JPWO2014038662A1 - 海産魚の類結節症に対するdnaワクチン - Google Patents

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Abstract

類結節症に対する防御免疫を誘導するための魚類用DNAワクチンを提供する。フォトバクテリウム・ダムセラエ亜種ピスシシダ(Photobacterium damselae subsp. piscicida)に対する免疫原性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むDNA、又は前記DNAを含む発現ベクターを有効成分として含む。

Description

本発明は、類結節症原因細菌フォトバクテリウム・ダムセラエ亜種ピシシダ(Photobacterium damselae subsp. piscicida)の魚類への感染に対する防御免疫を誘導するためのDNAワクチンに関する。
本明細書における「類結節症」とは、P. damselae subsp. piscicidaの感染により引き起こされる類結節症を意味し、従って、ブリ類において発症した類結節症が含まれるだけでなく、ブリ類以外の魚類[例えば、スズキ目に属する魚類(クロダイ、マダイ、キジハタ等)、キュウリウオ目に属する魚類(アユ等)、フグ目に属する魚種(ウマヅラハギ等)等]において同原因菌によって発症したパスツレラ症が含まれる。
魚介類を代表とする多くの水生生物の養殖産業において、閉鎖系である養殖領域でのウイルス性疾病及び細菌性疾病は、個体が高密度に存在していることから、それらの感染の影響は大きく、養殖産業において深刻な問題となっている。
類結節症(又はパスツレラ症)は、1963年のアメリカチェサピーク(Chesapeake)湾においてホワイトパーチ(ロカス・アメリカナス:Roccus americanus)の大量死の原因疾病として初めて報告された(非特許文献1)。日本では1968年の四国南西の養殖ブリ0歳魚においてその発生がみられ、その翌年1969年には西日本一帯の養殖ブリにおいて流行した。また、ブリ類のみならずクロダイ、マダイ、キジハタ、アユ、ウマヅラハギなどの魚種でも発生しており、本病は極めて強い伝染性を持つことから海産養殖を脅かす問題となっている(非特許文献1)。
P. damselae subsp. piscicidaはフォトバクテリア属に属し、グラム陰性、通性嫌気性を呈する非運動性短桿菌(0.6〜1.2×0.8〜2.6μm)の一科である。本細菌の増殖適温は25〜30℃、至適pHは7.5〜8.0、至適食塩濃度は2〜3%で、アンピシリン、オキソリン酸、フロルフェニコール等に感受性を示す。本症の症状は、脾臓および腎臓における1mm前後の小白点形成を特長とする。小白点は細菌の集落が配置したもので、多くは繊維組織に取り囲まれ結節を成す。これらの菌集落の形成は貪食細胞による細胞内消化に耐え、食細胞内増殖を起こすことで毛細血管や間質組織内で菌球を形成することに基づく(非特許文献2)。
わが国では、本症に対して既に不活化ワクチンが承認されているが、不活化ワクチンは細胞性免疫の誘導が困難である。しかしながら、細胞性免疫の誘導能が高いワクチンはほとんど開発されていない(特許文献1及び特許文献2)。
細菌感染症の予防又は治療には、一般的にワクチンが使用されている。ワクチンには不活化ワクチン(日本脳炎、ワイル病など)、トキソイド(破傷風、ジフテリアなど)、弱毒ワクチン(BCG、ポリオなど)、遺伝子組換えワクチン(B型肝炎ウイルスなど)などがある。不活化ワクチン及び外毒素を無毒化したトキソイドは、これらに対する抗体を誘導する比較的安全なワクチンである。遺伝子組換えワクチンは、不活化ワクチンと比較すると、不純物を含まないので、より安全なワクチンと考えられている。
しかしながら、これらのワクチンにおいて抗体産生は誘導することができるが、細胞性免疫は誘導されにくいのが欠点である。また、不活化ワクチン及び弱毒ワクチンは、抗原となるタンパク質を産業的には大量に得ることが必要であり、適当な病原菌の増殖が必須である。更に、弱毒ワクチンで獲得した免疫効果は、長期間維持される場合が多いが、一方で副作用、危険性が指摘されている。不活化ワクチン及び遺伝子組換えワクチンは、抗原の持続性が宿主内において短いと考えられており、アジュバントなどを必要とする。これら従来型のワクチンは製造から被検体に接種するまでの間、冷蔵保存する必要があるため、コストの増加と効力の低下が生じる問題点があった。
最近、ワクチンの研究開発が進み、免疫原性タンパク質をコードするプラスミドDNAの投与をすることにより、免疫誘発をもたらす新しいワクチン種(DNAワクチン)が開発され、次に述べるような従来型ワクチンの不利益が改善されてきている。すなわち、DNAワクチンは、体液性免疫応答のみならず、細胞性免疫を強力に誘導できるので、感染症に対する防御能を賦与することが可能となること、また、高度に純化できること、室温又は高温下でも安定であり、冷蔵保存は必須でなく長期間の貯蔵が可能であること、遺伝子工学的手法によりDNAワクチンの迅速な改良がし易いこと、及びワクチン開発に費やす時間の短縮などの利点がある。
ラブドウイルス(Rhabdovirus)の構成タンパク質のグリコプロテインをコードしている遺伝子を筋肉に注射することによって、ニジマスおよびヒラメの免疫応答を刺激することが知られている(非特許文献3)。また、ニジマスおよびヒラメについてはDNAワクチンの報告もある(非特許文献4)。しかし、他の魚種でDNAワクチンの報告はない。
特開平9−176043号公報 特開2002−003400号公報
エス・エフ・スニエスツコ(S.F.Snieszko)ら,「バクテリオロジー(Bacteriology)」,(米国),1964年,88巻,p.1814−1814 若林久嗣、室賀清邦編集,「魚介類の感染症・寄生虫症」,(恒星社厚生閣),2004年,p.206−211 ピー・ボウディノット(P.Boudinot)ら,「ビロロジー(Virology)」,(米国),1998年,249巻,p.297−306 マクラウクラン(McLauchlan)ら,「フィッシュ・アンド・シェルフィッシュ・イムノロジー(Fish and shellfish Immunology)」,(英国),2003年,15巻,p.39−50
本発明の課題は、類結節症に対する防御免疫を誘導するための魚類用DNAワクチンを提供することにある。
本発明者らは、海産魚の類結節症に対する有効なワクチンを鋭意研究した結果、P. damselae subsp. piscicidaのリポプロテイン(Lipoprotein: ppa1:配列番号1)、デグキューセリンプロテアーゼ(DegQ serine protease: ppa2:配列番号3)およびアウターメンブレンプロテインA前駆体(Outer membrane protein A precursor: ppars1:配列番号5)をコードする遺伝子を有するプラスミドDNAを混合又は個々にヒラメおよびカンパチに接種したところ、海産魚の類結節症に対する免疫効果を有すること及び免疫関連遺伝子の発現量が増加することを見出した。さらに、これらの配列を、ヒラメのコドン使用頻度に従って配列変換して人工遺伝子(配列番号7、9、11)とし、これを有するプラスミドDNAについても同様に接種したところそれぞれについて高い免疫防除効果を見出したことで本発明が完成した。
すなわち、本発明は、
[1]フォトバクテリウム・ダムセラエ亜種ピシシダに対する免疫原性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、若しくはその配列をヒラメのコドン使用頻度を元に改変したヌクレオチド配列を含むDNA、又は前記DNAを含む発現ベクターを有効成分として含むことを特徴とする、[1]の魚類用DNAワクチン、
[2]前記免疫原性ポリペプチドが、フォトバクテリウム・ダムセラエ亜種ピシシダのppa1、ppa2およびppars1からなる群から選んだ遺伝子にコードされているポリペプチド又はその部分断片である、[1]の魚類用DNAワクチン、
[3]前記免疫原性ポリペプチドが、配列番号2、4又は6で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又はその部分断片である、[2]の魚類用DNAワクチン、
[4]前記免疫原性ポリペプチドが、(1)配列番号2、4又は6で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、(2)配列番号2、4又は6で表されるアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加されたアミノ酸配列を含み、しかも、フォトバクテリウム・ダムセラエ亜種ピシシダに対する免疫原性を有する改変ポリペプチド、若しくは(3)配列番号2、4又は6で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であり、しかも、フォトバクテリウム・ダムセラエ亜種ピシシダに対する免疫原性を有する相同ポリペプチド、又はそれらの部分断片である、[1]の魚類用DNAワクチン、
[5]前記ヌクレオチド配列が、(1)配列番号1、3、5、7、9又は11で表されるヌクレオチド配列、若しくは(2)配列番号1、3、5、7、9又は11で表されるヌクレオチド配列との相同性が80%以上であり、しかも、フォトバクテリウム・ダムセラエ亜種ピシシダに対する免疫原性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、又はそれらの部分配列である、[1]の魚類用DNAワクチン、
[6]前記発現ベクターが、天然型遺伝子を含むプラスミドwild-ppa1、wild-ppa2若しくはwild-ppars1、又は改変遺伝子を含むプラスミドopt-ppa1、opt-ppa2若しくはopt-ppars1である、[1]の魚類用DNAワクチン、
[7][1]〜[6]のいずれかの魚類用DNAワクチンを魚に投与することを特徴とする、類結節症の予防又は治療方法、
[8]前記魚がスズキ目、フグ目又はキュウリウオ目に属する魚である、[7]の方法、
[9][1]〜[6]のいずれかの魚類用DNAワクチンの、海産魚の類結節症に対する免疫応答の誘発への使用
に関する。
また、本発明は、
魚類用DNAワクチン用の、あるいは、類結節症の予防又は治療用の、フォトバクテリウム・ダムセラエ亜種ピシシダに対する免疫原性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むDNA、又は前記DNAを含む発現ベクター、
フォトバクテリウム・ダムセラエ亜種ピシシダに対する免疫原性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むDNA、又は前記DNAを含む発現ベクターの、魚類用DNAワクチンの製造のための使用
に関する。
本発明の魚類用DNAワクチンによれば、P. damselae subsp. piscicidaによる類結節症に対する免疫能を付与することができる。より詳細には、本発明の魚類用DNAワクチンによれば、P. damselae subsp. piscicidaの感染症、あるいは、P. damselae subsp. piscicidaの感染に起因する類結節症に対する免疫応答(体液性免疫応答及び細胞性免疫応答を含む)を誘導することができるので、P. damselae subsp. piscicidaの感染の予防又は治療、あるいは、前記類結節症の予防又は治療に有効である。例えば、本発明の魚類用DNAワクチンの有効成分として用いることのできるプラスミドwild-ppa1、wild-ppa2、wild-ppars1、opt-ppa1、opt-ppa2およびopt-ppars1は、海産魚でのP. damselae subsp. piscicida感染防御試験及び免疫関連の遺伝子の発現量の大幅な増加を確認した結果から、DNAワクチンの有効成分として有効であり、海産魚でのP. damselae subsp. piscicidaの感染の予防に期待ができる。
P. damselae subsp. piscicida TUMSAT-PPE05-02株(1.0×105cfu/mL浸漬感染)攻撃後の累積死亡率に関して、1.0×105cfu/mL浸漬感染群における、DNAワクチン(wild-ppa1、wild-ppa2、wild-ppars1)処理によるヒラメの累積死亡率の継時的変化を示すグラフである。 P. damselae subsp. piscicida TUMSAT-PPE05-02株(1.0×105cfu/mL浸漬感染)攻撃後の累積死亡率に関して、1.0×105cfu/mL浸漬感染群における、DNAワクチン(wild-ppa1、opt-ppa1)処理によるヒラメの累積死亡率の継時的変化を示すグラフである。 P. damselae subsp. piscicida TUMSAT-PPE05-02株(1.0×105cfu/mL浸漬感染)攻撃後の累積死亡率に関して、1.0×105cfu/mL浸漬感染群における、DNAワクチン(wild-ppa2、opt-ppa2)処理によるヒラメの累積死亡率の継時的変化を示すグラフである。 P. damselae subsp. piscicida TUMSAT-PPE05-02株(1.0×105cfu/mL浸漬感染)攻撃後の累積死亡率に関して、1.0×105cfu/mL浸漬感染群における、DNAワクチン(wild-ppa3、opt-ppa3)処理によるヒラメの累積死亡率の継時的変化を示すグラフである。
本発明の魚類用DNAワクチンは、P. damselae subsp. piscicidaに対する免疫原性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列1つ以上を少なくとも含むDNA構築物である限り、特に限定されるものではないが、本発明の魚類用DNAワクチンには、例えば、
(a)P. damselae subsp. piscicidaに対する免疫原性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むDNA、又は
(b)前記DNA(a)を含む発現ベクター
が含まれる。前記DNA(a)は、免疫原性ポリペプチドの発現に必要な各種の調節配列を更に含むことができ、前記発現ベクター(b)も、前記調節配列を含むことができる。
本明細書において「類結節症に対する免疫原性ポリペプチド」とは、P. damselae subsp. piscicidaに対する免疫(体液性免疫及び細胞性免疫を含む)を生体内で誘導することのできるポリペプチドを意味する。
P. damselae subsp. piscicidaに対する免疫原性ポリペプチドとしては、P. damselae subsp. piscicidaに対する免疫(体液性免疫及び細胞性免疫を含む)を生体内で誘導することができるポリペプチドである限り、特に限定されるものではないが、例えば、細菌の構造タンパク質並びにそれらの部分断片を挙げることができる。前記免疫原性ポリペプチドとしては、P. damselae subsp. piscicidaのppa1、ppa2又はppars1にコードされるポリペプチド又はその部分断片が好ましく、配列番号2、4又は6で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又はその部分断片がより好ましい。
また、前記免疫原性ポリペプチドとしては、更に、(1)配列番号2、4又は6で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、(2)配列番号2、4又は6で表されるアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、しかも、P. damselae subsp. piscicidaに対する免疫原性を有する改変ポリペプチド、若しくは(3)配列番号2、4又は6で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上)であり、しかも、P. damselae subsp. piscicidaに対する免疫原性を有する相同ポリペプチド、又はそれらの部分断片を挙げることができる。
本発明の魚類用DNAワクチンは、いずれか1つの免疫原性ポリペプチドのみ(好ましくは、ppa1、ppa2およびppars1でコードされる各ポリペプチド又はそれらの改変若しくは相同ポリペプチドのいずれか1つのみ)を誘導できるDNAワクチンであることもできるし、あるいは、2以上の免疫原性ポリペプチド(好ましくは、ppa1、ppa2およびppars1でコードされる各ポリペプチド又はそれらの改変若しくは相同ポリペプチドから選択される2以上のポリペプチドの組み合わせ)を誘導できるDNAワクチンであることもできる。後者の例としては、ppa1タンパク質(又はその改変若しくは相同ポリペプチド)とppa2タンパク質(又はその改変若しくは相同ポリペプチド)との組み合わせ、ppa1タンパク質(又はその改変若しくは相同ポリペプチド)とppars1タンパク質(又はその改変若しくは相同ポリペプチド)との組み合わせ、ppa2タンパク質(又はその改変若しくは相同ポリペプチド)とppars1タンパク質(又はその改変若しくは相同ポリペプチド)との組み合わせ、ppa1タンパク質(又はその改変若しくは相同ポリペプチド)とppa2タンパク質(又はその改変若しくは相同ポリペプチド)とppars1タンパク質(又はその改変若しくは相同ポリペプチド)との組み合わせを挙げることができる。
本明細書において、改変ポリペプチドとは、或る配列番号で表されるアミノ酸配列において、1以上(例えば、1〜数個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個、更に好ましくは1〜3個、更に好ましくは1〜2個、特に好ましくは1個)のアミノ酸の改変(例えば、欠失、置換、及び/又は付加)が生じたタンパク質であって、依然として本発明が適用される魚類に対して免疫を付与することのできるものを意味する。
また、本明細書において、アミノ酸配列における同一性とは、2種類のアミノ酸配列をコンピューター解析ソフト(SDCソフトウェア)にて比較解析し、同一種のアミノ酸が同じ位置に存在する場合にアミノ酸が2種類の配列で同一であるとして算出した同一性を意味する。
本発明に用いる、免疫原性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列としては、これまで挙げた各免疫原性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を挙げることができ、例えば、P. damselae subsp. piscicidaの各構造タンパク質、配列番号2、4又は6で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、前記改変ポリペプチド、若しくは前記相同ポリペプチド、又はそれらの部分断片をコードするヌクレオチド配列を挙げることができる。
前記ヌクレオチド配列としては、(1)配列番号1、3、5、7、9又は11で表されるヌクレオチド配列、若しくは(2)配列番号1、3、5、7、9又は11で表されるヌクレオチド配列との相同性が80%以上であり、しかも、P. damselae subsp. piscicidaに対する免疫原性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、又はそれらの部分配列が好ましい。なお、本明細書において、ヌクレオチド配列における相同性とは、2種類のヌクレオチド配列をコンピューター解析ソフト(SDCソフトウェア)にて比較解析し、同一種のヌクレオチドが同じ位置に存在する場合にヌクレオチドが2種類の配列で同一であるとして算出した値を意味する。また、前記部分配列の長さは、その部分ヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドが、P. damselae subsp. piscicidaに対する免疫(体液性免疫及び細胞性免疫を含む)を生体内で誘導することができる限り、特に限定されるものではない。
また、免疫原性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、天然由来のものであっても、全合成したものであっても良く、また、天然由来のものの一部を利用して合成を行ったものでもよい。
本発明に用いる免疫原性ポリペプチド(例えば、リポプロテイン)をコードするヌクレオチド配列は、例えば、P. damselae subsp. piscicidaから得ることができる。本発明に用いる前記ヌクレオチド配列の典型的な取得方法としては、遺伝子工学の分野で慣用されている方法、例えば、部分アミノ酸配列の情報を基にして作製した適当なDNAプローブを用いて、スクリーニングを行う方法などが挙げられる。
本発明に用いる発現ベクターは、魚類の細胞内で発現可能なベクターである限り、特に限定されるものではない。本発明に用いる発現ベクターは、自己複製ベクター、すなわち、染色体外の独立体として存在し、その複製が染色体の複製に依存しない、例えば、プラスミドを基本に構築することができる。また、前記発現ベクターは、宿主に導入されたとき、その宿主のゲノム中に取り込まれ、それが組み込まれた染色体と一緒に複製されるものであってもよい。本発明に用いることのできる発現ベクターの構築の手順及び方法は、遺伝子工学の分野で慣用されているものを用いることができる。
本発明で用いることのできる転写調節配列としては、例えば、構成プロモーター、誘導性又は調節性プロモーター、組織特異的プロモーター、又は発現されている抗原の遺伝子由来のプロモーター等が挙げられるが、魚類の細胞内で発現可能である限り、特にそれらに限定されない。構成プロモーターとしては、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)由来のプロモーター配列、又はラウス肉腫ウイルス(RSV)、シミアンウイルス−40(SV-40)、筋βアクチンプロモーター、又は単純ヘルペスウイルス(HSV)などの強力プロモーター等が挙げられる。組織特異的プロモーターとしては、例えば、チミヂンキナーゼプロモーター等が挙げられる。誘導性又は調節性プロモーターとしては、例えば、成長ホルモン調節性プロモーター、lacオペロン配列の制御下にあるプロモーター、又は亜鉛誘導性メタロチオネインプロモーターを挙げることができる。前記転写調節配列は、免疫原性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に、操作可能に(すなわち、前記ヌクレオチド配列の発現を調節することができるように)結合させることができる。
前記調節配列は、プロモーター(例えば、前記誘導性又は構成性プロモーター)DNA配列を含む発現制御配列を含むことができ、所望により、更に、エンハンサー要素、転写又はポリアデニル化シグナル[例えば、シミアンウイルス−40(SV-40)又はウシ成長ホルモン由来]のスプライシングのためのイントロン配列、又はCpGモチーフとして知られている免疫刺激DNA配列のうち、1つ若しくはそれ以上のコピーを含むことができる。
また、発現ベクターは、所望により、例えば、細菌複製起点配列、あるいは、選別させるための抗生物質耐性(例えば、カナマイシンなど)遺伝子又は非抗生物質耐性遺伝子(例えば、β−ガラクトシダーゼ遺伝子など)等の選択性マーカーを含むことができる。
非メチル化CpGヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドは、免疫系を活性化することが知られている(A. Krieg et al.、Nature, 1995, 374, 546-549)。フランキング配列に依存して、或るCpGモチーフはB細胞又はT細胞応答に対してより免疫刺激的であり、優先的にある種を刺激する。DNA発現ベクターにおけるCpGモチーフのコピーは、発現タンパク質に対する免疫応答を誘発するアジュバントとして作用する。CpGモチーフ、すなわち、特異化された配列内のCpGジヌクレオチドを含むDNA伸長部は、長さが5〜40塩基対程度から選ぶことができる。複数のCpGモチーフが、発現ベクターの非コード領域に挿入されてもよい。体液性応答が所望であるとき、好ましいCpGモチーフはCD8+T細胞応答を刺激することが知られているサイトカインの分泌を刺激するCpGモチーフである。
本発明を適応することができる魚類としては、P. damselae subsp. piscicidaが感染する可能性のある魚類である限り、特に限定されるものではないが、例えば、スズキ目に属する魚種(ブリ、カンパチ、クロダイ、マダイ、キジハタ等)、キュウリウオ目に属する魚種(アユ等)又はフグ目に属する魚種(ウマヅラハギ等)等が挙げられる。
DNAワクチンの接種法は、例えば、経口投与、筋肉内注射、腹腔内注射、遺伝子銃を用いた投与及び液浸が挙げられるが、好ましくは筋肉内注射、遺伝子銃を用いた投与である。遺伝子銃を用いた投与とは、プラスミドを1μm程の大きさの金粒子にコーティングし、高圧ヘリウムガスを用い、専用の器具で被検体の皮膚、細胞又は組織に空気銃の要領で撃ち込む方法である。この遺伝子銃による投与は、筋肉内注射と比較し、100〜1000分の1のDNA量で、同等の免疫効果を挙げることができる点、筋肉内注射と比較し再現性に優れている点などの優れた特徴を有している。
また、アジュバントは、免疫系を刺激して抗原に対する免疫反応を高めるものであり、主にワクチンに補助剤として添加される。代表的なアジュバントとしては、例えば、アルミニウム化合物、ポリヌクレオチド又は細菌の菌体成分などが知られているが、これらの中には本発明に適用するには充分な効果が得られないものも多い。特に、アジュバントの作用は抗原物質に広く有効であるため、抗原に含まれる不純物の抗原刺激性を増強したり、有害な副作用を生ずる危険もあり、使用する抗原の純度に充分な配慮をする必要があるなどの問題がある。そのような中で、例えばIL-1βはアジュバントとして有効であることが報告されている(J. Y. Scheerlinck, Genetic adjuvants for DNA Vaccine, 19, 2647-2656, 2001)。本発明においては、魚類(例えばヒラメなど)の体内で発現可能なようにIL-1β遺伝子を挿入したプラスミドを作製し、本発明のワクチンとともに魚類に接種することができる。
免疫機構は、様々な役割を担った細胞が相互に機能調節を行いながら、多様な生理機能を発揮している。生体防御に重要な役割を担っている因子であるT細胞及びB細胞の細胞表面上に存在しているT細胞抗原レセプター(TCR)、主要組織適合性複合体(MHC)、又は免疫グロブリン(Ig)の発現量を指標に、免疫システムの活性化を調べることが可能である。本発明においては、例えば、類結節症に対するDNAワクチンをヒラメに接種後、魚体内における生体防御機構の活性化について解析するため、例えば、TCR、MHC、及びIgの発現量の変化についてリアルタイムPCRを行い定量的に確認し、免疫システムの活性化を調べることができる。
リアルタイムPCRとは、PCRによる遺伝子の増幅の過程を蛍光検知装置により、リアルタイムで追跡し、そのPCR反応曲線をプロファイリングする検出技術である。検査対象の検体がPCRにより増幅された場合、指数増加カーブに到達するPCRサイクル数を検査すれば、正確なDNA量を計算することが可能となる。リアルタイムPCRには、例えば、Perkin-Elmer社製のTaqMan、BioRad社製のiCyclerを用い行うことができる。
リアルタイムPCRでは、リアルタイムPCR用(SG)及び標準DNA用(SG200)の二種類のプライマーを用いる。リアルタイムPCR用(SG)は、アンプリコンは短め(60〜100 bp)でGC含量が少なくなるよう設計する。3' UTR部分にプライマーを作製すると、比較的容易で、かつ正確に遺伝子特異的プライマーを設計することができる。また、ソフト(例えば、primer express;PEバイオシステムジャパン株式会社)を使ってコンピュータ上でも設計する方法もある。リアルタイムPCRで設計したプライマーの外側に標準DNA用プライマー(SG200)を設計する。遺伝子同士を比較したい場合、アンプリコンは揃えるのが望ましい。
標準DNAの調製は、まず測定したい遺伝子それぞれに対し特異的なプライマー(SG200)を用い、全量 50μLのPCRをプラトーに達するまで反応させる(PCRは95℃で2分間処理後、次いで95℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間を1サイクルとする処理を30回行う)。その後、PCR産物をカラム(例えば、Microcon-PCR Centrifugal Filter Devices;MILLIPORE社製)を用い余分なプライマーを除去し、濃度を測る。アボガドロ定数(1mol=6.022 × 1023molecules)よりコピー数を算出する。次いで、PCR産物は21段階の希釈系列(コピー数1013〜10-7)を作り、内側に設計したプライマー(SG)を用いて再度PCRを行う。この際、増幅が指数関数的に起こる様、サイクル数は14サイクルで行う。このようにして得たPCR産物をアガロースゲル電気泳動し、バンドが全く見えなくなってからの5段階が指数関数的に増幅しているため、この5段階を標準DNAとして実際のリアルタイムPCRに用いる。
以下、実施例によって本発明を具体的に詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《実施例1:P. damselae subsp. piscicida由来ppa1遺伝子、ppa2遺伝子およびppars1遺伝子の単離》
(1)PCRプライマーの作製
P. damselae subsp. piscicida由来ppa1遺伝子(配列番号1)、ppa2遺伝子(配列番号3)およびppars1遺伝子(配列番号5)に対応するDNAの塩基配列から下記のPCRプライマーを、常法に従い、作製した。
ppa1-forward = 5' CGGAATTCACCATGAATCGTAAAGTAACTA 3'(配列番号 13)
ppa1-reverse = 5' CCGCTCGAGCTTAGTGTAAGAACCAC 3'(配列番号 14)

ppa2-forward = 5' CGGAATTCACCATGAGAAAACCTCTGCTTG 3'(配列番号 15)
ppa2-reverse = 5' CCGCTCGAGACGCATGATTAAATACA 3'(配列番号 16)

ppars1-forward = 5' CGGAATTCACCATGTCTAAAGTTCGTTATG 3'(配列番号 17)
ppars1-reverse = 5' CCGCTCGAGTTCAGCAAGAACTTGAG 3'(配列番号 18)
(2)DNAワクチンの作製
P. damselae subsp. piscicida TUMSAT-PPE05-02株を2%食塩調製したHI液体培地に植菌し、25℃で一晩振盪培養した。これを集菌し、抽出用溶媒(0.5%SDS, 0.016mg/mL protease K)中で溶解後、37℃で1時間処理した。次に5mol/L NaCl100μLおよびCTAB/NaCl84μLを加えてよく混和し65℃で10分間処理した。等量のイソプロパノール-クロロホルム、PCI600μL、99%エタノールを順に用いてこれを精製し、上層を捨てペレット状態となったゲノミックDNAを乾燥させ、TE buffer30μLに溶解した。
抽出したゲノミックDNAをテンプレートとし、市販のPCR反応試薬(ExTaq DNAポリメラーゼ;宝酒造社製)により、添付の操作方法に従って、実施例1(1)で作製したPCRプライマーを用いて、常法に従いPCRを行なった。PCRは、添付の10xbuffer 5μL、dNTP 4μL、フォワードプライマー及びリバースプライマー1μL(25pmol/μL)、DNAポリメラーゼ0.5μL(5units/μL)、DNA 1μL(10ng)、及び滅菌水37.5μLで50μLに調製後、95℃で5分間処理後、次いで95℃で30秒間、53℃で30秒間、及び72℃で1分間を1サイクルとする処理を30回施した後、72℃で5分間処理するという反応条件で行った。得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動した結果、約0.2、1.4あるいは1.0kbp程のDNA断片が増幅されていたことを目視にて確認した。
(3)DNA塩基配列の解析
その増幅されたDNA断片をpGEM-T Eazyベクター (プロメガ社製)へと挿入し、蛍光標識されたM13プライマー(日清紡績社製)及び市販のシークエンスキット(Thermo Sequence Fluorescent Labeled Primer Cycle Sequencing Kit with 7-deaza-dGTP;amersham pharmacia bitech社製) を用いてダイデオキシ法(Dideoxy method)でサンプルを作成した後、DNAシークエンサー(DNA sequencer model 4000;LI-COR社製)を用いて塩基配列を決定した。この配列を解析したところ、PCRで増幅されたDNA断片は、249bp(ppa1)、1356bp(ppa2)あるいは996bp(ppars1)からなるオープンリーディングフレーム(ORF)が存在した(配列番号1、3および5)。このORFから予測されるタンパク質は、89アミノ酸残基、462アミノ酸残基ならびに341アミノ酸残基であった。
《実施例2:ヒラメのコドン使用頻度を元に改変したppa1遺伝子、ppa2遺伝子およびppars1遺伝子の作製》
(1)改変配列を用いた人工遺伝子の作製
どの生物種においてもアミノ酸を指定するがコドンは複数存在し、その使用頻度が異なる。そこで、P. damselae subsp. piscicidaおよびヒラメのコドン使用頻度をもとに塩基配列を改変したppa1遺伝子(配列番号7)、ppa2遺伝子(配列番号9)およびppars1遺伝子(配列番号11)を人工的に合成しプラスミドへと挿入した。
《実施例3:プラスミドwild-ppa1、wild-ppa2、wild-ppars1、opt-ppa1、opt-ppa2およびopt-ppars1の作製》
実施例1(3)および実施例2(1)のDNA塩基配列の解析で用いたプラスミドをEcoRI及XhoIで処理した。そして、各ベクターから切り出されたP. damselae subsp. piscicida TUMSAT-PPE05-02株由来又は人工遺伝子のppa1遺伝子、ppa2遺伝子およびppars1遺伝子を、pcDNA3.1/myc-hisベクター (インビトロジェン社製)のヒトサイトメガロウイルス由来のプロモーター領域がコードされている配列の下流に位置するマルチクローニングサイトのEcoRI及びXhoI認識部位へ挿入し、プラスミドwild-ppa1、wild-ppa2、wild-ppars1、opt-ppa1、opt-ppa2およびopt-ppars1を作製した。
《実施例4:プラスミドDNAのヒラメへの導入》
ヒラメ一尾当たり10.0μgのwild-ppa1、wild-ppa2、wild-ppars1、opt-ppa1、opt-ppa2およびopt-ppars1をリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)100μLとともに、29Gの注射針を装着した注射器を用いて筋肉へと接種した。
《実施例5:ヒラメに対する感染防御試験》
各試験区には、ヒラメ稚魚(全長約8cm、平均魚体重10.0g)を用いた。試験魚は、60Lの水槽で、人工海水を循環して飼育し、平均水温19.0℃で飼育した。
まず、実施例4の方法に準じてwild-ppa1、wild-ppa2、wild-ppars1、opt-ppa1、opt-ppa2およびopt-ppars1 10.0μg、コントロールとしてPBS 100μL、pcDNA3.1ベクター10.0μgをそれぞれヒラメへ接種した。その接種の30日後に、実施例1(2)の条件と同様に2%食塩濃度調製したHI液体培地で培養したP. damselae subsp. piscicida TUMSAT-PPE05-02株の培養液を、人工海水を用いて1.0×105cfu/mLまで希釈した濃度で、30分間浸漬感染した。感染防御試験を行った区画は、次の通りである。
試験区1:wild-ppa1 10.0μg/ヒラメ1尾+1.0×105cfu/mL P. damselae subsp. piscicida TUMSAT-PPE05-02株
試験区2:wild-ppa2 10.0μg/ヒラメ1尾+1.0×105cfu/mL P. damselae subsp. piscicida TUMSAT-PPE05-02株
試験区3:wild-ppars1 10.0μg/ヒラメ1尾+1.0×105cfu/mL P. damselae subsp. piscicida TUMSAT-PPE05-02株
試験区4:opt-ppa1 10.0μg/ヒラメ1尾+1.0×105cfu/mL P. damselae subsp. piscicida TUMSAT-PPE05-02株
試験区5:opt-ppa2 10.0μg/ヒラメ1尾+1.0×105cfu/mL P. damselae subsp. piscicida TUMSAT-PPE05-02株
試験区6:opt-ppars1 10.0μg/ヒラメ1尾+1.0×105cfu/mL P. damselae subsp. piscicida TUMSAT-PPE05-02株
試験区7:pcDNA3.1/myc-hisベクター 10.0μg/ヒラメ1尾+1.0×105cfu/mL P. damselae subsp. piscicida TUMSAT-PPE05-02株
試験区8:PBS 100μL/ヒラメ1尾+1.0×105cfu/mL P. damselae subsp. piscicida TUMSAT-PPE05-02株
P. damselae subsp. piscicida TUMSAT-PPE05-02株感染後、ヒラメを14日間観察し続け、試験区1〜試験区8のヒラメの累積死亡率(死亡個体数/試験個体数)×100(%)を算出し、その結果を図1、2、3、4並びに表1に示す。なお、表における「RPS」は、relative percent survivalの略であり、以下の計算式で算出する:
RPS={1−(X/C)}×100
[式中、記号Xは「ワクチン接種区の死亡率(%)」であり、Cは「陰性コントロール区の死亡率(%)」である]
ワクチンの効果は、その比較によって判定した。
その結果、試験区1、2、3、4、5、及び6は、それぞれ約17、8、58、8、17及び15%累積死亡率であるのに対して、試験区7及び8のそれは75及び90%であったことから、P. damselae subsp. piscicida TUMSAT-PPE05-02株に対するwild-ppa1、wild-ppa2、wild-ppars1、opt-ppa1、opt-ppa2およびopt-ppars1の感染防御の有効性、すなわち、ワクチン効果が明らかとなった。
Figure 2014038662
本発明のDNAワクチンは、海産魚の類結節症予防又は治療の用途に適用することができる。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。
以下の配列表の数字見出し<223>には、「Artificial Sequence」の説明を記載する。具体的には、配列番号7、9、11で表される塩基配列は、P. damselae subsp. piscicida由来の改変配列である。配列番号13で表される塩基配列は、プライマーppa1-forwardであり、配列番号14で表される塩基配列は、プライマーppa1-reverseであり、配列番号15で表される塩基配列は、プライマーppa2-forwardであり、配列番号16で表される塩基配列は、プライマーppa2-reverseであり、配列番号17で表される塩基配列は、プライマーppars1-forwardであり、配列番号18で表される塩基配列は、ppars1-reverseプライマーである。

Claims (9)

  1. フォトバクテリウム・ダムセラエ亜種ピシシダ(Photobacterium damselae subsp. piscicida)に対する免疫原性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むDNA、若しくはその配列をヒラメのコドン使用頻度を元に改変したヌクレオチド配列を含むDNA、又は前記DNAを含む発現ベクターを有効成分として含むことを特徴とする、魚類用DNAワクチン。
  2. 前記免疫原性ポリペプチドが、フォトバクテリウム・ダムセラエ亜種ピシシダのppa1、ppa2およびppars1からなる群から選んだ遺伝子にコードされているポリペプチド又はその部分断片である、請求項1に記載の魚類用DNAワクチン。
  3. 前記免疫原性ポリペプチドが、配列番号2、4又は6で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド又はその部分断片である、請求項2に記載の魚類用DNAワクチン。
  4. 前記免疫原性ポリペプチドが、(1)配列番号2、4又は6で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、(2)配列番号2、4又は6で表されるアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加されたアミノ酸配列を含み、しかも、フォトバクテリウム・ダムセラエ亜種ピシシダに対する免疫原性を有する改変ポリペプチド、若しくは(3)配列番号2,5又は8で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であり、しかも、フォトバクテリウム・ダムセラエ亜種ピスシシダに対する免疫原性を有する相同ポリペプチド、又はそれらの部分断片である、請求項1に記載の魚類用DNAワクチン。
  5. 前記ヌクレオチド配列が、(1)配列番号1、3、5、7、9又は11で表されるヌクレオチド配列、若しくは(2)1、3、5、7、9又は11で表されるヌクレオチド配列との相同性が80%以上であり、しかも、フォトバクテリウム・ダムセラエ亜種ピシシダに対する免疫原性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、又はそれらの部分配列である、請求項1に記載の魚類用DNAワクチン。
  6. 前記発現ベクターが、天然型遺伝子を含むプラスミドwild-ppa1、wild-ppa2若しくはwild-pars1、又は改変遺伝子を含むプラスミドopt-ppa1、opt-ppa2若しくはopt-ppars1である、請求項1に記載の魚類用DNAワクチン。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の魚類用DNAワクチンを魚に投与することを特徴とする、類結節症の予防又は治療方法。
  8. 前記魚がスズキ目、フグ目又はキュウリウオ目に属する魚である、請求項7に記載の方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の魚類用DNAワクチンの、海産魚の類結節症に対する免疫応答の誘発への使用。
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