JPWO2014118828A1 - フラットディスプレイ用透明粘着材、これを用いたフラットディスプレイ及びフラットディスプレイの製造方法 - Google Patents

フラットディスプレイ用透明粘着材、これを用いたフラットディスプレイ及びフラットディスプレイの製造方法 Download PDF

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Abstract

フラットディスプレイ用透明粘着材において、溶剤溶解性を有するエラストマーを含んでおり、界面剥離性を有していることを特徴とする。

Description

本発明は、フラットディスプレイ用透明粘着材、フラットディスプレイ及びフラットディスプレイの製造方法に関するものであり、詳しくは、タッチパネルや3D(三次元)表示用素子等の透明基板を表示モジュールに密着した状態で一体化させるために用いられるフラットディスプレイ用透明粘着材、そのフラットディスプレイ用透明粘着材を用いて組み立てられたフラットディスプレイ及びそのフラットディスプレイ用透明粘着材を用いてフラットディスプレイを製造する製造方法に関するものである。
一般に、スマートフォンやタブレット端末等は、液晶表示装置等で構成されたフラットディスプレイを有している。フラットディスプレイは、表示モジュールの他に、表示モジュールの保護を目的として設けられるガラス、ポリカーボネート又はアクリル等の素材からなる保護板や、入力操作用のタッチパネル等の前面板(透明基板)を設けることがある。
通常、透明基板は表示モジュールと一定の間隔をあけた状態で設置されるため、透明基板と表示モジュールとの間には空気層が形成される。しかしながら、透明基板と空気層との界面、及び表示モジュールと空気層との界面においては光の屈折率が大きく異なるため、反射率が高くなる。このため、フラットディスプレイの画像が暗くなる、或いは景色や室内照明等の外光がフラットディスプレイに映り込んでしまい、画質が劣化するといった不具合が生じてしまう。
このような不具合を解消すべく、透明基板と表示モジュールとの間に透明な両面接着性フィルムを介在させて空気層をなくし、屈折率差の大きい界面が生じないようにしてフラットディスプレイの画質を向上させる技術が知られている。そして、これらの技術において用いられる透明接着性フィルムの構成材料としては、透明性と接着力の観点からアクリル系粘着材が有用であることが知られている。
また、アクリル系粘着材以外にも、フラットディスプレイに用いることのできる粘着材が例えば特許文献1、2に開示されている。
特許文献1では、光学部材との界面の光の全反射を少なくするための屈折率の調整が容易で、かつ、粘着特性(接着力、保持力等)および耐久性を満足する組成物として、スチレン系ブロックエラストマー100重量部に対し、芳香族環またはその水添物を有するタッキファイア40〜250重量部、およびシランカップリング剤0.01〜2重量部を配合した光学部材用粘着組成物が記載されており、上記タッキファイアの屈折率を1.53〜1.75に設定している。この特許文献1では、スチレン系ブロックエラストマーが使用されているが、シランカップリング剤と屈折率1.53〜1.75のタッキファイアが必須成分となっている。また、この特許文献1では、粘着材の屈折率を調整することが目的となっている。
また、特許文献2のフラットディスプレイ用透明粘着フィルムは、粘着初期段階においては剥離ができ、その後の段階においては十分な接着力を示すものとして、示差走査熱量測定により測定される融点(Tm)が65℃未満であるか、または示差走査熱量測定により融解ピークが実質的に観測されないポリオレフィン系エラストマーを含み、25℃における引張弾性率E(25)が1〜100MPaであり、スライドガラスに貼り付けて23℃、24時間経過後の剥離強度が0.01〜5N/25mmに設定された粘着材である。この特許文献2の記載内容によれば、オレフィン系エラストマーを合成し、結晶性ポリオレフィンと共に溶融・混練・押出しして粘着フィルムを形成するようにしている。
特開2007−23225号公報 特開2012−116157号公報
ところで、近年、フラットディスプレイ(表示モジュール)の高精細化、高画質化及び高機能化に伴い、タッチパネルや表示用素子等の透明基板に採用される技術もより高度化している。
このため、高機能が付与された表示モジュール及び透明基板の部材価格も高まっている。従って、フラットディスプレイの出荷時の品質検査においてピックアップされた不良品は、直ちに廃棄されるのではなく、分解及び補修して再度出荷されることが多い。
出荷前にピックアップされた不良品のフラットディスプレイを分解するには、上述した複数の構成部材を個々に分離させる必要があるが、その際、従来のアクリル系粘着材からなる透明接着性フィルムを用いた場合は、接着力が高いとともにゲル状であるため、構成部材が破損しないように分離させることが極めて困難であった。
また、分離後においても、構成部材の表面に強固にこびりついた接着層を除去するのは困難であり、多大な労力が必要とされていた。
また、特許文献2のように粘着初期段階においては剥離ができるものが知られているが、品質検査でピックアップされた場合に容易に剥離するのは困難であると考えられる。
また、特許文献2では、エラストマーを成分として含んでいるが、特許文献2のエラストマーは溶剤に対する溶解性が低い。このため、溶剤に溶解した状態で塗布して乾燥させてフィルムを得ることができない。これは、高い精度のフィルムを製作することが困難であるということである。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、容易に、かつ、任意の厚みを有する粘着フィルムを高精度に得られるようにし、しかも、フラットディスプレイの製造後に部材を破損することなく、かつ、粘着材が部材に残ることなく剥離可能にすることにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、溶剤溶解性を有するエラストマーを含む粘着材とし、さらに、接着した後に界面剥離性を発揮するようにした。
第1の発明は、フラットディスプレイ用透明粘着材において、
溶剤溶解性を有するエラストマーを含んでおり、
界面剥離性を有していることを特徴とするものである。
この構成によれば、溶剤溶解性を有するエラストマーを含んでいるので、溶剤に溶解させた状態で塗布して乾燥させることで、容易に、かつ、任意の厚みを有する粘着フィルムを高精度に得ることが可能になる。
また、界面剥離性を有しているので、フラットディスプレイの製造後に品質検査で不良品としてピックアップされた場合に、表示モジュールや透明基板を破損することなく、かつ、粘着材がそれら部材に残ることなく剥離することが可能である。
第2の発明は、第1の発明において、
スチレン系エラストマーと、二重結合が水素化されているタッキファイアとを成分として含有していることを特徴とする。
この構成によれば、耐候性がよくなり、経時による劣化や着色を抑制することが可能になる。
第3の発明は、第2の発明において、
スチレン系エラストマーは、SBS(ポリスチレン−ポリ(ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリ(イソプレン)ブロック−ポリスチレン)、SIBS(ポリスチレン−ポリ(イソプレン・ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SEP(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック)、SEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SEEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)のうちの少なくとも1種を含むものであり、
タッキファイアは、二重結合が水素化されているテルペン系、テルペンフェノール系、ロジンフェノール系、芳香族系のうちの少なくとも1種を含むものであることを特徴とする。
この構成によれば、エラストマーが透明性と耐候性に優れる。特に、SEP、SEPS、SEBS、SEEPSは二重結合が水素化されているので、特に耐候性に優れる。
また、二重結合が水素化されているタッキファイアを成分として含んでいるので、スチレン系のエラストマーと相溶性が非常に良い。また、透明性が高く、しかも、粘着性が出現しやすく十分な接着力を得ることができ、さらに、接着対象となる部材の形状に対する追随性にも優れる。
第4の発明は、第2または3の発明において、
スチレン系エラストマー100重量部に対して、タッキファイアが40重量部から100重量部であることを特徴とするものである。
この構成によれば、タッキファイアの量をスチレン系エラストマーの量に対して少なくすることができるので、タッキファイアの量が100重量部を越える場合に比べてエラストマーの性能が十分に発揮されるフラットディスプレイ用透明粘着材とすることができる。これにより、ゴム弾性の高い粘着層が得られ、フラットディスプレイ用透明粘着材を部材から剥離した場合に部材に粘着材が残りにくくなる。
第5の発明は、第1から3のいずれか1つの発明において、
上記粘着材がダンベル状3号形で厚み100μmに形成されたときの引っ張り強度が5MPa以上で、伸びが800%以上であることを特徴とするものである。
この構成によれば、本発明に係るフラットディスプレイ用透明粘着材を用いて一旦接着した部材を剥離する場合に、フラットディスプレイ用透明粘着材が高い引っ張り強度及び伸び率を有しているので、剥離途中で粘着材が破断することはなく、最後まできれいに剥離することが可能になる。
第6の発明は、第1から5のいずれか1つの発明に係るフラットディスプレイ用透明粘着材を用いて製造されたことを特徴とするフラットディスプレイである。
第7の発明は、フラットディスプレイの製造方法において、
表示モジュールと透明基板とを用意し、該表示モジュールと該透明基板との間に第1から5のいずれか1つの発明に係るフラットディスプレイ用透明粘着材を介在させて該表示モジュールと該透明基板とを一体化することを特徴とするフラットディスプレイの製造方法である。
第8の発明は、第7の発明において、
上記表示モジュールと上記透明基板とを50℃以上120℃以下の温度範囲に加熱した状態で一体化することを特徴とするものである。
この構成によれば、フラットディスプレイ用透明粘着材が加熱されて軟化して部材の形状に追従するように変形するので、接着力が高く、かつ、気泡の巻き込みがなく美しい、しかも、信頼性の高いフラットディスプレイを得ることが可能になる。
本発明によれば、溶剤溶解性を有するエラストマーを含んでいるので、容易に、かつ、任意の厚みを有する粘着フィルムを高精度に得ることができる。また、界面剥離性を有しているので、フラットディスプレイの製造後に部材を破損することなく、かつ、粘着材が部材に残ることなく剥離することができる。
また、成分中の二重結合が水素化されている場合には、耐候性がよくなり、経時による劣化や着色を抑制することができる。
また、SEP、SEPS、SEBS、SEEPSを用いることで耐候性に優れた粘着材とすることができる。
また、二重結合が水素化されているタッキファイアを成分として含めることで、スチレン系のエラストマーと相溶性が非常に良くなり、また、透明性が高く、しかも、粘着性が出現しやすく十分な接着力を得ることができ、さらに、部材の形状に対する追随性にも優れるので、強力な接着力を得ることができる。
また、タッキファイアの量を少なくしてエラストマーの性能を十分に発揮できるので、ゴム弾性の高い粘着層を得ることができる。これにより、粘着材を部材から剥離した場合に部材に粘着材が残りにくくなるので、より一層剥離し易くなる。
また、粘着材が高い引っ張り強度及び伸び率を有しているので、剥離途中で粘着材が破断することはなく、最後まできれいに剥離することができる。
また、フラットディスプレイの製造時に50℃以上120℃以下の温度範囲で部材を一体化することで、粘着材が軟化して部材の形状に追従するように変形する。これにより、接着力が高く、かつ、美しく、信頼性の高いフラットディスプレイを得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
本発明の実施形態に係るフラットディスプレイ用透明粘着材は、フラットディスプレイ及びそのフラットディスプレイの製造方法に用いることができるものであり、透明なフィルム状に形成されている。具体的には、フラットディスプレイ用透明粘着材は、フラットディスプレイが有する表示モジュールと、透明基板との間に介在させてこれら表示モジュール及び透明基板を接着して一体化するためのものである。表示モジュールとしては、液晶ディスプレイの場合には液晶表示モジュールである。透明基板としては、表示モジュールの保護を目的として設けられるガラス、ポリカーボネート又はアクリル等の素材からなる保護板や、入力操作用のタッチパネル等の前面板等である。
尚、フラットディスプレイは、例えばスマートフォンやタブレット端末等の画面を構成するものである。
フラットディスプレイ用透明粘着材は、溶剤溶解性を有するエラストマー(ゴム弾性素材)と、タッキファイア(粘着性付与樹脂)とを少なくとも含んでおり、界面剥離性を有している。界面剥離性とは、フラットディスプレイ用透明粘着材を接着対象となる部材に貼り付けた際に、フラットディスプレイ用透明粘着材の一部を掴んでその部材から剥離させる剥離挙動において、フラットディスプレイ用透明粘着材が凝集破壊を起こすことなく、部材の表面から分離する挙動を示す性質である。この性質を持っているので、例えば、第1部材と第2部材との間にフラットディスプレイ用透明粘着材を介在させて第1部材と第2部材とを接着し、その後、第1部材を第2部材から剥離しようと力を加えた際、フラットディスプレイ用透明粘着材が例えば第1部材にのみくっついたまま残り、第2部材には残らない。そして、第1部材に残ったフラットディスプレイ用透明粘着材を摘んで剥離すると、フラットディスプレイ用透明粘着材が第1部材に残ることはない。
フラットディスプレイ用透明粘着材が含んでいるスチレン系のエラストマーとしては、SBS(ポリスチレン−ポリ(ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリ(イソプレン)ブロック−ポリスチレン)、SIBS(ポリスチレン−ポリ(イソプレン・ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SEP(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック)、SEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SEEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)のうちの1種、またはこれらの複数種を混合したものを使用することができる。
フラットディスプレイ用透明粘着材の耐候性を重視する場合には、SEP、SEPS、SEBS、SEEPSが好ましい。SBS、SIS、SIBSを使用する場合には、耐候性や酸化防止性を向上させるために、フェノール系、ホスファイト系、イオウ系、リン系、ヒンダードアミン系等の老化防止剤や酸化防止剤を単独又は混合して配合するのが好ましい。
フラットディスプレイ用透明粘着材が含んでいるタッキファイアとしては、二重結合が水素化されているテルペン系、テルペンフェノール系、ロジンフェノール系、芳香族系のタッキファイアのなかから1種、またはこれらの複数種を混合したものを使用することができる。
さらに、フラットディスプレイ用透明粘着材のエラストマーとタッキファイアとの相容性に問題がない場合は、二重結合を持たないスチレン、スチレンオリゴマー、αメチルスチレン、スチレンとαメチルスチレンの共重合体、ビニルトルエンとαメチルスチレンの共重合体等も使用することができる。
フラットディスプレイ用透明粘着材のスチレン系エラストマー100重量部に対して、タッキファイアの添加量は40重量部から100重量部が好ましい。さらに好ましいタッキファイアの添加量は、50重量部から90重量部である。タッキファイアが40重量部より少ない場合、粘着性がほとんど発現せず部材と接着させることが困難になる。逆にタッキファイアが100重量部より多い場合は、エラストマーの弾性が失われ、また、部材の接着後に剥離しようとした際、フラットディスプレイ用透明粘着材が凝集破壊の状態になり、部材にフラットディスプレイ用透明粘着材が残って好ましくない。
フラットディスプレイ用透明粘着材をフィルム状に成形した後、そのフィルムをダンベル状3号形に加工し、かつ、その厚さを100μmとしたときに、その引っ張り強度は5MPa以上であり、伸びは800%以上である。引っ張り強度は10MPa以上がより好ましく、伸びは1000%以上がより好ましい。引っ張り強度や伸びは、エラストマー及びタッキファイアの種類や配合量等を変更することによって調整できる。
上記引っ張り強度が5MPaよりも低い場合は、フラットディスプレイ用透明粘着材を部材から剥離するときにフラットディスプレイ用透明粘着材が剥離途中で破断してしまい好ましくない。また、伸びが800%よりも低い場合は、弾性が高すぎて粘着性の発現がなく、フラットディスプレイ用透明粘着材として好ましくない。
尚、この時の試験方法は、JIS K 6251に準拠してダンベル状3号形の試験片を、温度20℃において引っ張り速度500mm/分で引っ張った時の強度と伸びを測定する。
フラットディスプレイ用透明粘着材の厚みは、部材同士の間隙(表示モジュールと透明基板との隙間)の応じて任意に選択することができるが、一般に5μmから600μmの範囲が好ましい。フラットディスプレイ用透明粘着材の厚みが5μmよりも薄いと接着力が低くなり、フラットディスプレイ用透明粘着材としての機能が低下する。逆に600μmよりも厚いと、フラットディスプレイの厚さが増してサイズが大きくなり好ましくなく、また、フィルム基材を使用してフィルム基材の両面にフラットディスプレイ用透明粘着材を塗布して設ける場合に製造が困難になる。
フラットディスプレイ用透明粘着材は、次のようにして製造することができる。まず、粘着剤溶液を調整する。すなわち、有機溶剤に、上記エラストマーと上記タッキファイアを加えて攪拌し、溶解させる。
有機溶剤としては、上記エラストマーと上記タッキファイアが溶解して相容するものであればよいので、特に種類は限定されないが、一般的にはトルエン、キシレン、酢酸エチル、ヘキサン、シクロヘキサン等を単独もしくは混合して使用することができる。
粘着剤溶液における粘着剤固形分濃度は、20重量%から50重量%の範囲内にあるのが好ましく、得ようとするフラットディスプレイ用透明粘着材の厚みと塗工機とのバランスで調整すればよい。
粘着剤溶液における粘着剤固形分濃度が20重量%よりも低いと、乾燥させる際のエネルギー効率が悪くなり、逆に50重量%よりも高いと粘着剤溶液の粘度が高すぎて濾過が困難であったり、気泡を巻込んだり、塗工機での塗布が困難になるので、濃度が高すぎても低すぎても好ましくない。
フラットディスプレイ用透明粘着材の機能を更に向上する目的で、相容化剤、紫外線吸収剤、難燃剤、レベリング剤、透明有機/無機フィラー等を添加することができる。
フラットディスプレイ用透明粘着材は、それのみの単層でも、また複数枚をラミネートしたラミネート構造のものでも、また、透明なフィルム基材をフラットディスプレイ用透明粘着材で両面から挟むようにして該フィルム基材の両面をコーティングした積層構造としてもよい。
ラミネート構造のものや積層構造の場合は、ラミネートした粘着組成物同士の組成は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、基材を両面コーティングした場合には、両方の組成は同一であってもよいし、異なってもいてもよい。
上記基材としては透明なフィルムであればよく、市販のPET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PMMA(アクリル樹脂)、PC(ポリカーボネート)、TAC(トリアセテート)等を使用することができる。
次いで、上記のようにして得られた粘着剤溶液を塗工する。塗工は、一般のリバースコーター、リップコーター、ロールコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、コンマコーター、ダイコーターを使用できる。
フラットディスプレイ用透明粘着材の厚みを80μm以下とする場合には、コンマコーターで十分であるが、80μmよりも厚くする場合にはダイコーターが有効である。
ラミネート構造のフラットディスプレイ用透明粘着材を得る場合は、セパレーターフィルムに塗布した粘着材同士をラミネートすればよい。また、多層構造の場合は、粘着剤溶液をセパレーターに塗布してフィルム基材にラミネートするか、フィルム基材に直接塗布して製造することができる。
上記のようにして得られたフラットディスプレイ用透明粘着材を用いてフラットディスプレイを製造する場合について説明する。表示モジュール及び透明基板を用意し、これらの間にフラットディスプレイ用透明粘着材を配置した後、表示モジュール及び透明基板を、フラットディスプレイ用透明粘着材を介して接着する。
フラットディスプレイ用透明粘着材は、部材への接着の初期段階においては適度な剥離性を有し、剥離が容易である。このため、部材との貼合わせに失敗した場合、あるいは出荷時の品質検査時に不良品とみなされた場合であっても、高価な部材(表示モジュールや透明基板)を全て廃棄することなく、容易に剥離して分離でき、使用不可能及び補修不可能なもののみ廃棄し、使用可能なものや補修可能なものは再利用できる。
また、品質検査に合格して部材同士を正規の接着状態とする場合は、部材に損傷を与えない程度の高温度(50℃から120℃)でフラットディスプレイ用透明粘着材を加熱することにより、フラットディスプレイ用透明粘着材が軟化して部材の形状に沿うように変形する。これにより、部材に段差がある場合にその段差を吸収するようにフラットディスプレイ用透明粘着材が変形し、密着性が向上して十分な接着力が得られる。このようにして、フラットディスプレイ用透明粘着材を用いて製造されたフラットディスプレイが得られる。また、上記の工程は、本発明に係るフラットディスプレイの製造方法である。
また、フラットディスプレイの最終検査段階で不良が発見された場合、接着した部材同士を、50℃から120℃の範囲内で部材を損傷しない程度の高温度に加熱することにより、フラットディスプレイ用透明粘着材が軟化して部材界面との接着力が低下し、部材同士および部材とフラットディスプレイ用透明粘着材とを容易に剥離することができる。
この場合、フラットディスプレイ用透明粘着材には十分な引っ張り強度と伸びがあるので、フラットディスプレイ用透明粘着材の剥離時に途中でフラットディスプレイ用透明粘着材が破断することなく、部材から剥離することができる。
また、タッキファイアの添加量を上記範囲に設定しているのでフラットディスプレイ用透明粘着材は適度な凝集力を維持しており、部材に残ることなく綺麗に剥離することができる。
以上のように、本発明のフラットディスプレイ用透明粘着フィルムによれば、溶剤溶解性を有するエラストマーを含んでいるので、容易に、かつ、任意の厚みを有する粘着フィルムを高精度に得ることができる。また、界面剥離性を有しているので、フラットディスプレイの製造後に部材を破損することなく、かつ、粘着材が部材に残ることなく剥離することができる。
また、高い透明性で高精細な画像を表示できるとともに、紫外線や熱、経時においても着色や劣化することはない。また、高い接着力を有して信頼性も高い。さらに、フラットディスプレイの製造時の貼合わせミスや最終検査での修正も可能で、高価な部材を廃棄することなく再利用できる。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限られるものではない。
(実施例1)
SEBSとしてタフテックH1041(旭化成ケミカルズ株式会社製)50重量部と、水添テルペンフェノール樹脂YSポリスターUH1165(ヤスハラケミカル株式会社製)30重量部をトルエンに溶解し、40重量%の粘着剤溶液を調整した。
38μmのPETセパレーターSBK−1(株式会社フジコー製)に乾燥膜厚20μmになるようアプリケーターで塗布し乾燥させてフラットディスプレイ用透明粘着材を得た。
25μmのPETフィルム(東レルミラー25S100)を貼り合わせ、25mmの短冊状にカットした。
フラットディスプレイ用透明粘着材をステンレス板(SUS304BA)に接触させた状態で、2Kgのゴムローラーを2往復させてフラットディスプレイ用透明粘着材をステンレス板に押し付けた。その後80℃で30分間オーブンで加熱して180度剥離試験用試料を得た。
この試料をオートグラフAG−10KNI(島津製作所製)で300mm/分のスピードで引っ張り、180度ピール力を測定した。測定値は35N/25mmであり、十分な接着力が得られた。
また、剥離後、ステンレス板にはフラットディスプレイ用透明粘着材が残ることがなく、綺麗に界面剥離した。これは一旦接着した部材を剥離する場合において、溶剤等で粘着材を拭き取る作業が必要がなく、容易に剥離して再使用できることを意味する。
また、セパレーターに乾燥膜厚100μmになるようフラットディスプレイ用透明粘着材を作成し、ダンベル状3号形に加工して引っ張り試験の試料とした。この試料をオートグラフAG−10KNI(島津製作所製)で300mm/分のスピードで引っ張り、引っ張り強度と伸びを測定した。引っ張り強度は10.4MPaであり、伸びは1200%であった。このように強い引っ張り強度と高い伸びを有しているので、剥離時にフラットディスプレイ用透明粘着材が途中で破断することなく、界面剥離が可能になる。
また、20μmのフラットディスプレイ用透明粘着材の全光透過率を分光光度計UV−3600(島津製作所製)で測定した。その結果、透過率は92%であり、十分な透明性が得らていることが分かった。
さらに、このフラットディスプレイ用透明粘着材を80℃のオーブンに1ヶ月間放置してその試料の透過率を測定した。透過率は89%で十分な透明性を維持しており、目視での確認でも透明であった。この加熱試験後も粘着性は維持されていた。
次に、3mmの透明ポリカーボネート板と、0.7mmのガラスとでフラットディスプレイ用透明粘着材を挟んで80℃まで加熱して接着させた。目視では非常に透明性が高く、光学的にも良好な貼合わせ部材となった。
(実施例2)
SBSとしてタフプレンT438(旭化成ケミカルズ株式会社製)50重量部と、水添テルペン樹脂クリアロンP105(ヤスハラケミカル株式会社製)40重量部をトルエンに溶解し、40重量%の粘着剤溶液を調整した。
この実施例2では、耐候性を向上させるため粘着剤溶液に対して酸化防止剤としてイルガノックス1010(BASF製)を1重量%添加した。
20μmと100μmのフラットディスプレイ用透明粘着材を得て、実施例1と同様な試験を行った。180度ピール力の測定値は40N/25mmであり、十分な接着力が得られた。引っ張り強度は12MPaであり、伸びは1400%であった。また、透過率は90%で十分な透明性が得られた。
剥離した際、ステンレス板にはフラットディスプレイ用透明粘着材が残ることがなく、綺麗に界面剥離した。
さらに、この実施例2のフラットディスプレイ用透明粘着材を80℃のオーブンに1ヶ月間放置してその試料の透過率を測定した。透過率は88%で十分な透明性を維持しており、目視での確認でも透明であった。また、粘着性は維持されていた。
(実施例3)
SBPSとして、セプトン2002(クラレ株式会社製)50重量部と、芳香族水添テルペン樹脂クリアロンM115(ヤスハラケミカル株式会社製)35重量部をトルエンに溶解し、40重量%の粘着剤溶液を調整した。
20μmと100μmのフラットディスプレイ用透明粘着材を得て、実施例1と同様の試験を行った。180度ピール力の測定値は37N/25mmであり、十分な接着力が得られた。また、ステンレス板にはフラットディスプレイ用透明粘着材が残ることがなく、綺麗に界面剥離した。100μmの粘着層の引っ張り強度は8MPaであり、伸びは1000%であった。また、透過率は93%で十分な透明性が得られた。
さらに、この実施例3のフラットディスプレイ用透明粘着材を80℃のオーブンに1ヶ月放置してその試料の透過率を測定した。透過率は90%で十分な透明性を維持しており、目視での確認でも透明であった。また、粘着性は維持されていた。
(比較例1)
SBPSとしてセプトン2002(クラレ株式会社製)50重量部と、芳香族水添テルペン樹脂クリアロンM115(ヤスハラケミカル株式会社製)60重量部をトルエンに溶解し、40重量%の粘着剤溶液を調整した。
20μmと100μmの粘着材を得て、実施例1と同様の試験を行った。180度ピール力の測定値は25N/25mmであった。また、剥離した際にステンレス板には粘着材が残り、粘着材が凝集破壊した。100μmの粘着材の引っ張り強度は4MPaであり、伸びは700%であった。このように引っ張り強度が低く、かつ、伸びが小さいので、剥離時に途中で凝集破壊して破断する。また、透過率は92%であった。
さらに、このフィルムを80℃のオーブンに1ヶ月放置してその試料の透過率を測定した。透過率は90%であった。また、粘着性は維持されていた。
(比較例2)
SBSとして、タフプレンT438(旭化成ケミカルズ株式会社製)50重量部と、テルペン樹脂YSレジンPX1150(ヤスハラケミカル株式会社製)55重量部をトルエンに溶解し、40重量%の粘着剤溶液を調整した。
20μmと100μmの粘着材を得て、実施例1と同様の試験を行った。180度ピール力の測定値は17N/25mmであった。また、剥離した際にステンレス板には粘着材が残り、粘着材が凝集破壊した。100μmの粘着材の引っ張り強度は3MPaであり、伸びは640%であった。このように引っ張り強度が低く、かつ、伸びが小さいので、剥離時に途中で凝集破壊して破断する。また、透過率は88%であった。
さらに、この粘着材を80℃のオーブンに1ヶ月間放置してその試料の透過率を測定した。透過率は65%まで低下し、目視での確認では茶色に変色していた。また、粘着性は無くなっており、粘着材は脆くなっていた。
本発明は、例えばスマートフォンやタブレット端末等のフラットディスプレイに適用することができる。
本発明は、フラットディスプレイ用透明粘着材、フラットディスプレイ及びフラットディスプレイの製造方法に関するものであり、詳しくは、タッチパネルや3D(三次元)表示用素子等の透明基板を表示モジュールに密着した状態で一体化させるために用いられるフラットディスプレイ用透明粘着材、そのフラットディスプレイ用透明粘着材を用いて組み立てられたフラットディスプレイ及びそのフラットディスプレイ用透明粘着材を用いてフラットディスプレイを製造する製造方法に関するものである。
一般に、スマートフォンやタブレット端末等は、液晶表示装置等で構成されたフラットディスプレイを有している。フラットディスプレイは、表示モジュールの他に、表示モジュールの保護を目的として設けられるガラス、ポリカーボネート又はアクリル等の素材からなる保護板や、入力操作用のタッチパネル等の前面板(透明基板)を設けることがある。
通常、透明基板は表示モジュールと一定の間隔をあけた状態で設置されるため、透明基板と表示モジュールとの間には空気層が形成される。しかしながら、透明基板と空気層との界面、及び表示モジュールと空気層との界面においては光の屈折率が大きく異なるため、反射率が高くなる。このため、フラットディスプレイの画像が暗くなる、或いは景色や室内照明等の外光がフラットディスプレイに映り込んでしまい、画質が劣化するといった不具合が生じてしまう。
このような不具合を解消すべく、透明基板と表示モジュールとの間に透明な両面接着性フィルムを介在させて空気層をなくし、屈折率差の大きい界面が生じないようにしてフラットディスプレイの画質を向上させる技術が知られている。そして、これらの技術において用いられる透明接着性フィルムの構成材料としては、透明性と接着力の観点からアクリル系粘着材が有用であることが知られている。
また、アクリル系粘着材以外にも、フラットディスプレイに用いることのできる粘着材が例えば特許文献1、2に開示されている。
特許文献1では、光学部材との界面の光の全反射を少なくするための屈折率の調整が容易で、かつ、粘着特性(接着力、保持力等)および耐久性を満足する組成物として、スチレン系ブロックエラストマー100重量部に対し、芳香族環またはその水添物を有するタッキファイア40〜250重量部、およびシランカップリング剤0.01〜2重量部を配合した光学部材用粘着組成物が記載されており、上記タッキファイアの屈折率を1.53〜1.75に設定している。この特許文献1では、スチレン系ブロックエラストマーが使用されているが、シランカップリング剤と屈折率1.53〜1.75のタッキファイアが必須成分となっている。また、この特許文献1では、粘着材の屈折率を調整することが目的となっている。
また、特許文献2のフラットディスプレイ用透明粘着フィルムは、粘着初期段階においては剥離ができ、その後の段階においては十分な接着力を示すものとして、示差走査熱量測定により測定される融点(Tm)が65℃未満であるか、または示差走査熱量測定により融解ピークが実質的に観測されないポリオレフィン系エラストマーを含み、25℃における引張弾性率E(25)が1〜100MPaであり、スライドガラスに貼り付けて23℃、24時間経過後の剥離強度が0.01〜5N/25mmに設定された粘着材である。この特許文献2の記載内容によれば、オレフィン系エラストマーを合成し、結晶性ポリオレフィンと共に溶融・混練・押出しして粘着フィルムを形成するようにしている。
特開2007−23225号公報 特開2012−116157号公報
ところで、近年、フラットディスプレイ(表示モジュール)の高精細化、高画質化及び高機能化に伴い、タッチパネルや表示用素子等の透明基板に採用される技術もより高度化している。
このため、高機能が付与された表示モジュール及び透明基板の部材価格も高まっている。従って、フラットディスプレイの出荷時の品質検査においてピックアップされた不良品は、直ちに廃棄されるのではなく、分解及び補修して再度出荷されることが多い。
出荷前にピックアップされた不良品のフラットディスプレイを分解するには、上述した複数の構成部材を個々に分離させる必要があるが、その際、従来のアクリル系粘着材からなる透明接着性フィルムを用いた場合は、接着力が高いとともにゲル状であるため、構成部材が破損しないように分離させることが極めて困難であった。
また、分離後においても、構成部材の表面に強固にこびりついた接着層を除去するのは困難であり、多大な労力が必要とされていた。
また、特許文献2のように粘着初期段階においては剥離ができるものが知られているが、品質検査でピックアップされた場合に容易に剥離するのは困難であると考えられる。
また、特許文献2では、エラストマーを成分として含んでいるが、特許文献2のエラストマーは溶剤に対する溶解性が低い。このため、溶剤に溶解した状態で塗布して乾燥させてフィルムを得ることができない。これは、高い精度のフィルムを製作することが困難であるということである。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、容易に、かつ、任意の厚みを有する粘着フィルムを高精度に得られるようにし、しかも、フラットディスプレイの製造後に部材を破損することなく、かつ、粘着材が部材に残ることなく剥離可能にすることにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、溶剤溶解性を有するエラストマーを含む粘着材とし、さらに、接着した後に界面剥離性を発揮するようにした。
第1の発明は、フラットディスプレイが有する表示モジュールと透明基板との間に配置されて該表示モジュールと該透明基板とを接着するためのフラットディスプレイ用透明粘着材において、SBS(ポリスチレン−ポリ(ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリ(イソプレン)ブロック−ポリスチレン)、SIBS(ポリスチレン−ポリ(イソプレン・ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SEP(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック)、SEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SEEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)のうちの少なくとも1種を含む溶剤溶解性を有するスチレン系エラストマーと、二重結合が水素化されているテルペン系、テルペンフェノール系、ロジンフェノール系、芳香族系のうちの少なくとも1種のタッキファイヤとを含んでおり、界面剥離性を有しており、上記フラットディスプレイ用透明粘着材がダンベル状3号形で厚み100μmに形成されたときの引っ張り強度が5MPa以上で、伸びが800%以上であることを特徴とするものである。
この構成によれば、溶剤溶解性を有するエラストマーを含んでいるので、溶剤に溶解させた状態で塗布して乾燥させることで、容易に、かつ、任意の厚みを有する粘着フィルムを高精度に得ることが可能になる。
また、界面剥離性を有しているので、フラットディスプレイの製造後に品質検査で不良品としてピックアップされた場合に、表示モジュールや透明基板を破損することなく、かつ、粘着材がそれら部材に残ることなく剥離することが可能である。
また、耐候性がよくなり、経時による劣化や着色を抑制することが可能になる。
また、エラストマーが透明性と耐候性に優れる。特に、SEP、SEPS、SEBS、SEEPSは二重結合が水素化されているので、特に耐候性に優れる。
また、二重結合が水素化されているタッキファイアを成分として含んでいるので、スチレン系のエラストマーと相溶性が非常に良い。また、透明性が高く、しかも、粘着性が出現しやすく十分な接着力を得ることができ、さらに、接着対象となる部材の形状に対する追随性にも優れる。
また、本発明に係るフラットディスプレイ用透明粘着材を用いて一旦接着した部材を剥離する場合に、フラットディスプレイ用透明粘着材が高い引っ張り強度及び伸び率を有しているので、剥離途中で粘着材が破断することはなく、最後まできれいに剥離することが可能になる。
の発明は、第の発明において、
スチレン系エラストマー100重量部に対して、タッキファイアが40重量部から100重量部であることを特徴とするものである。
この構成によれば、タッキファイアの量をスチレン系エラストマーの量に対して少なくすることができるので、タッキファイアの量が100重量部を越える場合に比べてエラストマーの性能が十分に発揮されるフラットディスプレイ用透明粘着材とすることができる。これにより、ゴム弾性の高い粘着層が得られ、フラットディスプレイ用透明粘着材を部材から剥離した場合に部材に粘着材が残りにくくなる
の発明は、第1または2の発明に係るフラットディスプレイ用透明粘着材を用いて製造されたことを特徴とするフラットディスプレイである。
の発明は、フラットディスプレイの製造方法において、
表示モジュールと透明基板とを用意し、該表示モジュールと該透明基板との間に第1または2の発明に係るフラットディスプレイ用透明粘着材を介在させて該表示モジュールと該透明基板とを一体化することを特徴とするフラットディスプレイの製造方法である。
の発明は、第の発明において、
上記表示モジュールと上記透明基板とを50℃以上120℃以下の温度範囲に加熱した状態で一体化することを特徴とするものである。
この構成によれば、フラットディスプレイ用透明粘着材が加熱されて軟化して部材の形状に追従するように変形するので、接着力が高く、かつ、気泡の巻き込みがなく美しい、しかも、信頼性の高いフラットディスプレイを得ることが可能になる。
本発明によれば、溶剤溶解性を有するエラストマーを含んでいるので、容易に、かつ、任意の厚みを有する粘着フィルムを高精度に得ることができる。また、界面剥離性を有しているので、フラットディスプレイの製造後に部材を破損することなく、かつ、粘着材が部材に残ることなく剥離することができる。
また、成分中の二重結合が水素化されている場合には、耐候性がよくなり、経時による劣化や着色を抑制することができる。
また、SEP、SEPS、SEBS、SEEPSを用いることで耐候性に優れた粘着材とすることができる。
また、二重結合が水素化されているタッキファイアを成分として含めることで、スチレン系のエラストマーと相溶性が非常に良くなり、また、透明性が高く、しかも、粘着性が出現しやすく十分な接着力を得ることができ、さらに、部材の形状に対する追随性にも優れるので、強力な接着力を得ることができる。
また、タッキファイアの量を少なくしてエラストマーの性能を十分に発揮できるので、ゴム弾性の高い粘着層を得ることができる。これにより、粘着材を部材から剥離した場合に部材に粘着材が残りにくくなるので、より一層剥離し易くなる。
また、粘着材が高い引っ張り強度及び伸び率を有しているので、剥離途中で粘着材が破断することはなく、最後まできれいに剥離することができる。
また、フラットディスプレイの製造時に50℃以上120℃以下の温度範囲で部材を一体化することで、粘着材が軟化して部材の形状に追従するように変形する。これにより、接着力が高く、かつ、美しく、信頼性の高いフラットディスプレイを得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
本発明の実施形態に係るフラットディスプレイ用透明粘着材は、フラットディスプレイ及びそのフラットディスプレイの製造方法に用いることができるものであり、透明なフィルム状に形成されている。具体的には、フラットディスプレイ用透明粘着材は、フラットディスプレイが有する表示モジュールと、透明基板との間に介在させてこれら表示モジュール及び透明基板を接着して一体化するためのものである。表示モジュールとしては、液晶ディスプレイの場合には液晶表示モジュールである。透明基板としては、表示モジュールの保護を目的として設けられるガラス、ポリカーボネート又はアクリル等の素材からなる保護板や、入力操作用のタッチパネル等の前面板等である。
尚、フラットディスプレイは、例えばスマートフォンやタブレット端末等の画面を構成するものである。
フラットディスプレイ用透明粘着材は、溶剤溶解性を有するエラストマー(ゴム弾性素材)と、タッキファイア(粘着性付与樹脂)とを少なくとも含んでおり、界面剥離性を有している。界面剥離性とは、フラットディスプレイ用透明粘着材を接着対象となる部材に貼り付けた際に、フラットディスプレイ用透明粘着材の一部を掴んでその部材から剥離させる剥離挙動において、フラットディスプレイ用透明粘着材が凝集破壊を起こすことなく、部材の表面から分離する挙動を示す性質である。この性質を持っているので、例えば、第1部材と第2部材との間にフラットディスプレイ用透明粘着材を介在させて第1部材と第2部材とを接着し、その後、第1部材を第2部材から剥離しようと力を加えた際、フラットディスプレイ用透明粘着材が例えば第1部材にのみくっついたまま残り、第2部材には残らない。そして、第1部材に残ったフラットディスプレイ用透明粘着材を摘んで剥離すると、フラットディスプレイ用透明粘着材が第1部材に残ることはない。
フラットディスプレイ用透明粘着材が含んでいるスチレン系のエラストマーとしては、SBS(ポリスチレン−ポリ(ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリ(イソプレン)ブロック−ポリスチレン)、SIBS(ポリスチレン−ポリ(イソプレン・ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SEP(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック)、SEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SEEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)のうちの1種、またはこれらの複数種を混合したものを使用することができる。
フラットディスプレイ用透明粘着材の耐候性を重視する場合には、SEP、SEPS、SEBS、SEEPSが好ましい。SBS、SIS、SIBSを使用する場合には、耐候性や酸化防止性を向上させるために、フェノール系、ホスファイト系、イオウ系、リン系、ヒンダードアミン系等の老化防止剤や酸化防止剤を単独又は混合して配合するのが好ましい。
フラットディスプレイ用透明粘着材が含んでいるタッキファイアとしては、二重結合が水素化されているテルペン系、テルペンフェノール系、ロジンフェノール系、芳香族系のタッキファイアのなかから1種、またはこれらの複数種を混合したものを使用することができる。
さらに、フラットディスプレイ用透明粘着材のエラストマーとタッキファイアとの相容性に問題がない場合は、二重結合を持たないスチレン、スチレンオリゴマー、αメチルスチレン、スチレンとαメチルスチレンの共重合体、ビニルトルエンとαメチルスチレンの共重合体等も使用することができる。
フラットディスプレイ用透明粘着材のスチレン系エラストマー100重量部に対して、タッキファイアの添加量は40重量部から100重量部が好ましい。さらに好ましいタッキファイアの添加量は、50重量部から90重量部である。タッキファイアが40重量部より少ない場合、粘着性がほとんど発現せず部材と接着させることが困難になる。逆にタッキファイアが100重量部より多い場合は、エラストマーの弾性が失われ、また、部材の接着後に剥離しようとした際、フラットディスプレイ用透明粘着材が凝集破壊の状態になり、部材にフラットディスプレイ用透明粘着材が残って好ましくない。
フラットディスプレイ用透明粘着材をフィルム状に成形した後、そのフィルムをダンベル状3号形に加工し、かつ、その厚さを100μmとしたときに、その引っ張り強度は5MPa以上であり、伸びは800%以上である。引っ張り強度は10MPa以上がより好ましく、伸びは1000%以上がより好ましい。引っ張り強度や伸びは、エラストマー及びタッキファイアの種類や配合量等を変更することによって調整できる。
上記引っ張り強度が5MPaよりも低い場合は、フラットディスプレイ用透明粘着材を部材から剥離するときにフラットディスプレイ用透明粘着材が剥離途中で破断してしまい好ましくない。また、伸びが800%よりも低い場合は、弾性が高すぎて粘着性の発現がなく、フラットディスプレイ用透明粘着材として好ましくない。
尚、この時の試験方法は、JIS K 6251に準拠してダンベル状3号形の試験片を、温度20℃において引っ張り速度500mm/分で引っ張った時の強度と伸びを測定する。
フラットディスプレイ用透明粘着材の厚みは、部材同士の間隙(表示モジュールと透明基板との隙間)の応じて任意に選択することができるが、一般に5μmから600μmの範囲が好ましい。フラットディスプレイ用透明粘着材の厚みが5μmよりも薄いと接着力が低くなり、フラットディスプレイ用透明粘着材としての機能が低下する。逆に600μmよりも厚いと、フラットディスプレイの厚さが増してサイズが大きくなり好ましくなく、また、フィルム基材を使用してフィルム基材の両面にフラットディスプレイ用透明粘着材を塗布して設ける場合に製造が困難になる。
フラットディスプレイ用透明粘着材は、次のようにして製造することができる。まず、粘着剤溶液を調整する。すなわち、有機溶剤に、上記エラストマーと上記タッキファイアを加えて攪拌し、溶解させる。
有機溶剤としては、上記エラストマーと上記タッキファイアが溶解して相容するものであればよいので、特に種類は限定されないが、一般的にはトルエン、キシレン、酢酸エチル、ヘキサン、シクロヘキサン等を単独もしくは混合して使用することができる。
粘着剤溶液における粘着剤固形分濃度は、20重量%から50重量%の範囲内にあるのが好ましく、得ようとするフラットディスプレイ用透明粘着材の厚みと塗工機とのバランスで調整すればよい。
粘着剤溶液における粘着剤固形分濃度が20重量%よりも低いと、乾燥させる際のエネルギー効率が悪くなり、逆に50重量%よりも高いと粘着剤溶液の粘度が高すぎて濾過が困難であったり、気泡を巻込んだり、塗工機での塗布が困難になるので、濃度が高すぎても低すぎても好ましくない。
フラットディスプレイ用透明粘着材の機能を更に向上する目的で、相容化剤、紫外線吸収剤、難燃剤、レベリング剤、透明有機/無機フィラー等を添加することができる。
フラットディスプレイ用透明粘着材は、それのみの単層でも、また複数枚をラミネートしたラミネート構造のものでも、また、透明なフィルム基材をフラットディスプレイ用透明粘着材で両面から挟むようにして該フィルム基材の両面をコーティングした積層構造としてもよい。
ラミネート構造のものや積層構造の場合は、ラミネートした粘着組成物同士の組成は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、基材を両面コーティングした場合には、両方の組成は同一であってもよいし、異なってもいてもよい。
上記基材としては透明なフィルムであればよく、市販のPET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PMMA(アクリル樹脂)、PC(ポリカーボネート)、TAC(トリアセテート)等を使用することができる。
次いで、上記のようにして得られた粘着剤溶液を塗工する。塗工は、一般のリバースコーター、リップコーター、ロールコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、コンマコーター、ダイコーターを使用できる。
フラットディスプレイ用透明粘着材の厚みを80μm以下とする場合には、コンマコーターで十分であるが、80μmよりも厚くする場合にはダイコーターが有効である。
ラミネート構造のフラットディスプレイ用透明粘着材を得る場合は、セパレーターフィルムに塗布した粘着材同士をラミネートすればよい。また、多層構造の場合は、粘着剤溶液をセパレーターに塗布してフィルム基材にラミネートするか、フィルム基材に直接塗布して製造することができる。
上記のようにして得られたフラットディスプレイ用透明粘着材を用いてフラットディスプレイを製造する場合について説明する。表示モジュール及び透明基板を用意し、これらの間にフラットディスプレイ用透明粘着材を配置した後、表示モジュール及び透明基板を、フラットディスプレイ用透明粘着材を介して接着する。
フラットディスプレイ用透明粘着材は、部材への接着の初期段階においては適度な剥離性を有し、剥離が容易である。このため、部材との貼合わせに失敗した場合、あるいは出荷時の品質検査時に不良品とみなされた場合であっても、高価な部材(表示モジュールや透明基板)を全て廃棄することなく、容易に剥離して分離でき、使用不可能及び補修不可能なもののみ廃棄し、使用可能なものや補修可能なものは再利用できる。
また、品質検査に合格して部材同士を正規の接着状態とする場合は、部材に損傷を与えない程度の高温度(50℃から120℃)でフラットディスプレイ用透明粘着材を加熱することにより、フラットディスプレイ用透明粘着材が軟化して部材の形状に沿うように変形する。これにより、部材に段差がある場合にその段差を吸収するようにフラットディスプレイ用透明粘着材が変形し、密着性が向上して十分な接着力が得られる。このようにして、フラットディスプレイ用透明粘着材を用いて製造されたフラットディスプレイが得られる。また、上記の工程は、本発明に係るフラットディスプレイの製造方法である。
また、フラットディスプレイの最終検査段階で不良が発見された場合、接着した部材同士を、50℃から120℃の範囲内で部材を損傷しない程度の高温度に加熱することにより、フラットディスプレイ用透明粘着材が軟化して部材界面との接着力が低下し、部材同士および部材とフラットディスプレイ用透明粘着材とを容易に剥離することができる。
この場合、フラットディスプレイ用透明粘着材には十分な引っ張り強度と伸びがあるので、フラットディスプレイ用透明粘着材の剥離時に途中でフラットディスプレイ用透明粘着材が破断することなく、部材から剥離することができる。
また、タッキファイアの添加量を上記範囲に設定しているのでフラットディスプレイ用透明粘着材は適度な凝集力を維持しており、部材に残ることなく綺麗に剥離することができる。
以上のように、本発明のフラットディスプレイ用透明粘着フィルムによれば、溶剤溶解性を有するエラストマーを含んでいるので、容易に、かつ、任意の厚みを有する粘着フィルムを高精度に得ることができる。また、界面剥離性を有しているので、フラットディスプレイの製造後に部材を破損することなく、かつ、粘着材が部材に残ることなく剥離することができる。
また、高い透明性で高精細な画像を表示できるとともに、紫外線や熱、経時においても着色や劣化することはない。また、高い接着力を有して信頼性も高い。さらに、フラットディスプレイの製造時の貼合わせミスや最終検査での修正も可能で、高価な部材を廃棄することなく再利用できる。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限られるものではない。
(実施例1)
SEBSとしてタフテックH1041(旭化成ケミカルズ株式会社製)50重量部と、水添テルペンフェノール樹脂YSポリスターUH1165(ヤスハラケミカル株式会社製)30重量部をトルエンに溶解し、40重量%の粘着剤溶液を調整した。
38μmのPETセパレーターSBK−1(株式会社フジコー製)に乾燥膜厚20μmになるようアプリケーターで塗布し乾燥させてフラットディスプレイ用透明粘着材を得た。
25μmのPETフィルム(東レルミラー25S100)を貼り合わせ、25mmの短冊状にカットした。
フラットディスプレイ用透明粘着材をステンレス板(SUS304BA)に接触させた状態で、2Kgのゴムローラーを2往復させてフラットディスプレイ用透明粘着材をステンレス板に押し付けた。その後80℃で30分間オーブンで加熱して180度剥離試験用試料を得た。
この試料をオートグラフAG−10KNI(島津製作所製)で300mm/分のスピードで引っ張り、180度ピール力を測定した。測定値は35N/25mmであり、十分な接着力が得られた。
また、剥離後、ステンレス板にはフラットディスプレイ用透明粘着材が残ることがなく、綺麗に界面剥離した。これは一旦接着した部材を剥離する場合において、溶剤等で粘着材を拭き取る作業が必要がなく、容易に剥離して再使用できることを意味する。
また、セパレーターに乾燥膜厚100μmになるようフラットディスプレイ用透明粘着材を作成し、ダンベル状3号形に加工して引っ張り試験の試料とした。この試料をオートグラフAG−10KNI(島津製作所製)で300mm/分のスピードで引っ張り、引っ張り強度と伸びを測定した。引っ張り強度は10.4MPaであり、伸びは1200%であった。このように強い引っ張り強度と高い伸びを有しているので、剥離時にフラットディスプレイ用透明粘着材が途中で破断することなく、界面剥離が可能になる。
また、20μmのフラットディスプレイ用透明粘着材の全光透過率を分光光度計UV−3600(島津製作所製)で測定した。その結果、透過率は92%であり、十分な透明性が得らていることが分かった。
さらに、このフラットディスプレイ用透明粘着材を80℃のオーブンに1ヶ月間放置してその試料の透過率を測定した。透過率は89%で十分な透明性を維持しており、目視での確認でも透明であった。この加熱試験後も粘着性は維持されていた。
次に、3mmの透明ポリカーボネート板と、0.7mmのガラスとでフラットディスプレイ用透明粘着材を挟んで80℃まで加熱して接着させた。目視では非常に透明性が高く、光学的にも良好な貼合わせ部材となった。
(実施例2)
SBSとしてタフプレンT438(旭化成ケミカルズ株式会社製)50重量部と、水添テルペン樹脂クリアロンP105(ヤスハラケミカル株式会社製)40重量部をトルエンに溶解し、40重量%の粘着剤溶液を調整した。
この実施例2では、耐候性を向上させるため粘着剤溶液に対して酸化防止剤としてイルガノックス1010(BASF製)を1重量%添加した。
20μmと100μmのフラットディスプレイ用透明粘着材を得て、実施例1と同様な試験を行った。180度ピール力の測定値は40N/25mmであり、十分な接着力が得られた。引っ張り強度は12MPaであり、伸びは1400%であった。また、透過率は90%で十分な透明性が得られた。
剥離した際、ステンレス板にはフラットディスプレイ用透明粘着材が残ることがなく、綺麗に界面剥離した。
さらに、この実施例2のフラットディスプレイ用透明粘着材を80℃のオーブンに1ヶ月間放置してその試料の透過率を測定した。透過率は88%で十分な透明性を維持しており、目視での確認でも透明であった。また、粘着性は維持されていた。
(実施例3)
SBPSとして、セプトン2002(クラレ株式会社製)50重量部と、芳香族水添テルペン樹脂クリアロンM115(ヤスハラケミカル株式会社製)35重量部をトルエンに溶解し、40重量%の粘着剤溶液を調整した。
20μmと100μmのフラットディスプレイ用透明粘着材を得て、実施例1と同様の試験を行った。180度ピール力の測定値は37N/25mmであり、十分な接着力が得られた。また、ステンレス板にはフラットディスプレイ用透明粘着材が残ることがなく、綺麗に界面剥離した。100μmの粘着層の引っ張り強度は8MPaであり、伸びは1000%であった。また、透過率は93%で十分な透明性が得られた。
さらに、この実施例3のフラットディスプレイ用透明粘着材を80℃のオーブンに1ヶ月放置してその試料の透過率を測定した。透過率は90%で十分な透明性を維持しており、目視での確認でも透明であった。また、粘着性は維持されていた。
(比較例1)
SBPSとしてセプトン2002(クラレ株式会社製)50重量部と、芳香族水添テルペン樹脂クリアロンM115(ヤスハラケミカル株式会社製)60重量部をトルエンに溶解し、40重量%の粘着剤溶液を調整した。
20μmと100μmの粘着材を得て、実施例1と同様の試験を行った。180度ピール力の測定値は25N/25mmであった。また、剥離した際にステンレス板には粘着材が残り、粘着材が凝集破壊した。100μmの粘着材の引っ張り強度は4MPaであり、伸びは700%であった。このように引っ張り強度が低く、かつ、伸びが小さいので、剥離時に途中で凝集破壊して破断する。また、透過率は92%であった。
さらに、このフィルムを80℃のオーブンに1ヶ月放置してその試料の透過率を測定した。透過率は90%であった。また、粘着性は維持されていた。
(比較例2)
SBSとして、タフプレンT438(旭化成ケミカルズ株式会社製)50重量部と、テルペン樹脂YSレジンPX1150(ヤスハラケミカル株式会社製)55重量部をトルエンに溶解し、40重量%の粘着剤溶液を調整した。
20μmと100μmの粘着材を得て、実施例1と同様の試験を行った。180度ピール力の測定値は17N/25mmであった。また、剥離した際にステンレス板には粘着材が残り、粘着材が凝集破壊した。100μmの粘着材の引っ張り強度は3MPaであり、伸びは640%であった。このように引っ張り強度が低く、かつ、伸びが小さいので、剥離時に途中で凝集破壊して破断する。また、透過率は88%であった。
さらに、この粘着材を80℃のオーブンに1ヶ月間放置してその試料の透過率を測定した。透過率は65%まで低下し、目視での確認では茶色に変色していた。また、粘着性は無くなっており、粘着材は脆くなっていた。
本発明は、例えばスマートフォンやタブレット端末等のフラットディスプレイに適用することができる。

Claims (8)

  1. フラットディスプレイ用透明粘着材において、
    溶剤溶解性を有するエラストマーを含んでおり、
    界面剥離性を有していることを特徴とするフラットディスプレイ用透明粘着材。
  2. 請求項1に記載のフラットディスプレイ用透明粘着材において、
    スチレン系エラストマーと、二重結合が水素化されているタッキファイアとを成分として含有していることを特徴とするフラットディスプレイ用透明粘着材。
  3. 請求項2に記載のフラットディスプレイ用透明粘着材において、
    スチレン系エラストマーは、SBS(ポリスチレン−ポリ(ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリ(イソプレン)ブロック−ポリスチレン)、SIBS(ポリスチレン−ポリ(イソプレン・ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SEP(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック)、SEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SEEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)のうちの少なくとも1種を含むものであり、
    タッキファイアは、二重結合が水素化されているテルペン系、テルペンフェノール系、ロジンフェノール系、芳香族系のうちの少なくとも1種を含むものであることを特徴とするフラットディスプレイ用透明粘着材。
  4. 請求項2または3に記載のフラットディスプレイ用透明粘着材において、
    スチレン系エラストマー100重量部に対して、タッキファイアが40重量部から100重量部であることを特徴とするフラットディスプレイ用透明粘着材。
  5. 請求項1から3のいずれか1つに記載のフラットディスプレイ用透明粘着材において、
    上記粘着材がダンベル状3号形で厚み100μmに形成されたときの引っ張り強度が5MPa以上で、伸びが800%以上であることを特徴とするフラットディスプレイ用透明粘着材。
  6. 請求項1から5のいずれか1つに記載のフラットディスプレイ用透明粘着材を用いて製造されたことを特徴とするフラットディスプレイ。
  7. フラットディスプレイの製造方法において、
    表示モジュールと透明基板とを用意し、該表示モジュールと該透明基板との間に請求項1から5のいずれか1つに記載のフラットディスプレイ用透明粘着材を介在させて該表示モジュールと該透明基板とを一体化することを特徴とするフラットディスプレイの製造方法。
  8. 請求項7に記載のフラットディスプレイの製造方法において、
    上記表示モジュールと上記透明基板とを50℃以上120℃以下の温度範囲に加熱した状態で一体化することを特徴とするフラットディスプレイの製造方法。
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