JP2008284256A - 組織接着フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】従来技術では止血や創傷被覆領域にのみ用いられていたポリペプチド含有フィルムを、これまで検討されていない切開した組織を縫合する生体内分解性組織接着フィルムとして新たに利用すること。
【解決手段】ゼラチン又はコラーゲンから作製されることを特徴とする、組織接着フィルム。
【選択図】なし
【解決手段】ゼラチン又はコラーゲンから作製されることを特徴とする、組織接着フィルム。
【選択図】なし
Description
本発明は、ゼラチン又はコラーゲンを用いた生体内分解性組織接着材料に関する。
手術中に切開した組織を縫合する作業は、外科手術において日常行われている行為である。通常、切開した組織を縫合するために、縫合糸により縫うことが行われている。縫合する際、切開した組織をずれることなく正確に縫うためには、ある一定の技術が必要である。組織間を接着できるフィルムやテープが存在すれば、術者の疲労の軽減でき、近年取りざたされている医療ミスが軽減できる可能性がある。
生体内での組織接着フィルムとして要求される性質として、1.適度な接着性、2.生体内での分解性、3.非炎症性等があげられる。生体組織表面は一様に水を主成分とする体液により覆われているため、接着が困難であることが知られている。生体組織への接着を達成するには、表面の水を吸い込み、組織と基材とが密着に接着できる基材の設計が必要である。
該親水表面への接着を達成可能な要素材料としてはコラーゲンやゼラチン等のポリペプチドが挙げられる。現在、ゼラチンは止血材としての利用が行われおり、ゼルフォームという商品名で市販されている。しかしながら、これまで検討は止血材としての応用に限られており、縫合を手助けする組織接着材料への応用に関しては検討されていない。
特許文献1では、タンパク質を組織反応性官能基で修飾した粒子を用いて組織接着構成物を作製しているが、組織表面に存在する官能基と反応・共有結合する機構であり、本発明のコラーゲンやゼラチンの接着機構とは異なる。
本発明は、従来技術では止血や創傷被覆領域にのみ用いられていたポリペプチド含有フィルムを、これまで検討されていない切開した組織を縫合する生体内分解性組織接着フィルムとして新たに利用することを解決すべき課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ゼラチン又はコラーゲンを素材に用いて組織接着フィルムを作製することにより、手術後の吻合を助ける接着フィルムを作製することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、ゼラチン又はコラーゲンから作製されることを特徴とする、組織接着フィルムが提供される。
好ましくは、ゼラチン又はコラーゲンは、生体由来又は遺伝子組み換え体である。
好ましくは、ゼラチンは遺伝子組み換えゼラチンである。
好ましくは、ゼラチン又はコラーゲンは、生体由来又は遺伝子組み換え体である。
好ましくは、ゼラチンは遺伝子組み換えゼラチンである。
好ましくは、遺伝子組み換えゼラチンは、コラーゲンに特徴的なGXY部分を有し、分子量が2 KDa以上100 KDa以下である。
好ましくは、遺伝子組み換えゼラチンは、コラーゲンに特徴的なGXY部分を有し、分子量が7.5 KDa以上100 KDa以下である。
好ましくは、該遺伝子組み換えゼラチンは、天然コラーゲンの部分配列の繰り返しである。
好ましくは、遺伝子組み換えゼラチンは、コラーゲンに特徴的なGXY部分を有し、分子量が7.5 KDa以上100 KDa以下である。
好ましくは、該遺伝子組み換えゼラチンは、天然コラーゲンの部分配列の繰り返しである。
好ましくは、本発明の組織接着フィルムは、さらに多糖を構成成分として含む。
好ましくは、多糖はグリコサミノグリカン、キチン、又はキトサンである。
好ましくは、多糖はグリコサミノグリカン、キチン、又はキトサンである。
好ましくは、ゼラチン又はコラーゲンは架橋されている。
好ましくは、架橋は光、熱、縮合剤、又は酵素による架橋である。
好ましくは、架橋はグルタルアルデヒド、トランスグルタミナーゼ、又はカルボジイミドによる架橋である。
好ましくは、架橋は光、熱、縮合剤、又は酵素による架橋である。
好ましくは、架橋はグルタルアルデヒド、トランスグルタミナーゼ、又はカルボジイミドによる架橋である。
好ましくは、本発明の組織接着フィルムは、ゼラチン又はコラーゲンと溶媒を含む溶液を塗布して作製されたフィルムである。
好ましくは、溶媒は水または有機フッ素化合物である。
好ましくは、溶媒は有機フッ素化合物である。
好ましくは、溶媒は水または有機フッ素化合物である。
好ましくは、溶媒は有機フッ素化合物である。
好ましくは、フィルムは多孔質体、又は不織布である。
好ましくは、フィルムは生体内分解性である。
好ましくは、フィルムは生体内分解性である。
本発明により、(1)生体内の吻合を接着性の高いテープにて縫合となり、容易に切断組織間を接着可能となるのみでなく、(2)素材自身が毒性を示さず、(3)生体内で分解し、分解時にpHが大幅に低下せず(分解物が毒性を示さない)、(4)組織の修復を阻害しない、組織接着フィルムを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明では、ゼラチン又はコラーゲンを用いるが、好ましくはゼラチンである。ゼラチン又はコラーゲンの由来としては特に限定しないが、好ましくはウシ、ブタ、魚由来および遺伝子組み換え体が挙げられる。遺伝子組み換え体としては、例えば、酵母や大腸菌により合成できるがこれらに限定されるものではない。本発明では、遺伝子組み換えゼラチンを用いることが特に好ましい。
本発明では、ゼラチン又はコラーゲンを用いるが、好ましくはゼラチンである。ゼラチン又はコラーゲンの由来としては特に限定しないが、好ましくはウシ、ブタ、魚由来および遺伝子組み換え体が挙げられる。遺伝子組み換え体としては、例えば、酵母や大腸菌により合成できるがこれらに限定されるものではない。本発明では、遺伝子組み換えゼラチンを用いることが特に好ましい。
遺伝子組み換えゼラチンとしては、例えば、EP0926543B、EP1014176A, WO01/34646、WO2002/052342、EP1063565B、WO2004/085473、US6992172、WO2006/91099、WO2005/011740に記載のものを用いることができるがこれらに限定されるものではない。また、該生体高分子は部分的に加水分解されていてもよい。該ゼラチンは生体由来のコラーゲンの配列とのアミノ酸同一性が40%であればよく、より好ましくは50%以上である。より好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上である。ここで言うコラーゲンとは天然に存在するものであればいずれであっても構わないが、好ましくはI型、II型、III型、IV型、およびV型である。より好ましくは、I型、II型、III型である。別の形態によると、該コラーゲンの由来は好ましくは、ヒト、ウシ、ブタ、マウス、ラットである。より好ましくはヒトである。 好ましくは、該遺伝子組み換えゼラチンは、天然コラーゲンの部分配列の繰り返しである。天然コラーゲンの部分配列を部分的に換えても良い。部分配列の変更は好ましくは20%以下である。より好ましくは10%以下である。さらに好ましくは5%以下である。繰り返し回数は特に限定はないが、実際的には1-10回である。より好ましくは1-6回である。
遺伝子組み換えゼラチンの分子量は好ましくは2 KDa以上100 KDa以下である。より好ましくは、7.5 KDa以上100 KDa以下である。最も好ましくは10 KDa以上100 KDa以下である。
遺伝子組み換えゼラチンの等電点は4.8〜10であり、好ましくは4-10である。
遺伝子組み換えゼラチンがコラーゲンに特徴的なGXY部分を有する。コラーゲンに特徴的なGXY部分とは、ゼラチン・コラーゲンのアミノ酸組成および配列における、他のタンパク質と比較して非常に特異的な部分構造である。この部分においてはグリシンが全体の約3分の1を占め、アミノ酸配列では3個に1個の繰り返しとなっている。グリシンは最も簡単なアミノ酸であり、分子鎖の配置への束縛も少なく、ゲル化に際してのヘリックス構造の再生に大きく寄与している。X,Yであらわされるアミノ酸はイミノ酸(プロリン、オキシプロリン)が多く含まれ、全体の10%〜45%を占める。
好ましくは、該遺伝子組み換えゼラチンは脱アミン化されていない。
好ましくは、該遺伝子組み換えゼラチンはプロコラーゲンおよびプロコラーゲンを有さない。
好ましくは、該遺伝子組み換えゼラチンは天然コラーゲンをコードする核酸により調製された実質的に純粋なコラーゲン様材料である。
好ましくは、該遺伝子組み換えゼラチンはプロコラーゲンおよびプロコラーゲンを有さない。
好ましくは、該遺伝子組み換えゼラチンは天然コラーゲンをコードする核酸により調製された実質的に純粋なコラーゲン様材料である。
本発明では、組織接着フィルムを作製するための素材として、ゼラチン又はコラーゲンと一緒に多糖を用いることができる。本発明で用いることができる多糖の種類は、本発明を実施可能である限りは特に限定はないが、好ましくはグリコサミノグリカン、キチン、キトサンである。多糖の使用量は特に限定されないが、ゼラチン又はコラーゲンの使用量に対して一般的には0.1%から50%、好ましくは1%から20%程度である。
本発明におけるゼラチン又はコラーゲンは架橋されていてもよい。架橋は光、熱、架橋剤(化学化架橋剤(縮合剤)、又は酵素など)によって行うことができる。本発明で用いる架橋剤は本発明を実施可能である限りは特に限定はなく、化学架橋剤でも酵素でもよい。化学架橋剤としては、例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、カルボジイミド、シアナミドなどが挙げられる。好ましくは、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドである。遺伝子組み換えゼラチンの架橋の別の形態として、光や熱等の刺激により反応性する官能基を導入した遺伝子組み換えゼラチンに該刺激を加えることで架橋しても良い。例えば、遺伝子組み換えゼラチンにフェニルアジド基やシンナミル基を導入した光反応性遺伝子組み換えゼラチンに光照射して架橋することが挙げられる。また、遺伝子組み換えゼラチンにビニル基を導入し、ラジカル発生基と共存させて重合、架橋することが挙げられる。
酵素による架橋を行う場合、酵素としては、ゼラチン又はコラーゲンの架橋作用を有するものであれば特に限定されないが、好ましくはトランスグルタミナーゼおよびラッカーゼ、最も好ましくはトランスグルタミナーゼを用いて架橋を行うことができる。トランスグルタミナーゼで酵素架橋するタンパク質の具体例としては、リジン残基およびグルタミン残基を有するタンパク質であれば特に制限されない。トランスグルタミナーゼは、哺乳類由来のものであっても、微生物由来のものであってもよく、具体的には、味の素(株)製アクティバシリーズ、試薬として発売されている哺乳類由来のトランスグルタミナーゼ、例えば、オリエンタル酵母工業(株)製、Upstate USA Inc.製、Biodesign International製などのモルモット肝臓由来トランスグルタミナーゼ、ヤギ由来トランスグルタミナーゼ、ウサギ由来トランスグルタミナーゼなど、ヒト由来の血液凝固因子(Factor XIIIa、Haematologic Technologies, Inc.社)などが挙げられる。
生体高分子の架橋には生体高分子の溶液と架橋剤を混合する過程とそれらの均一溶液の反応する過程の2つの過程を有する。
本発明においてゼラチン又はコラーゲンを架橋剤で処理する際の混合温度は、溶液を均一に攪拌できる限り特に限定されないが、好ましくは0℃〜40℃であり、より好ましくは0℃〜30℃であり、より好ましくは3℃〜25℃であり、より好ましくは3℃〜15℃であり、さらに好ましくは3℃〜10℃であり、特に好ましくは3℃〜7℃である。
生体高分子と架橋剤を攪拌した後は温度を上昇させることができる。反応温度としては架橋が進行する限りは特に限定はないが、生体高分子の変性や分解を考慮すると実質的には0℃〜60℃であり、より好ましくは0℃〜40℃であり、より好ましくは3℃〜25℃であり、より好ましくは3℃から15℃であり、さらに好ましくは3℃〜10℃であり、特に好ましくは3℃〜7℃である。
本発明においてゼラチン又はコラーゲンは、その他の合成高分子との混合物としても利用することができる。該合成高分子としては、特に限定はないが、より好ましくはウレタン結合、エステル結合、エーテル結合、およびカーボネート結合を有する高分子、またはビニル重合体、およびそれらの共重合体である。好ましくは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、およびそれらの共重合体、ポリ(ε―カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)(PHA)、グリセロール、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸ベンジルエステル、ヒアルロン酸エチルエステル、アセチルセルロース、セグメント化ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチレンカーボネート、グリセロール、ポリエチレングリコール、セルロース、アセチルセルロースである。
該合成高分子の分子量は特に限定することはないが、実質的には1KDa以上10MDa以下である。好ましくは5 KDa以上500 KDa以下である。最も好ましくは10 KDa以上100 KDa以下である。さらに、該合成高分子は架橋および化学修飾が施されていても構わない。
本発明の組織接着フィルムは、ゼラチン又はコラーゲンと溶媒を含む溶液を塗布することによって作製することができる。本発明のフィルムを作製する際に使用する溶媒は、水、または有機フッ素化合物であることが好ましく、有機フッ素化合物であることがさらに好ましい。溶媒は、より好ましくは炭素数1から8の有機フッ素化合物であり、さらに好ましくは炭素数1から6の有機フッ素化合物であり、さらに好ましくは炭素数1から3の有機フッ素化合物である。溶媒は、特に好ましくは、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロアセトン、トリフルオロ酢酸、またはペンタフルオロプロピオン酸である。
本発明の組織接着フィルムの形状は、平面状であるか、または折畳み状、溝付き、コイル状であるか、またはさらに複雑な形状に形成されていてもよく、多孔質体、不織布であることも可能である。また、通常0.05〜10mm、0.05〜2mm、さらに一般的には0.05〜0.5mm、たとえば約200μmまたは300μmまたは400μmの全厚を有する。
本発明の組織接着フィルムは、好ましくは、数平方ミリメートルから数十平方センチメートルまでの寸法で作成されるか、製造後にその寸法に切断される。
本発明による組織接着フィルムは、体の内部表面および外部表面の両方への利用に適切である。つまり、それらは体の外部へ(たとえば皮膚へ)、または、従来の低観血的手術を含む外科処置の間に露出する内部器官の表面などの内部表面へ、局所利用できる。
本発明による組織接着フィルムは、胸部/心臓血管/一般外科/ENT/泌尿器科/経口/顎顔面/整形外科/神経科/胃腸病学/眼科/婦人科学/産科などの分野の外科用途に特に適している。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
実施例1: 遺伝子組み換えゼラチンの合成
コラーゲンに特徴的なGXY配列を有する遺伝子組み換えゼラチンを先行例に従って合成した(EP-A-0926453、EP-A-1014176、WO01/34646、WO2006/091099)。配列の一例を示すがこれらに限定されるものではない。
コラーゲンに特徴的なGXY配列を有する遺伝子組み換えゼラチンを先行例に従って合成した(EP-A-0926453、EP-A-1014176、WO01/34646、WO2006/091099)。配列の一例を示すがこれらに限定されるものではない。
名称:HU(配列番号1)
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名称:HU3(配列番号2)
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名称:HU4(配列番号3)
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名称:P(配列番号4)
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名称:P4(配列番号5)
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実施例2:ゼラチン−キトサンフィルムの作成
酸処理ゼラチン(ニッピ社製)、または実施例1にて合成した遺伝子組み換えゼラチン、およびキトサンを含む1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロー2−プロパノール(HFIP)溶液(ゼラチン濃度:20%、キトサン濃度:1%)をポリプロピレン製板の上に塗布(塗布厚:5 mm)することにより、ゼラチンーキトサンフィルムを得た。該フィルムからHFIPを除去した(温度:50℃、湿度:95%、時間:7日)。該フィルムを膨潤後、凍結乾燥し、多孔質のゼラチンーキトサンフィルムを得た。
酸処理ゼラチン(ニッピ社製)、または実施例1にて合成した遺伝子組み換えゼラチン、およびキトサンを含む1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロー2−プロパノール(HFIP)溶液(ゼラチン濃度:20%、キトサン濃度:1%)をポリプロピレン製板の上に塗布(塗布厚:5 mm)することにより、ゼラチンーキトサンフィルムを得た。該フィルムからHFIPを除去した(温度:50℃、湿度:95%、時間:7日)。該フィルムを膨潤後、凍結乾燥し、多孔質のゼラチンーキトサンフィルムを得た。
実施例3:ゼラチンーキトサン混合フィルムの組織接着性
実施例2にて作製したフィルムをラット肝臓組織へ貼り付けると、肝臓表面の水をフィルムに吸い取り、組織表面に接着することが観察された。
実施例2にて作製したフィルムをラット肝臓組織へ貼り付けると、肝臓表面の水をフィルムに吸い取り、組織表面に接着することが観察された。
実施例4:分解したゼラチンフィルムのpH変化
糸の分解時の内部のpH変化を調べるため、別に上記と同様の組成のゼラチン構造物(5 mm四方)を作製した。比較例としてポリ乳酸をテトラヒドロフランにて溶解、キャストすることで構造物を作製した(5 mm四方)。ゼラチン構造物をコラゲナーゼにて構造物の半分が分解したところで、構造物を取り出し、切開し、pH試験紙によりpHを測定した。
糸の分解時の内部のpH変化を調べるため、別に上記と同様の組成のゼラチン構造物(5 mm四方)を作製した。比較例としてポリ乳酸をテトラヒドロフランにて溶解、キャストすることで構造物を作製した(5 mm四方)。ゼラチン構造物をコラゲナーゼにて構造物の半分が分解したところで、構造物を取り出し、切開し、pH試験紙によりpHを測定した。
一方、ポリ乳酸を高温(80℃)、高湿(湿度:100%)で静置し、構造物の半分が分解したところで構造物を取り出し、切開し、pH試験紙によりpHを測定した。
ゼラチン構造物のpHは約6であったのに対し、ポリ乳酸内部のpHは約2であった。ポリ乳酸やポリグリコール酸により作製したフィルムは体内で分解される際に組織の局所で大きなpH変化を引き起こしているのに対し、ゼラチンにより作製したフィルムは生体内で分解する際のpH変化を低減することができたと言える。
Claims (16)
- ゼラチン又はコラーゲンから作製されることを特徴とする、組織接着フィルム。
- ゼラチン又はコラーゲンが、生体由来又は遺伝子組み換え体である、請求項1に記載の組織接着フィルム。
- ゼラチンが遺伝子組み換えゼラチンである、請求項1又は2に記載の組織接着フィルム。
- 遺伝子組み換えゼラチンが、コラーゲンに特徴的なGXY部分を有し、分子量が2 KDa以上100 KDa以下である、請求項3に記載の組織接着フィルム。
- 遺伝子組み換えゼラチンがコラーゲンに特徴的なGXY部分を有し、分子量が7.5 KDa以上100 KDa以下である、請求項3に記載の組織接着フィルム。
- 該遺伝子組み換えゼラチンが天然コラーゲンの部分配列の繰り返しである、請求項1から4の何れかに記載の癒着防止材料。
- さらに多糖を構成成分として含む、請求項1から6の何れかに記載の組織接着フィルム。
- 多糖がグリコサミノグリカン、キチン、又はキトサンである、請求項7に記載の組織接着フィルム。
- ゼラチン又はコラーゲンが架橋されている、請求項1から8の何れかに記載の組織接着フィルム。
- 該架橋が光、熱、縮合剤、又は酵素による架橋である、請求項9に記載の組織接着フィルム。
- 該架橋がグルタルアルデヒド、トランスグルタミナーゼ又はカルボジイミドによる架橋である、請求項9又は10に記載の組織接着フィルム。
- ゼラチン又はコラーゲンと溶媒を含む溶液を塗布して作製されたフィルムである、請求項1から11の何れかにに記載の組織接着フィルム。
- 溶媒が水または有機フッ素化合物である、請求項12に記載の組織接着フィルム。
- 溶媒が有機フッ素化合物である、請求項13に記載の組織接着フィルム
- 該フィルムが多孔質体、又は不織布である、請求項1から14の何れかに記載の組織接着フィルム。
- 該フィルムが生体内分解性である、請求項1から15の何れかに記載の組織接着フィルム。
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