JPWO2014142357A1 - 植物細胞壁の処理剤及び同処理剤を用いた物質デリバリー方法並びに物質デリバリーシステム - Google Patents

植物細胞壁の処理剤及び同処理剤を用いた物質デリバリー方法並びに物質デリバリーシステム Download PDF

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Abstract

本発明は、細胞外から目的物質を投与することにより、植物に形質改変を起こさせる技術を提供することを目的とする。本発明は、キレート剤及び界面活性剤を含む細胞壁処理剤で植物体を処理することにより目的物質を植物細胞内に導入する物質デリバリー方法を提供する。

Description

本発明は、キレート剤及び界面活性剤を含む植物細胞壁の処理剤、同処理剤を用いた物質デリバリー方法、同方法により形質転換された植物体、同植物体の加工製品、並びにキレート剤及び界面活性剤を含む物質デリバリーシステムに関する。
植物の形質改変には遺伝形質にまで改変を加える品種改良と薬剤等による一過的な形質改変の2種類に大別される。優良な形質を示す植物を得るための品種改良は次世代以降にまで伝わる遺伝形質の改変を伴う工程であり、偶然に得られた突然変異体の取得や交配育種による品種改良などが古くから盛んに行われてきた。これらの従来育種によって人類にとって有用な形質を示す農作物や花卉植物が数多く作り出されてきた。ただし、これらの方法は確率の低い偶発的な突然変異の挿入現象や何世代も交配を行う工程に依存しているために、望みの形質を得るまでに非常に長い時間がかかるという問題がある。また、バラやカーネーションにおける青色色素のように、本来遺伝形質として存在しない形質は得られる確率が極めて低い事や、変異の程度や方向性を狙い通りに制御できないことも問題であった(非特許文献1)。
近年、新たな技術をベースにした品種改良法が導入されており、突然変異の確率を高めるため薬剤や放射線等のビーム照射を用いた変異原処理による突然変異育種、DNAマーカーを用いて効率を高めた交配育種、遺伝子組換え技術を用いる分子育種などが行われるようになってきた(非特許文献2)。しかしながら、これらの新しい育種手法にも従来育種と同じように一長一短がある。たとえ変異の確率や交配の効率が上がっても突然変異育種と交配育種では、望みの形質が得られない可能性が依然残されている。また、遺伝子組換え技術を用いた分子育種は別種の生物からの多様な遺伝資源を使えることから、望みの形質を得るためには極めて有効な方法であるが、遺伝子組換え生物に対する厳しい許認可システム(日本国内においては「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」通称:カルタヘナ法)やパブリックアクセプタンスの問題があるため、たとえ優良な形質を持つ植物の作製に成功したとしても、実用化まで時間がかかるのが現状である。
一過的な形質改変は植物ホルモンや薬剤を利用した果実の種無し化、花成の誘導や切花日持ちの改善などがあり、農業分野でも広く活用されている(非特許文献3)。しかし、植物ホルモンや薬剤の効果は植物種限定的である場合が多く、植物種が異なると全く効かないことも多い。また、植物ホルモンや薬剤の種類が限られているので、その効果の種類も多くはなく、多様な形質改変のニーズに応えられているとは言い難い。
ところで、近年の分子生物学の発展に伴って、植物においてもRNAやペプチド、タンパク質などの高分子化合物が細胞間連絡や師管を介して輸送されることにより、形態形成や花成等の制御を行っている事が次々と明らかになってきている(非特許文献4〜6)。仮に、このような植物の形質発現を制御する高分子を直接植物内に投与することが出来れば、従来技術と比して簡便で確実な形質改変技術が実現できると考えられる。
しかしながら、タンパク質等の高分子化合物を外部から細胞内へ運ぶには、植物細胞の場合には細胞壁及び細胞膜の2つの要素が障壁となる(非特許文献7)。
G.Acquaah:Principles of Plant genetics and Breeding,Wiley−Blackwell(2012) 技術分野別特許マップ 一般6 品種改良技術(1998) L.Ostergaard:Annual Plant Reviews,Fruit Development and Seed Dispersal,Wiley−Blackwell(2010) R.Ruiz−Medrano et al.:Curr.Opin.Cell Biol.7,641(2004) Y.Ito et al.:Science 313,842(2006) S.Tamaki et al.:Science 316,1033(2007) F.Eudes and A.Chugh:Plant Signal.Behav.3:8,549(2008)
このような状況下で、細胞壁及び細胞膜の2つの障壁に対して高分子化合物を透過させる技術を開発する必要がある。
本発明者らは、上記の課題を解決するべく種々検討した結果、高分子化合物を細胞膜透過性ペプチド、カルシウムキレート剤、界面活性剤と混合した溶液を調製し植物に直接塗布することにより、効率的に細胞内への高分子化合物の取り込みが起こることを見出した。また、植物体の開花を促進する化合物として知られるFTタンパク質(Y.Kobayashi et al.:Science 286,1960(1999))を葉に塗布することにより、導入されたFTタンパク質が宿主植物内で機能して花芽を誘導することを確認し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1] キレート剤及び界面活性剤を含む、植物細胞壁の処理剤。
[2] 前記キレート剤がカルシウムキレート剤である、前記[1]に記載の処理剤。
[3] 前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、前記[1]に記載の処理剤。
[4] 植物体へ目的物質を導入するための物質デリバリー方法であって、
(a)前記植物体の表面に、前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の処理剤を塗布する工程;及び
(b)前記処理剤を塗布した部位に目的物質を塗布して前記目的物質を植物細胞内に導入する工程、
を含む、方法。
[5] 前記目的物質が細胞膜透過性ペプチドとの混合物として塗布される、前記[4]に記載の方法。
[6] 前記目的物質が1〜100kDaの分子量を有する、前記[4]に記載の方法。
[7] 前記目的物質が、糖、タンパク質、核酸、脂質からなる群より選択される高分子である、前記[6]に記載の方法。
[8] 前記細胞膜透過性ペプチドが高アルギニン含有ペプチドである、前記[5]に記載の方法。
[9] 前記工程(a)及び(b)が同時に行われる、前記[4]に記載の方法。
[10] 前記[4]〜[9]のいずれか一つに記載の方法で目的物質が導入された植物体、植物器官、植物組織、植物細胞、プロトプラスト、葉の切片又はカルス。
[11] キレート剤及び界面活性剤を含む、植物体へ目的物質を導入するための物質デリバリーシステム。
[12] 細胞膜透過性ペプチドをさらに含む、前記[11]に記載のシステム。
[13] 前記キレート剤がカルシウムキレート剤である、前記[11]に記載のシステム。
[14] 前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、前記[11]に記載のシステム。
[15] 前記細胞膜透過性ペプチドが高アルギニン含有ペプチドである、前記[12]に記載のシステム。
本発明の方法により、宿主植物の遺伝的形質を変えることなく宿主の表現型を変えることが可能である。また、本発明の方法は、遺伝子組換え工程を含まないため、簡便に宿主植物の表現型を変えることが可能である。
細胞膜透過性ペプチドを用いてGFPを導入したトレニアのプロトプラストの図である(BF:明視野、GFP:GFP蛍光照射)。 細胞膜透過性ペプチドを用いてGFP及びGFP−FTを導入したタマネギ鱗茎の表皮細胞の図である(BF:明視野、GFP:GFP蛍光照射)。 本発明の方法により葉から植物体に導入されたFTタンパク質を茎頂組織のウェスタンブロッティングにより検出した結果を示す図である。 本発明の方法によりFTタンパク質を導入した植物体が開花した様子を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施の形態のみに限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施をすることができる。
なお、本明細書において引用した全ての文献、および公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込むものとする。また、本明細書は、2013年3月15日に出願された本願優先権主張の基礎となる日本国特許出願(特願2013−053286号)の明細書及び図面に記載の内容を包含する。
1. 植物細胞壁の処理剤
通常、植物体の細胞壁は、セルロースやヘミセルロースなどを主成分とする網目構造を有しており、その網目の隙間はペクチンや糖タンパク質などによって埋められている。そのため、植物種にもよるが細胞壁のポアサイズは2nm前後と考えられており、水分子の拡散も細胞壁中では10−100倍近く遅くなると考えられている(E.Kramer et al.:J.Exp.Bot.58(11),3005(2007))。
従って、植物体の形質を変化させること(環境耐性を与えることなど)を目的として何らかの物質(以後、「目的物質」という)を植物体に投与する場合、細胞壁のポアサイズを超える分子サイズを有する物質は細胞壁の存在が障害となって植物細胞内に取り込まれないことになる。
例えば、タンパク質等の高分子は、折りたたまれた状態であっても5nm以上の直径を有するため、細胞壁(ポアサイズは2nm前後)を透過することができない。
細胞壁の透過性を上げるためには、その構成物であるセルロース、ヘミセルロース、キシロース、キシログルカン、ペクチン等の結合を緩める必要がある。セルラーゼ等の細胞壁分解酵素、アセトン等の有機溶媒の処理により細胞壁成分を抽出することは一般的に行われているが(T.A.Gorshkova et al.:Plant Physiol.110,721(1996))、生きた細胞に直接処理をして細胞壁の透過性を上昇させた例はほとんど報告されていない。
この技術的問題を解決するため、本発明は、ある実施態様において、キレート剤及び界面活性剤を含む植物細胞壁の処理剤を提供する。本発明の処理剤を植物体に塗布すれば、目的物質を植物細胞内へ導入することが可能になる。
本発明において、「キレート剤」は、植物細胞壁内に存在する金属分子又は金属イオン(例えば、カルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、亜鉛など)をキレート化するものであれば特に限定されないが、好ましくは二価金属キレート剤であり、より好ましくはカルシウムキレート剤である。
本発明に使用可能なキレート剤の具体例としては、2,2’−ビピリジン、4,4’−ビピリジン、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンエキサミン(PEHA)、フェナントロリン、クラウンエーテル(12−クラウン−4,15−クラウン−5,18−クラウン−6,ジベンゾ−18−クラウン−6,)、アザクラウンエーテル(ジアザ−18−クラウン−6、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカンなど)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸(EDDS)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラ酢酸(DOTA)、イミノ二酢酸(IDA)、1−ヒドロキシエタン−11−ジホスホン酸(HEDP)、O,O’−ビス(2−アミノフェリル)エチレングリコール−N,N,N’,N’−四酢酸 (BAPTA)、O,O’−ビス(2−アミノエチル)エチレングリコール−N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA)、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−四酢酸 (CDTA)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
最も好ましくは、本発明に使用されるキレート剤はEDTA及びEGTAである。
本発明の処理剤は、前記キレート剤を10μM〜500mM、50μM〜450mM、100μM〜400mM、500μM〜350mM、1mM〜300mM、5mM〜250mM、10mM〜200mM、15mM〜150mM、20mM〜100mM、20mM〜50mM、20mM〜30mM、1〜25mM又は1mMの濃度で含む。
本発明に使用可能な「界面活性剤」は溶液中でミセルを形成できるものであれば特に限定されず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤のいずれであってもよい。好ましくは、本発明に使用する界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であり、より好ましくは膜の可溶化力が弱い非イオン性界面活性剤であり、さらに好ましくはポリエーテル変性シリコーン含有界面活性剤である。特に好ましくは、形質転換用界面活性剤である。
このような界面活性剤の具体例としては、ポリエーテル変性シリコーン(トリシロキサンエトキシレート)(Silwet L−77)、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween80)、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween20)、オクチルフェノールポリ(エチレングリコールエーテル)(Triton X−100)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
最も好ましくは、本発明に使用される界面活性剤は、Silwet L−77及びTween20である。
本発明の処理剤は、前記界面活性剤を0.0001〜50%、0.0005〜25%、0.001〜10%、0.001〜5%、0.001〜1%、0.001〜0.1%、0.001〜0.05%、0.001〜0.01%又は0.001〜0.005%の濃度で含む。
本発明の「処理剤」は、目的物質の細胞壁透過性を高めるための薬剤である。
本発明の処理剤を植物体又はその一部に塗布して細胞壁を処理することにより、処理部位から植物体に目的物質を投与することができ、塗布しない場合と比べて目的物質が細胞壁を透過する率、速度などが増加する。
目的物質は特に限定されず、低分子化合物であってもよく、あるいは糖、タンパク質、核酸、脂質からなる群より選択される高分子であってもよい。
本発明において、目的物質は、好ましくは0.01〜1000kDa、0.05〜750kDa、0.1〜500kDa、0.5〜250kDa、1〜100kDa、5〜75kDa、10〜50kDa、15〜25kDaの分子量を有する化合物である。
目的物質の具体例としては、植物体の開花を促進する化合物、植物の形を制御する化合物、花の匂いを変化させる化合物、果実の味を変化させる物質、色素関連化合物、環境耐性因子などが挙げられる。
植物体の開花を促進する化合物の例としては、FTタンパク質(FLOWERING LOCUSTタンパク質)及び同タンパク質をコードする遺伝子(Y.Kobayashi et al.:Science 286,1960(1999))並びにゲラニルピロリン酸合成酵素ラージサブユニット(特願2012−149409)などが挙げられる。
植物の形を制御する化合物の例としては、植物細胞壁の構築をコントロールする一群の遺伝子(MIDD1,ROP11,ROPGAP3,ROPGEF4)(Y.Oda and H.Fukuda,Science 337,
1333(2012)や細胞の長さを調節する一群の遺伝子(ACE,PRE1,AtIBH1)(M.Ikeda et al.:The Plant Cell 24,4483(2012)などが挙げられる。
匂いを増加させる化合物の例としては、モノテルペン配糖体化酵素(特願2012−022984、特願2012−022982、特願2012−022983、特願2012−022985、PCT/JP2011/080584)などが挙げられる。
果実の味を変化させる化合物の例としては、ステビオール合成酵素(特願2012−060473、特願2012−071959)が挙げられ、色素関連化合物としては、アントシアニジン合成酵素(D.Weiss et al.:Plant Mol.Biol.22,893(1993))やフラボノールヒドロキシラーゼ(Anzellotti D.and Ibrahim R.K.,2004.BMC Plant Biol.4,20;Halbwirth H.et al.,2004.Plant Sci.167,129−135;PCT/JP2011/068683)等が挙げられる。
脂肪酸合成酵素の例としては、アシルCoAシンターゼ(PCT/JP2011/052035)、グリセロール‐3−リン酸アシル基転移酵素(PCT/JP2010/066280)、ジアシルグリセロールアシル基転移酵素(PCT/JP2010/072930)、脂肪酸鎖長延長酵素(PCT/JP2012/069792)などが挙げられる。
さらに、環境耐性因子としては、宿主植物の温度、光量、塩濃度、乾燥条件、放射線量などに対する感受性・耐性を変化させる化合物が挙げられる。
本発明の処理剤を塗布する対象は、植物体全体、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子など)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束、柵状組織、海綿状組織など)又は植物培養細胞、あるいは種々の形態の植物細胞(例えば、懸濁培養細胞)、プロトプラスト、葉の切片、カルスなどのいずれであってもよい。形質転換に用いられる植物としては、特に限定されず、単子葉植物綱又は双子葉植物綱に属する植物のいずれでもよい。
目的物質の投与方法は特に限定されないが、細胞膜透過性ペプチドを用いた方法、リポソーム法、せん孔法(コンピテントセル、プロトプラスト)等が挙げられる。本発明の処理剤を塗布した場合、従来用いられている物質導入方法(例えば、アグロバクテリウム法、ボンバードメント法、植物ウィルスベクター法などの遺伝子導入方法)であっても目的物質の導入効率が高くなる。
好ましくは、目的物質は細胞膜透過性ペプチドを用いて投与される。細胞膜透過性ペプチドを用いれば、目的物質は糖、タンパク質、核酸、脂質の種類を問わず簡便に導入することができるからである。
細胞膜透過性ペプチド(Cell Penetrating Peptide:CPP)はウイルスが感染の際に使用するペプチドから見出されたアルギニンリッチな一群のペプチドを意味する。細胞膜透過性ペプチドはマクロピノサイトーシスという一種のエンドサイトーシスを細胞膜上に引き起こし、結果として細胞膜周辺の高分子が取り込まれることが知られている(A.Chugh et al.:Life 62,183(2010))。ウイルス由来の種々の配列の細胞膜透過性ペプチドが知られており、動物細胞では細胞内への高分子化合物の取り込みに有効であるといえる。また、ウイルス由来の配列だけでなく、単にアルギニンを10個前後繋げただけのペプチドでも同様の効果がある事が知られており、R9ペプチド(アルギニンが9個連なったペプチド)が植物細胞内へのタンパク質取り込みに機能することが、タバコ培養細胞において報告されている(M.Mae et al.:BBA 1669,101(2005))。
従って、本発明の処理剤は、キレート剤及び界面活性剤に加えてCPPを含んでいてもよい。
好ましくは、本発明で使用するCPPは、5〜50aa、5〜40aa、5〜30aa、5〜20aa、5〜15aaの配列長を有するペプチドである。
好ましくは、本発明で使用するCPPは、高アルギニン含有ペプチド(アミノ酸配列全体に占めるアルギニン残基の数が60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、又は95%以上のペプチド)である。
CPPには複数の種類が存在し、本発明においてはHIVのTat(Transactivating protein)に由来するCPP(配列番号1)、R9 CPP(配列番号2)、FHV由来のCPP(配列番号3)を用いることができる。
最も好ましくは、本発明で使用するCPPは、配列番号2のアミノ酸配列と70%以上、80%以上又は90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるペプチドである。
本発明において、目的物質はCPPと結合させた状態で投与してもよく、あるいは、CPPと結合させず、単に目的物質とCPPとを混合して得られる混合物として投与してもよい。
目的物質とCPPとを混合して混合物を調製する場合、目的物質とCPPとのモル比は、1:1〜1:10、1:1〜1:60、1:1〜1:100、1:1〜1:1000、1:5〜1:10、1:5〜1:100、1:5〜1:1000である。
CPPを用いた形質転換方法及びその条件の詳細については、Langelらの方法(M.Mae et al.:Biochim.Biophys.Acta 1669,101(2005),S.El−Andaloussi et al.:Biochem.J.407,285(2007)をを参照することができる。
2.デリバリー方法
本発明は、第2の実施態様として、本発明の処理剤を用いた物質デリバリー方法を提供する。すなわち、本発明は、植物体へ目的物質を導入するための物質デリバリー方法であって、
(a)前記植物体の表面に、本発明の処理剤を塗布する工程;及び
(b)前記処理剤を塗布した部位に目的物質を塗布して前記目的物質を植物細胞内に導入する工程、
を含む、方法を提供する。
工程(a)において、植物体の表面に本発明の処理剤を塗布するが、これは、本発明の処理剤を含む溶液を刷毛、布、スポイト、ピペット、キャピラリー管などを用いて前記植物体又はその組織の表面に接触させることにより行うことができる。あるいは、本発明の処理剤を含む溶液を、噴霧器などを用いて前記植物体に噴霧することにより塗布を行うこともできる。
塗布は、必ずしも植物体全体に行う必要はない。これは既に述べた通りである。
工程(b)において、前記処理剤を塗布した部位に目的物質を塗布して前記目的物質を植物細胞内に導入する方法は、既に述べたとおりである。したがって、工程(b)は、好ましくは細胞膜透過性タンパク質を用いて行われる。
この場合、目的物質はCPPと結合させた状態で塗布してもよく、あるいは、CPPと結合させず、単に目的物質とCPPとを混合して得られる混合物として塗布してもよい。
本発明のデリバリー方法において、工程(a)と(b)とは、一定の間隔(1時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間)を開けて行ってもよく、あるいは同時に行ってもよい。
工程(a)と(b)とは同時に行う場合としては、植物体に塗布する前に本発明の処理剤と目的物質とを混合し、得られる混合物を植物体に塗布する方法が考えられる。同混合物は、さらにCPPを含んでいてもよい。
あるいは、本発明の処理剤がCPPを含む場合、同処理剤に目的物質を混合して得られる混合物を植物体に塗布してもよい。
また、本発明の方法は、植物体の種類に応じて工程(a)及び(b)を繰り返し行ってもよい。例えば、上記工程(a)及び(b)は、各2回、3回、4回、5回ずつ行ってもよい。繰り返し行う場合であっても、工程(a)と(b)とは同時に行ってよい。
目的物質が導入されたかどうかは、前記植物体の組織を回収し、同組織又は組織抽出物に対してin situハイブリダイゼーション法、組織免疫染色法、ノーザンブロッティング法、サザンブロッティング法、ウェスタンブロッティング法、RT−PCR法、ELISA法等の分析を行うことにより確認することができる。
あるいは、目的物質が導入されたかどうかは、前記目的物質がもたらす表現型(開花時期の変化、花弁の色の変化、匂いの変化、環境耐性の変化など)の有無によって確認することもできる。
3.植物体
さらに、本発明は、第3の実施形態として、本発明のデリバリー方法により形質転換された形質転換植物体を提供する。
本発明に係る形質転換植物としては、ナス科植物(例えば、ナス、トマト、トウガラシ、ジャガイモ、タバコ、チョウセンアサガオ、ホオズキ、ペチュニア、カリブラコア、ニーレンベルギア等)、マメ科植物(例えば、ダイズ、アズキ、ラッカセイ、インゲンマメ、ソラマメ、ミヤコグサ等)、バラ科植物(例えば、イチゴ、ウメ、サクラ、バラ、ブルーベリー、ブラックベリー、ビルベリー、カシス、ラズベリー等)、ナデシコ科植物(カーネーション、カスミソウ等)、キク科植物(キク、ガーベラ、ヒマワリ、デイジー等)、ラン科植物(ラン等)、サクラソウ科植物(シクラメン等)、リンドウ科植物(トルコギキョウ、リンドウ等)、アヤメ科植物(フリージア、アヤメ、グラジオラス等)、ゴマノハグサ科植物(キンギョソウ、トレニア等)、ベンケイソウ科植物(カランコエ)、ユリ科植物(ユリ、チューリップ等)、ヒルガオ科植物(アサガオ、モミジヒルガオ、ヨルガオ、サツマイモ、ルコウソウ、エボルブルス等)、アジサイ科植物(アジサイ、ウツギ等)、ウリ科植物(ユウガオ等)、フロウソウ科植物(ペラルゴニウム、ゼラニウム等)、モクセイ科植物(レンギョウ等)、ブドウ科植物(例えば、ブドウ等)、ツバキ科植物(ツバキ、チャノキ等)、イネ科植物(例えば、イネ、オオムギ、コムギ、エンバク、ライムギ、トウモロコシ、アワ、ヒエ、コウリャン、サトウキビ、タケ、カラスムギ、シコクビエ、モロコシ、マコモ、ハトムギ、牧草等)、クワ科植物(クワ、ホップ、コウゾ、ゴムノキ、アサ等)、アカネ科植物(コーヒーノキ、クチナシ等)、ブナ科植物(ナラ、ブナ、カシワ等)、ゴマ科植物(ゴマ等)、ミカン科植物(例えば、ダイダイ、ユズ、ウンシュウミカン、サンショウ)及びアブラナ科植物(赤キャベツ、ハボタン、ダイコン、シロナズナ、アブラナ、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー等)が挙げられる。
植物の好ましい例としては、観賞用の植物、例えば、ナデシコ科植物(カーネーション、カスミソウ等)、ゴマノハグサ科植物(キンギョソウ、トレニア等)、ナス科植物(例えば、ナス、トマト、トウガラシ、ジャガイモ、タバコ、チョウセンアサガオ、ホオズキ、ペチュニア、カリブラコア、ニーレンベルギア等)、マメ科植物(例えば、ダイズ、アズキ、ラッカセイ、インゲンマメ、ソラマメ、ミヤコグサ等)、バラ科植物(例えば、イチゴ、ウメ、サクラ、バラ、ブルーベリー、ブラックベリー、ビルベリー、カシス、ラズベリー等)、キク科植物(キク、ガーベラ、ヒマワリ、デイジー等)、ラン科植物(ラン等)、サクラソウ科植物(シクラメン等)、リンドウ科植物(トルコギキョウ、リンドウ等)、アヤメ科植物(フリージア、アヤメ、グラジオラス等)、ベンケイソウ(カランコエ)、ユリ科植物(ユリ、チューリップ等)、ヒルガオ科植物(アサガオ、モミジヒルガオ、ヨルガオ、サツマイモ、ルコウソウ、エボルブルス等)、ウリ科植物(ユウガオ等)、アジサイ科植物(アジサイ、ウツギ等)、フロウソウ科植物(ペラルゴニウム、ゼラニウム等)、モクセイ科植物(レンギョウ等)、ツバキ科植物(ツバキ、チャノキ等)、あるいは、開花後に得られる果実や種子にも有用性がある植物、例えばイネ科植物(例えば、イネ、オオムギ、コムギ、エンバク、ライムギ、トウモロコシ、アワ、ヒエ、コウリャン、サトウキビ、タケ、カラスムギ、シコクビエ、モロコシ、マコモ、ハトムギ、牧草等)、クワ科植物(クワ、ホップ、コウゾ、ゴムノキ、アサ等)、アカネ科植物(コーヒーノキ、クチナシ等)、ゴマ科植物(ゴマ等)、ミカン科植物(例えば、ダイダイ、ユズ、ウンシュウミカン、サンショウ)、ブドウ科植物(例えば、ブドウ等)、及びアブラナ科植物(ダイコン、シロナズナ、アブラナ等)などが挙げられる。
本発明の方法によって作製される植物は、土壌育成の状態、鉢植の状態、切り花の状態又は花のみの状態のいずれで鑑賞又は販売することも可能であり、更には、花の一部、例えば、花冠、花弁又は萼のみを鑑賞又は販売することも可能である。また、本発明の植物は果実又は種子として販売することもできる。
また、本発明の植物は、本発明の植物の種子、挿し木、球根等を育成することにより、容易に完全な植物体を得ることができる。
よって、本発明の植物には、植物体全体、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子、球根等)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束、柵状組織、海綿状組織等)又は植物培養細胞、あるいは種々の形態の植物細胞(例えば、懸濁培養細胞)、プロトプラスト、葉の切片、カルス等が含まれる。
本発明のデリバリー方法で形質転換された宿主植物が、植物器官、植物組織、植物細胞、プロトプラスト、葉の切片又はカルスといった植物体の一部であった場合には、完全な植物体を形成するまで形質転換体を適切な環境で育成してもよい。植物体の一部から完全な植物体を育成する方法については、以下の文献の記載を参照できる:生物化学実験法41 植物細胞工学入門 学会出版センター ISBN4−7622−1899−5。
4.本発明の植物の加工製品
現代では、生花(例えば、土壌育成植物、鉢植植物、切り花、組織培養苗等)のみではなく、生花の加工製品も植物観賞用の製品として販売されている。本発明の植物体は、このような生花の加工製品の材料としても非常に有用である。従って、本発明の別の実施形態として、本発明の植物(例えば、生花、切り花)又はその一部(例えば、葉、花弁、茎、根、種子、球根等)の加工製品が挙げられる。前記加工製品の例としては、押し花、ドライフラワー、プリザーブドフラワー、マテリアルフラワー、樹脂密封品等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
5.物質デリバリーシステム
別の態様において、本発明は、植物体に目的物質を導入するための物質デリバリーシステムを提供する。当該システムは、上記キレート剤及び界面活性剤を含む。
さらに、当該システムは、上記キレート剤及び界面活性剤に加えて膜透過性ペプチドを含んでいてもよい。
本発明のシステムに含まれるキレート剤、界面活性剤及び膜透過性ペプチドは、既に述べた通りである。
本発明のシステムを用いることにより、簡便に植物体に目的物質を導入し、同植物体の形質を変化させることができる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に記載された態様に限定されるものではない。
[実施例1] 細胞膜透過性R9ペプチドの植物細胞を用いた検証
R9ペプチドが培養細胞以外の植物細胞に対しても普遍的に効果があることを検証するために、トレニアのプロトプラストを用いてR9ペプチド存在下でのGreen Fluorescent Protein(GFP)取り込みを観察した。トレニア葉0.5gを酵素液(1%オノヅカRS、0.1% ペクトリアーゼY−23、0.45M マニトール)中で30℃2時間処理し、プロトプラストを調製した。プロトプラストを0.45Mマニトールで洗浄後、50μlずつに分け遠心分離し、プロトプラストを調製した。プロトプラストをそれぞれ50μlのバッファー(0.45Mマニトール、1xPBS、0.1mg GFP、(0、20、200μM)R9ペプチド)に懸濁し、蛍光顕微鏡でGFPの細胞内への移行を観察した(図1)。
R9ペプチド濃度が上昇するに伴い、GFPを取り込んでいる細胞数の増加が確認された。200μM R9ペプチド存在下では、良好にGFPの取り込みが観察でき、植物細胞においてもR9ペプチドが細胞膜を経由した取り込みに有効であることが確認できた。
[実施例2] 細胞壁の透過性
蛍光タンパク質であるGFP及びGFP−FTとR9ペプチドを含む様々な塗布液を作製し、タマネギの鱗茎に塗布することでGFPの取り込みを検証した。検証した塗布液の組成を以下に示す。
塩(NaCl)、酸性バッファー(クエン酸)、有機溶媒(トルエン・エタノール)、細胞壁消化酵素(ペクトリアーゼ)、界面活性剤(サポニン、SilwetL−77、Tween20、TritonX−100、CHAPS、CTAB、SDS)、キレート剤(EGTA、EDTA、CDTA、BAPTA)、DMSO、グリセロール。
上に示した要素を単独もしくは組み合わせて用い試行錯誤を重ねた結果、カルシウムキレート剤(EDTA、EGTA)と界面活性剤(SilwetL−77、Tween20)を組み合わせることで、生きた細胞の細胞壁透過性を高めることができることを見出した。
タマネギ鱗茎を舟形に切り出し、その表面に種々の濃度条件の塗布液(0.1xPBS、1〜100mM キレート剤、0.005%〜0.05% 界面活性剤、0.1mg GFP、20μM R9ペプチド)各100μlを塗布し、シャーレ中で湿度を維持した状態で室温、12時間静置した。その後、塗布液を除去し、蒸留水で洗浄後、0.25%トリプシン液各100μlを塗布し、30分間静置した。トリプシン液を除去後、蒸留水で洗浄し、表皮の細胞層を剥離してプレパラート化し、蛍光顕微鏡(Leica社、DM6000B)でGFPの細胞内への取り込みを観察した。キレート剤及び界面活性剤を含まない塗布液の場合には、トリプシン処理前に細胞壁表面に強い蛍光が見られるが、トリプシン処理後にはその蛍光は見られなくなり、細胞内にも蛍光は観察されなかった。このことから、GFPとR9ペプチドの混合液では細胞壁を透過することが出来ず、細胞壁表面にGFPが付着すると考えられた。また、この強い細胞壁表面への付着はGFPのみの処理では観察されなかった事から、GFPとR9ペプチドは接着性の高い複合体を形成していると考えられた。一方で、1〜50mM EDTAもしくはEGTAと0.005〜0.01% SilwetL−77もしくはTween20を含む塗布液を塗布したサンプルにおいては、タマネギ表皮細胞の核周辺に顆粒状のGFP蛍光が強く観察された(図2)。キレート剤であるEDTAもしくはEGTAと界面活性剤であるSilwetL−77もしくはTween20を組み合わせることで細胞壁の透過性を上昇させることができ、GFPが細胞内に取り込まれたと考えられた。さらに、キレート剤及び界面活性剤を含む条件でGFPの代わりにGFPとFTタンパク質との融合タンパク質(分子量約50kDa)を用いたところ、細胞への取り込みが確認できた(図3)。この結果は、キレート剤及び界面活性剤の組み合わせが細胞壁の透過性を高め、細胞壁のポアサイズの最大値である25kDa(N.Capita et al.:Science 205,1141(1979))よりも大きいサイズの物質を透過させたことを示唆している。
[実施例3] 高分子化合物(FTタンパク質)の移行検証
FT遺伝子は遅咲き突然変異体の原因遺伝子の一つとして最初に同定され、CO遺伝子やGI遺伝子と共に日長感受性の主要な制御因子であることが示唆された(M.Koornneef et al.:Mol.Gen.Genet.229,57(1991))。その後、FT遺伝子の配列決定、過剰発現体の解析がなされ、FT遺伝子の過剰発現だけで早咲き形質を獲得することが示された(Y.Kobayashi et al.:Science 286,1960(1999))。また、接ぎ木を用いた実験や発現部位の解析により、FTタンパク質は葉で生合成され、茎頂まで輸送されるタンパク質であり、フロリゲンの候補の一つである可能性が示唆された(H.An et al.:Development 131,3615(2004))。長年不明であったフロリゲンの正体が2007年に明らかにされ、FTタンパク質(イネのHd3aタンパク質)がその本体であることが示された(L.Corbesier et al.:Science 316,1030(2007)、S.Tamaki et al.:Science 316,1033(2007))。FTタンパク質は葉から茎頂に移動する性質を持つタンパク質であるので、葉に塗布したFTタンパク質が茎頂に移動したことを確認できれば、細胞外からの高分子化合物の取り込み技術の証明になると考えられる。
葉に塗布したFTタンパク質の移行を検証するために、塗布後の茎頂をサンプリングし、ウエスタンブロット法でFTタンパク質の検出を試みた。葉に長期間塗布するにあたり、EDTAの濃度検討を行った結果、タマネギの表皮に適用した100mM EDTAでは濃すぎて葉にダメージを与えることが分かったので、濃度検討を行い、1mM EDTAなら問題なく使用できることを確認した。
トレニアの茎頂を含む枝から挿し芽を作製し、3節程度を含む約10cmの長さに切り揃え、0.1XPBSを4ml入れた5mlのチューブに1本ずつ挿し、PBSの蒸発を防ぐためにパラフィルムでチューブの口を覆った。1試験区当たり4本の挿し芽を調製し、茎頂から2節(約3cm)離れた位置の葉に3条件の塗布液(条件1:0.1xPBS、1mM EDTA、0.005% SilwetL−77 条件2:33μg/ml FTタンパク質、0.1xPBS、1mM EDTA、0.005% SilwetL−77 条件3:FTタンパク質、20μM R9ペプチド、0.1xPBS、1mM EDTA、0.005% SilwetL−77)各90μlを薄く広げて塗布し自然乾燥させた後、恒温培養器にて25℃で維持した。
3日後に再度塗布を行い、最初の塗布から一週間後に茎頂をサンプリングした。茎頂サンプルからアセトン法によってタンパク質を抽出した。抽出バッファー(10mM Tris−HCl(pH8.0)、0.1% CHAPS、4.5mM NaCl、0.1mM DTT、0.2mM EDTA、cOmplete ULTRA1錠(ロシュ・ダイアグノスティック社))250μlを挿し芽4本分の茎頂サンプルに加え、直径4mmのジルコニアビーズと一緒にミキサーで十分に破砕した。15000rpm、室温で10分間遠心後、上清に4倍量のアセトンを加えよく混ぜ、30分氷上で静置した。さらに15000rpm、4℃で30分間遠心後、上清を捨て沈殿を5分間風乾させた。沈殿に50μl 1xPBSを入れ、ピペッティングで十分に懸濁し、等量のタンパク質電気泳動用の2xサンプルバッファー(濃度:4% SDS、20% グリセロール、 10% 2−メルカプトエタノール、0.004% ブロモフェニルブルー、0.125M Tris−HCl pH6.8)を加え、100℃で15分間加熱処理を行った。15000rpm、室温で15分間遠心後、上清を取得し、常法に従ってSDS−PAGE、ウエスタンブロットを行い、FTタンパク質の検出を試みた。1次抗体は抗FT抗体(サンタクルズバイオテクノロジー社)、抗GFP抗体(ナカライテスク社)を用い、検出はECL PRIME Western Blotting Detection System(Amersham社)を用いて行った。
ウエスタンブロットの結果、FTタンパク質とR9ペプチドの組み合わせで、FTタンパク質のシグナルを茎頂で検出することができた(図3)。図3においてレーン(1)は標準FTタンパク質(ポジティブコントロール)、レーン(2)〜(4)はそれぞれ条件1〜3で処理した植物体の茎頂サンプルのウェスタンブロッティングの結果を示す。このことから、塗布されたFTタンパク質が細胞外から葉の細胞内に移行し、その後茎頂に移行していることが確認できた。
[実施例4] 花芽の誘導
トレニアのビトロ苗は試験管内で花芽を付けることはほとんどない。また、ペチュニアのビトロ苗は短日条件下において花芽を付けない。これらのビトロ苗に対し、FTタンパク質を葉の表面に塗布することによる花芽の誘導を試みた。
試験管内で栽培したトレニア及びペチュニアの茎頂及び葉表面に塗布液(33μg/ml FTタンパク質、20μM R9ペプチド、0.1xPBS、1mM EDTA、0.005% SilwetL−77)を均一になるように薄く広げて塗布した。塗布を2〜3日毎に5回繰り返し、その後も培養を継続した。その結果、塗布後40日ほどで花芽が形成され、試験管内で開花に至った(図4)。このことから、本発明による技術を用いることにより、植物の形質を改変できることが明らかになった。
本発明の方法により、宿主植物の遺伝的形質を変えることなく宿主の表現型を変えることが可能である。また、本発明の方法は、遺伝子組換え工程を含まないため、簡便に宿主植物の表現形を変えることが可能である。また、本発明の方法により目的物質が導入された植物体は、同目的物質が分解されれば野生型の表現型に戻るため、生態系に対して与える影響が少なく、環境に対して安全性が高いといえる。
配列番号1〜3:合成コンストラクト
[配列表]

Claims (15)

  1. キレート剤及び界面活性剤を含む、植物細胞壁の処理剤。
  2. 前記キレート剤がカルシウムキレート剤である、請求項1に記載の処理剤。
  3. 前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、請求項1に記載の処理剤。
  4. 植物体へ目的物質を導入するための物質デリバリー方法であって、
    (a)前記植物体の表面に、請求項1〜3のいずれか一項に記載の処理剤を塗布する工程;及び
    (b)前記処理剤を塗布した部位に目的物質を塗布して前記目的物質を植物細胞内に導入する工程、
    を含む、方法。
  5. 前記目的物質が細胞膜透過性ペプチドとの混合物として塗布される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記目的物質が1〜100kDaの分子量を有する、請求項4に記載の方法。
  7. 前記目的物質が、糖、タンパク質、核酸、脂質からなる群より選択される高分子である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記細胞膜透過性ペプチドが高アルギニン含有ペプチドである、請求項5に記載の方法。
  9. 前記工程(a)及び(b)が同時に行われる、請求項4に記載の方法。
  10. 請求項4〜9のいずれか一項に記載の方法で目的物質が導入された植物体、植物器官、植物組織、植物細胞、プロトプラスト、葉の切片又はカルス。
  11. キレート剤及び界面活性剤を含む、植物体へ目的物質を導入するための物質デリバリーシステム。
  12. 細胞膜透過性ペプチドをさらに含む、請求項11に記載のシステム。
  13. 前記キレート剤がカルシウムキレート剤である、請求項11に記載のシステム。
  14. 前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、請求項11に記載のシステム。
  15. 前記細胞膜透過性ペプチドが高アルギニン含有ペプチドである、請求項12に記載のシステム。
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