JPWO2015012367A1 - トリカルボン酸、トリカルボン酸エステル、およびそれらを含有する電解コンデンサ用電解液 - Google Patents

トリカルボン酸、トリカルボン酸エステル、およびそれらを含有する電解コンデンサ用電解液 Download PDF

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Abstract

電解質として下記式(1)で表されるトリカルボン酸化合物及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、電解コンデンサ用電解液が開示される。このトリカルボン酸化合物を含有する電解液を用いた電解コンデンサは、耐電圧性、溶解性、化成性に優れている。(式中、R1、R2及びR3は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R1からR3のなかで、少なくとも1つは水素原子である。R4〜R9は、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。式(1)で表される化合物の炭素数は10以上50以下である。)

Description

本発明は、トリカルボン酸又はその塩を用いた電解コンデンサ用電解液に関する。
従来、中高圧用電解コンデンサの駆動用電解液としては、耐電圧が比較的高く得られることから、エチレングリコールを溶媒に、ホウ酸又はホウ酸アンモニウムを電解質として溶解した電解液が用いられてきた。しかしながら、このような電解液は、導電性が低く、しかもエチレングリコールとホウ酸のエステル化により多量の水が生成するため、この水分がアルミニウム酸化皮膜と反応して電極を劣化させるという問題があった。また、100℃以上の高温化では水の蒸発により内圧が上昇するため、高温環境下での使用に適さないという問題もあった。
そこで、このような問題を解決するために、近年、電解質として、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,6−デカンジカルボン酸などのジカルボン酸や、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジメチル−1,3,9−ノナントリカルボン酸のようなトリカルボン酸及び/又はこれらの塩を使用した電解液が報告されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
また、電解液タイプのアルミニウム電解キャパシタは、ハロゲン化物イオンに弱く(とくに塩素イオン、臭素イオン)、使用している電解液や封口材料などにより程度の差はあるが、一定量以上のハロゲン化物が内部に浸透すると腐食発生による漏れ電流増大などの偶発的故障に至ることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
特開昭60−85509号公報 特許第4279087号公報
キャパシタ便覧、53ページ、丸善出版(2009年01月21日)
しかしながら、例えば、特許文献1に記載のセバシン酸、ドデカン二酸、ブチルオクタン二酸のようなジカルボン酸のアンモニウム塩では、エチレングリコール等の電解液用溶媒に対する溶解度が低いために、低温環境下において結晶が析出しやすく、使用に適さないという問題があった。また、特許文献2に記載の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸のようなトリカルボン酸又はその塩は、耐電圧が十分に満足できるものではなく、また、アルミニウム酸化被膜が破損した際に修復する化成性が十分とは言えず、アルミニウム電解コンデンサの安全性、信頼性を落とす欠点があった。
従って、アルミニウム電解コンデンサの安全性や信頼性を向上させるためには、電解コンデンサ用電解液の耐電圧、溶解性と化成性を更に向上させることが切望されている。また、電解液中のハロゲン化物イオンの含有量(許容量)についても、これまで、一切電解液の性能との関係が知られていないため、この点を明らかにした上で、工業的に好適な製造方法の確立が望まれている。
本発明は、耐電圧が高く、優れた溶解性と化成性を示し、且つ安全性、信頼性の高い電解コンデンサを与える電解液(電解コンデンサ用電解液)及びその電解液を用いた電解コンデンサを提供することを目的とする。
さらに本発明の異なる態様は、電解コンデンサ用電解液等に使用できる新規なトリカルボン酸、及び新規なトリカルボン酸エステル等を提供することを目的とする。
さらに本発明の異なる態様は、新規なトリカルボン酸部分エステル及びその製法、並びに低温環境下であってもこれらの化合物の析出がなく、安定に使用することができる、高耐電圧の電解コンデンサ電解液を提供することを目的とする。
本発明の電解液に関する主要な発明は次のとおりである。
電解質として下記式(1)で表されるトリカルボン酸化合物及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、電解コンデンサ用電解液。
Figure 2015012367
(式中、R、R及びRは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよいが、R、R及びRのなかで、少なくとも1つは水素原子である。R、R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。式(1)で表される化合物の炭素数は10以上50以下である。)
上記式(1)のトリカルボン酸化合物及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、ハロゲン化物イオンの含有量が、150ppm(0.015質量%)以下である電解コンデンサ用電解液。
電解質として下記式(A1)で表されるトリカルボン酸及びトリカルボン酸の塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、電解コンデンサ用電解液。
Figure 2015012367
(式中、R、R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数を表す。式(A1)で表されるトリカルボン酸の全炭素数は、10〜45である)。
式(D1)で表されるトリカルボン酸部分エステル及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、電解コンデンサ用電解液。
Figure 2015012367
(式中、R、R及びRは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよいが、RからRのすべてが水素原子又はアルキル基であるものは除く。R、R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。但し、式(D1)で表される化合物の炭素数は10以上50以下である。)
その他の発明の態様については、明細書中で説明する。
本発明によれば、耐電圧が高く、優れた溶解性と化成性を示し、且つ安全性、信頼性の高い電解コンデンサを与える電解液(電解コンデンサ用電解液)及びその電解液を用いた電解コンデンサを提供することができる。
さらに本発明の異なる態様によれば、電解コンデンサ用電解液等に使用できる新規なトリカルボン酸、及び新規なトリカルボン酸エステル等を提供することができる。
さらに本発明の異なる態様によれば、新規なトリカルボン酸部分エステル及びその製法、並びに低温環境下であってもこれらの化合物の析出がなく、安定に使用することができる、高耐電圧の電解コンデンサ電解液を提供することができる。
本発明は、前述のとおり、電解質として前記式(1)で表されるトリカルボン酸化合物及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する電解コンデンサ用電解液に関するものである。式(1)で表されるトリカルボン酸化合物には、新規化合物が包含されるため、本発明を、以下のとおり、3つの態様、即ち、
第1の態様(I):特定のトリカルボン酸及び/又はその塩を含有する電解コンデンサ用電解液;
第2の態様(II):新規トリカルボン酸化合物、その製造方法、その製造に好適な新規トリカルボン酸トリエステル;及び
第3の態様(III):新規トリカルボン酸部分エステル、その製造方法及びトリカルボン酸部分エステル及び/又はその塩を含有する電解コンデンサ用電解液
に分けて説明する。以下、それぞれパートI、パートII及びパートIIIとして詳細を説明する。
<<パートI>>
パートIで開示される主要な発明をまとめると次のとおりである。
1. 電解質として下記式(A1)で表されるトリカルボン酸及びトリカルボン酸の塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、電解コンデンサ用電解液。
Figure 2015012367
(式中、R、R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数を表す。式(A1)で表されるトリカルボン酸の全炭素数は、10〜45である)。
2. R、R、R及びRが水素原子である、上記1に記載の電解コンデンサ用電解液。
3. nが2、3又は9のいずれかである、上記1又は2に記載の電解コンデンサ用電解液。
4. トリカルボン酸が、2−(2−カルボキシエチル)ピメリン酸、2−(2−カルボキシプロピル)ピメリン酸、2−(2−カルボキシプロピル)アジピン酸及び2−(2−カルボキシエチル)トリデカン二酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記1〜3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解液。
5. トリカルボン酸の塩がアンモニウム塩である、上記1〜4のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解液。
6. エチレングリコールを主溶媒とする、上記1〜5のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解液。
7. ハロゲン化物イオンの含有量が、150ppm(0.015質量%)以下である、上記1〜6のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解液。
8. 上記1〜7のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解液を用いた電解コンデンサ。
本態様のトリカルボン酸又はその塩を使用した電解コンデンサ用電解液は、特に低温溶解性、耐電圧性、そして化成性に優れており、例えば、中高電圧用電解コンデンサ用電解液として好適に使用することができる。また、本発明者らは、その検討段階においてハロゲン化物イオンの含有量が電解液の耐電圧に影響を与えることを確認した。そこで、この知見に基づき、電極の腐食問題だけではなく、電解コンデンサ用電解液としても性能上に影響を与えないようなハロゲン化物イオンの量(ハロゲン化物イオン許容量)を特定した。
次に、本態様について詳細に説明する。
<本態様のトリカルボン酸>
本態様のトリカルボン酸は、下記式(A1)で示される。
Figure 2015012367
式(A1)中、R、R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。なお、前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキル基を示し、さらに光学異性体も含む。ここで、炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基を示し、さらにこれらのアルキル基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。置換基R、R、R及びRとしては、好ましくは水素原子であり、一方、置換基R及びRとしては、好ましくは水素原子及びメチル基である。
式(A1)で示されるトリカルボン酸において、nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数であるが、好ましくは2〜9の整数であり、特に好ましくは2、3、又は9である。
本態様の式(A1)で表されるトリカルボン酸の全炭素数は、10〜45であり、好ましくは10〜21であり、より好ましくは10〜17であり、さらに好ましくは10〜16である。トリカルボン酸の全炭素数が10〜21のとき、特に、水や有機溶媒に対して良好な溶解性を保ちながら、所望の電気的物性の発現に、より優れた効果を奏することができる。
<トリカルボン酸の製造方法>
本態様で用いるトリカルボン酸及び/又はその塩は、それらの製造方法に特別な制限はないが、例えば、対応するエステル化合物、ニトリル化合物、或いはアミド化合物等の加水分解等によって合成することができる。
<トリカルボン酸を含有する電解コンデンサ用電解液>
式(A1)で示されるトリカルボン酸又はその塩は、特に、中高電圧用の電解コンデンサ用電解液の構成成分として有用な化合物である。
[式(A1)で示されるトリカルボン酸及びその使用量]
式(A1)で示されるトリカルボン酸又はその塩を含有する電解コンデンサ用電解液において、使用されるトリカルボン酸又はその塩は、単独でも、これらの複数種類を混合して使用してもいずれであってもよい。また、トリカルボン酸の塩としては、例えば、アンモニウム塩(NH );メチルアミン、エチルアミン、t−ブチルアミン等の第一級アミンとの塩;ジメチルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン等の第二級アミンとの塩;トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエチルアミン等の第三級アミンとの塩;テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等の第四級アンモニウムとの塩;1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2,4−ジメチルイミダゾリニウム等のイミダゾリニウムとの塩;1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム等のイミダゾリウムとの塩;1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジニウム、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジニウム等のテトラヒドロピリジニウムとの塩;1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジニウムもしくは1,3−ジメチル−1,6−ジヒドロピリジニウム等のジヒドロピリジニウムとの塩等が挙げられる。特に好ましくは、アンモニウム塩(アンモニアとの塩)である。さらに、本態様の電解コンデンサ用電解液における、トリカルボン酸又はその塩の使用量は、電解コンデンサ用電解液の性能に悪影響を与えない量であれば、特に制限されない。例えば、電解液全体の0.1〜50.0質量%で使用することができる。
[溶媒:電解コンデンサ用電解液]
本態様の電解コンデンサ用電解液に使用される溶媒は、本態様の溶質であるトリカルボン酸又はその塩を溶解できるものであれば、特に制限されない。本態様の電解液に使用することができる溶媒としては、例えば、水;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブなどのアルコール類;γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート類;ホルムアミド、メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、エチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、メチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、エチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;アセトニトリル、プロピオニトリル、アジポニトリルなどのニトリル類;ジメチルスルホキシドなどのスルホオキシド類;ジメチルスルホン、スルホランなどのスルホン類等を挙げることができる。なお、これらの溶媒は、単独で使用しても、複数種類を混合した混合溶媒として使用してもよい。また、本態様の電解コンデンサ用電解液に使用する溶媒として、好ましくは水、エチレングリコール、γ−ブチロラクトン及びこれらの混合溶液が使用される。更に、本態様の電解コンデンサ用電解液に水を使用する場合、電解液中の水の含有量は特に制限されないが、好ましくは90質量%以下、特に好ましくは30質量%以下になるようにする。
[その他添加物:電解コンデンサ用電解液]
電解液中には本態様のトリカルボン酸又はその塩、及び上記の溶媒の他、漏れ電流の低減、耐電圧向上、ガス吸収等の目的で種々の添加剤を加えることができる。ここで、添加剤として、例えば、リン酸化合物、リン酸エステル化合物、ニトロ化合物、ニトリル化合物、ホウ酸化合物、スルホン酸化合物、フェノール類、多価アルコール類、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共重合体、及びブロック共重合体に代表される高分子化合物が挙げられる。
また、上記リン酸化合物及びリン酸エステル化合物としては、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、次亜リン酸、次二リン酸、亜リン酸、二亜リン酸、ピロ亜リン酸、イソ次リン酸、次リン酸、リン酸ブチル、リン酸イソブチル、リン酸オクチル、リン酸ドデシル等があげられ、リン酸化合物、及びリン酸エステル化合物の塩としてはアンモニウム塩、アルミニウム塩等が挙げられ、また、ニトロ化合物としては、例えば、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロパン、ニトロブタン、ニトロベンゼン、ニトロアニソール、ニトロアニリン、ニトロ安息香酸、ニトロトルエン、ニトロフェノール、ニトロベンジルアルコール、ニトロアセトフェノン等が挙げられ、ニトリル化合物としては、ニトリル基を有するものであれば特に限定はなく、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ヘキサンニトリル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アジポニトリル、1,5−ジシアノペンタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,7−ジシアノヘプタン、1,8−ジシアノオクタン、1,9−ジシアノノナン、1,10−ジシアノデカン、1,12−ジシアノドデカン、2,4−ジメチルグルタロニトリル、1,6−ジシアノデカン、プロピレンジニトリル、1,3−ブタジエンジニトリル、1,2,3−ペンタトリエンジニトリル、1,2,3,4−ヘプタテトラエンジニトリル、1,2,3,4,5−オクタペンタエンジニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、ホウ酸化合物としては、ホウ酸、ホウ酸エステル、環状ホウ酸、ホウ酸の多価アルコール錯化合物あるいはその塩、等が挙げられ、多価アルコール類としては、1つ以上のヒドロキシル基を有するものであれば特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン等、さらにはエリトリトール、アラビトール、アドニトール、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、タリトール、グリセリン、キシリトール、マルチトール、ラクチトール等の糖アルコールが挙げられる。
さらに、本態様の電解コンデンサ用電解液では、必要に応じて、電解液の電導度の増加及び特性向上等を目的として、式(A1)で示されるトリカルボン酸及び/又はその塩以外に、さらに他のカルボン酸又はカルボン酸の塩を添加することができる。このようなカルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ピバリン酸、酪酸、カプロン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、安息香酸、3,3−ジメチルブタン酸、2,2−ジイソプロピルプロパン酸、シアノ酢酸、シアノプロピオン酸、4−シアノブタン酸、5−シアノ吉草酸、11−シアノウンデカン酸、7−シアノウンデカン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フタル酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、2−メチルアゼライン酸、1,6−デカンジカルボン酸、5,6−デカンジカルボン酸、7−ビニルヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸等のジカルボン酸;1,3,6−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジメチル−1,3,9−ノナントリカルボン酸等のトリカルボン酸などのほか、テトラカルボン酸以上の多価カルボン酸が挙げられる。また、カルボン酸の塩としては、例えば、前記カルボン酸の塩などが挙げられる。
本態様の電解コンデンサ用電解液において、電解液の溶媒量と溶質量は、電解コンデンサの用途及び定格電圧等により異なるため、特に制限されないが、溶媒量は10.0〜99.5質量%(好ましくは50.0〜99.5質量%)、溶質量は0.5〜90.0質量%(好ましくは0.5〜50.0質量%)が好ましい。本出願全体において、用語「溶質」には、式(A1)で示されるトリカルボン酸及び/又はその塩に加えて、前記添加剤及び他のカルボン酸又はカルボン酸の塩が含まれる。
本態様のトリカルボン酸を含有する電解コンデンサ用電解液において、ハロゲン化物イオンが性能上に影響を与えないようなハロゲン化物イオンの量(ハロゲン化物イオン許容量)は、電解コンデンサ用電解液の総質量に対して、500ppm(0.05質量%)以下であることが好ましく、200ppm(0.02質量%)以下であることがより好ましく、150ppm(0.015質量%)以下であることがさらに好ましく、50質量ppm(0.005質量%)以下であることが特に好ましい。なお、ハロゲン化物イオン量の下限値は、0ppmである。この範囲内の許容量であれば、電極の腐食問題だけではなく、電解コンデンサ用電解液としても性能上に影響を与えないことが、後述の実施例からも確認されている。
[本態様の電解液が適用される電解コンデンサ]
本態様の電解液を適用される電解コンデンサは、形態、用途等が特に限定されることはない。例えば、陽極表面に酸化アルミニウムが形成された陽極(酸化アルミニウム箔)と陰極アルミニウム箔との間に、セパレーターを介在させて巻回することにより構成された巻き取り形のアルミニウム電解コンデンサ等が挙げられる。この電解コンデンサに、本態様の電解液を駆動用電解液としてセパレーターに含浸し、陽陰極と共に、例えば、有底筒状のアルミニウムケースに収納した後、アルミニウムケースの開口部を封口材で密封することで、アルミニウム電解コンデンサを製造することができる。
<<パートII>>
パートIIで開示される主要な発明をまとめると次のとおりである。
新規トリカルボン酸に関する発明:
1. 下記式(B1)で表されるトリカルボン酸。
Figure 2015012367

(式中、R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく、R9’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数であり、このトリカルボン酸の総炭素数は10以上45以下である。)
2. R、R、R、R及びRがすべて水素原子である、上記1に記載のトリカルボン酸。
3. R9’が炭素数1〜4のアルキル基である、上記1又は2に記載のトリカルボン酸。
4. nが2、3、又は9のいずれかである、上記1〜3のいずれか1項に記載のトリカルボン酸。
5. 式(B1)で表されるトリカルボン酸が、2−(2−カルボキシプロピル)アジピン酸又は2−(2−カルボキシプロピル)ピメリン酸のいずれかである、上記1に記載のトリカルボン酸。
トリカルボン酸トリエステルに関する発明:
1. 下記式(C1)で表されるトリカルボン酸トリエステル。
Figure 2015012367
(式中、R1’、R2’及びR3’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R9’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し;nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。)
2. R1’、R2’及びR3’が、炭素数1〜4のアルキル基である、上記1に記載のトリカルボン酸トリエステル。
3. R、R、R、R及びRが水素原子である、上記1又は2に記載のトリカルボン酸トリエステル。
4. R9’がメチル基である、上記1〜3のいずれかに1項に記載のトリカルボン酸トリエステル。
5. nが2又は3である、上記1〜4のいずれかに1項に記載のトリカルボン酸トリエステル。
6. 2−(2−メトキシカルボニルプロピル)アジピン酸ジメチル、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)ピメリン酸ジメチルである、上記1に記載のトリカルボン酸トリエステル。
7. 塩基存在下、下記式(C2)で表されるケトンと下記式(C3)で表されるアルコールと反応させることを特徴とする、上記1〜6のいずれか1項に記載のトリカルボン酸トリエステルの製造方法。
Figure 2015012367
(式中、R2e及びR3eは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい;R9’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し;nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。)
1’−OH (C3)
(式中、R1’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
8. 塩基及び下記式(C3)で表されるアルコール存在下、下記式(C4)で表されるケトエステルと下記式(C5)又は(C6)で表されるエステルとを反応させ、生成する下記式(C2)で表されるケトンを単離することなく下記式(C1)で表されるトリカルボン酸トリエステルを得ることを特徴とする、下記式(C1)で表されるトリカルボン酸トリエステルの製造方法。
Figure 2015012367
(式中、R1’、R2’及びR3’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R9’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し;nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。)
Figure 2015012367
(式中、R2e及びR3eは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R9’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し;nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。)
1’−OH (C3)
(式中、R1’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
Figure 2015012367
(式中、R2eは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し;R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。)
Figure 2015012367
(式中、R3eは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し;R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R9’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
Figure 2015012367
(式中、R3eは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し;R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R9’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し;Xはハロゲン原子、ヒドロキシスルホニルオキシ基、置換基を有している又は有していないアルキルスルホニルオキシ基、及び置換基を有している又は有していないアリールスルホニルオキシ基から選ばれる脱離性基を表す。)
本態様の新規なトリカルボン酸は、その分子中の炭素数(総炭素数)が、10以上45以下の化合物である。本態様の新規なトリカルボン酸は、前記の総炭素数の範囲であることにより、水及び多くの有機溶媒に良好な溶解性を示すことから、例えば、電解コンデンサ用電解液の電解質;洗剤、クリーニング剤のビルダー;潤滑油;水垢防止剤;エポキシ樹脂硬化剤;ポリマー用原料等として新たな有用性が期待される。特に、水溶液からの析出が少ない点で、電解コンデンサ用電解液の電解質等としての利用が期待される。
また、本態様の式(C1)で表されるトリカルボン酸トリエステルは、式(B1)で表されるトリカルボン酸誘導体又はその塩の製造中間体として有用である。
次に、本態様のトリカルボン酸及びその製造方法について説明する。
<本態様のトリカルボン酸>
本態様のトリカルボン酸は、分子内に3つのカルボキシル基を有する下記式(B1)で表されるトリカルボン酸である。
Figure 2015012367
式(B1)中、R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、さらに、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく、R9’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。但し、このトリカルボン酸の総炭素数は10以上45以下である。ここで、炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基を示し、さらにこれらのアルキル基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
式(B1)で示されるトリカルボン酸における置換基R、R、R、R及びRとして、好ましくはすべてが水素原子である。また、式(B1)で示されるトリカルボン酸おける置換基R9’として、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基、特に好ましくはメチル基である。
式(B1)で示されるトリカルボン酸において、nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数を示すが、好ましくは2、3又は9であり、特に好ましくは2又は3である。
本態様の新規なトリカルボン酸は、その分子中の炭素数(総炭素数)が、通常10以上45以下、好ましくは10以上25以下、より好ましくは10以上21以下の化合物である。本態様の新規なトリカルボン酸は、前記の総炭素数の範囲であることにより、水及び多くの有機溶媒並びにこれらの混合溶媒に良好な溶解性を示すことから、例えば、電解コンデンサ用電解液の電解質;洗剤、クリーニング剤のビルダー;潤滑油;水垢防止剤;エポキシ樹脂硬化剤;ポリマー用原料等として新たな有用性が期待される。特に、水溶液からの析出が少ない点で、電解コンデンサ用電解液の電解質等としての利用が期待される。
<トリカルボン酸の製造方法>
次に、式(B1)で表されるトリカルボン酸の製造方法について説明する。
式(B1)で表されるトリカルボン酸の製造方法の1例としては、下記式(C1)で示されるトリカルボン酸トリエステルを、式(B1)で示されるトリカルボン酸に変換する方法が挙げられる。
Figure 2015012367
(式中、R1’、R2’及びR3’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R9’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し;nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。)
式(B1)で表されるトリカルボン酸の製造方法としては、式(C1)で表されるトリカルボン酸トリエステルのカルボン酸エステル基をカルボン酸基に変換する製造方法であれば、特に制限されない。具体例としては、式(C1)で表されるトリカルボン酸トリエステルを、常法による酸性水溶液又はアルカリ性水溶液を用いた加水分解反応を行う方法が挙げられる。この方法は、簡便で、工業的な製造方法であるため、好ましい。また、加水分解後、常法に従って後述のアミンを加え、式(B1)で表される示されるトリカルボン酸のアミン塩として取得してもよい。
<トリカルボン酸トリエステル及びその製造方法>
本態様のトリカルボン酸トリエステルは、分子内にカルボン酸エステル基を3つ有する下記式(C1)で表されるトリカルボン酸トリエステルである。
Figure 2015012367
式(C1)中、R1’、R2’及びR3’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。R9’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、式(C1)中、nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。式(C1)で表されるトリカルボン酸トリエステルの全体の炭素数は、R1’、R2’及びR3’の炭素を除く数が、式(B1)のトリカルボン酸の全炭素数と一致する。
式(C1)で示されるトリカルボン酸トリエステルにおいて、置換基R1’、R2’及びR3’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し、好ましくR1’からR3’がそれぞれ互いに同一又は異なっていてもよい炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくはR1’、R2’及びR3’がすべてメチル基である。
式(C1)で示されるトリカルボン酸トリエステルにおいて、置換基R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。置換基R、R、R、R及びRとして、特に好ましくはR〜Rのすべてが水素原子である。
式(C1)で示されるトリカルボン酸トリエステルにおいて、置換基R9’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。
式(C1)で示されるトリカルボン酸トリエステルにおいて、nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数を示す。本発明の1態様において、nは2〜13の整数であってもよい。nは、好ましくは2、3又は9であり、特に好ましくは2又は3である。
式(C1)で表されるトリカルボン酸トリエステルは、例えば、潤滑油、切削油、可塑剤、ポリマー原料、エポキシ硬化剤、希釈剤、防錆剤等の用途も期待されるが、電解コンデンサ用電解液の電解質(前述の式(B1)で表されるトリカルボン酸誘導体又はその塩)の製造中間体として、有用性であることが見いだされた。
<本態様のトリカルボン酸トリエステルの製造方法>
次に、本態様の式(C1)で表されるトリカルボン酸トリエステルの製造方法について説明する。
本態様の式(C1)で表されるトリカルボン酸トリエステルは、塩基の存在下、下記式(C2)で表されるケトンと下記式(C3)で表されるアルコールとを反応させることによって製造することができる(下記反応式<II>参照)。
Figure 2015012367
ここで、反応式<II>中、R1’、R2’、R3’、R2e及びR3eは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。また、R〜R、R9’、及びnは式(C1)について説明したとおりの意味を表す。
上記反応式<II>に記載の反応では、R2’とR2e、R3’とR3eは、通常、反応前後において同一のアルキル基を表すが、場合により使用したアルコール等とのエステル交換反応を受け、反応後、式(C1)で表されるトリカルボン酸トリエステル中、R2’及びR3’が、例えば、使用したアルコールのアルキル基:R1’と同じ種類になる場合もある。R1’は、通常、使用した式(C3)で表されるアルコールと同じアルキル基となる。
[式(C2)で表されるケトン]
次に、製造原料である式(C2)で表されるケトンは、市販品があれば、それをそのまま使用することもできるが、無い場合には、例えば、下記式(C4)で表されるケトエステルと下記式(C5)又は式(C6)で表されるエステルとの反応により調製することができる(下記反応式<III>参照)。
Figure 2015012367
ここで、反応式<III>中、R2e、R3eは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。また、R〜R、R9’、及びnは式(C1)について説明したとおりの意味を表す。Xは脱離性基を表し、ハロゲン原子、ヒドロキシスルホニルオキシ基、置換基を有している又は有していないアルキルスルホニルオキシ基、及び置換基を有している又は有していないアリールスルホニルオキシ基から選ばれる。Xとしては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、又はトルエンスルホニルオキシ基等の、いわゆる求核置換反応において脱離する基を示す。
上記反応式<III>の具体例としては、ケトンのエナミンとメタクリル酸エステルとの反応(J.Org.Chem.,Vol.61,4361ページ(1996).)、ケトンとブロモイソブチル酸エステルの反応(J.Org.Chem.,Vol.20,25ページ(1955)等が報告されており、これらの事例を利用して、式(C2)で示されるケトンを調製する。
[式(C3)で表されるアルコール]
式(C3):
1’−OH (C3)
において、R1’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表す。式(C3)で表されるアルコールとしては、直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数1〜12のモノアルコールであり、更に、このモノアルコールは位置異性体や光学活性体を含む。前記アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、シクロプロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、シクロブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、シクロペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール等が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜4のモノアルコールであり、特に好ましくはメタノールである。また、本態様の製造方法では、前記アルコール(式(C3))を、単独又は複数種類混合して使用してもよい。また、前記アルコールの(合計)使用量は、式(2)で表されるケトン1モル当たり、通常1モル〜200モルであり、好ましくは2モル〜30モルである。
[塩基]
式(C1)で表されるトリカルボン酸トリエステルの製造に使用される塩基としては、塩基性を示す化合物であれば特に限定されず、有機塩基又は無機塩基を用いることができる。有機塩基としては、例えば、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコラート;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、DBU等の含窒素化合物;水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の水酸化第四級アルキルアンモニウム;ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等の有機リチウムなどを挙げることができる。一方、無機塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物;リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属等を用いることができる。なお、本態様の製造方法において、塩基の(合計)使用量は、前記式(C2)で示されるケトン1モルあたり、0.001モル〜100モルであり、好ましくは、0.001モル〜5モルである。
[反応圧力、反応温度]
式(C1)で表されるトリカルボン酸トリエステルは、塩基の存在下、式(C2)のケトンと式(C3)で表されるアルコールとを、例えば、撹拌等により混合して反応させることによって製造される。その際の反応圧力は、常圧、減圧、又は加圧のいずれであってもよい。また、反応温度は、−10℃〜200℃で行うことができるが、好ましくは、0℃〜150℃である。
[反応溶媒]
本反応は、通常、下記式(C3)で表されるアルコール中で行われるが、反応を阻害しないものであれば、反応溶媒を別途使用してもよい。このような反応溶媒としては、式(C2)で表されるケトン及び/又は式(C3)で表されるアルコールに溶解性を有する溶媒であって、反応を阻害しないものであれば、その種類及び使用量は特に制限されない。
[連続型製造方法]
式(C1)で表されるトリカルボン酸トリエステルは、塩基及び式(C3)で表されるアルコール存在下、式(C4)で表されるケトエステルを、下記式(C5)又は下記式(C6)で表されるエステルと反応させ、式(C2)で表されるケトンを単離することなく、引き続き、開環反応を行って製造することもできる(下記反応式<I>参照)。
Figure 2015012367
ここで、上記式中、R1’、R2’、R3’、R2e、R3e、R〜R、R9’、n及びXは、反応式II及びIIIにおいて説明した意味を表す。R1’が、通常、使用した式(C3)で表されるアルコールのアルキル基となる点も同じである。
連続型製造方法で使用する、式(C3)で表されるアルコールの種類及び使用する塩基並びにその使用量は前述の製造方法と同じである。また、反応圧力、反応温度及び反応溶媒等の反応条件についても、前述の製造方法と同じである。なお、式(C5)又は式(C6)で表されるエステルとしては、好ましくは式(5)で表されるエステル、より好ましくはメタクリル酸(炭素数1〜6)アルキルエステルであり、特に好ましくはメタクリル酸メチルである。
式(C1)で表されるトリカルボン酸トリエステルは、特に、中高電圧用の電解コンデンサ用電解液の原料として有用な化合物である。具体的には、本態様のトリカルボン酸トリエステルを用いて、電解コンデンサ用電解液の構成成分となるトリカルボン酸電解質を得ることができる。ここで、このトリカルボン酸電解質は、式(C1)で表されるトリカルボン酸トリエステルの一部又はすべてのカルボン酸エステル基が、カルボン酸基又はその塩に変換された、下記式(C1a)で表されるトリカルボン酸誘導体又はその塩を示す。
Figure 2015012367
式(C1a)中、R1a、R2a及びR3aは、水素原子、アンモニウム塩、アミン塩、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表わし、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよいが、R1aからR3aのすべてが同時にアルキル基にはならない。また、R〜R、R9’及びn(メチレン基の数)は、それぞれ、前記式(C1)に記載のものと、それぞれ同じものを表わす。
式(C1a)で示されるトリカルボン酸誘導体又はその塩において、基R1a、R2a及びR3aのフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基は、前記式(C1)に記載のR1’、R2’及びR3’とそれぞれ同じものを表わす。
また、式(C1a)中、R1a、R2a及びR3aは、アンモニウム塩(NH +)やアミン塩のような塩化合物であってもよい。ここで、アミン塩としては、メチルアミン、エチルアミン、t−ブチルアミン等の第一級アミンとの塩;ジメチルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン等の第二級アミンとの塩;トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエチルアミン等の第三級アミンとの塩;テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等の第四級アンモニウムとの塩等が挙げられる。その他、パートIにおいて、式(A1)で示されるトリカルボン酸の塩で説明したものが挙げられる。特に好ましくは、アンモニウム塩(アンモニアとの塩)である。
このパートIIで説明した式(B1)で示されるトリカルボン酸及び式(C1a)で示したトリカルボン酸誘導体又はその塩は、パートIで説明したとおりの電解コンデンサ用電解液に好ましく使用される。
<<パートIII>>
パートIIIで開示される主要な発明をまとめると次のとおりである。
1. 式(D1)で表されるトリカルボン酸部分エステル。
Figure 2015012367
(式中、R、R及びRは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよいが、RからRのすべてが水素原子又はアルキル基であるものは除く。R、R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。但し、式(D1)で表される化合物の炭素数は10以上50以下である。)
2. nが2、3、又は9のいずれかである、上記1に記載のトリカルボン酸部分エステル。
3. R及びRがともに水素原子である、上記1又は2に記載のトリカルボン酸部分エステル。
4. Rが水素原子である、上記1〜3のいずれか1項に記載のトリカルボン酸部分エステル。
5. R及びRが互いに独立して水素原子又はメチル基である、上記1〜4のいずれか1項に記載のトリカルボン酸部分エステル。
6. トリカルボン酸部分エステルが、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−5−カルボキシペンタン酸、2−(2−カルボキシエチル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−カルボキシエチル)−5−カルボキシペンタン酸メチル、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−5−カルボキシペンタン酸、2−(2−カルボキシプロピル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−カルボキシプロピル)−5−カルボキシペンタン酸メチル、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−6−カルボキシヘキサン酸、2−(2−カルボキシエチル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸、2−(2−カルボキシエチル)−6−カルボキシヘキサン酸メチル、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−6−カルボキシヘキサン酸、2−(2−カルボキシプロピル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸、2−(2−カルボキシプロピル)−6−カルボキシヘキサン酸メチル、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−12−カルボキシドデカン酸、2−(2−カルボキシエチル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸、2−(2−カルボキシエチル)−12−カルボキシドデカン酸メチル、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−12−カルボキシドデカン酸、2−(2−カルボキシプロピル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸、又は2−(2−カルボキシプロピル)−12−カルボキシドデカン酸メチルのいずれかである、上記1に記載のトリカルボン酸部分エステル。
7. トリカルボン酸部分エステルが、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−5−カルボキシペンタン酸、2−(2−カルボキシプロピル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−6−カルボキシヘキサン酸、又は2−(2−カルボキシエチル)−6−カルボキシヘキサン酸メチルのいずれかである、上記1に記載のトリカルボン酸部分エステル。
8. 酸の存在下、式(D2)で表される多価カルボン酸と炭素数1〜4のアルコールと反応させる、下記式(D1a)で表されるトリカルボン酸部分エステルの製法。
Figure 2015012367
(式中、R、R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。)
Figure 2015012367
(式中、R1a及びR3aは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよいが、R1a及びR3aがいずれも水素原子であるものは除く。R、R、R、R、R、R及びnは、前記式(D2)について定義されたものと同じ意味を表す。)
9. 式(D3)で表されるトリカルボン酸無水物と炭素数1〜4のアルコールと反応させる、下記式(D1b)で表されるトリカルボン酸部分エステルの製法。
Figure 2015012367
(式中、R1bは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R、R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。)
Figure 2015012367
(式中、R1b、R、R、R、R、R、R及びnは、前記式(D3)について定義されたものと同じ意味を表す。R2b又はR3bは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表すが、すべて水素原子又はアルキル基となる場合はない。)
10. 式(D1)で表されるトリカルボン酸部分エステル及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、電解コンデンサ用電解液。
Figure 2015012367
(式中、R、R及びRは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよいが、RからRのすべてが水素原子又はアルキル基であるものは除く。R、R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。但し、式(D1)で表される化合物の炭素数は10以上50以下である。)
11. トリカルボン酸部分エステルの塩がアンモニウム塩である、上記10に記載の電解コンデンサ用電解液。
12. エチレングリコールと水を溶媒とする、上記10又は11に記載の電解コンデンサ用電解液。
13. 請求項10〜12いずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解液の少なくとも1種を含有する、電解コンデンサ。
14. 式(D3)で表されるトリカルボン酸無水物。
Figure 2015012367
(式中、R1bは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R、R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。)
本態様により、新規なトリカルボン酸部分エステル及びその製法、並びそれを電解質として用いた中高電圧電解コンデンサ用電解液が提供される。本態様のトリカルボン酸部分エステルは、低温溶解性、耐電圧性に優れており、電解コンデンサ用電解液の電解質として好適に用いられる。
次に、本発明の実施態様を、本発明のトリカルボン酸部分エステル及びその製法、並びにそれを用いた電解液の順に説明する。
<本態様のトリカルボン酸部分エステル>
本態様のトリカルボン酸部分エステルは、下記式(D1)で示される。
Figure 2015012367
式(D1)中、置換基R、R及びRは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよいが、RからRのすべてが水素原子又はアルキル基であるものは除く。置換基R、R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。
置換基R〜Rは、好ましくは水素原子、メチル基であり、置換基R〜Rは、好ましくは水素原子、メチル基であり、特に好ましくは水素原子であり、置換基R及びRは、好ましくは水素原子、メチル基である。
nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数であるが、好ましくは2、3、又は9である。
式(D1)で示されるトリカルボン酸部分エステルの炭素数は10以上50以下である。
上記より、式(D1)で示されるトリカルボン酸部分エステルとして、具体的に好ましくは2−(2−メトキシカルボニルエチル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸などのトリカルボン酸ジエステル;2−(2−メトキシカルボニルエチル)−5−カルボキシペンタン酸、2−(2−カルボキシエチル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−カルボキシエチル)−5−カルボキシペンタン酸メチル、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−5−カルボキシペンタン酸、2−(2−カルボキシプロピル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−カルボキシプロピル)−5−カルボキシペンタン酸メチル、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−6−カルボキシヘキサン酸、2−(2−カルボキシエチル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸、2−(2−カルボキシエチル)−6−カルボキシヘキサン酸メチル、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−6−カルボキシヘキサン酸、2−(2−カルボキシプロピル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸、2−(2−カルボキシプロピル)−6−カルボキシヘキサン酸メチル、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−12−カルボキシドデカン酸、2−(2−カルボキシエチル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸、2−(2−カルボキシエチル)−12−カルボキシドデカン酸メチル、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−12−カルボキシドデカン酸、2−(2−カルボキシプロピル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸、2−(2−カルボキシプロピル)−12−カルボキシドデカン酸メチルなどのトリカルボン酸モノエステルである。さらに好ましくは2−(2−メトキシカルボニルエチル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸などのトリカルボン酸ジエステル;2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−5−カルボキシペンタン酸、2−(2−カルボキシプロピル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−6−カルボキシヘキサン酸、2−(2−カルボキシエチル)−6−カルボキシヘキサン酸メチルなどのトリカルボン酸モノエステル等が挙げられる。
式(D1)で示されるトリカルボン酸部分エステルは、その製法、その用途等はこれまで全く知られていなかった化合物であり、本態様により電解コンデンサ用電解液の電解質としての有用性が期待される化合物であることが見出された。
<本態様のトリカルボン酸部分エステルの製造方法>
式(D1)で示されるトリカルボン酸部分エステルの製造方法として、次の2つの方法を示す。
〔製造方法1〕
式(D1)で示されるトリカルボン酸部分エステルとして、例えば、下記式(D1a)で示されるトリカルボン酸部分エステルは、酸存在下、式(D2)の多価カルボン酸化合物と炭素数1〜4のアルコールとを反応させることによって製造することができる(下記反応式<I>参照)。
Figure 2015012367
ここで、上記式中、R〜R、及びnは、式(D1)について定義したとおりの意味を表し、R1a及びR3aは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、さらにそれぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。
また、製造原料である式(D2)で示される多価カルボン酸は、市販品があれば、それをそのまま使用することもできるが、無い場合には、対応するトリニトリルやトリエステルを酸や塩基で加水分解する方法等により調製することができる。例えば、トリニトリル化合物を苛性ソーダで加水分解し多価カルボン酸を製造する方法については、特許第4279087号公報に記載されている。また、パートI、IIにおいて説明した製造方法によっても製造することができる。
[炭素数1〜4のアルコール:製造方法1]
製造方法1で使用されるアルコールとしては、直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数1〜4のモノアルコールであり、位置異性体、光学活性体を含む。その具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n-ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール等が挙げられるが、好ましくはメタノールである。また、本態様の製造方法では、上記アルコールを単独又は複数種類混合して使用してもよい。また、上記アルコールの(合計)使用量は、式(D2)で示される多価カルボン酸1モルあたり、通常0.1モル〜200モルであり、好ましくは1モル〜30モルである。
[酸:製造方法1]
製造方法1で使用される酸としては、ブレンステッド酸性化合物及び/又はルイス酸性化合物が用いられる。ここで、ブレンステッド酸性化合物としては、特に限定されないが、例えば、硫酸、塩酸などの鉱酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのスルホン酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸、イオン交換樹脂、ゼオライトなどの固体酸等を挙げることができ、好ましくは硫酸である。また、ルイス酸性化合物についても、特に限定されないが、例えば、四塩化チタン、テトラアルコキシチタン、三フッ化ホウ素、塩化アルミ、塩化亜鉛などを挙げることができる。なお、これらの酸は単独又は複数種類混合して使用してもよい。また、上記酸の(合計)使用量は、式(D2)のトリカルボン酸1モルあたり、0.001モル〜100モルであり、好ましくは、0.001モル〜5モルである。
[反応条件:製造方法1]
式(D1)で示されるトリカルボン酸部分エステルは、酸存在下、式(D2)の多価カルボン酸と炭素数1〜4のアルコールとを、例えば、撹拌等により混合して反応させることによって製造される。その際の反応圧力は、常圧、減圧、又は加圧のいずれであってもよい。また、反応温度は、−10℃〜200℃で行うことができるが、反応の選択性を出すために、温和な条件が好ましく、したがって、−10℃から使用するアルコールの沸点までの反応温度が好ましい。さらに、製造方法1では、反応を阻害しないものであれば、反応溶媒を別途使用してもよい。このような反応溶媒としては、反応を阻害しないものであれば、その種類及び使用量は特に制限されない。例えば、製造原料である式(D2)で示される多価カルボン酸の溶解性が低い等の場合、適量の水や有機溶媒に溶解させた製造原料溶液を反応に使用してもよい。
〔製造方法2〕
式(D1)で示されるトリカルボン酸部分エステルとして、例えば、下記式(D1b)で示されるトリカルボン酸部分エステルは、式(D3)で示されるトリカルボン酸無水物を炭素数1〜4のアルコールと反応させることによって製造することができる(下記反応式<II>参照)。
Figure 2015012367
式(D3)及び(D1b)中、置換基R1bは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R〜R、及びnは、式(D1)について定義したとおりの意味を表し、置換基R2b又はR3bは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表すが、すべて水素原子又はアルキル基となる場合はない。
[式(D3)のトリカルボン酸無水物]
本態様の製造方法2で使用される式(D3)のトリカルボン酸無水物は、新規化合物であり、トリカルボン酸部分エステルを合成する上で有用な化合物である。置換基R1bは、好ましくは水素原子、メチル基であり、置換基R〜Rは、好ましくは水素原子、メチル基である。nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数であるが、好ましくは2、3、又は9である。特に好ましい化合物は、5−(2,6−ジオキソテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)ペンタン酸である。式(D3)のトリカルボン酸無水物は、前記式(D2)のトリカルボン酸や対応するエステル化合物を脱水あるいは脱アルコール環化することにより調製することができる。例えば、脱水環化の方法としては、無水酢酸などの脱水剤を用いる方法や加熱脱水する方法などが挙げられる。
[炭素数1〜4のアルコール:製造方法2]
製造方法2で使用される炭素数1〜4のアルコールは、前記[炭素数1〜4のアルコール:製造方法1]に記載のものが挙げられ、好ましくはメタノールである。また、その(合計)使用量は、式(D3)のトリカルボン酸無水物1モルあたり、通常0.5モル〜200モルであり、好ましくは1モル〜30モルである。
[酸・塩基:製造方法2]
製造方法2では、酸又は塩基を使用して反応を行っても、又は使用せずに反応を行ってもどちらであってもよいが、好ましくは酸又は塩基を使用せずに反応を行う。
酸を使用して反応を行う場合、使用される酸は、前記[酸:製造方法1]に記載のものが挙げられる。一方、塩基を使用して反応を行う場合、使用される塩基は、特に限定されず、有機塩基又は無機塩基を用いることができる。有機塩基としては、例えば、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコラート;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、DBU等の含窒素化合物;;ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等の有機リチウムなどを挙げることができる。一方、無機塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物等を用いることができる。なお、本態様の製造方法において、上記酸又は塩基の(合計)使用量は、前記式(D3)で示されるトリカルボン酸無水物1モルあたり、0.001モル〜100モルであり、好ましくは、0.001モル〜5モルである。
[反応条件:製造方法2]
式(D1)で示されるトリカルボン酸部分エステルは、式(D3)で示されるトリカルボン酸無水物と炭素数1〜4のアルコールとを、例えば、撹拌等により混合して反応させることによって製造される。その際の反応圧力は、常圧、減圧、又は加圧のいずれであってもよい。また、反応温度は、酸や塩基を使用しないで反応を行う場合は、−10℃〜300℃、好ましくは、反応を促進するために20℃〜300℃である。また、酸を使用して反応を行う場合は、[反応条件:製造方法1]に記載の反応温度で行う。したがって、製造方法2の反応温度として、好ましくは−10℃から使用するアルコールの沸点までである。一方、塩基を使用する場合は、通常−10℃〜200℃、好ましくは−10℃から使用するアルコールの沸点までの反応温度で反応を行う。
さらに、本態様の製造方法2では、反応を阻害しないものであれば、反応溶媒を別途使用してもよい。このような反応溶媒としては、反応を阻害しないものであれば、その種類及び使用量は特に制限されない。例えば、製造原料である式(D3)で示されるトリカルボン酸無水物の溶解性が低い等の場合、適量の水や有機溶媒に溶解させた製造原料溶液を反応に使用してもよい。
また、式(D1)で示されるトリカルボン酸部分エステルはトリカルボン酸トリエステルを部分加水分解することによっても製造することができる。
<本態様のトリカルボン酸部分エステルを含有する電解コンデンサ用電解液>
本態様の式(D1)で示されるトリカルボン酸部分エステル又はその塩は、電解コンデンサ用電解液の構成成分として有用な化合物である。
[式(D1)で示されるトリカルボン酸部分エステル及び/又はその塩及びその使用量]
本態様の式(D1)で示されるトリカルボン酸部分エステル又はその塩を含有する電解コンデンサ用電解液において、使用されるトリカルボン酸部分エステル又はその塩は、単独でも、これらの複数種類を混合して使用してもいずれであってもよい。前記トリカルボン酸部分エステルの塩としては、例えば、アンモニウム塩、メチルアミン、エチルアミン、t−ブチルアミン等の第一級アミン塩、ジメチルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン等の第二級アミン塩、トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエチルアミン等の第三級アミン塩、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等の第四級アンモニウム塩、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2,4−ジエチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウム、1−メチル−2,3,4−トリエチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−メチルカルボオキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−メチルカルボオキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム等のイミダゾリニウム塩等が挙げられる。好ましくは、アンモニウム塩である。その他、パートIの式(A1)のトリカルボン酸について説明した塩も挙げられる。さらに、本態様の電解コンデンサ用電解液における、トリカルボン酸部分エステル又はその塩の使用量は、電解コンデンサ用電解液の性能に悪影響を与えない量であれば、特に制限されない。例えば、電解液全体の0.1〜50.0質量%で使用することができる。
[溶媒:電解コンデンサ用電解液]及び[その他添加物:電解コンデンサ用電解液]
パートIIIの態様の電解コンデンサ用電解液に使用される溶媒、その他添加物に関しては、パートIの[溶媒:電解コンデンサ用電解液]及び[その他添加物:電解コンデンサ用電解液]において説明した溶媒、その他添加物と同じものを使用することができる。また、電解液の溶媒量と溶質量は、電解コンデンサの用途及び定格電圧等により異なるため、特に制限されないが、溶媒量は10〜99.5質量%(好ましくは50.0〜99.5質量%)、溶質量は0.5〜90.0質量%(好ましくは0.5〜50.0質量%)が好ましい。また、パートI又はIIで説明したトリカルボン酸及び/又はその塩と、パートIIIで説明したトリカルボン酸部分エステル及び/又はその塩を混合して溶質として使用することもできる。
[本態様の電解液が適用される電解コンデンサ]
本態様の電解液は、パートIの[本態様の電解液が適用される電解コンデンサ]において説明した電解コンデンサに適用することができる。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明の範囲は、以下に示す具体例に制限されるものではなく、実施例に示す材料、使用量、割合、操作等は、所望の用途に合わせて、適宜変更して使用してもよい。
<パートIの実施例>
(実施例A1:2−(2−カルボキシエチル)ピメリン酸の合成)
2−(2−メトキシカルボニルエチル)ピメリン酸ジメチル6.0gと20%水酸化ナトリウム10gとの混合物を、120℃の油浴中にて5時間加熱撹拌した。反応終了後、希硫酸水溶液を用いて反応液を酸性化し、次いで、これにt−ブチルメチルエーテル(MTBE)を加えて有機相で抽出した。得られた有機相は、飽和硫酸アンモニウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。乾燥後、ろ過にて無水硫酸マグネシウムを除去して得た有機相を、減圧下にて溶媒を留去したところ、目的物である2−カルボキシエチルピメリン酸を白色固体として3.5g得た。なお、得られた目的物の分析データは、以下のとおりである。
Figure 2015012367
〔分析データ〕
MS(EI):m/z=233(M+1),196,168,150,114
MS(CI):m/z=233(M+1),215,197
H NMR(CD3CN,δppm):1.20−1.90(m,8H),2.23−2.45(m,5H),9.0(brs.3H)
13C−NMR(CD3CN,δppm):25.45,27.36,27.77,32.00,32.46,34.04,44.93,175.21,175.78,177.73
また、下記実施例A2〜A7にて使用するジカルボン酸化合物、2−(2−カルボキシプロピル)アジピン酸、2−(2−カルボキシプロピル)ピメリン酸、2−(2−カルボキシエチル)トリデカン二酸についても、対応するトリカルボン酸トリエステルを使用して、実施例A1と同様の方法で行って合成した。尚、特定の化合物の合成については、パートIIの実施例において詳細に説明する。
(実施例A2〜A7:物性評価)
次に、本態様のジカルボン酸化合物、エチレングリコール及び水を、下記表1に記載の割合で混合した混合液を調製し、更に、得られた電解コンデンサ用電解液は、アルミニウム箔を用いて10mA/cmの電流密度の定電流で化成した際の耐電圧(V)、耐電圧までの到達時間(min)を測定した。化成性は、耐電圧(V)を、耐電圧までの到達時間(min)で除した値を指標とした。さらに、各電解液の室温及び−25℃での溶解性を目視で評価した。これらの結果を、表1に併せて示す。尚、塩素イオン濃度は、イオンクロマトグラフィーによって測定した。
(比較例A1、A3:物性評価)
本態様の対照化合物として、アゼライン酸(比較例A1)、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸(比較例A3)を使用し、実施例A2〜A7と同じ方法で電解コンデンサ用電解液を取得し、各種物性測定を行った。各対照化合物、エチレングリコール及び水の混合比、並びに、その物性測定結果を表1に示す。
Figure 2015012367
*1:電解液成分中のクロロイオン(Cl)含有量:
実施例A2:Cl<30ppm、実施例A3:Cl<30ppm、
実施例A4:Cl<30ppm、実施例A5:Cl<150ppm、
実施例A6:Cl<150ppm、実施例A7:Cl<20ppm、
実施例A8:Cl<20ppm、実施例A9:Cl<20ppm。
*2:室温で溶解せず、測定不能。
*3:−25℃での溶解性の評価; ○:溶解, ×:固体析出,−:未検討。
上記の表1から明らかなように、本態様の方法で製造されたトリカルボン酸を含有する新規電解液は、ハロゲン化物イオンの含有量が、500ppm(0.05質量%)以下であり、その物性は、比較例の電解液と比較して、耐電圧、化成性、溶解性等の点で優れている。
<パートIIの実施例>
<実施例C1:トリカルボン酸トリエステルの合成例1>
2−(2−メトキシカルボニルプロピル)アジピン酸ジメチルの合成
2−メトキシカルボニルシクロペンタノン30g、28%ナトリウムメトキシド3.0g、メタクリル酸メチル24g及びメタノール10gの混合物を、70℃の油浴中、6.5時間加熱撹拌し、反応を行った。反応終了後、反応混合物を冷却し、次いで濃硫酸で中和した後、不溶物を濾過し、濾液を取得した。得られた濾液は、エバポレーターを用いて減圧蒸留にて溶媒を濃縮後、目的物である2−(2−メトキシカルボニルプロピル)アジピン酸ジメチル(上記式)42gを無色オイルとして得た。なお、得られた化合物は、ジアステレオマー混合物である。また、得られた化合物の分析データは、以下のとおりである。
Figure 2015012367
(分析データ)
MS(EI):m/z=243(M−31),214,188,151,137,114
MS(CI):m/z=275(M+1),243
H NMR(CDCl3,δppm):1.1〜1.2(m,3H),1.4〜1.9(m,6H),2.5〜3.0(m,4H),3.6〜3.7(m,9H)
13C NMR(CDCl3,δppm):16.95,18.07,22.54,22.60,31.88,32.22,33.76,35.71,36.02,37.44,37.71,42.97,43.30,51.56,51.62,51.66,51.70,173.65,175.72,175.99,176.45,176.57
IR(neat,cm−1):2964,1737。
<実施例C2:トリカルボン酸トリエステルの合成例2>
2−(2−メトキシカルボニルプロピル)ピメリン酸ジメチルの合成
2−メトキシカルボニルシクロヘキサノン30g、28%ナトリウムメトキシド1.9g及びメタノール5gとの混合物を70℃の油浴で加熱し、この温度下にて、メタクリル酸メチル23gを徐々に加えた。18時間加熱撹拌した。反応終了後、反応混合物を冷却し、次いで、減圧蒸留し2−(2−メトキシカルボニルプロピル)ピメリン酸ジメチル(上記式)45gを無色オイルとして得た。なお、得られた化合物はジアステレオマー混合物である。また、得られた化合物の分析データは、以下のとおりである。
Figure 2015012367
(分析データ)
MS(EI):m/z=257(M−31),228,165,137,114,88
MS(CI):m/z=289(M+1),257
H NMR(CDCl3,δppm):1.1‐1.2(m,3H),1.3−1.9(m,8H),2.3−2.5(m,4H),3.6−3.7(m,9H)
13C NMR(CDCl3,δppm):16.92,18.08,24.74,26.69,26.76,32.20,32.55,33.55,33.83,35.80,36.14,37.47,37.76,43.08,43.47,51.50,51.54,51.58,51.64,51.68,173.96,175.94,176.21,176.50,176.62
IR(neat,cm−1):2953,1736,1437,1198,1168。
<実施例B1:トリカルボン酸の合成例1>
2−(2−カルボキシプロピル)アジピン酸の合成
実施例C1で合成した2−(2−メトキシカルボニルプロピル)アジピン酸ジメチル20g、5N水酸化ナトリウム52mlの混合物を120℃の油浴中5時間加熱撹拌した。反応終了後、希硫酸で酸性とし、MTBEで抽出、飽和硫安水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、結晶化させて、白色結晶として2−(2−カルボキシプロピル)アジピン酸(ジアステレオマー混合物)13.6gを得た。なお、得られた化合物の分析データは、以下のとおりである。
Figure 2015012367
(分析データ)
MS(ESI−):m/z=232(M−1)
H NMR(DMSO−d6,δppm):1.05−1.07(m,3H),1.35−1.90(m,6H),2.20−2.35(m,4H),12.1(brs.3H)
13C NMR(DMSO−d6,δppm):16.54,17.93,22.23,22.33,31.35,31.68,33.40,33.50,35.30,35.57,36.74,37.29,42.37,42.98,174.20,176.41,176.53,177.03,177.05
クロロイオン(Cl)含有量:<20ppm。
<実施例B2:トリカルボン酸の合成例2>
2−(2−カルボキシプロピル)ピメリン酸の合成
実施例C2で合成した2−(2−メトキシカルボニルプロピル)ピメリン酸ジメチル3.7gと20%水酸化ナトリウム12gとの混合物を、120℃の油浴中にて5時間加熱撹拌した。反応終了後、希硫酸水溶液を用いて反応液を酸性化し、次いで、これにt−ブチルメチルエーテル(MTBE)を加えて有機相で抽出した。得られた有機相は、飽和硫酸アンモニウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。乾燥後、ろ過にて無水硫酸マグネシウムを除去して得た有機相を、減圧下にて溶媒を留去したところ、目的物である2−(2−カルボキシプロピル)ピメリン酸(ジアステレオマー混合物)を白色固体として2.5g得た。
Figure 2015012367
(分析データ)
MS(ESI−):m/z=245(M−1)
H NMR(DMSO−d6,δppm):1.02−1.07(m,3H),1.20−1.90(m,8H),2.15−2.35(m,4H),12.1(brs.3H)
13C NMR(DMSO−d6,δppm):16.54,18.00,24.41,26.24,26.33,31.65,32.11,33.53,35.45,35.73,36.76,37.34,42.45,43.10,174.40,176.54,176.66,177.08
クロロイオン(Cl)含有量:<20ppm。
<電解液成分としての評価>
実施例B1及びB2で合成したトリカルボン酸の評価は、前述の表1に示したとおりである(実施例A2〜A4、A7〜A9)。本態様の新規トリカルボン酸を含有する電解液は、ハロゲン化物イオンの含有量が500ppm(0.05質量%)以下であり、また、その物性は、表1から明らかなように、比較例の電解液と比較して、耐電圧、化成性、溶解性等の点で優れている。例えば、配合割合を同じにした場合、実施例A4及び実施例A6は、適度な耐電圧と高い化成性を有しており、従って、中高電圧用の電解コンデンサ用電解液として、本態様のトリカルボン酸は有用な化合物である。
<パートIIIの実施例>
(実施例D1:2−(2−メトキシカルボニルエチル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸の合成)
2−(2−カルボキシエチル)ピメリン酸4.0gに1質量%硫酸−メタノール溶液4.0gを加え、室温で10分撹拌し均一系とした。室温で15時間静置反応を行った。反応終了後、炭酸水素ナトリウム2.0gを加え、メタノールを減圧下留去した。ヘプタン及び水を添加、撹拌後、ヘプタン層を除去、水層を希硫酸で酸性とし、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)で抽出、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下にて留去し、無色粘稠オイルとして、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸(下記式[Ex.1])を得た。また、得られた化合物の分析データは、以下のとおりである。
Figure 2015012367
(分析データ)
MS(APCI):m/z=261(M+1)
H NMR(DMSO−d6,δppm):1.22−1.75(m,8H),2.17−2.35(m,5H),3.57(s,3H),3.58(s,3H),11.5−12.8(brs.1H)
13C NMR(CDCl3,δppm):24.74,26.65,26.83,31.65,31.69,33.80,44.25,51.5,51.69,173.41,174.00,180.56
(実施例D2:2−(2−メトキシカルボニルエチル)−6−カルボキシヘキサン酸及び2−(2−カルボキシエチル)−6−カルボキシヘキサン酸メチルの2:1混合物の合成)
5−(2,6−ジオキソテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)ペンタン酸1.2gを乾燥メタノール6mlに溶解し、5時間加熱還流した。反応終了後、メタノールを留去後、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)で抽出、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下にて留去し、無色粘稠オイルとして、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−6−カルボキシヘキサン酸(下記式[Ex.2a])及び2−(2−カルボキシエチル)−6−カルボキシヘキサン酸メチル(下記式[Ex.2b])の混合物(混合比[2a:2b]=2:1)を1.2g得た。また、得られた化合物の分析データは、以下のとおりである。
Figure 2015012367
(分析データ:実施例D2の混合物)
MS(EI):m/z=247(M+1),229,197,150,128,55
MS(CI):m/z=247(M+1),229
H NMR(CDCl3,δppm):1.28−1.95(m,8H),2.23−2.38(m,5H),3.61(s,2H),3.62(s,1H)
13C NMR(CDCl3,δppm):25.46,25.50,27.39,27.91,28.03,32.00,32.38,32.50,32.61,34.05,44.97,45.32,52.06,52.09,174.36,174.70,175.24,176.85,177.19
(実施例D3:2−(2−メトキシカルボニルエチル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸の合成)
2−(2−カルボキシエチル)トリデカン二酸4.73gに1質量%硫酸−メタノール溶液14.21gを加え、室温で10分撹拌し均一系とした。室温で17時間静置反応を行った。反応終了後、炭酸水素ナトリウム2.0gを加え、メタノールを減圧下留去した。ヘプタン及び水を添加、撹拌後、ヘプタン層を除去、水層を希硫酸で酸性とし、MTBEで抽出、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下にて留去し、無色粘稠オイルとして2−(2−メトキシカルボニルエチル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸(下記式[Ex.3])を4.19g得た。また、得られた化合物の分析データは、以下のとおりである。
Figure 2015012367
(分析データ)
MS(CI):m/z=345(M+1)
H NMR(DMSO−d6,δppm):1.23−1.71(m,20H),2.21−2.30(m,5H),3.57(s,3H),3.58(s,3H),12.71(s,1H)
13C NMR(CD3CN,δppm):25.75,27.89,27.94,29.81,30.00,30.13,30.17,30.19,30.23,32.40,32.86,34.57,45.06,51.90,52.07,174.31,174.94,177.23
(実施例D4:2−(2−メトキシカルボニルエチル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸の合成)
2−(2−カルボキシエチル)アジピン酸100mgに1質量%硫酸−メタノール溶液200mgを加え、室温で10分撹拌し均一系とした。室温で20時間静置反応を行った。反応終了後、炭酸水素ナトリウム56mgを加え、メタノールを減圧下留去した。ヘキサン及び水を添加、ヘキサン層を除去、水層を希塩酸で酸性とし、MTBEで抽出、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下、留去し、無色粘稠オイルとして2−(2−メトキシカルボニルエチル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸(下記式[Ex.4])を94mg得た。また、得られた化合物の分析データは、以下のとおりである。
Figure 2015012367
(分析データ)
MS(EI):m/z=247(M+1),229,215,200,183,155,137
MS(CI):m/z=247(M+1),229
H NMR(CDCl3,δppm):1.53−2.00(m,6H),2.30−2.50(m,5H),3.67(s,3H),3.68(s,3H),11.6−12.8(brs,1H)
13C NMR(CDCl3,δppm):22.47,26.73,31.30,31.61,33.74,44.16,51.62,51.71,173.38,173.69,180.86
(実施例D5:2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸の合成)
2−(2−カルボキシプロピル)ピメリン酸1.3gに2質量%硫酸−メタノール溶液3.9gを加え、室温で10分撹拌し均一系とした。室温で21時間静置反応を行った。反応終了後、炭酸水素ナトリウムを加え反応を止め、メタノールを減圧下留去した。ヘプタン及び水を添加、撹拌後、ヘプタン層を除去、水層を希硫酸で酸性とし、MTBEで抽出、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下、留去し、無色粘稠オイルとして、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸(下記式[Ex.5])を1.0g得た。また、得られた化合物の分析データは、以下のとおりである。
Figure 2015012367
(分析データ)
MS(ESI−):m/z=273(M−H)
H NMR(CDCl3,δppm):1.16−1.90(m,11H),2.30−2.55(m,4H),3.67−3.68(m,6H)
13C NMR(CDCl3,δppm):16.92,18.10,24.41,24.73,26.57,26.64,31.99,32.34,33.66,33.80,35.46,35.77,37.42,37.69,42.89,43.32,43.42,51.54,51.72,174.02,176.51,176.63,181.28,181.44
(実施例D6:2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−5−カルボキシペンタン酸、2−(2−カルボキシプロピル)5−メトキシカルボニルペンタン酸及び2−(2−カルボキシプロピル)アジピン酸の混合物の合成)
2−(2−カルボキシプロピル)アジピン酸7gに1質量%硫酸−メタノール溶液7gを加え、バス温35℃で2時間撹拌した。反応終了後、実施例D5と同様に処理し、淡黄色粘稠オイルとして、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸(下記式[Ex.6a])、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−5−カルボキシペンタン酸(下記式[Ex.6b])、2−(2−カルボキシプロピル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸(下記式[Ex.6c])及び2−(2−カルボキシプロピル)アジピン酸(下記式[Ex.6d])の混合物〔HPLC面積%比;モノカルボン酸(式[Ex.6a]):ジカルボン酸(式[Ex.6b]及び式[Ex.6c]):トリカルボン酸(式[Ex.6d]=28:61:11〕を6.3g得た。
Figure 2015012367
(実施例D7〜14)
実施例D1〜実施例D6で得られたトリカルボン酸部分エステルを用いて、それぞれ、下記表1に記載の各成分を所定割合で混合し、アンモニアでpH6に調整して電解コンデンサ電解液を得た。得られた電解コンデンサ電解液は、アルミニウム箔を用いて10mA/cmの電流密度の定電流で化成した際の耐電圧を測定した。さらに、各電解液の室温及び−25℃での溶解性を目視で評価した。これらの結果を、表2に併せて示す。
(比較例D2〜5)
比較例として様々なカルボン酸又はカルボン酸エステルを電解質として使用し、それぞれ、各成分を所定割合で混合し、アンモニアでpH6に調整して電解コンデンサ電解液を得た。
得られた電解コンデンサ電解液は、アルミニウム箔を用いて10mA/cmの電流密度の定電流で化成した際の耐電圧を測定した。さらに、各電解液の室温及び−25℃での溶解性を目視で評価した。これらの結果を、表3に示す。
Figure 2015012367
*1:−25℃での溶解性の評価; ○:溶解, ×:固体析出,−:未検討。
*2:2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−5−カルボキシペンタン酸、2−(2−カルボキシプロピル)5−メトキシカルボニルペンタン酸及び2−(2−カルボキシプロピル)アジピン酸の混合物。
Figure 2015012367
*1:−25℃での溶解性の評価; ○:溶解, ×:固体析出,−:未検討。
*2:室温で溶解せず、測定不能。
*3:別名:2−(2−カルボキシエチル)アジピン酸
上記の表2及び表3から明らかなように、本態様のトリカルボン酸部分エステルを含有する電解液は、比較例の電解液と比較して、耐電圧や溶解性に優れていることが分かった。
(実施例D15:5−(2,6−ジオキソテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)ペンタン酸の合成)
2−(2−カルボキシエチル)ピメリン酸2.6gをクーゲルロールで減圧加熱(1hPa)し、蒸留した。微黄色結晶として5−(2,6−ジオキソテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)ペンタン酸(下記式(3−1a))1.4gを得た。また、得られた化合物の分析データは、以下のとおりである。
Figure 2015012367
(分析データ)
IR(KBr,cm−1):3425,1809,1753,1690
MS(EI):m/z=152,124,115,55
MS(CI):m/z=215(M+1),197
H NMR(CDCl3,δppm):1.20−2.10(m,8H),2.30−3.00(m,5H),11.1(brs,1H)
13C NMR(CDCl3,δppm):21.95,24.29,26.03,29.84,29.90,33.49,40.56,166.52,168.97,178.85
本発明の一態様のトリカルボン酸を含有する新規電解液は、耐電圧が高く、化成性及び溶解性に優れており、特に中高電圧用のアルミ電解コンデンサに好適に用いられる。
本発明の一態様の新規トリカルボン酸は、前記の総炭素数の範囲であることにより、例えば、電解コンデンサ用電解液の電解質;洗剤、クリーニング剤のビルダー;潤滑油;水垢防止剤;エポキシ樹脂硬化剤;ポリマー用原料等として新たな有用性が期待される。
本発明の一態様のトリカルボン酸部分エステルを含有する電解液は、耐電圧が高く、溶解性に優れており、特に中高電圧用のアルミ電解コンデンサに好適に用いられる。

Claims (22)

  1. 電解質として下記式(1)で表されるトリカルボン酸化合物及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、電解コンデンサ用電解液。
    Figure 2015012367
    (式中、R、R及びRは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよいが、R、R及びRのなかで、少なくとも1つは水素原子である。R、R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。式(1)で表される化合物の炭素数は10以上50以下である。)
  2. トリカルボン酸化合物の塩がアンモニウム塩である、請求項1に記載の電解コンデンサ用電解液。
  3. エチレングリコールを主溶媒とする、請求項1又は2に記載の電解コンデンサ用電解液。
  4. ハロゲン化物イオンの含有量が、150ppm(0.015質量%)以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解液。
  5. 電解質として下記式(A1)で表されるトリカルボン酸及びトリカルボン酸の塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解液。
    Figure 2015012367
    (式中、R、R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数を表す。式(A1)で表されるトリカルボン酸の全炭素数は、10〜45である)。
  6. 、R、R及びRが水素原子である、請求項5に記載の電解コンデンサ用電解液。
  7. nが2、3又は9のいずれかである、請求項5又は請求項6に記載の電解コンデンサ用電解液。
  8. トリカルボン酸が、2−(2−カルボキシエチル)ピメリン酸、2−(2−カルボキシプロピル)ピメリン酸、2−(2−カルボキシプロピル)アジピン酸及び2−(2−カルボキシエチル)トリデカン二酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解液。
  9. 式(D1)で表されるトリカルボン酸部分エステル及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解液。
    Figure 2015012367
    (式中、R、R及びRは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよいが、RからRのすべてが水素原子又はアルキル基であるものは除く。R、R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。但し、式(D1)で表される化合物の炭素数は10以上50以下である。)
  10. nが2、3、又は9のいずれかである、請求項9に記載の電解コンデンサ用電解液。
  11. 及びRがともに水素原子である、請求項9又は10に記載の電解コンデンサ用電解液。
  12. が水素原子である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解液。
  13. 及びRが互いに独立して水素原子又はメチル基である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解液。
  14. トリカルボン酸部分エステルが、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−5−カルボキシペンタン酸、2−(2−カルボキシエチル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−カルボキシエチル)−5−カルボキシペンタン酸メチル、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−5−カルボキシペンタン酸、2−(2−カルボキシプロピル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−カルボキシプロピル)−5−カルボキシペンタン酸メチル、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−6−カルボキシヘキサン酸、2−(2−カルボキシエチル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸、2−(2−カルボキシエチル)−6−カルボキシヘキサン酸メチル、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−6−カルボキシヘキサン酸、2−(2−カルボキシプロピル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸、2−(2−カルボキシプロピル)−6−カルボキシヘキサン酸メチル、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−12−カルボキシドデカン酸、2−(2−カルボキシエチル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸、2−(2−カルボキシエチル)−12−カルボキシドデカン酸メチル、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−12−カルボキシドデカン酸、2−(2−カルボキシプロピル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸、又は2−(2−カルボキシプロピル)−12−カルボキシドデカン酸メチルのいずれかである、請求項9に記載の電解コンデンサ用電解液。
  15. トリカルボン酸部分エステルが、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−6−メトキシカルボニルヘキサン酸、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−12−メトキシカルボニルドデカン酸、2−(2−メトキシカルボニルプロピル)−5−カルボキシペンタン酸、2−(2−カルボキシプロピル)−5−メトキシカルボニルペンタン酸、2−(2−メトキシカルボニルエチル)−6−カルボキシヘキサン酸、又は2−(2−カルボキシエチル)−6−カルボキシヘキサン酸メチルのいずれかである、請求項9に記載の電解コンデンサ用電解液。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解液を用いた電解コンデンサ。
  17. 下記式(B1)で表されるトリカルボン酸。
    Figure 2015012367
    (式中、R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく、R9’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数であり、このトリカルボン酸の総炭素数は10以上45以下である。)
  18. 下記式(C1)で表されるトリカルボン酸トリエステル。
    Figure 2015012367
    (式中、R1’、R2’及びR3’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R9’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し;nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。)
  19. 式(D1)で表されるトリカルボン酸部分エステル。
    Figure 2015012367
    (式中、R、R及びRは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよいが、RからRのすべてが水素原子又はアルキル基であるものは除く。R、R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。但し、式(D1)で表される化合物の炭素数は10以上50以下である。)
  20. 塩基存在下、下記式(C2)で表されるケトンと下記式(C3)で表されるアルコールと反応させ、下記式(C1)で表されるトリカルボン酸トリエステルを得ることを特徴とする、トリカルボン酸トリエステルの製造方法。
    Figure 2015012367
    (式中、R1’、R2’及びR3’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R9’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し;nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。)
    Figure 2015012367
    (式中、R2e及びR3eは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい;R9’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し;nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。)
    1’−OH (C3)
    (式中、R1’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
  21. 塩基及び下記式(C3)で表されるアルコール存在下、下記式(C4)で表されるケトエステルと下記式(C5)又は(C6)で表されるエステルとを反応させ、生成する下記式(C2)で表されるケトンを単離することなく下記式(C1)で表されるトリカルボン酸トリエステルを得ることを特徴とする、下記式(C1)で表されるトリカルボン酸トリエステルの製造方法。
    Figure 2015012367
    (式中、R1’、R2’及びR3’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R9’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し;nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。)
    Figure 2015012367
    (式中、R2e及びR3eは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R9’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し;nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。)
    1’−OH (C3)
    (式中、R1’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
    Figure 2015012367
    (式中、R2eは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し;R4及びR5は、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。)
    Figure 2015012367
    (式中、R3eは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し;R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R9’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
    Figure 2015012367
    (式中、R3eは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し;R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく;R9’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し;Xはハロゲン原子、ヒドロキシスルホニルオキシ基、置換基を有している又は有していないアルキルスルホニルオキシ基、及び置換基を有している又は有していないアリールスルホニルオキシ基から選ばれる脱離性基を表す。)
  22. 式(D3)で表されるトリカルボン酸無水物。
    Figure 2015012367
    (式中、R1bは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R、R、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい。nはメチレン基の数を表し、2〜14の整数である。)
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