JP2022168684A - リチウムイオン電池用正極の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン電池用正極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、粒子径の大きい第1の活物質と粒子径の小さい第2の活物質の混練時に加わる圧力を最適化することにより、混練時において活物質の造粒体の崩壊を防止するとともに、導電材と活物質の分散性を向上したリチウムイオン電池用正極の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】 実施形態に従うリチウムイオン電池の正極の製造方法は、正極活物質が、ナノスケールの一次粒子を造粒した球体形状を有する第1の活物質と、正極作製時における形態として第1の活物質の粒度分布D50に対して1/10以下の粒子径を有する第2の活物質とからなり、第1の活物質、導電材、バインダおよび溶媒を液練りで混練して第1のスラリーを調製すること、第2の活物質、導電材、バインダおよび溶媒を固練りで混練して第2のスラリーを調製すること、第1のスラリーと第2にスラリーとを混合し、前記第1の活物質と前記第2の活物質の重量比が95:5~70:30である混合スラリーを調製すること、および集電体の片面または両面に前記混合スラリーを塗布すること、を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン電池用正極の製造方法に関する。
近年、リチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度を有する等の理由から広く普及し、携帯電話やデジタルカメラ、ノートパソコン等の携帯用小型機器の電源として搭載されている。また、リチウムイオン二次電池は、エネルギー資源枯渇問題や地球温暖化等の観点から、ハイブリッド自動車や電気自動車、又は太陽光や風力等の自然エネルギー発電による電力貯蔵用等の大型産業用途への開発が進められている。それ故、リチウムイオン二次電池は、これらの電源の利用拡大のために更なる高密度化、長寿命化が求められている。
このようなリチウムイオン二次電池は、正極と負極との間でリチウムイオンを移動させて充放電を行う。正極は、正極集電体と、正極集電体の一方の面又は両面に設けられた正極活物質を含む正極層とを備える。正極活物質は、現在、リチウム金属酸化物であるコバルト酸リチウム(LiCoO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のリチウムを含む金属酸化物又は金属リン酸化物が実用化され、又は商品化を目指して開発が進められている。
このうち、リン酸鉄リチウムは安全性の高い材料として知られており、車載、定置向けなどに採用がされている材料である。国内メーカーに代表されるリン酸鉄リチウムは1次粒子がナノ粒子、二次粒子が球状の造粒体である。また、粉体自体のハンドリングをよくするために、二次粒子の粒径を比較的大きくする傾向がある。
従来、リチウムイオン二次電池用正極の製造は、導電性の高い、つまり比表面積が大きく、タップ密度が低い導電材を正極活物質と共に使用することが一般的である。コバルト系酸化物、ニッケルコバルトマンガン複合酸化物系の正極活物質を用いる正極の製造も同様な導電材が組合される。
一方、リン酸鉄リチウムを正極活物質に選んだ場合、活物質は二次粒子体として存在する造粒体であるため、粒子径自体は従来から使われる活物質と同様な値を示す。しかし、一次粒子がナノスケールのために、高い比表面積を示す。
従って、安定したスラリーを調製し、機械強度及び電池特性が担保された正極を製造するには、活物質単体でも多量のバインダ、溶媒が必要になる。また、導電材にも比表面積の大きい材料を採用するため更に多くのバインダ、溶媒が必要になる。
このような正極活物質を含む正極を作製した場合、集電体近傍の状態としては、活物質自体が最密充填したとしても、隣り合う活物質同士と集電体の間には隙間が大きく生じてしまう。
また、バインダと溶媒を多量に用いているため、スラリーの固形分比率が低くなり、集電体上の活物質を含む正極層(正極合剤層)を乾燥する際、正極層内に空隙が生じ易くなる。
上記状態でスラリーを塗布、乾燥して正極を作製した場合、その後の圧延工程で正極層が集電体から剥離する可能性がある。
特許文献1には、リン酸鉄リチウムからなる粒径の異なる第1活物質と第2活物質とを共存させる技術が提案されている。
国際公開第2015/005228号
しかしながら、特許文献1の方法では混練時に活物質の造粒体が崩壊し、出力特性やサイクル特性を低下させ、または混練時に導電材と活物質の分散性が不均一になって電池特性を低下させるだけでなく、正極の強度を大きく低下させる。
本発明は、粒子径の大きい第1の活物質と粒子径の小さい第2の活物質の混練時に加わる荷重を最適化することにより、混練時において第1の活物質の造粒体の崩壊を防止するとともに、導電材と活物質の分散性を向上したリチウムイオン電池用正極の製造方法を提供する。
実施形態に従うリチウムイオン電池用正極の製造方法は、正極活物質が、ナノスケールの一次粒子を造粒した球体形状を有する第1の活物質と、正極作製時における形態として第1の活物質の粒度分布D50に対して1/10以下の粒子径を有する第2の活物質とからなり、第1の活物質、導電材、バインダおよび溶媒を液練りで混練して第1のスラリーを調製すること、第2の活物質、導電材、バインダおよび溶媒を固練りで混練して第2のスラリーを調製すること、第1のスラリーと第2にスラリーとを混合し、第1の活物質と第2の活物質の重量比(第1の活物質/第2の活物質の重量比)が95:5~70:30である混合スラリーを調製すること、および集電体の片面または両面に混合スラリーを塗布すること、を含む。
本発明によれば、出力特性およびサイクル特性に優れ、さらに強度も十分確保することが可能なリチウムイオン電池用正極の製造方法を提供することができる。
以下、実施形態に係るリチウムイオン電池用正極の製造方法を詳細に説明する。
本実施形態に係るリチウムイオン電池用正極の製造方法は、ナノスケールの一次粒子を造粒した球体形状を有する第1の活物質、導電材、バインダおよび溶媒を液練りで混練して第1のスラリーを調製すること、第2の活物質、導電材、バインダおよび溶媒を固練りで混練して第2のスラリーを調製すること、第1のスラリーと第2のスラリーとを混合し、第1の活物質と第2の活物質の重量比が95:5~70:30である混合スラリーを調製すること、および集電体の片面または両面に前記混合スラリーを塗布すること、を含む。
(正極活物質)
正極活物質は、特に限定されるものではく、公知または市販のものを使用することができる。そのような正極活物質は、例えば、リン酸鉄リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、フッ化リン酸鉄リチウムまたはコバルト酸リチウム等のリチウム含有酸化物である。
第1の活物質は、ナノスケールの一次粒子を造粒した球体形状を有し、例えば、8.0μm~12.0μmであることが好ましい。
第2の活物質は、正極作製時における形態として第1の活物質の粒度分布D50に対して1/10以下の粒子径を有し、例えば0.7μm~0.9μmであることが好ましい。
ここで、「粒度分布D50」とは、次のような値を意味する。即ち、正極活物質粒子を水に分散した試料にレーザ光を照射し、正極活物質粒子によって散乱された光を光散乱式粒度分布測定装置に取込み、同測定装置で演算処理して試料中の正極活物質粒子の粒子径分布を求める。得られた正極活物質粒子の粒子径分布、例えば正極活物質粒子200個の粒子径分布から正極活物質粒子の粒子径の値が小さい順に並ぶように処理し、小さい方から100個目(100個を基準にした場合小さい方から50個目)の正極活物質粒子の粒子径を「D50」と規定する。
(導電材)
導電材は、特に限定されるものではなく、公知または市販のものを使用することができる。そのような導電材は、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック、活性炭、または黒鉛等である。
(バインダ)
バインダは、特に限定されるものではなく、公知または市販のものを使用することができる。そのようなバインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレン共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルアルコール(PVA)、またはカルボキシメチルセルロース(CMC)等である。
(溶媒)
溶媒は、有機系スラリー用として、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等を用いることができる。また、溶媒は水系スラリー用として、イオン交換水等を用いることができる。
・第1のスラリーの調製工程
第1のスラリーは、第1の活物質、導電材、バインダおよび溶媒を液練りによって、調製することができる。
すなわち、第1の活物質、導電材、バインダおよび溶媒を含む第1のスラリー原料を用意する。第1の活物質、導電材およびバインダの総固形分は、前記溶媒に対して所定の値になるように秤量する。秤量後、溶媒にバインダを加えて撹拌、混合し、バインダ溶液を調製する。このバインダ溶液に導電材を加え、撹拌、混合してバインダ溶液に導電材を分散する。撹拌、混合を停止した後、又は撹拌、混合の過程で第1の活物質を加え撹拌、混合を行う。この撹拌力は、バインダ溶液に導電材を添加して撹拌するときに比べて低く抑えることが好ましい。このような液練りによって、第1のスラリーを調製する。撹拌、混合は、例えば、プラネタリーディスパ等の撹拌混練機を用いて行えばよい。
前記溶媒に対する前記総固形分の秤量は、所定の値、例えば40重量%以上、60重量%未満になるように行うことが好ましい。
第1のスラリーの組成は、例えば、第1の活物質:導電材:バインダ=98~96:1~2:1~2の質量組成にすることが好ましい。
・第2のスラリーの調製工程
第2のスラリーは、第2の活物質、導電材、バインダおよび溶媒を固練りにより調製することができる。
すなわち、第2の活物質、導電材、バインダおよび溶媒を含む第2のスラリー原料を用意する。第2の活物質、導電材およびバインダの総固形分は、前記溶媒に対して前記液練りの総固形分に比べて高い値になるように秤量する。秤量後、溶媒にバインダを加えて撹拌、混合してバインダ溶液を調製する。このバインダ溶液に導電材を加えて撹拌、混合し、さらに第2の活物質を加えて撹拌、混合する、このような固練りによって、第2のスラリーを調製する。撹拌、混合は、例えば、プラネタリーディスパ等の撹拌混練機を用いて行えばよい。
前記溶媒に対する前記総固形分の秤量は、第2の活物質、導電材およびバインダの総固形分が前述した液練りの総固形分に比べて高い値、例えば前記液練りの総固形分が40重量%以上60重量%未満である場合、60重量%以上80重量%以下になるように行うことが好ましい。溶媒に対する総固形分の秤量は、65重量%以上75重量以下にすることがより好ましい。
第2のスラリーの組成は、例えば、第2の活物質:導電材:バインダ=96~90:2~5:2~5の質量組成にすることが好ましい。
前記第1、第2のスラリーに含まれる導電材、バインダおよび溶媒の材質は、それぞれ互いに同じであっても、異なってもよい。
・第1のスラリーと第2のスラリーとの混合工程
得られた第1のスラリーと第2のスラリーとを混合し、混合スラリーを調製する。混合は、例えばプラネタリーディスパ等の撹拌混練機を用いて行えばよい。ここで、第1のスラリーに含まれる第1の活物質と、第2のスラリーに含まれる第2の活物質の重量比が、95:5~70:30であることが好ましく、90:10~80:20であることがより好ましい。このように第1の活物質と第2の活物質の混合比を規定することにより、優れた出力特性とサイクル特性を維持したまま電極の剥離強度を向上することが可能になる。
第1の活物質及び第2の活物質は、混合スラリー中の固形分に対して40~60重量%の割合で占めることが好ましい。
・混合スラリーの集電体への塗布工程
調製した混合スラリーを集電体の少なくとも一方の面に塗布する。
(集電体)
集電体は、例えば、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、チタン、或いはそれらの何れかの合金からなる箔である。集電体の厚さは10μ~30μmであることが好ましい。
混合スラリーの集電体への塗布は、特に限定されるものではないが、一般的に用いられる何れかの方法により行うことができる。そのような方法として、例えば、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、マイヤーバーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアーナイフコート、コンマコート、スロットダイコート、スライドダイコート、またはディップコート等を用いることができる。塗布は、集電体の片面のみに行われてもよいし、両面に行われてもよい。
次いで、乾燥を行う。乾燥方法は、特に限定されるものではないが、一般的に用いられる何れかの方法により行うことができる。そのような方法として、例えば、炉内乾燥等を用いることができる。炉内乾燥は、例えば炉内温度を80~130℃で、2~10分間の条件にて集電体に塗布された混合スラリーを乾燥させることが好ましい。このような方法により集電体に正極層(正極合剤層)を形成する。なお、前記炉内乾燥に使用する装置や塗布するスラリーの仕様に応じて、乾燥の温度や時間は適宜変更してもよい。
・プレス工程
集電体の正極層をプレス機によって圧延する。
圧延は、一般的な正極の圧延技術を用いて行えばよい。そのような方法は、例えば、プレス機などを用いることができる。プレス機は、塗工工程で作製した正極層の幅に対し、十分に大きい圧延幅を有することが好ましい。圧延幅は、例えば、300~800mmである。
上記圧延によって得られた正極シートを、例えば、所望のサイズに切断し、その後電極端子を溶接することによって、リチウムイオン電池用正極を製造する。正極は、例えば、円筒型、角型又はラミネート型の電池の正極として用いることができる。
以上説明した実施形態によれば、出力特性およびサイクル特性に優れ、さらに十分な強度を有するリチウムイオン二次電池用正極の製造方法を提供できる。
すなわち、実施形態に係る製造方法は、ナノスケールの一次粒子を造粒した球体形状を有する第1の活物質、導電材、バインダおよび溶媒を混練して第1のスラリーを調製する際、前記混練を「液練り」で行い、かつ正極作製時における形態として第1の活物質の粒度分布D50に対して1/10以下の粒子径を有する第2の活物質、導電材、バインダおよび溶媒を混練して第2のスラリーを調製する際、前記混練を「固練り」で行うことを特徴とする。
第1の活物質は、ナノスケールの一次粒子の造粒体であるため、混練時に造粒体が崩壊するおそれがある。このため、「液練り」を適用して第1のスラリーを調製する。「液練り」は前述したようにバインダ溶液に導電材及び第1の活物質をこの順序で添加して撹拌し、かつ第1の活物質の添加後の圧力を導電材の添加時に比べて低い圧力で撹拌する。このような「液練り」によって、バインダ溶液への導電材の混合分散性を高めると同時に第1の活物質をその崩壊を招くことなく、バインダ溶液、導電材に良好に混合分散した第1のスラリーを調製することができる。
第2の活物質は、正極作製時における形態として第1の活物質の粒度分布D50に対して1/10以下の粒子径を有するものであればよく、第1の活物質に示されるような造粒体構造を維持する必要はない。このため、「固練り」を適用して第2のスラリーを調整する。「固練り」は、前述したように第2の活物質と導電材との混合粉体、及びバインダ溶液を用意する。混合粉体に最終のスラリーに含まれるバインダ量の例えば40~70重量%のバインダ溶液を混合粉体に加え、その後、混合粉体をバインダ溶液の存在下で所定の圧力を加えながら撹拌、混合し、混合粉体の間にバインダ溶液を練り込む。この煉り込み過程で、残りのバインダ溶液を1回、又は複数回に分けて加え、再度、混合粉体の間にバインダ溶液を練り込んで第2のスラリーを得る。このような「固練り」によって、第2の活物質と導電材との間、第2の活物質、導電材とバインダ溶液との間、の混合分散性が優れた第2のスラリーを調製することができる。
また、第1のスラリーと第2にスラリーとを混合する際、第1の活物質と第2の活物質の重量比(95:5~70:30)に規定することによって、第1、第2の活物質からなる正極活物質がバインダ溶液に良好に分散され、かつ崩壊のない第1の活物質間に第2の活物質が良好に分散されるとともに、第1、第2の活物質間に導電材が良好に分散して接触した形態の混合スラリーを調製することができる。
このような混合スラリーを集電体の少なくとも一方の面に塗布し、その後塗膜を乾燥、圧延することにより、出力特性およびサイクル特性に優れ、さらに十分な強度を有するリチウムイオン二次電池用正極を製造できる。
得られた正極の強度向上は、集電体に形成された正極層(正極合剤層)内に崩壊が抑制された第1の活物質(造粒体)の間に第1の活物質より微細な第2の活物質が良好に分散して接触し、かつ第1、第2の活物質がバインダに良好に混合分散されているためである。
また、得られた正極を備えたリチウムイオン二次電池が優れた出力特性およびサイクル特性を有するのは、前記正極層内に崩壊が抑制された第1の活物質(造粒体)および第2の活物質が良好に分散して存在し、同時に第1、第2の活物質間に導電材が良好に分散して接触し、集電体への導電パス、導電ネットワークを形成しているためである。
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
(実施例1~4、比較例1~4)
<リチウムイオン電池用正極の製造>
以下の材料を用いて、リチウムイオン電池用正極を製造した。
第1の活物質:リン酸鉄リチウムとしてLCP420TU4(住友大阪セメント)
第2の活物質:リン酸鉄リチウムとしてM121(Aleees)
導電材:アセチレンブラックとしてLi400(デンカ)
バインダ:ポリフッ化ビニリデン(PVDF)としてKFポリマー#9100(クレハ)
溶媒:N-メチル-2-ピロリドン
・第1のスラリーの調製
粒度分布D50が8.7μmの第1の活物質であるリン酸鉄リチウム(住友大阪セメント社製商品名:LFP420-TU4)、導電材であるアセチレンブラック(デンカ社製商品名:Li400)及びバインダであるポリフッ化ビニリデン(クレハ社製商品名:KFポリマー#9100)を96:2:2の質量組成となるように計量した。
(液練り工程)
最終固形分値が50%となるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を予めミキサー容器内に計量し、この容器内にバインダを全量(2重量部)加え、撹拌、バインダ+NMPのバインダ溶液を調製した。
バインダ溶液をプライミクス社製のプラネタリーディスパに投入し、さらにバインダ溶液に導電材を全量(2重量部)加え、プラネタリーによる撹拌及びディスパによる分散を行って混練し、導電材が分散されたバインダ溶液を調製した。
次いで、プラネタリーディスパ内の導電材が分散されたバインダ溶液に第1の活物質を全量(96重量部)加え、プラネタリーによる撹拌及びディスパによる分散を行って混練し、ペースト状になったことを確認して液練り工程を完了し、第1のスラリーを調製した。この時、プラネタリーディスパによる導電材分散バインダ溶液及び第1の活物質に対する圧力を前記バインダ溶液及び導電材に対する圧力よりも低い圧力に設定した。
(液練り状態の確認)
液練り工程で調製した第1のスラリーをアルミニウム箔に塗布、乾燥して確認用電極を作製した。確認用電極は、表面SEM及び断面SEMにより第1の活物質の形状が崩れていないかを観察した。その結果、第1の活物質が崩壊していないことを確認した。これは、液練りにおいて第1の活物質に加わる荷重を極力低くすることで、造粒体である第1の活物質が崩壊することを抑制したためである。
・第2のスラリーの調製
平均粒径4.0μmの第2の活物質であるリン酸鉄リチウム(Aleees社製商品名:M121)、導電材であるアセチレンブラック(デンカ社製商品名:Li400)及びバインダであるポリフッ化ビニリデン(クレハ社製商品名:KFポリマー#9100)を96:2:2の質量組成となるように計量した。
(固練り工程)
最終固形分値が70重量%となるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を予めミキサー容器内に計量し、この容器内にバインダを全量(2重量部)加え、撹拌、混合してバインダ+NMPのバインダ溶液を調製した。
バインダ溶液をプライミクス社製のプラネタリーディスパに投入し、さらにバインダ溶液に導電材を全量(2重量部)加え、プラネタリーによる撹拌及びディスパによる分散を行って混練し、さらに第2の活物質を全量(96重量部)加え、撹拌、分散して混練した。この時、第2の活物質の添加後の混練初期から高い粘性を有する粘土状になり、混練物中の第2の活物質に対して強いシェアを加えることが可能となった。
固練り工程が完了した後、最終固形分値が50重量%となるようにNMPをプラネタリーディスパに追加、投入し、更に混練を加え、ペースト状になったことを確認して混練を停止し、第2のスラリーを調製した。
(固練り状態の確認)
固練り工程で調製した第2のスラリーをアルミニウム箔に塗布、乾燥して確認用電極を作製し、表面SEM及び断面SEMにより第2の活物質の状態を観察した。その結果、第2の活物質同士の凝集などは見られず、第2の活物質の周辺には導電材が良好に分散していることが確認できた。なお、正極中で確認される第2の活物質の平均粒径は0.8μm以下であった。
得られた第1、第2のスラリーを混合し、下記表1に示すように、混合スラリー中に含まれる第1の活物質と第2の活物質の質量比率及び混錬条件が異なる実施例1~4、比較例1~4の混合スラリーを調製した。混合は、プラネタリーディスパを使用して行った。この混合工程において、第1、第2のスラリーは既に流動性の高い状態となっているため、新たに高荷重の混練は加えることは行わず、プラネタリーによる撹拌、ディスパによる分散を行った。
・正極の製造
得られた4種の混合スラリーを集電体であるアルミニウム箔の片面にそれぞれコンマコーターを用いて塗工して塗膜を形成した後、乾燥した。塗工は、温度120℃の炉内で行い、塗工後の集電体が炉内を2分間走行する条件で乾燥した。
塗膜を有する集電体を圧延機でプレスして密度が2.0g/ccの正極層(正極合剤層)を片面に有する正極を作製した。プレス機は、有効基材幅300mmのプレス機を使用した。
<剥離強度試験>
得られた実施例1~4及び比較例1~4の正極を90°剥離試験法(JIS-C6481-1996準拠)で試験し、正極の剥離強度を測定した。その結果を下記表1に示す。
<単極評価>
実施例1~4及び比較例1~4の正極を13mmφの打ち抜き機で打ち抜き、単極試験用の正極とした。対極には16mmφに加工したリチウム金属箔を用いた。正極と対極の間に厚さ25μm、外径20mmφのポリプロピレン多孔フィルムからなるセパレータを介装した。セパレータを介在した正極及び対極を円形状の正極缶に収納し、この正極端子に円形状の対極缶を嵌合し、それらの間にガスケットを介在し、カシメ機でカシメ加工することにより2032コインセルを組み立てた。カシメ加工に先立ってエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合溶媒(重量混合比3:7)に六フッ化リン酸リチウムを1.3mol/Lになるように溶解した電解液を正極缶内に注入した。このような組み立て工程は、露点が-50℃以下の環境で行った。
組立てたコインセルを専用の充放電試験装置にセットし、0.1CAの電流で所定の初充電を行った後、所定時間保管した。その後、0.2CAの電流で、セル電圧が2.0Vになるまで放電し、最後に活性化処理を行った。
・サイクル試験
0.5CAの定電流で4.2V、4.2Vの定電圧で0.05CAまでCC-CV充電し、その後、2.0Vになるまで2.0CAで放電する工程を1サイクルとし、合計30サイクル実施し、30サイクル目の容量維持率を求めた。容量維持率は、(30サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100の式から求めた。その結果を下記表1に示した。
Figure 2022168684000001
表1からわかるように、比較例1では第1活物質のスラリーと第2活物質のスラリーをともに液練りで作製し、比較例4では第1活物質のスラリー(液練り)のみで電極を作製した結果、両水準ともに充放電維持率は99%で良好な結果を示した一方で剥離強度が0となった。また、比較例2では第1活物質のスラリーと第2活物質のスラリーをともに固練りで作製し、比較例3では第2活物質のスラリー(固練り)を本発明の範囲外である40%として電極を作製した結果、剥離強度は30mN/mm以上の良好な値を示したが、充放電維持率は85%以下と低い値を示した。
実施例の1~4では、第2活物質のスラリー(固練り)の比率を5~30%の範囲として電極を作製している。この結果、第1活物質のスラリーのみ、又は液練りのみで作製した際は剥離強度が0mN/mmであったのに対し、実施例1~4では5mN/mm以上の剥離強度を有している事がわかった。また、充放電維持率に関しても、実施例1~4の正極で95%以上の良好な値を示していた。
<電極の加工試験>
積層用リチウムイオン二次電池組立用の正極打抜き金型を使用して、実施例1~4及び比較例1~4の正極を打抜きして複数枚の加工正極を作製した。加工正極を10枚選び、打抜かれた正極の加工断面を観察し、正極層の欠けや剥離の有無を目視にて確認した。正極層の欠け、剥離のいずれもなかったものを「良」と判定し、正極層の欠け、剥離のいずれか一方でもあったものは「否」と判定した。その結果を下記表2に示した。
Figure 2022168684000002
表2に示すように、実施例1~4の正極に関しては、電極加工時の正極層の欠けや剥離は確認できなかった。また、第1活物質のスラリーと第2活物質のスラリーの両方を固練りで作製した比較例2の正極、及び第2活物質のスラリーを固練りで作製した比較例3の正極に関しても、同じく加工時の欠けや剥離は確認できなかった。
一方、第1活物質のスラリーと第2活物質のスラリーを70:30で混合させ、その両方を液練りで作製した比較例1の正極に関しては、加工時に欠けと剥離が確認された。また、第1活物質のスラリーのみ液練りで作製した比較例4の正極に関しても、同じく加工時に欠けと剥離が確認された。

Claims (7)

  1. 正極活物質として含むリチウムイオン電池用正極の製造方法であって、
    前記正極活物質は、ナノスケールの一次粒子を造粒した球体形状を有する第1の活物質と、正極作製時における形態として前記第1の活物質の粒度分布D50に対して1/10以下の粒子径を有する第2の活物質とからなり、
    前記第1の活物質、導電材、バインダおよび溶媒を液練りで混練して第1のスラリーを調製すること、
    前記第2の活物質、導電材、バインダおよび溶媒を固練りで混練して第2のスラリーを調製すること、
    前記第1のスラリーと前記第2にスラリーとを混合し、前記第1の活物質と前記第2の活物質の重量比が95:5~70:30である混合スラリーを調製すること、および
    集電体の片面または両面に前記混合スラリーを塗布すること、
    を含むリチウムイオン電池用正極の製造方法。
  2. 前記液練りの工程は、前記第1の活物質、前記導電材、前記バインダおよび前記溶媒を含む第1のスラリー原料を用意し、前記第1の活物質、前記導電材および前記バインダの総固形分が前記溶媒に対して所定の値になるように秤量した後、前記溶媒に前記バインダを加えて撹拌、混合し、得られたバインダ溶液に前記導電材を加えて撹拌、混合し、さらに前記第1の活物質を加えて撹拌、混合し、前記第1のスラリーを調製し、
    前記固練りの工程は、前記第2の活物質、前記導電材、前記バインダおよび前記溶媒を含む第2のスラリー原料を用意し、前記第2の活物質、前記導電材および前記バインダの総固形分が前記液練りの総固形分に比べて高い値になるように秤量した後、前記溶媒に前記バインダを加えて撹拌、混合し、得られたバインダ溶液に前記導電材を加えて撹拌、混合し、さらに前記第2の活物質を加えて撹拌、混合し、前記第2のスラリーを調製することを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池用正極の製造方法。
  3. 前記溶媒に対する前記第1の活物質、前記導電材および前記バインダの総固形分は、40重量%以上60重量%未満であることを特徴とする請求項2に記載のリチウムイオン電池用正極の製造方法。
  4. 前記第1、第2の活物質がリン酸鉄リチウムであることを特徴とする、請求項1~3いずれか1項に記載のリチウムイオン電池用正極の製造方法。
  5. 前記第1、第2の活物質が、互いに異なるリチウム含有酸化物であって、
    前記第1の活物質がリン酸鉄リチウムであり、前記第2の活物質がリン酸鉄リチウムと異なるリチウム含有酸化物であることを特徴とする、請求項1~3いずれか1項に記載のリチウムイオン電池用正極の製造方法。
  6. 前記集電体の片面または両面に前記混合スラリーを塗布する工程の後にさらに前記集電体の片面または両面を乾燥し、プレス処理を行うことを特徴とする請求項1~5いずれか1項に記載のリチウムイオン電池用正極の製造方法。
  7. 前記混合スラリー中の前記第1の活物質及び前記第2の活物質は、前記混合スラリー中の総固形分に対して40~60重量%の割合で占めることを特徴とする請求項1~6いずれか1項に記載のリチウムイオン電池用正極の製造方法。
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WO2024098410A1 (zh) * 2022-11-11 2024-05-16 宁德时代新能源科技股份有限公司 正极浆料的制备方法、二次电池、电池包和用电装置

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