JPWO2014129333A1 - 光学部品 - Google Patents

光学部品 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2014129333A1
JPWO2014129333A1 JP2015501391A JP2015501391A JPWO2014129333A1 JP WO2014129333 A1 JPWO2014129333 A1 JP WO2014129333A1 JP 2015501391 A JP2015501391 A JP 2015501391A JP 2015501391 A JP2015501391 A JP 2015501391A JP WO2014129333 A1 JPWO2014129333 A1 JP WO2014129333A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
refractive index
index layer
transparent substrate
optical component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015501391A
Other languages
English (en)
Inventor
健輔 藤井
健輔 藤井
貴章 村上
貴章 村上
明彦 吉原
明彦 吉原
賢郎 宮村
賢郎 宮村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Publication of JPWO2014129333A1 publication Critical patent/JPWO2014129333A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/10Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
    • G02B1/11Anti-reflection coatings
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/10Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
    • G02B1/11Anti-reflection coatings
    • G02B1/113Anti-reflection coatings using inorganic layer materials only
    • G02B1/115Multilayers
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B7/00Layered products characterised by the relation between layers; Layered products characterised by the relative orientation of features between layers, or by the relative values of a measurable parameter between layers, i.e. products comprising layers having different physical, chemical or physicochemical properties; Layered products characterised by the interconnection of layers
    • B32B7/02Physical, chemical or physicochemical properties
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B9/00Layered products comprising a layer of a particular substance not covered by groups B32B11/00 - B32B29/00
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C14/00Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material
    • C23C14/06Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material characterised by the coating material
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/10Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/10Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
    • G02B1/14Protective coatings, e.g. hard coatings
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/10Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
    • G02B1/18Coatings for keeping optical surfaces clean, e.g. hydrophobic or photo-catalytic films
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B27/00Optical systems or apparatus not provided for by any of the groups G02B1/00 - G02B26/00, G02B30/00
    • G02B27/0006Optical systems or apparatus not provided for by any of the groups G02B1/00 - G02B26/00, G02B30/00 with means to keep optical surfaces clean, e.g. by preventing or removing dirt, stains, contamination, condensation

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【解決手段】透明基体と、前記透明基体上に積層された低反射膜と、前記低反射膜上に積層された防汚膜と、を有しており、前記防汚膜の表面粗さRaが3nm以下である光学部品を提供する。

Description

本発明は、光学部品に関する。
液晶ディスプレイ等の各種表示装置やカメラ等の撮影機器、各種光学機器において、表示部材や撮像素子を保護するための保護部材や、前記機器を構成するレンズ等の光学機能部材等(以下、光学部品ともいう)が用いられている。
このような光学部品においては、光を透過させるため透明基体が用いられており、該透明基体の表面にさらに低反射膜が設けられた構成とされている。これは、入射した光が反射し、視認性等が低下することを抑制するためである。また、使用の際に人の指等が接触すると脂、汗、化粧料などが付着し、視認性等に影響を与えることから、汚れが付着しにくく、また、汚れを除去し易いように、低反射膜上にさらに防汚膜を設けた構成とされている。
しかしながら、防汚膜に汚れが付着した場合に、防汚膜表面を布等により何回も拭き取りを行うと、防汚膜の一部、また、場合によっては全部が除去されてしまい、耐汚染性が低下するという問題があり、従来から防汚膜の耐久性を高める方法が検討されてきた。
例えば特許文献1には、防汚層の耐久性を高めることを目的として、所定の化合物からなる防汚層を形成した反射防止部材が開示されている。
日本国特開2001−281412号公報
しかしながら、特許文献1の反射防止部材においては、防汚層の一定の耐久性の向上はみられるものの、実用上十分な耐久性を有しているとはいえず、更なる耐久性の向上が求められていた。
本発明は上記従来技術が有する問題に鑑み、透明基体上に、低反射膜、防汚膜が積層された光学部品において、防汚膜の耐久性を高めた光学部品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明は、透明基体と、
前記透明基体上に積層された低反射膜と、
前記低反射膜上に積層された防汚膜と、を有しており、
前記防汚膜の表面粗さRaが3nm以下である光学部品を提供する。
本発明においては、透明基体上に、低反射膜、防汚膜が積層された光学部品において、防汚膜の耐久性を高めた光学部品を提供できる。
本発明の実施形態に係る光学部品の構成の説明図 実験例1における光学部品のSEM画像 実験例6における光学部品のSEM画像
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
本実施形態では、本発明の光学部品について説明する。
本実施形態の光学部品は、透明基体と、前記透明基体上に積層された低反射膜と、前記低反射膜上に積層された防汚膜と、を有しており、前記防汚膜の表面粗さRaが3nm以下であることを特徴とする。
本実施形態の光学部品について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態の光学部品10の断面図を模式的に示したものであり、透明基体11上に低反射膜12と、該低反射膜12上に防汚膜13が積層された構成を有している。光学部品10を構成する各部材について以下に説明する。
まず、透明基体11の材料としては特に限定されるものではなく、少なくとも可視光を透過するものであれば、各種透明基体が利用可能である。透明基体としては例えば、プラスチック基板、サファイア基板、ガラス基板等が挙げられる。中でも透明性や、強度等の観点から透明基体はガラス基板が好ましい。また、特に強度を求められる用途においては透明基体としてサファイア基板を用いることが好ましい。
透明基体としてガラス基板を用いる場合、ガラスの種類は特に限定されるものではなく、無アルカリガラスや、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスなど各種ガラスを利用できる。中でもその上面に設ける層との密着性の観点から、ソーダライムガラスを用いることが好ましい。
透明基体11がガラス基板の場合、透明基体自体の強度の点からは、アルミノシリケートガラスを化学強化処理した強化ガラス基板(例えば、「ドラゴントレイル(登録商標)」等)を用いることが好ましい。
化学強化処理とは、ガラスの表面のイオン半径が小さいアルカリイオン(例えば、ナトリウムイオン)を、イオン半径の大きなアルカリイオン(例えば、カリウムイオン)に置換する処理をいう。例えば、ナトリウムイオンを含有するガラスを、カリウムイオンを含む溶融塩で処理することにより化学強化できる。このような化学強化処理後のガラス基板表面の圧縮応力層の組成は、イオン交換処理前の組成と若干異なるが、基板深層部の組成は、化学強化処理前の組成とほぼ同じである。
化学強化の条件は特に限定されるものではなく、化学強化に供するガラスの種類や要求される化学強化の程度等に応じて適宜選択できる。
化学強化処理を行うための溶融塩としては、化学強化に供するガラス基材に応じて選択すればよい。化学強化処理を行うための溶融塩として例えば、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウムおよび塩化カリウム等のアルカリ硫酸塩およびアルカリ塩化塩などが挙げられる。これらの溶融塩は単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
溶融塩の加熱温度は、350℃以上が好ましく、380℃以上がより好ましい。また、500℃以下が好ましく、480℃以下がより好ましい。
溶融塩の加熱温度を350℃以上とすることにより、イオン交換速度が低下しすぎて化学強化が入りにくくなるのを防ぐことができる。また、500℃以下とすることにより溶融塩の分解・劣化を抑制できる。
また、ガラスを溶融塩に接触させる時間は、十分な圧縮応力を付与するため、1時間以上が好ましく、2時間以上がより好ましい。また、長時間のイオン交換では、生産性が落ちるとともに、緩和により圧縮応力値が低下するため、24時間以下が好ましく、20時間以下がより好ましい。
透明基体11の形状に関しても特に限定されるものではなく、光学部品の各種用途に応じてその形状を選択できる。例えば、図1に示す板状形状であってもよく、面内に曲面や球面を含む形状であってもよい。
透明基体11の表面粗さRaは特に限定されるものではないが、上記のように、本実施形態の光学部品においては、防汚膜13の表面粗さRaが3nm以下となっている。そして、防汚膜13は低反射膜12上に、低反射膜12は透明基体11上に積層されている。このため、防汚膜13の表面粗さRaをより容易に上記範囲とするためには、透明基体11の低反射膜12が積層される面11A、及び、低反射膜12の防汚膜13が積層される面12Aも同様の表面粗さRaであることが好ましい。すなわち、透明基体11の低反射膜12、防汚膜13が順に積層される面11Aについては表面粗さRaが3nm以下であることが好ましい。また、後述のように防汚膜13の表面粗さRaは2nm以下であることがより好ましく、1.5nm以下がさらに好ましい。従って、透明基体11の低反射膜12、防汚膜13が順に積層される面11Aの表面粗さRaは2nm以下であることがより好ましく、1.5nm以下がさらに好ましい。
透明基体11の低反射膜12および防汚膜13を順に積層する面11Aの表面粗さRaの下限値は特に限定されるものではないが、後述する防汚膜13の表面と同様に、0.1nm以上が好ましく、0.5nm以上がより好ましい。
なお、透明基体11の低反射膜12、防汚膜13をともに積層しない、または、低反射膜12のみを積層する面についてはその表面粗さRaは光学部材の用途等に応じて任意に選択できる。
ここで、表面粗さRaとは、基準面上にとった基準長さに含まれる粗さ曲線において、基準面からの絶対値偏差を平均した値であって、0に近いほど完全な平滑面に近いことを示す。
そして、透明基体11の少なくとも一方の面には、図1に示すように低反射膜12が積層されている。
低反射膜12は光学部品10表面での光の反射を抑制できるため、低反射膜を有する光学部品を表示装置のカバー部材として用いた場合に、周囲の光の映りこみを抑制し、表示装置の表示の視認性をより高めることが可能になる。また、係る光学部品をカメラのレンズとして用いた場合には、光の映りこみを抑制し、鮮明な画像を撮像可能である。
低反射膜の材料は特に限定されるものではなく、光の反射を抑制できる材料であれば各種材料を利用できる。例えば低反射膜としては、高屈折率層と低屈折率層とを積層した構成とすることができる。ここでいう高屈折率層とは、波長550nmでの屈折率が1.9以上の層であり、低屈折率層とは、波長550nmでの屈折率が1.6以下の層である。
高屈折率層と低屈折率層とは、それぞれ1層ずつ含む形態であってもよいが、それぞれ2層以上含む構成であってもよい。高屈折率層と低屈折率層とをそれぞれ2層以上含む場合には、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層した形態であることが好ましい。
特に反射防止性能を高めるためには、低反射膜は複数の層が積層された積層体であることが好ましく、例えば該積層体は全体で2層以上6層以下の層が積層されていることが好ましく、2層以上4層以下の層が積層されていることがより好ましい。ここでの積層体は、上記の様に高屈折率層と低屈折率層とを積層した積層体であることが好ましく、高屈折率層、低屈折率層各々の層数を合計したものが上記範囲であることが好ましい。
高屈折率層、低屈折率層の材料は特に限定されるものではなく、要求される反射防止の程度や生産性等を考慮して選択できる。高屈折率層を構成する材料としては、例えば酸化ニオブ(Nb)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、窒化ケイ素(SiN)、酸化タンタル(Ta)から選択された1種以上を好ましく利用できる。低屈折率層を構成する材料としては、酸化ケイ素(SiO)、SiとSnとの混合酸化物を含む材料、SiとZrとの混合酸化物を含む材料、SiとAlとの混合酸化物を含む材料から選択された1種以上を好ましく利用できる。
高屈折率層としては生産性や、屈折率の程度から、前記高屈折率層が酸化ニオブ層または酸化タンタル層から選択されたいずれか一方からなり、前記低屈折率層が酸化ケイ素層であることがより好ましい。
また、膜材料の硬さと表面粗さの観点からは、高屈折率層が窒化ケイ素層であり、低屈折率層が、SiとSnとの混合酸化物を含む材料、SiとZrとの混合酸化物を含む材料、SiとAlとの混合酸化物を含む材料、のいずれかであることがより好ましい。
本実施形態の光学部品において、低反射膜12は透明基体11の少なくとも一方に設けられているが、透明基体11の両面に設ける構成、すなわち、図1の11A、11B両方に設ける構成とすることもできる。
そして、上述のように、本実施形態の光学部品においては、低反射膜12上に形成される防汚膜13の表面粗さRaは3nm以下である。防汚膜の表面粗さRaが3nmよりも大きいと、防汚膜の表面が布等で擦られるときに、圧力が防汚膜の凸部に集中して加わることになる。その結果、その部分の防汚膜表面に対するせん断応力が強くなり、防汚膜がはがれやすくなると考えられる。一方防汚膜のRaが3nm以下であれば、布等が表面の凹凸形状に沿って変形することができ、防汚膜表面全体に均一に荷重がかかる。従って防汚膜表面に対するせん断応力が小さくなり、防汚膜の剥がれが抑制されると考えられる。
防汚膜13の表面粗さRaをより容易に上記範囲とするためには、低反射膜12の防汚膜13と対向する面(例えば図1の場合、面12A)についても表面粗さRaが3nm以下となっていることが好ましい。
また、防汚膜表面に対するせん断応力をより小さくする観点から、防汚膜13の表面粗さRaは2nm以下がより好ましく、1.5nm以下がさらに好ましい。従って、低反射膜12の防汚膜13と対向する面12Aの表面粗さRaは2nm以下がより好ましい。1.5nm以下がさらに好ましい。
低反射膜12の防汚膜13と対向する面12Aの表面粗さRaの下限値は特に限定されるものではないが、後述する防汚膜13の表面と同様に、0.1nm以上が好ましく、0.5nm以上がより好ましい。
なお、防汚膜13は後述のように人手に触れる可能性のある面に形成されることから、反射膜12を透明基材の両面に設けた場合でも、一方の反射膜上にのみ防汚膜13を設ける構成とすることもできる。この場合、防汚膜を設けていない反射膜の表面粗さについては光学部品の用途等に応じて任意に選択可能である。
低反射膜12を成膜する方法は特に限定されるものではなく、各種成膜方法を利用可能である。特に、その表面の表面粗さRaの値を上記好ましい範囲とするために、パルススパッタ、ACスパッタ、デジタルスパッタ等の方法により成膜を行うことが好ましい。通常のマグネトロンスパッタに比べて、パルススパッタやACスパッタでは、プラズマのエネルギーがより多く基板に到達する、あるいは成膜分子がより多くのエネルギーをもって基板に到達する。このため、成膜された分子の再配置を促し、それによって密で平滑な膜ができると考えられる。
例えばパルススパッタにより成膜を行う際は、不活性ガスと酸素ガスとの混合ガス雰囲気のチャンバ内に透明基体11を配置し、これに対して、所望の組成となるようにターゲットを選択し、成膜できる。
この際、チャンバ内の不活性ガスのガス種は特に限定されるものではなく、アルゴンやヘリウム等、各種不活性ガスを利用できる。
そして、該不活性ガスと酸素ガスとの混合ガスによるチャンバ内の圧力は特に限定されるものではないが、0.5Pa以下の範囲とすることにより、低反射膜表面の表面粗さを容易に上記好ましい範囲とすることができるため好ましい。これは、不活性ガスと酸素ガスとの混合ガスによるチャンバ内の圧力が0.5Pa以下であると、成膜分子の平均自由行程が確保され、成膜分子がより多くのエネルギーをもって基板に到達する。したがって成膜分子の再配置が促され、比較的密で平滑な表面の膜ができるためと考えられる。不活性ガスと酸素ガスとの混合ガスによるチャンバ内の圧力の下限値は特に限定されるものではないが、例えば0.1Pa以上であることが好ましい。
また、デジタルスパッタは、通常のマグネトロンスパッタとは異なり、まずスパッタリングによって金属の極薄膜を形成してから、酸素プラズマあるいは酸素イオンあるいは酸素ラジカルを照射することによって酸化する、という工程を同一チャンバ内で繰り返して金属酸化物の薄膜を形成する方法である。この場合、成膜分子が基板に着膜した時は金属であるので、金属酸化物で着膜する場合に比べて延性があると推察される。したがって同じエネルギーでも成膜分子の再配置は起こりやすくなり、結果的に密で平滑な膜ができると考えられる。
次に防汚膜13について説明する。防汚膜13はフッ素含有有機ケイ素化合物により構成できる。
ここで、フッ素含有有機ケイ素化合物について説明する。本実施形態で用いるフッ素含有有機ケイ素化合物としては、防汚性、撥水性、撥油性を付与するものであれば特に限定されず使用できる。
このようなフッ素含有有機ケイ素化合物としては例えば、ポリフルオロポリエーテル基、ポリフルオロアルキレン基及びポリフルオロアルキル基からなる群から選ばれる1つ以上の基を有するフッ素含有有機ケイ素化合物を好ましく利用できる。なお、ポリフルオロポリエーテル基とは、ポリフルオロアルキレン基とエーテル性酸素原子とが交互に結合した構造を有する2価の基のことである。
このポリフルオロポリエーテル基、ポリフルオロアルキレン基及びポリフルオロアルキル基からなる群から選ばれる1つ以上の基を有するフッ素含有有機ケイ素化合物の具体例としては、下記一般式(I)〜(V)で表される化合物等が挙げられる。
式中、Rfは炭素数1〜16の直鎖状のポリフルオロアルキル基(アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等)、Xは水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等)、R1は加水分解可能な基(例えば、アミノ基、アルコキシ基等)又はハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、mは1〜50、好ましくは1〜30の整数、nは0〜2、好ましくは1〜2の整数、pは1〜10、好ましくは1〜8の整数である。
2q+1CHCHSi(NH) (II)
ここで、qは1以上、好ましくは2〜20の整数である。
一般式(II)で表される化合物としては例えば、n−トリフロロ(1,1,2,2−テトラヒドロ)プロピルシラザン(n−CFCHCHSi(NH)、n−ヘプタフロロ(1,1,2,2−テトラヒドロ)ペンチルシラザン(n−CCHCHSi(NH)等を例示できる。
q’2q’+1CHCHSi(OCH (III)
ここで、q'は1以上、好ましくは1〜20の整数である。
一般式(III)で表される化合物としては、2−(パーフルオロオクチル)エチルトリメトキシシラン(n−C17CHCHSi(OCH)等を例示できる。
式(IV)中、Rf2は、−(OC−(OC−(OCF−(s、t、uはそれぞれ独立に0〜200の整数)で表わされる2価の直鎖状ポリフルオロポリエーテル基であり、R、Rは、それぞれ独立に炭素原子数1〜8の一価炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等)である。X、Xは独立に加水分解可能な基(例えば、アミノ基、アルコキシ基、アシロキシ基、アルケニルオキシ基、イソシアネート基等)またはハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、d、eは独立に1〜2の整数であり、c、fは独立に1〜5(好ましくは1〜2)の整数であり、aおよびbは独立に2または3である。
化合物(IV)が有するRf2においてs+t+uは、20〜300であることが好ましく、25〜100であることがより好ましい。また、R、Rとしては、メチル基、エチル基、ブチル基がより好ましい。X、Xで示される加水分解性基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。また、aおよびbはそれぞれ3が好ましい。
式(V)中、vは1〜3の整数であり、w、y、zはそれぞれ独立に0〜200の整数であり、hは1または2であり、iは2〜20の整数であり、Xは加水分解性基であり、Rは炭素数1〜22の直鎖または分岐の炭化水素基であり、kは0〜2の整数である。w+y+zは、20〜300であることが好ましく、25〜100であることがより好ましい。また、iは2〜10であることがより好ましい。Xは、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。Rとしては、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましい。
また、市販されているポリフルオロポリエーテル基、ポリフルオロアルキレン基及びポリフルオロアルキル基からなる群から選ばれる1つ以上の基を有するフッ素含有有機ケイ素化合物として、KP−801(商品名、信越化学社製)、KY178(商品名、信越化学社製)、KY−130(商品名、信越化学社製)、KY185(商品名、信越化学社製)、オプツ−ル(登録商標)DSXおよびオプツール(登録商標)AES(いずれも商品名、ダイキン社製)などが好ましく使用できる。
なお、フッ素含有有機ケイ素化合物は、大気中の水分との反応による劣化抑制などのためにフッ素系溶媒等の溶媒と混合して保存されているのが一般的であるが、これらの溶媒を含んだまま成膜工程に供すると、得られた薄膜の耐久性等に悪影響を及ぼすことがある。
このため、本実施形態においては、加熱容器で加熱を行う前に予め溶媒除去処理を行ったフッ素含有有機ケイ素化合物、または、溶媒で希釈されていない(溶媒を添加していない)フッ素含有有機ケイ素化合物を用いることが好ましい。例えば、フッ素含有有機ケイ素化合物溶液中に含まれる溶媒の濃度として1mol%以下のものが好ましく、0.2mol%以下のものがより好ましい。溶媒を含まないフッ素含有有機ケイ素化合物を用いることが特に好ましい。
なお、上記フッ素含有有機ケイ素化合物を保存する際に用いられている溶媒としては、例えば、パーフルオロヘキサン、メタキシレンヘキサフルオライド(C(CF)、ハイドロフロオロポリエーテル、HFE7200/7100(商品名、住友スリーエム社製、HFE7200はC、HFE7100はCOCHで表わされる)等が挙げられる。
フッ素系溶媒を含むフッ素含有有機ケイ素化合物溶液からの溶媒(溶剤)の除去処理は、例えばフッ素含有有機ケイ素化合物溶液を入れた容器を真空排気することにより行うことができる。
真空排気を行う時間については、排気ライン、真空ポンプ等の排気能力、溶液の量等により変化するため限定されるものではないが、例えば10時間程度以上真空排気することにより行うことができる。
本実施形態の防汚膜の成膜方法は特に限定されるものではないが、上記のような材料を用いて真空蒸着により成膜することが好ましい。
この場合、上記溶媒の除去処理は、防汚膜を成膜する成膜装置の加熱容器にフッ素含有有機ケイ素化合物溶液を導入後、昇温する前に室温で加熱容器内を真空排気することにより行うこともできる。また、加熱容器に導入する前に予めエバポレーター等により溶媒除去を行っておくこともできる。
ただし、前述の通り溶媒含有量が少ない、または含まないフッ素含有有機ケイ素化合物は溶媒を含んでいるものと比較して、大気と接触することにより劣化しやすい。
このため、溶媒含有量の少ない(または含まない)フッ素含有有機ケイ素化合物の保管容器は容器中を窒素等の不活性ガスで置換、密閉したものを使用し、取り扱う際には大気への暴露、接触時間が短くなるようにすることが好ましい。
具体的には、保管容器を開封後は直ちに防汚膜を成膜する成膜装置の加熱容器にフッ素含有有機ケイ素化合物を導入することが好ましい。そして、導入後は、加熱容器内を真空にするか、窒素、希ガス等の不活性ガスにより置換することにより、加熱容器内に含まれる大気(空気)を除去することが好ましい。大気と接触することなく保管容器(貯蔵容器)から本製造装置の加熱容器に導入できるように、例えば貯蔵容器と加熱容器とが、バルブ付きの配管により接続されていることがより好ましい。
そして、加熱容器にフッ素含有有機ケイ素化合物を導入後、容器内を真空または不活性ガスで置換した後には、直ちに成膜のための加熱を開始することが好ましい。
防汚膜の成膜方法として、本実施形態の説明では溶液または原液のフッ素含有有機ケイ素化合物を用いた例を述べたが、これには限定されない。他の方法としてたとえば、予めポーラスな金属(たとえば、錫や銅)や繊維状金属(たとえば、ステンレススチール)にフッ素含有有機ケイ素化合物を一定量含侵させた、いわゆる蒸着用ペレットが、市販されており(一例として、キャノンオプトロン社製のサーフクリア)、これを使用する方法がある。この場合、蒸着装置の容量や必要膜厚に応じた量のペレットを蒸着源として、簡便に防汚膜を成膜することもできる。
防汚膜13は、上記のように、低反射膜12上に積層されることになる。例えば上述のように、透明基体11の両面(11A、11B)に低反射膜12を成膜した場合には、両方の低反射膜12に防汚膜を成膜することもできるが、何れか一方の面についてのみ防汚膜13を積層する構成としてもよい。これは、防汚膜13は人の手等が接触する可能性がある場所について設けられていればよいためであり、その用途等に応じて選択できる。
そして、本実施形態の防汚膜についてはその表面粗さRaが3nm以下であり、2nm以下であることがより好ましく、1.5nm以下であることがさらに好ましい。防汚膜13表面の表面粗さが係る範囲にあることにより防汚膜13の耐久性を高めることができる。
防汚膜13の表面粗さRaの下限値は特に限定されるものではないが、0.1nm以上であることが好ましく、0.5nm以上であることがより好ましい。
以上、本実施形態の光学部品について説明してきたが、本実施形態の光学部品のヘイズは1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。ヘイズをこの値とすることで、たとえば撮像素子用保護部材としては入射光の拡散を抑制して、より鮮明な画像を撮ることができる。また表示装置用保護部材としてはより鮮明な画像を表示できる。
したがって、液晶ディスプレイ等の各種表示装置やカメラ等の撮影機器、各種光学機器において、表示部材や撮像素子を保護するための保護部材(カバー部材)や、前記機器を構成するレンズ等の光学機能部材等としてより好ましく利用できる。
以下に具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)評価方法
以下の実験例において得られた光学部品の特性評価方法について以下に説明する。
(低反射膜の表面形状の測定、光学部品の形状観察)
以下の実験例において光学部品の防汚膜の表面形状の測定、評価を以下のように行った。
透明基体上に低反射膜、防汚膜を形成した後、該防汚膜の平面プロファイルを走査型プローブ顕微鏡(セイコーインスツル社製、型式:SPA400)で測定した。測定モードをDFMモードとし、走査エリアを3μm×3μmとした。そして得られた平面プロファイルからJIS B 0601(2001)に基づいて表面粗さRaの値を得た。
なお、まれに防汚膜材料が局所的に凝集していて、Raが特異的に大きくでる場合がある。このような場合は、その部分を計算から除去することが必要である。
また、走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社、型式:SU8020)を用いて、防汚膜成膜後の試料表面の形状観察も行った。
(擦り耐久性(耐摩耗性)試験、防汚膜の水接触角の測定)
以下の実験例において防汚膜を形成した後の試料について、該試料の防汚膜について擦り耐久性試験を以下の手順により行った。
まず、各実験例の防汚膜について以下の手順により擦り試験を行った。
底面が10mm×10mmである平面金属圧子の表面に、スチールウール#0000を装着して、サンプルを擦る摩擦子とした。
次に、上記摩擦子を用い、平面摩耗試験機3連式(大栄科学精器社製、型式:PA−300A)にて擦り試験を行った。具体的には、まず上記摩擦子の底面がサンプルの防汚膜面に接触するよう摩耗試験機に取り付け、摩擦子への加重が1000gとなるように重りを載せ、平均速さ6400mm/min、片道40mmで往復摺動した。往復1回で擦り回数1回として、擦り回数が2000回となるように擦り試験を行った。
その後、防汚膜について以下の手順により水接触角の測定を行った。
防汚膜の水接触角の測定は、自動接触角計(協和界面科学社製、型式:DM−501)を用いて、防汚膜上に純水1μLを滴下し、その接触角を測定することにより行った。測定に際しては、各試料について防汚膜表面の10箇所で測定を行い、その平均値を当該試料の水接触角とした。
この際、水接触角が90°以上を合格とし、90°未満を不合格として評価した。
(2)実験手順
以下の各実験例の手順について説明する。例1〜5、7は実施例であり、例6は比較例である。
[例1]
以下の手順により、光学部品を製造した。
透明基体として化学強化処理が施されたガラス基体(旭硝子社製、ドラゴントレイル(登録商標))を用いた。
そして、透明基体の一方の面に以下の手順により低反射膜を成膜した。
まず、アルゴンガスに10体積%の酸素ガスを混合した混合ガスを導入しながら、酸化ニオブターゲット(AGCセラミックス社製、商品名:NBOターゲット)を用いて、圧力0.3Pa、周波数20kHz、電力密度3.8W/cm、反転パルス幅5μsecの条件でパルススパッタリングを行い、透明基体の一方の面上に、厚さ14nmの酸化ニオブ(ニオビア)からなる高屈折率層を形成した。
次いで、アルゴンガスに40体積%の酸素ガスを混合した混合ガスを導入しながら、シリコンターゲットを用いて、圧力0.3Pa、周波数20kHz、電力密度3.8W/cm、反転パルス幅5μsecの条件でパルス幅5μsecの条件でパルススパッタリングを行い、前記高屈折率層上に厚さ35nmの酸化ケイ素(シリカ)からなる低屈折率層を形成した。
次いで、アルゴンガスに10体積%の酸素ガスを混合した混合ガスを導入しながら、酸化ニオブターゲット(AGCセラミックス社製、商品名:NBOターゲット)を用いて、圧力0.3Pa、周波数20kHz、電力密度3.8W/cm、反転パルス幅5μsecの条件でパルススパッタリングを行い、前記低屈折率層上に厚さ118nmの酸化ニオブ(ニオビア)からなる高屈折率層を形成した。
次いで、アルゴンガスに40体積%の酸素ガスを混合した混合ガスを導入しながら、シリコンターゲットを用いて、圧力0.3Pa、周波数20kHz、電力密度3.8W/cm、反転パルス幅5μsecの条件でパルス幅5μsecの条件でパルススパッタリングを行い、厚さ84nmの酸化ケイ素(シリカ)からなる低屈折率層を形成した。
このようにして、酸化ニオブ(ニオビア)と酸化ケイ素(シリカ)とが合計4層積層された低反射膜を形成した。
次いで低反射膜上に防汚膜を以下の手順により成膜した。
まず、防汚膜材料A(ダイキン社製、商品名:オプツール(登録商標)DSX剤)を加熱容器内に導入した。その後、加熱容器内を真空ポンプで10時間以上脱気して溶液中の溶媒除去を行って、フッ素含有有機ケイ素化合物被膜形成用の組成物とした。
次いで、上記フッ素含有有機ケイ素化合物膜形成用の組成物が入った加熱容器を270℃まで加熱した。270℃に到達した後、温度が安定するまで10分間その状態を保持した。
そして、真空チャンバ内に設置した上記低反射膜が積層された透明基体の、低反射膜に対して、前記フッ素含有有機ケイ素化合物膜形成用の組成物が入った加熱容器と接続されたノズルから、フッ素含有有機ケイ素化合物膜形成用の組成物を供給し、成膜を行った。
成膜の際には、真空チャンバ内に設置した水晶振動子モニタにより膜厚を測定しながら行い、透明基体A上に形成したフッ素含有有機ケイ素化合物膜の膜厚が7nmになるまで成膜を行った。
フッ素含有有機ケイ素化合物膜が7nmになった時点でノズルから原料の供給を停止し、その後真空チャンバから製造された光学部品を取り出した。
取り出された光学部品は、ホットプレートに膜面を上向きにして設置し、大気中で150℃、60分間熱処理を行った。
このようにして得られた試料について上記表面粗さの測定、擦り耐久性試験を行った。
結果を表1に示す。また、走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社、型式:SU8020)による表面形状観察結果を図2に示す。図2のうち、21で示す範囲が光学部品の上面部分、すなわち、防汚膜の面であり、図1の13A部分に対応する。そして、22で示す範囲が光学部品の側面であり、例えば図1の10A部分に対応する。
[例2]
以下の手順により、光学部品を製造した。
透明基体として化学強化処理が施されたガラス基体(旭硝子社製、商品名:ドラゴントレイル(登録商標))を用いた。
そして、透明基体の一方の面に以下の手順により低反射膜を成膜した。
まず、アルゴンガスに10体積%の酸素ガスを混合した混合ガスを導入しながら、酸化ニオブターゲット(AGCセラミックス社製、商品名:NBOターゲット)を2本用いて、圧力0.3Pa、周波数30kHz、電力密度3.8W/cm、の条件でACスパッタリングを行い、透明基体の一方の面上に、厚さ14nmの酸化ニオブ(ニオビア)からなる高屈折率層を形成した。
次いで、アルゴンガスに40体積%の酸素ガスを混合した混合ガスを導入しながら、シリコンターゲットを2本用いて、圧力0.3Pa、周波数30kHz、電力密度3.8W/cm、の条件でACスパッタリングを行い、前記高屈折率層上に厚さ35nmの酸化ケイ素(シリカ)からなる低屈折率層を形成した。
次いで、アルゴンガスに10体積%の酸素ガスを混合した混合ガスを導入しながら、酸化ニオブターゲット(AGCセラミックス社製、商品名:NBOターゲット)を2本用いて、圧力0.3Pa、周波数30kHz、電力密度3.8W/cm、の条件でACスパッタリングを行い、前記低屈折率層上に厚さ118nmの酸化ニオブ(ニオビア)からなる高屈折率層を形成した。
次いで、アルゴンガスに40体積%の酸素ガスを混合した混合ガスを導入しながら、シリコンターゲットを2本用いて、圧力0.3Pa、周波数30kHz、電力密度3.8W/cm、の条件でACスパッタリングを行い、厚さ84nmの酸化ケイ素(シリカ)からなる低屈折率層を形成した。
このようにして、酸化ニオブ(ニオビア)と酸化ケイ素(シリカ)とが合計4層積層された低反射膜を形成した。
その後、例1と同様にして防汚膜を形成した。
このようにして得られた試料について上記表面粗さの測定、擦り耐久性試験を行った。結果を表1に示す。
[例3]
以下の手順により、光学部品を製造した。
透明基体として化学強化処理が施されたガラス基体(旭硝子社製、商品名:ドラゴントレイル(登録商標))を用いた。薄膜形成装置には、Taターゲットを備えたカソード、Siターゲットを備えたカソード、プラズマ源、透明基体をセットできる回転ドラムからなる装置を用いた。そして、透明基体の一方の面に以下の手順により低反射膜を成膜した。
薄膜形成装置の真空度が2×10−4Pa以下になった後、Taターゲットにアルゴンガスを40sccm、プラズマ源に酸素ガスを180sccmで導入した。その後、Taターゲットのカソードに電力3kWを、プラズマ源に電力1.1kWを投入してスパッタリングを行い、厚さ14nm、屈折率(n)2.20の高屈折率層を形成した。
次に、Siターゲットにアルゴンガスを30sccm、プラズマ源に酸素ガスを180sccmで導入した。その後、Siターゲットのカソードに電力6kWを、プラズマ源に電力0.95kWを投入してスパッタリングを行い、高屈折率層の上に厚さ33nm、屈折率(n)1.48の低屈折率層を形成した。
この後、この低屈折率層の上に、上述した高屈折率層と同様の材料を用いて、同様の形成方法により、厚さが121nmの高屈折率層を形成した。さらにこの高屈折率層の上に、上述した低屈折率層と同様の材料を用いて同様の形成方法により、厚さが81nmの低屈折率層を形成した。
このようにして、酸化タンタルと酸化ケイ素(シリカ)とが合計4層積層された低反射膜を形成した。
ついで、例1と同様にして防汚膜を形成した。
このようにして得られた試料について上記表面粗さの測定、擦り耐久性試験を行った。結果を表1に示す。
[例4]
本実施例では防汚膜を形成する材料を防汚膜材料B(信越化学社製、商品名:KY−185)とした点以外は、例2と同様にして光学部品を製造した。
このようにして得られた試料について上記表面粗さの測定、擦り耐久性試験を行った。結果を表1に示す。
[例5]
以下の手順により、光学部品を製造した。
透明基体として化学強化処理が施されたガラス基体(旭硝子社製、商品名:ドラゴントレイル(登録商標))を用いた。薄膜形成装置には、Siターゲットを備えたカソード、Sn含有Siターゲットを備えたカソード、プラズマ源、透明基体をセットできる回転ドラムからなる装置を用いた。そして、透明基体の一方の面に以下の手順により低反射膜を成膜した。
薄膜形成装置の真空度が2×10−4Pa以下になった後、Siターゲットにアルゴンガスを85sccm、プラズマ源に窒素ガスを105sccmで導入した。その後、Siターゲットのカソードに電力6kWを、プラズマ源に電力0.55kWを投入してスパッタリングを行い、厚さ26nm、屈折率(n)2.09の高屈折率層を形成した。
次に、SiターゲットとSn含有Siターゲットにそれぞれアルゴンガスを40sccm、プラズマ源に酸素ガスを140sccmで導入した。その後、Siターゲットのカソードに電力6kWを、Sn含有Siターゲットに電力0.6kWを、プラズマ源に電力0.85kWを投入してスパッタリングを行い、高屈折率層の上に厚さ30nm、屈折率(n)1.49の低屈折率層を形成した。
この後、この低屈折率層の上に、上述した高屈折率層と同様の材料を用いて、同様の形成方法により、厚さが50nmの高屈折率層を形成した。さらにこの高屈折率層の上に、上述した低屈折率層と同様の材料を用いて、同様の形成方法により、厚さが88nmの低屈折率層を形成した。
このようにして、窒化ケイ素(窒化シリコン)とSiとSnとの混合酸化物とが合計4層積層された低反射膜を形成した。
今回は、SiターゲットとSn含有Siターゲットを用いたが、Sn含有Siターゲットだけで低屈折率層を成膜してもよい。また、今回はSn含有Siターゲットを用いたが、Zr含有SiターゲットやAl含有Siターゲットであってもよい。
ついで、防汚膜の形成は、例1と同様にして防汚膜を形成した。
このようにして得られた試料について上記表面粗さの測定、擦り耐久性試験を行った。結果を表1に示す。
[例6]
本実験例では低反射膜を形成する際の条件を以下のようにした点以外は、例1と同様にして光学部品を製造した。
すなわち、成膜中の圧力を0.7Paとした以外は例1と同様にして、酸化ニオブ(ニオビア)と酸化ケイ素(シリカ)が総計4層積層された低反射膜を形成した。その後、例1と同様にして防汚膜を形成し、表面粗さの測定、擦り耐久性試験を行った。
結果を表1に示す。また、走査型プローブ顕微鏡による表面形状観察結果を図3に示す。図3のうち、31で示す範囲が光学部品の上面部分、すなわち、防汚膜の面であり、図1の13A部分に対応する。そして、32で示す範囲が光学部品の側面であり、例えば図1の10A部分に対応する。
[例7]
以下の手順により、光学部品を製造した。
透明基体としてサファイア基体(株式会社信光社製)を用いた。薄膜形成装置には、Siターゲットを備えたカソード、Alターゲットを備えたカソード、プラズマ源、透明基体をセットできる回転ドラムからなる装置を用いた。そして、透明基体の一方の面に以下の手順により低反射膜を成膜した。
薄膜形成装置の真空度が2×10−4Pa以下になった後、Siターゲットにアルゴンガスを85sccm、プラズマ源に窒素ガスを105sccmで導入した。その後、Siターゲットのカソードに電力6kWを、プラズマ源に電力0.55kWを投入してスパッタリングを行い、厚さ17nm、屈折率(n)2.09の高屈折率層を形成した。
次に、SiターゲットとAlターゲットにそれぞれアルゴンガスを40sccm、プラズマ源に酸素ガスを140sccmで導入した。その後、Siターゲットのカソードに電力6kWを、Alターゲットに電力4kWを、プラズマ源に電力0.85kWを投入してスパッタリングを行い、高屈折率層の上に厚さ21nm、屈折率(n)1.49の低屈折率層を形成した。
この後、この低屈折率層の上に、上述した高屈折率層と同様の材料を用いて、同様の形成方法により、厚さが134nmの高屈折率層を形成した。さらにこの高屈折率層の上に、上述した低屈折率層と同様の材料を用いて、同様の形成方法により、厚さが82nmの低屈折率層を形成した。
このようにして、窒化ケイ素(窒化シリコン)とSiとAlとの混合酸化物とが合計4層積層された低反射膜を形成した。
今回は、SiターゲットとAlターゲットを用いてSiとAlとの混合酸化物を形成したが、Al含有Siターゲットを用いて低屈折率層を成膜してもよい。また、低屈折率層は、例えばSiとSnとの混合酸化物を含む材料や、SiとZrとの混合酸化物を含む材料とすることもできるため、今回はAlターゲットを用いたが、Alターゲットにかえて、ZrターゲットやSnターゲットを用いてもよい。
次いで、防汚膜を形成する材料を防汚膜材料C(信越化学社製、商品名:KY−178)とした点以外は例1と同様にして、防汚膜を形成した。
このようにして得られた試料について上記表面粗さの測定、擦り耐久性試験を行った。結果を表1に示す。
表1に示した結果によると、本発明の規定を充足する例1〜例5、7については擦り耐久性試験において水接触角が90°以上となっており、合格基準を満たすのに対して、比較例である例6については、60°であり合格基準を満たしていなかった。
例6では擦り耐久試験後の水接触角がきわめて小さくなっていることから、防汚膜が剥離、磨耗していることがわかる。これは、防汚膜の表面粗さRaが3.4nmと、例1〜例5と比較して大きいことに起因すると考えられる。
以上のように、本発明の規定を充足する例1〜例5、7は、比較例である例6と比較して防汚膜の耐久性が非常に高くなっていることが確認できた。
以上に光学部品を、実施形態および実施例等で説明したが、本発明は上記実施形態および実施例等に限定されない。特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
本出願は、2013年2月22日に日本国特許庁に出願された特願2013−033388号に基づく優先権を主張するものであり、特願2013−033388号の全内容を本国際出願に援用する。
11 透明基体
12 低反射膜
13 防汚膜

Claims (6)

  1. 透明基体と、
    前記透明基体上に積層された低反射膜と、
    前記低反射膜上に積層された防汚膜と、を有しており、
    前記防汚膜の表面粗さRaが3nm以下である光学部品。
  2. 前記透明基体がガラス基板である請求項1に記載の光学部品。
  3. 前記透明基体がサファイア基板である請求項1に記載の光学部品。
  4. 前記低反射膜が、高屈折率層と低屈折率層との積層体であり、
    前記高屈折率層が酸化ニオブ層または酸化タンタル層から選択されたいずれか一方からなり、
    前記低屈折率層が酸化ケイ素層である、請求項1乃至3何れか一項に記載の光学部品。
  5. 前記低反射膜が高屈折率層と低屈折率層との積層体であり、
    前記高屈折率層が窒化ケイ素層であり、
    前記低屈折率層が、SiとSnとの混合酸化物を含む材料、SiとZrとの混合酸化物を含む材料、SiとAlとの混合酸化物を含む材料、のいずれかである、請求項1乃至3何れか一項に記載の光学部品。
  6. 前記低反射膜が複数の層が積層された積層体であって、該積層体は全体で2層以上6層以下の層が積層されている請求項1乃至5何れか一項に記載の光学部品。
JP2015501391A 2013-02-22 2014-02-07 光学部品 Pending JPWO2014129333A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013033388 2013-02-22
JP2013033388 2013-02-22
PCT/JP2014/052969 WO2014129333A1 (ja) 2013-02-22 2014-02-07 光学部品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2014129333A1 true JPWO2014129333A1 (ja) 2017-02-02

Family

ID=51391129

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015501391A Pending JPWO2014129333A1 (ja) 2013-02-22 2014-02-07 光学部品

Country Status (7)

Country Link
US (1) US20150338552A1 (ja)
JP (1) JPWO2014129333A1 (ja)
KR (1) KR20150118156A (ja)
CN (1) CN105008967A (ja)
DE (1) DE112014000955T5 (ja)
TW (1) TW201440902A (ja)
WO (1) WO2014129333A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10988410B2 (en) * 2016-01-12 2021-04-27 AGC Inc. Glass substrate with antifouling layer and front plate for display

Families Citing this family (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2014199991A1 (ja) * 2013-06-11 2017-02-23 日本電気硝子株式会社 カバー部材、表示装置及びカバー部材の製造方法
DE112016003678B4 (de) * 2015-08-10 2021-07-15 AGC Inc. Glasplatte mit Antiverschmutzungsschicht
JP6969626B2 (ja) * 2016-01-12 2021-11-24 Agc株式会社 防汚層付きガラス基体の製造方法
JP7306438B2 (ja) * 2016-01-12 2023-07-11 Agc株式会社 防汚層付きガラス基体及び表示装置用前面板
CN106977113A (zh) * 2016-01-19 2017-07-25 精工爱普生株式会社 透光性部件、钟表及透光性部件的制造方法
JP6799932B2 (ja) * 2016-03-28 2020-12-16 株式会社トプコン 手術顕微鏡用光学素子および医療用光学機器
US11161778B2 (en) * 2016-11-09 2021-11-02 Corning Incorporated Coated glass articles and processes for producing the same
US10877181B2 (en) * 2016-11-11 2020-12-29 AGC Inc. Substrate with low-reflection property and manufacturing method thereof
CN110537116B (zh) * 2017-04-20 2021-10-29 信越化学工业株式会社 防反射构件及其制造方法
CN111033319B (zh) * 2017-09-29 2022-03-04 日本电产株式会社 透镜、透镜单元和摄像装置
CN109683223B (zh) * 2017-10-19 2023-01-03 Agc株式会社 透明构件
WO2019188970A1 (ja) * 2018-03-27 2019-10-03 日本電産株式会社 光学部品およびレンズユニット
JP7279713B2 (ja) * 2018-04-27 2023-05-23 コニカミノルタ株式会社 光学薄膜、光学部材及び光学薄膜の製造方法
CN110484878B (zh) * 2018-05-15 2022-03-29 蓝思科技(长沙)有限公司 用于非金属盖板的浅金色涂层Logo及其制备方法
JP6863343B2 (ja) 2018-07-12 2021-04-21 Agc株式会社 ガラス積層体、ディスプレイ用前面板、表示装置およびガラス積層体の製造方法
JP2020060657A (ja) * 2018-10-09 2020-04-16 日東電工株式会社 反射防止ガラス
CN115175806A (zh) * 2020-03-04 2022-10-11 迪睿合株式会社 光学层叠体的制造方法
US20230127573A1 (en) 2020-03-04 2023-04-27 Dexerials Corporation Optical laminate, article and method of manufacturing optical laminate
JP7089610B2 (ja) * 2020-03-04 2022-06-22 デクセリアルズ株式会社 光学積層体の製造方法
JP7089609B2 (ja) * 2020-03-04 2022-06-22 デクセリアルズ株式会社 光学積層体、物品、光学積層体の製造方法
EP4183573A1 (en) * 2020-07-17 2023-05-24 Dexerials Corporation Method for producing optical multilayer body
EP4183574A1 (en) * 2020-07-17 2023-05-24 Dexerials Corporation Optical laminate, article, and method for producing optical laminate
JP7101297B2 (ja) * 2020-07-17 2022-07-14 デクセリアルズ株式会社 光学積層体、物品、光学積層体の製造方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005292516A (ja) * 2004-03-31 2005-10-20 Canon Optron Inc 脂環式構造含有重合体組成物からなる光学部品
WO2008038714A1 (fr) * 2006-09-29 2008-04-03 Dai Nippon Printing Co., Ltd. film optiquement fonctionnel
FR2928461B1 (fr) * 2008-03-10 2011-04-01 Saint Gobain Substrat transparent comportant un revetement antireflet
JP5326407B2 (ja) * 2008-07-31 2013-10-30 セイコーエプソン株式会社 時計用カバーガラス、および時計
TWI648561B (zh) * 2012-07-16 2019-01-21 美商唯亞威方案公司 光學濾波器及感測器系統

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10988410B2 (en) * 2016-01-12 2021-04-27 AGC Inc. Glass substrate with antifouling layer and front plate for display

Also Published As

Publication number Publication date
TW201440902A (zh) 2014-11-01
KR20150118156A (ko) 2015-10-21
DE112014000955T5 (de) 2015-11-05
WO2014129333A1 (ja) 2014-08-28
CN105008967A (zh) 2015-10-28
US20150338552A1 (en) 2015-11-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2014129333A1 (ja) 光学部品
TWI596069B (zh) Attached to the anti-fouling film of the transparent substrate
KR101889667B1 (ko) 커버 유리
JP6642444B2 (ja) 防汚膜付き基体
JP6361162B2 (ja) 両面低反射膜付ガラス基板の製造方法
TWI695184B (zh) 附有低反射膜之基體
JP6171088B2 (ja) 多層光学フィルムを有する低着色耐擦傷性物品
JP6911828B2 (ja) ガラス積層体、ディスプレイ用前面板および表示装置
WO2019078313A1 (ja) 透明基板積層体およびその製造方法
JP2018197183A (ja) ガラス物品、および表示装置
JP2009186185A (ja) 透光性部材、時計、および透光性部材の製造方法
JP2020148787A (ja) 透明部材