JPWO2013161843A1 - 光拡散性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

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Abstract

本発明の光拡散性樹脂組成物は、透明樹脂(X)及び架橋樹脂微粒子(Y)を含み、透明樹脂(X)の屈折率と、架橋樹脂微粒子(Y)の屈折率との差の絶対値が0.095〜0.115であり、架橋樹脂微粒子(Y)の体積平均粒子径が1.5〜3.3μmであり、体積平均粒子径を測定した際の変動係数が20%以下であり、架橋樹脂微粒子(Y)を、窒素ガス雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で熱分解させた場合に、質量が半分となる温度が320℃以上である。

Description

本発明は、光拡散性樹脂組成物及びその成形品に関する。更に詳しくは、良好な光拡散性及び拡散効率を示し、且つ、耐熱性、耐衝撃性及び難燃性に優れる光拡散性樹脂組成物及びその成形品に関する。
照明器具のカバー又は液晶表示装置等において、光源からの光を均一に拡散させるために、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン及びポリカーボネート等の透明樹脂からなるマトリックス中に光拡散剤を分散させた拡散板が用いられている。従来、光拡散剤として、結晶性シリカ、無定形シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の無機系粒子あるいはガラス繊維等の無機系繊維が用いられてきた。しかしながら、無機系粒子又は無機系繊維からなる光拡散剤を用いると、耐衝撃性が低下するといった問題や、光拡散剤の反射率が高いため拡散板における光透過性が低くなる等の問題があった。
一方、透明樹脂と屈折率が異なり、架橋構造を有する高分子微粒子を有機系光拡散剤として用いる方法も知られている。有機系光拡散剤としては、例えば、架橋アクリル系粒子、架橋シリコーン系粒子及び架橋スチレン系粒子等が知られている。
有機系光拡散剤は、無機系光拡散剤と比較して成形品の表面平滑性に優れており、光拡散性も良好であることから、幅広く光拡散剤として用いられている。しかしながら、その添加量が多い場合には耐衝撃性や難燃性が低下するという問題があり、逆にコストを考慮して添加量を少なくした場合には光拡散性が不十分となることが知られている。
有機系光拡散剤を利用した技術が提案されている。特許文献1には、平均粒子径が3〜20μmであり、CV値が20%以下の狭い粒子径分布を有するポリマー粒子を光拡散剤として用いた光拡散板が開示されている。また、特許文献2には、平均粒子径が0.6〜1.5μmであり、粒子径の標準偏差が0.01μm〜0.5μmであり、スチレン系単量体・メタクリル酸共重合体との屈折率差の絶対値が0.05以上である拡散剤を含有する光拡散板が開示されている。
特許文献3には、光拡散剤として平均粒子径が1〜4μmであり、特定の粒子径分布を有するアクリル樹脂系微粒子が、ポリカーボネート樹脂中に分散された組成物が開示されている。更に、特許文献4には、ポリカーボネート樹脂と屈折率が異なり、その平均粒子径が0.5〜100μmの範囲にある架橋ポリマー微粒子を含有する組成物が開示されている。
特許文献5には、屈折率が1.495〜1.504の範囲である高分子微粒子が、ポリカーボネート樹脂中に分散された組成物が開示されている。
また、特許文献6には、体積平均粒子径が0.7〜2.5μmであり、粒子径分布の狭い特定の(メタ)アクリル酸エステル系樹脂からなる架橋樹脂微粒子を含有する組成物が開示されている。
特開平7−234304号公報 特開2008−292969号公報 特開2011−157536号公報 特開平3−143950号公報 特開2011−57925号公報 国際公開第2010/24167号パンフレット
しかしながら、近年の照明器具及びディスプレイの高性能化に伴い、照明器具のカバーや、ディスプレイの拡散板等の、光拡散に関与する構成部材に対する要求が益々増えている。特に、照明器具のカバーについて言えば、幅広い全光線透過率領域において良好な光拡散性を発現する成形材料が求められている。更には、少量の添加で目標とする光拡散性(分散度)が得られるような光拡散剤を含有する成形材料が求められている。ここで、「分散度」とは、図1に示すように、成形体1の表面に、光線を光源2から垂直に放射したとき、θ=0(度)における透過光(出射光)の光量を100とした場合に、透過光(出射光)の光量が50となるときのθをいう。
透明な樹脂に光拡散剤粒子を配合した樹脂組成物及びそれからなる成形体の光拡散性は、樹脂と光拡散剤粒子との屈折率差、光拡散剤粒子の粒子径、及び光拡散剤粒子の含有量等に依存することが知られており、樹脂と光拡散剤粒子との屈折率差が大きいほど、また光拡散剤粒子の粒子径が大きいほど、1個の光拡散剤粒子による光拡散係数は大きくなる。しかし、光拡散剤粒子の粒子径が大きいと、光拡散剤粒子の質量が大きくなるため、樹脂中での光拡散剤粒子の質量割合を一定にした場合には、樹脂に含有される大粒子径の光拡散剤粒子の個数が少なくなり、個々の光拡散剤粒子の光拡散係数と、樹脂中に含有されている光拡散剤粒子の個数との積に基づく全体の光拡散性は必ずしも高くならない。一方、透明な樹脂中に含有させる光拡散剤粒子の粒子径が小さ過ぎると、光拡散係数が指数関数的に減少するため、十分な光拡散性が得られない。
図2及び図3は、光拡散剤の含有量による光拡散性への影響を示したものである。一般に、光拡散剤の含有量が増加するにしたがって、光拡散性(分散度)は向上する(図2参照)。しかしながら、光拡散剤の含有量の増加に伴い、成形体からの反射光の光量も増えるため、入射光量に対する透過光量の割合、即ち、全光線透過率が低下する。このため、全光線透過率と分散度との関係は図3のようになる。全光線透過率が高い領域では、分散度が低下する傾向があるが、幅広い全光線透過率の領域において高い分散度を示す材料が好ましく、光拡散剤には、全光線透過率が、例えば、85%と高い領域においても高い分散度を示し、幅広い全光線透過率領域で使用可能となる性能が求められている。
また、透明な樹脂の屈折率と光拡散剤粒子の屈折率との差が大きくなり過ぎると、成形体からの反射光の光量が増加する。そして、全光線透過率が低下し、例えば、ディスプレイの光拡散板、透過型スクリーン、照明器具のカバー、電照看板等において、十分な明るさが得られなくなる。
更に、光拡散板の成形は、300℃を超えるような高い温度条件下で行われることもあるため、光拡散剤には係る高温条件下においても分解等が起こりにくいというような優れた耐熱性も要求されている。
しかしながら、従来、上記の要求をすべて満足する光拡散性樹脂組成物が得られていなかった。
特許文献1の技術は、拡散板の成形において、比較的多量の光拡散剤を必要とするため、実用性に乏しかった。特許文献2に記載の技術では、比較的少量の光拡散剤により、良好な光拡散性を示すが、全光線透過率が70%以上の領域における光拡散性が十分ではない。このため、照明器具のカバー等の、高い光透過が必要な用途には使用できない。また、特許文献3〜5に記載の光拡散剤は、全光線透過率80%未満程度の領域では良好な光拡散性を得るために添加量を多くする必要があり、耐衝撃性及びコストの面から問題があった。
特許文献6に記載の技術では、少量の光拡散剤により、幅広い全光線透過率領域において良好な光拡散性を発現することが可能であるものの、耐熱性の点では改善の余地があった。
本発明の課題は、幅広い全光線透過率領域において高い分散度を示して光拡散性に優れ、耐熱性、耐衝撃性及び難燃性に優れた光拡散性樹脂組成物及びその成形品を提供することである。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の粒子径、粒子径分布、屈折率等を有する架橋樹脂微粒子を光拡散剤として用いることにより、光拡散性、耐熱性、耐衝撃性等に優れる光拡散性樹脂組成物が得られることを見出した。
本発明は、以下の通りである。
1.透明樹脂(X)及び架橋樹脂微粒子(Y)を含み、上記透明樹脂(X)の屈折率と、上記架橋樹脂微粒子(Y)の屈折率との差の絶対値(以下、「Δn」という)が0.095〜0.115であり、上記架橋樹脂微粒子(Y)の体積平均粒子径が1.5〜3.3μmであり、上記架橋樹脂微粒子(Y)の粒子径の変動係数が20%以下であり、上記架橋樹脂微粒子(Y)を、窒素ガス雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で熱分解させた場合に、質量が半分となる温度が320℃以上であることを特徴とする光拡散性樹脂組成物。
2.上記架橋樹脂微粒子(Y)が(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含む上記1に記載の光拡散性樹脂組成物。
3.上記光拡散性樹脂組成物を用いて作製した厚さ1.5mmのシートであって、白色光の全光線透過率が85%である該シートの表面に、ゴニオメーターを用いて垂直方向に光を入射した場合に、0度の出射光に対して50%の輝度の出射光となる角度が20度以上である上記1又は2に記載の光拡散性樹脂組成物。
4.上記透明樹脂(X)及び上記架橋樹脂微粒子(Y)の質量割合がそれぞれ100質量部及び0.5質量部である光散乱性樹脂組成物を用いて作製した厚さ1.5mmのシートの表面に、ゴニオメーターを用いて垂直方向に光を入射した場合に、0度の出射光に対して50%の輝度の出射光となる角度が22度以上である上記1又は2に記載の光拡散性樹脂組成物。
5.上記透明樹脂(X)がポリカーボネート樹脂である上記1〜4のいずれかに記載の光拡散性樹脂組成物。
6.上記透明樹脂(X)100重量部に対して上記架橋樹脂微粒子(Y)を0.1〜2.0質量部含んでなる上記1〜5のいずれかに記載の光拡散性樹脂組成物。
7.上記架橋樹脂微粒子(Y)が、分散重合により製造されたものである上記1〜6いずれかに記載の光拡散性樹脂組成物。
8.上記架橋樹脂微粒子(Y)が、加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系樹脂をシラン架橋して得られる架橋樹脂微粒子である上記1〜7のいずれかに記載の光拡散性樹脂組成物。
9.上記1から8のいずれかに記載の光拡散性樹脂組成物からなる成形品。
10.上記成形品が照明器具又は表示器具に配設される上記9に記載の成形品。
本発明の光拡散性樹脂組成物によれば、幅広い全光線透過率領域において高い分散度を示して光拡散性に優れる。また、本発明の光拡散性樹脂組成物は、耐熱性、耐衝撃性及び難燃性にも優れる。
分散度の測定原理を模式的に示した図である。 光拡散性樹脂組成物において、光拡散剤の添加量と分散度との関係を模式的に示した図である。 全光線透過率と分散度との関係を模式的に示した図である。
本発明の光拡散性樹脂組成物は、光拡散剤として特定の粒子径、粒子径分布、屈折率及び組成等を有する架橋樹脂微粒子(Y)と、透明樹脂(X)とを含むことを特徴とする、良好な光拡散性及び拡散効率を示し、耐熱性等にも優れる光拡散性樹脂組成物及びこれを用いてなる成形体に関する。本発明の光拡散性樹脂組成物において、架橋樹脂微粒子(Y)は、光拡散剤としての作用を有する。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明に係る透明樹脂(X)は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン・メタクリル酸共重合体等のスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの内でも、コスト面を重視する場合はスチレン系樹脂が好まれるが、耐衝撃性及び難燃性等が求められる場合にはポリカーボネート樹脂が好ましい。
上記スチレン系樹脂としては、組成物の溶融流動性、成形性、耐熱性、耐吸湿性、屈折率等の点から、スチレン系単量体に由来する構造単位の含有割合が、スチレン系樹脂を構成する全ての構造単位の合計量100質量%に対して80質量%以上である樹脂を用いることが好ましい。より好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95〜100質量%である。
上記スチレン系樹脂を形成するスチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−エチルスチレン、p−tert−ブチル−スチレン、p−n−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−オクチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン等が挙げられる。上記スチレン系樹脂は、これらのスチレン系単量体に由来する構造単位の1種のみを含んでよいし、2種以上を含んでいてもよい。
これらのうち、スチレンが、スチレン系樹脂の入手容易性、コスト、重合性等の点から好ましい。
上記スチレン系樹脂は、単独重合体及び共重合体のいずれでもよい。後者の場合、スチレン系単量体とメタクリル酸とを含む単量体を共重合させることにより得られる共重合体を使用することができる。この共重合体を構成するスチレン系単量体単位の含有量は、耐熱性の点で80〜95モル%が好ましく、85〜95モル%がより好ましい。
上記共重合体は、スチレン系単量体及びメタクリル酸以外にも、これらと共重合可能な他の単量体に由来する構造単位を含むことができる。他の単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル;アクリル酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。他の単量体は、1種又は2種以上を組み合せて使用することができる。
上記スチレン系樹脂の分子量は、特に限定されない。組成物の成形加工性、特に溶融成形性、得られる成形体の強度等の点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)が50,000〜1,000,000であることが好ましく、100,000〜500,000であることがより好ましい。
上記スチレン系樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜3.5であることが、得られる成形体の強度等の点から好ましい。
上記ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂及び芳香族−脂肪族共重合体ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。光拡散性樹脂組成物には、芳香族ポリカーボネート樹脂が用いられる場合が多い。具体的には、2価のフェノール化合物とホスゲン又はジフェニルカーボネート等との反応により得られる芳香族ポリカーボネート樹脂である。
2価のフェノールの具体的な例としては、2,2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシノール等が挙げられる。これらのうち、2,2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が、耐衝撃性等に良好であることから好ましい。
上記ポリカーボネート樹脂は、界面重合及び溶融エステル交換のいずれの方法により得られたポリカーボネート樹脂であってもよい。
上記ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、特に限定されないが、機械的特性及び射出成形時の流動性の観点から、好ましくは1×104〜1×105、より好ましくは1.3×104〜3×104である。
ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐衝撃性、耐熱性及び難燃性等において優れており、その性能の割に比較的安価であるため、照明器具及びディスプレイ等の光学用途にも広く使用されている。従って、本発明に係る透明樹脂(X)として、特に好ましい。
架橋樹脂微粒子(Y)は、架橋構造を有する樹脂からなる微粒子であれば、その構成等に制限はない。用いる単量体の選択性が高く、屈折率の調整が容易であることから、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含む(メタ)アクリル酸エステル系架橋樹脂からなる微粒子であることが好ましい。そして、この微粒子に含まれる架橋構造が、炭素−炭素二重結合を複数含む多官能の重合性不飽和化合物の重合による開裂に基づくもの、シロキサン結合に基づくもの等とすることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル系架橋樹脂を構成する、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位の含有割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95〜100質量%である。特に、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位の含有割合が80質量%以上である場合には、架橋樹脂微粒子(Y)の屈折率を容易に1.460〜1.510の範囲に調整することができるため好ましい。
本発明で用いる架橋樹脂微粒子(Y)の製造方法は、特に限定されないが、以下のような方法を例示することができる。
(i)分散重合により製造した樹脂微粒子よりなるシード粒子に、架橋性単量体を含むビニル系単量体(m2)を吸収させた後、このビニル系単量体(m2)を重合させる方法。
(ii)分散重合により加水分解性シリル基を有する樹脂微粒子を得た後、加水分解性シリル基どうしによる架橋反応を行う方法。
本発明では、上記(i)及び(ii)等の方法により得られた架橋樹脂微粒子を単独で用いても良いし、組み合せて用いても良い。
(メタ)アクリル酸エステル系の架橋樹脂微粒子の製造方法は、懸濁重合が一般的であるが、懸濁重合による場合は、粒子径分布の狭い、サイズの揃った架橋樹脂微粒子を製造することは一般に困難である。一方、分散重合では、アルコール系溶媒、特に、アルコール及び水の混合溶媒中で重合することにより、粒子径分布が狭く、サイズの揃った架橋樹脂微粒子を円滑に製造することができる。また、アルコール及び水の比率を調整することにより、粒子径及び粒子径分布をコントロールすることができる。かかる点から、本発明では、上記方法(i)及び(ii)が好ましく用いられる。
上記方法(i)の場合、シード粒子は、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂であり、水・アルコール系極性溶媒中でビニル系単量体(m1)を分散重合に供することにより製造することができる。また、この際、カルボキシル基含有マクロモノマーを分散安定剤として用いた場合には、分散重合がより円滑に進行する。
カルボキシル基含有マクロモノマーは、分子の末端又は側鎖にラジカル重合性不飽和結合を有するものであれば、特に限定されない。このラジカル重合性不飽和結合としては、末端ビニリデン基、末端(メタ)アクリロイル基、側鎖(メタ)アクリロイル基、末端スチリル基等が挙げられる。
シード粒子を形成するビニル系単量体(m1)としては、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物等が挙げられ、具体的な単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の(メタ)アクリル酸の脂環基含有エステル;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の(メタ)アクリル酸の複素環基含有エステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル等の(メタ)アクリル酸のアルコキシアルキルエステル等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてよいし、2種以上を用いてもよい。上記ビニル系単量体(m1)は、(メタ)アクリル酸エステルを含むことが好ましく、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸イソブチルが特に好ましい。
上記シード粒子の形成に用いられる(メタ)アクリル酸エステルの使用量は、ビニル系単量体(m1)の全質量に対して、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%である。
また、上記シード粒子は、シード粒子を構成する構造単位の全量100質量%に対し、好ましくは60質量%以上、更に好ましくは65質量%以上、特に好ましくは70〜100質量%が、メタクリル酸メチルに由来する構造単位及び/又はメタクリル酸イソブチルに由来する構造単位からなるメタクリル酸エステル系樹脂であることが、粒子の耐熱ブロッキング性、耐候性及び屈折率の点から好ましい。
上記シード粒子を製造する場合、マクロモノマーの使用量は、上記ビニル系単量体(m1)100質量部に対して、好ましくは0.5〜50質量部、より好ましくは1.0〜20質量部である。
上記シード粒子の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の値として1,000〜2,000,000であることが好ましく、5,000〜1,000,000がより好ましい。
また、分散重合により得られるシード粒子に吸収させた後重合させるビニル系単量体(m2)は、架橋樹脂微粒子(Y)を生成させるために、多官能ビニル単量体を含む。この多官能ビニル単量体としては、重合性に優れた多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましく用いられる。具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性体のトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の3価以上の多価アルコールのトリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレートを挙げることができる。多官能(メタ)アクリレート化合物は、1種のみを用いてよいし、2種以上を用いることができる。
これらのうち、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂からなるシード粒子への吸収が容易であること、架橋密度を高くすることが可能であること、及び重合安定性に優れる等の点から好ましく用いられる。
上記シード粒子に吸収させて重合させるビニル系単量体(m2)は、上記した多官能ビニル単量体と共に、単官能ビニル単量体を含有していることが、シード粒子への吸収、及び重合安定性が有利になる点から好ましい。この単官能ビニル単量体としては、シード粒子を構成している(メタ)アクリル酸エステル等の単量体と同じか又は近似した単量体、例えば、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸イソブチルであることが好ましい。このような単官能ビニル単量体を含むビニル系単量体を用いることにより、シード粒子の膨潤が良好に行われ、それによってシード粒子へのビニル系単量体(m2)の吸収を促進させて、架橋が十分になされた架橋樹脂微粒子(Y)が得られる。また、上記透明樹脂(X)として、例えば、スチレン系樹脂を用いた場合に、架橋樹脂微粒子(Y)との屈折率差を大きくして、より高い光拡散性を得るためには、より屈折率の低いポリマーを形成する単官能ビニル単量体を選択することが好ましく、例えば、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル等が好ましく用いられる。
上記架橋樹脂微粒子(Y)を製造する際のシード粒子及びビニル系単量体(m2)の好ましい使用量の割合は、特に制限はないが、粒子への架橋構造付与及びシード粒子へのモノマー吸収の観点から、以下に示される。シード粒子1質量部に対して、ビニル系単量体(m2)が0.5〜10質量部であることが好ましく、0.7〜5質量部であることがより好ましい。
尚、多官能ビニル単量体の使用量は、ビニル系単量体(m2)の全質量に対して、好ましくは3〜95質量%、特に好ましくは5〜75質量%である。
次に、上記方法(ii)の場合、加水分解性シリル基を有する樹脂微粒子は、加水分解性シリル基を有するビニル系単量体と、(メタ)アクリル酸エステル等とを用いて分散重合を行うことにより得られた微粒子であることが好ましい。尚、加水分解性シリル基とは、加水分解縮合反応によりシロキサン結合を形成して架橋することが可能な官能基を意味し、メトキシシラン、エトキシシラン等が挙げられる。
加水分解性シリル基を有するビニル系単量体としては、加水分解性シリル基を1つ以上有するビニル化合物のいずれもが使用できる。例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシランン等のビニルシラン;アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、アクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル等の加水分解性シリル基含有アクリル酸エステル;メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸トリエトキシシリルプロピル、メタクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル、メタクリル酸ジメチルメトキシシリルプロピル等の加水分解性シリル基含有メタクリル酸エステル;トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル等の加水分解性シリル基含有ビニルエーテル;トリメトキシシリルウンデカン酸ビニル等の加水分解性シリル基含有ビニルエステル等を挙げることができる。これらのビニル系単量体は、1種のみを用いてよいし、2種以上を用いることができる。
これらのうち、加水分解性シリル基を有するビニル系単量体としては、加水分解性シリル基含有アクリル酸エステル、及び、加水分解性シリル基含有メタクリル酸エステルが好ましい。これらの単量体は、(メタ)アクリル酸エステル等との共重合性に優れ、耐熱性及び耐候性に優れた微粒子が得られることから好ましい。上記ビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルとの共重合性、分散重合時の安定性及び架橋性に優れることから、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル(別称:トリメトキシシリルプロピルメタクリレート)が特に好ましく用いられる。
加水分解性シリル基を有するビニル系単量体の使用量は、一般的には、加水分解性シリル基を有する樹脂微粒子の製造に用いられる単量体(マクロモノマーを含む)の全質量に対して、2〜50質量%、特に5〜30質量%にすることが好ましい。
加水分解性シリル基を有する樹脂微粒子の製造に用いられる、加水分解性シリル基を有するビニル系単量体以外の単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられ、その具体的な単量体については上記の通りである。
また、加水分解性シリル基を有する樹脂微粒子を製造するための分散重合においては、(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー型分散安定剤を用いることが好ましい。(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー型分散安定剤を用いると、少量の使用で、目標とする粒子径を有し、粒子径分布が狭い加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系樹脂微粒子を円滑に得ることができる。更に、このマクロモノマー型分散安定剤は、カルボキシル基をも有することがより好ましい。
(メタ)アクリロイル基は、ポリマー鎖の末端及び側鎖のいずれの位置に結合していてもよい。特に、(メタ)アクリロイル基が側鎖に結合したマクロモノマー型分散安定剤は、より少量の使用で、目的とする加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系樹脂微粒子を安定に製造できる点から好ましい。
側鎖に(メタ)アクリロイル基を有し且つカルボキシル基を有するマクロモノマー型分散安定剤の製造方法としては、乳化重合によりカルボキシル基含有プレポリマーを合成し、その後、このプレポリマーのカルボキシル基と、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有(メタ)アクリレートにおけるエポキシ基とを反応させて、(メタ)アクリロイル基を付与する方法が挙げられる。このとき、プレポリマーのカルボキシル基の一部が残存してもよい。この方法であれば、簡便に高性能のマクロモノマーを製造することができる。エポキシ基含有(メタ)アクリレートを用いる場合には、ポリマー鎖1本当たりに0.6〜2.0個付加させることで、より粒子径分布が狭く、粒子径の揃った微粒子を製造でき、好ましい。
上記マクロモノマーの、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は、好ましくは500〜50,000、より好ましくは1,000〜10,000である。
加水分解性シリル基を有する樹脂微粒子の製造に用いる、(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有するマクロモノマー型分散安定剤は、そのカルボキシル基が中和されていることが好ましい。これにより、中和されたカルボキシアニオンの静電反発効果により、加水分解性シリル基を有する樹脂微粒子の安定した製造が可能となる。中和に用いるアルカリの量は、カルボキシル基の2倍当量以下であることが好ましい。2倍当量を超えると、反応液のアルカリ性が強くなって、重合中に加水分解性シリル基が反応して凝集が生ずる場合がある。中和用のアルカリとしては、アンモニア、トリエチルアミン等が挙げられるが、これらのうち、除去が容易なアンモニアが好ましく用いられる。
上記マクロモノマー型分散安定剤を用いる分散重合法においては、分散重合で使用される公知の重合開始剤を使用することができる。具体的な例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジ−tert−ヘキシルパーオキサイド、ジ−tert−アミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;過硫酸カリウム等の過硫酸塩系化合物等が挙げられる。
上記方法(ii)の場合、上記マクロモノマー型分散安定剤の存在下、加水分解性シリル基を有するビニル系単量体及び(メタ)アクリル酸エステルを併用して共重合させることが好ましいので、これらの分散重合により、加水分解性シリル基を有するビニル系単量体に由来する構造単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位、及び、マクロモノマー型分散安定剤に由来する構造単位を含む、加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系樹脂微粒子を含有する分散液が得られる。
その後、上記で得られた加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系樹脂微粒子における加水分解性シリル基どうしを架橋反応させて、架橋樹脂微粒子(Y)を製造する。
架橋反応は、加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系樹脂微粒子を含む分散液に、架橋用触媒を添加することにより行うことができる。架橋用触媒により、加水分解性シリル基どうしを縮合反応させてシロキサン結合を形成することができる。架橋用触媒としては、アルカリ材料が好ましく、特に、架橋反応後、除去が容易なアンモニアや、低沸点アミンが好ましく用いられる。
アルカリ材料の使用量は、シリル架橋度が高くなる点から、加水分解性シリル基を有する樹脂微粒子中のシリル基に対して3倍当量以上であることが好ましく、6倍当量以上であることがより好ましい。
上記方法(i)及び(ii)に示した架橋樹脂微粒子(Y)の製造方法のうち、分散重合により加水分解性シリル基を有する樹脂微粒子を得た後に架橋反応を行う方法(ii)は、簡便且つ低コストで製造できることから好ましい。
尚、本発明の光拡散性樹脂組成物は、後述するように、添加剤を含有することができる。本発明において、上記架橋樹脂微粒子(Y)は、酸化防止剤、光安定剤等が含有された粒子であってもよい。これらの添加剤を含む光拡散性樹脂組成物は、耐熱分解安定性、耐候性に特に優れるので、好ましい態様である。
酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。
このうち、リン系酸化防止剤としては、亜リン酸エステル化合物等が挙げられる。
亜リン酸エステル化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−tert−4−(3−tert−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−2−オクタデシルホスファイト、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4−n−ブチリデンビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタントリホスファイト等を挙げることができる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス[(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、及びテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビタミンE、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール等を挙げることができる。これらのうち、ヒンダードフェノール化合物が好ましい。
イオウ系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、及びグリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート等を例示することができる。
上記酸化防止剤は、1種又は2種以上を組み合せて使用することができる。
また、光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]}、ポリメチルプロピル3−オキシ−[4−(2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジニル]シロキサン等のヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。
上記光安定剤は、1種又は2種以上を組み合せて使用することができる。
本発明に係る架橋樹脂微粒子(Y)の体積平均粒子径(dv)は、1.5〜3.3μmであり、好ましくは1.8〜2.8μm、より好ましくは2.1〜2.5μmである。
体積平均粒子径(dv)が1.5μm未満の場合、粒子1個当たりの拡散光の割合が少なくなるため拡散せずに透過する正透過光の割合が多くなり、全光線透過率が高い領域で拡散性(分散度)が低下するため好ましくない。一方、体積平均粒子径(dv)が3.3μmを超える場合、同質量における粒子数が少なくなり、同じ全光線透過率を得るために必要な添加量が多くなるため好ましくない。また、架橋樹脂微粒子(Y)の粒子が大きい場合には、拡散透過光がより直進性を増すために好ましくない。
架橋樹脂微粒子(Y)の粒子径分布において、変動係数(CV)は、20%以下であり、好ましくは10%以下である。CV値が20%を超えると、高透過率領域における分散度が低下する傾向がある。
尚、変動係数(CV)の値を粒子径分布の広がりを表す指標として用いることができる。変動係数(CV)が小さいほど粒子径分布が狭いことを表し、20%以下であれば、その分布幅は非常に狭いものであるということができる。全粒子が同一粒子径且つ真球状粒子である場合には、変動係数(CV)が0となるが、現実に得られるものとしては2%程度が下限と考えられる。
ここで、本明細書における架橋樹脂微粒子(Y)の体積平均粒子径(dv)及び変動係数(CV)は、レーザー回折散乱式粒度分布計及び走査型電子顕微鏡を使用して、それぞれ、測定又は算出されるものであり、その詳細な方法は、後述する実施例に記載のとおりである。
また、本発明において、上記架橋樹脂微粒子(Y)を、窒素ガス雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件にて熱分解させた場合に、質量が半分となる温度、即ち、50%重量減温度(Td50)が320℃以上であり、好ましくは350℃以上である。上限温度は、一般的なアクリル系微粒子では400℃である。Td50が320℃未満の場合には、混練時に加えられる熱により架橋樹脂微粒子が分解し、粒子径の変化、ガスの発生及び着色等の不具合を生じる場合がある。尚、Td50は、例えば、熱重量・示差熱分析装置を用いて測定することができる。
一般に、メタクリル系ポリマーは、他のポリマー材料と比較すると、加熱した際の分解速度が大きいことが知られており、メタクリル系単量体のみからなる架橋樹脂微粒子のTd50は、低くなる。しかしながら、アクリル系単量体及びスチレン系単量体等を、数質量%程度共重合させることにより、加熱時の分解速度が低減されるため、Td50の値を高めることができる。
本発明の光拡散性樹脂組成物は、上記透明樹脂(X)及び上記架橋樹脂微粒子(Y)を含み、上記透明樹脂(X)の屈折率と、上記架橋樹脂微粒子(Y)の屈折率との差の絶対値(Δn)は、0.095〜0.115であり、好ましくは0.100〜0.110である。
Δnが大きい場合には、光拡散剤粒子1個当たりの散乱光の割合が多くなり、必要な拡散剤添加量が少なくなるため基本的には好ましい。しかし、Δnが大き過ぎると、反射光の割合が多くなるので好ましくない。また、必要な光拡散剤添加量が少なすぎると、樹脂組成物中で粒子に当たらず透過してしまう正透過光が多くなり、拡散透過光が少なくなるため好ましくない。このような場合には全光線透過率が高い領域において分散度が低下する傾向があり、Δnが0.115を超えるとこれらの不具合が生じることがある。
また、Δnが0.095未満の場合には、粒子1個当たりの拡散光の割合が少なくなるため光拡散剤の添加量を増やす必要があり、好ましくない。
本発明の光拡散性樹脂組成物における透明樹脂(X)及び架橋樹脂微粒子(Y)の含有割合を示す。架橋樹脂微粒子(Y)の含有量は、透明樹脂(X)100質量部に対して、好ましくは0.1〜2.0質量部、より好ましくは0.3〜1.5質量部、更に好ましくは0.3〜1.0質量部である。架橋樹脂微粒子(Y)の含有量が2.0質量部を超えると、耐衝撃性や難燃性が低下する傾向がある。また、0.1質量部未満の場合は、光拡散性が不十分となる傾向がある。
また、本発明の光拡散性樹脂組成物は、必要に応じて、架橋樹脂微粒子(Y)以外の微粒子(以下、「他の微粒子」という。)を含有していてもよい。他の微粒子が含まれることにより、光拡散性を微調整することができる。他の微粒子としては、例えば、架橋(メタ)アクリル酸エステル系微粒子、架橋ポリスチレン系微粒子、架橋ポリオルガノシロキサン系微粒子、シリカ微粒子等を挙げることができる。これらの他の微粒子は、1種のみを用いてよいし、2種以上を用いることができる。
本発明の光拡散性樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、添加剤を含有することができる。添加剤としては、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、着色剤(染料、顔料)、蛍光増白剤、選択波長吸収剤、可塑剤等を挙げることができる。
ここで、酸化防止剤及び光安定剤は、架橋樹脂微粒子(Y)に添加可能なものとして既述した化合物を用いることができる。
本発明の光拡散性樹脂組成物は、透明樹脂(X)及び架橋樹脂微粒子(Y)を含む原料を、溶融混練することにより製造することができる。製造装置としては、例えば、溶融押出機、ニーダー、ミル等が挙げられ、透明樹脂(X)の溶融温度以上で且つ透明樹脂(X)及び架橋樹脂微粒子(Y)の熱分解温度よりも低い温度で溶融混練を行う。
本発明の光拡散性樹脂組成物を製造する場合には、透明樹脂(X)の全量及び架橋樹脂微粒子(Y)の全量を用いることができる。また、透明樹脂(X)の一部と、架橋樹脂微粒子(Y)の全量とを用いて、予め、架橋樹脂微粒子(Y)の含有割合の高いマスターバッチを調製しておき、その後、このマスターバッチと、残部の透明樹脂(X)とを混練してもよい。
本発明の光拡散性樹脂組成物の好ましい光拡散性は、以下に示される。本発明の光拡散性樹脂組成物を用いて作製した厚さ1.5mmのシートであって、白色光の全光線透過率が85%である該シートの表面に、ゴニオメーターを用いて垂直方向に光を入射した場合に、0度の出射光に対して50%の輝度の出射光となる角度(以下、「分散度(I)」という)が好ましくは20度以上、より好ましくは23度以上である。
この性質は、全光線透過率が高い領域で一定水準以上の分散度を示す光拡散性樹脂組成物は、光拡散性が良好であることを示し、分散度(I)が20度以上であることにより十分な明るさと良好な光拡散性が両立されることとなる。そのため、本発明の光拡散性樹脂組成物は、ディスプレイや照明器具等の部材用の成形材料としても好適となる。分散度は、透明樹脂(X)及び架橋樹脂微粒子(Y)との屈折率差(Δn)、架橋樹脂微粒子(Y)の粒子径、粒子径分布及びその添加量等をバランス化させることにより調整される。
また、本発明において、透明樹脂(X)及び架橋樹脂微粒子(Y)がそれぞれ100質量部及び0.5質量部である光拡散性樹脂組成物を用いて作製した厚さ1.5mmのシートの表面に、ゴニオメーターを用いて垂直方向に光を入射した場合に、0度の出射光に対して50%の輝度の出射光となる角度(以下、「分散度(II)」という)が好ましくは22度以上、より好ましくは23度以上である。
上記分散度(II)が22度以上であれば、光拡散に優れるため好ましい。
上記分散度(I)及び(II)は、ゴニオメーター(変角光度計)を用いて、厚さ1.5mmのシートの一方の表面に対して垂直に、厚さ方向に平行光を照射し、もう一方の面側で透過光の配光分布を測定することにより求められる。具体的には、各出射角度θにおける光度Iθを用いて以下の式(1)より輝度Bθを求め、θ=0度のときの輝度B0に対して50%の輝度となる角度を分散度とした。
Bθ=Iθ/cosθ (1)
シートの成形方法は、特に限定されるものではないが、例えば、光拡散性樹脂組成物を、圧縮成型機等を用いた圧縮成形に供することにより得ることができる。また、分散度は、シートの厚さにより得られる値が異なるため、シートの厚さが1.50±0.05mmの範囲内であることを確認した後に測定に供することが好ましい。
本発明の光拡散性樹脂組成物を用いて、ポリカーボネート樹脂等の成形用樹脂組成物に対して、従来から採用されている各種成形方法により、成形体を製造することができる。成形体を製造するための成形方法は、使用目的、用途等に応じて、適宜、選択され、特に限定されず、例えば、押出成形、射出成形、圧縮成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、流延成形、カレンダー成形、注型等の溶融成形が挙げられる。また、溶融成形により得られた成形体は、必要に応じて、曲げ加工、真空成形、ブロー成形、プレス成形等の二次成形加工を行って、目的とする成形体にしてもよい。光学用途の場合、使用目的、用途に応じて、成形体表面に、レンズ形状、エンボス形状が形成される加工方法を行い、光学特性を調整することができる。
本発明の光拡散性樹脂組成物からなる成形体は、液晶表示装置等における光拡散板、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、照明器具、電照看板等の光学用途等に有効に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に何ら限定されるものではない。また、以下の記載において「部」及び「%」は、各々「質量部」及び「質量%」を意味する。
1.物性の評価方法
マクロモノマー、架橋樹脂微粒子(Y)、並びに光拡散性樹脂組成物から製造した成形体等に対して実施した評価方法は、以下の通りである。
(1)数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)
マクロモノマー又はその製造原料であるプレポリマーを、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に供して、分子量が既知のポリスチレンを基準物質として用いて予め作成しておいた検量線から、数平均分子量(以下、「Mn」)及び重量平均分子量(以下、「Mw」)を算出した。
GPC装置として、東ソー社製「HLC−8220GPC」を使用し、カラムとして東ソー社製「TSK−GEL MULTIPORE HXL−M」(4本)を使用して測定した。重合体をテトラヒドロフラン(THF)に溶解して濃度0.2%の溶液を調製した後、溶液100μLを、カラムに注入し、溶離液にTHF、カラム温度40℃、溶離液(THF)の流速1.0mL/分にて測定を行った。
(2)体積平均粒子径(dv)
表1に示した製造例1〜13で得られた架橋樹脂微粒子を含むスラリーにメタノールを加えて、微粒子の濃度が5%となるよう調整し、十分に振り混ぜて、均一分散させた。この分散液に、超音波を10分間照射した後、日機装社製レーザー回折散乱式粒度分布計「MT−3000」を用いて、粒子径分布測定を行った。測定時の循環分散媒として、イオン交換水若しくはアセトンを使用した。また、市販品1〜3の架橋樹脂微粒子は、その乾燥粉末の濃度が5%となるようにアセトン中に投入し、十分に振り混ぜて、均一分散させた。この分散液に、超音波を10分間照射した後、粒子径分布測定を行った。粒子径分布測定により得られた体積基準での粒子径分布よりメジアン径(μm)を計算し、体積平均粒子径(dv)とした。
(3)変動係数(CV)
表1に示した架橋樹脂微粒子(A1)〜(A9)及び(B1)〜(B7)を、日本電子社製電界放射走査型電子顕微鏡(FE−SEM)「JSM−6330F」にて観察した。1枚に50〜100個程度の粒子が観察できる倍率で撮影した後、粒子像を明確に確認できる0.2μm以上の架橋樹脂微粒子(200個以上)について、粒子径(di)(円相当直径)を測定した。次いで、下記式(3)により標準偏差(σ)を算出し、これを用いて下記式(2)により変動係数(CV)を算出した。
CV(%)=100×(σ/dn) (2)
σ=(Σ(di−dn)2/ΣNi)1/2 (3)
ここで変動係数(CV)及び標準偏差(σ)を求めるための数平均粒子径(dn)は上記SEM観察で得られた粒子径(di)及び粒子径を有する粒子数(Ni)を用いて、下記式(4)から算出した。
dn=(ΣNidi/ΣNi) (4)
(4)屈折率(n)
架橋樹脂微粒子の屈折率は、架橋樹脂を構成する各構造単位のホモポリマーの屈折率(ni)、及び、架橋樹脂を構成する構造単位の全量に対する各構造単位の質量割合(wi)を用いて、下記式(5)より算出した。
n=Σniwi (5)
尚、各ホモポリマーの屈折率は「POLYMER HANDBOOK 第4版」(John Wiley & Sons,Inc.発行)に記載された値を用いた。文献に屈折率記載のないポリマーについては、溶液重合若しくは光重合によりホモポリマーを合成し、アタゴ社製アッベ屈折計「DR−M2」を用いて、温度25℃で、波長589nmの光で測定した。
(5)熱分解温度(Td50
架橋性微粒子の熱分解温度を、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製示差熱熱重量同時測定装置(TG−DTA)「SII EXSTAR6000」にて測定した。窒素ガス雰囲気下、昇温速度10℃/分で25℃から500℃まで昇温し、重量変化を測定した。測定前の質量が半減したときの温度を測定し、これをTd50とした。
(6)成形体の全光線透過率
光拡散性樹脂組成物を用いて、厚さ1.5mmのシートを作製し、これを適当な大きさに切りだして測定試料とした。日本電色社製ヘイズメーター「ヘイズメーターNDH2000」(型式名)を使用して、全光線透過率(T.t.)を測定した。
(7)成形体の分散度
全光線透過率と同じシートを測定試料とした。図1に示すように、光源2を備える装置として、村上色彩技術研究所社製変角光度計「GP−200」を用いて、シート1の表面に対して垂直に、光線を照射し、裏面側で透過光(出射光)の配光分布を測定して分散度を求めた。具体的には、各透過光(出射光)の出射角度θでの光度Iθを測定した後、下記式(6)より輝度Bθを求め、θ=0のときの輝度B0を100とした場合の輝度が50になるときの角度θを算出し、このθを分散度とした。
Bθ=Iθ/cosθ (6)
2.マクロモノマーの合成
はじめに、架橋樹脂微粒子を製造するために、マクロモノマーMM−1及びMM−2を製造した。
合成例1(マクロモノマーMM−1の製造)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管及び送液配管連結部を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水200部を仕込んだ。次いで、攪拌、及び窒素ガスの導入を行いながら、反応容器内の水温を80℃に調整した。一方、送液配管を取り付けたガラス製容器に、メタクリル酸メチル(以下、「MMA」)36.35部、メタクリル酸イソブチル(以下、「IBMA」)36.35部、メタクリル酸(以下、「MAA」)20部及びチオグリコール酸2−エチルヘキシル(以下、「OTG」)7.3部を仕込み、攪拌して単量体混合液(100部)を調製した。ガラス製反応容器内の水温が80℃で安定したことを確認した後、ガラス製反応容器に、重合開始剤である過硫酸アンモニウム(以下、「APS」)0.8部をイオン交換水3.0部に溶解した開始剤水溶液を添加し、撹拌した。そして、その5分後に、送液配管連結部を介してガラス製反応容器に接続されたガラス製容器から、定量ポンプを用いて、単量体混合液の供給を開始した。単量体混合液の供給は、一定速度で240分かけて行った。単量体混合液の供給完了後、反応容器内温を30分かけて90℃に昇温した。そして、90℃で4.5時間維持してプレポリマーの分散液を得た。分散液の一部をサンプリングし、乾燥により媒体を除いた後のプレポリマーを、GPC測定に供したところ、ポリスチレン換算のMnは2,700であり、Mwは4,600であった。
上記で得られたプレポリマー分散液の温度を30分かけて80℃に降温した後、導入ガスを、窒素ガスから空気に変更し、直ちにメトキシハイドロキノン0.03部を添加した。メトキシハイドロキノンを添加して5分後に、トリエチルアミン9.4部を一定速度で30分かけて反応容器に供給した。その15分後にメタクリル酸グリシジル(以下、「GMA」)6.1部を一定速度で30分かけて反応容器に供給し、温80℃で3時間加熱した。これにより、プレポリマーのカルボキシル基と、GMAに含まれるグリシジル基とを反応させ、GMAに由来するメタクリロイル基を有するマクロモノマーMM−1を含む分散液を得た(NV34%)。
合成例2(マクロモノマーMM−2の製造)
ホットオイルによる加熱装置を備えた容量500mlの加圧式攪拌槽型反応器を、3−エトキシプロピオン酸エチルで満たした。その後、反応器を約250℃に加温した。一方、MMA20部、アクリル酸シクロヘキシル(以下、「CHA」)55部、アクリル酸(以下、「AA」)25部及びジ−tert−ブチルパーオキサイド(以下、「DTBP」)0.1部を混合して、単量体混合液を調製し、それを原料タンクに収容した。
次いで、上記反応器内の圧力を、圧力調節器により3−エトキシプロピオン酸エチルの蒸気圧以上で一定に保ちながら、上記単量体混合液を原料タンクから反応器に連続的に供給し、230℃で重合を行った。このとき、単量体混合液の反応器内での平均滞留時間が12分となるように供給速度を設定した。単量体混合液の供給量に相当する反応液を反応器の出口から連続的に取り出した。尚、単量体混合液を供給している間、反応器内の温度を230℃±2℃に維持した。
単量体混合液の供給開始から90分後、反応器の出口から取り出した反応液を薄膜蒸発器に導入して、反応液中の未反応単量体等の揮発性成分を除去し、マクロモノマーMM−2を得た。マクロモノマーMM−2の採取を60分間行い、その後、冷却することにより、固体のマクロモノマーMM−2を得た。そして、マクロモノマーMM−2をGPC測定に供したところ、ポリスチレン換算によるMnは3,100であり、Mwは10,600であった。また、核磁気共鳴スペクトル(以下、1H−NMRという。)により、マクロモノマーMM−2に含まれる末端エチレン性不飽和結合の濃度を測定した。数平均分子量及び末端エチレン性不飽和結合の濃度から算出されるマクロモノマーMM−2の末端エチレン性不飽和結合導入率(以下、F値という。)は98%であった。
次に、固体のマクロモノマーMM−2を粉砕してフレーク状としたもの100部、水260部及び25%アンモニア水22.5部を、冷却管付ガラス製フラスコに仕込み、温浴を用いて、内温を90℃とした。そして、攪拌を行い、マクロモノマーMM−2を水溶化させた。マクロモノマーMM−2が溶解したことを確認した後、固形分が25%となるように水を加え、マクロモノマーMM−2の水溶液を得た。
3.架橋樹脂微粒子
光拡散性樹脂組成物の製造に用いた架橋樹脂微粒子は、合成品及び市販品であり、以下に示される。
製造例1(架橋樹脂微粒子A1の製造)
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管及び送液配管連結部を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水100.4部、メタノール475.6部、25%アンモニア水0.12部、合成例1で得られたマクロモノマーMM−1を含む分散液5.86部、MMA15.0部、IBMA50.0部及びアクリル酸2−エチルヘキシル(以下、「HA」)10.0部を仕込んだ。次いで、攪拌、及び窒素ガスの導入を行いながら、反応容器の内温を55℃に調整した。
内温が55℃で安定したことを確認した後、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート(以下、「TMOS−PMA」)25.0部を反応容器に供給した。更に、その10分後、重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシピバレートの70%溶液(日本油脂社製、商品名「パーブチルPV」)2.4部を添加して重合を開始した。この重合開始剤を添加すると、直ちに反応液に濁りが生じ、徐々に白化して乳白色となった。即ち、重合体微粒子が生成していることが確認された。重合開始剤の添加開始から、内温を55℃に保持して、6時間後、重合を終了し、加水分解性シリル基を有する重合体微粒子の分散液を得た。
次に、加水分解性シリル基を架橋させるための塩基性触媒として、25%アンモニア水32.8部を、上記分散液に添加し、内温を62℃として、攪拌下、3時間保持した。これにより、架橋構造を有する微粒子を形成させた。尚、アンモニア水の添加から2.5時間経過した時点で、酸化防止剤(BASF社製、商品名「Irganox245」)1.0部を添加した。
反応液を冷却後、200目ポリネットでろ過を行い、濾液(架橋樹脂微粒子の分散液)を回収した。そして、この分散液を、155℃で30分間加熱した場合の不揮発分が98%以上になるまで60℃で乾燥した。乾燥後、解砕を行い、粉末の架橋樹脂微粒子A1を得た。その後、上記の方法により、dv、CV、屈折率及びTd50を得た(表1参照)。
製造例2〜6及び9〜13(架橋樹脂微粒子A2〜A6及びA9並びにB1〜B4の製造)
マクロモノマーの存在下に使用する単量体の種類及び使用量、並びに、イオン交換水及びメタノールの使用量を表1に示すとおり変更した以外は、製造例1と同様の操作を行い、架橋樹脂微粒子A2〜A6、A9及びB1〜B4を得た。得られた架橋樹脂微粒子の物性を表1に示す。
製造例7(架橋樹脂微粒子A7の製造)
マクロモノマーの存在下に使用する単量体の種類及び使用量、並びに、イオン交換水及びメタノールの使用量を表1に示すとおりとし、使用する単量体の9/10を初期に仕込み、残りの1/10を、重合開始剤を添加してから10分後に添加した以外は、製造例1と同様の操作を行い、架橋樹脂微粒子A7を得た。得られたA7の物性を表1に示す。
製造例8(架橋樹脂微粒子A8の製造)
架橋樹脂微粒子A8は、樹脂微粒子よりなるシード粒子SD−1を作製した後、このシード粒子SD−1の存在下に、架橋性単量体を含むビニル系単量体を重合させて得られた微粒子である。
(1)シード粒子SD−1の製造
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管及び送液配管連結部を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水250部、メタノール750部、MMA40部、IBMA50部、アクリル酸イソブチル(以下、「IBA」)10部、及び、上記で得られたマクロモノマー(MM−2)を含む水溶液40部を仕込んだ。次いで、攪拌、及び窒素ガスの導入を行いながら、反応容器内の混合液の温度を60℃に調整した。
混合液の温度が60℃で安定したことを確認した後、ガラス製反応容器に、重合開始剤「パーブチルPV」2.4部を添加し、攪拌下、重合を開始した。この重合開始剤を添加すると、直ちに反応液に濁りが生じ、徐々に白化して乳白色となった。即ち、重合体微粒子が生成していることが確認された。重合開始剤の添加開始から、内温を60℃に保持して、6時間後、50℃まで冷却した。その後、減圧下、メタノール及び水を留去して、固形分が35.0%となるように調整して、シード粒子SD−1を含む分散液を得た。
得られたシード粒子SD−1の分散液を遠心分離処理し、上澄み液を除去した後、回収した微粒子の体積平均粒子径(dv)を、レーザー回折散乱式粒度分布計により測定したところ、1.65μmであった。
(2)架橋樹脂微粒子A8の製造 攪拌機、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水299部、10%KOH水溶液3.0部、及び、上記で製造したシード粒子SD−1の分散液285.7部を仕込んだ。その後、これらを攪拌しながら、反応容器内の温度を20℃に調整した。
一方、SUS製容器に、MMA40部、IBMA40部及びトリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製、商品名「アロニックスM−309」)20部を仕込み、攪拌混合した。その後、得られた混合物に、更にイオン交換水100部に、乳化剤であるラウリル硫酸ナトリウム(花王社製、商品名「エマール2F−30」)1.5部を溶解させた乳化剤水溶液を加え、乳化器を用いて乳化させ、ビニル単量体の乳化物を調製した。
次に、シード粒子SD−1が収容された上記反応容器に、上記で調整したビニル単量体の乳化液を加え、更に重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社製、商品名「V−65」)1部を加え、20℃で、12時間攪拌を行い、シード粒子SD−1にビニル単量体及び重合開始剤を吸収させた。
その後、反応容器内の気相部に、窒素ガス導入管より窒素ガスを導入した。そして、内温を20℃から70℃まで2時間かけて昇温することでシード粒子に吸収されたビニル単量体を重合させた。70℃に到達した後、更に2時間、70℃に維持しつつ、撹拌を行った。次いで、酸化防止剤であるトリエチレングリコールビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)]プロピオネート(ADEKA社製、商品名「AO−70」)1部をメタノール19部に溶解した液を加え、攪拌下、70℃で更に30分保持した。その後、冷却して架橋樹脂微粒子A8を含む分散液を得た。
次に、上記分散液の遠心分離処理を行い、上澄みを除去して、架橋樹脂微粒子A8を含む沈降ケーキを得た。得られた沈降ケーキを、同質量のイオン交換水と混合して、再分散させた。その後、再度遠心分離処理を行い、上澄みを除去して沈降ケーキを得た。そして、得られた沈降ケーキを、155℃で30分間加熱した場合の、不揮発分が98%以上になるまで80℃で乾燥した。乾燥後、解砕を行い、粉末の架橋樹脂微粒子A8を得た。得られたA8の物性を表1に示す。
市販品の架橋樹脂微粒子B5〜B7を以下に示す。体積平均粒子径(dv)、変動係数(CV)、屈折率及び熱分解温度(Td50)を表1に示す。
B5:ガンツ化成社製、架橋ポリメタクリル酸メチル微粒子「GM−0105」(商品名)。
B6:ガンツ化成社製、架橋ポリメタクリル酸メチル微粒子「GM−0401S」(商品名)。
B7:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、シリコーン樹脂微粒子「トスパール120」(商品名)。
Figure 2013161843
表1において使用した化合物の略称、及び、得られた架橋樹脂微粒子の屈折率を算出する際に用いた各ホモポリマーの屈折率の値を、以下に記載する。
MMA:メタクリル酸メチル(屈折率 1.4900)
IBMA:メタクリル酸イソブチル(屈折率 1.4770)
IBA:アクリル酸イソブチル(屈折率 1.4608)
HA:アクリル酸2−エチルヘキシル(屈折率 1.4625)
TMOS−PMA:トリメトキシシリルプロピルメタクリレート(屈折率 1.4800)
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(屈折率 1.5135)
St:スチレン(屈折率 1.5900)
4.光拡散性樹脂組成物及びその成形品の製造
実施例1
本例では、透明樹脂であるポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名「ユーピロン S−3000F」、屈折率 1.585)と、架橋樹脂微粒子A1とを含む組成物の製造及び評価を行った。
架橋樹脂微粒子A1を0.3gと、ポリカーボネート樹脂59.64gと、酸化防止剤(BASF社製、商品名「Irganox B225」)0.06gとを混合した後、ラボプラストミル(東洋精機社製、LABO PLASTOMILL)を用いて、250℃、50rpmの条件にて9分間溶融混練し、架橋樹脂微粒子A1を0.5%含む光拡散性樹脂組成物を得た(表2の(3)参照)。
光拡散性樹脂組成物を、所定の形状及び大きさを有するキャビティを有する金型を用いて、圧縮成型機(神藤金属工業所社製、「SFA−37」)により4MPaにて圧縮成型し、平板成形品(縦120mm×横120mm×厚さ1.5mm)を製造した。その後、マイクロメーターを用いて平板の厚さを測定し、1.50mm±0.05mmの範囲にあることを確認した。
また、別途、架橋樹脂微粒子A1及びポリカーボネート樹脂の配合量を、表2の(1)、(2)又は(4)に記載の通りに変えて、上記と同様にして、光拡散性樹脂組成物及び平板成形品を製造した。
上記により得られた各成形品について、全光線透過率及び分散度を測定した。結果を表2に示す。また、透明樹脂及び架橋樹脂微粒子の屈折率差の絶対値Δnも併記した。
実施例2
ポリカーボネート樹脂に代えて、GPポリスチレン樹脂(Dongbu Hannong Chemicals社製、商品名「SOLARENE GPPS G−116HV」、屈折率 1.590)を用い、混練温度を200℃とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、光拡散性樹脂組成物及び平板成形品を得た。また、別途、ポリスチレン樹脂及び架橋樹脂微粒子A1の含有割合を変更した2種の組成物を製造した。得られた各成形品について、全光線透過率及び分散度を測定した。結果を表2に示す。
実施例3〜10
表2に示す配合で、ポリカーボネート樹脂及び架橋樹脂微粒子A2〜A9を用い、実施例1と同様にして、光拡散性樹脂組成物及び平板成形品を得た。得られた各成形品について、全光線透過率及び分散度を測定した。結果を表2に示す。
比較例1〜7
表3に示す配合で、ポリカーボネート樹脂及び架橋樹脂微粒子B1〜B7を用い、実施例1と同様にして、光拡散性樹脂組成物及び平板成形品を得た。得られた各成形品について、全光線透過率及び分散度を測定した。結果を表3に示す。
Figure 2013161843
Figure 2013161843
実施例1〜10から明らかなように、20度程度の分散度(光拡散性)を得るために必要な架橋樹脂微粒子(光拡散剤)の添加量は、いずれも0.5%以下と少量であり、良好な拡散効率を示す結果が得られた。また、実施例1の結果からは、架橋樹脂微粒子の添加量が2.0%までの範囲において、概略60〜90%程度の幅広い全光線透過率領域において良好な拡散性を示すことが確認できた。
平均体積粒子径(dv)に着目してみると、1.8μm以上のdvを有する架橋樹脂微粒子を用いた実施例1〜9では、全光線透過率85%程度における分散度が20度以上と認められ、全光線透過率の高い領域においても良好な拡散性が発揮されることが判った。また、dvが2.8μm以下である実施例1〜4、並びに6〜10では、透明樹脂に対する架橋性樹脂微粒子の添加量を0.5%とした際の分散度が22度以上であり、拡散効率がより良好である結果が得られた。
一方、透明樹脂と架橋樹脂微粒子との屈折率差Δnが小さい比較例1、架橋樹脂微粒子の体積平均粒子径(dv)の大きな比較例3、粒子径分布の広い比較例5、並びに大粒径且つ粒子径分布の広い比較例6は、いずれも架橋樹脂微粒子(光拡散剤)の添加量を0.5%とした場合の分散度が20度を下回るものであり、拡散効率に劣るものであった。また、比較例1の結果からは、架橋樹脂微粒子の添加量が2.0%までの範囲において、分散度20度以上の拡散性が示される領域は概略70〜90%弱程度と見積もられ、実施例1に比較して良好な拡散性を示す全光線透過率領域が狭い結果が示された。
その他、架橋樹脂微粒子の体積平均粒子径(dv)が小さい比較例2、並びにシリコーン系の架橋樹脂微粒子を用いた比較例7では、全光線透過率85%程度の高い全光線透過率領域における分散度が低く、適用可能な全光線透過率領域が限られるものであることが判った。
更に、架橋性微粒子を構成する単量体成分が全てメタクリル酸エステル系単量体からなる比較例4は、熱分解速度が速く、架橋樹脂微粒子を光拡散板等に用いた場合には、その耐熱性において懸念される結果が得られた。
本発明によれば、幅広い全光線透過率領域において高い分散度を示す光拡散性の良好な光拡散性樹脂組成物を得ることができる。また、耐熱性等にも優れた成形体を得ることができる。このため、本発明の光拡散性樹脂組成物は、十分な輝度及び光拡散性が要求されるディスプレイの光拡散板、透過型スクリーン、液晶パネル、電照看板等の用途、並びに幅広い全光線透過率領域における光拡散性が要求される照明器具のカバー等の用途に有用である。

Claims (10)

  1. 透明樹脂(X)及び架橋樹脂微粒子(Y)を含み、前記透明樹脂(X)の屈折率と、前記架橋樹脂微粒子(Y)の屈折率との差の絶対値が0.095〜0.115であり、前記架橋樹脂微粒子(Y)の体積平均粒子径が1.5〜3.3μmであり、前記架橋樹脂微粒子(Y)の粒子径の変動係数が20%以下であり、前記架橋樹脂微粒子(Y)を、窒素ガス雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で熱分解させた場合に、質量が半分となる温度が320℃以上であることを特徴とする光拡散性樹脂組成物。
  2. 前記架橋樹脂微粒子(Y)が(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含む請求項1に記載の光拡散性樹脂組成物。
  3. 前記光拡散性樹脂組成物を用いて作製した厚さ1.5mmのシートであって、白色光の全光線透過率が85%である該シートの表面に、ゴニオメーターを用いて垂直方向に光を入射した場合に、0度の出射光に対して50%の輝度の出射光となる角度が20度以上である請求項1又は2に記載の光拡散性樹脂組成物。
  4. 前記透明樹脂(X)及び前記架橋樹脂微粒子(B)の質量割合がそれぞれ100質量部及び0.5質量部である光拡散性樹脂組成物を用いて作製した厚さ1.5mmのシートの表面に、ゴニオメーターを用いて垂直方向に光を入射した場合に、0度の出射光に対して50%の輝度の出射光となる角度が22度以上である請求項1又は2に記載の光拡散性樹脂組成物。
  5. 前記透明樹脂(X)がポリカーボネート樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の光拡散性樹脂組成物。
  6. 前記透明樹脂(X)100重量部に対して前記架橋樹脂微粒子(Y)を0.1〜2.0質量部含んでなる請求項1〜5のいずれかに記載の光拡散性樹脂組成物。
  7. 前記架橋樹脂微粒子(Y)が、分散重合法により製造されたものである請求項1〜6のいずれかに記載の光拡散樹脂組成物。
  8. 前記架橋樹脂微粒子(Y)が、加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系樹脂をシラン架橋して得られる架橋樹脂微粒子である請求項1〜7のいずれかに記載の光拡散性樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の光拡散性樹脂組成物からなる成形品。
  10. 上記成形品が照明器具又は表示器具に配設される請求項9に記載の成形品。
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