よりも耐熱性に富む架橋構造を備える。この耐熱性は、加熱条件下に長時間曝された場合に、クラックの発生や、黄変等の変色が抑制されるというものである。特に、上記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物における[SiOx]部分の質量%で表される無機分率が高いほど、変色を抑制することができる。この無機分率は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは43質量%以上、更に好ましくは47質量%以上である。尚、上記無機分率は、有機ケイ素化合物の合成時に、原料として仕込んだ、QモノマーのアルコキシシランがすべてSiO4/2に加水分解され、TモノマーのアルコキシシランがすべてSiO3/2に加水分解され、DモノマーのアルコキシシランがすべてSiO2/2に加水分解され、MモノマーのアルコキシシランがすべてSiO1/2に加水分解されたと仮定したときの理論収量に含まれる、ケイ酸分(SiO2、SiO3/2、SiO2/2、SiO1/2)の割合を示した数値であり、下記式で算出される。
無機分率(%)=(理論収量中のケイ酸分/理論収量)×100
得られた硬化物のIRスペクトルにより、エチレン性不飽和結合の反応率を確認すると、80%以上の高い反応率を示す。本発明者らは、上記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物に含まれるエチレン性不飽和結合に由来する架橋反応が十分進行するために、得られる硬化物が良好な耐熱性を示すものと推察している。エチレン性不飽和結合の反応率は、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
以上より、本発明の硬化物は、耐熱性の他、硬度、機械的強度、耐薬品性、及び、金属、ガラス、樹脂等からなる基材に対する密着性等の物性にも優れるものとなる。
有機ケイ素化合物の数平均分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレン換算で算出した。
また、有機ケイ素化合物の無機分率を、上記に記載の方法により算出した。
攪拌機、滴下ロート、還流冷却管及び温度計を備えた反応器に、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン725.96g(2500mmol)、ジメトキシジメチルシラン725.96g(6039mmol)、及び2−プロパノール432.72gを仕込んだ。そして、湯浴を用いて昇温し、反応系内温が40℃を超えたところで、反応系を撹拌しながら、滴下ロートから0.79%塩酸水溶液355.59gを滴下した。約50℃にて滴下終了後、反応系を室温(約25℃)で、8時間放置した。ここにp−メトキシフェノール0.18gを添加して溶解した後、空気を吹き込みながら溶媒を減圧留去し、無色透明液体の有機ケイ素化合物S1を883g得た。得られた有機ケイ素化合物S1の粘度は151mPa・s(25℃)であり、数平均分子量は1700であった。また、原料の使用量から、無機分率を算出したところ、44.3%であった。
1H−NMR分析の結果、メタクリロイル基を有するユニット(MAC−SiO3/2)とジメチル基を有するユニット(Me2−SiO2/2)の組成比は、それらのユニットを形成する原料の仕込み時のモル比に近く、v=0、w=1.00、x=2.36、y=0、z=0.07と算出された。
攪拌機、滴下ロート、還流冷却管及び温度計を備えた反応器に、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン55.88g(225mmol)、ジメトキシジメチルシラン162.30g(1350mmol)、及び2−プロパノール81.14gを仕込んだ。そして、湯浴を用いて昇温し、反応系内温が40℃を超えたところで、反応系を撹拌しながら、滴下ロートから0.94%塩酸水溶液61.39gを滴下した。約50℃にて滴下終了後、反応系を室温(約25℃)で、23時間放置した。ここにp−メトキシフェノール0.028gを添加して溶解した後、空気を吹き込みながら溶媒を減圧留去し、無色透明液体の有機ケイ素化合物S2を128g得た。得られた有機ケイ素化合物S2の粘度は56mPa・s(25℃)であり、数平均分子量は1500であった。また、原料の使用量から、無機分率を算出したところ、50.3%であった。
1H−NMR分析の結果、メタクリロイル基を有するユニット(MAC−SiO3/2)とジメチル基を有するユニット(Me2−SiO2/2)の組成比は、それらのユニットを形成する原料の仕込み時のモル比におおむね近く、v=0、w=1.00、x=5.13、y=0、z=0.11と算出された。
攪拌機、滴下ロート、還流冷却管及び温度計を備えた反応器に、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン37.25g(150mmol)、テトラメトキシシラン45.67g(300mmol)、ジメトキシジメチルシラン108.20g(900mmol)、及び2−プロパノール108.18gを仕込んだ。そして、湯浴を用いて昇温し、反応系内温が40℃を超えたところで、反応系を撹拌しながら、滴下ロートから0.79%塩酸水溶液62.66gを滴下した。約50℃にて滴下終了後、反応系を室温(約25℃)で、23時間放置した。ここにp−メトキシフェノール0.022gを添加して溶解した後、空気を吹き込みながら溶媒を減圧留去し、無色透明液体の有機ケイ素化合物S3を110g得た。得られた有機ケイ素化合物S3の粘度は3180mPa・s(25℃)であり、数平均分子量は3200であった。また、原料の使用量から、無機分率を算出したところ、58.7%であった。
1H−NMR分析の結果、メタクリロイル基を有するユニット(MAC−SiO3/2)とジメチル基を有するユニット(Me2−SiO2/2)の組成比は、それらのユニットを形成する原料の仕込み時のモル比に近く、w=1.00、x=6.06、y=0、z=0.34と算出された。
攪拌機、滴下ロート、還流冷却管及び温度計を備えた反応器に、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン29.80g(120mmol)、テトラメトキシシラン36.53g(240mmol)、ジメトキシジメチルシラン86.56g(720mmol)、ヘキサメチルジシロキサン4.87g(30mmol)、及び2−プロパノール54.09gを仕込んだ。そして、湯浴を用いて昇温し、反応系内温が40℃を超えたところで、反応系を撹拌しながら、滴下ロートから0.83%塩酸水溶液50.15gを滴下した。約50℃にて滴下終了後、反応系を室温(約25℃)で、20時間放置した。ここにp−メトキシフェノール0.018gを添加して溶解した後、空気を吹き込みながら溶媒を減圧留去し、無色透明液体の有機ケイ素化合物S4を93g得た。得られた有機ケイ素化合物S4の粘度は1290mPa・s(25℃)であり、数平均分子量は2200であった。また、原料の使用量から、無機分率を算出したところ、58.3%であった。
1H−NMR分析の結果、メタクリロイル基を有するユニット(MAC−SiO3/2)とジメチル基を有するユニット(Me2−SiO2/2)の組成比は、それらのユニットを形成する原料の仕込み時のモル比に近く、w=1.00、x=6.02、y=0.97、z=0.24と算出された。
攪拌機、滴下ロート、還流冷却管及び温度計を備えた反応器に、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン372.53g(1500mmol)、ジメトキシジメチルシラン109.05g(907.1mmol)、及び2−プロパノール166.18gを仕込んだ。そして、湯浴を用いて昇温し、反応系内温が40℃を超えたところで、反応系を撹拌しながら、滴下ロートから0.77%塩酸水溶液114.66gを滴下した。約50℃にて滴下終了後、反応系を室温(約25℃)で、18時間放置した。ここにp−メトキシフェノール0.067gを添加して溶解した後、空気を吹き込みながら溶媒を減圧留去し、無色透明液体の有機ケイ素化合物S5を330g得た。得られた有機ケイ素化合物S5の粘度は1170mPa・s(25℃)であり、数平均分子量は1300であった。また、原料の使用量から、無機分率を算出したところ、35.1%であった。
1H−NMR分析の結果、メタクリロイル基を有するユニット(MAC−SiO3/2)とジメチル基を有するユニット(Me2−SiO2/2)の組成比は、それらのユニットを形成する原料の仕込み時のモル比に近く、v=0、w=1.00、x=0.59、y=0、z=0.11と算出された。
実施例1〜3、並びに、比較例1及び2
有機ケイ素化合物と、重合開始剤とを、表1に示す割合で攪拌混合し、熱硬化性組成物を調製した。
下記の方法により、得られた熱硬化性組成物から硬化物試料を作製し、この硬化物試料に対して、反応率、外観、押込み弾性率及び耐熱試験の評価を行った。結果を表1に記載する。
PETフィルムの上に、四角形(6cm×1.5cm)の型抜きをした2mm厚のシリコンゴムを設置し、該型抜き部分に熱硬化性組成物を注いだ後、上部にPETフィルムを被せた。これを2枚のガラス板に挟持し、120℃で1時間加熱後、更に150℃で1時間加熱することにより、2mm厚の硬化物試料を得た。
硬化物試料について、IR測定を行い、反応率を、(メタ)アクリロイル基由来のC=C特性吸収を観測することにより求めた。
硬化物試料について、フィッシャー・インストルメンツ社製の超微小硬さ試験システム「フィッシャースコープ H−100」を用い、荷重速度20mN/10秒、保持時間5秒の条件で3点測定して、押込み弾性率の平均値を求めた。一般的に弾性率が大きくなるほど、硬さが増す。
硬化物試料を150℃に設定した乾燥機内に200時間静置した。その後、硬化物試料の外観を観察し、クラックの有無により耐熱性を判定した。
PBO:t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート
(日油社製、商品名「パーブチルO」、10時間半減期温度:72.1℃)
PHI:t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート
(日油社製、商品名「パーヘキシルI」、10時間半減期温度:95.0℃)
PBE:t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート
(日油社製、商品名「パーブチルE」、10時間半減期温度:99.0℃)
一方、比較例1及び2は、得られた硬化物におけるエチレン性不飽和結合の反応率が低く、耐熱試験(a)後の硬化物にはクラックの発生が認められた。
実施例4〜8
有機ケイ素化合物と、重合開始剤とを、表2に示す割合で攪拌混合し、熱硬化性組成物を調製した。実施例4の組成物は、実施例3のものと同じである。その後、下記[5]項における方法により硬化物試料を作製し、この硬化物試料に対して、外観の評価と、下記[6]項の方法による耐熱試験(b)の評価とを行った。結果を表2に記載する。
PETフィルムの上に、四角形(6cm×1.5cm)の型抜きをした1mm厚のシリコンゴムを設置し、該型抜き部分に熱硬化性組成物を注いだ後、上部にPETフィルムを被せた。これを2枚のガラス板に挟持し、110℃で1時間加熱後、更に150℃で1時間加熱することにより、1mm厚の硬化物試料を得た。
硬化物試料を150℃に設定した乾燥機内に500時間静置した。その後、硬化物試料の黄色度(Y.I.:イエローインデックス)を、村上色彩技術研究所社製色差計「DOT−3C」を用いて、D65光源、視野角10°の条件で測定した。測定は、硬化物試料の表面で2点について行い、平均値を求めた。
Claims (6)
- 下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物100質量部、及び10時間半減期温度が80〜130℃の範囲にある重合開始剤0.01〜10質量部を含む熱硬化性組成物。
- 前記重合開始剤が有機過酸化物を含む請求項1又は2に記載の熱硬化性組成物。
- 前記有機ケイ素化合物を示す前記一般式(1)におけるw及びxは、両方とも正の数であり、R1はエチレン性不飽和基を有する基である請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性組成物を加熱処理することにより得られる硬化物。
- 前記熱硬化性組成物の加熱温度が60〜200℃である請求項5に記載の硬化物。
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