JPWO2014167613A1 - リチウムイオン二次電池の活物質およびそれを用いたリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

リチウム金属の析出を抑制し得るリチウムイオン二次電池の活物質を提供する。リチウムイオン二次電池の活物質は、LiZnP(x)V(1-x)O4(0<x<1)で表される組成を有し、リチウム金属を基準とする酸化還元電位が0Vよりも高く、1.5V以下である。

Description

本願は、リチウムイオン二次電池の活物質およびそれを用いたリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、高電圧であり、かつ高エネルギー密度を有するため、電子機器用、電力貯蔵用または電気自動車の電源として期待されている。
リチウムイオン二次電池は、正極、負極、正極および負極の間に配置されたセパレータ、および電解質を備えている。セパレータには、例えば、ポリオレフィン製の微多孔膜が用いられている。電解質として、例えばLiBF4、LiPF6等のリチウム塩を非プロトン性の有機溶媒に溶解した液状リチウムなどの非水電解質が用いられる。正極は、例えばリチウムコバルト酸化物(たとえばLiCoO2)などの正極活物質を有している。負極は、例えば黒鉛など様々な炭素材料を用いた負極活物質を有している。
炭素材料を負極活物質として用いるリチウムイオン二次電池では、炭素材料の酸化還元電位がリチウム金属の析出電位に近いことから、高レート充電や僅かな電極内の充電ムラなどにより、負極表面上にリチウム金属が析出することがある。リチウム金属の析出は、サイクル寿命の劣化(特に低温で使用した場合)を引き起こす可能性があるため、リチウムイオン二次電池の開発にあたって課題の1つとなっている。
このため、リチウム金属の析出電位よりも十分に高い電位で酸化還元する負極活物質も提案されている。例えば、リチウム金属を基準とする作動電位が1.5VであるLi4Ti512(特許文献1参照)が挙げられる。
特許第3502118号公報
本願の、限定的ではない例示的なある実施形態は、リチウム金属の析出を抑制し得る新規な活物質、および、そのような活物質を用いたリチウムイオン二次電池を提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、LiZnP(x)(1-x)4(0<x<1)で表される組成を有し、リチウム金属を基準とする酸化還元電位が0Vよりも高く、1.5V以下である活物質を含む。
本発明による一態様によれば、リチウム金属の析出を抑制し得る新規なリチウムイオン二次電池用活物質、および、そのような活物質を用いたリチウムイオン二次電池を提供できる。
本発明による実施形態のリチウムイオン二次電池を例示する断面図である。 (a)および(b)は、それぞれ、LiZnPO4を例に、空間群Ccおよび空間群R3に属する結晶構造を説明するモデル図である。 充放電サイクル試験前の実施例および比較例の活物質のX線回折パターンを示す図である。 充放電サイクル試験前後に測定した比較例1の活物質(LiZnVO4)のX線回折パターンを比較する図である。
本発明の一態様の概要は以下のとおりである。
(1)本発明の一態様であるリチウムイオン二次電池の活物質は、LiZnP(x)(1-x)4(0<x<1)で表される組成を有し、リチウム金属を基準とする酸化還元電位が0Vよりも高く、1.5V以下である。
(2)項目(1)に記載の活物質は、例えば、P原子とV原子とが同一サイトを共有している結晶構造を有する。
(3)項目(1)または(2)に記載の活物質は、リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能であり、前記活物質が吸蔵したリチウムイオンを放出したとき、前記活物質は、例えば、三方晶系の結晶構造を有する。
(4)項目(3)に記載の活物質が吸蔵したリチウムイオンを放出したとき、前記結晶構造の少なくとも一部の空間群は、例えば、3回回転操作または3回回反操作を含む。
(5)項目(3)または(4)に記載の活物質が吸蔵したリチウムイオンを放出したとき、前記結晶構造の少なくとも一部の空間群は、例えば
Figure 2014167613
である。
(6)項目(1)から(5)のいずれかに記載の活物質の組成におけるxは、例えば、0.05≦x≦0.75を満たす。
(7)本発明の一態様であるリチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極活物質を含む正極と、項目(1)から(6)のいずれかの活物質を含む負極と、前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、リチウムイオン伝導性を有する電解質とを含む。
なお、本明細書において、「活物質が吸蔵したリチウムイオンを放出したとき」とは、リチウムイオンの放出を終了する時点を指し、活物質に不可逆的に吸蔵されたリチウムイオンが、結晶構造の内部または外部に存在していてもよい。例えば、本実施形態の活物質を負極に用いたリチウムイオン二次電池においては、「活物質が吸蔵したリチウムイオンを放出したとき」は放電終了時の状態を指す。
(実施の形態)
以下、本発明による活物質の実施の形態を説明する。本実施形態の活物質はリチウムイオンを吸蔵および放出することが可能であり、例えばリチウムイオン二次電池の負極活物質として用いられ得る。
本実施形態の活物質は、LiZnP(x)(1-x)4(0<x<1)で表される組成を有する。活物質のリチウム金属を基準とする酸化還元電位Vc(以下、「活物質の酸化還元電位Vc」と略する。)は0Vよりも高く、1.5V以下である。
活物質の酸化還元電位Vcが0Vよりも高いので、リチウム金属の析出を抑制できる。また、酸化還元電位Vcが1.5V以下であるため、正極と負極との間の電圧を確保でき、エネルギー密度の低下を抑制できる。従って、本実施形態の活物質を用いると、リチウム金属の析出を抑制でき、かつ、高いエネルギー密度を有するリチウム二次電池を実現できる。さらに、後述するように、充放電の繰り返しによる活物質の結晶崩壊を抑制できるので、高い信頼性が得られる。なお、本実施形態の活物質は、上記組成を有する活物質材料に加えて、他の活物質材料を含んでいてもよい。例えば上記活物質材料と他の活物質材料との混合物であってもよい。
本実施形態では、活物質の酸化還元電位Vcは、好ましくは0.5V以上である。これにより、リチウム金属の析出をより効果的に抑制できる。一方、活物質の酸化還元電位Vcが黒鉛系活物質材料の酸化還元電位よりも高すぎると、正負極間の電圧が低くなり、エネルギー密度が従来よりも低下するおそれがある。エネルギー密度の低下をより確実に抑えるためには、本実施形態の活物質の酸化還元電位Vcは、好ましくは1.5V未満、より好ましくは1.0V以下である。
以下に、本実施形態の組成(LiZnP(x)(1-x)4(0<x<1))を有する活物質について、より詳しく説明する。
<活物質の組成:LiZnP(x)(1-x)4(0<x<1)>
上記組成を有する活物質の結晶構造では、P(リン)原子とV(バナジウム)原子とが同一サイトを共有し得る。共有するサイトの占有率P:Vはx:1−xである。このような構成では、後述するように、組成式におけるxを制御することにより、充放電時におけるリチウムイオンの脱挿入(脱離および挿入)による結晶構造の崩れを抑制することが可能になる。この結果、リチウムイオン二次電池の信頼性をさらに向上することができる。
活物質は三方晶系の結晶構造を有していてもよい。この場合、結晶構造の少なくとも一部は、3回回反操作または3回回転操作を含む空間群を有していてもよい。例えば、空間群(ヘルマンーモーガン記号)は、
Figure 2014167613
であってもよい。このような結晶構造では、トンネル状の空隙が結晶内に形成されている。このため、充放電時にリチウムイオンの空隙への脱挿入を効率よく行うことができるので、高い充放電効率を実現することが可能になる。なお、本実施形態の活物質は、空間群が3回回反操作または3回回転操作を含む結晶相に加えて、他の結晶相をさらに含有していてもよい。ただし、活物質が主として3回回反操作または3回回転操作を含む結晶相から構成されていれば、より顕著な効果が得られる。本実施形態の活物質では、3回回反操作を含む空間群(例えば空間群R−3)を有する結晶相と3回対称操作を含む空間群(例えば空間群R3)を有する結晶相とが混在していてもよい。
なお、本明細書において、活物質(または結晶相)の「結晶構造」を説明する場合、その結晶構造は、活物質が吸蔵したリチウムイオンを放出したときの結晶構造を意味する。
活物質の組成式におけるxは0.05≦x≦0.75を満たしてもよい。詳細は後述するが、xが0.05以上であれば、リチウムイオンの脱挿入の繰り返しによる結晶構造の崩壊をより効果的に抑制できる。一方、xが0.75以下であれば、リチウムイオンの脱挿入のための空隙をより確実に確保できる。従って、リチウムイオン二次電池の充放電サイクル特性を向上でき、信頼性をより効果的に高めることが可能になる。
<活物質の結晶構造>
本実施形態の活物質の結晶構造を、上記組成式のxが1の場合、すなわちLiZnPO4の結晶構造を参照して説明する。
活物質がLiZnPO4で表されるとき、その結晶構造は三方晶系であってもよいし、単斜晶系であってもよい。三方晶系の場合、結晶構造の少なくとも一部は、3回回転操作を含む空間群、例えば空間群R3を有していてもよい。空間群が3回回転操作を含んでいると、上述したように、リチウムイオンの脱挿入に適する空隙を結晶内に有するため、充放電効率を高めることが可能になる。LiZnPO4の結晶構造が単斜晶系である場合、その結晶構造の少なくとも一部は空間群Ccを有していてもよい。空間群Ccは、映進操作を含み、3回回転操作も3回回反操作も含まない。このような構造でも、リチウムイオンの脱挿入のための空隙を結晶内に確保できる。
図2(a)および(b)は、参照例であるLiZnPO4の結晶構造のモデル図であり、(a)は空間群Ccに属する構造(以下、「Cc構造」とする。)、(b)は空間群が3回回転操作を含む構造(以下、「R3構造」とする。)を例示している。
本実施形態の活物質(LiZnP(x)(1-x)4(0<x<1))は、例えば、図2(b)に示すR3構造におけるP原子の一部がV原子に置換された結晶構造(R3構造)を有する。
図2から分かるように、Cc構造およびR3構造では、結晶内にリチウムイオンの脱挿入のための空隙eが形成されている。空隙eのサイズにもよるが、R3構造では、Cc構造よりもリチウムイオンをより効率よく脱挿入できると考えられる。なお、図示していないが、3回回反操作を有する構造(R―3構造)でも、R3構造と同様に、リチウムイオンの効率的な脱挿入が可能である。
ここで、活物質の組成式LiZnP(x)(1-x)4におけるxの値と結晶構造の安定性との関係について、本発明者の得た知見を説明する。
本発明者は、まず、LiZnVO4(組成式におけるxが0の場合)の検討を行った。LiZnVO4の結晶構造は、R3構造(図2(b)参照)またはR−3構造であり、リチウムイオンの脱挿入のための空隙eが結晶内に形成されると考えられる。しかしながら、LiZnVO4を負極活物質として用いてリチウムイオン二次電池を構成すると、充放電に伴って負極活物質の結晶構造が崩壊し、容量が低下するおそれがあることを見出した。これは、LiZnVO4の結晶の格子定数が大きく、結晶構造が不安定であるからと推察される。そこで、本発明者は、結晶構造の格子定数を小さくし、隣接する原子同士の距離を短くすることによって、結晶構造を安定化させるという観点から、さらに検討を重ねた。この結果、LiZnVO4の結晶構造におけるV原子の一部(または全部)をP原子へ置換することによって、結晶の格子定数を制御でき、結晶崩壊に起因する容量の低下を抑制できるという知見を得た。具体的には、V原子のP原子への置換比率が高くなるほど格子定数が小さくなり、充放電(リチウムイオンの脱挿入)の繰り返しによる結晶構造の崩壊をより効果的に抑制できる。一方、置換比率が低いほど、空隙eが大きいためリチウムイオンの脱挿入は容易になると考えられる。このような知見に基づいて、リチウムイオン二次電池の構成や用途に応じて、P原子への置換比率(すなわち組成式におけるxの値)を制御することにより、従来よりも信頼性の高い活物質を得ることが可能になる。
<活物質の製造方法>
次いで、本実施形態の活物質の製造方法の一例を説明する。
本実施形態の活物質を製造する際には、リチウム原料として、例えば、水酸化リチウム、炭酸リチウム、酸化リチウム等のリチウム化合物を用いる。亜鉛原料として、例えば、酸化亜鉛、炭酸亜鉛等を用いる。リン原料として、例えば、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム等を用いる。バナジウム原料として、例えば酸化バナジウム(V)を用いる。これらの原料は、それぞれ、1種の化合物のみであってもよいし、2種以上の化合物の組み合わせであってもよい。
本実施形態の活物質(LiZnP(x)(1-x)4)は、例えば上記原料を粉砕混合し、空気雰囲気下で焼成することによって得られる。焼成温度は、例えば500℃以上750℃以下、好ましくは600℃以上700℃以下に設定される。焼成温度が低すぎると、反応性が低下し、単一相を得るために長時間の焼成が必要となり、焼成温度が高すぎると、製造コストが高くなり、また、溶融により結晶性が失われてしまうおそれがある。
活物質の製造方法は上記の方法に限定されない。上記方法の代わりに、水熱合成、超臨界合成、共同沈殿法などの種々の合成方法を用いることができる。
<リチウムイオン二次電池の構成>
次に、本実施形態の活物質を用いたリチウムイオン二次電池の構成を説明する。なお、本実施形態では、リチウムイオン二次電池の一方の電極が上記の活物質を含んでいればよく、その他の構成は特に限定されない。
リチウムイオン二次電池は、負極活物質として上記活物質を含む負極と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な活物質(正極活物質)を含む正極と、正極と負極との間に配置されたセパレータと、リチウムイオン伝導性を有する電解質とを備える。
負極は、負極集電体と、負極集電体に支持された負極合剤とを有する。負極合剤は、上記の活物質(LiZnP(x)(1-x)4(0<x<1))を含有する。これに加えて、他の活物質、結着剤、導電剤などを含んでもよい。負極は、例えば、負極合剤を液状成分と混合して負極合剤スラリーを調整し、得られたスラリーを負極集電体に塗布し、乾燥させることによって作製され得る。
負極における活物質(負極活物質)に対する結着剤および導電助剤の配合割合は、負極活物質100重量部に対し、結着剤の配合は1重量部以上、20重量部以下の範囲内、導電助剤の配合は1重量部以上、25重量部以下であることが好ましい。
負極集電体としては、例えばステンレス鋼、ニッケル、銅などが用いられる。負極集電体の厚さは、特に限定されないが、1〜100μmが好ましく、より好ましくは5〜20μmである。負極集電体の厚さを上記範囲とすることにより、極板の強度を保持しつつ、軽量化することができる。
正極は、正極集電体と、正極集電体に支持された正極合剤とを有する。正極合剤は、正極活物質、結着剤、導電剤などを含んでもよい。正極は、正極合剤を液状成分と混合して正極合剤スラリーを調整し、得られたスラリーを正極集電体に塗布し、乾燥させることによって作製され得る。
正極活物質としては、例えばコバルト酸リチウムおよびその変性体(アルミニウムやマグネシウムを共晶させたものなど)、ニッケル酸リチウムおよびその変性体(一部ニッケルをコバルトやマンガン置換させたものなど)、マンガン酸リチウムおよびその変性体などの複合酸化物や、鉄リン酸リチウムおよびその変性体、マンガンリン酸リチウムおよびその変性体などを挙げることができる。正極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極または負極の結着剤には、例えばPVDF、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチルエステル、ポリアクリル酸エチルエステル、ポリアクリル酸ヘキシルエステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル、ポリメタクリル酸エチルエステル、ポリメタクリル酸、ヘキシルエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルフォン、ヘキサフルオロポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロースなどが使用可能である。また、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、エチレン、プロピレン、ペンタフルオロプロピレン、フルオロメチルビニルエーテル、アクリル酸、ヘキサジエンより選択された2種以上の材料の共重合体を用いてもよい。またこれらのうちから選択された2種以上を混合して用いてもよい。電極に含ませる導電剤には、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛のグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類、炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維類、フッ化カーボン、アルミニウムなどの金属粉末類、酸化亜鉛やチタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー類、酸化チタンなどの導電性金属酸化物、フェニレン誘導体などの有機導電性材料などが用いられる。
正極における正極活物質に対する結着剤および導電助剤の配合割合は、正極活物質100重量部に対し、結着剤の配合は1重量部以上、20重量部以下の範囲内、導電助剤の配合は1重量部以上、25重量部以下であることが好ましい。
正極集電体としては、例えばステンレス鋼、アルミニウム、チタンなどが用いられる。正極集電体の厚さは、特に限定されないが、1〜100μmが好ましく、より好ましくは5〜20μmである。正極集電体の厚さを上記範囲内にすることにより、極板の強度を保持しつつ、軽量化することができる。
正極と負極との間に介在するセパレータとしては、例えば、十分なイオン透過度を有し、所定の機械的強度と絶縁性とを兼ね備えた微多孔薄膜、職布、不織布などが用いられる。微多孔薄膜は、1種または2種以上の材料からなる複合膜または多層膜であってもよい。セパレータの材質は、例えばポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンであってもよい。ポリオレフィンは耐久性に優れ、かつシャットダウン機能を有しているため、リチウムイオン二次電池の信頼性をより高めることができる。セパレータの厚さは、例えば10〜300μm、好ましくは10〜40μm、より好ましくは10〜25μmである。また、セパレータの空孔率は、30〜70%の範囲であることが好ましく、より好ましく35〜60%である。ここで、「空孔率」とは、セパレータ全体に対する空孔部(空隙)の体積比を指す。
電解液としては、液状、ゲル状または固体(高分子固体電解質)状の物質を使用することができる。
液状非水電解質(非水電解液)は、非水溶媒に電解質(例えば、リチウム塩)を溶解させることにより得られる。また、ゲル状非水電解質は、非水電解質と、この非水電解質が保持される高分子材料とを含む。高分子材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキサイド、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレート、ポリビニリデンフルオライドヘキサフルオロプロピレン等が使用され得る。
電解質を溶解させる非水溶媒としては、公知の非水溶媒を使用することができる。非水溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステルなどであってもよい。環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)などが挙げられる。鎖状炭酸エステルとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)などが挙げられる。環状カルボン酸エステルとしては、γ−ブチルラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン(GVL)などが挙げられる。非水溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非水溶媒に溶解させる電解質には、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、ホウ酸塩類、イミド塩類などを用いることができる。ホウ酸塩類としては、ビス(1,2−ベンゼンジオレート(2−)−O,O´)ホウ酸リチウム、ビス(2,3−ナフタレンジオレート(2−)−O,O´)ホウ酸リチウム、ビス(2,2´−ビフェニルジオレート(2−)−O,O´)ホウ酸リチウム、ビス(5−フルオロ−2−オレート−1−ベンゼンスルホン酸−O,O´)ホウ酸リチウム等が挙げられる。イミド塩類としては、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム((CF3SO22NLi)、トリフルオロメタンスルホン酸ノナフルオロブタンスルホン酸イミドリチウム(LiN(CF3SO2)(C49SO2))、ビスペンタフルオロエタンスルホン酸イミドリチウム((C25SO22NLi)等が挙げられる。電解質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非水電解液は、添加剤として負極上で分解してリチウムイオン伝導性の高い皮膜を形成し、充放電効率を高くすることができる材料を含んでいてもよい。このような機能を持つ添加剤としては、例えば、ビニリデンカーボネート(VC)、4−メチルビニリデンカーボネート、4,5−ジメチルビニリデンカーボネート、4−エチルビニリデンカーボネート、4,5−ジエチルビニリデンカーボネート、4−プロピルビニリデンカーボネート、4,5−ジプロピルビニリデンカーボネート、4−フェニルビニリデンカーボネート、4,5−ジフェニルビニリデンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、ジビニルエチレンカーボネート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、ビニリデンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、およびジビニルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。なお、上記化合物は、その水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよい。電解質の非水溶媒に対する溶解量は、0.5〜2.0モル/Lの範囲内であることが好ましい。
さらに、非水電解液には、過充電時に分解して電極上に皮膜を形成し、電池を不活性化する公知のベンゼン誘導体を含有させてもよい。ベンゼン誘導体は、フェニル基およびフェニル基に隣接する環状化合物基を有してもよい。環状化合物基は、フェニル基、環状エーテル基、環状エステル基、シクロアルキル基、フェノキシ基などであってもよい。ベンゼン誘導体の具体例としては、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、ジフェニルエーテルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ただし、ベンゼン誘導体の含有量は、非水溶媒全体の10体積%以下であることが好ましい。
図1は、コイン形のリチウムイオン二次電池100を例示する模式的な断面図である。
リチウムイオン二次電池100は、負極4、正極5およびセパレータ6を含む電極群を有している。負極4および正極5は、負極合剤と正極合剤とが対向するように配置されている。セパレータ6は、負極4と正極5との間(負極合剤と正極合剤との間)に配置されている。電極群にはリチウムイオン伝導性を有する電解質(図示せず)が含浸されている。正極5は、正極端子を兼ねた電池ケース3と電気的に接続されており、負極4は、負極端子を兼ねた封口板2と電気的に接続されている。また、電池ケース3の開口端部は、封口板2の周縁部に設けられたガスケット7にかしめられ、これによって電池全体が密閉されている。なお、図1ではコイン形電池の一例を示したが、本実施形態のリチウムイオン二次電池の形状は、コイン形に限定されず、ボタン型、シート型、シリンダー型、扁平型、角型などであってもよい。
(実施例および比較例)
以下、実施例および比較例の活物質を作製し、評価を行ったので、その方法および結果を説明する。
(i)活物質の作製
≪実施例1≫
3.69gのLi2CO3と8.14gのZnOと8.64gのV25と0.66gの(NH42HPO4とをメノウ製乳鉢を用いて充分に混合した。得られた混合物を大気雰囲気中にて615℃の温度で12時間反応させることにより、LiZnP0.050.954で表される組成を有する活物質a1を得た。
続いて、X線回折法(XRD)を用いて活物質a1の分析を行った。XRDによる測定結果から、下記の表1に示すピークのd値(格子面間隔、Å)およびミラー指数が得られた。この結果から、活物質a1は三方晶系であり、活物質a1は、空間群が3回回転操作または3回回反操作を有する相を含有していることが確認された。
≪実施例2≫
3.69gのLi2CO3と8.14gのZnOと4.55gのV25と6.60gの(NH42HPO4とをメノウ製乳鉢を用いて充分に混合した。得られた混合物を大気雰囲気中にて615℃の温度で12時間反応させることにより、LiZnP0.50.54で表される組成を有する活物質a2を得た。
活物質a2のXRD測定を行ったところ、測定結果から、下記の表1に示すピークのd値(格子面間隔、Å)およびミラー指数が得られた。この結果から、活物質a2は三方晶系であり、活物質a2は、空間群が3回回転操作または3回回反操作を有する相を含有していることが確認された。
≪実施例3≫
3.69gのLi2CO3と8.14gのZnOと2.27gのV25と9.90gの(NH42HPO4とをメノウ製乳鉢を用いて充分に混合した。得られた混合物を大気雰囲気中にて615℃の温度で12時間反応させることにより、LiZnP0.750.254で表される組成を有する活物質a3得た。
活物質a3のXRD測定を行ったところ、測定結果から、下記の表1に示すピークのd値(格子面間隔、Å)およびミラー指数が得られた。この結果から、活物質a3は三方晶系であり、活物質a3は、空間群が3回回転操作または3回回反操作を有する相を含有していることが確認された。
≪比較例1≫
3.69gのLi2CO3と8.13gのZnOと9.08gのV25とをメノウ製乳鉢を用いて充分に混合した。得られた混合物を大気雰囲気中にて615℃の温度で12時間反応させることにより、LiZnVO4で表される組成を有する活物質c1を得た。
活物質c1のXRD測定を行ったところ、測定結果から、下記の表1に示すピークのd値(格子面間隔、Å)およびミラー指数が得られた。この結果から、活物質c1は三方晶系であり、空間群が3回回転操作を有する相を含有することがわかった。
≪比較例2≫
3.69gのLi2CO3と8.14gのZnOと13.21gの(NH42HPO4とをメノウ製乳鉢を用いて充分に混合した。得られた混合物を大気雰囲気中にて615℃の温度で12時間反応させることにより、LiZnPO4で表される組成を有する活物質c2を得た。
活物質c2のXRD測定を行ったところ、測定結果から、下記の表1に示すピークのd値(格子面間隔、Å)およびミラー指数が得られた。この結果から、活物質c2は、単斜晶系であり、空間群が3回回転操作も3回回反操作も有していない相を含有することがわかった。
Figure 2014167613
(ii)活物質の格子定数
表1に示すピークのd値およびミラー指数により、実施例1〜3および比較例1、2の活物質a1〜a3、c1、c2の格子定数をそれぞれ算出したので、表2に示す。
Figure 2014167613
表2から、三方晶系の活物質a1〜a3では、組成式におけるxが大きいほど、すなわちP原子の割合が高いほど、格子定数が小さくなることがわかった。
また、三方晶系の活物質a1〜a3、c1について、XRDによって得られたX線回折パターンを図3に示す。図3において、各活物質のX線回折パターンのピークは、それぞれ、LiZnP(x)(1-x)4のミラー指数(410)に帰属されるピークである。
図3から分かるように、活物質c1のピークが最も低い角度(2θ)に現れ、活物質a1、a2、a3の順でより高い角度にピークを有している。従って、結晶内のV原子がP原子に置換される割合(P原子への置換比率)が高くなるほど、ピークが広角度側に(図3において矢印で示す方向に)シフトし、格子定数が小さくなることが確認された。
(iii)電極の作製
次に、上記の方法で得られた活物質a1〜a3およびc1、c2をそれぞれ用いて、実施例および比較例の電極を作製したので、その方法を説明する。
上記活物質100重量部と、導電剤としてアセチレンブラック10重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン10重量部と、分散媒として適量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液とを混合し、合剤ペーストを調製した。
合剤ペーストを集電体の表面に塗布し、乾燥させることにより、活物質層を形成した。集電体として、厚さが18μmの銅箔を用いた。次いで、活物質層が形成された集電体に対して、2ton/cm2で平板プレスを行い、集電体と活物質層との合計厚さが100μmに達するまで圧縮した。この後、活物質層が形成された集電体を直径が12.5mmの円形に打ち抜き、電極を作製した。
(iv)対極の作製
厚さが300μmのリチウム箔を、直径が14.5mmの円形に打ち抜き、対極とした。
(v)非水電解質の調製
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:3で含む混合溶媒に、溶質として、1.0mol/Lの濃度でLiPF6を溶解させて、非水電解質を得た。
(vi)評価用セルの作製
活物質a1〜a3、c1、c2を用いて作製した各電極を負極とし、図1を参照しながら前述した構成を有する評価用セルを作製した。
再び図1を参照する。各評価用セルでは、電池ケース3および封口板2として、耐有機電解液性のステンレス鋼板を加工したものを用いた。負極4として、上記実施例および比較例の電極の何れかを用い、正極5として上記対極(金属リチウム)を用いた。なお、評価用セルでは、電池ケース3の一部を正極集電体として機能させた。また、セパレータ6およびガスケット7として、それぞれ、微孔性のポリプロピレン製セパレ−タ、ポリプロピレン樹脂製絶縁ガスケットを用いた。
本実施例および比較例では、まず、電池ケース3の内面に、上記対極(金属リチウム)をスポット溶接し、正極5を得た。次いで、正極5の上にセパレータ6を配置して、非水電解質を収容した。一方、封口板2の内側に、負極4として、上記電極を圧着した。この後、負極4が圧着された封口板2を、ガスケット7を介して電池ケース3の開口部にはめ込み、封口した。このようにして、コイン形の評価用セルを得た。活物質a1〜a3、c1、c2を用いた評価用セルを、それぞれ、評価用セルA1〜A3、C1、C2と呼ぶ。
(vii)充放電特性の評価
評価用のセルA1〜A3、C1、C2のそれぞれに対し、充放電サイクル試験を行い、充放電特性を測定した。
充放電サイクル試験では、室温環境下にて、0.1mAの定電流で0.7Vまで充電した後、0.1mAの定電流で2.5Vまで放電するサイクルを、10回繰り返した。このとき、2サイクル目の放電容量、2サイクル目のリチウム金属を基準とする平均充電電位Vc、および10サイクル目のクーロン効率(放電容量/充電容量)を測定した。なお、放電容量およびクーロン効率は、活物質に結晶崩壊などの劣化が生じると低下する傾向を有する。従って、ここでは、放電容量およびクーロン効率の測定値を、活物質の結晶崩壊の程度を判断する指標として用いた。
充放電特性の測定結果を表3に示す。
Figure 2014167613
表3に示すように、何れの評価用セルでも、Li金属を基準とする負極の平均充電電位(活物質の酸化還元電位)Vcが0Vより大きく1.5V以下であった。このため、負極におけるリチウム金属の析出を抑制でき、かつ、高いエネルギー密度を確保できることが確認された。
各評価用セルの放電容量を比較したところ、評価用セルA1〜A3の2サイクル目の放電容量は、評価用セルC1、C2の放電容量よりも高いことが分かった。評価用セルA1〜A3の10サイクル目におけるクーロン効率についても、評価用セルC1、C2のクーロン効率よりも優れていた。これは、評価用セルC1において、負極の活物質c1の結晶崩壊が生じたためと考えられる。一方、評価用セルC2では、結晶崩壊は抑制されている。しかしながら、活物質c2のCc構造における空隙eには、R3構造における空隙eよりもリチウムイオンが脱挿入し難いため(図2(a)および(b)参照)、あるいは充電時における不可逆化したLiが多かったため、高いクーロン効率が得られなかったと考えられる。さらに、活物質の組成式におけるxが0.05以上0.75以下であれば(評価用セルA1〜A3)、より効果的に、重量あたりの容量を確保しつつ結晶構造の変化による劣化を抑制できることが分かった。特にxが0.5以上0.75以下であれば(評価用セルA2、A3)、V原子のP原子への置換による効果が高くなり、より高い放電容量が得られた。
(viii)充放電サイクル試験後の電極の分析
上述した充放電サイクル試験を行った後、各評価用セルの活物質をXRDにより分析した。
まず、10サイクル後の放電状態の評価用セルA1〜A3、C1を分解し、それぞれ、電極を取り出した。取り出した電極をエチルメチルカーボネートで十分に洗浄した後、XRD測定を行った。
XRD測定によって得られたX線回折パターンを図4に示す。図4には、比較のため、充放電サイクル試験を行う前の活物質a1〜a3についてのX線回折パターンも示す。
図4に示すX線回折パターンから分かるように、実施例1〜3の電極は、何れも、活物質a1〜a3に由来するピークを全て有している。従って、活物質a1〜a3の結晶構造が充放電サイクル試験後も維持されていることが確認された。一方、比較例1の電極では、活物質c1に由来するピークがほとんど消失している。このことから、比較例1では、充放電の繰り返しによって、活物質c1の結晶構造の崩壊が生じたと考えられる。なお、比較例2の電極については、充放電サイクル試験後のX線回折パターンを示していないが、表3に示す結果から、充放電サイクル試験後も活物質c2の結晶構造(Cc構造)が維持されていると考えられる。
上述のように、本発明の一実施形態の活物質を用いることにより、充放電時のリチウムイオンの脱挿入による結晶構造の崩れを抑制できる。従って、リチウム金属の析出を抑制でき、かつ、高エネルギー密度と高信頼性とを両立し得るリチウムイオン二次電池を提供することが可能になる。
本発明の一態様にかかるリチウムイオン二次電池の活物質およびリチウムイオン二次電池は、例えば、電力貯蔵や電気自動車などの環境エネルギー分野の動力源として利用される。また、パーソナルコンピュータ、携帯電話、モバイル機器、携帯情報端末(PDA)、携帯用ゲーム機器、ビデオカメラなどの携帯用電子機器の電源として利用される。ハイブリッド電気自動車、燃料電池自動車などにおいて電気モーターを補助する二次電池、電動工具、掃除機、ロボットなどの駆動用電源、プラグインHEVの動力源などとしての利用も期待される。
2 封口板
3 電池ケース
4 負極
5 正極
6 セパレ−タ
7 ガスケット
100 リチウムイオン二次電池

Claims (7)

  1. LiZnP(x)(1-x)4(0<x<1)で表される組成を有し、
    リチウム金属を基準とする酸化還元電位が0Vよりも高く、1.5V以下である、リチウムイオン二次電池の活物質。
  2. 前記活物質は、P原子とV原子とが同一サイトを共有している結晶構造を有する、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の活物質。
  3. 前記活物質はリチウムイオンを吸蔵および放出することが可能であり、
    前記活物質が吸蔵したリチウムイオンを放出したとき、前記活物質は三方晶系の結晶構造を有する、請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池の活物質。
  4. 前記活物質が吸蔵したリチウムイオンを放出したとき、前記結晶構造の少なくとも一部の空間群は、3回回転操作または3回回反操作を含む、請求項3に記載のリチウムイオン二次電池の活物質。
  5. 前記活物質が吸蔵したリチウムイオンを放出したとき、前記結晶構造の少なくとも一部の空間群は、
    Figure 2014167613
    である、請求項3または4に記載のリチウムイオン二次電池の活物質。
  6. 前記活物質の組成におけるxは0.05≦x≦0.75を満たす、請求項1から5のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池の活物質。
  7. リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極活物質を含む正極と、
    請求項1から6のいずれかに記載の活物質を含む負極と、
    前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、
    リチウムイオン伝導性を有する電解質と
    を含むリチウムイオン二次電池。
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