JPWO2014192826A1 - バラ科果実の追熟方法 - Google Patents

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Abstract

酸素を負荷した雰囲気下でバラ科果実を熟成させることを特徴とするバラ科果実の追熟方法、また、前記特徴と同様の特徴を有するバラ科果実の保管方法、エステル産生増大方法、ラクトン産生増大方法、追熟果実の製造方法、ならびに、これらの方法により得られた追熟果実、該果実を用いる加工品、該果実を用いる果実酒の製造方法及び該方法により得られた果実酒。本発明によれば、より芳香に優れる追熟果実を得ることが可能となる。また、該追熟果実を用いることで、フルーティーな果実酒を提供できる。

Description

本発明は、バラ科果実の追熟方法に関する。より詳しくは、バラ科果実の追熟方法、保管方法、エステル産生増大方法、ラクトン産生増大方法、追熟果実の製造方法、ならびに、これらの方法により得られた追熟果実、該果実を用いる加工品、該果実を用いる果実酒の製造方法及び該方法により得られた果実酒に関する。
一般に、梅酒を製造するには、比較的若い青梅と呼ばれる未熟な梅果実(青梅)を砂糖と共にホワイトリカーに浸漬し、梅の成分をホワイトリカーに浸出させた後、半年から一年程度熟成させる。その際に、青梅の代わりに完熟梅や追熟梅を用いることで、より香りに優れる梅酒が得られることも知られている。
例えば、フルーティーな梅酒を得るために、追熟梅を用いて梅酒を製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。特許文献2では、完熟梅又は追熟梅を凍結して浸漬することにより、完熟香気成分を高いレベルで含む梅酒が製造できることが開示されている。また、非特許文献1では、梅果実の追熟条件の違いが梅酒中の香気成分や苦味成分に及ぼす影響を報告している。非特許文献2では、梅酒中の芳香成分含有量が梅果実の果皮色及び果実硬度と相関することを見出し、これらを熟度指標として原料梅果実を選定することができることを報告している。非特許文献3は、熟度が進んだ果実は収穫後速やかに加工し、熟度があまり進んでいない果実は追熟してから加工する方がよいと梅果実の収穫時期と追熟期間の関係を調査した結果が開示されている。
また、非特許文献4には、バラ科果実であるアンズ果実やスモモ果実において、エステル類やラクトン類が重要な香り成分であることが示されている。非特許文献5にも同様に、バラ科果実であるモモ果実において、エステル類やラクトン類、特にモモ果実の場合はラクトン類が重要な香り成分であることが示されている。
特開2004−57036号公報 特開2011−115118号公報
園学研11(2)273−279.2012 ウメ‘南高’果実の追熟条件が梅酒の香気成分および苦味成分に及ぼす影響 園学研11(4)515−521.2012 高い芳香成分を有する梅酒製造のためのウメ‘南高’果実の熟度指標 園学研7(2)299−303.2008 異なる熟度で収穫したウメ‘南高’果実の追熟期間が果実および梅酒の品質に及ぼす影響 Plant Breed.111(3),236 (1993):Transmisson of Biochemical Flavor Constitutes from Apricot and Plum to their Interspecific Hybrid J. Agric. Food Chem., Vol. 58, No. 10, 2010:Expression of Genes Associated with Aroma Formation Derived from the Fatty Acid Pathway during Peach Fruit Ripening
従来技術に拠って、バラ科果実を追熟させることは可能である。しかし、その条件としては、例えば、非特許文献1に記載されるように追熟温度や追熟期間が検討されているに過ぎず、その他の条件が熟成程度にどのような影響を及ぼすかについては未だ知られていない。
本発明の課題は、品質のより優れる追熟果実が得られるバラ科果実の追熟方法、保管方法、エステル産生増大方法、ラクトン産生増大方法、追熟果実の製造方法、ならびに、これらの方法により得られた追熟果実、該果実を用いる加工品、該果実を用いる果実酒の製造方法及び該方法により得られた果実酒を提供することにある。
そこで、本発明者らは、前記課題を解決する為に検討を重ねた結果、収穫直後のバラ科果実を酸素を負荷した雰囲気下で保管することで、芳香成分をより多く含有する追熟果実が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記〔1〕〜〔36〕に関する。
〔1〕 酸素を負荷した雰囲気下でバラ科果実を熟成させる、バラ科果実の追熟方法。
〔2〕 酸素濃度が40〜80体積%の雰囲気である、前記〔1〕記載の方法。
〔3〕 バラ科果実が、梅果実、リンゴ果実、スモモ果実、アンズ果実、及びイチゴ果実からなる群より選ばれる、前記〔1〕又は〔2〕記載の方法。
〔4〕 酸素を負荷した雰囲気下でバラ科果実を保管する、バラ科果実の保管方法。
〔5〕 酸素濃度が40〜80体積%の雰囲気である、前記〔4〕記載の方法。
〔6〕 バラ科果実が、梅果実、リンゴ果実、スモモ果実、アンズ果実、及びイチゴ果実からなる群より選ばれる、前記〔4〕又は〔5〕記載の方法。
〔7〕 酸素を負荷した雰囲気下でバラ科果実を保存してエステルを産生させる、バラ科果実のエステル産生増大方法。
〔8〕 酸素濃度が40〜80体積%の雰囲気である、前記〔7〕記載の方法。
〔9〕 バラ科果実が、梅果実、リンゴ果実、スモモ果実、アンズ果実、及びイチゴ果実からなる群より選ばれる、前記〔7〕又は〔8〕記載の方法。
〔10〕 酸素を負荷した雰囲気下でバラ科果実を保存してラクトンを産生させる、バラ科果実のラクトン産生増大方法。
〔11〕 酸素濃度が40〜80体積%の雰囲気である、前記〔10〕記載の方法。
〔12〕 バラ科果実が、梅果実、リンゴ果実、スモモ果実、アンズ果実、及びイチゴ果実からなる群より選ばれる、前記〔10〕又は〔11〕記載の方法。
〔13〕 酸素を負荷した雰囲気下でバラ科果実を保存して追熟果実とする、追熟果実の製造方法。
〔14〕 酸素濃度が40〜80体積%の雰囲気である、前記〔13〕記載の方法。
〔15〕 バラ科果実が、梅果実、リンゴ果実、スモモ果実、アンズ果実、及びイチゴ果実からなる群より選ばれる、前記〔13〕又は〔14〕記載の方法。
〔16〕 前記〔13〕〜〔15〕いずれかに記載の製造方法により得られたバラ科果実の追熟果実。
〔17〕 前記〔16〕に記載の追熟果実を原料として用いて得られたバラ科果実の加工品。
〔18〕 加工品が梅酒である、前記〔17〕記載の加工品。
〔19〕 酸素を負荷した雰囲気下で熟成させたバラ科果実を原料として用いる、果実酒の製造方法。
〔20〕 酸素濃度が40〜80体積%の雰囲気である、前記〔19〕記載の方法。
〔21〕 バラ科果実が、梅果実、リンゴ果実、スモモ果実、アンズ果実、及びイチゴ果実からなる群より選ばれる、前記〔19〕又は〔20〕記載の方法。
〔22〕 前記〔19〕〜〔21〕いずれかに記載の製造方法により得られたバラ科果実の果実酒。
〔23〕 果実酒が梅酒である、前記〔22〕記載の果実酒。
〔24〕 酸素を負荷した雰囲気下で梅果実を熟成させる、梅果実の追熟方法。
〔25〕 酸素濃度が40〜80体積%の雰囲気である、前記〔24〕記載の方法。
〔26〕 酸素を負荷した雰囲気下で梅果実を保管する、梅果実の保管方法。
〔27〕 酸素濃度が40〜80体積%の雰囲気である、前記〔26〕記載の方法。
〔28〕 酸素を負荷した雰囲気下で梅果実を保存してエステルを産生させる、梅果実のエステル産生増大方法。
〔29〕 酸素濃度が40〜80体積%の雰囲気である、前記〔28〕記載の方法。
〔30〕 酸素を負荷した雰囲気下で梅果実を保存してラクトンを産生させる、梅果実のラクトン産生増大方法。
〔31〕 酸素濃度が40〜80体積%の雰囲気である、前記〔30〕記載の方法。
〔32〕 酸素を負荷した雰囲気下で梅果実を保存して追熟梅とする、追熟梅の製造方法。
〔33〕 酸素濃度が40〜80体積%の雰囲気である、前記〔32〕記載の方法。
〔34〕 酸素を負荷した雰囲気下で熟成させた梅果実を梅酒原料として用いる、梅酒の製造方法。
〔35〕 酸素濃度が40〜80体積%の雰囲気である、前記〔34〕記載の方法。
〔36〕 前記〔34〕又は〔35〕記載の製造方法により得られた梅酒。
本発明の追熟方法により、芳香成分をより多く含有する追熟果実を得ることが可能になる。また該方法により追熟させた果実を用いることにより、よりフルーティーな果実酒を製造することができる。
図1は、追熟させた梅果実中のエステル含有量を示す図である。 図2は、追熟させた梅果実中のラクトン含有量を示す図である。 図3は、追熟させた梅果実の水蒸気蒸留回収液についてガスクロマトグラフ分析を行ったチャートの一例を示す図である。 図4は、追熟させたリンゴ果実中のエステル含有量を示す図である。
本発明のバラ科果実の追熟方法は、酸素を負荷した雰囲気下でバラ科果実を熟成させることに特徴を有する。バラ科果実において、エステル類、ラクトン類は重要な香り成分であり、これらは植物に共通した生成機構により合成される。例えば、エステル類は、前駆体であるアルコール類と有機酸類がエステル結合酵素AAT(アルコールアシルトランスフェラーゼ)によってATPエネルギーを用いて結合することにより生成することが知られている。また、ラクトン類は脂肪酸の分解、酸化、還元、環化により生成すると考えられる。これらの合成において、その詳細なメカニズムは不明であるが、バラ科果実に酸素を負荷することで、バラ科果実内の好気的代謝経路、例えば、グルコースのTCA代謝経路、細胞膜の脂肪酸分解経路(β酸化、LOX/HPL経路)等が促進されることになって、エステル類の前駆体となるアルコール類や有機酸類の生成、あるいはラクトン類の生成が促進されことになる。また、代謝全体が活性化することにより、エステル結合活性が高まる可能性も考えられる。その結果、同様の代謝経路を有するバラ科植物においては、酢酸ヘキシル等のエステル類やラクトン類の合成が促進されて、より芳香に富む追熟果実が得られると推察される。ただし、これらの推測は、本発明を限定するものではない。なお、本明細書において、「酸素を負荷した雰囲気」とは、例えば、大気下の酸素濃度が約21体積%程度であるので、それよりも酸素濃度を増大させた雰囲気を意味する。また、大気下と記載する場合、酸素濃度が21体積%の雰囲気下を意味する。
本発明におけるバラ科(Rosaceae)植物はバラ目に属する植物の科の一つであり、果実を食用にするものも多く含まれる。バラ科果実としては、具体的には、ウメ、スモモ、アンズ、プルーン、モモ、ネクタリン、サクランボなどの核果類の他、リンゴ、ナシ、セイヨウナシ、カリン、マルメロなどの仁果類、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリー、ビワなどの果実を用いることができる。これらがエステル類、ラクトン類を含有する部位は果肉、果皮、種など様々であるが、本発明において用いる部位は特に限定されず、果実全体であっても特定部位を選択して用いてもよい。また、品種は特に限定されない。
例えば、本発明で用いられる梅としては、特に限定されないが、梅酒の製造に用いられる品種を好適に用いることができ、例えば、南高、古城、鶯宿、紅映、剣先、白加賀等を挙げることができる。また外国産であってもよい。本明細書において梅果実としては、果皮と果肉と種をあわせた全体を意味する。
また、果実を追熟させることから、追熟させる前の果実の状態としては、熟成が可能なものが挙げられ、例えば、梅の場合、青梅状態や青梅が少し熟した程度のものであってもよい。また、樹上で香りを発する直前まで熟したものや樹上で香りを発するまで熟した果実であってもよく、さらには落ち果であってもよい。
用いる果実の硬度は果実の種類によって異なるが、例えば、梅の場合、好ましくは1.5kg以上、より好ましくは1.8kg以上、さらに好ましくは2kg以上であり、好ましくは6kg以下、より好ましくは4kg以下、さらに好ましくは3.6kg以下のものが好ましい。なお、本明細書において、果実硬度は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
果実を追熟させる雰囲気としては、酸素濃度が大気下より増大した気体であれば特に限定はなく、酸素濃度としては、芳香成分をより多く含有する追熟果実を得る観点から、好ましくは25体積%以上、より好ましくは30体積%以上、さらに好ましくは40体積%以上であり、好ましくは100体積%以下、より好ましくは90体積%以下、さらに好ましくは80体積%以下である。また、25〜100体積%が好ましく、30〜90体積%がより好ましく、40〜80体積%がさらに好ましい。なお、雰囲気中に存在する酸素以外の気体としては、特に限定はなく、窒素、二酸化炭素等が挙げられ、それらの濃度は特に限定されず、例えば、酸素濃度が80体積%のとき、窒素が20体積%である場合が例示される。
追熟温度としては、香気生成の効果の観点から、16〜30℃が好ましく、17〜27℃がより好ましく、20〜25℃がさらに好ましい。追熟温度が16℃以上の場合、芳香成分の生成が多く好ましい。一方、追熟温度が30℃以下であると、質の高い芳香成分の生成が亢進しているので好ましい。また、追熟湿度としては、果実の保管の観点からは、加湿状態にあることが好ましいが、乾燥状態であっても構わない。
追熟させる方法としては、果実を前記雰囲気下に放置できるのであれば特に限定はない。例えば、果実を前記雰囲気を有するデシケーター内に放置してもよく、前記雰囲気を有する室内にて放置してもよい。果実は、果実そのままの状態で放置しても、気体透過性の十分にある容器や袋内に入れて放置してもよい。
追熟期間は、酸素濃度が高いほど短く、例えば、梅の場合、酸素濃度が80体積%より上で100体積%以下の場合、好ましくは1日以上、より好ましくは2日以上であり、好ましくは13日以下、より好ましくは5日以下である。また、1〜13日が好ましく、2〜5日がより好ましい。また、酸素濃度が40体積%以上80体積%以下の場合、好ましくは1日以上、より好ましくは2日以上、さらに好ましくは3日以上であり、好ましくは15日以下、より好ましくは7日以下、さらに好ましくは5日以下である。また、1〜15日が好ましく、2〜7日がより好ましく、3〜5日がさらに好ましい。酸素濃度が25体積%以上40体積%未満の場合、好ましくは1日以上、より好ましくは2日以上であり、好ましくは17日以下、より好ましくは9日以下である。また、1〜17日が好ましく、2〜9日がより好ましい。なお、本明細書において、追熟期間とは、追熟させる期間のことであり、保管期間、保存期間と同じ意味である。
かくして果実が追熟されるが、得られる果実はエステル類の含有量が多くなる。含有量が多くなるエステル類としては、アルコール類と有機酸とのエステルが挙げられる。アルコール類としては、炭素数1〜6の低級アルコールが挙げられ、具体的には、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、イソブタノール、ペンタノールが例示される。有機酸としては、脂肪族有機酸が挙げられ、酢酸、酪酸、ヘキサン酸、ヘキセン酸、イソブタン酸が例示される。かかるアルコール類と有機酸のエステルとしては、フルーティーな香りの観点から、酪酸エチル、酢酸ヘキシル、酢酸ブチル、ヘキサン酸エチル、2−メチル酪酸エチル、3−メチル酪酸エチルが好ましい。
酪酸エチルは、甘いフルーティーな香りで、やわらかな熟りんご様の香気を呈し、質感も向上させる。追熟果実中の酪酸エチルの含有量は、果実の種類、保管を行う果実の熟度、採取園地、年次により異なるが、例えば、果実種が梅で、同じ園地で同時期に採取した青梅晩期果実を20℃で保管した場合、大気下であれば3日後に0.1mg/kg程度、5日後に0.4mg/kg程度まで増大するのに対し、酸素濃度60〜80体積%雰囲気下では、3日後に0.2〜0.3mg/kg程度、5日後に0.6mg/kg程度まで増大する。酸素濃度60〜80体積%雰囲気下では、同じ保管日数で比較すると大気下よりも酪酸エチルは常に多く含まれる。なお、青梅からは酪酸エチルは検出されず、市販の完熟梅中の酪酸エチルの含有量は、0.02mg/kg程度である。本明細書において、果実のエステル類含有量は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
酢酸ヘキシルは、甘いフルーティーな香りで、華やかで軽い洋なし様の香気を呈する。追熟果実中の酢酸ヘキシルの含有量は、果実の種類、保管を行う果実の熟度、採取園地、年次により異なるが、例えば、果実種が梅で、同じ園地で同時期に採取した青梅後期果実を20℃で保管した場合、大気下であれば4〜5日後に2.5mg/kg程度、6日後に3.0mg/kgまで増大して、その後減少していくのに対し、酸素濃度60〜80体積%雰囲気下に保管された果実では4〜6日後に3.1〜3.5mg/kg程度まで増大し、その後減少する。なお、青梅からは酢酸ヘキシルは検出されず、市販の完熟梅中の酢酸ヘキシルの含有量は、1.5mg/kg程度である。
酢酸ブチルは、甘いフルーティーな香りで、エステリーな熟りんご様の香気を呈する。追熟果実中の酢酸ブチルの含有量は、果実の種類、保管を行う果実の熟度、採取園地、年次により異なるが、例えば、果実種が梅で、同じ園地で同時期に採取した青梅後期果実を20℃で保管した場合、大気下であれば4〜5日後に9.5〜12.7mg/kg程度、6日後に13.8mg/kgまで増大して、その後減少していくのに対し、酸素濃度60〜80体積%雰囲気下では4〜5日後に15.2〜16.5mg/kg程度まで増大し、その後減少する。なお、青梅からは酢酸ブチルは検出されず、市販の完熟梅中の酢酸ブチルの含有量は、4mg/kg程度である。
ヘキサン酸エチルは、華やかな青さのあるフルーティーな香りで、甘く軽いパイン様の香気を呈する。追熟果実中のヘキサン酸エチルの含有量は、果実の種類、保管を行う果実の熟度、採取園地、年次により異なるが、例えば、果実種が梅で、同じ園地で同時期に採取した青梅晩期果実を20℃で保管した場合、大気下であれば3〜5日後に0.5〜0.7mg/kg程度まで増大するのに対し、酸素濃度60〜80体積%雰囲気下では3〜5日後に0.9〜1.2mg/kg程度まで増大する。酸素濃度60〜80体積%雰囲気下に保管された果実では、同じ保管日数で比較すると大気下に保管された果実よりもヘキサン酸エチルは常に多く含まれる。なお、青梅からはヘキサン酸エチルは検出されず、市販の完熟梅中のヘキサン酸エチル含有量は、0.3mg/kg程度である。
また、本発明の方法により得られる果実はラクトン類の含有量も多くなる。含有量が多くなるラクトン類としては、γ−デカラクトン、δ−デカラクトン、γ−ドデカラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−オクタラクトンが挙げられるが、なかでも、フルーティーな香り立ちの観点から、γ−デカラクトン、δ−デカラクトン、γ−ドデカラクトンが好ましい。
γ−デカラクトンは、白桃様のやわらかな甘いフルーティーな香気を呈する。追熟果実中のγ−デカラクトンの含有量は、果実の種類、保管を行う果実の熟度、採取園地、年次により異なるが、例えば、果実種が梅で、同じ園地で同時期に採取した青梅晩期果実を20℃で保管した場合、大気下であれば3〜4日後に1.6〜2.0mg/kg程度、6日後に2.26mg/kgまで増大し、それ以上は増えないのに対し、酸素濃度60〜80体積%雰囲気下では3〜4日後に2.1〜2.4mg/kg程度まで増大する。酸素濃度60〜80体積%雰囲気下では、同じ保管日数で比較すると大気下よりもγ−デカラクトンは常に多く含まれる。なお、青梅からはγ−デカラクトンは青梅後期までは検出されず、青梅晩期に0.007mg/kg程度である。また、市販の完熟梅中のγ−デカラクトンは、0.89mg/kg程度である。本明細書において、果実のラクトン類含有量は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
δ−デカラクトンは、黄桃様のかための甘いフルーティーな香気を呈する。追熟果実中のδ−デカラクトンの含有量は、果実の種類、保管を行う果実の熟度、採取園地、年次により異なるが、例えば、果実種が梅で、同じ園地で同時期に採取した青梅晩期果実を20℃で保管した場合、大気下であれば3〜4日後に0.22〜0.27mg/kg程度まで増大して、その後減少していくのに対し、酸素濃度60〜80体積%雰囲気下では3〜4日後に0.34〜0.37mg/kg程度まで増大し、その後減少する。なお、青梅からはδ−デカラクトンは検出されず、市販の完熟梅中のδ−デカラクトン含有量は、0.31mg/kg程度である。
γ−ドデカラクトンは、桃様の軽い甘いフルーティーな香気を呈する。追熟果実中のγ−ドデカラクトンの含有量は、果実の種類、保管を行う果実の熟度、採取園地、年次により異なるが、例えば、果実種が梅で、同じ園地で同時期に採取した青梅晩期果実を20℃で保管した場合、大気下であれば3〜4日後に0.42〜0.50mg/kg、6日後に0.65mg/kg程度まで増大して、その後減少していくのに対し、酸素濃度60〜80体積%雰囲気下では3〜4日後に0.78〜0.81mg/kg程度、6日後に0.88mg/kgまで増大し、その後減少する。なお、青梅からはγ−ドデカラクトンは青梅後期までは検出されず、青梅晩期に0.007mg/kg程度である。また、市販の完熟梅中のγ−ドデカラクトンは、0.19mg/kg程度である。
かくして、酸素を負荷した雰囲気下で果実を保管することにより、前記エステル類やラクトン類を樹上で熟した果実や大気下で保管した果実より豊富に含有する追熟果実が得られる。得られた追熟果実は、そのまま直ぐに用いることができ、また、公知の方法に従って保管してもよい。例えば、冷凍保存することにより、香気成分を保持したまま保存することができる。
本発明はまた、酸素を負荷した雰囲気下で果実を保管する、果実の保管方法を提供する。果実の保管が酸素を負荷した雰囲気下で行なわれることを特徴とするのであって、該雰囲気は前記追熟方法と同じである。また、用いる果実やその他の条件も前記方法と同様である。
また、本発明の一態様として、酸素を負荷した雰囲気下で果実を保存してエステルを産生させる、果実のエステル産生増大方法、ならびに、酸素を負荷した雰囲気下で梅果実を保存してラクトンを産生させる、梅果実のラクトン産生増大方法を提供する。これらの方法は、果実を酸素を負荷した雰囲気下で保存することを特徴とするのであって、該雰囲気は前記追熟方法と同じである。また、用いる果実やその他の保存条件も前記方法と同様である。
さらに、本発明の一態様として、酸素を負荷した雰囲気下で果実を保存して追熟果実とする、追熟果実の製造方法を提供する。果実を酸素を負荷した雰囲気下で保存することを特徴とするのであって、該雰囲気は前記追熟方法と同じである。また、用いる果実やその他の保存条件も前記方法と同様である。
追熟果実は、エステル類やラクトン類の含有量が多く、フルーティーな香りが豊かであることから、ジャム、ジュース、エキス、果実を用いたお酒(果実酒、果実スピリッツなど)、香料などの果実の香りを生かした加工品に好適に用いられる。なお、その際の配合量は一概には決定されず、加工品の種類に応じて適宜調整される。
本発明の別態様として、酸素を負荷した雰囲気下で熟成させた果実を原料として用いる、果実酒の製造方法が挙げられる。酸素を負荷した雰囲気下で熟成させた果実を用いることを特徴とするのであって、該雰囲気は前記追熟方法と同じである。また、用いる果実やその他の追熟条件も前記方法と同様である。なお、該製造方法により得られた果実酒もまた、本発明により提供される。
果実酒の製造は、前記追熟させた果実を用いるのであれば特に限定はなく、公知の方法に従って行なうことができる。例えば、前記追熟させた果実を果実酒用ホワイトリカーと氷砂糖と一緒に果実酒用瓶に数ヶ月漬け込んで製造することができる。なお、本明細書において、果実酒とは、果実酒様飲料(例えば、果実酒様ノンアルコール飲料)も含まれる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
〔梅果実の硬度〕
果実硬度計(KM型、藤原製作所製)で貫入法(突起型)により測定する。具体的には、収穫果実及び保管試験中のサンプリング果実について、果実の赤道面上に果実縫合線から90度、180度、270度の位置3点で果実硬度計を用いて硬度測定を行い、3点の平均値をその果実の硬度とすることで、果実の硬度とする。
試験例1
和歌山県田辺市にて採取した‘南高’の青梅(後期、晩期)2kgについて、表1〜3に示す酸素濃度(体積%)のデシケーター内にて表1〜3に示す期間追熟させた際の、エステル類及びラクトン類の含有量を定量した。なお、デシケーター内の酸素濃度の調節は、酸素ガス、窒素ガスをガス混合機で混合したものを、マスフローメーターで一定流速に調整しながら加湿して、デシケーターへ通気して行なった。通気しながら、デシケーターを恒温器に入れ一定温度(20℃)にて保管試験を実施した。また、デシケーター内の湿度は99%であった。エステル類としては、酪酸エチル、酢酸ヘキシル、酢酸ブチル、ヘキサン酸エチルを定量し、その合計含有量を算出した。また、ラクトン類としては、γ−デカラクトン、δ−デカラクトン、γ−ドデカラクトンを定量し、その合計含有量を算出した。
以下、分析サンプルの調製について説明する。収穫果実及び保管試験中のサンプリング果実は、収穫あるいはサンプリング直後に粗切りして液体窒素にて冷凍し、さらに冷凍果の果肉部分(果皮を含む)を乳鉢を用いて液体窒素の下で磨砕し、分析時まで−80℃冷凍庫で保管した。定量磨砕果実から、香気成分を50%エタノール溶液中で恒温振とう抽出し、抽出液全量を重曹を用いて適度の塩基性にした。抽出液を、Extrelut(登録商標)NTカラム(R)に添加し、有機溶媒で溶出させた。溶出液を濃縮して、ガスクロマトグラフ分析用のサンプルとし、以下の条件でガスクロマトグラフ分析を行なった。結果を表1〜3に示す。
<ガスクロマトグラフ分析>
装置:Agillent社製 GC/MS 6890N/5973N
カラム:DB−WAX(J&W社製)、60m×0.32mm×0.25μm
注入量:1.0μL
注入方法:注入口温度240℃、スプリットレス
昇温条件:40℃で10分保持後、4℃/minで220℃まで昇温し、そのまま10分保持
イオン化方法:EI(電子イオン化)法、イオン化電圧70eV
保管を行う果実の熟度、年次により、数値は異なるが、表1〜3のように、同じ園地で同時期に採取して、果実硬度が一定の果実を追熟させたところ、同じ追熟期間において、保管時の酸素濃度を高くすることで、エステル類、ラクトン類の含有量を増加させることができた。果実の熟度、年次、採取地によって果実の香気成分の数値が異なることは、文献(うめ研、園学研11(4)515、2012)などに記載がある。
試験例2
試験例1で用いた青梅2kgについて、試験例1と同様にして調節した表4、5に示す酸素濃度(体積%)のデシケーター内にて、表4、5に示す期間追熟させた際のエステル類及びラクトン類の含有量を定量した。エステル類としては、酪酸エチル、酢酸ヘキシル、酢酸ブチル、ヘキサン酸エチルの各含有量を、ラクトン類としては、γ−デカラクトン、δ−デカラクトン、γ−ドデカラクトンの各含有量を試験例1と同様にして定量した。結果を表4〜5に示す。また、エステル類の合計含有量、ラクトン類の合計含有量を対比した結果を図1、2に示す。
保管を行う果実の熟度、年次により、数値は異なるが、表4、5のように、同じ園地で同時期に採取して、果実硬度が一定の果実を追熟させたところ、保管時の酸素濃度を高くすることで、より短い保管期間で、フルーティーな香気を有するエステル類、ラクトン類の含有量を増加させることができた。果実の熟度、年次、採取地によって果実の香気成分の数値が異なることは、文献(うめ研、園学研11(4)515、2012)などに記載がある。
試験例3
試験例1で用いた青梅2kgについて、試験例1と同様にして調節した酸素濃度80体積%のデシケーター内にて、表6、7に示す温度にて追熟させた際のエステル類及びラクトン類の含有量を定量した。エステル類としては、酪酸エチル、酢酸ヘキシル、酢酸ブチル、ヘキサン酸エチルの合計含有量を、ラクトン類としては、γ−デカラクトン、δ−デカラクトン、γ−ドデカラクトンの合計含有量を試験例1と同様にして定量した。結果を表6〜7に示す。
また、香りに関する官能試験を行なった。具体的には、追熟果実を保管したデシケーターを開放し、果実から立ち上る香気を、果実酒(梅酒、リキュール類)の評価について訓練を積んだ評価パネラー2又は3名で香りの強さを以下の基準に従って評価して平均値を算出した。
〔香りの強さの官能基準〕
5:かなり多い
4:多い
3:多く感じられる
2:感じられる
1:ない
非特許文献1と同様に、保管温度は香気成分の増加に影響があることが確認された。酸素濃度80%での保管において、20〜25℃の条件でのエステル量、ラクトン量の増加は同様に認められた。
試験例4(香りの官能評価)
和歌山県田辺市にて採取した‘南高’の青梅(2011年 青梅前期)2kgについて、20℃で、試験例1と同様にして調節した表8に示す酸素濃度にて追熟させて、試験例3と同様にして、香りに関する官能試験を行なった。結果を表8に示す。なお、市販の完熟梅についても同様に官能試験を行なった。
追熟時の酸素濃度が高いほど、果実のフルーティー香が増加する結果となった。
試験例5(香りの官能評価)
市販の各種青梅(2012年6月購入)について、20℃で、試験例1と同様にして調節した表9に示す酸素濃度にて追熟させて、試験例3と同様にして、香りに関する官能試験を行なった。結果を表9に示す。
追熟時の酸素濃度が高いほど、いずれの品種もフルーティー香が増加する結果となった。
試験例6(梅酒の官能評価)
<梅酒の製造>
酸素濃度21%、60%、80%で3日あるいは5日保管した‘南高’の青梅(2011年 青梅後期)の果実を用いて、次のように梅酒を浸漬製造した。具体的には、梅1.0(kg)/氷砂糖0.6(kg)/ホワイトリカー1.8(L)を梅酒瓶に入れ、室温で7ヶ月浸漬した。途中、3ヶ月目、5ヶ月目とサンプリングを行い、果実酒(梅酒、リキュール類)の評価について訓練を積んだ評価パネラー9名で香りの強さを評価した。
結果、3ヵ月のサンプリング時点では、3日間保管した追熟梅の浸漬酒は、保管時の酸素濃度が高いほどフルーティー香が増加していた。また、5日間保管した追熟梅の浸漬酒は、保管時の酸素濃度が高いほどフルーティー香が増加し、かつ、3日間保管した追熟梅の浸漬酒よりもフルーティー香が多いものであった。
5ヵ月のサンプリング時点では、いずれの浸漬酒も3ヵ月のサンプリング時点よりも梅酒としての熟成感は増しており、3日間保管した追熟梅の浸漬酒は、保管時の酸素濃度が高いほどフルーティー香が増加していた。また、5日間保管した追熟梅の浸漬酒は、保管時の酸素濃度が高いほどフルーティー香が増加し、かつ、3日間保管した追熟梅の浸漬酒よりもフルーティー香がさらに多いものであった。
試験例7
試験例1で用いた青梅2kgについて、試験例1と同様にして調節した酸素濃度80体積%のデシケーター内にて、20℃で4日間追熟させた際のエステル類及びラクトン類を水蒸気蒸留にて回収した量を測定した。水蒸気蒸留は、果実を入れた容器に水蒸気を吹き込み、常圧にて行った。エステル類としては、酪酸エチル、酢酸ヘキシル、酢酸ブチル、ヘキサン酸エチルを、ラクトン類としては、γ−デカラクトン、δ−デカラクトン、γ−ドデカラクトンを回収蒸留液について、以下の条件でガスクロマトグラフィーにより測定した。測定チャートの一例を図3に示す。なお、市販の完熟梅についても同様に測定を行なった。
<ガスクロマトグラフ分析>
装置:Agillent社製 GC/MS 7890A/5975C
カラム:DB−WAXER(J&W社製)、60m×0.32mm×0.25μm
昇温条件:40℃で10分保持後、4℃/minで220℃まで昇温し、そのまま10分保持
イオン化方法:EI(電子イオン化)法、イオン化電圧70eV
<ダイナミックヘッドスペース条件>
装置:ゲステル社製MPS
吸着剤:TENAX
試料量:80μl
試料気化温度:80℃
試料気化用ガス種類:窒素
図3より、購入した完熟果実を用いた水蒸気蒸留回収液よりも、本発明の方法により得られた追熟梅の水蒸気蒸留回収液は、エステル類、ラクトン類を多く含むものであり、フルーティーな香りの豊かなものであることが示唆される。
試験例8
青森県産‘ふじ’の市販リンゴについて、試験例1と同様にして調節した酸素濃度80体積%のデシケーター内にて、20℃で3日間追熟させた際のエステル類の含有量を以下の分析前処理を行ってから試験例1と同様のガスクロマトグラフ条件で測定した。なお、エステル類としては、酪酸エチル、酢酸ヘキシル、酢酸ブチル、ヘキサン酸エチル、2−メチル酪酸エチルの各含有量を測定した。結果を図4に示す。また果実の香りについては、試験例3と同様にして、評価を行なった。結果を表10に示す。なお、大気下で保存したサンプルについても同様に評価を行なった。
<分析前処理>
追熟させた果実の粗切切片を口の閉まるガラス容器に入れ、ジーエルサイエンス社Mono trapを同梱して室温で8時間香りを吸着させた。香り成分をMono trapから有機溶媒で抽出し、抽出液にISを添加した後に湯浴60℃で濃縮して、ガスクロマトグラフ分析用サンプルを調製した。
図4より、リンゴ果実においても、保管時の酸素濃度を高くすることで、フルーティーな香気を有するエステル類の含有量を増加させることができた。また、官能試験においても、大気下で追熟するよりも、酸素濃度80%で追熟時の方が、甘いしっかりとした熟感のあるフルーティー香が強く感じられた(表10)。
試験例9
佐賀県産‘さがほのか’の市販イチゴについて、試験例1と同様にして調節した酸素濃度80体積%のデシケーター内にて、20℃で表11〜12に示す日数追熟させた際のエステル類及びラクトン類の含有量を定量した。エステル類としては、酪酸エチル、酢酸ヘキシル、酢酸ブチル、ヘキサン酸エチル、2−メチル酪酸エチル、3−メチル酪酸エチルの各含有量を、ラクトン類としては、γ−ヘキサラクトン、γ−デカラクトン、γ−ドデカラクトンの各含有量を試験例1と同様にして定量した。結果を表11〜12に示す。また、イチゴに特有の成分として、DMHF(2,5-dimethyl-4-hydroxy-2H-furan-3-one)の含有量についても試験例1と同様にして測定した結果を表13に示す。果実の香りについては、試験例3と同様にして、評価を行なった。結果を表14に示す。なお、大気下で保存したサンプルについても同様に評価を行なった。
香りの弱いイチゴ果実を追熟させる場合、大気下で追熟させるよりも保管時の酸素濃度を高くするほうが、イチゴの甘いフルーティーな香りに寄与する成分である、エステル類、ラクトン類、DMHFの含有量が早く大きく増加する結果となった。
これより、酸素濃度を高くして保管した甘いフルーティーな香りの増加したイチゴ果実は、その増加した香りを生かして、果実酒や果実ジュース、あるいは果実ジャムに好適に用いることも可能である。また、香りの増加した果実を凍結し、アイスクリームなどに混ぜ込むなどして好適に用いられることが示唆される。
試験例10
市販のスモモ果実又はアンズ果実について、試験例1と同様にして調節した酸素濃度のデシケーター内にて追熟させた際のエステル類及びラクトン類の含有量を定量する。スモモ果実又はアンズ果実も他のバラ科果実と同様に、果実内の香り生成機構は同じであると考えられるので、これら果実を追熟させる場合、大気下で追熟させるよりも保管時の酸素濃度を高くするほうが、スモモ果実、アンズ果実の甘いフルーティーな香りに寄与するエステル類、ラクトン類の含有量が増加すると考えられる。
以下に処方例を挙げる。
製造例1:果実酒(リキュール)
本発明の方法により追熟させたスモモ果実あるいはアンズ果実1kgと氷砂糖200gを清浄なガラス瓶に交互に入れ、ホワイトリカー(35度アルコール)1.8Lを注ぎ入れ、密閉し時々振り混ぜながら3ヶ月冷暗所に保管し、スモモあるいはアンズの、香り豊かな果実酒を製造する。
製造例2:果実ジュース
本発明の方法により追熟させた後、冷凍したスモモ果実あるいはアンズ果実と等量の砂糖を清浄なガラス瓶に交互に入れ、少量の焼酎を振り入れて混合する。密閉し、時々振り混ぜながら冷暗所に保管して果実より果汁を浸出させ、スモモあるいはアンズの香り豊かなジュースを製造する。
製造例3:果実ジャム
本発明の方法により追熟させたスモモ果実1kgに少量の水を加えて果肉が柔らかくなるまで煮た後に漉し器で漉して種と皮を除く。得られた果汁に800gの砂糖を加えながら煮詰め、香り豊かなスモモジャムを製造する。アンズ果実の場合も同様の方法でアンズジャムを製造する。
製造例4:果実エキス
本発明の方法により追熟させたスモモ果実あるいはアンズ果実を容器に入れて、水蒸気蒸留を行い液を回収し、スモモあるいはアンズの香りエキスを製造する。
製造例5:果実酒(スピリッツ)
製造例1に示す浸漬酒を用いて、定法により蒸留を行い、スモモあるいはアンズの香り豊かな果実酒(スピリッツ)を製造する。
本発明によれば、より芳香に優れる追熟果実を得ることが可能となる。また、該追熟果実を用いることで、フルーティーな果実酒を提供できる。

Claims (23)

  1. 酸素を負荷した雰囲気下でバラ科果実を熟成させる、バラ科果実の追熟方法。
  2. 酸素濃度が40〜80体積%の雰囲気である、請求項1記載の方法。
  3. バラ科果実が、梅果実、リンゴ果実、スモモ果実、アンズ果実、及びイチゴ果実からなる群より選ばれる、請求項1又は2記載の方法。
  4. 酸素を負荷した雰囲気下でバラ科果実を保管する、バラ科果実の保管方法。
  5. 酸素濃度が40〜80体積%の雰囲気である、請求項4記載の方法。
  6. バラ科果実が、梅果実、リンゴ果実、スモモ果実、アンズ果実、及びイチゴ果実からなる群より選ばれる、請求項4又は5記載の方法。
  7. 酸素を負荷した雰囲気下でバラ科果実を保存してエステルを産生させる、バラ科果実のエステル産生増大方法。
  8. 酸素濃度が40〜80体積%の雰囲気である、請求項7記載の方法。
  9. バラ科果実が、梅果実、リンゴ果実、スモモ果実、アンズ果実、及びイチゴ果実からなる群より選ばれる、請求項7又は8記載の方法。
  10. 酸素を負荷した雰囲気下でバラ科果実を保存してラクトンを産生させる、バラ科果実のラクトン産生増大方法。
  11. 酸素濃度が40〜80体積%の雰囲気である、請求項10記載の方法。
  12. バラ科果実が、梅果実、リンゴ果実、スモモ果実、アンズ果実、及びイチゴ果実からなる群より選ばれる、請求項10又は11記載の方法。
  13. 酸素を負荷した雰囲気下でバラ科果実を保存して追熟果実とする、追熟果実の製造方法。
  14. 酸素濃度が40〜80体積%の雰囲気である、請求項13記載の方法。
  15. バラ科果実が、梅果実、リンゴ果実、スモモ果実、アンズ果実、及びイチゴ果実からなる群より選ばれる、請求項13又は14記載の方法。
  16. 請求項13〜15いずれかに記載の製造方法により得られたバラ科果実の追熟果実。
  17. 請求項16に記載の追熟果実を原料として用いて得られたバラ科果実の加工品。
  18. 加工品が梅酒である、請求項17記載の加工品。
  19. 酸素を負荷した雰囲気下で熟成させたバラ科果実を原料として用いる、果実酒の製造方法。
  20. 酸素濃度が40〜80体積%の雰囲気である、請求項19記載の方法。
  21. バラ科果実が、梅果実、リンゴ果実、スモモ果実、アンズ果実、及びイチゴ果実からなる群より選ばれる、請求項19又は20記載の方法。
  22. 請求項19〜21いずれかに記載の製造方法により得られたバラ科果実の果実酒。
  23. 果実酒が梅酒である、請求項22記載の果実酒。
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