JP2015198055A - ナトリウム二次電池、ナトリウム二次電池の負極の製造方法、及び該負極を含むナトリウム二次電池の製造方法 - Google Patents

ナトリウム二次電池、ナトリウム二次電池の負極の製造方法、及び該負極を含むナトリウム二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、不可逆容量が無く、サイクル特性に優れたナトリウム二次電池を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、ナトリウム二次電池に関する。このナトリウム二次電池は、ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な正極、スズ含有合金を含む負極、及びナトリウムイオン導電性を有する電解質を含み、前記負極にナトリウムをプレドーピングしていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ナトリウム二次電池に関する。特に本発明は、スズ含有合金を含む材料を負極に含む不可逆容量のほとんどないナトリウム二次電池に関する。本発明は更に、前記負極の製造方法に関する。また、本発明は、前記負極を含むナトリウム二次電池の製造方法に関する。
ナトリウムイオンの挿入及び脱離反応を用いるナトリウム二次電池は、現在、広範に使用されているリチウム二次電池よりも、ナトリウムの資源の優位性から、コスト性に優れた二次電池として期待されており、電極材料や電解質材料に関する研究開発が進められている。
Komabaらは、非特許文献1で、有機電解液中でスズを負極として用いたナトリウム二次電池において、電流密度50mA/gで充放電した場合、可逆容量が約500mAh/gと比較的大きな容量を示し、20回のサイクル数で安定して充放電することを報告している。しかし、当該ナトリウム二次電池では、不可逆容量が100mAh/g以上あることが非特許文献1に記載のグラフからわかる。
S. Komaba et al., Electrochem. Commun., 21, 65 (2012)
上記のように、スズ含有合金を用いた負極材料は、ナトリウム二次電池に使用した場合不可逆容量が大きいという問題がある。従って、本発明は、スズ含有合金を用いた場合であっても、不可逆容量のほとんどないナトリウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明の第1は、不可逆容量のほとんどないナトリウム二次電池に関する。
具体的には、本発明のナトリウム二次電池は、ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な正極、スズ(Sn)又はスズ含有合金を含む負極、及びナトリウムイオン導電性を有する電解質を含むナトリウム二次電池であって、前記スズ含有合金は、Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCuから選択される)であり、前記スズ(Sn)又はSn−M合金は、これらにナトリウムがプレドーピングされたものであることを特徴とする。
本発明のナトリウム二次電池において、前記負極は、カーボンを更に含むことができる。
本発明のナトリウム二次電池では、前記電解質を、ナトリウムイオンを含む有機電解液とすることができる。
本発明の第2は、ナトリウム二次電池の負極を製造する方法である。この方法の第1の実施形態は、
(a)スズ(Sn)又はスズ含有合金[Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCuから選択される)]を準備する工程
(b)前記スズ(Sn)又はスズ含有合金にナトリウムをドーピングする工程であって、前記スズ(Sn)又はスズ含有合金に直接金属ナトリウム箔を張り付け、有機電解液中、0.5〜10kPaの圧力下で加圧することを含む工程
を含むことを特徴とする。
また、ナトリウム二次電池の負極を製造する方法の第2の実施形態は、
(a)スズ(Sn)又はスズ含有合金[Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCuから選択される)]を準備する工程
(a’)前記工程(a)に続いて、Sn又はSn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCuから選択される)に、カーボン材料を混合する工程
(b)前記カーボン材料を含むスズ(Sn)又はスズ含有合金に、ナトリウムをドーピングする工程であって、前記スズ(Sn)又はスズ含有合金に直接金属ナトリウム箔を張り付け、有機電解液中、0.5〜10kPaの圧力下で加圧することを含む工程
を含むことを特徴とする。
本発明の第3は、上記ナトリウム二次電池の製造方法である。この方法は、
(i)ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な正極を準備する工程、
(ii)上記負極の製造方法に記載の方法に従って、ナトリウム二次電池の負極を調製する工程、
(iii)ナトリウムイオン導電性を有する電解質を準備する工程、及び
(iv)前記正極、前記負極及び前記電解質からナトリウム二次電池を作製する工程
を含むことを特徴とする。
本発明によれば、不可逆容量のほとんどないナトリウム二次電池を提供することができる。
本発明のナトリウム二次電池の構成を示す概略図である。 本発明の一実施形態のナトリウム二次電池の構造を示す概略図である。 図2に示した本発明の実施形態のナトリウム二次電池の充放電曲線を示す図である。
(A)ナトリウム二次電池
本発明の第1は、ナトリウム二次電池である。本発明のナトリウム二次電池は、ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含む正極、スズ(Sn)又はスズ含有合金を含む負極、及びナトリウムイオン導電性を有する電解質を含むナトリウム二次電池であり、前記スズ(Sn)又はスズ含有合金が、これらにナトリウムをプレドーピングしたものであることを特徴とする。
本発明の一実施形態では、前記スズ含有合金は、以下の式(1)で表されるものである(本明細書で、本発明で使用するスズ含有合金をSn−M合金とも称する)。
Sn−M 式(1)
(式中、MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCuである。)
本発明では、負極が、負極活物質として、ナトリウムをドーピングしたスズ(Sn)[本明細書においてNa含有Snとも称する]、又は次式で表されるナトリウムをドーピングしたスズ含有合金(本明細書でNa含有Sn−M合金とも称する)を含む。
Na−Sn−M 式(2)
(式中、MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCuである。)
Na含有Sn及び式(2)で表されるNa含有Sn−M合金は、例えば、スズ単独金属、又は、式(1)で表されるスズ含有合金にナトリウムをプレドーピングすることによって得ることができる。
本発明の一実施形態では、前記負極は、カーボンを更に含むことが好ましい。本発明の一実施形態では、前記電解質は、ナトリウムイオンを含む有機電解液であることが好ましい。
以下に、本発明のナトリウム二次電池の実施形態について説明する。
本発明のナトリウム二次電池は、正極、負極及び電解質を少なくとも含む。正極はナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含むものであり、負極はスズ又はスズ含有合金を含むものであり、電解質はナトリウムイオン導電性を有するものである。
(I)負極
本発明では、負極は、上述の通り、Na含有Sn又はNa含有Sn−M合金を負極活物質として含む。本発明では、Sn−M合金において、MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCuであることが好ましい。Sn−M合金において、M(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)の含有量は、Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)の総重量を基準として0重量%を越え、60重量%以下であることが好ましく、5〜30重量%であることがより好ましい。M(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)を含有することで、スズ単独の場合に比べて初期容量は小さくなるものの、サイクル特性の向上を見込むことができる。
本発明では、スズ(Sn)は市販品などから入手可能である。また、Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)は、スズ粉末及びM粉末(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)を、所望の混合割合となるように混合し、200〜700rpmで1〜15時間、アルゴンなどの不活性雰囲気下で遊星ボールミルのような手段により処理することで調製することができる。或いは、Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)は、スズ粉末及びM粉末(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)を混合した試料を250〜900℃で0.5〜48時間、溶融炉のような炉中で、アルゴンのような不活性雰囲気下で焼成することにより調製することができる。
得られたスズ(Sn)又はSn−M合金は、以下の手順でナトリウムをドーピングしたものとすることができる。スズ(Sn)又はSn−M合金をシード状などの適切な形状に成形し、金属ナトリウム箔を直接貼り付け、0.5〜10kPaで加圧した状態で、有機電解液中でシート状電極に金属ナトリウム箔を1〜168時間保つことによりナトリウムをプレドーピングする。これにより、Na含有Sn又はNa含有Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)の負極を調製することができる。
本発明のナトリウム二次電池の負極は、結着剤としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリル酸(PAA)のような結着剤(バインダー)粉末を、任意選択的に含むことができる。結着剤の量は、スズ含有合金に対して1〜15重量%であることが好ましい。
Na含有Sn及びNa含有Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)を含む負極は、例えば、結着剤を含むものは以下のような手順で調製することができるが、本発明はこれに限定されない。
まず、結着剤粉末(例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリル酸(PAA))及びSn又はSn−M合金を、公知の適切な混練手段(例えば、らいかい機、ミキサー、ロールミル、ボールミルなど)により混合する。この混合物を、有機溶剤(例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP))若しくは水等の溶媒中に分散してスラリー状にした後、例えば銅箔やアルミ箔のような金属箔上に塗布し、乾燥することによりシート状電極を調製する。なお、Sn又はSn−M合金と結着剤を混合する際のSn又はSn−M合金と結着剤の割合は、好ましくはSn又はSn−M合金:結着剤=60:5〜90:2である。次に、得られたシート状電極に金属ナトリウム箔を直接貼り付け、0.5〜10kPaで加圧した状態で、有機電解液中でシート状電極に金属ナトリウム箔を1〜168時間保つことによりナトリウムをプレドーピングする。これにより、Na含有Sn又はNa含有Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)の負極を調製することができる。
本発明のナトリウム二次電池の負極は、上記Na含有Sn又はNa含有Sn−M合金に、更にカーボンのような導電性材料を混合したものを含むことがより好ましい。この実施形態では、任意選択的に結着剤を更に含むこともできる。
このようなカーボン材料を含む負極は、例えば以下のような手段により調製することができるが、本発明はこれらに限定されない。
まず、カーボン粉末(例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック粉末などカーボン類)、Sn又はSn−M合金、及び任意選択的に結着剤粉末(例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリル酸(PAA))を、公知の適切な混練手段(例えば、らいかい機、ミキサー、ロールミル、ボールミルなど)により混合する。この混合物を有機溶剤(例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP))若しくは水等の溶媒中に分散してスラリー状にした後、例えば銅箔やアルミ箔のような金属箔上に塗布し、乾燥することによりシート状電極を調製する。なお、スズ(Sn)又はSn−M合金と結着剤を混合したものと、カーボン粉末を混合して負極を調製する際のこれらの混合割合は、好ましくはスズ(Sn)又はSn−M合金と結着剤の混合物:カーボン粉末=60:5〜90:2である。次に、得られたシート状電極に金属ナトリウム箔を直接貼り付け、Na含有Sn又はNa含有Sn−M合金と結着剤から負極を調製する手段と同様の手順で負極を調製することができる。
Na含有スズ(Sn)又はNa含有Sn−M合金におけるナトリウムのドーピング量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析のような手段で測定することができる。また、上記調製の条件により、使用した材料の量から見積もることができる。例えば、本発明では、スズ(Sn)又はSn−M合金のSn原子1つに対し、Na原子が0.2〜5.0のドーピング量が好ましく、0.5〜3.8のドーピング量がより好ましい。
上記の負極を含む本発明のナトリウム二次電池は、ナトリウムイオンを含む有機電解液を電解質溶液として用いることができる。更に、上記の負極を含むナトリウム二次電池は、ナトリウムイオンを通す固体電解質又はポリマー電解質を電解質として用いることもできる。
(II)正極
正極は、ナトリウム二次電池で使用可能な、ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含むものであれば特に限定されない。例えば、ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質として、NaCrO、NaFeO、NaNi1/2Mn1/2などのナトリウム含有複合酸化物等の化合物からナトリウムを適切な容量だけ引き抜いた化合物を挙げることができる。また、正極の材料として、Vやプルシアンブルーなどのように、ナトリウムを含有していない化合物も挙げることができる。本発明のナトリウム二次電池の正極は、上記のようなナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を、例えばカーボン粉末のような導電性材料と混合したものであることがより好ましい。
上述の正極は、例えば以下のような手段により調製することができるが、本発明はこれらに限定されない。
上述のナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質をロールプレス機等の圧延機により圧延し、所定サイズに切り抜いてペレット状に成型することにより、正極を作製することができる。
また、上述のナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質と導電性材料との混合物を含む正極は、例えば、以下の手順で調製することができる。
まず、カーボン粉末(例えば、アセチレンブラック粉末、ケッチェンブラック粉末などのカーボンブラック類)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)のような結着剤粉末、及び、ナトリウム複合酸化物などのナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質(本明細書において、正極活物質とも称する)を混合し、次いでロールプレス機等の圧延機により圧延し、所定サイズに切り抜いてペレット状に成型することにより、正極を作製することができる。
或いは、前述のカーボン粉末、結着剤粉末及び正極活物質の混合物を有機溶剤(例えばNMP)等の溶媒中に分散してスラリー状にした後、例えばアルミ箔のような金属箔上に塗布し、乾燥することによっても、正極を作製できる。
上述の正極に含まれる材料は、市販品として入手可能であるか、適宜合成により調製することができる。例えば、Na0.5CrOのようなナトリウム含有複合酸化物は、市販試薬の炭酸ナトリウムNaCO及び酸化クロムCrを、所定の割合で混合し、不活性雰囲気中で焼成し、電解液中で電圧を印加することでナトリウムを引き抜くことにより得ることができる。また、カーボン粉末、結着剤等は、例えば市販試薬として入手可能である。
(III)電解質
電解質は、ナトリウムイオン導電性を有するが、電子導電性は有しない物質であれば、ナトリウムを含む有機電解液等を使用することができる。また、ナトリウムイオンを含む固体電解質やポリマー電解質などの固体状の電解質も使用することができる。
電解液としては、ナトリウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(NaTFSI)、過塩素酸ナトリウム(NaClO)、六フッ化リン酸ナトリウム(NaPF)などのナトリウムイオンを含む金属塩を、例えば炭酸エチレン(EC)及び炭酸ジメチル(DMC)(体積比1:1)の混合溶媒、EC及び炭酸ジエチル(DEC)などのような混合溶媒、又は炭酸プロピレン(PC)のような単独溶媒に溶解した有機電解液を挙げることができる(但し、これらに限定されない)。
本発明のナトリウム二次電池の他の電解質として、ナトリウムイオン導電性を有する固体電解質[例えば、75NaS・25Pなどのガラス状物質、NaZrSiPO12などのNASICON(Na Super Ionic Conductor)]、ナトリウムイオン導電性を有するポリマー電解質(例えば、上記有機電解質とポリエチレンオキシド(PEO)をコンポジット化した物質)などを挙げることができるが、これらに限定されない。本発明では、ナトリウム二次電池で使用される公知のナトリウムイオンを通す固体電解質又はナトリウムイオンを通すポリマー電解質であれば使用することができる。
本発明のナトリウム二次電池は、セパレータ、電池ケース等の構造材料などの他の要素を含むこともできる。これらの要素についても、従来公知の二次電池に用いられる各種材料が使用でき、特に制限はない。
(B)負極の製造方法
本発明の第2は、本発明のナトリウム二次電池に使用する負極の製造方法である。この製造方法の第1の実施形態は、
(a)スズ(Sn)又はスズ含有合金[Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCuから選択される)]を準備する工程
(b)前記スズ(Sn)又はスズ含有合金にナトリウムをドーピングする工程であって、前記スズ(Sn)又はスズ含有合金に直接金属ナトリウム箔を張り付け、有機電解液中、0.5〜10kPaの圧力下で加圧することを含む工程
を含む。
第2の実施形態では、
(a)スズ(Sn)又はスズ含有合金[Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCuから選択される)]を準備する工程
(a’)前記工程(a)に続いて、Sn又はSn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCuから選択される)に、カーボン材料を混合する工程
(b)前記カーボン材料を含むスズ(Sn)又はスズ含有合金に、ナトリウムをドーピングする工程であって、前記スズ(Sn)又はスズ含有合金に直接金属ナトリウム箔を張り付け、有機電解液中、0.5〜10kPaの圧力下で加圧することを含む工程
を含む。
以下に各工程を説明する。
上記第1及び第2の実施形態において、工程(a)では、負極活物質[Na含有Sn又はNa含有Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCuから選択される)]の材料であるスズ(Sn)又はスズ含有合金[Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCuから選択される)]を準備する。
この工程は、上記の(I)負極の欄で説明した通りである。例えば、スズは、市販品ななどにより入手可能であり、Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)は、スズ粉末及びM粉末(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)を、所望の混合割合となるように混合し、不活性雰囲気下で、遊星ボールミルなどの手段により処理することで調製することができる。或いは、Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)は、スズ粉末及びM粉末(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)を混合した試料を不活性雰囲気下で焼成することにより調製することができる。
本発明の負極の製造方法の第2の実施形態では、(a’)前記工程(a)に続いて、Sn又はSn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCuから選択される)に、カーボン材料を混合する工程を更に含むことができる。
工程(a’)のSn又はSn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCuから選択される)に、カーボン材料を混合する手段は、上記(I)負極の欄で説明したとおりである。概略としては、カーボン粉末及びSn又はSn−M合金(必要に応じて更に結着剤)を、公知の適切な混練手段(例えば、らいかい機、ミキサー、ロールミル、ボールミルなど)により混合すればよい。混合物は、更に有機溶剤や水等の溶媒中に分散してスラリー状にした後、金属箔上に塗布し、乾燥することによりシート状電極に調製することができる。
なお、本発明の負極の製造方法では、工程(a)又は(a’)に、更に結着剤などの任意成分を含む工程が含まれていてもよい。
上記第1及び第2の実施形態において、工程(b)では、工程(a)又は工程(a’)で準備したスズ(Sn)又はスズ含有合金[Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCuから選択される)]、又は、導電性材料を含むスズ(Sn)又はスズ含有合金[Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCuから選択される)]にナトリウムをドーピングする。この工程は、上記(I)負極の欄で説明したとおりである。
概略を説明すると、Sn又はSn−M合金をシート状に成形するか、或いは、Sn又はSn−M合金と、カーボン粉末などの導電性材料、結着剤等の任意成分とを、所定の溶媒中において所定割合で混合し、例えば銅箔やアルミ箔のような金属箔上に塗布し、乾燥することによりシート状電極を調製する。次に、得られたシート状電極に金属ナトリウム箔を直接貼り付け、0.5〜10kPaで加圧した状態で、有機電解液中でシート状電極に金属ナトリウム箔を1〜168時間保つことによりナトリウムをプレドーピングして、Na含有Sn又はNa含有Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)の負極を調製することができる。
Na含有スズ(Sn)又はNa含有Sn−M合金におけるナトリウムのドーピング量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析のような手段で測定することができる。また、上記調製の条件により、使用した材料の量から見積もることができる。例えば、本発明では、スズ(Sn)又はSn−M合金のSn原子1つに対し、Na原子が0.2〜5.0のドーピング量が好ましく、0.5〜3.8のドーピング量がより好ましい。
(C)ナトリウム二次電池の製造方法
本発明の第3は、ナトリウム二次電池の製造方法である。本発明の製造方法は、
(i)ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な正極を準備する工程、
(ii)上記の負極の製造方法に従って、ナトリウム二次電池の負極を調製する工程、
(iii)ナトリウムイオン導電性を有する電解質を準備する工程、及び
(iv)前記正極、前記負極及び前記電解質からナトリウム二次電池を作製する工程
を含む。
以下に各工程を説明する。
工程(i)では、上記の(II)正極の欄で説明した正極を準備する。具体的には、上述したナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質をロールプレス機等の圧延機により圧延し、所定サイズに切り抜いてペレット状に成型することにより、正極を準備する。
工程(ii)では、負極を調製する。負極は、上記の(B)の負極の製造方法で説明したとおりの手順で、負極を調製すればよい。
工程(iii)では、電解質を準備する。電解質は、上記の(III)電解質の欄で説明した材料を、当該欄で説明した溶媒に溶解して、適宜混合することで電解質を調製すればよい。
工程(iv)では、上記のような正極、負極及び電解液を用いて、所望の電池の形状、例えばコイン形、円筒形、ラミネート形などの従来の形状でナトリウム二次電池を作製する。これらの二次電池の製造方法は従来と同様の方法を用いることができる。
例えば、本発明のナトリウム二次電池は、例えば、図1に示すような、正極及び負極と、これら両極に接する電解質からなる。本発明では、正極及び負極の間にセパレータが含まれていてもよい。有機電解質を電解質として用いる場合には、例えば、セパレータに電解質を含浸させて使用することができる。また、有機電解質は、ポリマー電解質等に含浸させてもよい。また、固体電解質、ポリマー電解質等を用いる場合には、両極がこれらに接するように配置すればよい。
さらに図1には明記していないが、本発明のナトリウム二次電池は、正極、負極、電解質、セパレータ等を被う電池ケース等を含むことができる。
より具体的な一実施形態としてはコインセル型二次電池を利用して本発明を適用することができる。図2に示されるように、コインセル型二次電池は、正極1及び負極3を含み、これらの電極の間に電解液を含有したセパレータ2をさらに含む。さらに二次電池構造体は正極ケース4、ガスケット5、及び負極ケース6を含むことができる。この二次電池は、例えば、上記の正極1、負極3、及び電解液を含有したセパレータ2を、正極ケース4及び負極ケース6に所望の通りに配置し、各構成要素を配置した両ケースを固定することで調製することができる。
本発明では、セパレータに代えて又は加えて、上述したような固体電解質、ポリマー電解質等を使用することができる。
以下に図面を参照して、本発明のナトリウム二次電池について詳細に説明する。なお、本発明は下記実験例及び実施例に示したものに限定されるのではなく、本発明の趣旨及び範囲を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
まず、実験例として、作用極に金属ナトリウムシートを用い、対極にNa含有Sn又はNa含有Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)を用いた電極の単独性能評価を行った。
(実験例1〜7)
作用極に金属ナトリウムシートを用い、対極にNa含有Sn又はNa含有Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)を用いた電極の単独性能評価を行った。Sn又はSn−M合金にNaをプレドーピングする際の圧力は、1kPaとした。
(i)性能評価用テストセルの作製
性能評価用のテストセルは、以下の手順で作製した。
Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)の調製は以下のようにした。市販のスズ粉末(イオリテック製)にCo粉末(関東化学製)またはFe粉末(関東化学製)、Mn粉末(関東化学製)、Ni粉末(イオリテック製)、Ti粉末(イオリテック製)、Cu粉末(イオリテック製)を、重量が5wt%になるように秤量し、510rpmで3時間、アルゴン雰囲気下で遊星ボールミルし、これを粉砕して粉末状にすることでSn−M合金を得た。
作用極は以下の手順で作製した。Sn金属粉末又は上記のように作製したSn−M合金と、ケッチェンブラック粉末(ライオン社製)とをらいかい機を用いて十分に粉砕混合した。ポリアクリル酸(PAA)(アルドリッチ社製)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶かし、そこにSn金属粉末又はSn−M合金−ケッチェンブラック混合粉末を入れて、分散させてスラリーにした。この際、Sn金属粉末又はSn−M合金粉末、ケッチェンブラック粉末、ポリアクリル酸(PAA)を8:1:1の重量比にした。作製したスラリーを銅箔上に塗布し、乾燥させた後にプレスすることでシート状の電極とした。
実験例1〜7で使用した、Sn又はSn−M合金は、Sn(実験例1)、Sn−Co(実験例2)、Sn−Fe(実験例3)、Sn−Mn(実験例4)、Sn−Ni(実験例5)、Sn−Ti(実験例6)、Sn−Cu(実験例7)であり、上記のように導電性材料としてカーボン材料を含有するものである。
上記のようにして作製したシート状の電極に、シート状に成型し、シート状電極と同等なサイズにした市販のナトリウム金属を、直接貼り付け、1kPaで加圧した状態にした。そこに、炭酸エチレン(EC)(キシダ化学製)と炭酸ジエチル(DEC)(キシダ化学製)を体積比1:1で混合して調製した混合溶媒に、1mol/Lの濃度でヘキサフルオロリン酸ナトリウム(NaPF)(キシダ化学製)を溶解した電解液を注ぎ、3日間おき、ナトリウムをドープし、Na含有Sn、及び、Na含有Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)を含む電極を得た。ナトリウムをドープした電極を直径13mmの円形に切り抜いたものを作用極として使用した。
対極は、市販の試薬であるナトリウム塊(関東化学製)を、0.8mmの厚さまでプレスし、直径15mmの円形シート状に成型することによって作製した。電解液は、炭酸エチレン(EC)(キシダ化学製)と炭酸ジエチル(DEC)(キシダ化学製)を体積比1:1で混合して調製した混合溶媒に、1mol/Lの濃度でヘキサフルオロリン酸ナトリウム(NaPF)(キシダ化学製)を溶解することにより調製した。セパレータは、リチウム二次電池用のポリプロピレン製のもの(セルガード社製)を用いた。
性能評価用のテストセルは、図2に示すような2032コイン型のものである。作用極は、上記のペレット電極を作用極ケース4にセットし、チタンメッシュ(ニラコ製)(図示せず)で覆い、その周縁部をスポット溶接により固定した。対極は、対極ケース6にチタンメッシュ(ニラコ製)(図示せず)をスポット溶接で固定し、その上にナトリウムシートを圧着することにより固定した。次に、ペレットを固定した作用極ケースに、セパレータ2をセットし、さらにセパレータ2に電解液を注入し、ナトリウムシートを固定した対極ケースを被せ、コインセルかしめ機で作用極ケース4及び対極ケース6をかしめることにより、ポリプロピレン製ガスケット5を含むコインセルを作製した。なお、性能評価用のテストセルの作製は、露点が−85℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス中で行った。
(ii)充放電試験
性能評価用のテストセルの放電試験は、市販の充放電測定システム(北斗電工社製)を用いて、作用極の活物質重量当たりの電流密度で25mA/gを通電し、充電終止電圧1.5V、放電終止電圧0.01Vの電圧範囲で定電流充電(ナトリウム脱離)(CC充電)、定電流定電圧放電(ナトリウム挿入)(CCCV放電)を行った。CV放電の時間は10時間に設定した。本実験例のナトリウム二次電池の充放電試験の測定は、25℃の恒温槽内(雰囲気は通常の大気環境下)で行った。
本実験例1で作製した性能評価用テストセルの充放電曲線を、図3に示す。図より、ナトリウムプレドーピングスズは充放電が可能であり、初回充電容量503mAh/g(スズ含有合金粉末重量当たりで規格化、Na脱離容量)、平均放電電圧0.46V、初回放電容量500mAh/g(ナトリウム挿入量)、平均放電電圧0.22Vであることがわかる。また、表1に、実験例1〜7の初回放電容量、初回不可逆容量、10サイクル目及び30サイクル目の放電容量を示す。このように、本実験例によりナトリウムをプレドーピングしたスズ又はスズ含有合金は、不可逆容量がほぼなく、サイクル特性に優れ、充放電可能であることが分かった。
Figure 2015198055
(実験例8〜21)
実験例8〜14、及び実験例15〜21は、Sn又はSn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)(導電性材料としてカーボンを含む)にNaをプレドーピングする際の圧力を、0.5kPa及び10kPaとした場合の例である。その他の工程及び評価の手順は実験例1〜7と同様である。
(ア)実験例8〜14
ナトリウムをプレドーピングする際の圧力を0.5kPaとした。作用極として、Na−Sn(実験例8)、Na−Sn−Co(実験例9)、Na−Sn−Fe(実験例10)、Na−Sn−Mn(実験例11)、Na−Sn−Ni(実験例12)、Na−Sn−Ti(実験例13)、Na−Sn−Cu(実験例14)を使用した(各作用極は導電性材料としてカーボンを含む)。
表2に、実験例8〜14の初回放電容量、初回不可逆容量、10サイクル目及び30サイクル目の放電容量を示す。このように、本実験例により圧力0.5kPaでプレドーピングしたスズ含有合金も、不可逆容量が1〜5mAh/gと少なく、30サイクル後の容量維持率も88.1〜97.7%であり比較的サイクル特性に優れ、充放電可能であることが分かった。
Figure 2015198055
(イ)実験例15〜21
ナトリウムをプレドーピングする際の圧力を10kPaとした。作用極として、Na−Sn(実験例15)、Na−Sn−Co(実験例16)、Na−Sn−Fe(実験例17)、Na−Sn−Mn(実験例18)、Na−Sn−Ni(実験例19)、Na−Sn−Ti(実験例20)、Na−Sn−Cu(実験例21)を使用した(各作用極は導電性材料としてカーボンを含む)。
表3に、実験例15〜21の初回放電容量、初回不可逆容量、10サイクル目及び30サイクル目の放電容量を示す。このように、本実験例により圧力10kPaでプレドーピングしたスズ含有合金も、6〜11mAh/gと不可逆容量が少なく、30サイクル後の容量維持率も84.0〜94.4%であり比較的サイクル特性に優れ、充放電可能であることが分かった。
Figure 2015198055
以下に、本発明のNa含有Sn及びNa含有Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)を用いたナトリウム二次電池を作製し、評価した実施例を示す。
(実施例1〜7)
本実施例では、負極活物質にプレドーピングによってNaを含有したスズ(Na−Sn)(実施例1)、又は、負極活物質にプレドーピングによってNaを含有したスズ含有合金[Na−Sn−Co(実施例2)、Na−Sn−Fe(実施例3)、Na−Sn−Mn(実施例4)、Na−Sn−Ni(実施例5)、Na−Sn−Ti(実施例6)、Na−Sn−Cu(実施例7)]を用い、正極にNa0.5CrOを用いて、ナトリウム二次電池を作製した。
(i)ナトリウム二次電池の作製
負極は、1kPaの圧力でナトリウムをプレドーピングした、カーボン材料を導電性物質として含むSn(実施例1)、Sn−Co(実施例2)、Sn−Fe(実施例3)、Sn−Mn(実施例4)、Sn−Ni(実施例5)、Sn−Ti(実施例6)、Sn−Cu(実施例7)を用いた電極を使用した。負極の調製は、上記実験例1〜7と同様である。
正極には、クロム酸ナトリウムNaCrOを合成し、電気化学的にナトリウムを引き抜いた化合物を作製した。電気化学的にナトリウムを引き抜いた化合物は、Na0.5CrOであり、これを正極活物質として利用した。
クロム酸ナトリウムNa0.5CrOは以下の手順で合成した。市販試薬の炭酸ナトリウムNaCO(関東化学製)10.6gと酸化クロムCr(関東化学製)15.2gを混合し、1000℃で6時間、アルゴン雰囲気中で焼成することによりクロム酸ナトリウムNaCrOを得た。NaCrOと、アセチレンブラック粉末(電気化学工業社製)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末(ダイキン社製)を70:25:5の重量比で、らいかい機を用いて十分に粉砕混合し、次いで、ロール成形して、シートペレット状の電極(厚さ:0.5mm)を作製した。このシート状電極を直径15mmの円形に切り抜いた。この電極を作用極、対極に金属ナトリウムを用い、電解液(実験例1と同様のもの)を入れたビーカーに浸し、電圧印加することでナトリウムを引き抜き、Na0.5CrO電極を作製した。セパレータは、リチウム二次電池用のポリプロピレン製のもの(セルガード社製)を用いた。
ナトリウム二次電池は、性能評価用のテストセルと同様に図2に示すような2032コイン型のものである。正極は、上記のペレット電極(Na0.5CrO電極)を正極ケース4にセットし、チタンメッシュ(ニラコ製)(図示せず)で覆い、その周縁部をスポット溶接により固定した。負極は、負極ケース6の上にのせた。次に、ペレットを固定した正極ケースに、セパレータ2をセットし、さらにセパレータ2に電解液(実験例1と同様のもの)を注入し、負極ケースを被せ、コインセルかしめ機で正極ケース4及び負極ケース6をかしめることにより、ポリプロピレン製ガスケット5を含むコインセルを作製した。なお、ナトリウム二次電池の作製は、露点が−85℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス中で行った。
(ii)充放電試験
ナトリウム二次電池の充放電試験は、市販の充放電測定システム(北斗電工社製)を用いて、負極活物質重量当たりの電流密度で25mA/gを通電し、充電終止電圧3.8V、放電終止電圧2.8Vの電圧範囲で、定電流放電(CC放電)、定電流定電圧充電(CCCV充電)を行った。CV充電の時間は10時間に設定した。電池の充放電試験は、25℃の恒温槽内(雰囲気は通常の大気環境下)で測定を行った。
表4に、初回サイクルの平均放電電圧と容量、初回不可逆容量、10サイクル目、30サイクル目の放電容量をそれぞれ示す。
Figure 2015198055
表4より、本発明のナトリウム二次電池は不可逆容量がなく、安定したサイクル特性を有していることが分かる。上記のように、本実施例によるナトリウム二次電池は、不可逆容量がなく、サイクル特性に優れ、充放電可能であることが分かった。
(実施例8〜21)
実施例8〜14、及び実施例15〜21は、カーボン材料を導電性物質として含むSn又はSn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)にNaをプレドーピングする際の圧力を、0.5kPa及び10kPaとした場合の例である。その他の工程及び評価手順は実施例1〜7と同様である。
(ア)実施例8〜14
負極として、0.5kPaの圧力でナトリウムをプレドーピングしたNa含有Sn(実施例8)、Na含有Sn−Co(実施例9)、Na含有Sn−Fe(実施例10)、Na含有Sn−Mn(実施例11)、Na含有Sn−Ni(実施例12)、Na含有Sn−Ti(実施例13)、Na含有Sn−Cu(実施例14)を用いた電極(カーボン材料を導電性物質として含む)をそれぞれ用いた。
表5に、実施例8〜14の初回放電容量、初回不可逆容量、10サイクル目及び30サイクル目の放電容量を示す。
Figure 2015198055
表5より、本発明のナトリウム二次電池は不可逆容量がなく、安定したサイクル特性を有していることが分かる。上記のように、本実施例によるナトリウム二次電池は、不可逆容量がなく、サイクル特性に優れ、充放電可能であることが分かった。
(イ)実施例15〜21
負極として、10kPaの圧力でナトリウムをプレドーピングしたNa含有Sn(実施例15)、Na含有Sn−Co(実施例16)、Na含有Sn−Fe(実施例17)、Na含有Sn−Mn(実施例18)、Na含有Sn−Ni(実施例19)、Na含有Sn−Ti(実施例20)、Na含有Sn−Cu(実施例21)を用いた電極(カーボン材料を導電性物質として含む)をそれぞれ用いた。その他の工程及び評価手順は実施例1〜7と同様である。
表6に、実施例15〜21の初回放電容量、初回不可逆容量、10サイクル目及び30サイクル目の放電容量を示す。
Figure 2015198055
表6より、本発明のナトリウム二次電池は不可逆容量がなく、安定したサイクル特性を有していることが分かる。上記のように、本実施例によるナトリウム二次電池は、不可逆容量がなく、サイクル特性に優れ、充放電可能であることが分かった。
以下に比較例を示す。
(比較例1)
比較例1として、Sn−Co合金、ケッチェンブラック(導電材)、ポリアクリル酸(PAA、結着剤)の重量比を8:1:1として用いた負極を用いたナトリウム二次電池を作製し、評価した。正極は実施例2と同様にNa0.5CrOを使用した。
コインセルは、上記実施例2と同様にして作製及び評価を行った。その結果を、表7に実施例2と比較して示す。
Figure 2015198055
本比較例によるナトリウム二次電池は、実施例2で作製したナトリウム二次電池と比較して、初期特性において、容量は大きな値を示した。しかしながら、不可逆容量は153mAh/gであった。さらに、充放電に伴う容量低下も著しく、30サイクル後には、放電容量38mAh/gしか得られなかった。
一方、実施例2の場合、比較例よりも放電容量の初期性能は劣る(但し、ナトリウム二次電池としては十分な性能を有する。)ものの、不可逆容量がなく、30サイクル後でも473mAh/gの放電容量を維持していた。このように、本願発明のナトリウム二次電池は、比較例のナトリウム二次電池に比べて安定性が高いことが分かった。このようにプレドーピングを施した電極の安定性が高い理由は、負極のスズが予めナトリウムと合金化していることにより、充放電に伴う膨張収縮が小さいためと考えられる。
以上のように、本発明によるナトリウム二次電池は、不可逆容量がなく、安定した充放電サイクル特性を有した高性能電池あることが分かった。
(比較例2〜15)
比較例2〜8、及び比較例9〜15は、Sn及びSn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCu)(カーボン材料を導電性物質として含む)にNaをプレドーピングする際の圧力を、0.4kPa及び11kPaとした場合の例である。その他の工程は実施例1〜7と同様である。
(ア)比較例2〜8
負極として、0.4kPaの圧力でナトリウムをプレドーピングしたNa含有Sn(実施例2)、Na含有Sn−Co(実施例3)、Na含有Sn−Fe(実施例4)、Na含有Sn−Mn(実施例5)、Na含有Sn−Ni(実施例6)、Na含有Sn−Ti(実施例7)、Na含有Sn−Cu(実施例8)(カーボン材料を導電性物質として含む)を用いた電極をそれぞれ用いた。
表8に、比較例2〜8の初回放電容量、初回不可逆容量、10サイクル目及び30サイクル目の放電容量を示す。
Figure 2015198055
本比較例によるナトリウム二次電池は、初回放電容量が少なく、不可逆容量の改善には至らなかった。プレドーピングの際の圧力が弱いことが原因であると考えている。また、サイクル特性に関しても、容量低下が大きかった。以上の結果から、本発明を逸脱する圧力範囲でプレドーピングを行った場合は、その効果が得られないことが示された。
(イ)比較例9〜15
負極として、11kPaの圧力でナトリウムをプレドーピングしたNa含有Sn(実施例9)、Na含有Sn−Co(実施例10)、Na含有Sn−Fe(実施例11)、Na含有Sn−Mn(実施例12)、Na含有Sn−Ni(実施例13)、Na含有Sn−Ti(実施例14)、Na含有Sn−Cu(実施例15)を用いた電極(カーボン材料を導電性物質として含む)をそれぞれ用いた。
表9に、比較例9〜15の初回放電容量、初回不可逆容量、10サイクル目及び30サイクル目の放電容量を示す。
Figure 2015198055
本比較例によるナトリウム二次電池は、不可逆容量は比較的少なくなったものの放電容量が小さくなった。これは、プレドーピングの際の圧力が大きいことから、電極の最表面へのナトリウムのドーピングが急速に行われ、最表面が合金化することで膨張し、それ以降にナトリウムイオンがバルクに拡散するために必要なキャリヤパスが失われたことが原因であると考えている。以上の結果から、本発明を逸脱する圧力範囲でプレドーピングを行った場合は、その効果が得られないことが示された。
本発明により、不可逆容量が無く、サイクル特性に優れたナトリウム二次電池を作製することができ、様々な電子機器の駆動源等として使用することができる。
1 正極(対極)
2 セパレータ(電解質液を含浸)
3 負極(作用極)
4 正極(対極)ケース
5 ガスケット
6 負極(作用極)ケース

Claims (6)

  1. ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な正極、スズ(Sn)又はスズ含有合金を含む負極、及びナトリウムイオン導電性を有する電解質を含むナトリウム二次電池であって、前記スズ含有合金は、Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCuから選択される)であり、前記スズ(Sn)又はSn−M合金は、これらにナトリウムがプレドーピングされたものであることを特徴とするナトリウム二次電池。
  2. 前記負極は、カーボンを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のナトリウム二次電池。
  3. 前記電解質が、ナトリウムイオンを含む有機電解液であることを特徴とする請求項1又は2に記載のナトリウム二次電池。
  4. ナトリウム二次電池の負極を製造する方法であって、
    (a)スズ(Sn)又はスズ含有合金[Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCuから選択される)]を準備する工程
    (b)前記スズ(Sn)又はスズ含有合金にナトリウムをドーピングする工程であって、前記スズ(Sn)又はスズ含有合金に直接金属ナトリウム箔を張り付け、有機電解液中、0.5〜10kPaの圧力下で加圧することを含む工程
    を含むことを特徴とするナトリウム二次電池の負極を製造する方法。
  5. ナトリウム二次電池の負極を製造するための方法であって、
    (a)スズ(Sn)又はスズ含有合金[Sn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCuから選択される)]を準備する工程
    (a’)前記工程(a)に続いて、Sn又はSn−M合金(MはCo、Fe、Mn、Ni、Ti又はCuから選択される)に、カーボン材料を混合する工程
    (b)前記カーボン材料を含むスズ(Sn)又はスズ含有合金に、ナトリウムをドーピングする工程であって、前記スズ(Sn)又はスズ含有合金に直接金属ナトリウム箔を張り付け、有機電解液中、0.5〜10kPaの圧力下で加圧することを含む工程
    を含むことを特徴とするナトリウム二次電池の負極を製造する方法。
  6. 請求項1に記載のナトリウム二次電池の製造方法であって、
    (i)ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な正極を準備する工程、
    (ii)請求項4又は5に記載の方法に従って、ナトリウム二次電池の負極を調製する工程、
    (iii)ナトリウムイオン導電性を有する電解質を準備する工程、及び
    (iv)前記正極、前記負極及び前記電解質からナトリウム二次電池を作製する工程
    を含むことを特徴とするナトリウム二次電池の製造方法。
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