JP2005097709A - 原油タンク底板用鋼材 - Google Patents

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和彦 塩谷
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Abstract

【課題】 耐局部腐食性、大入熱溶接熱影響部靭性に優れた原油タンク底板用鋼材を提供する。
【解決手段】 C:0.001〜0.2%、Si:0.1〜0.5%、Mn:0.1〜1.2%、P:0.025%以下、S:0.01%以下、Al:0.005〜0.06%、Ni:0.4〜3.5%、Ti:0.008〜0.024%、N:0.0025〜0.0065%を含み、かつTiとNを 1.8≦Ti/N≦6.0 (ここで、Ti、N:各元素の含有量(質量%))を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成とする。これにより、耐局部腐食性および大入熱溶接熱影響部靭性が向上する。さらに、Cu:0.2〜0.6%を含有してもよい。また、さらにNb:0.03%以下、V:0.2%以下、B:0.002%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Ca:0.01%以下、REM:0.015%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有してもよい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、原油を輸送するタンクまたは貯蔵するタンクに用いて好適な原油タンク用鋼材に係り、とくに原油タンク底板で発生する局部腐食を防止でき、かつ溶接入熱が100kJ/cm以上の大入熱溶接が適用できる、原油タンク底板用鋼材に関する。なお、本発明でいう鋼材は、厚鋼板、薄鋼板、形鋼を含むものとする。
従来、原油を輸送または貯蔵するタンク(以下、原油タンクともいう)においては、原油そのものは腐食抑制作用があるため、使用される鋼材には腐食は生じないと考えられていた。ところが、最近、原油タンク内の、とくにタンク底板で鋼材にお椀型の局部腐食が発生することが明らかになっている。
かかる局部腐食の原因として
(1)過剰な洗浄による原油保護フィルム(原油によるタンク内の腐食を抑制する保護的なフィルム)の離脱、
(2)原油中の硫化物の高濃度化、
(3)防爆用に封入されるイナートガス(O2約5vol %、CO2約13vol %、SO2約0.01vol %、残部N2ガスを代表組成とするエンジンの排ガス)中の、O2、CO2、SO2 の高濃度化、
(4)微生物の関与
などの項目が挙げられているが、いずれも推定の域を出ず、未だ明確な原因は判明していない。
そのため、現状では鋼材に防錆塗料を塗布して、鋼材を腐食環境から遮断する方法以外に有効な方法がないと考えられている。しかしながら、防錆塗料の塗布はその塗布面積が膨大であり、また約10年に1度は塗り替えが必要となるため、多大な費用がかかるという問題があった。
一方、鋼材側からの対策は現在までのところ殆どなく、対策がとられていないに等しいが、例えば特許文献1には、船舶外板、バラストタンク、カーゴオイルタンク、鉱炭船カーゴホールド等の使用環境で優れた耐食性を有する造船用耐食鋼が提案されている。特許文献1に記載された造船用耐食鋼は、C:0.01〜0.25%と、Si、Mn、P、S、Alを適正量に調整したうえで含み、さらにCu:0.01〜2.00%、Mg:0.0002〜0.015 %を含有しており、このような組成の鋼とすることにより、鋼材の耐食性および耐局部腐食性が向上するとしている。
また、特許文献2に記載された鋼材は、C:0.003 〜0.30%と、Si、Mn、P、S、Alを適正量に調整したうえで含み、さらにCu:0.003〜0.30%、Ni:0.01〜7.0%、Cr:0.01 〜10.0%、Mo:0.01〜4.0%、Sb:0.01〜0.3%、Sn:0.01〜0.3%等を含有しており、このような組成とすることにより、耐局部腐食性が向上するとしている。
特開2000-17381号公報 特開2001-214236号公報
しかしながら、特許文献1、特許文献2に記載された鋼材でもなお、原油タンク底板で発生する局部腐食に対する抵抗性を安定して十分に発揮できているとは考えがたく、原油タンク底板で発生する局部腐食に対し、更なる抵抗性を付与した鋼材の開発が要望されている。
本発明は、上記した従来技術の問題を有利に解決し、原油を輸送するタンクまたは原油を貯蔵するタンクの底板として、塗装なしで用いて好適な、原油タンク底板において発生する局部腐食に対し抵抗性を有し耐局部腐食性に優れ、かつ優れた大入熱溶接熱影響部靭性を有する原油タンク底板用鋼材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した課題を達成するため、まず、原油の輸送タンク内または原油の貯蔵タンク内の腐食に関与する因子の抽出を行い、それら因子の組み合わせによる実験室腐食試験を行った。その結果、実原油タンクの底板で生じる局部腐食と同じ形態の局部腐食の再現に成功し、原油タンク内の底板で生じる局部腐食の支配因子および腐食機構を明確にした。
すなわち、液中に含まれるO2およびH2S が、実原油タンクの底板で発生する局部腐食の支配因子として働くことが明らかとなった。ただし、この局部腐食は、O2を含みかつH2S を含まない試験液(O2分圧約21%のガスを含んだ水溶液)、もしくはH2S のみを含んだ試験液(H2S 分圧100 %のガスを含んだ水溶液)中では発生せず、O2とH2S が共存し、かつ低O2分圧(O2分圧:2〜8%)、低H2S 分圧(H2S 分圧:5〜20%)の環境下で生じることがわかった。O2とH2S が共存し、試験液中の両者の含有量が高い場合は全面腐食が大きいものの局部腐食は発生しない。
低O2、低H2S 分圧の環境下では、まず鋼材表面に比較的強固な腐食生成皮膜が形成される。しかし、Clなどの腐食促進因子は、少なからず腐食生成物皮膜を透過し、鋼材表面に達する。そして、時間の経過とともに、鋼材表面ではClの濃縮が起こり、pHが低下する。そのため、Cl濃縮部では腐食の活性化状態となり、局部腐食の起点部となる。この局部腐食起点部は、腐食アノードとなり、その周囲のCl非濃縮部は腐食カソードとなる。腐食アノードと腐食カソードとは、いわゆる局部電池を形成し、アノード部で腐食が進展する。アノード部では、腐食によるFeイオンの加水分解反応が盛んになり、この加水分解反応によりpHがさらに低下し、アノード部の電位が低下する。一方、カソード部では、アノード部で生成したFeイオンが腐食生成物を形成するため、腐食生成物皮膜により電位が上昇する。このため、アノード−カソード局部電池の電位差がさらに拡大し局部腐食がさらに加速される。
そこで、本発明者らは、低O2、低H2S 分圧の環境下で局部腐食発生に及ぼす各種合金元素の影響についてさらに検討した。その結果、Ni含有量を適正化することにより、耐局部腐食性に優れた鋼材とすることができることを見出した。また、Ni含有量を適正量としたうえで、N含有量を増加することにより、耐局部腐食性がさらに向上することを見出した。
また、本発明者らは、耐局部腐食性向上に効果のあるNの含有量を増加したうえで、さらにTiを、Nとの関係で適正範囲内に調整して含有することにより、耐局部腐食性と大入熱溶接熱影響部(以下、単にHAZともいう)の靭性がともに向上することを見出した。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。
すなわち、本発明は、質量%で、C:0.001〜0.2%、Si:0.1〜0.5%、Mn:0.1〜1.2%、P:0.025%以下、S:0.01%以下、Al:0.005〜0.06%、Ni:0.4〜3.5%、Ti:0.008〜0.024%、N:0.0025〜0.0065%を含み、かつTiとNを次(1)式
1.8≦Ti/N≦6.0 ………(1)
(ここで、Ti、N:各元素の含有量(質量%))
を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする耐局部腐食性および大入熱溶接熱影響部靭性に優れた原油タンク底板用鋼材であり、また、本発明では、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.2〜0.6%を含有する組成とすることが好ましく、また、本発明では、前記各組成に加えてさらに、質量%で、Nb:0.03%以下、V:0.2%以下、B:0.002%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることが好ましく、また本発明では、前記各組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.01%以下、REM:0.015%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることが好ましい。
本発明によれば、原油の輸送タンク、あるいは原油の貯蔵タンク等の原油タンク底板に発生する局部腐食を抑制でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、大入熱溶接が適用される船舶用原油タンク底板の局所腐食を抑制でき、かつ溶接部靭性を顕著に向上でき、原油タンクの信頼性が向上するという効果がある。
まず、本発明鋼材の組成限定理由について説明する。なお、以下、質量%は単に%と記す。
C:0.001〜0.2%
Cは、鋼材の強度を増加させる元素であり、本発明では所望の強度を得るために、0.001%以上の含有を必要とする。一方0.2%を超える含有は、溶接熱影響部の靱性を劣化させる。このため、Cは0.001 〜0.2%の範囲に限定した。なお、強度、靱性の観点から、好ましくは0.005 〜0.15%、より好ましくは0.01〜0.10%である。
Si:0.1〜0.5%
Siは、脱酸剤として作用するとともに、強度を増加させる元素であり、本発明では、0.1%以上の含有を必要とするが、0.5%を超える含有は、鋼の靱性を劣化させる。このため、Siは0.1〜0.5%の範囲に限定した。
Mn:0.1〜1.2%
Mnは、鋼材の強度を増加させる元素であり、所望の強度を確保するために0.1%以上の含有を必要とする。一方、1.2%を超える含有は、鋼の靱性および溶接性を低下させる。このため、Mnは0.1〜1.2%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.2〜1.1%であり、より好ましくは、0.2〜1.0%である。
P:0.025%以下
Pは、粒界に偏析して鋼の靱性を低下させる有害な元素であり、できるだけ低減するのが好ましいが、0.025%までは許容できる。0.025%を超えて含有すると靱性が顕著に低下する。このため、Pは0.025%以下に限定した。なお、0.005 %未満の低減は製造コストの増大を招くので、Pは0.005 〜0.025%とすることが好ましい。
S:0.01%以下
Sは、鋼中では非金属介在物であるMnS を形成し、局部腐食の起点となり耐局部腐食性を低下させる有害な元素であり、できるだけ低減するのが好ましいが、0.01%までは許容できる。0.01%を超える含有は、原油タンク底板の耐全面腐食性の顕著な低下を招く。このため、Sは0.01%以下に限定した。なお、0.003%未満の低減は製造コストの増大を招くため、Sは0.003〜0.01%するのが好ましい。
Al:0.005〜0.06%
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、本発明では0.005%以上の含有を必要とする。一方、0.06%を超えて含有すると、鋼の靱性が劣化する。このため、Alは0.005〜0.06%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.01〜0.05%である。
Ni:0.4〜3.5%
鋼中に含有されるNiは、鋼材の腐食に伴い腐食生成物中に移行し腐食生成物内で一様に分布する。腐食生成物内に一様に分布したNiは、腐食生成物粒子を微細化し、さらに腐食生成物粒子の電荷を負にする作用を有している。このNiの作用により鋼材表面へのClの透過が物理的、電気化学的に抑制され、局部腐食の起点形成が抑制される。さらに、Niは、アノード部でのpHの低下を抑制する作用も有するため、局部腐食の起点が形成されても、Niの含有により局部腐食の進行が抑制される。このような効果は、0.4%以上のNi含有で認められる。一方、3.5%を超えて含有しても効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり、経済的に不利となる。このようなことから、本発明ではNiは0.4〜3.5%に限定した。なお、好ましくは1.0〜3.0%である。
Ti:0.008〜0.024%
Tiは、Nと結合しTiNとして析出し、結晶粒の微細化に寄与する元素である。TiNは、とくに大入熱溶接時のオーステナイト粒の粗大化を抑制する効果を有する。このような効果は、0.008%以上のTi含有で顕著に認められる。一方、0.024%を超える含有は、固溶Ti量の増大や、TiN粒の粗大化をもたらし、大入熱溶接時のオーステナイト粒粗大化を抑制する効果が低減し、溶接HAZ靭性の劣化をもたらす。このため、Tiは0.008〜0.024%の範囲に限定した。
N:0.0025〜0.0065%
Nは、Niと同様に、アノード部でのpHの低下を抑制する作用を有する元素である。Nは鋼材の腐食とともに溶出しNH3を形成して、アノード部のpHを上昇させて局部腐食の進行を抑制する。このような効果は0.0025%以上の含有で認められる。一方、0.0065%を超えて含有すると、溶鋼鋳込み時にスラブの割れ発生や、溶接HAZ靭性の劣化が生じる。なお、大入熱溶接時のオーステナイト粒粗大化を抑制する効果を有するTiNを所定量以上形成させるためには、N含有量は0.0025%以上必要とする。このようなことから、Nは0.0025〜0.0065%の範囲に限定した。
さらにTiとNは、上記した範囲で、かつ次(1)式
1.8≦Ti/N≦6.0 ………(1)
(ここで、Ti、N:各元素の含有量(質量%))
を満足するように含有する。
TiとNは、溶鋼凝固時にTiNを形成し、溶接加熱時にオーステナイト粒の粗大化を防止し、溶接熱影響部の靭性を向上させる効果を有する。このような効果を得るためには、TiNの絶対量の確保、溶接加熱時のTiNの溶解抑制の観点から、上記したTi含有範囲内およびN含有範囲内で、(1)式を満足するようにTi、N含有量を調整する必要がある。Ti/Nが1.8未満では、溶接時に固溶N量が増加し溶接熱影響部靭性が劣化する。一方、Ti/Nが6.0を超えると、TiNが粗大化し、TiNによるオーテナイト粒粗大化抑制効果が消失するとともに、固溶Ti量が増加し、溶接熱影響部靭性が劣化する。
上記した基本成分に加えて、さらに必要に応じ、Cu、および/または、Nb、V、Bのうちの1種または2種以上、および/または、Ca、REMのうちの1種または2種を含有できる。
Cu:0.2〜0.6%
Cuは、鋼材の腐食に伴いイオンとなってタンク内に溶出するが、タンク内に存在するHS起因のS2- と結合してCuSを形成する。これにより、S2-濃度が減少し、鋼材の腐食が抑制される。このような効果はCuの0.2%以上の含有で認められる。一方、0.6%を超えて含有すると靭性を劣化させる。このため、Cuは0.2〜0.6%の範囲に限定することが好ましい。
Nb:0.03%以下、V:0.2%以下、B:0.002%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
Nb、V、Bはいずれも、鋼材の強度を増加させる元素であり、必要に応じ選択して含有できる。このような効果を得るためには、Nb:0.005%以上、V:0.05%以上、B:0.0003%以上をそれぞれ含有することが好ましい。一方、Nb:0.03%、V:0.2%、B:0.002%を超えてそれぞれ含有すると、靭性が劣化する。このため、Nb:0.03%以下、V:0.2%以下、B:0.002%以下にそれぞれ限定することが好ましい。
Ca:0.01%以下、REM:0.015%以下のうちから選ばれた1種または2種
Ca、REMは、いずれも溶接熱影響部の靭性向上に寄与する元素であり、必要に応じ選択して含有できる。このような効果は、Ca:0.0005%以上、REM:0.001%以上の含有で顕著となるが、Ca:0.01%、REM:0.015%を超えて含有すると靭性が劣化する。このため、Ca:0.01%以下、REM:0.015%以下に限定することが好ましい。
本発明の鋼材では、上記した成分以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。なお、不可避的不純物としては、O:0.008 %以下が許容できる。
つぎに、本発明鋼材の好ましい製造方法について説明する。
まず、上記した組成の溶鋼を、転炉、 電気炉等の通常公知の溶製方法で溶製し、連続鋳造法、造塊法等の通常公知の鋳造方法で鋼素材とすることが好ましい。なお、溶鋼に取鍋精錬、真空脱ガス等の処理を付加しても良いことは言うまでもない。
ついで、得られた鋼素材を、結晶粒粗大化防止の観点から好ましくは1050〜1250℃の温度に加熱したのち所望の寸法形状に熱間圧延するか、あるいは鋼素材の温度が熱間圧延可能な程度に高温である場合には加熱することなくあるいは均熱する程度で、ただちに所望の寸法形状の鋼材に熱間圧延することが好ましい。
本発明では、熱間圧延の条件、および熱間圧延終了後の冷却等については所望の寸法形状の鋼材とすることができればよく、とくに限定する必要はない。通常公知の条件がいずれも適用できる。
なお、強度確保の観点から、熱間圧延では、熱間仕上圧延終了温度および熱間仕上圧延終了後の冷却速度を適正範囲とすることが好ましい。
本発明では仕上圧延終了温度を800℃以上とすることが好ましい。また、仕上圧延終了後の冷却速度が、10〜30℃/sの範囲の冷却速度で650℃以下、好ましくは350℃以上の温度域まで冷却する加速冷却を行うことができる。加速冷却を行うことにより、組織をベイナイト相を含む組織とすることができ、鋼材強度を所望の強度に調整できる。
表1に示す組成を有する溶鋼を転炉で溶製し、連続鋳造により鋼素材(スラブ:210 mm厚)とした。これらスラブを、1150℃に加熱して、表2に示す条件で熱間圧延を施し、20mm厚の鋼板とした。なお、熱間圧延終了後、表2に示す条件で冷却した。なお、冷却停止温度以下は空冷とした。
得られた鋼板から、圧延方向を引張方向とするJIS 4号引張試験片を採取しJIS Z 2241 の規定に準拠して引張試験を実施し、降伏強さYS、引張強さTS、伸びElを求め、母材引張特性を評価した。また、得られた鋼板のC方向から、Vノッチ試験片を採取し、JIS Z 2242の規定に準拠してシャルピー衝撃試験を実施し、0℃における吸収エネルギー vE0 を求め、母材靭性を評価した。
得られた鋼板から組織観察用試験片を採取し、光学顕微鏡を用いて母材組織を観察し、各相の種類およびその分率を測定した。
また、得られた鋼板から、熱サイクル試験片(大きさ:15mm厚×80mm長さ×70mm幅)を採取した。これら熱サイクル試験片に、入熱150kJ/cmのサブマージアーク溶接ボンド部相当の溶接熱サイクル(最高加熱温度:1450℃、800〜500℃の冷却時間:200s)を付与したのち、シャルピー衝撃試験片(2mmVノッチ)を採取した。これらシャルピー衝撃試験片を用いて、0℃でシャルピー衝撃試験を実施し、0℃における吸収エネルギーvEを求め、溶接熱影響部の靭性を評価した。
また、得られた鋼板から、試験片1(5mm厚×50mm幅×100mm 長さ)を切り出し、図1に示す腐食試験装置にセットし、腐食試験を行った。腐食試験装置は、腐食試験槽2、恒温槽3の二重型の装置を用いた。
試験片1を、実原油タンク底板の腐食環境を模擬した腐食試験槽2の試験液6中へセットした。使用した試験液6は、ASTM D 1141 に規定される人工海水を試験母液とし、試験母液に5%O2+10%H2S の分圧比に調整した混合ガス4を導入したものを使用した。混合ガスのバランス調整用不活性ガスはN2ガスを用いた。試験液6の温度は、恒温槽3に入れた水7の温度を調整することにより、50℃に保持した。なお、試験期間は100日間とした。
試験後、試験片表面に生成した錆を除去し、腐食形態を目視で観察し、局部腐食発生の有無を観察した。局部腐食発生有りの場合には、局部腐食発生位置を特定するとともに、腐食深さを測定した。なお、得られた腐食深さのうち最大のものを局部腐食最高深さとした。
得られた結果を表2に示す。
Figure 2005097709
Figure 2005097709
本発明例は、いずれも470MPa以上の引張強さと290J以上のvEを有し、母材強度・母材靭性に優れた鋼材である。また、本発明例はいずれも、大入熱溶接熱影響部のvEが100J以上であり、溶接部靭性にも優れている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、とくに大入熱溶接熱影響部のvEが100J未満であり、溶接部靭性が劣化している。また、本発明例では、局部腐食の発生が認められないか、認められても最高深さ:0.3mm 以下であり、耐局部腐食性に優れた鋼材であることがわかる。これに対し、本発明の範囲を外れる比較例は、いずれも最高深さ:1mm以上の局部腐食の発生が認められた。
本発明の実施例で使用した腐食試験装置の概要を示す模式図である。
符号の説明
1 試験片
2 腐食試験槽
3 恒温槽
4 混合ガス
5 ガス排出口
6 試験液
7 水

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.001〜0.2%、 Si:0.1〜0.5%、
    Mn:0.1〜1.2%、 P:0.025%以下、
    S:0.01%以下、 Al:0.005〜0.06%、
    Ni:0.4〜3.5%、 Ti:0.008〜0.024%、
    N:0.0025〜0.0065%
    を含み、かつTiとNを下記(1)式を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする耐局部腐食性および大入熱溶接熱影響部靭性に優れた原油タンク底板用鋼材。

    1.8≦Ti/N≦6.0 ………(1)
    ここで、Ti、N:各元素の含有量(質量%)
  2. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.2〜0.6%を含有する組成とすることを特徴とする請求項1に記載の原油タンク底板用鋼材。
  3. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Nb:0.03%以下、V:0.2%以下、B:0.002%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項1または2に記載の原油タンク底板用鋼材。
  4. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.01%以下、REM:0.015%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすること請求項1ないし3のいずれかに記載の原油タンク底板用鋼材。
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