JPWO2016203869A1 - 硬質部材 - Google Patents
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Abstract
Description
図1は、本発明の第1の実施形態の硬質部材を示す模式的断面図である。図1に示すように、本実施形態の硬質部材1は、基板2と、基板2の上に設けられた硬質層3と、硬質層3の上に設けられた密着層4と、密着層4の上に設けられた防汚層5とを備えている。硬質部材1がタッチパネル等のカバーガラスとして使用される場合、硬質部材1は、透光性を有することが好ましい。例えば、硬質部材1は、可視光(360〜830nm)の少なくとも一部の波長域で0%超の透過率を有することが好ましい。硬質部材1は、450〜650nmの波長域で0%超の透過率を有することがより好ましく、400〜700nmの波長域で0%超の透過率を有することが更に好ましく、360〜830nmの波長域で0%超の透過率を有することが最も好ましい。これに加え、360〜830nmの波長域での平均透過率は、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、80%以上であることが最も好ましい。基板2は、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス基板及び樹脂基板などが挙げられる。硬質部材1がタッチパネル等のカバーガラスとして使用される場合、基板2は、透光性を有する、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、無アルカリガラス、結晶化ガラス等からなるガラス基板や、これらのガラス基板を物理強化または化学強化して得られた強化ガラス基板であることが好ましい。機械的強度の観点から、アルミノシリケートガラス基板を化学強化して得られた強化ガラス基板が好ましい。アルミノシリケートガラス基板は、機械的強度が高いため、厚みを小さくすることができる。
図2は、本発明の第2の実施形態の硬質部材を示す模式的断面図である。図2に示すように、本実施形態の硬質部材11は、硬質基板12と、硬質基板12の上に設けられる密着層14と、密着層14の上に設けられる防汚層15とを備えている。硬質基板12は、硬さが8GPa以上であれば特に限定されるものではない。本実施形態では、硬質基板12として、サファイヤ基板が用いられる。タッチパネル等のカバーガラスとして使用される場合、硬質基板12は、透光性を有することが好ましい。なお、サファイヤ基板は、高純度のアルミナを人工的に単結晶へ成長させることによって製造される。
図1に示す、硬質部材1の密着層4の膜厚を変化させ、密着層4の膜厚の影響を検討した。
[硬質層3の形成]
基板2として、日本電気硝子株式会社製無アルカリガラス基板OA−10Gを用い、RAS方式で基板2の上に硬質層3としてのZrO2膜を形成した。Zr膜の成膜条件として、成膜圧力:0.12Pa、キャリアガスとしてのArガスの流量:100sccm、Zrターゲット印加電力:5.5kWとした。Zr膜の酸化条件として、キャリアガスとしての酸素ガス流量:40sccm、ラジカルガン印加電力:4.5kWとして、ZrO2膜を膜厚500nmとなるように成膜した。ZrO2膜を形成した基板の硬さを、Berkovich型ダイヤモンド圧子を用いたナノインデンテーション法(最大荷重:1.225mN)により測定した結果、11.1GPaであった。なお、基板(OA−10G)の硬さは、6.5GPaであった。なお、「ZrO2」は実際の組成比を表すものではない。
硬質層3の上に、RAS方式で密着層4としてのSiO2膜を形成した。Si膜の成膜条件として、成膜圧力:0.12Pa、キャリアガスとしてのArガスの流量:100sccm、Siターゲット印加電力:5.0kWとした。Si膜の酸化条件として、キャリアガスとしての酸素ガス流量:40sccm、ラジカルガン印加電力:4.5kWとして、SiO2膜を膜厚2nmとなるように成膜した。なお、「SiO2」は実際の組成比を表すものではない。
密着層4の上に、以下のようにして防汚層5を形成した。密着層4の表面を洗浄機で洗浄し、大気圧プラズマ装置で表面を処理した。その後、スプレー装置を使用して、フッ素含有有機ケイ素化合物溶液(ダイキン工業社製 UF503:0.1質量%、3M社製Novec7200:99.9質量%)を塗布した。塗布条件は、基板2の搬送速度3mm/秒、塗布量10ml/分、エアー流量40l/分、スプレーノズル往復速度800mm/秒、スプレーノズル−基板間距離20mmの条件とした。フッ素含有有機ケイ素化合物溶液を塗布した後、クリーンオーブンを使用して150℃で60分間加熱し、塗布面をアルコールを浸したワイパーで拭き取ることで、密着層4の上に防汚層5を形成した。防汚層5の膜厚は、5nmであった。
密着層4の膜厚を15nmとする以外は、実施例1と同様にして硬質部材1を作製した。
密着層4の膜厚を20nmとする以外は、実施例1と同様にして硬質部材1を作製した。
密着層4の膜厚を30nmとする以外は、実施例1と同様にして硬質部材1を作製した。
密着層4の膜厚を40nmとする以外は、実施例1と同様にして硬質部材1を作製した。
密着層4の膜厚を50nmとする以外は、実施例1と同様にして硬質部材1を作製した。
密着層4を形成せずに、硬質層3の上に防汚層5を直接形成する以外は、実施例1と同様にして硬質部材1を作製した。
密着層4の膜厚を80nmとする以外は、実施例1と同様にして硬質部材1を作製した。
実施例1〜6及び比較例1〜2で作製した硬質部材1について、以下のようにして耐擦傷性を評価した。
○:0.08〜0.14
×:0.15以上
実施例1〜6及び比較例1〜2で作製した硬質部材1について、以下のようにして防汚層の密着性を評価した。
実施例2の硬質層3の膜厚を変化させ、硬質層3の膜厚の影響を検討した。
硬質層3の膜厚を300nmとする以外は、実施例2と同様にして硬質部材1を作製した。
硬質層3の膜厚を200nmとする以外は、実施例2と同様にして硬質部材1を作製した。
硬質層3の膜厚を100nmとする以外は、実施例2と同様にして硬質部材1を作製した。
実施例7〜8及び比較例3で作製した硬質部材1について、上記と同様にして、耐擦傷性及び密着性を評価した。評価結果を表1に示す。
密着層4として、酸化ケイ素(SiO2)膜に代えて、窒化ケイ素(SiN)膜及び酸窒化ケイ素(SiON)膜を用いて検討した。なお、「SiN」及び「SiON」は、実際の組成比を示すものではない。
密着層4として、酸化ケイ素(SiO2)膜に代えて、窒化ケイ素(SiN)膜を形成した以外は、実施例2と同様にして硬質部材1を作製した。Si膜の成膜条件として、成膜圧力:0.12Pa、キャリアガスとしてのArガスの流量:100sccm、Siターゲット印加電力:5.0kWとした。Si膜の窒化条件として、キャリアガスとしての窒素ガス流量:40sccm、ラジカルガン印加電力:4.5kWとして、窒化ケイ素(SiN)膜を膜厚15nmとなるように成膜した。
密着層4として、酸化ケイ素(SiO2)膜に代えて、酸窒化ケイ素(SiON)膜を形成した以外は、実施例2と同様にして透光性部材を作製した。Si膜の成膜条件として、成膜圧力:0.17Pa、キャリアガスとしてのArガスの流量:150sccm、Siターゲット印加電力:5.0kWとした。Si膜の酸窒化条件として、キャリアガスとしての酸素ガス流量:10sccm及び窒素ガス流量:30sccm、ラジカルガン印加電力:4.5kWとして、酸窒化ケイ素(SiON)膜を膜厚15nmとなるように成膜した。
実施例9〜10で作製した硬質部材1について、上記と同様にして、耐擦傷性及び密着性を評価した。評価結果を表1に示す。
硬質層3及び密着層4を形成しない場合の耐擦傷性及び密着性を評価した。
硬質層3及び密着層4を形成せずに、基板2の上に防汚層5を直接形成する以外は、実施例2と同様にして硬質部材1を作製した。
比較例4で作製した硬質部材1について、上記と同様にして、耐擦傷性及び密着性を評価した。評価結果を表1に示す。
硬質基板を用い、図2に示す硬質部材11を作製して評価した。
硬質基板12として、厚みが0.5mmのサファイヤ基板を用いた。サファイヤ基板の硬さを、Berkovich型ダイヤモンド圧子を用いたナノインデンテーション法(最大荷重:1.225mN)で測定したところ、30.2GPaであった。硬質基板12の上に、密着層14及び防汚層15を形成し、硬質部材11を作製した。密着層14及び防汚層15は、実施例2における密着層4及び防汚層5と同様にして形成した。
密着層14を形成せずに、硬質基板12の上に防汚層15を直接形成する以外は、実施例11と同様にして硬質部材11を作製した。
実施例11及び比較例5で作製した硬質部材11について、上記と同様にして、耐擦傷性及び密着性を評価した。評価結果を表1に示す。
図1に示す硬質部材1の硬質層3をAlONに変更し、かつ密着層4の膜厚を変化させて、密着層4の膜厚の影響を検討した。
[硬質層3の形成]
基板2として、日本電気硝子株式会社製アルミノシリケート強化ガラス基板T2X−1を用い、RAS方式で基板2の上に硬質層3としてのAlON膜を形成した。Al膜の成膜条件として、成膜圧力:0.12Pa、キャリアガスとしてのArガスの流量:100sccm、Alターゲット印加電力:5.0kWとした。Al膜の酸窒化条件として、キャリアガスとしての酸素ガス流量:2sccm、窒素ガス流量:38sccm、ラジカルガン印加電力:4.5kWとして、AlON膜を膜厚500nmとなるように成膜した。AlON膜を形成した基板の硬さを、Berkovich型ダイヤモンド圧子を用いたナノインデンテーション法(最大荷重:1.225mN)により測定した結果、18.0GPaであった。なお、基板(T2X−1)の硬さは、7.3GPaであった。なお、「AlON」は実際の組成比を表わすものではない。
密着層4の膜厚を15nmとする以外は、実施例12と同様にして硬質部材1を作製した。
密着層4の膜厚を20nmとする以外は、実施例12と同様にして硬質部材1を作製した。
密着層4の膜厚を30nmとする以外は、実施例12と同様にして硬質部材1を作製した。
密着層4の膜厚を40nmとする以外は、実施例12と同様にして硬質部材1を作製した。
密着層4の膜厚を50nmとする以外は、実施例12と同様にして硬質部材1を作製した。
密着層4を形成せずに、硬質層3の上に防汚層5を直接形成する以外は、実施例12と同様にして硬質部材1を作製した。
密着層4の膜厚を80nmとする以外は、実施例12と同様にして硬質部材1を作製した。
実施例12〜17及び比較例6〜7で作製した硬質部材1について、上記と同様にして、耐擦傷性及び密着性を評価した。評価結果を表1に示す。
硬質層3の膜厚を変化させ、硬質層3の膜厚の影響を検討した。
硬質層3の膜厚を300nmとする以外は、実施例13と同様にして硬質部材1を作製した。
硬質層3の膜厚を200nmとする以外は、実施例13と同様にして硬質部材1を作製した。
硬質層3の膜厚を100nmとする以外は、実施例13と同様にして硬質部材1を作製した。
実施例18〜19及び比較例8で作製した硬質部材1について、上記と同様にして、耐擦傷性及び密着性を評価した。評価結果を表1に示す。
密着層4として、酸化ケイ素(SiO2)膜に代えて、窒化ケイ素(SiN)膜及び酸窒化ケイ素(SiON)膜を用いて検討した。なお、「SiN」及び「SiON」は、実際の組成比を示すものではない。
密着層4として、酸化ケイ素(SiO2)膜に代えて、窒化ケイ素(SiN)膜を形成した以外は、実施例13と同様にして硬質部材1を作製した。Si膜の成膜条件として、成膜圧力:0.12Pa、キャリアガスとしてのArガスの流量:100sccm、Siターゲット印加電力:5.0kWとした。Si膜の窒化条件として、キャリアガスとしての窒素ガス流量:40sccm、ラジカルガン印加電力:4.5kWとして、窒化ケイ素(SiN)膜を膜厚15nmとなるように成膜した。
密着層4として、酸化ケイ素(SiO2)膜に代えて、酸窒化ケイ素(SiON)膜を形成した以外は、実施例13と同様にして透光性部材を作製した。Si膜の成膜条件として、成膜圧力:0.17Pa、キャリアガスとしてのArガスの流量:150sccm、Siターゲット印加電力:5.0kWとした。Si膜の酸窒化条件として、キャリアガスとしての酸素ガス流量:10sccm及び窒素ガス流量:30sccm、ラジカルガン印加電力:4.5kWとして、酸窒化ケイ素(SiON)膜を膜厚15nmとなるように成膜した。
実施例20〜21で作製した硬質部材1について、上記と同様にして、耐擦傷性及び密着性を評価した。評価結果を表1に示す。
硬質層3及び密着層4を形成しない場合の耐擦傷性及び密着性を評価した。
硬質層3及び密着層4を形成せずに、基板2の上に防汚層5を直接形成する以外は、実施例13と同様にして硬質部材1を作製した。
比較例9で作製した硬質部材1について、上記と同様にして、耐擦傷性及び密着性を評価した。評価結果を表1に示す。
2…基板
3…硬質層
4…密着層
5…防汚層
11…硬質部材
12…硬質基板
14…密着層
15…防汚層
Claims (9)
- 基板と、
前記基板上に設けられ、厚みが150nm以上である硬質層と、
前記硬質層の上に設けられ、ケイ素を含有する無機材料からなり、厚みが60nm以下である密着層と、
前記密着層の上に設けられ、有機ケイ素化合物を含有する防汚層とを備える、硬質部材。 - 前記密着層の厚みが、1nm以上である、請求項1に記載の硬質部材。
- 前記硬質層の硬さが、7GPa以上である、請求項1または2に記載の硬質部材。
- 前記硬質層が、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、DLC(Diamond Like Carbon)、ダイヤモンド、窒化硼素、窒化炭素から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬質部材。
- 前記密着層が、酸化ケイ素、窒化ケイ素、及び酸窒化ケイ素から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬質部材。
- 前記防汚層が、フッ素含有有機ケイ素化合物を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬質部材。
- 前記基板が、ガラス基板である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬質部材。
- 硬さが8GPa以上である硬質基板と、
前記硬質基板の上に設けられ、ケイ素を含有する無機材料からなり、厚みが60nm以下である密着層と、
前記密着層の上に設けられ、有機ケイ素化合物を含有する防汚層とを備える、硬質部材。 - 前記硬質基板が、サファイヤ基板である、請求項8に記載の硬質部材。
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