JP6886160B2 - 硬化性樹脂組成物及び加工フィルムの製造方法 - Google Patents

硬化性樹脂組成物及び加工フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、硬化性樹脂組成物及び加工フィルムの製造方法に関する。
光学部品を使用する製品の薄型化、フレキシブル化に伴い、光学部品の薄型化、小型化が検討されている。例えば、液晶ディスプレイや有機発光ダイオードには、軽さやフレキシブルなどの観点から、耐熱性樹脂からなるプラスチック基板の開発が進められている。
プラスチック基板は基板自体が柔軟なため、基板上に電子回路素子・光学素子等の精密素子を配置した集積体を構成する場合、プラスチック基板の変形による精密素子又はその配置の損傷を抑制するため、以下のような方法が提案されている。
特許文献1には、プラスチック基板となる耐熱性樹脂層をガラス基板上に形成し、当該耐熱性樹脂層の上に精密素子を形成した後、ガラス基板側からレーザー光を耐熱性樹脂層に照射して耐熱性樹脂層をガラス基板から剥離する、フレキシブルディスプレイの製造方法が提案されている。
特許文献2〜4には、耐熱性樹脂層を透過するレーザー光による精密素子又はその配置の損傷の抑制も考慮して、ガラス基板と耐熱性樹脂層の間に犠牲層を設置して、ガラス基板側からレーザー光を犠牲層に照射して、犠牲層から耐熱性樹脂層を剥離することが提案されている。
犠牲層としては、特許文献2では照射されたレーザー光を熱に変換して犠牲層の熱または熱変形を利用する有機発光素子転写用フィルムが、特許文献3及び4では耐熱性の向上を考慮してアモルファスシリコンや金属酸化物などを蒸着した犠牲層が提案されている。
特開2011−248072号公報 特開2012−186172号公報 特開平11−026733号公報 特開2013−135180号公報
しかし、特許文献1〜4が提案する方法では、そもそもレーザー光を照射して加熱する工程自体の存在が、高出力のレーザー光照射装置への初期投資や維持費を必要とし、生産効率に課題があり、犠牲層として機能性の有機発光素子を使用したり、アモルファスシリコンや金属酸化物などを蒸着したりすることは、基板が大型になるほど生産コスト押し上げる。
本発明は、フィルム表面に精密素子を配置する等の加工をするために、基板上にフィルムを固定するための硬化性樹脂組成物であって、
高温環境下でも、フィルムは硬化性樹脂組成物の硬化体層と密着又は接着し、かつ、硬化性樹脂組成物の硬化体層は基板と密着又は接着し、フィルムが基板に固定された状態でフィルム表面を加工することが可能で、加工終了後には、25℃近傍の環境下でも、基板と前記硬化体層は一体に固定されたまま、フィルムを硬化性樹脂組成物の硬化体層から剥離できる硬化性樹脂組成物、及び加工フィルムの製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、
〔1〕(メタ)アクリル基及びフェニル基を有するシロキサン化合物(化合物A)並びに光重合開始剤化合物(化合物B)を含有する硬化性樹脂組成物であって、
前記硬化性樹脂組成物は、前記硬化性樹脂組成物の硬化体層が一方の面を基板と接触し、他方の面をフィルム表面と接触して積層する硬化後積層体を構成するために使用され、
前記硬化後積層体は、前記硬化体層の温度が25℃において、前記基板と前記硬化体層は一体に固定されたまま、前記フィルムを前記硬化体層から剥離できる硬化性樹脂組成物(以下「本発明1」ともいう)、
〔2〕加工フィルムの製造方法であって、
基板又はフィルムの表面に前項〔1〕記載の硬化性樹脂組成物が接触してなる硬化性樹脂組成物層を形成する工程1、
前記硬化性樹脂組成物層の前記基板又は前記フィルムと接触していない面上に、前記基板又は前記フィルムを接触して配置して、前記基板、前記硬化性樹脂組成物層及び前記フィルムが積層された硬化前積層体を形成する工程2、
前記硬化性樹脂組成物層を光硬化させて前記基板、前記硬化性樹脂組成物層の硬化体層及び前記フィルムが積層された請求項1記載の硬化後積層体を得る工程3、
前記工程2の後で前記工程3の前、又は前記工程3において、前記硬化前積層体を構成する前記フィルムを加工するか、
前記工程3の後に、前記硬化後積層体を構成する前記フィルムを加工して加工フィルムを形成する工程4、及び、
前記フィルムを前記硬化性樹脂組成物の硬化体層から剥離する工程5を有する加工フィルムの製造方法(以下「本発明2」ともいう)である。
本発明によれば、フィルム表面に精密素子を配置する等の加工をするために、基板上にフィルムを固定するための硬化性樹脂組成物であって、
高温環境下でも、フィルムは硬化性樹脂組成物の硬化体層と、かつ、硬化性樹脂組成物の硬化体層は基板と密着又は接着し、フィルムが基板に固定された状態でフィルム表面を加工することが可能で、加工終了後には、25℃近傍の環境下でも、基板と前記硬化体層は一体に固定されたまま、フィルムを前記硬化性樹脂組成物の硬化体層から剥離できる硬化性樹脂組成物、及び加工フィルムの製造方法を提供することができる。
〔本発明1〕
以下、本発明1の「基板と前記硬化体層は一体に固定されたまま、フィルムを硬化性樹脂組成物の硬化体層から剥離できる」という特性を「フィルム剥離性」ともいう。
(化合物A)
硬化性樹脂組成物の硬化速度、常態強度及び高温下も含めた耐久性(以下「硬化物性」という)、フィルム密着固定性及びフィルム剥離性の観点から、本発明1における化合物Aは1分子中に、少なくとも1つの(メタ)アクリル基、及び少なくとも1つのフェニル基(以下「Ph」で示すことがある)を有するシロキサン化合物である、(Si−O)単位が2以上20未満のシロキサンオリゴマー、又は(Si−O)単位が20〜1000、より好ましくは30〜500、更に好ましくは40〜200、更に好ましくは50〜150のポリシロキサンである。
化合物Aは光硬化性化合物であり、従って、化合物Aを含む本発明1は光硬化性樹脂組成物であり、本明細書において「硬化」とは「光硬化」を意味する。
硬化性樹脂組成物の硬化物性、フィルム密着固定性及びフィルム剥離性の観点から、シロキサン結合は、直鎖状又は分岐状のような鎖状でも環状であってもよいが鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
化合物Aにおいて、(メタ)アクリル基及びフェニル基を有する位置は特に制限されず、例えば、化合物Aの末端でも側鎖でもよいが、立体障害を受けにくく硬化速度が速くなるという観点から、化合物Aの少なくとも末端に(メタ)アクリル基を有することが好ましい。化合物Aが直鎖状ポリシロキサンである場合、少なくとも両末端に(メタ)アクリル基を有し、側鎖にフェニル基を有することが好ましい。
フェニル基は、化合物Aのケイ素原子に結合する基の5〜50mol%であることが好ましく、10〜30mol%であることがより好ましい。
化合物A中のケイ素原子に結合する(メタ)アクリル基及びフェニル基以外の基としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子などが挙げられる。
ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、フェニル基以外の芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基などが挙げられる。
脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。上記脂肪族炭化水素基の具体例としては、直鎖状または分岐状のアルキル基(特に、炭素数1〜10)、直鎖状または分岐状のアルケニル基(炭素数2〜10)、直鎖状または分岐状のアルキニル基(特に、炭素数2〜10)、直鎖状または分岐状のシクロアルキル基などが挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基などが挙げられ、より具体的には、フェニル基以外のアリール基、ナフチル基などが挙げられる。フェニル基以外のアリール基としては、例えば、トリル基、キシリル基などの炭素数6超18以下のアリール基などが挙げられる。
化合物A中のケイ素原子に結合する(メタ)アクリル基及びフェニル基以外の基は、少なくともフェニル基以外のアリール基であることが好ましく、化合物Aのケイ素原子に結合する基の好ましくは5〜50mol%、より好ましくは10〜30mol%がフェニル基及びフェニル基以外のアリール基である。
硬化性樹脂組成物のフィルム密着固定性と透明性の観点からは、化合物A中のケイ素原子に結合する(メタ)アクリル基及びフェニル基以外の基は、さらにアルコキシ基を有することが好ましい。
硬化性樹脂組成物のフィルム密着固定性の観点からは、化合物A中のケイ素原子に結合する(メタ)アクリル基及びフェニル基以外の基は、さらにウレタン結合を有することが好ましい。
化合物Aとしては、例えば、下記式(1):
(R1SiO3/2)a(R2 2SiO2/2)b(R3 3SiO1/2)c(SiO4/2)d(X1O1/2)e (1)
(式(1)中、R、RおよびRには少なくとも1つの(メタ)アクリル基と少なくとも1つのフェニル基を含む有機基で、(メタ)アクリル基及びフェニル基を含む有機基以外は、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、シクロアルキル基、ビニル基含有基及びエポキシ基なる群から選択される基を含む有機基を表し、
複数あるRおよびRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、
単位(RSiO3/2)が複数存在する場合、ある単位(RSiO3/2)と別の単位(RSiO3/2)は同一であっても異なっていてもよく(すなわち、ある単位(RSiO3/2)のRと別の単位(RSiO3/2)のRは同一であっても異なっていてもよく)、(R SiO2/2)、(R SiO1/2)、(X1/2)についても同様であり、
は、水素原子およびアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい)からなる群から選択される基であり、
a、b、c、dおよびeは、
0<a≦1、0≦b<1、0≦c<1、0≦d<1、0≦e<1、
0≦b/a≦10、0≦c/a≦5、
0≦d/(a+b+c+d)≦0.3、
0≦e/(a+b+c+d)≦0.4の関係式を満たす)で表される平均単位を有する化合物A1が挙げられる。
硬化性樹脂組成物の硬化物性、フィルム密着固定性及びフィルム剥離性の観点から、
b/aは、好ましくは0〜1.0であり、
c/aは、好ましくは0〜1.0であり、より好ましくは0.5〜0.7であり、
d/(a+b+c+d)は、好ましくは0〜1.0であり、
e/(a+b+c+d)は、好ましくは0〜1.0である。
a>0なので、化合物A1は(RSiO3/2)で表される分岐構造を有する。
(メタ)アクリル基を含む有機基は、硬化性の観点から、好ましくは
(メタ)アクリロイルオキシ基を置換基とする炭化水素基であり、より好ましくは
(メタ)アクリロイルオキシ基を置換基とするアルキル基(特に炭素数1〜10)である。
(メタ)アクリル基を含む有機基は、例えば、下記式(2):
Figure 0006886160
(式(2)中、R11は水素原子またはメチル基であり、R12は2価の有機基であり、*は結合位置を表す)で表される基が挙げられる。
ビニル基を含む有機基は、ビニル基(CH=CH−)(以下「Vi」で示すことがある)としては、例えば、ビニル基、アリル基などが挙げられ、好ましくはビニル基である。
硬化性樹脂組成物のフィルム密着固定性と透明性の観点からは、
式(1)中、R、RおよびRが示す全有機基に対する(全有機基中の)フェニル基を含むアリール基の割合(以下「アリール基率」ともいう)は、好ましくは15〜80mol%、より好ましくは25〜70mol%であり、アリール基の全てがフェニル基であることが好ましい。
例えば、化合物A1中にRで表されるフェニル基を含むアリール基が3mol、Rで表される(メタ)アクリル基を含む有機基が2mol、Rで表されるアルキル基が5mol存在し、その他にR、RまたはRが示す有機基が存在しない場合、R、RおよびRが示す全有機基は10mol存在し、そのうちフェニル基を含むアリール基は3mol存在することになるため、アリール基率は30mol%(=3/10)となる。
硬化性樹脂組成物のフィルム密着固定性、フィルム剥離性、靭性および剛性の観点からは、
化合物A1の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1000〜300000、より好ましくは1500〜100000である。なお、重量平均分子量とは、クロロホルムを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量とする。
化合物A1は、例えば、フェニル基を含むアリール基を有するトリアルコキシシランと(メタ)アクリル基を含む有機基を有するトリアルコキシシランと重合性基(好ましくはビニル基)を有するジシロキサンとを脱アルコール縮合する方法などが挙げられる。
化合物Aとしては、例えば、下記式(3):
Figure 0006886160
(式(3)中、
21は、水素原子またはメチル基(以下「Me」で示すことがある)であり、
22は、炭化水素基(好ましくは炭素数1〜6)であり、
23は、水素原子または炭化水素基(好ましくは炭素数1〜18)であり、
22及び/又はR23にはフェニル基が含まれ、
24は、2価の有機基(例えば、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基(例えば、アルキレン基。好ましくは炭素数1〜8)、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基(例えば、アリーレン基。好ましくは炭素数6〜12)、−O−、−S−、−SO−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基(−C2mO−:mは正の整数)、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる)であり、
25およびR26は、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基であり、
21、R22、R23、R24、R25およびR26は、それぞれの中で同一であっても異なっていてもよく、
lは正の整数(好ましくは1〜500の整数、より好ましくは2〜100の整数、更に好ましくは3〜50の整数、より好ましくは5〜20の整数、更に好ましくは5〜15の整数である)で表される化合物A2が挙げられる。
化合物A2は、硬化性樹脂組成物の硬化物性、フィルム密着固定性及びフィルム剥離性の観点から、ケイ素原子に結合する基の5〜50mol%がフェニル基を含むアリール基であることが好ましく、10〜30mol%がフェニル基を含むアリール基であることがより好ましく、アリール基の全てがフェニル基であることが更に好ましい。
化合物A2の重量平均分子量(Mw)は、硬化物の靭性および伸びが優れる観点から、100〜1,000000であることが好ましく、500〜50000であることがより好ましい。
化合物A2の25℃における粘度は、20〜1000000mPa・sであることが好ましく、200〜100000mPa・sであることがより好ましい。なお、粘度は、JIS K7117−1の4.1(ブルックフィールド形回転粘度計)に準拠し、25℃において測定されたものとする。
化合物A2の合成方法は、例えば、(メタ)アクリル基及び/又はフェニル基を有するポリシロキサン化合物(31)と(メタ)アクリル基及び/又はフェニル基を有するモノマー化合物(32)とを反応させて、1分子中に少なくとも1つの(メタ)アクリル基及び少なくとも1つのフェニル基を有するポリシロキサン化合物を得る方法などが挙げられる。
化合物A2の合成方法は、例えば、末端(好ましくは両末端)にシラノール基を有し、さらに(メタ)アクリル基及び/又はフェニル基を有するポリシロキサン(311)と(メタ)アクリル基、又はアクリル基及びフェニル基を有するアルコキシシラン(321)とを反応させる方法であることが好ましい。アルコキシシラン(321)は、フィルム密着固定性の観点から、アルコキシ基を2つ以上有するものであることが好ましい。
ポリシロキサン(31)とモノマー(32)とを反応させて化合物Aを合成する方法の別の好適な態様としては、例えば、末端(好ましくは両末端)にヒドロキシアルキル基(−R−OH:Rはアルキレン基)、さらに(メタ)アクリル基及び/又はフェニル基を有するポリシロキサン(312)と(メタ)アクリル基及び/又はフェニル基を有するイソシアネート(322)とを反応させる方法などが挙げられる。
ポリシロキサン(31)とモノマー(32)とを反応させて化合物Aを合成する方法の別の好適な態様としては、エポキシ基、さらに(メタ)アクリル基及び/又はフェニル基を有するポリシロキサン(313)と(メタ)アクリル酸及び/又はフェノールとを反応させる方法などが挙げられる。
化合物A2の合成に使用される上記ポリシロキサン(31)は、硬化物の透明性が優れ、また、硬化物の耐熱性がより優れる理由から、フェニル基を含むアリール基を有することが好ましい。
(化合物B)
本発明1における化合物Bは、光重合開始剤化合物であり、ラジカル光重合開始剤が好ましい。ラジカル光重合開始剤は、化合物Aのアクリレート部位の硬化に利用される。
ラジカル光重合開始剤としては、光励起によってラジカル重合を開始できる機能を有するもの、例えばモノカルボニル化合物、ジカルボニル化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾインエーテル化合物、アシルフォスフィンオキシド化合物、アミノカルボニル化合物などが挙げられる。
ラジカル光重合開始剤としては、紫外線重合開始剤や可視光重合開始剤等が挙げられ、
紫外線重合開始剤としては、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、及びアセトフェノン系等が挙げられ、
可視光重合開始剤にはアシルホスフィンオキサイド系、チオキサントン系、メタロセン系、及びキノン系等が挙げられる。
紫外線重合開始剤としては、具体的には、
ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、及びビスジエチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系重合開始剤;
2,2−ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノン系重合開始剤;
ベンジル、ベンゾイン、及びベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン系重合開始剤;
ベンジルジメチルケタールなどのアルキルフェノン系重合開始剤;チオキサントンなどのチオキサントン系重合開始剤;
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1―プロパン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなどのヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤が挙げられる。
可視光重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド光重合開始剤;
カンファーキノン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン−1などのケトン系重合開始剤等が挙げられる。
成分Cとして、上記例示の中でも、硬化性樹脂組成物の硬化物性の観点から、ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤及び/又はアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤がより好ましく、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE184、BASF社製)及び/又はビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(IRGACURE819、BASF社製)が更に好ましく、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE184、BASF社製)が更に好ましい。
(化合物C)
硬化性樹脂組成物の硬化物性をより安定にする観点から、本発明1は、さらに(メタ)アクリル基を有する低重合度の(Si−O)単位で構成されるシロキサン化合物(化合物C)(但し、化合物Aは除く)を含むことが好ましい。
化合物Cとしては、好ましくはシランカップリング剤及びシロキサンオリゴマーが挙げられる。
シランカップリング剤とは、分子中のアルコキシ基と反応性官能基を有する(Si−O)単位1個で構成されるシロキサン化合物である。
シランカップリング剤としては、
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン類からなる群から選ばれる少なくとも1種のシランカップリング剤が好ましく、
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
シロキサンオリゴマーは、(Si−O)単位の重合度が好ましくは2〜100、より好ましくは3〜50、更に好ましくは5〜30、更に好ましくは5〜15のシロキサン化合物である。
シロキサンオリゴマーとしては、(Si−O)単位中のSi原子が2又は3個の酸素と2又は1個の有機置換基に結合した態様で主に構成されていることが好ましく、有機置換基がメチル基及び/又はフェニル基であることが好ましく、フェニル基及びアクリル基を含むことがより好ましい。
化合物Cとして好ましいシロキサンオリゴマーとしては、KR-513、X−40−9296(共に信越化学工業社製)等が市販されている。
(化合物D)
本発明1は、フィルム剥離性の観点から、さらに、縮合反応及び/又はヒドロシリル化反応により重合できるポリシロキサン化合物(化合物D)(但し、化合物A及び化合物Cは除く)を含むことが好ましい。
化合物Dとしては、加熱によって(好ましくは金属系触媒の下で、より好ましくは白金系触媒の下で)脱水縮合しうるシラノール基、及び/又は、脱アルコール縮合しうるアルコキシル基を有するポリシロキサン化合物、ヒドロシリル化しうるビニル基を有するポリシロキサン化合物(これらのポリシロキサン化合物を、以下「シリコーンレジン」ともいう)が好ましく、少なくともシラノール基を有するポリシロキサン化合物がより好ましい。
シリコーンレジンとしては、フィルム剥離性の観点から、シロキサン結合のSiに結合する有機置換基が、
全てメチル基で構成されるメチル基置換シリコーンレジン、
メチル基及びフェニル基で構成されるメチル/フェニル基置換シリコーンレジン、プロピル基及びフェニル基で構成されるプロピル/フェニル基置換シリコーンレジン及び、
アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の他の有機樹脂と結合した有機樹脂変性シリコーンレジンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上のシリコーンレジンが好ましく、
メチル基置換型シリコーンレジン、メチル/フェニル基置換シリコーンレジン及び、プロピル/フェニル基置換シリコーンレジンがより好ましく、
脱水縮合しうるプロピル/フェニル基置換脱水縮合型シリコーンレジンが更に好ましい。
シリコーンレジンは、例えば、信越化学工業社から、メチル基置換シリコーンレジンとしてKR−220LP等、メチル/フェニル基置換シリコーンレジンとしてKR−480等、プロピル/フェニル基置換シリコーンレジンとしてKR−216有機樹脂変性シリコーンレジンとしてKR−5206(アルキッド樹脂変性)、KR−5230(ポリエステル樹脂変性)、ES−1001N(エポキシ樹脂変性)、ビニル基及びヒドロシリル基含有メチル/フェニル置換型シロキサン化合物としてX−40−2667A、ビニル基及びヒドロシリル基を有さないメチル・フェニル置換型シロキサン化合物に、ヒドロシリル化反応用白金系触媒が添加されているX−40−2667B等が市販されている。
(化合物E)
本発明1は、硬化性樹脂組成物の硬化物性及びフィルム密着固定性の観点と、好ましくは200〜500℃以上、より好ましくは250〜450℃、更に好ましくは300〜450℃の高温下でフィルム加工をする際にもフィルム密着固定性を安定に維持し、化合物A、B及びC等の有機化合物の分解によるアウトガスの発生を抑制する観点から、無機粒子(化合物E)を含むことが好ましい。
化合物Eとしては、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカ等のSi粒子、SiO粒子、Siを含む合金粒子、ガラス等のSiを含むセラミックス粒子、窒化ホウ素、チタニア、酸化鉄、カーボンなどが挙げられるが、硬化性樹脂組成物の透明性を維持する観点から、SiO粒子が好ましい。
化合物Eの平均粒径は、アウトガスの発生の抑制及び塗工性の観点から、好ましくは0.5〜150μmであり、より好ましくは1〜100μmであり、更に好ましくは1〜50μmであり、更に好ましくは1.5〜30μmであり、更に好ましくは2〜20μm、更に好ましくは2.5〜10μmである。
なお、化合物Eの平均粒径は、HORIA社製レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(例えば、HORIBA社製Partica LA−950V2)により測定される。
(その他の任意化合物)
本発明1は、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、任意にその他の化合物、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、フィラー、老化防止剤、濡れ性改良剤、離型剤等の各化合物を含むことができる。
例えば、フィラーは、硬化性樹脂組成物の粘度制御や硬化性組成物を硬化させた硬化物の強度向上、または線膨張性を抑えることによって硬化性脂組組成物の接着信頼性を向上させる等の観点から添加される。フィラーは、公知の無機フィラー及び有機フィラーが使用できる。無機フィラーとして、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、カオリン、タルク、ガラスビーズ、セリサイト活性白土、ベントナイト、窒化アルミニウム、及び窒化ケイ素が挙げられる。
有機フィラーとして、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、これらを構成するモノマーと他のモノマーとを共重合させて得られる共重合体、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、及びゴム微粒子が挙げられる。
例えば、化合物Bにおいて他の化合物に対して溶解しにくい化合物いついては、まず炭酸プロピレンのような溶剤に予め溶解させてから他のものと混ぜるために溶剤を使用してもよい。
(硬化性樹脂組成物)
本発明1は、化合物A及び化合物Bを含み、フィルム剥離性の観点から、化合物A100質量部に対して、化合物Bは、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.3〜5質量部、更に駒しくは0.5〜3質量部である。
硬化性樹脂組成物の硬化物性及びフィルム密着固定性の観点から、本発明1は、
化合物A及びBに加えて、又は、化合物A、B及びDに加えて、さらに化合物Cを含むことが好ましく、
化合物A100質量部に対して、化合物Cは好ましくは1〜200質量部、より好ましくは2〜150質量部、更に好ましくは3〜100質量部、更に好ましくは5〜50質量部である。
フィルム剥離性の観点から、本発明1は、
化合物A及びBに加えて、又は、化合物A、B及びCに加えて、さらに化合物Dを含むことが好ましく、
化合物A100質量部に対して、化合物Dは、好ましくは10〜200質量部、より好ましくは15〜150質量部、更に駒しくは20〜100質量部である。
本発明1がさらに化合物Eを含む場合は、高温下におけるフィルム密着固定性及びアウトガスの発生抑制の観点から、化合物A100質量部に対して、化合物Eは、好ましくは10〜200質量部、より好ましくは20〜150質量部、更に好ましくは50〜150質量部である。
硬化性樹脂組成物の硬化物性及びフィルム密着固定性の観点から、化合物Eを除く硬化性樹脂組成物中の化合物A〜Dの合計質量%は、好ましくは10〜100質量%、より好ましくは30〜100質量%、更に好ましくは50〜99質量%である。
(フィルム剥離性とフィルム密着固定性)
本発明1は、本発明1の硬化体層がフィルム表面と接触して積層する硬化後積層体を構成するために使用され、多くの場合、本発明1の硬化体層が一方の面を基板と接触し、他方の面をフィルム表面と接触して積層する基板、硬化性樹脂組成物の硬化体層及びフィルムで構成される硬化後積層体(以下「基台含有硬化後積層体」ともいう)を構成するために使用される。
本発明1は、硬化後積層体を250℃で1時間の加熱後に、硬化後積層体の温度が25℃において、フィルムが硬化性樹脂組成物の硬化体層から剥離できる(基台含有硬化後積層体では、フィルムを硬化性樹脂組成物の硬化体層から剥離するときに硬化体層は基台から剥離しないことが好ましい)。
硬化後積層体をT℃でt時間の加熱後に、硬化後積層体の温度が25℃において、フィルムが硬化性樹脂組成物の硬化体層から剥離できるとは、以下の手順1〜4によってフィルムが硬化性樹脂組成物の硬化体層から剥離できることを確認できたことをいう。
(1)手順1:縦26mm、横76mm、厚み1mmの無色透明なスライドガラス基板(以下、スライドガラス基板という)上に硬化性樹脂組成物0.2gを滴下し、基板上の液滴状の硬化性樹脂組成物の上に3×10cmに切った厚み38μmのポリイミドフィルムを貼り合せ、ゴムローラーで約1kgの力をかけながらポリイミドフィルム上を5往復して液をスライドガラス基板全体に伸ばして、スライドガラス基板、硬化性樹脂組成物層及びポリイミドフィルムが積層された硬化前積層体を製造する。
(2)手順2:スライドガラス基板側からメタルハライドランプにて3000〜6000mJ/cmの光を照射して、好ましくは、その後オーブンに入れて120〜200℃で30分〜2時間の熱養生を行なって、硬化後積層体を製造する。
(3)手順3:硬化後積層体を高温電気炉に入れ、真空ポンプで2.7×10−2Paに減圧させた環境下において昇温速度約20℃/min、T℃でt時間加熱する。
(4)手順4:手順3の加熱後の硬化後積層体を25℃の環境下で2時間静置した後、
スライドガラス基板を固定して、ポリイミドフィルムの長さ方向の一端のエッジを指で摘み、スライドガラス基板の面方向に対して90°方向に、ポリイミドフィルムが硬化性樹脂組成物の硬化体層から剥離できることを確認する。
なお、上記手順1〜4には以下を使用できる:
スライドガラス基板として松浪ガラス社製S1127;
ポリイミドフィルムとして東レ社製カプトン150H;
ゴムローラーとしてSN−版画ゴムローラー1号;
メタルハライドランプとしてアイグラフィックス社製ECS−301;
オーブンとしてESPEC社製LC113;
高温電気炉として丸祥電器社製SPM100−16V;
真空ポンプとして芝浦エレテック社製DRP-180YIIA
なお、スライドガラス基板を他の素材の基板に置き換え、ポリイミドフィルムを他の素材のフィルムに置き換えて手順1〜4を行い、手順4でフィルムが硬化性樹脂組成物の硬化体層から剥離できることができる場合も本発明1はその基板に対してフィルム剥離性を有するという。
本発明1はフィルム剥離性を有するので、基板が少なくともガラスで、フィルムが少なくともポリイミドフィルムの場合に、硬化性樹脂組成物の硬化体が基台表面及びフィルム表面と接触して、基台、硬化性樹脂組成物の硬化体層及びフィルムが積層する基台含有硬化後積層体を構成すると、硬化性樹脂組成物の硬化体層は基板に強く接着し、フィルムに対しても密着固定しているため、フィルムが薄く柔らかいためにフィルムだけを加工することが困難な場合でも、フィルムを、硬化性樹脂組成物の硬化体層を介して基台上に安定に密着固定させた上で、例えば、加工フィルムを搬送する場合に、加工フィルムの平面性を安定に維持するための基台となりえ、あるいは、安定した基台上でフィルムを種々加工することが可能となり、加工終了後は、加工フィルムが硬化性樹脂組成物の硬化体層から剥離されて、所望の用途に使用することができる。
フィルムが硬化性樹脂組成物の硬化体層に密着固定する本発明1の特性を「フィルム密着固定性」という。
本発明1は、化合物A及びB(好ましくはさらに化合物C又はD、より好ましくはさらに化合物C及びD)をフィルム剥離性を有するように構成すると、フィルム密着固定性を奏するということになる。
フィルム剥離性を有するように本発明1を構成すると、基板が少なくともガラスの場合、本発明1が使用される硬化後積層体におけるフィルムとして、ポリイミドフィルムだけでなく、各種のエンジニアプラスチックを素材とするその他のフィルムを使用した場合でも、多くの場合に、フィルム剥離性及びフィルム密着固定性を奏することができる。
その他のフィルムとして、高温下でのフィルム加工に対しては耐熱性の高い素材のフィルムが好ましい。
耐熱性の高さの指標として、フィルムのアウトガス量が、少なくとも250℃1時間で、好ましくは300℃で、より好ましくは350℃で、更に好ましくは400℃で、更に好ましくは450℃で、更に好ましくは500℃で、フィルム質量に対して、好ましくは、1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下であることが挙げられる。
フィルムの温度T℃でのアウトガス量は以下の条件で測定する。
フィルムを2mm×2mm程度の大きさに複数枚切りとり、それらをTGA測定専用のアルミパンの中に約10mgとなるように入れて蓋をする。これをTGA(METTLER TOLEDO社製、TGA/DSC1)に入れてから、10℃/minで昇温しT℃で1時間保持後の減量を測定、減量率を計算する。
耐熱性の高さの指標として、フィルム素材のガラス転移点が150℃以上、好ましくは250°以上であることが挙げられる。
フィルムのアウトガス量が、少なくとも250℃で、フィルム質量に対して1質量%以下である素材としては、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等が挙げられる。
ガラス転移点が150℃以上である素材としては、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等が挙げられる。
以上のような耐熱性の高い素材でフィルムを構成すると、本発明1を使用した硬化後積層体は、好ましくは200〜500℃、より好ましくは250〜450℃、更に好ましくは300〜450℃の高温下でのフィルム加工をすることが可能となる。
フィルム剥離性を有するように本発明1を構成すると、フィルムが少なくともポリイミドフィルムの場合、本発明1が使用される硬化後積層体における基台として、ガラス以外のその他の無機素材基板を使用した場合でも、多くの場合に、フィルム剥離性及びフィルム密着固定性を奏することができる。
フィルム剥離性を有するように本発明1を構成すると、基板が少なくともガラス素材である場合、ポリイミドフィルム以外のアルミやステンレスなどの金属箔のようなその他の無機素材フィルムを使用した場合でも、フィルム剥離性及びフィルム密着固定性を奏することができる場合があり、その場合、好ましくは、密着固定させようとするフィルム又は基板の表面をシラン系カップリング剤等を塗工して表面処理、もしくは、剥離させようとするフィルム又は基板の表面をフッ素系もしくはシリコーン系の離型剤等を塗工して表面処理しておくことである。
その他の無機素材基板としては、ガラス以外のセラミックス、金属等が挙げられ、これらは、上述した高温下でのフィルム加工環境に対しても好適な基板となる。
ガラス以外のセラミックス、金属としては、Siを含む合金、Siを含むセラミックス粒子が好ましい。
硬化前積層体中の硬化性樹脂組成物層を光硬化させる場合、基板又はフィルムのすくなくとも一方は透明であることが好ましい。フィルムを光学部品に組込む際に、透明性が要請されている場合は、フィルムが透明であれば足りることになる。
フィルム剥離性を有するように本発明1を構成し、基板としてガラス基板を使用して、ポリイミドフィルム以外のフィルムでもフィルム剥離性を有するようにフィルムを選択して本発明1が使用される硬化後積層体を構成した場合、さらにガラス基板以外の無機素材基板でもフィルム剥離性を有するように無機素材基板を選択することができる。
本発明1が使用される硬化後積層体を構成した場合に、本発明1がフィルム剥離性及びフィルム密着固定性を奏することができる基板とフィルムの組合せとしては、ガラス基板とポリイミドフィルムの組合せ以外には、
基板がガラス、フィルムがポリエチレンナフタレートフィルムの場合、
基板がガラス、フィルムがポリエーテルイミドフィルムの場合、
基板がガラス、フィルムがポリベンゾオキサゾールフィルムの場合、
基板がガラス、フィルムがポリエーテルイミドフィルムの場合、
基板がガラス、フィルムがアルミやステンレスなどの金属箔の場合、
基板がアルミやステンレスなどの金属、フィルムがポリイミドフィルムの場合、
等が挙げられる。
本発明1は、本発明1が使用される硬化後積層体が高温下においてもフィルム剥離性及びフィルム密着固定性を有するので、25℃近辺で行われる基材の薄膜化、フォトファブリケーション、例えば25〜500℃、好ましくは200〜500℃以上、より好ましくは250〜450℃、更に好ましくは300〜450℃の高温下で行われるエッチング加工、スパッタ膜の形成、微細精密素子の形成・配置、メッキ処理やメッキリフロー処理、半導体ウエハや半導体素子の運搬等において、被加工フィルムを支持体上に保持するために、好ましくは仮固定用樹脂として使用することができる。
本発明1は、上記以外にも、ウエハなどの様々な加工処理、例えば各種材料表面の微細化加工処理、各種表面実装の際に、キャリア用の部材や基材の仮固定用樹脂又は基材の表面被覆樹脂として好適に用いられ、本発明2の好適材料として使用することができる。
〔本発明2〕
本発明2は、加工フィルムの製造方法であって、
基板又はフィルムの表面に本発明1の硬化性樹脂組成物が接触してなる硬化性樹脂組成物層を形成する工程1、
硬化性樹脂組成物層の基板又はフィルムと接触していない面上に、基板又はフィルムを接触して配置して、基板、硬化性樹脂組成物層及びフィルムが積層された硬化前積層体を形成する工程2、
硬化性樹脂組成物層を光硬化させて基板、硬化性樹脂組成物層の硬化体及びフィルムが積層された本発明1がフィルム剥離性を奏する硬化後積層体を得る工程3、
工程2の後で工程3の前、又は工程3において、硬化前積層体を構成するフィルムを加工するか、
工程3の後に、硬化後積層体を構成するフィルムを加工して加工フィルムを形成する工程4、及び、
フィルムを硬化性樹脂組成物の硬化体層から剥離する工程5を有する加工フィルムの製造方法である。
工程1は、例えば、手順1及び2におけるスライドガラス基板を工程1の基板に置き換え、ポリイミドフィルムを工程1のフィルムに置き換えて、基板としてガラス、又は本発明1で好適とする素材による基板と、フィルムとしてポリイミド又は本発明1で好適とする素材によるフィルムを使用して実施でき、その後の工程3〜5をその後の手順2〜4にそれぞれ対応させて実施することができる。
(工程1)
基板上に硬化性樹脂組成物層を形成する方法としては、手順1で挙げたような硬化性樹脂組成物を滴下して好ましくは0.01〜5MPaの圧力化で圧延する方法の他に、硬化性樹脂組成物をスピンコート法、インクジェット法等で塗工する方法が挙げられる。スピンコート法では、例えば、回転速度が300〜3500rpm、好ましくは500〜1500rpm、加速度が500〜15000rpm/秒、回転時間が30〜300秒という条件のもと、硬化性樹脂組成物層をスピンコーティングする方法が挙げられる。
なお、基板上に硬化性樹脂組成物を滴下して基板上にそのまま付着している状態であっても、工程2以降で圧延等されて硬化性樹脂組成物層が形成されるのであれば、硬化性樹脂組成物層が形成されているとみなす。
これらの滴下又は塗工は、手順1のように基板の表面にしてもよいし、フィルムの表面にしてもよいが、操作の容易性と安定性の観点から基板の表面にした方が好ましい。
硬化性樹脂組成物に溶剤が含まれる場合は、硬化性樹脂組成物層を基材上に形成した後に、例えば、ホットプレート等で加熱して溶剤を蒸発させることができる。加熱の条件は、例えば、温度が通常50〜200℃、好ましくは60〜150℃であり、時間が通常2〜15分、より好ましくは3〜10分である。
硬化性樹脂組成物が熱硬化性の場合は、溶剤の除去が熱硬化による硬化性樹脂組成物の架橋により影響されないという観点から、まず溶剤が揮発するくらいの低温で加熱してから、熱硬化に必要な強熱を加えることが好ましい。
硬化性樹脂組成物層を形成するに際して、硬化性樹脂組成物層の面内への広がりを均一にするため、基材又はフィルム表面を予め表面処理することもできる。表面処理の方法としては、予め表面処理剤を塗布する方法等が挙げられる。
表面処理剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等のカップリング剤が挙げられる。
(工程2)
工程2において、硬化前積層体を構成するには、例えば、工程1の本発明1の滴下又は塗工後に、基板とフィルムとが硬化性樹脂組成物層と接触して積層体を形成するように基板とフィルムを貼り合せればよい。
本発明1の滴下した場合は、基板とフィルムを貼り合せた後に、基板又はフィルム上から圧力を加え、0.01〜5MPaの圧力化で滴下された本発明1を圧延して形成できる。
形成された硬化性樹脂組成物層の厚みは、硬化性樹脂組成物の硬化物性及びフィルム密着固定性の観点から、硬化後の乾硬化性樹脂組成物層の厚みが、好ましくは0.5〜300μm、より好ましくは1〜100μm、更に好ましくは1〜20μmとなるように調整することが好ましい。
(工程3)
工程3では、硬化前積層体に形成されている硬化性樹脂組成物層を光硬化させて基板、硬化性樹脂組成物層の硬化体及びフィルムが積層された本発明1がフィルム剥離性を奏する硬化後積層体を得る。
光硬化は、メタルハライドランプ、高圧水ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、LED照射機、LD照射機等により、好ましくは200〜450nm、より好ましくは300〜400nmの範囲の波長で、好ましくは1000〜15000mJ/cm、より好ましくは2000〜10000mJ/cm、更に好ましくは3000〜6000mJ/cmの光を照射することが好ましい。
光硬化させる際の光照射の観点から、基板又はフィルムの少なくとも一方は透明(光透過性)の素材で構成することが好ましいが、フィルムの選択の範囲を広く確保する観点から、基板が透明(光透過性)の素材で構成されることがより好ましい。
硬化前積層体は、光及び/又は熱硬化の処理を行う間、硬化前積層体の形態を安定に維持しておく観点から、硬化前積層体を型枠で固定したり、プレートで挟みこんで適度に加圧したりしておいてもよい。
(工程4)
工程4は、工程2の後で工程3の前、工程3中、又は工程3の後におかれる。
工程4は、
工程2の後で工程3の前、又は工程3中では、硬化前積層体を構成するフィルムを加工し、
工程3の後では、硬化後積層体を構成するフィルムを加工して加工フィルムを形成することを内容とする。
工程4が、工程2の後で工程3の前、又は工程3中におかれる場合、工程4で行われるフィルムの加工は、硬化前積層体中の硬化性樹脂組成物が光硬化しない、あるいは硬化性樹脂組成物の光硬化を妨げないような低圧力・低エネルギーの加工となり、例えば、25℃前後でできるフィルムのインクジェットなどの非接触印刷、ディスペンスなどの描画等が挙げられる。
工程4が、工程3の後におかれる場合、工程4で行われるフィルムの加工は、硬化後積層体に固定されたフィルムに対してなされ、フィルムが耐熱性であれば、耐熱性の程度に応じた高温下での加工も可能であり、例えば、裏面研削によるフィルムの薄膜化;エッチング加工、フォトリソ加工、スピンコートやスパッタ、CVDなどの膜形成;メッキ処理;インクジェット印刷;及びメッキリフローなどの加熱から選ばれる少なくとも1以上の処理を含むフォトファブリケーション;ならびにダイシング等が挙げられ、これらの作業の結果、フィルム表面に精密素子が配置される場合もある。
硬化後積層体を、所望の温度で(例えば高温で)加熱することもフィルム加工に含まれる。
フィルムが耐熱性であれば、硬化性樹脂組成物から中の水分や未硬化物を事前に除去してアウトガスをフィルムの加工時のアウトガスを低減して気泡の発生や積層体の剥がれを抑制する観点から、硬化後積層体に対して、例えば、200〜250℃1時間程度の予備加熱を行ってもよい。
工程3で製造された硬化後積層体は、フィルムが薄膜である場合でも、剪断力が硬化性樹脂組成物の硬化体層にかかる加工に対して有効である。
(工程5)
工程5は、工程1〜4を経て形成されたフィルムが加工された硬化後積層体から加工フィルムを剥離する工程である。
フィルムを基板に固定された硬化性樹脂組成物の硬化体から剥離する場合、フィルムの折れ曲がりによりフィルム上に配置された例えば精密素子等に負荷が加わることを抑制する観点から、フィルムの表面に平行な軸に対して、好ましくは0°超60°以下、より好ましくは5°〜45°、更に好ましくは5°〜30°、更に好ましくは5°〜15°に、フィルム又は基板、好ましくはフィルムに力を付加することで、フィルムと硬化性樹脂組成物の硬化体層との一体物を基板から剥離するか、又はフィルムを硬化性樹脂組成物の硬化体層から剥離することが好ましい。
フィルム又は基板、好ましくはフィルムに付加する力は、剥離を円滑に行いフィルムに過剰の負荷を加えない観点から、好ましく0.001〜1000N/mm、好ましくは0.01〜300N/mm、更に好ましくは0.05〜50N/mmである。
剥離は、例えば、フィルム又は基板、好ましくはフィルムの周縁を持ち上げ(当該周縁の一部または全部を硬化性樹脂組成物の硬化体層から剥離し)、フィルムの表面に対してほぼ垂直方向に力を加えながら、フィルム又は基板、好ましくはフィルムの周縁から中心に向けて順に剥離する方法(フックプル方式)で行うことができる。
剥離をする際、フィルムの破損を防ぐため、基板の硬化性樹脂組成物の硬化体層と反対の面にダイシングテープ等の補強テープを貼って、剥離してもよい。
工程5は、本発明1を硬化性樹脂組成物層として使用すると、硬化後積層体の温度が好ましくは5〜100℃、より好ましくは10〜45℃、更に好ましくは15〜30℃で行うことができる。
工程4の後に、硬化後積層体を15〜30℃の環境温度に、好ましくは0.5〜5時間、より好ましくは0.5〜3時間、更に好ましくは1〜2時間置いたのちに剥離することが好ましい。
加工フィルムが剥離された基板と硬化性樹脂組成物の硬化体層の積層体を、溶剤等の洗浄剤に浸漬したり(さらに超音波を加えたり)スプレーしたりして、硬化性樹脂組成物層硬化体を基板から除去して、基板を上記工程1で再利用できる状態にしてもよい。
洗浄液の温度は、洗浄性と基板のダメージを抑制する観点から、好ましくは10〜80℃、より好ましくは20〜50℃である。
溶剤としては、例えば、リモネン、メシチレン、ジペンテン、ピネン、ビシクロヘキシ
ル、シクロドデセン、1−tert−ブチル−3,5−ジメチルベンゼン、ブチルシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類、アニソール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジグライム等のアルコール/エーテル類、炭酸エチレン、酢酸エチル、酢酸N−ブチル、乳酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン等のエステル/ラクトン類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類、N−メチル−2−ピロリジノン等のアミド/ラクタム類が挙げられる。
〔化合物〕
(1)化合物A
(1−1)化合物a1
化合物A1であるアクリル変性メチルフェニルポリシロキサン(化合物a1)を、以下の手順で製造した。
攪拌機、還流冷却管、投入口、温度計付き四口フラスコに
1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン64.2g、水90g、トリフルオロメタンスルホン酸0.14g及びトルエン200gを投入して混合し、攪拌しつつ
KBM103(フェニルトリメトキシシラン、信越化学工業社製)189g、
KBM5103(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製)38gを1時間かけて滴下し、滴下終了後、1時間加熱還流した。
冷却後、下層を分離し、トルエン溶液層を3回水洗した。
水洗したトルエン溶液層に5%炭酸水素ナトリウム水溶液100gを加え、
攪拌しつつ75℃に昇温して1時間還流した。
冷却後、下層を分離し、上層のトルエン溶液層を3回水洗した。
残ったトルエン溶液層を減圧濃縮しし液状である化合物a1を得た。
得られた化合物a1は、NMR分析によると、平均単位式が、
(PhSiO3/20.53(AcSiO3/20.09(ViMeSiO1/20.38
(Phはフェニル基、Acは−COC(=O)CH=CH、Viはビニル基を表す)であり、アクリル基とフェニル基を有し、フェニル基率は30mol%である。
(1−2)化合物a2
化合物A2である両末端にアクリル基を有するメチルフェニルシロキサンオリゴマーで(化合物a2)、以下の手順で製造した。
両末端にシラノール基を有するメチルフェニルシロキサン化合物[HO(PhMeSiO)H](100g)、KBM5103(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製)(68g)及び酢酸(1g)を混合し、
140℃で4時間反応させて、化合物a2を合成した。
化合物a2は下記式(4):
Figure 0006886160
で表され、フェニル基及びメトキシ基を有し、さらに、両末端にアクリル基を有する。
(2)化合物B
(2−1)化合物b1:IRGACURE184(1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン)、BASF社)
(3)化合物C
(3−1)化合物c1:KR−513(光硬化性アクリル/メチル系シロキサンオリゴマー、信越化学工業社)
(4)化合物D
(4−1)化合物d1:KR−216(プロピル/フェニル置換型シリコーンレジン、信越化学工業社)
(4−2)化合物d2:X−40−2667A(ビニル基及びヒドロシリル基含有メチル/フェニル置換型シロキサン化合物、信越化学工業社)
(4−3)化合物d3:X−40−2667B(ビニル基及びヒドロシリル基を有さないメチル・フェニル置換型シロキサン化合物に、ヒドロシリル化反応用白金系触媒が添加されている混合化合物、信越化学工業社)
(5)その他の化合物
(5−1)化合物f1:X−22−164AS(両末端メタクリル変性型反応性シリコーンオイル、信越化学工業社)
(5−2)化合物f2:EPICLON HP−4032D(エポキシ基含有ナフタレン化合物(1,6−ビス(2,3−エポキシプロパン−1−イルオキシ)ナフタレン)、DIC社)
(5−3)化合物f3:セロキサイド8000(脂環式エポキシ化合物((3,3’,4,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル)、ダイセル社)
(5−4)化合物f4:炭酸プロピレン(東京化成工業社)
(5−5)化合物f5:FB−3SDC(球状溶融シリカ、デンカ社)
(5−6)化合物f6:CPI−210S(リン系アニオンを有するトリアリールスルホニウム塩系光酸発生剤、サンアアプロ社)
〔硬化性樹脂組成物(実施例1〜4)及び比較硬化性樹脂組成物(比較例1〜4)〕
(1)各実施例及び比較例の硬化性樹脂組成物について、
実施例1〜4では、化合物B以外の化合物を、化合物Aを50gとして表1に記載の質量部の割合で、
比較例1〜4では、化合物B及び化合物f6以外の化合物を、化合物f1、f2及びf3を50gとして表1に記載の質量部の割合で、
容器(容量200ml、材質SUS)に投入し、撹拌温度60〜80℃、大気圧下にてスリーワンモーター(新東科学社製)を使用して200回転/分で30分〜1時間攪拌して撹拌混合物を得た。
なお、化合物C含有の組成物はさらに2〜5時間攪拌して撹拌混合物を得た。
その後、化合物Dを含有するものは、分散性向上の観点から、化合物Dを投入して、20〜30℃でさらに1時間撹拌した。
(2)撹拌後、撹拌混合物を温度が25℃になるまで静置した。
(3)25℃になった撹拌混合物に、化合物Bを表1に記載の質量部の割合で添加し、大気圧下、撹拌温度25℃で、スリーワンモーターを用いて均一に混合し、実施例1〜5の硬化性樹脂組成物及び比較例1〜4の比較硬化性樹脂組成物を製造した。
〔加工フィルムの製造(製造実施例1〜4)〕
(1)基材及び器具
(1−1)基板:スライドガラス(S1127(松浪ガラス社)、縦26mm、横76mm、厚み1mm)
(1−2)フィルム:ポリイミドフィルム(カプトン150H(東レ社)、厚さ38μm)
(1−3)ゴムローラー(SN−版画ゴムローラー1号)
(1−4)メタルハライドランプ(ECS−301(アイグラフィックス社))
(1−5)オーブン(LC113(ESPEC社))
(1−6)高性能小型高温電気炉(SPM100−16V(丸祥電器社))
(1−7)真空ポンプ(DRP-180YIIA(芝浦エレテック社))
(2)製造実施例1
実施例1の硬化性樹脂組成物を使用して、以下の条件で加工フィルムを製造した。
(2−1)工程1:実施例1の硬化性樹脂組成物0.2gを基板上に滴下した。
(2−2)工程2:基板上の液滴状の硬化性樹脂組成物の上に3×10cmに切ったフィルムを貼り合せ、ゴムローラーで約1kgの力をかけながらフィルム上を5往復して液を基板全体に伸ばして、基板、硬化性樹脂組成物層及びフィルムが積層された硬化前積層体を得た。
(2−3)工程3:硬化前積層体中の硬化性樹脂組成物層を、基板側からメタルハライドランプにて3000mJ/cmの光を照射した後、オーブンに入れ、120℃30分の熱養生を行なった。
(2−4)工程4:各硬化後積層体を、以下の異なる条件で加熱加工して加工フィルムを形成した。
(2−4−1)加熱条件A:硬化後積層体のそれぞれを、オーブンに入れ、250℃×1時間の条件で加熱した。
(2−4−2)加熱条件B:硬化後積層体のそれぞれを、高性能小型高温電気炉に入れ、真空ポンプで2.7×10−2Paに減圧させた環境下において昇温速度約20℃/min、300℃×1時間の条件で加熱した。
(2−4−3)加熱条件C:硬化後積層体のそれぞれを、高性能小型高温電気炉に入れ、真空ポンプで2.7×10−2Paに減圧させた環境下において昇温速度約20℃/min、400℃×1時間の条件で加熱した。
(2−5)工程5:加熱加工後の各硬化後積層体を25℃の環境下で2時間静置した後、スライドガラス基板を固定して、ポリイミドフィルムの長さ方向の一端のエッジを指で摘み、ながら、90°方向に剥離して加工フィルムを得た。
(3)製造実施例2〜4
製造実施例1の実施例1の硬化性樹脂組成物を、実施例2〜4の硬化性樹脂組成物に置き換えて同じ条件で工程1〜5を行い、それぞれを製造実施例2〜4とした。
(4)製造比較例1〜4
製造実施例1の実施例1の硬化性樹脂組成物を、比較例1〜4の硬化性樹脂組成物に置き換えて同じ条件で工程1〜5を行い、それぞれを製造比較例1〜4とした。
〔硬化体層の高温安定性〕
工程4において、加工フィルムを剥離する前の硬化性樹脂組成物の硬化体層の外観を基板側から目視観察して、硬化体層のクラック及び/又は剥離発生の有無を以下の基準で評価した:
(加熱条件A及びBの場合)
(1)硬化体層にクラック及び/又は剥離は全く発生していない場合を「○」;
(2)硬化体層にクラック及び/又は剥離が硬化体層の面積の50%未満で発生している場合を「△」;
(3)硬化体層にクラック及び/又は剥離が硬化体層の面積の50%以上で発生している場合を「×」。
(加熱条件Cの場合)
(1)硬化体層にクラック及び/又は剥離は全く発生していない場合を「○」;
(2)硬化体層にクラック及び/又は剥離が硬化体層の面積の70%未満で発生している場合を「△」;
(3)硬化体層にクラック及び/又は剥離が硬化体層の面積の70%以上で発生している場合を「×」。
なお、加工フィルムを剥離する前の硬化体層にクラック及び/又は剥離の程度は、硬化体層のフィルム及び基板との密着固定性の程度にも対応し、
硬化体層の高温安定性が〇であるものは密着固定性も〇であり、
硬化体層の高温安定性が△であるものは密着固定性も△であり、
硬化体層の高温安定性が×であるものは密着固定性も×である。
このうち「〇」及び「△」が高温安定性(密着固定性)を有することを意味する。
〔フィルム剥離性〕
工程5において、加熱条件A、B及びCの場合について、フィルムの剥離の程度を以下の基準で評価した:
(1)フィルムが硬化体層の樹脂の付着なく剥離し、かつ硬化体層が基板から剥離しない場合を「〇」;
(2)フィルムが破損する、又は工程4の後すでに硬化体層にクラック及び/又は剥離が×であり工程5を行うことが出来ない場合を「×」。
このうち「〇」がフィルム剥離性を有することを意味する。
表1に結果を示す。
Figure 0006886160

Claims (6)

  1. (メタ)アクリル基及びフェニル基を有するシロキサン化合物(化合物A)並びに光重合開始剤化合物(化合物B)を含有する硬化性樹脂組成物であって、
    前記硬化性樹脂組成物は、さらに、縮合反応及び/又はヒドロシリル化反応により重合できるポリシロキサン化合物(化合物D)(但し、前記化合物A及び前記化合物Aを合成する際に副生物として生じるポリシロキサン化合物及びシラノール基を有するポリシロキサン化合物を除く)を含み、
    前記成分Dの含有量は、前記成分A100質量部に対して10〜200質量部であり、
    前記硬化性樹脂組成物は、前記硬化性樹脂組成物の硬化体層が一方の面を基板と接触し、他方の面をフィルムの表面と接触して積層する硬化後積層体を構成するために使用され
    前記硬化後積層体は、下記手順1〜5で構成される標準試験を行った場合、
    前記手順5において、フィルムが破損すること及び当該フィルムに硬化後硬化体層の樹脂が付着することなく、当該フィルムは当該硬化後硬化体層から剥離するが、当該硬化後硬化体層は基板から剥離せず、かつ当該硬化後硬化体層にクラックが生じない硬化性樹脂組成物。
    〔標準試験〕
    前記基板としてスライドガラス(松浪ガラス社製S1127)、前記フィルムとしてポリイミドフィルム(東レ社製カプトン150H)を使用して、以下の手順1〜5を行う:
    (手順1)
    前記硬化性樹脂組成物0.2gを基板上に滴下する;
    (手順2)
    前記手順1で滴下された液滴状の前記硬化性樹脂組成物の上に3×10cmに切った前記フィルムを貼り合せ、ゴムローラーで約1kgの力をかけながら前記フィルム上を5往復して前記硬化性樹脂組成物の液滴を基板全体に伸ばして、前記基板、前記硬化性樹脂組成物層及び前記フィルムが積層された硬化前積層体を作成する;
    (手順3)
    前記硬化前積層体中の硬化性樹脂組成物層を、前記基板側からメタルハライドランプにて3000mJ/cm の光を照射した後、オーブン内で120℃30分の熱養生を行ない硬化後積層体を得る;
    (手順4)
    前記硬化後積層体を、以下の加熱条件A、B及びCで加熱加工して加工フィルムを形成する;
    (加熱条件A)前記手順3で得た硬化後積層体を、オーブン内で250℃×1時間の条件で加熱する;
    (加熱条件B)前記手順3で得た硬化後積層体を、電気炉内で、真空ポンプで2.7×10 −2 Paに減圧させた環境下において昇温速度約20℃/min、300℃×1時間の条件で加熱する;
    (加熱条件C)前記手順3で得た前記硬化後積層体を、電気炉内で、真空ポンプで2.7×10 −2 Paに減圧させた環境下において昇温速度約20℃/min、400℃×1時間の条件で加熱する;
    (手順5)
    前記手順4の各加熱条件で加熱された硬化後積層体を25℃の環境下で2時間静置した後、前記基板を固定して、前記フィルムの長さ方向の一端のエッジを指で摘みながら、90°方向に剥離する。
  2. さらに、(メタ)アクリル基を有する、重合度2〜100の(Si−O)単位で構成されるシロキサン化合物(化合物C)(但し、前記化合物A及び前記化合物Dを除く)を含む請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記フィルム表面に精密素子を配置する加工をするために前記硬化体層を介して基板上に固定されて前記硬化後積層体を構成するために使用される請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記フィルムが、前記精密素子が配置された精密素子配置基板である請求項3記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 加工フィルムの製造方法であって、
    基板又はフィルムの表面に請求項1〜4のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物が接触してなる硬化性樹脂組成物層を形成する工程1、
    前記硬化性樹脂組成物層の前記基板又は前記フィルムと接触していない面上に、前記基板又は前記フィルムを接触して配置して、前記基板、前記硬化性樹脂組成物層及び前記フィルムが積層された硬化前積層体を形成する工程2、
    前記硬化性樹脂組成物層を光硬化させて前記基板、前記硬化性樹脂組成物層の硬化体層及び前記フィルムが積層された請求項1記載の硬化後積層体を得る工程3、
    前記工程2の後で前記工程3の前、又は前記工程3において、前記硬化前積層体を構成する前記フィルムを加工するか、
    前記工程3の後に、前記硬化後積層体を構成する前記フィルムを加工して加工フィルムを形成する工程4、及び、
    前記フィルムを前記硬化性樹脂組成物の硬化体層から剥離する工程5を有する加工フィルムの製造方法。
  6. 前記フィルムのアウトガス量が、少なくとも250℃1時間で、前記フィルム質量に対して1質量%以下で、
    前記工程4において200〜500℃の環境下で前記フィルムを加工する請求項5記載の加工フィルムの製造方法。
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