JPWO2014106957A1 - 非対称Siローダミン及びロドールの合成 - Google Patents

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Abstract

【解決課題】3位及び6位のアミノ基が非対称な構造を有するローダミンのキサンテン環部位の10位の酸素原子を珪素原子に置換した化合物、及び該化合物の製造方法、並びに該化合物を利用した蛍光プローブの提供。【解決手段】下記一般式(I):【化1】で表される化合物又はその塩。【選択図】なし

Description

本発明は、新規な蛍光プローブに関する。より具体的には、3位及び6位のアミノ基が非対称な構造を有するローダミンのキサンテン環部位の10位の酸素原子を珪素原子に置換した化合物、及び該化合物の製造方法、並びに該化合物を利用した蛍光プローブに関る。また、本発明は、フルオレセインのキサンテン環の10位の酸素原子を珪素原子に置換した化合物においてキサンテン環のヒドロキシ基をアミノ基に置換した化合物、及び該化合物の製造方法、並びに該化合物を利用した蛍光プローブにも関る。
ローダミンは、フルオレセインと同様に、古くから知られる蛍光色素である。両者はともに、水中で高い蛍光量子収率を持つことから、蛍光性のタグとして広く生物学領域に応用されてきた。また、近年、蛍光プローブを用いた生細胞イメージング技術が盛んに用いられているが、この手法で大きな役割を果たす蛍光プローブの母核としてもローダミンは広く用いられている。
ローダミン骨格を有する蛍光プローブとしては、一酸化窒素検出用(特許文献1)、次亜塩素酸検出用(特許文献2)などがこれまで報告されている。また、ローダミンの基本骨格であるパイロニンの酸素原子を珪素原子に置換した化合物(TMDHS:2,7−N,N,N’,N’−テトラメチル−9−ジメチル−10−ヒドロ−9−シラアントラセン)及び当該化合物の蛍光プローブへの応用について既に報告されている(非特許文献1、2)。
このTMDHSを基本骨格として有する蛍光プローブは、基本的に分子内光誘起電子移動(photoinduced electron transfer: PeT)およびスピロ環の開環や閉環を蛍光のOff/ONに利用するプローブである。しかしながら、TMDHSなどの従来報告されたパイロニンの酸素原子を珪素原子に置換した化合物はいずれも2位及び7位のアミノ基がメチル基等の水素原子以外の置換基で置換されている。また、ローダミンにおいて3位及び6位のアミノ基の置換基が非対称である化合物の酸素原子を珪素原子に置換したローダミン類縁体についての報告は未だなく、そのようなローダミン類縁体を用いた蛍光プローブについても未だ報告されていない。
一方、近赤外蛍光イメージングに用いる、活性酸素を検出対象にした蛍光プローブは幾つか開発されている。しかしながら、それらは活性酸素検出前後の蛍光増大の小ささや、活性酸素種に対する選択性の低さといった問題点が多かった。
国際公開WO1999/001447 国際公開WO2007/100061
Best, Qら、Pacifichem 2010、演題番号2335、2010年12月19日 小出裕一郎ら、第4回日本分子イメージング学会、演題番号P8-9、2009年5月14日
本発明の課題は、新規な蛍光プローブを提供することにある。より具体的には、3位及び6位のアミノ基が非対称な構造を有するローダミンのキサンテン環部位の10位の酸素原子を珪素原子に置換した化合物、及び該化合物の製造方法、並びに該化合物を利用した蛍光プローブを提供することが本発明の課題である。
また、本発明は、フルオレセインのキサンテン環の10位の酸素原子を珪素原子に置換した化合物においてキサンテン環のヒドロキシ基をアミノ基に置換した化合物、及び該化合物の製造方法、並びに該化合物を利用した蛍光プローブを提供することも目的とする。
更に、本発明は、3位及び6位のアミノ基が非対称な構造を有するローダミンのキサンテン環部位の10位の酸素原子を珪素原子に置換した化合物により、優れた活性酸素検出用近赤外蛍光プローブを提供することも目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行なった結果、例えば、3−ブロモ−N,N−ジアリルアニリンを原料として3−ブロモベンゼンアミン化合物と反応させることにより、非対称なN,N−ジアリルアミノ−N’,N’−ジアルキルアミノ−Si−キサントン化合物を製造し、当該化合物とハロゲン化ベンゼン誘導体とを反応させた後にアリル基を脱離させると、3位及び6位のアミノ基の置換基が非対称であるローダミンのキサンテン環部位の10位の酸素原子を珪素原子に置換した化合物(以下、本明細書において「非対称Siローダミン」と呼ぶ場合がある)を製造できることを見出した。
また、本発明者らは、上記の製造方法では、3−ハロゲン化−N,N−ジアリルアニリンと3−ハロゲン化ベンゼンアミン化合物では反応性が違うために、対称な置換基を有する副生成物が生成するため、非対称な生成物(4−(2−ブロモ−4−(ジメチルアミノ)ベンジル)−N,N−ジアリル−3−ブロモベンゼンアミン)を高収率で得にくいことを知見した。そこで、更に鋭意検討したところ、3−ブロモ−N,N−ジアリルアニリンを3−ブロモ−N,N−ジアリル−4−ヒドロキシメチルアニリンに変換し、このものと3−ブロモベンゼンアミン化合物を反応させることで3−ブロモ−N,N−ジアリルー4−(2−ブロモ−4−(ジアルキルアミノ)ベンジルアニリンを経由することにより、非対称Siローダミンを高収率で製造できることを見出した。
また、本発明者らは、フルオレセインのキサンテン環の10位の酸素原子を珪素原子に置換した化合物(TokyoMagenta)から出発して、キサンテン環のヒドロキシ基をアミノ基に置換した化合物(以下、本明細書において「ロドール」と呼ぶ場合がある)を効率的に合成できることも見出した。
また、本発明者らは、キサンテン環の窒素原子に芳香環を結合させることにより、優れた活性酸素検出用近赤外蛍光プローブを提供できることを見出した。
即ち、本発明は、
[1]下記一般式(I):
Figure 2014106957
(式中、
は、水素原子を示すか、又はベンゼン環上に存在する1ないし4個の同一又は異なる一価の置換基を示し;
は、一価の置換基を示し;
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、又はハロゲン原子を示し;
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜6個のアルキル基又はアリール基を示し;
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基又はハロゲン原子を示し;
及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基又は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基を示し、
又はR10は、R又はRと一緒になって、R又はR10が結合している窒素原子を含む5〜7員のヘテロシクリル又はヘテロアリールを形成していてもよく、環構成員として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜3個の更なるヘテロ原子を含有していてもよく、更に該ヘテロシクリル又はヘテロアリールは、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数2〜6個のアルケニル、又は炭素数2〜6個のアルキニル、炭素数6〜10個のアラルキル基、炭素数6〜10個のアルキル置換アルケニル基で置換されていてもよく;
Yは、
(1)−NR1112
(2)−OR13又は
(3)−N=N−R14
から選択され、
ここで、R11は、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基又は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基を示し、
12は、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基又はアシル基を示し、
11及びR12は、これらが結合している窒素原子を含む5〜7員のヘテロシクリルを形成していてもよく、環構成員として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜3個の更なるヘテロ原子を含有していてもよく、更に該ヘテロシクリルは、炭素数1〜6個のアルキル基で置換されていてもよく、
13は、水素原子又は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基を示し、
14は、アリール基を示し;
Xは、珪素原子、ゲルマニウム原子又はスズ原子を示し;
但し、Yが−NR1112である場合は、(i)R、R10は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基ではなく、及び、(ii)R11及びR12が水素原子である場合には、R及びR10の両方が水素原子になることはなく、
また、Yが−OR13であってR13が水素原子の場合は、RあるいはR10は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基であってもよく、
また、Yが−N=N−R14である場合は、R、R10は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基ではない)
で表される化合物又はその塩。
[2]Yが−NR1112であって、以下の一般式(Ia):
Figure 2014106957
(式中、R〜R12及びXは、一般式(I)で定義したとおりであり、但し、(i)R、R10は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基ではなく、及び、(ii)R11及びR12が水素原子である場合には、R及びR10の両方が水素原子になることはない。)
で表される[1]に記載の化合物又はその塩。
[3]R又はR10は、R又はRと一緒になって、R又はR10が結合している窒素原子を含む5〜7員のヘテロシクリル又はヘテロアリールを形成している(ここで、該ヘテロシクリル又はヘテロアリールは、環構成員として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜3個の更なるヘテロ原子を含有していてもよく、更に該ヘテロシクリル又はヘテロアリールは、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数2〜6個のアルケニル、又は炭素数2〜6個のアルキニル、炭素数6〜10個のアラルキル基、炭素数6〜10個のアルキル置換アルケニル基で置換されていてもよい)、[2]に記載の化合物又はその塩。
[4]Rは、Rと一緒になって、Rが結合している窒素原子を含む5〜7員のヘテロシクリル又はヘテロアリールを形成している、[3]に記載の化合物又はその塩。
[5]以下の一般式(Ia−1):
Figure 2014106957
(式中、R〜R、R〜R、R10〜R12及びXは、一般式(Ia)で定義したとおりである。)
で表される[4]に記載の化合物又はその塩。
[6]R11及びR12は、これらが結合している窒素原子を含む5〜7員のヘテロシクリルを形成している(ここで、該ヘテロシクリルは、環構成員として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜3個の更なるヘテロ原子を含有していてもよく、更に該ヘテロシクリルは、炭素数1〜6個のアルキル基で置換されていてもよい)、[2]〜[5]に記載の化合物又はその塩。
[7]R11及びR12は、これらが結合している窒素原子と共にピペラジン環を形成している、[6]に記載の化合物又はその塩。
[8]以下の一般式(Ia−2):
Figure 2014106957
(式中、R〜R10及びXは、一般式(Ia)で定義したとおりであり、R15は、炭素数1〜6個のアルキル基を示す。)
で表される[7]に記載の化合物又はその塩。
[9]R11が、ペプチダーゼ、プロテアーゼ、ラクタマーゼ、糖加水分解酵素、転移酵素、酸化還元酵素からなる群から選ばれる酵素との接触により切断される一価の置換基である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
[10]R11が、ぺプチダーゼ、プロテアーゼ、及びラクタマーゼからなる群から選ばれる酵素との接触により切断される一価の置換基である、[9]に記載の化合物又はその塩。
[11]ぺプチダーゼ又はプロテアーゼが、カスパーゼ、前立腺特異抗原、ロイシンアミノペプチダーゼ、γ-グルタミルトランスペプチターゼからなる群から選ばれる酵素である[9]又は[10]に記載の化合物又はその塩。
[12]R11としての置換基が芳香環であり、RとRが一緒になって、Rが結合している窒素原子を含む5〜7員のヘテロシクリル又はヘテロアリールを形成しており、R12が炭素数1〜6個のアルキル基である、[2]に記載の化合物又はその塩。
[13]以下の一般式(Ia−3)で表される、[12]に記載の化合物又はその塩。
Figure 2014106957
(式中、R〜R、R〜R、R10、R12及びXは、一般式(Ia)で定義したとおりである。)
[14]以下の式(1)で表される、[13]に記載の化合物又はその塩。
Figure 2014106957
[15]Yが−OR13であって、以下の一般式(Ib):
Figure 2014106957
(式中、R〜R10、R13及びXは、式(I)で定義したとおりである。)
で表される[1]に記載の化合物又はその塩。
[16]R13、R又はR10が、ペプチダーゼ、プロテアーゼ、ラクタマーゼ、糖加水分解酵素、転移酵素、酸化還元酵素からなる群から選ばれる酵素との接触により切断される一価の置換基である、[15]に記載の化合物又はその塩。
[17]R13、R又はR10が、ぺプチダーゼ、プロテアーゼ、及びラクタマーゼからなる群から選ばれる酵素との接触により切断される一価の置換基である、[16]に記載の化合物又はその塩。
[18]ぺプチダーゼ又はプロテアーゼが、カスパーゼ、前立腺特異抗原、ロイシンアミノペプチダーゼ、γ-グルタミルトランスペプチターゼからなる群から選ばれる酵素である[13]又は[14]に記載の化合物又はその塩。
[19]Yが−N=N−R14であって、以下の一般式(Ic):
Figure 2014106957
(式中、R〜R10、R14及びXは、式(I)で定義したとおりであり、但し、R、R10は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基ではない)
で表される[1]に記載の化合物又はその塩。
[20]R14のアリール基が、単環の芳香族基又は縮合芳香族基であり、該アリール基はアミノ基、ジメチルアミノ基から選択される置換基を有する、[19]に記載の化合物又はその塩。
[21][1]〜[20]のいずれか1項に記載の化合物を含む蛍光プローブ。
[22][12]〜[14]のいずれか1項に記載の化合物を含む活性酸素検出蛍光プローブ。
[23][19]又は[20]に記載の化合物を含む低酸素環境検出蛍光プローブ。
[24][2]に記載の一般式(Ia)で表される化合物(R〜R12及びXは、上記で定義した通りである)又はその塩の製造方法であって、下記の工程:
(a)3−ハロゲン化アニリンとアリルハライドから製造される一般式(II)(式中、R16はハロゲン原子を示す)で表される3−ハロゲン化−N,N−ジアリルアニリンと式(III)で表される3−ハロゲン化ベンゼンアミン化合物とをホルムアミドの存在下で反応させて下記の一般式(IV)で表される化合物を製造する工程、
Figure 2014106957
(b)上記の一般式(IV)で表される化合物とX(Halo)(R)(R)(Haloは塩素原子又は臭素原子を示し、X、R、Rは上記と同義である)とを反応させた後、酸化反応によって下記の一般式(V)で表される化合物を製造する工程、
Figure 2014106957
(c)上記の一般式(V)で表される化合物とハロゲン化ベンゼン誘導体から下記の一般式(VI)で表される化合物を製造する工程、及び
Figure 2014106957
(d)上記の一般式(VI)で表される化合物の脱アリル化を行い、一般式(Ia)においてR11及びR12が水素原子である化合物を製造する工程(R及びRに上記の一般式(VI)の化合物を製造するために保護基を導入した場合には、該保護基の脱保護を工程(d)の前後又は同時に行ってもよい)
を含む方法。
[25]R11として、測定対象物質との接触により切断される一価の置換基を導入する工程を更に含む、[24]に記載の方法。
[26][2]に記載の一般式(Ia)で表される化合物(R〜R12及びXは上記で定義した通りである)又はその塩の製造方法であって、下記の工程:
(1)3−ハロゲン化アニリンとアリルハライドから製造される一般式(VII)(式中、R16はハロゲン原子を示す)で表される3−ハロゲン化−N,N−ジアリルアニリンとを、オキシ塩化リンの存在下、塩基性条件下で反応させて一般式(VIII)で表される3−ハロゲン化−N,N−ジアリル−4−ヒドロキシメチルアニリンを製造する工程、
Figure 2014106957
(2)上記3−ハロゲン化−N,N−ジアリル−4−ヒドロキシメチルアニリンと式(IX)で表される3−ハロゲン化ベンゼンアミン化合物とを反応させて、一般式(X)で表される化合物を製造する工程、
Figure 2014106957
(3)上記の一般式(X)で表される化合物とX(Halo)(R)(R)(Haloは塩素原子又は臭素原子を示し、X、R、Rは上記と同義である)とを反応させた後、酸化反応によって下記の式(V)で表されるN,N−ジアリルアミノ−N’,N’−ジアルキルアミノ−X−キサントンを製造する工程、
Figure 2014106957
(4)前記N,N−ジアリルアミノ−N’,N’−ジアルキルアミノ−X−キサントンとハロゲン化ベンゼン誘導体から下記の一般式(VI)で表される化合物を製造する工程、及び
Figure 2014106957
(5)上記の一般式(VI)で表される化合物の脱アリル化を行い、一般式(Ia)においてR11及びR12が水素原子である化合物を製造する工程(R及びRに上記の一般式(VI)の化合物を製造するために保護基を導入した場合には、該保護基の脱保護を工程(4)の前後又は同時に行ってもよい)
を含む方法。
[27]R11として、測定対象物質との接触により切断される一価の置換基を導入する工程を更に含む、[26]に記載の方法。
[28][15]に記載の一般式(Ib)で表される化合物又はその塩の製造方法であって、下記の工程:
(1)下記の一般式(XI)で表される化合物を、塩基性条件下で、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(TfO)と反応させ、一般式(XII)で表される化合物を製造する工程、
Figure 2014106957
(2)一般式(XII)で表される化合物をイミン化合物と反応させることにより、一般式(XIII)で表される化合物を製造する工程、
Figure 2014106957
(3)場合により、一般式(XIII)で表される化合物をハロゲン化アルキルと反応させる工程
を含む方法。
[29][13]に記載の一般式(Ia−3)で表される化合物又はその塩の製造方法であって、下記の工程:
(1)一般式(XIV)の化合物とヨウ化カリウムとを反応させることにより、一般式(XV)の化合物を製造する工程、
Figure 2014106957
(2)一般式(XV)の化合物をアルキル基の炭素数が1〜6であるN−アルキル−p−アニシジンと反応させることにより、一般式(XVI)の化合物を製造する工程、
Figure 2014106957
(3)一般式(XVI)の化合物をo−トリル臭化マグネシウムと反応させ、その後、酸を添加して、一般式(XVII)の化合物を製造する工程、及び
Figure 2014106957
(4)一般式(XVII)の化合物を三臭化ボロンと反応させることにより、一般式(Ia−3)で表される化合物を製造する工程
を含む、該製造方法。
を、提供するものである。
本発明により、3位及び6位のアミノ基の置換基が非対称な構造を有するSiローダミン(以下「非対称Siローダミン」とも言う)を提供することができる。即ち、従来は、3位及び6位のアミノ基の置換基が対称な構造を有するSiローダミンしか得ることができなかったところ、本発明によれば、3位及び6位のアミノ基の置換基が非対称な構造であるため、様々な機能を有する置換基を一方のアミノ基のみに選択的に導入することが可能となる。これにより、優れたラベル化剤や、プロテアーゼ等の様々な酵素を効率的かつ定量的に検出することができる蛍光プローブを提供することが可能である。
更に、本発明においては、非対称Siローダミンの3位及び/又は6位のアミノ基の置換基を選択することにより、赤色領域で高い蛍光強度を示し、更に、650nmから900nmにまで達する近赤外波長領域に吸収を有する蛍光色素も提供することが可能である。
また、本発明により、非対称Siローダミンを効率よく製造することができる。特に本発明の製造方法により、ローダミンの基本骨格であるパイロニンにヘテロ環構造を導入した非対称Siローダミンを提供することも可能である。
また、本発明により、ロドール及びその類縁体を効率よく製造することができる。
また、本発明の非対称Siローダミンは、吸収スペクトル及び蛍光スペクトルにおいて短波長と長波長に2つの明瞭なピークを有するという特徴を有する。このことから、本発明の非対称Siローダミンは、レシオ測定(異なる2波長での蛍光強度を同時に測定し、その比(レシオ)を計算する手法)に好適に使用することが可能である。
更に、本発明の非対称Siローダミン及びロドールにおいて、測定対象物質との接触により切断される一価の置換基を導入した化合物は、各種酵素などを高感度に測定可能な蛍光プローブとして有用である。
更に、本発明の非対称Siローダミンにおいてキサンテン環の窒素原子に芳香環を結合させることにより、優れた活性酸素検出用近赤外蛍光プローブを提供することが可能である。
更に、本発明の非対称Siローダミンの共役系にアリール基を有するアゾ基を組み込むことにより、優れた低酸素環境検出用近赤外蛍光プローブを提供することが可能である。
2−MeSiR620(化合物1)および2−MeSiR620−al(化合物2)の吸光プロファイルの測定結果 2−MeSiR620(化合物1)および2−MeSiR620−al(化合物2)の蛍光プロファイルの測定結果 2−MeSiR630(化合物3)及び2−MeSiR630−al(化合物4)の吸光プロファイル 2−MeSiR630(化合物3)及び2−MeSiR630−al(化合物4)の蛍光プロファイル 2MeIndoSiR(化合物5)の吸光及び蛍光スペクトル 2MeIndoSiR(化合物5)のFBS中での吸光スペクトル 2MeIndoSiR(化合物5)の吸光スペクトルのpHプロファイル 2MeIndoSiR(化合物5)の蛍光スペクトルのpHプロファイル Ac−IndoSiR(化合物6)の吸光スペクトルのpHプロファイル Ac−IndoSiR(化合物6)の蛍光スペクトルのpHプロファイル Ac−IndoSiR(化合物6)の様々な溶媒における吸収スペクトル Ac−IndoSiR(化合物6)の様々な溶媒における蛍光スペクトル Ac−IndoSiR(化合物6)についてのLippert−Matagaプロット Si−Rhodol(化合物7)の吸光スペクトルのpHプロファイル Si−Rhodol(化合物7)の蛍光スペクトルのpHプロファイル(励起波長:507nm) Si−Rhodol(化合物7)の蛍光スペクトルのpHプロファイル(励起波長:584nm) 化合物8の吸光スペクトルのpHプロファイル 化合物8の蛍光スペクトルのpHプロファイル 化合物9の吸光スペクトルのpHプロファイル 化合物9の蛍光スペクトルのpHプロファイル 化合物10、及び化合物10が活性酸素と反応した後に生成することが予想される化合物についての吸収スペクトル及び蛍光スペクトル OClと化合物10との反応混合物、化合物10、及び化合物10とOClの反応後に予想される化合物についてのHPLCクロマトグラフ 化合物10と各活性酸素種との反応性の実験結果 化合物10と各活性酸素種との反応後の蛍光強度 化合物10によるHL60細胞を用いた細胞イメージング 化合物5と化合物13の吸収スペクトル及び蛍光スペクトル 化合物11と化合物14の吸収スペクトル及び蛍光スペクトル 化合物11及び14を用いた、ラット肝ミクロソームを用いたin vitro実験の結果 化合物11、14を用いた生細胞実験の結果 化合物14を用いたマウスによる虚血臓器可視化実験の結果
本明細書において、「アルキル基」又はアルキル部分を含む置換基(例えばアルコキシ基など)のアルキル部分は、特に言及しない場合には例えば炭素数1〜6個、好ましくは炭素数1〜4個、更に好ましくは炭素数1〜3個程度の直鎖、分枝鎖、環状、又はそれらの組み合わせからなるアルキル基を意味している。より具体的には、アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピルメチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。
本明細書において「ハロゲン原子」という場合には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれでもよく、好ましくはフッ素原子、塩素原子、又は臭素原子である。
本発明の1つの態様は、下記の一般式(I)で表される化合物又はその塩である。
Figure 2014106957
一般式(I)において、Rは、水素原子を示すか、又はベンゼン環上に存在する1ないし4個の同一又は異なる一価の置換基を示す。Rがベンゼン環上に存在する一価の置換基を示す場合には、ベンゼン環上に同一又は異なる置換基が1ないし2個程度存在していることが好ましい。Rが1個又は2個以上の一価の置換基を示す場合には、該置換基はベンゼン環上の任意の位置に置換することができる。好ましくはRは水素原子を示すか、1個の置換基が存在する場合である。
が示す一価の置換基の種類は特に限定されないが、例えば、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアルケニル基、炭素数1〜6個のアルキニル基、炭素数1〜6個のアルコキシ基、水酸基、カルボキシ基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、又はアミノ基からなる群から選ばれることが好ましい。これらの一価の置換基は更に任意の置換基を1個又は2個以上有していてもよい。例えば、Rが示すアルキル基にはハロゲン原子、カルボキシ基、スルホニル基、水酸基、アミノ基、アルコキシ基などが1個又は2個以上存在していてもよく、例えばRが示すアルキル基はハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、又はアミノアルキル基などであってもよい。また、例えばRが示すアミノ基には1個又は2個のアルキル基が存在していてもよく、Rが示すアミノ基はモノアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基であってもよい。更に、Rが示すアルコキシ基が置換基を有する場合としては、例えば、カルボキシ置換アルコキシ基又はアルコキシカルボニル置換アルコキシ基などが挙げられ、より具体的には4−カルボキシブトキシ基又は4−アセトキシメチルオキシカルボニルブトキシ基などを挙げることができる。
一つの好ましい側面において、Rが炭素数1〜6個のアルキル基などの一価の置換基であり、該置換基はベンゼン環上の6位に存在する。
一般式(I)において、Rは一価の置換基を示す。Rが示す一価の置換基の種類は特に限定されないが、Rと同様に、例えば、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアルケニル基、炭素数1〜6個のアルキニル基、炭素数1〜6個のアルコキシ基、水酸基、カルボキシ基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、又はアミノ基からなる群から選ばれることが好ましい。
一般式(I)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基又はハロゲン原子を示す。R又はRがアルキル基を示す場合には、該アルキル基にはハロゲン原子、カルボキシ基、スルホニル基、水酸基、アミノ基、アルコキシ基などが1個又は2個以上存在していてもよく、例えばR又はRが示すアルキル基はハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基などであってもよい。R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子であることが好ましく、R及びRがともに水素原子である場合、又はR及びRがともにフッ素原子又は塩素原子である場合がより好ましい。
一般式(I)において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜6個のアルキル基又はアリール基を示すが、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜3個のアルキル基であることが好ましく、R及びRがともにメチル基であることがより好ましい。R及びRが示すアルキル基にはハロゲン原子、カルボキシ基、スルホニル基、水酸基、アミノ基、アルコキシ基などが1個又は2個以上存在していてもよく、例えばR又はRが示すアルキル基はハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基などであってもよい。R又はRがアリール基を示す場合には、アリール基は単環の芳香族基又は縮合芳香族基のいずれであってもよく、アリール環は1個又は2個以上の環構成ヘテロ原子(例えば窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子など)を含んでいてもよい。アリール基としてはフェニル基が好ましい。アリール環上には1個又は2個以上の置換基が存在していてもよい。置換基としては、例えばハロゲン原子、カルボキシ基、スルホニル基、水酸基、アミノ基、アルコキシ基などが1個又は2個以上存在していてもよい。
一般式(I)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、又はハロゲン原子を示すが、R及びRについて説明したものと同様である。R及びRが共に水素原子であるか、共に塩素原子であるか、又は共にフッ素原子であることが好ましい。
一般式(I)において、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基又は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基を示す。また、R又はR10は、R又はRと一緒になって、R又はR10が結合している窒素原子を含む5〜7員のヘテロシクリル又はヘテロアリールを形成していてもよく、環構成員として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜3個の更なるヘテロ原子を含有していてもよく、更に該ヘテロシクリル又はヘテロアリールは、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数2〜6個のアルケニル、又は炭素数2〜6個のアルキニル、炭素数6〜10個のアラルキル基(ベンジル基、フェネチル基等)、炭素数6〜10個のアルキル置換アルケニル基で置換されていてもよい。このようにして形成されるヘテロシクリル又はヘテロアリールとしては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
一般式(I)において、
(1)−NR1112、(2)−OR13又は(3)−N=N−R14から選択される。
ここで、R11は、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基又は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基を示す。また、R12は、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基又はアシル基を示す。
11又はR12がアルキル基を示す場合には、該アルキル基にはハロゲン原子、カルボキシ基、スルホニル基、水酸基、アミノ基、アルコキシ基などが1個又は2個以上存在していてもよく、例えばR11又はR12が示すアルキル基はハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基などであってもよい。
また、R11及びR12が共にアルキル基の場合は、R11及びR12は、これらが結合している窒素原子を含む5〜7員のヘテロシクリルを形成していてもよい。この場合、該ヘテロシクリルは、環構成員として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜3個の更なるヘテロ原子を含有していてもよく、更に該ヘテロシクリルは、炭素数1〜6個のアルキル基で置換されていてもよい。
12のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
13は、水素原子又は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基を示す。
14は、アリール基を示す。アリール基は単環の芳香族基又は縮合芳香族基のいずれであってもよい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましい。アリール環上には1個又は2個以上の置換基が存在していてもよい。置換基としては、アミノ基(例えば、−NH基、炭素数1〜6のモノアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基)などが好ましい。また、置換位置としては、アゾ基に対してパラ位であることが好ましい。
一般式(I)において、Yが−NR1112である場合は、R又はR10が測定対象物質との接触により切断される一価の置換基ではない。また、Yが−NR1112である場合は、R11及びR12が水素原子である場合には、R及びR10の両方が水素原子になることはない。
また、R11及びR12が水素原子である場合には、R及びR10の少なくとも1つが水素原子になることはなく、但し、R及びR10のいずれか一方が水素原子の場合、他方は、炭素数1〜6個のアルキル基、又はR又はRと一緒になって、それが結合している窒素原子を含む5〜7員のヘテロシクリル又はヘテロアリールを形成しており、環構成員として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜3個の更なるヘテロ原子を含有していてもよく、更に該ヘテロシクリル又はヘテロアリールは、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数2〜6個のアルケニル、又は炭素数2〜6個のアルキニル、炭素数6〜10個のアラルキル基、炭素数6〜10個のアルキル置換アルケニル基で置換されていてもよい。
また、一般式(I)において、Yが−OR13であってR13が水素原子の場合は、RあるいはR10は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基であってもよい。
また、一般式(I)において、Yが−N=N−R14である場合は、R、R10は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基ではない。
一般式(I)において、Xは珪素原子、ゲルマニウム原子又はスズ原子を示すが、珪素原子又はゲルマニウム原子であることが好ましく、珪素原子であることが特に好ましい。
本発明の一つの態様は、以下の一般式(Ia)で表される化合物又はその塩である。
Figure 2014106957
式(Ia)中、R〜R12は、式(I)で定義されたとおりであるが、R及びR10は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基ではない。また、R11及びR12が水素原子である場合には、R及びR10の両方が水素原子になることはない。
また、R11及びR12が水素原子である場合には、R及びR10の少なくとも1つが水素原子になることはなく、但し、R及びR10のいずれか一方が水素原子の場合、他方は、炭素数1〜6個のアルキル基、又はR又はRと一緒になって、それが結合している窒素原子を含む5〜7員のヘテロシクリル又はヘテロアリールを形成しており、環構成員として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜3個の更なるヘテロ原子を含有していてもよく、更に該ヘテロシクリル又はヘテロアリールは、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数2〜6個のアルケニル、又は炭素数2〜6個のアルキニル、炭素数6〜10個のアラルキル基、炭素数6〜10個のアルキル置換アルケニル基で置換されていてもよい。
1つの好ましい実施態様において、R11及びR12は水素原子であり、R及びR10は同一又は異なる炭素数1〜6個のアルキル基である。
1つの好ましい実施態様において、R11は水素原子であり、R12は炭素数1〜6個のアルキル基であり、R及びR10は同一又は異なる炭素数1〜6個のアルキル基である。
また、1つの好ましい実施態様において、R11は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基であり、R12は水素原子又は炭素数1〜6個のアルキル基であり、R及びR10は同一又は異なる炭素数1〜6個のアルキル基である。
また、1つの好ましい実施態様において、R又はR10は、R又はRと一緒になって、R又はR10が結合している窒素原子を含む5〜7員のヘテロシクリル又はヘテロアリールを形成している(ここで、該ヘテロシクリル又はヘテロアリールは、環構成員として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜3個の更なるヘテロ原子を含有していてもよく、更に該ヘテロシクリル又はヘテロアリールは、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数2〜6個のアルケニル、又は炭素数2〜6個のアルキニル、炭素数6〜10個のアラルキル基、炭素数6〜10個のアルキル置換アルケニル基で置換されていてもよい)。
また、1つの好ましい実施態様において、Rは、Rと一緒になって、Rが結合している窒素原子を含む5〜7員のヘテロシクリル又はヘテロアリールを形成している。
上記実施態様の1つの好ましい側面において、R11及びR12は水素原子である。
上記実施態様のもう1つの好ましい側面において、R11は水素原子であり、R12は炭素数1〜6個のアルキル基又はアシル基である。
上記実施態様のもう1つの好ましい側面において、R11は水素原子であり、R12はカルボキシアルキル基である。
上記実施態様のもう1つの好ましい側面において、R11は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基であり、R12は水素原子又は炭素数1〜6個のアルキル基である。
更に、本発明の1つの好ましい実施態様は、以下の一般式(Ia−1)で表される化合物又はその塩である。
Figure 2014106957
一般式(Ia−1)中、R〜R、R10〜R12及びXは、一般式(Ia)について上記で定義したとおりである。
上記実施態様の1つの好ましい側面において、R11及びR12は水素原子である。
上記実施態様のもう1つの好ましい側面において、R11は水素原子であり、R12は炭素数1〜6個のアルキル基である。
上記実施態様のもう1つの好ましい側面において、R11は水素原子であり、R12はカルボキシアルキル基である。
上記実施態様のもう1つの好ましい側面において、R11は水素原子であり、R12は炭素数1〜6個のアシル基、好ましくはアセチル基である。
上記実施態様のもう1つの好ましい側面において、R11は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基であり、R12は水素原子又は炭素数1〜6個のアルキル基である。
また、1つの好ましい実施態様において、R11及びR12は、これらが結合している窒素原子を含む5〜7員のヘテロシクリルを形成している(ここで、該ヘテロシクリルは、環構成員として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜3個の更なるヘテロ原子を含有していてもよく、更に該ヘテロシクリルは、炭素数1〜6個のアルキル基で置換されていてもよい)。
ここで、R11及びR12がこれらが結合している窒素原子を含む5〜7員のヘテロシクリルは、好ましくは、環構成員として更に1個の窒素原子を含有する。このようなヘテロシクリルとしては、好ましくはピペラジン環が挙げられる。
更に、本発明の1つの好ましい実施態様は、以下の一般式(Ia−2)で表される化合物又はその塩である。
Figure 2014106957
一般式(Iaー2)中、R〜R10及びXは、一般式(Ia)について上記で定義したとおりである。R15は、炭素数1〜6個のアルキル基またはアルキルカルボキシ基を示し、アルキル基としては、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基などである。
本発明の非対称Siローダミンにおいて、ピペラジン環を導入することにより、細胞内酸性環境において蛍光特性を変化させることができる酸性環境検出蛍光プローブを提供することが可能である。
また、本発明のもう一つの好ましい態様は、以下の一般式(Ib)で表される化合物又はその塩である。
Figure 2014106957
式(Ib)中、R〜R10、及びR13は、一般式(I)で定義されたとおりである。また、R13が水素原子の場合はRあるいはR10は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基であってもよい。
1つの好ましい実施態様において、R13は水素原子であり、R及びR10は水素原子である。
また、1つの好ましい実施態様において、R13は水素原子であり、R及び/又はR10は炭素数1〜6個のアルキル基である。
1つの好ましい実施態様において、R13は水素原子であり、R又はR10は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基である。
本発明において、測定対象物質の種類は特に限定されず、例えば、酵素、金属イオン(例えば、ナトリウムイオンやリチウムイオンなどのアルカリ金属イオン、カルシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオンなど)、非金属イオン(炭酸イオンなど)、活性酸素種(例えば、ヒドロキシルラジカル、パーオキシナイトライト、次亜塩素酸、過酸化水素など)、低酸素環境などのいずれであってもよいが、好ましくは酵素、活性酸素種又は低酸素環境である。
測定対象物質との接触により切断される一価の置換基としては、例えば、以下の置換基が挙げられる。
a)プロトンをキレートする一価の置換基としては、−CR20−A−NR2122(式中R20、R21、R22はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6個のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、R20とR21またはR20とR22が結合した炭素数1〜3個のアルキレン基を示し;Aは置換基を有していてもよい炭素数1〜3個のアルキレン基を示す)で表される捕捉基。
b)金属イオンをキレートする一価の置換基としては、ナトリウムイオン、リチウムイオン、カリウムイオン、及びマグネシウムイオンは国際公開WO2005/085811の8ページの[化4]に記載の置換基(ただし、国際公開WO2005/085811の8Pの[化4]に示されたRが結合するベンゼン環は、本明細書中のR及びRが結合するベンゼン環に相当する)、カルシウムイオンは−N(CHCOOR23(式中、R23は水素原子を示すか金属イオン、又はエステルを示す)が5ないし8原子の距離で存在する置換基(例えば、−CON[CH−CON(CHCOOR23、特開2005−201845の10Pの37行目からP12の19行目に記載の置換基)、亜鉛イオンは−NH−CHCH−NR2425(式中、R24及びR25は、それぞれ独立に水素原子、2−ピリジルメチル基、2−ピリジルエチル基、2−メチル−6−ピリジルメチル基、又は2−メチル−6−ピリジルエチル基を示すが同時に水素原子であることはない)で表される置換基。
c)活性酸素種により切断される一価の置換基としては、パーオキシナイトライト、ヒドロキシルラジカル、次亜塩素酸はp−アミノフェニルオキシメチル基、p−ヒドロキシフェニルオキシメチル基、p−アミノフェニル基、p−ヒドロキシフェニル基。
d)低酸素環境としては−CO−N(R26)−B−N(R27)−B−(B)r−p−C−N=N−Ar−R28(式中、R26及びR27はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜6個のアルキル基を示し、R26及びR27は互いに結合して炭素数2〜6個のアルキレン基となってもよく;Bは炭素数1〜6個のアルキレン基を示し;Bは単結合、−CO−、又は−SO−を示し;Bは−O−G−N(R29)−(式中、Gは炭素数1〜6個のアルキレン基を示し、R29は水素原子又は炭素数1〜6個のアルキル基を示す)を示し;rは0又は1を示し;p−C−はp−フェニレン基を示し;Arはアリールジイル基を示し;R28はモノアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基を示す。)で表される置換基。
酵素としては、例えば、還元酵素、酸化酵素、加水分解酵素などを挙げることができる。例えば、β−ラクタマーゼ、チトクロームP450酸化酵素、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、β−ヘキソサミニダーゼ、ラクターゼ、アルカリホスファターゼ、マトリクスメタロプロテアーゼ、及びグルタミルトランスフェラーゼなど、感染症やがんなどの診断対象として有用な酵素を挙げることができるが、これらに限定されることはない。酵素のうち、特に加水分解酵素が好ましい。加水分解酵素の典型例として、例えばβ−ガラクトシダーゼ、β−ラクタマーゼ、アルカリフォスファターゼ、マトリクスメタロプロテアーゼ、及びグルタミルトランスフェラーゼなどを挙げることができるが、加水分解酵素は上記のものに限定されるわけではない。
測定対象物質として加水分解酵素を用いる場合には、該酵素の特異的基質となる化合物や官能基を選択して、該酵素による加水分解を受けてR11(R、R10又はR13)が水素原子である化合物を与えるように一般式(I)、(Ia)、(Ib)の化合物を設計することができる。例えば、糖加水分解酵素を測定対象物質として用いる場合にはR11(R、R10、又はR13)としてその酵素の基質となる糖化合物の残基を用いることができる。糖化合物が有する水酸基やアミノ基などの官能基は必要に応じて適宜の保護基で保護されていてもよい。このような保護基を有する化合物もすべて本発明の範囲に包含される。
酵素と接触することで切断される一価の置換基の例としては、測定対象物質としてペプチダーゼ、プロテアーゼを用いる場合は、本明細書中の式(a)〜(g)及びGGTの蛍光プローブとして記載した置換基や国際公開WO2010/095450の12頁の[化4]に記載されている(1)から(7)の化合物に置換したアミノ酸残基(アミノ酸残基とは、アミノ酸のアミノ基又はカルボキシ基から水素原子が一つ外れた基を示す)を含むたんぱく質を構成する20種類のL−アミノ酸に由来するアシル残基(以上のアミノ酸残基は、本明細書の一般式(I)のR11、R、R10又はR13が結合しているアミノ基に結合してもよい)が挙げられる。また、測定対象物質として、ラクタマーゼを用いる場合は本明細書中の式(h)に記載した置換基が、糖加水分解酵素を用いる場合はガラクトシル基、グルコシル基、グルクロノシル基が、グルクロン酸転移酵素を用いる場合は水酸基、アミノ基、カルボキシ基、チオール基が酵素と接触することで切断される一価の置換基の例として挙げられる。
測定対象物質としてグルタチオンを用いる場合は、測定対象物質と接触することで切断される一価の置換基としては、本明細書中の式(i)に記載した置換基などを挙げることができる。
また、R11(R、R10又はR13)がp−アミノフェニル基、又はp−ヒドロキシフェニル基である場合には活性酸素種との接触により分解を受けてR11(R、R10又はR13)が水素原子である化合物が生成することから、活性酸素種を測定対象物質として用いることができる。p−アミノフェニル基、又はp−ヒドロキシフェニル基を有する活性酸素蛍光プローブは、例えば、国際公開WO2001/064664、国際公開WO2004/040296、US7378282などに記載されているので、本発明の蛍光プローブはこれらの文献に開示された蛍光プローブと同様に用いることができる。
これらの測定対象物質と接触することで切断される一価の置換基は直接一般式(I)で表される化合物、又はその塩に置換してもよく、あるいは、スペーサー(リンカー)を介して一般式(I)で表される化合物、又はその塩に置換してもよい。スペーサーとしては、例えば、置換又は無置換のアルキル基、エチレングリコール基、ジエチレングリコール基、トリエチレングリコール基などを挙げることができるが、これらに限定されない。
一般式(I)、(Ia)又は(Ib)において、R11、R、R10又はR13が測定対象物質との接触により切断される一価の置換基である化合物は蛍光プローブとして好適に使用することができる。この場合、当該蛍光プローブが測定対象物質と接触することによりR11、R、R10又はR13の置換基が切断されて吸収波長が長波長にシフトした化合物(上記一般式(I)においてR11、R又はR10が無置換アミノ基になった化合物に相当する)を生成することができ、測定対象物質の測定のための蛍光プローブとして好適に用いることができる。測定対象物質としては、酵素(ペプチダーゼ、プロテアーゼ、ラクタマーゼ、糖加水分解酵素、転移酵素、酸化還元酵素など)、グルタチオンがあげられる。例えば、酵素としてはぺプチダーゼ、プロテアーゼ、又はラクタマーゼであることが好ましい。
ぺプチダーゼ又はプロテアーゼの種類は、R11、R、R10又はR13が アシル基である上記一般式(I)で表される本発明の化合物において、該アシル基を加水分解できるものであればその種類は特に限定されず、ぺプチダーゼはエンドペプチダーゼ又はエキソペプチダーゼのいずれであってもよく、プロテアーゼはエンドプロテアーゼ又はエキソプロテアーゼのいずれであってもよい。例えば、特定のアミノ酸又はペプチドを基質とするペプチダーゼ又はプロテアーゼを測定するために、R11、R、R10又はR13に該アミノ酸又はペプチドに由来するアシル残基を用いることができ、このように設計された化合物を用いることによって、特定のペプチダーゼ又はプロテアーゼを特異的に測定することができる(アミノ酸又はペプチドに由来するアシル残基は、アミノ酸のカルボキシ基から水酸基を除去した残りの部分構造を示す)。このような観点から、ペプチダーゼ又はプロテアーゼに対する蛍光プローブとしては、R11、R、R10又はR13としてペプチダーゼ又はプロテアーゼにより加水分解可能なアミノ酸由来又はペプチド由来のアシル残基を用いることが好ましく、例えば、たんぱく質を構成する20種類のL−アミノ酸に由来するアシル残基や、セレノシステイン、ピロリシン、シスチン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、チロキシン、O−ホスホセリン、デスモシン、β−アラニン、サルコシン、オルニチン、クレアチン、γアミノ酪酸、又はオパインなどに由来するアシル残基を用いることができる。
ペプチダーゼがLAP(leucine aminopeptidase:ロイシンアミノペプチダーゼ)である場合における好適なR11(R、R10又はR13)の例として、以下の置換基が挙げられる。
Figure 2014106957
ペプチダーゼがGGT(γ-glutamyl transpeptidase:γ-グルタミルトランスペプチターゼ)である場合における好適なR11の例として、以下の置換基が挙げられる。例えば、R11として下記の置換基を有する化合物を国際公開WO2011/087000に記載の方法に従ってγGlu−RhoHMの代わりに用いれば、がん細胞やがん組織を特異的に測定することが可能であり、がん診断薬として利用することができる。
Figure 2014106957
プロテアーゼがCaspase−3である場合における好適なR11(R、R10又はR13)の例として、以下の置換基が挙げられる。
Figure 2014106957
プロテアーゼがCalpainである場合における好適なR11(R、R10又はR13)の例として、以下の置換基が挙げられる。
Figure 2014106957
ラクタマーゼがβ-Lactamase(β-ラクタマーゼ)である場合における好適なR11(R、R10又はR13)の例として、以下の置換基が挙げられる。
Figure 2014106957
接触により切断する測定対象物質がグルタチオン(Glutathione)である場合における好適なR11(R、R10又はR13)の例として、以下の置換基が挙げられる。
Figure 2014106957
また、本発明のもう一つの好ましい態様は、以下の一般式(Ic)で表される化合物又はその塩である。
Figure 2014106957
一般式(Ic)において、R〜R10、R14及びXは、一般式(I)で定義したとおりである。
14は、アリール基を示し、アリール基は単環の芳香族基又は縮合芳香族基のいずれであってもよい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましい。アリール環上には1個又は2個以上の置換基が存在していてもよい。置換基としては、アミノ基(例えば、−NH基、炭素数1〜6のモノアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基)などが好ましい。また、置換位置としては、アゾ基に対してパラ位であることが好ましい。
一般式(Ic)の化合物は、非対称Siローダミンにおいて6位のアミノ基をアリール基を有するアゾ基に置換した構造を有する。このような構造を有することで、一般式(Ic)の化合物は、生体内における低酸素環境下において各種還元酵素により還元反応が促進され、また、非対称Siローダミンの共役系にアゾ基が組み込まれることで、無蛍光性になるという特徴を有する。これにより、一般式(Ic)の化合物は、低酸素環境検出蛍光プローブを提供することが可能である。
還元酵素としては、例えば、NADPHシトクロムP450還元酵素、シトクロムP450、NADPH−フラビン還元酵素、NADH−b5還元酵素などが挙げられる。
また、本発明の1つの好ましい実施態様は、一般式(Ia)においてR11は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基であり、当該置換基は芳香環である化合物又はその塩である。R11が芳香環である場合は、芳香環と置換基の間の結合が活性酸素種により切断され、有用な近赤外光活性酸素検出プローブを提供することができる。
芳香環としては、フェノール基、アミノフェニル基、およびそれらのオルト位やメタ位にメチル基、エチル基、プロピル基、ハロゲン基、メトキシ基、アリル基、カルボキシ基等が結合したフェノール基およびアミノフェニル基が挙げられるが、好ましくは、フェノール基、アミノフェニル基である。
また、更に1つの好ましい実施態様において、R11は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基であり、当該置換基は芳香環であって、RとRが一緒になって、Rが結合している窒素原子を含む5〜7員のヘテロシクリル又はヘテロアリールを形成していることが好ましい。また、R12は、好ましくは炭素数1〜6個のアルキル基である。
1つの好ましい実施態様は、以下の一般式(Ia−3)で表される化合物又はその塩である。
Figure 2014106957
一般式(Ia−3)において、R〜R、R〜R、R10、R12及びXは、一般式(Ia)で定義したとおりである。
このような化合物の非限定的な例として、以下の化合物を挙げることができる。
Figure 2014106957
上記一般式(I)、(Ia)((Ia−1)〜(Ia−3)を含む。以下の記載において同様である。)〜(Ic)で表される化合物は塩として存在する場合がある。塩としては、塩基付加塩、酸付加塩、アミノ酸塩などを挙げることができる。塩基付加塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などの金属塩、アンモニウム塩、又はトリエチルアミン塩、ピペリジン塩、モルホリン塩などの有機アミン塩を挙げることができ、酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの鉱酸塩、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩などの有機酸塩を挙げることができる。アミノ酸塩としてはグリシン塩などを例示することができる。もっとも、本発明の化合物の塩はこれらに限定されることはない。
一般式(I)、(Ia)〜(Ic)で表される本発明の化合物は、置換基の種類に応じて1個または2個以上の不斉炭素を有する場合があり、光学異性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体が存在する場合がある。純粋な形態の立体異性体、立体異性体の任意の混合物、ラセミ体などはいずれも本発明の範囲に包含される。また、一般式(Ic)で表される本発明の化合物又はその塩は、水和物又は溶媒和物として存在する場合もあるが、これらの物質はいずれも本発明の範囲に包含される。溶媒和物を形成する溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、エタノール、アセトン、イソプロパノールなどの溶媒を例示することができる。
本発明のもう一つの態様は、一般式(I)、(Ia)〜(Ic)で表される化合物を含む蛍光プローブである。
上記した各種蛍光プローブを用いる測定対象物質の測定は、測定対象物質と接触することで切断される一価の置換基に関する上記刊行物に記載された方法など当業者に周知の方法に準じて行うことができるので、研究のための試薬としての使用のほか動物や人の診断のための試薬として使用することも出来る。例えば、上記した各種蛍光プローブを用いることにより、試験管中で測定対象物質の濃度や量を測定することが可能になり、あるいは生細胞や生体に取り込ませてバイオイメージングの手技により画像化して測定することができる。代表的な例として、下記の工程:(a)測定対象物質と接触することで切断される一価の置換基を有する一般式(I)、(Ia)〜(Ic)で表される化合物又はその塩と測定対象物質とを接触させる工程、及び(b)上記工程(a)で生成した測定対象物質と接触後の前記化合物の蛍光強度を測定する工程を含む方法をあげることができる。
上記したように、本発明の化合物ではR11、R、R10又はR13を周知の方法で容易に適宜な置換基とすることができる。例えば、ラベル化のための置換基、ケージド化合物とするための置換基など、捕捉基以外の機能性置換基を導入できることも当業者には容易に理解されよう。なお、本明細書において用いられる「測定」という用語は、定量、定性、又は診断などの目的で行われる測定、検査、検出などを含めて、最も広義に解釈しなければならない。
本発明の化合物の合成方法
本発明の一般式(Ia)の化合物は下記の合成スキーム(以下「合成法1」ともいう)に従って合成することができる。
Figure 2014106957
(1)工程(a)
一般式(II)(式中、R16はハロゲン原子を示す)で表される3−ハロゲン化−N,N−ジアリルアニリンは、3−ハロゲン化アニリンとアリルハライドから製造される。式(II)の化合物と式(III)で表される3−ハロゲン化ベンゼンアミン化合物とを、酢酸等の酸に溶解し、ホルムアミド液を添加して、25〜80℃で45〜720分間加熱して合成することができる。式(II)の化合物と式(III)の化合物のモル比は、通常2:1〜5:1である。
(2)工程(b)
一般式(IV)で表される化合物をTHF等の溶媒中、−78℃に冷却後、2〜100当量のsec−ブチルリチウムを添加し、1.5〜100当量のX(Halo)(R)(R)(Haloは塩素原子又は臭素原子を示し、X、R、Rは上記と同義である)を予め溶媒に溶解して添加する。室温に戻して、1〜2時間程度反応させる。溶媒除去後の残渣をアセトン等の溶媒中、0℃に冷却後、3〜10当量の過マンガン酸カリウムを2時間程度かけて添加し、その後1〜5時間同温で撹拌することにより、式(V)で表される化合物を合成することができる。
(3)工程(c)
2−ブロモトルエンとTHF等の溶媒を混合し−78℃に冷却し、30〜100当量のsec−ブチルリチウムを添加する。一般式(V)の化合物をTHF等の溶媒に溶解し、この溶液を上記混合液に添加して、室温に戻して、1〜2時間程度反応させた後、50〜200当量の2N塩酸で処理することにより、式(VI)で表される化合物を合成することができる。
(4)工程(d)
一般式(VI)で表される化合物をメタノール等に溶解し、0℃に冷却後、3〜5当量の水素化ホウ素ナトリウムを添加し、その後2〜10当量の1,3−ジメチルバルビツール酸で処理することにより脱アリル化を行う。脱アリル化して得られた化合物を溶媒に溶解し、2〜5当量のクロラニルを加えて、処理することにより、一般式(Ia)においてR11及びR12が水素原子である化合物を得ることができる。
また、本発明においては、一般式(Ia)の化合物は下記の合成スキーム(以下「合成法2」ともいう)によっても合成することができる。
Figure 2014106957
(1)工程(e)
一般式(VII)(式中、R16はハロゲン原子を示す)で表される3−ハロゲン化−N,N−ジアリルアニリンは、3−ハロゲン化アニリンとアリルハライドから製造される。3−ハロゲン化−N,N−ジアリルアニリンを溶媒に溶解し、1〜2当量のオキシ塩化リンを添加し、1〜2当量の水酸化ナトリウム等の塩基水溶液を加えて反応させ、1〜2当量の水素化ホウ素ナトリウムを加えて反応させることで一般式(VIII)で表される3−ハロゲン化−N,N−ジアリル−4−ヒドロキシメチルアニリンを合成することができる。
(2)工程(f)
3−ハロゲン化−N,N−ジアリル−4−ヒドロキシメチルアニリンと式(IX)で表される3−ハロゲン化ベンゼンアミン化合物とを略等モル量で反応させて、一般式(X)で表される化合物を合成することができる。
(3)工程(g)
一般式(X)で表される化合物をTHF等の溶媒中、−78℃に冷却後、5〜100当量のsec−ブチルリチウムを添加し、5〜100当量のX(Halo)(R)(R)(Haloは塩素原子又は臭素原子を示し、X、R、Rは上記と同義である)を予め溶媒に溶解して添加する。室温に戻して、1〜2時間程度反応させる。溶媒除去後の残渣をアセトン等の溶媒中、0℃に冷却後、3〜10当量の過マンガン酸カリウムを2時間程度かけて添加し、その後1〜5時間同温で撹拌することにより、一般式(V)で表される化合物を合成することができる。
一般式(V)から一般式(Ia)の化合物を得る方法は、スキーム1の方法と同様である。
(例えば、溶媒に溶解させたIaの化合物に1〜2当量の測定対象物に認識、切断されうるアミノ酸やペプチド、1〜2当量のHATU等の縮合剤、及び2〜4当量のDIPEA、ピリジン等の求核性の無い塩基を添加することで)従来公知の方法を用いることにより、R11として測定対象物質との接触により切断される一価の置換基を導入することができる。
また、合成法1又は合成法2で得られる一般式(Ia)においてR11及びR12が水素原子である化合物について、例えば、2〜5当量の酸クロリドを用いてアミド化した後に100〜150当量のボラン−テトラヒドロフラン錯体等によるヒドリド還元によりアミドを還元させてから2〜5当量のクロラニル等により酸化する方法、あるいは2〜10当量のテトラヒドロホウ酸ナトリウム等のヒドリド還元を施した後に10〜20当量のパラホルムアルデヒド及び10〜20当量のテトラヒドロホウ酸ナトリウムを用いてメチル化を行い、その後1〜1.5当量の臭化アルキル等を用いたSN2反応を行い、2〜5当量のクロラニル等により酸化する方法などによりR12としてアルキル基を導入することができる。
本発明の一般式(Ib)の化合物は下記の合成スキームに従って合成することができる。
Figure 2014106957
(1)工程(h)
一般式(XI)で表される化合物を溶媒に溶解し、ピリジンなどの塩基を添加し、1〜2当量のトリフルオロメタンスルホン酸無水物(TfO)と反応させ、一般式(XII)で表される化合物を合成することができる。
(2)工程(i)
一般式(XII)で表される化合物を溶媒に溶解し、触媒量のPd(dba)CHCl、触媒量のキサントフォス、1〜1.5当量のCsCO、1〜1.5当量のベンゾフェノンイミン等のイミン化合物を添加して、希酸で加水分解することにより一般式(XIII)で表される化合物を合成することができる。一般式(XIII)で表される化合物は、一般式(1b)においてR13が水素原子である化合物のケト体である。
一般式(XIII)の化合物をハロゲン化アルキルと反応させることにより、アミノ基にアルキル基を導入することができ、また、カルボニル基をアルコキシル基に変換することができる。
また、一般式(XII)の化合物と、アミド化合物(アセトアミド等)、ペプチド合成用レジンから切り出したペプチド(C末端のカルボン酸がCONHとなっている)等を反応させることにより、アミド基などの測定対象物質との接触により切断される一価の置換基をキサンテン環部位に導入することにより、蛍光プローブを得ることができる。
本発明の一般式(Ia−3)の化合物は下記の合成スキームに従って合成することができる。
Figure 2014106957
(1)工程(j)
一般式(XIV)の化合物を、塩酸等の酸性水溶液と有機溶媒の混合溶媒に溶解し、0℃程度に冷却し、そこへ、1〜2当量のNaNO水溶液を滴下し、所定時間撹拌後、1〜10当量のヨウ化カリウムの水溶液を添加して反応させることにより、一般式(XV)の化合物を合成することができる。
(2)工程(k)
式(XV)の化合物、アルキル基の炭素数が1〜6であるN−アルキル−P−アニシジンをトルエン等の有機溶媒に溶解し、Pd(OAc)、BINAPを添加してと反応させることにより、一般式(XVI)の化合物を合成することができる。
(3)工程(l)
一般式(XVI)の化合物をTHF等の溶媒に溶解し、1〜50当量のo−トリル臭化マグネシウムを加えて反応させ、その後、酸を添加して、一般式(XVII)の化合物を合成することができる。
(4)工程(m)
一般式(XVII)の化合物を溶媒に溶解し、1〜3当量の三臭化ボロンを添加して反応させることにより、一般式(Ia−3)で表される化合物を合成することができる。
本発明の一般式(Ic)の化合物は、上記の合成法1又は2で得た一般式(Ia)においてR11及びR12が水素原子である化合物を、TFAを含む1:1、MeCN/CHClの混合溶媒に溶解し、亜硝酸ナトリウムの存在下で、0℃程度の温度で、例えば、N,N−ジアルキルアニリンと反応させることにより合成することができる。
本発明の蛍光プローブの使用方法は特に限定されないが、例えば、単離精製した酵素、および細胞溶解液中に含まれる観察対象酵素の活性測定や、生細胞内での酵素活性の測定、長波長という光学特性を活かした生体組織中でのがんバイオマーカーとなる酵素の活性測定等が挙げられる。
また、本発明の一般式(Ia−3)で表される化合物を含む蛍光プローブは、活性酸素種、例えば、HOCl、ONOO、O 、ヒドロキシラジカルの測定に好適に用いることができる。
また、本発明の一般式(Ic)で表される化合物を含む蛍光プローブは、低酸素環境の検出に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。実施例中、Meはメチル基、Acはアセチル基を意味する。
[実施例1]
以下の合成スキームにより本発明の化合物1及び化合物2を合成した。
Figure 2014106957
(1)工程(a)
CO(44.0g、318mmol)をアセトニトリルに懸濁し、3−ブロモアニリン(17.4mL、160mmol)、アリルブロミド(47.5mL、501mmol)を加えて80℃で20時間攪拌した。室温まで冷却した後にろ過を行い、酢酸エチルでよく洗った。溶媒を除去した後にカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1/30酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、N,N−ジアリル−3−ブロモベンゼンアミン(31.3g、125mmol、収率91%)を得た。
(2)工程(b)
N,N−ジアリル−3−ブロモベンゼンアミン(10.0g、39.8mmol)とN,N−ジメチル−3−ブロモベンゼンアミン(2.73g、13.6mmol)を酢酸(150mL)に溶解し、37%ホルムアルデヒド液(10.9g、363mmol)を加えて80℃で60分間加熱した。室温まで冷却した後、飽和NaOH水溶液で中和し、沈殿物をHOで溶解させた。この混合物をジクロロメタンで抽出し、食塩水で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥して溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1/30 酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、4−(2−ブロモ−4−(ジメチルアミノ)ベンジル)−N,N−ジアリル−3−ブロモベンゼンアミン(3.67g、7.91mmol、収率58%)を得た。
1H-NMR (300.40 MHz, CDCl3): δ2.93 (s, 6H), 3.87(d, 4H, J = 4.2 Hz), 3.98 (s, 2H), 5.13-5.19 (m, 4H), 5.73-5.88 (m, 2H), 6.53 (dd, 1H, J = 1.5 Hz, 8.7 Hz), 6.58 (dd, 1H, J = 1.5 Hz, 8.7 Hz), 6.79 (d, 1H, J = 9.0 Hz), 6.86 (d, 1H, J = 8.7 Hz), 6.90 (d, 1H, J = 1.5 Hz), 6.93 (d, 1H, J = 1.5 Hz).13C-NMR (75.45 MHz, CDCl3): δ39.8, 40.5, 52.7, 111.7, 111.8, 116.0, 116.2, 125.5, 125.6, 126.9, 127.1, 130.7, 130.8, 133.5, 148.1, 150.0LRMS (ESI+): 465 for [M+H]+
(3)工程(c)
乾燥させアルゴン置換したフラスコに4−(2−ブロモ−4−(ジメチルアミノ)ベンジル)−N,N−ジアリル−3−ブロモベンゼンアミン(19.9g、43.0mmol)と脱水テトラヒドロフラン(THF、120mL)を加えた。−78℃に冷却後、1Msec−ブチルリチウム(120mL、120mmol)を加え、20分間攪拌した。そのままの温度でジメチルシリルジクロリド(5.8mL、60mmol)を脱水THF40mLに溶解してゆっくりと加え、室温に戻して1時間攪拌した。2N塩酸で反応を停止してNaHCOで中和した。この混合物をジクロロメタンで抽出して食塩水で洗浄し、有機層をNaSOで乾燥させた後に溶媒を除去した。残渣をアセトン(300mL)に溶解し、0℃に冷却してKMnO(19.4g、123mmol)を少量ずつ2時間かけて加え、更に同じ温度で1時間攪拌した。ジクロロメタンで洗いながらろ紙を用いて吸引ろ過した。溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)で精製してN,N−ジアリル−N’,N’−ジメチルジアミノ−Si−キサントン(4.68g、12.4mmol、収率29%)を得た。
1H-NMR (300.40 MHz, CDCl3): δ 0.44 (s, 6H), 3.09 (s, 6H), 4.03 (d, 4H, J = 4.4 Hz), 5.18-5.30 (m, 4H), 5.82-5.95 (m, 2H), 6.78-6.85 (m, 4H), 8.36 (d, 1H, J = 8.7 Hz), 8.39 (d, 1H, J = 9.0 Hz)13C-NMR (75.45 MHz, CDCl3): δ-1.1, 40.0, 52.6, 113.1, 113.4, 114.2, 114.7, 116.5, 129.6, 129.9, 131.6, 133.0, 140.4, 150.1, 151.4, 185.1HRMS (ESI+): Found: 377.2019, calculated 377.2049 for [M+H]+ (-3.0 mmu)
(4)工程(d)
よく乾燥させアルゴン置換したフラスコに、2−ブロモトルエン(14mL、110mmol)と脱水THF(50mL)を加えた。−78℃に冷却後、1Msec−ブチルリチウム(100mL、100mmol)を加えて20分間攪拌した。そのままの温度でN,N−ジアリルアミノ−N’,N’−ジメチルアミノ−Si−キサントン(930mg、2.47mmol)を脱水THF30mLに溶解してゆっくりと加え、室温に戻した。室温で1時間攪拌後、2N塩酸を80mL加えて20分間攪拌した。この混合物をジクロロメタンで抽出して食塩水で洗った。有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1/19→1/4メタノール/ジクロロメタン)で精製してN−[7−(ジアリルアミノ)−9,9−ジメチル−10−(2−メチルフェニル)−9−シラアントラセン−2(9H)−イリデン]−N−メチル−メタンアミニウム(1.07g、2.20mmol、収率89%)を得た。
1H-NMR (300.40 MHz, CDCl3): δ0.61 (s, 3H), 0.63 (s, 3H), 2.04 (s, 3H), 3.49 (s, 6H), 4.21 (d, 4H, J = 5.1 Hz), 5.19-5.32 (m, 4H), 5.82-5.95 (m, 2H), 6.11 (dd, 1H, J = 1.5 Hz, 9.6 Hz), 6.69 (dd, 1H, J = 1.5 Hz, 10.2 Hz), 7.07 (d, 1H, J = 9.6Hz), 7.11-7.14 (m, 2H), 7.29 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 7.35-7.49 (m, 4H)
13C-NMR (100.40 MHz, CDCl3): δ-1.1, -0.8, 19.4, 41.6, 53.6, 114.0, 114.5, 118.1, 120.6, 121.7, 125.6, 127.6, 128.0, 128.8, 128.9, 130.2, 130.4, 130.8, 135.6, 138.3, 141.0, 142.2, 147.7, 153.2, 154.7, 170.0
HRMS (ESI+): Found: 451.2541, calculated 451.2569 for [M]+ (-2.8 mmu)
(5)工程(e)
N−[7−(ジアリルアミノ)−9,9−ジメチル−10−(2−メチルフェニル)−9−シラアントラセン−2(9H)−イリデン]−N−メチル−メタンアミニウム(1.15g、2.36mmol)をメタノール(100mL)に溶解させた。0℃に冷却後、水素化ホウ素ナトリウム(367mg、9.72mmol)を加えて30分間撹拌した。反応溶液を飽和NaHCO水溶液で振り取った後、食塩水で洗浄し、有機層をNaSOで乾燥させた後に溶媒を除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1/4酢酸エチル/ヘキサン)で粗く精製し7−ジアリルアミノ−2−ジメチルアミノ−10−(2−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,9−ジメチル−9−シラアントラセン混合物(785mg)を得た。乾燥させアルゴン置換したフラスコにPd(PPh(213mg、0.184mmol)と1、3−ジメチルバルビツール酸(943mg、6.04mmol)を加えた。ここに先ほど得られた混合物をジクロロメタン50mLに溶解して加え、35℃で11時間加熱攪拌した。溶媒を除去して飽和NaHCO水溶液に懸濁し、ジクロロメタンで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させて溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1/9→1/4酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、7−アミノ−2−ジメチルアミノ−10−(2−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,9−ジメチル−9−シラアントラセン(450mg、1.21mmol、収率51%)を得た。
1H-NMR (300.40 MHz, CD3OD): δ0.37 (s, 3H), 0.54 (s, 3H), 2.17 (s, 3H), 2.88 (s, 6H), 5.50 (s, 1H), 6.60 (dd, J = 8.4 Hz, 2.6 Hz, 1H), 6.69 (dd, J = 8.8 Hz, 2.9 Hz, 1H), 6.78 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.86 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 6.97-7.09 (m, 6H)13C-NMR (75.45 MHz, CDCl3): δ-1.0, -0.3, 20.5, 40.7, 49.9, 114.6, 116.3, 116.9, 119.0, 125.8, 126.1, 129.8, 130.1, 131.0, 131.1, 133.6, 134.4, 135.5, 137.2, 139.2, 143.3, 146.0, 147.9HRMS (ESI+): Found: 373.2071, calculated 373.2100 for [M+H]+ (-2.9 mmu)
(6)工程(f):2−MeSiR620(化合物1)の合成
7−アミノ−2−ジメチルアミノ−10−(2−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,9−ジメチル−9−シラアントラセン(121mg、0.324mmol)とクロラニル(159mg、0.647mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解させ、室温で30分間撹拌した。溶媒を除去した後、HPLCで生成して2−MeSiR620トリフルオロ酢酸塩(化合物1)(103mg、0.213mmol、収率66%)を得た。
1H-NMR (300.40 MHz, CD3OD): δ0.55 (s, 3H), 0.56 (s, 3H), 2.04 (s, 3H), 3.34 (s, 6H), 6.58 (dd, 1H, J = 2.1 Hz, 9.6 Hz), 6.76 (dd, 1H, J = 3.0 Hz, 9.6 Hz), 7.02 (d, 1H, 9.6 Hz), 7.07-7.13 (m, 2H), 7.20 (d, 1H, J =2.1 Hz), 7.36-7.49 (m, 4H)13C-NMR (75.45 MHz, CDCl3): δ-1.6, -1.3, 19.3, 40.4, 113.1, 117.5, 119.3, 125.5, 125.5, 127.4, 127.8, 128.7, 128.9, 130.1, 135.6, 138.6, 140.2, 143.5, 146.9, 150.1, 153.0, 158.1, 169.1HRMS (ESI+): Found: 371.1974, calculated 371.1944 for [M]+ (3.1 mmu)
(7)工程(g)
乾燥したフラスコに2−MeSiR620トリフルオロ酢酸塩(103mg、0.213mmol)とジイソプロピルエチルアミン(140μL、0.823mmol)と脱水テトラヒドロフラン(17mL)を加えた。0℃に冷却後4−クロロ−4−オキソ酪酸メチル(100μL、0.812mmol)を加え、アルゴン置換をして室温で5時間撹拌した。溶媒を除去後、HPLCで精製して4−オキソ−4−(2−MeSiR620)−酪酸メチルトリフルオロ酢酸塩(86.4mg、0.144mmol、収率68%)を得た。
1H-NMR (300.40 MHz, CDCl3): δ0.55 (s, 3H), 0.57 (s, 3H), 2.00 (s, 3H), 2.66 (t, 2H, J = 6.6 Hz), 2.95 (t, 2H, J = 6.6 Hz), 3.44 (s, 3H), 3.59 (s, 3H), 3.66 (s, 3H), 6.72-6.75 (m, 1H), 7.07 (d, 1H, J = 7.5 Hz), 7.12 (d, 1H, J = 9.0 Hz) 7.30-7.36 (m, 4H), 7.42-7.47 (m, 1H), 7.97 (dd, 1H, J = 2.1 Hz, 8.7 Hz), 8.29 (d, 1H, J = 2.1 Hz), 11.28 (s, 1H)13C-NMR (100.40 MHz, CDCl3): δ -1.8, -1.4, 19.5, 28.8, 31.9, 41.6, 41.9, 51.7, 115.6, 121.1, 122.8, 125.6, 128.8, 129.3, 130.4, 133.3, 135.6, 137.8, 140.2, 144.6, 144.8, 146.3, 154.3, 156.1, 172.6, 173.1HRMS (ESI+): Found: 485.2242, calculated 485.2260 for [M]+ (-1.8 mmu)
(8)工程(h)
アルゴン置換をしたよく乾燥したフラスコに4−オキソ−4−(2−MeSiR620)−酪酸メチルトリフルオロ酢酸塩(20.7mg、0.0346mmol)と脱水テトラヒドロフラン(8mL)を加えて0℃に冷却した後、0.9Mボラン−テトラヒドロフランコンプレックス(5mL、4.5mmoL)を加えて室温に戻した。室温で270分撹拌した後、0.1%トリフルオロ酢酸水溶液(20mL)をゆっくり加えて反応を停止させた。この混合物からテトラヒドロフランを除去した後、ジクロロメタンで抽出して食塩水で洗浄し、有機層をNaSOで乾燥させた後に溶媒を除去した。残渣をジクロロメタン(4mL)に溶解させた後、クロラニル(4mg)を加えて15分間室温で撹拌した。溶媒を除去し、得られた残渣をHPLCで精製して4−(2−MeSiR620)−酪酸メチルトリフルオロ酢酸塩(8.1mg、0.014mmol、収率40%)を得た。
1H-NMR (300.40 MHz, CDCl3): δ 0.54 (s, 3H), 0.56 (s, 3H), 1.99-2.06 (m, 5H), 2.46 (t, 2H, J = 6.2 Hz), 3.25 (s, 6H), 3.51 (br, 2H), 3.67 (s, 3H), 6.54 (dd, 1H, J = 3.0 Hz, 9.0 Hz), 6.65 (br, 1H), 7.01 (d, 1H, J = 9.6 Hz), 7.03 (d, 1H, J = 3.0 Hz),7.07 (d, 2H, J = 7.2 Hz), 7.30-7.44 (m, 4H), 9.98 (br, 1H)13C-NMR (75.45 MHz, CDCl3): δ-1.5, -1.2, 19.3, 23.8, 30.6, 40.3, 42.6, 51.7, 113.0, 119.2, 125.6, 127.5, 127.8, 128.7, 128.9, 130.2, 135.7, 138.6, 139.6, 152.8, 156.4, 168.6, 173.6HRMS (ESI+): Found: 471.2477, calculated 471.2468 for [M]+ (0.9 mmu)
(9)工程(i):2−MeSiR620−al(化合物2)の合成
4−(2−MeSiR620)−酪酸メチルトリフルオロ酢酸塩(37.4mg、0.0640mmol)をメタノール(30mL)と2N水酸化ナトリウム水溶液(30mL)の混合液に溶解させ、40℃で270分間加熱撹拌した。2N塩酸で中和した後、ジクロロメタンで抽出し、食塩水で洗浄した。溶媒除去後、残渣をHPLCで精製して2−MeSiR620−alトリフルオロ酢酸塩(化合物2)(20.2mg、0.0354mmol,収率55%)を得た。
1H-NMR (300.40 MHz, CDCl3): δ0.54 (s, 3H), 0.56 (s, 3H), 2.03 (m, 5H), 2.60 (br, 2H), 3.26 (s, 6H), 3.49 (br, 2H), 6.54 (dd, 2H, J = 3.0 Hz, 9.0 Hz), 7.00-7.08 (m, 4H), 7.29-7.44 (m, 4H), 9.47 (br, 1H)HRMS (ESI+): Found: 457.2278, calculated 457.2311 for [M]+ (-3.3 mmu)
上記工程(f)で得られた2−MeSiR620(化合物1)および工程(i)で得られた2−MeSiR620−al(化合物2)の吸光および蛍光プロファイルを測定した。結果を図1a及び1bに示す。測定は0.1%のDMSOを含むpH7.4の0.1Mリン酸ナトリウム水溶液中で行った。蛍光プロファイル測定における励起光の波長は2−MeSiR620では620nmで、2−MeSiR620−alでは635nmである。
2−MeSiR620および2−MeSiR620−alの光学特性データを表1にまとめた。アルキルリンカーを結合させることでAbsmaxとEmmax はともに長波長化し、モル吸光係数や蛍光量子収率が上昇することがわかった。
Figure 2014106957
[実施例2]
以下の合成スキームにより本発明の化合物3を合成した。
Figure 2014106957
(1)工程(a)
7−アミノ−2−ジメチルアミノ−10−(2−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,9−ジメチル−9−シラアントラセン(243mg,0.653mmol)、ナトリウムメトキシド(245mg、4.53mmol)およびパラホルムアルデヒド(266mg、8.87mmol)をメタノール(10mL)に加え、懸濁液を室温で15時間撹拌した後、水素化ホウ素ナトリウム(410mg、10.8mmol)を加え80℃で2時間撹拌した。反応溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液を加えたのちジクロルメタンで抽出し食塩水で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥して溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1/4酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、7−メチルアミノ−2−ジメチルアミノ−10−(2−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,9−ジメチル−9−シラアントラセン(171.7mg、0.444mmol、収率68%)を得た。
1H-NMR (300.40 MHz, CD3OD): δ 0.38 (s, 3H), 0.55 (s, 3H), 2.17 (s, 3H), 2.75 (s, 3H), 2.88 (s, 6H), 5.51 (s, 1H), 6.53 (dd, J = 8.4 Hz, 2.6 Hz, 1H), 6.68 (dd, J = 8.8 Hz, 2.9 Hz, 1H), 6.80 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 6.85-6.87 (m, 2H), 6.98-7.08 (m, 5H)13C-NMR (75.45 MHz, CDCl3): δ -0.9, -0.3, 20.5, 30.8, 40.7, 49.8, 114.3, 114.6, 116.1, 116.3, 125.7, 126.1, 129.8, 130.0, 131.0, 131.2, 133.8, 134.1, 135.5, 137.3, 137.9, 146.1, 146.4, 147.9 HRMS (ESI+): Found: 387.2221, Calculated 387.2257 for [M+H]+ (-3.6 mmu)
(2)工程(b):2−MeSiR630(化合物3)の合成
7−メチルアミノ−2−ジメチルアミノ−10−(2−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,9−ジメチル−9−シラアントラセン(18.4mg、0.048mmol)をジクロルメタン(2mL)に溶解させたのち、クロラニル(32.0mg、0.130mmol)を加えて室温で1時間撹拌した。溶媒除去後、残渣をHPLCで精製し、2−MeSiR630トリフルオロ酢酸塩(化合物3)(4.8mg、9.63μmol、収率20%)を得た。
1H-NMR (300.40 MHz, CDCl3): δ 0.54 (s, 3H), 0.56 (s, 3H), 2.03 (s, 3H), 3.12 (s, 3H), 3.23 (s, 6H), 6.53 (dd, J = 3.0 Hz, 6.6 Hz, 1H), 6.91-7.09 (m, 4H), 7.30-7.44 (m, 5H)HRMS (ESI+): Found: 385.2107, Calculated 385.2100 for [M]+ (0.7 mmu)
また、以下の合成スキームにより本発明の化合物4を合成した。
Figure 2014106957
(3)工程(c)
よく乾燥させアルゴン置換したフラスコに7−メチルアミノ−2−ジメチルアミノ−10−(2−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,9−ジメチル−9−シラアントラセン(95.3mg、0.247mmol)、KCO(78.2mg、0.566mmol)、ヨウ化カリウム(50.0mg、0.301mmol)、4−ブロモ酪酸メチル(50μL、0.397mmol)、脱水アセトニトリル(10mL)を加え、100℃で2日間撹拌した。反応溶液を室温まで冷やした後ろ過を行い、酢酸エチルでよく洗った。ろ液から溶媒を除去後にカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1/4ヘキサン/ジクロルメタン→ジクロルメタン)で精製し、4−(2−ジメチルアミノ−10−(2−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,9−ジメチル−9−シラ−7−アントラセニル)メチルアミノ酪酸メチル(40.4mg、0.083mmol、収率34%)を得た。
1H-NMR (300.40 MHz, CDCl3): δ 0.44 (s, 3H), 0.60 (s, 3H), 1.85-1.95 (m, 2H), 2.24 (s, 3H), 2.35 (t, 2H, J = 7.0 Hz), 2.91 (s, 3H), 2.93 (s, 6H), 3.33 (t, 2H, J = 7.3 Hz), 3.65 (s, 3H), 5.56 (s, 1H), 6.59-6.67 (m, 2H), 6.87 (dd, 2H, J = 8.8 Hz, 4.4 Hz), 6.92 (dd, 2H, J = 9.9 Hz, 2.6 Hz), 7.03-7.14 (m, 4H). 13C-NMR (75.45 MHz, CDCl3): δ -0.9, -0.3, 20.5, 22.3, 31.3, 38.3, 40.7, 49.7, 51.6, 52.0, 114.2, 114.6, 115.9, 116.4, 125.7, 126.1, 129.8, 129.9, 131.0, 131.2, 133.9, 134.0, 135.6, 137.0, 137.4, 146.1, 146.6, 147.9, 173.7. HRMS (ESI+): Found: 487.2759 Calculated 487.2781 for [M+H]+ (-2.2 mmu)
(4)工程(d)
4−(2−ジメチルアミノ−10−(2−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロ−9,9−ジメチル−9−シラ−7−アントラセニル)メチルアミノ酪酸メチル(30.3mg、0.062mmol)をメタノール(20mL)と2N水酸化ナトリウム水溶液(20mL)の混合溶液に溶解させて、40℃で4時間加熱撹拌した。2N塩酸で中和した後、ジクロルメタンで抽出し、食塩水で洗浄した。溶媒除去後、残渣をジクロルメタン(5mL)に溶かし、クロラニル(29.6mg、0.120mmol)を加えて室温で100分撹拌した。溶媒を除去後、HPLCで精製し、2−MeSiR630−alトリフルオロ酢酸塩(化合物4)(17.8mg、0.030mmol収率49%)を得た。
1H-NMR (300.40 MHz, CDCl3): δ 0.62 (s, 3H), 0.64 (s, 3H), 2.04 (m, 5H), 2.66 (br, 2H), 3.30 (m, 9H), 3.80 (br, 2H), 6.57 (dd, J = 3.0 Hz, 6.6 Hz, 1H), 7.06-7.12 (m, 6H), 7.31-7.43 (m, 3H)13C-NMR (100.40 MHz, CDCl3): δ -1.4, -1.1, 19.4, 22.4, 30.5, 39.1, 40.7, 52.7, 113.5, 114.0, 120.2, 125.6, 127.7, 127.7, 128.9, 128.9, 130.3, 135.7, 138.4, 141.3, 142.3, 149.5, 153.8, 154.2, 170.6HRMS (ESI+): Found: 471.2425 Calculated 471.2468 for [M]+ (-4.3 mmu)
上記工程(b)で合成した2−MeSiR630(化合物3)および工程(d)で合成した2−MeSiR630−al(化合物4)について、吸光および蛍光スペクトルを測定した。結果を図2a及び2bに示す。測定は0.1%のDMSOを含むpH7.4の0.1リン酸ナトリウム水溶液中で行った。蛍光スペクトル測定における励起光は2−MeSiR630では633nmで、2−MeSiR630−alでは648nmである。
化合物3及び化合物4について、表2に光学特性データをまとめた。
Figure 2014106957
[実施例3]
以下の合成スキームにより本発明の化合物5を合成した。
Figure 2014106957
(1)工程(a)
N,N−ジアリル−3−ブロモアニリン(1.21g、4.80mmol)をトルエンに溶解させ、DMF(456μL、6.24mmol)オキシ塩化リン(534μL、5.76mmol)を加えて80℃で21時間攪拌した。水浴に浸けて冷却しながら2規定水酸化ナトリウム水溶液を加えて5分間攪拌し、この混合物をジクロロメタンで抽出し、食塩水で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥して溶媒を減圧留去した後、エタノール(10mL)、水素化ホウ素ナトリウム(182mg、4.80mmol)を加えて室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残差に水を加え、この混合物をジクロロメタンで抽出した。有機層をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧留去した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、30%酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製してN,N−ジアリル−3−ブロモ−4−ヒドロキシメチルアニリン(1.15g、4.08mmol、85%yield)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 3.89-3.91 (m, 4H), 4.62 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 5.12-5.19 (m, 4H), 5.76-5.88 (m, 2H), 6.60 (dd, J = 2.3, 8.6 Hz, 1H), 6.86 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.20 (d, J = 8.6 Hz, 1H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 52.69, 65.04, 111.31, 115.86, 116.31, 124.43, 136.95, 130.45, 133.02, 149.35; LRMS (ESI+) 264 [M-OH]+
(2)工程(b)
6−ブロモ−1−メチルインドリン(105mg、0.495mmol)、N,N−ジアリル−3−ブロモ−4−ヒドロシキメチルアニリン(137mg、0.488mmol)をジクロロメタン(15mL)に溶解させ、BFOEt(123μL、0.976mmol)を加えて35℃で23時間攪拌した。室温まで冷却した後、水を加え、この混合物をジクロロメタンで抽出し、食塩水で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥して溶媒を減圧留去した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、10%酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、N,N−ジアリル−3−ブロモ−4−((6−ブロモ−1−メチルインドリン−5−イル)メチル)アニリン(207mg、0.434mmol、収率90%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 2.73 (s, 3H), 2.83 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 3.28 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 3.87-3.88 (m, 4H), 3.97 (s, 2H), 5.14-5.20 (m, 4H), 5.76-5.89 (m, 2H), 6.64 (dd, J = 2.5, 8.2 Hz, 1H), 6.65 (s, 1H), 6.73 (s, 1H), 6.80 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 2.5 Hz, 1H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 28.36, 36.03, 40.14, 52.72, 56.28, 110.85, 111.64, 115.92, 116.27, 123.06, 125.49, 126.11, 127.05, 128.05, 130.17, 130.68, 133.52, 148.13, 153.03; LRMS (ESI+) 477 [M+H]+
(3)工程(c)
乾燥させアルゴン置換したフラスコにN,N−ジアリル−3−ブロモ−4−((6−ブロモ−1−メチルインドリン−5−イル)メチル)アニリン(207mg、0.434mmol)と脱水テトラヒドロフラン(10mL)を加えた。−78℃に冷却後、1Msec−ブチルリチウム(0.91mL、0.91mmol)を加え、20分間攪拌した。そのままの温度でジクロロジメチルシラン(112mg、0.868mmol)を脱水テトラヒドロフラン3mLに溶解してゆっくりと加え、室温に戻して1時間攪拌した。2N塩酸で反応を停止してNaHCOで中和した。この混合物をジクロロメタンで抽出して食塩水で洗浄し、有機層をNaSOで乾燥させた後に溶媒を減圧留去した。残渣をアセトン(30mL)に溶解し、0℃に冷却してKMnO(295mg、1.74mmol)を少量ずつ2時間かけて加え、更に同じ温度で1時間攪拌した。ジクロロメタンを加え、ろ紙を用いて吸引ろ過した後、水を加え、この混合物をジクロロメタンで抽出し、食塩水で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥して溶媒を減圧留去した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、30%酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、8−(ジアリルアミノ)−1,10,10−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[5,6]シリノ[3,2−f]インドール−5(10H)−オン(30mg、0.0773mmol、収率18%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 0.43 (s, 6H), 2.90 (s, 3H), 3.05 (t, J = 8.5 Hz, 2H), 3.47 (t, J = 8.5 Hz, 2H), 4.02-4.03 (m, 4H), 5.18-5.23 (m, 4H), 5.82-5.94 (m, 2H), 6.50 (s, 1H), 6.80-6.86 (m, 2H), 8.21 (s, 1H), 8.34 (d, J = 9.0 Hz, 1H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ -1.17, 28.03, 34.55, 52.65, 54.79, 107.89, 107.93, 113.37, 114.65, 116.52, 120.40, 126.03, 129.98, 131.47, 131.59, 132.12, 133.04, 140.12, 140.27, 150.00, 154.80, 185.05; HRMS (ESI+) Calcd for [M+H]+, 389.2049 Found, 389.2069 (+2.0 mmu)
(4)工程(d)
8−(ジアリルアミノ)−1,10,10−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[5,6]シリノ[3,2−f]インドール−5(10H)−オン(14mg、0.036mmol)をTHF(5mL)に溶解させ、o−トリル臭化マグネシウム(19%THF中)(3.6mL、3.6mmol)を加えて2時間半加熱還流した。その後、反応液に2規定塩酸水溶液を加えてクエンチし、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した後、混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。残渣をMeOH(15mL)に溶解させ、NaBH(1.5mg、40μmol)を加え、室温で5分攪拌した。溶媒を減圧留去した後、水を加え、ジクロロメタンで抽出し、有機層を食塩水で洗い、NaSOで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。残渣をジクロロメタンに溶解させ、1,3−ジメチルバルビツール酸(28mg、0.18mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(5.7mg、5.4μmol)を加えて35℃でアルゴン雰囲気下に11時間攪拌した。混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出し、有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を減圧留去した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、20%酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し1,10,10−トリメチル−5−(o−トリル)−2,3,5,10−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[5,6]シリノ[3,2−f]インドール−8−アミン(2.0mg、5.19μmol、14%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 0.41 (s, 3H), 0.56 (s, 3H), 2.29 (s, 3H), 2.81-2.85 (m, 5H), 3.26 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 5.56, (s, 1H), 6.56 (dd, J = 2.7, 8.1 Hz,1H), 6.71 (s, 1H), 6.77 (s, 1H), 6.81 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.05-7.13 (m, 4H)
(5)工程(e)
1,10,10−トリメチル−5−(o−トリル)−2,3,5,10−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[5,6]シリノ[3,2−f]インドール−8−アミン(2.0mg、5.2μmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解させ、p−クロラニル(2.6mg、10.4μmol)を加えて室温で2時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、残渣を中性分取HPLCで精製し、目的の蛍光色素(化合物5)(1.2mg、2.5μmol、48%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD2Cl2): δ 0.54 (s, 3H), 0.56 (s, 3H). 2.03 (s, 3H), 2.96 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 3.21 (s, 3H), 3.83 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 6.58 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 6.79 (s, 1H), 6.91 (s, 1H), 6.95 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.09 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.29-7.43 (m, 4H); HRMS (ESI+) Calcd for [M]+, 383.1944 Found, 383.1484 (+4.0 mmu)
実施例3で得た蛍光色素2MeIndoSiR(化合物5)の吸光および蛍光スペクトルを測定した。結果を図3に示す。蛍光波長は665nmで、励起光波長は637nmであった。
化合物5の光学特性データを表3にまとめた。測定は0.3%のDMSOを含むpH7.4の0.1リン酸ナトリウム水溶液中で行った。蛍光量子収率の決定には、蛍光標準として水中のCy5.5(ΦFl=0.23)を用いた。
Figure 2014106957
次に、化合物5のFBS(ウシ胎児血清)中での吸光スペクトルを測定した結果を図4に示す。
測定は、0.1Mリン酸ナトリウム水溶液、FBS溶液、及び1%DMSOを含む20%FBSリン酸ナトリウム水溶液中で行った。
また、2MeIndoSiRの種々の溶媒中での蛍光量子収率を表4に示す。蛍光量子収率の決定には、蛍光標準として水中のCy5.5(ΦFl=0.23)を用いた。
Figure 2014106957
更に、化合物5の吸光及び蛍光スペクトルのpHプロファイルを調べた。その結果を図5及び6に示す。測定は、1%DMSOを含有する0.1Mリン酸ナトリウム溶液中において種々のpHで行った。励起波長は637nmであった。
[実施例4]
本発明の化合物5を以下の別の合成ルートで合成した。
Figure 2014106957
(1)工程(a)
8−(ジアリルアミノ)−1,10,10−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[5,6]シリノ[3,2−f]インドール−5(10H)−オン(102mg、0.263mmol)をジクロロメタン(15mL)に溶解させ、1,3−ジメチルバルビツール酸(206mg、1.32mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(42mg、0.0395mmol)を加えて35℃でアルゴン雰囲気下に12時間攪拌した。混合物に飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、ジクロロメタンで抽出し、有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を減圧留去した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、40%酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、8−アミノ−1,10,10−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[5,6]シリノ[3,2−f]インドール−5(10H)−オン(78mg、0.253mmol、96%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 0.43 (s, 6H), 2.90 (s, 3H), 3.04 (t, J = 8.2 Hz, 2H), 3.47 (t, J = 8.2 Hz, 2H), 6.49 (s, 1H), 6.76-6.82 (m, 2H), 8.20 (s, 1H), 8.31 (d, J = 8.1 Hz, 1H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ -1.28, 27.96, 34.44, 54.73, 107.79, 107.84, 116.12, 117.51, 126.10, 131.15, 131.84, 132.20, 140.12, 140.80, 148.83, 154.91, 185.13; HRMS (ESI+) Calcd for [M+H]+, 309.1423 Found, 389.1426 (+0.3 mmu)
(2)工程(b)
8−アミノ−1,10,10−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[5,6]シリノ[3,2−f]インドール−5(10H)−オン(8.7mg、0.0282mmol)をTHF(5mL)に溶解させ、o−トリル臭化マグネシウム(19%THF中)(2.82mmol、2.8mL)を加えて2時間加熱還流した。反応液に2規定塩酸水溶液を加えてクエンチし、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した後、混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。残渣をHPLCで精製して目的の蛍光色素(化合物5)(5.3mg、38%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD2Cl2): δ 0.54 (s, 3H), 0.56 (s, 3H). 2.03 (s, 3H), 2.96 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 3.21 (s, 3H), 3.83 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 6.58 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 6.79 (s, 1H), 6.91 (s, 1H), 6.95 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.09 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.29-7.43 (m, 4H); HRMS (ESI+) Calcd for [M]+, 383.1944 Found, 383.1484 (+4.0 mmu)
[実施例5]
本発明の化合物6(Ac−IndoSiR)を以下のスキームで合成した。
Figure 2014106957
実施例3又は4で得られた化合物5(0.7mg、1.41μmol)をアセトニトリル(3mL)に溶解させ、そこに無水酢酸(5μL、49μmol)、ピリジン(5μL、63.3μmol)を加え、室温で71時間攪拌した。反応溶液に2規定塩酸水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を減圧留去した。残渣を中性分取HPLCで精製し、Ac−IndoSiR(化合物6)(0.5mg、1.03μmol、73%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD2Cl2): δ 0.43 (s, 3H), 0.48 (s, 3H). 2.12 (s, 3H), 2.67 (s, 3H) 2.76-2.81 (m, 5H), 3.24 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 6.53 (s, 1H), 6.78 (s, 1H), 6.87 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.01 (d, J = 8.7 Hz, 1H) 7.12-7.39 (m, 3H), 7.69 (s, J = 1.8 Hz, 1H), 8.33 (dd, J = 8.7, 1.8 Hz, 1H); HRMS (ESI+) Calcd for [M]+, 425.2049 Found, 425.2090 (+4.1 mmu)
化合物6の吸光及び蛍光スペクトルのpHプロファイルを調べた。その結果を図7及び8に示す。測定は、1%DMSOを含有する0.1Mリン酸ナトリウム溶液中において種々のpHで行った。励起波長は500nmであった。
次に、Ac−IndoSiR(化合物6)の様々な溶媒における吸収、蛍光スペクトルを測定した。その結果を図9及び10に示す。測定溶媒として、pH7.4のNaPiバッファー、クロロホルム、ジクロロメタン、DMSO、DMF、メタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、アセトン、トルエン、ベンゼンを用い、全ての溶媒は0.1%DMSOを含有する。励起波長は540nmであった。
また、化合物6の種々の溶媒中での最大吸収蛍光波長、モル吸光係数、蛍光量子収率を表5に示す。種々の溶媒中における蛍光量子収率の決定には、クロロホルム中の化合物6の蛍光量子収率(ΦFl=0.44;絶対蛍光量子収率計測器を用いて決定)を蛍光標準として用いた。
Figure 2014106957
表5に示したそれぞれの溶媒の配向分極率Δfに対し、その溶媒中における化合物6のストークスシフトΔνをプロットしたLippert−Matagaプロットを作成したところ、両者に直線関係が見られた(図11;εは溶媒の誘電率であり、nは溶媒の屈折率である)。従って、化合物6のスペクトルシフトには溶媒効果が重要であると判明した。すなわち、化合物6は環境感受性を示す蛍光色素である。
化合物6は、極性溶媒である水中において吸収極大波長が500nmであり、その蛍光量子収率は0.06と低い。一方で低極性溶媒であるトルエン中において吸収極大波長は644nmと長波長化し、その蛍光量子収率は0.31と大きく上昇する(表5)。このように、化合物6は疎水性環境において、吸収波長の長波長化、および蛍光量子収率の上昇を生じる。そのため、600nm以上の長波長の励起光を照射することで、疎水性環境下にある化合物6のみが励起され、発した蛍光の検出により、疎水性環境の可視化が可能となる。
疎水性環境において蛍光性となる環境感受性色素は、タンパク質と基質の結合やタンパク質間相互作用の簡便な検出するために利用されている。この手法では、研究対象タンパク質内に環境感受性色素を導入し、基質の結合やタンパク質相互作用に伴う色素近傍の疎水性の変化を蛍光検出する。本手法は生きたままの細胞内に存在するタンパク質をリアルタイムに観測可能という利点を有しており、近年多くの利用例が報告されている(総説:Trends in Biothechnology, 2009, 28, 73-83)。化合物6もこれまでの報告されている環境感受性色素同様に、タンパク質と基質の結合、タンパク質間相互作用の検出への応用が期待される。
一般に利用されている環境感受性蛍光色素の吸収波長は350〜500nmと比較的短波長である。一方で、Ac−IndoSiRは長波長蛍光団Siローダミンを母核としており、その吸収波長は500〜650nmである(図9,10、表5)。そのためAc−IndoSiRを生細胞イメージングに利用する場合に、既存の環境感受性蛍光色素と比較して2つの利点が挙げられる。1つは、励起光による細胞障害の低減である。生細胞イメージングにおいて、短波長励起光による細胞障害がしばしば問題となるが、Ac−IndoSiRの吸収波長は細胞傷害性の低い500nm以上の波長域にある。従って、細胞傷害性の低い長波長励起光を用いたイメージングが可能となる。2つ目に、生体分子による自家蛍光を抑制した高感度なイメージングが挙げられる。生体組織は励起光照射により蛍光性生体分子由来の自家蛍光を発するが、自家蛍光は励起波長が長波長化するほど低減される。そのため、既存の環境感受性色素と比較して長波長であるAc−IndoSiRを用いることで自家蛍光を抑制したより高感度なイメージングが期待される。
[実施例6]
以下のスキームにより、本発明の化合物7(Si−Rhodol)を合成した。
Figure 2014106957
(1) 工程(a)
2−MeTM(52mg、0.15mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解させ、そこにピリジンを加え−30℃まで冷却した。TfO(49μl、0.3mmol)をジクロロメタン(3mL)に溶かした溶液を反応液に滴下し、室温で10分間攪拌した。混合物に水を加えてジクロロメタンで抽出し、有機層をNaSOで乾燥して溶媒を減圧留去した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、30%酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、TM−OTf(73mg、0.15mmol、quant.)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ 0.52 (s, 3H), 0.54 (s, 3H), 2.06 (s, 3H), 6.27 (d, J = 5.1 Hz 2H), 6.86 (s, 1H), 6.96-6.98 (m, 2H), 7.11-7.13 (m, 2H), 7.34-7.49 (m, 4H) : 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ -1.78, -1.50, 19.47, 116.52, 122.61, 126.11, 126.31, 128.69, 128.81, 129.27, 130.45, 131.02, 134.54, 136.01, 137.93, 138.38, 140.84, 141.01, 141.18, 145.83, 149.52, 152.47, 184.18; HRMS (ESI+) Calcd for [M+H]+, 477.0804 Found, 477.0770 (-3.4 mmu).
(2)工程(b)
TM−OTf(7.3mg、15.67μmol)をトルエン(8mL)に溶解させ、そこにPd(dba)CHCl(1.6mg、1.57μmol)、キサントフォス(2.4mg、4.14μmol)、CsCO(7.1mg、21.9μmol)、ベンゾフェノンイミン(3.4μL、18.8μmol)を加えアルゴン雰囲気下に100℃で20時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、ジクロロメタンを加えてセライト濾過を行い、溶媒を減圧留去した。残渣にTHF(10mL)、2規定塩酸水溶液(10mL)を加えて室温で30分攪拌した。そこに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和し、ジクロロメタンで抽出した。有機層をNaSOで乾燥して溶媒を減圧留去した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、3%メタノール/ジクロロメタン)で精製し、Si−Rhodol(化合物7)(6.9mg、quant.)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CD3OD): δ 0.37 (s, 3H), 0.38 (s, 3H), 1.94 (s, 3H), 6.12 (dd, J = 9.4, 1.9 Hz, 1H), 6.36 (dd, J = 9.6, 2.4 Hz, 1H), 6.66 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 6.77 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 6.88 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.21-7.33 (m, 3H) : 13C-NMR (100 MHz, CD3OD) δ -1.47, -1.24, 19.49, 115.75, 122.20, 125.67, 126.68, 127.23, 128.91, 129.51, 130.21, 131.12, 134.43, 137.02, 139.42, 140.89, 144.17, 144.99, 150.26, 154.42, 164.99, 184.72: HRMS (ESI+) Calcd for [M]+, 477.0804 Found, 477.0770 (-3.4 mmu)
Si−Rhodol(化合物7)の吸光および蛍光スペクトルのpHプロファイルを調べた。結果を図12〜14に示す。測定は、1%DMSOを含有する0.1Mリン酸ナトリウム溶液中において種々のpHで行った。励起波長は507nm(図13)と584nm(図14)であった。
また、化合物7の光学特性を以下の表にまとめる。
Figure 2014106957
[実施例7]
以下のスキームによりSi−Rhodolの類縁体を合成した。
Figure 2014106957
工程(a)
Si−Rhodol(化合物7)(6.9mg、20μmol)をDMF(6mL)に溶解させ、そこにMeI(1.75μL、28μmol)、t−BuOK(3.4mg、30μmol)を加え、室温で28時間攪拌した。混合物に2規定水酸化ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出、有機層をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧留去した後にHPLCで精製し、N−MeSi−Rhodol(1.2mg、3.4μmol、17%)、N−diMeSi−Rhodol(0.9mg、2.4μmol、12%)、O−MeSi−Rhodol(0.2mg、0.56μmol、3%)を得た。
Figure 2014106957
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.45 (s, 3H), 0.46 (s, 3H), 2.04 (s, 3H), 3.12 (s, 3H), 6.54 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 6.66 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 6.98 (s, 1H), 7.00 (s, 1H), 7.07 (m, 2H), 7.19 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.32 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.41 (t, J = 7.8 Hz, 2H) : HRMS (ESI+) Calcd for [M+H]+, 358.1627 Found, 358.1580 (+4.6 mmu)
Figure 2014106957
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.52 (s, 3H), 0.53 (s, 3H), 2.05 (s, 3H), 3.23 (s, 6H), 6.54-6.60 (m, 2H), 7.01 (m, 4H), 7.13 (m, 1H), 7.33-7.52 (m, 3H): HRMS (ESI+) Calcd for [M+H]+, 372.1784 Found, 372.1768 (-1.5 mmu)
Figure 2014106957
HRMS (ESI+) Calcd for [M]+, 358.1627 Found, 358.1640 (+1.3 mmu)
上記で合成したSi−Rhodol類縁体の光学特性は以下の通りである。
Figure 2014106957
上記から、Si−Rhodol類はアミノ基をアルキル化することにより、吸収、蛍光波長を長波長化可能であることが分かる。
また、O−Me−Si−Rhodol(化合物8)の吸光および蛍光スペクトルのpHプロファイルを調べた。結果を図15〜16に示す。測定は、10%DMSOを含有する0.1Mリン酸ナトリウム溶液中において種々のpHで行った。励起波長は503nmであった。
また、化合物8の光学特性を以下にまとめる。
Figure 2014106957
[実施例8]
以下のスキームにより、本発明の化合物9(N−AcSi−Rhodol)を合成した。
Figure 2014106957
工程(a)
TM−OTf(18mg、38.6μmol)をトルエン(10mL)に溶解させ、そこにPd(dba)CHCl(6mg、5.8μmol)、キサントフォス(8mg、13.8μmol)、CsCO(17.6mg、54μmol)、アセトアミド(5mg、84.7μmol)を加えアルゴン雰囲気下に100℃で18時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、ジクロロメタンを加えてセライト濾過を行い、溶媒を減圧留去した。その後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、60%酢酸エチル/n−ヘキサンで精製し、更にHPLCで精製し、N−AcSi−Rhodol(3.4mg、8.8μmol、23%)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ 0.49 (s, 3H), 0.50 (s, 3H), 2.05 (s, 3H), 2.21 (s, 3H), 6.28 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 6.86-6.89 (m, 2H), 6.99 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 7.09 (d, J = 7.5 Hz ,1H), 7.32-7.34 (m, 2H), 7.37-7.45 (m, 3H) : HRMS (ESI+) Calcd for [M+H]+, 415.1478 Found, 415.1453 (-2.5 mmu)
N−AcSi−Rhodol(化合物9)の吸光および蛍光スペクトルのpHプロファイルを調べた。結果を図17〜18に示す。測定は、10%DMSOを含有する0.1Mリン酸ナトリウム溶液中において種々のpHで行った。励起波長は503nmであった。
また、化合物9の光学特性を以下にまとめる。
Figure 2014106957
[実施例9]
以下のスキームにより、本発明の化合物10(2MeIndo−N−エチルーフェノールーSiR)を合成した。
Figure 2014106957
8−ヨード−1,10,10−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[5,6]シリノ[3,2−f]インドール−5(10H)−オンの合成
Figure 2014106957
8−アミノ−1,10,10−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[5,6]シリノ[3,2−f]インドール−5(10H)−オン(308mg、1.0mmol)を2NHCl水溶液4mLとアセトニトリル4mLに溶解し、氷浴上で0°Cに冷却した。そこに、水1mLに溶解させたNaNO(90mg、1.3mmol)を撹拌しながら滴下した。30分間撹拌後、水2mLに溶解させたKI(800mg、5.0mmol)を激しく撹拌しながら滴下した。1時間撹拌後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液を加え、CHClを用いて化合物を抽出し、有機層の溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl)で精製し、8−ヨード−1,10,10−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[5,6]シリノ[3,2−f]インドール−5(10H)−オン(60mg、収率14%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ0.47 (s, 6H), 2.93 (s, 3H), 3.07 (t, J = 8.70 Hz, 2H), 3.53 (t, J = 8.10 Hz, 2H), 6.47 (s, 1H), 7.88 (dd, J = 2.10, 8.70 Hz, 1H), 7.95 (d, J = 2.40 Hz, 1H), 8.14 (d, J = 8.70 Hz, 1H), 8.17 (s, 1H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3): d -1.41, 27.8, 34.1, 54.5, 100.2, 107.4, 107.5, 126.3, 130.2, 131.3, 132.5, 138.9, 140.2, 140.6, 141.4, 155.4, 185.3; HRMS (ESI+): Calcd for [M+H]+, 420.0281; found, 420.0329 (+4.8 mmu).
8−(エチル-p-メトキシフェニル)−1,10,10−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[5,6]シリノ[3,2−f]インドール−5(10H)−オンの合成
Figure 2014106957
8−ヨード−1,10,10−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[5,6]シリノ[3,2−f]インドール−5(10H)−オン(120mg、0.79mmol)、N−エチル−p−アニシジン(21mg、0.05mmol)をトルエンに溶解しシュレンク管に添加し、CsCO(260mg、0.80mmol)を添加し、Ar置換下脱気を行った。Pd(OAc)(5.6mg、0.025mmol)とBINAP(15.5mg、0.025mmol)をAr雰囲気下添加し、100°Cで一晩加熱撹拌した。濾過後、溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl)にて精製し、8−(エチル-p-メトキシフェニル)−1,10,10−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[5,6]シリノ[3,2−f]インドール−5(10H)−オン(11mg,収率50%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ0.43 (s, 6H), 1.31 (t, J = 6.60 Hz, 3H), 2.95 (s, 3H), 3.10 (t, J = 7.80 Hz, 2H), 3.52 (t, J = 7.80 Hz, 2H), 3.84 (q, J = 6.60 Hz, 2H), 3.91 (s, 3H), 6.53 (s, 1H), 6.79 (dd, J = 3.00, 6.30 Hz, 1H), 6.83 (d, J = 3.00 Hz, 1H), 7.01 (d, J = 9.00 H, 2H), 7.21 (d, J = 9.00 Hz, 2H), 8.25 (s, 1H), 8.33 (d, J = 8.70 Hz, 1H). HRMS (ESI+): Calcd for [M+H]+, 443.2155; found, 443.2109 (-4.6 mmu).
2MeIndo−N−エチルーアニソールSiRの合成
Figure 2014106957
8−(エチル-p-メトキシフェニル)−1,10,10−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[5,6]シリノ[3,2−f]インドール−5(10H)−オン(10mg、0.023mmol)を脱水THF5mLに溶解させ、Ar置換し、80°Cで加熱還流した。1M o−トリル臭化マグネシウムTHF溶液1mL(1mmol)を添加し、80°Cで3時間加熱還流した。その後、室温に戻し、2NHCl溶液を加え、15分撹拌した。CHClで溶出後、溶媒を除去し、HPLCにて精製し、2MeIndo−N−エチルーアニソールSiR(8mg、収率64%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ0.49 (s, 3H), 0.51 (s, 3H), 1.30 (t, J = 7.50 Hz, 3H), 2.06 (s, 3H), 2.98 (br, 2H), 3.37 (br, 2H), 3.82-3.96 (m, 8H), 6.42 (dd, J = 2.10, 9.00 Hz, 1H), 6.75 (s, 1H), 6.86 (d, 9.00 Hz, 1H), 6.95-7.13 (m, 7H) 7.31-7.40 (m, 3H). HRMS (ESI+): Calcd for [M]+, 516.2675; found, 516.2630 (-4.6 mmu).
化合物10:2MeIndo−N−エチルーフェノールーSiRの合成
Figure 2014106957
2MeIndo−N−エチルーアニソールSiR(8mg、0.016mmol)をCHClに溶解させ、1M BBr CHCl溶液を16μL添加し、2時間撹拌した。水を添加後、分液操作により有機層を回収し、溶媒を除去後、HPLCにて精製し、2MeIndo−N−エチルーフェノールーSiR(6mg、収率75%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ0.45 (s, 3H), 0.47 (s, 3H), 1.27 (t, J = 6.60 Hz, 3H), 2.05 (s, 3H), 2.99 (br, 2H), 3.29 (s, 3H), 3.82-3.91 (m, 4H), 6.52 (d, J = 9.00 Hz, 1H), 6.76 (s, 1H), 6.91-6.96 (m, 5H), 7.04-7.09 (m, 3H), 7.33-7.44 (m, 3H); HRMS (ESI+): Calcd for [M]+, 503.2519; found, 503.2483 (-3.5 mmu)
(1)化合物10及び活性酸素と反応後の予想化合物の光学特性
共溶媒として0.1%DMFを含有するPBS(pH7.4)中での1μMの化合物10の吸収スペクトル及び蛍光スペクトル(図19左)、及び化合物10と1μMの活性酸素と反応後に生成することが予想される化合物の吸収スペクトル及び蛍光スペクトル(図19右)、並びに各化合物の光学特性を測定した(表9)。
Figure 2014106957
化合物10の蛍光量子収率は0.001以下であり、無蛍光性である。一方、ROSとの反応により生じる反応物の蛍光量子収率は0.24と近赤外光領域においては十分大きい。これにより、既存の活性酸素プローブよりも優れた蛍光増大を示すことが期待される。
次に、活性酸素種による反応のHPLCを用いた解析を行った。
OClと化合物10との反応混合物(上段)、化合物10、及び化合物10とOClの反応後に予想される化合物(下段)についてのHPLCクロマトグラフを図20に示す。試料は、HPLC線形勾配溶出(溶出液:A/B=60/40−10分−0/100;流速=1.0mL/分)で行った。結果を図20に示す。
化合物10はOClと反応し、予想通りの反応物が生成し、蛍光が増大した。HPLCにより解析すると、反応液からは予想される反応物と同じ保持時間の化合物が観察された。また、ESI−MSで測定し、予想通りの反応物の質量のスペクトルが観察されることも確認した。
(2)活性酸素種選択性
次に、化合物10の活性酸素種選択性を調べた。各種活性酸素種の条件は以下の通りである。
:Hを最終濃度0、1、2、3μMになるように添加。
OCl:OClを最終濃度0、1、2.5、5μMになるように添加。
ONOO:ONOOを最終濃度0、1、2.5、5μMになるように添加。
:KO溶液を最終濃度0、1、2.5、5μMになるように添加。
ヒドロキシラジカル:H(final 1mM)とFeClO(final 100μM)を添加。
化合物10と各活性酸素種との反応性を調べた結果を図21に示す。各図の左側は吸収スペクトルを、右側は蛍光スペクトルである。また、各活性酸素種について蛍光強度を図22にまとめた。
化合物10は、OCl、ONOOと選択的に反応し蛍光上昇を示した。蛍光増大は100倍以上の値を示し、既存の近赤外光活性酸素プローブよりも大きい蛍光増大を示している。
(3)HL60細胞を用いた細胞イメージング実験
以下の要領で、化合物10によるHL60細胞を用いた細胞イメージング実験を行った。
HL60細胞を培養した。培養した試料に、化合物10(共溶媒として0.1%DMFを含有し、最終濃度が1μM)を添加し、15分間培養した。試料に1mMのHを添加し、45分間培養した。その後、蛍光像を観察した。その結果を図23に示す。図23の左側はDICを右側は蛍光像を示す。
HL60細胞にプローブを投与し、Hで刺激したところ、細胞内から蛍光上昇が観察された。刺激無と比較して刺激後45分では4倍程度の蛍光上昇を示した。これはHL60細胞内の酵素であるMPOがOClを産生し、それと化合物10が反応して蛍光上昇が観察されたと考えられる。これより、本発明のプローブが細胞内でも活性酸素検出可能であることが示唆された。
[実施例10]
以下のスキームにより、本発明の化合物11(2MeazoSiR650)を合成した。
Figure 2014106957
Figure 2014106957
実施例3又は4で得られた化合物5(12.3mg、24.8μmol)を1%TFAを含む1:1MeCN/CHClの混合溶媒(10mL)に溶解し、NaNO(3.4mg、49.3μmol)を加え、0℃にてアルゴン雰囲気下2分撹拌した。その後MeCN(1mL)に溶解させたN,N−ジメチルアニリン(58μL、747μmol)を加えた。徐々に室温に戻しながらで一時間半撹拌した後、反応液に水を加え、CHClで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させて溶媒を除去した後、HPLC精製にて2MeazoSiR650(6.3mg、10.0μmol、40%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ 0.64 (s, 3H), 0.69 (s, 3H), 2.07 (s, 3 H), 3.04 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 3.15 (s, 6H), 3.57 (s, 3H), 4.14 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 6.86 (d, J = 9.6, 2H), 6.92 (s, 1H), 7.13 (d, J = 8.7, 1H), 7.19 (d, J = 7.2, 1H), 7.40 - 7.51 (m, 3H), 7.66 - 7.70 (m, 2H), 7.88 (d, 9.6H), 8.22 (d, J = 2.1, 1H).13C NMR (75 MHz, CD3OD): -1.8, -1.4, 19.6, 26.4, 35.4, 40.4, 58.1, 112.8, 122.1, 124.7, 127.1, 127.3, 129.7, 130.3, 130.3, 131.7, 134.0, 135.1, 137.1, 137.1, 139.3, 140.1, 141.5, 141.9, 145.5, 154.7, 155.2, 159.0, 161.4, 163.4.HRMS (ESI+): Calcd for [M]+, 515.2646, Found, 515.2631 (1.6 mmu).
[実施例11]
以下のスキームにより化合物14(diMeazoSiR650)を合成した。
Figure 2014106957
Figure 2014106957
8−(ジアリルアミノ)−1,10,10−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[5,6]シリノ[3,2−f]インドール−5(10H)−オン(160mg、0.412mmol)をTHF(20mL)に溶解させ、2,6−ジメチルフェニルマグネシウムブロマイド(THF中1.0M)(4.1mL、4.1mmol)を加えて2時間加熱還流後、更に2,6−ジメチルフェニルマグネシウムブロマイド(THF中1.0M)(2.0mL、2.0mmol)を加えて5時間加熱還流した。その後、反応液に2規定塩酸水溶液を加えてクエンチし、混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。残渣をHPLCにて精製し、化合物12(206.2mg、349.0μmol、85%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 0.55 (s, 6H), 1.99 (s, 6H), 2.99 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 3.21 (s, 3H), 3.97 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 4.10 (d, J = 4.8 Hz, 4H), 5.20 (d, J = 17.2 Hz, 2H), 5.29 (d, J = 10.4 Hz, 2H), 5.85 (m, 2H), 6.52 (dd, J = 9.6, 2.8 Hz, 1H), 6.75 (s, 1H), 6.93 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 7.04 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.14 (s, 1H), 7.17 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.32 (t, J = 7.6 Hz, 1H).
13C NMR (75 MHz, CD3OD): -1.5, 19.7, 25.9, 34.2, 53.2, 55.3, 113.8, 116.6, 117.8, 119.6, 127.4, 127.6, 128.5, 128.9, 131.1, 132.9, 134.5, 135.6, 138.3, 138.6, 145.3, 151.9, 154.4, 158.6, 167.2.
LRMS (ESI+): [M]+, 477.
Figure 2014106957
化合物12(83.6mg、0.142mmol)をジクロロメタン20mLに溶解させ、1,3−ジメチルバルビツール酸(81.9mg、0.525mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(202.0mg、0.175μmol)を加えて40℃でアルゴン雰囲気下に17時間半攪拌した。混合物に水を加え、ジクロロメタンで抽出し、有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を減圧留去した後、HPLCで精製しdiMeSiR650(24.2mg、47.4μmol、34%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 0.53 (s, 6H), 1.98 (s, 6H), 2.97 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 3.24 (s, 3H), 3.85 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 6.53 (dd, J = 9.0, 2.4 Hz, 1H), 6.75 (s, 1H), 6.89 (s, 1H), 6.92 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.22 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.32 (t, J = 7.6 Hz, 1H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3): -1.7, 19.6, 26.3, 33.7, 54.7, 114.3, 116.7, 123.8, 127.4, 127.6, 128.4, 128.5, 132.4, 133.2, 135.5, 138.7, 140.9, 147.7, 152.7, 155.6, 157.6, 168.8.
HRMS (ESI+): Calcd for [M]+, 397.2100, Found, 397.2055 (-4.5 mmu).
Figure 2014106957
化合物13(13.0mg、25.4μmol)を1%TFAを含む1:1MeCN/CHClの混合溶媒(10mL)に溶解し、NaNO(3.6mg、52.2μmol)を加え、0℃にてアルゴン雰囲気下2分撹拌した。その後MeCN(1mL)に溶解させたN,N−ジメチルアニリン(58.8μL、756.8μmol)を加えた。徐々に室温に戻しながら1時間半撹拌した後、反応液に水を加え、CHClで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させて溶媒を除去した後、HPLC精製にてdiMeazoSiR650(8.9mg、14.2μmol、56%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ 0.67 (s, 6H), 2.02 (s, 6H), 3.06 (m, 2H), 3.15 (s, 6H), 3.58 (s, 3H), 4.15 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 6.87 (d, J = 9.6 Hz, 2H), 6.91 (s, 1H), 7.15 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.28 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.40 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 7.68 - 7.72 (m, 2H), 7.89 (d, J = 9.6 Hz, 2H), 8.25 (d, J = 2.1 Hz, 1H).HRMS (ESI+): Calcd for [M]+, 529.2788, Found, 529.2743 (-4.4 mmu).
[実施例12]
(1)化合物11、13及び14の光学特性
化合物5と化合物13の吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを図24に示す。また、化合物11と化合物14の吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを図25に示す。測定は、pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水中で行った。
また、これら化合物の光学特性を以下の表にまとめる。
Figure 2014106957
(2)ラット肝ミクロソームを用いたin vitro実験。
3mLのカリウムリン酸溶液中にラット肝ミクロソーム226μgと化合物11又は14を1μM加え、5分後に電子供与体であるNADPHを50μMを添加(矢頭)した際の蛍光上昇変化を観察した。結果を図26に示す。
励起波長は640nm、蛍光波長は660nmであった。図26中、Hypは低酸素を、Norは常酸素で行った測定結果である。化合物11、14いずれにおいても、低酸素環境で蛍光強度の著しい上昇が見られた。
(3)蛍光プローブを用いた生細胞実験
A549細胞に化合物11、14を夫々1μM添加し、各酸素濃度条件下で6時間培養した後に共焦点蛍光顕微鏡にて観察した。結果を図27に示す。
励起波長は640nm、検出波長は660−750nmであった。
(4)マウスを用いた虚血臓器可視化実験
化合物14を100μMマウスに静脈内投与した後に開腹し32分後までイメージングを行った。その後門脈及び腎静脈・腎動脈の結紮により肝臓と腎臓の虚血状態を作成し、結紮18分後までをイメージングした。Maestro(登録商標)を用いて以下の条件で撮像した。
レッドフィルター使用、露光時間:300ms、検出波長:700nm。
結果を図28に示す。
(応用例)
(1)キサンテン環の水酸基を機能化
Figure 2014106957
Si−Rhodolのフェノール性水酸基をメチル化したO−MeSi−Rhodolが500nm付近に吸収極大を持ち(図15)、Si−Rhodolが580nm付近に吸収極大を持っている(図12)。また、どちらの化合物も600nm付近に蛍光極大を有している(図14、図16)。そのため、βガラクトシダーゼの基質であるβGalをSi−Rhodolの水酸基に結合させれば、二波長励起一波長蛍光のβガラクトシダーゼプローブとして機能すると予想される。
(2)キサンテン環のアミノ基を機能化
Figure 2014106957
また、N−AcSi−Rhodol(化合物9)は450nm付近に吸収極大を有しており、Si−Rhodolの580nmの吸収極大と大きく離れているため、励起波長を選択することにより、選択的にSi−Rhodolのみを励起することが可能である。そのため、Si−Rhodolのアミノ基にプロテアーゼの基質となる特異的なペプチド配列、βラクタマーゼの基質となるβラクタム環、生体内チオールと反応するジスルフィド等を結合することにより、Off/ON型のプロテアーゼプローブ、βラクタマーゼプローブ、チオールプローブとして機能すると予想される。

Claims (29)

  1. 下記一般式(I):
    Figure 2014106957
    (式中、
    は、水素原子を示すか、又はベンゼン環上に存在する1ないし4個の同一又は異なる一価の置換基を示し;
    は、一価の置換基を示し;
    及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、又はハロゲン原子を示し;
    及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜6個のアルキル基又はアリール基を示し;
    及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基又はハロゲン原子を示し;
    及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基又は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基を示し、
    又はR10は、R又はRと一緒になって、R又はR10が結合している窒素原子を含む5〜7員のヘテロシクリル又はヘテロアリールを形成していてもよく、環構成員として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜3個の更なるヘテロ原子を含有していてもよく、更に該ヘテロシクリル又はヘテロアリールは、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数2〜6個のアルケニル、又は炭素数2〜6個のアルキニル、炭素数6〜10個のアラルキル基、炭素数6〜10個のアルキル置換アルケニル基で置換されていてもよく;
    Yは、
    (1)−NR1112
    (2)−OR13又は
    (3)−N=N−R14
    から選択され、
    ここで、R11は、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基又は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基を示し、
    12は、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基又はアシル基を示し、
    11及びR12は、これらが結合している窒素原子を含む5〜7員のヘテロシクリルを形成していてもよく、環構成員として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜3個の更なるヘテロ原子を含有していてもよく、更に該ヘテロシクリルは、炭素数1〜6個のアルキル基で置換されていてもよく、
    13は、水素原子又は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基を示し、
    14は、アリール基を示し;
    Xは、珪素原子、ゲルマニウム原子又はスズ原子を示し;
    但し、Yが−NR1112である場合は、(i)R、R10は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基ではなく、及び、(ii)R11及びR12が水素原子である場合には、R及びR10の両方が水素原子になることはなく、
    また、Yが−OR13であってR13が水素原子の場合は、RあるいはR10は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基であってもよく、
    また、Yが−N=N−R14である場合は、R、R10は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基ではない)
    で表される化合物又はその塩。
  2. Yが−NR1112であって、以下の一般式(Ia):
    Figure 2014106957
    (式中、R〜R12及びXは、一般式(I)で定義したとおりであり、但し、(i)R、R10は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基ではなく、及び、(ii)R11及びR12が水素原子である場合には、R及びR10の両方が水素原子になることはない。)
    で表される請求項1に記載の化合物又はその塩。
  3. 又はR10は、R又はRと一緒になって、R又はR10が結合している窒素原子を含む5〜7員のヘテロシクリル又はヘテロアリールを形成している(ここで、該ヘテロシクリル又はヘテロアリールは、環構成員として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜3個の更なるヘテロ原子を含有していてもよく、更に該ヘテロシクリル又はヘテロアリールは、炭素数1〜6個のアルキル、炭素数2〜6個のアルケニル、又は炭素数2〜6個のアルキニル、炭素数6〜10個のアラルキル基、炭素数6〜10個のアルキル置換アルケニル基で置換されていてもよい)、請求項2に記載の化合物又はその塩。
  4. は、Rと一緒になって、Rが結合している窒素原子を含む5〜7員のヘテロシクリル又はヘテロアリールを形成している、請求項3に記載の化合物又はその塩。
  5. 以下の一般式(Ia−1):
    Figure 2014106957
    (式中、R〜R、R〜R、R10〜R12及びXは、一般式(Ia)で定義したとおりである。)
    で表される請求項4に記載の化合物又はその塩。
  6. 11及びR12は、これらが結合している窒素原子を含む5〜7員のヘテロシクリルを形成している(ここで、該ヘテロシクリルは、環構成員として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜3個の更なるヘテロ原子を含有していてもよく、更に該ヘテロシクリルは、炭素数1〜6個のアルキル基で置換されていてもよい)、請求項2〜5に記載の化合物又はその塩。
  7. 11及びR12は、これらが結合している窒素原子と共にピペラジン環を形成している、請求項6に記載の化合物又はその塩。
  8. 以下の一般式(Ia−2):
    Figure 2014106957
    (式中、R〜R10及びXは、一般式(Ia)で定義したとおりであり、R15は、炭素数1〜6個のアルキル基を示す。)
    で表される請求項7に記載の化合物又はその塩。
  9. 11が、ペプチダーゼ、プロテアーゼ、ラクタマーゼ、糖加水分解酵素、転移酵素、酸化還元酵素からなる群から選ばれる酵素との接触により切断される一価の置換基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
  10. 11が、ぺプチダーゼ、プロテアーゼ、及びラクタマーゼからなる群から選ばれる酵素との接触により切断される一価の置換基である、請求項9に記載の化合物又はその塩。
  11. ぺプチダーゼ又はプロテアーゼが、カスパーゼ、前立腺特異抗原、ロイシンアミノペプチダーゼ、γ-グルタミルトランスペプチターゼからなる群から選ばれる酵素である請求項9又は10に記載の化合物又はその塩。
  12. 11としての置換基が芳香環であり、RとRが一緒になって、Rが結合している窒素原子を含む5〜7員のヘテロシクリル又はヘテロアリールを形成しており、R12が炭素数1〜6個のアルキル基である、請求項2に記載の化合物又はその塩。
  13. 以下の一般式(Ia−3)で表される、請求項12に記載の化合物又はその塩。
    Figure 2014106957
    (式中、R〜R、R〜R、R10、R12及びXは、一般式(Ia)で定義したとおりである。)
  14. 以下の式(1)で表される、請求項13に記載の化合物又はその塩。
    Figure 2014106957
  15. Yが−OR13であって、以下の一般式(Ib):
    Figure 2014106957
    (式中、R〜R10、R13及びXは、式(I)で定義したとおりである。)
    で表される請求項1に記載の化合物又はその塩。
  16. 13、R又はR10が、ペプチダーゼ、プロテアーゼ、ラクタマーゼ、糖加水分解酵素、転移酵素、酸化還元酵素からなる群から選ばれる酵素との接触により切断される一価の置換基である、請求項15に記載の化合物又はその塩。
  17. 13、R又はR10が、ぺプチダーゼ、プロテアーゼ、及びラクタマーゼからなる群から選ばれる酵素との接触により切断される一価の置換基である、請求項16に記載の化合物又はその塩。
  18. ぺプチダーゼ又はプロテアーゼが、カスパーゼ、前立腺特異抗原、ロイシンアミノペプチダーゼ、γ-グルタミルトランスペプチターゼからなる群から選ばれる酵素である請求項13又は14に記載の化合物又はその塩。
  19. Yが−N=N−R14であって、以下の一般式(Ic):
    Figure 2014106957
    (式中、R〜R10、R14及びXは、式(I)で定義したとおりであり、但し、R、R10は測定対象物質との接触により切断される一価の置換基ではない)
    で表される請求項1に記載の化合物又はその塩。
  20. 14のアリール基が、単環の芳香族基又は縮合芳香族基であり。該アリール基はアミノ基、ジメチルアミノ基から選択される置換基を有する、請求項19に記載の化合物又はその塩。
  21. 請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物を含む蛍光プローブ。
  22. 請求項12〜14のいずれか1項に記載の化合物を含む活性酸素検出蛍光プローブ。
  23. 請求項19又は20に記載の化合物を含む低酸素環境検出蛍光プローブ。
  24. 請求項2に記載の一般式(Ia)で表される化合物(R〜R12及びXは、上記で定義した通りである)又はその塩の製造方法であって、下記の工程:
    (a)3−ハロゲン化アニリンとアリルハライドから製造される一般式(II)(式中、R16はハロゲン原子を示す)で表される3−ハロゲン化−N,N−ジアリルアニリンと式(III)で表される3−ハロゲン化ベンゼンアミン化合物とをホルムアミドの存在下で反応させて下記の一般式(IV)で表される化合物を製造する工程、
    Figure 2014106957
    (b)上記の一般式(IV)で表される化合物とX(Halo)(R)(R)(Haloは塩素原子又は臭素原子を示し、X、R、Rは上記と同義である)とを反応させた後、酸化反応によって下記の一般式(V)で表される化合物を製造する工程、
    Figure 2014106957
    (c)上記の一般式(V)で表される化合物とハロゲン化ベンゼン誘導体から下記の一般式(VI)で表される化合物を製造する工程、及び
    Figure 2014106957
    (d)上記の一般式(VI)で表される化合物の脱アリル化を行い、一般式(Ia)においてR11及びR12が水素原子である化合物を製造する工程(R及びRに上記の一般式(VI)の化合物を製造するために保護基を導入した場合には、該保護基の脱保護を工程(d)の前後又は同時に行ってもよい)
    を含む方法。
  25. 11として、測定対象物質との接触により切断される一価の置換基を導入する工程を更に含む、請求項24に記載の方法。
  26. 請求項2に記載の一般式(Ia)で表される化合物(R〜R12及びXは上記で定義した通りである)又はその塩の製造方法であって、下記の工程:
    (1)3−ハロゲン化アニリンとアリルハライドから製造される一般式(VII)(式中、R16はハロゲン原子を示す)で表される3−ハロゲン化−N,N−ジアリルアニリンとを、オキシ塩化リンの存在下、塩基性条件下で反応させて一般式(VIII)で表される3−ハロゲン化−N,N−ジアリル−4−ヒドロキシメチルアニリンを製造する工程、
    Figure 2014106957
    Figure 2014106957
    (2)上記3−ハロゲン化−N,N−ジアリル−4−ヒドロキシメチルアニリンと式(XI)で表される3−ハロゲン化ベンゼンアミン化合物とを反応させて、一般式(X)で表される化合物を製造する工程、
    Figure 2014106957
    (3)上記の一般式(X)で表される化合物とX(Halo)(R)(R)(Haloは塩素原子又は臭素原子を示し、X、R、Rは上記と同義である)とを反応させた後、酸化反応によって下記の式(V)で表されるN,N−ジアリルアミノ−N’,N’−ジアルキルアミノ−X−キサントンを製造する工程、
    Figure 2014106957
    (4)前記N,N−ジアリルアミノ−N’,N’−ジアルキルアミノ−X−キサントンとハロゲン化ベンゼン誘導体から下記の一般式(VI)で表される化合物を製造する工程、及び
    Figure 2014106957
    (5)上記の一般式(VI)で表される化合物の脱アリル化を行い、一般式(Ia)においてR11及びR12が水素原子である化合物を製造する工程(R及びRに上記の一般式(VI)の化合物を製造するために保護基を導入した場合には、該保護基の脱保護を工程(4)の前後又は同時に行ってもよい)
    を含む方法。
  27. 11として、測定対象物質との接触により切断される一価の置換基を導入する工程を更に含む、請求項26に記載の方法。
  28. 請求項15に記載の一般式(Ib)で表される化合物又はその塩の製造方法であって、下記の工程:
    (1)下記の一般式(XI)で表される化合物を、塩基性条件下で、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(TfO)と反応させ、一般式(XII)で表される化合物を製造する工程、
    Figure 2014106957
    (2)一般式(XII)で表される化合物をイミン化合物と反応させることにより、一般式(XIII)で表される化合物を製造する工程、
    Figure 2014106957
    (3)場合により、一般式(XIII)で表される化合物をハロゲン化アルキルと反応させる工程
    を含む方法。
  29. 請求項13に記載の一般式(Ia−3)で表される化合物又はその塩の製造方法であって、下記の工程:
    (1)一般式(XIV)の化合物とヨウ化カリウムとを反応させることにより、一般式(XV)の化合物を製造する工程、
    Figure 2014106957
    (2)一般式(XV)の化合物をアルキル基の炭素数が1〜6であるN−アルキル−p−アニシジンと反応させることにより、一般式(XVI)の化合物を製造する工程、
    Figure 2014106957
    (3)一般式(XVI)の化合物をo−トリル臭化マグネシウムと反応させ、その後、酸を添加して、一般式(XVII)の化合物を製造する工程、及び
    Figure 2014106957
    (4)一般式(XVII)の化合物を三臭化ボロンと反応させることにより、一般式(Ic)で表される化合物を製造する工程
    を含む、該製造方法。
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