JPWO2013187176A1 - リチウムイオン二次電池の製造方法およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

リチウムを吸蔵、放出が可能な活物質を含む負極3と正極2が対向に配置された積層電極体1を備えるリチウムイオン二次電池を、窒化リチウムを30%質量以上含む表面層を有するリチウム源を、負極活物質に接触させる工程を有する方法により製造する。得られるリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高く、かつ良好なサイクル特性を有する。

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の製造方法、特に製造工程の中で、リチウムプレドープ処理を行う工程を有するリチウムイオン二次電池の製造方法に関する。
ノート型パソコン、携帯電話、電気自動車などの急速な市場拡大に伴い、高エネルギー密度の二次電池が求められている。高エネルギー密度の二次電池を得る手段として、重量あたりの容量の大きな負極材料を用いる方法が挙げられる。
例えば特許文献1には、容量の大きな負極材料としてシリコン酸化物またはシリケート化合物を二次電池の負極活物質に利用することが開示されている。しかしながら、特許文献1に記載されたシリコンの酸化物を負極活物質に利用した二次電池を45℃以上で充放電させると、サイクルに伴う容量低下が大きいという問題点があった。
上述のような容量低下の原因と考えられる、充放電によるリチウム枯渇を補填する手段として、例えば特許文献2および特許文献3には、非炭素系負極に金属リチウム箔を貼り付け、加熱することで、非炭素系負極にリチウムを拡散させることが開示されている。
特許文献2に記載された非炭素系負極は、金属リチウム箔を貼り付けて、加熱する方法によりリチウムを活物質に拡散させ、充電前から活物質の粒子がリチウムを十分に吸蔵した状態を作り、充放電時の「リチウム枯渇」の問題を解消する手段としている。
特許文献3に記載された二次電池の製造方法として、非炭素系負極の活物質を含む層の表面に、加熱および加圧下でリチウムを主体とする金属膜を接触さることにより、リチウムと負極の活物質とを反応させ、活物質中にリチウムを吸蔵させることで、ケイ素酸化物などの負極活物質が有する大きな不可逆容量を解決する手段としている。
特許文献4には、リチウムイオンを吸蔵、放出し得る炭素材料粒子、リチウムイオンと合金可能な金属粒子、リチウムイオンを吸蔵、放出し得る酸化物粒子を含む活物質層を備えた二次電池用負極が開示されている。特許文献4に記載された二次電池用負極では、3種類の成分の充放電電位の違いにより、リチウムを吸蔵、放出する際、負極全体としての体積変化を緩和させる効果がある。加えて、リチウム金属を負極表面に成膜する技術が開示されている。特許文献4に記載された二次電池用負極では、活物質層上部にリチウム金属層を設けることで、負極活物質が有する大きな不可逆容量を解決する手段としている。リチウム金属層の形成方法として、融液冷却方式、真空蒸着方式、スパッタリング方式などの他に、リチウム金属を負極表面に貼り合わせ、溶融させることによって成膜する方法が示されている。
特許文献5および特許文献6には、炭素で被覆されたシリコン−シリコン酸化物系複合体粒子にリチウムをドープする技術が開示されている。
また、特許文献7および特許文献8には、窒化リチウムの製造方法が記載されている。特許文献9には、リチウム金属の表面に窒化リチウム保護膜が形成された負極が記載されている。
特開平6−325765号公報 特開2005−353575号公報 特開2007−214109号公報 特開2003−123740号公報 特開2011−222151号公報 特開2011−222153号公報 特開昭55−47211号公報 特開2001−48504号公報 特開2004−319489号公報
前述のとおり、特許文献2〜4では、リチウム源としてリチウム金属箔またはリチウムを主体とする金属膜などを用いて、電池完成前の負極活物質にリチウムをドープすること、即ち、リチウムプレドープすることが開示されている。しかし、リチウムまたはリチウムを主体とする金属の箔、片または成形品を、プレドープのリチウム源とした場合、電極面内および電極毎およびロット毎でリチウムドープ量が安定しない問題がある。
そのため、リチウムプレドープを実施しても、エネルギー密度やサイクル特性が、充分に向上しない場合がある。
本発明は、この問題を解決するために成されたものであり、リチウムプレドープを安定して実施することで、不可逆容量を低減し、高エネルギー密度でサイクル特性が向上したリチウムイオン二次電池を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、リチウムを吸蔵、放出が可能な活物質を含む負極と正極が対向に配置された積層電極体を備えるリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
窒化リチウムを30%質量以上含む表面層を有するリチウム源を、負極活物質に接触させる工程を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法に関する。
本発明に係る実施形態によれば、高エネルギー密度で、かつサイクル特性が良好な二次電池を提供することができる。
本実施形態に係る二次電池が有する積層電極素子の一例を模式的に示す断面図である。 本実施形態に係るリチウムプレドープに用いるリチウム源の一例を模式的に示す断面図である。 本実施形態に係るリチウムプレドープに用いる基材を有するリチウム源の一例を模式的に示す断面図である。 従来のリチウムプレドープに用いるリチウム源の一例を模式的に示す断面図である。
本明細書において、リチウムプレドープとは、電池作製後の充電によらずに負極活物質にリチウムを吸蔵させること(リチウムをドープすること)であり、典型的には、電池完成前の工程において、負極活物質にリチウムを吸蔵させること(リチウムをドープすること)を意味する。
次に、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
[二次電池]
本実施形態に係る二次電池は、少なくとも一対の正極および負極が対向に配置された電極体と、電解液が外装体に内包される。二次電池の形状は、円筒型、扁平捲回角型、積層角型、コイン型、扁平捲回ラミネート型、および積層ラミネート型のいずれでもよいが、積層ラミネート型が好ましい。以下、積層ラミネート型の二次電池について説明する。
図1に、積層ラミネート型の二次電池が有する積層電極体1の一例の模式的な断面図を示す。複数の正極2および複数の負極3がセパレータ4を挟みつつ交互に積み重ねられている。各正極2および各負極3の一端において、それぞれ正極集電体5、負極集電体6が活物質に覆われていない活物質未塗布部分が設けられている。正極2および負極3は、該活物質未塗布部分を互いに反対向きにして重ねられている。
正極集電体5は、活物質未塗布部分で互いに電気的に接続され、その接続箇所にさらに正極リード端子7が接続されている。負極集電体6は、活物質未塗布部分で互いに電気的に接続され、その接続箇所にさらに負極リード端子8が接続されている。
積層ラミネート型の二次電池は、積層電極体1をアルミニウムラミネートフィルムなどの外装体で包み、内部に電解液を注液した後、減圧状態で封止することで作製される。
[負極]
本実施形態に係る積層電極体1に備えられている負極3は、負極活物質と負極用結着剤と負極用集電体とを含み、かつ、二次電池製作前あるいは電極積層前にリチウムをドープされた二次電池用負極である。負極3に含まれる負極活物質としては、特に限定されないが、好ましくは、リチウムと合金可能な金属、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な金属酸化物、およびリチウムイオンを吸蔵、放出可能な炭素材料等が挙げられる。本実施形態の活物質としては、これらの1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
リチウムと合金可能な金属としては、Al、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La、または、これらの二種以上の合金が挙げられる。特に、リチウムと合金可能な金属としてシリコン(Si)を含むことが好ましい。負極活物質中の金属の含有率は、5質量%以上95質量%以下とすることが好ましく、10質量%以上90質量%以下とすることがより好ましく、20質量%以上50質量%以下とすることがさらに好ましい。
リチウムイオンを吸蔵、放出可能な金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化リチウム、または、これらの複合物が挙げられる。特に、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な金属酸化物として酸化シリコンを含むことが好ましい。また、金属酸化物に窒素、ホウ素、リンおよびイオウの中から選ばれる一種または二種以上の元素を添加することもできる。こうすることで、金属酸化物の電気伝導性を向上させることができる。負極活物質中の金属酸化物の含有率は、0質量%でも100質量%でも構わないが、5質量%以上100質量%以下とすることが好ましく、40質量%以上95質量%以下とすることがより好ましく、50質量%以上90質量%以下とすることがさらに好ましい。
また、これらの金属酸化物は、その全部または一部がアモルファス構造を有することが好ましい。金属酸化物がアモルファス構造を有することで、リチウムと合金可能な金属やリチウムイオンを吸蔵、放出可能な炭素材料などの他の負極活物質の体積変化を抑制したり、電解液の分解を抑制したりすることができる。このメカニズムは明確ではないが、金属酸化物がアモルファス構造であることにより、炭素材料と電解液の界面への皮膜形成に何らかの影響があるものと推定される。また、アモルファス構造は、結晶粒界や欠陥といった不均一性に起因する要素が比較的少ないと考えられる。なお、金属酸化物の全部または一部がアモルファス構造を有することは、エックス線回折測定(一般的なXRD測定)にて確認することができる。具体的には、金属酸化物がアモルファス構造を有しない場合には、金属酸化物に固有のピークが観測されるが、金属酸化物の全部または一部がアモルファス構造を有する場合が、金属酸化物に固有ピークがブロードとなって観測される。
また、負極活物質が、リチウムと合金可能な金属およびリチウムイオンを吸蔵、放出可能な金属酸化物を含む場合、合金可能な金属はその全部または一部が金属酸化物中に分散していることが好ましい。こうすることで、負極全体としての体積変化を抑制することができ、電解液の分解も抑制することができる。なお、金属の全部または一部が金属酸化物中に分散していることは、透過型電子顕微鏡観察(一般的なTEM観察)とエネルギー分散型X線分光法測定(一般的なEDX測定)を併用することで確認することができる。具体的には、金属粒子を含むサンプルの断面を観察し、金属酸化物中に分散している金属粒子の酸素濃度を測定し、金属粒子を構成している金属が酸化物となっていないことを確認することができる。
さらに、負極活物質が金属および金属酸化物を含む場合、金属酸化物は、金属を構成する金属の酸化物であることが好ましい。
負極活物質が金属と金属酸化物とを含む場合、金属および金属酸化物の割合に特に制限はない。金属は、金属および金属酸化物の合計に対し、5質量%以上90質量%以下とすることが好ましく、30質量%以上60質量%以下とすることが好ましい。金属酸化物は、金属および金属酸化物の合計に対し、10質量%以上95質量%以下とすることが好ましく、40質量%以上70質量%以下とすることが好ましい。
リチウムイオンを吸蔵、放出可能な炭素材料としては、黒鉛、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、カーボンナノチューブ、およびこれらの複合物が挙げられる。これらのうち黒鉛は、結晶性が高く、また電気伝導性が高く、銅などの金属からなる集電体との接着性および電圧の平坦性に優れている。また、非晶質炭素は、結晶性が低く、体積変化が比較的小さいため、負極全体の体積変化を緩和することができ、かつ結晶粒塊や欠陥などの不均一性に起因する劣化を生じにくい。負極活物質中の炭素材料の含有率は、0質量%でも構わないが、1質量%以上50質量%以下とすることが好ましく、2質量%以上30質量%以下とすることがより好ましい。
負極活物質が、リチウムと合金可能な金属、およびリチウムイオンを吸蔵、放出可能な金属酸化物、およびリチウムイオンを吸蔵、放出可能な炭素材料を含む場合、これらの割合に特に制限はない。金属は、金属、金属酸化物および炭素材料の合計に対し、5質量%以上90質量%以下とすることが好ましく、20質量%以上50質量%以下とすることが好ましい。金属酸化物は、金属、金属酸化物および炭素材料の合計に対し、5質量%以上90質量%以下とすることが好ましく、40質量%以上70質量%以下とすることが好ましい。炭素材料は、金属、金属酸化物および炭素材料の合計に対し、1質量%以上50質量%以下とすることが好ましく、2質量%以上30質量%以下とすることが好ましい。
また、金属、金属酸化物および炭素材料は、特に制限するものではないが、それぞれ粒子状のものを用いることができる。例えば、金属の平均粒子径は、金属酸化物の平均粒子径および炭素材料の平均粒子径よりも小さい構成とすることができる。このようにすれば、充放電時に伴う体積変化の大きい金属が相対的に小粒径となり、体積変化の小さい金属酸化物や炭素材料が相対的に大粒径となるため、デンドライト生成および合金の微粉化がより効果的に抑制される。また、充放電の過程で大粒径の粒子、小粒径の粒子、大粒径の粒子の順にリチウムが吸蔵、放出されることとなり、この点からも、残留応力、残留歪みの発生が抑制される。金属の平均粒子径は、例えば10μm以下とすることができ、5μm以下とすることが好ましい。
また、炭素材料は、金属および金属酸化物を被覆する状態で粒子の表面付近に局在化してもよい。このように表面付近に局在化させることにより、金属および金属酸化物の凝集を抑制し、負極全体として体積変化を緩和することができ、さらに電子伝導性の均一化に効果がある。
負極活物質が金属と金属酸化物と炭素材料とを含み、金属酸化物の全部または一部がアモルファス構造であり、金属の全部または一部が金属酸化物中に分散しており、炭素材料が局在化しているような負極活物質は、例えば、特開2004−47404号公報で開示されているような方法で作製することができる。すなわち、金属酸化物をメタンガスなどの有機物ガスを含む雰囲気下でCVD処理を行うことで、金属酸化物中の金属がナノクラスター化し、かつ表面が炭素材料で被覆された複合体を得ることができる。また、金属と金属酸化物と炭素材料とを、段階的にメカニカルミリングで混合することでも、上記負極活物質を作製することができる。
また、本実施形態において、負極活物質は、シリコンを主体とした負極活物質であることが好ましい。シリコンおよびシリコン酸化物に、後述のようにリチウムプレドープ処理を行うことで、リチウムシリケートを形成することが出来る。その際、シリコンの価数を制御することで、高容量かつ長寿命の負極を作製することができる。具体的には、酸化数が0のシリコンと、酸化数が+4のシリコン原子を有するシリコン化合物と、酸化数が0より大きく+4未満のシリコン原子を有するシリコン低級酸化物を形成することで、高容量かつ長寿命の負極を作製することができる。
さらに、負極活物質を粉末状体でリチウムをドープしてもよく、例えば、特許文献5および特許文献6に記載のような手法により作製することができる。具体的には、粉末状の活物質とリチウム源(例えばリチウム金属、有機リチウム化合物、水素化リチウム、水素化リチウムアルミニウム等が挙げられ、水素化リチウムおよび水素化リチウムアルミニウムが好ましい。)とを、所定のモル比で混合した後、100℃〜800℃、好ましくは200℃〜800℃で加熱する。このように、負極活物質を粉末状体でリチウムプレドープした場合であっても、後述する本実施形態のリチウムプレドープ処理(所定の表面層を有するリチウム源を、負極活物質に接触させる工程)を実施することができる。従って、少なくとも2回のリチウムプレドープを実施してもよい。
負極用結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、変性ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸の金属塩、ポリイミド、ポリアミドイミド等が挙げられる。本実施形態では、ポリイミドまたはポリアミドイミドを含むことが好ましい。使用する負極用結着剤の含有率は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、負極活物質の全質量に対し、5〜20質量%が好ましく、8〜15質量%が好ましい。
負極集電体としては、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、およびこれらの合金やステンレスが挙げられる。集電体の形状は、箔、平板、メッシュ状などが挙げられる。
負極3の製造方法としては、例えば、負極活物質、導電性付与剤、および結着剤を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の溶剤中に分散、混練して負極スラリーを調整する。導電性付与剤としては、カーボンブラック、グラファイト、アセチレンブラック等の炭素質微粒子が挙げられる。負極活物質の表面に予め炭素材料が局材している場合は、導電性付与剤を含まなくても良い。該負極スラリーを銅箔等の負極集電体上に塗布し、溶剤を乾燥することでリチウムプレドープ前の負極を作製することができる。塗布方法としては、ドクターブレード法、ダイコーター法などが挙げられる。予め負極活物質層を形成した後に、蒸着、スパッタ等の方法でアルミニウム、ニッケルまたはそれらの合金の薄膜を形成して、負極集電体としてもよい。また、ポリイミド前駆体やポリアミドイミド前駆体等の、溶剤の乾燥温度以上での熱処理が必要な場合は、必要に応じて所望の熱処理を行うことができる。ポリアミド前駆体やポリイミド前駆体として、ポリアミック酸を含有していることが好ましい。また、負極集電体上に負極活物質等を蒸着やスパッタ等の気相法により成長することで、リチウムプレドープ前の負極を製作してもよい。
[リチウムプレドープ]
次に、負極(リチウムプレドープ前)に、以下に説明するようにリチウムプレドープして、本実施形態の負極を作製する。
まず、リチウムプレドープ一般について述べると、リチウムプレドープは、活物質中にリチウムを吸蔵させることで、負極活物質が有する大きな不可逆容量を低減する手段である。リチウムプレドープを、負極活物質とリチウムとの接触時期で分類すると、(i)負極作製前に負極活物質粉末、あるいは負極スラリーの状態でリチウムをドープする、(ii)負極作製後から電極体作製より前までの間に、金属リチウムあるいはリチウム化合物をリチウム源としてリチウムをドープする、(iii)電極体作製の間に、金属リチウムあるいはリチウム化合物をリチウム源としてリチウムをドープする、(iv)電極体作製後に、金属リチウムあるいはリチウム化合物をリチウム源としてリチウムをドープする、等に分類される。
上記(i)負極作製前におけるリチウムプレドープとしては、負極活物質粉末、あるいは負極スラリーの状態で、リチウム金属、有機リチウム化合物、水素化リチウム、水素化リチウムアルミニウム等(好ましくは水素化リチウムや水素化リチウムアルミニウム)をドープ剤として、好ましくは加熱して、リチウムをドープする方法(例えば、特許文献5および特許文献6)が挙げられる。
上記(ii)負極作製後から電極体作製より前までの間に行うプレドープは、捲回あるいは積層によって、負極、正極、およびセパレータが組み合わさった電極体になる前の時期に、負極のみの状態(好ましくは負極が極板状態にある状態)で行うリチウムプレドープのことである。この時期に行うリチウムプレドープとしては、(ii−1)負極とリチウム源を電解液中に配置し、電極とリチウム源の電位差によりリチウムをドープする方法、(ii−2)電極とリチウム源を接触させた状態に配置し、熱によるリチウムの拡散によりリチウムをドープする方法が挙げられる。
上記(iii)電極体作製の間に行うプレドープは、例えば、負極と正極とセパレータとを積層する際、負極の負極活物質で覆われている面の少なくとも片面、好ましくは両面にリチウム金属箔等のリチウム源を積層する方法が挙げられる。電極体を構成する負極が2層以上あるときは、少なくとも1層の負極の負極活物質で覆われている面のうち片面がリチウム源と接触していればよいが、好ましくは、電極体を構成するすべての負極の両面にリチウム源を積層する。その後、加熱してリチウムのドープを進行させてもよく、また、二次電池内でこの電極体が電解質に触れることにより一種の局部電池を形成し自己放電し電気化学的にリチウムが負極活物質にドープされる。
上記(iv)電極体作製後に行うプレドープは、電極体を作製した後、好ましくは、電極体と電解液とを外装体内に封入して二次電池を完成する工程において行われ、例えば、電極体の最外層の負極上にリチウム金属箔等のリチウム源を積層する方法が挙げられる。二次電池に組み込まれた後、二次電池内でこの電極体が電解質に触れることにより一種の局部電池を形成し自己放電し電気化学的にリチウムが負極活物質にドープされる。また、熱によりドープを進行させてもよい。
本実施形態の発明は、上記のリチウムプレドープの中で、リチウム源と負極活物質を直接接触させる処理を伴う方法であれば、全て適用可能である。好ましくは(ii−2)、(iii)および(iv)の方法に適用される。以下、(ii−2)の方法を例に本実施形態を説明するが、本実施形態は、他の方法においても有効である。
本実施形態において、負極に接触させるリチウム源は、リチウムを80質量%以上含む金属からなることが好ましい。リチウムを80質量%以上含む金属は、リチウム合金であってもよいが、リチウムの含有量が好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、最も好ましくは純リチウム金属である。リチウムを主成分とする金属に含有されるリチウム以外の金属元素としては、例えば、ナトリウム、マグネシウム、シリコン、カルシウム、銅、セシウム等が挙げられる。
リチウムを80質量%以上含む金属(以下、単に、リチウム金属ということがある。)の形態は、箔、片等の任意の形態でよいが、負極と接触できる面積が大きい方が好ましく、箔が好ましい。リチウム金属箔は、例えば、押し出しあるいは圧延により製作することができる。また蒸着により作製することもできる。
リチウム金属箔は、それ単独の箔の形態であってよいが、また、図3に示す様に、リチウム金属箔が基材12上に形成された形態でもよい。基材としては、銅などのリチウムと合金化反応しない金属箔、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルやポリプロピレン(PP)等のプラスチックフィルムなどが使用される。基材は、電極に密着可能な柔軟性を有することが好ましいが、一方で、リチウムのドープにより電極に膨張や収縮による体積変化が生じた際にシワ等にならない程度の強度を有すると、電極の形状変化を緩和する効果がある。従って、例えば、銅箔では10μmから40μmの厚さを有することが好ましい。
リチウムを80質量%以上含む金属は反応性が高く、その表面は製造時の環境、保管環境、および使用時の作業環境によって酸化物、窒化物、および他のリチウムの反応生成物などが生成し易く、さらに製造時の界面活性剤も残留する可能性もあるため、表面を純リチウムの状態に保つことが難しい。また、これらが生成する反応は低露点雰囲気の環境下においても進行することから、図4に示すようにリチウム源は、リチウム金属9の表面に窒化物や酸化物、その他の反応生成物からなる不均一な表面層11が存在する。
この表面層11の組成は、製造方法や使用条件、使用環境、保管環境などにより、大きく異なることが多い。真空装置内で蒸着やスパッタなどによりリチウム膜を形成した場合であっても、蒸着時の真空度や導入ガス、温度などの条件により表面層の生成状態は異なる。また、深さ方向および横方向への分布も使用条件や環境により異なる。
さらに、例えば、リチウムの酸化物や窒化物はイオン伝導率などや熱や圧力への反応が異なるなど、その特性も異なる。例えば、炭酸リチウムなどは窒化リチウムに比べてイオン伝導率の低く電気伝導に不利であることから、電極中への拡散を抑制する必要がある。
リチウム金属表面に形成される不均一(組成および形態)な表面層に起因し、負極とリチウム源の接触界面の均一性や再現性におけるばらつき、負極へのプレドープの不均一が生じる。その結果、十分な量のリチウムをドープできない、あるいは必要量以上のリチウムがドープされてデンドライト発生の要因となる等の不具合を生じる。さらに、負極に対する不安定なリチウムプレドープは、二次電池のエネルギー密度やサイクル特性などに対するプレドープの効果を低減する。
対策として、ガス組成を制御した減圧雰囲気下において負極上へリチウムを直接蒸着する方法、あるいはガス組成を制御した減圧雰囲気下におけるリチウム源製造と、負極へプレドープとの連続プロセスによる方法を採用すれば、表面層の問題は解決可能と考えられるが、実用性に乏しい。
本発明者は、上記の問題を鋭意検討した結果、所定の表面層を有するリチウム源を負極活物質に接触させてリチウムプレドープを行うことにより、均一で十分な量のリチウムをドープした負極を作製できることを見いだしたものである。
本実施形態において、負極へのリチウムドープに用いるリチウム源は、図2および図3に示す様に、窒化リチウムを30質量%以上含む表面層10を有する。即ち、本実施形態のリチウムイオン二次電池の製造方法は、窒化リチウムを30質量%以上含む表面層を有するリチウム源を、負極活物質に接触させる工程を有する。以下、窒化リチウムを30質量%以上含む表面層を、「窒化リチウムを主として含む表面層」と呼ぶことがある。
リチウム源は、好ましくはすでに説明したとおりの、リチウムを80質量%以上含む金属であり、その形態は、箔、片等の任意の形態、好ましくは箔である。図2に示すリチウム源は、リチウム金属の単独の箔であり、リチウム金属9の両面に、窒化リチウムを主として含む表面層10を有する。ここで、リチウム源が、リチウム金属の単独の箔である場合、リチウム源の少なくとも片面(負極と接触させる面)が、窒化リチウムを主として含む表面層となっていればよいが、図2に示すように、両面が窒化リチウムを主として含む表面層であってもよい。また、図3に示すリチウム源は、基材12上に形成されたリチウム金属9の表面(基材と反対側)に、窒化リチウムを主として含む表面層10を有する。
表面層10の厚さはリチウム源の厚さの30%以下であることが好ましい。望ましくは、表面層10の厚さは3μm以下であること、および/またはリチウム源の厚さの20%以下であることが好ましい。特に望ましくは、表面層10の厚さが1μm以下であること、および/またはリチウム源の厚さの10%以下であることが好ましい。ここで、「厚さ」とは、リチウム源と負極との接触面に対して、垂直方向における厚さである。リチウム源の厚さは、特に限定されず、例えば20mm以下でよく、1例としては5mm以下、好ましくは1mm以下程度である。特にリチウム源が箔の形態であるとき、箔の厚さとしては、より好ましくは500μm以下である。また、リチウム源の厚さは、通常では好ましくは1μm以上であり、より好ましくは3μm以上であり、さらに好ましくは5μm以上である。
リチウム源の厚さは、特に限定されないが、負極の組成および厚さよって調整することが好ましい。表面層10の厚さが上記範囲であるリチウム源を用いることにより、電極とリチウム源の接触界面における不均一性が改善される。特に0.5μm以下の薄い表面層の場合には、負極表面の凹凸によって表面層を突き破るため、表面層より下のリチウム金属部分と負極とが接触する割合が増加するため、特に好ましい。リチウム源の表面層は、リチウム金属が反応して形成された不純物層であるため、本来は極めて薄いことが好まれるが、リチウム源の表面で均一であることが必要なため少なくとも0.03μm以上の厚さであることが好ましい。
さらに好ましい実施形態において、窒化リチウムを主として含む表面層10は、窒化リチウムを40質量%以上、より好ましくは50質量%以上含有する。窒化リチウムは炭酸リチウムなどと比較して高いイオン伝導率(約6mS/cm)を有していることから、表面層中に占める割合を多くすることで表面層の導電率が改善される。また、窒化リチウムの状態で電極中に取り込まれた場合にも、電極の導電性を劣化させる可能性が低い。特にリチウムプレドープ量が少量となる場合などは、表面層内の窒化リチウムの割合が、70質量%以上であることが好ましい。
尚、窒化リチウムを主として含む表面層内には、酸化リチウムや炭酸リチウムなど、イオン伝導率が窒化リチウムよりも低い物質は極力含まないことが好ましい。これらのイオン電導率が低い物質の含有率は、20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下である。さらに好ましくは1質量%以下である。
リチウム源の表面に、窒化リチウムを主として含有する表面層を形成する方法としては、特に限定されない。例えば、特許文献7、特許文献8に記載されているように、リチウム金属をNガスと接触させて反応させる方法が一般的である。反応温度は、リチウムの融点(180.5℃)未満が好ましく、室温(20℃)程度〜120℃程度が好ましい。
他に、例えば特許文献9の段落0025に記載されているように、例えば窒素を含む雰囲気下(例えば窒素とアルゴンの混合物)で、50〜300eVのイオンエネルギーを有するイオンビームをリチウム金属表面に操作しながら同時にリチウム金属を熱蒸着して、リチウム金属表面に窒化リチウムを主として含有する表面層を形成することができる。
表面層を形成されるリチウム源の表面には、不純物層などが極力存在しないことが好ましく、圧延や蒸着などによりリチウム源を形成するのと連続して表面層を形成することが好ましい。また、既に表面に不純物層が存在するリチウム源については、物理的あるいは化学的手法により不純物層を除去したのち、Nガスと接触させて表面層を形成することができる。
窒化リチウムを主として含む表面層を有するリチウム源と負極とを接触させるにあたっては、負極とリチウム源が密着していればよく、その方法としては特に限定されない。例えば、(1)負極とリチウム源を重ねた後、加圧により負極とリチウム源を密着させる方法、(2)負極とリチウム源を重ねた後、減圧により電極とリチウム源の界面の隙間を除去する方法などが挙げられる。
重ね合わせた負極とリチウム源を加圧する方法では、比較的軟質であるリチウムが電極以外にはみ出さない範囲の圧力を加える必要があり、具体的には、0.5kgf/cmから30kgf/cmの加圧が好ましい。特にリチウム源の厚さが100μm以下である場合は、15kgf/cm以下の加圧が好ましい。また、電極面内で均一のリチウムプレドープを行うために、電極面内に対して均一に加圧することが好ましい。
重ね合わせた負極とリチウム源を減圧により接触させる方法では、接触を維持できる状態で電極とリチウム源を、例えば袋等の変形可能な減圧容器内に配置し、外側から受ける大気圧による減圧容器の変形により、電極とリチウム源とを互いに押し付けながら、その界面に余分な隙間がなくなる範囲で減圧する。また、電極とリチウムをラミネート等の封止可能な袋に入れて減圧を行い、減圧下で封止してもよい。減圧する圧力は、例えば、負極とリチウム箔とを接触させる場合、−0.05MPaから−0.1MPaの減圧で密着させることが好ましい。
更に、(1)と(2)の方法を組み合わせて行ってもよく、また、負極とリチウム源の接触が良好であれば、加圧や減圧を行わなくてもよい。リチウム源から負極への拡散(ドープ)は、リチウムと電極が接触している部分で進行するため、リチウム負極とリチウム源が十分に接触して余分な隙間のない状態ではリチウムと電極の接触面積が大きく、リチウムプレドープが均一に進行しやすい。
負極とリチウム源とを加熱する温度は、リチウムの拡散が安定して進行し、かつ金属リチウムの融点(180.5℃)を超えない温度範囲である必要があり、例えば室温(20℃)から180℃の範囲が好ましい。金属リチウムの融点を超えた温度では、溶融したリチウムが電極以外にはみ出してしまい、効率的にドープすることができない。また、上述した負極とリチウム源を接触させる方法などにより良好な接触が得られている場合にはドープが進行しやすく、室温(20℃)から130℃がより好ましい。特に負極とリチウム源が余分な隙間なく密着している場合には、室温(20℃)から80℃が特に好ましい。加熱する時間は、必要とするドープ量および加熱温度にも依存するが、1時間から100時間の範囲で概ねプレドープが完了でき、好ましくは2時間から12時間である。
また、負極とリチウム源とを接触した状態で加熱する工程で、負極とリチウム源の密着を保持する状態で加圧しつつ加熱してもよい。
必要量のリチウムプレドープを完了した後、電極上にリチウムが残存している場合にはこれを取り除いてもよい。基材上に形成したリチウム箔などをリチウム源とした場合には、容易に取り除くことが可能である。
なお、前述のように金属リチウムは反応性の高い金属であり、水分とも激しく反応するため、リチウムプレドープに関する作業は低湿度環境で行うことが好ましく、かつリチウム源の劣化を抑制するためにアルゴンなどのリチウムに対して不活性なガス雰囲気で作業を行うことが好ましい。
[正極]
本実施形態に係る積層電極体1に備えられている正極2としては、特に限定されず、通常の二次電池用正極を用いることができる。正極2に含まれる正極活物質としては、例えば、LiMnO、LiMn(0<x<2)等の層状構造を持つマンガン酸リチウムまたはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム;LiCoO,LiNiOまたはこれらの遷移金属の一部を他の金属で置き換えたもの;LiNi1/3Co1/3Mn1/3などの特定の遷移金属が半数を超えないリチウム遷移金属酸化物;これらのリチウム遷移金属酸化物において化学量論組成よりもLiを過剰にしたもの等が挙げられる。特に、LiαNiβCoγAlδ(1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.7、γ≦0.2)またはLiαNiβCoγMnδ(1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.6、γ≦0.2)が好ましい。正極に含まれる正極活物質としては、一種を単独で使用してもよく、または二種以上を組み合わせて使用してもよい。
正極2の作製方法としては、例えば、少なくとも正極活物質、導電性付与剤、および結着剤を、該結着剤を溶解しうるN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤中に分散混練して正極スラリーを調整する。導電性付与剤としては、カーボンブラック、グラファイト、アセチレンブラック等の炭素質微粒子が挙げられる。結着剤としては、負極と同様のものを用いることができる。該正極スラリーをアルミニウム等の正極集電体上に塗布し、溶剤を乾燥することで正極を作製することができる。また、乾燥後の正極をプレス加工して、空隙率を調整してもよい。正極集電体としては、負極集電体と同様のものを用いることができる。また、正極集電体上に正極活物質等を蒸着やスパッタ等の気相法により成長することで、正極を製作してもよい。
[リード端子]
本実施形態に係る負極リード端子7および正極リード端子7の材質としては、Al、Cu、Ni、Ti、Fe、燐青銅、真鍮、ステンレス等が挙げられる。これらは一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて、または合金として用いてもよい。負極リード端子4および正極リード端子5は焼き鈍し処理が施されていてもよい。
[セパレータ]
本実施形態に係る積層電極体1に備えられているセパレータ4としては、特に限定されず、通常の二次電池用セパレータを用いることができる。例えば、織布、不織布、多孔質膜等を用いることができる。特に、ポリプロピレン、ポリエチレン、分子骨格が芳香族からなるポリアミド系の多孔膜が、薄膜化かつ大面積化することができる点、また膜強度や膜抵抗の観点から好ましい。なお、セパレータ4の表面は酸化アルミニウム等の酸化物で被覆されてもよい。また、セパレータ4としては、これらを積層したものを用いることもできる。
[電解液]
本実施形態で用いる電解液としては、特に限定されず、通常の二次電池用電解液を用いることができる。電解液としては、例えば、非水溶媒に電解質としてリチウム塩を溶解させた非水電解液を用いることができる。
リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、Li(CFSO,LiN(CFSO、LiN(SOF)等が挙げられる。特に、支持塩としてのリチウム塩は、LiPF、LiBFが好ましい。これらの支持塩は、一種を単独で使用してもよく、または二種以上を組み合わせて使用してもよい。
非水溶媒としては、例えば、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、脂肪族カルボン酸エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、γ−ラクトン類およびこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも一種以上の有機溶媒が挙げられる。環状カーボネート類の具体例としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)およびこれらの誘導体が挙げられる。鎖状カーボネート類の具体例としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(MEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)およびこれらの誘導体が挙げられる。脂肪族カルボン酸エステル類の具体例としては、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチルおよびこれらの誘導体が挙げられる。環状エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。鎖状エーテル類の具体例としては、1,2−エトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)、ジエチルエーテルおよびこれらの誘導体が挙げられる。γ−ラクトン類の具体例としては、γ―ブチロラクトンおよびこの誘導体が挙げられる。さらに、これら以外にも非水溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、1,3−ジオキソラン等のジオキソラン、ジオキソラン誘導体、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキソゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンスルトン、アニソール、N−メチルピロリドン、フッ素化カルボン酸エステル等が挙げられる。これらの非水溶媒は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、電解液としてイオン液体を用いることもできる。イオン液体としては、例えば4級アンモニウム−イミド塩等が挙げられる。また、電解液としてリン酸エステルを用いることもできる。リン酸エステルとしては、例えばリン酸トリエチル等が挙げられる。
さらに、液状の電解質ではなく、固体状の電解質を用いてもよい。固体状の電解質としては、例えば、前記電解液をポリアクリロニトリルやポリアクリレート等のポリマーに含浸させたゲル電解質や、LiPON、LiS−LiP(x=1〜2、y=2〜4)等の固体電解質が挙げられる。
また、本実施形態のおいてはゲル状の電解質を用いてもよい。
[外装体]
本実施形態に係る外装体としては、電解液に安定であり、かつ水蒸気に対して十分なバリア性を持ち、さらに電解液を漏らさずに積層電極体1を封止できるものであれば、特に限定されず、ラミネートフィルム等のラミネート外装体や金属缶等を用いることができる。例えば、積層ラミネート型の二次電池の場合、外装体としては、アルミニウム、シリカをコーティングしたポリエチレン等のラミネートフィルムを用いることができる。
次に、本実施形態を実施例により具体的に説明する。下記の実施例は本発明の好ましい形態を例示するものであり、本発明が下記の実施例に限られるわけではない。
<実施例1>
[負極の作製]
SiO(商品名:「SIO19PB」、(株)高純度化学研究所)と、カーボンブラック(商品名:「#3030B」、三菱化学(株)製)と、ポリアミック酸(商品名:「U−ワニスA」、宇部興産(株)製)とを、それぞれ75:5:20の質量比で計量した。これらと、n−メチルピロリドン(NMP)とをホモジナイザーを用いて混合し、スラリーとした。NMPと固形分との質量比は57:43とした。該スラリーを、銅箔上にドクターブレードを用いて塗布した。その後、120℃で7分間加熱し、NMPを乾燥させた。その後、窒素雰囲気下にて電気炉を用いて350℃で1時間加熱し、負極を作製した。
[リチウムプレドープ]
リチウム源として、厚さ20μmのリチウム箔を用意した。厚さ約0.1μmの主に窒化リチウムからなる表面層(窒化リチウム約90質量%)が、リチウム箔表面の90%以上をカバーしている。
リチウム箔を負極上に重ねた状態でアルミニウムラミネート袋に収容して袋内を−0.1MPaまで減圧しつつ封止した。次にアルミニウムラミネート袋を恒温槽内で100℃24時間の加熱処理を行った。熱処理を完了した後、アルミニウムラミネート袋が完全に室温(23℃)以下に戻った後に袋から電極を取り出し、リチウムプレドープを完了した。本実施例で作製した負極では、熱処理後に全てのリチウム源が電極内にドープされていた。
[正極の作製]
正極活物質としてのリチウム遷移金属酸化物(LiNi0.80Co0.15Al0.15)と、導電性付与剤としてカーボンブラックと、正極用結着剤としてポリフッ化ビニリデンとを、質量比90:5:5で計量し、それらをn−メチルピロリドンと混合して、正極スラリーを作製した。正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔に塗布した後に乾燥し、さらにプレス処理を行うことで、正極を作製した。
[電解液の作製]
EC/PC/DMC/EMC/DEC=20/20/20/20/20(体積比)の混合溶媒に、支持塩としてLiPFを1モル/Lの濃度で溶解して、カーボネート系非水電解液を作製した。
[二次電池の作製]
作製した負極の4枚と正極の3枚を、セパレータとしてのポリプロピレン多孔質フィルムを挟みつつ交互に重ねた。負極活物質に覆われていない負極集電体の端部および正極活物質に覆われていない正極集電体の端部をそれぞれ溶接した。さらにその溶接部分に、ニッケル製の負極リード端子およびアルミニウム製の正極リード端子をそれぞれ溶接した。さらに、これらの溶接部分に熱可塑性樹脂からなる被覆材を融着して、積層構造を有する平面的な積層電極体を作製した。
作製した積層電極素子を外装体としてのアルミニウムラミネートフィルムで包み、内部に電解液を注液した後、0.1気圧まで減圧した状態で封止した。以上により、二次電池を作製した。
[リチウムプレドープ量評価]
リチウムプレドープを行う前後で負極の重量を測定して、塗布面の単位面積あたりの重量の増加分をリチウムプレドープ量として算出した。評価結果を表1に示す。
[二次電池特性評価]
作製した二次電池について、環境温度20℃、上限電圧4.2V、下限電圧2.7V、1Cレートで充放電試験を行い、100サイクル後の放電容量維持率を測定した。1Cの設定値は、充放電試験前に充放電を2mAで3回実施したときの、3回目の放電容量を1Cとした。評価結果を表1に示す。
<実施例2>
[負極の作製]
実施例1と同様の手法で、負極を作製した。
[リチウムプレドープ]
リチウム源として、厚さ20μmのリチウム箔を用意した。厚さ約1μmの主に窒化リチウムから成る表面層(窒化リチウム約90質量%)が、リチウム箔表面の90%以上をカバーしている。
リチウム箔を負極上に重ねた状態でアルミニウムラミネート袋に収容して袋内を−0.1MPaまで減圧しつつ封止した。次にアルミニウムラミネート袋を恒温槽内で100℃24時間の加熱処理を行った。熱処理を完了した後、アルミニウムラミネート袋が完全に室温(23℃)以下に戻った後に袋から電極を取り出し、リチウムプレドープを完了した。本実施例で作製した負極では、熱処理後に全てのリチウム源が電極内にドープされていた。
[正極の作製]
実施例1と同様の手法で、正極を作製した。
[電解液の作製]
実施例1と同様の手法で、電解液を作製した。
[二次電池の作製]
実施例1と同様の手法で、二次電池を作製した。
作製した負極と二次電池を実施例1と同様の手法で評価した。評価結果を表1に示す。
<実施例3>
[負極の作製]
実施例1と同様の手法で、負極を作製した。
[リチウムプレドープ]
リチウム源として、15μmの銅箔(基材)上に形成された厚さ20μmのリチウム箔を用意した。厚さ約1μmの主に窒化リチウムから成る表面層(窒化リチウム約90質量%)が、リチウム箔表面の90%以上をカバーしている。
リチウム箔を負極上に重ねた状態でアルミニウムラミネート袋に収容して袋内を−0.1MPaまで減圧しつつ封止した。次にアルミニウムラミネート袋を恒温槽内で100℃24時間の加熱処理を行った。熱処理を完了した後、アルミニウムラミネート袋が完全に室温(23℃)以下に戻った後に袋から電極を取り出しリチウム源の基材である銅箔を取り外して、リチウムプレドープを完了した。本実施例で作製した負極では、熱処理後に全てのリチウム源が電極内にドープされていた。
[正極の作製]
実施例1と同様の手法で、正極を作製した。
[電解液の作製]
実施例1と同様の手法で、電解液を作製した。
[二次電池の作製]
実施例1と同様の手法で、二次電池を作製した。
作製した負極と二次電池を実施例1と同様の手法で評価した。評価結果を表1に示す。
<実施例4>
[負極の作製]
実施例1と同様の手法で、負極を作製した。
[リチウムプレドープ]
リチウム源としては、15μmの銅箔(基材)上に形成された厚さ50μmのリチウム箔を用意した。厚さ約1μmの主に窒化リチウムから成る表面層(窒化リチウム約90質量%)であり、リチウム箔表面の90%以上をカバーしている。
リチウム箔を負極上に重ねた状態でアルミニウムラミネート袋に収容して袋内を−0.1MPaまで減圧しつつ封止した。次にアルミニウムラミネート袋を恒温槽内で100℃24時間の加熱処理を行った。熱処理を完了した後、アルミニウムラミネート袋が完全に室温(23℃)以下に戻った後に袋から電極を取り出し、リチウム源の基材である銅箔と銅箔上に残留したリチウムを取り外して、リチウムプレドープを完了した。本実施例で作製した負極では、ドープ量に対して余剰なリチウムは基材の銅箔上に残留した。
[正極の作製]
実施例1と同様の手法で、正極を作製した。
[電解液の作製]
実施例1と同様の手法で、電解液を作製した。
[二次電池の作製]
実施例1と同様の手法で、二次電池を作製した。
作製した負極と二次電池を実施例1と同様の手法で評価した。評価結果を表1に示す。
<実施例5>
[負極の作製]
実施例1と同様の手法で、負極を作製した。
[リチウムプレドープ]
リチウム源として、15μmの銅箔(基材)上に形成された厚さ50μmのリチウム箔を用意した。厚さ約1μmの主に窒化リチウムから成る表面層(窒化リチウム約90質量%)が、リチウム箔表面の90%以上をカバーしている。
リチウム箔を負極上に重ねた状態で、リチウム源および負極の全面を均一に5kgf/cmで加圧した。加圧により密着したリチウム源および負極をアルミニウムラミネート袋に収容して減圧封止した。次にアルミニウムラミネート袋を恒温槽内で100℃24時間の加熱処理を行った。熱処理を完了した後、アルミニウムラミネート袋が完全に室温(23℃)以下に戻った後に袋から電極を取り出し、リチウム源の基材である銅箔と銅箔上に残留したリチウムを取り外して、リチウムプレドープを完了した。本実施例で作製した負極では、ドープ量に対して余剰なリチウムは基材の銅箔上に残留した。
[正極の作製]
実施例1と同様の手法で、正極を作製した。
[電解液の作製]
実施例1と同様の手法で、電解液を作製した。
[二次電池の作製]
実施例1と同様の手法で、二次電池を作製した。
作製した負極と二次電池を実施例1と同様の手法で評価した。評価結果を表1に示す。
<実施例6>
[負極の作製]
実施例1と同様の手法で、負極を作製した。
[リチウムプレドープ]
リチウム源として、15μmの銅箔(基材)上に形成された厚さ50μmのリチウム箔を用意した。厚さ約1μmの主に窒化リチウムから成る表面層(窒化リチウム約90質量%)が、リチウム箔表面の90%以上をカバーしている。
リチウム箔を負極上に重ねた状態で、リチウム源および負極の全面を均一に10kgf/cmで加圧した。加圧により密着したリチウム源および負極をアルミニウムラミネート袋に収容して減圧封止した。次にアルミニウムラミネート袋を恒温槽内で100℃16時間の加熱処理を行った。熱処理を完了した後、アルミニウムラミネート袋が完全に室温(23℃)以下に戻った後に袋から電極を取り出し、リチウム源の基材である銅箔と銅箔上に残留したリチウムを取り外して、リチウムプレドープを完了した。本実施例で作製した負極では、ドープ量に対して余剰なリチウムは基材の銅箔上に残留した。
[正極の作製]
実施例1と同様の手法で、正極を作製した。
[電解液の作製]
実施例1と同様の手法で、電解液を作製した。
[二次電池の作製]
実施例1と同様の手法で、二次電池を作製した。
作製した負極と二次電池を実施例1と同様の手法で評価した。評価結果を表1に示す。
<実施例7>
[負極の作製]
実施例1と同様の手法で、負極を作製した。
[リチウムプレドープ]
リチウム源として、15μmの銅箔(基材)上に形成された厚さ50μmのリチウム箔を用意した。厚さ約1μmの主に窒化リチウムから成る表面層(窒化リチウム約90質量%)が、リチウム箔表面の90%以上をカバーしている。
リチウム箔を負極上に重ねた状態で、リチウム源および負極の全面を均一に5kgf/cmで加圧した。加圧により密着したリチウム源および負極をアルミニウムラミネート袋に収容して減圧封止した。次にアルミニウムラミネート袋を恒温槽内で60℃24時間の加熱処理を行った。熱処理を完了した後、アルミニウムラミネート袋が完全に室温(23℃)以下に戻った後に袋から電極を取り出し、リチウム源の基材である銅箔と銅箔上に残留したリチウムを取り外して、リチウムプレドープを完了した。本実施例で作製した負極では、ドープ量に対して余剰なリチウムは基材の銅箔上に残留した。
[正極の作製]
実施例1と同様の手法で、正極を作製した。
[電解液の作製]
実施例1と同様の手法で、電解液を作製した。
[二次電池の作製]
実施例1と同様の手法で、二次電池を作製した。
作製した負極と二次電池を実施例1と同様の手法で評価した。評価結果を表1に示す。
<参考例>
リチウムプレドープを実施しなかったことを除いて、実施例1と同様にして、二次電池を作製して評価した。評価結果を表1に示す。
<比較例1>
[負極の作製]
実施例1と同様の手法で、負極を作製した。
[リチウムプレドープ]
リチウム源として、厚さ20μmのリチウム箔を用意した。リチウム箔の表面には、主に炭酸リチウムと窒化リチウムから成る厚さ約2μmの表面層が形成されており、表面層中、窒化リチウムの割合は25質量%、炭酸リチウムの割合は約70質量%、酸化リチウムの割合が約5%であった。表面層はリチウム箔表面の90%以上をカバーしている。
リチウム箔を負極上に重ねた状態でアルミニウムラミネート袋に収容して袋内を−0.1MPaまで減圧しつつ封止した。次にアルミニウムラミネート袋を恒温槽内で100℃24時間の加熱処理を行った。熱処理を完了した後、アルミラミネート袋が完全に室温(23℃)以下に戻った後に袋から電極を取り出し、リチウムプレドープを完了した。本実施例で作製した負極では、熱処理後に電極上に残ったリチウム源を除去した。
[正極の作製]
実施例1と同様の手法で、正極を作製した。
[電解液の作製]
実施例1と同様の手法で、電解液を作製した。
[二次電池の作製]
実施例1と同様の手法で、二次電池を作製した。
作製した負極と二次電池を実施例1と同様の手法で評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2013187176
二次電池作製前にリチウムプレドープを行うことで、良好な容量維持率を有する二次電池を作製することができた(実施例1〜7)。特に、主に窒化リチウムからなる表面層を有するリチウム源を用いることが、リチウムドープ量の安定に有効であり、その結果、良好な容量維持率が得られることを確認した。同じ手法によるリチウムプレドープを行っても、リチウム源が不均一な表面層を有する場合には、適量のリチウムプレドープ量が得られず、さらに容量維持率への効果が十分に得られていない(実施例1、2、比較例1)。また、基材上に形成したリチウム源を用いてプレドープをおこなっても、同様の効果が得られることを確認した(実施例3)。また、リチウム源の厚さを変えて、リチウムプレドープ後に残ったリチウム源を除去した場合も、同様の効果が得られることを確認した(実施例4)。さらに、リチウム源と電極とを加圧を用いて密着させた場合も、同様の効果が得られることを確認した(実施例5,6)。また、リチウムプレドープ工程において、加熱する温度と時間を変えても同様の効果が得られることを確認した(実施例5〜7)。
<実施例8>
[負極の作製]
SiO(商品名:「SIO19PB」、(株)高純度化学研究所)表面に化学気相成長法により炭素を均一に被覆(被覆量はSiOに対し質量比で約5/75)したのち、炭素被覆SiOとポリアミック酸(商品名:「U−ワニスA」、宇部興産(株)製)とを、それぞれ80:20の質量比で計量した。これらと、n−メチルピロリドン(NMP)とをホモジナイザーを用いて混合し、スラリーとした。NMPと固形分との質量比は57:43とした。該スラリーを、銅箔上にドクターブレードを用いて塗布した。その後、120℃で7分間加熱し、NMPを乾燥させた。その後、窒素雰囲気下にて電気炉を用いて350℃で1時間加熱し、負極を作製した。
[リチウムプレドープ]
実施例1と同様の方法で、リチウムプレドープを実施した。リチウムプレドープ量は1.1mg/cmであった。
[正極の作製]
実施例1と同様の手法で、正極を作製した。
[電解液の作製]
実施例1と同様の手法で、電解液を作製した。
[二次電池の作製]
実施例1と同様の手法で、二次電池を作製した。
作製した負極と二次電池を実施例1と同様の手法で評価した。容量維持率は88%であった。
本発明の二次電池は、高エネルギー密度で、かつサイクル特性が良好な二次電池であり、電源を必要とするあらゆる産業分野、ならびに電気的エネルギーの輸送、貯蔵および供給に関する産業分野にて利用することができる。具体的には、モバイル機器の電源、移動・輸送用媒体の電源、バックアップ電源、太陽光発電、風力発電などで発電した電力を貯める蓄電設備などに、利用することができる。
1 積層電極体
2 正極
3 負極
4 セパレータ
5 正極集電体
6 負極集電体
7 正極リード端子
8 負極リード端子
9 リチウム金属
10 窒化リチウムを主として含む表面層
11 表面層
12 リチウム源の基材

Claims (11)

  1. リチウムを吸蔵、放出が可能な活物質を含む負極と正極が対向に配置された積層電極体を備えるリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    窒化リチウムを30%質量以上含む表面層を有するリチウム源を、負極活物質に接触させる工程を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
  2. 前記リチウム源が、リチウムを80質量%以上含む金属であることを特徴とする請求項1に記載の二次電池の製造方法。
  3. 前記リチウム源を前記負極活物質に接触させる工程が、前記リチウム源を負極中の前記負極活物質と接触させることを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  4. 前記リチウム源の形態が、箔であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  5. 前記リチウム源が、基材上に形成した箔であることを特徴とする請求項4に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  6. 前記表面層に含まれる窒化リチウムの割合が、少なくとも50wt%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  7. 前記表面層の厚さが、少なくとも0.03μm以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  8. 前記表面層の厚さが、前記リチウム源の厚さの30%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  9. 前記リチウム源を前記負極活物質に接触させる工程を、前記リチウム源を前記負極に対向配置し、室温から180℃の範囲で実施することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  10. 前記リチウム源を前記負極活物質に接触させる工程が、前記リチウム源を前記負極に対向配置し、圧力0.5kgf/cm以上30kgf/cm以下で加圧することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたリチウムイオン二次電池。
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