JP5994916B1 - 耐孔食性に優れたアルコール貯蔵用及び輸送用設備部材向け鋼材 - Google Patents
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Abstract
Description
Cは、鋼の強度確保に必要な元素であり、本発明で目標とする強度(TS:400MPa以上)を確保するため少なくとも0.03%を含有するものとする。一方、含有量は0.3%を超えると溶接性が低下し、溶接の際に制限が加わるため、0.3%を上限とした。好ましくは0.03%以上0.25%以下の範囲である。
Siは、脱酸のため添加するが、含有量が0.01%未満では脱酸効果に乏しい。よって、Si含有量の下限は0.01%とし、好ましくは0.03%、より好ましくは0.05%である。一方、含有量が0.8%を超えると靭性や溶接性を劣化させる。このため、Si含有量の上限は0.8%とし、好ましくは0.7%、より好ましくは0.5%である。
Mnは、強度、靭性を改善するために添加するが、0.1%未満ではその効果が十分でない。よって、Mn含有量の下限は0.1%とし、好ましくは0.3%である。一方、含有量が2.0%を超えると溶接性が劣化する。このため、Mn含有量の上限は2.0%とし、好ましくは1.6%である。
Pは、不可避的に含有されるが、靭性及び溶接性を劣化させるため、P含有量は0.03%以下に抑制するものとした。なお、好ましくは0.025%以下である。
Sは本発明の鋼材において耐食性に悪影響を及ぼす元素である。Sは、不可避的に含有され、含有量が多くなると靱性及び溶接性が低下するだけでなく、MnSなどの腐食起点となる介在物が増加して、孔食が促進される。そのため含有量を極力低減することが望ましく、0.008%以下であれば許容できる。なお、S含有量は好ましくは0.005%以下である。
Alは、脱酸剤として添加するが、0.005%未満の含有量では脱酸不足により、靱性が低下する。一方、Alの過剰添加は、溶接金属部の靭性を低下させる。
Nは本発明の鋼材において耐食性に悪影響を及ぼす元素であり、不可避的に含有される。0.010%を超える含有では、粗大なAlNの形成を促進することとなり、前述Alによる耐孔食性向上効果が十分に得られなくなるとともに、粗大AlNが腐食起点として作用するため、耐孔食性が劣化する。このため、N含有量は0.010%以下に限定した。なお、N含有量は好ましくは0.007%以下である。一方、N含有量0.001%未満への低減は、脱ガスの能力上困難であるので、その含有量の下限を0.001%とする。
Crは、本発明の鋼材において、大きく耐孔食性に影響を及ぼす元素である。Crは鋼材表面の酸化被膜を強化する働きがあるため、無水アルコール環境では鋼材の耐孔食性を向上させる。しかしながら腐食性の強い含水アルコール環境では、介在物近傍等からひとたび孔食が始まった場合、孔食部における選択腐食性が増強される。結果として孔食が促進する。従って、Crは鋼中で低減させるのが好ましい。そのため、Cr含有量は0.050%未満とした。なお、Cr含有量は好ましくは0.03%未満である。本発明において、Cr含有量は0%でもよい。
Cu:0.03%以上1.0%以下
Cuは、本発明の鋼材において重要な耐孔食性向上元素である。Cuは母材のアノード溶解に伴ってその酸化物がアノードサイトに生成する。含水アルコール環境にあってもCu酸化物は溶解することなく、残留・濃化する。これによりアノード部が保護され、溶解反応の進展が著しく抑制され、耐孔食性が向上する。しかしながら、含有量が0.03%未満ではその効果に乏しいため、含有量の下限は0.03%とし、好ましくは0.05%であり、より好ましくは0.1%である。一方、含有量が1.0%を超えると鋼材製造上の面から制約が生じるので、含有量の上限は1.0%とし、好ましくは0.8%であり、より好ましくは0.5%である。
Niも、耐孔食性を改善するのに有効な元素である。また、Cu含有による連続鋳造工程や熱間圧延工程で熱間脆性による割れ発生を抑制する効果をNiは持つ。しかし、Ni含有量が0.010%未満では、耐孔食性向上効果が発現せず、またCu含有起因の割れを抑制する効果にも乏しい。よって、Ni含有量の下限は0.010%とし、好ましくは0.03%である。一方、Niの過剰含有は、コストの観点で不利になるので、Ni含有量の上限は1.0%とし、好ましくは0.5%である。
Snは、本発明の鋼材において重要な耐孔食性向上元素である。Snは母材のアノード溶解に伴ってその酸化物がアノードサイトに生成する。含水アルコール環境にあってもSn酸化物は溶解することなく、残留・濃化する。これによりアノード部が保護され、溶解反応の進展が著しく抑制され、耐孔食性が向上する。しかしながら、含有量が0.010%未満ではその効果に乏しい。よってSn含有量の下限は0.010%とし、好ましくは0.02%である。一方、Sn含有量が0.2%を超えると鋼材製造上の面から制約が生じるので、Sn含有量の上限は0.2%とし、好ましくは0.15%である。
前述のようにMnSは孔食の起点として有害であり、これを低減する観点、また、鋼中硫化物の形態・分散制御の観点からCa、Mg、REMは有効な元素である。この効果は、含有量が少ない場合には十分には得られない。一方、含有量が多い場合には逆にCa、Mg、REM自体が粗大な介在物として、孔食と腐食疲労の起点となってしまう。そのため、Ca含有量は0.0001%以上0.01%以下、Mg含有量は0.0001%以上0.02%以下、REM含有量は0.001%以上0.2%以下の範囲とする。
鋼の機械的特性を向上させるために、Ti、Zr、Ni及びVのうちから選んだ1種または2種以上を含有させることもできる。これらの元素はいずれも、含有量が0.005%未満ではその添加効果に乏しく、一方、含有量が0.05%を超えると溶接部の機械的特性が低下するため、含有量は0.005%以上0.05%以下の範囲とした。なお、各元素の含有量は好ましくは0.005%以上0.04%以下の範囲である。
Coは、鋼材の強度を高める元素であり、必要に応じて含有させることができる。この効果を得るためには、Coは0.01%以上含有させることが好ましいが、0.5%を超えて含有させると靱性や溶接性が劣化するため、上記の範囲で含有させることが好ましい。なお、Co含有量はより好ましくは0.01%以上0.2%以下の範囲である。
−最大孔食深さ:ベース鋼は115μm−
○:70%以下(合格)
△:70%超100%未満
×:100%以上
−Feイオン濃度:ベース鋼0.20mmol/L−
○:70%以下(合格)
△:70%超100%未満
×:100%以上
得られた結果を表2に記載する。
表1ベース鋼(比較例1)について、バイオエタノール模擬液の組成をエタノール:985mlに対して、水:10ml、メタノール:5ml、酢酸:30mg、NaCl:1.32mgに変更した点以外は、上記実施例と同様に腐食試験を行った。その結果、ベース鋼の最大孔食深さは10.5μmであった。即ち、上記実施例はバイオエタノール模擬液の水分量が多く、孔食が促進される条件である。
Claims (4)
- 組成として、質量%で、
C:0.03%以上0.3%以下、
Si:0.01%以上0.8%以下、
Mn:0.1%以上2.0%以下、
P:0.03%以下、
S:0.008%以下、
Al:0.005%以上0.08%以下、
N:0.001%以上0.010%以下、
Cr:0.050%未満
を含有し、さらに、
Cu:0.03%以上1.0%以下、
Ni:0.010%以上1.0以下および
Sn:0.010%以上0.2%以下
のうちから選んだ2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる耐孔食性に優れたアルコール貯蔵用及び輸送用設備部材向け鋼材。 - 前記組成に加えて、さらに質量%で、
Ca:0.0001%以上0.01%以下、
Mg:0.0001%以上0.02%以下、および
REM:0.001%以上0.2%以下
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する請求項1に記載の耐孔食性に優れたアルコール貯蔵用及び輸送用設備部材向け鋼材。 - 前記組成に加えて、さらに質量%で、
Ti:0.005%以上0.05%以下、
Zr:0.005%以上0.05%以下、
Nb:0.005%以上0.05%以下、および
V:0.005%以上0.05%以下
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する請求項1または2に記載の耐孔食性に優れたアルコール貯蔵用及び輸送用設備部材向け鋼材。 - 前記組成に加えて、さらに質量%で、
Co:0.01%以上0.5%以下
を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の耐孔食性に優れたアルコール貯蔵用及び輸送用設備部材向け鋼材。
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2015
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