JPWO2013154030A1 - パン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類の品質改良剤 - Google Patents

パン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類の品質改良剤 Download PDF

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Abstract

要約課題 パン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類から選ばれる少なくともひとつの品質改良を簡便且つ効率的にすることができ、且つ、安全性も高い製剤及び方法等を提供する。解決手段 グリシン、及び、5単糖及び/又は6単糖を有効成分としてなる品質改良剤を生地への練り込みで用いることで、パン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類から選ばれる少なくともひとつの品質改良、特に、焼き及び/又は揚げ色付与促進、焼成及び/又は揚げ時間短縮、焼成及び/又は揚げ温度低減、焼成及び/又は揚げ工程での水分ロス軽減及び食感向上、焼成冷凍パン類やパーベイク(半焼成)製品の皮はがれ・ひび割れ抑制、焼成パン類のクラスト膜を薄くすることによる食感改良及びクラム比率の増大から選ばれる少なくとも1以上をすることができる。選択図 なし

Description

本発明は、パン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類の品質改良剤、及び、これを用いたパン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類の品質改良方法等に関する。
パン類のおいしさには、味(味覚的要素)や弾力やしっとり感などの食感的要素だけでなく、形、光沢、焼き色又は揚げ色などの外観的要素も大きく影響する。そして、これらの要素のいずれかが良ければおいしいと感じるのではなく、これらの要素のバランスの良さが非常に重要である。この点は、クレープやクッキーなどの菓子類、ドーナツ類、パイ類、餃子、シュウマイ、春巻き、中華饅頭などの皮(中華皮類)のおいしさにもほぼ同様のことが言える。
特に、焼き又は揚げ色の付与については、こんがり感やパリパリ感がつくことから非常に好まれており、独特の風味も付与されるという効果もある。例えば、焼成パン類への焼き色付与は、焼成条件の調整を行う方法が第一に考えられるが、単に焼成時間を長くしたり焼成温度を高くするのでは、好ましくない焦げ付き(過剰な焼成)や焼成ムラがでる、水分ロスが多くなって良好な食感(特にしっとり感)が充分保たれない、焼成の強いパンを冷凍すると皮のはがれやひび割れが起こるなどの問題が発生する恐れがあり、その条件設定が非常に難しい。
したがって、焼成パン類の焼き色付与においては、焼成時間の延長や焼成温度の高温化をせずに(可能であれば、逆に焼成時間を短くしたり焼成温度を低くしたとしても)焼き色付与を促進することができる技術を用いることが望ましい。これは、揚げ工程により揚げ色を付与する製品についても同じことが言える。
従来技術としては、パン類では焼き色等を薄くする技術の開示が多く、焼き色等を好ましく促進する技術の開示はそれほど多くはないが、アセロラ果実又はその処理物を用いる方法(特許文献1)やペントサナーゼとさらにリパーゼ、グルコアミラーゼおよびヘミセルラーゼから選ばれる一種または二種以上を用いる方法(特許文献2)などが焼き色付与方法として開示されている。また、菓子類の均一な焼成方法としては、剥皮処理された小麦粒及び/又はその破砕小麦を用いる方法(特許文献3)などが、焼餃子の焼き色を均一且つ良好にする方法としては、油脂、穀物粉、及び膨張剤を有効成分とする加工液を焼き面に付着させる方法(特許文献4)などが開示されている。
しかし、これらは特にその効果や簡便性などの点で充分とは言えず、単純に生地に練り込み等を行うだけで品質改良(特に、焼き及び/又は揚げ色の良好な促進)ができる簡便且つ効率的な技術の開発が当業界において引き続き求められている。
特開2001−224299号公報 特開2001−204377号公報 特開2005−013033号公報 特開2010−239884号公報
本発明は、パン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類から選ばれる少なくともひとつの品質改良を簡便且つ効率的にすることができ、且つ、安全性も高い製剤及び方法等を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を行い、グリシン、及び、5単糖及び/又は6単糖を有効成分としてなる品質改良剤を生地への練り込みで用いることで、パン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類から選ばれる少なくともひとつの品質改良、特に、焼き及び/又は揚げ色促進、焼成及び/又は揚げ時間短縮、焼成及び/又は揚げ温度低減、焼成及び/又は揚げ工程での水分ロス軽減及び食感向上、焼成冷凍パン類、パーベイク(半焼成)製品の皮はがれ・ひび割れ抑制、焼成パン類のクラスト膜を薄くすることによる食感改良及びクラム比率の増大から選ばれる少なくとも1以上(あるいは全て)をすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の実施形態は次のとおりである。
(1)グリシン、及び、5単糖及び/又は6単糖を有効成分として含有してなり、生地への練り込みで用いられることを特徴とする、パン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類(餃子皮、シュウマイ皮、春巻皮など)から選ばれる少なくともひとつの品質改良剤。
(2)焼成及び/又は揚げ工程(特に、5分以上、さらには5〜60分、あるいは10〜40分の焼成及び/又は揚げ工程)を経て食されるパン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類から選ばれる少なくともひとつの品質改良をすることを特徴とする、(1)に記載の剤。
(3)5単糖及び/又は6単糖が、キシロース、アラビノース、リボース、グルコース、ガラクトース、フラクトースから選ばれる少なくとも1以上であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の剤。
(4)5単糖及び/又は6単糖がグリシンの2倍量(5単糖及び/又は6単糖とグリシンの比が2:1)の組成比としてなること、及び/又は、グリシン0.05〜2.5%(w/w:対粉)、5単糖及び/又は6単糖0.1〜5.0%(w/w:対粉)の割合で生地に練り込まれるような組成比としてなることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の剤。
(5)品質改良が、焼き及び/又は揚げ色付与促進、焼成及び/又は揚げ時間短縮、焼成及び/又は揚げ温度低減、焼成及び/又は揚げ工程での水分ロス軽減及び食感向上、焼成冷凍パン類、パーベイク(半焼成)製品の皮はがれ・ひび割れ抑制、クラスト膜を薄くすることによる食感改良及びクラム比率の増大から選ばれる少なくとも1以上であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の剤。
(6)グリシン、及び、5単糖及び/又は6単糖を生地に均一に練り込むことを特徴とする、パン類、又は、菓子類、又は、ドーナツ類、又は、パイ類、又は、中華皮類の製造方法。
(7)有効成分として、グリシン、及び、5単糖及び/又は6単糖を生地に均一に練り込むことを特徴とする、パン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類から選ばれる少なくともひとつの品質改良方法。
(8)品質改良が、焼き及び/又は揚げ色付与促進、焼成及び/又は揚げ時間短縮、焼成及び/又は揚げ温度低減、焼成及び/又は揚げ工程での水分ロス軽減及び食感向上、焼成冷凍パン類、パーベイク(半焼成)製品の皮はがれ・ひび割れ抑制、クラスト膜を薄くすることによる食感改良及びクラム比率の増大から選ばれる少なくとも1以上であることを特徴とする、(7)に記載の方法。
(9)さらに、焼成及び/又は揚げ工程(好ましくは、5分以上、さらには5〜60分、あるいは10〜40分の焼成及び/又は揚げ工程)を経ることを特徴とする、(6)〜(8)のいずれか1つに記載の方法。
(10)5単糖及び/又は6単糖が、キシロース、アラビノース、リボース、グルコース、ガラクトース、フラクトースから選ばれる少なくとも1以上であることを特徴とする、(6)〜(9)のいずれか1つに記載の方法。
(11)グリシン0.05〜2.5%(w/w:対粉)、5単糖及び/又は6単糖0.1〜5.0%(w/w:対粉)の割合、及び/又は、5単糖及び/又は6単糖がグリシンの2倍量となるように生地に均一に練り込むことを特徴とする、(6)〜(10)のいずれか1つに記載の方法。
本発明によれば、パン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類(特に、一定時間(例えば5分以上)焼成及び/又は揚げ工程を経て食されるもの)の生地焼成中の色付促進(焼き及び/又は揚げ色付与促進)あるいは焼成及び/又は揚げ時間の短縮、焼成及び/又は揚げ温度の低減をすることができ、焼成冷凍パン類、パーベイク(半焼成)製品の皮はがれ、ひび割れを抑制することもできる。さらには、焼成パン類のクラスト膜を薄くすることによる食感改良及びクラム比率の増大をすることもできる。そして、得られたパン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類は、充分な色付きでありながら水分ロスが少なく、しっとり感や瑞々しさが向上していることも特徴である。また、これらの製造歩留まりを向上させることもできる。
実施例1で製造した食パン底面の比較を示す(図面代用写真)。左より無添加品(基本条件)、無添加品(低温焼成)、糖変更品、改良剤添加品A、改良剤添加品Bである。 実施例1で製造した食パン底面の色差計での測定結果を示す。左より無添加品(基本条件)、無添加品(低温焼成)、糖変更品、改良剤添加品A、改良剤添加品Bであり、縦軸は色差計のL値(%)を表す。 実施例1で製造した食パン底面の色差計での測定結果を示す。縦軸は色差計のb値を、横軸は色差計のa値を表し、白抜き四角印は無添加品(基本条件)、白抜き三角印は無添加品(低温焼成)、黒丸印は糖変更品、黒四角印は改良剤添加品A、黒三角印は改良剤添加品Bである。 実施例2で製造したフランスパンのクラスト皮比較を示す(図面代用写真)。左が無添加品、右が本発明品である。 実施例2で製造したフランスパンの上面及び断面の比較を示す(図面代用写真)。上が無添加品、下が本発明品である。 実施例3で製造した食パン底面及び側面の比較を示す(図面代用写真)。左側写真が底面、右側写真が側面であり、左より無添加焼成35分、無添加焼成28分、本発明品(添加焼成28分)である。 実施例3で製造した食パン底面の色差計での測定結果を示す。左より無添加焼成35分、無添加焼成28分、本発明品(焼成28分)であり、縦軸は色差計のL値(明度)を0%(黒)〜100%(白)で数値化したものを表す。 実施例3で製造した食パン底面の色差計での測定結果を示す。縦軸は色差計のb値を、横軸は色差計のa値を表し、黒四角印は無添加焼成35分、黒丸印は無添加焼成28分、白抜き四角印は本発明品(焼成28分)を表す。 実施例3で製造した食パンの製造後1日目(D+1)、3日目(D+3)でのレオメーター測定結果を示す。上段グラフの縦軸は食パン・クラム部を50%圧縮時にかかる力(g/cm、硬さ)を、下段グラフの縦軸は戻す時に粘着する力(g/cm、しっとり感)を表し、いずれも白抜き棒グラフは無添加焼成35分、黒棒グラフは本発明品(焼成28分)を表す。 実施例3で製造した食パンのクラム及びクラスト重量測定結果を示す。白抜きがクラム部重量を、黒部がクラスト部重量を表し、左側グラフは無添加焼成35分、右側グラフは本発明品(焼成28分)を表す。 実施例5で製造したパンの生地発酵中のグリシン濃度を示すグラフである。縦軸はグリシン濃度(ppm)、横軸は発酵時間を表し、三角印が無添加品を、四角印が本発明品を示す。
まず、本発明においては、グリシン、及び、5単糖及び/又は6単糖を、パン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類から選ばれる少なくともひとつの品質改良剤の有効成分として使用する。
グリシンとしては、一定の精製が行われた精製品や合成品などを使用することができるが、食品素材または食品添加物として市販されているものも使用可能である。その際は、純度が一定以上(例えば85%以上、好ましくは90%以上、さらには95%以上)のものを使用することができるが、グリシンを一定以上(例えば10%以上、好ましくは20%以上、さらには40%以上)含有するアミノ酸混合物、ペプチド類、蛋白加水分解物などの食品素材を使用しても良く、グリシン以外のアミノ酸、ペプチド類が混在するものの使用を除外するものではない。
使用する5単糖及び/又は6単糖としては、これに限定されるものではないが、キシロース、アラビノース、リボース、グルコース、ガラクトース、フラクトースなどを用いるのが例示される。特に、キシロース及び/又はグルコースを用いるのが、その効果やコストなどの面で好適である。これらは、一定の精製が行われた精製品や合成品、食品素材として市販されている純度が一定以上の市販品などを適宜使用できる。
さらに本発明では、上記グリシン、及び、5単糖及び/又は6単糖を所定の範囲の配合比で併用することが好ましい。具体的には、グリシン0.05〜2.5%(w/w:対粉)、5単糖及び/又は6単糖0.1〜5.0%(w/w:対粉)の割合、あるいは、グリシン0.05〜1.0%(w/w:対粉)、5単糖及び/又は6単糖0.1〜2.0%(w/w:対粉)の割合、さらに言えば、グリシン0.05〜0.5%(w/w:対粉)、5単糖及び/又は6単糖0.1〜1.0%(w/w:対粉)の割合で生地に練り込まれるような組成比としてなることが好適であり、特に、5単糖及び/又は6単糖がグリシンより多くなるように設計される(より好適には、5単糖及び/又は6単糖がグリシンの2倍量(5単糖及び/又は6単糖とグリシンの比が2:1)組成比としてなる)ことが好ましい。
本発明では、上記グリシン、及び、5単糖及び/又は6単糖を生地への練り込みで使用することが必要であるため、これらを混合製剤としておくのが好ましい。製剤化に際しては、これらの成分のみで製剤としても良いし、これらの成分以外に有効成分ではない製剤化原料として助剤を使用しても良い。製剤化の助剤としては特に限定はされないが、食塩、デキストリン等が好ましいものとして例示される。なお、上記グリシン、及び、5単糖及び/又は6単糖を製剤化せず、各成分を生地作製の段階で別々に所定量添加する(練り込む)方法を用いても差し支えない。
本発明の品質改良対象となる食品はパン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類から選ばれる少なくともひとつであるが、具体的には、パン類としては食パン、フランスパン、ロールパン、菓子パン、スコーンなどが、菓子類としてはクレープ、クッキー、タルト、パイなどが、ドーナツ類としては揚げドーナツ、焼きドーナツ、イーストドーナツなどが、パイ類としては、パイ、ミルフィーユなどが、中華皮類としては餃子の皮、シュウマイの皮、春巻きの皮、中華饅頭の皮などが例示される。これらは、いずれも加熱工程(主として焼成及び/又は揚げ工程)を経るものであることが特徴であり、特に一定時間(例えば5分以上、さらには5〜60分、あるいは10〜40分、そしてさらに20〜40分)の焼成及び/又は揚げ工程を経るものに対して好適な効果を奏する。なお、本発明において「焼成」とは、通常の焼成製品だけでなく、パーベイク(半焼成)製品も包含される。
また、本発明での「品質改良」とは、単にパン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類から選ばれる少なくともひとつの焼き及び/又は揚げ色付与を促進するのみではなく、好ましい焼き及び/又は揚げ色を付与しながら風香味、食感、外観も良好に保つことを意味する場合も包含される。つまり、焼き及び/又は揚げ色促進、焼成及び/又は揚げ時間短縮、焼成及び/又は揚げ温度低減、焼成及び/又は揚げ工程での水分ロス軽減及び食感向上、焼成冷凍パン類やパーベイク(半焼成)製品の皮はがれ・ひび割れ抑制、焼成パン類のクラスト膜を薄くすることによる食感改良(クラストの硬い食感緩和)及びクラム比率の増大(クラム取れ高向上)から選ばれる少なくとも1以上、あるいは2以上、さらには全てを意味する場合もある。
このようにして、本発明によれば、パン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類(特に、一定時間(例えば5分以上)焼成及び/又は揚げ工程を経たもの)の生地焼成中の色付促進(焼き及び/又は揚げ色付与促進)、焼成及び/又は揚げ時間の短縮、焼成及び/又は揚げ温度の低減、焼成冷凍パン類、パーベイク(半焼成)製品の皮はがれ抑制、ひび割れ抑制、焼成パン類のクラスト膜を薄くすることによる食感改良及びクラム比率の増大をすることでき、特に焼成パン類においてはこれらを全て同時に達成することもできる。そして、得られたパン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類は、充分な焼き及び/又は揚げ色でありながら水分ロスが少なく、食感及び外観のいずれも好適な非常においしいものである。さらに、これら製品やその加工品(例えばパン粉など)の製造歩留まりも向上させることができ、焼成冷凍パン類、パーベイク(半焼成)製品について焼き色がかなり付与したものを作製することもできる。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内においてこれらの様々な変形が可能である。
(食パン品質確認試験)
各種条件で製造した食パンの品質を確認するため、以下の試験を実施した。
表1に記載の配合を基本配合(無添加品)とし、グラニュー糖7%をブドウ糖果糖液糖(フジフラクトF50、日本食品化工株式会社製品)9%に変更した糖変更品、糖変更品の配合にグリシン(精製品)0.1%を中種で添加した改良剤添加品A、糖変更品の配合にグリシン0.1%、キシロース(精製品)0.2%を中種で添加した改良剤添加品Bについて、無添加品は表1に記載の基本条件(通常の中種食パンの製造工程・条件)及びこれから焼成時間を180℃35分に変更した条件の2種類で、他の3品については表1に記載の条件から焼成時間を180℃35分に変更した条件で食パンを製造した。得られた食パンについて、目視及び色差計での測定による焼き色確認、水分、重量などを確認した。なお、本願実施例での%表示は、全て対粉(小麦粉)の重量%を示す。
Figure 2013154030
結果を図1〜3及び表2に示した。これらの結果からもわかるように、本発明品である改良剤添加品Bのパン生地への添加により、焼成温度を通常の中種食パンの製造条件より下げてもこれと同程度、同質の焼き色を付与させることができ、且つ、通常の中種食パン製造工程・条件で製造したものより水分ロスが少なくふっくら・しっとりした食パンが得られ、その製造歩留まりも良くなる(製品重量が上がる)ことが明らかとなった。
Figure 2013154030
(焼成冷凍パン品質確認試験)
焼成冷凍パンの品質を確認するため、以下の試験を実施した。
表3に記載の配合及び条件でフランスパンを作製した無添加品と、当該条件にグリシン0.09%、キシロース0.18%を添加して焼成時間を26分から20分に短縮して作製した本発明品について焼成後、及び、焼成冷凍後の品質等を確認した。
Figure 2013154030
結果を図4、5に示した。これらの結果からもわかるように、本発明によりパンの焼成後冷凍時におけるクラスト皮のはがれ、割れを抑制することができ、且つ、焼き色はそのままで焼成時間を約2割短縮でき水分ロスも少なくすることができることが明らかとなった。また、本発明品は、無添加品と比較して生地感(粘り、伸び、ガス抜け)が良好であり、焼減率も低く(無添加品が23.3%に対して、本発明品が18.3%)焼成後のパン重量が無添加品より重かった(無添加品が230gに対して、本発明品が245g)。
(食パン焼成条件確認及び品質確認試験)
各種焼成条件で製造した食パンの品質を確認するため、以下の試験を実施した。
表4に記載の配合及び条件で、無添加焼成35分、無添加焼成28分、グリシン0.09%、キシロース0.18%添加焼成28分(本発明品)の各条件で食パンを製造した。得られた食パンについて、目視、色差計及びレオメーターでの測定による焼き色確認、水分、重量、食感等を確認した。
Figure 2013154030
結果を図6〜10に示した。これらの結果から、グリシン0.09%、キシロース0.18%添加により焼成時間を短縮しても通常の製造条件と同程度、同質の焼き色を付与させることができ、且つ、水分ロスも少なく(無添加焼成35分の焼減率10%に対して本発明品の焼減率8%)、よりしっとり感のある食パンが得られることが示された(図6〜9)。また、クラム重量も約1割増加することが示された(図10)。
(パン粉品質確認試験)
本発明のパン粉製造及びその品質への影響を確認するため、以下の試験を実施した。
表5に記載の配合及び条件を基本配合、基本条件(無添加品)とし、この配合・条件からグリシン0.09%、キシロース0.18%添加、焼成180℃30分としたもの(本発明品)と2種類のパンを製造し、得られた各パン及びこれから作製した各パン粉について品質を確認した。また、当該各パン粉を用いて各種条件でフライを作製し、その品質も確認した。
Figure 2013154030
結果を表6に示した。これらの結果からもわかるように、グリシン0.09%、キシロース0.18%添加により焼成時間を短縮しても通常の製造条件以上にふっくらしたパンが得られること、及び、パン粉の取れ高が増大することが明らかとなった。
Figure 2013154030
(カレーパン品質確認試験)
カレーパン(揚げパン)の品質を確認するため、以下の試験を実施した。
表7に記載の配合及び条件でカレーパンを作製した無添加品と、当該条件にグリシン0.09%、キシロース0.18%を添加して揚げ時間を12分から8分に短縮して作製した本発明品について製造後の品質等を確認した。
Figure 2013154030
この結果、本発明品のパン生地への添加により、揚げ時間を無添加品より30%以上短くしてもこれと同程度、同質の揚げ色を付与させることができ、且つ、中の具材(カレーフィリング)の水分ロスが少なく全体として瑞々しい食感のものが得られることが明らかとなった。
(発酵後のグリシン残存量確認試験)
本発明のグリシンがパン発酵中に酵母により利用されるかどうかを確認するため、以下の試験を実施した。
実施例1と同様の配合、製造条件で無添加品、グリシン0.1%、キシロース0.2%添加品を作成し、その生地発酵中のグリシン量を測定した。
その結果、4時間の発酵中において若干のグリシン量低下が見られたものの、酵母によりグリシンが資化等されることがなく、発酵後(焼成前)においてもほとんど添加時のグリシン濃度を保つことができることが示された(図11)。
本発明を要約すれば、以下の通りである。
本発明は、パン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類から選ばれる少なくともひとつの品質改良を簡便且つ効率的にすることができ、且つ、安全性も高い製剤及び方法等を提供することを目的とする。
そして、グリシン、及び、5単糖及び/又は6単糖を有効成分としてなる品質改良剤を生地への練り込みで用いることで、パン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類から選ばれる少なくともひとつの品質改良、特に、焼き及び/又は揚げ色付与促進、焼成及び/又は揚げ時間短縮、焼成及び/又は揚げ温度低減、焼成及び/又は揚げ工程での水分ロス軽減及び食感向上、焼成冷凍パン類やパーベイク(半焼成)製品の皮はがれ・ひび割れ抑制、焼成パン類のクラスト膜を薄くすることによる食感改良及びクラム比率の増大から選ばれる少なくとも1以上をすることができる。

Claims (11)

  1. グリシン、及び、5単糖及び/又は6単糖を有効成分として含有してなり、生地への練り込みで用いられることを特徴とする、パン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類から選ばれる少なくともひとつの品質改良剤。
  2. 焼成及び/又は揚げ工程を経て食されるパン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類から選ばれる少なくともひとつの品質改良をすることを特徴とする、請求項1に記載の剤。
  3. 5単糖及び/又は6単糖が、キシロース、アラビノース、リボース、グルコース、ガラクトース、フラクトースから選ばれる少なくとも1以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の剤。
  4. 5単糖及び/又は6単糖がグリシンの2倍量の組成比としてなること、及び/又は、グリシン0.05〜2.5%(w/w:対粉)、5単糖及び/又は6単糖0.1〜5.0%(w/w:対粉)の割合で生地に練り込まれるような組成比としてなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の剤。
  5. 品質改良が、焼き及び/又は揚げ色付与促進、焼成及び/又は揚げ時間短縮、焼成及び/又は揚げ温度低減、焼成及び/又は揚げ工程での水分ロス軽減及び食感向上、焼成冷凍パン類、パーベイク(半焼成)製品の皮はがれ・ひび割れ抑制、焼成パン類のクラスト膜を薄くすることによる食感改良及びクラム比率の増大から選ばれる少なくとも1以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の剤。
  6. グリシン、及び、5単糖及び/又は6単糖を生地に均一に練り込むことを特徴とする、パン類、又は、菓子類、又は、ドーナツ類、又は、パイ類、又は、中華皮類の製造方法。
  7. 有効成分として、グリシン、及び、5単糖及び/又は6単糖を生地に均一に練り込むことを特徴とする、パン類、菓子類、ドーナツ類、パイ類、中華皮類から選ばれる少なくともひとつの品質改良方法。
  8. 品質改良が、焼き及び/又は揚げ色付与促進、焼成及び/又は揚げ時間短縮、焼成及び/又は揚げ温度低減、焼成及び/又は揚げ工程での水分ロス軽減及び食感向上、焼成冷凍パン類、パーベイク(半焼成)製品の皮はがれ・ひび割れ抑制、焼成パン類のクラスト膜を薄くすることによる食感改良及びクラム比率の増大から選ばれる少なくとも1以上であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. さらに、焼成及び/又は揚げ工程を経ることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 5単糖及び/又は6単糖が、キシロース、アラビノース、リボース、グルコース、ガラクトース、フラクトースから選ばれる少なくとも1以上であることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. グリシン0.05〜2.5%(w/w:対粉)、5単糖及び/又は6単糖0.1〜5.0%(w/w:対粉)の割合、及び/又は、5単糖及び/又は6単糖がグリシンの2倍量となるように生地に均一に練り込むことを特徴とする、請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。
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