JP2009186185A - 透光性部材、時計、および透光性部材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】反射防止機能を備え、かつ硬度が十分に高く耐傷性が確保された透光性部材、時計、および透光性部材の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の透光性部材1は、透光性を有し無機酸化物からなる基材11を備え、基材11の表面には、無機酸化物からなる高屈折率層12A、12Cと、無機酸化物からなる低屈折率層12B、12Dとが交互に積層された構造を有する反射防止層12が形成され、反射防止層12の最上層はAlである。さらに、反射防止層12の上には、フッ素含有有機ケイ素化合物からなる防汚層13が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、時計用カバーガラス等に用いられる透光性部材、時計、および透光性部材の製造方法に関する。
従来、時刻表示などの視認性を高めるため、カバーガラス(風防)と呼ばれる透光性部材に反射防止層を形成することが知られている。この反射防止層は、屈折率の異なる無機物層が数層〜数十層積層されて構成されることが一般的であり、カバーガラスのように高い硬度が求められる場合には、光透過率が高いうえ低屈折率でかつ比較的硬度が高いSiOが反射防止層の最表層に成膜されることが多い。例えば、時計用カバーガラスの表面に、SiOを最表層および最下層とし、SiO膜とSi膜とが交互に積層された反射防止層を形成する技術が開示されている(特許文献1参照)。また、酸化シリコン(SiO)を最表層とし、窒化シリコン膜を時計用カバーガラスの表面に形成してなる時計用風防ガラスも開示されている(特許文献2参照)。
特開2004−271480号公報 特開2006−275526号公報
しかしながら、Si膜のような窒化シリコン膜は、必ずしもカバーガラスやSiO膜との密着性が高くないため、反射防止層のカバーガラスからの剥離や、反射防止層内部におけるいわゆる層間剥離を防ぐことは困難であった。また、SiOを最表層とする反射防止層をカバーガラスの外側の面に形成すると、外部からの衝撃等で膜が剥離するなどして光透過率が低下し、時刻表示等の視認性が低下するおそれがあるため、最表層がSiOである反射防止層をカバーガラスの外側の面に形成することは難しかった。このため、SiOを最表層とする反射防止膜が形成される箇所は、実質、カバーガラスの内側の面に限定されていた。
そこで、本発明の目的は、反射防止機能を備え、かつ硬度が十分に高く耐傷性が確保された透光性部材、時計、および透光性部材の製造方法を提供することにある。
本発明の透光性部材は、透光性を有する基材を備え、前記基材の表面には、無機酸化物からなる低屈折率層と、無機酸化物からなる高屈折率層とが交互に積層された構造を有する反射防止層が形成され、前記反射防止層の上には、フッ素含有有機ケイ素化合物からなる防汚層が形成されていることを特徴とする。
ここで、透光性部材としては、例えば、時計用カバー部材や計器用カバー部材あるいは眼鏡レンズ等の硬質で透明な部材が挙げられる。透光性部材の材質としては、サファイアガラス、石英ガラス、ソーダガラス等が挙げられる。
また、フッ素含有有機ケイ素化合物としては、撥水性や撥油性があり防汚性を発現できる化合物であればよい。
本発明の透光性部材によれば、サファイアガラス等からなる基材の表面に、無機酸化物からなる反射防止層が形成されている。すなわち、反射防止層を構成する低屈折率層も高屈折率層も無機酸化物であり、層間の密着性(接着性)に優れる。それ故、反射防止層内部でいわゆる層間剥離を起こすことがほとんどなく、耐久性に優れる。
さらに、反射防止層の上には、フッ素含有有機ケイ素化合物からなる防汚層が形成されている。この防汚層は、フッ素含有有機ケイ素化合物からなるため、撥水・撥油作用を発揮するだけでなく、表面の滑り性にも非常に優れる。それ故、透光性部材に外部からの衝撃が加わっても、防汚層表面の滑り性によりその衝撃をやわらげることができるので耐擦傷性に優れる。すなわち、反射防止層の剥離を効果的に防ぐことが可能となる。
本発明の透光性部材では、前記フッ素含有有機ケイ素化合物が、アルコキシシラン化合物であることが好ましい。
この発明によれば、フッ素含有有機ケイ素化合物として、アルコキシシラン化合物が用いられるので、撥水性・撥油性が高く、優れた防汚性を発揮する。
アルコキシシラン化合物としては、メトキシシリル基やトリエトキシシリル基のようなアルコキシシリル基と、パーフルオロ基とを有するような有機ケイ素化合物が好ましく用いられる。
また、本発明では、前記フッ素含有有機ケイ素化合物が、下記式(1)および(2)の少なくともいずれかで示されるパーフルオロエーテル化合物であることが好ましい。
Figure 2009186185
(式中、R 1はパーフルオロアルキル基を示す。Xは臭素、ヨウ素または水素を示す。Yは水素または低級アルキル基を示し、Zはフッ素またはトリフルオロメチル基を示す。R1は加水分解可能な基を示し、R2は水素または不活性な1価の炭化水素基を示す。a、b、c、dは0または1以上の整数で、且つa+b+c+d+eは少なくとも1以上であり、a、b、c、d、eで括られた各繰り返し単位の存在順序は、式中において限定されない。fは0、1または2である。gは1、2または3である。hは1以上の整数である。)
Figure 2009186185
(式中、R 2は式:「−(Ck2k)O−」で示される単位を含み、分岐を有しない直鎖状のパーフルオロポリアルキレンエーテル構造を有する2価の基を示す。なお、式:「−(Ck2k)O−」におけるkは1〜6の整数である。R3は炭素原子数1〜8の1価炭化水素基であり、Wは加水分解性基またはハロゲン原子を示す。pは0、1または2であり、nは1〜5の整数である。mおよびrは、2または3である。)
この発明によれば、前記した式(1)および(2)の少なくともいずれかで示されるフッ素含有有機ケイ素化合物を、前記した反射防止層の上に形成することで、優れた防汚性を有する透光性部材を得ることができる。これらのフッ素含有有機ケイ素化合物は、単独で用いてもよいが混合して用いてもよい。
本発明では、前記防汚層の厚みが0.001〜0.05μmであることが好ましく、0.001〜0.03μmであることがより好ましく、0.001〜0.02μmであることがさらに好ましい。
防汚層の厚みが0.001μm以上であると、十分な撥水・撥油性能を発揮できるとともに、耐擦傷性やさらに耐薬品性にも優れるようになる。また、防汚層の厚みが0.05μm以下であると、防汚層による表面光散乱もあまり生じないため、基材の透明性も阻害しない。
本発明では、前記無機酸化物が、SiO、HfO、Ta、TiO、Al、MgO、Gd、La、Pr11、ZnO、ZrO、In、Nd、ThO、SnO、Sb、CeOおよびBiのいずれかであることが好ましい。
この発明によれば、反射防止層を構成する無機酸化物が上述した特定の化合物から選ばれる。すなわち、いずれも無機酸化物であるので、低屈折率層および高屈折率層として選択した場合に各層間の密着性に非常に優れる。従って、非常に硬質でかつ安定した反射防止層を形成することができる。
特に、前記反射防止層の最表層部を構成する低屈折率層がAlからなることが耐擦傷性の点で好ましい。
本発明では、透光性部材の表面硬度が、23520N/mm以上(約2400kgf/mm以上)であることが好ましい。
この発明によれば、腕時計や携帯情報機器などに適用した場合に十分な耐擦傷性が得られる。
ここで、前記表面硬度は、ISO14577に準拠した方法で測定された値である。この測定には、圧子と、圧子への荷重を制御する荷重制御機構と、圧子の変位を検出するセンサとを有するナノインデンターが使用される。
本発明では、透光性部材の基材が無機酸化物であることが好ましく、特にサファイアガラスであることがより好ましい。
この発明によれば、透光性部材の基材として無機酸化物を用いるので、無機酸化物からなる反射防止層と基材との密着性(接着性)に非常に優れる。それ故、反射防止層と基材間における膜剥離が生じにくく、結果として耐擦傷性が向上する。基材としては、透明性や硬度の点でサファイアガラスを用いることが好ましい。
本発明では、前記透光性部材は、カバー部材とされ、前記反射防止層は、前記カバー部材の内側の部分および外側の部分のうち、少なくとも外側の部分に形成されることが好ましい。
この発明によれば、カバー部材の外側から入射する光の反射を入射側で防止できるため、カバー部材の内側である射出側の部分に反射防止層が形成された場合よりも良好な反射防止効果が得られる。また、反射防止層の上には滑り性に優れる防汚層が形成されているので、耐擦傷性確保の点でも優れている。
本発明の時計は、前述の透光性部材を備え、前記透光性部材は、時計体を収容するケースに設けられることを特徴とする。
この発明によれば、前述の透光性部材を備えることにより、前述と同様な作用および効果を享受できる。なお、透光性部材は、例えばカバーガラス(風防)としてケースに設けられる。
本発明の透光性部材の製造方法は、前記反射防止層を構成する無機酸化物層をスパッタリングにより形成するスパッタリング工程を備えることを特徴とする。
この発明によれば、反射防止層を構成する無機酸化物層をスパッタリングにより形成するので、単なる蒸着により無機酸化物層を形成する場合にくらべて、反射防止層全体の硬度を向上させることができるだけでなく、反射防止層と基材との密着性や、反射防止層内における層間密着性にも優れている。従って、結果として、耐擦傷性の向上に寄与できる。
ここで、前記したスパッタリングを行う際には、基材を100℃以上に加熱する加熱工程を備えることが、上述の硬度や密着性の観点より好ましい。
また、無機酸化物層をスパッタリングにより形成する前に、基材に対して表面の付着物を除去する逆スパッタリング工程を備えると、基材表面を清浄にすることができるので、基材と反射防止層との密着性向上の観点より好ましい。
上述したいずれかの透光性部材の製造方法としては、次の2つの方法が提案できる。
(1)乾式法
フッ素含有有機ケイ素化合物を繊維状または多孔質の媒体に付着させる付着工程と、前記付着工程の後に、1〜0.0001Paの圧力下で、前記媒体を加熱して前記フッ素含有有機ケイ素化合物を蒸発させ、前記反射防止層の表面に付着させる蒸着工程と、を含んでなる防汚層形成工程を備える方法。
(2)湿式法
フッ素含有有機ケイ素化合物を有機溶剤に希釈したものを処理液として、前記反射防止層形成後の基材表面に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後に、温度10〜60℃および相対湿度10〜90%の雰囲気下で0.5時間以上放置する熟成工程と、を含んでなる防汚層形成工程を備える方法。
(1)の方法では、溶剤を用いないので環境負荷が低い。また、防汚層形成工程における条件を変更することが容易なので防汚層の膜厚制御も簡便である。さらに繊維状または多孔質の媒体を用いているのでフッ素含有有機ケイ素化合物の加熱効率が高い。なお、媒体としては熱伝導率の高い物質が好ましく、金属のような導電性物質が好適である。
(2)の方法では、湿式法により防汚層を形成するため、真空装置等の大型設備が不要となり、製造にかかるコストを低減させることが可能となる。
このような本発明によれば、反射防止機能と耐傷性とを併せ持つ透光性部材、これを備えた時計、および透光性部材の製造方法を提供できる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の透光性部材は、例えば時計用カバーガラス(以下、単に「カバーガラス」ともいう。)であり、図1には、本実施形態のカバーガラス1の断面図が示されている。
カバーガラス1は、無機酸化物からなる透明な基材11と、その上に形成された反射防止層12、そして反射防止層12の上に形成された防汚層13とを備えている。
〔基材11の材質〕
レンズ基材11の材質は無機酸化物であり、例えばサファイアガラス、石英ガラス、ソーダガラス等が挙げられる。時計用カバーガラスの材質としては、硬度や透明性の観点より特にサファイアガラスが好ましい。
〔反射防止層12の構成〕
反射防止層12は、基材11の上に形成され、屈折率の異なる無機薄膜を交互に積層して得られる多層膜である。図1に示すカバー部材1では、反射防止層12は、12A(高屈折率層)、12B(低屈折率層)、12C(高屈折率層)、12D(低屈折率層)の4層から構成されている。
無機薄膜の材料としては、SiO、HfO、Ta、TiO、Al、MgO、Gd、La、Pr11、ZnO、ZrO、In、Nd、ThO、SnO、Sb、CeOおよびBiなどの無機酸化物が挙げられる。
低屈折率層および高屈折率層の材料として上述した無機酸化物を選択すると、互いに無機酸化物であるので各層間の密着性に非常に優れる。従って、非常に硬質でかつ安定した反射防止層12を形成することができる。特に、前記反射防止層の最表層部を構成する低屈折率層がAlからなることが耐擦傷性の点でより好ましい。
さらに、前述した基材11の材質がサファイアガラスのような無機酸化物であると、基材11と反射防止層12との密着性にも優れるので、反射防止層12がいわゆる膜剥がれを起こすことがほとんどなく、よりいっそう安定したカバーガラス1を提供することができる。
〔反射防止層12の形成工程〕
基材11の表面に上述した反射防止層を形成する際には、スパッタリング法や真空蒸着法などが好適に用いられる。また真空蒸着法ではイオンビームアシストなどの手法も適宜併用することができる。これらのスパッタリング法や真空蒸着法は、無機薄膜形成の際に用いられる通常の方法が適用できる。
〔防汚層13の構成〕
防汚層13は、いわゆる撥水剤・撥油剤として知られる化合物から構成される。このような化合物としては、アルコキシシラン等のフッ素含有有機ケイ素化合物が好ましい。
例えば、CF(CFSi(OCH、CF(CFSi(OCH、CF(CFSi(OCH、CF(CFSi(OCH、CF(CF10Si(OCH、CF(CF12Si(OCH、CF(CF14Si(OCH、CF(CF16Si(OCH、CF(CF18Si(OCH、CF(CFSi(OC、CF(CFSi(OC、CF(CFSiCl、CF(CFSiCl、CF(CFSi(OCH、CF(CFSi(OCH、CF(CFSi(OC、CF(CFSi(OC、CF(CFSiCl、CF(CFSiCl、CF(CFSi(OCH、CF(CFSi(OCH、CF(CFSi(OC、CF(CFSi(OC、CF(CFSi(CH)(OCH、CF(CFSi(CH)(OCH、CF(CFSi(CH)Cl、CF(CFSi(CH)Cl、CF(CFSi(C)(OC、およびCF(CFSi(C)(OCなどが挙げられる。
フッ素含有有機ケイ素化合物としては、アミノ基を含有する化合物も好適である。
例えば、C19CONH(CHSi(OC、C19CONH(CHSiCl、C19CONH(CHSi(CH)Cl、C19CONH(CH)NH(CH)Si(OC、C19CONH(CHCONH(CH)Si(OC、C17SONH(CHCONH(CH)Si(OC、CO(CF(CF)CFO)−CF(CF)−CONH(CH)Si(OC、およびCO(CF(CF)CFO)m’−CF(CF)−CONH(CH)Si(OCH[ここで、m’は1以上の整数]などが挙げられる。
また、フッ素含有有機ケイ素化合物としては、以下のような化合物も好適である。
例えば、Rf'(CHSiCl、Rf'(CHSi(CH)Cl、(Rf'CHCHSiCl、Rf'(CHSi(OCH、Rf'CONH(CHSi(OC、Rf'CONH(CHNH(CHSi(OC、Rf'SON(CH)(CHCONH(CHSi(OC、Rf'(CHOCO(CHS(CHSi(OCH、Rf'(CHOCONH(CHSi(OC、Rf'COO−Cy(OH)−(CHSi(OCH、Rf'(CHNH(CHSi(OCH、およびRf'(CHNH(CHNH(CHSi(OCHCHOCHなどが挙げられる。上述の各式において、Cyはシクロヘキサン残基であり、Rf’は、炭素数4〜16のポリフルオロアルキル基である。
本発明で用いられるフッ素含有有機ケイ素化合物としては、下記式(1)および(2)の少なくともいずれかで示される化合物が特に好ましい。
Figure 2009186185
式中、R 1はパーフルオロアルキル基を示す。Xは臭素、ヨウ素または水素を示す。
Yは水素または低級アルキル基を示し、Zはフッ素またはトリフルオロメチル基を示す。R1は加水分解可能な基を示し、R2は水素または不活性な1価の炭化水素基を示す。a、b、c、dは0または1以上の整数で、且つa+b+c+d+eは少なくとも1以上であり、a、b、c、d、eで括られた各繰り返し単位の存在順序は、式中において限定されない。fは0、1または2である。gは1、2または3である。hは1以上の整数である。
Figure 2009186185
式中、R 2は式:「−(Ck2k)O−」で示される単位を含み、分岐を有しない直鎖状のパーフルオロポリアルキレンエーテル構造を有する2価の基を示す。なお、式:「−(Ck2k)O−」におけるkは1〜6の整数である。R3は炭素原子数1〜8の1価炭化水素基であり、Wは加水分解性基またはハロゲン原子を示す。pは0、1または2であり、nは1〜5の整数である。m及びrは、2または3である。
前記したフッ素含有有機ケイ素化合物を、前記した反射防止層12の上に防汚層13として形成することで、優れた撥水・撥油効果を有し、耐擦傷性に優れたカバーガラスを得ることができる。これらのフッ素含有有機ケイ素化合物は、単独で用いてもよいが混合して用いてもよい。特に前記した式(1)と式(2)の化合物を混合して用いると防汚層の耐久性が向上するので好ましい。
前記したフッ素含有有機ケイ素化合物の具体例としては、GE東芝シリコーン株式会社製TSL8233、TSL8257、ダイキン工業株式会社製オプツールDSX、信越化学工業株式会社製KY−130、KP−801などが挙げられる。
〔防汚層13の形成工程〕
防汚層13を形成する方法として、乾式法と湿式法のいずれも用いることができる。以下に各々について説明する。
(乾式法)
乾式法としては、前記フッ素含有有機ケイ素化合物を真空槽内で蒸発させて基材11(反射防止層12)の表面に付着させる真空蒸着法を採用することができる。例えば、特開平6−340966号公報や特開2005−301208号公報に記載された蒸着装置が好適に利用可能である。具体的には、以下のようにして防汚層13を形成することができる。
フッ素含有有機ケイ素化合物を適当なフッ素系溶剤に溶解して希釈して得た処理剤を繊維状あるいは多孔質の媒体に付着させ、それを真空槽内で、1〜0.0001Paの圧力下で加熱することにより、真空槽内に載置したカバーガラス1の反射防止層12の上に付着させて防汚層13を形成する。使用するフッ素系溶剤としては、後述する湿式法で用いるものと同じものを使用可能である。なお、溶剤の使用量はわずかであり、環境負荷はほとんどない。
このような媒体としては、熱伝導性および加熱効率の観点より導電性繊維や多孔性の焼結金属が好ましく、材料としては銅やステンレスが好適である。ここで、燒結金属のような多孔質の媒体としては、適度な蒸着速度を得るという観点より、その孔径が40〜200μmであることが好ましく、より好ましくは80〜120μmである。
防汚層13形成時に、上記媒体に付着させたフッ素含有有機ケイ素化合物を加熱する際の温度は、真空槽内の圧力によっても異なるが、該有機ケイ素化合物の分解温度を超えない範囲に設定することが好ましい。
防汚層13形成時の圧力として好ましくは0.5〜0.005Paであり、より好ましくは0.1〜0.001Paである。防汚層13形成時の圧力が1Paより高いと、蒸発分子の平均自由工程が短く、防汚層13の形成速度が遅くなってしまう。一方、圧力が0.0001Paより低いと、防汚層13の形成速度は速くなるもののそのような真空状態を得るための時間がかかり過ぎるのではやり好ましくない。
防汚層13の形成速度(蒸着速度)は、0.05〜5.0Å/sが好ましく、0.1〜2.0Å/sがより好ましい。0.05Å/s未満では、生産性が低いため製造コストが過大となる。また、2.0Å/sを超えると防汚層13の膜厚分布が不均一となり、表面の滑り性が悪化する。ここで、防汚層13の形成速度は、真空槽内の圧力と加熱温度を調節することにより制御可能である。
なお、真空蒸着法では、フッ素含有有機ケイ素化合物は高濃度、または希釈溶剤なしに使用することもできる。
(湿式法)
<処理剤の調製>
湿式法により、防汚層13を、基材11(反射防止層12)の上に形成するには、前記したいずれかのフッ素含有有機ケイ素化合物を有機溶剤に溶解させ、所定の濃度となるように調整し、基材11表面に塗布する方法を採用することができる。有機溶剤としては、フッ素含有有機ケイ素化合物の溶解性に優れるパーフルオロ基を有し、炭素数が4以上の有機化合物が好ましく、例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロシクロブタン、パーフルオロオクタン、パーフルオロデカン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−4−メトキシブタン、パーフルオロ−4−エトキシブタン、メタキシレンヘキサフロライドを挙げることができる。また、パーフルオロエーテル油、クロロトリフルオロエチレンオリゴマー油を使用することができる。その他に、フロン225(CF3CF2CHCl2とCClF2CF2CHClFの混合物)を例示することができる。これらの有機溶剤の1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
有機溶剤で希釈するときの濃度は、0.03〜1質量%の範囲が好ましい。0.03質量%より低すぎると十分な厚さを有する防汚層13の形成が困難であり、十分な撥水・撥油効果さらには十分な滑り性が得られない場合がある。一方、1質量%より濃すぎると防汚層13が厚くなり過ぎるおそれがあり、塗布後に塗りむらをなくすためのリンス作業の負担が増すおそれがある。
<塗布工程>
塗布方法としては、ディッピング(浸漬)法、スピンコート法、スプレー法、フロー法、ドクターブレード法、ロールコート塗装、グラビアコート塗装、カーテンフロー塗装、刷毛塗り等が用いられる。防汚層13の膜厚は、特に限定されないが、0.001〜0.05μmが好ましく、0.001〜0.03μmであることがより好ましく、0.001〜0.02μmであることがさらに好ましい。
防汚層13の厚みが0.001μm未満であると、十分な撥水・撥油性能を発揮できず、滑り性にも劣るので、耐擦傷性や耐薬品性が低下するおそれがある。また、防汚層の厚みが0.05μmを超えると、防汚層13による表面光散乱が大きくなるため、基材11の透明性を阻害するおそれがある。
ディッピング法の場合、上記した有機溶剤を用いて所定濃度に調整した処理液中に基材11を浸漬し、一定時間経過後、一定速度で基材11を引き上げる。この際、浸漬時間としては0.5分から3分程度が望ましい。0.5分以下であると、基材11表面へのフッ素含有有機ケイ素化合物の吸着が充分でないため、所定の撥水・撥油性能や滑り性を得ることができない。3分以上の場合は、サイクルタイムの増加を招き好ましくない。引き上げ速度は、100mm/分〜300mm/分が望ましい。これは、処理液濃度との兼ね合いで決められるものであるが、100mm/分以下では、防汚層13が薄くなりすぎて所定の性能が得られず、300mm/分以上では、防汚層13が厚くなりすぎ、塗布後塗りむらをなくすためのリンス作業の負担が増すおそれがある。
<熟成工程>
前記塗布工程の後に、温度10〜60℃および相対湿度10〜90%の雰囲気下で0.5以上時間放置する。温度は好ましくは20〜50℃であり、相対湿度は好ましくは、20〜80%である。放置時間(熟成時間)は、好ましくは1〜10時間である。雰囲気温度が低すぎると有機ケイ素化合物の反応性が低いため防汚層13の形成が不十分となる。逆に雰囲気温度が高すぎると防汚層13にクラックが入ってカバーガラス1の外観が不良となるおそれがある。また、雰囲気湿度が低すぎると温度の場合と同様に有機ケイ素化合物の反応性が低いため防汚層13の形成が不十分となる。雰囲気湿度が高すぎると反応が速すぎ防汚層13にクラックが入ってカバーガラス1の外観が不良となるおそれがある。また、熟成時間が短すぎると有機ケイ素化合物の反応が不十分となり、防汚層13の形成が不十分となる。熟成時間としては、0.5時間以上が必要であり、例えば、25℃、相対湿度40%なら24時間程度、60℃、相対湿度80%なら2時間程度が好ましい。
なお、上述の乾式法、湿式法のいずれにおいても、事前に反射防止層12表面に対してプラズマ処理(アルゴン、酸素等)を施しておくことが好ましい。プラズマ処理を、例えば、反射防止層12(低屈折率層12D、例えばAl層)に対して施しておくと、反射防止層12と防汚層13との密着性(接着性)が非常に向上する。
最終的に防汚層13が形成されたカバーガラス1の表面硬度は、ナノインデンターを使用したISO14577準拠の測定値で23520N/mm以上(約2400kgf/mm以上)である。
〔本実施形態による効果〕
以上の本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1)カバーガラス1は、無機酸化物からなる基材11と、無機酸化物の多層膜からなる反射防止層12とを含んで構成されている。従って、反射防止層12内部で層間剥離を起こすことがほとんどなく、さらに反射防止層12と基材11との密着性にも優れるため、反射防止層12と基材11間の剥離もほとんど生じない。すなわち、反射防止効果を長期に渡って維持できるカバーガラス1を提供できる。
(2)さらに、反射防止層12の上には、フッ素含有有機ケイ素化合物からなる防汚層13が形成されている。従って、この防汚層は、撥水・撥油作用を発揮するだけでなく、表面の滑り性に非常に優れる。それ故、カバーガラス1に外部からの衝撃が加わっても、防汚層13表面の滑り性によりその衝撃をやわらげることができるので耐擦傷性に非常に優れる。それ故、カバーガラス1の視認性を長期に渡って維持できる。
(3)反射防止層12を形成する多層膜の材料として、前記した所定の無機酸化物のいずれかを選択することにより、非常に硬質でかつ安定した反射防止層12とすることができる。特に、反射防止層12の最表層部を構成する低屈折率層12DをAlとすることでカバーガラス1の耐擦傷性をさらに向上させることができる。
(4)防汚層13に用いられるフッ素含有有機ケイ素化合物として、アルコキシシラン化合物や前記した式(1)、(2)のようなパーフルオロエーテル化合物を用いることで、カバーガラス1に高い滑り性を付与することができ、結果として優れた耐擦傷性を発揮することができる。
(5)防汚層13の厚みを0.001〜0.05μmの範囲に設定することで、十分な撥水・撥油性能を発揮できるとともに、耐擦傷性やさらに耐薬品性にも優れたカバーガラス1を提供できる。
(6)カバーガラス1の表面硬度が、23520N/mm以上(約2400kgf/mm以上)であるので、腕時計や携帯情報機器などに適用した場合に十分な耐擦傷性が得られる。
(7)反射防止層12を構成する無機酸化物層をスパッタリングにより形成することで、単なる蒸着により無機酸化物層を形成する場合にくらべて、反射防止層12全体の硬度をより向上させることができるだけでなく、反射防止層12と基材11との密着性や、反射防止層12内における層間密着性も向上させることができる。従って、結果として、耐擦傷性の向上に寄与できる。
(8)防汚層13を上述した所定の湿式法により形成することで、優れた耐擦傷性を有するカバーガラス1を製造できるだけでなく、真空装置等の大型設備が不要となり、製造にかかるコストを低減させることも可能となる
(9)防汚層13を上述した所定の乾式法により形成することで、優れた耐擦傷性を有するカバーガラス1を製造できるだけでなく、溶剤を実質的に用いないので環境負荷が低い。また、防汚層13の形成工程における条件を変更することが容易なので防汚層の膜厚制御も簡便である。さらに繊維状または多孔質の媒体を用いることでフッ素含有有機ケイ素化合物の加熱効率も高い。
本発明は、以上述べた実施形態には限定されず、本発明の目的を達成できる範囲で種々の改良および変形を行うことが可能である。
前記実施形態では、風防としてのカバーガラス1に本発明が適用された例を示したが、本発明の透光性部材は、風防としてのカバーガラスに限定されない。機械式時計などでは、裏蓋が設けられる位置にカバー部材としての透光性部材が設けられ、この透光性部材を介して時計体の内部の機構を視認可能なシースルーバック仕様とされていることがある。このような場合、この透光性部材に本発明を適用できる。
なお、透光性部材の基材としては、高硬度のサファイアガラスが好適であるが、このほか、石英ガラス、ソーダガラス等の使用も検討してよい。
本発明の透光性部材は、時計に使用されるカバー部材に限らず、携帯電話、携帯情報機器、計測機器、ディジタルカメラ、プリンタ、ダイビングコンピュータ、脈拍計等の各種機器における情報表示部のカバー部材として好適に使用できる。
なお、本発明の透光性部材は、カバー部材には限定されない。本発明に係る反射防止層、防汚層は、透光性部材の基材において硬度確保、反射防止機能および耐擦傷性が要求される任意の箇所に形成される。
以下に、実施例および比較例により、本発明をより詳細に説明する。具体的には、時計用カバーガラスの基材として一般的なサファイアガラスを用い、その表面に所定の反射防止層および防汚層を形成した後、各種の評価を行った。
ここで、評価項目および評価方法は以下の通りである。
(1)落砂試験前後の光線透過率差(△T%)
まず、次のような落砂試験を行う。水平面に対してカバーガラスを45°の傾斜角度で配置する。この際、防汚層が形成された側が上面側になるようにカバーガラスを配置する。そして、水平面から1mの高さより、防汚層に向かって砂を落下させる。この後、カバーガラスを洗浄し、試験前におけるカバーガラスの光線透過率と、試験後におけるカバーガラスの光線透過率との差△T%に基づいて、傷の付きづらさを評価した。なお、基材に防汚層が形成されていない場合は反射防止層または基材自体に対して落砂試験を行った。
ここで、使用する砂の材質は、黒色炭化ケイ素インゴットおよび緑色炭化ケイ素インゴットを粉砕、分級して製造されたカーボランダムである。この試験では、中心粒径が600〜850μmのカーボランダム#24を800cm使用した。
(2)落差試験後の膜剥がれ
前記した落砂試験後に、基材表面を目視観察し、以下の基準で膜剥がれの程度を評価した。
A:膜剥がれが認められない。
B:わずかに膜剥がれが認められる。
C:砂が当たった面全体に膜剥がれが認められる。
(3)表面硬度(N/mm
ナノインデンターを使用して基材の表面硬度を測定した(ISO14577に準拠)。
(4)反射率(%)
基材表面に対して90°の入射角で入射する標準光の反射率を求め、この反射率と、入射角90°の場合の視感感度とを可視光領域の各波長において掛け合わせた値の積算値に基づいて算出した。
〔実施例1〕
(基材の前処理)
サファイアガラスを120℃の熱濃硫酸に10分間浸漬した後、純水でよく洗浄し、120℃に設定されたオーブンで、大気中30分間乾燥した。次に、このサファイアガラスをスパッタ装置内部に載置した後、120℃に加熱しながら装置内部を10−6Torrの圧力とした。続いて、装置内にArガスを導入し、0.8mTorrで逆スパッタしてサファイアガラス表面をクリーニングした。
(反射防止層の形成)
TiOとAlを各々高屈折率層用原料、低屈折率層用原料とし、サファイアガラスに対して、TiO、Al、TiO、Alの順に膜形成を行った。スパッタリング時の装置内の圧力は0.2mTorrに制御した。
得られた反射防止層の膜厚は、ガラス基材側より30nm、9nm、73nm、82nmであった。この反射防止層を形成することにより、反射率は0.8%となった。なお、サファイアガラス自体の反射率は8%であった。
(防汚層の形成)
フッ素含有有機ケイ素化合物(信越化学工業製 KY−130(3))をフッ素系溶剤(信越化学工業製 FRシンナー)で希釈して固形分3質量%となるように調製したものを、スチールウール(日本スチールウール製 #0、線径0.025mm)0.5gが前もって充填された容器(上方が解放された円筒形の銅製容器、内径16mm×内高さ6mm)に、1.0g充填して、120℃で1時間乾燥した。次に、この銅製容器を、反射防止層が形成されたサファイアガラスとともに、真空蒸発装置内に載置し、装置内を0.01Paの圧力とした後、サファイアガラス表面に対して0.6Å/sの膜形成速度(蒸着速度)となるように銅製容器からフッ素含有有機ケイ素化合物を蒸発させた。加熱源としてはモリブデン製抵抗加熱ボートを用いた。
(カバーガラスの特性の評価)
上記の製造条件で製造されたカバーガラスについて、前記した各特性の評価を行った。その結果を表1に示す。なお、参考例としてサファイアガラス単体の場合も併記した。
〔実施例2〜4〕
反射防止層における高屈折率層の材料を変更した以外は、実施例1に準じて反射防止層および防汚層を形成して、各特性の評価を行った。その結果を表1に示す。
〔実施例5〕
反射防止層を以下に示すような蒸着法により形成した以外は、実施例1に準じて防汚層を形成して、各特性の評価を行った。その結果を表1に示す。
(基材の前処理)
サファイアガラスを120℃の熱濃硫酸に10分間浸漬した後、純水でよく洗浄し、120℃に設定されたオーブンで、大気中30分間乾燥した。
(反射防止層の形成)
サファイアガラスを蒸着装置内部に載置した後、120℃に加熱しながら装置内部を10−6Torrの圧力とした。TiOとAlを各々高屈折率層用原料、低屈折率層用原料とし、サファイアガラスに対して、TiO、Al、TiO、Alの順に膜形成を行った。
得られた反射防止層の膜厚は、ガラス基材側より30nm、9nm、73nm、82nmであった。この反射防止層を形成することにより、反射率は0.8%となった。
〔実施例6〜8〕
反射防止層における低・高屈折率層の材料を変更した以外は、実施例5に準じて反射防止層および防汚層を形成して、各特性の評価を行った。その結果を表1に示す。
〔比較例1〜16〕
表1に示すように、反射防止層における低・高屈折率層の材料、膜形成方法、防汚層の有無を設定した以外は、実施例に準じて反射防止層や防汚層を形成した。評価結果を併せて表1に示す。
Figure 2009186185
〔評価結果〕
表1に示すように、実施例1〜8のカバーガラスは、防汚層を有するとともに、基材と反射防止層全体が無機酸化物で構成されており、光線透過率差および膜剥がれのデータより耐擦傷性に優れていることがわかる。特に、反射防止層をスパッタリングにより形成した実施例1〜3については、表面硬度がより高いため耐傷性に極めて優れる。
一方、比較例1〜4は、反射防止層を構成する高屈折率層が無機酸化物でないため、低屈折率層との密着性が悪く、膜剥がれが生じやすい。それ故、耐擦傷性に劣ることがわかる。比較例5〜比較例16はいずれも防汚層が形成されていないので、反射防止層をどのように構成しても、また反射防止層をどのような形成方法によって成膜しても、カバーガラスの耐擦傷性に劣ることがわかる。
本発明の一実施形態に係るカバーガラスの断面を示す模式図。
符号の説明
1・・・カバーガラス(透光性部材)、11・・・基材、12・・・反射防止層、12A、12C・・・高屈折率層、12B、12D・・・低屈折率層、13・・・防汚層

Claims (16)

  1. 透光性を有する基材を備え、
    前記基材の表面には、無機酸化物からなる低屈折率層と、無機酸化物からなる高屈折率層とが交互に積層された構造を有する反射防止層が形成され、
    前記反射防止層の上には、フッ素含有有機ケイ素化合物からなる防汚層が形成されている
    ことを特徴とする透光性部材。
  2. 請求項1に記載の透光性部材において、
    前記フッ素含有有機ケイ素化合物が、アルコキシシラン化合物である
    ことを特徴とする透光性部材。
  3. 請求項1または請求項2に記載の透光性部材において、
    前記フッ素含有有機ケイ素化合物が、下記式(1)および(2)の少なくともいずれかで示されるパーフルオロエーテル化合物である
    ことを特徴とする透光性部材。
    Figure 2009186185
    (式中、R 1はパーフルオロアルキル基を示す。Xは臭素、ヨウ素または水素を示す。Yは水素または低級アルキル基を示し、Zはフッ素またはトリフルオロメチル基を示す。R1は加水分解可能な基を示し、R2は水素または不活性な1価の炭化水素基を示す。a、b、c、dは0または1以上の整数で、且つa+b+c+d+eは少なくとも1以上であり、a、b、c、d、eで括られた各繰り返し単位の存在順序は、式中において限定されない。fは0、1または2である。gは1、2または3である。hは1以上の整数である。)
    Figure 2009186185
    (式中、R 2は式:「−(Ck2k)O−」で示される単位を含み、分岐を有しない直鎖状のパーフルオロポリアルキレンエーテル構造を有する2価の基を示す。なお、式:「−(Ck2k)O−」におけるkは1〜6の整数である。R3は炭素原子数1〜8の1価炭化水素基であり、Wは加水分解性基またはハロゲン原子を示す。pは0、1または2であり、nは1〜5の整数である。mおよびrは、2または3である。)
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の透光性部材において、
    前記防汚層の厚みが0.001〜0.05μmである
    ことを特徴とする透光性部材。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の透光性部材において、
    前記無機酸化物が、SiO、HfO、Ta、TiO、Al、MgO、Gd、La、Pr11、ZnO、ZrO、In、Nd、ThO、SnO、Sb、CeOおよびBiのいずれかである
    ことを特徴とする透光性部材。
  6. 請求項5に記載の透光性部材において、
    前記反射防止層の最表層部を構成する低屈折率層がAlからなる
    ことを特徴とする透光性部材。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の透光性部材において、
    該透光性部材の表面硬度が、23520N/mm以上である
    ことを特徴とする透光性部材。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれかに記載の透光性部材において、
    前記基材が無機酸化物である
    ことを特徴とする透光性部材。
  9. 請求項8に記載の透光性部材において、
    前記無機酸化物がサファイアガラスである
    ことを特徴とする透光性部材。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれかに記載の透光性部材において、
    前記透光性部材は、カバー部材とされ、
    前記反射防止層は、前記カバー部材の内側の部分および外側の部分のうち、少なくとも外側の部分に形成される
    ことを特徴とする透光性部材。
  11. 請求項10に記載の透光性部材を備え、
    前記透光性部材は、時計体を収容するケースに設けられる
    ことを特徴とする時計。
  12. 請求項1〜請求項11のいずれかに記載の透光性部材の製造方法であって、
    前記反射防止層を構成する無機酸化物層をスパッタリングにより形成するスパッタリング工程を備える
    ことを特徴とする透光性部材の製造方法。
  13. 請求項12に記載の透光性部材の製造方法において、
    基材を100℃以上に加熱しながらスパッタリングを行う加熱工程を備える
    ことを特徴とする透光性部材の製造方法。
  14. 請求項12または請求項13に記載の透光性部材の製造方法において、
    前記無機酸化物層をスパッタリングにより形成する前に、基材に対して逆スパッタリングを行う逆スパッタリング工程を備える
    ことを特徴とする透光性部材の製造方法。
  15. 請求項12〜請求項14のいずれかに記載の透光性部材の製造方法において、
    フッ素含有有機ケイ素化合物を繊維状または多孔質の媒体に付着させる付着工程と、
    前記付着工程の後に、1〜0.0001Paの圧力下で、前記媒体を加熱することにより前記フッ素含有有機ケイ素化合物を蒸発させ、前記反射防止層の表面に付着させる蒸着工程と、を含んでなる防汚層形成工程を備える
    ことを特徴とする透光性部材の製造方法。
  16. 請求項12〜請求項14のいずれかに記載の透光性部材の製造方法において、
    フッ素含有有機ケイ素化合物を有機溶剤に希釈したものを処理液として、前記反射防止層形成後の基材表面に塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程の後に、温度10〜60℃および相対湿度10〜90%の雰囲気下で0.5時間以上放置する熟成工程と、を含んでなる防汚層形成工程を備える
    ことを特徴とする透光性部材の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016109477A (ja) * 2014-12-03 2016-06-20 セイコーエプソン株式会社 光学部品および時計
JPWO2016203869A1 (ja) * 2015-06-16 2018-04-05 日本電気硝子株式会社 硬質部材
JP2018124269A (ja) * 2017-01-30 2018-08-09 セイコーエプソン株式会社 時計用部品および時計

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