JPWO2014189101A1 - 繊維強化複合材料用組成物、プリプレグ、及び繊維強化複合材料 - Google Patents

繊維強化複合材料用組成物、プリプレグ、及び繊維強化複合材料 Download PDF

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Abstract

本発明の目的は、作業安定性に優れ、硬化速度が速く、さらに、高い耐熱性を有する繊維強化複合材料を形成でき、特に、引抜成形法による連続的な繊維強化複合材料の製造に適した繊維強化複合材料用組成物を提供することにある。本発明は、ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、一分子中にラジカル重合性基とカチオン重合性基とを有する化合物(C)、ラジカル重合開始剤(D)、酸発生剤(E)、及び離型剤(F)を含み、ラジカル重合性化合物(A)が、一分子中にラジカル重合性基を2個以上有し、且つラジカル重合性基の官能基当量が50〜300である化合物であることを特徴とする繊維強化複合材料用組成物に関する。

Description

本発明は、繊維強化複合材料用組成物、プリプレグ、及び繊維強化複合材料に関する。より詳しくは、炭素繊維やガラス繊維などの繊維(強化繊維)により強化された複合材料(繊維と樹脂の複合材料)を形成するための組成物、プリプレグ、及び該複合材料(繊維強化複合材料)に関する。本願は、2013年5月24日に日本に出願した特願2013−110038号の優先権を主張し、その内容をここに援用する。
繊維強化複合材料は、強化繊維と樹脂(マトリックス樹脂)とからなる複合材料であり、自動車部品、土木建築用品、風力発電機のブレード、スポーツ用品、航空機、船舶、ロボット、ケーブル材料等の分野で広く利用されている。上記繊維強化複合材料における強化繊維としては、例えば、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ボロン繊維などが使用されている。また、上記繊維強化複合材料におけるマトリックス樹脂としては、強化繊維への含浸が容易な熱硬化性樹脂が使用されることが多い。このような熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂などが用いられている。
上記繊維強化複合材料を形成するための材料としては、例えば、ベンゾオキサジン樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物、酸触媒、及び難燃性強化繊維を含む複合材料用プリプレグが知られている(特許文献1参照)。また、その他には、例えば、フェノールレゾール樹脂と、アルコキシル化ポリオールの燐酸エステル及びモノエポキシ官能性希釈剤の燐酸エステルからなる群から選択されたエーテル化燐酸エステル潜在触媒とを含む熱硬化性の樹脂組成物が知られている(特許文献2参照)。
特開2008−56795号公報 特表2008−507620号公報
しかしながら、特許文献1に開示された複合材料用プリプレグは、ベンゾオキサジン樹脂を含むために硬化が遅いという問題を有していた。また、特許文献2に開示された熱硬化性の樹脂組成物は、硬化速度が速すぎてポットライフが短く、作業安定性に劣るという問題を有していた。
このため、繊維強化複合材料を形成するための材料として、十分なポットライフを有しており作業安定性に優れ、硬化させる際には迅速に硬化反応を進行させることができる組成物(繊維強化複合材料用組成物)は未だ得られていないのが現状である。特に、近年、繊維強化複合材料の用途が拡大するに従い、該材料には高い耐熱性(例えば、200℃といった高温の環境下における使用に耐え得る耐熱性)が要求されるようになってきているが、このような高い耐熱性を有する繊維強化複合材料を形成でき、なおかつ、作業安定性に優れ、硬化速度の速い組成物を得ることは未だできていない。
一方、繊維強化複合材料は、高速で繊維強化複合材料用組成物を硬化させながら成形する引抜成形法により製造される場合が多い。しかしながら、原料として公知の繊維強化複合材料用組成物を使用した場合には、硬化及び成形して得られる繊維強化複合材料の金型からの離型性が不十分であり、成形中に引き抜き応力が増大して連続成形が困難になるという問題が生じていた。
従って、本発明の目的は、作業安定性に優れ、硬化速度が速く、さらに、高い耐熱性を有する繊維強化複合材料を形成でき、特に、引抜成形法による連続的な繊維強化複合材料の製造に適した繊維強化複合材料用組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、作業安定性に優れ、硬化速度が速く、さらに、高い耐熱性を有する繊維強化複合材料を形成でき、特に、引抜成形法による連続的な繊維強化複合材料の製造に適したプリプレグを提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、生産性に優れ、高い耐熱性を有し、特に、引抜成形法による連続的な製造が可能な繊維強化複合材料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物、一分子中にラジカル重合性基とカチオン重合性基とを有する化合物、ラジカル重合開始剤、酸発生剤、及び離型剤を少なくとも含む組成物が、作業安定性に優れ、硬化速度が速く、さらに、高い耐熱性を有する繊維強化複合材料を形成でき、特に、引抜成形法による連続的な繊維強化複合材料の製造に適することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、一分子中にラジカル重合性基とカチオン重合性基とを有する化合物(C)、ラジカル重合開始剤(D)、酸発生剤(E)、及び離型剤(F)を含み、
ラジカル重合性化合物(A)が、一分子中にラジカル重合性基を2個以上有し、且つラジカル重合性基の官能基当量が50〜300である化合物であることを特徴とする繊維強化複合材料用組成物を提供する。
さらに、カチオン重合性化合物(B)が、エポキシ化合物、オキセタン化合物、及びビニルエーテル化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物である前記の繊維強化複合材料用組成物を提供する。
さらに、カチオン重合性化合物(B)が脂環式エポキシ化合物である前記の繊維強化複合材料用組成物を提供する。
さらに、カチオン重合性化合物(B)が、一分子中にカチオン重合性基を2個以上有し、且つカチオン重合性基の官能基当量が50〜300である化合物である前記の繊維強化複合材料用組成物を提供する。
さらに、ラジカル重合性化合物(A)とカチオン重合性化合物(B)の割合(重量比)[(A)/(B)]が30/70〜85/15である前記の繊維強化複合材料用組成物を提供する。
さらに、ラジカル重合性化合物(A)として、一分子中に4個以上のラジカル重合性基を有するアルキレンオキサイド変性モノマーを含む前記の繊維強化複合材料用組成物を提供する。
さらに、化合物(C)が、カチオン重合性基の官能基当量が50〜500であり、且つラジカル重合性基の官能基当量が50〜500である化合物である前記の繊維強化複合材料用組成物を提供する。
さらに、化合物(C)の含有量が、ラジカル重合性化合物(A)とカチオン重合性化合物(B)の総量100重量部に対して、10〜70重量部である前記の繊維強化複合材料用組成物を提供する。
さらに、ラジカル重合開始剤(D)の含有量が、ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、及び化合物(C)の総量100重量部に対して、0.01〜10重量部である前記の繊維強化複合材料用組成物を提供する。
さらに、酸発生剤(E)の含有量が、ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、及び化合物(C)の総量100重量部に対して、0.1〜20重量部である前記の繊維強化複合材料用組成物を提供する。
さらに、離型剤(F)の含有量が、成分(A)〜(E)の総量100重量部に対して、1〜8重量部である前記の繊維強化複合材料用組成物を提供する。
さらに、離型剤(F)が、炭素数10〜30の高級脂肪酸又はその誘導体である前記の繊維強化複合材料用組成物を提供する。
さらに、離型剤(F)が、ステアリン酸金属化合物である前記の繊維強化複合材料用組成物を提供する。
さらに、硬化させて得られる硬化物の250℃における弾性率E'が1×108Pa以上である前記の繊維強化複合材料用組成物を提供する。
さらに、硬化させて得られる硬化物の下記式により算出される弾性率E'の減少率が50%以下である前記の繊維強化複合材料用組成物を提供する。
弾性率E'の減少率(%)=100×(a−b)/a
[式中、aは硬化物の(ガラス転移温度−10)℃における弾性率(Pa)を示し、bは硬化物の(ガラス転移温度+10)℃における弾性率(Pa)を示す。]
さらに、220℃で2分間の加熱処理により硬化させて得られる硬化物の硬化度[示差走査型熱量測定により測定される硬化度]が、80%以上である前記の繊維強化複合材料用組成物を提供する。
また、本発明は、前記の繊維強化複合材料用組成物を強化繊維(G)に含浸させて形成されるプリプレグを提供する。
さらに、強化繊維(G)の繊維質量含有率(Wf)が50〜90重量%である前記のプリプレグを提供する。
さらに、強化繊維(G)が、炭素繊維、ガラス繊維、及びアラミド繊維からなる群より選択される少なくとも一種である前記のプリプレグを提供する。
また、本発明は、前記のプリプレグを硬化させて得られる繊維強化複合材料を提供する。
本発明の繊維強化複合材料用組成物及びプリプレグは上記構成を有するため、作業安定性に優れ、なおかつ硬化の際には高速で硬化させることができる(即ち、硬化速度が速い)。また、本発明の繊維強化複合材料用組成物及びプリプレグは、高い耐熱性を有する繊維強化複合材料を形成することができる。さらに、本発明の繊維強化複合材料用組成物及びプリプレグを用いた場合には、引抜成形法による成形を行った場合でも、引き抜き応力の増大が起こりにくく、繊維強化複合材料の連続的な製造が可能である。このため、本発明の繊維強化複合材料用組成物又はプリプレグを硬化させて得られる繊維強化複合材料は、生産性に優れ、高い耐熱性を有する。
<繊維強化複合材料用組成物>
本発明の繊維強化複合材料用組成物(単に「本発明の組成物」や「組成物」と称する場合がある)は、ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、一分子中(分子内)にラジカル重合性基とカチオン重合性基とを有する化合物(C)(単に「化合物(C)」と称する場合がある)、ラジカル重合開始剤(D)、酸発生剤(E)、及び離型剤(F)を少なくとも含むことを特徴とする組成物(硬化性組成物)である。
[ラジカル重合性化合物(A)]
本発明の組成物におけるラジカル重合性化合物(A)は、一分子中に2個以上のラジカル重合性基を有する化合物である。なお、上記ラジカル重合性化合物(A)には、ラジカル重合性基を有し、さらにカチオン重合性基を有するもの(即ち、化合物(C))は含まれない。
上記ラジカル重合性化合物(A)が有するラジカル重合性基としては、ラジカル重合反応を生じ得る官能基であればよく、特に限定されないが、例えば、炭素−炭素不飽和二重結合を含む基などが挙げられ、具体的には、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。なお、ラジカル重合性化合物(A)が有する2個以上のラジカル重合性基は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。なお、本明細書において「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル」及び/又は「メタクリロイル」(「アクリロイル」及び「メタクリロイル」のいずれか一方又は両方)を意味し、その他も同様である。
ラジカル重合性化合物(A)が一分子中に有するラジカル重合性基の数は、2個以上であればよく特に限定されないが、2〜20個が好ましく、より好ましくは2〜15個、さらに好ましくは2〜10個である。
ラジカル重合性化合物(A)としては、具体的には、例えば、ジビニルベンゼンなどのビニル化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート(トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート)、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(例えば、エトキシ化(エチレンオキサイド変性)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートなど)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート(例えば、エトキシ化(エチレンオキサイド変性)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなど)、アルキレンオキサイド変性ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート(例えば、エトキシ化(エチレンオキサイド変性)ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなど)、2,2,2−トリス(メタ)アクリロイロキシメチルエチルコハク酸、アルキレンオキサイド変性イソシアヌル酸(ジ又はトリ)(メタ)アクリレート(例えば、エトキシ化(エチレンオキサイド変性)イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートなど)、ウレタン(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
中でも、ラジカル重合性化合物(A)としては、一分子中に2個のラジカル重合性基を有し、且つ分子内に環状構造(芳香族環、脂肪族環、複素環など)を有するラジカル重合性化合物(A−1)、一分子中に3個以上のラジカル重合性基を有するラジカル重合性化合物(A−2)が好ましい。上記化合物(A−1)としては、具体的には、ジビニルベンゼン、ビスフェノールAエポキシジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(例えば、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートなど)などのラジカル重合性化合物が挙げられる。また、上記化合物(A−2)としては、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ペンタエリスリトール(トリ又はテトラ)(メタ)アクリレート(例えば、エトキシ化(エチレンオキサイド変性)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなど)、アルキレンオキサイド変性ジペンタエリスリトール(トリ、テトラ、ペンタ、又はヘキサ)(メタ)アクリレート(例えば、エトキシ化(エチレンオキサイド変性)ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなど)、2,2,2−トリス(メタ)アクリロイロキシメチルエチルコハク酸、アルキレンオキサイド変性イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート(例えば、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートなど)、一分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
特に、ラジカル重合性化合物(A)としては、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性、弾性率の観点で、上記化合物(A−1)と化合物(A−2)とを併用することが好ましい。化合物(A−1)、化合物(A−2)は、それぞれ、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
ラジカル重合性化合物(A)のラジカル重合性基の官能基当量は、50〜300であり、好ましくは70〜280、より好ましくは80〜260である。上記官能基当量が50未満であると、硬化物や繊維強化複合材料の機械強度が不十分となる。一方、上記官能基当量が300を超えると、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性や機械特性が低下する。なお、ラジカル重合性化合物(A)のラジカル重合性基の官能基当量は、下記式により算出することができる。
[ラジカル重合性基の官能基当量]=[ラジカル重合性化合物(A)の分子量]/[ラジカル重合性化合物(A)が有するラジカル重合性基の数]
なお、本発明の組成物においてラジカル重合性化合物(A)は一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、上記ラジカル重合性化合物(A)としては、例えば、商品名「IRR214−K」(ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、ダイセル・サイテック(株)製)、商品名「A−BPE−4」(エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、新中村化学工業(株)製)、商品名「A−9300」(エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、新中村化学工業(株)製)、商品名「A−TMM−3」(ペンタエリスリトールトリアクリレート、新中村化学工業(株)製)、商品名「DPHA」(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ダイセル・サイテック(株)製)、商品名「KRM8452」(脂肪族ウレタンアクリレート、ダイセル・サイテック(株)製)、商品名「A−DPH−12E」(エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、新中村化学工業(株)製)、商品名「A−9570W」(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、新中村化学工業(株)製)などの市販品を使用することもできる。
本発明の組成物におけるラジカル重合性化合物(A)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、組成物(繊維強化複合材料用組成物)の全量(100重量%)に対して、10〜75重量%が好ましく、より好ましくは30〜65重量%、さらに好ましくは35〜60重量%である。含有量が10重量%未満であると、硬化速度が低下したり、硬化物の耐熱性が低下する場合がある。一方、含有量が75重量%を超えると、硬化物と繊維の界面強度が低下する場合がある。なお、二種以上のラジカル重合性化合物(A)を併用する場合には、該ラジカル重合性化合物(A)の総量を上記範囲に制御することが好ましい。
ラジカル重合性化合物(A)として上記化合物(A−1)と化合物(A−2)とを併用する場合、これらの化合物の割合(重量比)[(A−1)/(A−2)]は、特に限定されないが、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性、弾性率の観点で、40/60〜90/10が好ましく、より好ましくは50/50〜85/15である。
本発明の組成物は、特に、硬化物の靭性をいっそう向上させる観点で、ラジカル重合性化合物(A)(ラジカル重合性化合物(A−2))として、一分子中に4個以上のラジカル重合性基を有するアルキレンオキサイド変性モノマー(単に「アルキレンオキサイド変性モノマー」と称する場合がある)を含むことが好ましい。上記アルキレンオキサイド変性モノマーとは、一分子中に4個以上のラジカル重合性基を有し、かつアルキレンオキサイドに由来する構成単位(アルキレンオキサイドの開環付加反応により形成される構成単位)(特に、繰り返し構成単位)を分子内に少なくとも有するモノマーである。なお、アルキレンオキサイド変性モノマーは一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。本発明の組成物に対して上記アルキレンオキサイド変性モノマーを包含させることにより、特に、上記アルキレンオキサイド変性モノマーが多くのラジカル重合性基を有し、かつアルキレンオキサイドに由来する構成単位により延長された鎖状構造を有することによるものと推測されるが、硬化物の高いガラス転移温度を維持したままその靭性を向上させることが可能となる。
上記アルキレンオキサイド変性モノマーとしては、例えば、下記式(1)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2014189101
式(1)中、R1は、構造式上、r個の水酸基を有する有機化合物からr個の水酸基を除いて形成されるr価の有機基(残基)である。rは、4以上の整数(例えば、4〜10の整数)を示す。上記r個の水酸基を有する有機化合物としては、例えば、一分子中に4個以上の水酸基を有する化合物(アルコール類、フェノール類など)が挙げられる。上記アルコール類としては、具体的には、例えば、ジグリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの多価アルコールなどが挙げられる。上記フェノール類としては、具体的には、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂などが挙げられる。さらにその他、r個の水酸基を有する有機化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル部分加水分解物、デンプン、アクリルポリオール樹脂、スチレン−アリルアルコール共重合樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリカプロラクトンポリオール樹脂、ポリプロピレンポリオール、ポリカーボネートポリオール類、水酸基を有するポリブタジエン、セルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系ポリマーなどが挙げられる。上記式(1)中、qは、0〜10の整数を示す。但し、式(1)におけるqの合計は、1以上の整数(例えば、1〜20の整数)である。中でも、式(1)における複数のqは、いずれも1以上の整数であることが好ましい。なお、式(1)における複数のqは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(1)中、R2は、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。上記直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ペンチレン基などの炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基などが挙げられる。中でも、エチレン基、プロピレン基が好ましい。なお、式(1)中に複数のR2が存在する場合、これらR2は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(1)中、R3は、同一又は異なって、ラジカル重合性基(ラジカル重合性基を含む基も含まれる)、又は水素原子を示す。但し、式(1)におけるR3のうち、少なくとも4個はラジカル重合性基である。ラジカル重合性基としては、上述のラジカル重合性化合物(A)の項で例示した基が挙げられ、例えば、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
式(1)で表される化合物であるラジカル重合性化合物(A)としては、具体的には、例えば、アルキレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート(例えば、エトキシ化(エチレンオキサイド変性)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなど);アルキレンオキサイド変性(テトラ、ペンタ、又はヘキサ)ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート(例えば、エトキシ化(エチレンオキサイド変性)ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなど)などが挙げられる。
式(1)で表される化合物は、特に限定されないが、例えば、r個の水酸基を有する有機化合物にアルキレンオキサイドを付加反応(開環付加反応)させ、次いで、ラジカル重合性基を導入することによって生成させることができる。アルキレンオキサイドの付加反応の方法としては、公知乃至慣用の方法を適用でき、特に限定されない。ラジカル重合性基を導入する方法としては、公知乃至慣用の方法を適用でき、特に限定されないが、例えば、アルキレンオキサイドを開環付加させて生成させた末端の水酸基に対して、(メタ)アクリル酸誘導体などを反応させる方法などが挙げられる。
本発明の組成物におけるアルキレンオキサイド変性モノマー(総量)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、ラジカル重合性化合物(A)とカチオン重合性化合物(B)の総量(100重量%)に対して、5〜70重量%が好ましく、より好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは15〜50重量%である。アルキレンオキサイド変性モノマーの含有量が5重量%未満であると、硬化物や繊維強化複合材料に対する靭性付与の効果が不十分となる場合がある。一方、アルキレンオキサイド変性モノマーの含有量が70重量%を超えると、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性が低下する場合がある。
なお、本発明の組成物は、ラジカル重合性化合物(A)以外のラジカル重合性化合物を含んでいてもよい。ラジカル重合性化合物(A)以外のラジカル重合性化合物としては、例えば、一分子中にラジカル重合性基を1個有する化合物、ラジカル重合性基の官能基当量が50未満の化合物、ラジカル重合性基の官能基当量が300を超える化合物などが挙げられる。一分子中にラジカル重合性基を1個有する化合物としては、例えば、スチレン、2−クロロスチレン、2−ブロモスチレン、メトキシスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレンなどのビニル化合物;2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート(例えば、1,2−プロパンジオール−1−(メタ)アクリレート)、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類などが挙げられる。これらは一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
[カチオン重合性化合物(B)]
本発明の組成物におけるカチオン重合性化合物(B)は、一分子中にカチオン重合性基を1個以上有する化合物である。なお、上記カチオン重合性化合物(B)には、カチオン重合性基を有し、さらにラジカル重合性基を有するもの(即ち、化合物(C))は含まれない。
上記カチオン重合性化合物(B)が有するカチオン重合性基としては、カチオン重合反応を生じ得る官能基であればよく、特に限定されないが、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基などが挙げられる。なお、カチオン重合性化合物(B)が2個以上のカチオン重合性基を有する場合、これらのカチオン重合性基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
カチオン重合性化合物(B)が一分子中に有するカチオン重合性基の数は、1個以上であればよく特に限定されないが、2個以上が好ましく、より好ましくは2〜20個、さらに好ましくは2〜15個、特に好ましくは2〜10個である。
カチオン重合性化合物(B)としては、例えば、エポキシ化合物(一分子中に1個以上のエポキシ基を有する化合物)、オキセタン化合物(一分子中に1個以上のオキセタニル基を有する化合物)、ビニルエーテル化合物(一分子中に1個以上のビニルエーテル基を有する化合物)などが挙げられる。
上記エポキシ化合物としては、具体的には、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、ビフェノールジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテル、ナフタレンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスクレゾールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4,3′,4′−ジエポキシビシクロヘキシル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3′,4′−エポキシ−6′−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)−1,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)メタン、1−[1,1−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)]エチルベンゼン、シクロヘキセンオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアルコール、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類などのエポキシ化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに一種又は二種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、又はこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;カテコール、ピロガロール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビスフェノールS等の一分子中に2個以上の水酸基を有するフェノール類にアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノ又はポリグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類などが挙げられる。
上記オキセタン化合物としては、具体的には、例えば、3,3−ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3−エチル−3−(ヘキシルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(クロロメチル)オキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、ビス{[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル}エーテル、4,4′−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロヘキシル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]シクロヘキサン、1,4−ビス{〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕メチル}ベンゼン、3−エチル−3{〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕メチル)}オキセタン、キシリレンビスオキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタンなどが挙げられる。
上記ビニルエーテル化合物としては、具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、1−メチル−3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−メチル−2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−ヒドロキシメチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,2−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,2−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、p−キシレングリコールモノビニルエーテル、p−キシレングリコールジビニルエーテル、m−キシレングリコールモノビニルエーテル、m−キシレングリコールジビニルエーテル、o−キシレングリコールモノビニルエーテル、o−キシレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエチレングリコールモノビニルエーテル、ペンタエチレングリコールジビニルエーテル、オリゴエチレングリコールモノビニルエーテル、オリゴエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、テトラプロピレングリコールモノビニルエーテル、テトラプロピレングリコールジビニルエーテル、ペンタプロピレングリコールモノビニルエーテル、ペンタプロピレングリコールジビニルエーテル、オリゴプロピレングリコールモノビニルエーテル、オリゴプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、イソソルバイドジビニルエーテル、オキサノルボルネンジビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ハイドロキノンジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルなどが挙げられる。
中でも、カチオン重合性化合物(B)としては、硬化速度、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性の観点で、一分子中に1個以上の脂環構造(脂肪族環構造)と1個以上のエポキシ基とを有するエポキシ化合物(「脂環式エポキシ化合物」と称する)が好ましい。上記脂環式エポキシ化合物としては、具体的には、例えば、(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(脂環エポキシ基)を有する化合物、(ii)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物などが挙げられる。
上述の(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(脂環エポキシ基)を有する化合物としては、公知乃至慣用のものの中から任意に選択して使用することができる。中でも、上記脂環エポキシ基としては、シクロヘキサン環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成される基(シクロヘキセンオキシド基)が好ましい。
上述の(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基を有する化合物としては、硬化速度、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性の観点で、特に、下記式(I)で表される化合物(脂環式エポキシ化合物)が好ましい。
Figure 2014189101
上記式(I)中、Xは単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、これらが複数個連結した基などが挙げられる。
上記二価の炭化水素基としては、炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基、二価の脂環式炭化水素基などが挙げられる。炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基などが挙げられる。上記二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基などの二価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)などが挙げられる。
上記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖状のアルケニレン基等が挙げられる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2〜4のアルケニレン基である。
上記連結基Xとしては、特に、酸素原子を含有する連結基が好ましく、具体的には、−CO−、−O−CO−O−、−COO−、−O−、−CONH−、エポキシ化アルケニレン基;これらの基が複数個連結した基;これらの基の1又は2以上と二価の炭化水素基の1又は2以上とが連結した基などが挙げられる。二価の炭化水素基としては上記で例示したものが挙げられる。
上記式(I)で表される脂環式エポキシ化合物の代表的な例としては、下記式(I−1)〜(I−10)で表される化合物、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテルなどが挙げられる。なお、下記式(I−5)、(I−7)中のl、mは、それぞれ1〜30の整数を表す。下記式(I−5)中のRは炭素数1〜8のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。下記式(I−9)、(I−10)中のn1〜n6は、それぞれ1〜30の整数を示す。
Figure 2014189101
Figure 2014189101
上述の(ii)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物としては、例えば、下記式(II)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2014189101
式(II)中、R′は、構造式上、p価のアルコールからp個の−OHを除した基(残基)であり、p、nはそれぞれ自然数を表す。p価のアルコール[R′−(OH)p]としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノール等の多価アルコールなど(炭素数1〜15のアルコール等)が挙げられる。pは1〜6が好ましく、nは1〜30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの( )内(外側の括弧内)の基におけるnは同一でもよいし異なっていてもよい。上記化合物としては、具体的には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物などが挙げられる。
本発明の組成物におけるカチオン重合性化合物(B)として、脂環式エポキシ化合物は一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
中でも、上記脂環式エポキシ化合物としては、上記式(I−1)で表される3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート[商品名「セロキサイド2021P」((株)ダイセル製)]が特に好ましい。
特に、脂環式エポキシ化合物としては、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性、弾性率の観点で、上記式(I)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを併用することが好ましい。式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物は、それぞれ、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
カチオン重合性化合物(B)のカチオン重合性基の官能基当量は、特に限定されないが、50〜300が好ましく、より好ましくは70〜280、さらに好ましくは80〜260である。上記官能基当量が50未満であると、硬化物や繊維強化複合材料の靭性が不十分となる場合がある。一方、上記官能基当量が300を超えると、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性や機械特性が低下する場合がある。なお、カチオン重合性化合物(B)のカチオン重合性基の官能基当量は、下記式により算出することができる。
[カチオン重合性基の官能基当量]=[カチオン重合性化合物(B)の分子量]/[カチオン重合性化合物(B)が有するカチオン重合性基の数]
なお、本発明の組成物においてカチオン重合性化合物(B)は一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、上記カチオン重合性化合物(B)としては、例えば、商品名「セロキサイド2021P」(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、(株)ダイセル製)、商品名「EHPE3150」(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、(株)ダイセル製)、商品名「OXT−221」(東亞合成(株)製)、商品名「OXT−121」(東亞合成(株)製)などの市販品を使用することもできる。
本発明の組成物におけるカチオン重合性化合物(B)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、組成物(繊維強化複合材料用組成物)の全量(100重量%)に対して、5〜70重量%が好ましく、より好ましくは8〜60重量%、さらに好ましくは10〜50重量%である。含有量が5重量%未満であると、繊維強化複合材料における硬化物と強化繊維(G)の界面強度が低下したり、硬化物の耐熱性が低下する場合がある。一方、含有量が70重量%を超えると、組成物の硬化速度が低下したり、硬化物の耐熱性が低下する場合がある。なお、二種以上のカチオン重合性化合物(B)を併用する場合には、該カチオン重合性化合物(B)の総量を上記範囲に制御することが好ましい。
特に、本発明の組成物におけるカチオン重合性化合物(B)の総量に対する脂環式エポキシ化合物の割合は、特に限定されないが、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性の観点で、50重量%以上(例えば、50〜100重量%)が好ましく、より好ましくは70重量%以上である。
脂環式エポキシ化合物として上記式(I)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを併用する場合、これらの化合物の割合(重量比)[式(I)で表される化合物/式(II)で表される化合物]は、特に限定されないが、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性、弾性率の観点で、15/85〜90/10が好ましく、より好ましくは20/80〜80/20である。
本発明の組成物におけるラジカル重合性化合物(A)とカチオン重合性化合物(B)の割合(重量比)[ラジカル重合性化合物(A)/カチオン重合性化合物(B)]は、特に限定されないが、30/70〜85/15が好ましく、より好ましくは35/65〜80/20、さらに好ましくは40/60〜70/30である。ラジカル重合性化合物(A)の割合[ラジカル重合性化合物(A)とカチオン重合性化合物(B)の総量(100重量%)に対する割合]が30重量%未満であると、硬化速度が低下する場合がある。一方、ラジカル重合性化合物(A)の割合が85重量%を超えると、硬化物や繊維強化複合材料の機械強度が低下したり、繊維強化複合材料における硬化物と強化繊維(G)との界面強度が低下する場合がある。
[化合物(C)]
本発明の組成物における化合物(C)は、一分子中に1個以上のラジカル重合性基と1個以上のカチオン重合性基とを有する化合物である。化合物(C)が有するラジカル重合性基としては、ラジカル重合性化合物(A)におけるラジカル重合性基と同様のものが挙げられる。なお、化合物(C)が2個以上のラジカル重合性基を有する場合、これらのラジカル重合性基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、化合物(C)が有するカチオン重合性基としては、カチオン重合性化合物(B)におけるカチオン重合性基と同様のものが挙げられる。なお、化合物(C)が2個以上のカチオン重合性基を有する場合、これらのカチオン重合性基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
化合物(C)が一分子中に有するラジカル重合性基の数は1個以上であればよく、特に限定されないが、例えば、1〜5個が好ましく、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1個又は2個である。また、化合物(C)が一分子中に有するカチオン重合性基の数は1個以上であればよく、特に限定されないが、例えば、1〜5個が好ましく、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1個又は2個である。
化合物(C)としては、具体的には、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシハーフ(メタ)アクリレート(ビスフェノールAジグリシジルエーテルの一方のエポキシ基に(メタ)アクリル酸又はその誘導体を反応させて得られる化合物)、ビスフェノールFエポキシハーフ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSエポキシハーフ(メタ)アクリレートなどの一分子中にエポキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物;3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−ブチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−へキシル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレートなどの一分子中にオキセタニル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物;(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルなどの一分子中にビニルエーテル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物などが挙げられる。
化合物(C)のラジカル重合性基の官能基当量は、特に限定されないが、50〜500が好ましく、より好ましくは80〜480、さらに好ましくは120〜450である。上記官能基当量が50未満であると、硬化物や繊維強化複合材料の靭性が不十分となる場合がある。一方、上記官能基当量が500を超えると、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性や機械特性が低下する場合がある。なお、化合物(C)のラジカル重合性基の官能基当量は、下記式により算出することができる。
[ラジカル重合性基の官能基当量]=[化合物(C)の分子量]/[化合物(C)が有するラジカル重合性基の数]
化合物(C)のカチオン重合性基の官能基当量は、特に限定されないが、50〜500が好ましく、より好ましくは80〜480、さらに好ましくは120〜450である。上記官能基当量が50未満であると、硬化物や繊維強化複合材料の靭性が不十分となる場合がある。一方、上記官能基当量が500を超えると、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性や機械特性が低下する場合がある。なお、化合物(C)のカチオン重合性基の官能基当量は、下記式により算出することができる。
[カチオン重合性基の官能基当量]=[化合物(C)の分子量]/[化合物(C)が有するカチオン重合性基の数]
なお、本発明の組成物において化合物(C)は一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。化合物(C)は、特に限定されないが、一分子中に2個以上のカチオン重合性基(例えば、エポキシ基)を有する化合物の該カチオン重合性基の一部を、ラジカル重合性基を有するカルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸等)又はその誘導体と反応させる方法などにより得られる。また、上記化合物(C)としては、例えば、商品名「サイクロマーM100」((株)ダイセル製)、商品名「NK OLIGO EA1010N」(新中村化学工業(株)製)、商品名「グリシジルメタクリレート」(日油(株)製)などの市販品を使用することもできる。
本発明の組成物における化合物(C)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、ラジカル重合性化合物(A)とカチオン重合性化合物(B)の総量100重量部に対して、10〜70重量部が好ましく、より好ましくは12〜60重量部、さらに好ましくは15〜50重量部である。含有量が10重量部未満であると、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性が低下したり、機械特性が低下する場合がある。一方、含有量が70重量部を超えると、硬化物や繊維強化複合材料の機械特性が低下する場合がある。なお、二種以上の化合物(C)を併用する場合には、該化合物(C)の総量を上記範囲に制御することが好ましい。
[ラジカル重合開始剤(D)]
本発明の組成物におけるラジカル重合開始剤(D)は、組成物における硬化性化合物(重合性基を有する化合物、特にラジカル重合性基及びカチオン重合性基のいずれか一方又は両方を有する化合物)の中でも、ラジカル重合性基を有する化合物(ラジカル重合性化合物(A)、化合物(C))の重合反応(ラジカル重合反応)を開始させる化合物である。ラジカル重合開始剤(D)としては、公知乃至慣用のラジカル重合開始剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤などが挙げられる。
上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物類が挙げられる。上記有機過酸化物類としては、例えば、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステル等を使用することができる。有機過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイル)パーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジブチルパーオキシヘキサン、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシジ−イソプロピルベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどが挙げられる。また、商品名「パーオクタO」(日油(株)製)、商品名「パーブチルO」(日油(株)製)、商品名「パーヘキサC」(日油(株)製)、商品名「パーヘキサCS」(日油(株)製)などの市販品を使用することもできる。
上記熱ラジカル重合開始剤としては、上記有機過酸化物類の他、アゾ化合物類を使用することもできる。上記アゾ化合物類としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、1,1′−アゾビスシクロヘキサン−1−カルボニトリル、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2′−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル2,2′−アゾビスイソブチレートなどが挙げられる。上記熱ラジカル重合開始剤としては、その他、過酸化水素、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど)などの無機過酸化物を使用又は併用してもよい。
さらに、上記熱ラジカル重合開始剤とともに、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸亜鉛、オクテン酸コバルト等のナフテン酸やオクテン酸のコバルト、マンガン、鉛、亜鉛、バナジウムなどの金属塩を併用することができる。同様に、ジメチルアニリン等の3級アミンも使用することができる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノンベンジル、ベンジルジメチルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジメトキシアセトフェノン、ジメトキシフェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ジフェニルジサルファイト、オルトベンゾイル安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬(株)製、商品名「カヤキュアEPA」等)、2,4−ジエチルチオキサンソン(日本化薬(株)製、商品名「カヤキュアDETX」等)、2−メチル−1−[4−(メチル)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1(チバガイギー(株)製、商品名「イルガキュア907」等)、2−ジメチルアミノ−2−(4−モルホリノ)ベンゾイル−1−フェニルプロパン等の2−アミノ−2−ベンゾイル−1−フェニルアルカン化合物、テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ベンジル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、4,4−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゼン誘導体、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾ−ル(保土谷化学(株)製、商品名「B−CIM」等)等のイミダゾール化合物、2,6−ビス(トリクロロメチル)−4−(4−メトキシナフタレン−1−イル)−1,3,5−トリアジン等のハロメチル化トリアジン化合物、2−トリクロロメチル−5−(2−ベンゾフラン2−イル−エテニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物などが挙げられる。
なお、本発明の組成物においてラジカル重合開始剤(D)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の組成物におけるラジカル重合開始剤(D)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、及び化合物(C)の総量100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜8重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。含有量が0.01重量部未満であると、硬化反応の進行が不十分となる場合がある。一方、含有量が10重量部を超えると、用途によっては、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性が不足する場合がある。なお、二種以上のラジカル重合開始剤(D)を併用する場合には、該ラジカル重合開始剤(D)の総量を上記範囲に制御することが好ましい。
[酸発生剤(E)]
本発明の組成物における酸発生剤(E)は、組成物における硬化性化合物の中でも、カチオン重合性基を有する化合物(カチオン重合性化合物(B)、化合物(C))の重合反応(カチオン重合反応)を開始させる化合物である。酸発生剤(E)としては、公知乃至慣用の酸発生剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、熱酸発生剤、光酸発生剤などが挙げられる。
酸発生剤(E)としては、加熱や活性エネルギー線の照射により酸を発生する化合物、具体的には、例えば、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のスルホニウム塩;ジアリールヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ヨードニウム[4−(4−メチルフェニル−2−メチルプロピル)フェニル]ヘキサフルオロホスフェート等のヨードニウム塩;テトラフルオロホスホニウムヘキサフルオロホスフェート等のホスホニウム塩;ピリジニウム塩;ジアゾニウム塩;セレニウム塩;アンモニウム塩;ボロントリフルオリド−エチルエーテルコンプレックスなどの三フッ化ホウ素のエーテル錯体などが挙げられる。
上記熱酸発生剤としては、例えば、商品名「サンエイドSI−45」、「サンエイドSI−47」、「サンエイドSI−60」、「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100」、「サンエイドSI−100L」、「サンエイドSI−110L」、「サンエイドSI−145」、「サンエイドSI−150」、「サンエイドSI−160」、「サンエイドSI−110L」、「サンエイドSI−180L」(以上、三新化学工業(株)製);商品名「CI−2921」、「CI−2920」、「CI−2946」、「CI−3128」、「CI−2624」、「CI−2639」、「CI−2064」(以上、日本曹達(株)製);商品名「PP−33」、「CP−66」、「CP−77」(以上、(株)ADEKA製);商品名「FC−509」、「FC−520」(以上、3M社製)などの市販品を使用することもできる。さらに、上記熱酸発生剤は、アルミニウムやチタンなどの金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とトリフェニルシラノール等のシラノールとの化合物、又は、アルミニウムやチタンなどの金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とビスフェノールS等のフェノール類との化合物であってもよい。
上記光酸発生剤としては、例えば、商品名「サイラキュアUVI−6970」、「サイラキュアUVI−6974」、「サイラキュアUVI−6990」、「サイラキュアUVI−950」(以上、米国ユニオンカーバイド社製);商品名「イルガキュア250」、「イルガキュア261」、「イルガキュア264」、「CG−24−61」(以上、BASF社製);商品名「SP−150」、「SP−151」、「SP−170」、「オプトマーSP−171」(以上、(株)ADEKA製);商品名「DAICATII」((株)ダイセル製);商品名「UVAC1590」、「UVAC1591」(以上、ダイセル・サイテック(株)製);商品名「CI−2064」、「CI−2639」、「CI−2624」、「CI−2481」、「CI−2734」、「CI−2855」、「CI−2823」、「CI−2758」、「CIT−1682」(以上、日本曹達(株)製);商品名「PI−2074」(ローディア社製、ペンタフルオロフェニルボレートトルイルクミルヨードニウム塩);商品名「FFC509」(3M社製);商品名「BBI−102」、「BBI−101」、「BBI−103」、「MPI−103」、「TPS−103」、「MDS−103」、「DTS−103」、「NAT−103」、「NDS−103」(以上、ミドリ化学(株)製);商品名「CD−1010」、「CD−1011」、「CD−1012」(以上、米国、Sartomer社製);商品名「CPI−100P」、「CPI−101A」(以上、サンアプロ(株)製)などの市販品を使用することもできる。
なお、本発明の組成物において酸発生剤(E)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の組成物における酸発生剤(E)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、及び化合物(C)の総量100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.2〜15重量部、さらに好ましくは0.3〜5重量部である。含有量が0.1重量部未満であると、硬化反応の進行が不十分となる場合がある。一方、含有量が20重量部を超えると、用途によっては、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性が不足する場合がある。なお、二種以上の酸発生剤(E)を併用する場合には、該酸発生剤(E)の総量を上記範囲に制御することが好ましい。
[離型剤(F)]
本発明の組成物における離型剤(F)としては、公知乃至慣用の離型剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、シリコーン化合物、フッ素含有化合物(フッ化ビニリデン系樹脂やフッ化エチレン−プロピレン系樹脂、フッ素系オリゴマーなど)、ポリエチレンワックス等の合成ワックス類、カルナバワックス等の天然ワックス類、脂肪酸及びその誘導体、パラフィン、テフロン(登録商標)パウダー、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物等が挙げられる。
中でも、離型剤(F)としては、引抜成形法において繊維強化複合材料に対して特に優れた離型性を発揮させる点で、脂肪酸(例えば、炭素数10〜30の高級脂肪酸等)及びその誘導体が好ましく、例えば、ステアリン酸等の脂肪酸;脂肪酸の金属塩(例えば、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、亜鉛塩等のその他の金属塩等);脂肪酸と多価アルコール(例えば、グリセリン等)とのエステル;脂肪酸アミド等が挙げられ、より具体的には、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等が挙げられる。中でも、特に、ステアリン酸金属化合物(ステアリン酸由来の構造単位と金属とを含む化合物;例えば、ステアリン酸の金属塩等)が好ましい。これらの離型剤が引抜成形法において繊維強化複合材料に対して特に優れた離型性を発揮させる理由は明らかではないが、これらの離型剤が本発明の組成物中で他の成分と不均一の状態で存在しやすく、その表面に偏析する傾向があるためと推測される。
なお、本発明の組成物において離型剤(F)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の組成物における離型剤(F)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、化合物(C)、ラジカル重合開始剤(D)、及び酸発生剤(E)の総量(成分(A)〜(E)の総量)100重量部に対して、1〜8重量部が好ましく、より好ましくは1.5〜7重量部、さらに好ましくは2〜6重量部である。含有量が1重量部未満であると、引抜成形法において高速で硬化させる場合に十分な離型性が得られず、成形中に引き抜き応力が増大し、連続成形が困難となる場合がある。一方、含有量が8重量部を超えると、用途によっては、硬化物や繊維強化複合材料の硬化性が不足し、耐熱性や機械特性が低下する場合がある。なお、二種以上の離型剤(F)を併用する場合には、該離型剤(F)の総量を上記範囲に制御することが好ましい。
本発明の組成物には、さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて他の添加物を添加してもよい。他の添加物としては、例えば、タルク等のフィラー、硬化膨張性モノマー、光増感剤(アントラセン系増感剤等)、樹脂、密着性向上剤、補強剤、軟化剤、可塑剤、粘度調整剤、溶剤、無機又は有機粒子(ナノスケール粒子等)、フルオロシラン等の公知慣用の各種添加剤が挙げられる。
本発明の組成物は、上述の各構成成分(ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、化合物(C)、ラジカル重合開始剤(D)、酸発生剤(E)、離型剤(F)、添加剤など)を、所定の割合で配合し、均一に混合することによって製造することができる。上記各構成成分の混合は、公知乃至慣用の攪拌装置(混合装置)等を使用して実施することができ、特に限定されないが、例えば、自転公転型攪拌脱泡装置、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、3本ロールミル、ビーズミルなどの攪拌装置を使用して実施できる。
本発明の組成物の25℃における粘度は、特に限定されないが、取り扱いや作業性の観点で、50〜30000mPa・sが好ましく、より好ましくは100〜5000mPa・s、さらに好ましくは150〜2000mPa・sである。なお、組成物の25℃における粘度は、例えば、粘度粘弾性測定装置(商品名「HAAKE Rheo Stress 6000」、Thermo SCIENTIFIC社製)を用いて測定することができる(例えば、ローター:1°×R10、回転数:10rpm、測定温度:25℃)。
本発明の組成物は、特に、作業安定性の観点で、調製直後の粘度(調製後1時間以内で測定される粘度;「初期粘度」と称する場合がある)と、調製後25℃で72時間放置後の粘度とが、ともに上述の範囲に制御されることが好ましい。例えば、調製直後の粘度が上述の範囲に制御されるが、調製後25℃で72時間放置後の粘度が初期粘度の2倍を超えるような場合には、保管中に硬化が進行している可能性があり、作業安定性が著しく低下したり、硬化物(特に、繊維強化複合材料)の品質が低下する場合がある。
本発明の組成物におけるラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、及び化合物(C)を重合(より具体的には、ラジカル重合及びカチオン重合)させることにより、本発明の組成物を硬化させ、硬化物(樹脂硬化物)を得ることができる。上記重合反応を開始させるための手段は、ラジカル重合開始剤(D)や酸発生剤(E)の種類や含有量などに応じて適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、加熱や活性エネルギー線(例えば、紫外線、赤外線、可視光線、電子線など)の照射などが挙げられる。特に、上記重合反応は、ラジカル重合開始剤(D)として熱ラジカル重合開始剤を、酸発生剤(E)として熱酸発生剤を使用し、加熱により開始させることが好ましい。
本発明の組成物を硬化させる際の条件は、ラジカル重合開始剤(D)や酸発生剤(E)の種類や含有量などに応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、加熱により硬化させる場合の条件として、加熱温度を120〜230℃(より好ましくは130〜220℃、さらに好ましくは140〜210℃)とし、加熱時間を0.1〜10分間(より好ましくは0.5〜5分間、さらに好ましくは1〜3分間)とすることが好ましい。加熱温度が低すぎる場合や加熱時間が短すぎる場合には、硬化が不十分となり硬化物の耐熱性や機械物性などが低下する場合がある。一方、加熱温度が高すぎる場合や加熱時間が長すぎる場合には、組成物中の成分の分解や劣化などが生じる場合がある。
本発明の組成物は、上述の条件により加熱処理(例えば、組成物を硬化させて得られる硬化物の硬化度を80%以上にまで向上させるための加熱処理;「一次硬化」と称する)した後、さらに、上記一次硬化の条件よりも高温で加熱処理(例えば、組成物を硬化させて得られる硬化物の硬化度を90%以上にまで向上させるための加熱処理;「ポストベーク」や「二次硬化」と称する場合がある)することによって硬化させてもよい。上記ポストベーク(二次硬化)の条件は、特に限定されないが、例えば、230〜270℃、0.1〜30分間の条件から適宜選択できる。なお、ポストベーク(二次硬化)は、用途によっては必ずしも実施する必要はない。
なお、硬化物の硬化度は、例えば、示差走査型熱量測定(DSC)により測定される硬化の際の発熱量などを用いて算出できる(このようにして測定される硬化度を「示差走査型熱量測定により測定される硬化度」と称する場合がある)。具体的には、上記硬化度は、例えば、組成物及び硬化物(組成物の加熱処理により得られた硬化物)について、下記の装置及び条件でDSCを行い、測定された発熱量を用いて下記の計算式により算出することができる。
<測定装置及び測定条件>
測定装置:示差走査型熱量測定装置(商品名「Q−2000」、TA INSTRUMENTS社製)
1stヒート条件: 昇温速度;+20℃/分 温度範囲;0℃〜300℃
2ndヒート条件: 昇温速度;+20℃/分 温度範囲;0℃〜300℃
測定雰囲気: 窒素
<硬化度計算方法(計算式)>
[硬化物の硬化度(%)]=[1−{[硬化物の1stヒートでの発熱量]+[硬化物の2ndヒートでの発熱量]}/{[組成物(繊維強化複合材料用組成物)の1stヒートでの発熱量]+[組成物(繊維強化複合材料用組成物)の2ndヒートでの発熱量]}]×100
本発明の組成物を活性エネルギー線の照射により硬化させる場合の条件は、特に限定されず、例えば、水銀ランプ等で1000mJ/cm2以上の紫外線を照射する条件などを採用できる。なお、本発明の組成物を硬化させる場合には、加熱と活性エネルギー線の照射とを組み合わせることもできる。
特に、本発明の組成物は硬化速度が速いため、より短い時間で硬化させることができる(例えば、硬化物の硬化度を80%以上まで高めることができる)点で非常に有用である。これにより、繊維強化複合材料の生産性を著しく向上させることができる。
本発明の組成物は、220℃で2分間の加熱処理により硬化させて得られる硬化物の硬化度[上述の示差走査型熱量測定により測定される硬化度]が、80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上(例えば、85〜100%)である。また、本発明の組成物は、180℃で2分間の加熱処理により硬化させて得られる硬化物の硬化度が80%以上(より好ましくは85%以上)であることが好ましく、より好ましくは140℃で2分間の加熱処理により硬化させて得られる硬化物の硬化度が80%以上(より好ましくは85%以上)である。
本発明の組成物を硬化させて得られる硬化物のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、100℃以上(例えば、100〜300℃)が好ましく、より好ましくは140℃以上(例えば、140〜300℃)、さらに好ましくは150℃以上、特に好ましくは180℃以上である。ガラス転移温度が100℃未満であると、用途によっては繊維強化複合材料の耐熱性が不十分となる場合がある。なお、上記ガラス転移温度は、JIS K7244−4に準拠した測定、より詳しくは、動的粘弾性測定(例えば、昇温速度:5℃/分、測定温度:25〜350℃、変形モード:引っ張りモードの条件での動的粘弾性測定)において測定されるtanδ(損失正接)のピークトップの温度として求めることができる。
本発明の組成物を硬化させて得られる硬化物の30℃における弾性率(貯蔵弾性率、「弾性率E'」と記載する場合もある)は、特に限定されないが、1×108Pa以上(例えば、1×108〜1×1012Pa)が好ましく、より好ましくは5×108Pa以上、さらに好ましくは6×108Pa以上である。30℃における弾性率が1×108Pa未満であると、用途によっては硬さが不十分となる場合がある。
本発明の組成物を硬化させて得られる硬化物の250℃における弾性率は、特に限定されないが、1×108Pa以上(例えば、1×108〜1×1012Pa)が好ましく、より好ましくは3×108Pa以上、さらに好ましくは5×108Pa以上である。250℃における弾性率が1×108Pa未満であると、用途によっては繊維強化複合材料の耐熱性が不十分となる場合がある。
本発明の組成物を硬化させて得られる硬化物の、下記式により算出される弾性率E'の減少率(「E'減少率」と称する場合がある)は、特に限定されないが、50%以下が好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下である。上記E'の減少率の下限は0%であることが最も好ましいが、例えば、3%であってもよい。なお、上記E'の減少率は、下記式により算出される。
弾性率E'の減少率(%)=100×(a−b)/a
上記式中、aは硬化物の(ガラス転移温度(硬化物のガラス転移温度)−10)℃における弾性率(Pa)を示し、bは硬化物の(ガラス転移温度(硬化物のガラス転移温度)+10)℃における弾性率(Pa)を示す。即ち、上記弾性率E'の減少率が小さいことは、硬化物の弾性率のガラス転移温度の前後における変化(低下)が小さいことを示し、即ち、耐熱性に優れることを意味する。なお、硬化物の弾性率は、例えば、上述の硬化物のガラス転移温度の測定と同様の動的粘弾性測定により測定することができる。
[プリプレグ、繊維強化複合材料]
本発明の組成物を強化繊維(G)に含浸させることにより、プリプレグ(「本発明のプリプレグ」と称する場合がある)が形成される。即ち、本発明のプリプレグは、本発明の組成物と強化繊維(G)とを必須成分として含む。
強化繊維(G)としては、特に限定されないが、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、黒鉛繊維、炭化珪素繊維、高強度ポリエチレン繊維、タングステンカーバイド繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維(PBO繊維)などが挙げられる。上記炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維などが挙げられる。中でも、機械特性の観点で、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が好ましい。なお、本発明のプリプレグにおいて強化繊維(G)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明のプリプレグにおける強化繊維(G)の形態は、特に限定されず、例えば、フィラメント(長繊維)の形態、トウの形態、トウを一方向に配列させた一方向材の形態、織物の形態、不織布の形態などが挙げられる。強化繊維(G)の織物としては、例えば、平織、綾織、朱子織、若しくはノンクリンプファブリックに代表される繊維束を一方向に引き揃えたシートや角度を変えて積層したようなシートをほぐれないようにステッチしたステッチングシートなどが挙げられる。
本発明のプリプレグにおける強化繊維(G)の含有量(「繊維質量含有率(Wf)」と称する場合がある)は、特に限定されないが、50〜90重量%が好ましく、より好ましくは60〜85重量%、さらに好ましくは65〜80重量%である。含有量が50重量%未満であると、用途によっては、繊維強化複合材料の機械強度や耐熱性が不十分となる場合がある。一方、含有量が90重量%を超えると、用途によっては、繊維強化複合材料の機械強度(例えば、靭性など)が不十分となる場合がある。
本発明のプリプレグは、本発明の組成物を強化繊維(G)に含浸させた後、さらに、加熱や活性エネルギー線照射などを行って、組成物中の硬化性化合物の一部を硬化(即ち、半硬化)させたものであってもよい。
強化繊維(G)に本発明の組成物を含浸させる方法は特に限定されず、公知乃至慣用のプリプレグの製造方法における含浸の方法により実施することができる。
本発明のプリプレグを硬化させることにより、繊維強化複合材料が得られる。上記繊維強化複合材料は、強化繊維(G)により本発明の組成物の硬化物が強化されているため、非常に優れた機械強度、耐熱性を有する。本発明のプリプレグを硬化させる際の条件は、特に限定されないが、例えば、上述の本発明の組成物を硬化させる際の条件と同様の条件などを採用できる。特に、本発明のプリプレグは、より短い時間で硬化させることができる(例えば、硬化物の硬化度を80%以上まで高めることができる)ため、これにより、繊維強化複合材料の生産性が著しく向上する。
本発明のプリプレグ及び繊維強化複合材料の製造方法としては、例えば、引抜成形法(引き抜き成形法)を採用できる。具体的には、強化繊維(G)を樹脂槽(本発明の組成物が充填された樹脂槽)に連続的に通すことによって強化繊維(G)に本発明の組成物を含浸させ、次いで、必要に応じてスクイズダイを通すことによってプリプレグ(本発明のプリプレグ)を形成し、その後、例えば、加熱金型を通して引張機によって連続的に引抜成形しつつ硬化させることによって、繊維強化複合材料を得ることができる。得られた繊維強化複合材料には、さらに、その後、オーブン等を使用してさらに加熱処理(ポストベーク)を施してもよい。特に、本発明のプリプレグは硬化速度が速いため、短時間で硬化させることが要求される上述の引抜成形法による繊維強化複合材料の製造に有利に使用できる。特に、本発明の組成物(及びプリプレグ)は上記構成を有するため、引抜成形法において高速で硬化させた場合であっても得られる繊維強化複合材料は金型からの離型性に優れ、成形中に引き抜き応力が増大することがなく、連続的な成形が可能である点で有用である。
本発明のプリプレグ及び繊維強化複合材料は、上述の成形法(引き抜き成形法)に限定されず、公知乃至慣用のプリプレグ及び繊維強化複合材料の製造方法、例えば、ハンドレイアップ法、プリプレグ法、RTM法、プルトルージョン法、フィラメントワインディング法、スプレーアップ法などによっても製造できる。
本発明の繊維強化複合材料のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、100℃以上(例えば、100〜300℃)が好ましく、より好ましくは140℃以上(例えば、140〜300℃)、さらに好ましくは150℃以上、特に好ましくは180℃以上である。ガラス転移温度が100℃未満であると、用途によっては耐熱性が不十分となる場合がある。なお、上記ガラス転移温度は、上述の硬化物のガラス転移温度と同様の方法により測定することができる。
本発明の繊維強化複合材料の30℃における弾性率は、特に限定されないが、1×108Pa以上(例えば、1×108〜1×1012Pa)が好ましく、より好ましくは5×108Pa以上、さらに好ましくは6×108Pa以上である。30℃における弾性率が1×108Pa未満であると、用途によっては硬さが不十分となる場合がある。
本発明の繊維強化複合材料の250℃における弾性率は、特に限定されないが、1×108Pa以上(例えば、1×108〜1×1012Pa)が好ましく、より好ましくは3×108Pa以上、さらに好ましくは5×108Pa以上である。250℃における弾性率が1×108Pa未満であると、用途によっては耐熱性が不十分となる場合がある。
本発明の繊維強化複合材料の上記式により算出される弾性率E'の減少率(E'減少率)は、特に限定されないが、50%以下が好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下である。上記E'の減少率の下限は0%であることが最も好ましいが、例えば、3%であってもよい。なお、本発明の繊維強化複合材料のE'の減少率は、硬化物の弾性率E'の減少率と同様の方法により算出される。
本発明の繊維強化複合材料は、各種の構造物の材料として使用することができ、特に限定されないが、例えば、航空機の胴体、主翼、尾翼、動翼、フェアリング、カウル、ドアなど;宇宙機のモーターケース、主翼など;人工衛星の構体;自動車のシャシーなどの自動車部品;鉄道車両の構体;自転車の構体;船舶の構体;風力発電のブレード;圧力容器;釣り竿;テニスラケット;ゴルフシャフト;ロボットアーム;ケーブル(例えば、ケーブルの芯材など)などの構造物の材料として好ましく使用することができる。
本発明の繊維強化複合材料は、例えば、空中配線として使用される電線の芯材として好ましく使用できる。本発明の繊維強化複合材料により形成された芯材を有する電線を用いることにより、該複合材料が高い強度を有し、かつ軽量で線膨張係数が小さいため、鉄塔数の削減や送電容量の向上を図ることが可能となる。また、本発明の繊維強化複合材料は高い耐熱性を有するため、発熱が生じやすい高電圧の電線(高圧電線)用の芯材としても好ましく使用できる。上記芯材は、例えば、引抜成形法やより線成形法などの公知の方法により形成できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1〜4、比較例1
[繊維強化複合材料用組成物及び硬化物の製造]
表1に示す配合組成(単位:重量部)に従って各成分を配合し、セパラブルフラスコ中、攪拌翼で攪拌・混合することにより、繊維強化複合材料用組成物を得た。
[プリプレグ及び繊維強化複合材料の製造]
プリプレグ及び繊維強化複合材料は、連続引抜成形法により製造した。具体的には、上記で得た組成物(繊維強化複合材料用組成物)を充填した樹脂槽に、糸状の連続した炭素繊維を通すことで、炭素繊維に上記組成物を含浸させ、次いで、余分な組成物をスクイズし、脱泡してプリプレグを形成した。
その後、上記プリプレグをφ4mmの金型に導入して150℃、220℃の2段階で計2分間加熱硬化(一次硬化)し、次いで、引抜装置で引抜き、さらに240℃8分のポストベークの加熱条件で加熱処理することにより、繊維強化複合材料を製造した。なお、実施例の繊維強化複合材料用組成物の場合は、一次硬化後の硬化度がいずれも80%以上であった。
[評価]
実施例及び比較例で得られた繊維強化複合材料用組成物及び繊維強化複合材料について、以下の評価を行った。
(1)連続引抜成形性
上述の引抜成形法による繊維強化複合材料の製造にあたり、引き抜き速度60cm/分以上で連続成形ができた場合を◎(連続引抜成形性に優れる)、引き抜き速度30cm/分以上60cm/分未満で連続成形ができた場合を○(連続引抜成形性が良好である)、引き抜き速度30cm/分にて引抜成形を行った場合に、引き抜き応力が増大し途中で成形が止まってしまった場合を×(連続引抜成形性が不良である)と評価した。
(2)ガラス転移温度及び弾性率
実施例及び比較例で得られた繊維強化複合材料を、厚み0.5mm、幅3mm、長さ20mmに切り出し、これをサンプルとして使用した。
上記で得たサンプルの動的粘弾性測定(DMA)を、下記の条件で実施した。
<測定装置及び測定条件>
測定装置:固体粘弾性測定装置(「RSAIII」、TA INSTRUMENTS社製)
雰囲気:窒素
温度範囲:25〜350℃
昇温温度:5℃/分
変形モード:三点曲げモード
上記動的粘弾性測定で測定されたtanδ(損失正接)のピークトップの温度を繊維強化複合材料のガラス転移温度(Tg)として求めた。結果を表1の「Tg」の欄に示した。
また、上記動的粘弾性測定で測定された30℃における弾性率(E'(30℃))及び250℃における弾性率E'(E'(250℃))を、それぞれ、表1の「E'(30℃)」及び「E'(250℃)」の欄に示した。
さらに、上記動的粘弾性測定で測定された弾性率E'の結果より、各繊維強化複合材料の(ガラス転移温度−10)℃における弾性率E'を表1の「E'(Tg−10℃)」の欄に示し、各繊維強化複合材料の(ガラス転移温度+10)℃における弾性率E'を表1の「E'(Tg+10℃)」の欄に示した。そして、これらの値から、下記式により弾性率E'の減少率を算出し、表1の「E'減少率」の欄に示した。
弾性率E'の減少率(%)=100×(a−b)/a
[式中、aは繊維強化複合材料の(ガラス転移温度−10)℃における弾性率(Pa)を示し、bは繊維強化複合材料の(ガラス転移温度+10)℃における弾性率(Pa)を示す。]
(3)線膨張係数
実施例及び比較例で得られた繊維強化複合材料を、繊維方向に沿って、高さ(繊維方向)15mm、幅2.5mm、長さ2.5mmに切り出し、これをサンプルとして使用した。
上記で得たサンプルの線膨張係数測定(TMA)を、下記の条件で実施し、繊維方向(繊維の長手方向)及び繊維垂直方向(繊維方向に対する直交方向)の線膨張係数を測定した。結果を表1の「線膨張係数(繊維方向)」及び「線膨張係数(繊維垂直方向)」に示した。
<測定装置及び測定条件>
測定装置:熱機械的分析装置(EXSTAR TMA/SS7100、エス・アイアイ・ナノテクノロジー社製)
雰囲気:窒素
温度範囲:30〜200℃
昇温速度:5℃/min
荷重:30mN
測定モード:圧縮
(4)粘度
実施例及び比較例で得られた繊維強化複合材料用組成物の25℃における粘度を、該組成物を調製した直後(調製後1時間以内)に測定した。結果を表1の「繊維強化複合材料用組成物の粘度」の欄に示す。
また、上記繊維強化複合材料用組成物を調製後、25℃の環境下で72時間保管した後、粘度を測定した。結果を表1の「繊維強化複合材料用組成物の25℃×72hr保管後の粘度」の欄に示す。
なお、粘度の測定装置、測定条件は下記の通りである。
<測定装置及び測定条件>
測定装置:粘度粘弾性測定装置(商品名「HAAKE Rheo Stress 6000」、Thermo SCIENTIFIC社製)
ローター:1°×R10
回転数:10rpm
測定温度:25℃
Figure 2014189101
表1に示すように、本発明の繊維強化複合材料用組成物(実施例)は、引抜成形法による連続的な製造が可能であり、連続引抜成形性に優れるものであった。
また、本発明の繊維強化複合材料用組成物(実施例)は、非常に短い時間の加熱によって十分に硬化させることができ、硬化速度が速いものであった。
さらに、本発明の繊維強化複合材料用組成物を使用して製造した繊維強化複合材料(実施例)は、高いガラス転移温度を有し、かつ250℃という高温においても高い弾性率を有しており、ガラス転移温度の前後(Tg±10℃)における弾性率の低下(E'減少率)が小さく、耐熱性に優れていた。また、上記繊維強化複合材料は、線膨張係数が小さい材料であった。
さらに、本発明の繊維強化複合材料用組成物(実施例)は、調製直後の粘度と25℃に72時間保管した後の粘度がほとんど変わらず、作業安定性に優れるものであった。
なお、実施例、比較例で使用した成分は、以下の通りである。
[ラジカル重合性化合物(A)]
IRR214−K:ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート(ダイセル・サイテック(株)製、分子量:304、一分子中のアクリロイル基の数:2個、官能基当量:152)
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ダイセル・サイテック(株)製、分子量:578、一分子中のアクリロイル基の数:6個、官能基当量:96.3)
[カチオン重合性化合物(B)]
セロキサイド2021P:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート((株)ダイセル製、分子量:252、一分子中のエポキシ基の数:2個、官能基当量:126)
EHPE3150:2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物((株)ダイセル製、官能基当量:約100)
[化合物(C)]
GMA:グリシジルメタクリレート(日油(株)製、分子量:142、一分子中のメタクリロイル基の数:1個、一分子中のエポキシ基の数:1個、官能基当量:142)
NK OLIGO EA1010N:ビスフェノールAエポキシハーフアクリレート(新中村化学工業(株)製、分子量:412、一分子中のアクリロイル基の数;1個、一分子中のエポキシ基の数:1個、官能基当量:412)
[ラジカル重合開始剤(D)]
パーヘキサCS:1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(日油(株)製)
[酸発生剤(E)]
サンエイドSI−60L:芳香族スルホニウム塩(三新化学工業(株)製)
[離型剤(F)]
ジンクステアレートGP:ステアリン酸亜鉛(日油(株)製)
[タルク]
HA:タルク HA(ソブエクレー(株)製)
本発明の繊維強化複合材料用組成物を使用することにより繊維強化複合材料を得ることができる。該繊維強化複合材料は、例えば、航空機の胴体、主翼、尾翼、動翼、フェアリング、カウル、ドアなど;宇宙機のモーターケース、主翼など;人工衛星の構体;自動車のシャシーなどの自動車部品;鉄道車両の構体;自転車の構体;船舶の構体;風力発電のブレード;圧力容器;釣り竿;テニスラケット;ゴルフシャフト;ロボットアーム;ケーブル(例えば、ケーブルの芯材(特に、空中配線として使用される電線の芯材など)など)などの構造物の材料などとして好ましく使用することができる。

Claims (20)

  1. ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、一分子中にラジカル重合性基とカチオン重合性基とを有する化合物(C)、ラジカル重合開始剤(D)、酸発生剤(E)、及び離型剤(F)を含み、
    ラジカル重合性化合物(A)が、一分子中にラジカル重合性基を2個以上有し、且つラジカル重合性基の官能基当量が50〜300である化合物であることを特徴とする繊維強化複合材料用組成物。
  2. カチオン重合性化合物(B)が、エポキシ化合物、オキセタン化合物、及びビニルエーテル化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物である請求項1に記載の繊維強化複合材料用組成物。
  3. カチオン重合性化合物(B)が脂環式エポキシ化合物である請求項1又は2に記載の繊維強化複合材料用組成物。
  4. カチオン重合性化合物(B)が、一分子中にカチオン重合性基を2個以上有し、且つカチオン重合性基の官能基当量が50〜300である化合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料用組成物。
  5. ラジカル重合性化合物(A)とカチオン重合性化合物(B)の割合(重量比)[(A)/(B)]が30/70〜85/15である請求項1〜4のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料用組成物。
  6. ラジカル重合性化合物(A)として、一分子中に4個以上のラジカル重合性基を有するアルキレンオキサイド変性モノマーを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料用組成物。
  7. 化合物(C)が、カチオン重合性基の官能基当量が50〜500であり、且つラジカル重合性基の官能基当量が50〜500である化合物である請求項1〜6のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料用組成物。
  8. 化合物(C)の含有量が、ラジカル重合性化合物(A)とカチオン重合性化合物(B)の総量100重量部に対して、10〜70重量部である請求項1〜7のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料用組成物。
  9. ラジカル重合開始剤(D)の含有量が、ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、及び化合物(C)の総量100重量部に対して、0.01〜10重量部である請求項1〜8のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料用組成物。
  10. 酸発生剤(E)の含有量が、ラジカル重合性化合物(A)、カチオン重合性化合物(B)、及び化合物(C)の総量100重量部に対して、0.1〜20重量部である請求項1〜9のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料用組成物。
  11. 離型剤(F)の含有量が、成分(A)〜(E)の総量100重量部に対して、1〜8重量部である請求項1〜10のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料用組成物。
  12. 離型剤(F)が、炭素数10〜30の高級脂肪酸又はその誘導体である請求項1〜11のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料用組成物。
  13. 離型剤(F)が、ステアリン酸金属化合物である請求項1〜12のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料用組成物。
  14. 硬化させて得られる硬化物の250℃における弾性率E'が1×108Pa以上である請求項1〜13のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料用組成物。
  15. 硬化させて得られる硬化物の下記式により算出される弾性率E'の減少率が50%以下である請求項1〜14のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料用組成物。
    弾性率E'の減少率(%)=100×(a−b)/a
    [式中、aは硬化物の(ガラス転移温度−10)℃における弾性率(Pa)を示し、bは硬化物の(ガラス転移温度+10)℃における弾性率(Pa)を示す。]
  16. 220℃で2分間の加熱処理により硬化させて得られる硬化物の硬化度[示差走査型熱量測定により測定される硬化度]が、80%以上である請求項1〜15のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料用組成物。
  17. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料用組成物を強化繊維(G)に含浸させて形成されるプリプレグ。
  18. 強化繊維(G)の繊維質量含有率(Wf)が50〜90重量%である請求項17に記載のプリプレグ。
  19. 強化繊維(G)が、炭素繊維、ガラス繊維、及びアラミド繊維からなる群より選択される少なくとも一種である請求項17又は18に記載のプリプレグ。
  20. 請求項17〜19のいずれか一項に記載のプリプレグを硬化させて得られる繊維強化複合材料。
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