JP6835157B2 - プリプレグ - Google Patents

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Description

本発明は、炭素繊維プリプレグに関する。本発明は、特に、大型成形物に適した取扱い性と、優れた強度発現性を有する炭素繊維プリプレグに関する。
炭素繊維は、高い比強度および比弾性率を有するため、この炭素繊維を強化繊維としてマトリックス樹脂を含浸させた繊維強化複合材料は、優れた力学特性および軽量性に優れることから、スポーツ用途や航空・宇宙用途に加え、自動車や土木・建築、圧力容器および風車ブレードなどの一般産業用途にも幅広く展開されつつあり、更なる高性能化の要請が高い。特に近年では繊維強化複合材料の大型の構造部材への適用が進められ、繊維強化複合材料による部材設計技術の進歩や、部材点数削減による製造コスト削減の要望とそれに応える一体成形技術進歩から、成形体の大型化の傾向が一層強くなってきている。
繊維強化複合材料の成形法として、強化用繊維に主として熱硬化性樹脂のマトリックス樹脂を含浸してなるプリプレグを用いる手法がある。繊維強化複合材料の成形は、プリプレグを積層した後にこれを加熱あるいは加熱・加圧して、マトリックス樹脂である熱硬化性樹脂を硬化させることによって行われる。プリプレグを用いる手法は、繊維の強度利用率でVaRTM法などと比較して優れている為に、一般産業用途でもこのプリプレグが多く用いられている。
大型成形物を成形する際は、一般にマトリックス樹脂が高フローであることが望まれる。マトリックス樹脂が低フローであると成形体中のボイドが発生しやすい。しかし、マトリックス樹脂が高フローであるとボイドは低減するが繊維の微小蛇行(micro undulation)が生じ、大型成形物での機械物性が低下する。大型成形物での機械物性は厚み依存性が大きく、成形物の厚みが増すと圧縮強度が低下する傾向がある。特許文献1及び2は、マトリックス樹脂を低フローにすることで諸物性の低下を防ぐことを提案しているが、この技術を大型成形物の成形に適用すると、ボイド等の欠陥が生じる点が問題である。
プリプレグには、強化繊維として連続する繊維を一方向に引き揃えた一方向材(UD材)や織物、編物、及び不織布等が用いられる。中でも、UD材プリプレグは繊維方向に沿った強度や弾性率が高く、航空機、船舶、風車などの構造材に用いられることが多い。一方で、織物プリプレグは複雑な曲面を有する形状の賦形性や意匠性に優れ、また単独で縦横だけでなく中間の方向に対してもある程度の強度を発現することから広く適用されている。ところが、通常の織物は強化繊維糸条をたてよこ二方向に配した織組織を有するため、経糸と緯糸の交錯点で強化繊維糸条に屈曲(クリンプ)が発生するが、このクリンプにより強化繊維の真直性が低下するため、一般的に織物プリプレグを使用した場合はUD材プリプレグを使用した場合と比べ力学特性が劣る傾向にあった。
強化繊維糸条のクリンプを少なくする手立てとして、織糸同士の交錯点を少なくした朱子織組織がある。この組織にすることにより織糸のクリンプを少なくすることができ、高い強度発現が見込めるが、この織物はプリプレグ製造時の張力による形態の崩れが発生しやすく、織組織に表裏の違いがあるので成形品に樹脂の硬化収縮による反りが発生するという問題がある。
このような問題を解決する一手段として、一方向に平行に配列された強化繊維群の複数層が互いに異なる角度で積層された状態でステッチ糸により一体化されたNCF(Non−crimp fabric)の使用が注目されている。NCFは、強化繊維のクリンプを低減し、得られる繊維強化複合材料の力学特性を向上できるとともに、一枚で疑似等方などの積層構造を有するものが製造できるため、バイアス方向に強化されたプリプレグの切断作業や、積層作業も必要としない点で、織物や編物に比べて繊維強化複合材料の低コスト化が実現できる基材として期待されている。
特許文献3には、トウ状の炭素繊維糸の複数本が互いに並列に配列されてなる複数枚のシートが、それぞれのシートの炭素繊維の配列方向が、基準とする方向に対して異なる角度をもって積層された状態で、ステッチ糸で一体化された多軸ステッチ基材に関する技術が記載されており、この基材とマトリックス樹脂とから、安価で補強繊維である炭素繊維が均一に分散している強化繊維複合材料が得られるとしている。しかしながら、炭素繊維が交錯して構成される多軸ステッチ基材や織物などの強化繊維基材においては、交錯点における繊維同士の摩擦が強化繊維基材の均一性に大きく影響しており、交錯点での滑りが悪かったり、不均一だったりすると、目開きや厚み斑といった欠陥が生じる問題がある。
特開平1−161040号広報 特開平2−169658号広報 特許第4534409号公報
本発明は、トウ状の炭素繊維糸条が複数本で互いに並列に配列されてなるシートと、前記シートの片面或いは両面に前記炭素繊維糸条と異なる角度をもって配置された補助糸からなる強化繊維基材にマトリックス樹脂を含浸してなるプリプレグ、或いは、トウ状の炭素繊維糸条の複数本が互いに並列に配列されてなるシートの複数枚が、それぞれのシートに含まれる炭素繊維糸条の配列方向が互いに異なる角度をもって積層された状態で、ステッチ糸で一体化された強化繊維ステッチ基材にマトリックス樹脂を含浸してなるプリプレグを提供することにある。また、マトリックス樹脂の含浸性が良好で、成形時にはマトリックス樹脂が高いフロー性を発現し、成形物の厚みが増すことによる成形物の強度低下を抑えて力学特性に優れる繊維強化複合材料を生産性よく得られるプリプレグを提供することにある。さらに、基材のコシ、形態安定性、賦型性、積層する際のタック性等の取扱い性に優れ、基材のでこぼこが無い優れた外観を有するプリプレグを提供することにある。
本発明の第1の要旨は、単繊維の繊度が1.2〜2.4dtexである炭素繊維からなるトウ状の炭素繊維糸条が、複数本で互いに並列に配列されてなるシートと、前記シートの片面或いは両面に前記炭素繊維糸条と異なる角度をもって配置された補助糸からなる強化繊維基材に熱硬化性マトリックス樹脂組成物を含浸してなるプリプレグである。
また、本発明の第2の要旨は、単繊維の繊度が1.2〜2.4dtexである炭素繊維からなるトウ状の炭素繊維糸条が、複数本で互いに並列に配列されてなるシートを複数枚含み、それぞれのシートに含まれる炭素繊維糸条の配列方向が互いに異なる角度をもって積層され、ステッチ糸で一体化された強化繊維ステッチ基材に熱硬化性マトリックス樹脂組成物を含浸してなるプリプレグである。
本発明によれば、マトリクス樹脂の含浸性が良好で、成形時にはマトリックス樹脂が高いフロー性を発現し、成形物の厚みが増すことによる成形物の強度低下を抑えて力学特性に優れる繊維強化複合材料を生産性よく得られる。また、基材のコシ、形態安定性、賦型性、積層する際のタック性等の取扱い性に優れ、基材のでこぼこが無い優れた外観を有するプリプレグが得られる。
本発明のプリプレグは、単繊維の繊度が1.2〜2.4dtexである炭素繊維からなるトウ状の炭素繊維糸条が、複数本で互いに並列に配列されてなるシートと、前記シートの片面或いは両面に前記炭素繊維糸条と異なる角度をもって配置した補助糸からなる強化繊維基材に熱硬化性マトリックス樹脂組成物を含浸してなるプリプレグであることが好ましい。または、単繊維の繊度が1.2〜2.4dtexである炭素繊維からなるトウ状の炭素繊維糸条が、複数本で互いに並列に配列されてなるシートを複数枚含み、それぞれのシートに含まれる炭素繊維糸条の配列方向が互いに異なる角度をもって積層され、ステッチ糸で一体化された強化繊維ステッチ基材に熱硬化性マトリックス樹脂組成物を含浸してなるプリプレグであることが好ましい。
本発明のプリプレグは、プリプレグに用いる強化繊維が、その単繊維の繊維軸に垂直な断面の形状の真円度が0.7以上、0.9以下である炭素繊維であることが好ましい。
本発明のプリプレグは、プリプレグに用いる強化繊維が、その単繊維の繊維軸に垂直な断面の形状の直径Diが8μm以上、20μm以下である炭素繊維であることが好ましい。
本発明のプリプレグは、熱硬化性マトリックス樹脂組成物がエポキシ樹脂組成物である炭素繊維プリプレグであることが好ましい。
本発明のプリプレグは、強化繊維と熱硬化性マトリックス樹脂組成物と、ステッチ糸あるいは補助糸よりなる。
(強化繊維)
本発明のプリプレグの炭素繊維は特には限定されないが、PAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維が用いられる。望ましくはPAN系炭素繊維である。炭素繊維は、1種類を使用しても良いし、複数種類を単一プリプレグ中で使用しても良い。
本発明のプリプレグを構成する強化繊維は平均単繊維繊度が1.0dtex以上の炭素繊維である。平均単繊維繊度が1.0dtex未満の場合はマトリックス樹脂組成物の含浸状態が悪くなるので本発明には用いられない。平均単繊維繊度が1.2dtex以上である場合には含浸状態が更に良好となるので好ましい。
また、平均単繊維繊度が1.0dtex未満の場合は、大型成形物を成形する際に生じる樹脂フローの影響で強化繊維の真直性が失われ、成型物の強度が低いものとなり得るために本発明には用いられない。平均単繊維繊度が1.2dtex以上である場合には、大型成形物成形時の樹脂フローが多くても繊維の真直性が保たれるため、強度の高い成型物が得られるので好ましい。
また、本発明の炭素繊維プリプレグを構成する強化繊維は平均単繊維繊度が2.4dtex以下である。平均単繊維繊度が2.4dtexを超えるものは、繊維の強度や弾性率が低い傾向がある。従って本発明には平均単繊維繊度が2.4dtex以下のものを用いる。
平均単繊維繊度が1.0dtex未満の炭素繊維を用いた強化繊維の目付けが300g/mのプリプレグを厚み約10mmの成型平板となるように積層し成形した繊維強化複合材料と、厚み約20mmの成型平板となるように積層し成形した強化繊維複合材の圧縮強度を比較すると、厚み約20mmの成形体では厚み約10mmの成形体に比べて低い物性が確認されるが、平均単繊維繊度が1.0dtex以上の炭素繊維を用いたプリプレグの場合、厚み約20mmの成形体と厚み約10mmの成形体の物性の違いは殆ど見られない。
また、平均単繊維繊度が1.0dtex未満の炭素繊維からなる強化繊維基材に樹脂粘度が比較的低いマトリクス樹脂を含浸して得られるプリプレグの場合、強化繊維基材の目付けが150g/m、300g/m、600g/mのプリプレグを厚み約10mmの成型平板となるように積層し成形した繊維強化複合材料では、強化繊維基材の目付けが大きくなるに従い低い強度を示す傾向があるが、平均単繊維繊度が1.0dtex以上の炭素繊維を用いたプリプレグの場合、強化繊維基材の目付けが大きくても強度の違いは殆ど見られない。
また、炭素繊維糸条は、その単繊維の繊維軸に垂直な断面の形状の真円度が0.7以上0.9以下であることが望ましい。真円度が0.7以上0.9以下であれば、繊維強化複合材料の炭素繊維の含有率を高くすることが可能となり、その機械物性を高いものとすることができる。ここで、真円度とは下記式(I)にて求められる値であって、Sは単繊維の繊維軸に垂直な断面をSEM観察し画像解析することにより得られる単繊維の断面積であり、Lは同様にして得られる単繊維の断面の周長の長さである。
真円度 = 4πS/L (I)
前記炭素繊維糸条の単繊維は、その表面に長手方向に延びる溝状のでこぼこを複数有し、該単繊維の周長さ2μmの範囲での最高部と最低部の高低差が10〜80nmであることが望ましい。前記高低差が10nmより小さいとマトリックス樹脂組成物の含浸性を悪化させる可能性があり、本発明の効果を低減させてしまう。また、前記高低差が80nmより大きいと炭素繊維糸条の収束性を低下させる傾向があり、繊維強化複合材料の力学特性を低下させる可能性がある。
本発明のプリプレグに用いられる強化繊維は、その単繊維の繊維軸に垂直な断面の形状の直径Diが8μm以上であることが好ましい。プリプレグ製造において、マトリックス樹脂組成物の含浸および成形時のフローは、樹脂が単繊維間の空隙を通過することで起こるため、単繊維同士が形成する空隙の大きさが含浸性および樹脂フローに影響を与える。直径Diが8μm未満の場合には、単繊維間の空隙が小さくなることで含浸性が低下し、含浸状態の悪いプリプレグとなってしまう。直径Diが9μm以上の場合には含浸性が更に良好となるので更に好ましく、10μm以上の場合は特に好ましい。
また単繊維の直径Diは20μm以下が好ましい。前述の様に、単繊維の直径が大きくなると強化繊維の強度が低いものに限られるという問題がある。なお、本発明に言う単繊維の直径Diとは単繊維の繊維軸に垂直な断面の形状をSEM観察して画像解析することにより得られる繊維断面の長径(最大フェレ径)である。
(強化繊維基材)
本発明のプリプレグには、トウ状の炭素繊維糸条の複数本が互いに並列に配列されてなるシートを補助糸で解れないようにした強化繊維基材、または、前記シートの複数枚を所望の角度に積層した状態でステッチ糸により一体化した強化繊維ステッチ基材を用いる。
強化繊維ステッチ基材を構成する前記シートの積層角度は任意の角度を選ぶ事ができ、シートに含まれる炭素繊維糸条の配列方向が、例えば、強化繊維ステッチ基材が連続する方向を基準として0°、±30°、±45°、±60°、90°の中から選ぶことができる。また、積層後に各シートがなす角度は、強化繊維ステッチ基材が連続する方向を基準に対称となっていることが好ましい。
<補助糸またはステッチ糸>
本発明に用いる強化繊維基材または強化繊維ステッチ基材に使用する補助糸またはステッチ糸は、いずれの材質でも良く、例えばポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂からなる糸や、ビニロン繊維、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などから選ぶことができ、例えば、ガラス繊維に低融点樹脂繊維を引き揃えやカバリングしたりするなどした複合糸であってもよい。
本発明に用いる強化繊維基材または強化繊維ステッチ基材には必要に応じて樹脂のパウダーを分散して加熱、融着させたり、ポリエステル、ポリアミドなどの樹脂繊維からなるグリッドを配して加熱、融着させたりすることにより希望の形態維持性やドレープ性を付与することができる。
本発明に用いる強化繊維基材または強化繊維ステッチ基材は織機ではなく、ドイツのLIBA社やKarl Mayer社などが製造する多軸緯糸挿入型の編み機を使用して製造することができる。
一方、平織り、綾織り、朱子織りなどの織物には、経糸と緯糸が交差する交錯点に屈曲(crimp)が存在し、繊維強化複合材料となった後、その屈曲に起因する応力集中などにより繊維強化複合材料の物性を低下させてしまうことが、NCFが優位となる理由である。経糸に対してかなり目付けの小さい緯糸を一定ピッチで打ち込んだ、例えば600g/m2の経糸に225dtexのガラス繊維を約3mmピッチで打ち込んだ簾状の一方向性織物は経糸の屈曲が殆ど無い状態で製織することができる。本発明に用いることができる強化繊維基材には、このような、強化繊維に屈曲の無い一方向性織物も含まれる。
(マトリックス樹脂組成物)
本発明のプリプレグに含まれるマトリックス樹脂組成物樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤と、その他の付加成分を含有する。
<エポキシ樹脂>
本発明のプリプレグに含まれるマトリックス樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂は、例えば、グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型、および、脂環式エポキシ型のいずれかの型の、あるいはこれらの型から選ばれる2以上の型のエポキシ基が分子内に存在する化合物を用いることができる。
グリシジルエーテル型のエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば三菱化学株式会社製の“jER826”、“jER1001” 、“EPON825”、“jER826”、“jER827”、“jER828”、“jER1001”、DIC株式会社製の“エピクロン850”、新日鐵化学株式会社製の“エポトートYD−128”、ダウケミカル社製の“DER−331”、“DER−332”などが挙げられる。)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(例えば三菱化学株式会社製の“jER806”、“jER807”、“jER1750”、DIC株式会社製の“エピクロン830”、新日鐵化学株式会社製の“エポトートYD−170”、“エポトートYD−175”などが挙げられる。)、レゾルシノール型エポキシ樹脂(例えばナガセケムテックス株式会社製の“デナコールEX−201”などが挙げられる。)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(例えば三菱化学株式会社製の“jER152”、“jER154”、DIC株式会社製の“エピクロン740”、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ株式会社製の“EPN179”、“EPN180”などが挙げられる。)、エチレングリコールまたはポリエチレングリコール型エポキシ樹脂(例えばナガセケムテックス株式会社製の“デナコールEX810”、“デナコールEX−861”、共栄社化学社製の“エポライト200E”などが挙げられる。)、プロピレングリコールまたはポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂(例えばナガセケムテックス株式会社製の“デナコールEX−911”,“デナコールEX−941”,“デナコールEX−920”,“デナコールEX−921”,“デナコールEX−931”、共栄社化学株式会社製の“エポライト70P”,“エポライト200P”,“エポライト400P”、株式会社ダイセル製の“エポリードNT228”等が挙げられる。)、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂(例えば新日鐵化学株式会社製の“エポトート ZX−1355”などが挙げられる。)、イソシアネート変性エポキシ樹脂(旭化成エポキシ株式会社製の“AER4152”などが挙げられる。)、ジシクロペンタジエン骨格型エポキシ樹脂(例えばDIC株式会社製の“エピクロン HP−7200L”)、及びこれらの位置異性体、アルキル基、ハロゲン等の置換基を有する置換体、等がある。
グリシジルアミン型のエポキシ樹脂の具体例は、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(例えば住友化学株式会社製の“スミエポキシELM434”、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ株式会社製の“アラルダイトMY720”、“アラルダイトMY721”、“アラルダイトMY9512”、“アラルダイトMY9612”、“アラルダイトMY9634”、“アラルダイトMY9663”、三菱化学株式会社製の“jER604”などが挙げられる。)、ジグリシジルアニリン(例えば日本化薬株式会社製の“GAN、GOT”などが挙げられる。)、テトラグリシジルキシレンジアミン(例えば三菱ガス化学化学株式会社製の“TETRAD−X”などが挙げられる)などがある。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂の具体例は、フタル酸ジグリシジルエステル(例えば三井化学株式会社製の“エポミックR508”、ナガセケムテックス株式会社製の“デナコールEX−721”などが挙げられる。)、(メチル)テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、(メチル)ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル(例えば三井化学株式会社製の“エポミックR540”、日本化薬株式会社製の“AK−601”、などが挙げられる。)、イソフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル(例えば三菱化学株式会社製の“jER871”、新日鐵化学株式会社製の“エポトートYD−171”などが挙げられる。)や、それぞれの各種異性体などがある。
脂環式エポキシ型のエポキシ樹脂としては、シクロヘキセンオキシド基、トリシクロデセンオキシド基、シクロペンテンオキシド基等を有する化合物が代表的であり、具体的には、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えば株式会社ダイセル製の“セロキサイド2021P”、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ株式会社製の“CY179”などが挙げられる。)、(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)オクチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えば株式会社ダイセル製“セロキサイド2081”などが挙げられる。)、1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン(例えば株式会社ダイセル製“セロキサイド3000”などが挙げられる。)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチレン)アジペート、ビス(2−メチル−4,5−エポキシシクロヘキシルメチレン)アシペート等がある。
グリシジルエーテル型とグリシジルアミン型の両方の型のエポキシ基を持つエポキシ樹脂の具体例としては、トリグリシジルアミノフェノールやトリグリシジルアミノクレゾール(例えば住友化学株式会社製の“スミエポキシELM−100”、“スミエポキシELM−120”、三菱化学株式会社製の“jER630”、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ株式会社製の“アラルダイトMY0500”、“アラルダイトMY0510”、“アラルダイトMY0600”、“アラルダイトMY0610”、新日鐵化学株式会社製の“エポトートYDCN−701”などが挙げられる。)等がある。
これらエポキシ樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<ラジカル重合性不飽和化合物>
本発明のプリプレグに用いるマトリックス樹脂組成物にはラジカル重合性不飽和化合物を添加することもできる。ラジカル重合性不飽和化合物は、ラジカル重合性不飽和結合、すなわちラジカル重合可能な二重結合あるいは三重結合を分子内に含む低分子化合物あるいは高分子化合物又はオリゴマーのことである。
ラジカル重合性不飽和結合を分子内に含む低分子化合物としては、分子内に1つ以上の、例えば1〜6つのラジカル重合性不飽和結合を有する低分子化合物が挙げられる。例えば、(メタ)アクリレート化合物、アリルフタレート化合物、アリルイソフタレート化合物、アリルテレフタレート化合物、アリルシアヌレート化合物、などである。好ましくは、アクリレート化合物、メタクリレート化合物である。
分子内に1つのラジカル重合性不飽和結合を有する低分子化合物としては、フェノキシエチルアクリレート(例えば大阪有機化学工業株式会社製の“ビスコート#192”)、エトキシジエチレングリコールアクリレート(例えば共栄社化学株式会社製の“ライトアクリレートEC−A”)、メトキシトリエチレングリコールアクリレート(例えば共栄社化学株式会社製の“ライトアクリレートMTG−A”)、メトキシジプロピレングリコールアクリレート(例えば共栄社化学株式会社製の“ライトアクリレートDPM−A”)、イソボルニルアクリレート(例えば共栄社化学株式会社製の“ライトアクリレートIB−XA”)、フェニルグリシジルエーテルアクリル酸付加物(例えばナガセケムテックス株式会社製の“デナコールアクリレートDA−141”)などが挙げられる。
分子内に2つのラジカル重合性不飽和結合を有する低分子化合物としては、トリエチレングリコールジアクリレート(例えば共栄社化学株式会社製の“ライトエステル3EG−A”)、テトラエチレングリコールジアクリレート(例えば東亜合成化学工業株式会社製の“アロニックスM−240”)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(例えば共栄社化学株式会社製の“ライトエステルNP−A”)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(例えば共栄社化学株式会社製の“ライトエステル1,6HX−A”)、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物ジアクリレート(例えば共栄社化学株式会社製の“ライトエステルBP−2PA”)、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物ジアクリレート(例えば三洋化成工業株式会社製の“ネオマーBA−641”)、水素化ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物ジアクリレート(例えば三洋化成工業株式会社製の“ネオマーHA−605”)、水素化ビスフェノールAエチレンオキシド付加物ジアクリレート(例えば三洋化成工業株式会社製の“ネオマーHA−601”)、ビスフェノールSエチレンオキシド付加物ジアクリレート(例えば東亜合成化学工業株式会社製の“アロニックスM−205”)、ジメチロールプロパントリシクロデカンジアクリレート(例えば共栄社化学株式会社製の“ライトエステルDCP−A”)、エチレングリコールジメタクリレート(例えば共栄社化学株式会社製の“ライトエステルEG”)、ジエチレングリコールジメタクリレート(例えば共栄社化学株式会社製の“ライトエステル2EG”)、トリエチレングリコールジメタクリレート(例えば三洋化成工業株式会社製の“ネオマーPM−201”)、1,4−ブタンジオールジメタクリレート(例えば共栄社化学株式会社製の“ライトエステル1・4BG”)、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(例えば共栄社化学株式会社製の“ライトエステル1・6HX”)、グリセリンジメタクリレート(例えば共栄社化学株式会社製の“ライトエステルG−101P”)、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物ジメタクリレート(例えば共栄社化学株式会社製の“ライトエステルBP−2EM”)、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物ジメタクリレート、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)(2−ヒドロキシエチル)シアヌレート(例えば東亜合成化学工業株式会社製の“アロニックスM−215”)、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(例えば共栄社化学株式会社製の“エポキシエステル3000A”)、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物ジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物ジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物ジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(例えば共栄社化学株式会社製の“エポキシエステル3002A”)、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物ジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物(例えば共栄社化学株式会社製の“エポキシエステル3002M”)、グリセロールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(例えば共栄社化学株式会社製の“エポキシエステル80MFA”)、ジグリシジルフタレートアクリル酸付加物(例えばナガセケムテックス株式会社製の“デナコールアクリレートDA−721”)、ジグリシジルテトラヒドロフタレートアクリル酸付加物(例えばナガセケムテックス株式会社製の“デナコールアクリレートDA−722”)、レゾルシノールジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物(例えばナガセケムテックス株式会社製の“デナコールアクリレートDA−201”)、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレートなどが挙げられる。
分子内に3つのラジカル重合性不飽和結合を有する低分子化合物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば東亜合成化学工業株式会社製の“アロニックスM−309”)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(例えば東亜合成化学工業株式会社製の“アロニックスM−305”)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(例えば共栄社化学株式会社製の“ライトエステルTMP”)、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)シアヌレート(例えば東亜合成化学工業株式会社製の“アロニックスM−315”)、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート(例えば大阪有機化学工業株式会社製の“ビスコート3PA”)、グリセロールトリグリシジルエーテルアクリル酸付加物(例えばナガセケムテックス株式会社製の“デナコールアクリレートDA−314”)、トリアリルシアヌレートなどが挙げられる。
分子内に4つのラジカル重合性不飽和結合を有する低分子化合物としては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えば共栄社化学株式会社製の“ライトエステルBP−4A”)、グリセリンジメタクリレートイソホロンジイソシアネート付加物(例えば共栄社化学株式会社製の“ウレタンアクリレートUA−101I”)、グリセリンジメタクリレートヘキサメチレンジイソシアネート付加物(例えば共栄社化学株式会社製の“ウレタンアクリレートUA−101H”)、グリセリンジメタクリレートトリレンジイソシアネート付加物(例えば共栄社化学株式会社製の“ウレタンアクリレートUA−101T”)などが挙げられる。
分子内に5つのラジカル重合性不飽和結合を有する低分子化合物としては、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(例えば三洋化成工業株式会社製の“ネオマーDA−600”)などが挙げられる。
分子内に6つのラジカル重合性不飽和結合を有する低分子化合物としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(例えば共栄社化学株式会社製の“ライトエステルDPE−6A”)、ペンタエリスリトールトリメタクリレートイソホロンジイソシアネート付加物(例えば共栄社化学株式会社製の“ウレタンアクリレートUA−306I”)、ペンタエリスリトールトリメタクリレートヘキサメチレンジイソシアネート付加物(例えば共栄社化学株式会社製の“ウレタンアクリレートUA−306H”)、ペンタエリスリトールトリメタクリレートトリレンジイソシアネート付加物(例えば共栄社化学株式会社製の“ウレタンアクリレートUA−306T”)などが挙げられる。
本発明のラジカル重合性不飽和化合物としては、末端、側鎖、主鎖にラジカル重合性不飽和結合を有する高分子化合物又はオリゴマーを用いることができる。末端にラジカル重合性不飽和化合物を有するものとして、例えば、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールの末端水酸基を、アクリル酸又はメタクリル酸でエステル化した化合物、酸成分としてマレイン酸又はフマル酸を含むポリエステル、ラジカル重合性不飽和結合を有する無水マレイン酸、ナジック酸無水物又はエチニル無水フタル酸などでアミノ末端を封止したポリイミド等が挙げられる。
主鎖にラジカル重合性不飽和化合物を有する不飽和ポリエステル樹脂としては、例えば、オルソフタル酸系樹脂、イソフタル酸系樹脂、テレフタル酸系樹脂、ビスフェノール系樹脂、プロピレングリコール−マレイン酸系樹脂、ジシクロペンタジエンないしその誘導体を不飽和ポリエステル組成に導入したものが挙げられる。
本発明のラジカル重合性不飽和化合物としては、ラジカル重合性の不飽和結合とともに、エポキシ樹脂と反応する部分構造を有する低分子化合物あるいは高分子化合物又はオリゴマーを用いることもできる。このような化合物を用いると、硬化物中においてエポキシ樹脂によって構成される高分子ブロックとラジカル重合性不飽和化合物の高分子ブロックとの間に化学結合が形成され、モルフォロジーや物性を改良できる。
エポキシ樹脂と反応する部分構造は、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アルコキシメチル基、第1又は第2アミン、アミド、1,2−ジカルボン酸無水物構造、窒素含有複素環などがある。
かかる化合物としては、例えば1つのラジカル重合性不飽和結合を有するものとして、2−アクリロイルオキシエチル水素フタレート(例えば大阪有機化学工業株式会社製の“ビスコート#2000”)、2−アクリロイルオキシプロピル水素フタレート(例えば大阪有機化学工業株式会社製の“ビスコート#2100”)、2−メタクリロイルオキシエチル水素フタレート(例えば共栄社化学株式会社製の“ライトエステルHO−MP”)、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート(例えば大阪有機化学工業株式会社製の“ビスコート#2311HP”)、無水マレイン酸、無水ナジック酸などが挙げられる。
また、2つのラジカル重合性不飽和結合を有するものとして、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸部分付加物(例えば昭和電工株式会社製の“リポキシSP−1509H1”)、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)2−ヒドロキシエチルシアヌレート(例えば東亜合成化学工業株式会社製の“アロニックスM−215”)などが挙げられる。
本発明のラジカル重合性不飽和化合物としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などを有する化合物がより好ましい。これはエポキシ基がそれらと反応する、またはエポキシ基が反応して生じる水酸基、カルボキシル基などとの相互作用により相性が良いためである。
後述する、プリプレグ表面におけるラジカル重合で生成する高分子量成分が架橋構造を有し、プリプレグ表面において大きな粘度増大効果が得られる観点から、1種のラジカル重合性不飽和化合物を単独で用いる場合は、分子内に複数のラジカル重合性不飽和結合を有する化合物を用いるのが好ましい。
本発明に用いるラジカル重合性不飽和化合物は、1種の化合物を単独で用いてもよいし、2種以上の化合物を用いてもよい。
<エポキシ樹脂の硬化剤>
本発明のプリプレグに含まれるマトリックス樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂の硬化剤は、例えばアミン、酸無水物(カルボン酸無水物等)、フェノール(ノボラック樹脂等)、メルカプタン、ルイス酸アミン錯体、オニウム塩、イミダゾールなどが挙げられるが、エポキシ樹脂を硬化させうるものであればどのような構造のものでもよい。これらの中でも、アミン型の硬化剤が好ましい。これら硬化剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アミン型の硬化剤としては、例えばジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン、脂肪族アミン、イミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、及びこれらの異性体、変成体などがある。これらの中でも、プリプレグの保存性に優れる点で、ジシアンジアミドが特に好ましい。
また、本発明のプリプレグに含まれるマトリックス樹脂組成物には、エポキシ樹脂の硬化剤の硬化活性を高めるために、硬化助剤を用いてもよい。例えばエポキシ樹脂の硬化剤がジシアンジアミドである場合の硬化助剤は3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(DCMU)、3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチル尿素、2,4−ビス(3,3−ジメチルウレイド)トルエン等の尿素誘導体が好ましく、エポキシ樹脂の硬化剤がカルボン酸無水物やノボラック樹脂である場合の硬化助剤は三級アミンが好ましく、エポキシ樹脂の硬化剤がジアミノジフェニルスルホンである場合の硬化助剤はイミダゾール化合物、フェニルジメチルウレア(PDMU)等のウレア化合物、三フッ化ホウ素モノエチルアミン、三塩化ホウ素アミン錯体等のアミン錯体が好ましい。
これらの中でも硬化剤がジシアンジアミドであり、硬化助剤がDCMUである組み合わせが特に好ましい。
<ラジカルを発生する重合開始剤>
本発明のプリプレグには、ラジカルを発生する重合開始剤を用いることができる。ラジカルの発生のための刺激を紫外線または可視光線の照射で行う場合、重合開始剤は紫外線または可視光線の照射を受けて開裂、水素引き抜き、電子移動などの反応を起こす光重合開始剤を用いることができる。また、ラジカルの発生のための刺激を赤外線または超音波の照射、あるいは、加熱板の押し当てで行う場合、加熱によりラジカルを発生する熱重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ω−ブロモアセトフェノン、クロロアセトン、アセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p´−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンなどのカルボニル系光重合開始剤が挙げられるがこれらには限定されない。さらに、ジフェニルジスルフィド、ジベンジルジスルフィド、テトラエチルメチルアンモニウムスルフィドなどのスルフィド系光重合開始剤、ベンゾキノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノンなどのキノン系光重合開始剤、アジビスイソブチロニトリル、2、2´−アゾビスプロパン、ヒドラジンなどのアゾ系光重合開始剤、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルペルオキシドなどの過酸化物系光重合開始剤、1−[4―(フェニルチオ)フェニル]−1,2―オクタンジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム)、O−アセチル−1−[6−(2−メチルベンゾイル) −9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンオキシムなどのオキシムエステル化合物系光重合開始剤、オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸などのオキシフェニル酢酸エステル系光重合開始剤などが挙げられる。これらの光重合開始剤を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
加熱によりラジカルを発生する熱重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物、有機過酸化物などを用いることができる。アゾ化合物としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(例えば和光純薬工業株式会社製の“V−70”などが挙げられる)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル(例えば和光純薬工業株式会社製の“V−65”などが挙げられる。)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(例えば和光純薬工業株式会社製の“V−60”などが挙げられる。)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル(例えば和光純薬工業株式会社製の“V−59”などが挙げられる。)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(例えば和光純薬工業株式会社製の“V−40”などが挙げられる。)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド(例えば和光純薬工業株式会社製の“V−30”などが挙げられる。)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチル−バレロニトリル(例えば和光純薬工業株式会社製の“V−19”などが挙げられる。)等のアゾニトリル化合物、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド](例えば和光純薬工業株式会社製の“VA−080”などが挙げられる。)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド](例えば和光純薬工業株式会社製の“VA−082”などが挙げられる。)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド](例えば和光純薬工業株式会社製の“VA−085”などが挙げられる。)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド](例えば和光純薬工業株式会社製の“VA−086”などが挙げられる。)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジハイドレート(例えば和光純薬工業株式会社製の“VA−088”などが挙げられる。)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド](例えば和光純薬工業株式会社製の“VF−096”などが挙げられる。)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)(例えば和光純薬工業株式会社製の“VAm−110”などが挙げられる。)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)(例えば和光純薬工業株式会社製の“VAm−111”などが挙げられる。)等のアゾアミド化合物、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)(例えば和光純薬工業株式会社製の“VR−110”などが挙げられる。)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)(例えば和光純薬工業株式会社製の“VR−160”などが挙げられる。)等のアルキルアゾ化合物等が挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,2,5−トリメチルシクロヘキサン(例えば日油株式会社製の“パーヘキサ3M−95”)、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロドデカン(例えば日油株式会社製の“パーヘキサCD”、1,1,3,3−テトラメチルヒドロペルオキシド(例えば日油株式会社製の“パーオクタH”)、1,1−ジメチルブチルペルオキシド(例えば日油株式会社製の“パーヘキシルH”)、ビス(1−t−ブチルペルオキシ−1−メチルエチル)ベンゼン(例えば日油株式会社製の“パーブチルP”)、ジクミルペルオキシド(例えば日油株式会社製の“パークミルD”)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(例えば日油株式会社製の“パーヘキサ25B”)、t−ブチルクミルペルオキサイド(例えば日油株式会社製の“パーブチルC”)、ジ−t−ブチルペルオキサイド(例えば日油株式会社製の“パーブチルD”)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン(例えば日油株式会社製の“パーヘキシン25B”)、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド(例えば日油株式会社製の“パーロイルL”)、デカノイルパーオキサイド(例えば三建化工株式会社製の“サンペロックス−DPO”)、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート(例えば三建化工株式会社製の“サンペロックス−CD”)、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(例えば日油株式会社製の“パーロイルTCP”)、t−ブチル2−エチルペルヘキサノエート(例えば日油株式会社製の“パーブチルO”)、(1,1−ジメチルプロピル)2−エチルペルヘキサノエート(例えば化薬アクゾ株式会社製の“トリゴノックス121”)、(1,1−ジメチルブチル)2−エチルペルヘキサノエート(例えば化薬アクゾ株式会社製の“カヤエステルHO”)、t−ブチル3,5,5−トリメチルペルヘキサノエート(例えば日油株式会社製の“パーブチル355”)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(例えば日油株式会社製の“パーヘキシルI”)、t−ブチルオキシイソプロピルカーボネート(例えば日油株式会社製の“パーブチルI”)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(例えば日油株式会社製の“パーブチルE”)、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド(例えば日油株式会社製の“パーブチルMA”)、t−ブチルパーオキシラウレート(例えば日油株式会社製の“パーブチルL”)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(例えば日油株式会社製の“パーブチルZ”)などを用いることができる。これらの熱重合開始剤は単独でも、複数混合して用いてもよい。
また、ラジカルを発生させる手段としては、光重合開始剤と熱重合開始剤を併用しても良い。
<付加成分>
本発明のプリプレグに含まれるマトリックス樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー及びエラストマーからなる群より選ばれた1種以上の付加成分を含有してもよい。これらの付加成分は、マトリックス樹脂組成物の粘度、貯蔵弾性率及びチキソトロピー性を適正化する役割があり、かつ、マトリックス樹脂組成物の硬化物の粘弾性を変化させたり、靭性を向上させる等の役割がある。これらの付加成分は、各種成分と共に混合してもよいし、予めエポキシ樹脂中に溶解しておいてもよい。
本発明に用いることができる熱可塑性樹脂は、炭素−炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、尿素結合、チオエーテル結合、スルホン結合、イミダゾール結合及びカルボニル結合からなる群より選ばれた結合を主鎖に有する熱可塑性樹脂が好ましい。このような熱可塑性樹脂は、例えばポリアクリレート、ポリアミド、ポリアラミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン及びポリエーテルスルホン等がある。これらの中でも、耐熱性に優れることから、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン及びポリエーテルスルホンが特に好ましい。
本発明に熱可塑性樹脂を用いる場合、熱可塑性樹脂がエポキシ樹脂との反応性の官能基を有することが、硬化樹脂の靭性向上及び耐環境性維持の観点から好ましい。特に好ましい官能基は、カルボキシル基、アミノ基及び水酸基である。
本発明のプリプレグに含まれるマトリックス樹脂組成物は、マトリックス樹脂組成物を強化繊維に含浸させる時点でマトリックス樹脂組成物が液状であれば、付加成分として固体状の添加剤を含有してもよい。本発明に用いることができる固体状の添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、粘土鉱物、タルク、雲母、フェライトなどの無機粒子や、カーボンナノチューブ、フラーレンなどの炭素質成分などが挙げられる。これらの固体状の添加剤には、未硬化のマトリックス樹脂組成物にチキソトロピー性を付与する効果、マトリックス樹脂組成物の硬化物の弾性率、耐熱性、疲労強度、および/または、耐摩耗性を向上させる効果がある。また、固体状の添加剤として金属、カーボンブラック、酸化銅、酸化スズなどの粒子を導電性向上のために含有させることもできる。固体状の添加剤の含有量は、マトリックス樹脂組成物の質量の50%以下とすることが好ましい。
(プリプレグ)
本発明のプリプレグは、強化繊維の目付けが75g/m以上であることが好ましい。75g/m未満の場合には、補助糸やステッチ糸によるでこぼこが発生し好ましくない。またプリプレグの積層による成形時に積層回数が増えるので、特に産業用途には適さない。強化繊維の目付けが125g/m以上の場合は更に好ましく、250g/m以上の場合は特に好ましい。
また本発明のプリプレグは、強化繊維の目付けが2000g/m以下であることが好ましい。2000g/mを超える場合はマトリクス樹脂の含浸が悪くなり、またプリプレグのドレープ性が低くなり取り扱いづらいものとなり好ましくない。
マトリックス樹脂組成物の粘度は、30℃における粘度が10Pa・s以上であることが好ましい。粘度が10Pa・s未満であると、取扱性、特にプリプレグのタック性が悪くなり作業がし難い傾向となる。粘度は、30Pa・s以上がより好ましく、50Pa・s以上が更に好ましい。また粘度が1000000Pa・sを超えると、強化繊維基材または強化繊維ステッチ基材に含浸し難くなる傾向にあり好ましくない。またプリプレグのドレープ性が低くなり過ぎて取扱性も悪くなるので好ましくない。500000Pa・s以下の場合にはドレープ性が更に良好となるので好ましい。
以下、実施例によって、本発明のプリプレグをより具体的に説明するが、本発明のプリプレグは実施例に限定されるものではない。実施例で用いた強化繊維、樹脂原料、および各物性の測定方法を、次に示す。
<強化繊維>
・炭素繊維糸条1
平均単繊維繊度:1.35dtex
真円度:0.76
直径Di:11.9μm
フィラメント数:24000 本
ストランド強度:4500 MPa
ストランド弾性率:242 GPa

・炭素繊維糸条2
平均単繊維繊度:0.53dtex
真円度:0.85
直径Di:7.0μm
フィラメント数:60000 本
ストランド強度:4900 MPa
ストランド弾性率:250 GPa
<補助糸>
・補助糸条1
ガラス/低融点ナイロン複合糸
ガラス繊維:日東紡績株式会社製、製品名:D450
ナイロン繊維:東レ株式会社製、製品名:エルダー110dt
複合糸形態:引き揃え
<エポキシ樹脂>
・ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、製品名:jER−828)
・ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、製品名:jER−1002)
・オキサゾリドン環を含むエポキシ樹脂(旭化成イーマテリアルズ社製、製品名:AER4152)
<硬化剤>
・ジシアンジアミド(三菱化学株式会社製、製品名:jERキュア DICY15)。
<硬化助剤>
・ウレア基を有する芳香族化合物(保土ヶ谷化学社製、製品名:DCMU99)。
<熱可塑性樹脂>
・ポリビニルホルマール(JNC社製、製品名:ビニレックE)
<樹脂粘度測定方法>
粘度の測定方法は次の方法による。すなわち、TAインスツルメント社製のAR−G2または同等の装置により、測定周波数10rad/s、25mm直径の平プレート、プレート間ギャップは0.5mm、昇温速度2℃/分の条件で26℃〜34℃までの温度範囲で測定し、30℃での粘度を求める。30℃丁度での測定値が得られない場合はもっとも近い2点から補完して求める。
<炭素繊維束の直径及び真円度の測定方法>
(1)サンプルの作製
長さ5cmに切断した炭素繊維束をエポキシ樹脂(エポマウント主剤:エポマウント硬化剤=100:9(質量比))に包埋し、2cmに切断して横断面を露出させ、鏡面研磨した。
(2)観察面のエッチング処理
更に、繊維の外形を明瞭にするために、サンプルの横断面を次の方法でエッチング処理した。
・使用装置:日本電子(株) JP−170 プラズマエッチング装置
・処理条件:雰囲気ガス:Ar/02=75/25
・プラズマ出力:50W
・真空度:約120Pa
・処理時間:5分間
(3)SEM観察
前記(1)及び(2)により得られたサンプルの横断面を、SEM(PHILIPS FEI―XL20)を用いて観察し、画面上に5個以上の繊維断面が写っている写真を任意に5枚撮影した。
(4)炭素繊維束の単繊維の直径測定
各サンプルについて5枚のSEM写真から任意に20個、ただし1枚の写真から3個以上の単繊維断面を選んで、画像解析ソフトウエア (日本ローパー(株)製、製品名 :Image−Pro PLUS)を用いて繊維断面の外形をトレースし、断面の長径d(最大フェレ径)を計測した。選んだ単繊維断面全ての長径dの平均を、炭素繊維束の単繊維の直径Diとした。
(5)炭素繊維束の単繊維の真円度測定
画像解析ソフトウエア(日本ローパー(株)製、製品名 :Image−Pro PLUS)を用いて繊維断面 の外形をトレースし、周長Lおよび面積Sを計測した。各サンプルについて5枚のSEM写真から任意に20個、ただし1枚の写真から3個以上の繊維断面を選んで計測し、LおよびSの平均値を求め、次式により真円度を算出した。
・真円度=(4πS)/L
<プリプレグ含浸性の評価>
作製したプリプレグを目視にて観察し、樹脂組成物の含浸性を以下に示す2段階で評価した。
○:未含浸部分が観察されなかった。
×:未含浸部分が観察された。
<プリプレグタック性の評価>
作製したプリプレグを手で触った触感や、プリプレグ同士のリプレース性からプリプレグのタック性を以下に示す4段階で評価した。
◎:適度なタックで、リプレースもスムーズにできる。
○:ややべたつきを感じるが、リプレース可能である。
×(弱):タックはほとんどない。
×(強):タックが非常に強く、手に樹脂が付着する、またはプリプレグの形状を維持したままのリプレースが不可能である。
<プリプレグドレープ性の評価>
作製したプリプレグを指で折り曲げ、その様子からプリプレグのドレープ性を以下に示す2段階で評価した。
○:非常に柔らかく、曲線を持つ型材にも速やかに追従する。
×:剛直で硬く、曲線を持つ型材への追従が困難。
[繊維強化複合材料の作製]
<オートクレーブ硬化>
所定の数だけプリプレグを積層しバギングし、バッグ内を真空ポンプで減圧した後、これをオートクレーブ内に入れ、オートクレーブ内を昇温速度2℃/分で昇温し、80℃で1時間保持し、次いで、昇温速度2℃/分で昇温し、130℃で1.5時間保持し硬化させ、繊維強化複合材料を得た。その際、オートクレーブ内圧力は、80℃で1時間保持した後で昇圧し、0.6MPaとした。また、真空ポンプによる吸引はオートクレーブ内圧力が0.14MPaの時点で停止し、バッグ内を大気開放した。
<真空バッグ硬化>
所定の数だけプリプレグを積層しバギングし、バッグ内を真空ポンプで減圧した後、これをオーブンに入れ、オーブン内を昇温速度0.5℃/分で昇温し、90℃で2時間保持した。次いで、昇温速度0.17℃/分で昇温し、110℃で4時間保持し硬化させ、繊維強化複合材料を得た。
[繊維強化複合材料の評価]
<0°圧縮特性の評価>
繊維方向が揃っている繊維強化複合材料の繊維が揃っている方向を0°とした場合の0°方向の圧縮特性を評価する場合は以下の様に行なった。
プリプレグを2プライ積層として、オートクレーブ硬化または真空バッグ硬化により得られた繊維強化複合材料から幅12.7mm、長さ80mm厚み1mmの試験片を6個作製した。試験片の長さ方向が繊維の0°方向である。得られた試験片について、SACMA SRM 1Rに準拠し、100kNロードセルを備えたINSTRON 5882測
定機を用い、温度23℃、湿度50%RHの環境下、クロスヘッドスピード1.27mm/minの条件で、圧縮強度および圧縮弾性率を測定し、測定値をVf(繊維体積含有率)56%に換算した。6個の試験片について同様に測定し、平均値を求めた。なお、測定は、同じ板から切り出したタブを各試験片に接着して行った。
<0°曲げ特性の評価>
繊維方向が揃っている繊維強化複合材料の繊維が揃っている方向を0°とした場合の0°方向の曲げ特性を評価する場合は以下の様に行なった。プリプレグを4プライ積層としてオートクレーブ硬化または真空バッグ硬化により得られた繊維強化複合材料から、長さ120mm、幅12.7mm、厚み2mmの試験片を6個作製した。試験片の長さ方向が繊維の0°方向である。得られた試験片について、ASTM D790に準拠し、5kN
ロードセルを備えたINSTRON 4465測定機を用い、温度23℃、湿度50%R
Hの環境下、圧子直径5.0mm、サポート直径3.2mm、L/D=40の条件で、曲げ強度、曲げ弾性率、および曲げ破断歪を測定した。なお、曲げ強度および曲げ弾性率については、測定値をVf56%に換算した。6個の試験片について同様に測定し、平均値を求めた。
<90°曲げ特性の評価>
繊維方向が揃っている繊維強化複合材料の繊維が揃っている方向を0°とした場合の90°方向の曲げ特性を評価する場合は以下の様に行った。プリプレグを、繊維方向を揃えて4プライ積層とし、オートクレーブ硬化または真空バッグ硬化により得られた繊維強化複合材料から、幅25.4mm、長さ60mm、厚み2mmの試験片を6個作製した。試験片の長さ方向が繊維の90°方向である。
得られた試験片について、ASTM D790に準拠し、500Nロードセルを備えた
INSTRON 4465測定機を用い、温度23℃、湿度50%RHの環境下、圧子直
径=5.0mm、サポート直径=3.2mm、L/D=16の条件で、曲げ強度、曲げ弾性率、および曲げ破断歪を測定した。6個の試験片について同様に測定し、平均値を求めた。
<ILSS特性の評価>
プリプレグを4プライ積層とし、オートクレーブ硬化または真空バッグ硬化により得られた繊維強化複合材料から、幅6.3mm、長さ20mm、厚み2.6mmの試験片を6個作製した。繊維方向が揃っている繊維強化複合材料の繊維が揃っている方向を繊維の0°方向として、試験片の長さ方向が繊維の0°方向である。
得られた試験片について、ASTM D 2344に準拠し、5kNロードセルを備えたINSTRON 4465測定機を用い、温度23℃、湿度50%RHの環境下、クロス
ヘッドスピード1.27mm/分、圧子直径3.2mm、サポート直径1.6mm、L/D=4の条件で、ILSS強度(層間剪断強度)を測定した。
<G’−Tgの評価>
プリプレグを4プライ積層とし、オートクレーブ硬化または真空バッグ硬化により得られた繊維強化複合材料から、幅12.7mm、長さ55mm、厚み2mmの試験片を1個作製した。繊維方向が揃っている繊維強化複合材料の繊維が揃っている方向を繊維の0°方向として、試験片の長さ方向が繊維の0°方向である。
得られた試験片について、ASTM D4065に準拠し、測定機ARES−RDA(TAインスツルメント社製)を用い、昇温速度5℃/分 、周波数1Hz、 歪0.05
%、測定温度範囲を室温から180℃の条件で、G’−Tgを測定した。
(実施例1)
マトリックス樹脂として以下の樹脂組成物1を用いた。すなわち、jER828を72重量部、jER1002を10重量部、AER4152を30重量部、均一に混合した樹脂にビニレックEを3重量部溶解させ、DICY15を6重量部、DCMU99を4重量部均一に分散させたものをマトリックス樹脂とした。このマトリックス樹脂の30℃での粘度は2000Pa・sであった。
強化繊維として炭素繊維1を用い、300g/mになるように一方向に引き揃えた炭素繊維糸条群を用意し、補助糸条1を炭素繊維糸条と直行する向きで該糸条群の両面に対して交互に25mm間隔で配置し、炭素繊維糸条と補助糸条からなるシート表面を80℃に加熱して強化繊維ファブリック1を得た。該強化繊維ファブリック1に樹脂組成物1のマトリックス樹脂を含浸させてプリプレグ1を得た。プリプレグ1のタック性やドレープ性の取扱性は良好で、含浸状態もよいものであった。
(比較例1)
強化繊維として炭素繊維糸条2を用いる以外は実施例1と同様にしてプリプレグ2を調製した。プリプレグ2のタック性やドレープ性の取扱性は良好であったが、未含浸部が散見された。

Claims (9)

  1. 単繊維の繊度が1.2〜2.4dtexである炭素繊維からなるトウ状の炭素繊維糸条が、複数本で互いに並列に配列されてなるシートと、前記シートの片面或いは両面に前記炭素繊維糸条と異なる角度をもって交錯することなく前記炭素繊維糸条の表面に配置した補助糸からなり、前記補助糸が前記炭素繊維糸条に融着している強化繊維基材に熱硬化性マトリックス樹脂組成物を含浸してなり、前記マトリックス樹脂組成物がエポキシ樹脂組成物であり、30℃における粘度が50Pa・s以上である、プリプレグ。
  2. 前記炭素繊維糸条の両面に対して交互に補助糸が配置されている請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 前記炭素繊維単繊維の繊維軸に垂直な断面の形状の真円度が0.7以上、0.9以下あることを特徴とする請求項1または2に記載のプリプレグ。
  4. 前記炭素繊維単繊維の繊維軸に垂直な断面の形状が直径Diが8μm以上、20μm以下あることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  5. 前記炭素繊維糸条の目付けに対して補助糸の目付けが小さい、請求項1から4のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  6. 前記エポキシ樹脂組成物30℃における粘度が2000Pa・s以上である、請求項1から5のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  7. 前記エポキシ樹脂組成物30℃における粘度が500000Pa・s以下である、請求項1から6のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  8. 前記補助糸が前記炭素繊維糸条と直行する向きに配置されている、請求項1から7のいずれか1項に記載のプリプレグ。
  9. 前記炭素繊維糸条の目付けが250g/m以上である、請求項1からのいずれか1項に記載のプリプレグ。
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