JP2008156486A - 繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重量平均分子量1,000以下のエポキシ樹脂(a1)と重量平均分子量10,000〜100,000のエポキシ樹脂(a2)と硬化剤(C)とを使用して、前記エポキシ樹脂(a1)の一部と前記エポキシ樹脂(a2)の一部または全部と前記硬化剤(C)の一部とを予備反応をさせることによって得られるエポキシ樹脂(a3)と、前記エポキシ樹脂(a1)の残りとを含むエポキシ樹脂(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、前記硬化剤(C)の残りとを含有し、硬化後の形態が、前記エポキシ樹脂(A)と前記熱可塑性樹脂(B)との共連続相および/または前記熱可塑性樹脂(B)の連続相を有する繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
近年では、ハニカムパネルをより一層軽量化することおよび成形コストを低減することを目指してハニカムコアとプリプレグとを直接接着させる、いわゆる自己接着技術が求められている。
プリプレグに自己接着性を発現させるためには、加熱硬化の際にハニカムコアとプリプレグとの接合面をプリプレグの樹脂で濡らし、いわゆるフィレットと呼ばれる樹脂溜まりを形成させる。
特許文献1には、高靭性、高伸性、低内部応力性にすぐれ、高強度、高弾性率、また低吸水性、高耐熱性や良好な作業性およびそれら諸物性の高い安定性を合わせ持つ熱硬化性樹脂組成物、硬化物さらにはそれらをマトリックス樹脂とするプリプレグおよび繊維強化プラスチックの提供を目的として、「次の構成要素[A]、[B]、[C]を必須とし、構成要素[C]が構成要素[A]または[B]と相溶性の連鎖と非相溶性の連鎖からなるブロック共重合体またはグラフト共重合体である樹脂組成物。[A]:熱硬化性樹脂、[B]:硬化剤、[C]:熱可塑性樹脂」が提案されている。
フィレットは、プリプレグからハニカムコアの厚み方向に、ハニカムの壁に沿って樹脂が垂れまたはせり上がった状態で形成され、その形状は樹脂の粘度との関係が深く、フィレットの強度はプリプレグを構成するマトリックス樹脂の靭性に左右される。
そこで、本発明は、靭性の高い硬化物となりうる繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
(1) 重量平均分子量1,000以下のエポキシ樹脂(a1)と重量平均分子量10,000〜100,000のエポキシ樹脂(a2)と硬化剤(C)とを使用して、
前記エポキシ樹脂(a1)の一部と前記エポキシ樹脂(a2)の一部または全部と前記硬化剤(C)の一部とを予備反応をさせることによって得られるエポキシ樹脂(a3)と、前記エポキシ樹脂(a1)の残りとを含むエポキシ樹脂(A)と、
熱可塑性樹脂(B)と、
前記硬化剤(C)の残りとを含有し、
硬化後の形態が、前記エポキシ樹脂(A)と前記熱可塑性樹脂(B)との共連続相および/または前記熱可塑性樹脂(B)の連続相を有する繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(2) 前記エポキシ樹脂(A)が、さらに、3官能以上のエポキシ樹脂(a4)を含み、
前記エポキシ樹脂(a4)の量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部中の30〜90質量部である上記(1)に記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(3) 前記予備反応において用いられる、
前記エポキシ樹脂(a1)の一部の量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部中の2〜20質量部であり、
前記エポキシ樹脂(a2)の一部または全部の量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、2〜20質量部であり、
前記硬化剤(C)の一部の量が、前記予備反応において用いられる、前記エポキシ樹脂(a1)の一部と前記エポキシ樹脂(a2)の一部または全部とが有するエポキシ基の0.2〜0.4当量にあたる量である上記(1)または(2)に記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(4) 前記エポキシ樹脂(a2)の分子骨格が、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型およびこれらの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(5) 前記エポキシ樹脂(a1)の残りの量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部中の1〜68質量部である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(6) 前記エポキシ樹脂(a2)から前記予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)を除いた量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、0〜18質量部である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(7) 前記エポキシ樹脂(a3)から前記予備反応において用いた、前記硬化剤(C)の一部を除いた量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、4〜40質量部である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(8) 前記熱可塑性樹脂(B)が、分子末端に反応性官能基を有する上記(1)〜(7)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(9) 前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリエーテルスルホン樹脂の粒子および/またはポリエーテルイミド樹脂の粒子であり、前記粒子の平均粒子径が200μm以下である上記(1)〜(8)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(10) 前記熱可塑性樹脂(B)の量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、20〜60質量部である上記(1)〜(9)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(11) 上記(1)〜(10)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物において使用される硬化剤(C)が、ジアミノジフェニルスルホンおよび/または潜在性硬化剤である上記(1)〜(10)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(12) 前記硬化剤(C)の量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、20〜60質量部である上記(1)〜(11)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(13) 昇温速度2℃/分における動的粘弾性測定による最低粘度が、10〜150Pa・sである上記(1)〜(12)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(14) 硬化後のASTM D5045−99に準拠して測定される破壊靭性値が、2.0MPa・m1/2以上となる上記(1)〜(13)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(15) 上記(1)〜(14)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として強化繊維と複合させた繊維強化プリプレグ。
(16) 前記マトリックス樹脂の含有量が、繊維強化プリプレグ中の30〜50質量%である上記(15)に記載の繊維強化プリプレグ。
(17) 前記強化繊維が、炭素繊維である上記(15)または(16)に記載の繊維強化プリプレグ。
(18) 上記(15)〜(17)のいずれかに記載の繊維強化プリプレグとハニカムコアとを積層させ硬化させることによって得られるハニカムサンドイッチパネル。
(19) 前記ハニカムコアが、アラミドハニカム、アルミハニカム、ペーパーハニカムおよびガラスハニカムからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(18)に記載のハニカムサンドイッチパネル。
まず、本発明の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物について説明する。
本発明の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物は、
重量平均分子量1,000以下のエポキシ樹脂(a1)と重量平均分子量10,000〜100,000のエポキシ樹脂(a2)と硬化剤(C)とを使用して、
前記エポキシ樹脂(a1)の一部と前記エポキシ樹脂(a2)の一部または全部と前記硬化剤(C)の一部とを予備反応をさせることによって得られるエポキシ樹脂(a3)と、前記エポキシ樹脂(a1)の残りとを含むエポキシ樹脂(A)と、
熱可塑性樹脂(B)と、
前記硬化剤(C)の残りとを含有し、
硬化後の形態が、前記エポキシ樹脂(A)と前記熱可塑性樹脂(B)との共連続相および/または前記熱可塑性樹脂(B)の連続相を有する組成物である。
以下、これを「本発明の組成物」ということがある。
重量平均分子量1,000以下のエポキシ樹脂(a1)と重量平均分子量10,000〜100,000のエポキシ樹脂(a2)と硬化剤(C)とを使用して、
前記エポキシ樹脂(a1)の一部と前記エポキシ樹脂(a2)の一部または全部と前記硬化剤(C)の一部とを予備反応をさせることによって得られるエポキシ樹脂(a3)と、前記エポキシ樹脂(a1)の残りとを含むエポキシ樹脂(A)と、
熱可塑性樹脂(B)と、
前記硬化剤(C)の残りとを含有する。
本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a1)は、予備反応で用いられる分と組成物の成分として用いられる分とに分けて用いられる。
また、本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a2)は、その一部または全部を予備反応に用いることができ、エポキシ樹脂(a2)の一部が予備反応に用いられる場合、本発明の組成物はエポキシ樹脂(a2)の残りの分を組成物の成分として含有することができる。
また、本発明の組成物において使用される硬化剤(C)は、予備反応で用いられる分と組成物の成分として用いられる分とに分けて用いられる。
なお、本願明細書において、「本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a1)」は、本発明の組成物において、予備反応で用いられる分と組成物の成分として用いられる分とをあわせたエポキシ樹脂(a1)を意味する。
本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a2)、本発明の組成物において使用される硬化剤(C)についても本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a1)と同様である。
「エポキシ樹脂(a2)およびエポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)」は、エポキシ樹脂(A)からエポキシ樹脂(a2)とエポキシ樹脂(a3)とを除いたものをいう。
本発明の組成物において使用される硬化剤(C)の量は、得られる硬化物が面板として要求される強度、耐熱性に優れ、靭性がより高くなるという観点から、エポキシ樹脂(a2)およびエポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、20〜60質量部であるのが好ましく、30〜50質量部であるのがより好ましい。
本発明の組成物が含有するエポキシ樹脂(a3)について、エポキシ樹脂(a3)から予備反応において用いた、硬化剤(C)の一部を除いた量は、得られる硬化物が面板として要求される強度、耐熱性に優れ、靭性がより高くなるという観点から、エポキシ樹脂(a2)およびエポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、4〜40質量部であるのが好ましく、10〜30質量部であるのがより好ましい。
本発明の組成物が含有する熱可塑性樹脂(B)の量は、その粘度を適正化してフィレットを良好な形状として形成させることができ、タック性、ドレイプ性に優れ、靭性がより高い硬化物となりうるという観点から、エポキシ樹脂(a2)およびエポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、20〜60質量部であるのが好ましく、30〜50質量部であるのがより好ましい。
本発明の組成物に含有されるエポキシ樹脂(A)は、エポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a3)とを含む。
なお、予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)の量が、本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a2)全量の一部である場合、エポキシ樹脂(A)は、さらに、エポキシ樹脂(a2)を含むことができる。
エポキシ樹脂(A)に含まれるエポキシ樹脂(a1)は、重量平均分子量1,000以下の、エポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。
なお、本発明において、重量平均分子量はGPC分析によって測定された値である。
エポキシ樹脂(a1)の25℃における粘度は、5〜150ポイズであるのが好ましく、5〜100ポイズであるのがより好ましい。
なお、本発明において、粘度の測定方法はJIS K 6862に準じるものとする。
そして、本発明の組成物において組成物の成分として含有されるエポキシ樹脂(a1)の残り(つまり、本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a1)から、予備反応において用いられたエポキシ樹脂(a1)を除いた量。)は、相分離界面の親和性を高めるという観点から、エポキシ樹脂(a2)(つまり、予備反応に用いられる分と組成物の成分として用いられる分との合計として。)およびエポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)(ここで、エポキシ樹脂(A)は、少なくとも、エポキシ樹脂(a1)、必要に応じて含むことができるエポキシ樹脂(a4)を含む。)100質量部中の1〜68質量部であるのが好ましく、20〜50質量部であるのがより好ましい。
エポキシ樹脂(A)に含まれるエポキシ樹脂(a3)は、エポキシ樹脂(a1)の一部とエポキシ樹脂(a2)の一部または全部と硬化剤(C)の一部とを予備反応をさせることによって得られるエポキシ樹脂である。
なかでも、作業性と硬化物の耐熱性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a1)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a1)は、本発明の組成物に含有されるエポキシ樹脂(a1)と同じでも異なっていてもよく、相分離界面の親和性を高めるという観点から、予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a1)は、本発明の組成物に含有されるエポキシ樹脂(a1)と同じ種類であるのが好ましい。
予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)は、重量平均分子量10,000〜100,000の、エポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。
そして、予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)が有する分子骨格は、エポキシ樹脂(a1)と混ざりやすいという観点から、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型およびこれらの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)は、その軟化点が、靭性をより高くするという観点から130℃以上であるのが好ましい。
予備反応で、本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a2)全量の一部を用いる場合、予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)の量は、靭性改良を阻害しないようにするという観点から、本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a2)全量の65〜95質量%であるのが好ましく、70〜90質量%であるのがより好ましい。
予備反応において用いられる硬化剤(C)は、エポキシ樹脂と反応しうるものであれば特に制限されない。
例えば、ポリアミン、イミダゾール化合物、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、ポリアミド、ポリオール、ポリメルカプタン、ポリカルボン酸、酸無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリフェノール化合物、ノボラック樹脂、潜在性硬化剤が挙げられる。
ポリアミン、潜在性硬化剤が好ましい態様として挙げられる。
なかでも、加熱により硬化することが可能で、硬化物の耐熱性向上という観点から、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン(3,3′−DDS)が好ましい。
ケチミン化合物は特に制限されない。例えば、メチルイソブチルケトン(MIBK)とプロピレンジアミンとから得られるもの;メチルイソプロピルケトン(MIPK)および/またはメチル−t−ブチルケトン(MTBK)とジェファーミンEDR148とから得られるもの;MIPKおよび/またはMTBKと1,3BACとから得られるもの;MIPKおよび/またはMTBKとノルボルナンジアミン(NBDA)とから得られるもの;MIPKおよび/またはMTBKとm−キシリレンジアミン(MXDA)とから得られるもの;MIPKおよび/またはMTBKとポリアミドアミンとから得られるもの;ジエチルケトンとMXDAとから得られるものが挙げられる。
予備反応において用いられる硬化剤(C)の量は、予備反応において用いられる、エポキシ樹脂(a1)およびエポキシ樹脂(a2)が有するエポキシ基の0.2〜0.4当量にあたる量であるのが好ましく、0.25〜0.35当量にあたる量であるのがより好ましい。
本発明の組成物において、予備反応は、エポキシ樹脂(a1)の一部と、エポキシ樹脂(a2)の一部または全部と、硬化剤(C)の一部とを反応させることによって行われ、エポキシ樹脂(a3)が生成する。
予備反応は、エポキシ樹脂(a1)の一部とエポキシ樹脂(a2)の一部または全部とを加熱してエポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a2)とを相溶および/または分散させる加熱工程と、相溶および/または分散したエポキシ樹脂(a1)およびエポキシ樹脂(a2)の混合物に硬化剤(C)の一部を加えて加熱して反応させ、エポキシ樹脂(a3)を生成させる生成工程とを具備するものが好ましい態様の1つとして挙げられる。
加熱工程の温度は、エポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a2)とを十分に相溶および/または分散させることができるという観点から、80〜120℃であるのが好ましい。
加熱は撹拌しながら行うのが好ましい。
生成工程の温度は、エポキシ樹脂(a1)および/またはエポキシ樹脂(a2)と硬化剤(C)との反応性の観点から、130〜170℃であるのが好ましい。
加熱は撹拌しながら行うのが好ましい。
反応時間は、特に制限されず、3〜6時間であるのが好ましい。
なかでも、エポキシ樹脂(a2)が有する分子骨格は、エポキシ樹脂(a1)にビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が使われることが多いという観点から、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型およびこれらの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
エポキシ樹脂(a2)は、その軟化点が、靭性をより高くするという観点から130℃以上であるのが好ましい。
また、本発明の組成物が含有することができるエポキシ樹脂(a2)は、予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)と同じでも、異なるものであってもよく、組成物中における相溶性および/または分散性に優れるという観点から、同じ種類であるのが好ましい。
エポキシ樹脂(a4)について以下に説明する。
エポキシ樹脂(A)が含有することができるエポキシ樹脂(a4)は、3官能以上のものであれば特に制限されない。
エポキシ樹脂(a4)の25℃における粘度は、5〜50ポイズであるのが好ましく、5〜20ポイズであるのがより好ましい。
本発明の組成物に含有される熱可塑性樹脂(B)は、特に制限されない。例えば、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアリールエーテル樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂が挙げられる。
また、エポキシ樹脂(A)との相溶性に優れ、エポキシ樹脂(A)との相溶性に優れ、連続相を形成しやすく、硬化物の靭性がより高くなりうるという観点から、ポリエーテルスルホン樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂(B)の平均粒子径は、エポキシ樹脂(A)への溶解が均一となり、共連続相を形成しやすく、靭性がより高くなるという観点から、200μm以下であるのが好ましく、100μm以下であるのがより好ましく、5〜80μmであるのがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂(B)を微細粒子とする方法は特に制限されず、例えば、従来公知のものが挙げられる。
なお、本発明において、熱可塑性樹脂(B)の平均粒子径は、粒度分布測定装置によって測定されたものである。
反応性官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、酸無水物基、メルカプト基、イソシアネート基が挙げられる。
なかでも、エポキシ樹脂(A)との反応性の観点から、ヒドロキシ基が好ましい。
熱可塑性樹脂(B)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
熱可塑性樹脂(B)の量が、エポキシ樹脂(a3)およびエポキシ樹脂(a2)を除くエポキシ樹脂(A)(ここで、エポキシ樹脂(A)は、少なくとも、本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a1)、必要に応じて含むことができるエポキシ樹脂(a4)を含む。)100質量部に対して、20質量部以上である場合、得られる硬化物のモルフォロジーが、エポキシ樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との共連続相となりやすくなる。
熱可塑性樹脂(B)の量が、エポキシ樹脂(a3)およびエポキシ樹脂(a2)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、60質量部以下である場合、タック性、ドレイプ性に優れ、繊維強化プリプレグの作業性に優れる。
また、熱可塑性樹脂(B)の量が60質量部以下の場合、組成物の粘度を低くすることができ、作業性に優れる。
本発明の組成物が含有する硬化剤(C)は、予備反応において用いられる硬化剤(C)と同義である。
なかでも、本発明の組成物が含有する硬化剤(C)は、靭性がより高くなり、フィレットの強度を高くして、繊維強化プリプレグの自己接着強度を強くするという観点から、ジアミノジフェニルスルホンおよび/または潜在性硬化剤であるのが好ましい。
潜在性硬化剤は、上記と同義である。
硬化剤(C)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物が含有する硬化剤(C)は、予備反応で用いられる硬化剤(C)と同じでも異なっていてもよく、相溶性を良くするという観点から、本発明の組成物が含有する硬化剤(C)と予備反応で用いられる硬化剤(C)とは、同じ種類であるのが好ましい。
添加剤としては、例えば、三フッ化ホウ素/アミン塩触媒のような硬化触媒、固形ゴム、充填剤、老化防止剤、溶剤、難燃剤、顔料が挙げられる。
老化防止剤としては、例えば、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系が挙げられる。
溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)が挙げられる。
エポキシ樹脂(A)は、例えば、エポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a3)と、必要に応じて含むことができる、エポキシ樹脂(a2)と、エポキシ樹脂(a4)とを予め混合して混合物としておくことができる。また、例えば、エポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a3)と、必要に応じて含むことができる、エポキシ樹脂(a2)と、エポキシ樹脂(a4)とを、個別に、熱可塑性樹脂(B)に加えて混合することができる。
また、例えば、プラネタリーミキサーのような撹拌装置を用いて、混合物が均一となるまで0.5〜3時間、撹拌しながら混合するのが好ましい。
組成物の反応性の観点から、熱可塑性樹脂(B)がエポキシ樹脂(A)に全て溶解しているのが好ましい。
本発明の組成物が添加剤を含有する場合は、添加剤を混合工程2において混合物に加えるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
次に、混合物に、硬化剤(C)と、必要に応じて使用することができる添加剤とを加えて混合する。各成分を加える順序は特に制限されない。
混合の際、70〜90℃に加熱して、成分を溶解させて均一なエポキシ樹脂組成物とするのが好ましい態様として挙げられる。
また、例えば、プラネタリーミキサーのような撹拌装置を用いて、混合物が均一となるまで0.5〜3時間、撹拌しながら混合するのが好ましい。
このような製造方法によって、熱可塑性樹脂(B)を確実に溶解させ、かつエポキシ樹脂(a3)をムラなく均一に溶解および/または分散させ、硬化後に特定の形態を形成し靭性を高くし、繊維強化プリプレグの自己接着強度を高くすることができる。
なお、本発明において、動的粘弾性測定による最低粘度は、本発明の組成物を試料として、温度25〜200℃までの間で、昇温速度2℃/分、周波数10rad/秒、ひずみ1%の動的粘弾性測定における複素粘性率の最低値をいうものとする。
例えば、本発明の組成物を硬化させる際、温度は、硬化物の靭性がより高くなるという観点から、70〜200℃であるのが好ましく、120〜180℃であるのがより好ましい。
また、圧力は、硬化物の靭性がより高くなるという観点から、1.5〜4.0kg/cm2であるのが好ましく、2.5〜3.5kg/cm2であるのがより好ましい。
時間は、1〜8時間であるのが好ましい。
本発明の組成物を半硬化させる際、温度は、硬化物の靭性がより高くなるという観点から、50〜200℃であるのが好ましく、70〜180℃であるのがより好ましい。
また、圧力は、硬化物の靭性がより高くなるという観点から、1.5〜4.0kg/cm2であるのが好ましく、2.5〜3.5kg/cm2であるのがより好ましい。
時間は、1〜8時間であるのが好ましい。
半硬化させた後、さらに硬化させる際の条件としては、例えば、上記と同義のものが挙げられる。
得られる硬化物の形態がエポキシ樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との共連続相を有する場合、エポキシ樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との両方がともに連続相を形成している。
また、得られる硬化物において熱可塑性樹脂(B)が連続相となる場合、エポキシ樹脂(A)が島相となる。つまり、このような場合、硬化物のモルフォロジーは逆海島構造となる。
得られる硬化物がエポキシ樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との共連続相および熱可塑性樹脂(B)の連続相を有する場合、硬化物中において、エポキシ樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との共連続相と、熱可塑性樹脂(B)の連続相とがそれぞれ存在することを意味する。
エポキシ樹脂(a3)がエポキシ樹脂(A)中に分散している場合、エポキシ樹脂(a3)は、エポキシ樹脂(A)をマトリックス樹脂とする島相となる。
エポキシ樹脂(a3)がエポキシ樹脂(A)中に分散および/または相溶していることによって、硬化物の靭性を高くすることができる。この靭性の向上によって、フィレットの強度が高くなり、繊維強化プリプレグの自己接着強度を高くすることができる。
本発明の繊維強化プリプレグは、
本発明の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として強化繊維と複合させたものである。
繊維は、その形態について特に制限されず、例えば、繊維織布、一方向繊維が挙げられる。
繊維の目付量は、140〜200g/m2であるのが好ましい。
繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を繊維に含浸させる際、例えば、溶剤を使用するウェット法、無溶剤法であるホットメルト法のいずれかを採用することができる。
ウェット法でプリプレグの製造を行う場合は、繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を溶媒に溶解させ、ワニスを調製してから含浸させる。
ワニス調製時に使用する溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールのようなアルコール類;メチルエチルケトン(MEK)のようなケトン類が挙げられる。
溶剤の使用量は、乾燥時間を短縮しうるという観点から、繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物の固形分100質量部に対して、100〜200質量部であるのが好ましい。
硬化の際の条件は上記と同様である。
本発明の繊維強化プリプレグは、本発明の組成物を使用することによって、高い自己接着強度を有し、靭性が高く、強度に優れるフィレットを形成することができ、タック性、ドレイプ性、生産性、作業性に優れる。
また、本発明の繊維強化プリプレグから得られる繊維強化複合材料は、他の部材と接着剤を使用せず接着することができ、繊維強化プリプレグの平滑性に優れ、ポロシティ(表面の凹凸)が少ない優れた外観と表面性を有する。
本発明のハニカムサンドイッチパネルは、
本発明の繊維強化プリプレグとハニカムコアとを積層させ硬化させることによって得られるものである。
本発明のハニカムサンドイッチパネルの製造方法の一例について、添付の図面を用いて以下に説明する。
図3は、本発明のハニカムサンドイッチパネルの一例を模式的に示す斜視図である。
図4は、ハニカムサンドイッチパネルをハニカムコアの角柱の側面と平行に切断した断面の一例を模式的に示す断面図である。図4のa部は、従来のプリプレグシート用樹脂組成物で形成した繊維強化プリプレグを接着させたハニカムサンドイッチパネルである。図4のb部は、本発明のハニカムサンドイッチパネルの一例である。
これに対して、本発明の組成物を用いる場合、図4のb部に示すとおり、繊維強化プリプレグ10とハニカムコア11との接着が完全に行われ、しかも繊維強化プリプレグから繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物が流出し過ぎて樹脂成分が繊維強化プリプレグ中から組成物がなくなることなく、繊維強化プリプレグに適量の組成物が存在することができる。
したがって、上部フィレット14は適切な形状を維持しながら硬化を完了することができる。また、下面においても粘度が一度低下したときに表面張力によって下部フィレット14’が形成され繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物が適度に保持されて硬化を完了することができる。
このような方法により本発明のハニカムサンドイッチパネルを製造することができる。
本発明のハニカムサンドイッチパネルは、例えば、航空機、自動車の構造材料として使用することができる。
これに対して、本発明のハニカムサンドイッチパネルは、原料である繊維強化プリプレグが本発明の組成物をマトリックス樹脂用組成物として使用していることによって、組成物の硬化物は高い靭性を有することができる。この高靭性がフィレットの強度を高くすることに寄与するのである。
これは、本発明の組成物において、エポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a2)と硬化剤(C)とを予備反応させることによって、得られるエポキシ樹脂(a3)はその分子内にエポキシ樹脂(a1)の分子骨格を備えるためエポキシ樹脂(a1)に対して優れた親和性を有することができ、その結果、得られる硬化物の靭性が高くなっているためと推察される。
下記第1表の予備反応の欄に示す成分を第1表の予備反応の欄に示す量比で使用し、これらの混合物を、撹拌しながら150℃に加熱して4時間反応させ予備反応させることによってエポキシ樹脂(a3)を調製した。予備反応で得られたエポキシ樹脂(a3)を次の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物の調製に用いた。
上記で得られたエポキシ樹脂(a3)と、第1表に示す量(単位は質量部)の、第1表に示す成分(硬化剤(C)および予備反応で使用された成分を除く。)とを混合装置に投入し、130℃に加熱しながら混合して混合物とした。次に、得られた混合物を70℃に冷ました後これに硬化剤(C)を第1表に示す量(単位は質量部)で投入し、70℃に加熱しながら混合して、繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を調製した。
得られた各組成物をリバースロールコーターを用いて離型紙上に塗布して樹脂フィルムを作製した。次に、得られた樹脂フィルムを2枚使用し、樹脂フィルム2枚と、シート状に一方向に配列させた炭素繊維[トレカ(登録商標)T−700、東レ(株)製、引張弾性率230GPa、以下同様。]とを、炭素繊維の両面を樹脂フィルム2枚で挟み込むように重ね合わせた。その後、加熱加圧して炭素繊維に樹脂を含浸させ、炭素繊維の目付量が196±5g/cm2、マトリックス樹脂の質量分率が40%の一方向プリプレグを得た。
得られた組成物を用いて、上記と同様にしてプリプレグを2枚作製し、得られたプリプレグの間に、アラミド基材ハニカムコア(SAH−1/8インチ−8.0、厚み12.7mm、昭和飛行機社製)を配置して3.2kgf/cm2の加圧下、70℃から昇温速度2℃/分で180℃まで昇温し、180℃で2時間硬化させて、ハニカムサンドイッチパネルを得た。
得られた繊維強化プリプレグについて、タック性、ドレイプ性を評価した。結果を第1表に示す。
また、得られた組成物を以下に示す条件で硬化させて硬化物とし、硬化物の破壊靭性値を測定し、硬化後のモルフォロジーを観察した。結果を第1表に示す。
また、得られたハニカムサンドイッチパネルのCDPはく離強度を測定した。結果を第1表に示す。
得られたプリプレグを2枚積層して、約0.5mmの板状とした後、タック(粘着力)の有無を25℃の環境下で指触にて評価した。
タック性の評価基準は、比較例1、2のプリプレグのタックを5とし、良好なものほど数値が高いとした。
得られた各プリプレグを手で曲げて、ドレイプの有無(プリプレグのしなやかさ)を25℃環境下で指触にて評価した。
ドレイプ性の評価基準は、比較例1、2のプリプレグのドレイプを5とし、良好なものほど数値が高いとした。
得られた各組成物で離型紙上に厚み7mmの樹脂板を形成し、これをオートクレーブに入れて70℃から昇温速度2℃/分で180℃まで昇温し、圧力0.32MPa、180℃で2時間硬化させて、厚さ7mmの硬化物を作製した。
得られた硬化物からASTM D−5045−99に準じて、試験サンプルを作製し、室温(25℃)の条件下で破壊靭性値(応力拡大係数、単位:MPa・m1/2)を測定した。
上記の破壊靭性値の測定後の破壊された試験サンプルの断面を、透過型電子顕微鏡(TEM、商品名:M−800形、日立製作所社製。以下同様。)を用いて観察した。
観察の結果、硬化物のモルフォロジーについて、エポキシ樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との両方が連続相を形成している場合を「共連続」とした。
また、硬化物のモルフォロジーが、熱可塑性樹脂(B)の連続相にエポキシ樹脂(A)の島相(分散相)が分散している逆海島構造を有する場合を「逆海島」とした。
硬化物のモルフォロジーが、エポキシ樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との両方が連続相を形成している部分と、熱可塑性樹脂(B)の連続相にエポキシ樹脂(A)の島相(分散相)が分散している逆海島構造とを有する場合を「逆海島および共連続」とした。
透過型電子顕微鏡で5,000倍に拡大して撮影した、実施例1の試験サンプルの断面の写真を図2に示す。
得られた各ハニカムサンドイッチパネルを用いて、ASTM D1781に準じ、はく離試験(Climbing Drum Peel 試験)を行った。
・エポキシ樹脂(a4):トリグリシジル−p−アミノフェノール、商品名MY−0510、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製
・予備反応で用いられるエポキシ樹脂(a1)および組成物の成分として含有されるエポキシ樹脂(a1):下記式(1)で表されるビスフェノールFジグリシジルエーテル、商品名jER806、ジャパンエポキシレジン社製
・予備反応で用いられるエポキシ樹脂(a2)および組成物の成分として含有されるエポキシ樹脂(a2):固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量20,000、平均粒子径15μm、商品名YDF−020N、東都化成社製
・予備反応で用いられる硬化剤(C)および組成物の成分として含有される硬化剤(C):3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、商品名3,3′−DDS、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製
これに対して、実施例1〜2は、破壊靭性値が比較例1より高く、硬化物の靭性に優れた。
また、実施例1〜2は、CDPはく離強度が比較例1より高く、フィレットの強度が高かった。
これは、実施例1〜2の組成物から得られる硬化物において、エポキシ樹脂(a3)がエポキシ樹脂(A)に対して親和性が高く、エポキシ樹脂(A)中でエポキシ樹脂(a3)が溶解および/または分散しやすくなり、エポキシ樹脂(a3)の粒子径が小さくなっているためと考えられる。
本発明の組成物から得られる硬化物において、エポキシ樹脂(a3)の粒子径が小さく、エポキシ樹脂(a3)がエポキシ樹脂(A)中に溶解および/または分散しやすくなっていることは、添付の図2に示されている。
図2において、暗色部である(B)は熱可塑性樹脂(B)を、灰色部である(A)はエポキシ樹脂(A)を、エポキシ樹脂(A)中にある白い島相である(a3)はエポキシ樹脂(a3)を示す。実施例1の硬化物のモルフォロジーは、エポキシ樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)の共連続相と熱可塑性樹脂(B)の逆海島構造とを有し、エポキシ樹脂(A)の連続相のなかにエポキシ樹脂(a3)が分散している。
一方、図1において、暗色部である(B)は熱可塑性樹脂(B)を、灰色部である(A)はエポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂(A)中にある白い島相である(a3)はエポキシ樹脂(a3)を示す。比較例1の硬化物のモルフォロジーは、熱可塑性樹脂(B)の連続相とエポキシ樹脂(A)の島相との逆海島構造を有し、エポキシ樹脂(A)中にエポキシ樹脂(a3)の島相が分散している。
図1および図2においてエポキシ樹脂(a3)の大きさを比較すると、図2のエポキシ樹脂(a3)のほうが図1より小さく、より分散していることがわかる。
このように、本発明の組成物は、エポキシ樹脂(a3)がエポキシ樹脂(A)に対して、親和性が高く、エポキシ樹脂(A)中でエポキシ樹脂(a3)が十分に分散および/または相溶していることによって、高い靭性を有する硬化物となり、外部からの応力を効果的に緩和するものと考えられる。
(B) 熱可塑性樹脂(B)
(a2) エポキシ樹脂(a3)
1 ハニカムサンドイッチパネル
10 繊維強化プリプレグ
11 ハニカムコア
12 端部
13 上面部
13’ 下面部
14 上部フィレット
14’ 下部フィレット
a 従来のハニカムサンドイッチパネル
b 本発明のハニカムサンドイッチパネル
c セルサイズ
Claims (19)
- 重量平均分子量1,000以下のエポキシ樹脂(a1)と重量平均分子量10,000〜100,000のエポキシ樹脂(a2)と硬化剤(C)とを使用して、
前記エポキシ樹脂(a1)の一部と前記エポキシ樹脂(a2)の一部または全部と前記硬化剤(C)の一部とを予備反応をさせることによって得られるエポキシ樹脂(a3)と、前記エポキシ樹脂(a1)の残りとを含むエポキシ樹脂(A)と、
熱可塑性樹脂(B)と、
前記硬化剤(C)の残りとを含有し、
硬化後の形態が、前記エポキシ樹脂(A)と前記熱可塑性樹脂(B)との共連続相および/または前記熱可塑性樹脂(B)の連続相を有する繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。 - 前記エポキシ樹脂(A)が、さらに、3官能以上のエポキシ樹脂(a4)を含み、
前記エポキシ樹脂(a4)の量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部中の30〜90質量部である請求項1に記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。 - 前記予備反応において用いられる、
前記エポキシ樹脂(a1)の一部の量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部中の2〜20質量部であり、
前記エポキシ樹脂(a2)の一部または全部の量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、2〜20質量部であり、
前記硬化剤(C)の一部の量が、前記予備反応において用いられる、前記エポキシ樹脂(a1)の一部と前記エポキシ樹脂(a2)の一部または全部とが有するエポキシ基の0.2〜0.4当量にあたる量である請求項1または2に記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。 - 前記エポキシ樹脂(a2)の分子骨格が、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型およびこれらの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂(a1)の残りの量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部中の1〜68質量部である請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂(a2)から前記予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)を除いた量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、0〜18質量部である請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂(a3)から前記予備反応において用いた、前記硬化剤(C)の一部を除いた量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、4〜40質量部である請求項1〜6のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂(B)が、分子末端に反応性官能基を有する請求項1〜7のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリエーテルスルホン樹脂の粒子および/またはポリエーテルイミド樹脂の粒子であり、前記粒子の平均粒子径が200μm以下である請求項1〜8のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂(B)の量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、20〜60質量部である請求項1〜9のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物において使用される硬化剤(C)が、ジアミノジフェニルスルホンおよび/または潜在性硬化剤である請求項1〜10のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
- 前記硬化剤(C)の量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、20〜60質量部である請求項1〜11のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
- 昇温速度2℃/分における動的粘弾性測定による最低粘度が、10〜150Pa・sである請求項1〜12のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
- 硬化後のASTM D5045−99に準拠して測定される破壊靭性値が、2.0MPa・m1/2以上となる請求項1〜13のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜14のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として強化繊維と複合させた繊維強化プリプレグ。
- 前記マトリックス樹脂の含有量が、繊維強化プリプレグ中の30〜50質量%である請求項15に記載の繊維強化プリプレグ。
- 前記強化繊維が、炭素繊維である請求項15または16に記載の繊維強化プリプレグ。
- 請求項15〜17のいずれかに記載の繊維強化プリプレグとハニカムコアとを積層させ硬化させることによって得られるハニカムサンドイッチパネル。
- 前記ハニカムコアが、アラミドハニカム、アルミハニカム、ペーパーハニカムおよびガラスハニカムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項18に記載のハニカムサンドイッチパネル。
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