JP7263707B2 - シート状接着剤 - Google Patents
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Description
(1) プロパギルアミノ酸で10~50%修飾されたポリカルボン酸誘導体と、生体由来高分子とで生成する架橋体を含み、
前記ポリカルボン酸は、分子内に2個以上のカルボキシル基を有するカルボン酸である、
シート状接着剤。
(2) ポリカルボン酸、プロパルギルアミノ酸を構成するアミノ酸および生体由来高分子の順に結合して架橋体を形成している、(1)に記載のシート状接着剤。
(3) 前記ポリカルボン酸は、ポリグルタミン酸またはポリアスパラギン酸である、(1)または(2)に記載のシート状接着剤。
(4) 前記プロパルギルアミノ酸を構成するアミノ酸は、生体のタンパク質を構成するアミノ酸である、(1)~(3)のいずれかに記載のシート状接着剤。
(5) 前記プロパルギルアミノ酸を構成するアミノ酸は、グリシンである、(1)~(4)のいずれかに記載のシート状接着剤。
(6) 前記生体由来高分子は、血漿アルブミン、卵白アルブミン、カゼイン、コラーゲン、ゼラチンからなる群から選ばれる1種以上である、(1)~(5)のいずれかに記載のシート状接着剤。
(7) 生分解性材料からなるシート状物の少なくとも片面の一部に前記架橋体が被覆された、(1)~(6)のいずれかに記載のシート状接着剤。
(8) 組織接着用または組織閉鎖用である、(1)~(7)のいずれかに記載のシート状接着剤。
グリシン(ナカライテスク)2.1gと2-プロピン-1-オール(ナカライテスク)30mLの混合液を調製し、室温で塩化チオニル(ナカライテスク)2.4mLを添加した。反応液を室温で2時間撹拌し、更に50℃で2時間撹拌した。反応液を5℃まで冷却し、酢酸エチル90mLを添加することにより、沈殿物を得た。沈殿物をろ過により分離し、更に酢酸エチル30mLで3回洗浄し、乾燥(50℃、12時間)することにより、グリシン,2-プロピン-1-イル,エステル(アミノエタン酸2-プロピニル)(GPE)を得た。
ポリカルボン酸誘導体を構成するカルボキシル基に対するプロパルギルアミノ酸の修飾率は、DMSO-d6中の1H-NMRスペクトル(BRUKER、MR400)を測定することにより決定した。修飾率の算出は、プロパルギルアミノ酸が修飾されたカルボキシル基と修飾されていないカルボキシル基のα水素の積分強度比を測定し、下記の式により求めた。
修飾率(%)=[修飾されたカルボキシル基のα水素]/[(未修飾のカルボキシル基のα水素)+(修飾されたカルボキシル基のα水素)]×100
製造例1-10において得られた各ポリカルボン酸誘導体について、水への溶解性を調べた結果を表1に示す。水への溶解性試験は、純水に各ポリカルボン酸誘導体を20wt%になるように添加し、25℃で350rpm、1時間撹拌した後に、目視にて溶解具合を確認した。液中のポリカルボン酸誘導体が完全に溶解した場合を「溶」とし、少なくとも一部溶け残りがある場合を「不溶」とした。
各実施例において得られた試験片をテンシロン万能材料試験機(エー・アンド・エー、RTG-1310)を用いて、引張せん断接着強度(JIS K6850)を測定した。なお、測定時の温度は23℃、湿度は50%Rh、引張速度は10mm/minとした。得られた歪み-応力曲線より引張せん断接着強度を求めた。具体的には、接着層が破断した時の最大応力を引張せん断接着強度とした。なお、引張せん断接着強度は、4回の測定の平均値とした。
ポリ-γ-グルタミン酸(γ-PGA、東洋紡)0.5gにDMSO(ナカライテスク)8mLを加え、60℃で1時間撹拌し溶解させた。当該溶液を室温まで冷却し、γ-PGAを構成するカルボン酸単位に対して0.15当量のグリシン,2-プロピン-1-イル,エステル(GPE)および同0.15当量のO-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N´,N´-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸(HBTU、東京化成工業)を添加した。さらに、同0.3当量のトリエチルアミン(Et3N、ナカライテスク)を添加し、室温で24時間撹拌し反応させた。反応後、アセトン(ナカライテスク)35mLを添加し、ポリマーを析出させた。得られたポリマーをアセトン30mLで洗浄し、乾燥させた。乾燥後、粗ポリマーを水5.5mLに溶解し、アセトン60mLを添加して、再び沈殿させ、ろ過により分取した。60℃で12時間真空乾燥し、目的のGPE化γ-PGAを得た。1H-NMR(DMSO-D6)より、γ-PGAのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、10%であることを確認した。本製造例により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化γ-PGA(10)とした。
原料の仕込量として、γ-PGAを構成するカルボン酸単位に対して0.25当量のGPE、同0.25当量のHBTUおよび同0.5当量のEt3Nを用いた以外は、製造例1記載の方法によりポリカルボン酸誘導体を調製した。1H-NMR(DMSO-D6)より、γ-PGAのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、15%であることを確認した。本製造例により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化γ-PGA(15)とした。
原料の仕込量として、γ-PGAを構成するカルボン酸単位に対して0.5当量のGPE、同0.5当量のHBTUおよび同1.0当量のEt3Nを用いた以外は、製造例1記載の方法によりポリカルボン酸誘導体を調製した。1H-NMR(DMSO-D6)より、γ-PGAのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、25%であることを確認した。本製造例により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化γ-PGA(25)とした。
原料の仕込量として、γ-PGAを構成するカルボン酸単位に対して0.75当量のGPE、同0.75当量のHBTUおよび同1.5当量のEt3Nを用いた以外は、製造例1記載の方法によりポリカルボン酸誘導体を調製した。1H-NMR(DMSO-D6)より、γ-PGAのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、45%であることを確認した。本製造例により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化γ-PGA(45)とした。
原料の仕込量として、γ-PGAを構成するカルボン酸単位に対して0.9当量のGPE及び同0.9当量のHBTUおよび同1.8当量のEt3Nを用いた以外は、製造例1記載の方法によりポリカルボン酸誘導体を調製した。1H-NMR(DMSO-D6)より、γ-PGAのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、50%であることを確認した。本製造例により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化γ-PGA(50)とした。
原料の仕込量として、γ-PGAを構成するカルボン酸単位に対して1.0当量のGPE及び同1.0当量のHBTUおよび同2.0当量のEt3Nを用いた以外は、製造例1記載の方法によりポリカルボン酸誘導体を調製した。しかし、水に対する溶解性が悪く、水を用いた精製は断念した。1H-NMR(DMSO-D6)より、γ-PGAのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、56%であることを確認した。本製造例により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化γ-PGA(56)とした。
γ-PGAの代わりに、ポリアスパラギン酸(PAA、シグマアルドリッチ)、原料の仕込量として、PAAを構成するカルボン酸単位に対して0.15当量のGPE及び同0.15当量のHBTUおよび同0.3当量のEt3Nを用いた以外は、製造例1記載の方法によりポリカルボン酸誘導体を調製した。1H-NMR(DMSO-D6)より、PAAのカルボン酸単位に対するGPEの修飾率は、25%であることを確認した。本製造例により得られたポリカルボン酸誘導体をGPE化PAA(25)とした。
NHS(N-ヒドロキシスクシンイミジル)化γ-PGAの調製は、ネットワークポリマー,Vol.36,No.6(2015),p.282-287.の記載の方法に従い行った。1H-NMR(DMSO-D6)より、γ-PGAのカルボン酸単位に対するNHSの修飾率は、7%であることを確認した。本製造例8により得られたポリカルボン酸誘導体をNHS化γ-PGA(7)とした。
製造例8と同様にして、γ-PGAのカルボン酸単位に対するNHSの修飾率が25%であるNHS化γ-PGA(25)を調製した。
製造例8と同様にして、γ-PGAのカルボン酸単位に対するNHSの修飾率が50%であるNHS化γ-PGA(50)を調製した。
製造例1-5および7において得られた各ポリカルボン酸誘導体を水に溶解し、2.5~10wt%の水溶液を作製した。一方、製造例8-10のNHS化γ-PGAは、水に溶解し難いため、代わりに7%炭酸水素ナトリウム水溶液を用いた。また別に、和光純薬製ウシ骨由来のゼラチンを温水(50℃)に溶解し、10wt%水溶液を作製した。得られた各ゼラチン水溶液に、前記ポリカルボン酸誘導体水溶液を混合し、1分間撹拌した後、東洋紡製PETフィルム上にチャージし、アプリケーターにてキャストした。室温にて6時間真空乾燥した後、PETフィルムを剥離し、膜厚が約50μmのシート状接着剤を得た。得られたシート状接着剤(実施例1-15、比較例3-8)を用いて以下の試験を行った。なお、ゼラチン水溶液のみを用いて調製したシート状接着剤を参考例1とした。
幅1cm、長さ5cm、厚み188μmの東洋紡製PETフィルムの端部(幅1cm×長さ1cm)に幅1cm×長さ1cm×厚み5mmの豚皮(豚足非加熱部位)をシアノアクリレート系接着剤(アロンアルファ(登録商標)、東亞合成社、型番201)で接着固定した試験片を2枚準備した(図1)。前記試験片の1枚の豚皮部分に、各実施例で調製したシート状接着剤を豚皮と同サイズにカットしたものを重ね、25μLの水を滴下し、接着部位を湿潤させた。その後、他の試験片を豚皮同士が重なるように貼り合わせた(図2)。試験片同士がずれないように、クロスピンで挟んで室温で1時間置いた。得られた試験片を用いて引張せん断接着強度を測定した。これらの結果を表1に示す。
2 豚皮
3 シート状接着剤
Claims (8)
- プロパギルアミノ酸で10~50%修飾されたポリカルボン酸誘導体と、生体由来高分子とで生成する架橋体を含み、
前記ポリカルボン酸は、分子内に2個以上のカルボキシル基を有するカルボン酸である、
シート状接着剤。 - ポリカルボン酸、プロパルギルアミノ酸を構成するアミノ酸および生体由来高分子の順に結合して架橋体を形成している、請求項1に記載のシート状接着剤。
- 前記ポリカルボン酸は、ポリグルタミン酸またはポリアスパラギン酸である、請求項1または2に記載のシート状接着剤。
- 前記プロパルギルアミノ酸を構成するアミノ酸は、生体のタンパク質を構成するアミノ酸である、請求項1~3のいずれかに記載のシート状接着剤。
- 前記プロパルギルアミノ酸を構成するアミノ酸は、グリシンである、請求項1~4のいずれかに記載のシート状接着剤。
- 前記生体由来高分子は、血漿アルブミン、卵白アルブミン、カゼイン、コラーゲン、ゼラチンからなる群から選ばれる1種以上である、請求項1~5のいずれかに記載のシート状接着剤。
- 生分解性材料からなるシート状物の少なくとも片面の一部に前記架橋体が被覆された、請求項1~6のいずれかに記載のシート状接着剤。
- 組織接着用または組織閉鎖用である、請求項1~7のいずれかに記載のシート状接着剤。
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