JPWO2014119736A1 - コーティング組成物および光学物品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の一態様は、エポキシ基含有化合物と、鉄を中心金属とするアセチルアセトナートと、アルミニウムを中心金属とするアセチルアセトナートと、を含み、前記エポキシ基含有化合物に含まれるエポキシ基のモル数に対する前記鉄を中心金属とするアセチルアセトナートのモル数の比mFおよび前記エポキシ基含有化合物に含まれるエポキシ基のモル数に対する前記アルミニウムを中心金属とするアセチルアセトナートのモル数の比mAが以下の条件を満たす、コーティング組成物に関する。0.000<mF/mA≦1.0000.0064≦(mF+mA)≦0.0253

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2013年1月31日出願の日本特願2013−016573号の優先権を主張し、その全記載は、ここに特に開示として援用される。
本発明は、コーティング組成物および光学物品の製造方法に関するものである。
文献1(特開2006−008869号公報、その全記載は、ここに特に開示として援用される)には、五酸化アンチモンゾル、一般式(RII Si(ORIII3−aおよびX{SiR (ORVI3−b)で示される化合物またはその部分加水分解物等のケイ素化合物、エポキシ基含有ケイ素化合物またはその部分加水分解物、有機溶媒および鉄、ニッケル等のアセチルアセトナート錯体を含むコーティング組成物が記載されている。
眼鏡やサングラスの基材として用いられるレンズ、光ディスク、光学素子、その他の光学物品においては、表面の硬度を高め、耐擦傷性および/または耐摩耗性を向上するために塗膜(コーティング)を形成することがある。また、眼鏡レンズなど着色を制御することが要望される光学物品においては、着色が少なく耐擦傷性の高いコーティング組成物が要望されている。
本発明の態様の1つは、エポキシ基含有化合物と、鉄を中心金属とするアセチルアセトナートと、アルミニウムを中心金属とするアセチルアセトナートとを含むコーディング組成物に関する。上記コーディング組成物は、エポキシ基含有化合物に含まれるエポキシ基のモル数に対する、鉄を中心金属とするアセチルアセトナートのモル数の比mFおよび、エポキシ基含有化合物に含まれるエポキシ基のモル数に対する、アルミニウムを中心金属とするアセチルアセトナートのモル数の比mAが以下の条件を満たす。
0.000<mF/mA≦1.000 ・・・(1)
0.064≦(mF+mA)≦0.0253 ・・・(2)
上記コーティング組成物は、少なくとも鉄を中心金属とするアセチルアセトナートとアルミニウムを中心金属とするアセチルアセトナートとの2種類を含む。鉄を中心金属とするアセチルアセトナートおよびアルミニウムを中心金属とするアセチルアセトナートは、エポキシ基の開環反応を触媒する硬化触媒(重合触媒)として機能すると考えられる。さらに、エポキシ基に対する鉄アセチルアセトナートのモル比mFをアルミニウムアセチルアセトナートのモル比mA以下とすることにより、コーティング組成物でコーティングした光学物品の硬度を向上することができる。さらに、当該比mFと比mAとの合計量をエポキシ基のモル数に対して0.0064以上0.0253以下とすることにより、コーティング組成物でコーティングした光学物品の着色、特に黄着色を抑制することができる。
一態様では、鉄アセチルアセトナートのモル比mFおよびアルミニウムアセチルアセトナートのモル比mAは、以下の条件を満たす。
0.0009≦mF≦0.0032 ・・・(3)
0.0032≦mA≦0.0221 ・・・(4)
上記条件(3)および(4)を満たすことは、コーティング組成物により光学物品の表面をコートしたときの黄着色をより確実に抑制するため、および表面の耐擦傷性をより確実に向上するために好ましい。
一態様では、鉄アセチルアセトナートのモル比mFおよびアルミニウムアセチルアセトナートのモル比mAは、以下の条件を満たす。
0.064≦(mF+mA)≦0.0190 ・・・(5)
上記条件(5)を満たすことは、コーティング組成物により光学物品の表面をコートしたときの黄着色をさらに低減する観点から、好ましい。
一態様では、鉄アセチルアセトナートのモル比mFおよびアルミニウムアセチルアセトナートのモル比mAは、以下の条件を満たす。
0.1448≦mF/mA≦0.3368 ・・・(6)
上記条件(6)を満たすことは、コーティング組成物により光学物品の表面をコートしたときの耐擦傷性をさらに向上する観点から、好ましい。
一態様では、鉄アセチルアセトナートのモル比mFおよびアルミニウムアセチルアセトナートのモル比mAは、以下の条件を満たす。
0.1746≦mF/mA≦0.3368 ・・・(7)
上記条件(7)を満たすことは、コーティング組成物により光学物品の表面をコートしたときの黄着色を効果的に低減するため、および優れた耐擦傷性を得るために、好ましい。
エポキシ基含有化合物の一態様は、エポキシ基を含む有機ケイ素化合物であり、その一例はエポキシ基含有シラン化合物である。
本発明の他の態様の1つは以下の工程を含む光学物品の製造方法である。
1.上記のコーティング組成物を、光学基材に直接、または他の層を介して塗布すること。
2.コーティング組成物が塗布された光学基材を100℃〜150℃の温度で焼成すること。
本発明の一態様によれば、黄着色が少なく耐擦傷性の高い光学物品を提供することができる。
眼鏡レンズの典型的な構成を示す図。 実施例および比較例の評価結果を示す図。 スチールウール試験の評価の分布を示す図。 ベイヤー試験の評価の分布を示す図。 耐擦傷性の総合評価の分布を示す図。 黄着色の評価の分布を示す図。 総合評価の分布を示す図。
図1に、光学物品の一例としてプラスチックレンズ基材を含む眼鏡レンズの典型的な構成を示している。この眼鏡レンズ1は、レンズ基材2と、このレンズ基材2の第1面2aおよび第2面2b(以下では総称として両面2aおよび2aとも称する)に形成されたプライマー層3と、このプライマー層3の表面に形成されたハードコート層10と、このハードコート層10の表面に形成された反射防止層5と、この反射防止層5の表面に形成された防汚層6とを有する。
本例のレンズ1のレンズ基材2はプラスチックであるが、ガラスであってもよい。レンズ基材2の屈折率は特に限定されない。プラスチック製のレンズ素材としては、一例として、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)やポリカーボネート、または、イソシアネート基もしくはイソチオシアネート基を持つ化合物と、メルカプト基を持つ化合物を反応させることによって製造されるポリチオウレタン系プラスチック等が挙げられる。
プライマー層3は、レンズ基材2の表面に形成される。プライマー層3は、表面処理膜全体の耐久性とハードコート層10との密着性を向上させる役割を担うことができる。プライマー層3は省略することも可能である。ガラス製レンズでは設けられないこともある。プライマー層3の具体例としては、極性を有する有機樹脂ポリマーと、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子とを含むコーティング組成物を用いて形成される層を挙げることができる。有機樹脂ポリマーとしては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等の各種樹脂を使用することが可能である。
ハードコート層10は、レンズ1の表面強度を向上させるなどの機能を含むことができる。本例のレンズ1に設けられるハードコート層10については、以下においてさらに説明する。
反射防止層5は、例えば、ハードコート層の屈折率よりも0.10以上低い屈折率を有し、無機層および有機層からなる群から選ばれる一層以上により構成される。反射防止層5は単層であっても多層であってもよい。無機系の反射防止膜を構成する薄層の材質としては、SiO、SiO、ZrO、TiO、TiO、Ti、Ti、Al、Ta、CeO、MgO、Y、SnO、MgF、WO等が挙げられる。
有機系の反射防止層の一例は、以下の式(11)で表される有機ケイ素化合物と、シリカ系微粒子とを含有する組成物から形成されるものである。
i jSiX 4-i-j・・・(11)
(上記式中において、Rは重合可能な反応基を有する有機基を表す。Rは炭素数1〜6の炭化水素基を表す。Xは加水分解性基を表す。iおよびjは、少なくとも一方は1であり、他方は0または1である。)
防汚層6は、レンズ1の両面に水滴や汚れが付着することを防止することを主な目的とする層である。すなわち、レンズ1の両面2aおよび2bに反射防止層5が設けられていれば、両面2aおよび2bの反射防止層5に重ねて防汚層6を形成することにより、レンズ表面に水滴や汚れが付着することを抑制することができる。具体例として、防汚層6を形成するコーティング剤の1つのタイプは、分子量500程度のフッ素含有有機ケイ素化合物を含むコーティング剤であり、他のタイプの1つは、フッ素有機ケイ素化合物にエーテル結合を導入するなどの処理を施し、分子量を2000〜10000程度に大きくしたコーティング剤である。分子量の大きなコーティング剤の一例は特開2004−145283号公報、その全記載は、ここに特に開示として援用される、に記載されているパーフルオロポリアルキシレンエーテル変性シランの加水分解縮合物を含むもの、特開平09−263728号公報、その全記載は、ここに特に開示として援用される、に記載されているケイ素含有有機含フッ素ポリマーを混合物として含むものである。防汚層6は省略することも可能である。また、防汚層6に代えて親水性の防曇層を設けてもよい。なお本発明において、分子量とは、ポリマーについては平均分子量をいうものとする。平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で測定される数平均分子量をいうものとする。
ハードコート層用のコーティング組成物
以下に説明する実施例および比較例においては、以下のコーティング組成物を用いてハードコート層10を形成した。ハードコート層用のコーティング組成物Hcは、以下の成分Aおよび成分Bを含む。
成分A. エポキシ基含有化合物
成分B. 鉄を中心金属とするアセチルアセトナートおよびアルミニウムを中心金属とするアセチルアセトナート
エポキシ基含有化合物とは、1分子中にエポキシ基を少なくとも1つ含む化合物である。エポキシ基含有重合性化合物に含まれるエポキシ基の数は、1分子あたり、例えば1つであり、2つ以上、例えば2〜4つであることもできる。エポキシ基含有化合物において、エポキシ基とともに含まれる官能基は特に限定されるものではない。官能基としては、例えば、アルコキシ基等の加水分解性基、メタクリル基、アクリル基等のエポキシ基以外の重合性基等の反応性を有する基(反応性基)を挙げることができる。エポキシ基含有化合物は、反応性基を2つ以上含む多官能性化合物であることができる。多官能性化合物の具体的態様としては、1つ以上のエポキシ基と1つ以上の加水分解性基を有する化合物、1つ以上のエポキシ基と1つ以上のエポキシ基以外の重合性基を有する化合物、エポキシ基、加水分解性基、エポキシ基以外の重合性基をそれぞれ1つ以上有する化合物、等を挙げることができる。コーティング組成物の全重量に対するエポキシ基含有重合性化合物の占める割合は、例えば15質量%以上であり、好ましくは19質量%以上である。また、例えば25質量%以下であり、好ましくは23質量%以下である。
エポキシ基含有化合物の具体例としては、これらに限定されるものではないが、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ノナプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールヒドロキシヒバリン酸エステルのジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールジグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートのトリグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物、イソホロンジオールジグリシジルエーテル、ビス−2,2−ヒドロキシシクロヘキシルプロパンジグリシジルエーテル等の脂環式エポキシ化合物、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、オルトフタル酸ジグリシジルエーテル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物、エポキシ基含有有機ケイ素化合物が挙げられる。
エポキシ基含有有機ケイ素化合物の具体例としては、エポキシ基含有シラン化合物を挙げることができる。エポキシ基含有シラン化合物としては、シランカップリング剤として通常用いられているものを挙げることができる。エポキシ基を含有するシランカップリング剤の具体例としては、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ポリマー型多官能エポキシシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、製品名「X−12−981」、「X−12−984」)等を挙げることができる。
成分Aとしては、エポキシ基含有化合物のいずれか1種を使用してもよく、2種以上の化合物を混合して使用してもよい。
成分Bは、鉄(Fe)を中心金属とするアセチルアセトナート(成分B1、以降においては鉄アセチルアセトナートと称することがある)と、アルミニウム(Al)を中心金属とするアセチルアセトナート(成分B2、以降においてはアルミニウムアセチルアセトナートと称することがある)とを含む。これらはアセチルアセトナートの錯体であり、鉄アセチルアセトナートは、鉄(III)アセチルアセトナート、トリス(2,4−ペンタンジオナト)鉄(III)などと同義であり、アルミニウムアセチルアセトナートは、アルミニウム(III)アセチルアセトナート、トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III)などと同義である。
コーティング組成物Hcはさらに以下の成分Cを含むことが望ましい。
成分C. 平均粒径1〜200nmの金属酸化物微粒子
金属酸化物微粒子の具体例としては、SiO、SiO、ZrO、TiO、TiO、Ti、Ti、Al、Ta、CeO、MgO、Y、SnO、MgF、WOを挙げることができる。これらの無機物は単独で、または2種以上の混合物として用いることができる。これらの金属酸化物微粒子は一種のフィラー(Filler)となり、一種のマトリックスとなる成分Aによりバインディングされ得る。
コーティング組成物Hcはさらに以下の成分DおよびEの一方または両方を含んでいてもよい。
成分D. 加水分解触媒
成分E. 界面活性剤
加水分解触媒の一例は塩酸である。界面活性剤の一例はシリコーン系界面活性剤である。ただし、これらに限定されるものではない。さらに、コーティング組成物Hcは、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤を含んでいてもよい。コーティング組成物Hcは、必要に応じて、溶剤に希釈して用いることができる。溶剤としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族類等の溶剤が挙げられる。
(実施例1)
ハードコート液の調製
以下では、ハードコート層用のコーティング組成物Hcを変えていくつかのレンズサンプルを製造し、その性能を確認した。
本例では、成分Aのエポキシ基含有化合物として、エポキシ基を含有するシランカップリング剤である3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、製品名「TSL8350」)を46質量部と、成分Dの加水分解触媒として、0.05NのHClを42質量部とをステンレス製容器内に投入し、十分に撹拌した。
次に、成分Cの金属酸化物微粒子としてSiOゾル(日産化学工業株式会社製、製品名「ST−S」固形分20.5%)を、成分Aに対し、フィラーF(成分C)とマトリックスM(成分A)の重量比(F/M)が35/65となるように、85質量部加えた。
さらに、成分Eの界面活性剤としてシリコーン系界面活性剤(東レダウコーニング株式会社製、製品名「L7604」)を300ppmと、成分Bとして成分B1の鉄(III)アセチルアセトナート(トリス(2,4−ペンタンジオナト)鉄(III))を0.217質量部と、成分B2のアルミニウム(III)アセチルアセトナート(トリス(2,4−ペンタジオナト)アルミニウム(III))を0.200質量部とをさらに加え、十分に撹拌した。さらに、固形分が25%となるようにメタノールを混合して撹拌し、コーティング組成物(ハードコート液)Hcを得た。
このコーティング組成物Hcにおける成分Aの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのエポキシ基のモル数を1モルとしたときの、成分B1の鉄(III)アセチルアセトナートのモル数、すなわち、成分Aのエポキシ基のモル数に対する成分B1のモル数の比(モル比)mFは0.0032であり、成分B2のアルミニウム(III)アセチルアセトナートのモル比mAは0.0032である。
レンズサンプルE1の製造
レンズ基材2としてSLU(セイコールーシャス、セイコーオプティカルプロダクツ株式会社製、屈折率1.60、「ルーシャス」は日本登録商標)を用意した。この上に固形分7%のポリウレタン系樹脂(第一工業製薬製、製品名「SF410」)溶液をスピンコート法によりレンズ基材2の両面2aおよび2bに塗布した。得られた塗膜を80℃で20分乾燥することで、膜厚500nmのプライマー層3を形成した。
両面2aおよび2bの、得られたプライマー層3の上に超音波スプレーコーティングシステム(SONO−TEK社製、製品名「EXACTACOAT」)を用い、上記において調製したコーティング組成物Hcを塗布した。得られた塗膜を125℃で5時間焼成することで、膜厚10μmのハードコート層10を形成した。本発明において、焼成時の温度とは、焼成を行う雰囲気温度をいうものとする。
両面2aおよび2bに、ハードコート層10に重ねて無機の反射防止層5を真空蒸着装置により成膜した。反射防止層5は第1層としてSiOを199.00nm、第2層としてZrOを32.32nm、第3層としてSiOを20.26nm、第4層としてZrOを48.10nm、第5層としてITOを6.00nm、第6層としてSiOを98.00nmの厚さで形成した。
反射防止層5を形成後、共通の蒸着装置に連結された別の真空チャンバーにおいて防汚層6を形成した。
まず、下記式(12)で示されるフッ素含有有機ケイ素化合物(信越化学工業株式会社製 KY−130)を、フッ素系溶剤(住友スリーエム株式会社製:ノベックHFE−7200、「NOVEC」は日本登録商標)に希釈して固形分濃度3質量%溶液を調製し、これを多孔質セラミックス製のペレットに1g含浸させ乾燥させたものを蒸着源とした。
(式中、Rfは、式:−(C2k)O−(前記式中、kは1〜6の整数である)で示される単位を含み、分岐を有しない直鎖状のパーフルオロポリアルキレンエーテル構造を有する2価の基である。Rは炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、Xは加水分解性基またはハロゲン原子である。pは0、1、2のいずれかである。nは1〜5の範囲の整数である。mおよびrは2または3である。)
上記蒸着源をチャンバーにセットした。次に、ハロゲンランプを加熱ヒータとして使用し、蒸着源のペレットを600℃に加熱して、フッ素含有有機ケイ素化合物を蒸発させた。蒸着時間を3分として、反射防止層5の表面に防汚層6を形成した。
一方の面に防汚層の形成後、レンズサンプル1をチャンバーから取り出し、レンズサンプルを反転して、再び上記と同様の処理を行い、レンズ基材2の両面2aおよび2bに反射防止層5および防汚層6を形成した。
(実施例2)
成分B2のアルミニウム(III)アセチルアセトナートを0.399質量部(モル比mAが0.0063)とし、それ以外は実施例1と同様にコーティング組成物Hcを調製した。したがって、実施例2のコーティング組成物Hcの成分B1のモル比mFと成分B2のモル比mAは以下の通りである。
mF:0.0032
mA:0.0063
上記で調製されたコーティング組成物Hcを用いた以外は実施例1と同様にレンズサンプルE2を製造した。
(実施例3)
成分B2のアルミニウム(III)アセチルアセトナートを0.599質量部(モル比mAが0.0095)とし、それ以外は実施例1と同様にコーティング組成物Hcを調製した。したがって、実施例3のコーティング組成物Hcの成分B1のモル比mFと成分B2のモル比mAは以下の通りである。
mF:0.0032
mA:0.0095
上記で調製されたコーティング組成物Hcを用いた以外は実施例1と同様にレンズサンプルE3を製造した。
(実施例4)
成分B2のアルミニウム(III)アセチルアセトナートを0.799質量部(モル比mAが0.0126)とし、それ以外は実施例1と同様にコーティング組成物Hcを調製した。したがって、実施例4のコーティング組成物Hcの成分B1のモル比mFと成分B2のモル比mAは以下の通りである。
mF:0.0032
mA:0.0126
上記で調製されたコーティング組成物Hcを用いた以外は実施例1と同様にレンズサンプルE4を製造した。
(実施例5)
成分B2のアルミニウム(III)アセチルアセトナートを0.998質量部(モル比mAが0.0158)とし、それ以外は実施例1と同様にコーティング組成物Hcを調製した。したがって、実施例5のコーティング組成物Hcの成分B1のモル比mFと成分B2のモル比mAは以下の通りである。
mF:0.0032
mA:0.0158
上記で調製されたコーティング組成物Hcを用いた以外は実施例1と同様にレンズサンプルE5を製造した。
(実施例6)
成分B2のアルミニウム(III)アセチルアセトナートを1.198質量部(モル比mAが0.0189)とし、それ以外は実施例1と同様にコーティング組成物Hcを調製した。したがって、実施例6のコーティング組成物Hcの成分B1のモル比mFと成分B2のモル比mAは以下の通りである。
mF:0.0032
mA:0.0189
上記で調製されたコーティング組成物Hcを用いた以外は実施例1と同様にレンズサンプルE6を製造した。
(実施例7)
成分B2のアルミニウム(III)アセチルアセトナートを1.398質量部(モル比mAが0.0221)とし、それ以外は実施例1と同様にコーティング組成物Hcを調製した。したがって、実施例7のコーティング組成物Hcの成分B1のモル比mFと成分B2のモル比mAは以下の通りである。
mF:0.0032
mA:0.0221
上記で調製されたコーティング組成物Hcを用いた以外は実施例1と同様にレンズサンプルE7を製造した。
(実施例8)
成分B1の鉄(III)アセチルアセトナートを0.065質量部(モル比mFが0.0009)と、成分B2のアルミニウム(III)アセチルアセトナートを0.799質量部(モル比mAが0.0126)とし、それ以外は実施例1と同様にコーティング組成物Hcを調製した。したがって、実施例8のコーティング組成物Hcの成分B1のモル比mFと成分B2のモル比mAは以下の通りである。
mF:0.0009
mA:0.0126
上記で調製されたコーティング組成物Hcを用いた以外は実施例1と同様にレンズサンプルE8を製造した。
(実施例9)
成分B1の鉄(III)アセチルアセトナートを0.109質量部(モル比mFが0.0016)と、成分B2のアルミニウム(III)アセチルアセトナートを0.799質量部(モル比mAが0.0126)とし、それ以外は実施例1と同様にコーティング組成物Hcを調製した。したがって、実施例9のコーティング組成物Hcの成分B1のモル比mFと成分B2のモル比mAは以下の通りである。
mF:0.0016
mA:0.0126
上記で調製されたコーティング組成物Hcを用いた以外は実施例1と同様にレンズサンプルE9を製造した。
(実施例10)
成分B1の鉄(III)アセチルアセトナートを0.152質量部(モル比mFが0.0022)と、成分B2のアルミニウム(III)アセチルアセトナートを0.799質量部(モル比mAが0.0126)とし、それ以外は実施例1と同様にコーティング組成物Hcを調製した。したがって、実施例10のコーティング組成物Hcの成分B1のモル比mFと成分B2のモル比mAは以下の通りである。
mF:0.0022
mA:0.0126
上記で調製されたコーティング組成物Hcを用いた以外は実施例1と同様にレンズサンプルE10を製造した。
(比較例1)
成分B2のアルミニウム(III)アセチルアセトナートを加えず、それ以外は実施例1と同様にコーティング組成物Hcを調製した。したがって、比較例1のコーティング組成物Hcの成分B1のモル比mFと成分B2のモル比mAは以下の通りである。
mF:0.0032
mA:0.0000
上記で調製されたコーティング組成物Hcを用いた以外は実施例1と同様にレンズサンプルR1を製造した。
(比較例2)
成分B2のアルミニウム(III)アセチルアセトナートを1.997質量部(モル比mAが0.0316)とし、それ以外は実施例1と同様にコーティング組成物Hcを調製した。したがって、比較例2のコーティング組成物Hcの成分B1のモル比mFと成分B2のモル比mAは以下の通りである。
mF:0.0032
mA:0.0316
上記で調製されたコーティング組成物Hcを用いた以外は実施例1と同様にレンズサンプルR2を製造した。
(比較例3)
成分B1の鉄(III)アセチルアセトナートを加えず、成分B2のアルミニウム(III)アセチルアセトナートを0.799質量部(モル比mAが0.0126)とし、それ以外は実施例1と同様にコーティング組成物Hcを調製した。したがって、比較例3のコーティング組成物Hcの成分B1のモル比mFと成分B2のモル比mAは以下の通りである。
mF:0.0000
mA:0.0126
上記で調製されたコーティング組成物Hcを用いた以外は実施例1と同様にレンズサンプルR3を製造した。
評価
以上の実施例1〜10および比較例1〜3で得られたレンズサンプルの耐擦傷性および黄着色について評価した。耐擦傷性はSW試験(スチールウール試験)およびベイヤー試験(Bayer試験)の2種類で評価した。
スチールウール(SW)耐擦傷性試験
スチールウール(日本スチールウール製♯0000番)を用いて1kgの荷重をかけた状態で、それぞれのレンズの表面を10往復摩擦した。評価はランク見本サンプル(10段階)を確認しながら、目視でどの段階に近いかを判断した。値が大きい方が、耐擦傷性が良好であることを示す。評価基準は以下の通りである。
良 「◎」:値が5.2以上
可 「○」:値が3.5以上5.2未満
不可「×」:値が3.5未満
ベイヤー耐擦傷性試験
カルツラボラトリ(COLTS Labratories)社製のベイヤー試験機(BTE Abration Tester)を用いてレンズの面の擦傷の受けやすさを測定した。試験機に、上記にて作製したレンズサンプルと参照レンズCR39(株式会社サンルックス製、光学度数が0ディオプトリで未被覆(コーティングをしていない)のアリルジグリコールカーボネート製)とをセットして、ベイヤーメディア(研磨剤、カルツラボラトリ社製、50ポンドベイヤーメディア)500gを投入した。150回/分の速度で600回揺動させた後、レンズサンプルおよび参照レンズCR39を取り出し、ヘーズ値を測定した。ヘーズ値の測定には、自動ヘーズコンピューター(スガ試験機株式会社製)を用いた。ヘーズ値を測定後、次の計算式により、ベイヤー試験の値(ベイヤー比、Bayer Ratio)Rを算出した。
R=|HCR0−HCR1|/|HS0−HS1
ここで、HCR0は試験前の参照レンズCR39のヘーズ値、HCR1は試験後の参照レンズCR39のヘーズ値、HS0は試験前のレンズサンプルのヘーズ値、HS1は試験後のレンズサンプルのヘーズ値である。評価基準は以下の通りである。なお、ベイヤー試験の値は7程度あれば眼鏡レンズとして実用上、良好に使用することができる。本評価では、より優れた耐擦傷性を得るため、厳しい評価基準に基づき評価を行った。
良 「◎」:ベイヤー試験の値(ベイヤー比)Rが39以上
可 「○」:Rが30以上39未満
不可「×」:30未満
黄着色の評価
高速積分球式分光透過率測定器(株式会社村上色彩技術研究所製、製品名「Dot3」)を用い、日本工業規格「JIS K7373(プラスチック 黄色度及び黄変度の求め方)」に従って各レンズサンプルの黄色度(YI値)を求めた。YI値は、レンズ基材などにより変わる可能性があり相対評価となるが、上記の実施例および比較例ではハードコート層10を形成するコーティング組成物Hcのみを変更したレンズサンプルを用いることにより、コーティング組成物Hcの影響を確認した。
具体的には、高速積分球式分光透過率測定器により得られる三刺激値の中の補助イルミナントCを使用し、XYZ表色系を用いて、次の式によりYI値を算出した。
YI=100×(1.2769×X−1.0592×Z)/Y
YI値が大きいほど黄着色が抑制されていることを示す。評価基準は以下の通りである。
良 「◎」:YI値が4.2未満
可 「○」:YI値が4.2以上4.5未満
不可「×」:YI値が4.5以上
〔評価結果〕
図2に、実施例1〜10および比較例1〜3の各レンズサンプルについて行った、スチールウール試験、ベイヤー試験、黄着色の評価結果をまとめて示している。また、図2には、それぞれのレンズサンプルに用いたコーティング組成物Hcに含まれる成分B1の鉄アセチルアセトナートのモル比mF、成分B2のアルミニウムアセチルアセトナートのモル比mA、モル比mFおよびモル比mAの比(mF/mA)、モル比mFおよびモル比mAの合計(mF+mA)、耐擦傷性の総合評価、耐擦傷性および黄着色に関する総合評価の結果を含めている。総合評価は以下の通りである。
良 「◎」:各試験の評価が全て良
可 「○」:各試験の評価に可が含まれ、不可が含まれない
不可「×」:各試験の評価に不可が含まれる
図3にスチールウール試験の評価を比(mF/mA)および合計(mF+mA)に対して示している。図4にベイヤー試験の評価を比(mF/mA)および合計(mF+mA)に対して示している。図5に耐擦傷性の総合評価を比(mF/mA)および合計(mF+mA)に対して示している。また、図6に黄着色の評価を比(mF/mA)および合計(mF+mA)に対して示している。図7に総合評価を比(mF/mA)および合計(mF+mA)に対して示している。
比較例R1およびR3の擦傷性の評価より、コーティング組成物Hcを調製する際の成分Bとして成分B1の鉄アセチルアセトナートと成分B2のアルミニウムアセチルアセトナートとの両方を含む触媒を用いることにより耐擦傷性の高いレンズを製造できることが分かった。特に、成分B1のモル比mFは成分B2のモル比mA以下であることが耐擦傷性の高いレンズを製造するために望ましいことが分かった。したがって、成分B1の鉄アセチルアセトナートのモル比mFと、成分B2のアルミニウムアセチルアセトナートのモル比mAとは以下の式(1)の条件を満足することが望ましいことが分かった。
0.000<mF/mA≦1.000 ・・・(1)
(1)の条件を満足するコーティング組成物Hcを使用することにより、表面の耐擦傷性が、ベイヤー試験の値(ベイヤー比)で30以上、さらに具体的には35以上という高い性能を備えたレンズサンプルが得られることが分かった。
比較例R2の黄着色の評価より、コーティング組成物Hcを調製する際の成分Bとして成分B1の鉄アセチルアセトナートと成分B2のアルミニウムアセチルアセトナートとの和がエポキシ基のモル量1に対して0.0253以下であれば、耐擦傷性を犠牲にしないでレンズの黄着色を低減できることがわかった。したがって、成分B1の鉄アセチルアセトナートのモル比mFと、成分B2のアルミニウムアセチルアセトナートのモル比mAとは以下の式(2)の条件をさらに満足することが望ましいことが分かった。式(2)の下限以上でることにより、十分を得ることができる。
0.0064≦(mF+mA)≦0.0253 ・・・(2)
上記条件に加えて、成分B1の鉄アセチルアセトナートのモル比mFと、成分B2のアルミニウムアセチルアセトナートのモル比mAとにそれぞれ着目すると、図2より、コーティング組成物Hcを調製する際の成分Bとして成分B1のモル比Fmと成分B2のモル比mAとがそれぞれ以下の式(3)および(4)の条件を満足するものであれば、耐擦傷性が高く、黄着色の少ないレンズを製造することができることが分かった。
0.0009≦mF≦0.0032 ・・・(3)
0.0032≦mA≦0.0221 ・・・(4)
また、黄着色の評価に着目すると、コーティング組成物Hcを調製する際の成分Bとして成分B1のモル比Fmと成分B2のモル比mAとが以下の式(5)の条件を満足するものであれば、YI値が4.1以下という、着色の少ないレンズサンプルを提供できることが分かった。
0.0064≦(mF+mA)≦0.0190 ・・・(5)
一方、ベイヤー試験の値に着目すると、コーティング組成物Hcを調製する際の成分Bとして成分B1のモル比Fmと成分B2のモル比mAとが以下の式(6´)の条件を満足するものであれば、ベイヤー試験の値が39以上という高い耐擦傷性能を備えたレンズサンプルを提供できることが分かった。
0.1270≦mF/mA≦1.0000 ・・・(6´)
耐擦傷性の総合評価に着目すると、コーティング組成物Hcを調製する際のcとして成分B1のモル比Fmと成分B2のモル比mAとが以下の式(6)の条件を満足するものであれば、ベイヤー試験の値が39以上で、スチールウール試験の値も5.2以上という極めて高い耐擦傷性能を備えたレンズサンプルを提供できることが分かった。
0.1448≦mF/mA≦0.3368 ・・・(6)
したがって、コーティング組成物Hcを調製する際の成分Bとして成分B1のモル比Fmと成分B2のモル比mAとが以下の式(7)の条件を満足するものであれば、ベイヤー試験の値が39以上で、スチールウール試験の値も5.2以上という極めて高い耐擦傷性能を備え、YI値が4.2以下という、着色の少ないレンズサンプルを提供できることが分かった。
0.1746≦mF/mA≦0.3368 ・・・(7)
上記のような結果が得られる要因の1つは、成分Bである成分B1のモル比Fmと成分B2のモル比mAが、上記mF/mAの範囲であることによって、反応性の高い成分B2のアルミニウムアセチルアセトナートと反応性が低い成分B1の鉄アセチルアセトナートの両方をエポキシ基の開環反応に関与させることが可能になるためと推察される。これにより成分Bによるエポキシ基含有化合物およびその加水分解物の重合が促進され、緻密性の高いハードコート層10を形成することができるので、耐擦傷性が向上すると考えられる。一方、成分B2のアルミニウムアセチルアセトナートの添加量が多過ぎると、成分B1の鉄アセチルアセトナートが反応しないで膜中に取り込まれるとともに、反応に関与しないアルミニウムアセチルアセトナートも膜中に取り込まれると想定される。このため、緻密性が低下して耐擦傷性が低下するとともに、黄着色が目立つ結果となるものと推察される。
なお、上記で示した実施例は一例であり、プライマー層3およびハードコート層10は、スピンコート法、ディッピング法、スプレーコート法、ロールコート法、またはフローコート法等の各種方法により製造できる。また、上記焼成時間および温度は一例である。ハードコート層の焼成は、100℃〜150℃の範囲の温度で数時間(例えば1〜5時間)、加熱乾燥することにより行うことが望ましい。
本発明の一態様にかかるコーティング組成物から形成される塗膜の厚さは、例えば5μm以上であり、または例えば5μm超である。また、塗膜の厚さは、例えば20μm以下である。
塗膜が厚くなるほど塗膜の存在に起因する光学物品の着色が発生しやすくなる傾向がある。これに対し本発明の一態様によれば、例えば上記範囲の比較的厚い塗膜を有する光学物品であって着色の少ない光学物品を提供することができる。
コーティング組成物Hcは、眼鏡レンズ、カメラレンズ、光ビーム集光レンズ、液晶ディスプレー等の各種光学物品の表面に塗布することが可能であり、変色を抑制しながら耐擦傷性を向上することができる。本発明の一態様にかかるコーティング組成物は、眼鏡レンズ用コーティング組成物として用いることが好ましい。また、本発明の一態様にかかる光学物品は、眼鏡レンズであることが好ましい。
1 眼鏡レンズ、 2 レンズ基材、 10 ハードコート層

Claims (9)

  1. エポキシ基含有化合物と、
    鉄を中心金属とするアセチルアセトナートと、
    アルミニウムを中心金属とするアセチルアセトナートと、を含み、
    前記エポキシ基含有化合物に含まれるエポキシ基のモル数に対する前記鉄を中心金属とするアセチルアセトナートのモル数の比mFおよび前記エポキシ基含有化合物に含まれるエポキシ基のモル数に対する前記アルミニウムを中心金属とするアセチルアセトナートのモル数の比mAが以下の条件を満たす、コーティング組成物。
    0.000<mF/mA≦1.000
    0.0064≦(mF+mA)≦0.0253
  2. 眼鏡レンズ用コーティング組成物である、請求項1に記載のコーティング組成物。
  3. 前記比mFおよび前記比mAが以下の条件を満たす、請求項1または2に記載のコーティング組成物。
    0.0009≦mF≦0.0032
    0.0032≦mA≦0.0221
  4. 前記比mFおよび前記比mAが以下の条件を満たす、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
    0.0064≦(mF+mA)≦0.0190
  5. 前記比mFおよび前記比mAが以下の条件を満たす、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
    0.1448≦mF/mA≦0.3368
  6. 前記比mFおよび前記比mAが以下の条件を満たす、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
    0.1746≦mF/mA≦0.3368
  7. 前記エポキシ含有化合物はエポキシ基含有有機ケイ素化合物を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーティング組成物を光学基材に直接、または他の層を介して塗布することと、
    前記コーティング組成物が塗布された前記光学基材を100℃〜150℃の範囲の温度で焼成することと、を含む、光学物品の製造方法。
  9. 前記光学物品は眼鏡レンズである、請求項8に記載の光学物品の製造方法。
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