JPWO2014189060A1 - ガスバリア性フィルムおよびこれを用いた電子デバイス - Google Patents

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Abstract

本発明は、湿熱条件下での耐久性に優れ、かつ耐屈曲性に優れたガスバリア性フィルムおよびこれを用いた電子デバイスを提供することを目的とする。本発明は、基材上に、(A)無機化合物を含む第一のガスバリア層、(B)塗布法により形成され、ケイ素、チタン、およびアルミニウムの少なくとも1種と、酸素原子と、炭素原子と、を含有する中間層、ならびに(C)ポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜に、エネルギーを印加して形成され、ケイ素、酸素原子、および窒素原子を含有し、厚さが80nm以上であり、SiOxNy(ただし、0.55<x<2.0、0.25<y<0.66)で表される組成範囲を満たす厚さ方向に連続した領域を30nm以上有する第二のガスバリア層、をこの順に含む、ガスバリア性フィルムならびにこれを用いた電子デバイスである。

Description

本発明は、ガスバリア性フィルムおよびこれを用いた電子デバイスに関する。
従来、プラスチック基板やフィルムの表面に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属酸化物の薄膜を含む複数の層を積層して形成したガスバリア性フィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、例えば、食品や工業用品および医薬品等の変質を防止するための包装用途に広く用いられている。
包装用途以外にも、フレキシブル性を有する太陽電池素子、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、液晶表示素子等のフレキシブル電子デバイスへの展開が要望され、多くの検討がなされている。しかし、これらフレキシブル電子デバイスにおいては、ガラス基材レベルの非常に高いガスバリア性や耐久性が要求されるため、現状では十分な性能を有するガスバリア性フィルムは未だ得られていないのが現状である。
このようなガスバリア性フィルムを形成する方法としては、テトラエトキシシラン(TEOS)に代表される有機ケイ素化合物を用いて、減圧下の酸素プラズマで酸化しながら基板上に成膜する化学堆積法(プラズマCVD法:Chemical Vapor Deposition)や半導体レーザーを用いて金属Siを蒸発させ酸素の存在下で基板上に堆積する物理堆積法(真空蒸着法やスパッタ法)といった気相法が知られている。
これらの気相法による無機成膜方法は、正確な組成の薄膜を基板上に形成できるため、酸化ケイ素や窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素等の無機膜の形成に好ましく適用されてきた。
特に、窒化ケイ素膜はガスバリア性が良好であることが知られているが、透明性に劣るため、実用化にあたっては、酸化窒化ケイ素膜としてガスバリア性と透明性との両立の検討が進められており、好ましい組成範囲についての検討も多くなされてきている。
また、無機前駆体化合物の溶液を塗布し、乾燥して形成した塗布層を、熱や光によって改質することでガスバリア性を向上させる検討がなされており、特に、無機前駆体化合物としてポリシラザンを用いることで、高度なガスバリア性を発現させようとする検討もなされている。
国際公開第2013/002026号には、SiとOとNとを含有する酸化窒化ケイ素を含むガスバリア層が、厚さ方向に少なくとも2種の組成範囲を有する領域を有し、基材に近い側に上記(A)の組成範囲を有するSiO領域が連続して20nm以上の厚さで存在し、基材から遠い側に上記(B)の組成範囲を有するSiO領域が連続して50nm以上の厚さで存在するガスバリア性フィルムが開示されている。
しかしながら、国際公開第2013/002026号に記載のガスバリア性フィルムは、湿熱環境下において、200時間程度の耐久性は有するものの、さらに長い時間湿熱環境下に保存した場合、ガスバリア性能が低下するという現象が見られた。また、屈曲操作によるバリア層(ガスバリア層)のクラックや層間剥離が生じるという現象も見られた。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、耐久性、特に湿熱環境下での耐久性に優れ、かつ耐屈曲性に優れたガスバリア性フィルムを提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、第一のガスバリア層と特定組成の領域の厚さが30nm以上である第二のガスバリア層との間に、塗布法により形成される中間層を有するガスバリア性フィルムが、上記課題を解決することを見出した。上記知見に基づいて、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、基材上に、(A)無機化合物を含む第一のガスバリア層、(B)塗布法により形成され、ケイ素、チタン、およびアルミニウムの少なくとも1種と、酸素原子と、炭素原子と、を含有する中間層、ならびに(C)ポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜に、エネルギーを印加して形成され、ケイ素、酸素原子、および窒素原子を含有し、厚さが80nm以上であり、SiO(ただし、0.55<x<2.0、0.25<y<0.66)で表される組成範囲を満たす厚さ方向に連続した領域を30nm以上有する第二のガスバリア層、をこの順に含む、ガスバリア性フィルムである。
本発明に係る第一のガスバリア層を製造するために好適に利用することが可能な成膜装置の一例を示す模式図である。図1中、Sは成膜空間であり、1は基材であり、1’、1’’は成膜された基材であり、10は送り出しロールであり、11、12、13、14は搬送ロールであり、15は第1成膜ロールであり、16は第2成膜ロールであり、17は巻取りロールであり、18はガス供給管であり、19はプラズマ発生用電源であり、20、21は磁場発生装置であり、30は真空チャンバであり、40は真空ポンプであり、41は制御部である。
本発明は、基材上に、(A)無機化合物を含む第一のガスバリア層、(B)塗布法により形成され、ケイ素、チタン、およびアルミニウムの少なくとも1種と、酸素原子と、炭素原子と、を含有する中間層、ならびに(C)ポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜に、エネルギーを印加して形成され、ケイ素、酸素原子、および窒素原子を含有し、厚さが80nm以上であり、SiO(ただし、0.55<x<2.0、0.25<y<0.66)で表される組成範囲を満たす厚さ方向に連続した領域を30nm以上有する第二のガスバリア層、をこの順に含む、ガスバリア性フィルムである。このような構成を有するガスバリア性フィルムは、耐久性、特に湿熱条件下での耐久性に優れたガスバリア性フィルムとなる。さらに、屈曲操作によるガスバリア層のクラックや層間剥離が生じにくい、耐屈曲性に優れたガスバリア性フィルムとなる。
なぜ、本発明のガスバリア性フィルムにおいて上記のような効果が得られるのか、詳細は不明であるが、以下のようなメカニズムであると考えられる。
すなわち、国際公開第2013/002026号に記載されているようなガスバリア層を複数層積層したガスバリア性フィルムの場合、得られるガスバリア性フィルムは柔軟性に欠け、クラックが発生した際にガスバリア層全体に伝播する場合がある。このようにして生じるガスバリア層を貫通するクラックは水蒸気の通り道となり、ガスバリア性が低下し、湿熱条件下での耐久性が不十分となる。また、このクラックは、有機EL素子における、いわゆるダークスポット(DS)の原因となる。
これに対し、本発明のガスバリア性フィルムが備える中間層は、いわば有機無機ハイブリッド層であり、適度な柔軟性を有する。よって、このような中間層をガスバリア層間に配置することで、クラックが発生した場合でも、クラックのガスバリア層全体への伝播を抑制する。これにより、ガスバリア層を貫通するクラックが形成され難くなり、ガスバリア性が改善され、特に湿熱条件下での耐久性が向上する。よって、本発明のガスバリア性フィルムを有機EL素子に用いた場合、ダークスポット(DS)の発生を抑制することができる。さらに該中間層を設けることにより、層間剥離が生じにくく、耐屈曲性に優れたガスバリア性フィルムとなる。
なお、上記メカニズムは推測によるものであり、本発明は上記メカニズムに何ら拘泥されるものではない。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で測定する。
[基材]
本発明のガスバリア性フィルムに用いられる基材としては、例えば、シリコン等の金属基板、ガラス基板、セラミックス基板、プラスチックフィルム等が挙げられるが、好ましくはプラスチックフィルムが用いられる。用いられるプラスチックフィルムは、ガスバリア層、ハードコート層等を保持できるフィルムであれば材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。前記プラスチックフィルムとしては、具体的には、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
本発明に係るガスバリア性フィルムを有機EL素子等の電子デバイスの基板として使用する場合は、前記基材は耐熱性を有する素材からなることが好ましい。具体的には、線膨張係数が15ppm/K以上100ppm/K以下で、かつガラス転移温度(Tg)が100℃以上300℃以下の樹脂基材が使用される。
本発明に係るガスバリア性フィルムは、有機EL素子等の電子デバイスとして利用されることから、プラスチックフィルムは透明であることが好ましい。すなわち、光線透過率が通常80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。光線透過率は、JIS K7105:1981に記載された方法、すなわち積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率および散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。
本発明に係るガスバリア性フィルムに用いられるプラスチックフィルムの厚みは、用途によって適宜選択されるため特に制限がないが、典型的には1〜800μmであり、好ましくは10〜200μmである。これらのプラスチックフィルムは、透明導電層、プライマー層等の機能層を有していてもよい。機能層については、上述したもののほか、特開2006−289627号公報の段落番号「0036」〜「0038」に記載されているものを好ましく採用できる。
基材は、表面の平滑性が高いものが好ましい。表面の平滑性としては、平均表面粗さ(Ra)が2nm以下であるものが好ましい。下限は特にないが、実用上、0.01nm以上である。必要に応じて、基材の両面、少なくともガスバリア層を設ける側を研摩し、平滑性を向上させておいてもよい。
また、上記に挙げた樹脂等を用いた基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
基材の少なくとも本発明に係るガスバリア層を設ける側には、密着性向上のための公知の種々の処理、例えばコロナ放電処理、火炎処理、酸化処理、またはプラズマ処理等を行うことが好ましく、必要に応じて上記処理を組み合わせて行うことがより好ましい。
[種々の機能を有する層]
本発明のガスバリア性フィルムにおいては、種々の機能を有する層を設けることができる。
(アンカーコート層)
本発明に係るガスバリア層(第一のガスバリア層、第二のガスバリア層)を形成する側の基材の表面には、ガスバリア層との密着性の向上を目的として、アンカーコート層を形成してもよい。
アンカーコート層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、およびアルキルチタネート等を単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
これらのアンカーコート剤には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記のアンカーコート剤は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により支持体上にコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去することによりアンカーコーティングすることができる。上記のアンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5.0g/m(乾燥状態)程度が好ましい。
また、アンカーコート層は、物理蒸着法または化学蒸着法といった気相法により形成することもできる。例えば、特開2008−142941号公報に記載のように、接着性等を改善する目的で酸化ケイ素を主体とした無機膜を形成することもできる。あるいは、特開2004−314626号公報に記載されているようなアンカーコート層を形成することで、その上に気相法により無機薄膜を形成する際に、基材側から発生するガスをある程度遮断して、無機薄膜の組成を制御するといった目的でアンカーコート層を形成することもできる。
また、アンカーコート層の厚さは、特に制限されないが、0.5〜10μm程度が好ましい。
(平滑層)
本発明のガスバリア性フィルムにおいては、基材と第一のガスバリア層との間に、平滑層を有してもよい。本発明に用いられる平滑層は、突起等が存在する透明樹脂フィルム支持体の粗面を平坦化し、あるいは、透明樹脂フィルム支持体に存在する突起により透明無機化合物層に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化するために設けられる。このような平滑層は、基本的には感光性材料、または、熱硬化性材料を硬化させて作製される。
平滑層の感光性材料としては、例えば、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物とを含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。具体的には、JSR株式会社製のUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR(登録商標)シリーズを用いることができる。また、上記のような樹脂組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している感光性材料であれば特に制限はない。
熱硬化性材料として具体的には、クラリアント社製のトゥットプロムシリーズ(有機ポリシラザン)、セラミックコート株式会社製のSP COAT耐熱クリアー塗料、株式会社アデカ製のナノハイブリッドシリコーン、DIC株式会社製のユニディック(登録商標)V−8000シリーズ、EPICLON(登録商標) EXA−4710(超高耐熱性エポキシ樹脂)、信越化学工業株式会社製の各種シリコン樹脂、日東紡株式会社製の無機・有機ナノコンポジット材料SSGコート、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。この中でも特に耐熱性を有するエポキシ樹脂ベースの材料であることが好ましい。
平滑層の形成方法は、特に制限はないが、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法等のウエットコーティング法、あるいは、蒸着法等のドライコーティング法により形成することが好ましい。
平滑層の形成では、上述の感光性材料に、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を加えることができる。また、平滑層の積層位置に関係なく、いずれの平滑層においても、成膜性向上および膜のピンホール発生防止等のために適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。
平滑層の厚さとしては、フィルムの耐熱性を向上させ、フィルムの光学特性のバランス調整を容易にする観点から、1〜10μmの範囲が好ましく、2μm〜7μmの範囲がより好ましい。
平滑層の平滑性は、JIS B 0601:2001で規定される表面粗さで表現される値で、十点平均粗さRzが、10nm以上30nm以下であることが好ましい。この範囲であれば、ガスバリア層を塗布法で形成する際、ワイヤーバー法、ワイヤレスバー法等の平滑層表面に塗工手段が接触する塗布方法であっても塗布性が損なわれることが少なく、また、塗布後の凹凸を平滑化することも容易である。
(ブリードアウト防止層)
本発明のガスバリア性フィルムは、上記平滑層を設けた面とは反対側の基材面にブリードアウト防止層を有してもよい。
ブリードアウト防止層は、平滑層を有するフィルムを加熱した際に、平滑層を有するフィルム中から未反応のオリゴマー等が表面へ移行して、接触する面を汚染してしまう現象を抑制する目的で、平滑層を有する基材の反対面に設けられる。ブリードアウト防止層は、この機能を有していれば基本的に平滑層と同じ構成をとっても構わない。
以上のようなブリードアウト防止層は、ハードコート剤、マット剤、および必要に応じて他の成分を配合して、適宜必要に応じて用いる希釈溶剤によって塗布液として調製し、当該塗布液を支持体フィルム表面に従来公知の塗布方法によって塗布した後、電離放射線を照射して硬化させることにより形成することができる。
なお、電離放射線を照射する方法としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる好ましくは100〜400nm、より好ましくは200〜400nmの波長領域の紫外線を照射する、または走査型やカーテン型の電子線加速器から発せられる100nm以下の波長領域の電子線を照射することにより行うことができる。
ブリードアウト防止層の厚さとしては、フィルムの耐熱性を向上させ、フィルムの光学特性のバランス調整を容易にし、かつ、ガスバリア性フィルムの片面のみにブリードアウト防止層を設けた場合のカールを防止する観点から、1〜10μmの範囲が好ましく、2〜7μmの範囲がより好ましい。
[(A)第一のガスバリア層]
本発明に係る(A)第一のガスバリア層は、上記基材の上部に形成される層であり、無機化合物を含む層である。
本発明に係る第一のガスバリア層は、無機化合物を含む。第一のガスバリア層に含まれる無機化合物としては、特に限定されないが、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物または金属酸炭化物が挙げられる。中でも、ガスバリア性能の点で、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、CeおよびTaから選ばれる1種以上の金属を含む、酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物または酸炭化物などを好ましく用いることができ、Si、Al、In、Sn、ZnおよびTiから選ばれる金属の酸化物、窒化物または酸窒化物がより好ましく、特にSi、Al、およびTiから選ばれる金属の、酸化物、窒化物または酸窒化物が好ましい。好適な無機化合物として、具体的には、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、またはアルミニウムシリケートなどの複合体が挙げられる。副次的な成分として他の元素を含有してもよい。
第一のガスバリア層に含まれる無機化合物の含有量は特に限定されないが、第一のガスバリア層中、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが特に好ましく、100質量%である(すなわち、第一のガスバリア層は無機化合物からなる)ことが最も好ましい。
第一のガスバリア層の形成方法は、特に制限されないが、物理気相成長法(PVD法)、化学気相成長法(CVD法)などの真空成膜法、または無機化合物、好ましくはケイ素化合物、より好ましくはポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜に対して、エネルギーを印加し形成する方法(以下、単に塗膜形成法とも称する)などが挙げられる。耐屈曲性向上の観点から、第一のガスバリア層は塗膜形成法により形成されることが好ましい。
以下、真空成膜法および塗膜形成法について説明する。
<真空成膜法>
物理気相成長法(Physical Vapor Deposition、PVD法)は、気相中で物質の表面に物理的手法により、目的とする物質、例えば、炭素膜等の薄膜を堆積する方法であり、例えば、スパッタ法(DCスパッタ法、RFスパッタ法、イオンビームスパッタ法、およびマグネトロンスパッタ法等)、真空蒸着法、イオンプレーティング法などが挙げられる。
スパッタ法は、真空チャンバ内にターゲットを設置し、高電圧をかけてイオン化した希ガス元素(通常はアルゴン)をターゲットに衝突させて、ターゲット表面の原子をはじき出し、基材に付着させる方法である。この際、真空チャンバ内に窒素ガスや酸素ガスを流すことにより、アルゴンガスによってターゲットからはじき出された元素と、窒素や酸素とを反応させて無機層を形成する、反応性スパッタ法を用いてもよい。
化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition、CVD法)は、基材上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基材表面または気相での化学反応により膜を堆積する方法である。また、化学反応を活性化する目的で、プラズマなどを発生させる方法などがあり、熱CVD法、触媒化学気相成長法、光CVD法、真空プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法など公知のCVD方式等が挙げられる。特に限定されるものではないが、製膜速度や処理面積の観点から、真空プラズマCVD法または大気圧プラズマCVD法等のプラズマCVD法を適用することが好ましい。
例えば、ケイ素化合物を原料化合物として用い、分解ガスに酸素を用いれば、ケイ素酸化物が生成する。これはプラズマ空間内では非常に活性な荷電粒子・活性ラジカルが高密度で存在するため、プラズマ空間内では多段階の化学反応が非常に高速に促進され、プラズマ空間内に存在する元素は熱力学的に安定な化合物へと非常な短時間で変換されるためである。
なお、以下では、成膜装置として、プラズマCVD法によって薄膜を形成する、対向ロール型のロール・トゥ・ロール真空成膜装置を使用して、第一のガスバリア層を製造する場合を例示して説明する。
図1は、成膜装置の一例を示す概略構成図である。
図1に示すとおり、成膜装置100は、送り出しロール10と、搬送ロール11〜14と、第1および第2成膜ロール15、16と、巻取りロール17と、ガス供給管18と、プラズマ発生用電源19と、磁場発生装置20、21と、真空チャンバ30と、真空ポンプ40と、制御部41と、を有する。
送り出しロール10、搬送ロール11〜14、第1および第2成膜ロール15、16、および巻取りロール17は、真空チャンバ30に収容されている。
送り出しロール10は、予め巻き取られた状態で設置されている基材1を搬送ロール11に向けて送り出す。送り出しロール10は、紙面に対して垂直方向に延在した円筒状のロールであり、図示しない駆動モーターにより反時計回りに回転(図1の矢印を参照)することにより、送り出しロール10に巻回された基材1を搬送ロール11に向けて送り出す。
搬送ロール11〜14は、送り出しロール10と略平行な回転軸を中心に回転可能に構成された円筒状のロールである。搬送ロール11は、基材1に適当な張力を付与しつつ、基材1を送り出しロール10から成膜ロール15に搬送するためのロールである。また、搬送ロール12、13は、成膜ロール15で成膜された基材1'に適当な張力を付与しつつ、基材1'を成膜ロール15から成膜ロール16に搬送するためのロールである。さらに、搬送ロール14は、成膜ロール16で成膜された基材1''に適当な張力を付与しつつ、基材1''を成膜ロール16から巻取りロール17に搬送するためのロールである。
第1成膜ロール15および第2成膜ロール16は、送り出しロール10と略平行な回転軸を有し、互いに所定距離だけ離間して対向配置された成膜ロール対である。図1に示す例では、第1成膜ロール15と第2成膜ロール16との離間距離は、点Aと点Bとを結ぶ距離である。第1成膜ロール15および第2成膜ロール16は、導電性材料で形成された放電電極であり、互いに絶縁されている。なお、第1成膜ロール15および第2成膜ロール16の材質や構成は、電極として所望の機能を達成できるように適宜選択することができる。また、第1および第2成膜ロール15、16の内部には、磁場発生装置20および21が各々設置されている。第1成膜ロール15と第2成膜ロール16とには、プラズマ発生用電源19によりプラズマ発生用の高周波電圧が印加される。それにより、第1成膜ロール15と第2成膜ロール16との間の成膜空間Sに電場が形成され、ガス供給管18から供給される成膜ガスの放電プラズマが発生する。
巻取りロール17は、送り出しロール10と略平行な回転軸を有し、基材1''を巻き取り、ロール状にして収容する。巻取りロール17は、図示しない駆動モーターにより反時計回りに回転(図1の矢印を参照)することにより、基材1''を巻き取る。
送り出しロール10から送り出された基材1は、送り出しロール10と巻き取りロール17との間で、搬送ロール11〜14、第1成膜ロール15、および第2成膜ロール16に巻き掛けられることにより適当な張力を保ちつつ、これらの各ロールの回転により搬送される。なお、基材1、1'、1''の搬送方向は矢印で示されている。基材1、1'、1''の搬送速度(たとえば、図1の点Cにおける搬送速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバ30内の圧力などに応じて適宜調整されうる。搬送速度は、0.1〜100m/minであることが好ましく、0.5〜20m/minであることがより好ましい。搬送速度は、送り出しロール10および巻取りロール17の駆動モーターの回転速度を制御部41によって制御することにより調整される。
また、この成膜装置を用いる場合、基材1、1'、1''の搬送方向を図1の矢印で示す方向(以下、順方向と称する)とは反対方向(以下、逆方向と称する)に設定してガスバリア性フィルムの成膜工程を実行することもできる。具体的には、制御部41は、巻取りロール17によって基材1''が巻き取られた状態において、送り出しロール10および巻き取りロール17の駆動モーターの回転方向を上述の場合とは逆方向に回転するように制御する。このように制御すると、巻取りロール17から送り出された基材1''は、送り出しロール10と巻き取りロール17との間で、搬送ロール11〜14、第1成膜ロール15、および第2成膜ロール16に巻き掛けられることにより適当な張力を保ちつつ、これらの各ロールの回転により逆方向に搬送される。
ガス供給管18は、真空チャンバ30内にプラズマCVDの原料ガスなどの成膜ガスを供給する。ガス供給管18は、成膜空間Sの上方に第1成膜ロール15および第2成膜ロール16の回転軸と同じ方向に延在する管状の形状を有しており、複数箇所に設けられた開口部から成膜空間Sに成膜ガスを供給する。
原料ガスには、例えば、ケイ素を含有する有機ケイ素化合物を使用することができる。有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(以下、単に「HMDSO」とも称する)、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ジメチルジシラザン、トリメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、化合物の取り扱い易さや得られるガスバリア性フィルムの高いガスバリア性などの観点から、HMDSOを使用することが望ましい。なお、これらの有機ケイ素化合物は、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。また、原料ガスには、有機ケイ素化合物の他にモノシランが含有されてもよい。
成膜ガスとしては、原料ガスの他に反応ガスが使用されてもよい。反応ガスとしては、原料ガスと反応して酸化物、窒化物などの無機化合物となるガスが選択される。薄膜として酸化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、酸素ガス、オゾンガスを使用することができる。なお、これらの反応ガスは、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
成膜ガスとしては、原料ガスを真空チャンバ30内に供給するために、さらにキャリアガスが使用されてもよい。また、成膜ガスとして、プラズマを発生させるために、さらに放電用ガスが使用されてもよい。キャリアガスおよび放電ガスとしては、例えば、アルゴンなどの希ガス、および水素や窒素が使用される。
磁場発生装置20、21は、第1成膜ロール15と第2成膜ロール16との間の成膜空間Sに磁場を形成する部材であり、第1成膜ロール15および第2成膜ロール16の回転に追随せず、所定位置に格納されている。
真空チャンバ30は、送り出しロール10、搬送ロール11〜14、第1および第2成膜ロール15、16、および巻取りロール17を密封して減圧された状態を維持する。真空チャンバ30内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類などに応じて適宜調整することができる。成膜空間Sの圧力は、0.1〜50Paであることが好ましい。気相反応を抑制する目的により、プラズマCVDを低圧プラズマCVD法とする場合、通常0.1〜100Paである。
真空ポンプ40は、制御部41に通信可能に接続されており、制御部41の指令にしたがって真空チャンバ30内の圧力を適宜調整する。
制御部41は、成膜装置100の各構成要素を制御する。制御部41は、送り出しロール10および巻取りロール17の駆動モーターに接続されており、これらの駆動モーターの回転数を制御することにより、基材1の搬送速度を調整する。また、駆動モーターの回転方向を制御することにより、基材1の搬送方向を変更する。
また、制御部41は、図示しない成膜ガスの供給機構と通信可能に接続されており、成膜ガスの各々の成分ガスの供給量を制御する。
また、制御部41は、プラズマ発生用電源19と通信可能に接続されており、プラズマ発生用電源19の出力電圧および出力周波数を制御する。
さらに、制御部41は、真空ポンプ40に通信可能に接続されており、真空チャンバ30内を所定の減圧雰囲気に維持するように真空ポンプ40を制御する。
制御部41は、CPU(Central Processing Unit)、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)を備える。
上記HDDには、成膜装置100の各構成要素を制御して、ガスバリア性フィルムの製造方法を実現する手順を記述したソフトウェアプログラムが格納されている。そして、成膜装置100の電源が投入されると、上記ソフトウェアプログラムが上記RAMにロードされ上記CPUによって逐次的に実行される。また、上記ROMには、上記CPUが上記ソフトウェアプログラムを実行する際に使用する各種データおよびパラメーターが記憶されている。
上記の成膜装置を用いて第一のガスバリア層を形成する場合は、基材1を順方向および逆方向に搬送して成膜空間Sを往復させることにより、ガスバリア層の成膜工程を複数回繰り返すことが好ましい。その結果、基材1上には、複数の第一のガスバリア層が成膜される。第一のガスバリア層は、ケイ素、酸素、および炭素を含む膜となる。そして、ガスバリア層の膜厚方向におけるガスバリア層の表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子、および炭素原子の合計量に対する炭素の原子比との関係を示す炭素分布曲線が実質的に連続であり、少なくとも1つの極値を有するようになる。この条件を満たすように第一のガスバリア層の組成を決定することにより、十分なガスバリア性を有する第一のガスバリア層を形成することができる。なお、上記成膜装置で得られる第一のガスバリア層の組成とガスバリア性との関係、および炭素分布曲線の詳細等については、周知であるので詳細な説明を省略する。
<塗膜形成法>
本発明に係る第一のガスバリア層は、無機化合物を含有する塗布液、好ましくはケイ素化合物を含有する塗布液を塗布して形成される塗膜に、さらにエネルギーを印加して形成する方法(塗膜形成法)で形成されてもよい。このエネルギーの印加により、第一のガスバリア層はガスバリア性を発現する。以下、無機化合物としてケイ素化合物を例に挙げて塗膜形成法を説明するが、前記無機化合物はケイ素化合物に限定されるものではない。
(ケイ素化合物)
前記ケイ素化合物としては、ケイ素化合物を含有する塗布液の調製が可能であれば特に限定はされない。
具体的には、例えば、パーヒドロポリシラザン、オルガノポリシラザン、シルセスキオキサン、テトラメチルシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、1,1−ジメチル−1−シラシクロブタン、トリメチルビニルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメチルジビニルシラン、ジメチルエトキシエチニルシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、アリールトリメトキシシラン、エトキシジメチルビニルシラン、アリールアミノトリメトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアセトアミド、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリビニルシラン、ジアセトキシメチルビニルシラン、メチルトリアセトキシシラン、アリールオキシジメチルビニルシラン、ジエチルビニルシラン、ブチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、テトラビニルシラン、トリアセトキシビニルシラン、テトラアセトキシシラン、3−トリフルオロアセトキシプロピルトリメトキシシラン、ジアリールジメトキシシラン、ブチルジメトキシビニルシラン、トリメチル−3−ビニルチオプロピルシラン、フェニルトリメチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルイソペンチロキシビニルシラン、2−アリールオキシエチルチオメトキシトリメチルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アリールアミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ジメチルエチキシフェニルシラン、ベンゾイロキシトリメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ジメチルエトキシ−3−グリシドキシプロピルシラン、ジブトキシジメチルシラン、3−ブチルアミノプロピルトリメチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、ビス(ブチルアミノ)ジメチルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、ジアセトキシメチルフェニルシラン、ジメチル−p−トリルビニルシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ジエチルメチルフェニルシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、デシルメチルジメトキシシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、オクチロキシトリメチルシラン、フェニルトリビニルシラン、テトラアリールオキシシラン、ドデシルトリメチルシラン、ジアリールメチルフェニルシラン、ジフェニルメチルビニルシラン、ジフェニルエトキシメチルシラン、ジアセトキシジフェニルシラン、ジベンジルジメチルシラン、ジアリールジフェニルシラン、オクタデシルトリメチルシラン、メチルオクタデシルジメチルシラン、ドコシルメチルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,4−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アセトキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリビニルシクロトリシロキサン、1,3,5−トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラエトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等を挙げることができる。これらケイ素化合物は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
中でも、成膜性、クラック等の欠陥が少ないこと、残留有機物の少なさの点で、パーヒドロポリシラザン、オルガノポリシラザン等のポリシラザン;シルセスキオキサン等のポリシロキサン等が好ましく、ガスバリア性能が高く、屈曲時および高温高湿条件下であってもバリア性能が維持されることから、ポリシラザンがより好ましく、パーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
ポリシラザンとは、ケイ素−窒素結合を有するポリマーであり、Si−N、Si−H、N−H等の結合を有するSiO、Si、および両方の中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。
具体的には、ポリシラザンは、好ましくは下記の構造を有する。
上記一般式(I)において、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R、RおよびRは、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。ここで、アルキル基としては、炭素原子数1〜8の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基が挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などがある。また、アリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が挙げられる。より具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などの非縮合炭化水素基;ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基などの縮合多環炭化水素基が挙げられる。(トリアルコキシシリル)アルキル基としては、炭素原子数1〜8のアルコキシ基で置換されたシリル基を有する炭素原子数1〜8のアルキル基が挙げられる。より具体的には、3−(トリエトキシシリル)プロピル基、3−(トリメトキシシリル)プロピル基などが挙げられる。上記R〜Rに場合によって存在する置換基は、特に制限はないが、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基(−OH)、メルカプト基(−SH)、シアノ基(−CN)、スルホ基(−SOH)、カルボキシル基(−COOH)、ニトロ基(−NO)などがある。なお、場合によって存在する置換基は、置換するR〜Rと同じとなることはない。例えば、R〜Rがアルキル基の場合には、さらにアルキル基で置換されることはない。これらのうち、好ましくは、R、RおよびRは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、ビニル基、3−(トリエトキシシリル)プロピル基または3−(トリメトキシシリルプロピル)基である。
また、上記一般式(I)において、nは、整数であり、一般式(I)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。
上記一般式(I)で表される構造を有する化合物において、好ましい態様の一つは、R、RおよびRのすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザンである。
または、ポリシラザンとしては、下記一般式(II)で表される構造を有する。
上記一般式(II)において、R1’、R2’、R3’、R4’、R5’およびR6’は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R1’、R2’、R3’、R4’、R5’およびR6’は、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。上記における、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(I)の定義と同様であるため、説明を省略する。
また、上記一般式(II)において、n'およびpは、整数であり、一般式(II)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。なお、n'およびpは、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。
上記一般式(II)のポリシラザンのうち、R1’、R3’およびR6’が各々水素原子を表し、R2’、R4’およびR5’が各々メチル基を表す化合物;R1’、R3’およびR6’が各々水素原子を表し、R2’、R4’が各々メチル基を表し、R5’がビニル基を表す化合物;R1’、R3’、R4’およびR6’が各々水素原子を表し、R2’およびR5’が各々メチル基を表す化合物が好ましい。
または、ポリシラザンとしては、下記一般式(III)で表される構造を有する。
上記一般式(III)において、R1”、R2”、R3”、R4”、R5”、R6”、R7”、R8”およびR9”は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R1”、R2”、R3”、R4”、R5”、R6”、R7”、R8”およびR9”は、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。上記における、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(I)の定義と同様であるため、説明を省略する。
また、上記一般式(III)において、n"、p"およびqは、整数であり、一般式(III)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。なお、n”、p”およびqは、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。
上記一般式(III)のポリシラザンのうち、R1”、R3”およびR6”が各々水素原子を表し、R2”、R4”、R5”およびR8”が各々メチル基を表し、R9”が(トリエトキシシリル)プロピル基を表し、R7”がアルキル基または水素原子を表す化合物が好ましい。
一方、そのSiと結合する水素原子部分の一部がアルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンは、メチル基等のアルキル基を有することにより下地である基材との接着性が改善され、かつ硬くてもろいポリシラザンによるセラミック膜に靭性を持たせることができ、より(平均)膜厚を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる利点がある。このため、用途に応じて適宜、これらパーヒドロポリシラザンとオルガノポリシラザンを選択してよく、混合して使用することもできる。
パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6および8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されている。その分子量は数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ポリスチレン換算)で、液体または固体の物質があり、その状態は分子量により異なる。
ポリシラザンは有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのまま第一のガスバリア層形成用塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製の NN120−10、NN120−20、NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL120−20、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
本発明で使用できるポリシラザンの別の例としては、以下に制限されないが、例えば、上記ポリシラザンにケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(特開平5−238827号公報)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(特開平6−122852号公報)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(特開平6−240208号公報)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(特開平6−299118号公報)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(特開平6−306329号公報)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(特開平7−196986号公報)等の低温でセラミック化するポリシラザンが挙げられる。
ポリシラザンを用いる場合、エネルギー印加前の第一のガスバリア層中におけるポリシラザンの含有率としては、第一のガスバリア層の全質量を100質量%としたとき、100質量%でありうる。また、第一のガスバリア層がポリシラザン以外のものを含む場合には、層中におけるポリシラザンの含有率は、10質量%以上99質量%以下であることが好ましく、40質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上95質量%以下であることがさらに好ましい。
(第一のガスバリア層形成用塗布液)
第一のガスバリア層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ケイ素化合物を溶解できるものであれば特に制限されないが、ケイ素化合物と容易に反応してしまう水および反応性基(例えば、ヒドロキシル基、あるいはアミン基等)を含まず、ケイ素化合物に対して不活性の有機溶剤が好ましく、非プロトン性の有機溶剤がより好ましい。具体的には、溶剤としては、非プロトン性溶剤;例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターペン等の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒;塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類:例えば、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、モノ−およびポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ジグライム類)などを挙げることができる。上記溶剤は、ケイ素化合物の溶解度や溶剤の蒸発速度等の目的にあわせて選択され、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
第一のガスバリア層形成用塗布液におけるケイ素化合物の濃度は、特に制限されず、層の膜厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは10〜40質量%である。
第一のガスバリア層形成用塗布液は、改質を促進するために、触媒を含有することが好ましい。本発明に適用可能な触媒としては、塩基性触媒が好ましく、特に、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、N,N,N',N'−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N',N'−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン等のアミン触媒、Ptアセチルアセトナート等のPt化合物、プロピオン酸Pd等のPd化合物、Rhアセチルアセトナート等のRh化合物等の金属触媒、N−複素環式化合物が挙げられる。これらのうち、アミン触媒を用いることが好ましい。この際添加する触媒の濃度としては、ケイ素化合物を基準としたとき、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜7質量%の範囲である。触媒添加量をこの範囲とすることで、反応の急激な進行よる過剰なシラノール形成、および膜密度の低下、膜欠陥の増大などを避けることができる。
第一のガスバリア層形成用塗布液には、必要に応じて下記に挙げる添加剤を用いることができる。例えば、セルロースエーテル類、セルロースエステル類;例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート等、天然樹脂;例えば、ゴム、ロジン樹脂等、合成樹脂;例えば、重合樹脂等、縮合樹脂;例えば、アミノプラスト、特に尿素樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステルもしくは変性ポリエステル、エポキシド、ポリイソシアネートもしくはブロック化ポリイソシアネート、ポリシロキサン等である。
(第一のガスバリア層形成用塗布液を塗布する方法)
第一のガスバリア層形成用塗布液を塗布する方法としては、従来公知の適切な湿式塗布方法が採用され得る。具体例としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、ダイコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。後述する第二のガスバリア層形成用塗布液を塗布する方法についても同様の方法が挙げられる。
塗布厚さは、好ましい厚さや目的に応じて適切に設定され得る。
塗布液を塗布した後は、塗膜を乾燥させることが好ましい。塗膜を乾燥することによって、塗膜中に含有される有機溶媒を除去することができる。この際、塗膜に含有される有機溶媒は、すべてを乾燥させてもよいが、一部残存させていてもよい。一部の有機溶媒を残存させる場合であっても、好適な第一のガスバリア層が得られうる。なお、残存する溶媒は後に除去されうる。
塗膜の乾燥温度は、適用する基材によっても異なるが、50〜200℃であることが好ましい。例えば、ガラス転位温度(Tg)が70℃のポリエチレンテレフタレート基材を基材として用いる場合には、乾燥温度は、熱による基材の変形等を考慮して150℃以下に設定することが好ましい。上記温度は、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することによって設定されうる。乾燥時間は短時間に設定することが好ましく、例えば、乾燥温度が150℃である場合には30分以内に設定することが好ましい。また、乾燥雰囲気は、大気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、真空雰囲気下、酸素濃度をコントロールした減圧雰囲気下等のいずれの条件であってもよい。
第一のガスバリア層形成用塗布液を塗布して得られた塗膜は、エネルギーの印加前またはエネルギーの印加中に水分を除去する工程を含んでいてもよい。水分を除去する方法としては、低湿度環境を維持して除湿する形態が好ましい。低湿度環境における湿度は温度により変化するので、温度と湿度の関係は露点温度の規定により好ましい形態が示される。好ましい露点温度は4℃以下(温度25℃/湿度25%)で、より好ましい露点温度は−5℃(温度25℃/湿度10%)以下であり、維持される時間は第一のガスバリア層の膜厚によって適宜設定することが好ましい。第一のガスバリア層の膜厚が1.0μm以下の条件においては、露点温度は−5℃以下で、維持される時間は1分以上であることが好ましい。なお、露点温度の下限は特に制限されないが、通常、−50℃以上であり、−40℃以上であることが好ましい。改質処理前、あるいは改質処理中に水分を除去することによって、シラノールに転化した第一のガスバリア層の脱水反応を促進する観点から好ましい形態である。
<エネルギーの印加>
続いて、上記のようにして形成された塗膜に対して、エネルギーを印加し、ケイ素化合物の酸化ケイ素または酸窒化ケイ素等への転化反応を行い、第一のガスバリア層がガスバリア性を発現しうる無機薄膜への改質を行う。
ケイ素化合物の酸化ケイ素または酸窒化ケイ素等への転化反応は、公知の方法を適宜選択して適用することができる。改質処理としては、具体的には、プラズマ処理、紫外線照射処理、加熱処理が挙げられる。ただし、加熱処理による改質の場合、ケイ素化合物の置換反応による酸化ケイ素層または酸窒化ケイ素層の形成には450℃以上の高温が必要であるため、プラスチック等のフレキシブル基板においては、適応が難しい。このため、熱処理は他の改質処理と組み合わせて行うことが好ましい。
したがって、改質処理としては、プラスチック基板への適応という観点から、より低温で、転化反応が可能なプラズマ処理や紫外線照射処理による転化反応が好ましい。以下、好ましい改質処理方法であるプラズマ処理、紫外線照射処理について説明する。
(プラズマ処理)
本発明において、改質処理として用いることのできるプラズマ処理は、公知の方法を用いることができるが、好ましくは大気圧プラズマ処理等をあげることが出来る。大気圧近傍でのプラズマCVD処理を行う大気圧プラズマCVD法は、真空下のプラズマCVD法に比べ、減圧にする必要がなく生産性が高いだけでなく、プラズマ密度が高密度であるために成膜速度が速く、さらには通常のCVD法の条件に比較して、大気圧下という高圧力条件では、ガスの平均自由工程が非常に短いため、極めて均質の膜が得られる。
大気圧プラズマ処理の場合は、放電ガスとしては窒素ガスまたは長周期型周期表の第18族原子を含むガス、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられ、特に窒素がコストも安く好ましい。
(紫外線照射処理)
改質処理の方法の1つとして、紫外線照射による処理が好ましい。紫外線(紫外光と同義)によって生成されるオゾンや活性酸素原子は高い酸化能力を有しており、低温で高い緻密性と絶縁性を有する酸化ケイ素膜または酸窒化ケイ素膜を形成することが可能である。
この紫外線照射により、基材が加熱され、セラミックス化(シリカ転化)に寄与するOとHOや、紫外線吸収剤、ポリシラザン自身が励起、活性化されるため、ポリシラザンが励起し、ポリシラザンのセラミックス化が促進され、また得られる第一のガスバリア層が一層緻密になる。紫外線照射は、塗膜形成後であればいずれの時点で実施しても有効である。
紫外線照射処理においては、常用されているいずれの紫外線発生装置を使用することも可能である。
なお、本発明でいう紫外線とは、一般には、10〜400nmの波長を有する電磁波をいうが、後述する真空紫外線(10〜200nm)処理以外の紫外線照射処理の場合は、好ましくは210〜375nmの紫外線を用いる。
紫外線の照射は、照射される第一のガスバリア層を担持している基材がダメージを受けない範囲で、照射強度や照射時間を設定することが好ましい。
基材としてプラスチックフィルムを用いた場合を例にとると、例えば、2kW(80W/cm×25cm)のランプを用い、基材表面の強度が20〜300mW/cm、好ましくは50〜200mW/cmになるように基材−紫外線照射ランプ間の距離を設定し、0.1秒〜10分間の照射を行うことができる。
一般に、紫外線照射処理時の基材温度が150℃以上になると、プラスチックフィルム等の場合には、基材が変形したり、その強度が劣化したりする等、基材の特性が損なわれることになる。しかしながら、ポリイミド等の耐熱性の高いフィルムの場合には、より高温での改質処理が可能である。したがって、この紫外線照射時の基材温度としては、一般的な上限はなく、基材の種類によって当業者が適宜設定することができる。また、紫外線照射雰囲気に特に制限はなく、空気中で実施すればよい。
このような紫外線の発生手段としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、エキシマランプ(172nm、222nm、308nmの単一波長、例えば、ウシオ電機株式会社製、株式会社エム・ディ・コム製など)、UV光レーザー等が挙げられるが、特に限定されない。また、発生させた紫外線を第一のガスバリア層に照射する際には、効率向上と均一な照射とを達成する観点から、発生源からの紫外線を反射板で反射させてから第一のガスバリア層に当てることが好ましい。
紫外線照射は、バッチ処理にも連続処理にも適合可能であり、使用する基材の形状によって適宜選定することができる。例えば、バッチ処理の場合には、第一のガスバリア層を表面に有する積層体を上記のような紫外線発生源を具備した紫外線焼成炉で処理することができる。紫外線焼成炉自体は一般に知られており、例えば、アイグラフィクス株式会社製の紫外線焼成炉を使用することができる。また、第一のガスバリア層を表面に有する積層体が長尺フィルム状である場合には、これを搬送させながら上記のような紫外線発生源を具備した乾燥ゾーンで連続的に紫外線を照射することによりセラミックス化することができる。紫外線照射に要する時間は、使用する基材や第一のガスバリア層の組成、濃度にもよるが、一般に0.1秒〜10分であり、好ましくは0.5秒〜3分である。
(真空紫外線照射処理:エキシマ照射処理)
本発明において、最も好ましい改質処理方法は、真空紫外線照射による処理(エキシマ照射処理)である。真空紫外線照射による処理は、ポリシラザン化合物内の原子間結合力より大きい100〜200nmの光エネルギーを用い、好ましくは100〜180nmの波長の光エネルギーを用い、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみの作用により、直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることで、比較的低温(約200℃以下)で、酸化ケイ素膜の形成を行う方法である。なお、エキシマ照射処理を行う際は、上述したように熱処理を併用することが好ましく、その際の熱処理条件の詳細は上述したとおりである。
本発明においての放射線源は、100〜180nmの波長の光を発生させるものであればよいが、好適には約172nmに最大放射を有するエキシマラジエータ(例えば、Xeエキシマランプ)、約185nmに輝線を有する低圧水銀蒸気ランプ、ならびに230nm以下の波長成分を有する中圧および高圧水銀蒸気ランプ、および約222nmに最大放射を有するエキシマランプである。
このうち、Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから、発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。
また、波長の短い172nmの光のエネルギーは、有機物の結合を解離させる能力が高いことが知られている。この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーによって、短時間でポリシラザン塗膜の改質を実現できる。
エキシマランプは光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、光による温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域で、すなわち短い波長でエネルギーを照射するため、解射対象物の表面温度の上昇が抑えられる特徴を持っている。このため、熱の影響を受けやすいとされるPETなどのフレシキブルフィルム材料に適している。
紫外線照射時の反応には、酸素が必要であるが、真空紫外線は、酸素による吸収があるため紫外線照射工程での効率が低下しやすいことから、真空紫外線の照射は、可能な限り酸素濃度および水蒸気濃度の低い状態で行うことが好ましい。すなわち、真空紫外線照射時の酸素濃度は、10〜20,000体積ppm(0.001〜2体積%)とすることが好ましく、50〜10,000体積ppm(0.005〜1体積%)とすることがより好ましい。また、転化プロセスの間の水蒸気濃度は、好ましくは1000〜4000体積ppmの範囲である。
真空紫外線照射時に用いられる、照射雰囲気を満たすガスとしては乾燥不活性ガスとすることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスにすることが好ましい。酸素濃度の調整は照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
真空紫外線照射工程において、ポリシラザン塗膜が受ける塗膜面での該真空紫外線の照度は1mW/cm〜10W/cmであると好ましく、30mW/cm〜200mW/cmであることがより好ましく、50mW/cm〜160mW/cmであるとさらに好ましい。この範囲であれば、改質効率が向上し塗膜のアブレーションや基材へのダメージを抑制することができる。
塗膜面における真空紫外線の照射エネルギー量(照射量)は、100mJ/cm〜50J/cmであることが好ましく、200mJ/cm〜20J/cmであることがより好ましく、500mJ/cm〜10J/cmであることがさらに好ましい。この範囲であれば、改質が十分となり、ガスバリア層のクラック発生や、基材の熱変形を防止することができる。
また、用いられる真空紫外光は、CO、COおよびCHの少なくとも一種を含むガスで形成されたプラズマにより発生させてもよい。さらに、CO、COおよびCHの少なくとも一種を含むガス(以下、炭素含有ガスとも称する)は、炭素含有ガスを単独で使用してもよいが、希ガスまたはHを主ガスとして、炭素含有ガスを少量添加することが好ましい。プラズマの生成方式としては容量結合プラズマなどが挙げられる。
該第一のガスバリア層は、単層でもよいし2層以上の積層構造であってもよい。
該第一のガスバリア層が2層以上の積層構造である場合、各第一のガスバリア層は同じ組成であってもよいし異なる組成であってもよい。また、第一のガスバリア層が2層以上の積層構造である場合、第一のガスバリア層は真空成膜法により形成される層のみからなってもよいし、塗膜形成法により形成される層のみからなってもよいし、真空成膜法により形成される層と塗膜形成法により形成される層との組み合わせであってもよい。
第一のガスバリア層の厚さ(2層以上の積層構造である場合はその総厚)は、10〜1000nm程度であることが好ましく、50〜500nmであることがより好ましい。この範囲であれば、ガスバリア性と屈曲時のクラック耐性とのバランスが良好となり好ましい。
[(B)中間層]
本発明に係る中間層は、前記(A)第一のガスバリア層上に塗布法により形成され、ケイ素、チタン、およびアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種と、酸素原子と炭素原子とを含む。
ガスバリア層を複数層積層した場合、得られるガスバリア性フィルムは柔軟性に欠け、クラックが発生した際にガスバリア層全体に伝播する場合がある。このようにして生じるガスバリア層を貫通するクラックは水蒸気の通り道となり、ガスバリア性が低下し、有機EL素子における、いわゆるダークスポット(DS)の原因となる。
一方、本発明に係る中間層は、いわば有機無機ハイブリッド層であり、適度な柔軟性を有する。よって、このような中間層をガスバリア層間に配置することで、クラックが発生した場合でも、クラックのガスバリア層全体への伝播を抑制する。これにより、ガスバリア層を貫通するクラックが形成され難くなり、ガスバリア性が改善され、特に湿熱条件下での耐久性が向上する。よって、本発明のガスバリア性フィルムを有機EL素子用いた場合、ダークスポット(DS)の発生を抑制することができる。さらに該中間層を設けることにより、層間剥離が生じにくく、耐屈曲性に優れたガスバリア性フィルムとなる。
中間層の組成を、MOで表した場合(MはSi、TiおよびAlの少なくとも1種)、aは0.5〜1.9の範囲が好ましく、bは0.1〜10の範囲が好ましい。この範囲であれば、湿熱条件下での耐久性に優れる。
なお、中間膜の組成は、XPS(光電子分光法)分析を用いた方法で測定して求めることができる。詳細な測定方法については、後述の第二のガスバリア層の組成の測定、XPS(光電子分光法)分析と同様であるので、第二のガスバリア層の項で説明する。また、TiおよびAlの検出は、XPS分析の公知の方法により行うことができる。中間膜の組成の制御は、後述の中間層形成用塗布液に添加する化合物の種類や、中間層の厚さ等を制御することにより行うことができる。
中間層の形成方法は、塗布法であれば特に制限されないが、ケイ素化合物、チタン化合物、およびアルミニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(以下、単に添加化合物とも称する)を含む中間層形成用塗布液を調製し、該塗布液を塗布および乾燥して形成する方法が好ましい。中間層の硬化を促進させる観点から、前記の中間層形成用塗布液から得られる塗膜に対してさらにエネルギーを印加して形成する方法がより好ましい。
前記ケイ素化合物の具体的な例としては、例えば、シルセスキオキサン、テトラメチルシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、1,1−ジメチル−1−シラシクロブタン、トリメチルビニルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメチルジビニルシラン、ジメチルエトキシエチニルシラン、ジアセトキシジメチルシラン、アリールトリメトキシシラン、エトキシジメチルビニルシラン、メチルトリビニルシラン、ジアセトキシメチルビニルシラン、メチルトリアセトキシシラン、アリールオキシジメチルビニルシラン、ジエチルビニルシラン、ブチルトリメトキシシラン、テトラビニルシラン、トリアセトキシビニルシラン、テトラアセトキシシラン、3−トリフルオロアセトキシプロピルトリメトキシシラン、ジアリールジメトキシシラン、ブチルジメトキシビニルシラン、トリメチル−3−ビニルチオプロピルシラン、フェニルトリメチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルイソペンチロキシビニルシラン、2−アリールオキシエチルチオメトキシトリメチルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ジメチルエチキシフェニルシラン、ベンゾイロキシトリメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ジメチルエトキシ−3−グリシドキシプロピルシラン、ジブトキシジメチルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、ジアセトキシメチルフェニルシラン、ジメチル−p−トリルビニルシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ジエチルメチルフェニルシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、デシルメチルジメトキシシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、オクチロキシトリメチルシラン、フェニルトリビニルシラン、テトラアリールオキシシラン、ドデシルトリメチルシラン、ジアリールメチルフェニルシラン、ジフェニルメチルビニルシラン、ジフェニルエトキシメチルシラン、ジアセトキシジフェニルシラン、ジベンジルジメチルシラン、ジアリールジフェニルシラン、オクタデシルトリメチルシラン、メチルオクタデシルジメチルシラン、ドコシルメチルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,4−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アセトキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリビニルシクロトリシロキサン、1,3,5−トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラエトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等を挙げることができる。また、オルガノポリシロキサンや、オルガノシロキサンオリゴマーも使用することができる。これらケイ素化合物は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
前記チタン化合物の具体的な例としては、例えば、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラノルマルプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンジイソプロポキシジノルマルブトキシド、チタンジターシャリーブトキシジイソプロポキシド、チタンテトラtert−ブトキシド、チタンテトライソオクチロキシド、チタンテトラステアリルアルコキシド等が挙げられる。これらチタン化合物は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
前記アルミニウム化合物の具体的な例としては、例えば、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリn−プロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリn−ブトキシド、アルミニウムトリsec−ブトキシド、アルミニウムトリtert−ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムエチルアセトアセテートジn−ブチレート、アルミニウムジエチルアセトアセテートモノn−ブチレート、アルミニウムジイソプロピレートモノsec−ブチレート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ビス(エチルアセトアセテート)(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム、アルミニウムアルキルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムオキサイドイソプロポキサイドトリマー、アルミニウムオキサイドオクチレートトリマー等が挙げられる。これらアルミニウム化合物は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
上記添加化合物は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。市販品の具体的な例としては、例えば、AMD(アルミニウムジイソプロピレートモノsec−ブチレート)、ASBD(アルミニウムセカンダリーブチレート)、ALCH(アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート)、ALCH−TR(アルミニウムトリスエチルアセトアセテート)、アルミキレートM(アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレート)、アルミキレートD(アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート)、アルミキレートA(W)(アルミニウムトリスアセチルアセトネート)(以上、川研ファインケミカル株式会社製)、プレンアクト(登録商標)AL−M(アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、味の素ファインケミカル株式会社製)、オルガチックスシリーズ(マツモトファインケミカル株式会社製)、信越化学工業株式会社製の「シリコーンアルコキシオリゴマー」、例えば、KC−89S、KR−500、X−40−9225、X−40−9246、X−40−9250など(以上、メチル/メトキシ型)、KR−217(フェニル/メトキシ型)、KR−9218、KR−213、KR−510、X−40−9227、X−40−9247、KR−401Nなど(以上、メチルフェニル/メトキシ型)、東レ・ダウコーニング株式会社製の3074 Intermediate、3037 Intermediateなどが挙げられる。
また、グラスカHPC7003(JSR株式会社製)などの有機シロキサン(オルガノポリシロキサン)と無機粒子との混合タイプ、SHC900(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)などの有機シロキサン(オルガノポリシロキサン)と有機樹脂との混合タイプ、HC2087(出光テクノファイン株式会社製)などの有機シロキサン(オルガノポリシロキサン)と有機粒子との混合タイプ等の市販のコート剤も好適に用いることができる。特に、有機シロキサンと有機粒子との混合タイプが好ましい。有機シロキサンと有機粒子との混合タイプを用いて形成した中間層は、有機シロキサンから形成されるマトリックスの中に有機粒子がドメイン状に分散している形態となっており、また有機シロキサンと有機粒子との物性(硬度、弾性率等)が互いに異なっている。したがって、ガスバリア性フィルムを屈曲させた場合、第一のガスバリア層と中間層との界面、または中間層と第二のガスバリア層との界面にかかる応力が、有機シロキサンと有機粒子との界面にもかかるようになり、その結果第一のガスバリア層と中間層との界面、または中間層と第二のガスバリア層との界面に係る応力が分散され、層間剥離がより起こりにくくなると考えられる。
中間層形成用塗布液の調製に用いられる溶媒としては、特に制限されず、例えば、非プロトン性溶剤;例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒;塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類:メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類などを挙げることができる。上記溶剤は、単独でもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
中間層形成用塗布液中の添加化合物の含有量は、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5〜30質量%であることがより好ましい。
中間層形成用塗布液を塗布する方法としては、従来公知の適切な湿式塗布方法が採用され得る。具体例としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、ダイコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。中間層形成用塗布液の塗布厚は、下記で示すような好ましい乾燥時の厚さとなるように塗布すればよい。
上記のように、中間層の硬化を促進させる観点から、中間層形成用塗布液を塗布した後、乾燥して塗膜を得、さらにその後塗膜に対してエネルギーを印加することを行うこと(改質処理)が好ましい。改質処理の方法としては、例えば、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられ、好ましくは真空紫外線照射処理である。これら改質処理の具体的な方法や条件は、上記(A)第一のガスバリア層の項で説明した内容と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
ただし、好ましい改質処理である真空紫外線照射処理を例にとり、その好ましい処理条件を示すと、真空紫外線照射時の酸素濃度は、10〜20,000体積ppm(0.001〜2体積%)とすることが好ましく、50〜10,000体積ppm(0.005〜1体積%)とすることがより好ましい。また、塗膜面における真空紫外線の照射エネルギー量(照射量)は、10mJ/cm〜10J/cmであることが好ましく、100mJ/cm〜8J/cmであることがより好ましく、200mJ/cm〜6J/cmであることがさらに好ましい。
該中間層は、単層でもよいし2層以上の積層構造であってもよい。該中間層が2層以上の積層構造である場合、各中間層は同じ組成であってもよいし異なる組成であってもよい。
中間層の厚さ(2層以上の積層構造である場合はその総厚)は、5〜2000nmであることが好ましく、10〜1000nmであることがより好ましく、30〜200nmであることがさらに好ましい。
中間層の厚さが厚い場合、ガスバリア性フィルムを含むデバイス形態での屈曲で、第一のガスバリア層と中間層との間、あるいは中間層と第二のガスバリア層との間で、剥離が生じることがある。中間層は低密度であり、緻密で高密度である第一のガスバリア層または第二のガスバリア層とは弾性率、硬度等の物性が異なる。物性が異なる層を中間に挟んで屈曲による応力が印加された場合、上記のようなデバイス形態では、ガスバリア層と中間層との界面に応力が集中する場合があり、これは、中間層が厚いほどより顕著になると考えられる。この現象は、中間層の厚さを薄くすることにより、より抑制することができる。
[(C)第二のガスバリア層]
本発明に係るガスバリア性フィルムは、前記中間層の上部に、(C)第二のガスバリア層を有する。該第二のガスバリア層は、ポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜に、エネルギーを印加して形成され、ケイ素、酸素原子、および窒素原子を含有し、厚さが80nm以上であり、SiO(ただし、0.55<x<2.0、0.25<y<0.66)で表される組成範囲を満たす厚さ方向に連続した領域(以下、単にSiO領域とも称する)を30nm以上有する。第二のガスバリア層がかような構成を有することにより、湿熱条件下で酸化され難く、高温高湿下でも高い耐久性を有するガスバリア性フィルムとなる。
第二のガスバリア層の形成に用いられるポリシラザンを含有する塗布液(第二のガスバリア層形成用塗布液)に用いられる溶媒の種類およびポリシラザンの種類、ならびに塗布方法および乾燥方法の詳細は、上記の(A)第一のガスバリア層の項で説明した内容と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
第二のガスバリア層におけるエネルギーの印加方法は、特に制限されず、プラズマ処理、紫外線照射処理が挙げられる。このようなエネルギーの印可を行うことで、第二のガスバリア層が高いガスバリア性を発現する無機薄膜となる。改質効率(印加エネルギーに対するガスバリア性向上効果)の観点から、第二のガスバリア層形成におけるエネルギーの印加は、真空紫外線を照射することにより行われることが好ましい。プラズマ処理の条件および紫外線照射処理(真空紫外線照射処理)の条件についての具体的な説明は、上記(A)第一のガスバリア層の項に記載した内容と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
ただし、好ましい処理である真空紫外線照射処理を例にとり、その好ましい処理条件を示すと、真空紫外線照射時の酸素濃度は、10〜50,000体積ppm(0.001〜5体積%)とすることが好ましく、50〜40,000体積ppm(0.005〜4体積%)とすることがより好ましい。また、塗膜面における真空紫外線の照射エネルギー量(照射量)は、100mJ/cm〜50J/cmであることが好ましく、200mJ/cm〜20J/cmであることがより好ましく、500mJ/cm〜10J/cmであることがさらに好ましい。
本発明に係る第二のガスバリア層は、SiO領域を第二のガスバリア層の膜厚方向に連続して30nm以上有する。このような領域を有する第二のガスバリア層を形成する方法として、単層構造の塗膜を、上記したような真空紫外線照射処理やプラズマ処理等により改質処理して形成する方法が挙げられる。
さらに具体的な方法の一つとしては、ポリシラザンを含む塗膜の真空紫外線照射時に、雰囲気の酸素濃度を高めに調整することで、表層側の酸素源の取り込み量を増加させて、上記のSiO領域を形成させる方法が挙げられる。酸素濃度は、加熱温度および真空紫外線照射エネルギー量によって適宜調整すればよいが、1回の真空紫外線照射工程において、10〜500nmのポリシラザン層に対して、0.3〜4体積%の酸素濃度の雰囲気中で、真空紫外線照射することが好ましく、15〜300nmのポリシラザン層に対して、0.5〜3体積%の酸素濃度の雰囲気中で、真空紫外線照射することがより好ましい。上記真空紫外線照射工程は、1回のみ行ってもあるいは2回以上行ってもよい。
SiO領域の厚さを膜厚方向に連続して30nm以上形成することをより容易に行うという観点から、第二のガスバリア層は、塗膜の形成とエネルギーの印加とを複数回繰り返すことにより形成することが好ましい。適宜厚さを設定した塗膜の形成と、適宜条件を選択したエネルギーの印加とを繰り返すことにより、SiO領域の厚さも自由に制御することができる。
この繰り返しの際の真空紫外線照射条件は、加熱温度および真空紫外線照射エネルギー量によって適宜調整すればよいが、1回の真空紫外線照射工程において、0.01〜4体積%の酸素濃度の雰囲気中で、真空紫外線照射することが好ましい。
SiO領域の厚さが30nm以上であれば、湿熱条件下での耐久性が向上する。SiO領域の厚さは、好ましくは40nm以上、より好ましくは50nm以上である。また、SiO領域の厚さの上限としては、真空紫外線照射工程において、良好な改質を行うという観点から、200nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましい。なお、SiO領域が複数ある場合は、「SiO領域の厚さ」は、その最大厚さを有する領域の厚さとする。
SiOで示される組成において、xが0.55を超えれば、湿熱条件下での耐久性が向上する。一方、xが2.0未満であれば、初期のガスバリア性が向上する。yが0.25を超える場合も同様に、初期のガスバリア性が向上する。一方、yが0.66を超えれば、湿熱条件下での耐久性が向上する。SiO領域の組成範囲としては、好ましくは、0.7≦x≦1.8であり、かつ、0.3≦y≦0.6である。
SiO領域の組成と厚さとを本発明の範囲に制御するためには、上述の酸素供給の制御により酸化状態を制御することや、上述のような、形成する塗膜の厚さや改質処理の条件の制御、また塗膜の形成とエネルギーの印加とを複数回繰り返すことなどを、適宜選択し組み合わせればよい。
このような第二のガスバリア層(または中間層)の厚さ方向の組成分布は、下記のようなXPS(光電子分光法)分析を用いた方法で測定して求めることができる。
本発明の第二のガスバリア層のエッチングレートは組成によって異なるため、本発明においては、XPS分析での厚さは、SiO換算のエッチングレートを元にして一旦求めておき、同一試料の断面TEM画像をもとに、積層して形成したガスバリア層の各層間の界面を特定して一層当たりの各ガスバリア層の厚さを求め、これをXPS分析から求めた厚さ方向の組成分布と比較しながら、厚さ方向の組成分布における各ガスバリア層に対応する領域を特定し、それぞれに対応するXPS分析から求めた各ガスバリア層の厚さと、断面TEM画像から求めた各ガスバリア層の厚さが一致するように、XPS分析から求めた各ガスバリア層の厚さに対して一律に係数をかけることで厚さ方向の補正を行っている。
本発明におけるXPS分析は下記の条件で行ったものであるが、装置や測定条件が変わっても本発明の主旨に即した測定方法であれば問題なく適用できるものである。
本発明の主旨に即した測定方法とは、主に厚さ方向の解像度であり、測定点1点あたりのエッチング深さ(下記のスパッタイオンとデプスプロファイルの条件に相当)は1〜15nmであることが好ましく、1〜10nmであることがより好ましい。下記条件においては、測定点1点あたりのエッチング深さ(エッチングレート)はSiO換算で5.12nmに相当する。
また、本発明におけるガスバリア層の表層の組成は、下記条件でガスバリア層表面を1分間スパッタ後に測定して得られるものである。
《XPS分析条件》
・装置:アルバックファイ製QUANTERASXM
・X線源:単色化Al−Kα
・測定領域:Si2p、C1s、N1s、O1s
・スパッタイオン:Ar(2keV)
・デプスプロファイル:1分間スパッタ後、測定を繰り返す
・定量:バックグラウンドをShirley法で求め、得られたピーク面積から相対感度係数法を用いて定量した。データ処理は、アルバックファイ社製のMultiPakを用いた。
第二のガスバリア層の厚さ(2層以上の積層構造である場合はその総厚)は、80nm以上である。厚さが80nm以上であれば、下部にある中間層表面の凹凸の影響を受けにくく、第二のガスバリア層の表面の平滑性が向上する。該厚さは、好ましくは100nm以上、より好ましくは150nm以上である。一方、第二のガスバリア層の厚さの上限は特に制限されないが、屈曲時のクラック発生を抑制する観点から、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下である。
[オーバーコート層]
本発明のガスバリア性フィルムは、第二のガスバリア層上に、さらにオーバーコート層を設けてもよい。オーバーコート層の構成材料、形成方法、膜厚等は、特開2012−116101号公報の段落「0127」〜「0141」に開示される材料、方法等が適宜採用される。
[電子デバイス]
本発明のガスバリア性フィルムは、空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化するデバイスに好ましく用いることができる。すなわち、本発明は、本発明のガスバリア性フィルムを用いた電子デバイスをも提供する。
前記電子デバイスの例としては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)、液晶表示素子(LCD)、薄膜トランジスタ、タッチパネル、電子ペーパー、太陽電池(PV)等の電子デバイスを挙げることができる。本発明の効果がより効率的に得られるという観点から、有機EL素子または太陽電池に好ましく用いられ、有機EL素子に特に好ましく用いられる。
本発明のガスバリア性フィルムは、また、デバイスの膜封止に用いることができる。すなわち、デバイス自体を支持体として、その表面に本発明のガスバリア性フィルムを設ける方法である。ガスバリア性フィルムを設ける前にデバイスを保護層で覆ってもよい。
本発明のガスバリア性フィルムは、デバイスの基板や固体封止法による封止のためのフィルムとしても用いることができる。固体封止法とはデバイスの上に保護層を形成した後、接着剤層、ガスバリア性フィルムを重ねて硬化する方法である。接着剤は特に制限はないが、熱硬化性エポキシ樹脂、光硬化性アクリレート樹脂等が例示される。
以下、具体的な電子デバイスの一例として有機EL素子およびこれを用いた有機ELパネルについて説明する。
以下に有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(1)陽極/発光層/陰極
(2)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(3)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(4)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(5)陽極/陽極バッファー層(正孔注入層)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/陰極
(陽極)
有機EL素子における陽極(透明電極)としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
(陰極)
有機EL素子における陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
(注入層:電子注入層、正孔注入層)
注入層には電子注入層と正孔注入層があり、電子注入層と正孔注入層を必要に応じて設け、陽極と発光層または正孔輸送層の間、および陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させる。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、特開平9−260062号公報、特開平8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、特開平9−17574号公報、特開平10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的には、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
(発光層)
有機EL素子における発光層は、電極(陰極、陽極)または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子および正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
有機EL素子の発光層には、以下に示すドーパント化合物(発光ドーパント)とホスト化合物(発光ホスト)が含有されることが好ましい。これにより、より一層発光効率を高くすることができる。
(発光ドーパント)
発光ドーパントは、大きく分けて蛍光を発光する蛍光性ドーパントとリン光を発光するリン光性ドーパントの2種類がある。
蛍光性ドーパントの代表例としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、または希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
リン光性ドーパントの代表例としては、好ましくは元素の周期表で第8族、第9族、第10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。発光ドーパントは複数種の化合物を混合して用いてもよい。
(発光ホスト)
発光ホスト(単にホストとも言う)とは、2種以上の化合物で構成される発光層中にて混合比(質量)の最も多い化合物のことを意味し、それ以外の化合物については「ドーパント化合物(単に、ドーパントとも言う)」という。例えば、発光層を化合物A、化合物Bという2種で構成し、その混合比がA:B=10:90であれば化合物Aがドーパント化合物であり、化合物Bがホスト化合物である。さらに発光層を化合物A、化合物B、化合物Cの3種から構成し、その混合比がA:B:C=5:10:85であれば、化合物A、化合物Bがドーパント化合物であり、化合物Cがホスト化合物である。
発光ホストとしては構造的には特に制限はないが、代表的にはカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族ボラン誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するもの、またはカルボリン誘導体やジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の少なくとも一つの炭素原子が窒素原子で置換されているものを表す。)等が挙げられる。中でも、カルボリン誘導体、ジアザカルバゾール誘導体等が好ましく用いられる。
そして、発光層は上記化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により成膜して形成することができる。発光層としての膜厚は特に制限はないが、通常は5nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲で選ばれる。この発光層はドーパント化合物やホスト化合物が1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、あるいは同一組成または異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物およびスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する電子輸送材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
電子輸送材料としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。
(有機EL素子の作製方法)
有機EL素子の作製方法について説明する。
ここでは有機EL素子の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製方法について説明する。
まず、ガスバリア性フィルム上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を好ましくは1μm以下、より好ましくは10〜200nmの膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング、プラズマCVD等の方法により形成させ、陽極を作製する。
次に、その上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の有機化合物薄膜を形成させる。この有機化合物薄膜の成膜方法としては、蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法)等があるが、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法が特に好ましい。さらに層毎に異なる成膜法を適用してもよい。成膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10−6〜10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚0.1nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を好ましくは1μm以下、より好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して陽極、正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。また、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた有機EL素子を備える多色の表示装置(有機ELパネル)に、直流電圧を印加する場合には、陽極をプラス、陰極をマイナスの極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。また、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。なお、中間層および第二のガスバリア層の厚さ方向の組成分布は、XPS分析を用いた方法で測定して求めた。その際、前述のような厚さ方向の補正を行った。
(XPS分析条件)
・装置:アルバックファイ製QUANTERASXM
・X線源:単色化Al−Kα
・測定領域:Si2p、C1s、N1s、O1s
・スパッタイオン:Ar(2keV)
・デプスプロファイル:1分間スパッタ後、測定を繰り返す
※SiO換算のエッチングレートで厚さ約5nmに相当
・定量:バックグラウンドをShirley法で求め、得られたピーク面積から相対感度係数法を用いて定量した。データ処理は、アルバックファイ社製のMultiPakを用いた。
(実施例1)
基材として、両面ハードコート付きPETフィルム(厚み:125μm、株式会社きもと製、商品名:KBフィルム(商標)125G1SBF)を用いた。
<第一のガスバリア層(A1)の形成>
パーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NAX120−20)とを、4:1(質量比)の割合で混合し、さらにジブチルエーテルで希釈し、塗布液を調製した。
得られた塗布液を、スピンコーターにて前記基材上に、乾燥膜厚が250nmになるよう塗布し乾燥して、ポリシラザン塗膜を形成した。
次いで、ポリシラザン塗膜に対して、波長172nmのXeエキシマランプを用い、酸素濃度が0.1体積%、および照射エネルギーが6J/cmの条件で、ポリシラザン塗膜に対して真空紫外線照射処理を施して、第一のガスバリア層を形成した。この製造方法で得られた第一のガスバリア層をA1と称する。
<中間層(B2)の形成>
X−40−9225(オルガノポリシロキサン、信越化学工業株式会社製)をイソプロピルアルコールで希釈し、塗布液を調製した。この塗布液を、上記で形成した第一のガスバリア層上に、スピンコーターで乾燥膜厚が300nmとなるような厚さで塗布し乾燥して塗膜を得た。その後、塗膜に対して、波長172nmのXeエキシマランプを用い、酸素濃度が0.1体積%、および照射エネルギーが2J/cmの条件で、真空紫外線照射処理を施して、中間層を形成した。得られた中間層をXPSで分析し、SiO1.50.9の組成であることを確認した。この製造方法で得られた中間層をB2と称する。
<第二のガスバリア層(C3)の製造>
パーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NAX120−20)とを、4:1(質量比)の割合で混合し、さらにジブチルエーテルで希釈し、塗布液を調製した。
得られた塗布液を、スピンコーターにて前記基材上に、乾燥膜厚が250nmになるよう塗布し乾燥して、ポリシラザン塗膜を形成した。
次いで、ポリシラザン塗膜に対して、波長172nmのXeエキシマランプを用い、酸素濃度が0.1体積%、および照射エネルギーが6J/cmの条件で、ポリシラザン塗膜に対して真空紫外線照射処理を施した。その上にさらに、同じ塗布液を用い、スピンコーターにて乾燥膜厚が40nmになるよう塗布し乾燥して、ポリシラザン塗膜を形成し、波長172nmのXeエキシマランプを用い、酸素濃度が0.1体積%、および照射エネルギーが3J/cmの条件で、ポリシラザン塗膜に対して真空紫外線照射処理を施した。
得られたSiO領域(0.55<x<2.0、0.25<y<0.66)は厚さ方向に連続した領域であり、その厚さは、合計で50nmであった。
このようにして、第二のガスバリア層を形成した。この製造方法で得られた第二のガスバリア層をC3と称する。
このようにして、ガスバリア性フィルム(試料No.7)を作製した。
(実施例2)
中間層の厚さを150nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.8)を作製した。
(実施例3)
中間層の厚さを100nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.9)を作製した。
(実施例4)
中間層の厚さを50nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.10)を作製した。
(実施例5)
中間層の厚さを20nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.11)を作製した。
(実施例6)
第二のガスバリア層を下記のようにして形成したこと以外は、実施例3と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.12)を作製した。
<第二のガスバリア層(C4)の形成>
パーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NAX120−20)とを、4:1(質量比)の割合で混合し、さらにジブチルエーテルで希釈し、塗布液を調製した。
得られた塗布液を、スピンコーターにて前記基材上に、乾燥膜厚が150nmになるよう塗布し乾燥して、ポリシラザン塗膜を形成した。
次いで、ポリシラザン塗膜に対して、波長172nmのXeエキシマランプを用い、酸素濃度が0.1体積%、および照射エネルギーが6J/cmの条件で、ポリシラザン塗膜に対して真空紫外線照射処理を施した。その上にさらに、同じ塗布液を用い、スピンコーターにて乾燥膜厚が20nmになるよう塗布し乾燥して、ポリシラザン塗膜を形成し、波長172nmのXeエキシマランプを用い、酸素濃度が0.1体積%、および照射エネルギーが3J/cmの条件で、ポリシラザン塗膜に対して真空紫外線照射処理を施した。
得られたSiO領域(0.55<x<2.0、0.25<y<0.66)は厚さ方向に連続した領域であり、その厚さは、30nmであった。こうして、第二のガスバリア層を形成した。この製造方法で得られた第二のガスバリア層をC4と称する。
(実施例7)
中間層を下記のようにして形成したこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.13)を作製した。
<中間層(B3)の形成>
グラスカHPC7003(JSR株式会社製)をイソプロピルアルコールで希釈し、塗布液を調製した。この塗布液を、第一のガスバリア層上に、スピンコーターで乾燥膜厚が600nmとなるような厚さで塗布し乾燥して塗膜を得た。その後、塗膜に対して、波長172nmのXeエキシマランプを用い、酸素濃度が0.1体積%、および照射エネルギーが2J/cmの条件で、真空紫外線照射処理を施して、中間層を形成した。得られた中間層をXPSで分析し、SiO1.50.7の組成であることを確認した。この製造方法で得られた中間層をB3と称する。
(実施例8)
中間層の厚さを100nmとしたこと以外は、実施例7と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.14)を作製した。
(実施例9)
中間層を下記のようにして形成したこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.15)を作製した。
<中間層(B4)の形成>
SHC900(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)をイソプロピルアルコールで希釈し、塗布液を調製した。この塗布液を、第一のガスバリア層上に、スピンコーターで乾燥膜厚が100nmとなるような厚さで塗布し乾燥して塗膜を得た。その後、塗膜に対して、波長172nmのXeエキシマランプを用い、酸素濃度が0.1体積%、および照射エネルギーが2J/cmの条件で、真空紫外線照射処理を施して、中間層を形成した。得られた中間層をXPSで分析し、SiO0.9の組成であることを確認した。この製造方法で得られた中間層をB4と称する。
(実施例10)
中間層を下記のようにして形成したこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.16)を作製した。
<中間層(B5)の形成>
HC2087(出光テクノファイン株式会社製)をイソプロピルアルコールで希釈し、塗布液を調製した。この塗布液を、第一のガスバリア層上に、スピンコーターで乾燥膜厚が100nmとなるような厚さで塗布し乾燥して塗膜を得た。その後、塗膜に対して、波長172nmのXeエキシマランプを用い、酸素濃度が0.1体積%、および照射エネルギーが2J/cmの条件で、真空紫外線照射処理を施して、中間層を形成した。得られた中間層をXPSで分析し、SiO1.4の組成であることを確認した。この製造方法で得られた中間層をB5と称する。
(実施例11)
第二のガスバリア層を下記のようにして形成したこと以外は、実施例10と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.17)を作製した。
<第二のガスバリア層(C5)の形成>
パーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NAX120−20)とを、4:1(質量比)の割合で混合し、さらにジブチルエーテルで希釈し、塗布液を調製した。
得られた塗布液を、スピンコーターにて前記基材上に、乾燥膜厚が250nmになるよう塗布し乾燥して、ポリシラザン塗膜を形成した。
次いで、ポリシラザン塗膜に対して、波長172nmのXeエキシマランプを用い、酸素濃度が0.1体積%、および照射エネルギーが6J/cmの条件で、ポリシラザン塗膜に対して真空紫外線照射処理を施した。その上に、同じ塗布液を用い、スピンコーターにて乾燥膜厚が40nmになるよう塗布し乾燥して、ポリシラザン塗膜を形成し、波長172nmのXeエキシマランプを用い、酸素濃度が0.1体積%、および照射エネルギーが3J/cmの条件で、ポリシラザン塗膜に対して真空紫外線照射処理を施した。またさらにその上に、同じ塗布液を用い、スピンコーターにて乾燥膜厚が40nmになるよう塗布し乾燥して、ポリシラザン塗膜を形成し、波長172nmのXeエキシマランプを用い、酸素濃度が0.1体積%、および照射エネルギーが3J/cmの条件で、ポリシラザン塗膜に対して真空紫外線照射処理を施した。
得られたSiO領域(0.55<x<2.0、0.25<y<0.66)は、厚さ方向に連続しており、その厚さは、90nmであった。こうして、第二のガスバリア層を形成した。この製造方法で得られた第二のガスバリア層をC5と称する。
(実施例12)
第一のガスバリア層を下記のようにして形成したこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.18)を作製した。
<第一のガスバリア層(A2)の形成>
パーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NAX120−20)とを、4:1(質量比)の割合で混合し、さらにジブチルエーテルで希釈し、塗布液を調製した。
得られた塗布液を、スピンコーターにて前記基材上に、乾燥膜厚が110nmになるよう塗布し乾燥して、ポリシラザン塗膜を形成した。
次いで、ポリシラザン塗膜に対して、波長172nmのXeエキシマランプを用い、酸素濃度が0.1体積%、および照射エネルギーが6J/cmの条件で、ポリシラザン塗膜に対して真空紫外線照射処理を施して、第一のガスバリア層を形成した。この製造方法で得られた第一のガスバリア層をA2と称する。
(実施例13)
第一のガスバリア層を下記のようにして形成したこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.19)を作製した。
<第一のガスバリア層(A4)の形成>
図1に示す成膜装置に1回通すことにより、基材上に第一のガスバリア層を形成した。成膜の条件は、基材の搬送速度を1.0m/min、原料ガス・ヘキサメチルジシロキサンの供給量を50sccm、酸素ガスの供給量を500sccm、真空度を3.0Pa、印加電力を0.8kW、電源の周波数を70kHzとした。これにより、全体の膜厚が150nmである第一のガスバリア層を得た。この製造方法で得られた第一のガスバリア層をA4と称する。
(実施例14)
中間層を下記のようにして形成したこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.20)を作製した。
<中間層(B6)の形成>
ALCH(アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、川研ファインケミカル株式会社製)とチタンテトライソプロポキシド(関東化学株式会社製)とを1:1(質量比)で混合したものをイソプロピルアルコールで希釈し、塗布液を調製した。この塗布液を、第一のガスバリア層上に、スピンコーターで乾燥膜厚が100nmとなるような厚さで塗布し乾燥して塗膜を得た。その後、塗膜に対して、波長172nmのXeエキシマランプを用い、酸素濃度が0.1体積%、および照射エネルギーが2J/cmの条件で、真空紫外線照射処理を施して、中間層を形成した。得られた中間層をXPSで分析し、Ti0.36Al0.641.60.5の組成であることを確認した。この製造方法で得られた中間層をB6と称する。
(実施例15)
第二のガスバリア層を下記のようにして形成したこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.22)を作製した。
<第二のガスバリア層(C7)の形成>
パーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NAX120−20)とを、4:1(質量比)の割合で混合し、さらにジブチルエーテルで希釈し、塗布液を調製した。
得られた塗布液を、スピンコーターにて前記基材上に、乾燥膜厚が60nmになるよう塗布し乾燥して、ポリシラザン塗膜を形成した。
次いで、ポリシラザン塗膜に対して、波長172nmのXeエキシマランプを用い、酸素濃度が0.1体積%、および照射エネルギーが3J/cmの条件で、ポリシラザン塗膜に対して真空紫外線照射処理を施した。その上にさらに、同じ塗布液を用い、スピンコーターにて乾燥膜厚が40nmになるよう塗布し乾燥して、ポリシラザン塗膜を形成し、波長172nmのXeエキシマランプを用い、酸素濃度が0.1体積%、および照射エネルギーが3J/cmの条件で、ポリシラザン塗膜に対して真空紫外線照射処理を施した。
得られたSiO領域(0.55<x<2.0、0.25<y<0.66)は、厚さ方向に連続しており、その厚さは、50nmであった。こうして、第二のガスバリア層を形成した。この製造方法で得られた第二のガスバリア層をC7と称する。
(比較例1)
中間層を形成せず、かつ第二のガスバリア層を下記のようにして形成したこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.1)を作製した。
<第二のガスバリア層(C2)の形成>
パーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NAX120−20)とを、4:1(質量比)の割合で混合し、さらにジブチルエーテルで希釈し、塗布液を調製した。
得られた塗布液を、スピンコーターにて前記基材上に、乾燥膜厚が250nmになるよう塗布し乾燥して、ポリシラザン塗膜を形成した。
次いで、ポリシラザン塗膜に対して、波長172nmのエキシマランプを用い、酸素濃度が0.5体積%、および照射エネルギーが6J/cmの条件で、ポリシラザン塗膜に対して真空紫外線照射処理を施した。
得られたSiO領域の厚さは、15nmであった。こうして、第二のガスバリア層を形成した。この製造方法で得られた第二のガスバリア層をC2と称する。
(比較例2)
中間層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.2)を作製した。
(比較例3)
中間層を形成せず、かつ第一のガスバリア層を下記のようにして形成したこと以外は、比較例1と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.3)を作製した。
<第一のガスバリア層(A3)の形成>
パーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NAX120−20)とを、4:1(質量比)の割合で混合し、さらにジブチルエーテルで希釈し、塗布液を調製した。
得られた塗布液を、スピンコーターにて前記基材上に、乾燥膜厚が250nmになるよう塗布し乾燥して、ポリシラザン塗膜を形成した。
次いで、ポリシラザン塗膜に対して、波長172nmのXeエキシマランプを用い、酸素濃度が0.1体積%、および照射エネルギーが6J/cmの条件で、ポリシラザン塗膜に対して真空紫外線照射処理を施した。その上にさらに、同じ塗布液を用い、スピンコーターにて乾燥膜厚が40nmになるよう塗布し乾燥して、ポリシラザン塗膜を形成し、波長172nmのXeエキシマランプを用い、酸素濃度が0.1体積%、および照射エネルギーが3J/cmの条件で、ポリシラザン塗膜に対して真空紫外線照射処理を施した。
(比較例4)
第二のガスバリア層を下記のようにして形成したこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.4)を作製した。
<第二のガスバリア層(C1)>
パーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NAX120−20)とを、4:1(質量比)の割合で混合し、さらにジブチルエーテルで希釈し、塗布液を調製した。
得られた塗布液を、スピンコーターにて前記基材上に、乾燥膜厚が250nmになるよう塗布し乾燥して、ポリシラザン塗膜を形成した。
次いで、ポリシラザン塗膜に対して、波長172nmのXeエキシマランプを用い、酸素濃度が0.1体積%、および照射エネルギーが3J/cmの条件で、ポリシラザン塗膜に対して真空紫外線照射処理を施した。
得られたSiO領域の厚さは、10nmであった。こうして、第二のガスバリア層を形成した。この製造方法で得られた第二のガスバリア層をC1と称する。
(比較例5)
第一のガスバリア層を形成せず、かつ第二のガスバリア層を上記C5の構成としたこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.5)を作製した。
(比較例6)
中間層を下記のようにして形成したこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.6)を作製した。
<中間層(B1)の形成>
X−40−2308(ポリシロキサン、信越化学工業株式会社製)をイソプロピルアルコールで希釈し、塗布液を調製した。この塗布液を、第一のガスバリア層上に、スピンコーターで乾燥膜厚が100nmとなるような厚さで塗布し乾燥して塗膜を得た。その後、塗膜に対して、波長172nmのXeエキシマランプを用い、酸素濃度が0.1体積%、および照射エネルギーが2J/cmの条件で、真空紫外線照射処理を施して、中間層を形成した。得られた中間層をXPSで分析し、SiO2.2の組成であることを確認した。この製造方法で得られた中間層をB1と称する。
(比較例7)
第二のガスバリア層を下記のようにして形成したこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.21)を作製した。
<第二のガスバリア層(C6)の形成>
パーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NAX120−20)とを、4:1(質量比)の割合で混合し、さらにジブチルエーテルで希釈し、塗布液を調製した。
得られた塗布液を、スピンコーターにて前記基材上に、乾燥膜厚が40nmになるよう塗布し乾燥して、ポリシラザン塗膜を形成した。
次いで、ポリシラザン塗膜に対して、波長172nmのXeエキシマランプを用い、酸素濃度が0.1体積%、および照射エネルギーが3J/cmの条件で、ポリシラザン塗膜に対して真空紫外線照射処理を施した。
得られたSiO領域(0.55<x<2.0、0.25<y<0.66)は、厚さ方向に連続しており、その厚さは、30nmであった。こうして、第二のガスバリア層を形成した。この製造方法で得られた第二のガスバリア層をC6と称する。
《ガスバリア性フィルムの特性の評価方法》
各実施例および比較例で得られたガスバリア性フィルムを用い、下記に示すような方法で、発光領域の面積が5cm×5cmとなるように、ボトムエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を作製した。
(下地層、第1電極の形成)
ガスバリア性フィルムを、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、化合物118をタングステン製の抵抗加熱ボートに入れ、これら基材ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽内に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、真空蒸着装置の第2真空槽内に取り付けた。
次に、真空蒸着装置の第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、化合物118の入った加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で第1電極の下地層を厚さ10nmで設けた。
次に、下地層まで形成した基材を真空のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で厚さ8nmの銀からなる第1電極を形成した。
(有機機能層〜第2電極)
引き続き、市販の真空蒸着装置を用い、真空度1×10−4Paまで減圧した後、基材を移動させながら化合物HT−1を、蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、20nmの正孔輸送層(HTL)を設けた。
次に、化合物A−3(青色発光ドーパント)、化合物A−1(緑色発光ドーパント)、化合物A−2(赤色発光ドーパント)および化合物H−1(ホスト化合物)を、化合物A−3が膜厚に対し線形に35質量%から5質量%になるように場所により蒸着速度を変化させ、化合物A−1と化合物A−2とは膜厚に依存することなく各々0.2質量%の濃度になるように、蒸着速度0.0002nm/秒で、化合物H−1は64.6質量%から94.6質量%になるように場所により蒸着速度を変化させて、厚さ70nmになるよう共蒸着し発光層を形成した。
その後、化合物ET−1を膜厚30nmに蒸着して電子輸送層を形成し、さらにフッ化カリウム(KF)を厚さ2nmで形成した。さらに、アルミニウム110nmを蒸着して第2電極を形成した。
なお、上記化合物118、化合物HT−1、化合物A−1〜3、化合物H−1、および化合物ET−1は、以下に示す化合物である。
(固体封止)
次に、封止部材として厚さ25μmのアルミ箔を使用し、このアルミ箔の片面に封止樹脂層として熱硬化型のシート状接着剤(エポキシ系樹脂)を厚さ20μmで貼合した封止部材を用いて、第2電極までを作製した試料に重ね合わせた。このとき、第1電極および第2電極の引き出し電極の端部が外に出るように、封止部材の接着剤形成面と、素子の有機機能層面とを連続的に重ね合わせた。
次いで、試料を減圧装置内に配置し、90℃で0.1MPaの減圧条件下で、重ね合わせた基材と封止部材とに押圧をかけて5分間保持した。続いて、試料を大気圧環境に戻し、さらに120℃で30分間加熱して接着剤を硬化させた。
上記封止工程は、大気圧下、含水率1ppm以下の窒素雰囲気下で、JIS B 9920:2002に準拠し、測定した清浄度がクラス100で、露点温度が−80℃以下、酸素濃度0.8ppm以下の大気圧で行った。なお、陽極、陰極からの引き出し配線等の形成に関する記載は省略してある。
(ダークスポット(DS)の評価)
上記のようにして得られた有機EL素子を60℃、90%RHの環境下で2000時間通電を行い、ダークスポットの発生の状況を、全発光面積に対する非発光領域の面積を百分率で算出した。なお、DSの測定は100時間ごとに行い、2000時間以前にDSが100%になるか、デバイスが非発光となった場合は、その時間を記載した。測定結果を表1の「2000hr時のDS(%)」の欄に示す。
(屈曲試験・層間剥離の評価)
曲げ評価のガイドとして、直径30mmの円筒を用いた。作製した有機EL素子のガスバリア性フィルム裏面側を上記円筒に押し当てて180度巻き付けた後平面の状態に戻し、次いで、封止部材裏面側を円筒に押し当てて180度巻き付けた後平面の状態に戻した。ここまでを1回の操作とした。
上記操作を有機EL素子の基材とガスバリア膜との界面とに剥離を生じるまで繰り返し、剥離を生じたときの繰り返し回数を測定した。その測定結果を表1の「屈曲試験 層間剥離」の欄に示す。特に、300回繰り返しても剥離を生じなかった場合は、「>300」と表記した。なお、有機EL素子のいずれかの層間界面に剥離が生じたか否かについては、目視によって判断した。
上記表1から明らかなように、本発明のガスバリア性フィルムは、湿熱条件下での耐久性に優れ、かつ耐屈曲性に優れる。なお、実施例7においては、第一のガスバリア層と中間層との界面において、わずかに層間剥離が見られた。これは、中間層の厚さが厚いことから、第一のガスバリア層と中間層との界面に応力集中が起こったためと考えられる。
さらに、第一のガスバリア層が、ポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜に、エネルギーを印加して形成されるものであり、中間層の厚さが30〜200nmであり、かつSiO領域の厚さが、50〜150nmである、実施例1〜4、8〜12、および14〜15は、ダークスポットの発生が少なく耐久性に優れ、耐屈曲性にも優れていることが分かった。SiO領域の厚さが90nmである実施例11は、ダークスポットの発生が特に少なくなった。
なお、本出願は、2013年5月22日に出願された日本特許出願第2013−107965号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。

Claims (8)

  1. 基材上に、
    (A)無機化合物を含む第一のガスバリア層、
    (B)塗布法により形成され、ケイ素、チタン、およびアルミニウムの少なくとも1種と、酸素原子と、炭素原子と、を含有する中間層、ならびに
    (C)ポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜に、エネルギーを印加して形成され、ケイ素、酸素原子、および窒素原子を含有し、厚さが80nm以上であり、SiO(ただし、0.55<x<2.0、0.25<y<0.66)で表される組成範囲を満たす厚さ方向に連続した領域を30nm以上有する第二のガスバリア層、
    をこの順に含む、ガスバリア性フィルム。
  2. 前記中間層が、ケイ素化合物、チタン化合物、およびアルミニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜にエネルギーを印加して形成される、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3. 前記中間層は、MO(ただし、MはSi、TiおよびAlの少なくとも1種、aは0.5〜1.9、bは0.1〜10)で表される組成を有する、請求項1または2に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 前記第二のガスバリア層の形成におけるエネルギーの印加が、真空紫外光を照射することにより行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  5. 前記第一のガスバリア層が、ポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜に、エネルギーを印加して形成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  6. 前記中間層の厚さが30〜200nmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  7. 前記SiO(ただし、0.55<x<2.0、0.25<y<0.66)で表される組成範囲を満たす厚さ方向に連続した領域の厚さが、50〜150nmである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムを用いた、電子デバイス。
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