JPWO2014112208A1 - 組織接着剤及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

魚由来ゼラチン水溶液を含む接着成分と、水溶性架橋用分子水溶液を含む硬化成分とを混合して組織に塗布する組織接着剤であって、前記水溶性架橋用分子の分子主鎖がアミド結合またはエチレングリコールユニットまたは糖鎖を有するとともに、2個以上の活性エステル基または酸無水物またはアルデヒド基を有する組織接着剤とする。

Description

本発明は、組織接着剤及びその製造方法に関する。
組織接着剤とは、心臓血管外科等の手術の際、血管、皮膚等の生体組織(以下、組織)を行う組織接着剤のことである。これを用いることにより、血液の漏出等を防止でき、手術の安全性を高めることができる。
組織接着剤として、以下の3種類がある。第1の組織接着剤は、シアノアクリレート系組織接着剤であり、製品としてはDERMABONDがある。この組織接着剤は、接着強度は高いが、生体親和性が低いという課題がある。第2の組織接着剤は、バイオポリマーとアルデヒド系の組織接着剤であり、製品としてはGRF glueがある。この組織接着剤も、接着強度は高いが、生体親和性が低いという課題がある。第3の組織接着剤は、フィブリン系組織接着剤であり、製品としてはボルヒール(Bolheal)がある。この組織接着剤は、逆に、生体親和性は高いが、接着強度が低いという課題がある。
近年、ヒト血清アルブミン(Human Serum Albumin:以下、HSA)と架橋剤とからなる組織接着剤の接着強度が高いことが分かってきた(非特許文献1)。
HSAは、血液製剤から作られる血清タンパク質であり、分子量69000、直径約10nmの球状タンパク質である。また、マイナスチャージを持った酸性タンパク質である。また、架橋剤としては、酒石酸(Disuccinimidyl Tartarate:以下、DST)が用いられている。
しかし、血液製剤を使うと医薬品の分類となるため、承認認可の面で多大な労力を必要とする。また、医薬品となる場合には、認可後も、使用履歴を20年間継続して残さねばならず、多大な労力を必要とするという課題がある。
そのため、HSAに代わり、非血液製剤であるゼラチン(gelatin)を用いることが考えられる。例えば、特許文献1は、ゼラチンをスクシンイミド化ポリ−L−グルタミン酸により架橋して調製する医用材料が開示されている。また、特許文献2は、組織接着フィルムに関するものであり、ゼラチンまたはコラーゲン(Collagen)から作成される組織接着フィルムが開示されている。しかし、これらは、接着力が十分でないという課題がある。
また、特許文献3は、組織接着構成物に関するものであり、粒子形態の合成および/または架橋性の材料と、粒子状材料とが混合された組織接着構成物が開示されている。しかし、この組織接着構成物も、接着力が十分でないという課題がある。
また、側鎖にアルキル基を導入したゼラチンに関する論文がある(非特許文献2、3)。さらに、側鎖にコレステリル基を導入したゼラチンと酒石酸架橋剤から成る論文がある(非特許文献4)
HSAに代わり、分子量が10000以上50000未満のゼラチンに疎水性官能基を導入した疎水化ゼラチンを用いることで、接着強度が高く、かつ、生体親和性の高い組織接着剤を提供することができる可能性がある。
しかし、ゼラチンの分子量を高めれば、接着性を向上させることができるにもかかわらず、ブタ由来のゼラチンを用いた場合には、その分子量を20000程度にしても、組織接着剤が液体状とならず、ゲル状に固まり、組織接着剤として使用する際に接着部に均一に塗ることができず、塗布性の点で取り扱いが困難となる場合があった。また、常温で放置しておくと、ゼリー状となる場合があった。
また、酒石酸等の水に不溶性の分子を水溶媒に混合すると、これらの分子を水溶媒中で均一に分散させることができなかった。これらの分子が均一に分散されていない組織接着剤は、接着強度及び接着安定性等の接着特性にバラツキを発生させた。
一方、水溶性架橋剤Polyethyleneglycol di−succinimidyl succinate (PEG−(SS)2)とHSAからなる組織接着剤は、製品名ProGELとしてアメリカで認可されているので、PEG系のポリマーについては、組織接着剤の構成成分として問題なく使用できる可能性が高い。
特開平9―103479号公報 特開2008−284256号公報 特表2006−523113号公報
J.Bioact.Compact.Polym.,24,546−559(2009) Colloids Surf.A,272,2006,8−14 J.Appl.Polym.Sci.,105,2007,3371−3377 Colloids Surf.B,91,48−56(2012).
本発明は、接着強度が高く、安定した接着特性を有し、塗布性に優れた組織接着剤及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、疎水化魚由来ゼラチン水溶液からなる接着成分と、水溶性架橋用分子水溶液からなる硬化成分とからなり、前記接着成分と硬化成分を混合して組織に塗布する組織接着剤において、魚由来のゼラチンを用いて調製した疎水化魚由来ゼラチンと水溶性架橋用分子と用いることにより、前記接着成分と硬化成分を混合したときに、水溶液中でこれらを均一に分散させて、組織接着剤を調製することができ、これにより安定した接着特性を有する組織接着剤を製造できることを見出した。この組織接着剤は、接着強度が高く、硬化前はゲル状ではなく液体状であるため、加温することなく均一に組織に塗布することができ、塗布性に優れた組織接着剤であることを発見し、本発明を完成した。
本発明の組織接着剤は、以下のことを特徴としている。
魚由来ゼラチン水溶液を含む接着成分と、水溶性架橋用分子水溶液を含む硬化成分硬化成分とを混合して組織に塗布する組織接着剤であって、前記水溶性架橋用分子の分子主鎖がアミド結合またはエチレングリコールユニットまたは糖鎖を有するとともに、2個以上の活性エステル基または酸無水物またはアルデヒド基を有する。
前記接着成分の前記魚由来ゼラチンが、側鎖に疎水性官能基を備えた疎水化魚由来ゼラチンである。
前記魚由来ゼラチンは、その構成アミノ酸1000個当たりヒドロキシプロリンの数が90個以下の魚由来ゼラチンを主鎖としている。
前記疎水化魚由来ゼラチンはLysを含み、かつ、Lysのアミノ基の一部が疎水性官能基で置換されている。
前記疎水性官能基が飽和脂肪酸であるエチル基(炭素数2)、プロピル(炭素数3)、ブチル基(炭素数4)、ペンチル基(炭素数5)、ヘキサノイル基(炭素数6)、ヘプタノイル基(炭素数7)、オクタノイル基(炭素数8)、ノナノイル基(炭素数9)、デカノイル基(炭素数10)、ウンデカノイル基(炭素数11)、ドデカノイル基(炭素数12)、トリデカノイル基(炭素数13)、テトラデカノイル基(炭素数14)、ペンタデカノイル基(炭素数15)、ヘキサデカノイル基(炭素数16)、ヘプタデカノイル基(炭素数17)、ステアロイル基(炭素数18)、分岐型飽和脂肪酸であるイソプロピル(炭素数3)、イソブチル基(炭素数4)、イソペンチル基(炭素数5)、イソヘキサノイル基(炭素数6)、イソヘプタノイル基(炭素数7)、イソオクタノイル基(炭素数8)、イソノナノイル基(炭素数9)、イソデカノイル基(炭素数10)、イソウンデカノイル基(炭素数11)、イソドデカノイル基(炭素数12)、イソトリデカノイル基(炭素数13)、イソテトラデカノイル基(炭素数14)、イソペンタデカノイル基(炭素数15)、イソヘキサデカノイル基(炭素数16)、イソパルミチル基(炭素数16)、イソヘプタデカノイル基(炭素数17)、イソステアロイル基(炭素数18)、不飽和脂肪酸であるオレイル基(炭素数18、不飽和炭素1個)、リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素2個)、α−リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素3個)、細胞膜成分であるコレステリル基の1種または2種以上の組み合わせである。
前記魚由来ゼラチンが、ティラピア、タイまたはタラに由来する魚由来ゼラチンである。
前記疎水化魚由来ゼラチンの分子量が50000以上100000未満である。
前記水溶性架橋用分子が、Polyethyleneglycol di−succinimidyl succinate、Pentaerythritol poly(ethylene glycol) ether tetrasuccinimidyl glutarate、スクシンイミド化ポリ−L−グルタミン酸、アルデヒド基導入デンプン、アルデヒド基導入デキストランの群から選ばれる1種または2種以上の組合せである。
前記魚由来ゼラチン水溶液に用いる水溶媒および前記水溶性架橋用分子水溶液に用いる水溶媒は、pH6.0以上pH8.0以下のリン酸緩衝液(PBS)である。
前記接着成分として、さらに、疎水化されていない魚由来ゼラチンを含有する。
前記疎水化魚由来ゼラチン水溶液が、常温で液体状である。
本発明の組織接着剤の製造方法は、以下のことを特徴としている。
構成アミノ酸1000個当たりヒドロキシプロリンの数が90個以下の魚由来ゼラチンを溶解させた溶液にアミン存在下で疎水性官能基を有する有機分子を添加して、前記魚由来ゼラチンの側鎖のアミノ基の一部を前記疎水性官能基で置換して、疎水化魚由来ゼラチンを合成する工程と、
前記疎水化魚由来ゼラチンをリン酸緩衝液に分散して疎水化魚由来ゼラチン水溶液を得て、この疎水化魚由来ゼラチン水溶液含む接着成分を調製する工程と、
分子主鎖がアミド結合あるいはエチレングリコールユニットあるいは糖鎖を有し、かつ、2個以上の活性エステル基または酸無水物またはアルデヒド基を有する水溶性架橋用分子を、リン酸緩衝液に分散して、水溶性架橋用分子水溶液を含む硬化成分を調製する工程と、
を含む。
前記接着成分を調製する工程は、前記疎水化魚由来ゼラチン水溶液と、魚由来ゼラチンをリン酸緩衝液に分散して調整した魚由来ゼラチン水溶液とを混合する工程を含む。
前記疎水化魚由来ゼラチン水溶液と前記魚由来ゼラチン水溶液の重量比を1:9以上5:5未満として混合する。
魚由来ゼラチン水溶液を含む接着成分と、
分子主鎖がアミド結合またはエチレングリコールユニットまたは糖鎖を有し、かつ、2個以上の活性エステル基または酸無水物またはアルデヒド基を有する水溶性架橋用分子水溶液を含む硬化成分と
を混合する工程を含む。
本発明の組織接着剤は、水溶液中で疎水化魚由来ゼラチンと水溶性架橋用分子を均一に分散させて、組織接着剤を調製することができ、これにより接着特性が安定した組織接着剤を製造でき、また、ゲル状ではなく、液体状にすることができ、均一に組織に塗布することが可能な塗布性に優れた組織接着剤とすることができる。また、分子量を大きくすること、及び、前記疎水化ゼラチン同士のアミノ基同士を架橋用分子の活性エステル基あるいは酸無水物あるいはアルデヒド基で架橋して、化学的に強固な結合を形成することができる。更にまた、前記疎水性官能基を組織浸透させ(アンカーリングして)、物理的に強固な結合を形成して、接着強度を高くすることができるとともに、前記疎水化ゼラチンを創傷治癒過程において酵素(コラゲナーゼ)により容易に分解させることができ、生体親和性を高くすることができる。
本発明の組織接着剤の製造方法は、構成アミノ酸1000個当たりヒドロキシプロリンの数が90個以下の魚由来ゼラチンを溶解させた溶液にアミン存在下で疎水性官能基を有する有機分子を添加して、前記魚由来ゼラチンの側鎖のアミノ基の一部を前記疎水性官能基で置換して、疎水化魚由来ゼラチンを合成する工程と、前記疎水化魚由来ゼラチンをリン酸緩衝液に分散して、疎水化魚由来ゼラチンを含む水溶液からなる接着成分を調製する工程と、水溶性架橋用分子の分子主鎖がアミド結合あるいはエチレングリコールユニットあるいは糖鎖を有するとともに、2個以上の活性エステル基または酸無水物またはアルデヒド基を有する水溶性架橋用分子をリン酸緩衝液に分散して、水溶性架橋用分子を含む水溶液からなる硬化成分を調製する工程と、を有する構成なので、疎水化魚由来ゼラチンと水溶性架橋用分子を、水溶液中で均一に分散させて、組織接着剤を調製することができ、接着強度が高く、接着特性が安定し、塗布性に優れた組織接着剤を容易に製造できる。
本発明の組織接着剤の製造方法は、前記疎水化魚由来ゼラチン水溶液と、魚由来ゼラチンをリン酸緩衝液に分散して調整した魚由来ゼラチン水溶液とを混合する工程を含むことが好ましく、これによって、疎水化魚由来ゼラチンと水溶性架橋用分子を、水溶液中で均一に分散させて、組織接着剤を調製することができ、接着強度が高く、接着特性が安定し、塗布性に優れた組織接着剤を容易に製造できる。また、疎水基の凝集を阻害でき、組織接着剤の接着強度を向上させることができる。
本発明の組織接着剤の一例を示す概略図である。 本発明の組織接着剤を用いた接着の一例を示す概略図である。 本発明の組織接着剤の一例を示す概略図である。 接着試験の概要図である。 接着試験の概要図である。 接着試験の概要図である。 接着強度の水溶性架橋用分子(4S−PEG)の濃度依存性のグラフである。 接着強度の溶媒(PBS)pH値依存性のグラフである。 試験例2−1の接着剤を用いた接着試験後の組織をヘマトキシリンとエオシンで染色した断面像である。試験例2−1の接着剤の作成条件は、Gltn 40wt%soln.4S−PEG 4.5mM(0.1M PBS pH6.0)である。 試験例2−2の接着剤を用いた接着試験後の組織をヘマトキシリンとエオシンで染色した断面像である。試験例2−2の接着剤の作成条件は、Gltn 40wt%soln.4S−PEG 4.5mM(0.1M PBS pH6.5)である。 試験例2−3の接着剤を用いた接着試験後の組織をヘマトキシリンとエオシンで染色した断面像である。試験例2−3の接着剤の作成条件は、Gltn 40wt%soln.4S−PEG 4.5mM(0.1M PBS pH7.0)である。 試験例2−4の接着剤を用いた接着試験後の組織をヘマトキシリンとエオシンで染色した断面像である。試験例2−4の接着剤の作成条件は、Gltn 40wt%soln.4S−PEG 4.5mM(0.1M PBS pH7.5)である。 GRFを用いた接着試験後の組織をヘマトキシリンとエオシンで染色した断面像である。 接着強度の接着時間依存性のグラフである。 接着強度の疎水基(Chol基)導入率依存性のグラフである。 接着強度の4Chol−Gltn溶液とGltn溶液の重量比依存性のグラフである。 実施例3−1の接着剤を用いた接着試験後の組織をヘマトキシリンとエオシンで染色した断面像である。実施例3−1の接着剤の作成条件は、4Chol−Gltn/Gltn=0:10 40wt%soln.(0.1M PBS pH7.4)、4S−PEG 4.5mM(0.1M PBS pH7.4)である。 実施例3−2の接着剤を用いた接着試験後の組織をヘマトキシリンとエオシンで染色した断面像である。実施例3−2の接着剤の作成条件は、4Chol−Gltn/Gltn=1:9 40wt%soln.(0.1M PBS pH7.4)、4S−PEG 4.5mM(0.1M PBS pH7.4)である。 実施例3−3の接着剤を用いた接着試験後の組織をヘマトキシリンとエオシンで染色した断面像である。実施例3−3の接着剤の作成条件は、4Chol−Gltn/Gltn=3:7 40wt%soln.(0.1M PBS pH7.4)、4S−PEG 4.5mM(0.1M PBS pH7.4)である。 実施例3−4の接着剤を用いた接着試験後の組織をヘマトキシリンとエオシンで染色した断面像である。実施例3−4の接着剤の作成条件は、4Chol−Gltn/Gltn=5:5 40wt%soln.(0.1M PBS pH7.4)、4S−PEG 4.5mM(0.1M PBS pH7.4)である。 実施例3−5の接着剤を用いた接着試験後の組織をヘマトキシリンとエオシンで染色した断面像である。実施例3−5の接着剤の作成条件は、4Chol−Gltn/Gltn=7:3 40wt%soln.(0.1M PBS pH7.4)、4S−PEG 4.5mM(0.1M PBS pH7.4)である。 実施例3−6の接着剤を用いた接着試験後の組織をヘマトキシリンとエオシンで染色した断面像である。実施例3−6の接着剤の作成条件は、4Chol−Gltn/Gltn=9:1 40wt%soln.(0.1M PBS pH7.4)、4S−PEG 4.5mM(0.1M PBS pH7.4)である。 接着強度の7Chol−Gltn溶液とGltn溶液の重量比依存性のグラフである。 接着強度の4Chol−Gltn溶液とGltn溶液の重量比依存性のグラフである。 接着強度の7Chol−Gltn溶液とGltn溶液の重量比依存性のグラフである。 接着強度の23Chol−Gltn溶液とGltn溶液の重量比依存性のグラフである。 接着強度の70Chol−Gltn溶液とGltn溶液の重量比依存性のグラフである。 重量比1:9の組織接着剤の接着強度の疎水基導入率依存性を示すグラフである。 コレステリル化による疎水基導入率が4.9mol%、7.5mol%、12.2mol%の疎水化タラゼラチンを接着成分として使用した場合における、ブタ大動脈中膜の破断面の様子を示した顕微鏡写真である。
(本発明の実施形態)
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態である組織接着剤及びその製造方法について説明する。
本発明の実施形態である組織接着剤は、魚由来ゼラチン水溶液を含む接着成分と、水溶性架橋用分子水溶液を含む硬化成分とを混合して組織に塗布する組織接着剤である。なかでも、魚由来ゼラチンとして、側鎖に疎水性官能基を備えた疎水化魚由来ゼラチンを使用することが好ましい。
図1では、疎水化魚由来ゼラチンと水溶性架橋用分子とを有する形態を例示している。
前記疎水化魚由来ゼラチンは、2個以上のアミノ酸が直鎖状に連結された高分子である。前記アミノ酸として含まれるLysのアミノ基の一部が前記疎水性官能基で置換されている。Lysは、タンパク質を構成するα−アミノ酸の一つであり、必須アミノ酸である。側鎖にε−アミノ基を持つアミノ酸である。
Lysのアミノ基の一部は、疎水性官能基で容易に置換でき、疎水化魚由来ゼラチンのLysのアミノ基の一部は疎水性官能基で置換されている。
前記疎水化魚由来ゼラチンは、その構成アミノ酸1000個当たり、次式(1)に示すヒドロキシプロリン(Hydroxyproline)の数が90個以下の魚由来ゼラチンを主鎖とし、その側鎖にアミノ基と疎水性官能基とを備えていることが好ましい。

魚由来ゼラチン骨格を用いることにより、酵素により容易に分解させることができ、生体親和性が高くできる。また、水溶媒への分散性を高めることができる。
魚由来ゼラチンは、ティラピア、タイまたはタラのいずれかの魚由来ゼラチンであることが好ましい。これにより、水溶液中で均一に分散させて、組織接着剤を調製することができ、ゲル状ではなく、液体状にすることができ、均一に組織に塗布することが可能な塗布性に優れた組織接着剤とすることができる。
疎水化魚由来ゼラチンの分子量は、50000以上100000未満であることが好ましい。分子量を50000以上とすることにより、接着強度を向上させることができる。また、疎水化魚由来ゼラチンは、魚ゼラチンを主骨格とするので、水溶媒への分散性が高く、分子量を50000以上としても、ゲル化せず、液体状に保持できる。
魚由来ゼラチンに導入した疎水性官能基は組織にアンカーリングして、魚由来ゼラチンを組織に強固に固定することができる。これにより、疎水化魚由来ゼラチンを組織に物理的に強固に接着させることができ、接着強度を向上させることができる。
疎水性官能基として、例えば、次式(2)に示すコレステリル基を挙げることができる。
疎水性官能基としては、飽和脂肪酸であるエチル基(炭素数2)、プロピル(炭素数3)、ブチル基(炭素数4)、ペンチル基(炭素数5)、ヘキサノイル基(炭素数6)、ヘプタノイル基(炭素数7)、オクタノイル基(炭素数8)、ノナノイル基(炭素数9)、デカノイル基(炭素数10)、ウンデカノイル基(炭素数11)、ドデカノイル基(炭素数12)、トリデカノイル基(炭素数13)、テトラデカノイル基(炭素数14)、ペンタデカノイル基(炭素数15)、ヘキサデカノイル基(炭素数16)、ヘプタデカノイル基(炭素数17)、ステアロイル基(炭素数18)、分岐型飽和脂肪酸であるイソプロピル(炭素数3)、イソブチル基(炭素数4)、イソペンチル基(炭素数5)、イソヘキサノイル基(炭素数6)、イソヘプタノイル基(炭素数7)、イソオクタノイル基(炭素数8)、イソノナノイル基(炭素数9)、イソデカノイル基(炭素数10)、イソウンデカノイル基(炭素数11)、イソドデカノイル基(炭素数12)、イソトリデカノイル基(炭素数13)、イソテトラデカノイル基(炭素数14)、イソペンタデカノイル基(炭素数15)、イソヘキサデカノイル基(炭素数16)、イソパルミチル基(炭素数16)、イソヘプタデカノイル基(炭素数17)、イソステアロイル基(炭素数18)、不飽和脂肪酸であるオレイル基(炭素数18、不飽和炭素1個)、リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素2個)、α−リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素3個)、細胞膜成分であるコレステリル基の1種または2種以上の組み合わせを挙げることができる。これにより、疎水性官能基を組織に打ち込んで(アンカーリングして)物理的に強固な結合を形成して、接着強度を高くすることができる。
水溶性架橋用分子は、水溶性架橋用分子の分子主鎖がアミド結合あるいはエチレングリコールユニットあるいは糖鎖を有するとともに、2個以上の活性エステル基または酸無水物またはアルデヒド基を有する。
水溶性架橋用分子の分子主鎖がアミド結合あるいはエチレングリコールユニットあるいは糖鎖を有することにより、高い水溶性を示し、水溶媒中で分散性を高くすることができる。一分子内に2個以上の活性エステル基あるいは酸無水物あるいはアルデヒド基を有することにより、これらの水溶性架橋用分子は、疎水化魚由来ゼラチンの2つのアミノ基と反応して、結合することができ、2個以上の疎水化魚由来ゼラチンを架橋して、強固な接着構造体を形成することができる。
前記活性エステル基は、N−ヒドロキシスクシンイミジル、N−ヒドロキシスルホスクシンイミジル基の1種または2種以上の組み合わせであることが好ましい。スクシンイミドは、生体内の代謝経路に存在するコハク酸の誘導体であり、アメリカ食品医薬品局で認可された組織接着剤(シーラント)に使用されている実績があるためである。
水溶性架橋用分子は、4S−PEG、PEG−(SS)2、スクシンイミド化ポリ−L−グルタミン酸、アルデヒド基導入デンプン、アルデヒド基導入デキストランの群から選ばれる1種または2種以上の組合せを挙げることができる。
例えば、水溶性架橋用分子として、次式(3)に示すPentaerythritol poly(ethylene glycol) ether tetrasuccinimidyl glutarate(略称:4S−PEG)を挙げることができる。nは、60以下が好ましい。分子量は10,000程度とすることが好ましい。
水溶媒はリン酸緩衝液を用いることができる。そのpH値は5〜9とすることが好ましく、6〜8とすることがより好ましい。これにより、生体組織を接着する際に、水溶媒を介して、疎水化魚由来ゼラチンと水溶性架橋用分子とを効率よく架橋反応させることができる。
<本実施形態の組織接着剤を用いた組織の接着について>
次に、本実施形態の組織接着剤を用いた組織の接着について説明する。
まず、2枚の平面視略矩形状(例えば、長さ1cm×幅1cm、高さ0.5cm)の組織を用意する。組織としては、疑似皮膚としてcollagen、cellulose、glycerin等の成分から成るコラーゲンケーシングを用いることができる。
次に、液状の接着成分と液状の硬化成分と、ダブルシリンジ注射器を用いて、一方の組織の一面に塗布してから、前記一面上でこれらを混合する。
次に、他方の組織を、前記接着剤の塗布部分を覆うように押しつけてから、その他面側に重りを置いて加重を付加した状態で一定時間放置する。
なお、前記放置時間は、組織接着剤が固化するのに必要な時間であり、組織接着剤中の構成材料の割合によって適宜設定する。最大で10分程度とすることが好ましい。また、この際、例えば、37℃以下の温度で加熱してインキュベートすることが好ましい。これにより、硬化速度を上げることができる。なお、接着後固化するまで室温で放置してもよい。
なお、組織接着剤は使用前に37℃以下の温度にプレインキュベートしてから、塗布することが好ましい。
図2は、本発明の実施形態である組織接着剤を用いた組織の接着の一例を示す概略図である。
次式(4)で表される加水分解反応により、疎水化魚由来ゼラチンのアミノ基と架橋用分子の一の活性エステル基が反応して、アミド結合が形成する。その際、活性エステル基中のN−ヒドロキシスクシンイミドが遊離する。式(4)において、−COORは、水溶性架橋用分子の活性エステル、−NHは、疎水化魚由来ゼラチン中のアミノ基を示す。
この架橋反応が連鎖的に行われることにより、複数の疎水化魚由来ゼラチンが水溶性架橋用分子により化学的に強固に結合された構造体が形成される。
なお、この水溶性架橋用分子の活性エステル基は、疎水化魚由来ゼラチンおよび生体組織中に存在するコラーゲンなどのタンパク質のアミノ基とも反応して、アミド結合を形成する。これにより、より化学的に強固に結合された構造体が形成される。
また、図2に示すように、疎水的な相互作用により、一定の分子量及び大きさを有する疎水性官能基が組織に浸透し、疎水化魚由来ゼラチンは、強固に組織に固定される。これにより、前記構造体は、物理的に強固に、組織の表面に接着される。
さらに、接着成分は、疎水化魚由来ゼラチンと疎水化されていない魚由来ゼラチンを含有することがより好ましい。これによって、疎水基の凝集を阻害することができ、組織接着剤の接着強度を高めることができる。
<組織接着剤の製造方法>
次に、本発明の実施形態である組織接着剤の製造方法の一例について説明する。
本発明の実施形態である組織接着剤の製造方法は、魚由来ゼラチン水溶液を含む接着成分と、分子主鎖がアミド結合またはエチレングリコールユニットまたは糖鎖を有し、かつ、2個以上の活性エステル基または酸無水物またはアルデヒド基を有する水溶性架橋用分子水溶液を含む硬化成分とを混合する工程を含む。
また、本発明の組織接着剤の製造方法は、より好ましくは、疎水化魚由来ゼラチン合成工程S1と、接着成分調製工程S2と、硬化成分調製工程S3と、を有する。
(疎水化魚由来ゼラチン合成工程S1)
まず、その構成アミノ酸1000個当たりヒドロキシプロリンの数が90個以下の魚由来ゼラチンを溶解させた溶液に、アミン存在下で疎水性官能基を有する有機分子を添加して、前記魚由来ゼラチンの側鎖のアミノ基の一部を前記疎水性官能基で置換して、疎水化魚由来ゼラチンを合成する。
例えば、有機溶媒に溶解した魚由来ゼラチンにトリエチルアミン存在下で、アミノ基に反応性を有する疎水性官能基を有する酸クロライドを混合して、混合溶液を容器に調製する。
有機溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)を用いる。
有機分子としては、例えば、次式(5)に示すコレステリルクロロフォルメイトを挙げることができる。
次に、前記混合溶液を、不活性ガス雰囲気下、加熱し、攪拌する。例えば、窒素雰囲気下、加熱温度は80℃とし、攪拌時間は一昼夜とする。
次に、この混合溶液を、氷冷したエタノール溶媒中に滴下する。次に、この溶液をガラスフィルター等で濾過する。
更に、濾過物を有機溶媒で洗浄する。これにより、濾過物中の不純物を除去することができ、疎水化魚由来ゼラチンの純度を向上させることができる。この洗浄用の有機溶媒としては、例えば、エタノールあるいは酢酸エチルを用いる。
以上の工程により、魚由来ゼラチンの側鎖のアミノ基の一部を疎水性官能基で置換した疎水化魚由来ゼラチンを生成できる。
(接着成分調製工程S2)
前記疎水化魚由来ゼラチンをリン酸緩衝液に分散して、疎水化魚由来ゼラチンを含む水溶液からなる接着成分を調製する。
リン酸緩衝液のpHを適宜設定することにより、固化までの時間を適宜設定することができる。pH6〜8の緩衝液を用いることにより、混合した際の架橋反応を早く進行させることができる。
(硬化成分調製工程S3)
水溶性架橋用分子の分子主鎖がアミド結合あるいはエチレングリコールユニットあるいは糖鎖を有するとともに、2個以上の活性エステル基または酸無水物またはアルデヒド基を有する水溶性架橋用分子をリン酸緩衝液に分散して、水溶性架橋用分子を含む水溶液からなる硬化成分を調製する。
リン酸緩衝液のpHを適宜設定することにより、固化までの時間を適宜設定することができる。pH6〜8の緩衝液を用いることにより、混合した際の架橋反応を早く進行させることができる。
以上の工程により、本発明の実施形態である組織接着剤を容易に製造できる。
前記接着成分と、前記硬化成分とを混合して、組織に塗布してから、別の組織を張り合わせることにより、2つの組織を容易に接着できる。
<組織接着剤の製造方法(別の一例)>
次に、本発明の実施形態である組織接着剤の製造方法の別の一例について説明する。
本発明の実施形態である組織接着剤の製造方法の別の一例は、疎水化魚由来ゼラチン合成工程S11と、疎水化魚由来ゼラチンを含む水溶液調製工程S12と、魚由来ゼラチンを含む水溶液調製工程S13と、接着成分調製工程とS14と、硬化成分調製工程S15と、を有する。
疎水化魚由来ゼラチン合成工程S11は、先に記載した疎水化魚由来ゼラチン合成工程S1と同一の工程である。
疎水化魚由来ゼラチンを含む水溶液調製工程S12は、先に記載した接着成分調製工程S2と同一の工程である。
(魚由来ゼラチンを含む水溶液調製工程S13)
魚由来ゼラチンをリン酸緩衝液に分散して、魚由来ゼラチンを含む水溶液を調製する。
リン酸緩衝液のpHを適宜設定することにより、固化までの時間を適宜設定することができる。pH6〜8の緩衝液を用いることにより、混合した際の架橋反応を早く進行させることができる。
(接着成分調製工程とS14)
前記疎水化魚由来ゼラチンを含む水溶液と、前記魚由来ゼラチンを含む水溶液とを混合して、混合溶液からなる接着成分を調製する。
重量比は1:9〜5:5にすることが好ましく、1:9とすることがより好ましい。これにより、分散性を高めることができ、凝集を抑制できる。
硬化成分調製工程S15は、先に記載した硬化成分調製工程S3と同一の工程である。
以上の工程により、本発明の実施形態である組織接着剤を容易に製造できる。
前記接着成分と、前記硬化成分とを混合して、組織に塗布してから、別の組織を張り合わせることにより、2つの組織を容易に接着できる。
前記接着成分と、前記硬化成分との体積比は1:1程度にすることが好ましい。分散性を高めることができる。
本発明の実施形態である組織接着剤は、水溶液中で疎水化魚由来ゼラチンと水溶性架橋用分子を均一に分散させて、組織接着剤を調製することができ、これにより接着特性が安定した組織接着剤を製造でき、また、ゲル状ではなく、液体状にすることができ、均一に組織に塗布することが可能な塗布性に優れた組織接着剤とすることができる。また、分子量を大きくすること、及び、前記疎水化ゼラチン同士のアミノ基同士を架橋用分子の活性エステル基あるいは酸無水物で架橋して、化学的に強固な結合を形成することができる。更にまた、前記疎水性官能基を組織浸透させ(アンカーリングして)、物理的に強固な結合を形成して、接着強度を高くすることができるとともに、前記疎水化ゼラチンを創傷治癒過程において酵素(コラゲナーゼ)により容易に分解させることができ、生体親和性を高くすることができる。
本発明の実施形態である組織接着剤は、前記疎水化魚由来ゼラチンが、2個以上のアミノ酸が直鎖状に連結された高分子であって、前記アミノ酸として含まれるLysのアミノ基の一部が前記疎水性官能基で置換されている構成なので、疎水化ゼラチン中に存在するアミノ基同士を、架橋用分子の活性エステル基で架橋して、化学的に強固な結合を形成することができ、接着強度を高くすることができるとともに、疎水化ゼラチンを創傷治癒過程において酵素(コラゲナーゼ)により容易に分解させることができ、生体親和性を高くすることができる。
本発明の実施形態である組織接着剤は、前記疎水性官能基が飽和脂肪酸であるエチル基(炭素数2)、プロピル(炭素数3)、ブチル基(炭素数4)、ペンチル基(炭素数5)、ヘキサノイル基(炭素数6)、ヘプタノイル基(炭素数7)、オクタノイル基(炭素数8)、ノナノイル基(炭素数9)、デカノイル基(炭素数10)、ウンデカノイル基(炭素数11)、ドデカノイル基(炭素数12)、トリデカノイル基(炭素数13)、テトラデカノイル基(炭素数14)、ペンタデカノイル基(炭素数15)、ヘキサデカノイル基(炭素数16)、ヘプタデカノイル基(炭素数17)、ステアロイル基(炭素数18)、分岐型飽和脂肪酸であるイソプロピル(炭素数3)、イソブチル基(炭素数4)、イソペンチル基(炭素数5)、イソヘキサノイル基(炭素数6)、イソヘプタノイル基(炭素数7)、イソオクタノイル基(炭素数8)、イソノナノイル基(炭素数9)、イソデカノイル基(炭素数10)、イソウンデカノイル基(炭素数11)、イソドデカノイル基(炭素数12)、イソトリデカノイル基(炭素数13)、イソテトラデカノイル基(炭素数14)、イソペンタデカノイル基(炭素数15)、イソヘキサデカノイル基(炭素数16)、イソパルミチル基(炭素数16)、イソヘプタデカノイル基(炭素数17)、イソステアロイル基(炭素数18)、不飽和脂肪酸であるオレイル基(炭素数18、不飽和炭素1個)、リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素2個)、α−リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素3個)、細胞膜成分であるコレステリル基の1種または2種以上の組み合わせである構成なので、疎水性官能基を組織に打ち込んで(アンカーリングして)物理的に強固な結合を形成して、接着強度を高くすることができる。
本発明の実施形態である組織接着剤は、前記魚由来ゼラチンが、ティラピア、タイまたはタラのいずれかの魚由来ゼラチンである構成なので、水溶液中で均一に分散させて、組織接着剤を調製することができ、これにより接着特性が安定した組織接着剤を製造でき、また、ゲル状ではなく、液体状にすることができ、均一に組織に塗布することが可能な塗布性に優れた組織接着剤とすることができる。
本発明の実施形態である組織接着剤は、前記疎水化魚由来ゼラチンの分子量が50000以上100000未満である構成なので、組織接着剤の結合を化学的に強固な結合にすることができる。
本発明の実施形態である組織接着剤は、前記水溶性架橋用分子が、Polyethyleneglycol di−succinimidyl succinate、Pentaerythritol poly(ethylene glycol) ether tetrasuccinimidyl glutarate、スクシンイミド化ポリ−L−グルタミン酸、アルデヒド基導入デンプン、アルデヒド基導入デキストランの群から選ばれる1種または2種以上の組合せである構成なので、水溶媒中で分散性高く溶解させることができる。また、疎水化ゼラチン同士のアミノ基同士および生体組織中に存在するコラーゲンなどのタンパク質のアミノ基同士を、架橋用分子の活性エステル基または酸無水物で架橋して、組織接着剤の結合を化学的に強固な結合にすることができる。
本発明の実施形態である組織接着剤は、前記水溶液に用いる水溶媒が、pH6.0以上pH8.0以下のリン酸緩衝液(PBS)である構成なので、固化までの時間を適宜設定することができる。
本発明の実施形態である組織接着剤は、構成アミノ酸1000個当たりヒドロキシプロリンの数が90個以下の魚由来ゼラチンを有する構成なので、疎水基の凝集を阻害でき、組織接着剤の接着強度を向上させることができる。
本発明の実施形態である組織接着剤の製造方法は、構成アミノ酸1000個当たりヒドロキシプロリンの数が90個以下の魚由来ゼラチンを溶解させた溶液にアミン存在下で疎水性官能基を有する有機分子を添加して、前記魚由来ゼラチンの側鎖のアミノ基の一部を前記疎水性官能基で置換して、疎水化魚由来ゼラチンを合成する工程と、前記疎水化魚由来ゼラチンをリン酸緩衝液に分散して、疎水化魚由来ゼラチンを含む水溶液からなる接着成分を調製する工程と、水溶性架橋用分子の分子主鎖がアミド結合あるいはエチレングリコールユニットあるいは糖鎖を有するとともに、2個以上の活性エステル基または酸無水物またはアルデヒド基を有する水溶性架橋用分子をリン酸緩衝液に分散して、水溶性架橋用分子を含む水溶液からなる硬化成分を調製する工程と、を有する構成なので、疎水化魚由来ゼラチンと水溶性架橋用分子を、水溶液中で均一に分散させて、組織接着剤を調製することができ、接着強度が高く、接着特性が安定し、塗布性に優れた組織接着剤を容易に製造できる。
本発明の実施形態である組織接着剤の製造方法は、構成アミノ酸1000個当たりヒドロキシプロリン(Hydroxyproline)の数が90個以下の魚由来ゼラチンを溶解させた溶液にアミン存在下で疎水性官能基を有する有機分子を添加して、前記魚由来ゼラチンの側鎖のアミノ基の一部を前記疎水性官能基で置換して、疎水化魚由来ゼラチンを合成する工程と、前記疎水化魚由来ゼラチンをリン酸緩衝液に分散して、疎水化魚由来ゼラチンを含む水溶液を調製する工程と、前記魚由来ゼラチンをリン酸緩衝液に分散して、魚由来ゼラチンを含む水溶液を調製する工程と、前記疎水化魚由来ゼラチンを含む水溶液と、前記魚由来ゼラチンを含む水溶液とを混合して、混合溶液からなる接着成分を調製する工程と、水溶性架橋用分子の分子主鎖がアミド結合あるいはエチレングリコールユニットあるいは糖鎖を有するとともに、2個以上の活性エステル基または酸無水物またはアルデヒド基を有する水溶性架橋用分子をリン酸緩衝液に分散して、水溶性架橋用分子を含む水溶液からなる硬化成分を調製する工程と、を有する構成なので、疎水化魚由来ゼラチンと水溶性架橋用分子を、水溶液中で均一に分散させて、組織接着剤を調製することができ、接着強度が高く、接着特性が安定し、塗布性に優れた組織接着剤を容易に製造できる。また、疎水基の凝集を阻害でき、組織接着剤の接着強度を向上させることができる。
本発明の実施形態である組織接着剤の製造方法は、前記疎水化魚由来ゼラチンを含む溶液と魚由来ゼラチンを含む水溶液の重量比を1:9以上5:5未満として、前記混合溶液からなる接着成分を調製する構成なので、疎水基の凝集を阻害でき、組織接着剤の接着強度を向上させることができる。
本発明の実施形態である組織接着剤及びその製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。本実施形態の具体例を以下の実施例で示す。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(試験例1)
<水溶性架橋用分子(4S−PEG)濃度依存性評価用Gltn/4S−PEG組織接着剤の調製>
まず、魚ゼラチンとしてティラピア鱗由来魚ゼラチン(略称:Gltn、MW:70,000、ヒドロキシプロリン含量:アミノ酸1000個当たり79個、新田ゼラチン製)、水溶性架橋用分子としてPentaerythritol poly(ethylene glycol) ether tetrasuccinimidyl glutarate(略称:4S−PEG、MW:10,000、日油製)、生理食塩水(大塚製薬製)を用意した。
次に、0.1M、pH7.0のリン酸緩衝生理食塩水(Phosphate buffered saline、略称:PBS)を調製した。
次に、Gltn濃度が40wt%となるようにGltnを0.1MのPBS(pH7.0)に溶解して、ゼラチン溶液(Gltn溶液)を調製した。
次に、所定量の4S−PEGを0.1MのPBS(pH7.0)に溶解して、5、7.5、10、15、17mMの5種の4S−PEG溶液を調製した。
次に、Gltn溶液と5種の4S−PEG溶液をそれぞれ体積比1:1で混合して、試験例1−1〜1−5の組織接着剤を調製した。
次に、これらの組織接着剤をあらかじめ37℃にプレインキュベートしてから、接着試験を行い、接着強度を測定した。
<接着試験(せん断引張測定)>
組織接着剤のせん断引張測定による接着試験を行った。
図4〜6は、接着試験の概要図である。
まず、10mm×30mmのブタ血管膜50を2枚用意した。ブタ血管膜50は一面側が中膜51とされ、他面側が外膜52とされている。
次に、図4に示すように、1枚のブタ血管膜50の一端側の中膜51上に、1辺が約12mmの平面視正方形状で、厚さ0.5mmのシリコンシートからなるマスク53を配置した。マスク53には、直径10mmの平面視円形状の孔部54が設けられている。また、マスク53の一辺側には、孔部54につながるスリットが設けられている。
次に、孔部54から露出する中膜51上に、組織接着剤60を滴下した。
その後、すぐに、もう1枚のブタ血管膜50の一端側を、組織接着剤60を介して中膜51同士が重ね合うように配置した。
次に、図5に示すように、重ね合わせたブタ血管膜50の上に、重さ50gの分銅55を載せた。
次に、インキュベータにおいて、37℃で10分間静置して、インキュベートした。
次に、インキュベート後すぐに、図6に示すように、支持部62、63にブタ血管膜50の他端側を挟みこみ固定してから、互いに逆方向に引っ張り、Texture Analyzer(英弘精機社製)にて、せん断引張測定を行った。
<接着強度の水溶性架橋用分子(4S−PEG)濃度依存性評価結果>
水溶性架橋用分子として用いた4S−PEGは、塩存在下において塩析が生じ、架橋後のバルク強度が落ちることが想定される。そのため、接着強度の水溶性架橋用分子(4S−PEG)の濃度依存性を測定した。ティラピア鱗由来魚ゼラチン(Gltn)は、0.1MのPBSであって、pH7.0とした溶媒に溶解した。
図7に示す結果(接着強度の水溶性架橋用分子(4S−PEG)の濃度依存性)が得られた。図7に示すように、4S−PEG濃度が15mMのときに接着強度は極大値を示した。
なお、Gltnの残存アミノ基はトリニトロベンゼンスルホン酸法により、169.64μmol/gであることから、アミノ基:スクシンイミジル基=1:1となる条件は、4S−PEG濃度17mMのときであるので、アミノ基:スクシンイミジル基=1:1となるように架橋された状態となることにより、接着強度が極大となったものと推察された。
(試験例2)
<溶媒pH値依存性評価用Gltn/4S−PEG組織接着剤の調製>
まず、ティラピア鱗由来魚ゼラチン(Gltn)40wt%溶液を、0.1MのPBSであって、pH6.0、6.5、7.0、7.5のいずれかとした溶媒を用いて調製した。
次に、4.5mMの4S−PEG溶液を、0.1MのPBSであって、pH6.0、6.5、7.0、7.5のいずれかとした溶媒を用いて調製した。
次に、同じpH値のGltn溶液と4S−PEG溶液を、体積比1:1で混合して、試験例2−1〜2−4の組織接着剤を調製した。
次に、これらの組織接着剤をあらかじめ37℃にプレインキュベートしてから、接着試験を行い、接着強度を測定した。
なお、比較のために、ゼラチンとホルムアルデヒドからなる市販の組織接着剤(Gelatin Resorcinol Formaldehyde:GRFと表記する。)の接着強度の測定も行った。
<接着強度の溶媒(PBS)pH値依存性評価結果>
本組織接着剤の架橋反応はゼラチンのアミノ基が4S−PEGの活性エステルに対しての求核置換反応であり、反応速度はアミノ基のプロトネーション、つまり溶媒のpH値に依存している。そのため、接着強度の溶媒(PBS)pH値依存性を測定した。
図8に示す結果(接着強度の溶媒(PBS)pH値依存性)が得られた。図8に示すように、溶媒(PBS)のpH値が7.0のときに接着強度は極大値を示した。
また、図9〜図12は、それぞれ試験例2−1〜2−4の接着剤を用いた接着試験後の組織をヘマトキシリンとエオシンで染色した断面像である。各接着剤の作成条件は、Gltn 40wt%soln.4S−PEG 4.5mM(0.1M PBS pH6.0(試験例2−1)、6.5(試験例2−2)、7.0(試験例2−3)、7.5(試験例2−4))である。
また、比較のため、図13に、GRFを用いた接着試験後の組織をヘマトキシリンとエオシンで染色した断面像を示している。
図9〜図13ではいずれも、観察された接着剤硬化物(上部)が破壊していた。
(実施例1)
<4Chol−Gltn/Gltn(1:9)/4S−PEG組織接着剤の調製>
まず、Gltn中の全アミノ基に対する疎水基(Chol)導入率が4mol%で疎水化したティラピア鱗由来魚ゼラチン(Chol−Gltn)を調製した。
次に、疎水化したティラピア鱗由来魚ゼラチン(4Chol−Gltn)40wt%溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.0とした溶媒を用いて調製した。
次に、ティラピア鱗由来魚ゼラチン(Gltn)40wt%溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.0とした溶媒を用いて調製した。
次に、Chol−Gltn溶液:Gltn溶液=1:9の混合比(重量比)となるように混合溶液を調製した。
次に、15mMの4S−PEG溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.0とした溶媒を用いて調製した。
次に、混合溶液と4S−PEG溶液を、体積比1:1で混合して、実施例1の組織接着剤を調製した。
次に、この組織接着剤を、あらかじめ37℃にプレインキュベートしてから、接着試験を行い、接着時間1、3、5、10、15、30、45(min)での接着強度を測定した。
<接着強度の接着時間依存性評価結果>
図14に示す結果(接着強度の接着時間依存性)が得られた。図14に示すように、接着時間が10分で、接着強度はほぼ最大値となり、飽和して、これ以後接着時間を長くしても、接着強度はあまり変化しなかった。
(実施例2)
<0、4、7、23、70Chol−Gltn/4S−PEG組織接着剤の調製>
まず、Gltn中の全アミノ基に対する疎水基(Chol基)導入率が4、7、23、70mol%で疎水化したティラピア鱗由来魚ゼラチン(Chol−Gltn)を調製した。また、疎水化していないティラピア鱗由来魚ゼラチンも評価したが、これは0Chol−Gltnと表記している。
次に、これらの疎水化していないティラピア鱗由来魚ゼラチン(0Chol−Gltn)及び疎水化したティラピア鱗由来魚ゼラチン(4、7、23、70Chol−Gltn)の40wt%溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.4とした溶媒を用いて調製した。
次に、4.5mMの4S−PEG溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.4とした溶媒を用いて調製した。
次に、上記5種のChol−Gltn溶液と4S−PEG溶液をそれぞれ、体積比1:1で混合して、実施例2−1〜2−5の組織接着剤を調製した。
次に、この組織接着剤をあらかじめ37℃にプレインキュベートしてから、接着試験を行い、接着強度を測定した。
なお、比較のために、ゼラチンとホルムアルデヒドからなる市販の組織接着剤(Gelatin Resorcinol Formaldehyde:GRFと表記する。)の接着強度の測定も行った。
<接着強度の疎水基(Chol基)導入率依存性評価結果>
本研究は疎水基(Chol基)がECMの疎水性領域に対しての組織浸透能を持ったChol−Gltn/4S−PEGの創製を指向したものである。そのため、0、4、7、23、70Chol−Gltnの40wt%溶液と4S−PEG溶液を体積比1:1で混合させた組織接着剤の接着強度評価を行い、接着強度の疎水基(Chol基)導入率依存性を評価した。
図15に示す結果(接着強度の疎水基(Chol基)導入率依存性)が得られた。
図15に示すように、4、7、23、70Chol−Gltnは0Chol−Gltnに比較して低い接着強度を示した。また、疎水化ゼラチンの中で、7Chol−Gltnの接着強度が最も高く、4Chol−Gltn及び23Chol−Gltnがそれに次ぐ接着強度であった。
この結果は、導入したChol基が凝集し、組織浸透性に寄与し得なかったこと、及び、その凝集によって組織接着剤のバルク強度が低下したことによると考えられる。
Chol−GltnにGltnを混合することにより、Chol基の凝集を阻害でき、組織接着剤の接着強度を向上させることができる可能性がある。よって、実施例5、6で、Chol−Gltn溶液とGltn溶液の混合比を変える実験を行った。
(実施例3)
<4Chol−Gltn/Gltn(0:10〜9:1)/4S−PEG組織接着剤の調製>
まず、4Chol−Gltnの40wt%溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.4とした溶媒を用いて調製した。
次に、ティラピア鱗由来魚ゼラチン(Gltn)40wt%溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.4とした溶媒を用いて調製した。
次に、4Chol−Gltn溶液とGltn溶液を重量比0:10、1:9、3:7、5:5、7:3、9:1として、6種の混合溶液を調製した。
次に、4.5mMの4S−PEG溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.4とした溶媒を用いて調製した。
次に、6種のChol−Gltn溶液と4S−PEG溶液をそれぞれ、体積比1:1で混合した。
これにより、実施例3−1〜3−6の組織接着剤を調製した。
この組織接着剤をあらかじめ37℃にプレインキュベートしてから、接着試験を行い、接着強度を測定した。
なお、比較のために、ゼラチンとホルムアルデヒドからなる市販の組織接着剤(Gelatin Resorcinol Formaldehyde:GRFと表記する。)の接着強度の測定も行った。
<接着強度の4Chol−Gltn溶液とGltn溶液の重量比依存性評価結果>
図16に示す結果(接着強度の4Chol−Gltn溶液とGltn溶液の重量比依存性)が得られた。
図16に示すように、4Chol−Gltn溶液:Gltn溶液=1:9(重量比)の時に最も高い接着強度を示した。また、5:5(重量比)は、Gltn単独のものに比較して高い接着強度を示した。
図17〜22は、それぞれ実施例3−1〜3−5の接着剤を用いた接着試験後の組織をヘマトキシリンとエオシンで染色した断面像である。
各接着剤の作成条件は、4Chol−Gltn/Gltn=0:10(実施例3−1)、1:9(実施例3−2)、3:7(実施例3−3)、5:5(実施例3−4)、7:3(実施例3−5)、9:1(実施例3−6) 40wt%soln.(0.1M PBS pH7.4)、4S−PEG 4.5mM(0.1M PBS pH7.4)である。
図17〜図22ではいずれも、観察された接着剤硬化物(上部)が破壊していた。
(実施例4)
<7Chol−Gltn/Gltn(0:10〜9:1)/4S−PEG組織接着剤の調製>
まず、7Chol−Gltn、Gltnの40wt%溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.4とした溶媒を用いて調製した。
次に、ティラピア鱗由来魚ゼラチン(Gltn)40wt%溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.4とした溶媒を用いて調製した。
次に、7Chol−Gltn溶液とGltn溶液を重量比0:10、1:9、3:7、5:5、7:3、9:1として、6種の混合溶液を調製した。
次に、4.5mMの4S−PEG溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.4とした溶媒を用いて調製した。
次に、7Chol−Gltn溶液とGltn溶液を重量比0:10、1:9、3:7、5:5、7:3、9:1として、6種の混合溶液を調製した。
次に、6種のChol−Gltn溶液と4S−PEG溶液をそれぞれ、体積比1:1で混合して、実施例4−1〜4−6の組織接着剤を調製した。
この組織接着剤をあらかじめ37℃にプレインキュベートしてから、接着試験を行い、接着強度を測定した。
なお、比較のために、ゼラチンとホルムアルデヒドからなる市販の組織接着剤(Gelatin Resorcinol Formaldehyde:GRFと表記する。)の接着強度の測定も行った。
<接着強度の7Chol−Gltn溶液とGltn溶液の重量比依存性評価結果>
図23に示す結果(接着強度の7Chol−Gltn溶液とGltn溶液の重量比依存性)が得られた。
図23に示すように、7Chol−Gltn溶液:Gltn溶液=1:9(重量比)の時に最も高い接着強度を示した。また、5:5(重量比)は、Gltn単独のものに比較して高い接着強度を示した。
(実施例5)
<4Chol−Gltn/Gltn(0:10、1:9、5:5)/4S−PEG組織接着剤の調製>
まず、疎水基(Chol)導入率が4%で疎水化したティラピア鱗由来魚ゼラチン(4Chol−Gltn)を調製した。
次に、疎水化したティラピア鱗由来魚ゼラチン(4Chol−Gltn)40wt%溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.0とした溶媒を用いて調製した。
次に、ティラピア鱗由来魚ゼラチン(Gltn)40wt%溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.0とした溶媒を用いて調製した。
次に、4Chol−Gltn溶液:Gltn溶液=0:10、1:9、5:5(重量比)となるようにして、3種の混合溶液を調製した。
次に、15mMの4S−PEG溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.0とした溶媒を用いて調製した。
次に、3種の混合溶液と4S−PEG溶液をそれぞれ、体積比1:1で混合して、実施例5−1〜5−3の組織接着剤を調製した。
この組織接着剤をあらかじめ37℃にプレインキュベートしてから、接着試験を行い、接着強度を測定した。
なお、比較のために、ゼラチンとホルムアルデヒドからなる市販の組織接着剤(Gelatin Resorcinol Formaldehyde:GRFと表記する。)の接着強度の測定も行った。
<接着強度の4Chol−Gltn溶液とGltn溶液の重量比依存性評価結果>
図24に示す結果(接着強度の4Chol−Gltn溶液とGltn溶液の重量比依存性)が得られた。
図24に示すように、4Chol−Gltn溶液:Gltn溶液=1:9(重量比)の時に最も高い接着強度を示した。
(実施例6)
<7Chol−Gltn/Gltn(0:10、1:9、5:5)/4S−PEG組織接着剤の調製>
まず、疎水基(Chol)導入率が7%で疎水化したティラピア鱗由来魚ゼラチン(7Chol−Gltn)を調製した。
次に、疎水化したティラピア鱗由来魚ゼラチン(7Chol−Gltn)40wt%溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.0とした溶媒を用いて調製した。
次に、ティラピア鱗由来魚ゼラチン(Gltn)40wt%溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.0とした溶媒を用いて調製した。
次に、7Chol−Gltn溶液:Gltn溶液=0:10、1:9、5:5(重量比)となるようにして、3種の混合溶液を調製した。
次に、15mMの4S−PEG溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.0とした溶媒を用いて調製した。
次に、3種の混合溶液と4S−PEG溶液をそれぞれ、体積比1:1で混合して、実施例6−1〜6−3の組織接着剤を調製した。
この組織接着剤をあらかじめ37℃にプレインキュベートしてから、接着試験を行い、接着強度を測定した。
なお、比較のために、ゼラチンとホルムアルデヒドからなる市販の組織接着剤(Gelatin Resorcinol Formaldehyde:GRFと表記する。)の接着強度の測定も行った。
<接着強度の7Chol−Gltn溶液とGltn溶液の重量比依存性評価結果>
図25に示す結果(接着強度の7Chol−Gltn溶液とGltn溶液の重量比依存性)が得られた。
図25に示すように、7Chol−Gltn溶液:Gltn溶液=1:9(重量比)の時に最も高い接着強度を示した。
(実施例7)
<23Chol−Gltn/Gltn(0:10、1:9、5:5)/4S−PEG組織接着剤の調製>
まず、疎水基(Chol)導入率が23%で疎水化したティラピア鱗由来魚ゼラチン(23Chol−Gltn)を調製した。
次に、疎水化したティラピア鱗由来魚ゼラチン(23Chol−Gltn)40wt%溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.0とした溶媒を用いて調製した。
次に、ティラピア鱗由来魚ゼラチン(Gltn)40wt%溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.0とした溶媒を用いて調製した。
次に、23Chol−Gltn溶液:Gltn溶液=0:10、1:9、5:5(重量比)となるようにして、3種の混合溶液を調製した。
次に、15mMの4S−PEG溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.0とした溶媒を用いて調製した。
次に、3種の混合溶液と4S−PEG溶液をそれぞれ、体積比1:1で混合して、実施例7−1〜7−3の組織接着剤を調製した。
この組織接着剤をあらかじめ37℃にプレインキュベートしてから、接着試験を行い、接着強度を測定した。
なお、比較のために、ゼラチンとホルムアルデヒドからなる市販の組織接着剤(Gelatin Resorcinol Formaldehyde:GRFと表記する。)の接着強度の測定も行った。
<接着強度の23Chol−Gltn溶液とGltn溶液の重量比依存性評価結果>
図26に示す結果(接着強度の23Chol−Gltn溶液とGltn溶液の重量比依存性)が得られた。
図26に示すように、23Chol−Gltn溶液:Gltn溶液=0:10(重量比)の時に最も高い接着強度を示した
(実施例8)
<70Chol−Gltn/Gltn(0:10、1:9、5:5)/4S−PEG組織接着剤の調製>
まず、疎水基(Chol)導入率が70%で疎水化したティラピア鱗由来魚ゼラチン(70Chol−Gltn)を調製した。
次に、疎水化したティラピア鱗由来魚ゼラチン(70Chol−Gltn)40wt%溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.0とした溶媒を用いて調製した。
次に、ティラピア鱗由来魚ゼラチン(Gltn)40wt%溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.0とした溶媒を用いて調製した。
次に、70Chol−Gltn溶液:Gltn溶液=0:10、1:9、5:5(重量比)となるようにして、3種の混合溶液を調製した。
次に、15mMの4S−PEG溶液を、0.1MのPBSであって、pH7.0とした溶媒を用いて調製した。
次に、3種の混合溶液と4S−PEG溶液をそれぞれ、体積比1:1で混合して、実施例8−1〜8−3の組織接着剤を調製した。
この組織接着剤をあらかじめ37℃にプレインキュベートしてから、接着試験を行い、接着強度を測定した。
なお、比較のために、ゼラチンとホルムアルデヒドからなる市販の組織接着剤(Gelatin Resorcinol Formaldehyde:GRFと表記する。)の接着強度の測定も行った。
<接着強度の70Chol−Gltn溶液とGltn溶液の重量比依存性評価結果>
図27に示す結果(接着強度の70Chol−Gltn溶液とGltn溶液の重量比依存性)が得られた。
図27に示すように、70Chol−Gltn溶液:Gltn溶液=0:10(重量比)の時に最も高い接着強度を示した
図7−27の結果から、4−70Chol−Gltnは重量比1:9の組織接着剤が重量比5:5の組織接着剤に比較して高い接着強度を示した。
図28は、重量比1:9の組織接着剤の接着強度の疎水基導入率依存性を示すグラフである。
図28から分かるように、重量比1:9では、7Chol−Gltn/Gltnの組織接着剤の接着強度が極大値を取った。
実施例で調製した組織接着剤はすべて、ゲル状ではなく、液体状のままで使用でき、分子量20000程度としたブタゼラチンを用いた組織接着剤に比べて、取り扱い容易性が非常に高いものであった。
また、重量比1:9の7Chol−Gltn/Gltnの40wt%溶液(0.1MのPBS、pH7.0)と15mMの4S−PEG溶液(0.1MのPBS、pH7.0)の混合溶液を用いて調製した組織接着剤が最も高い接着強度を示したが、他の実施例で調製した組織接着剤も、市販のGRFに比べて、高い接着強度を示した。
表1〜5に、各試験例、実施例の調製条件、試験条件をまとめた。
(実施例9)疎水化タラゼラチンと4S-PEGとからなる組織接着剤のシーリング効果の評価
(1)ブタ大動脈に対する耐圧強度測定
(1−1)実験方法
タラゼラチン(cGltn)のアミノ基を一部ヘキサノイル化したHx−cGltnと4S-PEGとからなる組織接着剤のブタ大動脈に対する接着強度を検討した。
具体的には、タラゼラチンは、分子量:153,000、ヒドロキシプロリン含量:アミノ酸1000個当たり50個のものを使用した。
そして、疎水化していない40%cGltnを接着成分として調整し(Org-cGltn溶液またはOrgと記載する)、水溶性架橋剤4S-PEGを含む水溶液を硬化成分として調整し(4S-PEG溶液)、この接着成分と硬化成分とをそれぞれ200μlずつ混合することで、厚さ1.0mmシーラント(組織接着剤)の調製を行った。
同様に、ヘキサノイル基導入率が2.1mol%、8.5mol%、18.3mol%の疎水化cGltnを接着成分として調製し(2.1Hx、8.5Hx、18.3Hxと記載する)、この接着成分と硬化成分とをそれぞれ200μlずつ混合することで、厚さ1.0mmシーラント(組織接着剤)の調製を行った。
なお、4S-PEGの濃度は、cGltnあるいは疎水化cGltn中のアミノ基と4S-PEG中のスクシンイミド基が1対1となるように設定した。
そして、それぞれのシーラント(組織接着剤)の塗布後、5.0 g/mm2の荷重により10分間の圧着を行い、耐圧試験を行った。シーラント(組織接着剤)の耐圧試験はASTM (F2392-04, Standard Test Method for Burst Strength of Surgical Sealants)に従い、ブタ大動脈に対する耐圧強度の測定を行った。
(1−2)結果
結果を表6に示す。
表6から、疎水化していないOrg-cGltnを接着成分として使用した場合と比較して、疎水化cGltnを接着成分として使用した場合は、2.1Hx、8.5Hx、18.3Hxのすべてにおいて、約2倍以上の耐圧強度を示した。2.1Hxにおいても高い値を示したことから、少ない疎水基導入率でも組織との強い界面強度が得られたと考えられる。
タラゼラチンにおいては、疎水化することが接着強度の向上に極めて有効であることが確認された。

(実施例10)ラット臓器に対するシーラントの定性的評価
疎水化していない40%cGltnを接着成分として調整し(Org-cGltn溶液)、水溶性架橋剤4S-PEGを含む水溶液を硬化成分として調整し(4S-PEG溶液)、この接着成分と硬化成分とを混合して、シーラント(組織接着剤)を調整した。このシーラント(組織接着剤)をラットの臓器表面に対して50μl滴下した。37℃生理食塩水中に3日間静置し、残存している接着剤量によって定性的に評価した。
同様に、疎水基導入率が2.1mol%の疎水化cGltnを接着成分として調整し(2.1Hx)、この接着成分と硬化成分とを混合して、シーラント(組織接着剤)を調製した。このシーラント(組織接着剤)をラットの臓器表面に対して50μl滴下した。37℃生理食塩水中に3日間静置し、残存している接着剤量によって定性的に評価した。
その結果、接着成分として疎水化cGltn(2.1Hx)を用いることにより、特に肺表面および腎臓表面への接着性が向上することが明らかとなった。一方、接着成分としてOrg-cGltn溶液を用いた場合には、臓器に対する接着性はほとんど確認されなかった。

(実施例11)疎水基導入率の影響の検討
(1)実験方法
(1−1)タラゼラチン(cGltn)のアミノ基を一部コレステリル化したChol-cGltnを接着成分として調製し(Org-cGltn溶液またはOrgと記載する)、水溶性架橋剤4S-PEGを含む水溶液を硬化成分として調製し(4S-PEG溶液)、この接着成分と硬化成分とを混合することで、シーラント(組織接着剤)の調製を行った。
同様に、コレステリル化による疎水基導入率が4.9mol%、7.5mol%、12.2mol%の疎水化cGltnを接着成分として調整し、この接着成分と硬化成分とを混合することでシーラント(組織接着剤)の調製を行った。
被着体には新鮮なブタ大動脈中膜を用い、このブタ大動脈中膜にシーラント(組織接着剤)を適用して、圧着後、接着面に対して垂直方向に剥離するときの強度を接着強度とした。
(1−2)詳細な条件は、下記の通りである。
・Applied force(圧着荷重)5.0 g/ mm2
・Contact time (圧着時間) 5 min
・solution pH : 0.1M PBS (pH8)
・NH2/4S-PEG中のNHS比 =1/0.85 (NHS:N-hydroxysuccinimide)
・Chol-cGltn、cGltn濃度:40w/v%
・Control:市販品のGRFグルー
(2)結果
接着強度は、コレステリル基を導入に伴い、7.5mol%まで増加し、その後減少した。最大接着強度は、未修飾のcGltn(Org)と比較して1.5倍、市販品と比較して13.8倍の高かった。また、図29に示した破断面の様子から、7.5 mol%のChol-cGltnの場合、組織界面に接着剤が残存していることから、コレステリル化により高い界面接着性を有していることが明らかとなった。
(3)その他の疎水基
上記(1)と同様の条件で、プロピル基(Pro)、ヘキサノイル基(Hx)、ラウリル基(Lau)についても疎水基導入率が接着強度に与える影響について検討した。
結果を表7に示す。表7では、上記のコレステリル基による結果も併せて記載している。
表7に示したように、タラゼラチンにおいては、各種の疎水基によって疎水化することが接着強度の向上に極めて有効であることが確認された。また、プロピル基(Pro)、ヘキサノイル基(Hx)、ラウリル基(Lau)では、疎水基導入率に依存して接着強度が高まることが確認された。
本発明の組織接着剤及びその製造方法は、接着強度を高めるとともに、ゲル状ではなく、液体状のままで使用でき、取り扱い容易性を高めた組織接着剤に関するものなので、組織接着剤、組織封止剤(Sealant)、止血剤等を必要とする産業等において利用可能性がある。
11 疎水化魚由来ゼラチン
12 疎水基(コレステリル基)
13 アミノ基
14 ヒドロキシクロリン
21 水溶性架橋用分子
22 架橋部
31、32 組織
41 組織接着剤
50 ブタ血管膜
51 中膜
52 外膜
53 マスク
54 孔部
55 重り
60 組織接着剤
62、63 支持部
組織接着剤とは、心臓血管外科等の手術の際、血管、皮膚等の生体組織(以下、組織)の閉鎖を行う組織接着剤のことである。これを用いることにより、血液の漏出等を防止でき、手術の安全性を高めることができる。
魚由来ゼラチン水溶液を含む接着成分と、水溶性架橋用分子水溶液を含む硬化成分とを混合して組織に塗布する組織接着剤であって、前記水溶性架橋用分子の分子主鎖がアミド結合またはエチレングリコールユニットまたは糖鎖を有するとともに、2個以上の活性エステル基または酸無水物またはアルデヒド基を有し、前記魚由来ゼラチン水溶液は、側鎖に疎水性官能基を備えた疎水化魚由来ゼラチンと、疎水化されていない魚由来ゼラチンとを含み、前記疎水化魚由来ゼラチンは、全アミノ基に対する疎水性官能基の導入率が4〜7mol%であり、前記魚由来ゼラチン水溶液中の疎水化魚由来ゼラチンの含有率が10%以下である。
構成アミノ酸1000個当たりヒドロキシプロリンの数が90個以下の魚由来ゼラチンを溶解させた溶液にアミン存在下で疎水性官能基を有する有機分子を添加して、前記魚由来ゼラチンの側鎖のアミノ基の一部を前記疎水性官能基で置換して、全アミノ基に対する疎水性官能基の導入率が4〜7mol%である疎水化魚由来ゼラチンを合成する工程と、
前記疎水化魚由来ゼラチンと前記疎水化されていない魚由来ゼラチンをそれぞれリン酸緩衝液に分散して、前記疎水化魚由来ゼラチン水溶液と、前記疎水化されていない魚由来ゼラチン水溶液を調製する工程と、
前記疎水化魚由来ゼラチン水溶液と、前記疎水化されていない魚由来ゼラチン水溶液とを、重量比で、1:9以下として混合して、前記疎水化魚由来ゼラチン水溶液と前記疎水化されていない魚由来ゼラチン水溶液とを含有する接着成分を調整する工程と、
分子主鎖がアミド結合あるいはエチレングリコールユニットあるいは糖鎖を有し、かつ、2個以上の活性エステル基または酸無水物またはアルデヒド基を有する水溶性架橋用分子を、リン酸緩衝液に分散して、水溶性架橋用分子水溶液を含む硬化成分を調製する工程と、
を含む。
魚由来ゼラチン水溶液を含む接着成分と、硬化成分とを混合する工程を含み、
前記魚由来ゼラチン水溶液は、側鎖に疎水性官能基を備えた疎水化魚由来ゼラチンと、疎水化されていない魚由来ゼラチンとを含み、
前記疎水化魚由来ゼラチンは、全アミノ基に対する疎水性官能基の導入率が4〜7mol%であり、
前記魚由来ゼラチン水溶液中の前記疎水化魚由来ゼラチンの含有率が10%以下であり、
前記硬化成分は、分子主鎖がアミド結合またはエチレングリコールユニットまたは糖鎖を有し、かつ、2個以上の活性エステル基または酸無水物またはアルデヒド基を有する水溶性架橋用分子水溶液である。

Claims (15)

  1. 魚由来ゼラチン水溶液を含む接着成分と、水溶性架橋用分子水溶液を含む硬化成分とを混合して組織に塗布する組織接着剤であって、
    前記水溶性架橋用分子の分子主鎖がアミド結合またはエチレングリコールユニットまたは糖鎖を有するとともに、2個以上の活性エステル基または酸無水物またはアルデヒド基を有することを特徴とする組織接着剤。
  2. 前記接着成分の前記魚由来ゼラチンが、側鎖に疎水性官能基を備えた疎水化魚由来ゼラチンであることを特徴とする請求項1に記載の組織接着剤。
  3. 前記魚由来ゼラチンは、その構成アミノ酸1000個当たりヒドロキシプロリンの数が90個以下の魚由来ゼラチンを主鎖としていることを特徴とする請求項1に記載の組織接着剤。
  4. 前記疎水化魚由来ゼラチンはLysを含み、かつ、Lysのアミノ基の一部が疎水性官能基で置換されていることを特徴とする請求項2に記載の組織接着剤。
  5. 前記疎水性官能基が飽和脂肪酸であるエチル基(炭素数2)、プロピル(炭素数3)、ブチル基(炭素数4)、ペンチル基(炭素数5)、ヘキサノイル基(炭素数6)、ヘプタノイル基(炭素数7)、オクタノイル基(炭素数8)、ノナノイル基(炭素数9)、デカノイル基(炭素数10)、ウンデカノイル基(炭素数11)、ドデカノイル基(炭素数12)、トリデカノイル基(炭素数13)、テトラデカノイル基(炭素数14)、ペンタデカノイル基(炭素数15)、ヘキサデカノイル基(炭素数16)、ヘプタデカノイル基(炭素数17)、ステアロイル基(炭素数18)、分岐型飽和脂肪酸であるイソプロピル(炭素数3)、イソブチル基(炭素数4)、イソペンチル基(炭素数5)、イソヘキサノイル基(炭素数6)、イソヘプタノイル基(炭素数7)、イソオクタノイル基(炭素数8)、イソノナノイル基(炭素数9)、イソデカノイル基(炭素数10)、イソウンデカノイル基(炭素数11)、イソドデカノイル基(炭素数12)、イソトリデカノイル基(炭素数13)、イソテトラデカノイル基(炭素数14)、イソペンタデカノイル基(炭素数15)、イソヘキサデカノイル基(炭素数16)、イソパルミチル基(炭素数16)、イソヘプタデカノイル基(炭素数17)、イソステアロイル基(炭素数18)、不飽和脂肪酸であるオレイル基(炭素数18、不飽和炭素1個)、リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素2個)、α−リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素3個)、細胞膜成分であるコレステリル基の1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする請求項2に記載の組織接着剤。
  6. 前記魚由来ゼラチンが、ティラピア、タイまたはタラに由来する魚由来ゼラチンであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の組織接着剤。
  7. 前記疎水化魚由来ゼラチンの分子量が50000以上100000未満であることを特徴とする請求項2に記載の組織接着剤。
  8. 前記水溶性架橋用分子が、Polyethyleneglycol di-succinimidyl succinate、Pentaerythritol poly(ethylene glycol) ether tetrasuccinimidyl glutarate、スクシンイミド化ポリ−L−グルタミン酸の群から選ばれる1種または2種以上の組合せであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の組織接着剤。
  9. 前記魚由来ゼラチン水溶液に用いる水溶媒および前記水溶性架橋用分子水溶液に用いる水溶媒は、pH6.0以上pH8.0以下のリン酸緩衝液(PBS)であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の組織接着剤。
  10. 前記接着成分として、さらに、疎水化されていない魚由来ゼラチンを含有することを特徴とする請求項2に記載の組織接着剤。
  11. 前記疎水化魚由来ゼラチン水溶液が、常温で液体状であることを特徴とする請求項2に記載の組織接着剤。
  12. 構成アミノ酸1000個当たりヒドロキシプロリンの数が90個以下の魚由来ゼラチンを溶解させた溶液にアミン存在下で疎水性官能基を有する有機分子を添加して、前記魚由来ゼラチンの側鎖のアミノ基の一部を前記疎水性官能基で置換して、疎水化魚由来ゼラチンを合成する工程と、
    前記疎水化魚由来ゼラチンをリン酸緩衝液に分散して疎水化魚由来ゼラチン水溶液を得て、この疎水化魚由来ゼラチン水溶液含む接着成分を調製する工程と、
    分子主鎖がアミド結合あるいはエチレングリコールユニットあるいは糖鎖を有し、かつ、2個以上の活性エステル基または酸無水物またはアルデヒド基を有する水溶性架橋用分子を、リン酸緩衝液に分散して、水溶性架橋用分子水溶液を含む硬化成分を調製する工程と、
    を含むことを特徴とする組織接着剤の製造方法。
  13. 前記接着成分を調製する工程は、前記疎水化魚由来ゼラチン水溶液と、魚由来ゼラチンをリン酸緩衝液に分散して調整した魚由来ゼラチン水溶液とを混合する工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の組織接着剤の製造方法。
  14. 前記疎水化魚由来ゼラチン水溶液と前記魚由来ゼラチン水溶液の重量比を1:9以上5:5未満として混合することを特徴とする請求項13に記載の組織接着剤の製造方法。
  15. 魚由来ゼラチン水溶液を含む接着成分と、
    分子主鎖がアミド結合またはエチレングリコールユニットまたは糖鎖を有し、かつ、2個以上の活性エステル基または酸無水物またはアルデヒド基を有する水溶性架橋用分子水溶液を含む硬化成分とを混合する工程を含むことを特徴とする組織接着剤の製造方法。
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