JP4334622B2 - ジアミノローダミン誘導体 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、一酸化窒素の測定用試薬として有用なローダミン誘導体、並びに該化合物を含む一酸化窒素測定用試薬に関するものである。
背景技術
一酸化窒素(NO)は短寿命の不安定ラジカル種であり、生体内生理活性物質として重要な機能を有していることが明らかにされてきた(現代化学,1994年4月号特集;ファルマシア,1997年5月号特集)。一酸化窒素の測定方法は、一酸化窒素の酸化分解物であるNO2 -やNO3 -を測定する間接的な方法と、一酸化窒素を直接測定する方法に大別される。一酸化窒素を生理的条件下で検出・定量するという観点からは直接法が注目されているものの、現時点ではイン・ビトロ系に適用できる特異的かつ高感度な検出方法は開発されていない。
例えば、NOラジカルをオゾン酸化したときに発生する発酵を利用する化学発光法(Palmer, R.M., et al., Nature, 327, pp.524-526, 1987)、オキシヘモグロビン(O2Hb)が酸化されて生じるmetHbの吸収スペクトルを測定する方法(Kelm, M., et al., Circ. Res. 66, pp.1561-1575, 1990)、電極を組織に差し込んで酸化されるときに流れる電流で定量する方法(Shibuki, K., Neurosci. Res. 9, pp.69-76, 1990; Malinski, T., Nature, 356, pp.676-678; 1992)、及びグリース反応法(Green, L.C., et al., Anal. Biochem., 126, pp.131-138, 1992)などが代表的な方法として知られている(総説として、戸田 昇編集「最新医学からのアプローチ12, NO」,pp.42-52, 3.NOの測定法,長野哲雄著,メジカルビュー社発行;Archer, S., FASEB J., 7, pp.349-360, 1993)。
グリース反応法は、一酸化窒素ラジカルが酸化されて生じるNO2 -によるジアゾニウム塩化合物とナフチルエチレンジアミンのアゾカップリングを利用して検出する方法である。この方法は、一酸化窒素ラジカルを直接測定するものではないが、特別な装置や技術を必要としないという利点を有している。またカドミウム(Stainton, M.P., Anal. Chem., 46, p.1616, 1974; Green, L.C., et al., Anal. Biochem., 126, pp.131-138, 1982)やヒドラジン(Sawicki, C.R. and Scaringelli, F.P., Microchem. J., 16, pp.657-672, 1971)でNO3 -をNO2 -に還元して測定できることから、一酸化窒素関連代謝物を定量できるという特徴もある。
グリース反応法と同様にNO2 -を検出することにより一酸化窒素を測定するための試薬として2,3-ジアミノナフタレン(2,3-diaminonaphthalene)が知られている。この試薬は、酸性条件下でNO2 -と反応して蛍光性付加体であるナフタレントリアゾール(化学名:1-[H]-naphtho[2,3-d]triazole)を形成する(Wiersma, J.H., Anal. Lett., 3, pp.123-132, 1970)。2,3-ジアミノナフタレンとNO2 -の反応条件については詳細に検討されており、反応はpH2以下で最も速く進行し、室温下では約5分程度で完了する(Wiersma, J.H., Anal. Lett., 3, pp.123-132, 1970; Sawicki, C.R., Anal. Lett., 4, pp.761-775, 1971)。また、生成した付加体はpH 10以上で最も効率よく蛍光を発する(Damiani, P. and Burini, G., Talanta, 8, pp.649-652, 1986)。
この2,3-ジアミノナフタレンを用いる一酸化窒素の測定方法は、検出限界が数十nM程度であり、グリース反応法に比べて50〜100倍も高感度であるという特徴がある(Misko, T.P., Anal. Biochem. 214, pp.11-16, 1993)。また、この方法は特別な装置や技術を必要とせず、簡便に行えるという点でも非常に優れた方法である(以上について、総説としてDOJIN News, No. 74, Information NOの測定試薬:2,3-Diaminonaphthalene,株式会社同仁化学研究所発行、1995)。しかしながら、一酸化窒素自体ではなくその酸化物であるNO2 -を反応種としているので、一酸化窒素を直接測定する方法に比べて間接的な方法であり、また、2,3-ジアミノナフタレンとNO2 -の反応を強酸性下(pH2以下)で行うところから、一酸化窒素を生理的条件下で検出・定量する方法としては採用できないという問題があった。
本発明者は、生理的条件下で一酸化窒素を直接的かつ高感度に測定する手段を提供すべく研究を進めた結果、溶存酸素やオキシド化合物(例えばPTIOやその誘導体であるカルボキシPTIOなど)の酸素源の存在下では、2,3-ジアミノナフタレン又はその誘導体に対して中性条件下においても一酸化窒素が効率よく反応し、蛍光性のナフタレントリアゾール又はその誘導体を与えることを見出した。また、この反応を応用した一酸化窒素の測定方法が極めて検出感度に優れており、微量の一酸化窒素を正確に定量できることを見出した(特願平7-189978号明細書参照)。
しかしながら、2,3-ジアミノナフタレンを用いる上記の方法では、蛍光の検出において370〜390nm程度の低波長の励起光を照射する必要があるので、測定系内の細胞や組織がダメージを受ける可能性があった。また、細胞自身の強い自家蛍光が測定に影響を与えることがあり、通常の蛍光顕微鏡に備えられている蛍光フィルターでは蛍光測定時に励起光を十分にカットできないという問題もあった。さらに、2,3-ジアミノナフタレンから生成する蛍光性のトリアゾール化合物は蛍光強度が必ずしも十分ではないので、汎用の蛍光顕微鏡では個々の細胞内の蛍光を正確に測定することが困難であった。一方、2,3-ジアミノナフタレン自体は単純な化学構造を有しており、例えば、試薬が細胞内部に局在化するように種々の化学的修飾を加える基本骨格としては好適ではないという問題もあった。
最近、それ自体はほとんど蛍光性を有しない特定のフルオレセイン誘導体が、中性条件下で一酸化窒素と容易に反応して高い蛍光強度を有するトリアゾール化合物を与え、該トリアゾール誘導体が495nm程度の長波長の励起光により515nm程度の強い蛍光を発することができることが報告された(小島ら、第16回メディシナルケミストリーシンポジウム、第5回医薬化学部会年会、講演要旨集第166-167頁、演題番号2-P-26、社団法人日本薬学会発行、1996年10月23日)。
このフルオレセイン誘導体を一酸化窒素測定試薬として用いると、汎用の蛍光顕微鏡に備えられた蛍光フィルターで励起光を容易に分光することができ、個々の細胞内の蛍光を測定することにより簡便に細胞内の一酸化窒素濃度を測定できる。もっとも、上記のフルオレセイン誘導体の蛍光波長の一部は細胞の自家蛍光領域に重なっているために、一酸化窒素を正確に定量することが困難になる場合があった。また、酸性条件下(例えばpH4以下)で蛍光が減弱することもあり、広いpH領域で正確な測定を行うことができないという問題もあった。
発明の開示
本発明の課題は、一酸化窒素の測定に有用な化合物を提供することにある。より具体的には、中性条件下において一酸化窒素と効率よく反応でき、蛍光強度に優れた蛍光性物質を与える化合物を提供することが本発明の課題である。また、本発明の別の課題は、上記の特徴を有する化合物であって、生体組織や細胞に対してダメージを与えず、細胞の自家蛍光領域よりも長波長の蛍光領域で一酸化窒素を測定することができる化合物を提供することにある。さらに、上記の特徴を有する化合物であって、酸性領域においても蛍光の減弱がない化合物を提供することも本発明の課題である。本発明の別の課題は、上記の特徴を有する化合物を含む一酸化窒素測定用試薬を提供することにあり、より具体的には、細胞の内部に存在する一酸化窒素を個々の細胞ごとに正確に測定することができる一酸化窒素測定用試薬を提供することにある。
本発明者は上記の課題を解決すべく鋭意努力した結果、下記のローダミン誘導体が中性条件下において一酸化窒素と効率よく反応でき、蛍光強度に優れたトリアゾール誘導体を与えるとことを見出した。また、該トリアゾール誘導体の蛍光領域がフルオレセイン誘導体(上掲第16回メディシナルケミストリーシンポジウム講演要旨集)に比べて長波長側にシフトしており、細胞の自家蛍光領域とほとんどオーバーラップしないこと、並びに酸性領域においても蛍光の減弱がないことを見出した。本発明はこれらの知見を基にして完成されたものである。
すなわち本発明は、下記の式(I):
Figure 0004334622
(式中、R1及びR2はそれぞれフェニル環上の隣接した位置に置換するアミノ基を示し;R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立にC1-6アルキル基を示し;R7、R8、R9、及びR10はそれぞれ独立に水素原子、C1-6アルキル基、アリル基、又はハロゲン原子を示し、R11は水素原子又はC1-18アルキル基を示し、X-は陰イオンを示す)で表される化合物を提供するものである。この発明の好ましい態様によれば、R3、R4、R5、及びR6がエチル基であり;R7、R8、R9、及びR10が水素原子である上記化合物が提供される。また、本発明の別の態様によれば、上記化合物を含む一酸化窒素測定用試薬が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、下記の式(II):
Figure 0004334622
[式中、R21及びR22は互いに結合してフェニル環上の隣接した位置に環を形成する-N=N-NR41-(式中、R41は水素原子、C1-18アルキル基、又は置換若しくは無置換アラルキル基を示す)で表される基を示すか、又はR21及びR22はフェニル環上の隣接した位置に置換するアミノ基及びニトロ基の組み合わせを示し;R23、R24、R25、及びR26はそれぞれ独立にC1-6アルキル基を示し;R27、R28、R29、及びR30はそれぞれ独立に水素原子、C1-6アルキル基、アリル基、又はハロゲン原子を示し、R31は水素原子又はC1-18アルキル基を示し、Y-は陰イオンを示す]で表される化合物が提供される。この発明の好ましい態様によれば、R23、R24、R25、及びR26がエチル基であり;R27、R28、R29、及びR30が水素原子である化合物が提供される。
さらに本発明の別の態様により、一酸化窒素の測定方法であって、(1)上記式(I)で示される化合物を一酸化窒素と反応させる工程;及び、(2)上記工程(1)において生成する式(II)の化合物を検出する工程を含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
第1図は、一酸化窒素添加による式(I)の化合物の蛍光スペクトル変化を示した図である。図中、(a)は励起スペクトル(Em. 580nm)、(b)は蛍光スペクトル(Ex. 565nm)を示し、一酸化窒素の濃度は、1:0.11μM, 2:0.21μM, 3:0.32μM, 4:0.43μM, 5:0.53μM, 6:0.64μMである。
第2図は、一酸化窒素生成量に依存した式(I)の化合物の蛍光強度変化を示した図である。図中、(a)及び(b)はそれぞれNOC12及びNOC13を用いた場合の結果を示し、1,2及び3並びに1’,2’及び3’は、それぞれ10μM, 50μM及び100μMのNOC類を存在させた場合の結果を示している。
第3図は、式(II)の化合物(DAR-1T)の蛍光強度と濃度との相関図(検量線)を示した図である。
第4図は、式(I)の化合物のpH変動による感度変化の結果を示した図である。
第5図は、個々の細胞に存在する一酸化窒素を測定した結果を示した図である。図中、(a)は刺激後の細胞の培地を1mM L-Argを含む培地で置換した後の変化を示し(インキュベート35分:一酸化窒素産生細胞);(b)は無刺激の細胞の培地を1mM L-Argを含む培地で置換した後の変化を示し(インキュベート75分:一酸化窒素非産生細胞);(c)は工程(a)の培地を1mM L-Arg+10mM NMMAを含む培地で置換した後の変化を示す(インキュベート108分:NOS阻害剤存在下)。細線は個々の細胞の蛍光強度を示し、太線はその平均値を示す。
発明を実施するための最良の形態
上記一般式(I)において、R1及びR2はそれぞれフェニル環上の隣接した位置に置換するアミノ基を示す。R1及びR2が共に無置換のアミノ基であることが好ましいが、R1及びR2のうちのいずれかがモノ置換アミノ基であってもよい。アミノ基上に置換する置換基としては、例えば、直鎖又は分枝鎖のC1-18アルキル基(好ましくはC1-6アルキル基)、又は置換若しくは無置換のアリール基が置換したC1-6アルキル基(アラルキル基)などを挙げることができる。本明細書において特に言及しない場合には、C1-6アルキル基は直鎖又は分枝鎖のいずれでもよく、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などを用いることができる。アリール置換アルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、パラメトキシベンジル基、パラエトキシカルボニルベンジル基、パラカルボキシベンジル基などを用いることができる。
R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立にC1-6アルキル基を示すが、これらの基が示すアルキル基は同一でも異なっていてもよい。例えば、R3、R4、R5、及びR6がいずれもエチル基である化合物は本発明の好適な態様である。R11は水素原子又はC1-18アルキル基、好ましくはC1-6アルキル基を示し、より好ましくは水素原子又はエチル基、特に好ましくは水素原子を示す。X-が示す陰イオンの種類は特に限定されないが、例えば、塩素イオンや臭素イオンなどのハロゲンイオン、硫酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオンなどの無機イオンのほか、メタンスルホン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、蓚酸イオン、クエン酸イオンなどの有機酸イオンを用いることができる。
R7、R8、R9、及びR10はそれぞれ独立に水素原子、C1-6アルキル基、アリル基(CH2=CH-CH2-)、又はハロゲン原子を示す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれでもよいが、塩素原子であることが好ましい。R7、R8、R9、及びR10から選ばれる置換基の置換位置は特に限定されないが、水素原子以外の置換基である場合にはキサンテン骨格の2-位、4-位、5-位、及び7-位から選ばれる位置に置換していることが好ましい。例えば、R7、R8、R9、及びR10がいずれも水素原子であることが好ましい。
上記の式(II)において、R21及びR22は互いに結合してフェニル環上の隣接した位置に環を形成する-N=N-NR41-基を示す。ここで、R41は水素原子、直鎖又は分枝鎖のC1-18アルキル基(好ましくはC1-6アルキル基)、又は置換若しくは無置換のアリール基が置換したC1-6アルキル基を示す。アリール置換アルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、パラメトキシベンジル基、パラエトキシカルボニルベンジル基、パラカルボキシベンジル基などを用いることができる。また、R21及びR22はフェニル環上の隣接した位置に置換するアミノ基及びニトロ基の組み合わせを示し、R21及びR22のいずれか一方はアミノ基を示し、他方はニトロ基を示す。R21及びR22が示すアミノ基は無置換であってもよいが、例えば、C1-18アルキル基(好ましくはC1-6アルキル基)や上記に説明した置換若しくは無置換アリール基が置換したC1-6アルキル基などの置換基を1個有していてもよい。また、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基などのアシル基;トリメチルシリル基などのアルキルシリル基などの保護基を有していてもよい。ベンジル基などのアリールアルキル基を保護基として利用してもよい。
R23、R24、R25、及びR26はそれぞれ独立にC1-6アルキル基を示すが、これらの基が示すアルキル基は同一でも異なっていてもよい。例えば、R23、R24、R25、及びR26がいずれもエチル基である化合物は本発明の好適な態様である。R31は水素原子又はC1-18アルキル基、好ましくはC1-6アルキル基を示し、より好ましくは水素原子又はエチル基、特に好ましくは水素原子を示す。Y-が示す陰イオンの種類は特に限定されないが、例えば、塩素イオンや臭素イオンなどのハロゲンイオン、硫酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオンなどの無機イオンのほか、メタンスルホン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、蓚酸イオン、クエン酸イオンなどの有機酸イオンを用いることができる。
R27、R28、R29、及びR30はそれぞれ独立に水素原子、C1-6アルキル基、アリル基、又はハロゲン原子を示す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれでもよいが、塩素原子であることが好ましい。R27、R28、R29、及びR30から選ばれる置換基の置換位置は特に限定されないが、水素原子以外の置換基である場合にはキサンテン骨格の2-位、4-位、5-位、及び7-位から選ばれる位置に置換していることが好ましい。例えば、R27、R28、R29、及びR30がいずれも水素原子であることが好ましい。
上記の式(I)の化合物及び式(II)の化合物(ただし、R21及びR22がフェニル環上の隣接した位置に置換するアミノ基及びニトロ基の組み合わせを示す化合物)は、例えば、以下のスキームに従って製造することができ、その詳細は本明細書の実施例に具体的に説明されている。従って、上記の式(II)の化合物が式(I)の化合物の製造中間体として有用であることが理解されよう。また、式(II)で示される化合物のうち、R21及びR22が互いに結合してフェニル環上の隣接した位置に環を形成する-N=N-NR41-基を示す化合物については、上記式(I)の化合物と一酸化窒素とを反応させることにより製造可能である。この化合物は、後述のように強い蛍光性を有しており、一酸化窒素の測定に有用である。
Figure 0004334622
Figure 0004334622
上記スキーム中の一般的な説明と実施例の具体的説明を参照することにより、式(I)及び式(II)に包含される化合物を容易に製造できることが当業者には理解されよう。種々の置換基を有するローダミン誘導体の製造方法が知られているので、当業者に利用可能な公知の製造方法と本明細書の実施例の方法とを組み合わせることにより、当業者は式(I)及び式(II)に包含されるいかなる化合物も容易に製造できる。なお、本発明の式(I)及び式(II)で表される化合物は1個または2個以上の不斉炭素を有している場合がある。従って、1個または2個以上の不斉炭素に基づく光学的に純粋な形態の任意の光学異性体、光学異性体の任意の混合物、ラセミ体、純粋な形態のジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物などはいずれも本発明の範囲に包含される。また、本発明の化合物は水和物や溶媒和物として存在する場合もあるが、これらの物質も本発明の範囲に包含されることはいうまでもない。
さらに、ローダミン誘導体はラクトン環を形成して遊離形態の化合物としても存在することが知られているが、式(I)及び式(II)で表される本発明の化合物のうちR11又はR31が水素原子である化合物については、このようなラクトン環を形成した構造異性体が存在していることは当業者に容易に理解されよう。このような構造異性体が本発明の範囲に包含されることはいうまでもない(このような化合物においては4級アミノ基が存在せず、対イオンとして作用するX-又はY-で表される陰イオンが存在しないことも当業者に容易に理解されよう)。ラクトン環を形成した本発明の化合物(I)’及び(II)’を以下に示す(それぞれ(I)及び(II)の化合物に対応しており、R1〜R10、及びR21〜R30は上記の定義のとおりである)。なお、上記式(I)及び式(II)、並びに上記スキームにおいては、便宜上、ラクトン環を形成していない化合物についてのみ記載した。さらに、R11又はR31が存在せずカルボキシルアニオンを有する化合物については、4級アミノ基上の陽電荷と電荷を相殺して分子内でツビッターイオンを形成する場合があり、これらの化合物についても対イオンとして作用するX-又はY-で表される陰イオンが存在しないことも当業者に容易に理解されよう。これらの化合物も本発明の範囲に包含されることを理解すべきである。
Figure 0004334622
本発明の式(I)で表される化合物は、中性条件下において一酸化窒素と効率的に反応して、収率よく式(II)の化合物(ただし、R21及びR22は互いに結合してフェニル環上の隣接した位置に環を形成する-N=N-NR41-基を示す化合物)を生成する性質を有している。式(I)で表される化合物自体は、中性条件下において565nm程度の励起光を照射した場合にはほとんど蛍光を発しないが、上記式(II)の化合物は同じ条件下において極めて強い蛍光(emission: 580nm)を発する性質を有している。従って、式(I)で表される化合物を生体組織中や細胞内に取り込ませて一酸化窒素と反応させ、蛍光性の上記式(II)の化合物を生成させてこの化合物の蛍光を測定することにより、生体組織中や細胞内の一酸化窒素を測定することができる。特に、本発明の式(II)の化合物は、従来公知のフルオレセイン誘導体に比べて蛍光領域が長波長側に約80nm程度シフトしているので、細胞の自家蛍光の影響なしに測定が行えるという優れた特徴を有している。
従って、本発明により提供される一酸化窒素の測定方法は、式(I)で表される化合物と一酸化窒素とを反応させて式(II)の化合物を生成させ、式(II)の化合物(ただし、R21及びR22は互いに結合してフェニル環上の隣接した位置に環を形成する-N=N-NR41-基を示す化合物)の蛍光を測定する工程を含んでいる。本明細書において「測定」という用語は、検出、定量、定性など種々の目的の測定を含めて最も広義に解釈されるべきである。上記反応は好ましくは中性条件下に行うことができ、例えば、pH6.0〜8.0の範囲、好ましくはpH6.5〜7.8の範囲、より好ましくはpH6.8〜7.6の範囲で行うことができる。特に、式(II)で表される本発明の化合物は、弱酸性領域、好ましくはpH4までの酸性領域においては蛍光が減弱しないという特徴がある。もっとも、本発明の化合物を用いた一酸化窒素の測定は中性領域ないし弱酸性領域に限定されることはなく、例えば、胃の粘膜細胞など強酸性の条件においても測定が可能である。
なお、式(I)の化合物のうちR11がC1-18アルキル基、好ましくはエチル基である化合物は、脂溶性の細胞膜を容易に通過して細胞内部に取り込まれた後、エステルが加水分解されてカルボキシル基を有する化合物(R11が水素原子の化合物)を与える。この化合物は親水性が高いために脂溶性の細胞膜を再び通過することができず、細胞内部から細胞外に容易に排出されることがない。従って、R11がC1-18アルキル基の化合物は、それ自体が測定試薬として有用であるほか、細胞内部に高濃度の測定試薬(R11が水素原子の化合物)を輸送するためのプロドラッグとしても有用である。あるいは、R11がC10-18アルキル基の化合物は細胞膜への局在化が期待される。
蛍光の測定は、従来公知の蛍光測定方法に準じて行うことができる(例えば、Wiersma, J.H., Anal. Lett., 3, pp.123-132, 1970; Sawicki, C.R., Anal. Lett., 4, pp.761-775, 1971; Damiani, P. and Burini, G., Talanta, 8, pp.649-652, 1986; Damiani, P. and Burini, G., Talanta, 8, pp.649-652, 1986; Misko, T.P., Anal. Biochem. 214, pp.11-16, 1993などの刊行物を参照)。本発明の一酸化窒素測定においては、例えば、励起光として565nm程度の光を照射し、580nm程度の蛍光を測定することが好ましい。このような波長の光を用いると、汎用の蛍光顕微鏡に備えられた蛍光フィルターでも効率的に分光することができ、特殊なフィルターを用いずに高感度な測定が可能になる。
また、特に高感度な測定が必要な場合には、上記の一酸化窒素の測定を酸素源の存在下に行ってもよい。酸素源としては、例えば、酸素、オゾン、又はオキシド化合物などを用いることが可能である。酸素としては、一般的には溶存酸素を用いることができるが、必要に応じて、反応系内に酸素ガスを導入するか、酸素発生用試薬(例えば、過酸化水素など)を添加してもよい。オキシド化合物としてはN-O,S-O,P-Oなど容易に酸素原子が開裂されるオキシド結合を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、PTIO(2-フェニル-4,4,5,5-テトラメチルイミダゾリン-1-オキシル-3-オキシド: Maeda, H., et al., J. Leuk. Biol., 56, pp.588-592, 1994; Akaike, T., et al., Biochemistry, 32, pp.827-832, 1993)またはその誘導体(PTIOのフェニル基のp-位にカルボキシル基が導入されたカルボキシPTIOなど)、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリエチルアミンオキサイドなどを用いることができる。
上記のオキシド化合物のうち、PTIO及びその誘導体(例えばカルボキシPTIOなど)は特に好ましい化合物であり、当業者に容易に入手可能な化合物である(東京化成株式会社、Organic Chemicals Catalog, 32, 1994などに記載されている)。なお、オキシド化合物はそれ自体を反応試薬として用いてもよいが、リポソーム等に封入したものを用いることもできる。酸素源の量は特に限定されないが、少なくとも測定すべき一酸化窒素に対して1μM以上、好ましくは10〜30μM、より好ましくは10〜20μM程度の量であることが好ましい。生体試料などの測定では、試料中に10〜20μM程度の量を添加することが好ましいが、一般的には、溶存酸素により必要量の酸素源が供給される。酸素源の量が極端に少ないと測定感度が低下する場合があり、酸素源の量が極端に多いと蛍光による発光に不都合を生じる場合がある。従って、測定すべき一酸化窒素の量を予試験若しくは公知の方法で予測して適宜の濃度範囲の酸素源を添加することが好ましい。反応は10〜25℃の温度範囲で行うことが可能である。
実施例
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。実施例中、“DAR-1”は上記のスキーム中に記載された化合物名に対応させてある。
例1:DAR-1[9-(2-carboxy-3,4-diaminophenyl)-6-diethylamino-3H-xanthen-3-ylidene]diethyl-iminium]の製造
2,3-ジメチル-6-ニトロアニリンを酢酸中、無水酢酸を1等量用いてアセチル化し、エタノールから再結晶した。得られた3-アセトアミド-4-ニトロキシレンを硫酸マグネシウムを含む熱水に溶解した。水に懸濁した6等量の過マンガン酸カリウムを上記の溶液に数回に分けて加え、紫色がなくなるまで還流した。反応混合物を熱時濾過し、冷後、濾液を塩酸で酸性にして酢酸エチルで抽出した。生成した3-アセトアミド-4-ニトロフタル酸を無水酢酸中で塩化アセチルを用いて脱水した。反応混合物を減圧濃縮した後、残渣に無水塩化メチレンを少量加えて析出する固体を濾取し、3-アセトアミド-4-ニトロ無水フタル酸を得た。
3-アセトアミド-4-ニトロ無水フタル酸をキシレンに溶解し、還流温度より少し低めの温度でキシレンに溶解したN,N-ジエチルアミノフェノールを30分かけて滴下し、18時間還流を継続した。キシレンを留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、3-アセトアミド-4-ニトロローダミン誘導体[9-(2-carboxy-3-amino-4-nitrophenyl)-6-diethylamino-3H-xanthen-3-ylidene]diethyl-iminium]を得た。
C28H31N4O5 F.W. 503.558
1H-NMR(30MHz, DMSO-d6)δ 1.08(t, 12H, J=6.8),3.35(q, 8H, J=6.8),6.38(d, 1H, J=8.6),6.42(m, 4H),6.67(d, 2H, J=9.8),8.04(s, 2H),8.33(d, 1H, J=8.6)
上記の3-アセトアミド-4-ニトロローダミン誘導体を塩酸中で還流して脱アセチル化し、生成した3-アミノ-4-ニトロローダミンを硫化ナトリウム及び水硫化ナトリウムを用いて水中で還元した。還元後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して目的物(DAR-1)を得た(m.p. 145℃, decomp.)
C28H33N4O3 F.W. 473.578,
MS(EI)(m/z)M+ 473
1H-NMR(300MHz, DMSO-d6)δ 1.08(t, 12H, J=6.78),3.33(m, 8H),4.98(s, 2H),5.86(s, 2H),6.06(d, 1H, J=7.68),6.37-6.41(m, 4H),6.55(d, 2H, J=8.61),6.78(d, 1H, J=7.68),11.95(s, 1H)
例2:DAR-1EE[9-(3,4-diamino-2-ethoxycarbonylphenyl)-6-diethylamino-3H-xanthen-3-ylidene]diethyliminium]の製造
例1で得たDAR-1を濃硫酸及びエタノールの混合物に溶解して2時間還流した。反応混合物を水中に注いで常法により後処理を行い粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して目的物を得た。
C30H37N4O3 F.W. 501.628
MS(EI)(m/z)M+ 501
1H-NMR(300MHz, CDCl3)δ 0.66(t, 3H, J=7.1),1.33(m, 12H),3.61(q, 8H, J=7.3),4.19(q, 2H, J=7.1),4.55(s, 2H),6.05(s, 2H),6.33(d, 1H, J=7.9),6.74(d, 2H, J=2.2),6.83(dd, 2H, J=9.7, 2.2),6.94(d, 1H, J=7.9),7.45(d, 2H, J=9.7)
例3:DAR-1T[9-(7-carboxybenzotriazol-6-yl)-6-diethylamino-3H-xanthen-3-ylidene]diethyliminium]の製造
例1で得られたDAR-1をメタノールに溶解してNOガスを吹き込んだ。反応混合物を減圧濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して目的物を得た(m.p. 300℃以上)。
C28H30N5O3 F.W. 484.558
MS(FAB)(m/z)M+ 484
1H-NMR(300MHz, DMSO-d6)δ1.10(t, 12H, J=6.4),3.34(m, 8H),6.50-6.71(m, 7H),8.01(d, 1H, J=8.1)
極大波長 Ex. 565nm-Em. 580nm
例4:一酸化窒素添加による式(I)の化合物の蛍光スペクトル変化
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)に10μMのDAR-1を溶解し、種々の濃度(0.11μM, 0.21μM, 0.32μM, 0.43μM, 0.53μM, 0.64μM)の一酸化窒素を添加して蛍光スペクトルの変化を測定した。結果を図1に示す。図中、(a)は励起スペクトル(Em. 580nm)、(b)は蛍光スペクトル(Ex. 565nm)を示す。一酸化窒素の濃度が上昇するにつれて、反応系ないで生成したトリアゾール体(DAR-1T)により極大蛍光波長の強度が増加することが確認された。
例5:一酸化窒素生成量に依存した式(I)の化合物の蛍光強度変化
一酸化窒素の供給源として自発的NO発生剤であるNOC類(Hrabie, J.A., J. Org. Chem., 58, pp.1472-1476, 1993)のうちNOC-12(22℃, pH7.4, 0.1Mリン酸緩衝液中での半減期327分)及びNOC-13(同13.7分)を用い、反応液中に生成する一酸化窒素をDAR-1と反応させた。反応溶媒として0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)を用い、10μMのDAR-1に各種濃度(10μM,50μM,100μM)のNOC類を添加して37℃で反応させた。蛍光強度の変化は反応30秒前から測定し、測定波長は、Ex.565nm−Em.580nmとした。結果を図2に示す。図中、(a)及び(b)はそれぞれNOC12及びNOC13を用いた場合の結果を示しており、1,2及び3並びに1’,2’及び3’は、それぞれ10μM,50μM及び100μMのNOC類を存在させた場合の結果を示している。これらの結果から、DAR-1から一酸化窒素生成量に依存してトリアゾール体(DAR-1T)が生成しており、一酸化窒素濃度を正確に反映した蛍光強度変化が観測できることが明らかである。
例6:式(I)の化合物の一酸化窒素測定感度
DAR-1が一酸化窒素と反応して生成するトリアゾール体の合成標品を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)に溶解して、濃度増加に応じた蛍光強度の増加を観測した。蛍光の測定波長はEx. 565nm−Em. 580nmとした。結果を図3に示す。
例7:pHの変動による感度変化
DAR-1Tを純水に100μMの濃度で溶解した。この溶液を、それぞれのpHのリン酸緩衝液(78mM)に終濃度が約1μMになるように加えて吸光度及び蛍光強度の測定を行った。蛍光の測定波長はEx. 565nm−Em. 580nmで行った。結果を図4に示す。図中、(a)は吸光度測定の結果を示し、(b)は蛍光強度測定の結果を示す。この結果から、DAR-1Tは中性からpH4程度の弱酸性領域においては蛍光強度の変化がなく、高い感度を維持していることが確認された。
例8:血管平滑筋細胞が産生する一酸化窒素のイメージング
底がガラス製のシャーレーにラット大動脈由来血管平滑筋細胞を培養し、LPS(12.5μg/ml),INF-γ(150U/ml),IL-1β(25U/ml),TNF-α(30ng/ml)で刺激して一酸化窒素合成酵素の誘導を行った。約12時間培養を継続した後、培地をDAR-1EE(例2,10μM)を溶解したKrebs-Ringer-リン酸緩衝液(KRP)に取り替え、細胞内にDAF-1 EEを取り込ませた。37℃で1時間培養した後、細胞を洗浄し、培地をL-Arg又はL-NMMAを溶解したKRPに交換した。細胞内の蛍光量の経時変化を蛍光顕微鏡下(Ex. 530-560nm, Em. 550-610nm,倍率×20)に観察した。
個々の細胞に存在する一酸化窒素を測定した結果を図5に示す。一酸化窒素産生細胞(a)では時間が経過するに連れて蛍光強度が増加しているのに対して、一酸化窒素を産生しない細胞(無刺激、b)やMOS阻害剤を加えた細胞(c)では蛍光強度がほとんど変化していないことが確認された。この結果から、DAR-1EEが細胞内に取り込まれて加水分解された後、DAR-1が細胞内の一酸化窒素と反応して蛍光を発していることが確認された。
産業上の利用可能性
本発明の化合物は一酸化窒素測定用の試薬として有用である。本発明の式(I)の化合物は、一酸化窒素と効率よく反応して蛍光性の式(II)の化合物を与える性質を有している。式(II)の化合物は、生体組織や細胞にダメージを与えない長波長の励起光の照射によって強い蛍光を発するので、個々の細胞内部の一酸化窒素濃度を正確に測定できるという特徴がある。特に、本発明の式(II)の化合物は細胞の自家蛍光の影響をほとんど受けない蛍光領域で検出可能であり、酸性条件下においても蛍光強度が減弱しないという特徴を有している。

Claims (5)

  1. 下記の一般式:
    Figure 0004334622
    (式中、R1及びR2はそれぞれフェニル環上の隣接した位置に置換するアミノ基を示し;R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立にC1-6アルキル基を示し;R7、R8、R9、及びR10はそれぞれ独立に水素原子、C1-6アルキル基、アリル基、又はハロゲン原子を示し、R11は水素原子又はC1-18アルキル基を示し、X-は陰イオンを示す)で表される化合物。
  2. R3、R4、R5、及びR6がエチル基であり;R7、R8、R9、及びR10が水素原子である請求の範囲第1項に記載の化合物。
  3. 請求の範囲第1項又は第2項に記載の化合物を含む一酸化窒素測定用試薬。
  4. 下記の一般式:
    Figure 0004334622
    [式中、R21及びR22は互いに結合してフェニル環上の隣接した位置に環を形成する-N=N-NR41-(式中、R41は水素原子、C1-18アルキル基、又は置換若しくは無置換アラルキル基を示す)で表される基を示すか、又はR21及びR22はフェニル環上の隣接した位置に置換するアミノ基及びニトロ基の組み合わせを示し;R23、R24、R25、及びR26はそれぞれ独立にC1-6アルキル基を示し;R27、R28、R29、及びR30はそれぞれ独立に水素原子、C1-6アルキル基、アリル基、又はハロゲン原子を示し、R31は水素原子又はC1-18アルキル基を示し、Y-は陰イオンを示す]で表される化合物。
  5. 一酸化窒素の測定方法であって、(1)請求の範囲第1項又は第2項に記載の化合物を一酸化窒素と反応させる工程;及び(2)上記工程(1)において生成する請求の範囲第4項に記載の化合物[ただし、R21及びR22は互いに結合してフェニル環上の隣接した位置に環を形成する-N=N-NR41-(式中、R41は水素原子、C1-18アルキル基、又は置換若しくは無置換アラルキル基を示す)で表される基を示し;R23、R24、R25、及びR26はそれぞれ独立にC1-6アルキル基を示し;R27、R28、R29、及びR30はそれぞれ独立に水素原子、C1-6アルキル基、アリル基、又はハロゲン原子を示し、R31は水素原子又はC1-18アルキル基を示し、Y-は陰イオンを示す]を検出する工程を含む方法。
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