JP6048811B2 - 組織接着膜及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、組織接着膜及びその製造方法に関する。
組織接着膜は、心臓血管外科等の手術の際、血管、皮膚等の生体組織(以下、組織)の接着が可能な高分子膜のことである。これを用いることにより、血液の漏出等を防止でき、手術の安全性を高めることができる。
組織を接着する生体材料には、大きく分けて、シアノアクリレート系組織接着剤、バイオポリマーとアルデヒド系架橋剤からなる組織接着剤及びフィブリン系の組織接着剤および接着膜の3種類がある。
これらの組織接着剤および接着膜はいずれも、接着強度と生体親和性のいずれかの特性が十分ではなかった。
フィブリン系の組織接着剤および接着膜においては、ヒト血液を原料とした血液製剤であるため、医薬品の分類となり、承認認可の面で多大な労力を必要とする。また、医薬品分類となった場合には、認可後も、使用履歴を20年間継続して残さねばならず、多大な労力を必要とするという課題があった。
一方、非血液製剤であるゼラチン(gelatin)をスクシンイミド化ポリ−L−グルタミン酸により架橋して調製する医用材料(特許文献1)及びゼラチン又はコラーゲン(collagen)から作成される組織接着フィルム(特許文献2)や、粒子形態の縦合成および/または架橋性の材料と、粒子状材料とが混合された組織接着構成物(特許文献3)並びに側鎖にアルキル基を導入したゼラチンが報告されている。しかし、これらはいずれも、湿潤組織に対する接着力が十分でないという課題がある。
このような状況下、湿潤環境下でも接着力(接着強度)が高く適度な強度を持つ医療用フィルム(組織接着膜)が求められている。
特開平9―103479号公報 特開2008−284256号公報 特表2006−523113号公報
J.Bioact.Compat.Polym.,27,481−498(2012)
本発明は、湿潤環境下でも接着力(接着強度)が高く適度な強度を持つ医療用フィルム(組織接着膜)及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、分子量が50000超100000以下で、アミノ基と疎水性官能基を有する疎水化ゼラチンのみを用いることで、湿潤環境下でも接着力(接着強度)が高く、かつ、適度な強度を持つ医療用フィルム(組織接着膜)及びその製造方法を提供することができることを発見し、本発明を完成した。
本発明は、以下の構成を有する。
(1)アミノ酸として含まれるLysのアミノ基の一部が疎水性官能基で置換されている疎水化ゼラチンのみからなることを特徴とする組織接着膜。
(2)前記疎水化ゼラチンが、分子量が50000超100000以下であり、側鎖にアミノ基と疎水性官能基を備えていることを特徴とする(1)に記載の組織接着膜。
(3)前記疎水化ゼラチンが、互いに熱架橋されていることを特徴とする(1)又は(2)に記載の組織接着膜。
(4)前記疎水性官能基が、飽和脂肪酸であるエチル基(炭素数2)、プロピル(炭素数3)、ブチル基(炭素数4)、ペンチル基(炭素数5)、ヘキサノイル基(炭素数6)、ヘプタノイル基(炭素数7)、オクタノイル基(炭素数8)、ノナノイル基(炭素数9)、デカノイル基(炭素数10)、ウンデカノイル基(炭素数11)、ドデカノイル基(炭素数12)、トリデカノイル基(炭素数13)、テトラデカノイル基(炭素数14)、ペンタデカノイル基(炭素数15)、ヘキサデカノイル基(炭素数16)、ヘプタデカノイル基(炭素数17)、ステアロイル基(炭素数18)、分岐型飽和脂肪酸であるイソプロピル(炭素数3)、イソブチル基(炭素数4)、イソペンチル基(炭素数5)、イソヘキサノイル基(炭素数6)、イソヘプタノイル基(炭素数7)、イソオクタノイル基(炭素数8)、イソノナノイル基(炭素数9)、イソデカノイル基(炭素数10)、イソウンデカノイル基(炭素数11)、イソドデカノイル基(炭素数12)、イソトリデカノイル基(炭素数13)、イソテトラデカノイル基(炭素数14)、イソペンタデカノイル基(炭素数15)、イソヘキサデカノイル基(炭素数16)、イソパルミチル基(炭素数16)、イソヘプタデカノイル基(炭素数17)、イソステアロイル基(炭素数18)、不飽和脂肪酸であるオレイル基(炭素数18、不飽和炭素1個)、リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素2個)、α−リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素3個)、細胞膜成分であるコレステリル基の1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の組織接着膜。
(5)前記ゼラチンが、ヒト、ブタ、ウシ、魚由来のゼラチン又は遺伝子組換えゼラチンの1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の組織接着膜。
(6)疎水化ゼラチンをフッ素系溶媒に分散させて、疎水化ゼラチン含有溶液を調製する工程と、前記疎水化ゼラチン含有溶液をトレイに流し込んでから、前記フッ素系溶媒を揮発させ、乾燥膜からなる組織接着膜を得る工程と、を有することを特徴とする組織接着膜の製造方法。
(7)前記フッ素系溶媒がヘキサフルオロイソプロパノールであることを特徴とする(6)に記載の組織接着膜の製造方法。
(8)ゼラチンを溶解させた溶液にアミン存在下で疎水性官能基を有する有機分子を添加し、前記ゼラチンの側鎖のアミノ基の一部を前記疎水性官能基で置換して、疎水化ゼラチンを合成する工程を有することを特徴とする(6)又は(7)に記載の組織接着膜の製造方法。
(9)乾燥膜を加熱して熱架橋する工程を有することを特徴とする(6)〜(8)のいずれかに記載の組織接着膜の製造方法。
本発明の組織接着膜は、アミノ酸として含まれるLysのアミノ基の一部が疎水性官能基で置換されている疎水化ゼラチンのみからなる構成なので、疎水化ゼラチンの移動の自由度が高く、効率よく疎水性官能基を組織および細胞膜に打ち込んで(アンカーリングして)物理的に強固な結合を形成させることができ、湿潤環境下でも接着力(接着強度)が高くすることができる。また、分子量が50000超なので、適度な強度を持つ膜とすることができる。更に、前記ゼラチンは創傷治癒過程において酵素(コラゲナーゼ)により容易に分解させることができ、生体親和性を高くすることができる。
本発明の組織接着膜は、前記疎水化ゼラチンが、互いに熱架橋されている構成なので、膜の強度が高められ、湿潤環境下でも接着力(接着強度)が高く適度な強度を持つ組織接着膜とすることができる。
本発明の組織接着膜の製造方法は、疎水化ゼラチンをフッ素系溶媒に溶解させて、疎水化ゼラチン含有溶液を調製する工程と、前記疎水化ゼラチン含有溶液をトレイに流し込んでから、前記フッ素系溶媒を揮発させ、乾燥膜からなる組織接着膜を得る工程と、を有する構成なので、湿潤環境下でも接着力(接着強度)が高く適度な強度を持つ組織接着膜を容易に製造できる。
本発明の組織接着膜の製造方法は、乾燥膜を加熱して熱架橋する工程を有する構成なので、熱架橋により、前記疎水化ゼラチン内に、直鎖状の高分子間を連結するペプチド結合(アミノ基とカルボキシル基が脱水縮合してできる‐CO‐NH‐の結合)を形成して、膜の強度を高めて、湿潤環境下でも接着力(接着強度)が高く適度な強度を持つ組織接着膜を容易に製造できる。
本発明の第1の実施形態である組織接着膜を示す概略図である。 本発明の第1の実施形態である組織接着膜を用いた生体組織間の接着を示す概略図である。 本発明の第1の実施形態である組織接着膜の製造方法を示す概略図であって、溶媒揮発化工程図である。 本発明の第2の実施形態である組織接着膜を示す概略図である。 本発明の第2の実施形態である組織接着膜を用いた生体組織間の接着を示す概略図である。 本発明の第2の実施形態である組織接着膜の製造方法を示す概略図であって、膜加熱工程図である。 フィルムの含水率(Water Content(%))と浸漬時間(Immersion Time(min))との関係を示すグラフであって、(a)は熱架橋(thermal cross linking)前のフィルムのものであり、(b)は熱架橋後のフィルムのものである。 熱架橋したフィルムの強度(Strength(MPa,KPa))と疎水基導入率(Induction ratio(%))との関係を示すグラフであって、(a)は乾燥(dry)フィルムであり、(b)は湿った(wet)フィルム(膨潤状態のフィルム)である。 引っ張り試験の概略図であって(a)は斜視図であり、(b)正面図である。 フィルムと湿潤生体組織との間の接着強度(Bonding Strength(KPa))と疎水化ゼラチンの種類との関係を示すグラフであって、(a)はブタ組織(動脈外膜:porcinal adventitia)であり、(b)はブタ組織(大腸表皮:porcinal intestinal epithelium)である。 ブタ湿潤組織(動脈外膜:porcinal adventitia)とフィルムとの間の接着強度(Bonding Strength(KPa))に対する疎水性官能基の導入率との関係を示すグラフであって、(a)は熱架橋(thermal cross linking)前のフィルムのものであり、(b)は熱架橋後のフィルムのものである。 剥離試験後のフィルム−ブタ動脈外膜間の界面をHE染色像である。
(本発明の第1の実施形態)
以下、添付図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態である組織接着膜及びその製造方法について説明する。
<組織接着膜>
まず、本発明の第1の実施形態である組織接着膜について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態である組織接着膜を示す概略図である。
図1に示すように、組織接着膜1は、疎水化ゼラチン10のみが膜状に集積されて、概略構成されている。
組織接着膜1の形状は、例えば、平面視略矩形状の膜である。膜の一面と他面はそれぞれ平坦な面とされている。大きさは特に限られるものではないが、例えば、一辺の長さが8mm、厚さが100μmの膜とすることができる。
しかし、組織接着膜1の形状はこれに限られるものではなく、平面視略円形状であってもよく、平面視略楕円形状であってもよい。
疎水化ゼラチン10は、ゼラチンからなる主鎖と、その側鎖にアミノ基12と疎水性官能基11とを備えている。ゼラチン骨格を用いることにより、酵素により容易に分解させることができ、生体親和性を高くできる。
疎水化ゼラチン10は、アミノ酸として含まれるLysのアミノ基12の一部が疎水性官能基11で置換されている。
Lysは、タンパク質を構成するα−アミノ酸の一つであり、必須アミノ酸である。側鎖にε−アミノ基を持つアミノ酸である。
Lysのアミノ基の一部は、公知の方法により、疎水性官能基11で容易に置換でき、疎水化ゼラチン10のLysのアミノ基12の一部は疎水性官能基11で置換されている。
主鎖となるゼラチンとしては、例えば、ヒト、ブタ、ウシ、魚由来のゼラチン又は遺伝子組換えゼラチンを挙げることができる。これらのゼラチンの1種または2種以上の組み合わせを用いてもよい。
疎水化ゼラチン10の分子量は、50000超100000以下であることが好ましく、60000超100000以下がより好ましく、70000超100000以下が更に好ましい。疎水化ゼラチン10の分子量をこの範囲とすることによって、膜の強度をある程度保持させることができるとともに、ゼラチンからなる主鎖の移動の自由度を高め、疎水性官能基11の組織への安価リングの自由度も高めることができ、接着強度を向上させることができる。
疎水化ゼラチン10の分子量が50000以下の場合には、膜としての強度が低く、容易に、崩れる。
組織接着膜1を生体組織に貼付すると、疎水化ゼラチン10に導入した疎水性官能基11を組織中に含まれる細胞外マトリックスの疎水ドメインおよび細胞の脂質二分子膜にアンカーリングして、疎水化ゼラチン10を組織に強固に固定することができる。これにより、疎水化ゼラチン10を組織に物理的に強固に接着させることができ、接着強度を向上させることができる。
疎水性官能基11の鎖長が短い場合(炭素数1以下)疎水性度が低いため、疎水性官能基11を組織に突き刺すことが困難となり、疎水化ゼラチン10を組織に強固に固定することはできない。
疎水性官能基11として、飽和脂肪酸であるエチル基(炭素数2)、プロピル(炭素数3)、ブチル基(炭素数4)、ペンチル基(炭素数5)、ヘキサノイル基(炭素数6)、ヘプタノイル基(炭素数7)、オクタノイル基(炭素数8)、ノナノイル基(炭素数9)、デカノイル基(炭素数10)、ウンデカノイル基(炭素数11)、ドデカノイル基(炭素数12)、トリデカノイル基(炭素数13)、テトラデカノイル基(炭素数14)、ペンタデカノイル基(炭素数15)、ヘキサデカノイル基(炭素数16)、ヘプタデカノイル基(炭素数17)、ステアロイル基(炭素数18)、分岐型飽和脂肪酸であるイソプロピル(炭素数3)、イソブチル基(炭素数4)、イソペンチル基(炭素数5)、イソヘキサノイル基(炭素数6)、イソヘプタノイル基(炭素数7)、イソオクタノイル基(炭素数8)、イソノナノイル基(炭素数9)、イソデカノイル基(炭素数10)、イソウンデカノイル基(炭素数11)、イソドデカノイル基(炭素数12)、イソトリデカノイル基(炭素数13)、イソテトラデカノイル基(炭素数14)、イソペンタデカノイル基(炭素数15)、イソヘキサデカノイル基(炭素数16)、イソパルミチル基(炭素数16)、イソヘプタデカノイル基(炭素数17)、イソステアロイル基(炭素数18)、不飽和脂肪酸であるオレイル基(炭素数18、不飽和炭素1個)、リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素2個)、α−リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素3個)、細胞膜成分であるコレステリル基(次式(1)に示す)の1種または2種以上の組み合わせを挙げることができる。
<本実施形態の組織接着膜を用いた組織の接着について>
次に、本発明の第1の実施形態の組織接着膜を用いた組織の接着について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態である組織接着膜を用いた組織の接着を示す概略図である。
図2に示すように、疎水的な相互作用により、一定の分子量及び大きさを有する疎水性官能基11が組織21,22に突き刺さっている(これをアンカーリングともいう)。これにより、疎水化ゼラチン10は、強固に組織21,22に固定される。これにより、組織接着膜1は、物理的に強固に、2つの組織21,22を接着することができる。
なお、アンカーリングしていない疎水性官能基11も存在する。
接着操作は、組織21の一面に、組織接着膜1の一面を貼り付けてから、組織接着膜1の他面に別の組織22を貼り付けて、室温で放置するだけである。
放置時間は、組織接着膜1が組織21、22内の水分を吸収して架橋するのに必要な時間であり、組織接着膜1中の構成材料の割合によって適宜設定する。例えば、10分程度とする。また、この際、接着速度をあげるために37℃以下であれば加熱しても良い。
<組織接着膜の製造方法>
次に、本発明の第1の実施形態である組織接着膜の製造方法について説明する。
本発明の第1の実施形態である組織接着膜の製造方法は、疎水化ゼラチン溶液調製工程と、溶媒揮発化工程とを有する。
なお、疎水化ゼラチンは次の疎水化ゼラチン合成工程により作成することが好ましい。
(疎水化ゼラチン合成工程)
疎水化ゼラチン合成工程は、ゼラチンを溶解させた溶液にトリエチルアミン存在下で疎水性官能基を有する有機分子を添加し、前記ゼラチンの側鎖のアミノ基の一部を前記疎水性官能基で置換して、疎水化ゼラチンを合成する工程である。
なお、前記ゼラチンとしては、疎水化ゼラチンの分子量が50000超100000以下となるものを選択する。
まず、有機溶媒に溶解したゼラチンにトリエチルアミン存在下で、アミノ基に反応性を有する疎水性官能基を有する有機分子を混合して、混合溶液を容器に調製する。
有機溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)を用いる。
有機分子としては、例えば、次式(2)に示すコレステリルクロロフォルメイトを挙げることができる。
次に、前記混合溶液を、不活性ガス雰囲気下、加熱し、攪拌する。例えば、窒素雰囲気下、加熱温度は80℃とし、攪拌時間は一昼夜とする。
次に、この混合溶液を、氷冷したエタノール溶媒中に滴下する。次に、この溶液をガラスフィルター等で濾過する。
更に、濾過物を有機溶媒で洗浄する。これにより、濾過物中の不純物を除去することができ、疎水化ゼラチンの純度を向上させることができる。この洗浄用の有機溶媒としては、例えば、エタノールを用いる。
以上の工程により、ゼラチンの側鎖のアミノ基の一部を疎水性官能基で置換した疎水化ゼラチンを合成できる。
(疎水化ゼラチン溶液調製工程)
疎水化ゼラチン溶液調製工程は、前記疎水化ゼラチンをフッ素系溶媒に溶解させて、疎水化ゼラチン溶を調製する工程である。
フッ素系溶媒としては、ヘキサフルオロイソプロパノールを挙げることができる。沸点が56℃であるので、後述する工程で、容易に揮発させることができる。
(溶媒揮発化工程)
図3は、本発明の第1の実施形態である組織接着膜の製造方法を示す概略図であって、溶媒揮発化工程図である。
次に、図3に示すように、トレイ、シャーレ等の浅底容器に、前記溶液を入れた後、室温〜35℃で放置することにより、フッ素系溶媒を揮発させる。
以上の工程により、分子量が50000超100000以下であって、側鎖にアミノ基と疎水性官能基を備えている疎水化ゼラチンのみが集積されてなる組織接着膜を容易に製造できる。
(本発明の第2の実施形態)
次に、添付図面を参照しながら、本発明の第2の実施形態である組織接着膜及びその製造方法について説明する。
<組織接着膜>
まず、本発明の第2の実施形態である組織接着膜について説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態である組織接着膜を示す概略図である。
図4に示すように、本発明の第2の実施形態である組織接着膜2は、疎水化ゼラチン10内に、直鎖状の高分子間を連結する熱架橋(ペプチド結合(peptide bond))13が形成されている他は、本発明の第1の実施形態である組織接着膜1と同様の構成とされている。
ペプチド結合とは、アミド結合のうちアミノ酸同士が脱水縮合して形成される結合であって、具体的には、二つのα−アミノ酸分子の間で一方のアミノ基ともう一方のカルボキシル基とが脱水縮合してできる‐CO‐NH‐の結合である。
熱架橋(ペプチド結合)13の割合を高めることにより、膜の強度を高めることができる。膜の強度が高められることにより、膜の取り扱いが容易となり、生体組織の所定の位置へ正確かつ迅速に配置することができる。
なお、熱架橋(ペプチド結合)13の割合を高めると、膜内でのゼラチンの移動の自由度がより制限され、これにより、疎水性官能基11のアンカーリングの自由度もより制限されるので、接着強度はより低下する。よって、使用する状況に応じて、適切な強度及び接着強度を考慮して、最適な割合の熱架橋を行った組織接着膜2を用いることが好ましい。
<本実施形態の組織接着膜を用いた組織の接着について>
次に、本発明の第2の実施形態の組織接着膜を用いた組織の接着について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態である組織接着膜を用いた組織の接着を示す概略図である。
図5に示すように、本発明の第2の実施形態である組織接着膜2は、熱架橋(ペプチド結合)13が形成されている他は、本発明の第1の実施形態である組織接着膜1と同様の構成とされている。
熱架橋(ペプチド結合)13が存在することにより、膜内でのゼラチンの移動の自由度がより制限され、これにより、疎水性官能基11のアンカーリングの自由度が、熱架橋(ペプチド結合)13が存在しない場合(すなわち、本発明の第1の実施形態である組織接着膜1の場合)より制限され、アンカーリングする疎水性官能基11の数が少なくなり、接着強度が低下する。
<組織接着膜の製造方法>
次に、本発明の第2の実施形態である組織接着膜の製造方法について説明する。
本発明の第2の実施形態である組織接着膜の製造方法は、溶媒揮発化工程後、更に、乾燥膜を加熱する工程(膜加熱工程)を有する。
図6は、本発明の第2の実施形態である組織接着膜の製造方法を示す概略図であって、膜加熱工程図である。
図6に示すように、乾燥膜を、シリコンシート及び金属プレートで挟持し、加熱する。これにより、熱架橋により、前記疎水化ゼラチン内に、直鎖状の高分子間を連結するペプチド結合(アミノ基とカルボキシル基が脱水縮合してできる‐CO‐NH‐の結合)を形成して、膜の強度を高めて、湿潤環境下でも接着力(接着強度)が高く適度な強度を持つ組織接着膜を容易に製造できる。
本発明の実施形態である組織接着膜1、2は、アミノ酸として含まれるLysのアミノ基12の一部が疎水性官能基11で置換されている疎水化ゼラチン10のみからなる構成なので、疎水性官能基を組織に打ち込んで(アンカーリングして)物理的に強固な結合を形成して、接着強度を高くすることができ、また、熱架橋により、Lys由来のアミノ基をカルボキシル基と脱水縮合させて、膜内に直鎖状の高分子間を連結するペプチド結合(‐CO‐NH‐の結合)を形成して、膜の強度を高めることができる。
本発明の実施形態である組織接着膜1、2は、疎水化ゼラチン10が、分子量が50000超100000以下であり、側鎖にアミノ基12と疎水性官能基11を備えている構成なので、疎水性官能基を組織に打ち込んで(アンカーリングして)物理的に強固な結合を形成して、接着強度を高くすることができ、分子量が50000超のゼラチンにより構成することにより、膜の強度を一定以上に保持することができる。
本発明の実施形態である組織接着膜2は、疎水化ゼラチン10が、互いに熱架橋されている構成なので、膜の強度を高めることができる。
本発明の実施形態である組織接着膜1、2は、前記疎水性官能基が、飽和脂肪酸であるエチル基(炭素数2)、プロピル(炭素数3)、ブチル基(炭素数4)、ペンチル基(炭素数5)、ヘキサノイル基(炭素数6)、ヘプタノイル基(炭素数7)、オクタノイル基(炭素数8)、ノナノイル基(炭素数9)、デカノイル基(炭素数10)、ウンデカノイル基(炭素数11)、ドデカノイル基(炭素数12)、トリデカノイル基(炭素数13)、テトラデカノイル基(炭素数14)、ペンタデカノイル基(炭素数15)、ヘキサデカノイル基(炭素数16)、ヘプタデカノイル基(炭素数17)、ステアロイル基(炭素数18)、分岐型飽和脂肪酸であるイソプロピル(炭素数3)、イソブチル基(炭素数4)、イソペンチル基(炭素数5)、イソヘキサノイル基(炭素数6)、イソヘプタノイル基(炭素数7)、イソオクタノイル基(炭素数8)、イソノナノイル基(炭素数9)、イソデカノイル基(炭素数10)、イソウンデカノイル基(炭素数11)、イソドデカノイル基(炭素数12)、イソトリデカノイル基(炭素数13)、イソテトラデカノイル基(炭素数14)、イソペンタデカノイル基(炭素数15)、イソヘキサデカノイル基(炭素数16)、イソパルミチル基(炭素数16)、イソヘプタデカノイル基(炭素数17)、イソステアロイル基(炭素数18)、不飽和脂肪酸であるオレイル基(炭素数18、不飽和炭素1個)、リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素2個)、α−リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素3個)、細胞膜成分であるコレステリル基の1種または2種以上の組み合わせである構成なので、疎水性官能基を組織に打ち込んで(アンカーリングして)物理的に強固な結合を形成して、接着強度を高くすることができる。
本発明の実施形態である組織接着膜1、2は、前記ゼラチンが、ヒト、ブタ、ウシ、魚由来のゼラチン又は遺伝子組換えゼラチンの1種または2種以上の組み合わせである構成なので、膜の強度を高めることができる。
本発明の実施形態である組織接着膜1、2の製造方法は、疎水化ゼラチンをフッ素系溶媒に分散させて、疎水化ゼラチン含有溶液を調製する工程と、前記疎水化ゼラチン含有溶液をトレイに流し込んでから、前記フッ素系溶媒を揮発させ、乾燥膜からなる組織接着膜を得る工程と、を有する構成なので、接着強度及び膜の強度が高い組織接着膜を容易に製造できる。
本発明の実施形態である組織接着膜1、2の製造方法は、前記フッ素系溶媒がヘキサフルオロイソプロパノールである構成なので、前記フッ素系溶媒を容易に揮発させ、接着強度及び膜の強度が高い接着膜を容易に製造することができる。
本発明の実施形態である組織接着膜1、2の製造方法は、ゼラチンを溶解させた溶液にアミン存在下で疎水性官能基を有する有機分子を添加し、前記ゼラチンの側鎖のアミノ基の一部を前記疎水性官能基で置換して、疎水化ゼラチンを合成する工程を有する構成なので、接着強度及び膜の強度が高い組織接着膜を容易に製造できる。
本発明の実施形態である組織接着膜2の製造方法は、乾燥膜を加熱して熱架橋する工程を有する構成なので、膜の強度をより高めた組織接着膜を製造できる。
本発明の実施形態である組織接着膜及びその製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。本実施形態の具体例を以下の実施例で示す。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(ゼラチン製組織接着膜の調製)
(実施例1)
<疎水化AlGltnの合成と導入率の確認>
まず、アルカリ処理ゼラチン(以下、AlGltnとも表記する。)を用意した。
アルカリ処理ゼラチンとは、ゼラチンに存在するアスパラギン、グルタミンを脱アミド化によりアスパラギン酸、グルタミン酸に変換したゼラチンである。
次に、Matsudaらの方法(非特許文献1)に従って、アルカリ処理ゼラチン(AlGltn)に、Hexanoyl(Hx:C)chloride、Decanoyl(Dec:C10)chloride、Stearyl(Ste:C18)chlorideのいずれかの疎水性官能基導入用化合物を用いて、疎水化AlGltnを調製した。
疎水性官能基の導入率はTNBS法(DMSO溶媒)を用いた吸光度測定により確認した。
疎水化AlGltnに対する疎水性官能基の導入率は、HxAlGltnで12%、32%、42%(12HxAlGltn、32HxAlGltn、42HxAlGltn)、DecAlGltnで9%、24%、28%、38%(9DecAlGltn、24DecAlGltn、28DecAlGltn、38DecAlGltn)、SteAlGltnで10%、26%、44%(10SteAlGltn、26SteAlGltn、44SteAlGltn)となった。
<製膜と熱架橋>
前記疎水化AlGltnをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、10wt%疎水化AlGltn溶液を調製した。
次に、前記溶液をシリコン壁で囲んだガラス基板(トレイ)上に展開し、室温で乾燥させたのちに、2日間の真空乾燥を行い、乾燥膜(熱架橋前の組織接着膜)を製造した。
次に、作製したフィルムをシリコンシートと金属プレートで挟み、140℃で24時間熱架橋を行った。熱架橋フィルム(t12HxAlGltn、t32HxAlGltn、t42HxAlGltn、t9DecAlGltn、t24DecAlGltn、t28DecAlGltn、t38DecAlGltn、t10SteAlGltn、t26SteAlGltn、t44SteAlGltn)からなる膜(熱架橋後の組織接着膜)を得た。
比較例として、疎水化していないAlGltn及びその熱架橋フィルム(tAlGltn)も作製した。
表1に、各膜の要件を示す。
(組織接着膜の評価)
<含水率測定>
37℃に加温したMilli−Q水に、直径4mmに打ち抜いた熱架橋前後のフィルムを各チューブに入れた。
37℃で所定時間(浸漬時間:Immercing Time:30秒〜5分)静置した後、Milli−Q水を除去して、膨潤フィルムの重さを量り、真空乾燥させて乾燥させたフィルムの重量を量った。
含水率(=(W−W)/W×100)を算出した。
図7は、フィルムの含水率(Water Content(%))と浸漬時間(Immersion Time(min))との関係を示すグラフであって、(a)は熱架橋(thermal cross linking)前のフィルムのものであり、(b)は熱架橋後のフィルムのものである。
図7に示すように、熱架橋前フィルムでは1分以内に含水率が100%となり、3分以内に溶解が始まった。一方で、熱架橋フィルムは120分の浸水でも形状を保っていた。
<フィルム強度測定>
各疎水基導入率の熱架橋フィルム(tAlGltn、t12HxAlGltn、t32HxAlGltn、t42HxAlGltn、t9DecAlGltn、t24DecAlGltn、t28DecAlGltn、t38DecAlGltn、t10SteAlGltn、t26SteAlGltn、t44SteAlGltn)を5×10mmに打ち抜き、両端5×2.5mmをゲルボーイでプラスチック板(1×3cm)に張り付けた。
乾燥後、テクスチャーアナライザーにセットして、10mm/secで引っ張り試験を行った。
wetの条件では、キムワイプをMilli−Q水で湿らせ、セットしたサンプルに巻きつけて3分経過した後、10mm/secで引っ張り試験を行った。
図8は、熱架橋したフィルムの強度(Strength(MPa,KPa))と疎水基導入率(Induction ratio(%))との関係を示すグラフであって、(a)は乾燥(dry)フィルムであり、(b)は湿った(wet)フィルム(膨潤状態のフィルム)である。
図8に示すように、乾燥フィルムでは、疎水基導入率が高くなるほどフィルム強度は減少する傾向となった。tHxAlGltn>tDecAlGltn>tSteAlGltnの順で強度があり、導入疎水基の鎖長が長いほどフィルムの強度が下がった。
膨潤状態のフィルムは、疎水基の導入率が10%程度でフィルム強度が最大であり、導入率が上がるほどフィルム強度は低くなった。乾燥フィルムと比較して、全体的に強度は下がっていた。tHxAlGltnでは、他のtDecAlGltnやtSteAlGltnと比較してフィルム強度の変化が小さかった。
<疎水基導入率が約30%のフィルムとブタ組織(動脈外膜、大腸表皮)との接着強度測定>
図9は、引っ張り試験の概略図であって(a)は斜視図であり、(b)正面図である。
図9に示すように、37℃に設定したプレートの上に、直径7mmに打ち抜いた熱架橋前後の導入率約30%のフィルム(AlGltn、32HxAlGltn、24DecAlGltn、26SteAlGltn)、直径4mmに打ち抜いたセロテープを順に重ねて固定した。
ブタ血管外膜とブタ大腸表皮はそれぞれ直径4mmに打ち抜き、治具(プローブ)にゲルボーイで固定した。
20g/mmで3分間加圧した後、10mm/secで引っ張り試験を行った。
図10は、フィルムと湿潤生体組織との間の接着強度(Bonding Strength(KPa))と疎水化ゼラチンの種類との関係を示すグラフであって、(a)はブタ組織(動脈外膜:porcinal adventitia)であり、(b)はブタ組織(大腸表皮:porcinal intestinal epithelium)である。図10に示すように、動脈外膜に対しては、熱架橋していない32HxAlGltnおよび熱架橋した24DecAlGltnが高い接着強度が得られた。また、大腸表皮に対しては、すべての条件において動脈外膜に対する接着強度よりも高く、熱架橋していない32HxAlGltnが最も高い接着強度を示した。
<疎水基導入率と接着強度の関係>
37℃に設定したプレートの上に、直径7mmに打ち抜いたフィルム(熱架橋前後のAlGltn、12HxAlGltn、32HxAlGltn、42HxAlGltn、9DecAlGltn、24DecAlGltn、28DecAlGltn、10SteAlGltn、26SteAlGltn、44SteAlGltn)、直径4mmに打ち抜いたセロテープを順に重ねて固定した。
ブタ血管外膜を直径4mmに打ち抜き、治具にシアノアクリレート接着剤で固定した。
20g/mmで3分間加圧した後、10mm/secで引っ張り試験を行った。
図11は、ブタ湿潤組織(動脈外膜:porcinal adventitia)とフィルムとの間の接着強度(Bonding Strength(KPa))に対する疎水性官能基の導入率との関係を示すグラフであって、(a)は熱架橋(thermal cross linking)前のフィルムのものであり、(b)は熱架橋後のフィルムのものである。図11に示すように、熱架橋前後ともに、各導入疎水基において(DecAlGltnを除き)、導入率が高いほどブタ動脈外膜への接着強度が強かった。
<ヘマトキシリン−エオジン(HE)染色>
フィルムとブタ動脈外膜との接着強度測定後、tAlGltn、t42HxAlGltn、t38DecAlGltn、t44SteAlGltnHEについて、HE染色を行い顕微鏡観察した。
図12は、剥離試験後のフィルム−ブタ動脈外膜間の界面をHE染色して観察した光学顕微鏡写真である。
図中の矢印に示すように、t42HxAlGltnおよびt38DecAlGltnでは、疎水基を導入することにより、ブタ動脈外膜とフィルムとが接着している様子が観察された。
本発明の組織接着膜及びその製造方法は、湿潤環境下でも接着力(接着強度)が高く適度な強度を持つ医療用フィルム(組織接着膜)及びその製造方法に関するものであり、組織接着剤、組織封止剤(Sealant)、止血剤等の製造産業において利用可能性がある。
1、2…組織接着膜、10…疎水化ゼラチン、11…疎水性官能基、12…アミノ基(-NH)、13…熱架橋(ペプチド結合)、20…生体組織(組織)。

Claims (8)

  1. アミノ酸のアミノ基の一部が疎水性官能基で置換されている疎水化ゼラチンのみからなるとともに、前記疎水化ゼラチンが、互いに熱架橋されていることを特徴とする乾燥した組織接着膜。
  2. 前記疎水性官能基で置換されているアミノ酸はLysである、請求項1に記載の組織接着膜。
  3. 前記疎水化ゼラチンが、分子量が50000超100000以下であり、側鎖にアミノ基と疎水性官能基を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の組織接着膜。
  4. 前記疎水性官能基が、飽和脂肪酸であるエチル基(炭素数2)、プロピル(炭素数3)、ブチル基(炭素数4)、ペンチル基(炭素数5)、ヘキサノイル基(炭素数6)、ヘプタノイル基(炭素数7)、オクタノイル基(炭素数8)、ノナノイル基(炭素数9)、デカノイル基(炭素数10)、ウンデカノイル基(炭素数11)、ドデカノイル基(炭素数12)、トリデカノイル基(炭素数13)、テトラデカノイル基(炭素数14)、ペンタデカノイル基(炭素数15)、ヘキサデカノイル基(炭素数16)、ヘプタデカノイル基(炭素数17)、ステアロイル基(炭素数18)、分岐型飽和脂肪酸であるイソプロピル(炭素数3)、イソブチル基(炭素数4)、イソペンチル基(炭素数5)、イソヘキサノイル基(炭素数6)、イソヘプタノイル基(炭素数7)、イソオクタノイル基(炭素数8)、イソノナノイル基(炭素数9)、イソデカノイル基(炭素数10)、イソウンデカノイル基(炭素数11)、イソドデカノイル基(炭素数12)、イソトリデカノイル基(炭素数13)、イソテトラデカノイル基(炭素数14)、イソペンタデカノイル基(炭素数15)、イソヘキサデカノイル基(炭素数16)、イソパルミチル基(炭素数16)、イソヘプタデカノイル基(炭素数17)、イソステアロイル基(炭素数18)、不飽和脂肪酸であるオレイル基(炭素数18、不飽和炭素1個)、リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素2個)、α−リノレニル基(炭素数18、不飽和炭素3個)、細胞膜成分であるコレステリル基の1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の組織接着膜。
  5. 前記ゼラチンが、ヒト、ブタ、ウシ、魚由来のゼラチン又は遺伝子組換えゼラチンの1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の組織接着膜。
  6. 疎水化ゼラチンをフッ素系溶媒に分散させて、疎水化ゼラチン含有溶液を調製する工程と、前記疎水化ゼラチン含有溶液をトレイに流し込んでから、前記フッ素系溶媒を揮発させ、乾燥膜からなる組織接着膜を得る工程と、前記乾燥膜を加熱して熱架橋する工程とを有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の組織接着膜の製造方法。
  7. 前記フッ素系溶媒がヘキサフルオロイソプロパノールであることを特徴とする請求項6に記載の組織接着膜の製造方法。
  8. ゼラチンを溶解させた溶液にアミン存在下で疎水性官能基を有する有機分子を添加し、前記ゼラチンの側鎖のアミノ基の一部を前記疎水性官能基で置換して、疎水化ゼラチンを合成する工程を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の組織接着膜の製造方法。
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