JP2010237623A - 反射防止フィルム、偏光板、画像表示装置 - Google Patents

反射防止フィルム、偏光板、画像表示装置 Download PDF

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JP2010237623A JP2009088409A JP2009088409A JP2010237623A JP 2010237623 A JP2010237623 A JP 2010237623A JP 2009088409 A JP2009088409 A JP 2009088409A JP 2009088409 A JP2009088409 A JP 2009088409A JP 2010237623 A JP2010237623 A JP 2010237623A
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Abstract

【課題】表面に凹凸形状を有さない反射防止フィルムであって、高い透過率を有し、かつ像周辺ボケ、白茶け、映り込みを防止することができる反射防止フィルムを提供すること。
【解決手段】透明支持体上に、少なくとも1層の内部散乱性を有する層と、少なくとも1層の反射防止層とを有する反射防止フィルムであって、前記反射防止フィルムの算術平均粗さRaが0.1nmであり、且つ前記反射防止フィルムを構成する少なくとも1層が光吸収性を有する層であることを特徴とする反射防止フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、反射防止フィルム、該反射防止フィルムを用いた偏光板及び、該反射防止フィルム又は該偏光板をディスプレイの最表面に用いた画像表示装置に関する。
反射防止フィルムは、一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減する様ディスプレイの最表面に配置される。
従来の反射防止フィルムとしては、外光の反射を防ぐために表面反射光を拡散させて、外光の正反射を抑えて外部環境の映り込みを防ぐ、防眩性の反射防止フィルムがある。例えば、ハードコート層に所望の微粒子を含有し、かつ表面に凹凸を付与させて外光を拡散させて画面の眩しさを和らげる反射防止フィルムが開示されている(特許文献1)。
また、表面微細凹凸形状を有する防眩性ハードコート層上に低屈折率層を1層設けて、表面における外光の拡散に加えて、光干渉の原理を利用して反射率を抑えた反射防止フィルムが開示されている(特許文献2および3)。
また、複数の染料を含むハードコート層を表面に配置し、該ハードコート層の表面に凹凸形状を持たせることで、明室コントラストを向上させた反射防止フィルムも開示されている(特許文献4)。
特開2000−338310号公報 特開2002−196117号公報 特開2003−161816号公報 特開平9−101413号公報
このように、従来、映り込みは、フィルム表面に凹凸形状をつけて防眩性を付与することで抑制していたが、近年、平坦な(クリアな)表面を有するディスプレイの需要が拡大している中で、表面に凹凸のないクリアな表面で映り込みを防止する手段が必要になってきた。クリアな表面での映り込み防止は、反射率を落とすことで検討されているが、フィルム表面での反射と同様にフィルム内部からの反射の寄与が大きく、十分な効果が得られていなかった。また、特許文献4のように光吸収層を付与することで、内部反射を軽減することが知られてはいるが、透過率の低下に対して得られる効果が小さいという問題があった。
本発明の目的は、表面に凹凸形状を有さない反射防止フィルムであって、高い透過率を有し、かつクリア感(像周辺ボケおよび白茶けがない)を保ったまま映り込みを防止することができる反射防止フィルムを提供することにある。また、本発明の他の目的は、該反射防止フィルムを有する偏光板、および画像表示装置を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解消すべく鋭意検討した結果、下記構成とすることにより前記課題を解決し目的を達成しうることを知見し、本発明を完成するに至った。
1.
透明支持体上に、少なくとも1層の内部散乱性を有する層と、少なくとも1層の反射防止層とを有する反射防止フィルムであって、前記反射防止フィルムの算術平均粗さRaが0.1nm以下であり、且つ前記反射防止フィルムを構成する少なくとも1層が光吸収性を有する層であることを特徴とする反射防止フィルム。
2.
前記光吸収性を有する層は、400〜750nmに選択吸収特性を有する少なくとも1種の光吸収剤を含むことを特徴とする上記1に記載の反射防止フィルム。
3.
前記光吸収剤が色素であることを特徴とする上記1又は2に記載の反射防止フィルム。
4.
5°鏡面反射率が1%以下であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルム。
5.
前記反射防止フィルムの内部へイズ値が20%以上75%以下であり、前記反射防止フィルムの透過率が70%以上95%以下であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の反射防止フィルム。
6.
透明支持体側から垂直に光を入射したときの反射防止層側法線方向における相対散乱光強度T(0°)に対し、法線方向より3°の角度における相対散乱光強度T(3°)の割合が1〜10%であり、法線方向より10°の角度における相対散乱光強度T(10°)のT(0°)に対する割合が0.1〜2.0%であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の反射防止フィルム。
7.
前記反射防止層の少なくとも1つの層が導電性薄膜からなることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の反射防止フィルム。
8.
偏光子と該偏光子の両側に2枚の保護フィルムを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくも1枚が上記1〜7のいずれかに記載の反射防止フィルムである偏光板。
9.
上記1〜7のいずれかに記載の反射防止フィルム又は上記8に記載の偏光板を具備した画像表示装置。
10.
上記1〜7のいずれかに記載の反射防止フィルム又は上記8に記載の偏光板を具備した液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ。
本発明によれば、表面に凹凸形状を有さない反射防止フィルムであって、高い透過率を有し、かつ映り込みを防止することができる反射防止フィルムを提供することができる。また、該反射防止フィルムを有する偏光板、および画像表示装置を提供することができる。
従来の反射防止フィルムの一例を表す模式図 本発明の反射防止フィルムの一例を表す模式図
以下、本発明について更に詳細に説明する。なお、本発明において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
内部に粒子を含有させ内部散乱性を付与した層を有する液晶セルにおいて、外光の映りこむ現象を図1に説明する。蛍光灯などの発光体や人物等の反射体の光が内部散乱性を付与した層に入射した際、内部散乱性を有する粒子により、前方散乱および後方散乱が起こる。この現象は、液晶セルの内部で反射した外光に対しても同様であり、このような散乱現象により鏡面反射成分が散乱成分となるため、反射像の明瞭性が低下し、映り込みが改善される。一方で、散乱成分は、表示像の周辺が白くボケる現象(像周辺ボケ)や広範囲に渡り白茶ける現象(白茶け)を引き起こす。
本発明では、このような現象を効果的に抑える方法として、図2に示すように、散乱成分が内部散乱性を付与した層内を通過する際に、光路長が拡大することに着目し、光吸収性を内部散乱性を付与した層に持たせることで効率的に散乱成分を吸収させることに成功した。本発明では、光吸収性が内部散乱性を付与した層に限定されず、その上下のいずれの層に存在していても有効と考えられる。特に、後方散乱が強い内部散乱性を付与した層に対しては、内部散乱性を付与した層の上層に光吸収性を設けることが有効となる。また、多重散乱性の高い内部散乱性を付与した層に対しては、内部散乱性を付与した層の内部に光吸収性を付与することが有効である。
このように内部正反射を抑制する反射防止フィルムを検討する中で、クリアな表面を有するフィルム内への、(1)内部散乱性付与(内部正反射成分を散らす)、及び(2)光吸収剤の付与が重要であることを見出した。
(1)にて映り込みの軽減を図り、弊害として生じる白茶け、像周辺ボケを(2)で抑制する。特に(2)において、内部反射光は、フィルムを二回通過するため行路長が2倍、実質的には2乗の吸収効果があり有効である。特に、白茶けを発生する広角散乱および多重散乱により行路長が増加する成分に対しては、より効果的である。
本発明の反射防止フィルムは、透明支持体上に、少なくとも1層の内部散乱性を有する層と、少なくとも1層の反射防止層とを有する反射防止フィルムであって、前記反射防止フィルムの算術平均粗さRaが0.1nm以下であり、且つ前記反射防止フィルムを構成する少なくとも1層が光吸収性を有する層であることを特徴とする。
以下、本発明の反射防止フィルムを構成する各層について説明する。本発明の反射防止フィルムは光吸収性を有する層を有するが、光吸収性を有する層は内部散乱性を付与した層や反射防止層と別の層であってもよいし、同一の層であってもよい。例えば、内部散乱性を付与した層が光吸収性を有していてもよく、反射防止層が光吸収性を有していてもよい。好ましくは、内部散乱性を付与した層が光吸収性を有する場合である。
(光吸収性を有する層)
本発明の反射防止フィルムにおける光吸収性を有する層(「光吸収層」ともいう)は、光を吸収する作用を有する層であり、前記光の内部散乱成分を吸収し、像周辺ボケ白茶けを抑制する効果がある。
光吸収層は、少なくとも、光を吸収する成分(「光吸収剤」ともいう)と層を形成する樹脂を含むことが好ましい。光吸収剤は、光を吸収するものであれば特に限定はなく、また、1種でも、2種以上を併用してもよい。
光吸収剤としては、例えば、色素、高分子化合物などが挙げられる。また、光吸収層を形成する樹脂そのものに光吸収能があってもよい。
本発明では、光吸収層に、発光体の色純度を向上させることが可能という理由から、波長400〜750nmに選択吸収特性を有する少なくとも1種の光吸収剤を含むことが好ましい。色味のニュートラリティーを高めるために複数種用いることが好ましい。
色素としては、特に限定はされないが、例えば、シアニン色素、アゾ色素、が挙げられ、例えばジオキサジンバイオレット、キナクドリン、ウッチアングレット等を用いることができる。
光吸収剤は、光吸収層の全固形分に対して、0.05質量%以上1.0質量%以下含有されることが好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下含有されることがより好ましい。光吸収剤は画像表示装置に用いる光源との関係で所望に選び得るが、光吸収剤が吸収し得る波長の全光量に対して20%以下を光吸収層にて吸収することが好ましい。
光吸収層を形成する樹脂は、透光性を有する樹脂が好ましく、特に限定されない。該樹脂は、好ましくは、熱および/または電離放射線硬化性化合物(バインダー)を硬化して得られるものである。バインダーとしては、モノマーバインダーでもポリマーバインダーでもよい。光吸収層は、好ましくは、電離放射線硬化性化合物と光吸収剤を含む組成物を塗布して、硬化させて作製される。
(モノマーバインダー)
モノマーバインダーとしては、熱および/または電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーが好ましい。中でも、電離放射線硬化性の化合物が、生産性や設備の省スペース化などの点で好ましい。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、又は放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
(ポリマ−バインダー)
硬化性化合物としては、反応性基を有するポリマーを用いることができる。
ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖およびポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖およびポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
ポリオレフィン主鎖は飽和炭化水素からなる。ポリオレフィン主鎖は、例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖は、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。ポリウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレア主鎖は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖はウレタン結合(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレタン主鎖は、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリエステル主鎖は、エステル結合(−CO−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエステル主鎖は、例えば、カルボキシル基(酸ハライド基を含む)と水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリアミン主鎖はイミノ結合(−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。ポリアミド主鎖は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例えば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基を含む)との反応により得られる。メラミン樹脂主鎖は、例えば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒド(例、ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。なお、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋構造を有する。
また、側鎖にアニオン性基を有するポリマーも用いることができる。アニオン性基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アニオン性基は、連結基を介して側鎖として主鎖に結合させることが好ましい。
アニオン性基の例としては、カルボン酸基(カルボキシル)、スルホン酸基(スルホ)およびリン酸基(ホスホノ)などが挙げられ、スルホン酸基およびリン酸基が好ましい。
アニオン性基は塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオンであることが好ましい。また、アニオン性基のプロトンは解離していてもよい。
アニオン性基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。
架橋反応性付与のための構成単位としては主として以下の(A)、(B)、(C)で示される単位が挙げられる。
(A):グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位、
(B):カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られる構成単位、
(C):分子内に上記(A)、(B)の官能基と反応する基とそれとは別に架橋性官能基を有する化合物を、上記(A)、(B)の構成単位と反応させて得られる構成単位、(例えばヒドロキシル基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で合成できる構成単位)が挙げられる。
上記(C)の構成単位は該架橋性官能基が光重合性基であることが好ましい。ここに、光重合性基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、シンナモイル基、シンナミリデンアセチル基、ベンザルアセトフェノン基、スチリルピリジン基、α−フェニルマレイミド基、フェニルアジド基、スルフォニルアジド基、カルボニルアジド基、ジアゾ基、o−キノンジアジド基、フリルアクリロイル基、クマリン基、ピロン基、アントラセン基、ベンゾフェノン基、スチルベン基、ジチオカルバメート基、キサンテート基、1,2,3−チアジアゾール基、シクロプロペン基、アザジオキサビシクロ基などを挙げることができ、これらは1種のみでなく2種以上であってもよい。これらのうち、(メタ)アクリロイル基およびシンナモイル基が好ましく、特に好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
光重合性基含有共重合体を調製するための具体的な方法としては、下記の方法を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
a.水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸クロリドを反応させてエステル化する方法、
b.水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、イソシアネート基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させてウレタン化する方法、
c.エポキシ基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸を反応させてエステル化する方法、
d.カルボキシル基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、エポキシ基を含有する含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させてエステル化する方法。
なお、上記光重合性基の導入量は任意に調節することができ、塗膜面状安定性・無機粒子共存時の面状故障低下・膜強度向上などの点からカルボキシル基やヒドロキシル基等を一定量残すことも好ましい。
<重合開始剤>
各種のエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
本発明の光散乱フィルムを作製するに当り、光重合開始剤あるいは熱重合開始剤を併用することができる。
[光重合開始剤]
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’、4、4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ボレート塩としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、および、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19〜22頁,1998年,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物があげられる。例えば、前記特開2002−116539号明細書の段落番号[0022]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。またその他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられ、具体例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1、2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
具体的には特開2000−80068号公報記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
活性ハロゲン類としては、具体的には、若林 等の“Bull Chem.Soc Japan”42巻、2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1巻(3号),(1970年)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。より好適には、少なくとも一つのモノ、ジまたはトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。具体的な例にはS−トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(3−Br−4−ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−トリハロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58−15503のp14〜p30、特開昭55−77742のp6〜p10、特公昭60−27673のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60−239736のp443〜p444のNo.1〜No.17、US−4701399のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
無機錯体の例にはビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」 加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,127,184,500,819,907,369,379,1173,1870,2959,4265,4263など)およびそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
(内部散乱性を有する層)
本発明の反射防止フィルムにおける内部散乱性を有する層は、透光性樹脂と、内部散乱性を付与するための粒子とを少なくとも含むことが好ましい。内部散乱性を有する層は、例えば、該粒子と、該透光性樹脂形成成分(硬化性化合物)及び有機溶媒等を含有する内部散乱性を有する層用塗布液を塗布・乾燥し硬化して得ることができる。
内部散乱性を有する層を構成する透光性樹脂は、硬化性化合物の硬化などにより形成することができ、前記光吸収層において記載した硬化性化合物と同様なものを使用することができる。
内部散乱性を有する層の厚さは2μm〜20μmであり、更に好ましくは4μm〜10μmである。
内部散乱性を有する層に含有される粒子の平均粒径は0.5μm〜10μmであることが好ましく、1μm〜5μmがより好ましい。粒子径がこの範囲であると内部散乱性の観点で好ましい。
粒子は、内部散乱性を有する層の全固形分に対して、0.1〜50質量%含まれることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましい。
本発明において、内部散乱性を有する層の内部散乱性は、内部散乱に起因するヘイズ値(「内部ヘイズ値」もという)によって確認することができる。
粒子は、有機樹脂粒子でも無機粒子でもよい。粒子は透光性粒子であることが好ましい。粒子は1種用いても、2種以上を併用してもよい。所望の屈折率、平均粒径に応じて粒子を選択することができる。以下に粒子の具体例を説明するが、これらに限定されない。
有機樹脂粒子の具体例としては、架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋メチルメタアクリレート−メチルアクリレート共重合粒子、架橋アクリレート−スチレン共重合粒子、アミノ樹脂粒子(メラミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子、メラミン・ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子)等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子、アミノ樹脂粒子が好ましい。さらにはこれらの樹脂粒子の表面にフッ素原子、シリコン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、燐酸基等を含む化合物を化学結合させた所謂表面修飾した粒子やシリカやジルコニアなどのナノサイズの無機微粒子を表面に結合した粒子も好ましく挙げられる。
また、無機粒子の具体例としては、シリカ粒子、アルミナ粒子等が好ましく挙げられるが、シリカ粒子が特に好ましく用いられる。
粒子の形状は、真球又は真球以外の不定形のいずれも使用できる。粒度分布はヘイズ値と拡散性の制御性、塗布面状の均質性から単分散性粒子が好ましい。粒子径の均一さを表すCV値は15%以下が好ましく、より好ましくは13%以下、更に好ましくは10%以下である。さらに、平均粒子径よりも33%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.8%以下であり、さらに好ましくは、0.4%以下である。粗大粒子が多すぎると表面の粗面化が強調して認識されてしまうため、ブツブツ感が悪化し、好ましくない。
平均粒径よりも16%以上粒子径が小さな粒子を微小粒子と規定した場合、この微小粒子の割合は全粒子数の10%以下であることが好ましく、より好ましくは6%以下であり、さらに好ましくは、4%以下である。このような粒子径分布を持つ粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布の粒子を得ることができる。分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用いることが好ましい。
粒子の粒子径の測定方法は、粒子の粒子径を測る測定方法であれば、任意の測定方法が適用できるが、粒子の粒度分布をコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算して得られた粒子分布から算出する方法や、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個を観察し、その平均値をもって平均粒径とする方法がある。
なお、本発明において平均粒径はコールターカウンター法によって得られた値を用いる。
粒子の屈折率は、ヨウ化メチレン、1,2−ジブロモプロパン、n−ヘキサンから選ばれる任意の屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
内部散乱性を有する層の屈折率は1.46〜1.65であることが好ましく、1.49〜1.60であることがより好ましく、1.49〜1.53であることが特に好ましい。屈折率をこの範囲にすることで、塗布村、干渉ムラを目立ちにくくし、硬度の高い内部散乱性を有する層を得ることができる。
ここで、該透光性粒子を除く光拡散層の膜の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。
(内部散乱性を有する層の界面活性剤)
内部散乱性を有する層には、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を内部散乱性を有する層用の塗布組成物中に含有することが好ましい。特に、フッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、本発明の反射防止フィルムの塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いられる。これにより、面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることができる。フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、例えば、特開2007−188070号公報の段落番号0049〜0074に記載の化合物が挙げられる。
本発明の内部散乱性を有する層で用いられる界面活性剤(特に、フッ素系ポリマー)の好ましい添加量は、内部散乱性を有する層用塗布液に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。界面活性剤の添加量が0.001質量%以上で効果が十分であり、また5質量%以下とすることで、塗膜の乾燥が十分に行われ、塗膜としての良好な性能(例えば反射率、耐擦傷性)が得られる。
(内部散乱性を有する層用塗布液の有機溶媒)
内部散乱性を有する層を形成する塗布組成物には、有機溶媒を添加することができる。
有機溶媒としては、例えばアルコール系では、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール、イソアミルアルコール、1−ペンタノール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール等、ケトン系では、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等、エステル系では、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸n−アミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酢酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル等、エーテル、アセタール系では、1,4ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルアセタール等、炭化水素系では、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、リグロイン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、ジビニルベンゼン等、ハロゲン炭化水素系では、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン、1,1,1−トリクロルエタン、1,1,2−トリクロルエタン、トリクロルエチレン、テトラクロルエチレン、1,1,1,2−テトラクロルエタン等、多価アルコールおよびその誘導体系では、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキシレングリコール、1,5−ペンタンジオール、グリセリンモノアセテート、グリセリンエーテル類、1,2,6−ヘキサントリオール等、脂肪酸系では、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、絡酸、イソ絡酸、イソ吉草酸、乳酸等、窒素化合物系では、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、アセトニトリル等、イオウ化合物系では、ジメチルスルホキシド等、が挙げられる。
有機溶媒の中でメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、1−ペンタノール等が特に好ましい。また、有機溶媒には、凝集性制御の目的でアルコール、多価アルコール系の溶媒を適宜混合して用いてもよい。これらの有機溶媒は、単独でも混合して用いてもよく、塗布組成物中に有機溶媒総量として、20質量%〜90質量%含有することが好ましく、30質量%〜80質量%含有することがより好ましく、40質量%〜70質量%含有することが最も好ましい。内部散乱性を有する層の表面形状の安定化のためには、沸点が100℃未満の溶媒と沸点が100℃以上の溶媒を併用することが好ましい。
(内部散乱性を有する層の硬化)
内部散乱性を有する層は、塗布液を透明支持体に塗布後、光照射、電子線ビーム照射、加熱処理などを実施して、架橋又は重合反応させて形成できる。紫外線照射の場合、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。紫外線による硬化は、窒素パージ等で酸素濃度が4体積%以下、更に好ましくは2体積%以下、最も好ましくは0.5体積%以下の雰囲気下で硬化することが好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、反射防止層を有する。反射防止層としては内部散乱性を有する層よりも屈折率が低い低屈折率層、内部散乱性を有する層よりも屈折率が高い高屈折率層、低屈折率層より屈折率が高く、高屈折率層より屈折率が低い中屈折率層が挙げられ、これらの組み合わせにより反射防止効果を得ることができる。
(低屈折率層)
本発明の反射防止フィルムでは、反射率を低減するため、屈折率が内部散乱性を有する層よりも低い層(「低屈折率層」ともいう)を有することが好ましい。低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.40であることが特に好ましい。低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。
低屈折率層は下記態様の組成物から形成することが好ましい。
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物を含有する組成物、
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物、
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと無機微粒子(特に中空構造を有する無機微粒子が好ましい。)を含有する組成物、
などが挙げられる。
(1)及び(2)に関しても、無機微粒子を含有することが好ましく、さらに屈折率の低い中空構造を有する無機微粒子用いると、低屈折率化や無機微粒子添加量と屈折率の調整などの観点で特に好ましい。
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物を含有する組成物
架橋性または重合性の官能基を有する含フッ素化合物としては、含フッ素モノマーと架橋性または重合性の官能基を有するモノマーの共重合体を挙げることができる。これら含フッ素ポリマーの具体例は、特開2003−222702号公報、特開2003−183322号公報等に記載されている。
上記のポリマーに対しては特開2000−17028号公報に記載のごとく適宜重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、上記の2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。また、特開2004−170901号公報に記載のオルガノランの加水分解縮合物も好ましく、特に(メタ)アクリロイル基を含有するオルガノシランの加水分解縮合物が好ましい。これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
ポリマー自身が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。例えばポリマー本体に水酸基含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。これら化合物の硬化には、有機酸又はその塩を用いるのが好ましい。
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物
含フッ素のオルガノシラン化合物の加水分解縮合物を主成分とする組成物も屈折率が低く、塗膜表面の硬度が高く好ましい。フッ素化アルキル基に対して片末端又は両末端に加水分解性のシラノールを含有する化合物とテトラアルコキシシランの縮合物が好ましい。具体的組成物は、特開2002−265866号公報、特許317152号公報に記載されている。
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物
更に別の好ましい態様として、低屈折率の粒子とバインダーからなる低屈折率層が挙げられる。低屈折率粒子としては、有機でも無機でも良いが、内部に空孔を有する粒子が好ましい。中空粒子の具体例は、特開2002−79616号公報に記載のシリカ系粒子に記載されている。粒子屈折率は1.15〜1.40が好ましく、1.20〜1.30が更に好ましい。バインダーとしては、上記内部散乱性を有する層の頁で述べた二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。
本発明に用いられる低屈折率層用の組成物には、前述の光ラジカル重合開始剤または熱ラジカル重合開始剤を添加することが好ましい。ラジカル重合性化合物を含有する場合には、該化合物に対して1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部の重合開始剤を使用できる。
本発明に用いられる低屈折率層には、無機粒子を併用することができる。耐擦傷性を付与するために、低屈折率層の厚みの15%〜150%、好ましくは30%〜100%、更に好ましくは45%〜60%の粒径を有する微粒子を使用することができる。
本発明の低屈折率層には、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のポリシロキサン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することができる。
ポリシロキサン構造を有する添加剤としては、反応性基含有ポリシロキサン{例えば“KF−100T”,“X−22−169AS”,“KF−102”,“X−22−3701IE”,“X−22−164B”,“X−22−5002”,“X−22−173B”,“X−22−174D”,“X−22−167B”,“X−22−161AS” (商品名)、以上、信越化学工業(株)製;“AK−5”,“AK−30”,“AK−32”(商品名)、以上東亜合成(株)製;、「サイラプレーンFM0725」,「サイラプレーンFM0721」(商品名)、以上チッソ(株)製等}を添加するのも好ましい。また、特開2003−112383号公報の表2、表3に記載のシリコーン系化合物も好ましく使用できる。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CFCF,−CH(CFH,−CH(CFCF,−CHCH(CFH等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF,CHCF(CF,CH(CH)CFCF,CH(CH)(CFCFH等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えばCHOCHCFCF,CHCHOCHH,CHCHOCHCH17,CHCHOCFCFOCFCFH等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタアクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833、オプツールDAC(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300、MCF−323(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
これらのフッ素系化合物やポリシロキサン構造を有する化合物は低屈折率層全固形分の0.1〜10質量%の範囲で添加されることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%の場合である。
<高屈折率層、中屈折率層>
本発明の反射防止フィルムには、内部散乱性を有する層と低屈折率層との間に高屈折率層を設け、低屈折率層とともに光学干渉を利用すると反射防止性を高めることができる。更に、内部散乱性を有する層と高屈折率層の間に内部散乱性を有する層と高屈折率層の中間の屈折率を有する中屈折率層を設けることが好ましい。
以下の本明細書では、この高屈折率層と中屈折率層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。なお、本発明において、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層の「高」、「中」、「低」とは層相互の相対的な屈折率の大小関係を表す。また、内部散乱性を有する層との関係で言えば屈性率は、内部散乱性を有する層>低屈折率層、高屈折率層>内部散乱性を有する層の関係を満たすことが好ましい。
また、本明細書では高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層を総称して反射防止層と呼ぶことがある。
高屈折率層の上に低屈折率層を形成して、反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.20、更に好ましくは、1.60〜2.00である。
透明支持体から近い順に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を塗設し、反射防止フィルムを作製する場合、高屈折率層の屈折率は、1.65乃至2.40であることが好ましく、1.70乃至2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55乃至1.80であることが好ましく、1.55乃至1.70がより好ましい。
高屈折率層および中屈折率層に用いられる無機粒子の具体例としては、TiO、ZrO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITOなどの無機酸化物を主成分とする無機粒子が好ましく、屈折率調整のためSiOを主成分とする無機粒子を加えることもできる。高屈折率層に用いるにはTiO及びZrOが高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
高屈折率層における無機粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。無機粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。
高屈折率層の上に低屈折率層を有する場合、高屈折率層の屈折率は透明支持体の屈折率より高いことが好ましい。
反射防止層については上記したもの以外にも特開2007−298974号公報に詳細に記載されている。
(透明支持体)
本発明の反射防止フィルムにおける透明支持体は、透明な基板であれば特に限定されず、プラスチック基板やガラス基板等を用いることができ、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースアシレート(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、代表的には富士フイルム社製TAC−TD80U,TD80UFなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、(メタ)アクリル系樹脂(アクリペットVRL20A:商品名、三菱レイヨン社製、特開2004−70296号公報や特開2006−171464号公報記載の環構造含有アクリル系樹脂)などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
本発明の反射防止フィルムを液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置することができる。また、本発明の反射防止フィルムと偏光板を組み合わせてもよい。該透明支持体がトリアセチルセルロースの場合は偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の反射防止フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの上では好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置したり、そのまま偏光板用保護フィルムとして使用される場合には、十分に接着させるためには透明支持体上に最外層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に該フィルムを適切な時間浸漬して実施される。アルカリ液に浸漬した後は、該フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面が親水化される。
(塗布方式)
本発明の反射防止フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。次に、各層を形成するための塗布液をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥するが、マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法(米国特許2681294号明細書、特開2006−122889号明細書参照)がより好ましく、ダイコート法が特に好ましい。また、逐次塗布でも同時塗布でもよい。
その後、紫外線、電離放射線などの光照射あるいは加熱、好ましくは加熱下で電離放射線の照射により、各層を形成する硬化性化合物を重合して硬化する。これにより各層が形成される。
(反射防止フィルム)
本発明の反射防止フィルムは、表面が平坦であり、算術平均粗さRaが0.1以下である。より好ましくは0.08以下、さらに好ましくは0.04以下である。
算術平均粗さRaはJIS−B0601(1994、2001)に準拠して測定することができる。Raが0.1より大きいと白茶けが発生しクリア感が損なわれるという理由で好ましくない。
本発明の反射防止フィルムは、内部ヘイズ値が、20%以上75%以下であり、反射防止フィルムの透過率が70%以上95%以下であることが、映り込み防止性能と表示性能の観点から好ましい。内部ヘイズ値は、20%以上50%以下がより好ましく、35%以上50%以下が特に好ましい。透過率は80%以上90%以下がより好ましい。
内部へイズ値及び透過率の調節は、バインダーと粒子の屈折率差、粒径、粒子充填量、光吸収体の添加量等により行うことができる。
内部ヘイズ値、表面ヘイズ値は以下の手順で測定することができる。
(1) JIS−K7136に準じてフィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
(2) フィルムの表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板とフィルムを光学的に密着させ、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出する。
(3) 上記(1)で測定した全ヘイズ(H)から上記(2)で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出する。
透過率は可視光領域(400nm〜800nm)の光透過率を分光光度計で測定することができる。
本発明の反射防止フィルムは、5°鏡面反射率が1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、透明支持体側から垂直に光を入射したときの反射防止層側法線方向における相対散乱光強度T(0°)に対し、法線方向より3°の角度における相対散乱光強度T(3°)の割合(T(3°)/T(0°)×100)が1〜10%であり、法線方向より10°の角度における相対散乱光強度T(10°)のT(0°)に対する割合(T(10°)/T(0°)×100)が0.1〜2.0%であることが、像周辺ボケおよび白茶け防止の観点から好ましい。より好ましくは、(T(3°)/T(0°)×100)が2.0〜7.5%であり、(T(10°)/T(0°))が0.2〜0.6%である。
T(0°)、T(3°)、T(10°)は、フォトゴニオメータ(GP−5(株)村上色彩技術研究所製)を用い測定することができる。
本発明の反射防止フィルムにおいて、反射防止層のうち少なくとも1層が導電性薄膜からなることが、帯電防止性能と反射防止層の屈折率調整という観点で好ましい。
導電性薄膜を形成する材料としては、透明なITO(インジウムスズ酸化物)、SnO(酸化スズ)、ZnOx(酸化亜鉛)、または光吸収性を有するTiN(窒化チタン)膜、NbN(窒化ニオブ)膜に代表される窒化遷移金属膜、さらにはAg(銀)膜やNi−Fe(ニッケル・鉄合金)のような金属薄膜などが挙げられ、ITO(インジウムスズ酸化物)、SnO2(酸化スズ)、ZnOx(酸化亜鉛)が好ましく、SnO(酸化スズ)、ZnOx(酸化亜鉛)がより好ましい。これにより反射防止フィルムの表面抵抗値は1011Ω以下であることが好ましく、10Ω以下がより好ましい。
(偏光板)
偏光板は、偏光子の表側および裏側の両面を保護する2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明の反射防止フィルムは、偏光子を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。本発明の反射防止フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の反射防止フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光子との接着性を改良するのに特に有効である。また、親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏光子と接着させる際に偏光子と反射防止フィルムの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
(画像表示装置)
本発明の反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、無機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、陰極管表示装置(CRT)、表面電界ディスプレイ(SED)のような画像表示装置に適用することができる。特に好ましくは液晶表示装置(LCD)又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイに用いられる。本発明の反射防止フィルムは透明支持体を有しているので、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いられることができる。
本発明をさらに詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(反射防止フィルム1の作製)
<実施例1>
〔反射防止フィルム1の作製(比較例)〕
下記に示す通りに、各層形成用の塗布液を調製し各層を形成して、反射防止フィルム1を作製した。
(ハードコート層用塗布液Aの調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌してハードコート層塗布液とした。
MEK900質量部に対して、シクロヘキサノン100質量部、部分カプロラクトン変性の多官能アクリレート(DPCA−20、日本化薬(株)製)750質量部、シリカゾル(MIBK−ST、日産化学工業(株)製)200質量部、光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)50質量部、を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液Aを調製した。
(中屈折率層用塗布液Eの調製)
市販の導電性微粒子ATO「アンチモンドープ酸化錫T−1」{比表面積80m/g、三菱マテリアル(株)製}20.0質量部に、アニオン性基とメタアクリロイル基を有する下記の分散剤(B−1)6.0質量部、メチルイソブチルケトン74質量部を添加して撹拌した。
Figure 2010237623
メディア分散機(直径0.1mmのジルコニアビーズ使用)を用いて、上記液中のATO粒子を分散した。光散乱法で分散液中のATO粒子の質量平均粒径を評価した結果、55nmであった。このようにして、ATO分散液を作製した。
上記ATO分散液100質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物“DPHA”{日本化薬(株)製}6質量部、重合開始剤「イルガキュア184」{日本チバガイギー(株)製}0.8質量部を添加して撹拌した。このようにして中屈折率層用塗布液Eを調製した。この塗布液による塗膜の屈折率は1.62であった。
(高屈折率層用塗布液Aの調製)
ZrO微粒子含有ハードコート剤(デソライトZ7404[屈折率1.72、固形分濃度:60質量%、酸化ジルコニウム微粒子含量:70質量%(対固形分)、酸化ジルコニウム微粒子の平均粒子径:約20nm、溶剤組成:MIBK/MEK=9/1、JSR(株)製])15.7質量部に、メチルエチルケトン61.9質量部、メチルイソブチルケトン3.4質量部、シクロヘキサノン1.1質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用塗布液Aを調製した。
(低屈折率層用塗布液の調製)
(パーフルオロオレフィン共重合体(1)の合成)
Figure 2010237623
上記構造式中、50:50はモル比を表す。
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル40ml、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7gおよび過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は、0.53MPa(5.4kg/cm)であった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が0.31MPa(3.2kg/cm)に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ポリマー28gを得た。次に該ポリマーの20gをN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることによりパーフルオロオレフィン共重合体(1)を19g得た。得られたポリマーの屈折率は1.422であった。
(中空シリカ粒子分散液の調製)
中空シリカ粒子微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、触媒化成工業(株)製CS60−IPA、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20%、シリカ粒子の屈折率1.31)500質量部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン30質量部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.51質量部を加え混合した後に、イオン交換水9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8質量部を添加し、分散液を得た。その後、シリカの含率がほぼ一定になるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力30Torrで減圧蒸留による溶媒置換を行い、最後に濃度調整により固形分濃度18.2%の分散液Aを得た。得られた分散液のIPA残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ0.5%以下であった。
(低屈折率層用塗布液の調製)
P−1を15質量部、M1を20質量部、DPHAを7質量部、MF1を5質量部、イルガキュア127を3質量部、前記中空シリカ粒子分散液Aを50質量部(前記含有量は各成分の固形分についてのものである)混合し、MEKに溶解して固形分5%の低屈折率層用塗布液を作製した。
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
・P−1 : パーフルオロオレフィン共重合体(1)
・DPHA : ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
・MF1:国際公開第2003/022906号パンフレットの実施例記載の含フッ素不飽和化合物
・M1:本文記載の含フッ素多官能アクリレート
・中空シリカ粒子分散液A : 前記アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランで表面修飾した中空シリカ粒子ゾル、固形分濃度18.2%
・イルガキュア127 : 光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
(ハードコート層Aの作製)
層厚80μmの透明支持体としてのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UF、富士フイルム(株)製、屈折率1.48)上に、前記組成のハードコート層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量150mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ12μmのハードコート層Aを形成した。
以上のハードコート層Aの上に、それぞれ所望の屈折率となるように調整した、中屈折率層用塗布液、高屈折率層用塗布液、低屈折率層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。なお、各層の屈折率の測定は、各層の塗布液を約4μmの厚みになるようにガラス板に塗布し、多波長アッベ屈折計DR−M2(アタゴ(株)製)にて測定した。「DR−M2,M4用干渉フィルター546(e)nm 部品番号:RE−3523」のフィルターを使用して測定した屈折率を波長550nmにおける屈折率として採用した。
各層の膜厚は、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を積層後に反射分光膜厚計“FE−3000”(大塚電子(株)製)を用いて算出した。算出の際の各層の屈折率は上記アッベ屈折率計で導出した値を使用した。
中屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら180W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度300mW/cm、照射量240mJ/cmの照射量とした。
硬化後の中屈折率層の屈折率は1.62、層厚は60nmであった。
高屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度300mW/cm、照射量240mJ/cmの照射量とした。硬化後の高屈折率層の屈折率は1.72、層厚は110nmであった。
(低屈折率層の作製)
低屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm、照射量600mJ/cmの照射量とした。硬化後の低屈折率層の屈折率は1.36、層厚は90nmであった。
(内部散乱性を有するハードコート層の作製)
下記組成の混合物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して塗布液を調製した。
(反射防止フィルム2に用いる内部散乱性を有するハードコート層用塗布液の組成)
PET−30 65.0g
イルガキュア127 3.0g
8μm架橋アクリル・スチレン粒子分散液(30%)
52.6g
8μm架橋アクリル粒子分散液(30%) 20.0g
SP−13 0.2g
CAB−531−1 0.5g
MIBK 72.6g
MEK 32.5g
(反射防止フィルム7に用いる内部散乱性を有するハードコート層塗布液の組成)
PET−30 65.0g
イルガキュア127 3.0g
8μm架橋アクリル・スチレン粒子分散液(30%)
52.6g
8μm架橋アクリル粒子分散液(30%) 20.0g
SP−13 0.2g
CAB−531−1 0.5g
MIBK 72.6g
MEK 32.5g
シアニン色素1 0.1g
アゾ色素1 0.05g
アゾ色素2 0.1g
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
・PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製](屈折率1.54)
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物[日本化薬(株)製](屈折率1.51)
・8μm架橋アクリル・スチレン粒子分散液(30%):8μm架橋アクリル・スチレン粒子a(屈折率1.555、粒子径8.0μm)[積水化成品工業(株)製]をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した粒子含有量30%のMIBK分散液)
・8μm架橋アクリル粒子分散液(30%):8μm架橋アクリル粒子b(屈折率1.500、粒子径8.0μm)[綜研化学(株)製]をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散したMIBK分散液)
・イルガキュア127:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
・CAB−531−1:セルロースアセテートブチレート[イーストマンケミカル社製]
・SP−13:フッ素系の界面活性剤(MEKの10質量%溶液として溶解した後に使用した。)
Figure 2010237623
シアニン色素1には、下記の構造の化合物を用いた。
Figure 2010237623
アゾ色素1には、下記の構造の化合物を用いた。
Figure 2010237623
アゾ色素2には、下記の構造の化合物を用いた。
Figure 2010237623
(内部散乱性を有するハードコート層の塗設)
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態から巻き出して、反射防止フィルム2及び7に用いる内部散乱性を有するハードコート層用塗布液を使用し特開2006−122889号公報実施例1記載のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下酸素濃度約0.1%で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量100mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ巻き取った。反射防止フィルム2及び7に用いる内部散乱性を有するハードコート層の膜厚はそれぞれ14.0μmになるように塗布量を調整した。
(アミノ樹脂粒子1の合成)
四つ口フラスコにメラミン75質量部、ベンゾグアナミン75質量部、濃度37%のホルマリン238質量部および濃度10%の炭酸ナトリウム水溶液1.07質量部を仕込み混合物とした。この混合物を攪拌しながら85℃に昇温して重合を行い、水混和度250%の初期縮合物を得た。別に、ノニオン系界面活性剤のエマルゲン430(花王製、ポリオキシエチレンオレイルエーテル)6.0質量部を水2455質量部に溶解しておき、この界面活性剤水溶液の温度を50℃に昇温して攪拌した。攪拌状態下にある界面活性剤水溶液に上記初期縮合物を投入して、初期縮合物の乳濁液を得た。これに5%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液90質量部を加え、50〜60℃の温度で3時間保って縮合硬化し、硬化樹脂の乳濁液を得た。この乳濁液を冷水3000質量部に投入し急冷した。次いで、この乳濁液から硬化樹脂を沈降分離して得られたペーストを上記エマルゲン430を7.5質量部とドデシルベンゼンスルホン酸4.5質量部とを水2000質量部に溶解させて得た水溶液中に、超音波分散機を用いて分散した。分散して得られた乳濁液を徐々に90℃まで昇温することにより再縮合硬化し、1時間保持した後に急冷した。この乳濁液から硬化樹脂を沈降分離することにより、メラミン/ベンゾグアナミン/ホルムアルデヒドのアミノ樹脂の硬化球状微粒子を得た。
上記アミノ樹脂の硬化球状微粒子50g、水450g、スルファミン酸アンモニウム0.5gを、2リットルのオートクレーブに仕込んだ。窒素で置換した後、170℃まで昇温して3時間加熱加圧処理した。この処理後、粒子をろ別により分離し、純水で数回洗浄した後、160℃で4時間加熱処理することで乾燥し、その後解砕して、白色であるアミノ樹脂粒子1を得た。得られたアミノ樹脂粒子1の粒度分布はレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置[マスターサイザー2000(商品名)マルバーン社製]で測定したところ、平均粒子径が3.5μm、CV値が3.2%であった。また、アミノ樹脂粒子1のNMR面積比:C(II)/C(I)は3.9であり、10%変形時の圧縮弾性率が1050kg/mmであり、25℃における屈折率が1.61であった。
(反射防止フィルム3に用いる内部散乱性を有するハードコート層用塗布液の組成)
PETA 42.1質量部
アミノ樹脂粒子1 6.0質量部
イルガキュア907 2.2質量部
FZ−2191 0.03質量部
メチルイソブチルケトン 26.2質量部
メチルエチルケトン 17.5質量部
(反射防止フィルム4に用いる内部散乱性を有するハードコート層用塗布液の組成)
PETA 42.1質量部
アミノ樹脂粒子1 12.0質量部
イルガキュア907 2.2質量部
FZ−2191 0.03質量部
メチルイソブチルケトン 26.2質量部
メチルエチルケトン 17.5質量部
(反射防止フィルム8に用いる内部散乱性を有するハードコート層用塗布液の組成)
PETA 42.1質量部
アミノ樹脂粒子1 6.0質量部
イルガキュア907 2.2質量部
FZ−2191 0.03質量部
メチルイソブチルケトン 26.2質量部
メチルエチルケトン 17.5質量部
シアニン色素 0.1質量部
アゾ色素1 0.05質量部
アゾ色素2 0.1質量部
(反射防止フィルム9に用いる内部散乱性を有するハードコート層用塗布液の調製)
PETA 42.1質量部
アミノ樹脂粒子1 8.5質量部
イルガキュア907 2.2質量部
FZ−2191 0.03質量部
メチルイソブチルケトン 26.2質量部
メチルエチルケトン 17.5質量部
シアニン色素 0.1質量部
アゾ色素1 0.05質量部
アゾ色素2 0.1質量部
(反射防止フィルム10に用いる内部散乱性を有するハードコート層用塗布液の調製)
PETA 42.1質量部
アミノ樹脂粒子1 12.0質量部
イルガキュア907 2.2質量部
FZ−2191 0.03質量部
メチルイソブチルケトン 26.2質量部
メチルエチルケトン 17.5質量部
シアニン色素 0.1質量部
アゾ色素1 0.05質量部
アゾ色素2 0.1質量部
上記の各成分のうち、反射防止フィルム2及び7に用いる内部散乱性を有するハードコート層用塗布液でも使用した以外の成分は以下の通りである。
・PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬製、屈折率1.51)
・イルガキュア184:光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
・イルガキュア907:光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
・FZ−2191:ポリエーテル変性シリコーン。(東レ・ダウコーニング(株)製)
(内部散乱性を有するハードコート層の塗設)
特開2003−211052号公報の図1に記載されたスロットダイコーターを用いて、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、反射防止フィルム3、4、8〜10に用いる内部散乱性を有するハードコート層用塗布液を、各々12g/mの塗布量になるように塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量70mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、各々厚さ6μmの内部散乱性を有するハードコート層を形成し、巻き取った。
(反射防止フィルム2の作製(比較例))
反射防止フィルム2に用いる内部散乱性を有するハードコート層を、粘着剤(綜研化学SK−2057)を用いて反射防止フィルム1の透明支持体側と貼り合わせ、反射防止フィルム2を作製した。
(反射防止フィルム3の作製(比較例))
反射防止フィルム3に用いる内部散乱性を有するハードコート層を、粘着剤(綜研化学SK−2057)を用いて反射防止フィルム1の透明支持体側と貼り合わせ、反射防止フィルム3を作製した。
(反射防止フィルム4の作製(比較例))
反射防止フィルム4に用いる内部散乱性を有するハードコート層を、粘着剤(綜研化学SK−2057)を用いて反射防止フィルム1の透明支持体側と貼り合わせ、反射防止フィルム4を作製した。
(反射防止フィルム5の作製(比較例))
PETフィルム(透過率82%、屈折率1.52、内部へイズ0%、膜厚100μm)を、粘着剤(綜研化学SK−2057)を用いて反射防止フィルム1の透明支持体側と貼り合わせ、反射防止フィルム5を作製した。
(反射防止フィルム6の作製(比較例))
反射防止フィルム1の作製におけるハードコ−ト層に替えて、反射防止フィルム7に用いる内部散乱性を有するハードコート層塗布液を用いた以外は、反射防止フィルム1と同様にして、反射防止フィルム6を作製した。
(反射防止フィルム7の作製(実施例))
反射防止フィルム7に用いる内部散乱性を有するハードコート層を、粘着剤(綜研化学SK−2057)を用いて反射防止フィルム1の透明支持体側と貼り合わせ、反射防止フィルム7を作製した。
(反射防止フィルム8の作製(実施例))
反射防止フィルム8に用いる内部散乱性を有するハードコート層を、粘着剤(綜研化学SK−2057)を用いて反射防止フィルム1の透明支持体側と貼り合わせ、反射防止フィルム8を作製した。
(反射防止フィルム9の作製(実施例))
反射防止フィルム9に用いる内部散乱性を有するハードコート層を、粘着剤(綜研化学SK−2057)を用いて反射防止フィルム1の透明支持体側と貼り合わせ、反射防止フィルム9を作製した。
(反射防止フィルム10の作製(実施例))
反射防止フィルム10に用いる内部散乱性を有するハードコート層を、粘着剤(綜研化学SK−2057)を用いて反射防止フィルム1の透明支持体側と貼り合わせ、反射防止フィルム10を作製した。
(反射防止フィルムの評価)
得られた反射防止フィルムについて、以下の項目の評価を行った。結果を表1に示した。
1)へイズ
[1]JIS−K7136に準じて、反射防止フィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
[2]反射防止フィルムの表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られた反射防止フィルムを密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出した。
[3]上記[1]で測定した全ヘイズ(H)から上記[2]で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出した。
2)透過率
可視光領域(400nm〜800nm)の光透過率を分光光度計で測定した。
3)算術平均粗さ(Ra)
JIS−B0601(1994、2001)に準じて、小坂研究所(株)製、サーフコーダー MODEL SE−3500を用いて算術平均粗さRaの測定を行った。
4)光散乱プロファイルの測定
フォトゴニオメータ(GP−5(株)村上色彩技術研究所製)を用い測定した。光源は角度1.5°の収斂光、検出器の受光角は2°の条件とした。反射防止フィルムの法線方向から光を入射し(透明支持体側から垂直に光を入射したときの反射防止層側法線方向における相対散乱光強度T(0°)とする。)、フィルム法線を含む平面内で角度を連続的に変えながら透過散乱光量を測定し(法線方向より3°の角度における相対散乱光強度T(3°)、法線方向より10°の角度における相対散乱光強度T(10°))、光散乱プロファイルを得た。透過散乱光量は、フィルムがない状態での光源の光量を1とした。透明支持体側から垂直に光を入射したときの反射防止層側法線方向における相対散乱光強度T(0°)
各試料の評価結果を表1に示す。
Figure 2010237623
(各試料の評価方法)
それぞれの反射防止フィルムの性能を、映り込み、像周辺ボケ、白茶けの観点で目視にて評価し、反射防止層のみからなる反射防止フィルム1の性能に対して優れる場合は◎、やや優れる場合は○、同等の場合は≒、劣る場合は△、明らかに劣る場合は×の評価を行った。
(各試料の評価結果1)
光吸収層のない反射防止フィルム2〜4は、反射防止フィルム1に対して像周辺ボケや白茶けが劣る結果となった。また、内部散乱性を有する層を持たない反射防止フィルム5では、映り込みの大幅な改善は見られなかった。さらに光吸収層を有するが、反射防止フィルム表面に凹凸形状を有する反射防止フィルム6は、反射防止フィルム1に対して像周辺ボケや白茶けが劣る結果となった。
一方本発明の態様である、クリアな表面を有しかつ光吸収層を有する反射防止フィルム7〜10は、反射防止フィルム1とほぼ同等の像周辺ボケや白茶けの評価結果のまま、映り込みを大幅に改善することができた。
(反射防止フィルム11(比較例))
反射防止フィルム1にて中屈折率層及び高屈折率層を設けない以外は反射防止フィルム1の作製方法と同様にして反射防止フィルム11を作製した。
(反射防止フィルム12(実施例))
反射防止フィルム8に用いる内部散乱性を有するハードコート層を、粘着剤(綜研化学SK−2057)を用いて反射防止フィルム11の透明支持体側と貼り合わせ、反射防止フィルム12を作製した。
(各試料の評価結果2)
低屈折率層からなる反射防止層及び光吸収剤を有する層を有する反射防止フィルム12は、反射率1.2%とやや高い値を示したが、反射防止フィルム11に対して映り込みが大きく改善された。

Claims (10)

  1. 透明支持体上に、少なくとも1層の内部散乱性を有する層と、少なくとも1層の反射防止層とを有する反射防止フィルムであって、前記反射防止フィルムの算術平均粗さRaが0.1nm以下であり、且つ前記反射防止フィルムを構成する少なくとも1層が光吸収性を有する層であることを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 前記光吸収性を有する層は、400〜750nmに選択吸収特性を有する少なくとも1種の光吸収剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. 前記光吸収剤が色素であることを特徴とする請求項1又は2に記載の反射防止フィルム。
  4. 5°鏡面反射率が1%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  5. 前記反射防止フィルムの内部へイズ値が20%以上75%以下であり、前記反射防止フィルムの透過率が70%以上95%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  6. 透明支持体側から垂直に光を入射したときの反射防止層側法線方向における相対散乱光強度T(0°)に対し、法線方向より3°の角度における相対散乱光強度T(3°)の割合が1〜10%であり、法線方向より10°の角度における相対散乱光強度T(10°)のT(0°)に対する割合が0.1〜2.0%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  7. 前記反射防止層の少なくとも1つの層が導電性薄膜からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  8. 偏光子と該偏光子の両側に2枚の保護フィルムを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくも1枚が請求項1〜7のいずれかに記載の反射防止フィルムである偏光板。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の反射防止フィルム又は請求項8に記載の偏光板を具備した画像表示装置。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の反射防止フィルム又は請求項8に記載の偏光板を具備した液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ。
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