<繊維強化複合材料用組成物>
本発明の繊維強化複合材料用組成物(単に「本発明の組成物」と称する場合がある)は、一分子中にラジカル重合性基を2個以上有するラジカル重合性化合物(A)、一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(B)、アミン系硬化剤(C)、及びラジカル重合開始剤(D)を含む。
[ラジカル重合性化合物(A)]
本発明の組成物における前記ラジカル重合性化合物(A)は、一分子中に2個以上のラジカル重合性基を有する化合物である。
上記ラジカル重合性化合物(A)が有するラジカル重合性基としては、ラジカル重合反応を生じ得る官能基であればよく、特に限定されないが、例えば、炭素-炭素不飽和二重結合を含む基などが挙げられ、具体的には、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。なお、ラジカル重合性化合物(A)が有する2個以上のラジカル重合性基は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
ラジカル重合性化合物(A)が一分子中に有するラジカル重合性基の数は、2個以上であればよく特に限定されないが、2~20個が好ましく、より好ましくは2~15個、さらに好ましくは2~10個である。
ラジカル重合性化合物(A)としては、具体的には、例えば、ジビニルベンゼンなどのビニル化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート(=トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート)、トリシクロデカンジオールジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(例えば、エトキシ化(エチレンオキサイド変性)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートなど)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2,2-トリス(メタ)アクリロイロキシメチルエチルコハク酸、アルキレンオキサイド変性イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート(例えば、エトキシ化(エチレンオキサイド変性)イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートなど)、ウレタン(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
中でも、ラジカル重合性化合物(A)としては、一分子中に2個のラジカル重合性基を有し、且つ分子内に環状構造[ベンゼン環、ナフタレン環等の単環又は多環の芳香族環;シクロヘキサン環等の単環の脂環式骨格、トリシクロデカン環等の多環の脂環式骨格、単環又は多環の複素環など](特に、多環の環状構造)を有するラジカル重合性化合物(A-1)、一分子中に3個以上のラジカル重合性基を有するラジカル重合性化合物(A-2)が好ましい。上記化合物(A-1)としては、具体的には、ジビニルベンゼン、ビスフェノールAエポキシジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート(=トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート)、トリシクロデカンジオールジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(例えば、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートなど)などのラジカル重合性化合物が挙げられる。また、上記化合物(A-2)としては、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2,2-トリス(メタ)アクリロイロキシメチルエチルコハク酸、アルキレンオキサイド変性イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート(例えば、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートなど)、一分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。前記ラジカル重合性化合物(A-1)とラジカル重合性化合物(A-2)とを組み合わせて用いるのも好ましい。
特に、組成物のポットライフを長くできる点、及び硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性、耐熱老化性、弾性率の観点から、ラジカル重合性化合物(A)として、一分子中に2個のラジカル重合性基を有し、且つ分子内に環状構造(芳香族環、単環又は多環の脂肪族環、単環又は多環の複素環など)を有するラジカル重合性化合物(A-1)が好ましい。とりわけ、ラジカル重合性化合物(A)としては、一分子中に2個のラジカル重合性基を有し、且つ分子内に多環の脂肪族環骨格(特に、トリシクロデカン骨格)を有するラジカル重合性化合物(A-11)[例えば、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート(=トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート)、トリシクロデカンジオールジ(メタ)アクリレートなど]が好ましい。前記ラジカル重合性化合物(A-1)[又は(A-11)]が前記ラジカル重合性化合物(A)全体に占める割合は、好ましくは30重量%以上であり、より好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上である。
ラジカル重合性化合物(A)のラジカル重合性基の官能基当量は、例えば、50~300、好ましくは70~280、より好ましくは80~260である。上記官能基当量が50未満であると、硬化物や繊維強化複合材料の機械強度が低下しやすくなる。一方、上記官能基当量が300を超えると、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性、耐熱老化性や機械特性が低下しやすくなる。なお、ラジカル重合性化合物(A)のラジカル重合性基の官能基当量は、下記式により算出することができる。
[ラジカル重合性基の官能基当量]=[ラジカル重合性化合物(A)の分子量]/[ラジカル重合性化合物(A)が有するラジカル重合性基の数]
なお、本発明の組成物においてラジカル重合性化合物(A)は一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、上記ラジカル重合性化合物(A)としては、例えば、商品名「IRR214-K」(ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート(=トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)、ダイセル・サイテック社製)、商品名「A-BPE-4」(エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、新中村化学社製)、商品名「A-9300」(エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、新中村化学社製)、商品名「A-TMM-3」(ペンタエリスリトールトリアクリレート、新中村化学社製)、商品名「DPHA」(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ダイセル・サイテック社製)、KRM8452(脂肪族ウレタンアクリレート、ダイセル・サイテック社製)、商品名「EBECRYL 130」(トリシクロデカン骨格を有するジアクリレート)、ダイセル・サイテック社製)などの市販品を使用することもできる。
本発明の組成物におけるラジカル重合性化合物(A)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、組成物の全量(100重量%)に対して、10~75重量%が好ましく、より好ましくは30~65重量%、さらに好ましくは35~60重量%である。含有量が10重量%未満であると、硬化速度が低下する場合がある。一方、含有量が75重量%を超えると、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性、耐熱老化性が低下したり、硬化物と繊維の界面強度が低下する場合がある。なお、二種以上のラジカル重合性化合物(A)を併用する場合には、該ラジカル重合性化合物(A)の総量を上記範囲に制御することが好ましい。
なお、本発明の組成物は、ラジカル重合性化合物(A)以外のラジカル重合性化合物を含んでいてもよい。ラジカル重合性化合物(A)以外のラジカル重合性化合物としては、一分子中にラジカル重合性基を1個有する化合物が挙げられる。一分子中にラジカル重合性基を1個有する化合物としては、例えば、スチレン、2-クロロスチレン、2-ブロモスチレン、メトキシスチレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレンなどのビニル化合物;2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート(例えば、1,2-プロパンジオール-1-(メタ)アクリレート)、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
[エポキシ化合物(B)]
本発明の組成物における前記エポキシ化合物(B)は、一分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物である。エポキシ化合物(B)は2個以上のエポキシ基を有するが、これらのエポキシ基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
エポキシ化合物(B)が一分子中に有するエポキシ基の数は、2個以上であればよく特に限定されないが、好ましくは2~20個、より好ましくは2~15個、特に好ましくは2~10個である。
上記エポキシ化合物(B)としては、具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ビスフェノールAジグリシジルエーテル等)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ビスフェノールFジグリシジルエーテル等)、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(ビスフェノールSジグリシジルエーテル等)や、これらのハロゲン置換体(例えば、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル等の臭素化エポキシ樹脂など)、アルキル置換体、又は水添体(例えば、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル等)などのビスフェノール型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、フェノールアルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(トリシクロデカン骨格を有するエポキシ樹脂;例えば、フェノール-ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アルキルフェノール-ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等)、ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物(例えば、ビフェノールジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテルなど)、ナフタレン骨格を有するエポキシ化合物(例えば、ナフタレンジオールジグリシジルエーテルなど)、フルオレン骨格を有するエポキシ化合物(例えば、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスクレゾールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテルなど)、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(例えば、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジルp-アミノフェノール、トリグリシジル-m-アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等)などが挙げられる。
エポキシ化合物(B)としては、一分子中に1個以上の脂環構造(脂肪族環構造)と2個以上のエポキシ基とを有するエポキシ化合物(「脂環式エポキシ化合物」と称する)を使用することもできる。上記脂環式エポキシ化合物としては、具体的には、例えば、(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(脂環エポキシ基)を有する化合物、(ii)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物などが挙げられる。
上述の(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(脂環エポキシ基)を有する化合物としては、公知乃至慣用のものの中から任意に選択して使用することができる。中でも、上記脂環エポキシ基としては、シクロヘキサン環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成される基(シクロヘキセンオキシド基)が好ましい。
上述の(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基を有する化合物としては、硬化速度、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性及び耐熱老化性の観点で、特に、下記式(I)で表される化合物(脂環式エポキシ化合物)が好ましい。
上記式(I)中、Xは単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、これらが複数個連結した基などが挙げられる。
上記二価の炭化水素基としては、炭素数が1~18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基、二価の脂環式炭化水素基などが挙げられる。炭素数が1~18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基などが挙げられる。上記二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2-シクロペンチレン基、1,3-シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2-シクロヘキシレン基、1,3-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基などの二価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)などが挙げられる。
上記連結基Xとしては、特に、酸素原子を含有する連結基が好ましく、具体的には、-CO-、-O-CO-O-、-COO-、-O-、-CONH-;これらの基が複数個連結した基;これらの基の1又は2以上と二価の炭化水素基の1又は2以上とが連結した基などが挙げられる。二価の炭化水素基としては上記で例示したものが挙げられる。
上記式(I)で表される脂環式エポキシ化合物の代表的な例としては、下記式(I-1)~(I-10)で表される化合物などが挙げられる。なお、下記式(I-5)、(I-7)中のl、mは、それぞれ1~30の整数を表す。下記式(I-5)中のRは炭素数1~8のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、s-ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1~3の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。下記式(I-9)、(I-10)中のn1~n6は、それぞれ1~30の整数を示す。
上述の(ii)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物としては、例えば、下記式(II)で表される化合物が挙げられる。
式(II)中、R’はp価のアルコールからp個の-OHを除した基(残基)であり、p、nはそれぞれ自然数を表す。p価のアルコール[R’-(OH)p]としては、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノール等の多価アルコールなど(炭素数1~15のアルコール等)が挙げられる。pは1~6が好ましく、nは1~30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの( )内(丸括弧内)の基におけるnは同一でもよいし異なっていてもよい。上記化合物としては、具体的には、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物などが挙げられる。
中でも、上記脂環式エポキシ化合物としては、上記式(I-1)で表される3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート[商品名「セロキサイド2021P」((株)ダイセル製)]が特に好ましい。
脂環式エポキシ化合物としては、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性及び耐熱老化性、弾性率の観点で、上記式(I)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを併用することが好ましい。式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物は、それぞれ、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
中でも、エポキシ化合物(B)としては、組成物のポットライフを長くできる点、及び硬化速度、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性及び耐熱老化性の観点から、一分子中に1以上の環状構造を有する化合物が好ましい。このような化合物として、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、フェノールアルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(トリシクロデカン骨格を有するエポキシ樹脂)、ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物、ナフタレン骨格を有するエポキシ化合物、フルオレン骨格を有するエポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などが挙げられる。特に、エポキシ化合物(B)としては、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等のトリシクロデカン骨格を有する化合物が好ましい。
なお、ビスフェノール型エポキシ樹脂の市販品として、商品名「YD-128」、「YD-8128」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂;新日鉄住金化学社製)、「YD-170」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂;新日鉄住金化学社製)などが挙げられる。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品として、商品名「N-655-EXP-S」、「N-662-EXP-S」、「N-665-EXP-S」、「N-670-EXP-S」、「N-685-EXP-S」(以上、DIC社製)などが挙げられる。フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品として、商品名「N-740」、「N-770」、「N-775」(以上、DIC社製)などが挙げられる。レゾルシノール型エポキシ樹脂の市販品として、商品名「EX-201」(ナガセケムテック社製)などが挙げられる。ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の市販品として、商品名「HP-7200」、「HP-7200L」、「HP-7200H」(以上、DIC社製)などが挙げられる。ナフタレン型エポキシ樹脂の市販品として、商品名「HP-9500」、「HP-4700」、「HP-4770」(以上、DIC社製)などが挙げられる。ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物の市販品として、商品名「YX-4000」、「YX-4000H」(以上、三菱化学社製)などが挙げられる。グリシジルアミン型エポキシ樹脂の市販品として、商品名「Araldite(登録商標)MY0500」、「Araldite(登録商標)MY0510」、「Araldite(登録商標)MY0600」、「Araldite(登録商標)MY0610」、「Araldite(登録商標)MY0720」、「Araldite(登録商標)MY0721」(以上、Huntsman社製)などが挙げられる。
エポキシ化合物(B)のエポキシ基の官能基当量は、特に限定されないが、50~400が好ましく、より好ましくは80~350、さらに好ましくは100~300である。上記官能基当量が50未満であると、硬化物や繊維強化複合材料の靭性が不十分となる場合がある。一方、上記官能基当量が400を超えると、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性、耐熱老化性や機械特性が低下する場合がある。なお、エポキシ化合物(B)のエポキシ基の官能基当量は、下記式により算出することができる。
[エポキシ基の官能基当量]=[エポキシ化合物(B)の分子量]/[エポキシ化合物(B)が有するエポキシ基の数]
なお、本発明の組成物においてエポキシ化合物(B)は一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の組成物におけるエポキシ化合物(B)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、組成物の全量(100重量%)に対して、10~75重量%が好ましく、より好ましくは30~65重量%、さらに好ましくは35~60重量%である。含有量が10重量%未満であると、硬化物と繊維の界面強度が低下したり、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性、耐熱老化性が低下する場合がある。一方、含有量が75重量%を超えると、組成物の硬化速度が低下する場合がある。なお、二種以上のエポキシ化合物(B)を併用する場合には、該エポキシ化合物(B)の総量を上記範囲に制御することが好ましい。
なお、本発明の組成物は、前記エポキシ化合物(B)以外のエポキシ化合物を含んでいてもよい。エポキシ化合物(B)以外のエポキシ化合物としては、一分子中にエポキシ基を1個有する化合物が挙げられる。
上記エポキシ化合物として、例えば、シクロヘキセンオキサイド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアルコール、3,4-エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ-2-エチルヘキシル、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類などが挙げられる。
本発明の組成物におけるラジカル重合性化合物(A)とエポキシ化合物(B)の割合(重量比)[ラジカル重合性化合物(A)/エポキシ化合物(B)]は、特に限定されないが、0/100より大きく且つ80/20以下が好ましく、より好ましくは10/90~70/30、さらに好ましくは30/70~60/40である。ラジカル重合性化合物(A)の割合[ラジカル重合性化合物(A)とエポキシ化合物(B)の総量(100重量%)に対する割合]が0重量%では、硬化速度が低下する。一方、ラジカル重合性化合物(A)の割合が80重量%を超えると、硬化物や繊維強化複合材料の機械強度、耐熱性、耐熱老化性が低下したり、硬化物と繊維との界面強度が低下する場合がある。
[アミン系硬化剤(C)]
本発明の組成物におけるアミン系硬化剤(C)は、エポキシ化合物(B)等のエポキシ基と反応することによって硬化性組成物を硬化させる働きを有する化合物である。本発明の組成物においてアミン系硬化剤(C)を使用することにより、高い耐熱性及び耐熱老化性を有する繊維強化複合材料を形成することができる。
アミン系硬化剤(C)としては、公知乃至慣用のアミン系硬化剤を使用でき、特に限定されないが、例えば、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、変性ポリアミン、第二級アミン、第三級アミン等が挙げられる。
上記脂肪族ポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、1,3-ペンタンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、ジプロピレンジアミン、m-キシリレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン等が挙げられる。上記脂環式ポリアミンとしては、例えば、イソホロンジアミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、N-アミノエチルピペラジン、メンセンジアミン、4,4'-メチレンビスシクロヘキシル、4,4'-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、ラロミンC-260等が挙げられる。上記芳香族ポリアミンとしては、例えば、ジアミノジフェニルメタン、m-フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン(例えば、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン等)、m-キシリレンジアミン、4,4'-メチレンジアニリン、4,4'-メチレンビス(2-メチルアニリン)、4,4'-メチレンビス(2-エチルアニリン)、4,4'-メチレンビス(2-イソプロピルアニリン)、4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)、4,4'-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、4,4'-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)、4,4'-メチレンビス(2-イソプロピル-6-メチルアニリン)、4,4'-メチレンビス(2-エチル-6-メチルアニリン)、4,4'-メチレンビス(2-ブロモ-6-エチルアニリン)、4,4'-メチレンビス(N-メチルアニリン)、4,4'-メチレンビス(N-エチルアニリン)、4,4'-メチレンビス(N-sec-ブチルアニリン)、4,4'-シクロヘキシリデンジアニリン、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン、4,4'-(9-フルオレニリデン)ビス(N-メチルアニリン)、4,4'-ジアミノベンズアニリド、4,4'-オキシジアニリン、2,4-ビス(4-アミノフェニルメチル)アニリン、4-メチル-m-フェニレンジアミン、2-メチル-m-フェニレンジアミン、N,N'-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、2-クロロ-p-フェニレンジアミン、2,4,6-トリメチル-m-フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン[2,4-ジエチル-6-メチル-m-フェニレンジアミンと4,6-ジエチル-2-メチル-m-フェニレンジアミンの混合物等]、ビス(メチルチオ)トルエンジアミン[6-メチル-2,4-ビス(メチルチオ)-m-フェニレンジアミンと2-メチル-4,6-ビス(メチルチオ)-m-フェニレンジアミンの混合物等]、4,6-ジメチル-m-フェニレンジアミン、トリメチレンビス(4-アミノベンゾエート)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、α,α'-ビス(4-アミノフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン、1,3-ビス(m-アミノフェニル)ベンゼン等が挙げられる。
上記変性ポリアミンとしては、例えば、カルボン酸による変性アミン(ポリアミノアミド、アミノアミド)、エポキシ化合物による変性アミン(アミン-エポキシアダクト)、マイケル反応による変性アミン(マイケル付加ポリアミン)、マンニッヒ反応による変性アミン、尿素又はチオ尿素との反応による変性アミン、ケトンとの反応による変性アミン(ケチミン、シッフ塩基)、エピクロルヒドリンとの反応による変性アミン、ベンジルクロライドとの反応による変性アミン、リン化合物との反応による変性アミン、ベンゾキノンとの反応による変性アミン、トリアルキルシリル化アミン、アミノ基とイソシアネート化合物との反応による変性アミン、水酸基を有するアミン化合物とイソシアネート化合物との反応による変性アミン、カーボネートとの反応による変性アミン等が挙げられる。
その他、ポリオキシプロピレンジアミン(例えば、ジェファーミンD230等)、ポリオキシプロピレントリアミン(例えば、ジェファーミンT403等)、ポリシクロヘキシルポリアミン混合物、N-アミノエチルピペラジン等を用いてもよい。
上記第二級アミン又は第三級アミンとしては、例えば、イミダゾール類[例えば、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2-メチルイミダゾリウムイソシアヌレート、2-フェニルイミダゾリウムイソシアヌレート、2,4-ジアミノ-6-[2-メチルイミダゾリル-(1)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2-エチル-4-メチルイミダゾリル-(1)]-エチル-s-トリアジン等]、ピペリジン、モルホリン、N-メチルピペラジン、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド、N,N'-ジメチル尿素誘導体、テトラメチルエチレンジアミン等の直鎖状ジアミン、ジメチルエチルアミン等の直鎖第三級アミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジブチルエタノールアミン等のエタノールアミン、トリエチルアミン等のアルキル第三級モノアミン、ベンジルジメチルアミン等の脂肪族第三級アミンや2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP-30)等のフェノール性水酸基を少なくとも1つ持つ芳香環を有する脂肪族第三級アミン、N,N'-ジメチルピペラジン、1,4-ジアザジシクロ[2.2.2]オクタン、トリエチレンジアミン(TEDA)、ピリジン、ピコリン、1.8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)等の複素環式第三級アミン等が挙げられる。
中でも、アミン系硬化剤(C)としては、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性、耐熱老化性の観点から、芳香族ポリアミンが好ましく、ジアミノジフェニルスルホンがより好ましく、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、及び3,3’-ジアミノジフェニルスルホン物からなる群より選択される少なくとも1つが特に好ましい。
本発明の組成物においてアミン系硬化剤(C)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、アミン系硬化剤(C)は、公知乃至慣用の方法により製造して使用することもできるし、市販品を入手して使用することもできる。
本発明の組成物におけるアミン系硬化剤(C)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性組成物に含まれるエポキシ化合物の全量100重量部(又はエポキシ化合物(B)100重量部)に対して、20~200重量部が好ましく、より好ましくは25~150重量部、さらに好ましくは30~120重量部である。特に、アミン系硬化剤(C)は、本発明の組成物に含まれるエポキシ化合物のエポキシ基1当量あたり、0.5~1.5のアミノ基当量比で使用することが好ましい。アミン系硬化剤(C)の含有量を20重量部以上とすることにより、より効率的に組成物の硬化反応を進行させることができ、硬化物や繊維強化複合材料の弾性率及び強度がより高くなる傾向がある。また、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性、耐熱老化性がより向上する傾向がある。一方、アミン系硬化剤(C)の含有量を200重量部以下とすることにより、硬化物の着色がより抑制され、より色相に優れたものとなる傾向がある。
[ラジカル重合開始剤(D)]
本発明の組成物におけるラジカル重合開始剤(D)は、組成物における硬化性化合物(重合性基を有する化合物、特にラジカル重合性基及びカチオン重合性基のいずれか一方又は両方を有する化合物)の中でも、ラジカル重合性基を有する化合物(ラジカル重合性化合物(A)など)の重合反応(ラジカル重合反応)を開始させる化合物である。ラジカル重合開始剤(D)としては、公知乃至慣用のラジカル重合開始剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤などが挙げられる。
上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物類が挙げられる。上記有機過酸化物類としては、例えば、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステル等を使用することができる。有機過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサネート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイル)パーオキシヘキサン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジブチルパーオキシヘキサン、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキシジ-イソプロピルベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートなどが挙げられる。また、商品名「パーオクタO」(日油(株)製)、商品名「パーブチルO」(日油(株)製)、商品名「パーヘキサC」(日油(株)製)などの市販品を使用することもできる。
上記熱ラジカル重合開始剤としては、上記有機過酸化物類の他、アゾ化合物類を使用することもできる。上記アゾ化合物類としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、1,1’-アゾビスシクロヘキサン-1-カルボニトリル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2-フェニルアゾ-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン)、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、ジメチル2,2’-アゾビスイソブチレートなどが挙げられる。上記熱ラジカル重合開始剤としては、その他、過酸化水素、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど)などの無機過酸化物を使用又は併用してもよい。
さらに、上記熱ラジカル重合開始剤とともに、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸亜鉛、オクテン酸コバルト等のナフテン酸やオクテン酸のコバルト、マンガン、鉛、亜鉛、バナジウムなどの金属塩を併用することができる。同様に、ジメチルアニリン等の3級アミンも使用することができる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノンベンジル、ベンジルジメチルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジメトキシアセトフェノン、ジメトキシフェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ジフェニルジサルファイト、オルトベンゾイル安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬(株)製、商品名「カヤキュアEPA」等)、2,4-ジエチルチオキサンソン(日本化薬(株)製、商品名「カヤキュアDETX」等)、2-メチル-1-[4-(メチル)フェニル]-2-モルホリノプロパノン-1(チバガイギー(株)製、商品名「イルガキュア907」等)、2-ジメチルアミノ-2-(4-モルホリノ)ベンゾイル-1-フェニルプロパン等の2-アミノ-2-ベンゾイル-1-フェニルアルカン化合物、テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ベンジル、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、4,4-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゼン誘導体、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾ-ル(保土谷化学(株)製、商品名「B-CIM」等)等のイミダゾール化合物、2,6-ビス(トリクロロメチル)-4-(4-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3,5-トリアジン等のハロメチル化トリアジン化合物、2-トリクロロメチル-5-(2-ベンゾフラン2-イル-エテニル)-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物などが挙げられる。
ラジカル重合開始剤(D)としては、10時間半減期分解温度(活性酸素量が10時間で元の半分になる温度)が85℃以上のラジカル重合開始剤が好ましい。前記ラジカル重合開始剤(D)の10時間半減期分解温度は、好ましくは88℃以上、より好ましくは90℃以上である。10時間半減期分解温度が85℃未満のラジカル重合開始剤を用いると、組成物のポットライフが短くなるので好ましくない。10時間半減期分解温度が85℃以上のラジカル重合開始剤(D)としては、例えば、熱ラジカル重合開始剤などを使用できる。なお、ラジカル重合開始剤(D)において、前記10時間半減期分解温度の上限は、例えば180℃、より好ましくは150℃、特に好ましくは110℃である。
上記10時間半減期分解温度が85℃以上の熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物が挙げられる。上記有機過酸化物としては、例えば、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステル等を使用することができる。10時間半減期分解温度が85℃以上である有機過酸化物の具体例としては、例えば、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、n-ブチル4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキシド、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t-ブチルヒドロパーオキサイド、p-メンタンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシマレイックアシッド、t-ブチルパーオキシ3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシ-m-トルオイルベンゾエート、t-ブチルパーオキシベンゾエートなどが挙げられる。また、市販品として、商品名「パーヘキサC(S)」、「パーヘキシルD」、「パーメンタH」、「パーヘキシルI」(以上、日油社製)などを使用できる。
上記10時間半減期分解温度が85℃以上の熱ラジカル重合開始剤としては、上記有機過酸化物のほか、アゾ化合物を使用することもできる。10時間半減期分解温度が85℃以上であるアゾ化合物としては、例えば、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2-フェニルアゾ-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-2-プロペニルプロパンアミド)、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)などが挙げられる。上記熱ラジカル重合開始剤としては、その他、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど)などの無機過酸化物を使用又は併用してもよい。
なお、本発明の組成物においてラジカル重合開始剤(D)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の組成物におけるラジカル重合開始剤(D)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、ラジカル重合性化合物(A)及びエポキシ化合物(B)の総量100重量部に対して、0.01~10重量部が好ましく、より好ましくは0.05~8重量部、さらに好ましくは0.1~5重量部である。含有量が0.01重量部未満であると、硬化反応の進行が不十分となる場合がある。一方、含有量が10重量部を超えると、用途によっては、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性、耐熱老化性が不足する場合がある。なお、二種以上のラジカル重合開始剤(D)を併用する場合には、該ラジカル重合開始剤(D)の総量を上記範囲に制御することが好ましい。
[硬化促進剤]
本発明の組成物は、硬化促進剤をさらに含んでいてもよい。硬化促進剤は、エポキシ化合物の反応(特に、エポキシ化合物(B)とアミン系硬化剤(C)との反応)を促進する機能を有する化合物である。
硬化促進剤としては、公知乃至慣用の硬化促進剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、第三級アミン[例えば、ラウリルジメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルアニリン、(N,N-ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(N,N-ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)等];第三級アミン塩[例えば、上記第三級アミンのカルボン酸塩、スルホン酸塩、無機酸塩等];イミダゾール類[例えば、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール等];有機リン系化合物[例えば、トリフェニルホスフィン、亜リン酸トリフェニル等];第四級アンモニウム塩[例えば、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド等]、第四級ホスホニウム塩[例えば、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、テトラブチルホスホニウムラウリン酸塩、テトラブチルホスホニウムミリスチン酸塩、テトラブチルホスホニウムパルミチン酸塩、テトラブチルホスホニウムカチオンとビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸及び/又はメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸のアニオンとの塩、テトラブチルホスホニウムカチオンと1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸のアニオンとの塩等]、第四級アルソニウム塩、第三級スルホニウム塩、第三級セレノニウム塩、第二級ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩等のオニウム塩;強酸エステル[例えば、硫酸エステル、スルホン酸エステル、りん酸エステル、ホスフィン酸エステル、ホスホン酸エステル等];ルイス酸と塩基との錯体[例えば、三フッ化ホウ素・アニリン錯体、三フッ化ホウ素・p-クロロアニリン錯体、三フッ化ホウ素・モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素・イソプロピルアミン錯体、三フッ化ホウ素・ベンジルアミン錯体、三フッ化ホウ素・ジメチルアミン錯体、三フッ化ホウ素・ジエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素・ジブチルアミン錯体、三フッ化ホウ素・ピペリジン錯体、三フッ化ホウ素・ジベンジルアミン錯体、三塩化ホウ素・ジメチルオクチルアミン錯体等];有機金属塩[オクチル酸スズ、オクチル酸亜鉛、ジラウリン酸ジブチルスズ、アルミニウムアセチルアセトン錯体等]等が挙げられる。
中でも、硬化促進剤としては、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性、耐熱老化性及び機械特性の観点で、ルイス酸と塩基との錯体が好ましい。
なお、本発明の組成物において硬化促進剤は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、硬化促進剤としては、商品名「U-CAT SA 506」、「U-CAT SA 102」、「U-CAT 5003」、「U-CAT 18X」、「U-CAT 12XD」(開発品)(以上、サンアプロ(株)製);商品名「TPP-K」、「TPP-MK」(以上、北興化学工業(株)製);商品名「PX-4ET」(日本化学工業(株)製);商品名「三フッ化ホウ素モノエチルアミン」(ステラケミファ(株)製)等の市販品を使用することもできる。
本発明の組成物における硬化促進剤の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性組成物に含まれるエポキシ化合物の全量100重量部(又はエポキシ化合物(B)100重量部)に対して、0.01~10重量部が好ましく、より好ましくは0.03~5重量部、さらに好ましくは0.03~3重量部である。硬化促進剤の含有量を0.01重量部以上とすることにより、より効率的に硬化性組成物の硬化反応を進行させることができ、硬化物や繊維強化複合材料の弾性率及び強度がより高くなる傾向がある。また、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性、耐熱老化性がより向上する傾向がある。一方、硬化促進剤の含有量を10重量部以下とすることにより、より着色が抑制され、色相に優れた硬化物が得られる傾向がある。
[マレイミド化合物]
本発明の組成物は、ラジカル重合性化合物(A)、エポキシ化合物(B)以外の重合性化合物として、さらに、マレイミド化合物を含んでいてもよい。本発明の組成物がマレイミド化合物を含むことにより、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性、耐熱老化性がさらに向上する傾向があるため、好ましい。
前記マレイミド化合物は、一分子中に1個以上のマレイミド基を有する化合物である。マレイミド化合物が一分子中に有するマレイミド基の数は、1個以上であればよく特に限定されないが、2個以上が好ましく、2~20個がより好ましく、より好ましくは2~15個、さらに好ましくは2~10個、特に好ましくは2個である。
マレイミド化合物としては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド(2,2’-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン)、ビス(3-エチル-5-エチル-4-マレイミドフェニル)メタン、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、1,6’-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’-ジフェニルスルホンビスマレイミド等が挙げられる。
なお、本発明の組成物においてマレイミド化合物は一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、上記マレイミド化合物としては、例えば、商品名「BMI」(4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド)、「BMI-70」(ビス(3-エチル-5-エチル-4-マレイミドフェニル)メタン)、「BMI-80」(2,2’-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、以上、ケイ・アイ化成株式社製)などの市販品を使用することもできる。
本発明の組成物がマレイミド化合物を含有する場合、その含有量(配合量)は、特に限定されないが、組成物の全量(100重量%)に対して、1~15重量%が好ましく、より好ましくは4~10重量%、さらに好ましくは6~8重量%である。含有量が1重量%未満であると、硬化速度が低下したり、硬化物や繊維強化複合材料の耐熱性、耐熱老化性が低下する場合がある。一方、含有量が15重量%を超えると、硬化物と繊維の界面強度が低下する場合がある。なお、二種以上のマレイミド化合物を併用する場合には、該マレイミド化合物の総量を上記範囲に制御することが好ましい。
[重合安定剤]
本発明の組成物は、保存安定性(ポットライフ)を向上させることを目的として、重合安定剤を含有することが好ましい。重合安定剤は、ラジカル及び/又はカチオンをトラップすることにより、ラジカル重合及び/又はカチオン重合の進行を抑制して保存安定性(ポットライフ)を向上させ、加熱等することで重合安定剤が失活して硬化を進行させる化合物である。
上記重合安定剤としては、例えば、重合禁止剤(ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン等のハイドロキノン類;ベンゾキノン、メチル-p-ベンゾキノン等のベンゾキノン類;t-ブチルカテコール等のカテコール類;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、4-メトキシフェノール等のフェノール類;フェノチアジン;アンモニウムニトロソフェニルヒドロキシルアミン、アルミニウムニトロソフェニルヒドロキシルアミン等のニトロソ類);ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ポリ([6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ])、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニルベンゾエート、(ミックスト2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル/トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、3,9-ビス(2,3-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、ミックスト(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル/β,β,β’,β’-テトラメチル-3-9-[2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン]ジエチル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ポリ([6-N-モルホリル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ])、[N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]プロピオンアミド、商品名「LA-77」、「LA-67」、「LA-57」(以上、(株)ADEKA製)、商品名「TINUVIN123」、「TINUVIN152」(以上、チバ・ジャパン(株)製)等のヒンダードアミン系化合物;(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウムメチルサルファイト(例えば、商品名「サンエイドSI助剤」、三新化学工業(株)製)等のスルホニウム硫酸塩系化合物;商品名「アデカスタブ PEP-36」((株)ADEKA製)等のホスファイト系化合物等が挙げられる。本発明の組成物において重合安定剤は一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の組成物が重合安定剤を含有する場合、その含有量(配合量)は、重合安定剤の種類により異なり、特に限定されないが、例えば、重合禁止剤を使用する場合は、組成物の全量(1000000ppm)に対して、50~1000ppmが好ましく、より好ましくは100~800ppm、さらに好ましくは250~600ppmである。
本発明の組成物には、さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて他の添加物を添加してもよい。他の添加物としては、例えば、硬化膨張性モノマー、光増感剤(アントラセン系増感剤等)、樹脂、密着性向上剤、補強剤、軟化剤、可塑剤、粘度調整剤、溶剤、無機又は有機粒子(ナノスケール粒子等)、フルオロシラン等の公知慣用の各種添加剤が挙げられる。
本発明の組成物は、上述の各構成成分(ラジカル重合性化合物(A)、エポキシ化合物(B)、アミン系硬化剤(C)、ラジカル重合開始剤(D)、マレイミド化合物、重合安定剤、添加剤など)を、所定の割合で配合し、均一に混合することによって製造することができる。上記各構成成分の混合は、公知乃至慣用の攪拌装置(混合装置)等を使用して実施することができ、特に限定されないが、例えば、自転公転型攪拌脱泡装置、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、3本ロールミル、ビーズミルなどの攪拌装置を使用して実施できる。
本発明の組成物の40℃における粘度は、特に限定されないが、1000mPa・s以上が好ましい。本発明の組成物の40℃における粘度は、取り扱い性や作業性の観点から、好ましくは1000~10000mPa・s、より好ましくは2000~8000mPa・s、さらに好ましくは3000~6000mPa・sである。なお、組成物の40℃における粘度は、例えば、粘度測定装置(商品名「TV-22H」、東機産業社製)を用いて測定することができる(例えば、ローター:1°34’×R24、回転数:1.0rpm、測定温度:40℃)。
本発明の組成物は、特に、作業安定性の観点で、調製直後の粘度(40℃)(調製後1時間以内で測定される粘度;「初期粘度」と称する場合がある)と、調製後40℃で72時間放置後の粘度(40℃)(「40℃72時間後粘度」と称する場合がある)とが、ともに上述の範囲であることが好ましい。また、「初期粘度」に対する「40℃72時間後粘度」の上昇率(「40℃72時間後粘度」/「初期粘度」×100)が200%以下であることが好ましく、より好ましくは150%以下、さらに好ましくは130%以下である。当該上昇率が200%を超えるような場合には、保管中に硬化が進行している可能性があり、作業安定性が著しく低下したり、硬化物(特に、繊維強化複合材料)の品質が低下する場合がある。
本発明の組成物におけるラジカル重合性化合物(A)及びエポキシ化合物(B)を重合(より具体的には、ラジカル重合及びアミン硬化)させることにより、本発明の組成物を硬化させ、硬化物(樹脂硬化物)を得ることができる。上記重合反応を開始させるための手段は、アミン系硬化剤(C)やラジカル重合開始剤(D)の種類や含有量などに応じて適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、加熱や活性エネルギー線(例えば、紫外線、赤外線、可視光線、電子線など)の照射などが挙げられる。特に、上記重合反応は、ラジカル重合開始剤(D)として熱ラジカル重合開始剤を使用し、加熱により開始させることが好ましい。
本発明の組成物を硬化させる際の条件は、アミン系硬化剤(C)やラジカル重合開始剤(D)の種類や含有量などに応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、加熱により硬化させる場合の条件として、加熱温度を60~280℃とし、加熱時間を0.1~5時間(より好ましくは0.5~4時間、さらに好ましくは1~3時間)とすることが好ましい。加熱温度が低すぎる場合や加熱時間が短すぎる場合には、硬化が不十分となり硬化物の耐熱性、耐熱老化性や機械物性などが低下する場合がある。一方、加熱温度が高すぎる場合や加熱時間が長すぎる場合には、組成物中の成分の分解や劣化などが生じる場合がある。
加熱により硬化させる場合、温度条件を段階的に高くしてもよい。例えば、60~185℃の温度で0.1~3時間(好ましくは、0.5~2時間)加熱する一次硬化工程(この工程においても、段階的に温度を上昇させてもよい)の後、185℃を超え且つ280℃以下の温度で0.1~2時間(好ましくは、0.2~1.5時間)加熱する二次硬化工程を経て硬化物を得てもよい。
本発明の組成物を硬化させて得られる硬化物のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、195℃以上(例えば、195~300℃)が好ましく、より好ましくは200℃以上(例えば、200~300℃)、さらに好ましくは205℃以上、特に好ましくは210℃以上である。ガラス転移温度が195℃未満であると、用途によっては繊維強化複合材料の耐熱性が不十分となる場合がある。なお、上記ガラス転移温度は、例えば、JIS K7244-4に準拠した測定、より詳しくは、動的粘弾性測定(例えば、昇温速度:5℃/分、測定温度:25~350℃、変形モード:引っ張りモードの条件での動的粘弾性測定)において測定されるE’(貯蔵弾性率)の変曲点における温度(E’-Tg)として求めることができる。
本発明の組成物を硬化させて得られる硬化物は、下記式により算出される耐熱老化性が、68%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
耐熱老化性=a/b×100
[式中、aは240℃で100時間保管した後の曲げ強度(MPa)を示し、bは前記加熱保管前(初期)の曲げ強度(MPa)を示す。]
なお、上記曲げ強度は、例えば、JIS K 7171に準拠した測定、より詳しくは、厚さ4mm×幅10mm×長さ80mmの硬化物をサンプルとして、テンシロン万能試験機((株)オリエンテック製)を使用して、エッジスパン:67mm、曲げ速度2mm/分の条件で、3点曲げ試験を行うことにより測定することができる。
[プリプレグ、繊維強化複合材料]
本発明の組成物を強化繊維(E)に含浸させることにより、プリプレグ(「本発明のプリプレグ」と称する場合がある)が形成される。即ち、本発明のプリプレグは、本発明の組成物と強化繊維(E)とを必須成分として含む。
強化繊維(E)としては、特に限定されないが、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、黒鉛繊維、炭化珪素繊維、高強度ポリエチレン繊維、タングステンカーバイド繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維(PBO繊維)などが挙げられる。上記炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維などが挙げられる。中でも、機械特性の観点で、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が好ましい。なお、本発明のプリプレグにおいて強化繊維(E)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明のプリプレグにおける強化繊維(E)の形態は、特に限定されず、例えば、フィラメント(長繊維)の形態、トウの形態、トウを一方向に配列させた一方向材の形態、織物の形態、不織布の形態などが挙げられる。強化繊維(E)の織物としては、例えば、平織、綾織、朱子織、若しくはノンクリンプファブリックに代表される繊維束を一方向に引き揃えたシートや角度を変えて積層したようなシートをほぐれないようにステッチしたステッチングシートなどが挙げられる。
本発明のプリプレグにおける強化繊維の(E)の含有量(「繊維質量含有率(Wf)」と称する場合がある)は、特に限定されないが、50~90重量%が好ましく、より好ましくは60~85重量%、さらに好ましくは65~80重量%である。含有量が50重量%未満であると、用途によっては、繊維強化複合材料の機械強度や耐熱性、耐熱老化性が不十分となる場合がある。一方、含有量が90重量%を超えると、用途によっては、繊維強化複合材料の機械強度(例えば、靭性など)が不十分となる場合がある。
本発明のプリプレグは、本発明の組成物を強化繊維(E)に含浸させた後、さらに、加熱や活性エネルギー線照射などを行って、組成物中の硬化性化合物の一部を硬化(即ち、半硬化)させたものであってもよい。
強化繊維(E)に本発明の組成物を含浸させる方法は特に限定されず、公知乃至慣用のプリプレグの製造方法における含浸の方法により実施することができる。
本発明のプリプレグを硬化させることにより、繊維強化複合材料が得られる。上記繊維強化複合材料は、強化繊維(E)により本発明の組成物の硬化物が強化されているため、非常に優れた機械強度、耐熱性、耐熱老化性を有する。本発明のプリプレグを硬化させる際の条件は、特に限定されないが、例えば、上述の本発明の組成物を硬化させる際の条件と同様の条件などを採用できる。
本発明のプリプレグ及び繊維強化複合材料の製造方法としては、例えば、引き抜き成形法(引抜成形法)を採用できる。具体的には、強化繊維(E)を樹脂槽(本発明の組成物が充填された樹脂槽)に連続的に通すことによって強化繊維(E)に本発明の組成物を含浸させ、次いで、必要に応じてスクイズダイを通すことによってプリプレグ(本発明のプリプレグ)を形成し、その後、例えば、加熱金型を通して引張機によって連続的に引き抜き成形しつつ硬化させることによって、繊維強化複合材料を得ることができる。得られた繊維強化複合材料には、さらに、その後、オーブン等を使用してさらに加熱処理(ポストベーク)を施してもよい。
本発明のプリプレグ及び繊維強化複合材料は、上述の成形法(引き抜き成形法)に限定されず、公知乃至慣用のプリプレグ及び繊維強化複合材料の製造方法、例えば、ハンドレイアップ法、プリプレグ法、RTM法、プルトルージョン法、フィラメントワインディング法、スプレーアップ法などによっても製造できる。
本発明の繊維強化複合材料は、各種の構造物の材料として使用することができ、特に限定されないが、例えば、航空機の胴体、主翼、尾翼、動翼、フェアリング、カウル、ドアなど;宇宙機のモーターケース、主翼など;人工衛星の構体;自動車のシャシーなどの自動車部品;鉄道車両の構体;自転車の構体;船舶の構体;風力発電のブレード;圧力容器;釣り竿;テニスラケット;ゴルフシャフト;ロボットアーム;ケーブル(例えば、ケーブルの芯材など)などの構造物の材料として好ましく使用することができる。
本発明の繊維強化複合材料は、例えば、空中配線として使用される電線の芯材として好ましく使用できる。本発明の繊維強化複合材料により形成された芯材を有する電線を用いることにより、該複合材料が高い強度を有し、かつ軽量で線膨張係数が小さいため、鉄塔数の削減や送電容量の向上を図ることが可能となる。また、本発明の繊維強化複合材料は高い耐熱性及び耐熱老化性を有するため、発熱が生じやすい高電圧の電線(高圧電線)用の芯材としても好ましく使用できる。上記芯材は、例えば、引き抜き成形法やより線成形法などの公知の方法により形成できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
[繊維強化複合材料用組成物の製造]
酸素7%、窒素93%の混気条件下、室温で、5Lのガラス製反応器に、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート[ダイセル・オルネクス社製、商品名「IRR214-K」]を8000g、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂[DIC社製、商品名「N-670-EXP-S」]を2500g、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂[DIC社製、商品名「HP-7200」]を2500g、グリシジルアミン型エポキシ樹脂[Huntsman社製、商品名「Araldite(登録商標)MY0510」]を2000g、及びフィノチアジン[和光純薬工業社製]を7.5g入れ、95℃まで昇温させた。エポキシ樹脂が溶解したら、4,4’-ジアミノジフェニルスルホンを2040g、及び3,3’-ジアミノジフェニルスルホンを680g入れ110℃まで昇温した。固形分が溶解したら温度を下げて、樹脂配合物を取り出した。
得られた樹脂配合物177gに対して、ラジカル開始剤として1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン[日油社製、商品名「パーヘキサ(登録商標)C」]を0.28g入れて、自転公転型ミキサーで攪拌・混合することにより、繊維強化複合材料用組成物を得た。
実施例2
[繊維強化複合材料用組成物の製造]
酸素7%、窒素93%の混気条件下、室温で10Lのガラス製反応器にトリシクロデカンジメタノールジアクリレート[ダイセル・オルネクス社製、商品名「IRR214-K」]を3000g、グリシジルアミン型エポキシ樹脂[Huntsman社製、商品名「Araldite(登録商標)MY0510」]を200g、及びフィノチアジン[和光純薬工業社製]を2.6g入れて、60℃に昇温させフィノチアジンを溶解させる。フィノチアジンが溶解したら、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂[DIC社製、商品名「N-670-EXP-S」]を1600g入れ95℃まで昇温させた。N-670-EXP-Sが溶解したら、4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド[ケイ・アイ化成社製、商品名「BMI」]を200g、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン[ケイ・アイ化成社製、商品名「BMI-70」]を200g、4,4’-ジアミノジフェニルスルホンを468g、及び3,3’-ジアミノジフェニルスルホンを156g入れ、110℃まで昇温した。固形分が溶解したら温度を下げて、樹脂配合物を取り出した。
得られた樹脂配合物292gに対して、ラジカル開始剤として1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン[日油社製、商品名「パーヘキサ(登録商標)C」]を0.48g入れて、自転公転型ミキサーで攪拌・混合することにより、繊維強化複合材料用組成物を得た。
実施例3
[繊維強化複合材料用組成物の製造]
酸素7%、窒素93%の混気条件下、室温で10Lのガラス製反応器にトリシクロデカンジメタノールジアクリレート[ダイセル・オルネクス社製、商品名「IRR214-K」]を3000g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂[新日鉄住金社製、商品名「YD8125」]を200g、及びフィノチアジン[和光純薬工業社製]を2.6g入れて、60℃に昇温させフィノチアジンを溶解させる。フィノチアジンが溶解したら、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂[DIC社製、商品名「N-670-EXP-S」]を1600g入れ95℃まで昇温させた。N-670-EXP-Sが溶解したら、4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド[ケイ・アイ化成社製、商品名「BMI」]を200g、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン[ケイ・アイ化成社製、商品名「BMI-70」]を200g、4,4’-ジアミノジフェニルスルホンを468g、及び3,3’-ジアミノジフェニルスルホンを156g入れ110℃まで昇温した。固形分が溶解したら温度を下げて、樹脂配合物を取り出した。
得られた樹脂配合物292gに対して、ラジカル開始剤として1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン[日油社製、商品名「パーヘキサ(登録商標)C」]を0.48g入れて、自転公転型ミキサーで攪拌・混合することにより、繊維強化複合材料用組成物を得た。
比較例1
[繊維強化複合材料用組成物の製造]
酸素5%、窒素95%の混気条件下、室温で3Lのガラス製反応器にトリシクロデカンジメタノールジアクリレート[ダイセル・オルネクス社製、商品名「IRR214-K」]を500g、とフィノチアジン[和光純薬工業社製]を0.5g入れて、65℃に昇温した。フィノチアジンが溶解したら、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂[DIC社製、商品名「HP-7200」]を250g入れ溶解させた。溶解後、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂[DIC社製、商品名「N-670-EXP-S」]を250g入れ75℃まで昇温させた。エポキシ樹脂が溶解したら温度を下げて、樹脂配合物を取り出した。
得られた樹脂配合物100gに対して、ラジカル開始剤として1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン[日油社製、商品名「パーヘキサ(登録商標)C」]を0.28gと酸発生剤[三新化学工業社製、商品名「サンエイドSI-100L」]を1.0g入れて、自転公転型ミキサーで攪拌・混合することにより、繊維強化複合材料用組成物を得た。
上記実施例、比較例で得た繊維強化複合材料用組成物をガラス板に挟み込み、表1に記載の条件で加熱処理することにより、硬化物を得た。
[評価]
実施例及び比較例で得られた繊維強化複合材料用組成物及び硬化物について、以下の評価を行った。
(1)粘度
実施例及び比較例で得られた繊維強化複合材料用組成物の40℃における粘度(mPa・s)を、該組成物を調製した直後(調製後1時間以内)に測定した(初期粘度)。また、上記繊維強化複合材料用組成物を調製後、40℃の環境下で3日間(72時間)保管した後、40℃における粘度(mPa・s)を測定した(40℃72時間後粘度)。「組成物の40℃72時間保管後の粘度上昇率(%)」を下記式から算出した。
(組成物の40℃72時間保管後の粘度上昇率)=(40℃72時間後粘度)/(初期粘度)×100
結果を表1の「40℃72時間保管後の粘度上昇率」の欄に示す。なお、粘度の測定装置、測定条件は下記の通りである。
<測定装置及び測定条件>
測定装置:粘度測定装置(商品名「TV-22H」、東機産業社製)
測定温度:40℃
ローター:1°34’×R24
回転数:1.0rpm
(2)硬化物のガラス転移温度
実施例及び比較例で得られた硬化物(厚み:0.5mm)を幅4mm、長さ3cmに切り出し、これをサンプルとして使用した。
上記で得たサンプルの動的粘弾性測定(DMA)を、下記の条件で実施した。
<測定装置及び測定条件>
測定装置:固体粘弾性測定装置(DMS6100(株式会社日立ハイテクサイエンス[旧エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社]))
雰囲気:窒素
温度範囲:25~350℃
昇温温度:5℃/分
変形モード:引っ張りモード
上記動的粘弾性測定で測定されたE’(貯蔵弾性率)の変曲点の温度を硬化物のガラス転移温度(E’-Tg)として求めた。結果を表1の「E’-Tg」の欄に示した。
(3)硬化物の耐熱老化性の評価
実施例及び比較例で得られた硬化物(厚さ4mm×幅10mm×長さ80mm)を240℃のオーブンに保管して、初期(0hr)、48時間後(48hr)、100時間後(100hr)のサンプルについて、テンシロン万能試験機((株)オリエンテック製)を使用して、エッジスパン:67mm、曲げ速度2mm/分の条件で、3点曲げ試験を行うことにより、硬化物の曲げ強度(MPa)、曲げ弾性率(MPa)、及び曲げ伸度(%GL)を測定した。結果を表2-1(実施例1)、表2-2(実施例2)、表2-3(実施例3)、表2-4(比較例1)に示した。表2-1~2-4中のカッコは、初期(0hr)対する比率(%)で示したものである。
表1に示すように、本発明の繊維強化複合材料用組成物は、調製直後の粘度と40℃に3日間(72時間)保管した後の粘度がほとんど変わらず、作業安定性に優れるものであった。
また、表1及び表2-1~2-4に示すように、本発明の繊維強化複合材料用組成物を硬化させて得られた硬化物は、高いガラス転移温度、耐熱老化性を有していた。
なお、実施例、比較例で使用した成分は、以下の通りである。
[ラジカル重合性化合物(A)]
IRR214-K:ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート(ダイセル・サイテック社製、分子量:304、一分子中のアクリロイル基の数:2個、官能基当量:152)
[エポキシ化合物(B)]
HP-7200:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製、官能基当量:250-280)
N-670-EXP-S:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、官能基当量:200-210)
MY0510:グリシジルアミン型エポキシ樹脂(Huntsman社製、官能基当量:95-106)
YD8125:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製、官能基当量:168-178)
[アミン系硬化剤(C)]
p-DDS:4,4’-ジアミノジフェニルスルホン
m-DDS:3,3’-ジアミノジフェニルスルホン
[ラジカル重合開始剤(D)]
パーヘキサC:1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(日油社製;10時間半減期分解温度:90.7℃)
[マレイミド化合物]
BMI:4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド(ケイ・アイ化成社製)
BMI-70:ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(ケイ・アイ化成社製)
[酸発生剤]
SI-100L:サンエイドSI-100L(芳香族スルホニウム塩;三新化学工業社製;示差走査型熱量測定装置(DSC)を用いて昇温速度10℃/分で測定した際の発熱開始温度:124.1℃)
[重合安定剤]
PTZ:フィノチアジン(和光純薬工業社製)