JP6519940B2 - 透光性部材及びタッチパネル用カバー部材 - Google Patents

透光性部材及びタッチパネル用カバー部材 Download PDF

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Description

本発明は、タッチパネル用カバーガラスやショーケース等の材料として使用される透光性部材及びこの透光性部材を具備するタッチパネル用カバー部材に関する。
ガラスやプラスチックなどの透光性部材が、タッチパネル用のカバー部材やショーケースの材料として幅広く使用されている。
携帯電話やPDAなどの各種携帯端末の多くは、操作者が指やスタイラスペン等を表示画面に直接接触させることによって操作される。これらの表示部は、映像や画像を表示させる表示装置と、操作者の指やスタイラスペン等の接触位置を認識するタッチパネルと、表示装置及びタッチパネルの表面を覆うように設けられた、透光性部材を具備するタッチパネル用カバー部材等により構成されている。
また、美術館や貴金属店などでは、絵画や商品を保護するため、透光性部材からなるショーケースが用いられている。
透光性部材の基板材料として、一般的なソーダ石灰ガラスや樹脂よりも硬度が高く、表面に圧縮応力層を有する強化ガラスが使用される機会が増えている。特許文献1に開示されている通り、強化ガラスは、イオン交換により形成された圧縮応力層を表面層として有しているため、ビッカース硬度が高く、操作者の爪やスタイラスペン等の押圧に起因する押圧傷が発生し難い。
強化ガラスをタッチパネル用カバー部材やショーケースの材料として用いることにより、操作者の爪やスタイラスペン等の押圧に起因して発生する押圧傷は抑制されるものの、例えば、貴金属類、硬質鍵等のような、より硬い金属材料等の押圧を起因とする押圧傷や、これらと透光性部材の表面とが擦れることで発生する傷(摩擦傷)を十分に抑制することはできない。
また、操作者の指の指紋や埃等が付着することにより、表示部やショーケース内の視認性が低下しやすくなるため、透光性部材には、付着した指紋等の汚れを拭き取り易いことが求められている。
このように、透光性部材には、押圧傷が付き難く(硬度が高く)、摩擦傷が付き難く且つ指紋等の汚れの拭き取りが容易であること(滑り性)が求められている。
このような要求に対応するために、透光性部材の表面に硬い膜をコーティングして表面の硬度を高め、その上に摩擦を低下させる膜を形成することで滑り性を高めることが試みられている。
例えば、特許文献2には、耐候性及び機械的耐性を付与するため、ガラス基板と、ガラス基板に形成されたAl、Ga、SnO、TiO、Ta、Cr、ZrO、Nb、In、Fe、CoO、V、Y、TiN、SiO(式中、xは0〜2である)、及びSiOpq(式中、pは1〜2であり、qは0〜1である)からなる群から選択される材料単独又はその組み合わせから構成される下層及び疎水疎油性層を含むコーティングとからなる板ガラスが開示されている。
特開2008−115071号公報 特開平8−175850号公報
特許文献2に記載の板ガラスは、下層が強化ガラスの圧縮応力層と比較して硬度が高く、疎水疎油性層の滑り性が高いため、当該技術をタッチパネル用カバー部材やショーケースに適用することにより、貴金属類、鍵等のような、より硬い金属材料等に起因する押圧傷や、摩擦傷の発生を抑制しつつ、透光性部材に付着した指紋等を容易に拭き取ることが可能となる。
しかしながら、下層の材料によっては、疎水疎油性層の下層に対する密着性がそれほど高くなく、長期間の使用により、疎水疎油性層が剥離し、滑り性が低下しやすいという問題もあった。また、下層の材料によっては、下層と密着可能な疎水疎油層の量が少ないため、滑り性が不十分となり、摩擦傷の発生を抑制し、付着した指紋等を容易に拭き取ることができない場合があった。更に、下層の材料によっては、押圧傷の発生を効率的に抑制できない場合もあった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、硬度及び滑り性が高く、かつ、長期間の使用によっても滑り性が低下しにくい透光性部材及びタッチパネル用カバー部材を提供することを目的とする。
本発明の透光性部材は、透光性を有する基板と、前記基板の少なくとも一方の主面上に配されており、SiO(0<x、0<y、0<x/(x+y)≦0.7)を含有するハードコート層と、前記ハードコート層上に隣接して配され、有機ケイ素化合物を含有する低摩擦層とを備えてなることを特徴とする。
本発明の透光性部材は、SiO(0<x、0<y、0<x/(x+y)≦0.7)を含有するハードコート層を備えるため、強化ガラスの圧縮応力層やSiO、Al膜等と比較して硬度が高い。そのため、爪、スタイラスペン、鍵等が直接接触しても押圧傷の発生が抑制される。また、SiOを含有するハードコート層は、ZrO膜や強化ガラスの圧縮応力層と比較して低摩擦層に含まれる有機ケイ素化合物との密着性が良い。そのため、摩擦傷の発生を効率的に抑制し、透光性部材に付着した指紋等の汚れを容易に拭き取ることが可能となるとともに、長期間の使用によっても低摩擦層が剥離せず、滑り性が低下しにくい。
また、本発明の透光性部材は、前記ハードコート層の屈折率(光の波長:550nm)が、1.6以上であることが好ましい。
ハードコート層11の屈折率は、SiOのx及びyの値と相関関係がある。ハードコート層の屈折率が1.6以上であれば、xの値が小さくなり(屈折率が高くなる)、硬度の高いSiの割合が大きくなる。そのため、透光性部材は、硬度が十分に高く、押圧傷が発生しにくい。
ハードコート層の厚みが小さすぎると、押圧傷の発生を効率的に抑制できない場合がある。また、ハードコート層の厚みが大きすぎると、ハードコート層が剥離する場合がある。本発明の透光性部材は、前記ハードコート層の厚みが、150〜1100nmであると、押圧傷の発生が効率的に抑制され、かつ、ハードコート層の剥離を抑制できるため好ましい。
また、本発明の透光性部材は、前記有機ケイ素化合物が、フッ素含有有機ケイ素化合物であると、透光性部材の滑り性をより高くできるため好ましい。
また、本発明の透光性部材は、前記基板と前記ハードコート層との間に、更に機能層が配されてなることが好ましい。
機能層により、透光性部材に様々な機能、特性が付与され、透光性部材の用途を広げることができる。
ここで、「機能層」とは、透光性部材に対して、機能、特性を付与したり、外観を変えるための層をいう。機能や特性を付与するための層として、例えば、透光性部材に対して、赤外線の透過を抑制する特性を付与する赤外線遮蔽層、紫外線の透過を抑制する特性を付与する紫外線遮蔽層、透光性部材が損傷した時に、基板の破片が飛散することを抑制する機能を付与する飛散防止層のように、透光性部材に様々な機能、特性を付与する層、色味や模様を付与して、外観を変える層等が挙げられる。
本発明のタッチパネル用カバー部材は、上記のいずれかに記載の透光性部材を具備する。
本発明のタッチパネル用カバー部材は、硬度及び滑り性が高く、かつ、長期間の使用によっても滑り性が低下しにくい透光性部材からなるため、押圧傷及び摩擦傷の発生を抑制し、透光性部材に付着した指紋等の汚れを容易に拭き取ることが可能となるとともに、長期間の使用によっても低摩擦層が剥離せず、滑り性が低下しにくい。
以上に示した本発明により、硬度及び滑り性が高く、かつ、長期間の使用によっても滑り性が低下しにくい透光性部材及びタッチパネル用カバー部材を提供することができる。
本発明の第一の実施形態に係る透光性部材の模式的断面図である。 本発明の第二の実施形態に係る透光性部材の模式的断面図である。 本発明の第二の実施形態に係る透光性部材において、機能層を2層設けた場合の模式的断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
第一の実施形態の透光性部材について説明する。本実施形態の透光性部材は、例えば、映像や画像を表示させる表示装置と、操作者の指やスタイラスペン等の接触位置を認識するタッチパネルの表面を覆うように設けられたタッチパネル用カバー部材や、美術館や貴金属店などにおいて、絵画や商品を保護するためのショーケースの材料として使用することができる。
図1は、本実施形態における透光性部材1の模式的断面図である。図1に示すように、透光性部材1は、透明基板10を備えている。透明基板10は、可視波長域(波長 400〜700nm)の光を透過可能である。透明基板10の光の透過率は、可視波長領域全体に渡り、50%以上であると、映像、画像、絵画、商品等の対象物の視認性を確保することが容易なため好ましい。透明基板10は、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂、石英、サファイア等により構成することができる。また、透明基板10は、0.05〜0.30mm程度の複数枚の透明ガラスフィルムを積層させた積層体や、複数枚の透明ガラスフィルムの間に0.10〜15.0mm程度のポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の透明樹脂板やフィルムを積層させた積層体でも良い。透明基板10の形状は、特に限定されず、各種携帯端末やショーケースの形状等に応じて任意に選択できる。透明基板10は、無アルカリガラス、ソーダ石灰ガラスなどのガラスにより構成されていることが好ましい。また、透明基板10は、化学強化または風冷強化されたガラス(強化ガラス)により構成されていてもよい。なかでも、透明基板10は、無アルカリガラスにより構成されたガラスや強化ガラスであることが好ましい。透明基板10に好ましく用いられる強化ガラスの具体例としては、例えば、ガラス組成として、質量%で、SiO 50〜80%、Al 5〜25%、B 0〜15%、NaO 1〜20%、KO 0〜10%を含有するガラスを、化学強化した強化ガラスが挙げられる。
透明基板10の厚みは、例えば、0.1〜20mmであることが好ましい。透明基板10がタッチパネル用カバー部材として使用される場合、厚みは0.3〜1mmであることがより好ましい。透明基板10の厚みが0.3mmより小さいと、タッチパネル用カバー部材が衝撃により割れやすくなり、1mmより大きいと、タッチパネル用カバー部材を具備する各種携帯端末を軽量化しにくい。また、透明基板10がショーケースとして使用される場合、厚みは1〜20mmであることが強度や取扱い性の面から鑑みて好ましい。
透明基板10の上には、ハードコート層11が設けられている。ハードコート層11は、SiO(0<x、0<y、0<x/(x+y)≦0.7)を含んでいる。ハードコート層11は、例えば、酸化アルミニウム等の金属酸化物等を含んでも良い。ただし、押圧傷の発生を抑制する点から鑑みると、ハードコート層11がSiOのみからなると、押圧傷の発生を抑制しやすいため好ましい。
SiOを含むハードコート層11は、透明基板10と比べて硬度が高い。具体的には、透明基板(試料A)と、透明基板にハードコート層を形成した基板(試料B)について、それぞれ後述する揺動擦り試験を行った場合、試料Bのハードコート層を形成した表面は、試料Aの透明基板の表面よりも押圧傷が付き難い。
SiOにおいて、x/(x+y)は、0.06〜0.7であり、かつ、x>0、y>0であることで、ハードコート層11の硬度が高く、かつ後述する低摩擦層12との密着性が良くなるため好ましい。x/(x+y)は、0.08〜0.6であることで、低摩擦層12との密着性が非常に良くなるためより好ましい。
なお、ハードコート層11の屈折率(光の波長:550nm)は、1.6以上であることが好ましい。SiO単体の屈折率は1.47であり、Si単体の屈折率は2.0である。ハードコート層11の屈折率は、SiOのx及びyの値と相関関係があり、xの値が大きい(yの値が小さい)程屈折率が低く、xの値が小さい(yの値が大きい)程屈折率が高い。すなわち、xの値が小さい方が好ましい。SiOにおけるxの値が小さくなる(屈折率が高くなる)ことにより、硬度の高いSiの割合が大きくなり、ハードコート層11の硬度が高くなる。ハードコート層11の屈折率が1.6未満であると、Siの割合が小さくなり、ハードコート層11の硬度が不十分となる場合がある。より好ましいハードコート層11の屈折率は、1.8以上である。
ハードコート層11の屈折率(光の波長:550nm)は、1.99以下であることが好ましい。SiOにおけるxの値が大きくなる(屈折率が小さくなる)ことにより、低摩擦層12との親和性が高いSiOの割合が大きくなり、ハードコート層11は、低摩擦層12との密着性が高くなる。ハードコート層11の屈折率(光の波長:550nm)は、1.96以下であることがより好ましく、1.90以下であることがさらに好ましく、1.86以下であることが最も好ましい。
ハードコート層11の厚みは、150〜1100nmであることが好ましい。ハードコート層11の厚みが小さすぎると、押圧傷の発生を効率的に抑制できない場合がある。また、ハードコート層11の厚みが大きすぎると、ハードコート層11が剥離する場合がある。より好ましいハードコート層11の厚みは、200〜1000nmである。
ハードコート層11は、例えばSiターゲットとアルゴン、窒素、酸素ガスを用いた反応性スパッタリング法で形成することができる。成膜レートの観点からは、RAS方式によるスパッタリング法が好ましい。RAS方式とは、カルーセル型の装置のチャンバ内で透明基板10を高速で周回させ、Si膜をスパッタリングにより形成する領域と、そのSi膜を窒素ラジカルと酸素ラジカルで窒化および酸化させる領域を交互に通過させて成膜する方法である。
スパッタリング法による成膜を行うチャンバ内の圧力が低すぎると、ハードコート層11を安定して形成することが困難となる。従って、スパッタリング法による成膜を行うチャンバ内の圧力は、0.05Pa以上であることが好ましく、0.10Pa以上であることがより好ましい。
Si膜を窒化及び酸化させる際に、窒素と酸素からなる供給ガスをチャンバ内に供給するが、窒素と酸素の流量比(窒素:酸素)は30:10〜40:0であることが好ましい。
酸素をチャンバ内に導入せず窒素のみ導入した場合でも、チャンバ内の残留ガス等の影響で、Si膜にSiOが混合し、SiO膜になることがあるが、Siターゲットに投入する電力を変えて成膜レートを変えることにより、SiO膜中のxとyの比をコントロールすることが可能である。 Siターゲットに投入する電力が高いほど、ターゲット表面が清浄に保たれるため、x/(x+y)は小さくなる。
低摩擦層12は、ハードコート層11の上に隣接して設けられる。低摩擦層12は、ハードコート層11の表面の摩擦係数を低下させ、滑り性を高めるための層である。低摩擦層12は、有機ケイ素化合物を含むと、SiOとの密着性が高いため好ましい。そのため、長期間の使用によっても低摩擦層12が剥離せず、滑り性が低下しにくい。有機ケイ素化合物としては、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンレジン、シリコーンゴム、疎水性シリカ、フッ素含有有機ケイ素化合物、選択される1つ以上の化合物を挙げることができる。これらの中でも、フッ素含有有機ケイ素化合物が好ましい。フッ素含有有機ケイ素化合物としては、例えば、主鎖中に、−O−Si−O−ユニットを有し、かつ、フッ素を含む撥水性の官能基を側鎖に有する重合体が挙げられる。フッ素含有有機ケイ素化合物は、例えばシラノールを脱水縮合することにより合成することができる。フッ素含有有機ケイ素化合物としては、例えば、KY130(信越化学工業社製)、オプツ−ルDSX(ダイキン工業社製)、TSL8257、TSL8233、TSL831(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、KBM7803(信越化学工業社製)、AY43−158E(東レ・ダウコーニング社製)、KP801M(信越化学工業社製)が挙げられる。
低摩擦層12の厚みは、例えば、1〜30nmであることが好ましい。低摩擦層12の厚みが小さすぎると、透光性部材1の表面の摩擦係数が大きくなりやすい。また、低摩擦層12の厚みが大きすぎると、低摩擦層12が剥離しやすい。より好ましい低摩擦層12の厚みは、4〜20nmである。
低摩擦層12は、例えば、表面を洗剤及び純水で洗浄し、大気圧プラズマ装置で処理後、有機ケイ素化合物溶液をスプレーコーティングし、100〜200℃で30〜120分加熱し、その後表面を拭き取ることにより形成することができる。
次に、第二の実施形態の透光性部材について説明する。上述した第一の実施形態と対応する部分については同一の符号を付してあり、以下の説明では、第一の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図2に示すように、透光性部材2は、透明基板10とハードコート層11との間に、機能層13が配されている。機能層13は、透光性部材2に対して、機能、特性を付与したり、外観を変えるための層である。このような層としては、透光性部材2に対して、赤外線の透過を抑制する特性を付与する赤外線遮蔽層、紫外線の透過を抑制する特性を付与する紫外線遮蔽層、透光性部材2が損傷した時に、透明基板10の破片が飛散することを抑制する機能を付与する飛散防止層などのように、透光性部材2に様々な機能や特性を付与する層、色味や模様を付与して、透光性部材2の外観を変える層等が挙げられる。機能層13は、透光性部材2に対して、2以上の機能や特色を付与するために設けられた層であってもよい。機能層13の材質としては、金属、金属酸化物、金属窒化物等の無機化合物、低分子化合物、高分子化合物等の有機化合物等が挙げられる。機能層13は、2以上の機能や特色を付与するために、図3に示すように、2以上の機能層13a、13bが設けられていてもよい。
以下の方法により、実施例1〜9及び比較例1の透光性部材を作製した。
透明基板として、厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板(日本電気硝子社製 OA−10G)を準備した。
カルーセル型のスパッタ装置により、チャンバ内を回転する無アルカリガラス基板の上に、Siターゲットを用いて、Si膜を形成するスパッタ領域と、そのSi膜を酸素ラジカル及び窒素ラジカルを用いて酸窒化する酸窒化領域とを交互に通過させる、いわゆるRAS法により、SiO膜(ハードコート層)を形成した。
なお、Si膜の成膜条件として、チャンバ内の圧力は0.17Paであり、Si膜を形成する際の電力(ターゲット投入電力)、供給ガスの窒素と酸素の流量、SiO膜の厚み、屈折率(光の波長:550nm)及び{x/(x+y)}は表1及び表2に示す通りである。
なお、{x/(x+y)}は、SiO膜の屈折率を求め、以下の式(1)に示すBruggeman式よりSiOの体積分率fを求め、以下の式(2)にfを代入することにより導出できる。なお、SiO膜の屈折率は、SiO膜の分光反射率を測定し、反射率から計算により求めた。
(ここで、εはSiO膜の誘電率、εはSiOの誘電率、εはSiの誘電率であり、(誘電率)=(屈折率)の関係が成り立つ。SiOの屈折率は1.47、Siの屈折率は2.0であるため、εは2.16、εは4.0である。)
(ここで、ρはSiOの密度(2.65)、ρはSiの密度(3.44)、MはSiOの分子量(60)、MはSiの分子量(140)、Vmx=(Mxx)、Vmy=(Myy)である。)
SiO膜を形成した透明基板を洗浄機で洗浄し、大気圧プラズマ装置で処理を行い、その後、スプレー装置を使用してフッ素含有有機ケイ素化合物溶液(ダイキン工業社製 UF503:0.1質量%、3M社製Novec7200:99.9質量%)を塗布した。塗布条件は、透明基板の搬送速度3mm/秒、塗布量10ml/分、エアー流量40l/分、スプレーノズル往復速度800ml/秒、スプレーノズル−透明基板間距離20mmの条件である。フッ素含有有機ケイ素化合物溶液を塗布した後、クリーンオーブンを使用して150℃で60分間加熱し、塗布面をアルコールを浸したワイパーで拭き取ることで低摩擦層を形成した。
比較例2の透光性部材は、透明基板の表面に、スパッタリング法によりZrO膜(ハードコート層)を形成したこと以外は、実施例1と同じ方法により作製した。ZrO膜は、チャンバ内の圧力を0.13PaとしてZr膜を形成した後に、酸素からなる供給ガスをチャンバ内に供給することにより形成した。なお、Zr膜を形成する際の電力(ターゲット投入電力)、供給ガスの窒素と酸素の流量、ZrO膜の厚み及び屈折率は表1に示す通りである。
比較例3の透光性部材は、低摩擦層を形成しないこと以外は実施例1と同じ方法により作製した。
比較例4の透光性部材は、ハードコート層を形成しないこと以外は実施例1と同じ方法により作製した。
比較例5の透光性部材は、ハードコート層及び低摩擦層を形成しない透明基板である。
(押圧傷及び摩擦傷評価)
押圧傷及び摩擦傷の付きやすさの評価は、揺動擦り試験により行った。揺動擦り試験は、テーバーインダストリーズ社製 Taber Oscillating Abrasion Tester 6160を用いて行われ、装置内に、試料とともにPREMIER Silica社製 Colorado Silica Sand(Sieve Sizes 6/9)1300g投入し、揺動ストローク100mm、揺動速度200往復/分、揺動回数1000往復の条件で行った際に、透光性部材表面(実施例1〜9、比較例1、2、4は低摩擦層側表面、比較例3はハードコート層側表面)で発生した傷を目視及び光学顕微鏡(倍率50倍)により観測することにより評価した。目視で傷が発見された場合は×、目視では傷が発見されないが、光学顕微鏡により傷が発見された場合は〇、光学顕微鏡によっても傷が発見されない場合は◎とした。
(低摩擦層の耐久性評価)
低摩擦層の耐久性の評価は、スチールウール擦り試験により行った。スチールウール擦り試験は、縦10mm×横10mmの日本スチールウール社製 ボンスター業務用等級#0000を低摩擦層表面に押し当て(荷重1000g)、揺動ストローク40mm、揺動速度60往復/分、揺動回数1000往復の条件で行った後に、水との接触角を測定した。接触角が90°以上の場合、同条件にて再度擦り試験を行い、水との接触角が90°未満となるまで擦り試験及び接触角の測定を繰り返した。
実施例1〜5及び比較例1、2に関しては揺動回数6000回まで行い、実施例6〜9及び比較例4に関しては揺動回数5000回まで行った。
揺動回数6000回まで行った場合において、揺動回数5000往復未満で水との接触角が90°未満となった場合は×、揺動回数5000往復で水との接触角が90°以上であるが、揺動回数6000往復で水との接触角が90°未満となった場合は○、揺動回数6000往復で水との接触角が90°以上である場合は◎とした。
揺動回数5000回まで行った場合において、揺動回数5000往復未満で水との接触角が90°未満となった場合は×、揺動回数5000往復で水との接触角が90°以上となった場合は○とした。
なお、低摩擦層の耐久性評価は実施例1〜9、比較例1、2、4について実施し、低摩擦層の無い比較例3及び比較例5については実施しなかった。
表1及び表2に評価結果を示す。
表1の実施例1〜5に示す通り、ハードコート層が、SiO膜(0<x、0<y、0<x/(x+y)≦0.6)であり、ハードコート層の主面上に、有機ケイ素化合物を含有する低摩擦層を形成することにより、押圧傷及び摩擦傷評価が良く、硬度及び滑り性が高い。また、低摩擦層の耐久性評価も良く、長期間の使用によっても滑り性が低下しにくい。更に、実施例1〜5において、屈折率及びx/(x+y)の値が小さくなるにつれて低摩擦層の耐久性が良くなった。
一方、表1の比較例1に示す通り、SiO膜において、x/(x+y)=1.0であると、SiO膜の硬度が低くなり、押圧傷が発生した。また、比較例2に示す通り、ZrO膜は、低摩擦層との密着性が悪くなり、低摩擦層の耐久性が低かった。
表2の実施例6〜9に示す通り、ハードコート層の厚みが200〜1000nmの範囲であれば、硬度及び滑り性が特に高く、かつ、長期間の使用によっても滑り性が低下しにくい。
一方、表2の比較例3に示す通り、低摩擦層が形成されていないと、摩擦傷が発生した。比較例4に示す通り、ハードコート層が無いと、押圧傷が発生した。比較例5に示す通り、ハードコート層及び低摩擦層が無いと、押圧傷及び摩擦傷が発生した。
1、2 透光性部材
10 透明基板
11 ハードコート層
12 低摩擦層
13 機能層

Claims (6)

  1. 透光性を有するガラス、セラミックス、石英またはサファイアからなる基板と、
    前記基板の少なくとも一方の主面上に配されており、SiO(0<x、0<y、0<x/(x+y)≦0.45)を含有するハードコート層と、
    前記ハードコート層上に隣接して配され、有機ケイ素化合物を含有する低摩擦層とを備えてなることを特徴とする透光性部材。
  2. 前記ハードコート層の屈折率(光の波長:550nm)は、1.6以上であることを特徴とする請求項1に記載の透光性部材。
  3. 前記ハードコート層の厚みは、150〜1100nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の透光性部材。
  4. 前記有機ケイ素化合物は、フッ素含有有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の透光性部材。
  5. 前記基板と前記ハードコート層との間に、更に機能層が配されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の透光性部材。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の透光性部材を具備することを特徴とするタッチパネル用カバー部材。
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