JP6275253B2 - 蛍光プローブ、一重項酸素検出剤、又は一重項酸素検出方法 - Google Patents

蛍光プローブ、一重項酸素検出剤、又は一重項酸素検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、蛍光プローブ、一重項酸素検出剤、又は一重項酸素検出方法に関する。
一重項酸素()は、種々の不飽和結合を有する分子や電子に富んだ分子を攻撃する活性種であり、精密化学合成、ポリマーサイエンス、光線力学的療法(以下、「PDT」と言うこともある)、汚水や汚泥の処理等、種々の応用分野に利用されている。そのため、一重項酸素には注目が集まっている。
これらの応用分野のなかでも、PDTとは、ヒトや動物の疾病組織を処置する方法であって、光を照射することにより一重項酸素等の活性酸素種を発生する光増感物質を含有する光力学治療剤を、例えば静脈注射等で患者に投与した後、疾病組織に局所的に光を照射し、発生した活性酸素種により該疾病組織のみを破壊する、癌及び他の疾患を治療する方法である。
このPDTにおいては、光照射により最初に起こるプロセスとして、一重項酸素の生成、拡散及び周辺分子との反応は、PDTの細胞毒性と密接な関係があると考えられている(例えば、非特許文献1等)。実際の医療現場においても、PDTによって発生する一重項酸素の総量は、治療程度や治療効率等に直接的な影響を与えるため、画像診断と治療の融合(theragnostics)の実現において、一重項酸素の発生と変化を実時間に観察することは非常に重要である。
そこで、一重項酸素を検出する方法として、一重項酸素自体の燐光の測定、一重項酸素との反応によって発光する蛍光プローブを使用する方法等が主に実施されてきた(例えば、非特許文献2、3等)。
しかしながら、一重項酸素自体の燐光を測定する場合、低強度の燐光を検出する必要があるが、そのためには特殊な検出器が必要であるために現実的ではなく、その空間分解能も一細胞レベルにとどまっている(例えば、非特許文献2等)。
一方、一重項酸素自体の燐光測定と比較して検出が容易であることから、一重項酸素検出用の蛍光プローブが広く使用されてきた。
A. P. Castano et al., Nat. Rev. Cancer 6, 535-545 (2006) J. W. Snyder et al., Phys. Chem. Chem. Phys. 8, 4280-4293 (2006) X. Li et al., Chem. Rev. 114, 590-659 (2014) T. Majima et al., J. Phys. Chem. B 117, 13985-13992 (2013)
しかしながら、一重項酸素検出用の蛍光プローブとして最も広く使用されている市販品のSinglet Oxygen Sensor Green(Molecular Probes(登録商標);以下、「SOSG」と言うこともある)は、細胞内への透過性が悪く、また自己酸化して分解することから、細胞内で発生する一重項酸素を場所選択的に検出することはできず、蛍光プローブとして使用するには問題がある(例えば、非特許文献4等)。また、この従来のSOSGを用いた場合には、青色光照射により発光する(強い光を照射する必要がある)ため、細胞自身が発光してしまい、一重項酸素を検出できない不具合も見られる。このように、細胞内一重項酸素を検出可能な蛍光プローブは、他の活性酸素種を検出可能な蛍光プローブと比較すると非常に小数しか報告されておらず、現在最も広く使用されている市販品にも問題が生じており、細胞内で光増感剤との高い場所選択性を有している一重項酸素検出用の蛍光プローブは存在しない。
したがって、細胞内に容易に透過し、細胞内で発生する一重項酸素を選択的に効率よく検出することができる蛍光プローブ、並びにそれを用いた一重項酸素検出剤及び一重項酸素検出方法を提供することを目的とする。
上記目的を鑑み、鋭意検討した結果、本発明者らは、ケイ素ローダミン骨格と、一重項酸素捕捉後には一重項酸素捕捉前と比較して該蛍光プローブの蛍光性が上昇する骨格とを有する化合物群が、PDT療法の主要な細胞内小器官のターゲットであるミトコンドリアに浸透し、ミトコンドリアの内膜で共存している光増感剤から発生する一重項酸素を場所選択的に検出可能な赤色蛍光プローブとなり得ることを見出した。本発明は、このような知見に基づきさらに研究を重ね、完成させたものである。すなわち、本発明は以下の構成を包含する。
項1.一重項酸素検出用蛍光プローブであって、
ケイ素ローダミン骨格と、一重項酸素捕捉後には一重項酸素捕捉前と比較して該蛍光プローブの蛍光性が上昇する骨格とを有する化合物、又はその塩、水和物若しくは溶媒和物を含有する、蛍光プローブ。
項2.前記化合物は、一般式(1):
Figure 0006275253
[式中、R〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基;R〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基;R〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、又は酸付加塩;R〜R10は同じか又は異なり、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は酸付加塩;nは0〜3の整数;mは0〜4の整数である。]
で示される、項1に記載の蛍光プローブ。
項3.前記化合物は、一般式(1A):
Figure 0006275253
[式中、R〜R10、n、及びmは前記に同じである。]
で示される、項2に記載の蛍光プローブ。
項4.項1〜3のいずれかに記載の蛍光プローブを含有する、一重項酸素検出剤。
項5.前記蛍光プローブを10〜500nmol/L含有する、項4に記載の一重項酸素検出剤。
項6.細胞内に発生する一重項酸素を検出する方法であって、
(1)細胞を一重項酸素が発生する条件下で培養する工程、
(2)前記工程(1)で得た培養液と、請求項1〜3のいずれかに記載の蛍光プローブとを含有し、且つ、前記蛍光プローブの濃度が10〜500nmol/Lである混合培養液を作製、培養する工程、及び
(3)前記工程(2)で得た混合培養液に光照射する工程
を備える、一重項酸素検出方法。
項7.前記工程(1)において、一重項酸素が発生する条件が、光増感剤を含有する条件である、項6に記載の一重項酸素検出方法。
項8.前記光増感剤が、プロトポルフィリンIXである、項7に記載の一重項酸素検出方法。
項9.前記細胞が癌細胞である、項6〜8のいずれかに記載の一重項酸素検出方法。
項10.前記細胞内のミトコンドリアの内膜近傍に発生する一重項酸素を場所選択的に検出する、項6〜9のいずれかに記載の一重項酸素検出方法。
項11.一般式(1):
Figure 0006275253
[式中、R〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基;R〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基;R〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、又は酸付加塩;R〜R10は同じか又は異なり、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は酸付加塩;nは0〜3の整数;mは0〜4の整数である。]
で示される化合物。
項12.一般式(1A):
Figure 0006275253
[式中、R〜R10、n、及びmは前記に同じである。]
で示される、項11に記載の化合物。
項13.項1〜3のいずれかに記載の蛍光プローブ、項4若しくは5に記載の一重項酸素検出剤、又は項11若しくは12に記載の化合物を含有する細胞試験用試薬。
項14.一重項酸素を検出するための項1〜3のいずれかに記載の蛍光プローブ、項4又は5に記載の一重項酸素検出剤、又は項11若しくは12に記載の化合物の使用。
本発明の蛍光プローブにおいては、一重項酸素不在の場合には発光は抑制されるが、一重項酸素存在下においては特定の光照射により強く発光する(蛍光強度が大きく上昇する)ことから、一重項酸素を検出することができる。
また、上記のような発光(蛍光強度の上昇)は、他の活性酸素種の存在下では見られず、一重項酸素の存在下でのみ見られる。このため、活性酸素種のなかでも、一重項酸素のみを選択的に検出することができる。
本発明の蛍光プローブは、遠赤色(弱い光)で励起及び発光可能であるため、従来のSOSGで用いられたフルオロセイン発色団と比較して、細胞自身の発光を抑制することができるため、より精度よく、一重項酸素を検出することができる。
本発明の蛍光プローブは、従来のSOSGで用いられたフルオロセイン発色団と比較して、一重項酸素生成量子収率が低いため、蛍光プローブの自己酸化による誤った蛍光信号を与えるという問題を抑制することができる。
さらに、本発明の蛍光プローブは、細胞内に透過しやすいとともに、ケイ素ローダミン骨格が+1の正味荷電を有するとともに、適切な親油性を有することから、ミトコンドリアの内膜に蓄積される。この特性を利用して、5−アミノレブリン酸によりミトコンドリア内に生合成されるプロトポルフィリンIX(以下、「PpIX」と言うこともある)を光増感剤として用いて、場所選択的にミトコンドリアを演色(リアルタイムで視覚化)することも可能である。
TMPyPとともに、インキュベートした実施例1のSi−DMAの蛍光スペクトル及び発光スペクトルの経時変化を示すグラフである。a)及びb)はメタノール中に、c)はPBS溶液中に、TMPyPとともにSi−DMAを溶解させ、50分間光照射した結果である。一方、d)はSi−DMAの蛍光の時間変化を示す。 640nmの波長で0.6W/cmの光照射中のHela細胞中のSi−DMAの安定性を示す写真である。図中のバーは10μmである。 一重項酸素非存在下における各溶媒中のS−DMAの蛍光強度を示すグラフである。 一重項酸素を化学触媒により導入した際の吸収スペクトル及び蛍光スペクトルの変化を示すグラフである。a)は吸収スペクトル、b)は蛍光スペクトルである。 NaClO及びHによって生成された一重項酸素の濃度に対するSi−DMAモノマー及びSi−DMA凝集体の蛍光強度を示すグラフである。 種々の活性酸素種存在下におけるSi−DMAの蛍光強度を示すグラフである。 Rose Bengalと比較例1のSi-Meの時間分解燐光測定の結果を示すグラフである。 Si−DMAを用いた実験例4の生細胞イメージングの結果を示す写真である。a)はSi−DMAの濃度を20nM、b)はSi−DMAの濃度を100nMとして、Hela細胞を染色している図を示す。また、c)〜e)はミトコンドリア中のSi−DMAの局在試験である。 SOSGを用いた実験例4の生細胞イメージングの結果を示す写真である。スケールバーは10μmである。 実験例5の結果(光増感剤の違いによる蛍光性の違い)を示す写真である。 実験例5の結果(Si−DMAの濃度を100nMにし、光増感剤としてPpIXを使用した場合の蛍光性)を示す写真である。 実験例5の結果(光増感剤の違いによる擬似カラーの個数とその増減具合)を示す写真である。 実験例5の結果(インキュベート時間による蛍光強度の変化)を示すグラフである。
1.一重項酸素検出用蛍光プローブ
本発明の一重項酸素検出用蛍光プローブは、ケイ素ローダミン骨格と、一重項酸素捕捉後には一重項酸素捕捉前と比較して該蛍光プローブの蛍光性が上昇する骨格とを有する化合物、又はその塩、水和物若しくは溶媒和物を含有する。特に、本発明の一重項酸素検出用蛍光プローブは、ケイ素ローダミン骨格と、一重項酸素捕捉後には一重項酸素捕捉前と比較して該蛍光プローブの蛍光性が上昇する骨格とを有する化合物、又はその塩、水和物若しくは溶媒和物のみからなることが好ましい。
本発明の蛍光プローブには、ケイ素ローダミン骨格を有することにより、赤色の光励起により、選択的に励起される。一方、一重項酸素捕捉後には一重項酸素捕捉前と比較して該蛍光プローブの蛍光性が上昇する骨格(以下、「特定の骨格」と言うこともある)を有することにより、選択的に励起したケイ素ローダミンの励起状態が解消され、発光は抑制される(消光効果)。ただし、一重項酸素存在下においては、一重項酸素が上記特定の骨格に捕捉される(特定の骨格と一重項酸素とが付加反応する)ことにより、上記の消光効果は失われ、塩赤色で励起及び発光が可能である。一方、他の活性酸素種の存在下においては、上記の発光効果は見られない。このため、一重項酸素存在下においてのみ、励起及び発光が可能であることから、一重項酸素のみを選択的に検出することが可能である。
また、上記の構造を有する本発明の蛍光プローブは、遠赤色(弱い光)で励起及び発光可能であるため、細胞自身の発光を抑制することができるため、より精度よく、一重項酸素を検出することができる。
本発明の蛍光プローブは、一重項酸素生成量子収率が低いため、蛍光プローブの自己酸化による誤った蛍光信号を与えるという問題を抑制することができる。
さらに、本発明の蛍光プローブは、細胞内に透過しやすいとともに、ケイ素ローダミン骨格が+1の正味荷電を有するとともに、適切な親油性を有することから、ミトコンドリアの内膜に蓄積される。この特性を利用して、5−アミノレブリン酸によりミトコンドリア内に生合成されるプロトポルフィリンIX(以下、「PpIX」と言うこともある)を光増感剤として用いて、場所選択的にミトコンドリアを演色(リアルタイムで視覚化)することも可能である。
「ケイ素ローダミン骨格」とは、ローダミン骨格において、酸素原子(O)を4価のケイ素含有基で置き換えた骨格を意味する。このケイ素ローダミン骨格を有することにより、一般のローダミン色素より約100nm以上吸収スペクトル及び発光スペクトルが赤方偏移し、短波長光を使用する場合には細胞自身の発光のため色素の蛍光観測が困難になるという問題を回避することができ、より精度よく、一重項酸素を検出することができ、誤った蛍光信号を抑制することが可能である。また、5−アミノレブリン酸によりミトコンドリア内に生合成されるプロトポルフィリンIX(以下、「PpIX」と言うこともある)を光増感剤として用いて、場所選択的にミトコンドリアを演色(リアルタイムで視覚化)することも可能である。
「一重項酸素捕捉後には一重項酸素捕捉前と比較して該蛍光プローブの蛍光性が上昇する骨格」(上記特定の骨格)は、ケイ素ローダミン骨格の励起による蛍光を消光し得るとともに、一重項酸素を捕捉できる構造を有する骨格であれば特に制限されないが、例えば、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、ベンゾフラン骨格、コレステロール骨格、トコフェロール骨格等のいずれも採用し得るが、ケイ素ローダミン骨格の励起による蛍光の消光、一重項酸素の捕捉効率、一重項酸素を捕捉した後にはケイ素ローダミン骨格の励起による蛍光がより消光しない等の観点から、アントラセン骨格が好ましい。
このような条件を満たす蛍光プローブとしては、一般式(1):
Figure 0006275253
[式中、R〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基;R〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基;R〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、又は酸付加塩;R〜R10は同じか又は異なり、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は酸付加塩;nは0〜3の整数;mは0〜4の整数である。]
で示される化合物、又はその塩、水和物若しくは溶媒和物を含有することが好ましく、一般式(1A):
Figure 0006275253
[式中、R〜R10、n、及びmは前記に同じである。]
で示される化合物、又はその塩、水和物若しくは溶媒和物を含有することがより好ましい。特に、一般式(1)で示される化合物、又はその塩、水和物若しくは溶媒和物のみからなることが好ましく、一般式(1A)で示される化合物、又はその塩、水和物若しくは溶媒和物のみからなることがより好ましい。なお、この一般式(1)及び(1A)で示される化合物は、文献未記載の新規化合物である。
上記一般式(1)及び(1A)において、R〜Rで示されるアルキル基としては、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基及び環状アルキル基のいずれも採用できる。
直鎖アルキル基としては、炭素数1〜6(特に1〜4)の直鎖アルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
分岐鎖アルキル基としては、炭素数3〜6(特に3〜5)の分岐鎖アルキル基が好ましく、具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基等が挙げられる。
環状アルキル基としては、炭素数3〜10(特に3〜7)の環状アルキル基が好ましく、具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。
〜Rで示されるアルキル基が有していてもよい置換基としては、特に制限はなく、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、水酸基、酸付加塩(塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の鉱酸塩;p−トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩等の有機酸塩等)等が挙げられる。このような置換基の数は、特に制限されないが、0〜6個が好ましく、0〜3個がより好ましい。
上記一般式(1)及び(1A)において、R〜Rで示されるアルケニル基としては、炭素数2〜6(特に2〜4)のアルケニル基が好ましく、具体的には、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等が挙げられる。
〜Rで示されるアルケニル基が有していてもよい置換基としては、特に制限はなく、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、水酸基、酸付加塩(塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の鉱酸塩;p−トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩等の有機酸塩等)等が挙げられる。このような置換基の数は、特に制限されないが、0〜6個が好ましく、0〜3個がより好ましい。
上記一般式(1)及び(1A)において、R〜Rで示されるアルキニル基としては、炭素数2〜6(特に2〜4)のアルキニル基が好ましく、具体的には、エチニル基、プロピニル基、イソプロピニル基等が挙げられる。
〜Rで示されるアルキニル基が有していてもよい置換基としては、特に制限はなく、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、水酸基、酸付加塩(塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の鉱酸塩;p−トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩等の有機酸塩等)等が挙げられる。このような置換基の数は、特に制限されないが、0〜6個が好ましく、0〜3個がより好ましい。
上記一般式(1)及び(1A)において、R〜Rで示されるアリール基としては、単環アリール基及び縮環アリール基のいずれも採用することができ、例えば、フェニル基、オリゴアリール基(ナフチル基、アントリル基等)、ビフェニル基、ターフェニル基、ピレニル基、フェナンスレニル基、フルオレニル基等が挙げられる。
〜Rで示されるアリール基が有していてもよい置換基としては、特に制限はなく、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、水酸基、酸付加塩(塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の鉱酸塩;p−トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩等の有機酸塩等)等が挙げられる。このような置換基の数は、特に制限されないが、0〜6個が好ましく、0〜3個がより好ましい。
上記したR〜Rは、それぞれ同一でもよいし、異なっていてもよいが、同一であることがより経済的である。また、R〜Rとしては、上記のなかでも、ケイ素ローダミン骨格の励起による蛍光等の観点から、アルキル基が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖アルキル基がさらに好ましく、炭素数1〜4の直鎖アルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
上記一般式(1)及び(1A)において、R〜Rで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
上記一般式(1)及び(1A)において、R〜Rで示されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基としては、上記例示したものが挙げられる。また、R〜Rで示されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基が有していてもよい置換基の種類、数等も同様である。
上記したR〜Rは、それぞれ同一でもよいし、異なっていてもよいが、同一であることがより経済的である。また、R〜Rとしては、上記のなかでも、ケイ素ローダミン骨格の励起による蛍光等の観点から、アルキル基が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖アルキル基がさらに好ましく、炭素数1〜4の直鎖アルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
上記一般式(1)及び(1A)において、R〜Rで示されるハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基としては、上記例示したものが挙げられる。また、R〜Rで示されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基が有していてもよい置換基の種類、数等も同様である。
上記一般式(1)及び(1A)において、R〜Rで示されるアルコキシル基としては、炭素数1〜6(特に1〜4)のアルコキシル基が好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基等が挙げられる。
〜Rで示されるアルコキシル基が有していてもよい置換基としては、特に制限はなく、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、水酸基、酸付加塩(塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の鉱酸塩;p−トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩等の有機酸塩等)等が挙げられる。このような置換基の数は、特に制限されないが、0〜6個が好ましく、0〜3個がより好ましい。
上記一般式(1)及び(1A)において、R〜Rで示される酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の鉱酸塩;p−トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。
上記したR〜Rは、それぞれ同一でもよいし、異なっていてもよいが、同一であることがより経済的である。また、R〜Rとしては、上記のなかでも、ケイ素ローダミン骨格の励起による蛍光の消光、一重項酸素の捕捉効率、一重項酸素を捕捉した後にはケイ素ローダミン骨格の励起による蛍光がより消光しない等の観点から、アルキル基が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖アルキル基がさらに好ましく、炭素数1〜4の直鎖アルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
上記一般式(1)及び(1A)において、R〜R10で示されるハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基及び酸付加塩としては、上記例示したものが挙げられる。また、R〜R10で示されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアリール基が有していてもよい置換基の種類、数等も同様である。
上記したR〜R10は、それぞれ同一でもよいし、異なっていてもよいが、同一であることがより経済的である。また、R〜R10としては、上記のなかでも、ケイ素ローダミン骨格の励起による蛍光の消光、一重項酸素の捕捉効率、一重項酸素を捕捉した後にはケイ素ローダミン骨格の励起による蛍光がより消光しない等の観点から、水素原子が好ましい。
上記一般式(1)及び(1A)において、Rの置換数であるnは0〜3の整数であり、ケイ素ローダミン骨格の励起による蛍光の消光、一重項酸素の捕捉効率、一重項酸素を捕捉した後にはケイ素ローダミン骨格の励起による蛍光がより消光しない等の観点から、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましい。
上記一般式(1)及び(1A)において、R10の置換数であるmは0〜4の整数であり、ケイ素ローダミン骨格の励起による蛍光の消光、一重項酸素の捕捉効率、一重項酸素を捕捉した後にはケイ素ローダミン骨格の励起による蛍光がより消光しない等の観点から、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましい。
このような条件を満たす本発明の蛍光プローブとしては、特に制限されないが、一般式(1A1):
Figure 0006275253
等で示される化合物、又はその塩、水和物若しくは溶媒和物を含有することが好ましく、
一般式(1A1)で示される化合物、又はその塩、水和物若しくは溶媒和物のみからなることがより好ましい。
本発明の蛍光プローブにおいては、ケイ素ローダミン骨格において、適宜の対イオン(アニオン)を有していてもよい。対イオンとしては、例えば、ハロゲンイオン(フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等)、シアンイオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン等を挙げることができるが、これらに限定されることはない。
本発明の蛍光プローブは、塩の状態で存在していてもよい。塩基付加塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金属塩;アンモニウム塩;トリエチルアミン塩等の有機アミン塩等を挙げることができ、酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の鉱酸塩;p−トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩等の有機酸塩等を挙げることができる。これらのほか、グリシン等のアミノ酸との塩を形成する場合もある。
また、本発明の蛍光プローブは、水和物又は溶媒和物として存在する場合もあるが、これらの物質はいずれも本発明の範囲に包含される。
2.蛍光プローブの製造方法
本発明の蛍光プローブは、特に制限されないが、例えば、ケイ素キサントン化合物又はその誘導体と、ハロゲン原子で置換した上記した特定の骨格を有する化合物とを反応させることにより得られる。
本発明の蛍光プローブの製造方法の一例として、一般式(1)で示される化合物群の製造方法を以下に示す。本発明の蛍光プローブのうち、一般式(1)で示される化合物群以外も、原料を変えること以外は同様の方法により製造することができる。
一般式(1)で示される化合物群は、一般式(2):
Figure 0006275253
[式中、R〜Rは前記に同じである。]
で示されるケイ素キサントン化合物と、一般式(3):
Figure 0006275253
[式中、R〜R10、n及びmは前記に同じ;Xはハロゲン原子である。]
で示されるアントラセン化合物とを、塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。
上記一般式(2)において、R〜Rは、前記したものと同じである。つまり、一般式(2)で示されるケイ素キサントン化合物としては、例えば、
Figure 0006275253
等が挙げられる。
このような一般式(2)で示されるケイ素キサントン化合物は、公知又は市販の化合物を用いてもよいし、合成してもよい。一般式(2)で示される化合物を合成する場合、例えば、Lukinavicios, G. et al., Nat. Chem., 5, 132-139 (2013)、Nagano T. et al., ACS Chem. Biol. 6, 600-608 (2011)等に記載の方法にしたがって合成することができる。
上記一般式(3)において、R〜R10、n及びmは、前記したものと同じである。また、上記一般式(3)において、Xで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子及び臭素原子が好ましく、臭素原子がより好ましい。
つまり、一般式(3)で示されるアントラセン化合物としては、例えば、
Figure 0006275253
等が挙げられる。
このような一般式(3)で示されるアントラセン化合物は、公知又は市販の化合物を用いてもよいし、合成してもよい。一般式(3)で示される化合物を合成する場合、例えば、Keana, J. F. W. et al., J. Org. Chem., 51, 3456-3462 (1986)等に記載の方法にしたがって合成することができる。
一般式(2)で示されるケイ素キサントン化合物は、収率の観点から、一般式(3)で示されるアントラセン化合物よりも過剰量とすることが好ましい。具体的には、一般式(3)で示されるアントラセン化合物の使用量は、一般式(2)で示されるケイ素キサントン化合物1モルに対して、通常、0.02〜1モル程度が好ましく、0.03〜0.3モル程度がより好ましく、0.05〜0.2モル程度がさらに好ましい。
塩基としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等のアルキルリチウム;フェニルリチウム等のアリールリチウム;グリニャール反応剤等が挙げられる。収率の観点から、アルキルリチウムが好ましく、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム等がより好ましく、s−ブチルリチウムがさらに好ましい。
本発明において、塩基は、一般式(2)で示されるケイ素キサントン化合物及び一般式(3)で示されるアントラセン化合物と同時に添加してもよいが、一般式(3)で示されるアントラセン化合物と塩基とを混合した後に、得られる混合物と一般式(2)で示されるケイ素キサントン化合物とを混合してもよい。収率の観点からは、後者が好ましい。
塩基の使用量は、収率の観点から、一般式(2)で示されるキサントン化合物1モルに対して、通常、0.1〜10モル程度が好ましく、0.3〜3モル程度がより好ましく、0.5〜2モル程度がさらに好ましい。
本発明の蛍光プローブとして、上記説明した一般式(1)で示される化合物の塩を合成する際には、一般式(2)で示されるキサントン化合物と一般式(3)で示されるアントラセン化合物とを反応させる際に、あわせて、得ようとする塩に対応する塩を投入することが好ましい。
本反応は、通常溶媒中で実施することができる。これらは、1種のみを用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、本発明では、環状エーテル類が好ましく、テトラヒドロフランが特に好ましい。
反応温度は特に制限されないが、収率の観点から、−150〜100℃程度が好ましく、−100〜50℃程度がより好ましい。また、反応時間も特に制限されず、十分に反応を行わせることができる時間であればよいが、1〜48時間が好ましく、2〜24時間がより好ましい。
なお、一般式(3)で示されるアントラセン化合物と塩基とを混合した後に、得られる混合物と一般式(2)で示されるケイ素キサントン化合物とを混合する場合には、一般式(3)で示されるアントラセン化合物と塩基とを−150〜0℃程度(特に−100〜−50℃程度)で1〜120分程度(特に30〜60分程度)反応させた後、得られた反応混合物と一般式(2)で示されるケイ素キサントン化合物とを0〜100℃程度(特に20〜50℃程度)で1〜48時間程度(特に2〜24時間程度)反応させてもよい。
また、本反応は不活性ガス雰囲気(窒素ガス、アルゴンガス等)下で実施することが好ましい。
反応終了後は、通常の単離及び精製工程を経て、一般式(1)で表される化合物からなる本発明の蛍光プローブを得ることができる。
3.一重項酸素検出剤
本発明の一重項酸素検出用蛍光プローブは、上記したように、一重項酸素捕獲前には蛍光(発光)せず、一重項酸素捕獲後には特定の光に対して蛍光(発光)を示す。一方、他の活性酸素種存在下においては、このような挙動は示さず、蛍光(発光)を示さない。
このように、本発明の一重項酸素検出用蛍光プローブは、活性酸素種のなかでも、一重項酸素存在下においてのみ、特定の光照射に対して蛍光(発光)を示すという特異な性質を有していることから、一重項酸素検出剤に好適に使用することができる。
本発明の一重項酸素検出用蛍光プローブを用いると、遠赤色(弱い光)で励起及び発光が可能であり、細胞自身の発光を抑制することができる。また、本発明の一重項酸素検出用蛍光プローブは、一重項酸素生成量子収率が低いため、蛍光プローブの自己酸化による誤った蛍光信号を与えるという問題を抑制することができる。このため、細胞内に発生する一重項酸素を、より精度よく検出することができる。
しかも、本発明の蛍光プローブは、細胞内に透過しやすいとともに、ケイ素ローダミン骨格が+1の正味荷電を有するとともに、適切な親油性を有することから、ミトコンドリアの内膜に蓄積される。この特性を利用して、5−アミノレブリン酸によりミトコンドリア内に生合成されるプロトポルフィリンIX(以下、「PpIX」と言うこともある)を光増感剤として用いて、場所選択的にミトコンドリアを演色(リアルタイムで視覚化)することも可能である。このため、ミトコンドリアの内膜近傍に発生する一重項酸素の検出剤として特に有用である。
本発明の一重項酸素検出剤は、本発明の一重項酸素検出用蛍光プローブを含有しているが、有機溶媒中に溶解させて溶液とすることが好ましく、より一重項酸素を検出し、より場所選択的にミトコンドリアを演色(リアルタイムで視覚化)しつつ、蛍光プローブの自己酸化による誤った蛍光信号を与えることをより抑制する観点から、本発明の一重項酸素検出用蛍光プローブの含有量は、10〜500nmol/Lが好ましく、20〜100nmol/Lがより好ましい。
本発明の一重項酸素検出剤を、本発明の一重項酸素検出用蛍光プローブを含有する溶液とする場合、使用し得る有機溶媒としては、特に制限はなく、極性溶媒及び非極性溶媒のいずれも使用できる。
極性溶媒としては、例えば、エーテル化合物(テトラヒドロフラン(THF)、アニソール、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等)、アルコール(メタノール、エタノール、アリルアルコール等)、エステル化合物(酢酸エチル等)、ケトン(アセトン等)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、クロロホルム)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、N−メチルピロリドン(NMP)等)等が挙げられる。
非極性溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族有機溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族溶媒等が挙げられる。
これらのなかでも、一重項酸素非存在下における蛍光性がより低くなり、誤った蛍光信号を与えるという問題をより抑制することができる観点から、極性溶媒が好ましく、アルコール、ケトン、ハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホキシド等がより好ましく、メタノール、アセトン、クロロホルム、ジメチルスルホキシド等がさらに好ましい。
本発明の一重項酸素検出剤は、上記のとおり、溶液の形態が好ましいが、細胞(特にミトコンドリア)中に投入する観点から、pHは3.0〜9.0程度が好ましく、6.0〜8.0程度がより好ましい。本発明の一重項酸素検出剤のpHを調整するために、緩衝剤(ヘペス緩衝剤、トリス緩衝剤、トリシン−水酸化ナトリウム緩衝剤、リン酸系緩衝剤、リン酸緩衝生理食塩水等)等を使用してもよい。
4.一重項酸素検出方法
本発明において、一重項酸素を検出する方法としては、特に制限されないが、
(1)細胞を一重項酸素が発生する条件下で培養する工程、
(2)前記工程(1)で得た培養液と、本発明の蛍光プローブとを含有し、且つ、前記蛍光プローブの濃度が10〜500nmol/Lである混合培養液を作製、培養する工程、及び
(3)前記工程(2)で得た混合培養液に光照射する工程
を備えることが好ましい。
<工程(1)>
工程(1)においては、まず、対象となる細胞を、一重項酸素が発生する条件下で培養する。
対象となる細胞としては、特に制限されないが、医療への有用性等の観点から、癌細胞(Hela細胞、CHO細胞)、RAW265.7マクロファージ等が好ましい。
工程(1)において、一重項酸素が発生する条件としては、一重項酸素が発生し得る条件であれば特に制限はないが、光増感剤を含有する細胞培養液とすることが好ましい。
この際使用される光増感剤としては、特に制限はなく、プロトポルフィリンIX(5−アミノレブリン酸によりミトコンドリア内に生合成される;以下、「PpIX」と言うこともある)、テトラ−(N−メチル−4−ピリジル)ポルフィリン(ライソゾムに局在している;以下、「TMPyP4」と言うこともある)、光増感剤性タンパク質であるKiller Red(ミトコンドリア内で発現される)等のいずれも採用し得るが、前記蛍光プローブとの空間共存性、一重項酸素の大量発生、急性細胞特性の観点から、プロトポルフィリンIXが好ましい。
この細胞培養液において、光増感剤の含有量は、特に制限されないが、ミトコンドリア内膜をより的確に演色し、誤った蛍光信号を与えにくくするとともに、より長時間にわたって蛍光(発光)させる観点から、50〜250μg/mLが好ましく、100〜200μg/mLがより好ましい。
工程(1)において、細胞培養液中には、対象となる細胞をより適切に培養するため、ウシ胎児血清(FBS)を使用してもよい。また、細胞培養液のpHを6.0〜8.0程度に調整するため、緩衝剤(ヘペス緩衝剤、トリス緩衝剤、トリシン−水酸化ナトリウム緩衝剤、リン酸系緩衝剤、リン酸緩衝生理食塩水等)を使用してもよい。
工程(1)において、培養時間は、対象となる細胞を十分に培養できる時間であれば特に制限はないが、1〜72時間とすることが好ましく、2〜48時間とすることがより好ましい。
<工程(2)>
工程(2)においては、工程(1)で得た培養液に本発明の蛍光プローブを添加することが好ましい。この際、本発明の蛍光プローブの使用量は、得られる混合培養液中の濃度が10〜500nmol/L程度(特に20〜100nmol/L程度)となるように調整することが好ましい。この際、混合培養液のpHを6.0〜8.0程度に調整するため、緩衝剤(ヘペス緩衝剤、トリス緩衝剤、トリシン−水酸化ナトリウム緩衝剤、リン酸系緩衝剤、リン酸緩衝生理食塩水等)を使用してもよい。
<工程(3)>
工程(3)においては、工程(2)で得た混合培養液に光照射を行う。
光照射の波長は、特に制限されないが、本発明の蛍光プローブは塩赤色光又は赤色光に対して蛍光(発光)を示し、且つ、ミトコンドリア内膜をより的確に演色し、誤った蛍光信号を与えにくくする観点から、500〜800nmが好ましく、600〜750nmがより好ましく、630〜700nmがさらに好ましい。つまり、上記の波長を有する可視光を照射することが好ましい。
また、光照射強度は、特に制限されないが、光照射により引き起こる急性細胞毒性や細胞死、又は光増感剤と蛍光プローブの光退色による誤った蛍光信号を与えにくくする)観点から、0.01〜100W/cmが好ましく、0.1〜10W/cmがより好ましく、0.3〜1W/cmがさらに好ましい。
また、光照射時間は、特に制限されないが、光照射により引き起こる急性細胞毒性や細胞死、又は光増感剤と蛍光プローブの光退色による誤った蛍光信号を与えにくくする観点から、1秒〜60分が好ましく、5秒〜5分がより好ましく、10秒〜3分がさらに好ましい。
5.用途
本発明の一重項酸素検出用蛍光プローブは、上記のとおり、一重項酸素を選択的に検出するために用いられるものであるが、特に、ミトコンドリアの内膜近傍で発生する一重項酸素を場所選択的に検出することができる。これは、ミトコンドリアの直径が通常200〜400nm程度であり、水中の一重項酸素の拡散可能距離である300nm程度と同程度であることにも起因する。この仕組みを応用し、例えば、ライソゾムマーカーとして広く知られているモルホリン誘導体や特定の細胞内タンパク質を標識化できるような官能基を本発明の蛍光プローブに修飾することによって、細胞内特定小器官(ミトコンドリア等)及びタンパク質の周辺で発生する一重項酸素を光空間分解限界値(数百nm程度)に達する空間選択的に検出することが期待される。
また、実際の医療現場においても、PDTの主要な標的小器官であるミトコンドリアに正常に光増感剤が導入されていることを確認する用途として特に有用である。
さらに、本発明の一重項酸素検出用蛍光プローブ及び本発明の一重項酸素検出剤は、上記のとおり、一重項酸素を選択的に検出することが可能であるため、細胞を用いた試験試料の皮膚等の酸化ストレス緩和作用評価、試験試料の皮膚等の抗酸化作用評価、試験試料を内服することによる一重項酸素除去性能評価等の種々の評価にも好適に使用できる。例えば、生体の皮膚に紫外線や青色光が照射されることにより、一重項酸素が発生し皮膚の状態に影響を及ぼすことが知られている。つまり、化粧品、健康食品、医療等の分野において、紫外線や青色光の皮膚への影響の評価に有効に使用できる。また、これらの評価を通して、一重項酸素を中心とした活性酸素によって引き起こされる炎症、アトピー性皮膚炎、癌等の皮膚障害、シミやシワ等の皮膚の老化等の予防及び治療に有効活用できることが期待される。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらのみに限定されるものではない。
以下の実施例に使用される全ての化学試薬及び溶媒は、Sigma-Aldrich Chemical社、東京化成工業(株)、ナカライテスク(株)及び和光純薬工業(株)から購入し、精製することなく使用した。
また、実施例において得た化合物(Si−DMA)の特性については、H−NMRスペクトル及び高分解能質量スペクトル(HRMS)を、JEOL ESC400(400MHz)、及び電子スプレーイオン化(ESI)したLTQオービトラップXLハイブリッドイオントラップ−オービトラップ質量分析計を用いて測定した。また、NMR化学シフト、J−値及び積分値は、Delta Ver.5 software(JEOL)を用いて算出した。
また、生体外測定においては、特に表記がない場合には、全てのバルク分光測定は分光グレードのメタノール又はCa及びMgなしのpH7.5のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で行った。基底状態の吸収スペクトル及び蛍光スペクトルは、それぞれShimadzu UV-3100及びHoriba FluoroMax-4を用いて測定した。バルク照射はキセノン光源(LAX−C100、朝日分光(株)製)及び波長フィルタ(BA510−550、オリンパス(株)製)を用いて行った。
[色素染色(PpIX及びTMPyP)のプロトコル]
2時間未満のインキュベーションを必要とする処理には、ヘペス20mMを含有する無血清培地を用い、4時間以上のインキュベーションを必要とする処理には、細胞生存率を維持するため、ヘペス20mMを含有する血清含有培地を用いた。ミトコンドリアをラベルするため、Mito Tracker(登録商標)Green FMを50nMに希釈し、30分間インキュベートした。一方、Alexa Fluor(登録商標)488又はAlexa Fluor(登録商標)647でラベルしたデキストラン10000MW(それぞれA488-及びA647-デキストラン)を50μg/mLに希釈し、24時間インキュベートしてリソソームを染色した。
次に、Molecular Probe(登録商標)によって提供されるCellROX Greenを導入するためのクイックプロトコルにしたがった。希釈後のSi-DMA及びSi-Meを用いて、実験によって30分〜2時間インキュベートした。光増感剤を導入するため、150μg/mLの5−アミノレブリン酸(5−ALA)又は10μMのTMPyPを、それぞれ4時間及び24時間インキュベートした。その結果、既報のとおり、5−ALAはミトコンドリア内でプロトポルフィリンIX(PpIX)に変換されたことを、PpIXの蛍光発光により確認した。
[KillerRed発現]
KillerRedベクターを発現させるため、Lipofectamine(登録商標)2000(invitrogen)の一般的なプロトコルにしたがった。具体的には、2×10のHela細胞を35mmのガラスボトムディッシュに継代培養し、次の日には約50%のコンフルエントとなった。
次に、Lipofectamine試薬とDNAベクターの混合溶液を、6μLのLipofectamine(登録商標)2000と、7μLのpKillerRed-dMitoベクター(0.5μg/mL、Evrogen、カタログ番号FP964)を、Opti-MEM溶液(Gibco)中で混合することにより得た。その後、得た溶液を室温で20分間インキュベートした。この混合溶液300μLを増殖培地に添加し、24時間インキュベートした。KillerRedの発現は、広視野顕微鏡を用いてKillerRed蛍光をモニターすることにより確認した。
[細胞及び細胞培養]
HeLa細胞及びRAW264.7マクロファージは、それぞれ、理研BRC、及び大阪大学産業科学研究所の西教授から得た。特に表記していない限り、本発明で行った細胞実験は、HeLa細胞を用いて行った。HeLa細胞及びRAW264.7マクロファージを、5%CO下の加湿インキュベーター中、37℃で、10%ウシ胎児血清(10099-141、Gibco)を補充したダルベッコ変法イーグル培地(D6429、Sigma)中で培養した。
[実施例1:本発明の蛍光プローブ(Si−DMA)]
ケイ素キサントン
Figure 0006275253
Lukinavicios, G. et al., Nat. Chem., 5, 132-139 (2013)、及びNagano T. et al., ACS Chem. Biol. 6, 600-608 (2011)に記載の方法にしたがって、上記した合成ルートにより、ケイ素キサントン(Si-xanthone)を合成した。
2−ブロモ−9,10−ジメチルアントラセン(4)
Figure 0006275253
Keana, J. F. W. et al., J. Org. Chem., 51, 3456-3462 (1986)に記載の方法にしたがって、上記した合成ルートにより、2−ブロモ−9,10−ジメチルアントラセン(4)を合成した。
Si−DMA
Figure 0006275253
乾燥したフラスコをアルゴンで洗浄し、2−ブロモ−9,10−ジメチルアントラセン(4)(0.85mmol、250mg)及び無水THF(8.5mL)を添加し、溶液を得た。溶液を−78℃に冷却し、sec−ブチルリチウム(シクロヘキサンの1.4M溶液、0.61mL、0.85mmol)を添加し、30分間攪拌した。
同じ温度にて、ケイ素キサントン(Si-xanthone)(17.0mg、0.052mmol)を無水THF(8.5mL)に溶解させ、上記溶液にゆっくりと添加した。その後、室温まで昇温し、アルゴン雰囲気下で一晩中攪拌した。この溶液に2NのHClを添加して反応をクエンチし、溶液の色が黄色から帯青緑色に変化した。その後、溶液を室温で10分間攪拌した。この溶液に飽和NaHCOを添加し、混合物をCHClで抽出した。有機層をNaSOで乾燥して蒸発させた。得られた残渣を勾配カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl:メタノール=1:0〜4:1)及びゲルパーミエーションクロマトグラフィーで2回精製し、目的物であるSi−DMAを青色固体として得た(5mg、18.7%)。得られたSi−DMAは、暗室で、−20℃のジメチルスルホキシド(DMSO)中で保管した。
1H-NMR (400 MHz, CD3OD) δ: 0.65 (s, 6H), 3.05 (s, 3H), 3.18 (s, 3H), 6.74 (dd, 2H, J = 9.6, 2.3 Hz), 7.27 (d, 2H, J = 9.6 Hz), 7.39 (d, 2H, J = 2.3 Hz), 7.44 (d, 1H, J = 8.2 Hz), 7.59-7.61 (m, 2H), 8.24 (s, 1H), 8.39-8.46 (m, 2H), 8.55 (d, 1H, 8.7 Hz). HRMS (ESI) = m/z calculated for C35H37N2Si 513.2721; found 513.2724。
このようにして得たSi−DMA中に一重項酸素が取り込まれると、以下の反応式:
Figure 0006275253
に示されるように、アントラセン構造が崩れ、Si−DMEPが形成される。
[比較例1:比較用の蛍光プローブ(Si−Me)]
Figure 0006275253
2メチルベンゼンで置換したケイ素ローダミン(Si−Me)は、Nagano, T. et al., ACS Chem. Biol. 6, 600 (2011)に記載された方法にしたがって合成した。得られたSi−Meは、暗室で、−20℃のジメチルスルホキシド(DMSO)中で保管した。
[実験例1:蛍光スペクトル及び発光スペクトル]
TMPyPとともに、インキュベートした実施例1のSi−DMAの蛍光スペクトル及び発光スペクトルについて、経時変化を図1に示す。なお、Si−DMAの濃度は50μM、TMPyPの濃度は5μMであり、光照射は、510〜550nmの波長の光を用いて、0.07W/cmの強度で、一重項酸素を発生させるために磁気攪拌しながら行った。
図1のa)及びc)において、黒矢印は、アントラセン構造の過酸化(実線)と水素凝集体の解離(破線)による吸収の変化を示す。また、図1のb)において、赤矢印は50分の光照射中、蛍光が増加したことを示す。一方、図1のd)はTMPyPが存在しない場合はSi−DMAの蛍光は光照射を施しても増加しないものの、TMPyPが存在する場合はメタノール溶液であってもPBS溶液であってもSi−DMAの蛍光が50分の光照射中増加していることを示す。つまり、900秒経過後にも光の退色が見られず、安定的であった。この安定性は、Si−DMAをHela細胞に導入し、640nmの波長で0.6W/cmの光照射したとき(Si−DMA濃度は100nM)にも同様である。結果を図2に示す。
このように、一重項酸素非存在下においては、蛍光はほとんど見られず(Φfl=0.01;メタノール中)、ケイ素ローダミンの励起が、アントラセン構造を有することによる光誘起電子移動により打ち消される。一重項酸素非存在下における蛍光性は溶媒の種類によっても異なり、極性溶媒を用いたほうが蛍光強度は小さくなるため、誤った信号をより抑制することができる。この結果を図3に示す(Φflは、それぞれ、ベンゼン:0.034、トルエン:0.030、クロロホルム:0.010、アセトン:0.010、メタノール:0.010、DMSO:0.008)。
次に、Si−DMAは、一重項酸素と反応してSi−DMEPとなることにより、光誘起電子移動が抑制されるため、蛍光強度が増加した(Φfl=0.17)。メタノール中においては、蛍光強度は、約18倍(メタノール中)、約22倍(PBS中)に増加し(図1b)及びd);赤色)、アントラセン構造の消失が見られた(図1a);黒矢印)。
一方、Si−DMAに対して、化学触媒によって一重項酸素を導入した。具体的には、10mMのNaOCl及び10mMのHにより一重項酸素を導入した。この場合においても、図1と同様のスペクトル変化が見られた。この結果を図4に示す。図4のa)の黒矢印及び図4のb)の赤矢印は、それぞれ、アントラセン構造の吸収の消失、及びSi−DMAの蛍光の増大を示す。NaOCl及びHによる10分間のインキュベーションにより、蛍光が約10倍に増大した。一重項酸素をより多く導入すれば、よりSi−DMAがSi−DMEPに変化すると期待される。
このように、一重項酸素発生下においては、アントラセン構造が破壊され、650〜700nm程度の波長において、蛍光が増大した。このため、Si−DMAが発光しているか否かで、一重項酸素の存在を確認することができる。
[実験例2:選択性試験]
実施例1のSi−DMAは、色素の自己酸化を引き起こすことなく、選択的に一重項酸素に応答できるか否かを確認した。
まず、S−DMAモノマー及びSi−DMA凝集体の双方が、NaClO及びHによって生成された一重項酸素の濃度に比例して蛍光が増大した。結果を図5に示す。図5において、上側の結果がS−DMAモノマー、下側の結果がSi−DMA凝集体の結果である。測定は、DMSO:メタノール:トリス緩衝剤=1:49:50の溶液中で、NaClO及びHによって一重項酸素を生成して行った(Si−DMAの濃度は5μMである)。
ただし、凝集体が形成されると、色素の有効濃度が低下し、Si−DMAの反応速度が遅くなる。そこで、まず、メタノールとpH7.4のPBS緩衝溶液との1:1の混合溶媒を用いたSi−DMAの5μMの溶液を作製した。この溶液中では、Si−DMAをモノマーとして存在する。次に、様々な活性酸素種(ROS)(、O ●−、H、HOCl、ROO、及びOH)の10mMの溶液を、以下の添加剤:
1.:10mMのNaOCl及び10mMのH
2.O ●−:10mMのKO
3.H:10mMのH
4.HOCl:10mMのNaOCl
5.ROO:10mMの2,2−アゾビス(2−アミンジノプロパン)ジヒドロクロリド
6.OH:1mMのFeSO・7HO及び10MのH
を上記で得たSi−DMAの5μMの溶液に添加することにより作製した。
激しく磁気攪拌を行いながら、各活性酸素種(ROS)を含むSi−DMA溶液を10分間暗室に保持した。続いて、640nmの波長の光照射における吸収を比較した。その結果、得られた各活性酸素種存在下におけるSi−DMAの蛍光強度を図6に示す。
その結果、他の活性酸素種存在下においては、活性酸素非存在下と同程度の蛍光強度しか得られない(蛍光の増大は全く見られない)が、一重項酸素存在下においては、蛍光強度を極めて大きくすることができた。このため、活性酸素種のなかでも、一重項酸素のみを選択的に検出する蛍光プローブとして有用であることが理解できる。
[実験例3:時間分解燐光測定]
Rose Bengalと比較例1のSi-Meのサンプルを、1×1×4cmの石英セルに投入した1:9のDMSO及びメタノール溶液中で作製した(Rose Bengalの濃度は21.5μM、Si−Meの濃度は250μMである)。
QスイッチNd:YAGレーザー(Continuum社、Surelite II-10)からの第二高調波発振(532nm、4nsfwhm、5.0mJ・cm−2pulse−1)は、励起光として使用した。試料セルの光誘起発光は、モノクロメータを通過した石英レンズで集め、次いで近赤外光電子増倍管モジュール(浜松ホトニクス、H10330A-75)に導入した。
350MHzのアンプユニット(スタンフォード・リサーチ、SR445A)により増幅した後、光電子増倍管の出力は、GPIBインタフェースを介してPCからの直接制御下にあるゲート付き光子計数(スタンフォード・リサーチ、SR400)に送った。の寿命を測定するため、1.0μ秒のゲート幅で0〜50μ秒の遅延時間を変更することにより蓄積した(5回繰り返し)。結果を図7に示す。なお、図7において、上側の折れ線はRose Bengalであり、下側の曲線はSi−Meである。
Rose Bengal(ΦΔ=0.76;メタノール中)に対して、Si−MeはΦΔは約0.02であり、SOSGの発色団である2,7-ジクロロフルオロセインのΦΔ=0.06の約3分の1であることから、ケイ素ローダミン骨格を有する本発明の蛍光プローブは、蛍光プローブ自身が発光することによる誤った信号を与えることをより抑制できることが理解できる。なお、ΦΔは一重項酸素生成量子収率である。
[実験例4:生細胞イメージング]
実施例1で得たSi-DMAの光照射時の蛍光増加をモニターするために、オリンパスIX81倒立蛍光顕微鏡及び640nmのCWレーザー(コヒーレント)を使用し、活性酸素種を照射しつつプローブをモニターした。ガラス底(ibidi)を有する35mmのμ−ディッシュにHela細胞を投入し、油浸対物(オリンパス、PlanApo 100x/1.40オイル)を介して励起した。発光像を収集し、ダイクロイックビームスプリッタ(セムロック、DI02-R635)及びバンドパスフィルタ(クロマ、HQ690/70)を介して、EMCCDカメラ(ローパーサイエンティフィック、Evolve 512)によって記録した。データ収集中、インキュベーター(37℃、5%CO)を、Chamlide TC(生細胞計測器)を用いて同じ雰囲気を維持した。擬似蛍光画像は、OriginPro 9.1(OriginLab)及びImage Jを用いて得た動画ファイルを再処理して得た。
特定の細胞小器官中の色素の局在を確認するため、オリンパスIX71倒立蛍光顕微鏡に結合された対物走査共焦点顕微鏡(PicoQuant、微小時間200)を使用した。μ−スライド8ウェル(ibidi)中で、Hela細胞は、油浸対物(オリンパス、UPlanSAPo 100x/1.40 Oil/0.17/FN26.5)を介したPDL-800Bドライバ(PicoQuant)によって制御されるパルスレーザ(PicoQuant)を用いて、二つの波長、つまり、405-/640-nm及び485-/640-nmで励起した。続いて、発光を収集し、ビームスプリッタ(90%透過、10%反射)、適切な帯域通過フィルタ、及びピンボケ信号を除去する空間フィルタリングのための75μmピンホールを備えた単一光子アバランシェフォトダイオード(マイクロ光子デバイス、PDM50CT及び100CT)により検出した。緑及び赤のチャンネルの2つの画像を、OriginPro9.1(OriginLab社)及びImage Jにより、マージされた画像を取得した。
この結果、Si−DMAはミトコンドリアに選択的に局在できることが示唆された。結果を図8に示す。一方、トリアニオン分子であるSOSGを用いて同様に測定しても、Hela細胞を染色することができるが、10μMと大量にSOSGを使用した場合であっても不鮮明であり、対象を明確に染色することはできなかった。結果を図9に示す。
[実験例5:光増感剤の選択性]
処理の前夜に、35mmディッシュに、0.2×10のHela細胞を播種し、150μg/mLの5−アミノレブリン酸、10%のFBS、20mMのヘペス緩衝剤を含有する細胞培養液で4時間インキュベートし、PpIXを含むHela細胞を準備した。さらに、25nMのSi−DMA、20mMのヘペス緩衝剤を含有する細胞培養液で1時間インキュベートした。オリンパスIX81倒立顕微鏡に搭載された高視野蛍光顕微鏡システムを使用し、Coherent社640nmCWレーザーで0.6W/cmで30秒間光照射した。Roper Scientific社Evolve 512(EMCCDカメラ)で得られた信号は、Image J、originProプログラムを使用し、イメージ再処理した。結果を図10a)に示す。
一方、 処理の前夜に、35mmディッシュに、0.2×10のHela細胞を播種し、10μMのTMPyP4、10%のFBS、20mMのヘペス緩衝剤を含有する細胞培養液で上記のとおり24時間インキュベートし、PpIXを含むHela細胞を準備した。さらに、25nMのSi−DMA、20mMのヘペス緩衝剤を含有する細胞培養液で1時間インキュベートした。オリンパスIX81倒立顕微鏡に搭載された高視野蛍光顕微鏡システムを使用し、Coherent社640nmCWレーザーで0.6W/cmで30秒間光照射した。Roper Scientific社Evolve 512(EMCCDカメラ)で得られた信号は、Image J、originProプログラムを使用し、イメージ再処理した。結果を図10b)に示す。
さらに、処理の前夜に、35mmディッシュに、0.2×10のHela細胞を播種し、Lipofectaimine(登録商標)2000(Invitrogen(登録商標))を用い、Evrogen社pKillerRed-dMito vectorを遺伝子導入し、上記のとおり24時間インキュベートし、PpIXを含むHela細胞を準備した。さらに、25nMのSi−DMA、20mMのヘペス緩衝剤を含有する細胞培養液で1時間インキュベートした。オリンパスIX81倒立顕微鏡に搭載された高視野蛍光顕微鏡システムを使用し、Coherent社640-/532-nmでそれぞれ0.5W/cm及び0.6W/cmで30秒間同時光照射した。Roper Scientific社Evolve 512(EMCCDカメラ)で得られた信号は、Image J、originProプログラムを使用し、イメージ再処理した。結果を図10c)に示す。
このことから、光増感剤として、ミトコンドリアの内膜に局在するPpIXを用いた場合には、急速(10秒以内)に核周辺領域にSi−DMAの蛍光の増加を誘導でき、しかも鮮明に演色できることが示唆されている。同様の結果は、Si−DMAの濃度を100nMに増加した場合も見られる。この場合の結果を図11に示す。
一方、本実験例において、3種の光増感剤を用いた60秒の光照射中において、写真中に表示される擬似カラーの平均個数とその上昇値を測定した。結果を図12に示す。その結果、光増感剤としてPpIXを使用した場合のみが、光照射中、擬似カラーの個数が増加し続け、光照射により発生した一重項酸素を検出できていることが示唆されている。なお、光増感剤としてTMPyP4を用いた場合は、擬似カラーの平均個数が減少し、一重項酸素を明らかに検出できていない。また、光増感剤としてKillerRedを使用した場合は、光照射前から蛍光しており、しかも、光照射とともに擬似カラーの平均個数は暫減していることから、光照射による蛍光は観測されず、一重項酸素は検出できていないことが示唆される。
なお、5−アミノレブリン酸を用いた場合、インキュベート時間による蛍光強度の変化を図13に示す。上記のとおり、インキュベート時間が長いほど5−ALAインキュベーションによって細胞内で生合成されたポルフィリン(PpIX)による蛍光強度が高く、4時間インキュベートすることが、最も蛍光強度を増大させることが理解できる。

Claims (16)

  1. 一重項酸素検出用蛍光プローブであって、
    一般式(1):
    Figure 0006275253
    [式中、R〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基;R〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基;R〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、又は酸付加塩;R〜R10は同じか又は異なり、それぞれ水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は酸付加塩;nは0〜3の整数;mは0〜4の整数である。]
    で示される化合物、又はその塩、水和物若しくは溶媒和物を含有する、蛍光プローブ。
  2. 前記化合物は、一般式(1A):
    Figure 0006275253
    [式中、R〜R10、n、及びmは前記に同じである。]
    で示される、請求項1に記載の蛍光プローブ。
  3. 前記R〜Rがいずれもメチル基であり、n及びmがいずれも0である、請求項1又は2に記載の蛍光プローブ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の蛍光プローブを含有する、一重項酸素検出剤。
  5. 前記蛍光プローブを10〜500nmol/L含有する、請求項4に記載の一重項酸素検出剤。
  6. ミトコンドリアの内膜近傍に発生する一重項酸素検出剤である、請求項4又は5に記載の一重項酸素検出剤。
  7. ミトコンドリアのリアルタイム可視化剤である、請求項4又は5に記載の一重項酸素検出剤。
  8. 細胞内に発生する一重項酸素を検出する方法であって、
    (1)細胞を一重項酸素が発生する条件下で培養する工程、
    (2)前記工程(1)で得た培養液と、請求項1〜3のいずれかに記載の蛍光プローブとを含有し、且つ、前記蛍光プローブの濃度が10〜500nmol/Lである混合培養液を作製、培養する工程、及び
    (3)前記工程(2)で得た混合培養液に光照射する工程
    を備える、一重項酸素検出方法。
  9. 前記工程(1)において、一重項酸素が発生する条件が、光増感剤を含有する条件である、請求項8に記載の一重項酸素検出方法。
  10. 前記光増感剤が、プロトポルフィリンIXである、請求項9に記載の一重項酸素検出方法。
  11. 前記細胞が癌細胞である、請求項8〜10のいずれかに記載の一重項酸素検出方法。
  12. 前記細胞内のミトコンドリアの内膜近傍に発生する一重項酸素を場所選択的に検出する、請求項8〜11のいずれかに記載の一重項酸素検出方法。
  13. 一般式(1):
    Figure 0006275253
    [式中、R〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基;R〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基;R〜Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、又は酸付加塩;R〜R10は同じか又は異なり、それぞれ水酸基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は酸付加塩;nは0〜3の整数;mは0〜4の整数である。]
    で示される化合物。
  14. 一般式(1A):
    Figure 0006275253
    [式中、R〜R10、n、及びmは前記に同じである。]
    で示される、請求項13に記載の化合物。
  15. 前記R〜Rがいずれもメチル基であり、n及びmがいずれも0である、請求項13又は14に記載の化合物。
  16. 請求項1〜3のいずれかに記載の蛍光プローブを含有するか、請求項4〜7のいずれかに記載の一重項酸素検出剤を含有するか、又は請求項13〜15のいずれかに記載の化合物を含有することを特徴とする、細胞試験用試薬。
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