JP3288644B2 - N−置換環状アミジンの製造方法 - Google Patents

N−置換環状アミジンの製造方法

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JP3288644B2
JP3288644B2 JP08665599A JP8665599A JP3288644B2 JP 3288644 B2 JP3288644 B2 JP 3288644B2 JP 08665599 A JP08665599 A JP 08665599A JP 8665599 A JP8665599 A JP 8665599A JP 3288644 B2 JP3288644 B2 JP 3288644B2
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孝夫 向井
茂 山田
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、N−置換環状アミ
ジンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、N−置換環状アミジンの製造方法
としては、複素環を構成する窒素原子に結合した活性水
素を有する環状アミジンと、ハロゲン化アルキルを反応
させる方法が古くから知られている。しかしながらこの
方法では、反応物が、N−置換環状アミジンと、N,
N’−2置換環状アミジンとの混合物となり、収率が悪
いという問題がある。この問題を解決するため、KOH
等の塩基性物質の存在下に、環状アミジンと、ハロゲン
化アルキルを反応させる方法(特公昭43−12354
号公報)が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法ではKOH等の塩基性物質がアミジンと等モル必要で
ある上、反応の副生物としてKCl等の塩が等モル副生
するため、これを除去する工程が余分に必要になる。K
OHのような強アルカリ性物質を多量に使用するため、
反応槽としてはガラス製反応槽が使用できず、また、ハ
ロゲン化物が大量に副生するため、腐食性の問題からス
テンレス製反応槽が使用できず、テフロン(登録商標)
ライニング等のきわめて特殊な反応槽を必要とする問題
点が有る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、選択的に
高い収率でN−アルキル1置換環状アミジンが得られ、
また、特殊な反応槽を必要としない製造法について鋭意
検討した結果、本発明に到達した。
【0005】すなわち本発明は、複素環を構成する窒素
原子に結合した活性水素を有する環状アミジン(a)と
炭酸ジエステル(b)を非プロトン性溶媒中で反応させ
て、副生する炭酸ガスを系外に除去しながら反応させる
ことを特徴とする、N−置換環状アミジン(c)の製造
方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明で使用される環状アミジン
(a)は複素環を構成する窒素原子に結合した活性水素
を有するものであり、一般式(1)で示されるものが使
用できる。
【0007】
【化1】
【0008】[式中Rは、水酸基で置換されていてもよ
い炭素数1〜20の1価の炭化水素基(アルキル基、ア
リール基、アラルキル基等)または水素原子;Qは、炭
素数1〜5の1価の炭化水素基、アミノ基、ニトロ基、
シアノ基、カルボキシル基もしくはアルデヒド基で置換
されていてもよい炭素数2〜10の2価の炭化水素基
(アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基等)を
表す。] Rの例としては、メチル基、エチル基、n−,i−プロ
ピル基、n−,i−,t−,sec−ブチル基、フェニ
ル基、ベンジル基、ヒドロキシエチル基等が挙げられ
る。Qの例としては、エチレン基、プロピレン基、メチ
ルエチレン基、エテニル基、メチルエテニル基、アミノ
エチレン基、ニトロエチレン基、シアノエチレン基、カ
ルボキシエチレン基、ホルミルエチレン基等が挙げられ
る。(a)の具体例としては以下のものが挙げられる。 ・イミダゾール誘導体:2,4−ジメチルイミダゾー
ル、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデ
シルイミダゾール、および好ましくはイミダゾール、2
−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−
ブチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−フ
ェニルイミダゾール、2−ベンジルイミダゾール、ベン
ズイミダゾール等; ・イミダゾリン誘導体:2,4−ジメチルイミダゾリ
ン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2−ウンデ
シルイミダゾリン、および好ましくはイミダゾリン、2
−メチルイミダゾリン、2−エチルイミダゾリン、2−
ブチルイミダゾリン、4−メチルイミダゾリン、2−フ
ェニルイミダゾリン、2−ベンジルイミダゾリン等; ・ピリミジン誘導体:2−エチル−1,4,5,6−テ
トラヒドロピリミジン、2−ベンジル−1,4,5,6
−テトラヒドロピリミジン、および好ましくは1,4,
5,6−テトラヒドロピリミジン、2−メチル−1,
4,5,6−テトラヒドロピリミジン等 これらのうちさらに好ましいものは、イミダゾール、2
−メチルイミダゾール、イミダゾリン、2−メチルイミ
ダゾリン、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジンお
よび2−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミ
ジンである。
【0009】本発明で使用される炭酸ジエステル(b)
としては、置換基の炭素数が1〜12またはそれ以上の
もの、例えばジメチル炭酸、メチルエチル炭酸、ジエチ
ル炭酸、メチル−i−プロピル炭酸、ジ−n−プロピル
炭酸、ジ−i−プロピル炭酸、ジ−n−ブチル炭酸、ジ
−i−ブチル炭酸、ジ−t−ブチル炭酸、ジ−sec−
ブチル炭酸、ジぺンチル炭酸、ジヘキシル炭酸、ジヘプ
チル炭酸、ジオクチル炭酸、ジベンジル炭酸、ジノニル
炭酸、ジデシル炭酸、ジウンデシル炭酸、ジドデシル炭
酸等が挙げられる。これらのうちで好ましいものは反応
の選択率と反応速度の観点から、二つの置換基が同じも
の、特に炭素数が2〜8のジアルキル炭酸である。
【0010】本発明における(a)と(b)の反応モル
比は特に制限はないが、反応の選択率の観点から通常
(a)/(b)=1/5〜1/1であり、好ましくは
(a)/(b)=1/2〜1/1である。
【0011】本発明における(c)の製造法は溶媒を用
いて行ってもよく、その場合は反応収率の観点から非プ
ロトン性溶媒が好ましい。
【0012】本発明に用いられる非プロトン性溶媒とし
ては、以下の有機溶媒が挙げられ、これらの2種以上を
併用することもできる。 ・エーテル類:鎖状エーテル[炭素数2〜6(ジメチル
エーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメ
チルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、
ジエチレングリコールジメチルエーテル等)、炭素数7
〜16(ジ−n−ブチルエーテル、ジベンジルエーテ
ル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等)];環
状エーテル(テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラ
ン、1,4−ジオキサン等)。 ・ケトン類:鎖状ケトン[炭素数2〜6(アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、炭素
数7〜16(ジ−n−ブチルケトン、ジベンジルケトン
等)];環状ケトン(シクロヘキサノン等)。 ・アミド類:鎖状アミド[炭素数2〜6(N,N−ジメ
チルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、
N,N−ジメチルプロピオンアミド等)、炭素数7〜1
6(ヘキサメチルホスホリルアミド等)];環状アミド
(N−メチルピロリドン等)。 ・ラクトン類:炭素数2〜4(γ−ブチロラクトン、α
−アセチル−γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン
等);炭素数5〜12(γ−バレロラクトン、δ−バレ
ロラクトン等)。 ・ニトリル類:アセトニトリル、プロピオニトリル、ア
クリロニトリル等スルホキシド類:鎖状スルホキシド
(ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等);
環状スルホキシド(スルホラン、3−メチルスルホラ
ン、2,4−ジメチルスルホラン等)。 ・芳香族類:トルエン、キシレン等 ・パラフィン類:ヘキサン、シクロヘキサン、オクタ
ン、イソオクタン等 ・複素環式有機溶媒:N−メチル−2−オキサゾリジノ
ン、3,5−ジメチル−2−オキサゾリジノン、1,3
−ジメチル−2−イミダゾリジノン等 上記のうち好ましいものはエーテル類であり、さらに好
ましいものとしては、炭素数2〜6の鎖状エーテルおよ
び環状エーテルであり、特に好ましいものとしては、ジ
メチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコー
ルジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエー
テル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキ
サン等である。
【0013】本発明の(c)の製造法における溶媒の使
用量は特に限定は無いが、工業的な生産速度の観点か
ら、環状アミジンの重量に対して、通常0.2〜10
倍、好ましくは0.5〜3倍である。
【0014】反応の温度は特に限定はないが、反応速度
の観点から、通常100〜250℃、好ましくは120
〜220℃、特に好ましくは150〜200℃である。
また、反応時の圧力は反応速度と安全性の観点から、通
常0〜20kgG/cm2、好ましくは3〜10kgG
/cm2である。
【0015】本発明(c)の製造法における反応は下記
反応式(2)に従って進行し、
【0016】
【化2】
【0017】[式中R1はRと異なる置換基を表す。]
反応に伴い等モル量の炭酸ガスとアルコールが副生して
くる。従って、工業的反応制御並びに安全性の観点か
ら、通常副生する炭酸ガスを系外に除去しながら反応を
進める。炭酸ガスの抜き方としては、特に制約はなく、
通常、加圧状態で還流コンデンサを通じ、溶媒を凝縮さ
せ系内にもどしつつ、炭酸ガスだけを選択的に除去する
方法が取られる。反応の進行状況は、炭酸ガスの発生量
をチェックすることで可能である。また、反応の終点は
炭酸ガスの発生の停止または液体クロマトグラフィー等
の分析により確認することができ、生成物および反応の
選択率は液体クロマトグラフィーやNMR等で確認でき
る。反応の選択率は通常70〜100%、好ましくは9
0〜100%である。
【0018】本発明における(e)は本発明の製造方法
で得られる(c)を、(c)の窒素原子に結合した置換
基と異なる置換基を有する4級化剤(d)を用いて製造
することができる。4級化剤(d)としては、置換基の
炭素数が1〜12またはそれ以上のもの、その具体例と
しては以下のものが挙げられる。 ジアルキル炭酸類:ジメチル炭酸、メチルエチル炭酸、
ジエチル炭酸、メチル−i−プロピル炭酸、ジ−n−プ
ロピル炭酸、ジ−i−プロピル炭酸、ジ−n−ブチル炭
酸、ジ−i−ブチル炭酸、ジ−t−ブチル炭酸、ジ−s
ec−ブチル炭酸、ジぺンチル炭酸、ジヘキシル炭酸、
ジヘプチル炭酸、ジオクチル炭酸、ジベンジル炭酸、ジ
ノニル炭酸、ジデシル炭酸、ジウンデシル炭酸、ジドデ
シル炭酸等; ジアルキル硫酸類:ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、その
他上記ジアルキル炭酸の炭酸を硫酸に置き換えたもの
等; アルキル(またはアラルキル)ハライド類:メチルクロ
ライド、エチルクロライド、n−プロピルクロライド、
i−プロピルクロライド、n−ブチルクロライド、i−
ブチルクロライド、t−ブチルクロライド、sec−ブ
チルクロライド、ぺンチルクロライド、ヘキシルクロラ
イド、ヘプチルクロライド、オクチルクロライド、ベン
ジルクロライド、ノニルクロライド、デシルクロライ
ド、ウンデシルクロライド、ドデシルクロライド等、並
びに上記クロライドの塩素を臭素、ヨウ素に置き換えた
もの等が挙げられる。 これらのうちで反応速度の観点から好ましいものは、ジ
アルキル硫酸類およびアルキルハライド類であり、生成
物はそれぞれ4級アミジニウムモノアルキル硫酸塩およ
び4級アミジニウムハライドである。一方、(e)を電
解液原料として使用する場合は、ハロゲンイオンや、硫
酸イオンの混入のおそれが無いジアルキル炭酸類が好ま
しく、この場合生成物は4級アミジニウムモノアルキル
炭酸塩になる。ジアルキル炭酸類の中でも、反応速度お
よび選択性の観点からさらに好ましいものは、二つのア
ルキル基が同じもの、特に炭素数1〜8のジアルキル炭
酸である。
【0019】本発明における(c)と(d)の反応モル
比は特に制限はないが、反応速度の観点から通常(c)
/(d)=1/3〜1/1であり、好ましくは(c)/
(d)=1/2〜1/1である。
【0020】本発明における(e)の製造法は溶媒を用
いて行ってもよく、その場合は反応速度の観点から極性
有機溶媒が好ましい。
【0021】本発明における(e)の製造法で使用され
る極性有機溶媒としては、以下の有機溶媒が挙げられ、
これらの2種以上を併用することもできる。 ・アルコール類:1価アルコール(メチルアルコール、
エチルアルコール、n−およびi−プロピルアルコー
ル、n−、i−、sec−およびt−ブチルアルコー
ル、フルフリルアルコール、ベンジルアルコール等;2
価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール
等;3価またはそれ以上の多価アルコール(グリセリン
等)。 ・エーテル類:鎖状エーテル(エチレングリコールモノ
メチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエー
テル等);環状エーテル(テトラヒドロフラン、1,3
−ジオキソラン、1,4−ジオキサン等)。 ・アミド類:ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、
N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N
−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,
N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトア
ミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ヘキサメチ
ルホスホリルアミド、N−メチルピロリドン、N−エチ
ルピロリドン等。 ・ラクトン類:γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ
−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレロラ
クトン、δ−バレロラクトン等。 ・ニトリル類:アセトニトリル、プロピオニトリル、ブ
チロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル等。 スルホキシド類:ジメチルスルホキシド、スルホラン、
3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン
等。 ・その他有機溶媒:複素環式溶媒(N−メチル−2−オ
キサゾリジノン、3,5−ジメチル−2−オキサゾリジ
ノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)
【0022】前記例示した溶媒は常温で液状であり、通
常(c)および(d)を溶解するのに用いられ、沸点と
しては通常35〜260℃、好ましくは50〜200℃
である。溶媒として好ましいものは、反応速度の観点か
らアルコール類、アミド類、ニトリル類、ラクトン類で
あり、特に好ましいものは、アルコール類としてはメチ
ルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコー
ル、ベンジルアルコール、エチレングリコール、アミド
類としてはN−メチルホルムアミド、N,N−ジメチル
ホルムアミド、N−メチルピロリドン、ニトリル類とし
てはアセトニトリル、ベンゾニトリル、ラクトン類とし
てはγ−ブチロラクトンである。
【0023】溶媒の使用量は特に限定は無いが、反応速
度の観点から(c)の重量に対して、通常0.2〜10
倍、好ましくは0.5〜3倍である。
【0024】反応の温度は特に限定はないが、反応速度
の観点から、通常100〜250℃、好ましくは120
〜200℃である。
【0025】反応は発熱反応であり、反応の進行状況は
発熱量のチェックで確認することができ、また生成物の
確認と反応の終点は液体クロマトグラフィー等の分析に
より確認することが可能である。
【0026】本発明における(g)は、本発明(e)の
製造方法で得られる非対称第4級アミジニウム塩(e)
のアニオンを、過塩素酸、4フッ化ホウ酸、6フッ化リ
ン酸、6フッ化砒素酸、6フッ化アンチモン酸、パーフ
ルオロアルカンスルホン酸およびパーフルオロアルカン
スルホニルイミドからなる群から選ばれる1種または2
種以上の酸(f)で置換することにより製造することが
できる。
【0027】反応の条件は、当モル量の(e)と(f)
を混合することにより、定量的に進めることができる。
反応の温度は特に限定されないが、通常10〜40℃の
温度で行われる。
【0028】反応の溶媒は通常、(e)の製造方法で使
用した溶媒をそのまま使用することもできるし、さら
に、酸を溶解するための水をこれに追加して使用しても
かまわない。追加する水の量は、溶媒重量に対して、通
常0.05〜3倍、好ましくは0.1〜1倍である。
【0029】反応に使用する(e)は、(e)を製造す
るときに用いた4級化剤(d)によって、4級アミジニ
ウムモノアルキル硫酸塩、4級アミジニウムハライドま
たは4級アミジニウムモノアルキル炭酸塩となり、それ
ぞれに処理条件が異なる。(e)が4級アミジニウムモ
ノアルキル硫酸塩の場合は、(g)の生成に伴い、アル
コールと硫酸が副生してくる。電解液として使用する場
合は、硫酸イオンの混入が品質を悪化させるため、通常
当モル量の水酸化バリウムをさらに添加し、不溶性の硫
酸バリウムの沈殿を生成させろ別することで除去する。
その後、溶剤と副生したアルコールを蒸留により除去
し、(g)を単離する。(e)が4級アミジニウムハラ
イドの場合は、(g)の生成に伴い、塩酸が副生してく
る。電解液として使用する場合は、塩素イオンの混入が
品質を悪化させるため、通常当モル量の酸化銀をさらに
添加し、不溶性の塩化銀の沈殿を生成させ、ろ別するこ
とで除去する。その後、溶剤を蒸留により除去し、
(g)を単離する。(e)が4級アミジニウムモノアル
キル炭酸塩の場合は、(g)の生成に伴い、アルコール
と炭酸ガスが副生してくる。炭酸ガスは気体として発生
し系外に除去できるため、溶剤と副生したアルコールを
蒸留により除去し、(g)を単離する。上記の(e)の
内、反応の簡便性ならびに不純物の混入可能性の観点か
ら、4級アミジニウムモノアルキル炭酸塩が好ましい。
【0030】本発明における(i)は本発明(g)の製
造方法で得られる非水電解液用電解質を、環状カーボネ
ート類、鎖状カーボネート類、環状スルホン類およびエ
ーテル類からなる群から選ばれる溶媒(h)に溶解させ
ることにより製造することができる。
【0031】(h)の具体例としては、本発明の(c)
の製造法で使用できる非プロトン性溶媒と同じものが使
用できる。更に以下に例示するものも使用が可能で、こ
れらのうち2種以上を併用することも可能である。 ・カーボネート類:鎖状カーボネート(ジメチルカーボ
ネート、ジエチルカーボネート等);環状カーボネート
(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブ
チレンカーボネート等)。 前記溶媒は、電気化学的な安定性と電解質の溶解性の観
点から選ばれており、好ましくは、エーテル類、ラクト
ン類、カーボネート類、スルホキシド類であり、特に好
ましくはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネー
ト、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジ
エチルカーボネート等のカーボネート類またはジメチル
スルホキシド、スルホラン、3−メチルスルホラン、
2,4−ジメチルスルホラン等のスルホキシド類であ
る。
【0032】本発明の電解質を前記有機溶媒に溶解して
使用する場合の濃度は、電解質の重量が電解液の重量全
体に対して、電気電導度と溶解度の観点から通常5〜4
0%であり、好ましくは10〜30%である。
【0033】本発明の方法で得られる(c)は、アルミ
電解コンデンサ用電解液や電気二重層コンデンサ用電解
液などの電解質原料として有用である。他にも、数々の
触媒(例えば、イソシアネート三量化触媒、エポキシ樹
脂硬化触媒等)として有用である。本発明の方法で得ら
れる(e)は、アルミ電解コンデンサ用電解液や電気二
重層コンデンサ用電解液などの電解質原料として有用で
ある。
【0034】
【実施例】次に本発明の具体的な実施例について説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。例の中
で、部は重量部を示す。
【0035】実施例1 還流コンデンサ付きステンレス製オートクレーブに、テ
トラヒドロフラン144部、イミダゾール68部、ジエ
チル炭酸236部を仕込み均一に溶解させた。ついで1
70℃まで昇温し反応を開始した。反応に伴い、圧力が
徐々に上昇したので、圧力が6.5kg/cm2になる
様に連続的に炭酸ガスを抜きつつ6時間反応を行った。
冷却後、高速液体クロマトグラフィーで反応物の分析を
行ったところ、1−エチルイミダゾール95モル%、
1,3−ジエチルイミダゾリウムエチル炭酸塩3モル
%、イミダゾール2モル%であった。この反応物を蒸留
して、1−エチルイミダゾール88部を得た(収率=9
2%)。
【0036】実施例2 還流コンデンサ付きステンレス製オートクレーブに、
1,3−ジオキソラン148部、イミダゾール68部、
ジエチル炭酸236部を仕込み均一に溶解させた。つい
で170℃まで昇温し反応を開始した。反応に伴い、圧
力が徐々に上昇したので、圧力が6.5kg/cm2
なる様に連続的に炭酸ガスを抜きつつ6時間反応を行っ
た。冷却後、高速液体クロマトグラフィーで反応物の分
析を行ったところ、1−エチルイミダゾール96モル
%、1,3−ジエチルイミダゾリウムエチル炭酸塩2モ
ル%、イミダゾール2モル%であった。この反応物を蒸
留して、1−エチルイミダゾール90部を得た(収率=
94%)。
【0037】実施例3 還流コンデンサ付きステンレス製オートクレーブに、ジ
エチレングリコールジメチルエーテル268部、イミダ
ゾール68部、ジメチル炭酸180部を仕込み均一に溶
解させた。ついで180℃まで昇温し反応を開始した。
反応に伴い、圧力が徐々に上昇したので、圧力が6.5
kg/cm2になる様に連続的に炭酸ガスを抜きつつ6
時間反応を行った。冷却後、高速液体クロマトグラフィ
ーで反応物の分析を行ったところ、1−メチルイミダゾ
ール94モル%、1,3−ジメチルイミダゾリウムメチ
ル炭酸塩3モル%、イミダゾール3モル%であった。こ
の反応物を蒸留して、1−メチルイミダゾール74部を
得た(収率=90%)。
【0038】実施例4 還流コンデンサ付きステンレス製オートクレーブに、
1,3−ジオキソラン148部、2−メチルイミダゾリ
ン84部、ジエチル炭酸236部を仕込み均一に溶解さ
せた。ついで170℃まで昇温し反応を開始した。反応
に伴い、圧力が徐々に上昇したので、圧力が6.5kg
/cm2になる様に連続的に炭酸ガスを抜きつつ6時間
反応を行った。冷却後、高速液体クロマトグラフィーで
反応物の分析を行ったところ、1−エチル−2−メチル
イミダゾリン96モル%、1,3−ジエチル−2−メチ
ルイミダゾリニウムエチル炭酸塩3モル%、イミダゾー
ル1モル%であった。この反応物を蒸留して、1−エチ
ル−2−メチルイミダゾリン103部を得た(収率=9
0%)。
【0039】参考例1 実施例1で得た1−エチルイミダゾール96部、ジメチ
ル炭酸180部およびメタノール128部をステンレス
製オートクレーブに仕込み均一に溶解させた。ついで1
30℃まで昇温し反応を開始した。圧力約5kg/cm
2で40時間反応を行った。冷却後、反応液をNMR分
析した結果、1−エチルイミダゾールが消失し、1−エ
チル−3−メチルイミダゾリウムモノメチル炭酸塩がほ
ぼ定量的に生成していることがわかった。また、高速液
体クロマトグラフィー分析で反応物の分析を行ったとこ
ろ、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムモノメチル
炭酸塩への転化率は99.5%であった。
【0040】参考例2 参考例1で得た1−エチル−3−メチルイミダゾリウム
モノメチル炭酸塩/メタノール/ジメチル炭酸溶液40
4部(塩純分46重量%)をフラスコに取り、攪拌下に
ホウフッ化水素酸水溶液209部(純分42重量)%を
室温下約30分かけて徐々に滴下した。滴下に伴い、炭
酸ガスの泡が発生した。滴下終了後、泡の発生がおさま
った後、反応液をロータリーエバポレーターに移し、溶
媒を全量留去した。フラスコ内に無色透明の液体が19
8部残った。この液をNMR分析した結果、1−エチル
−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボーレート
であった(収率:100%)。
【0041】参考例3 参考例2で得た1−エチル−3−メチルイミダゾリウム
テトラフルオロボーレート11部とプロピレンカーボネ
ート89と混合し、均一に溶解させた。得られた電解液
の電気伝導度を測定した結果、11mS/cmであっ
た。
【0042】比較例1 還流コンデンサ付きステンレス製オートクレーブに、テ
トラヒドロフラン144部、イミダゾール68部を仕込
み均一に溶解させた。ついで70℃まで昇温し、エチル
クロライド71部を徐々に滴下した。反応に伴い温度上
昇が見られたので、温度を70±5℃を保つように約2
時間かけて滴下し、滴下終了後、約2時間熟成を行っ
た。冷却後、高速液体クロマトグラフィーで反応物の分
析を行ったところ、1−エチルイミダゾール50モル
%、1,3−ジエチルイミダゾリウムクロライド30モ
ル%、イミダゾール20モル%であった。この反応物を
蒸留して、1−エチルイミダゾール38部を得た(収率
=40%)。
【0043】比較例2 還流コンデンサ付きステンレス製オートクレーブに、テ
トラヒドロフラン144部、イミダゾール68部、水酸
化カリウム56部を仕込み均一に溶解させた。ついで7
0℃まで昇温し、エチルクロライド71部を徐々に滴下
した。反応に伴い温度上昇が見られたので、温度を70
±5℃を保つように約2時間かけて滴下し、滴下終了
後、約2時間熟成を行った。冷却後、高速液体クロマト
グラフィーで反応物の分析を行ったところ、1−エチル
イミダゾール93モル%、1,3−ジエチルイミダゾリ
ウムクロライド4モル%、イミダゾール3モル%であっ
た。また、反応により副生した塩化ナトリウムが、約5
0部槽内に沈殿した。この反応物を蒸留したが、槽内で
固化して、1−エチルイミダゾールの収量は67部であ
った(収率=70%)。表1に実施例1〜4と比較例
1、2の結果をまとめた。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】本発明の製造方法によると、複素環を構
成する窒素原子に結合した活性水素を有する環状アミジ
ンのモノアルキル化が高選択率で可能となり、収率も大
幅に向上する。また、得られたアルキル環状アミジンを
アルキル環状アミジンの窒素原子に結合したアルキル基
と異なる置換基を有する4級化剤で4級化することによ
り得られる非対称4級アミジニウム塩およびこれをさら
に強酸の塩に塩交換して得られる電解質は、対称の4級
アミジニウム塩と比較して、溶解性および低温特性が優
れ、非水電解液用電解質として有用である。さらに、こ
の電解質を有機溶媒に溶解した電解液は、不純物が少な
く高品質の非水電解液となり、アルミ電解コンデンサ用
電解液や電気二重層コンデンサ用電解液等として極めて
有用である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−67672(JP,A) 特開 平9−278759(JP,A) 特開 平10−120690(JP,A) 特開 平9−45589(JP,A) Journal of the El ectrochemical Soci ety;vol. (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 233/06 C07D 233/58 C07D 239/26 CA(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複素環を構成する窒素原子に結合した活
    性水素を有する環状アミジン(a)と炭酸ジエステル
    (b)を非プロトン性溶媒中で反応させて、副生する炭
    酸ガスを系外に除去しながら反応させることを特徴とす
    る、N−置換環状アミジン(c)の製造方法。
  2. 【請求項2】 (b)が、置換基の炭素数が2〜8のア
    ルキル基の炭酸ジエステルである請求項1記載の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 (a)が、イミダゾール誘導体、イミダ
    ゾリン誘導体およびピリミジン誘導体からなる群から選
    ばれる1種以上である請求項1または2記載の製造方
    法。
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