WO2015178069A1 - ガスバリア性フィルム - Google Patents

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Abstract

 本発明は、高温高湿環境での耐久性に優れ、波長450nm付近の青色光の透過性に優れたガスバリア性フィルムを提供する。 本発明のガスバリア性フィルムは、(A)樹脂基材、(B)無機化合物を含む第1のガスバリア層、(C)ポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜にエネルギーを印加して形成され、SiOwNx(ただし、0.2<w≦0.55、0.66<x≦0.75)で表される組成範囲を満たし、かつ、50~1000nmの厚さを有する領域を有する第2のガスバリア層、ならびに(D)ケイ素よりも酸化還元電位が低い金属の酸化物を主成分として含み、波長450nmの光の屈折率が2.0以上である層をこの順に含む。

Description

ガスバリア性フィルム
 本発明は、ガスバリア性フィルムに関する。
 従来、プラスチック基板やフィルムの表面に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属酸化物の薄膜を含む複数の層を積層して形成したガスバリア性フィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、例えば、食品や工業用品および医薬品等の変質を防止するための包装用途に広く用いられている。
 包装用途以外にも、ガスバリア性フィルムは、フレキシブル性を有する太陽電池素子、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、液晶表示素子等のフレキシブル電子デバイスへの展開が要望され、多くの検討がなされている。しかし、これらフレキシブル電子デバイスにおいては、ガラス基材レベルの非常に高いガスバリア性が要求される。特に、85℃85%RHというような高温高湿環境で長期間保存しても、ダークスポットの発生が抑制された有機EL素子が求められている。また、ボトムエミッション型の有機EL素子においては、発光効率を向上させる観点から、特に波長450nm付近の青色光をより多く透過させる特性が求められている。
 ここで、特許文献1には、ポリシラザン化合物を含む層に炭化水素系化合物のイオンが注入されて得られる層を有する成形体が開示されている。また、特許文献2には、基材と、前記基材上に形成される窒素高濃度領域を有するシリコン含有膜と、を有する積層体が開示されている。
国際公開第2011/122547号(US2014/0374665A1に対応) 国際公開第2011/007543号(US2012/0107607A1に対応)
 しかしながら、上記特許文献1~2に記載の成形体または積層体は、例えば85℃85%RHというような高温高湿環境での有機EL素子のダークスポット発生を抑制する高いガスバリア性を有していないという問題があった。また、上記特許文献1~2に記載の成形体または積層体は、波長450nm付近の青色光の透過率が低く、該成形体または積層体を用いた電子デバイスの青色光の発光効率が低いという問題があった。
 そこで本発明は、高温高湿環境での耐久性に優れ、波長450nm付近の青色光の透過性に優れるガスバリア性フィルムを提供することを目的とする。
 本発明者は、上記の課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、(A)樹脂基材上に、(B)無機化合物を含む第1のガスバリア層、(C)ポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜にエネルギーを印加して形成され、特定の組成および厚さを有する領域を有する第2のガスバリア層、ならびに(D)ケイ素よりも酸化還元電位が低い金属の酸化物を主成分として含み、波長450nmの光の屈折率が2.0以上である層、をこの順に含むガスバリア性フィルムにより、上記課題を解決することを見出した。上記知見に基づいて、本発明を完成した。
 すなわち、本発明は、(A)樹脂基材、(B)無機化合物を含む第1のガスバリア層、(C)ポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜にエネルギーを印加して形成され、SiO(ただし、0.2<w≦0.55、0.66<x≦0.75)で表される組成範囲を満たし、かつ、50~1000nmの厚さを有する領域を有する第2のガスバリア層、ならびに(D)ケイ素よりも酸化還元電位が低い金属の酸化物を主成分として含み、波長450nmの光の屈折率が2.0以上である層、をこの順に含む、ガスバリア性フィルムである。
本発明に係る第1のガスバリア層を製造するために好適に利用することが可能な成膜装置の一例を示す模式図である。図1において、Sは成膜空間を;1aは基材を;1b、1cは成膜された基材を;10は送り出しロールを;11、12、13、14は搬送ロールを;15は第1成膜ロールを;16は第2成膜ロールを;17は巻取りロールを;18はガス供給管を;19はプラズマ発生用電源を;20、21は磁場発生装置を;30は真空チャンバを;40は真空ポンプを;41は制御部を、それぞれ示す。 本発明に係る第1のガスバリア層を製造するために好適に利用することが可能な成膜装置の他の例を示す模式図である。図2において、S、S’は成膜空間を;1aは基材を;1b、1c、1d、1eは成膜された基材を;10は送り出しロールを;11、12、12’、13、13’、14は搬送ロールを;15は第1成膜ロールを;16は第2成膜ロールを;15’は第3成膜ロールを;16’は第4成膜ロールを;17は巻取りロールを;18、18’はガス供給管を;19、19’はプラズマ発生用電源を;20、20’、21、21’は磁場発生装置を;30は真空チャンバを;40、40’は真空ポンプを;41は制御部を、それぞれ示す。
 本発明は、(A)樹脂基材、(B)無機化合物を含む第1のガスバリア層、(C)ポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜にエネルギーを印加して形成され、SiO(ただし、0.2<w≦0.55、0.66<x≦0.75)で表される組成範囲を満たし、かつ、50~1000nmの厚さを有する領域を有する第2のガスバリア層、ならびに(D)ケイ素よりも酸化還元電位が低い金属の酸化物を主成分として含み、波長450nmの光の屈折率が2.0以上である層、をこの順に含む、ガスバリア性フィルムである。このような構成を有する本発明のガスバリア性フィルムは、高温高湿環境での耐久性に優れ、波長450nm付近の青色光の透過性に優れる。
 なぜ、本発明のガスバリア性フィルムにより上記効果が得られるのか、詳細は不明であるが、下記のようなメカニズムが考えられる。なお、下記のメカニズムは推測によるものであり、本発明は下記メカニズムに何ら拘泥されるものではない。
 すなわち、本発明に係る第2のガスバリア層は、上記SiOで表される組成範囲を満たす領域(以下、単に領域(c)とも称する)を有することで、ガスバリア性を発現する。また、気相成膜法で形成される場合とは異なり、ポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜にエネルギーを印加して形成されることにより、成膜時にパーティクル等の異物混入がほとんどなくなり、欠陥が非常に少ないガスバリア層を形成することが可能となる。しかし、この領域(c)は酸化に対して完全に安定ではなく、高温高湿環境では徐々に酸化されてガスバリア性が低下することがある。樹脂基材側からスポット的に漏出する水蒸気があり、この水蒸気により第2のガスバリア層はスポット的に酸化されて、ガスバリア性が低下した部位が形成される。例えば有機EL素子をガスバリア性フィルム上に形成する場合、前記のガスバリア性が低下した部位から、水蒸気が浸入してダークスポットになると考えられる。
 本発明に係る(D)ケイ素よりも酸化還元電位の低い金属の酸化物を主成分として含み、波長450nmの光の屈折率が2.0以上である層(以下、単に「(D)層」とも称する)は、ガスバリア性はそれほど高くなく、有機EL素子のダークスポット低減に寄与するほどのガスバリア性はないと考えられる。しかしながら、該(D)層は、酸化還元電位が低い金属の酸化物を主成分として含んでおり、高温高湿環境では領域(c)を有する第2のガスバリア層よりも先に酸化されることになる。したがって、高温高湿環境における第2のガスバリア層表面の酸化抑制効果が発揮され、スポット的なガスバリア性の低下が生じにくくなると考えられる。よって、本発明のガスバリア性フィルムは、高温高湿環境での耐久性に優れる。
 また、本発明に係る(D)層は、波長450nmの光の屈折率は2.0以上である。このような屈折率を有する(D)層を備える本発明のガスバリア性フィルムは、波長450nm付近の光の透過性(光取り出し性)に優れ、該ガスバリア性フィルムを用いた電子デバイスは青色光の発光効率に優れたものとなる。
 以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
 また、本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%の条件で測定する。
 [(A)樹脂基材]
 本発明に係る樹脂基材(A)としては、具体的には、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸-マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂を含む基材が挙げられる。該樹脂基材は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
 樹脂基材は耐熱性を有する素材からなることが好ましい。具体的には、線膨張係数が15ppm/K以上100ppm/K以下で、かつガラス転移温度(Tg)が100℃以上300℃以下の樹脂基材が使用される。該基材は、電子部品用途、ディスプレイ用積層フィルムとしての必要条件を満たしている。即ち、これらの用途に本発明に係るガスバリア性フィルムを用いる場合、ガスバリア性フィルムは、150℃以上の工程に曝されることがある。この場合、ガスバリア性フィルムにおける基材の線膨張係数が100ppm/Kを超えると、ガスバリア性フィルムを前記のような温度の工程に流す際に基板寸法が安定せず、熱膨張および収縮に伴い、遮断性性能が劣化する不都合や、あるいは、熱工程に耐えられないという不具合が生じやすくなる。15ppm/K未満では、フィルムがガラスのように割れてしまいフレキシビリティが劣化する場合がある。
 基材のTgや線膨張係数は、添加剤などによって調整することができる。基材として用いることができる熱可塑性樹脂のより好ましい具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET:70℃)、ポリエチレンナフタレート(PEN:120℃)、ポリカーボネート(PC:140℃)、脂環式ポリオレフィン(例えば日本ゼオン株式会社製、ゼオノア(登録商標)1600:160℃)、ポリアリレート(PAr:210℃)、ポリエーテルスルホン(PES:220℃)、ポリスルホン(PSF:190℃)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001-150584号公報に記載の化合物:162℃)、ポリイミド(例えば三菱ガス化学株式会社製、ネオプリム(登録商標):260℃)、フルオレン環変性ポリカーボネート(BCF-PC:特開2000-227603号公報に載の化合物:225℃)、脂環変性ポリカーボネート(IP-PC:特開2000-227603号公報に記載の化合物:205℃)、アクリロイル化合物(特開2002-80616号公報に記載の化合物:300℃以上)等が挙げられる(括弧内はTgを示す)。
 本発明に係るガスバリア性フィルムは、有機EL素子等の電子デバイスとして利用されることから、樹脂基材は透明であることが好ましい。すなわち、光線透過率が通常80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。光線透過率は、JIS K7105:1981に記載された方法、すなわち積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率および散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。
 ただし、本発明に係るガスバリア性フィルムをディスプレイ用途に用いる場合であっても、観察側に設置しない場合などは必ずしも透明性が要求されない。したがって、このような場合は、プラスチックフィルムとして不透明な材料を用いることもできる。不透明な材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、公知の液晶ポリマーなどが挙げられる。
 樹脂基材は、表面の平滑性が高いものが好ましい。表面の平滑性としては、平均表面粗さ(Ra)が2nm以下であるものが好ましい。下限は特にないが、実用上、0.01nm以上であることが好ましい。必要に応じて、基材の表面を研磨し平滑性を向上させておいてもよい。
 また、上記に挙げた樹脂基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。当該樹脂基材は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。これらの基材の製造方法については、国際公開第2013/002026号(US2014/0106151A1に対応)の段落「0051」~「0055」に記載された事項を適宜採用することができる。
 樹脂基材は、ハードコート層を有していてもよい。ハードコート層に含まれる材料の例としては、例えば、熱硬化性樹脂や活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられるが、成形が容易なことから、活性エネルギー線硬化性樹脂が好ましい。このような硬化性樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
 活性エネルギー線硬化性樹脂とは、紫外線や電子線のような活性エネルギー線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいう。活性エネルギー線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性エネルギー線を照射することによって硬化させて、活性エネルギー線硬化性樹脂層、すなわちハードコート層が形成される。活性エネルギー線硬化性樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する紫外線硬化性樹脂が好ましい。予めハードコート層が形成されている市販の樹脂基材を用いてもよく、その具体例としては、例えば、商品名 KBフィルム(商標)125G1SBF(株式会社きもと製)等が挙げられる。
 樹脂基材の表面は、密着性向上のための公知の種々の処理、例えばコロナ放電処理、火炎処理、酸化処理、またはプラズマ処理等を行っていてもよく、必要に応じて上記処理を組み合わせて行っていてもよい。
 該樹脂基材は、単層でもよいし2層以上の積層構造であってもよい。該樹脂基材が2層以上の積層構造である場合、各樹脂基材は同じ種類であってもよいし異なる種類であってもよい。
 本発明に係る樹脂基材の厚さ(2層以上の積層構造である場合はその総厚)は、10~200μmであることが好ましく、20~150μmであることがより好ましい。
 [(B)第1のガスバリア層]
 本発明のガスバリア性フィルムは、(A)樹脂基材上に、(B)無機化合物を含む第1のガスバリア層を有する。第1のガスバリア層を備えることにより、樹脂基材側から浸入する水蒸気を遮断することができ、高温高湿環境での耐久性が向上したガスバリア性フィルムとなる。
 本発明に係る第1のガスバリア層は、無機化合物を含む。第1のガスバリア層に含まれる無機化合物としては、特に限定されないが、例えば、ケイ素またはケイ素よりも酸化還元電位が高い金属の酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物または金属酸炭化物が挙げられる。中でも、ガスバリア性能の点で、Si、In、Sn、Zn、Cu、およびCeから選ばれる1種以上の金属を含む、酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物または酸炭化物などを好ましく用いることができる。好適な無機化合物として、具体的には、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、または酸炭化ケイ素が挙げられる。副次的な成分として他の元素を含有してもよい。
 第1のガスバリア層に含まれる無機化合物の含有量は特に限定されないが、第1のガスバリア層の全質量に対して50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが特に好ましく、100質量%である(すなわち、第1のガスバリア層は無機化合物からなる)ことが最も好ましい。
 第1のガスバリア層の形成方法としては、ポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜にエネルギーを印加して形成する方法や気相成膜法が挙げられる。中でも、湿度により酸化されにくく、高温高湿環境でも安定してガスバリア性を発揮することができる気相成膜法により形成されることが好ましい。
 第1のガスバリア層の形成方法の一つであるポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜にエネルギーを印加して形成する方法において、エネルギーの印加の条件以外の形成条件(用いられるポリシラザンの種類、塗布液に用いられる溶媒、塗布液濃度、触媒の種類等)は、後述する(C)第2のガスバリア層の項で詳細に説明するため、ここでは説明を省略する。
 エネルギーを印加する方法としては、転化反応が可能なプラズマ処理や紫外線照射処理による転化反応が好ましく、真空紫外線を照射することがより好ましい。
 ガスバリア性を有さない樹脂基材に接するように、ポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜にエネルギーを印加して形成されるガスバリア層は、樹脂基材側から透過してくる水蒸気や酸素の影響で厚さ方向の樹脂基材側が酸化された組成、すなわち、SiO2.0~2.4のような組成となる。一方、エネルギーを印加される層の表面側は、Siに対してNが約0.6以下、Oが約0.6以上のSiON組成となり、この領域が高いガスバリア性を有するとともに、本発明に係る領域(c)よりも良好な高温高湿条件での耐酸化性を有する。基材側組成と表面側組成とは明瞭な界面を有しており、かつ、本発明に係る領域(c)は形成されない。
 第1のガスバリア層の好ましい形成方法である気相成膜法としては、物理気相成長法(PVD法)または化学気相成長法(CVD法)が挙げられる。
 以下、気相成膜法について説明する。
 <気相成膜法>
 物理気相成長法(Physical Vapor Deposition、PVD法)は、気相中で物質の表面に物理的手法により、目的とする物質、例えば、炭素膜等の薄膜を堆積する方法であり、例えば、スパッタ法(DCスパッタ法、RFスパッタ法、イオンビームスパッタ法、およびマグネトロンスパッタ法等)、真空蒸着法、イオンプレーティング法などが挙げられる。
 化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition、CVD法)は、基材上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基材表面または気相での化学反応により膜を堆積する方法である。また、化学反応を活性化する目的で、プラズマなどを発生させる方法などがあり、熱CVD法、触媒化学気相成長法、光CVD法、真空プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法など公知のCVD方式等が挙げられる。特に限定されるものではないが、製膜速度や処理面積の観点から、真空プラズマCVD法または大気圧プラズマCVD法等のプラズマCVD法を適用することが好ましい。
 例えば、ケイ素化合物を原料化合物として用い、分解ガスに酸素を用いれば、ケイ素酸化物が生成する。これはプラズマ空間内では非常に活性な荷電粒子・活性ラジカルが高密度で存在するため、プラズマ空間内では多段階の化学反応が非常に高速に促進され、プラズマ空間内に存在する元素は熱力学的に安定な化合物へと非常な短時間で変換されるためである。
 なお、以下では、成膜装置として、プラズマCVD法によって薄膜を形成する、対向ロール型のロール・トゥ・ロール成膜装置を使用して、第1のガスバリア層を製造する場合を例示して説明する。
 図1および図2は、成膜装置の一例を示す概略構成図である。図2に例示した成膜装置101は、図1に例示した成膜装置100をタンデムに2台接合した構成を基本としている。ここでは、図2に例示した成膜装置を例にして第1のガスバリア層を形成する場合を説明するが、図2に記載の成膜装置に関する説明は、図1に記載の成膜装置に関する説明に対しても適宜参酌される。
 図2に示す通り、成膜装置101は、送り出しロール10と、搬送ロール11~14と、第1、第2、第3および第4成膜ロール15、16、15’、16’と、巻取りロール17と、ガス供給管18、18’と、プラズマ発生用電源19、19’と、磁場発生装置20、21、20’、21’と、真空チャンバ30と、真空ポンプ40、40’と、制御部41と、を有する。
 送り出しロール10、搬送ロール11~14、第1、第2、第3および第4成膜ロール15、16、15’、16’、および巻取りロール17は、真空チャンバ30に収容されている。
 送り出しロール10は、予め巻き取られた状態で設置されている基材1aを搬送ロール11に向けて送り出す。送り出しロール10は、紙面に対して垂直方向に延在した円筒状のロールであり、図示しない駆動モーターにより反時計回りに回転(図2の矢印を参照)することにより、送り出しロール10に巻回された基材1aを搬送ロール11に向けて送り出す。
 搬送ロール11~14は、送り出しロール10と略平行な回転軸を中心に回転可能に構成された円筒状のロールである。搬送ロール11は、基材1aに適当な張力を付与しつつ、基材1aを送り出しロール10から第1成膜ロール15に搬送するためのロールである。搬送ロール12、13は、第1成膜ロール15で成膜された基材1bに適当な張力を付与しつつ、基材1bを第1成膜ロール15から第2成膜ロール16に搬送するためのロールである。搬送ロール12’、13’は、第3成膜ロール15’で成膜された基材1eに適当な張力を付与しつつ、基材1eを第3成膜ロール15’から第4成膜ロール16’に搬送するためのロールである。さらに、搬送ロール14は、第4成膜ロール16’で成膜された基材1cに適当な張力を付与しつつ、基材1cを第4成膜ロール16’から巻取りロール17に搬送するためのロールである。
 第1成膜ロール15および第2成膜ロール16は、送り出しロール10と略平行な回転軸を有し、互いに所定距離だけ離間して対向配置された成膜ロール対である。また、第3成膜ロール15’および第4成膜ロール16’も同様に、送り出しロール10と略平行な回転軸を有し、互いに所定距離だけ離間して対向配置された成膜ロール対である。第2成膜ロール16は、基材1bを成膜し、成膜された基材1dに適当な張力を付与しつつ、基材1dを第3成膜ロール15’へ搬送する。第4成膜ロール16’は、基材1eを成膜し、成膜された基材1cに適当な張力を付与しつつ、基材1cを搬送ロール14へ搬送する。
 図2に示す例では、第1成膜ロール15と第2成膜ロール16との離間距離は、点Aと点Bとを結ぶ距離であり、第3成膜ロール15’と第4成膜ロール16’との離間距離は、点A’と点B’とを結ぶ距離である。第1~第4成膜ロール15、16、15’、16’は、導電性材料で形成された放電電極であり、第1成膜ロール15と第2成膜ロール16、第3成膜ロール15’と第4成膜ロール16’とは、それぞれは互いに絶縁されている。なお、第1~第4成膜ロール15、16、15’、16’の材質や構成は、電極として所望の機能を達成できるように適宜選択することができる。
 さらに、第1~第4成膜ロール15、16、15’、16’は、それぞれ独立に調温してもよい。第1~第4成膜ロール15、16、15’、16’の温度は、特に制限されるものではないが、例えば-30~100℃であるが、基材1aのガラス転移温度を超えて過度に高温に設定すると、基材が熱によって変形等を生じるおそれがある。
 第1~第4成膜ロール15、16、15’、16’の内部には、磁場発生装置20、21、20’および21’が、各々設置されている。第1成膜ロール15と第2成膜ロール16とにはプラズマ発生用電源19により、第3成膜ロール15’と第4成膜ロール16’とにはプラズマ発生用電源19’により、プラズマ発生用の高周波電圧が印加される。それにより、第1成膜ロール15と第2成膜ロール16との間の成膜部S、または第3成膜ロール15’と第4成膜ロール16’との間の成膜部S’に電場が形成され、ガス供給管18または18’から供給される成膜ガスの放電プラズマが発生する。プラズマ発生用電源19が印加する電圧と、プラズマ発生用電源19’が印加する電圧とは、同一であってもよいが、異なっていてもよい。プラズマ発生用電源19または19’の電源周波数は任意に設定できるが、本構成の装置としては、例えば60~100kHzであり、印加される電力は、有効成膜幅1mに対して、例えば1~10kWである。
 巻取りロール17は、送り出しロール10と略平行な回転軸を有し、基材1cを巻き取り、ロール状にして収容する。巻取りロール17は、図示しない駆動モーターにより反時計回りに回転(図2の矢印を参照)することにより、基材1cを巻き取る。
 送り出しロール10から送り出された基材1aは、送り出しロール10と巻き取りロール17との間で、搬送ロール11~14、第1~第4成膜ロール15、16、15’、16’に巻き掛けられることにより適当な張力を保ちつつ、これらの各ロールの回転により搬送される。なお、基材1a、1b、1c、1d、1e(以下、基材1a、1b、1c、1d、1eを「基材1a~1e」とも総称する。)の搬送方向は矢印で示されている。基材1a~1eの搬送速度(ラインスピード)(たとえば、図2の点Cや点C’における搬送速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバ30内の圧力などに応じて適宜調整されうる。搬送速度は、送り出しロール10および巻取りロール17の駆動モーターの回転速度を制御部41によって制御することにより調整される。搬送速度を遅くすると、形成される領域の厚さが厚くなる。
 また、この成膜装置を用いる場合、基材1a~1eの搬送方向を図2の矢印で示す方向(以下、順方向と称する)とは反対方向(以下、逆方向と称する)に設定してガスバリア性フィルムの成膜工程を実行することもできる。具体的には、制御部41は、巻取りロール17によって基材1cが巻き取られた状態において、送り出しロール10および巻き取りロール17の駆動モーターの回転方向を上述の場合とは逆方向に回転するように制御する。このように制御すると、巻取りロール17から送り出された基材1cは、送り出しロール10と巻き取りロール17との間で、搬送ロール11~14、第1~第4成膜ロール15、16、15’、16’に巻き掛けられることにより適当な張力を保ちつつ、これらの各ロールの回転により逆方向に搬送される。
 成膜装置101を用いて(B)第1のガスバリア層を形成する場合は、基材1aを順方向および逆方向に搬送して成膜部Sまたは成膜部S’を往復させることにより、(B)第1のガスバリア層の形成(成膜)工程を複数回繰り返すこともできる。
 ガス供給管18、18’は、真空チャンバ30内にプラズマCVDの原料ガスなどの成膜ガスを供給する。ガス供給管18は、成膜部Sの上方に第1成膜ロール15および第2成膜ロール16の回転軸と同じ方向に延在する管状の形状を有しており、複数箇所に設けられた開口部から成膜部Sに成膜ガスを供給する。ガス供給管18’も同様に、成膜部S’の上方に第3成膜ロール15’および第4成膜ロール16’の回転軸と同じ方向に延在する管状の形状を有しており、複数箇所に設けられた開口部から成膜部S’に成膜ガスを供給する。ガス供給管18から供給される成膜ガスとガス供給管18’から供給される成膜ガスとは同一でもよいが、異なっていてもよい。さらに、これらのガス供給管から供給される供給ガス圧についても、同一でもよいが異なっていてもよい。
 原料ガスには、ケイ素化合物を使用することができる。ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、ジメチルジシラザン、トリメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。これ以外にも、特開2008-056967号公報の段落「0075」に記載の化合物を使用することもできる。これらのケイ素化合物の中でも、化合物の取り扱い易さや得られるガスバリア性フィルムの高いガスバリア性などの観点から、第1のガスバリア層の形成においては、HMDSOを使用することが好ましい。なお、これらのケイ素化合物は、2種以上が組み合わせて使用されてもよい。また、原料ガスには、ケイ素化合物の他にモノシランが含有されてもよい。
 成膜ガスとしては、原料ガスの他に反応ガスが使用されてもよい。反応ガスとしては、原料ガスと反応して酸化物、窒化物などのケイ素化合物となるガスが選択される。薄膜として酸化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、酸素ガス、オゾンガスを使用することができる。なお、これらの反応ガスは、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
 成膜ガスとしては、原料ガスを真空チャンバ30内に供給するために、さらにキャリアガスが使用されてもよい。また、成膜ガスとして、プラズマを発生させるために、さらに放電用ガスが使用されてもよい。キャリアガスおよび放電ガスとしては、例えば、アルゴンなどの希ガス、および水素や窒素が使用される。
 磁場発生装置20、21は、第1成膜ロール15と第2成膜ロール16との間の成膜部Sに磁場を形成する部材であり、磁場発生装置20’、21’も同様に、第3成膜ロール15’と第4成膜ロール16’との間の成膜部S’に磁場を形成する部材である。これらの磁場発生装置20、20’、21、21’は、第1~第4成膜ロール15、16、15’、16’の回転に追随せず、所定位置に格納されている。
 真空チャンバ30は、送り出しロール10、搬送ロール11~14、第1~第4成膜ロール15、16、15’、16’、および巻取りロール17を密封して減圧された状態を維持する。真空チャンバ30内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類などに応じて適宜調整することができる。成膜部SまたはS’の圧力は、0.1~50Paであることが好ましい。
 真空ポンプ40、40’は、制御部41に通信可能に接続されており、制御部41の指令に従って真空チャンバ30内の圧力を適宜調整する。
 制御部41は、成膜装置101の各構成要素を制御する。制御部41は、送り出しロール10および巻取りロール17の駆動モーターに接続されており、これらの駆動モーターの回転数を制御することにより、基材1aの搬送速度を調整する。また、駆動モーターの回転方向を制御することにより、基材1aの搬送方向を変更する。また、制御部41は、図示しない成膜ガスの供給機構と通信可能に接続されており、成膜ガスの各々の成分ガスの供給量を制御する。また、制御部41は、プラズマ発生用電源19、19’と通信可能に接続されており、プラズマ発生用電源19の出力電圧および出力周波数を制御する。さらに、制御部41は、真空ポンプ40、40’に通信可能に接続されており、真空チャンバ30内を所定の減圧雰囲気に維持するように真空ポンプ40を制御する。
 制御部41は、CPU(Central Processing Unit)、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)を備える。HDDには、成膜装置101の各構成要素を制御して、ガスバリア性フィルムの製造方法を実現する手順を記述したソフトウェアプログラムが格納されている。そして、成膜装置101の電源が投入されると、上記ソフトウェアプログラムが上記RAMにロードされ上記CPUによって逐次的に実行される。また、上記ROMには、上記CPUが上記ソフトウェアプログラムを実行する際に使用する各種データおよびパラメーターが記憶されている。
 該第1のガスバリア層は、単層でもよいし2層以上の積層構造であってもよい。該第1のガスバリア層が2層以上の積層構造である場合、各第1のガスバリア層は同じ組成であってもよいし異なる組成であってもよい。
 第1のガスバリア層の厚さ(2層以上の積層構造である場合はその総厚)は、特に制限されないが、5~1000nmであることが好ましく、20~500nmであることがより好ましい。この範囲であれば、生産性とガスバリア性との両立という利点が得られる。第1のガスバリア層の厚さは、TEM観察により測定することができる。
 [(C)第2のガスバリア層]
 本発明に係る(C)第2のガスバリア層は、ポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜にエネルギーを印加して形成され、SiO(ただし、0.2<w≦0.55、0.66<x≦0.75)で表される組成範囲を満たし、かつ、50~1000nmの厚さを有する領域(領域(c))を有する。エネルギーの印加により、第2のガスバリア層はガスバリア性を発現する。また、気相成膜法で形成される場合とは異なり、成膜時にパーティクル等の異物混入がないため、欠陥の非常に少ないガスバリア層となる。
 領域(c)はガスバリア性も有するが、ゆるやかに浸入してきた水蒸気と反応することで水蒸気を捕捉する、いわゆるデシカントとしても機能する領域である。
 領域(c)の厚さは、50~1000nmである。領域(c)の厚さが50nm未満であると、デシカントとして水蒸気と反応する化合物の総量が少なくなるため、捕捉できる水蒸気量も限られ、デバイスとして求められる耐用年数内にデシカント機能が失われ、ガスバリア性が低下する虞がある。一方、1000nmを超えると、例えば、エネルギーの印加による改質で領域(c)を形成する場合に、改質が不十分となりガスバリア性が低下する虞があるとともに、コスト増加にも繋がる。また、第2のガスバリア層においてのクラックの発生が懸念され、生産性も低下する。
 領域(c)の厚さは、好ましくは100~300nmである。この範囲であれば、デバイスとして求められる耐用年数の間、良好なガスバリア性を維持できる効果や、コストを削減できる効果がさらに向上する。
 領域(c)は、ポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜にエネルギーを印加して形成される第2のガスバリア層中に存在するのであれば、1つの連続した領域として存在する形態であってもよいし、2つ以上の複数の領域として存在する形態であってもよい。領域が2つ以上存在する場合は、全ての領域の厚さの和(総厚)が、上記の範囲になっていればよい。
 領域(c)におけるケイ素、酸素、および窒素の組成比や領域(c)の厚さは、当業者であれば任意の方法で調整することができる。例えば、ポリシラザンを含む塗布液の厚さ、塗布後の乾燥の程度、印加するエネルギー量(例えば、真空紫外線を照射してエネルギーを印加する場合は、照度、プラズマ密度、照射時間等を調整する)、エネルギー印加時の雰囲気(特に酸素濃度)等を調整すればよい。塗膜形成法の場合、印加するエネルギー量を小さくすれば、領域の組成比において酸素を少なくすることができる。また、ポリシラザンを含む塗布液の厚さを厚くすると、領域(c)の厚さが厚くなるため、当業者であれば目的とする領域の厚さに合わせて塗膜の厚さを調整できる。また、例えば、塗膜形成とエネルギーの印加とを交互に複数回行うことによって、上記組成および厚さを有する領域(c)を備えた第2のガスバリア層を形成してもよい。
 領域(c)を含む本発明に係る第2のガスバリア層は、ポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜にエネルギーを印加して形成される。なお、上記第1のガスバリア層の形成方法の一つであるポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜にエネルギーを印加して形成する方法において、形成条件(用いられるポリシラザンの種類、塗布液に用いられる溶媒、塗布液濃度、触媒の種類、エネルギーの印加条件、等)は、下記と同様である。但し、上記の理由により、第1のガスバリア層中には本発明に係る領域(c)は形成されず、たとえ、第1のガスバリア層と第2のガスバリア層とが同じ条件で形成されたとしても、第1のガスバリア層と第2のガスバリア層とは、明らかに異なる層となる。
 ポリシラザンとは、ケイ素-窒素結合を有するポリマーであり、Si-N、Si-H、N-H等の結合を有するSiO、Si、および両方の中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。
 具体的には、ポリシラザンは、好ましくは下記の構造を有する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
 上記一般式(I)において、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R、RおよびRは、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。ここで、アルキル基としては、炭素原子数1~8の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基が挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などがある。また、アリール基としては、炭素原子数6~30のアリール基が挙げられる。より具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などの非縮合炭化水素基;ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基などの縮合多環炭化水素基が挙げられる。(トリアルコキシシリル)アルキル基としては、炭素原子数1~8のアルコキシ基で置換されたシリル基を有する炭素原子数1~8のアルキル基が挙げられる。より具体的には、3-(トリエトキシシリル)プロピル基、3-(トリメトキシシリル)プロピル基などが挙げられる。上記R~Rに場合によって存在する置換基は、特に制限はないが、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基(-OH)、メルカプト基(-SH)、シアノ基(-CN)、スルホ基(-SOH)、カルボキシル基(-COOH)、ニトロ基(-NO)などがある。なお、場合によって存在する置換基は、置換するR~Rと同じとなることはない。例えば、R~Rがアルキル基の場合には、さらにアルキル基で置換されることはない。これらのうち、好ましくは、R、RおよびRは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、フェニル基、ビニル基、3-(トリエトキシシリル)プロピル基または3-(トリメトキシシリルプロピル)基である。
 また、上記一般式(I)において、nは、整数であり、一般式(I)で表される構造を有するポリシラザンが150~150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。
 上記一般式(I)で表される構造を有する化合物において、好ましい態様の一つは、R、RおよびRのすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザンである。
 または、ポリシラザンとしては、下記一般式(II)で表される構造を有する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
 上記一般式(II)において、R1’、R2’、R3’、R4’、R5’およびR6’は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R1’、R2’、R3’、R4’、R5’およびR6’は、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。上記における、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(I)の定義と同様であるため、説明を省略する。
 また、上記一般式(II)において、n’およびpは、整数であり、一般式(II)で表される構造を有するポリシラザンが150~150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。なお、n’およびpは、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。
 上記一般式(II)のポリシラザンのうち、R1’、R3’およびR6’が各々水素原子を表し、R2’、R4’およびR5’が各々メチル基を表す化合物;R1’、R3’およびR6’が各々水素原子を表し、R2’、R4’が各々メチル基を表し、R5’がビニル基を表す化合物;R1’、R3’、R4’およびR6’が各々水素原子を表し、R2’およびR5’が各々メチル基を表す化合物が好ましい。
 または、ポリシラザンとしては、下記一般式(III)で表される構造を有する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
 上記一般式(III)において、R1”、R2”、R3”、R4”、R5”、R6”、R7”、R8”およびR9”は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R1”、R2”、R3”、R4”、R5”、R6”、R7”、R8”およびR9”は、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。上記における、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(I)の定義と同様であるため、説明を省略する。
 また、上記一般式(III)において、n”、p”およびqは、整数であり、一般式(III)で表される構造を有するポリシラザンが150~150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。なお、n”、p”およびqは、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。
 上記一般式(III)のポリシラザンのうち、R1”、R3”およびR6”が各々水素原子を表し、R2”、R4”、R5”およびR8”が各々メチル基を表し、R9”が(トリエトキシシリル)プロピル基を表し、R7”がアルキル基または水素原子を表す化合物が好ましい。
 一方、そのSiと結合する水素原子部分の一部がアルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンは、メチル基等のアルキル基を有することにより下地である基材との接着性が改善され、かつ硬くてもろいポリシラザンによるセラミック膜に靭性を持たせることができ、より(平均)膜厚を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる利点がある。このため、用途に応じて適宜、これらパーヒドロポリシラザンとオルガノポリシラザンとを選択してよく、混合して使用することもできる。
 パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6および8員環を中心とする環構造とが存在する構造と推定されている。その分子量は数平均分子量(Mn)で約600~2000程度(ポリスチレン換算)で、液体または固体の物質があり、その状態は分子量により異なる。
 ポリシラザンは有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのまま第2のガスバリア層形成用塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製の NN120-10、NN120-20、NAX120-20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL120-20、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
 本発明で使用できるポリシラザンの別の例としては、以下に制限されないが、例えば、上記ポリシラザンにケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(特開平5-238827号公報)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(特開平6-122852号公報)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(特開平6-240208号公報)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(特開平6-299118号公報)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(特開平6-306329号公報)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(特開平7-196986号公報)等の、低温でセラミック化するポリシラザンが挙げられる。
 ポリシラザンを用いる場合、エネルギー印加前の第2のガスバリア層中におけるポリシラザンの含有率としては、第2のガスバリア層の全質量を100質量%としたとき、100質量%でありうる。また、第2のガスバリア層がポリシラザン以外のものを含む場合には、層中におけるポリシラザンの含有率は、10質量%以上99質量%以下であることが好ましく、40質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、特に好ましくは70質量%以上95質量%以下である。
 (第2のガスバリア層形成用塗布液)
 第2のガスバリア層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ポリシラザンを溶解できるものであれば特に制限されないが、ポリシラザンと容易に反応してしまう水および反応性基(例えば、ヒドロキシル基、あるいはアミン基等)を含まず、ポリシラザンに対して不活性の有機溶剤が好ましく、非プロトン性の有機溶剤がより好ましい。具体的には、溶剤としては、非プロトン性溶剤;例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターペン等の、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒;塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類:例えば、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、モノ-およびポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ジグライム類)などを挙げることができる。上記溶剤は、ポリシラザンの溶解度や溶剤の蒸発速度等の目的にあわせて選択され、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
 第2のガスバリア層形成用塗布液におけるポリシラザンの濃度は、特に制限されず、層の膜厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、好ましくは1~80質量%、より好ましくは5~50質量%、さらに好ましくは10~40質量%である。
 第2のガスバリア層形成用塗布液は、改質を促進するために、触媒を含有することが好ましい。本発明に適用可能な触媒としては、塩基性触媒が好ましく、特に、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3-モルホリノプロピルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ジアミノヘキサン等のアミン触媒、Ptアセチルアセトナート等のPt化合物、プロピオン酸Pd等のPd化合物、Rhアセチルアセトナート等のRh化合物等の金属触媒、N-複素環式化合物が挙げられる。これらのうち、アミン触媒を用いることが好ましい。この際添加する触媒の濃度としては、ケイ素化合物を基準としたとき、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~7質量%の範囲である。触媒添加量をこの範囲とすることで、反応の急激な進行よる過剰なシラノール形成、および膜密度の低下、膜欠陥の増大などを避けることができる。
 第2のガスバリア層形成用塗布液には、必要に応じて下記に挙げる添加剤を用いることができる。例えば、セルロースエーテル類、セルロースエステル類;例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート等、天然樹脂;例えば、ゴム、ロジン樹脂等、合成樹脂;例えば、重合樹脂等、縮合樹脂;例えば、アミノプラスト、特に尿素樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステルもしくは変性ポリエステル、エポキシド、ポリイソシアネートもしくはブロック化ポリイソシアネート、ポリシロキサン等である。
 (第2のガスバリア層形成用塗布液を塗布する方法)
 第2のガスバリア層形成用塗布液を塗布する方法としては、従来公知の適切な湿式塗布方法が採用され得る。具体例としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、ダイコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
 塗布厚さは、好ましい厚さや目的に応じて適切に設定され得る。一例を挙げれば、乾燥後の塗布液(塗膜)の厚さ(複数回塗膜形成を行う場合は1回当たりの厚さ)は、好ましくは40nm以上1000nm以下であり、より好ましくは100nm以上300nm以下である。
 塗布液を塗布した後は、塗膜を乾燥させることが好ましい。塗膜を乾燥することによって、塗膜中に含有される有機溶媒を除去することができる。この際、塗膜に含有される有機溶媒は、すべてを乾燥させてもよいが、一部残存させていてもよい。一部の有機溶媒を残存させる場合であっても、好適な第2のガスバリア層が得られうる。なお、残存する溶媒は後に除去されうる。
 塗膜の乾燥温度は、適用する基材によっても異なるが、50~200℃であることが好ましい。例えば、ガラス転移温度(Tg)が70℃のポリエチレンテレフタレート基材を基材として用いる場合には、乾燥温度は、熱による基材の変形等を考慮して150℃以下に設定することが好ましい。上記温度は、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することによって設定されうる。乾燥時間は短時間に設定することが好ましく、例えば、乾燥温度が150℃である場合には30分以内に設定することが好ましい。また、乾燥雰囲気は、大気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、真空雰囲気下、酸素濃度をコントロールした減圧雰囲気下等のいずれの条件であってもよい。
 第2のガスバリア層形成用塗布液を塗布して得られた塗膜は、エネルギーの印加前またはエネルギーの印加中に水分を除去する工程を含んでいてもよい。水分を除去する方法としては、低湿度環境を維持して除湿する形態が好ましい。低湿度環境における湿度は温度により変化するので、温度と湿度の関係は露点温度の規定により好ましい形態が示される。好ましい露点温度は4℃以下(温度25℃/湿度25%)で、より好ましい露点温度は-5℃以下(温度25℃/湿度10%)であり、維持される時間は第2のガスバリア層の膜厚によって適宜設定することが好ましい。第2のガスバリア層の膜厚が1.0μm以下の条件においては、露点温度は-5℃以下で、維持される時間は1分以上であることが好ましい。なお、露点温度の下限は特に制限されないが、通常、-50℃以上であり、-40℃以上であることが好ましい。改質処理前、あるいは改質処理中に水分を除去することによって、シラノールに転化した第2のガスバリア層の脱水反応を促進する観点から好ましい形態である。
 <エネルギーの印加>
 続いて、上記のようにして形成された塗膜に対して、エネルギーを印加し、ポリシラザンの酸化ケイ素または酸窒化ケイ素等への転化反応を行い、第2のガスバリア層がガスバリア性を発現しうる無機薄膜への改質を行う。
 ポリシラザンの酸化ケイ素または酸窒化ケイ素等への転化反応は、公知の方法を適宜選択して適用することができる。改質処理としては、具体的には、プラズマ処理、紫外線照射処理、加熱処理が挙げられる。ただし、加熱処理による改質の場合、ケイ素化合物の置換反応による酸化ケイ素膜または酸窒化ケイ素層の形成には450℃以上の高温が必要であるため、プラスチック等のフレキシブル基板においては、適応が難しい。このため、熱処理は他の改質処理と組み合わせて行うことが好ましい。
 したがって、改質処理としては、プラスチック基板への適応という観点から、より低温で、転化反応が可能なプラズマ処理や紫外線照射処理による転化反応が好ましい。以下、好ましい改質処理方法であるプラズマ処理、紫外線照射処理について説明する。
 (プラズマ処理)
 本発明において、改質処理として用いることのできるプラズマ処理は、公知の方法を用いることができるが、好ましくは大気圧プラズマ処理等をあげることが出来る。大気圧近傍でのプラズマCVD処理を行う大気圧プラズマCVD法は、真空下のプラズマCVD法に比べ、減圧にする必要がなく生産性が高いだけでなく、プラズマ密度が高密度であるために成膜速度が速く、さらには通常のCVD法の条件に比較して、大気圧下という高圧力条件では、ガスの平均自由工程が非常に短いため、極めて均質の膜が得られる。
 大気圧プラズマ処理の場合は、放電ガスとしては窒素ガスまたは長周期型周期表の第18族原子を含むガス、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられ、特に窒素がコストも安く好ましい。
 (紫外線照射処理)
 改質処理の方法の1つとして、紫外線照射による処理が好ましい。紫外線(紫外光と同義)によって生成されるオゾンや活性酸素原子は高い酸化能力を有しており、低温で高い緻密性と絶縁性を有する酸化ケイ素膜または酸窒化ケイ素膜を形成することが可能である。
 この紫外線照射により、基材が加熱され、セラミックス化(シリカ転化)に寄与するOとHOや、紫外線吸収剤、ポリシラザン自身が励起、活性化されるため、ポリシラザンが励起し、ポリシラザンのセラミックス化が促進され、また得られる第2のガスバリア層が一層緻密になる。紫外線照射は、塗膜形成後であればいずれの時点で実施しても有効である。
 紫外線照射処理においては、常用されているいずれの紫外線発生装置を使用することも可能である。
 なお、本発明でいう紫外線とは、一般には、10~400nmの波長を有する電磁波をいうが、後述する真空紫外線(10~200nm)処理以外の紫外線照射処理の場合は、好ましくは210~375nmの紫外線を用いる。
 紫外線の照射は、照射される第2のガスバリア層を担持している基材がダメージを受けない範囲で、照射強度や照射時間を設定することが好ましい。
 基材としてプラスチックフィルムを用いた場合を例にとると、例えば、2kW(80W/cm×25cm)のランプを用い、基材表面の強度が20~300mW/cm、好ましくは50~200mW/cmになるように基材-紫外線照射ランプ間の距離を設定し、0.1秒~10分間の照射を行うことができる。
 一般に、紫外線照射処理時の基材温度が150℃以上になると、プラスチックフィルム等の場合には、基材が変形したり、その強度が劣化したりする等、基材の特性が損なわれることになる。しかしながら、ポリイミド等の耐熱性の高いフィルムの場合には、より高温での改質処理が可能である。したがって、この紫外線照射時の基材温度としては、一般的な上限はなく、基材の種類によって当業者が適宜設定することができる。また、紫外線照射雰囲気に特に制限はなく、空気中で実施すればよい。
 このような紫外線の発生手段としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、エキシマランプ(172nm、222nm、308nmの単一波長、例えば、ウシオ電機株式会社製、株式会社エム・ディ・コム製など)、UV光レーザー等が挙げられるが、特に限定されない。また、発生させた紫外線を第2のガスバリア層に照射する際には、効率向上と均一な照射を達成する観点から、発生源からの紫外線を反射板で反射させてから第2のガスバリア層に当てることが好ましい。
 紫外線照射は、バッチ処理にも連続処理にも適合可能であり、使用する基材の形状によって適宜選定することができる。例えば、バッチ処理の場合には、第2のガスバリア層を表面に有する積層体を上記のような紫外線発生源を具備した紫外線焼成炉で処理することができる。紫外線焼成炉自体は一般に知られており、例えば、アイグラフィクス株式会社製の紫外線焼成炉を使用することができる。また、第2のガスバリア層を表面に有する積層体が長尺フィルム状である場合には、これを搬送させながら上記のような紫外線発生源を具備した乾燥ゾーンで連続的に紫外線を照射することによりセラミックス化することができる。紫外線照射に要する時間は、使用する基材や第2のガスバリア層の組成、濃度にもよるが、一般に0.1秒~10分であり、好ましくは0.5秒~3分である。
 (真空紫外線照射処理:エキシマ照射処理)
 本発明において、最も好ましい改質処理方法は、真空紫外線照射による処理(エキシマ照射処理)である。真空紫外線照射による処理は、ポリシラザン化合物内の原子間結合力より大きい100~200nmの光エネルギーを用い、好ましくは100~180nmの波長の光エネルギーを用い、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみの作用により、直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることで、比較的低温(約200℃以下)で、酸化ケイ素膜の形成を行う方法である。なお、エキシマ照射処理を行う際は、上述したように熱処理を併用することが好ましい。
 本発明においての放射線源は、100~180nmの波長の光を発生させるものであればよいが、好適には約172nmに最大放射を有するエキシマラジエータ(例えば、Xeエキシマランプ)、約185nmに輝線を有する低圧水銀蒸気ランプ、並びに230nm以下の波長成分を有する中圧および高圧水銀蒸気ランプ、および約222nmに最大放射を有するエキシマランプである。
 このうち、Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから、発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。
 また、波長の短い172nmの光のエネルギーは、有機物の結合を解離させる能力が高いことが知られている。この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーによって、短時間でポリシラザン塗膜の改質を実現できる。
 エキシマランプは光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、光による温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域で、すなわち短い波長でエネルギーを照射するため、解射対象物の表面温度の上昇が抑えられる特徴を持っている。このため、熱の影響を受けやすいとされるPETなどのフレシキブルフィルム材料に適している。
 紫外線照射時の反応には、酸素が必要であるが、真空紫外線は、酸素による吸収があるため紫外線照射工程での効率が低下しやすいことから、真空紫外線の照射は、可能な限り酸素濃度および水蒸気濃度の低い状態で行うことが好ましい。すなわち、真空紫外線照射時の酸素濃度は、10~20,000体積ppm(0.001~2体積%)とすることが好ましく、50~10,000体積ppm(0.005~1体積%)とすることがより好ましい。また、転化プロセスの間の水蒸気濃度は、好ましくは1000~4000体積ppmの範囲である。
 真空紫外線照射時に用いられる、照射雰囲気を満たすガスとしては乾燥不活性ガスとすることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスにすることが好ましい。酸素濃度の調整は照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
 真空紫外線照射工程において、ポリシラザン塗膜が受ける塗膜面での該真空紫外線の照度は1mW/cm~10W/cmであると好ましく、30mW/cm~200mW/cmであることがより好ましく、50mW/cm~160mW/cmであるとさらに好ましい。1mW/cm以上であれば、改質効率が向上し、10W/cm以下であれば、塗膜に生じ得るアブレーションや、基材へのダメージを低減することができる。
 塗膜面における真空紫外線の照射エネルギー量(照射量)は、100mJ/cm~50J/cmであることが好ましく、200mJ/cm~20J/cmであることがより好ましく、500mJ/cm~10J/cmであることがさらに好ましい。100mJ/cm以上であれば、改質が十分となり、50J/cm以下であれば、過剰改質によるクラック発生や、基材の熱変形を抑制することができる。
 また、用いられる真空紫外線は、CO、COおよびCHの少なくとも一種を含むガスで形成されたプラズマにより発生させてもよい。さらに、CO、COおよびCHの少なくとも一種を含むガス(以下、炭素含有ガスとも称する)は、炭素含有ガスを単独で使用してもよいが、希ガスまたはHを主ガスとして、炭素含有ガスを少量添加することが好ましい。プラズマの生成方式としては容量結合プラズマなどが挙げられる。
 なお、本発明に係る領域(c)の厚さ方向の組成分布および厚さは、下記のようなXPS(光電子分光法)分析を用いた方法で測定して求めることができる。
 本発明に係る領域(c)のエッチングレートは組成によって異なるため、本発明においては、XPS分析での厚さは、SiO換算のエッチングレートを元にして一旦求めておき、同一試料の断面TEM画像をもとに、積層して形成した領域の各領域間の界面を特定して一領域当たりの厚さを求め、これをXPS分析から求めた厚さ方向の組成分布と比較しながら、厚さ方向の組成分布における各領域を特定し、それぞれに対応するXPS分析から求めた各領域の厚さと、断面TEM画像から求めた各領域の厚さが一致するように、XPS分析から求めた各領域の厚さに対して一律に係数をかけることで厚さ方向の補正を行っている。
 本発明におけるXPS分析は、下記の条件で行ったものであるが、装置や測定条件が変わっても本発明の主旨に即した測定方法であれば問題なく適用できるものである。
 本発明の主旨に即した測定方法とは、主に厚さ方向の解像度であり、測定点1点あたりのエッチング深さ(下記のスパッタイオンとデプスプロファイルの条件に相当)は1~15nmであることが好ましく、1~10nmであることがより好ましい。
 《XPS分析条件》
 ・装置:アルバックファイ製QUANTERASXM
 ・X線源:単色化Al-Kα
 ・測定領域:Si2p、C1s、N1s、O1s
 ・スパッタイオン:Ar(2keV)
 ・デプスプロファイル:一定時間スパッタ後、測定を繰り返す。1回の測定は、SiO換算で、約2.8nmの厚さ分となるようにスパッタ時間を調整する
 ・定量:バックグラウンドをShirley法で求め、得られたピーク面積から相対感度係数法を用いて定量した。データ処理は、アルバックファイ社製のMultiPakを用いる。
 このようにして、第2のガスバリア層の膜厚方向の組成分布のプロファイルの一次データを得る。
 また、各試料の断面をTEMで撮影し、積層構成の各膜厚を求める。上記で求めた膜厚方向の組成分布のプロファイルをTEM画像から求めた実膜厚データを用いて補正し、領域の膜厚方向の組成分布を得る。これを元に、領域(c)の厚さを求める。
 TEM画像により一領域当たりの厚さを求める方法は、ガスバリア性フィルムを、以下のFIB加工装置により薄片を作製した後、定法に従い断面TEM観察を行えばよい。このようにして、各領域の厚さを算出できる。FIB加工およびTEM観察に用いることができる一例を以下に示す。
 《FIB加工》
 ・装置:SII製SMI2050
 ・加工イオン:(Ga 30kV)
 ・試料厚み:100nm~200nm
 《TEM観察》
 ・装置:日本電子株式会社製JEM2000FX(加速電圧:200kV)。
 該第2のガスバリア層は、単層でもよいし2層以上の積層構造であってもよい。該第2のガスバリア層が2層以上の積層構造である場合、各第2のガスバリア層は同じ組成であってもよいし異なる組成であってもよい。
 第2のガスバリア層の厚さ(2層以上の積層構造である場合はその総厚)は、10~1000nmであることが好ましく、50~600nmであることがより好ましい。この範囲であれば、ガスバリア性と耐久性とのバランスが良好となり好ましい。第2のガスバリア層の厚さは、TEM観察により測定することができる。
 [(D)ケイ素よりも酸化還元電位が低い金属の酸化物を主成分として含み、波長450nmの光の屈折率が2.0以上である層]
 本発明に係る(D)層は、ケイ素よりも酸化還元電位が低い金属の酸化物を主成分として含み、波長450nmの光の屈折率が2.0以上である。このような(D)層は単独では、例えば、有機EL素子のダークスポットを低減させるだけの高いガスバリア性は有さないものの、高温高湿環境では領域(c)を有する第2のガスバリア層よりも先に酸化されることになる。したがって、高温高湿環境における第2のガスバリア層表面の酸化抑制効果が発揮され、スポット的なガスバリア性の低下が生じにくくなると考えられる。よって、該(D)層を備える本発明のガスバリア性フィルムは、高温高湿環境での耐久性に優れる。
 ここで、「ケイ素よりも酸化還元電位が低い金属の酸化物を主成分として含む」とは、ケイ素よりも酸化還元電位が低い金属の酸化物の含有量が、(D)層の全質量に対して50質量%以上であることを意味する。該含有量は、80質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが特に好ましく、100質量%である(すなわち、(D)層はケイ素よりも酸化還元電位が低い金属酸化物からなる)ことが最も好ましい。
 ケイ素よりも酸化還元電位が低い金属の具体例としては、例えば、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、マグネシウム、イットリウム、アルミニウム等が挙げられる。これら金属は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。
 これらの中でも、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、およびチタンからなる群より選択される少なくとも1種の金属が好ましい。すなわち、(D)層は、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、およびチタンからなる群より選択される少なくとも1種の金属の酸化物を主成分として含むことが好ましい。
 主要な金属の標準酸化還元電位と、これらの金属の酸化物の波長450nmの光の屈折率を下表に示す。下記の金属の酸化物の波長450nmの光の屈折率は、例えば、分光エリプソメータを用いて測定することができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
 ニオブ、タンタル、ジルコニウム、およびチタンからなる群より選択される少なくとも1種の金属の酸化物は、単独で波長450nmの光の屈折率が2.0を超えるため、(D)層における波長450nmの光の屈折率を2.0以上に制御することが容易になるため好ましい。さらに、例えば、有機EL素子におけるダークスポットの発生をさらにより抑制できるという観点から、(D)層は、ニオブおよびタンタルの少なくとも一方の金属の酸化物を主成分として含むことがより好ましい。
 好ましい形態として、(D)層は、ケイ素よりも酸化還元電位が低い金属の酸化物であり、かつ波長450nmの光の屈折率が2.0以上である金属酸化物を主成分として含んでいれば、他の化合物を含んでもよい。他の化合物の例としては、例えば、ハフニウム、マグネシウム、イットリウム、アルミニウム等が挙げられる。これら他の化合物は、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。
 また、(D)層は、波長450nmの光の屈折率が2.0以上である。このような屈折率を有する(D)層を備える本発明のガスバリア性フィルムは、波長450nm付近の青色光の透過性(光取り出し性)に優れ、該ガスバリア性フィルムを用いた電子デバイスは青色光の発光効率に優れたものとなる。波長450nmの光の屈折率が2.0未満の場合、光取り出し性が低下する。(D)層の波長450nmの光の屈折率は、好ましくは2.05以上、より好ましくは2.10以上である。また該屈折率の上限値は、特に制限されないが、3.00以下であることが好ましく、2.90以下であることがより好ましい。
 (D)層の波長450nmの光の屈折率は、具体的には、一般的な分光エリプソメータや、Scientific Computing International社製の非接触膜厚屈折率測定システムFilmTekシリーズ等を用いて測定することができる。また、(D)層の波長450nmの光の屈折率は、例えば、構成材料として波長450nmの光の屈折率が2.0以上である金属酸化物(例えば、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、およびチタンからなる群より選択される少なくとも1種の金属の酸化物)であり、かつ完全酸化よりも酸化状態が低い(酸素が欠損している)化合物を主成分とするターゲットを用いたスパッタによる製膜で、酸素導入量を調整して酸化度を変化させる等の方法により制御することができる。
 (D)層の形成方法としては、特に制限されず、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法(PVD)法、プラズマCVD(chemical vapordeposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)などの化学蒸着法が挙げられる。中でも、下部に備える第2のガスバリア層へのダメージを与えることなく成膜が可能となり、高い生産性を有することから、スパッタ法により形成することが好ましい。
 スパッタ法による成膜は、DC(直流)スパッタ法、RF(高周波)スパッタ法、これらマグネトロンスパッタリングを組み合わせた方法、さらに中間的な周波数領域を用いたデュアルマグネトロン(DMS)スパッタ法などの従来技術を、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。また、金属モードと、酸化物モードの中間である遷移モードを利用した反応性スパッタ法も用いることができる。遷移領域となるようにスパッタ現象を制御することにより、高い成膜スピードで金属酸化物を成膜することが可能となるため好ましい。DCスパッタリングやDMSスパッタリングを行なう際には、そのターゲットにケイ素よりも酸化還元電位が低い金属を用い、さらに、プロセスガス中に酸素を導入することで、ケイ素よりも酸化還元電位が低い金属の酸化物の薄膜を形成することができる。また、RF(高周波)スパッタ法で成膜する場合は、ケイ素よりも酸化還元電位が低い金属の酸化物のターゲットを用いることができる。プロセスガスとしては、He、Ne、Ar、Kr、Xe等の不活性ガス、酸素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素のうち少なくとも1種等のプロセスガスを用いることができる。スパッタ法における成膜条件としては、印加電力、放電電流、放電電圧、時間等が挙げられるが、これらは、スパッタ装置や、膜の材料、膜厚等に応じて適宜選択することができる。
 中でも、成膜レートがより高く、より高い生産性を有することから、ケイ素よりも酸化還元電位が低い金属の酸化物をターゲットとして用いるスパッタ法が好ましい。
 (D)層は、単層でもよいし2層以上の積層構造であってもよい。該(D)層が2層以上の積層構造である場合、該(D)層は同じ組成であってもよいし異なる組成であってもよい。
 (D)層の厚さ(2層以上の積層構造である場合はその総厚)は、特に制限されないが、1~500nmであることが好ましく、5~200nmであることがより好ましい。この範囲であれば、生産性の高い成膜タクトタイムの範囲内で、十分なガスバリア性向上効果が得られるという利点が得られる。
 [種々の機能を有する層]
 本発明に係るガスバリア性フィルムにおいては、種々の機能を有する層を設けることができる。
 (アンカーコート層)
 本発明に係るガスバリア層(第1のガスバリア層、第2のガスバリア層)を形成する側の樹脂基材の表面には、ガスバリア層との密着性の向上を目的として、アンカーコート層を形成してもよい。
 アンカーコート層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、およびアルキルチタネート等を単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
 これらのアンカーコート剤には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記のアンカーコート剤は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により支持体上にコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去することによりアンカーコーティングすることができる。上記のアンカーコート剤の塗布量としては、0.1~5.0g/m(乾燥状態)程度が好ましい。
 また、アンカーコート層は、物理蒸着法または化学蒸着法といった気相法により形成することもできる。例えば、特開2008-142941号公報に記載のように、接着性等を改善する目的で酸化珪素を主体とした無機膜を形成することもできる。あるいは、特開2004-314626号公報に記載されているようなアンカーコート層を形成することで、その上に気相法により無機薄膜を形成する際に、基材側から発生するガスをある程度遮断して、無機薄膜の組成を制御するといった目的でアンカーコート層を形成することもできる。
 また、アンカーコート層の厚さは、特に制限されないが、0.5~10μm程度が好ましい。
 (平滑層)
 本発明に係るガスバリア性フィルムにおいては、樹脂基材と第1のガスバリア層との間に、平滑層を有してもよい。本発明に用いられる平滑層は突起等が存在する樹脂基材の粗面を平坦化し、あるいは、樹脂基材に存在する突起により透明無機化合物層に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化するために設けられる。このような平滑層は、基本的には感光性材料、または、熱硬化性材料を硬化させて作製される。
 平滑層の感光性材料としては、例えば、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。具体的には、JSR株式会社製のUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR(登録商標)シリーズを用いることができる。また、上記のような樹脂組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。
 熱硬化性材料として具体的には、クラリアント社製のトゥットプロムシリーズ(有機ポリシラザン)、セラミックコート株式会社製のSP COAT耐熱クリアー塗料、株式会社アデカ製のナノハイブリッドシリコーン、DIC株式会社製のユニディック(登録商標)V-8000シリーズ、EPICLON(登録商標) EXA-4710(超高耐熱性エポキシ樹脂)、信越化学工業株式会社製の各種シリコン樹脂、日東紡株式会社製の無機・有機ナノコンポジット材料SSGコート、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。この中でも特に耐熱性を有するエポキシ樹脂ベースの材料であることが好ましい。
 平滑層の形成方法は、特に制限はないが、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法等のウエットコーティング法、あるいは、蒸着法等のドライコーティング法により形成することが好ましい。
 平滑層の形成では、上述の感光性樹脂に、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を加えることができる。また、平滑層の積層位置に関係なく、いずれの平滑層においても、成膜性向上および膜のピンホール発生防止等のために適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。
 平滑層の厚さとしては、フィルムの耐熱性を向上させ、フィルムの光学特性のバランス調整を容易にする観点から、1~10μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、2μm~7μmの範囲にすることが好ましい。
 平滑層の平滑性は、JIS B 0601:2001で規定される表面粗さで表現される値で、十点平均粗さRzが、10nm以上、30nm以下であることが好ましい。この範囲であれば、バリア層を塗布形式で塗布した場合であっても、ワイヤーバー、ワイヤレスバー等の塗布方式で、平滑層表面に塗工手段が接触する場合であっても塗布性が損なわれることが少なく、また、塗布後の凹凸を平滑化することも容易である。
 [電子デバイス本体]
 本発明のガスバリア性フィルムは、空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化するデバイスに好ましく適用できる。すなわち、本発明は、本発明のガスバリア性フィルムと、上記(D)層の上記第2のガスバリア層を有する面とは反対側の面上に形成される電子デバイス本体と、を含む電子デバイスを提供する。
 本発明の電子デバイスに用いられる電子デバイス本体の例としては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)、液晶表示素子(LCD)、薄膜トランジスタ、タッチパネル、電子ペーパー、太陽電池(PV)等を挙げることができる。本発明の効果がより効率的に得られるという観点から、該電子デバイス本体は有機EL素子または太陽電池が好ましく、有機EL素子がより好ましい。
 以下、具体的な電子デバイス本体の一例として有機EL素子およびこれを用いた有機ELパネルについて説明する。
 下記では有機EL素子の層構成の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
 (1)陽極/発光層/陰極
 (2)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
 (3)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
 (4)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
 (5)陽極/陽極バッファー層(正孔注入層)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/陰極
 (陽極)
 有機EL素子における陽極(透明電極)としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In-ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
 陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜として形成し、その薄膜をフォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
 この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましい。また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。また、陽極の膜厚は材料にもよるが、通常10~1000nm、好ましくは10~200nmの範囲で選ばれる。
 (陰極)
 有機EL素子における陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性および酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が陰極として好適である。
 陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。また、陰極の膜厚は通常10nm~5μm、好ましくは50~200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が透明または半透明であれば、発光輝度が向上し好都合である。
 また、陰極の説明で挙げた上記金属を1~20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
 (注入層:電子注入層、正孔注入層)
 注入層には電子注入層と正孔注入層があり、電子注入層と正孔注入層を必要に応じて設け、陽極と発光層または正孔輸送層の間、および陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させる。
 注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123~166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
 陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9-45479号公報、特開平9-260062号公報、特開平8-288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
 陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6-325871号公報、特開平9-17574号公報、特開平10-74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的には、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1nm~5μmの範囲が好ましい。
 (発光層)
 有機EL素子における発光層は、電極(陰極、陽極)または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子および正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
 有機EL素子の発光層には、以下に示すドーパント化合物(発光ドーパント)とホスト化合物(発光ホスト)が含有されることが好ましい。これにより、より一層発光効率を高くすることができる。
 (発光ドーパント)
 発光ドーパントは、大きく分けて蛍光を発光する蛍光性ドーパントとリン光を発光するリン光性ドーパントの2種類がある。
 蛍光性ドーパントの代表例としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、または希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
 リン光性ドーパントの代表例としては、好ましくは元素の周期表で第8族、第9族、第10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。発光ドーパントは複数種の化合物を混合して用いてもよい。
 (発光ホスト)
 発光ホスト(単にホストとも言う)とは、2種以上の化合物で構成される発光層中にて混合比(質量)の最も多い化合物のことを意味し、それ以外の化合物については「ドーパント化合物(単に、ドーパントとも言う)」という。例えば、発光層を化合物A、化合物Bという2種で構成し、その混合比がA:B=10:90であれば化合物Aがドーパント化合物であり、化合物Bがホスト化合物である。さらに発光層を化合物A、化合物B、化合物Cの3種から構成し、その混合比がA:B:C=5:10:85であれば、化合物A、化合物Bがドーパント化合物であり、化合物Cがホスト化合物である。
 発光ホストとしては構造的には特に制限はないが、代表的にはカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族ボラン誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するもの、またはカルボリン誘導体やジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の少なくとも一つの炭素原子が窒素原子で置換されているものを表す)等が挙げられる。中でも、カルボリン誘導体、ジアザカルバゾール誘導体等が好ましく用いられる。
 そして、発光層は上記化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により成膜して形成することができる。発光層としての膜厚は特に制限はないが、通常は5nm~5μm、好ましくは5~200nmの範囲で選ばれる。この発光層はドーパント化合物やホスト化合物が1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、あるいは同一組成または異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
 (正孔輸送層)
 正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
 正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物およびスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型-Si、p型-SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
 正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm~5μm程度、好ましくは5~200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよい。
 (電子輸送層)
 電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する電子輸送材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
 電子輸送材料としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、8-キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8-キノリノール)アルミニウム(Alq3)、トリス(5,7-ジクロロ-8-キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7-ジブロモ-8-キノリノール)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-キノリノール)アルミニウム、トリス(5-メチル-8-キノリノール)アルミニウム、ビス(8-キノリノール)亜鉛(Znq)等、およびこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型-Si、n型-SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
 電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm~5μm程度、好ましくは5~200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよい。
 (有機EL素子の作製方法)
 有機EL素子の作製方法について説明する。
 ここでは有機EL素子の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製方法について説明する。
 まず、ガスバリア性フィルム上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10~200nmの膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング、プラズマCVD等の方法により形成させ、陽極を作製する。
 次に、その上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の有機化合物薄膜を形成させる。この有機化合物薄膜の成膜方法としては、蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法)等があるが、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法が特に好ましい。さらに層毎に異なる成膜法を適用してもよい。成膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50~450℃、真空度10-6~10-2Pa、蒸着速度0.01~50nm/秒、基板温度-50~300℃、膜厚0.1nm~5μm、好ましくは5~200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
 これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50~200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
 この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して陽極、正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。また、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
 このようにして得られた有機EL素子を備える多色の表示装置(有機ELパネル)に、直流電圧を印加する場合には、陽極をプラス、陰極をマイナスの極性として電圧2~40V程度を印加すると発光が観測できる。また、交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
 本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
 〔樹脂基材〕
 両面ハードコート付きPETフィルム(全厚み:136μm、PET厚み:125μm、株式会社きもと製、商品名:KBフィルム(商標)125G1SBF)を用いた。
 〔第1のガスバリア層の形成〕
 特許第4268195号公報に記載の対向する成膜ロールからなる成膜部を有する装置を2台つなげたタイプ(第1成膜部、第2成膜部を有する)のロール・トゥ・ロール型CVD成膜装置を用いた(図2参照)。有効成膜幅を1000mmとし、成膜条件は、搬送速度、第一成膜部、第二成膜部それぞれの原料ガス(HMDSO)の供給量、酸素ガスの供給量、真空度、印加電力、電源の周波数、成膜回数(装置のパス数)で調整した。1パス目に対して、2パス目は基材を巻き戻す方向に搬送しているが、パス方向が異なる場合でも、最初に通過する成膜部を第一成膜部、次に通過する成膜部を第二成膜部とした。
 その他の条件として、電源周波数は84kHz、成膜ロールの温度はすべて30℃とした。用いる基材は、成膜面と反対面に耐熱性の保護フィルムを貼合して巻き取ったものを用いた。両面に成膜する場合は、片面成膜後の基材の成膜済面にさらに耐熱性の保護フィルムを貼合し、次いで、次の成膜面である反対面の保護フィルムを剥離して巻き取ったものを用いた。膜厚は断面TEM観察で求めた。
 第1成膜部および第2成膜部の成膜条件を、下記表1に示す。また、表1のV4の条件では、マグネトロンスパッタ法により第1のガスバリア層を形成した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 〔第2のガスバリア層の形成〕
 第2のガスバリア層は、下記に示すようなポリシラザンを含む塗布液を塗布し塗布膜を形成した後、真空紫外線照射による改質を行って形成した。
 パーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NN120-20)と、アミン触媒(N,N,N',N'-テトラメチル-1,6-ジアミノヘキサン(TMDAH))を含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NAX120-20)とを、4:1(質量比)の割合で混合し、さらに乾燥膜厚調整のためジブチルエーテルで適宜希釈し、塗布液を調製した。
 第1のガスバリア層を形成した樹脂基材をシート状に切り出して準備した。塗膜形成は、すでに形成済みの第1のガスバリア層面に行った。スピンコート法により塗布液を下記表2に示す乾燥膜厚になるよう塗布し、80℃で2分間乾燥した。次いで、乾燥した塗膜に対して、波長172nmのXeエキシマランプを用い、下記表2に示す酸素濃度、および照射エネルギーの条件で、真空紫外線照射処理を施して第2のガスバリア層を形成した。
 成膜条件の詳細を、下記表2に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 第2のガスバリア層が備える領域(c)の厚さ方向の組成分布は、以下のようなXPS分析を用いた方法で測定して求めた。
 (XPS分析条件)
 ・装置:アルバックファイ製QUANTERASXM
 ・X線源:単色化Al-Kα
 ・測定領域:Si2p、C1s、N1s、O1s
 ・スパッタイオン:Ar(2keV)
 ・デプスプロファイル:一定時間スパッタ後、測定を繰り返す。1回の測定は、SiO換算で約2.8nmの厚さ分となるようにスパッタ時間を調整した
 ・定量:バックグラウンドをShirley法で求め、得られたピーク面積から相対感度係数法を用いて定量した。データ処理は、アルバックファイ社製のMultiPakを用いた。
 このようにして、第2のガスバリア層における膜厚方向の組成分布のプロファイルの一次データを得た。得られた膜厚方向の組成分布のプロファイルを、TEM画像から求めた実膜厚データを用いて補正し、膜厚方向の組成分布を得て、領域(c)の厚さを求めた。
 第2のガスバリア層の膜厚は断面TEM観察で求めた。
 〔(D)層の形成〕
 (D)層は、マグネトロンスパッタ装置を用い、下記表3に示すターゲットおよび条件により形成した。また、(D)層の屈折率は、分光エリプソメータを用いて測定した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 (比較例1)
 樹脂基材の一方の面上に、上記表1のV2の条件で第1のガスバリア層を形成した。次いで、この第1のガスバリア層の上に、上記表2のP4の条件で第2のガスバリア層を形成し、ガスバリア性フィルム(試料No.1)を作製した。
 (比較例2)
 上記表2のP4の条件を2回繰り返して第2のガスバリア層を形成したこと以外は、比較例1と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.2)を作製した。
 (実施例1)
 樹脂基材の一方の面上に、上記表1のV2の条件で第1のガスバリア層を形成した。次いで、この第1のガスバリア層の上に、上記表2のP4の条件で第2のガスバリア層を形成した。さらに第2のガスバリア層の上に、上記表3のM1の条件で(D)層を形成し、ガスバリア性フィルム(試料No.3)を作製した。
 (比較例3)
 樹脂基材の一方の面上に、上記表1のV3の条件で第1のガスバリア層を形成した。次いで、この第1のガスバリア層の上に、上記表2のP2の条件で第2のガスバリア層を形成した。さらに第2のガスバリア層の上に、上記表3のM2の条件で(D)層を形成し、ガスバリア性フィルム(試料No.4)を作製した。
 (実施例2)
 樹脂基材の一方の面上に、上記表1のV2の条件で第1のガスバリア層を形成した。次いで、この第1のガスバリア層の上に、上記表2のP3の条件で第2のガスバリア層を形成した。さらに第2のガスバリア層の上に、上記表3のM3の条件で(D)層を形成し、ガスバリア性フィルム(試料No.5)を作製した。
 (実施例3)
 樹脂基材の一方の面上に、上記表1のV1の条件で第1のガスバリア層を形成した。次いで、この第1のガスバリア層の上に、上記表2のP4の条件を2回繰り返して第2のガスバリア層を形成した。さらに第2のガスバリア層の上に、上記表3のM2の条件で(D)層を形成し、ガスバリア性フィルム(試料No.6)を作製した。
 (実施例4)
 樹脂基材の一方の面上に、上記表2のP4の条件で第1のガスバリア層を形成した。次いで、この第1のガスバリア層の上に、上記表2のP4の条件を2回繰り返して第2のガスバリア層を形成した。さらに、第2のガスバリア層の上に、上記表3のM1の条件で(D)層を形成し、ガスバリア性フィルム(試料No.7)を作製した。
 (実施例5)
 樹脂基材の一方の面上に、上記表1のV4の条件で第1のガスバリア層を形成した。次いで、この第1のガスバリア層の上に、上記表2のP4の条件で第2のガスバリア層を形成した。さらに第2のガスバリア層の上に、上記表3のM2の条件で(D)層を形成し、ガスバリア性フィルム(試料No.8)を作製した。
 (実施例6)
 樹脂基材の一方の面上に、上記表1のV2の条件で第1のガスバリア層を形成した。次いで、上記表2のP4の条件を3回繰り返し、第2のガスバリア層を形成した。さらに、第2のガスバリア層の上に、上記表3のM1の条件で(D)層を形成し、ガスバリア性フィルム(試料No.9)を作製した。
 (実施例7)
 樹脂基材の一方の面上に、上記表1のV2の条件で第1のガスバリア層を形成した。次いで、上記表2のP4の条件を2回繰り返して第2のガスバリア層を形成した。さらに、第2のガスバリア層の上に、上記表3のM4の条件で(D)層を形成し、ガスバリア性フィルム(試料No.10)を作製した。
 (実施例8)
 上記表3のM4の条件に代わって、上記表3のM5の条件で(D)層を形成したこと以外は、実施例7と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.11)を作製した。
 (実施例9)
 上記表3のM4の条件に代わって、上記表3のM6の条件で(D)層を形成したこと以外は、実施例7と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.12)を作製した。
 (比較例4)
 樹脂基材の一方の面上に、上記表1のV2の条件で第1のガスバリア層を形成した。次いで、上記表2のP5の条件を3回繰り返して第2のガスバリア層を形成した。さらに第2のガスバリア層の上に、上記表3のM2の条件で(D)層を形成し、ガスバリア性フィルム(試料No.13)を作製した。
 (比較例5)
 上記表3のM1の条件に代わって、上記表3のM7の条件で(D)層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルム(試料No.14)を作製した。
 実施例および比較例で得られた各層の構成を下記表4に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
 ≪有機EL素子の作製方法≫
 実施例1~9および比較例1~5で得られたガスバリア性フィルムを用い、下記に示すような方法で、発光領域の面積が5cm×5cmとなるように、ボトムエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を作製した。
 (下地層、第1電極の形成)
 ガスバリア性フィルムを、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、化合物118をタングステン製の抵抗加熱ボートに入れ、これら基材ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽内に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、真空蒸着装置の第2真空槽内に取り付けた。
 次に、真空蒸着装置の第1真空槽を4×10-4Paまで減圧した後、化合物118の入った加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒~0.2nm/秒で第1電極の下地層を厚さ10nmで設けた。
 次に、下地層まで形成した基材を真空のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10-4Paまで減圧した後、銀の入った加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.1nm/秒~0.2nm/秒で厚さ8nmの銀からなる第1電極を形成した。
 (有機機能層~第2電極)
 引き続き、市販の真空蒸着装置を用い、真空度1×10-4Paまで減圧した後、基材を移動させながら化合物HT-1を、蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、20nmの正孔輸送層(HTL)を設けた。
 次に、化合物A-3(青色発光ドーパント)、化合物A-1(緑色発光ドーパント)、化合物A-2(赤色発光ドーパント)および化合物H-1(ホスト化合物)を、化合物A-3が膜厚に対し線形に35質量%から5質量%になるように場所により蒸着速度を変化させ、化合物A-1と化合物A-2とは膜厚に依存することなく各々0.2質量%の濃度になるように、蒸着速度0.0002nm/秒で、化合物H-1は64.6質量%から94.6質量%になるように場所により蒸着速度を変化させて、厚さ70nmになるよう共蒸着し発光層を形成した。
 その後、化合物ET-1を膜厚30nmに蒸着して電子輸送層を形成し、さらにフッ化カリウム(KF)を厚さ2nmで形成した。さらに、アルミニウム110nmを蒸着して第2電極を形成した。
 なお、上記化合物118、化合物HT-1、化合物A-1~3、化合物H-1、および化合物ET-1は、以下に示す化合物である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
 (固体封止)
 次に、封止部材として厚さ25μmのアルミ箔を使用し、このアルミ箔の片面に封止樹脂層として熱硬化型のシート状接着剤(エポキシ系樹脂)を厚さ20μmで貼合した封止部材を用いて、第2電極までを作製した試料に重ね合わせた。このとき、第1電極および第2電極の引き出し電極の端部が外に出るように、封止部材の接着剤形成面と、素子の有機機能層面とを連続的に重ね合わせた。
 次いで、試料を減圧装置内に配置し、90℃で0.1MPaの減圧条件下で、重ね合わせた基材と封止部材とに押圧をかけて5分間保持した。続いて、試料を大気圧環境に戻し、さらに120℃で30分間加熱して接着剤を硬化させた。
 上記封止工程は、大気圧下、含水率1ppm以下の窒素雰囲気下で、JIS B 9920:2002に準拠し、測定した清浄度がクラス100で、露点温度が-80℃以下、酸素濃度0.8ppm以下の大気圧で行った。なお、陽極、陰極からの引き出し配線等の形成に関する記載は省略してある。
 このようにして、発光領域が5cm×5cmサイズの電子デバイスを、1水準について4枚作製した。
 (ダークスポット(DS)の評価)
 上記のようにして得られた有機EL素子を85℃、85%RHの環境下で200時間通電を行い、発生しているダークスポットについて、円換算直径が300μm以上であるダークスポットの発生個数を4枚のデバイスの平均で求めた。
 (波長450nmにおける発光効率改善)
 第2のガスバリア層の上に(D)層を設けたことによる、波長450nmの光の発光効率改善効果の有無を評価した。(D)層を設けていないガスバリア性フィルムを用いた有機ELデバイスの波長450nmにおける発光を100としたとき、(D)層を設けた以外は、同一の構成であるガスバリア性フィルムを用いた際の有機EL素子の波長450nmにおける発光を相対値で示した。この値が102以上であれば改善効果ありとして、下記表5に○で示した。98未満であれば劣化として、下記表5に×で示した。98~102であれば変化なしとし、下記表5に-で示した。なお、比較例4は、第2のガスバリア層にクラックが生じたため、評価ができなかった。
 以上の評価結果を下記表5に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
 上記表5から明らかなように、本発明のガスバリア性フィルムは、高温高湿環境での耐久性に優れ、かつ波長450nm付近の青色光の透過性に優れる。特に、実施例6は、ダークスポットが発生しなかったが、これは、領域(c)が厚いためと思われる。領域(c)は水分捕捉能を有し、割れない範囲で厚いほど、ダークスポット発生までの時間を長くすることができる。したがって、電子デバイスに求められる耐用期間を超える水分捕捉能(時間換算)を有していれば、実質的にダークスポットは発生しないと言える。
 さらに、本出願は、2014年5月20日に出願された日本特許出願番号2014-104698号に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。

Claims (5)

  1.  (A)樹脂基材、
     (B)無機化合物を含む第1のガスバリア層、
     (C)ポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜にエネルギーを印加して形成され、SiO(ただし、0.2<w≦0.55、0.66<x≦0.75)で表される組成範囲を満たし、かつ、50~1000nmの厚さを有する領域を有する第2のガスバリア層、ならびに
     (D)ケイ素よりも酸化還元電位が低い金属の酸化物を主成分として含み、波長450nmの光の屈折率が2.0以上である層、
    をこの順に含む、ガスバリア性フィルム。
  2.  前記(D)層は、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、およびチタンからなる群より選択される少なくとも1種の金属の酸化物を主成分として含む、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3.  前記(D)層は、ニオブおよびタンタルの少なくとも一方の金属の酸化物を主成分として含む、請求項2に記載のガスバリア性フィルム。
  4.  前記第2のガスバリア層の形成におけるエネルギーの印加が真空紫外線を照射することにより行われる、請求項1~3のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  5.  請求項1~4のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムと、
     前記(D)層の前記第2のガスバリア層を有する面とは反対側の面上に形成される電子デバイス本体と、
    を含む電子デバイス。
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