JPWO2014087628A1 - 耐アルコール孔食性および耐アルコールscc性に優れた鋼材 - Google Patents

耐アルコール孔食性および耐アルコールscc性に優れた鋼材 Download PDF

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Abstract

鋼材の成分組成を、質量%で、C:0.03〜0.3%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.03%以下、S:0.01%以下およびAl:0.1%以下を含有し、かつMo:0.03〜1.0%およびW:0.03〜1.0%のうちから選んだ1種または2種を含有し、さらにSb:0.005〜0.5%、Sn:0.01〜0.3%およびNb:0.005〜0.1%のうちから選んだ少なくとも2種を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成とすることにより、鋼材そのものの耐孔食性および耐SCC性を向上させ、もって、めっき処理やインヒビター添加などの必要なしに、大型構造物に対する適用を可能ならしめた耐アルコール孔食性および耐アルコールSCC性に優れた鋼材を提供する。

Description

本発明は、耐アルコール腐食性、なかでも耐アルコール孔食性および耐アルコールSCC性に優れた鋼材に関するものである。
特に本発明は、バイオエタノール等のバイオアルコールを貯蔵するタンクや輸送を目的とした船舶内タンク、自動車用タンクに用いられる鋼材、あるいはパイプライン輸送に使用される鋼材等、バイオアルコールと直接接触する部位に適用して好適な耐アルコール孔食性および耐アルコールSCC性に優れた鋼材に関するものである。
バイオアルコールのうち、例えばバイオエタノールは、主にとうもろこしや小麦などの糖分を分解・精製して造られる。近年では、石油(ガソリン)の代替燃料として、またガソリンと混合する燃料として世界中で広く使用されており、その使用量は年々増加する傾向にある。
そのため、バイオエタノールを貯蔵・運搬する工程あるいはガソリンと混合する工程等において、バイオエタノールの扱い量は増加しているにも関わらず、バイオエタノールの局部腐食性が高い点、特に孔食やSCC(応力腐食割れ)を発生させる点が、その取り扱いを困難にしている。
バイオエタノールは、その製造工程で酢酸や塩化物イオンが極微量不純物として存在することや、貯蔵中に吸水や溶存酸素を取り込むことが、腐食性を高める一因となっている。
そのため、耐エタノール用の措置を施した設備、例えばタンクとしては耐エタノールSCC性に優れた有機被覆材やステンレス鋼、ステンレスクラッド鋼を使用した設備でしか安全に扱えないという欠点があった。また、輸送も、従来の石油を輸送するパイプラインなどは使用できないという問題があった。
このように、バイオエタノールを扱う設備は、多大な費用を必要とするところに問題を残していた。
上記の問題を解決するものとして、例えば特許文献1には、バイオ燃料に対して、そのタンク用鋼材としてNiを5〜25%含有する亜鉛―ニッケルめっきを施したり、このめっき上に6価クロムを含有しない化成処理を施す方法が提案されている。この方法によれば、エタノール含有ガソリン中の耐食性は良好であるとされている。
また、特許文献2には、バイオエタノールなどの燃料蒸気に対して、鋼板表面に「めっき層中におけるZnに対するCoの組成割合が0.2〜4.0at%であるZn−Co−Moめっき」を施した耐食性に優れたパイプ用鋼板が提案されている。
さらに、非特許文献1では、バイオエタノールの模擬液中での鋼材のSCC(応力腐食割れ)に対する、水酸化アンモニウムのインヒビター効果について調査しているが、それによれば水酸化アンモニウムの添加により、亀裂伸展が抑制され、SCCが緩和されることが報告されている。
特開2011-26669号公報 特開2011-231358号公報
F. Gui,J. A. Beavers and N. Sridhar, Evaluation of ammonia hydroxide for mitigating stress corrosion cracking of carbon steel in fuel grade ethanol, NACE Corrosion Paper,No.11138 (2011)
特許文献1に開示された亜鉛―ニッケルめっきは、耐食性の向上に有効であると考えられる。しかし、かかるZn−Niめっきは電気めっきによる処理が必要なため、小型の例えば自動車用燃料タンク等には問題ないとしても、大型構造物、例えば1000kL以上の貯蔵タンクやラインパイプなどの厚肉鋼材には、処理コストが膨大になるため、適用することができない。また、めっき不良等が生じた場合には、その部分でかえって孔食が進行し易くなり、SCCが起こり易くなるので、耐孔食性・耐SCC性の観点からは十分とは言えない。
特許文献2に開示されたZn−Co−Moめっきについても、やはり電気めっきによる処理が必要なため、特許文献1と同様の理由により、大型構造物の厚肉鋼材に対しては適用することができない。また、やはり特許文献1と同様の理由により、耐孔食性・耐SCC性の観点からは十分とは言えない。
さらに、非特許文献1における記載では、インヒビターの添加は確かにSCCなどの腐食現象を緩和しているが、その効果は十分とはいえない。何故なら、インヒビターは表面に吸着して効果を発揮するのであるが、その吸着挙動は周囲のpHなどに大きく影響されるため、局所的に腐食が起きた場合には、吸着が十分できない場合が起こり得るためである。また、インヒビターの環境流出による汚染の危険性もあり、好適な腐食対策とは言い難い。
このように、めっきによる防食方法は、大型構造物に適さず、また耐孔食性ついてはその効果が十分ではない。さらに、インヒビターは、平均的には腐食を低減する効果が十分ではない。従って、大型構造物への適用には、鋼材そのもののバイオエタノール中での耐食性の改善がコストの点からも有利である。
本発明は、上記の要請に有利に応えるもので、鋼材そのものの耐食性、特に耐孔食性および耐SCC性を向上させることにより、めっき処理やインヒビター添加などの必要なしに、大型構造物に対する適用を可能ならしめた耐アルコール孔食性および耐アルコールSCC性に優れた鋼材を提案することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の課題を解決すべく、バイオエタノール模擬液中での鋼材の腐食現象について鋭意研究を重ねた。
その結果、バイオエタノール中での腐食、特に孔食とSCCを抑制するには、MoとWの添加が有効であり、またこのMoとWに加えてSb,Sn,Nbを添加することで、バイオエタノール中での孔食とSCCが著しく抑制されることを見出した。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、
C:0.03〜0.3%、
Si:0.01〜1.0%、
Mn:0.1〜2.0%、
P:0.03%以下、
S:0.01%以下および
Al:0.1%以下
を含有し、かつ
Mo:0.03〜1.0%および
W:0.03〜1.0%
のうちから選んだ1種または2種を含有し、さらに
Sb:0.005〜0.5%、
Sn:0.01〜0.3%および
Nb:0.005〜0.1%
のうちから選んだ少なくとも2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる耐アルコール孔食性および耐アルコールSCC性に優れた鋼材。
2.MoおよびWと、Sb,Sn,Nbとの合計量が、質量%で、0.15%≦(Mo+W+Sb+Sn+Nb)≦1.0%の範囲を満足し、かつMoおよびWの合計量が、質量%で、0.08%≦(Mo+W)を満足する前記1に記載の鋼材。
3.前記鋼材が、さらに質量%で、
Caを、Ca/S≧0.5でかつ、0.01%以下を満足する範囲で含有する前記1または2に記載の鋼材。
4.前記鋼材が、さらに質量%で、
B:0.0002〜0.03%
を含有する前記1〜3のいずれかに記載の鋼材。
5.前記鋼材が、さらに質量%で、
Zr:0.005〜0.1%、
V:0.005〜0.1%および
Ti:0.005〜0.1%
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する前記1〜4のいずれかに記載の鋼材。
本発明によれば、バイオエタノールの貯蔵タンクや輸送用タンクおよびパイプライン用鋼材として使用した場合に、従来の鋼材に比較してより長期間にわたる使用が可能になり、また孔食やSCCによるバイオエタノール漏洩による事故を回避することができ、さらにはこれらの諸施設を安価に提供することができ、産業上極めて有用である。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において、鋼材の成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。なお、鋼材の成分組成における元素の含有量の単位はいずれも「質量%」であるが、以下、特に断らない限り単に「%」で示す。
C:0.03〜0.3%
Cは、鋼の強度確保に必要な元素であり、本発明で目標とする強度(400MPa以上)を確保するため少なくとも0.03%を含有するものとし、一方0.3%を超えると溶接性が低下し、溶接の際に制限が加わるため、0.3%を上限とした。好ましくは0.03〜0.2%の範囲である。
Si:0.01〜1.0%
Siは、脱酸のため添加するが、含有量が0.01%未満では脱酸効果に乏しく、一方1.0%を超えると靭性や溶接性を劣化させるため、Si含有量は0.01〜1.0%とする。好ましくは0.05〜0.5%の範囲である。
Mn:0.1〜2.0%
Mnは、強度、靭性を改善するために添加するが、0.1%未満ではその効果が十分でなく、一方2.0%を超えると溶接性が劣化するため、Mn含有量は0.1〜2.0%とする。好ましくは0.3〜1.6%の範囲である。
P:0.03%以下
Pは、不可避的不純物として含有されるが、靭性及び溶接性を劣化させるため、P含有量は0.03%以下に抑制するものとした。好ましくは0.025%以下である。また、過度な脱P化はコストの増大を招くため、下限は0.0003%とするのが好ましい。従って、好ましくは0.0003〜0.03%の範囲である。
S:0.01%以下
Sも、不可避的不純物として含有されるが、含有量が多くなると靱性及び溶接性が低下するだけでなく、MnSなどの介在物が増加してSCCの起点になり耐SCC性を低下させるので、極力低減することが望ましいが、0.01%以下であれば許容できる。また、過度な脱S化はコストの増大を招くため、下限は0.0001%とするのが好ましい。従って、好ましくは0.0001〜0.01%の範囲である。
Al:0.100%以下
Alは、脱酸剤として添加するが、0.100%を超える含有は、溶接した場合に、溶接金属部の靭性を低下させるので、0.100%以下に制限する。また、脱酸の効果を確保する観点からは下限を0.005%とするのが好ましい。より好ましくは0.005〜0.070%の範囲である。
Mo:0.03〜1.0%およびW:0.03〜1.0%のうちから選んだ1種または2種
Mo:0.03〜1.0%
Moは、本発明の鋼材において重要な耐孔食性および耐SCC性の向上元素である。Moは腐食生成物として酸素酸塩を形成するため、応力腐食割れの起点となる亀裂が生じた場合に、かかる腐食生成物が速やかに亀裂先端を保護し、亀裂の進展を抑制する働きを有する。また、鋼材表面の酸化被膜中にMoが取り込まれることで、バイオエタノール中に不純物として含まれる酢酸による酸性環境下での酸化被膜の耐溶解性が向上し、不均一腐食を低減するとともに、孔食を抑制する効果も併せ持っている。しかしながら、含有量が0.03%未満では耐孔食性および耐SCC性の改善効果に乏しく、一方1.0%超ではコスト的に不利になるため、Mo含有量は0.03〜1.0%とする。なお、さらにコストアップを防ぐためには、0.03〜0.5%の範囲とすることが好ましい。
W:0.03〜1.0%
Wは、本発明の鋼材において重要な耐孔食性および耐SCC性の向上元素である。Wは、Moと同様に腐食生成物として酸素酸塩を形成するため、応力腐食割れの起点となる亀裂が生じた場合に、かかる腐食生成物が速やかに亀裂先端を保護し、亀裂の進展を抑制する働きを有する。また、鋼材表面の酸化被膜中にWが取り込まれることで、バイオエタノール中に不純物として含まれる酢酸による酸性環境下での酸化被膜の耐溶解性が向上し、不均一腐食を低減するとともに、孔食を抑制する効果も併せ持っている。しかしながら、含有量が0.03%未満では耐孔食性および耐SCC性の改善効果に乏しく、一方1.0%超ではコスト的に不利になるため、W含有量は0.03〜1.0%とする。さらにコストアップを防ぐためには、0.03〜0.5%の範囲とすることが好ましい。
Sb:0.005〜0.5%、Sn:0.01〜0.3%およびNb:0.005〜0.1%のうちから選んだ少なくとも2種
Sb:0.005〜0.5%
Sbは、バイオエタノール中に不純物として含まれる酢酸による酸性環境下での耐孔食性と耐SCC性を改善するのに有効な元素である。しかしながら、含有量が0.005%未満ではその効果がなく、一方0.5%を超えると鋼材製造上の面から制約が生じるので、Sb含有量は0.005〜0.5%の範囲とする。好ましくは0.01〜0.3%の範囲である。
Sn:0.01〜0.3%
Snも、Sbと同様、酸性環境での耐孔食性と耐SCC性を改善するが、0.01%未満では添加効果に乏しく、一方0.3%を超えるとその効果が飽和するだけでなく、鋼材製造上の制約が生じるので、Sn含有量は0.01〜0.3%の範囲とする。好ましくは0.02〜0.2%の範囲である。
Nb:0.005〜0.1%
Nbも、酢酸による酸性環境下での耐孔食性と耐SCC性を改善するのに有効な元素である。しかしながら、含有量が0.005%未満では効果が発現せず、一方1.0%を超えて含有させると溶接部の機械的特性が低下するため、Nb含有量は0.005〜0.1%の範囲とする。好ましくは0.005〜0.05%の範囲である。
上述した各成分のうち、本発明では、特にMoおよびWとSb,Sn,Nbが重要であり、これらを合計量で0.15〜1.0%の範囲で含有させ、かつ特に重要なMoとWを合計量で0.08%以上含有させることにより、耐孔食性および耐SCC性を一層向上させることができる。
以上、基本成分について説明したが、本発明では、その他にも、以下に述べる成分を必要に応じて適宜含有させることができる。
Ca:Ca/S≧0.5でかつ0.01%以下
Caは、不可避的不純物であるSの析出物(MnSなど)の形態制御を行い、SCCなどの割れを防止する目的で添加する。従って、Caは、S量に応じて添加することが好ましく、Ca/S(質量比)を0.5以上とすることで、割れ防止に効果を生じる。より好ましくは1.0以上である。しかしながら、過度に添加すると、粗大な介在物を形成し母材の靱性を劣化させるので、Ca量の上限は0.01%とすることが好ましい。
B:0.0002〜0.03%
Bは、鋼材の強度を高める元素であり、必要に応じて含有させることができる。上記の効果を得るためには、0.0002%以上含有させることが好ましいが、一方で0.03%を超えて添加すると靱性が劣化する。従って、Bは0.0002〜0.03%の範囲で含有させることが好ましい。より好ましくは0.0003〜0.003%の範囲である
Zr:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%、Ti:0.005〜0.1%
またさらに、鋼材の機械的特性を向上させるために、Zr,VおよびTiのうちから選んだ1種または2種以上を含有させることもできる。これらの元素はいずれも、含有量が0.005%未満ではその添加効果に乏しく、一方0.1%を超えると溶接部の機械的特性が低下するため、含有量は0.005〜0.1%の範囲とした。なお、好ましくは0.005〜0.05%の範囲である。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記以外の成分の含有を拒むものではない。例えば、これらの成分の他に、REMを脱酸剤として少量添加することもできる。
本発明の鋼材において、上記以外の成分は、Feおよび不可避的不純物である。
次に、本発明鋼材の好適製造方法について説明する。
上記した好適成分組成になる溶鋼を、転炉や電気炉等の公知の炉で溶製し、連続鋳造法や造塊法等の公知の方法でスラブやビレット等の鋼素材とする。なお、溶製に際して、真空脱ガス精錬等を実施しても良い。
溶鋼の成分調整方法は、公知の鋼製錬方法に従えばよい。
ついで、上記の鋼素材を所望の寸法形状に熱間圧延する際には、1000〜1350℃の温度に加熱する。加熱温度が1000℃未満では変形抵抗が大きく、熱間圧延が難しくなる。一方、1350℃を超える加熱は、表面痕の発生原因となったり、スケールロスや燃料原単位が増加したりする。好ましくは1050〜1300℃の範囲である。なお、鋼素材の温度が、もともと1000〜1350℃の範囲の場合には、加熱せずに、そのまま熱間圧延に供してもよい。
なお、熱間圧延では、熱間仕上圧延終了温度を適正化する必要があり、600℃以上850℃以下とすることが好ましい。熱間仕上圧延終了温度が600℃未満では、変形抵抗の増大により圧延荷重が増加し、圧延の実施が困難となる。一方、850℃超だと所望の強度を得られないことがある。熱間仕上圧延終了後の冷却は、空冷または冷却速度:150℃/s以下の加速冷却とすることが好ましい。加速冷却する場合の冷却停止温度は300〜750℃の範囲とすることが好ましい。なお、冷却後、再加熱処理を施してもよい。
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
表1に示す成分組成になる溶鋼を、真空溶解炉で溶製後または転炉溶製後、連続鋳造によりスラブとした。ついで、1230℃に加熱後、仕上圧延終了温度:820℃の条件で熱間圧延を実施して、13mm厚の鋼板とした。
これらの鋼板について、次の孔食試験および応力腐食割れ試験を実施した。
(1)バイオエタノール模擬液による孔食試験
鋼材を、10mm×25mm×3.5mmtに切り出し、両面をエメリー研磨紙を用いて#2000 まで湿式研磨した後、アセトン中で超音波脱脂を5分間行い、風乾して腐食試験材とした。エタノール:985mlに対して、水:10ml、メタノール:5ml、酢酸:560mg、NaCl:132mgを添加した溶液をバイオエタノール模擬液として使用した。この溶液を試験管に入れ、室温にて試験材を浸漬した。30日間浸漬した後に、試験材を取り出し、表面に付着したさびをスポンジ等で洗い流したのち、インヒビターを添加した酸中で腐食生成物を除去した。ついで、純水で洗浄したのち、エタノール中で洗浄し、風乾した。その後、試験材の表面の孔食深さを3次元レーザー顕微鏡により測定し、最大孔食深さを評価した。
なお、この最大孔食深さがベース鋼(比較例1)に対して70%未満であれば、耐孔食性に優れていると評価した。
(2) バイオエタノール模擬液中でのSSRT(低歪速度法)応力腐食割れ試験
鋼材を、130mm×6.35mmφの丸棒に加工し、両端にねじ切り加工を施すと共に、丸棒の中心部から12.7mmずつを3.81mmφに加工した。本試験材を、アセトン中で超音波脱脂を5分間行い、SSRT試験機に取り付けた。エタノール:985mlに対して、水:10ml、メタノール:5ml、酢酸:56mg、NaCl:52.8mgを添加した溶液をバイオエタノール模擬液として使用した。試験材を覆うセル中へ、バイオエタノール模擬液を充填した条件と充填しない条件で、それぞれ乾燥空気雰囲気下、2.54×10-5mm/sの歪み速度で歪みを加えた。そして、破断に至るまでの全伸びの比率([溶液あり時の全伸び/溶液なし時の全伸び]×100(%))を算出し、以下の基準で耐SCC性を評価した。
◎:95%以上
○:90%以上95%未満
△:85%以上90%未満
×:85%未満
得られた結果を表2に記載する。
Figure 2014087628
Figure 2014087628
表2から明らかなように、発明例はいずれも、バイオエタノール模擬液中での孔食が抑制され、また耐SCC性も大幅に改善されていることが分かる。これに対し、成分組成が発明範囲から外れた比較例はいずれも、孔食深さがさほど抑制されず、また耐SCC性にも大きな改善は見られなかった。
発明例と比較例の対比から、本発明の改善効果は明らかである。
1.質量%で、
C:0.03〜0.3%、
Si:0.01〜1.0%、
Mn:0.1〜2.0%、
P:0.03%以下、
S:0.01%以下
Al:0.1%以下および
Nb:0.005〜0.1%
を含有し、かつ
Mo:0.03〜1.0%および
W:0.03〜1.0%
のうちから選んだ1種または2種を含有し、さらに
Sb:0.005〜0.5%および
Sn:0.01〜0.3
うちから選んだ種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる耐アルコール孔食性および耐アルコールSCC性に優れた鋼材。
1.質量%で、
C:0.03〜0.3%、
Si:0.01〜1.0%、
Mn:0.1〜2.0%、
P:0.03%以下、
S:0.01%以下、
Al:0.1%以下および
Nb:0.005〜0.1%
を含有し、かつ
Mo:0.03〜1.0%および
W:0.2〜1.0%
のうちから選んだ1種または2種を含有し、さらに
Sb:0.005〜0.5%および
Sn:0.01〜0.1
のうちから選んだ1種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる耐アルコール孔食性および耐アルコールSCC性に優れた鋼材。

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C:0.03〜0.3%、
    Si:0.01〜1.0%、
    Mn:0.1〜2.0%、
    P:0.03%以下
    S:0.01%以下および
    Al:0.1%以下
    を含有し、かつ
    Mo:0.03〜1.0%および
    W:0.03〜1.0%
    のうちから選んだ1種または2種を含有し、さらに
    Sb:0.005〜0.5%、
    Sn:0.01〜0.3%および
    Nb:0.005〜0.1%
    のうちから選んだ少なくとも2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる耐アルコール孔食性および耐アルコールSCC性に優れた鋼材。
  2. MoおよびWと、Sb,Sn,Nbとの合計量が、質量%で、0.15%≦(Mo+W+Sb+Sn+Nb)≦1.0%の範囲を満足し、かつMoおよびWの合計量が、質量%で、0.08%≦(Mo+W)を満足する請求項1に記載の鋼材。
  3. 前記鋼材が、さらに質量%で、
    Caを、Ca/S≧0.5でかつ、0.01%以下を満足する範囲で含有する請求項1または2に記載の鋼材。
  4. 前記鋼材が、さらに質量%で、
    B:0.0002〜0.03%
    を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の鋼材。
  5. 前記鋼材が、さらに質量%で、
    Zr:0.005〜0.1%、
    V:0.005〜0.1%および
    Ti:0.005〜0.1%
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の鋼材。
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