JPWO2013145151A1 - ハニカム構造体の製造方法、及び、押出成形用金型 - Google Patents

ハニカム構造体の製造方法、及び、押出成形用金型 Download PDF

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茂治 石川
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Abstract

本発明のハニカム構造体の製造方法は、押出成形用金型を用いてセラミック原料を押出成形することにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、周囲に外周壁が形成されたハニカム成形体を作製する工程と、上記ハニカム成形体を焼成することにより、ハニカム焼成体を作製する工程と、少なくとも1つのハニカム焼成体を用いてセラミックブロックを作製する工程とを含むハニカム構造体の製造方法であって、上記押出成形用金型は、原料導入側面及び成形体押出側面を有する金型本体を備え、上記金型本体の上記原料導入側面には、上記セラミック原料を供給するための原料供給孔が形成されており、上記金型本体の上記成形体押出側面には、上記セラミック原料を上記ハニカム成形体の形状に成形するための成形溝が形成されており、上記原料供給孔及び上記成形溝の間には、上記原料供給孔及び上記成形溝を連通する連結部が形成されており、上記セラミック原料を押し出す方向に平行な断面において、上記連結部は、上記成形溝と連結する箇所に設けられた曲線部と、上記曲線部から上記原料供給孔へ向かう直線部とを含み、かつ、上記セラミック原料を押し出す方向に平行な方向における上記連結部の長さをa、上記セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、上記連結部と連結する箇所の上記原料供給孔の幅をx、上記セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、上記ハニカム成形体のセル壁又は外周壁の厚さに対応する上記成形溝の幅をyとし、b=(x−y)/2としたとき、2.0≰a/bを満たす部分を含む押出成形用金型であることを特徴とする。

Description

本発明は、ハニカム構造体の製造方法、及び、押出成形用金型に関する。
バス、トラック等の車両又は建設機械等の内燃機関から排出される排ガス中に含有されるスス等のパティキュレート(以下、PMともいう)及びその他の有害成分が環境及び人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。
そこで、排ガス中のPMを捕集し、排ガスを浄化するハニカムフィルタとして、多孔質セラミックからなるハニカム構造体が種々提案されている。
従来、ハニカム構造体を製造する際には、押出成形用金型を用いてセラミック原料を押出成形することにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体を作製している。
ハニカム成形体を作製するための押出成形用金型としては、セラミック原料を供給するための原料供給孔と、該原料供給孔に連通して設けられ、セラミック原料をハニカム成形体の形状に成形するための成形溝とを有する金型が知られている。
例えば、特許文献1には、セラミックス坏土(セラミック原料)を坏土供給孔(原料供給孔)及び成形溝に供給することにより、坏土の通路の表面を磨耗させたセラミックハニカム押出ダイス(押出成形用金型)が開示されている。
また、特許文献2には、坏土導入孔(原料供給孔)と坏土押出しスリット(成形溝)とが連通する箇所に凸曲面を有するハニカム構造体成形用口金(押出成形用金型)が開示されている。
特公平6−45130号公報 特開2003−251619号公報
ハニカム成形体を作製するための押出成形用金型には、ハニカム成形体の成形性の観点から、流体(つまり、セラミック原料)が流れやすい構造であることが求められる。
特許文献1に記載のセラミックハニカム押出ダイスでは、坏土の通路の表面を磨耗させることにより、セラミック坏土の流れ抵抗を均一化している。また、特許文献2のハニカム構造体成形用口金では、坏土導入孔と坏土押出しスリットとが連通する箇所に凸曲面を設けることにより、坏土導入孔から坏土押出しスリットへの移行をスムーズにしている。
さらに、押出成形用金型には、ハニカム成形体の生産性の観点から、成形速度を大きくしても成形性が損なわれないことが求められる。
また、押出成形用金型を用いたハニカム構造体の製造方法には、ハニカム成形体の成形性及び生産性をともに向上させることが求められている。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、ハニカム成形体の成形性及び生産性に優れるハニカム構造体の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、上記ハニカム構造体の製造方法に用いられる押出成形用金型を提供することを目的とする。
請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法は、
押出成形用金型を用いてセラミック原料を押出成形することにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、周囲に外周壁が形成されたハニカム成形体を作製する工程と、
上記ハニカム成形体を焼成することにより、ハニカム焼成体を作製する工程と、
少なくとも1つのハニカム焼成体を用いてセラミックブロックを作製する工程とを含むハニカム構造体の製造方法であって、
上記押出成形用金型は、原料導入側面及び成形体押出側面を有する金型本体を備え、
上記金型本体の上記原料導入側面には、上記セラミック原料を供給するための原料供給孔が形成されており、
上記金型本体の上記成形体押出側面には、上記セラミック原料を上記ハニカム成形体の形状に成形するための成形溝が形成されており、
上記原料供給孔及び上記成形溝の間には、上記原料供給孔及び上記成形溝を連通する連結部が形成されており、
上記セラミック原料を押し出す方向に平行な断面において、上記連結部は、上記成形溝と連結する箇所に設けられた曲線部と、上記曲線部から上記原料供給孔へ向かう直線部とを含み、かつ、
上記セラミック原料を押し出す方向に平行な方向における上記連結部の長さをa、上記セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、上記連結部と連結する箇所の上記原料供給孔の幅をx、上記セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、上記ハニカム成形体のセル壁又は外周壁の厚さに対応する上記成形溝の幅をyとし、b=(x−y)/2としたとき、2.0≦a/bを満たす部分を含む押出成形用金型であることを特徴とする。
請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記の構成を有する押出成形用金型を用いてセラミック原料を押出成形することにより、ハニカム成形体を作製することを特徴としている。
請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法で用いる押出成形用金型では、セラミック原料を押し出す方向に平行な断面において、連結部及び成形溝が連結する箇所に曲線部が設けられている。この曲線部により、特許文献1及び特許文献2に記載の従来の押出成形用金型と同様に、原料供給孔から成形溝へセラミック原料を流れやすくすることができる。
さらに、請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法で用いる押出成形用金型では、セラミック原料を押し出す方向に平行な方向における連結部の長さをa、セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、連結部と連結する箇所の原料供給孔の幅をx、セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、ハニカム成形体のセル壁又は外周壁の厚さに対応する成形溝の幅をyとし、b=(x−y)/2としたとき、2.0≦a/bを満たす部分を含む。そのため、原料供給孔から成形溝へセラミック原料をより流れやすくすることができる。
セラミック原料を押し出す方向に平行な方向における連結部の長さaは、原料供給孔から成形溝へ移行するまでの、セラミック原料を押し出す方向に平行な方向の距離に対応する。以下、「セラミック原料を押し出す方向に平行な方向における連結部の長さa」を単に「連結部の長さa」とも記載する。
また、(x−y)/2で示される長さbは、原料供給孔から成形溝へ移行するまでの、セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向の距離に対応する。以下、長さbを「原料供給孔及び成形溝の間の距離b」とも記載する。
a/b<2.0である場合、連結部の長さaが相対的に小さいか、又は、原料供給孔及び成形溝の間の距離bが相対的に大きい。連結部の長さaが相対的に小さいと、原料供給孔から成形溝にセラミック原料が流れにくくなるため、セラミック原料が金型内に詰まりやすくなる。そのため、成形速度が大きくなると、ハニカム成形体に割れ又は変形が発生しやすくなる。一方、原料供給孔及び成形溝の間の距離bが相対的に大きいと、同じ大きさのハニカム成形体を作製する場合に原料供給孔の幅が小さくなる。その結果、原料供給孔の抵抗が大きくなるため、ハニカム成形体の成形性及び生産性が悪くなる。
以上のように、請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記の構成を有する押出成形用金型を用いるため、成形速度が大きい場合においても、セラミック原料が成形溝等に詰まることに起因してハニカム成形体に割れ又は変形が発生することを防止することができる。その結果、ハニカム成形体の成形性及び生産性をともに向上させることができる。
請求項2に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記押出成形用金型において、上記2.0≦a/bを満たす部分は、上記金型本体の50%以上の領域である。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、押出成形用金型の金型本体の50%以上の領域が2.0≦a/bを満たしていればよく、金型本体の全体が2.0≦a/bを満たす必要はない。しかしながら、上記2.0≦a/bを満たす部分が金型本体の50%未満の領域であると、原料供給孔から成形溝にセラミック原料が流れやすい部分が少ないため、ハニカム成形体の成形性及び生産性が向上する効果が充分に得られない。
請求項3に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記押出成形用金型において、上記2.0≦a/bを満たす部分は、上記金型本体のセラミック原料を押し出す方向に垂直な断面の中心から該断面の外周までの1/2の領域を含む。
すなわち、請求項3に記載のハニカム構造体の製造方法では、金型本体の外周部分よりも中心部分において、原料供給孔から成形溝にセラミック原料が流れやすくなっている。金型本体の外周部分では、主にハニカム成形体の外周壁が形成されるが、一般に、ハニカム成形体の外周壁はセル壁に比べて厚い。そのため、金型本体の外周部分では、2.0≦a/bを満たしていなくても、セラミック原料が流れやすい。従って、請求項3に記載のハニカム構造体の製造方法では、押出成形用金型の金型本体の全体が2.0≦a/bを満たしていなくても、ハニカム成形体の成形性及び生産性をともに向上させることができる。
請求項4に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記押出成形用金型において、上記2.0≦a/bを満たす部分は、2.0≦a/b≦4.0を満たす。
2.0≦a/b≦4.0である場合、ハニカム成形体の成形性及び生産性をより向上させることができる。
a/b>4.0である場合、連結部の長さaが相対的に大きいか、又は、原料供給孔及び成形溝の間の距離bが相対的に小さい。原料供給孔及び成形溝の間の距離bが相対的に小さいと、原料供給孔の幅xが成形溝の幅yと近い値になる(言い換えると、原料供給孔の幅xが小さい)ため、原料供給孔の抵抗が大きくなり、ハニカム成形体の成形性及び生産性が悪くなる。その結果、押出成形用金型が破損しやすくなり、押出成形用金型の寿命が短くなる。一方、連結部の長さaが相対的に大きいと、セラミック原料への抵抗が大きくなり、ハニカム成形体の成形性及び生産性が悪くなる。
請求項5に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記押出成形用金型において、上記ハニカム成形体のセル壁の厚さに対応する上記成形溝の幅は、0.1〜0.2mmである。
また、請求項6に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記押出成形用金型において、上記ハニカム成形体の外周壁の厚さに対応する上記成形溝の幅は、0.2〜0.5mmである。
ハニカム成形体のセル壁の厚さに対応する成形溝の幅が0.1〜0.2mmである場合、及び、ハニカム成形体の外周壁の厚さに対応する成形溝の幅が0.2〜0.5mmである場合、一般には、成形溝の幅が小さいため、セラミック原料が詰まりやすくなる。しかしながら、曲線部を有し、かつ、2.0≦a/bを満たす部分を含む押出成形用金型を用いると、原料供給孔から成形溝へセラミック原料が流れやすくなるため、ハニカム成形体に割れ又は変形が発生することを防止することができる。
請求項7に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記押出成形用金型において、上記曲線部は、流体研磨により形成されている。
流体研磨を用いると、曲線部を有し、かつ、2.0≦a/bを満たす部分を含む押出成形用金型を容易に作製することができる。
請求項8に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記ハニカム成形体の構成材料の主成分は、炭化ケイ素である。
一般に、硬質な炭化ケイ素を主成分とするセラミック原料を用いた場合、押出成形用金型が磨耗しやすくなるため、成形体の大きさにばらつきが大きくなる。しかしながら、曲線部を有し、かつ、2.0≦a/bを満たす部分を含む押出成形用金型を用いると、原料供給孔から成形溝へセラミック原料が流れやすくなるため、ハニカム成形体に割れ又は変形が発生することを防止することができる。
従って、請求項8に記載のハニカム構造体の製造方法では、炭化ケイ素質ハニカム構造体を好適に製造することができる。
請求項9に記載のハニカム構造体の製造方法では、上記セラミックブロックを作製する工程では、接着材ペーストを介して上記ハニカム焼成体を複数個結束する。
このように、請求項9に記載のハニカム構造体の製造方法では、いわゆる集合型ハニカム構造体を好適に製造することができる。
請求項10に記載の押出成形用金型は、
セラミック原料を押出成形することにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、周囲に外周壁が形成されたハニカム成形体を作製するために用いられる押出成形用金型であって、
上記押出成形用金型は、原料導入側面及び成形体押出側面を有する金型本体を備え、
上記金型本体の上記原料導入側面には、上記セラミック原料を供給するための原料供給孔が形成されており、
上記金型本体の上記成形体押出側面には、上記セラミック原料を上記ハニカム成形体の形状に成形するための成形溝が形成されており、
上記原料供給孔及び上記成形溝の間には、上記原料供給孔及び上記成形溝を連通する連結部が形成されており、
上記セラミック原料を押し出す方向に平行な断面において、上記連結部は、上記成形溝と連結する箇所に設けられた曲線部と、上記曲線部から上記原料供給孔へ向かう直線部とを含み、かつ、
上記セラミック原料を押し出す方向に平行な方向における上記連結部の長さをa、上記セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、上記連結部と連結する箇所の上記原料供給孔の幅をx、上記セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、上記ハニカム成形体のセル壁又は外周壁の厚さに対応する上記成形溝の幅をyとし、b=(x−y)/2としたとき、2.0≦a/bを満たす部分を含むことを特徴とする。
請求項11に記載の押出成形用金型では、上記2.0≦a/bを満たす部分は、上記金型本体の50%以上の領域である。
請求項12に記載の押出成形用金型では、上記2.0≦a/bを満たす部分は、上記金型本体のセラミック原料を押し出す方向に垂直な断面の中心から該断面の外周までの1/2の領域を含む。
請求項13に記載の押出成形用金型では、前記2.0≦a/bを満たす部分は、2.0≦a/b≦4.0を満たす。
請求項14に記載の押出成形用金型では、上記ハニカム成形体のセル壁の厚さに対応する上記成形溝の幅は、0.1〜0.2mmである。
請求項15に記載の押出成形用金型では、上記ハニカム成形体の外周壁の厚さに対応する上記成形溝の幅は、0.2〜0.5mmである。
請求項16に記載の押出成形用金型では、上記曲線部は、流体研磨により形成されている。
請求項17に記載の押出成形用金型では、上記ハニカム成形体の構成材料の主成分は、炭化ケイ素である。
請求項10〜17に記載の押出成形用金型を用いると、請求項1〜9に記載のハニカム構造体の製造方法で説明したように、成形速度が大きい場合においても、セラミック原料が成形溝等に詰まることに起因してハニカム成形体に割れ又は変形が発生することを防止することができる。従って、請求項10〜17に記載の押出成形用金型をハニカム構造体の製造に用いた場合、ハニカム成形体の成形性及び生産性をともに向上させることができる。
図1は、本発明の第一実施形態に係る押出成形用金型の一例を模式的に示す断面図である。 図2(a)は、図1に示す押出成形用金型を構成する金型本体の正面拡大図であり、図2(b)は、該金型本体の背面図である。 図3は、図1に示す押出成形用金型を構成する金型本体の一部拡大図である。 図4は、図1に示す押出成形用金型を構成する金型本体のセラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における断面図である。 図5は、本発明の第一実施形態に係る押出成形用金型を備える押出成形装置を用いてハニカム成形体を作製する様子を模式的に示す斜視図である。 図6(a)は、本発明の第一実施形態に係るハニカム成形体の一例を模式的に示す斜視図であり、図6(b)は、図6(a)に示すハニカム成形体のC−C線断面図である。 図7(a)は、本発明の第一実施形態に係るハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図であり、図7(b)は、図7(a)に示すハニカム焼成体のD−D線断面図である。 図8は、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。 図9は、実施例1〜3及び比較例1〜2におけるa/b比と成形速度との関係を示すグラフである。
特許文献1及び特許文献2に記載の従来の押出成形用金型を用いてハニカム成形体を作製する場合において、成形速度を大きくすると、セラミック原料が成形溝等に詰まってしまい、得られるハニカム成形体に割れ又は変形が発生することが判明した。
このように、特許文献1及び特許文献2に記載の押出成形用金型を用いたハニカム構造体の製造方法には、成形性及び生産性を両立させることができないという問題があると考えられる。
本発明者らは、成形速度を大きくしても、得られるハニカム成形体に割れ又は変形が発生しない方法を検討した。そして、本発明者らは、特許文献1及び特許文献2に記載の従来の押出成形用金型では認識されていなかった解決手段として、セラミック原料を押し出す方向に平行な断面における、押出成形用金型の原料供給孔の幅と成形溝の幅との差に着目した。
その結果、本発明者らは、セラミック原料が原料供給孔から成形溝へ移行するまでの、セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向の距離に対する平行な方向の距離の比を所定の値とすることにより、原料供給孔から成形溝にセラミック原料をより流れやすくすることができることを見出し、本発明を完成した。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
(第一実施形態)
以下、本発明のハニカム構造体の製造方法、及び、押出成形用金型の一実施形態である第一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法は、
押出成形用金型を用いてセラミック原料を押出成形することにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、周囲に外周壁が形成されたハニカム成形体を作製する工程と、
上記ハニカム成形体を焼成することにより、ハニカム焼成体を作製する工程と、
少なくとも1つのハニカム焼成体を用いてセラミックブロックを作製する工程とを含むハニカム構造体の製造方法であって、
上記押出成形用金型は、原料導入側面及び成形体押出側面を有する金型本体を備え、
上記金型本体の上記原料導入側面には、上記セラミック原料を供給するための原料供給孔が形成されており、
上記金型本体の上記成形体押出側面には、上記セラミック原料を上記ハニカム成形体の形状に成形するための成形溝が形成されており、
上記原料供給孔及び上記成形溝の間には、上記原料供給孔及び上記成形溝を連通する連結部が形成されており、
上記セラミック原料を押し出す方向に平行な断面において、上記連結部は、上記成形溝と連結する箇所に設けられた曲線部と、上記曲線部から上記原料供給孔へ向かう直線部とを含み、かつ、
上記セラミック原料を押し出す方向に平行な方向における上記連結部の長さをa、上記セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、上記連結部と連結する箇所の上記原料供給孔の幅をx、上記セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、上記ハニカム成形体のセル壁又は外周壁の厚さに対応する上記成形溝の幅をyとし、b=(x−y)/2としたとき、2.0≦a/bを満たす部分を含む押出成形用金型であることを特徴とする。
まず、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法で用いる押出成形用金型について説明する。この金型は、本発明の第一実施形態に係る押出成形用金型である。
図1は、本発明の第一実施形態に係る押出成形用金型の一例を模式的に示す断面図である。
図1は、セラミック原料を押し出す方向に平行な方向における押出成形用金型の断面図である。図1中、セラミック原料を押し出す方向を矢印で示している。
図1に示す押出成形用金型100は、原料導入側面A及び成形体押出側面Bを有する金型本体10と、金型本体10を固定するための外枠20とを備えている。なお、外枠は、必要に応じて備えられていればよい。
図1に示すように、金型本体10の原料導入側面Aには、セラミック原料を供給するために、原料供給孔11が形成されている。
一方、金型本体10の原料導入側面Aと反対側の成形体押出側面Bには、原料供給孔11を通過したセラミック原料をハニカム成形体の形状に成形するために、成形溝12が形成されている。
そして、原料供給孔11及び成形溝12の間には、連結部13が形成されている。原料供給孔11及び成形溝12は、連結部13を介して金型本体10の内部で連通している。
図2(a)は、図1に示す押出成形用金型を構成する金型本体の正面拡大図であり、図2(b)は、該金型本体の背面図である。
図2(a)及び図2(b)に示すように、金型本体10において、成形溝12は、ハニカム成形体(ハニカム構造体)のセル壁又は外周壁の厚さに対応するスリット幅を有しており、例えば、格子状等に設けられている。また、原料供給孔11は、通常、格子状等の成形溝12が交差する位置に対応して設けられている。
本発明の第一実施形態に係る押出成形用金型では、セラミック原料を押し出す方向に平行な断面において、連結部が、成形溝と連結する箇所に設けられた曲線部と、曲線部から原料供給孔へ向かう直線部とを含むことを特徴としている。
本発明の第一実施形態に係る押出成形用金型では、さらに、セラミック原料を押し出す方向に平行な方向における連結部の長さをa、セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、連結部と連結する箇所の原料供給孔の幅をx、セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、成形溝の幅をyとし、b=(x−y)/2としたとき、2.0≦a/bを満たす部分を含むことを特徴としている。
上記2点の特徴について、図3を参照しながら説明する。
図3は、図1に示す押出成形用金型を構成する金型本体の一部拡大図である。
図3に示す金型本体10において、連結部13は、成形溝12と連結する箇所に設けられた曲線部13aと、曲線部13aから原料供給孔11へ向かう直線部13bとを含む。
なお、図3において、連結部13には、原料供給孔11と連結する箇所に曲線部13cが設けられているが、曲線部13cは設けられていなくてもよい。例えば、連結部13は、曲線部13a及び直線部13bから構成されていてもよい。
図3に示すように、セラミック原料を押し出す方向に平行な方向において、成形溝12の内面と連結部13の曲線部13aとの交点、及び、原料供給孔11の内面と連結部13の曲線部13cとの交点の間の長さ(図3中、矢印aで示す長さ)を連結部13の長さとする。なお、連結部13に曲線部13cが設けられていない場合には、成形溝12の内面と連結部13の曲線部13aとの交点、及び、原料供給孔11の内面と連結部13の直線部13bとの交点の間の長さを連結部13の長さaとする。また、連結部13の上下において、連結部13の長さが異なる場合には、短い方の長さを連結部13の長さaとする。
また、図3に示すように、金型本体10の原料導入側面Aから連結部13の曲線部13c(曲線部13cが設けられていない場合には直線部13b)までの部分を原料供給孔11とする。そして、金型本体10の成形体押出側面Bから連結部13の曲線部13aまでの部分を成形溝12とする。
図3に示す金型本体10において、セラミック原料を押し出す方向に平行な方向における連結部13の長さをa、セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、連結部13と連結する箇所の原料供給孔11の幅をx、セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、成形溝12の幅をyとし、b=(x−y)/2としたとき、2.0≦a/bを満たす。
なお、図3に示すように、金型本体10の原料導入側面A上の原料供給孔11の幅(図3中、矢印xで示す長さ)を、セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における原料供給孔11の幅とする。同様に、金型本体10の成形体押出側面B上の成形溝12の幅(図3中、矢印yで示す長さ)を、セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における成形溝12の幅とする。
上述のとおり、セラミック原料を押し出す方向に平行な方向における連結部13の長さaは、原料供給孔11から成形溝12へ移行するまでの、セラミック原料を押し出す方向に平行な方向の距離に対応する。
また、図3に示す金型本体10のように、原料供給孔11の中央に成形溝12が設けられている場合、(x−y)/2で示される長さbは、原料供給孔11から成形溝12へ移行するまでの、セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向の距離に対応する。
本発明の第一実施形態に係る押出成形用金型では、2.0≦a/bとすることにより、原料供給孔から成形溝へセラミック原料を流れやすくすることができる。
a/b<2.0である場合、連結部の長さaが相対的に小さいか、又は、原料供給孔及び成形溝の間の距離bが相対的に大きい。連結部の長さaが相対的に小さいと、原料供給孔から成形溝にセラミック原料が流れにくくなるため、セラミック原料が金型内に詰まりやすくなる。そのため、成形速度が大きくなると、ハニカム成形体に割れ又は変形が発生しやすくなる。一方、原料供給孔及び成形溝の間の距離bが相対的に大きいと、同じ大きさのハニカム成形体を作製する場合に原料供給孔の幅が小さくなる。その結果、原料供給孔の抵抗が大きくなるため、ハニカム成形体の成形性及び生産性が悪くなる。
上記2.0≦a/bを満たす部分は、2.0≦a/b≦4.0を満たすことが望ましく、2.5≦a/b≦4.0を満たすことがより望ましく、3.0≦a/b≦4.0を満たすことがさらに望ましい。
a/b>4.0である場合、連結部の長さaが相対的に大きいか、又は、原料供給孔及び成形溝の間の距離bが相対的に小さい。原料供給孔及び成形溝の間の距離bが相対的に小さいと、原料供給孔の幅xが成形溝の幅yと近い値になる(言い換えると、原料供給孔の幅xが小さい)ため、原料供給孔の抵抗が大きくなり、ハニカム成形体の成形性及び生産性が悪くなる。その結果、押出成形用金型が破損しやすくなり、押出成形用金型の寿命が短くなる。一方、連結部の長さaが相対的に大きいと、セラミック原料への抵抗が大きくなり、ハニカム成形体の成形性及び生産性が悪くなる。
本発明の第一実施形態に係る押出成形用金型においては、金型本体の全体が2.0≦a/bを満たしていなくてもよく、金型本体の一部が2.0≦a/bを満たしていればよい。
具体的には、2.0≦a/bを満たす部分は、金型本体の50%以上の領域であることが望ましく、70%以上の領域であることがより望ましい。また、2.0≦a/bを満たす部分は、金型本体の50%〜100%の領域であることがさらに望ましく、70%〜100%の領域であることが特に望ましい。
2.0≦a/bを満たす部分が金型本体の50%未満の領域であると、原料供給孔から成形溝にセラミック原料が流れやすい部分が少ないため、ハニカム成形体の成形性及び生産性が向上する効果が充分に得られない。
また、本発明の第一実施形態に係る押出成形用金型においては、2.0≦a/bを満たす部分は、金型本体のセラミック原料を押し出す方向に垂直な断面の中心から該断面の外周までの1/2の領域を含むことが望ましい。この場合、押出成形用金型の金型本体の全体が2.0≦a/bを満たしていなくても、ハニカム成形体の成形性及び生産性をともに向上させることができる。
以下、「金型本体のセラミック原料を押し出す方向に垂直な断面の中心から該断面の外周までの1/2の領域」について説明する。
図4は、図1に示す押出成形用金型を構成する金型本体のセラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における断面図である。
図4に示すように、「金型本体のセラミック原料を押し出す方向に垂直な断面の中心から該断面の外周までの1/2の領域」とは、金型本体10の断面が、金型本体10の断面上の中心(図4中、金型本体の断面上の中心をOで示す)を含み、中心Oと外周とを結ぶ線分を2等分する点(図4中、上記2等分する点をPで示す)を結んだ線で囲まれた部分をいう。
なお、図4では、金型本体の断面形状が四角形(正方形)である場合を説明しているが、金型本体の断面形状に関わらず、上記の関係により「金型本体のセラミック原料を押し出す方向に垂直な断面の中心から該断面の外周までの1/2の領域」が決定される。
本発明の第一実施形態に係る押出成形用金型を構成する金型本体において、ハニカム成形体のセル壁の厚さに対応する成形溝の幅は、0.1〜0.2mmであることが望ましい。
本発明の第一実施形態に係る押出成形用金型を構成する金型本体において、ハニカム成形体の外周壁の厚さに対応する成形溝の幅は、0.2〜0.5mmであることが望ましい。また、ハニカム成形体の外周壁の厚さに対応する成形溝の幅は、ハニカム成形体のセル壁の厚さに対応する成形溝の幅よりも大きいことがより望ましい。
ハニカム成形体のセル壁の厚さに対応する成形溝の幅が0.1〜0.2mmである場合、及び、ハニカム成形体の外周壁の厚さに対応する成形溝の幅が0.2〜0.5mmである場合、一般には、成形溝の幅が小さいため、セラミック原料が詰まりやすくなる。しかしながら、曲線部を有し、かつ、2.0≦a/bを満たす部分を含む押出成形用金型を用いると、原料供給孔から成形溝へセラミック原料が流れやすくなるため、ハニカム成形体に割れ又は変形が発生することを防止することができる。
本発明の第一実施形態に係る押出成形用金型を構成する金型本体において、原料供給孔の幅は、特に限定されないが、1.0〜1.5mmであることが望ましい。
なお、原料供給孔の断面形状が円形である場合、原料供給孔の幅とは、原料供給孔の内径を意味する。
次に、本発明の第一実施形態に係る押出成形用金型を構成する金型本体の製造方法の一例について説明する。
まず、金型本体を構成する基体を切削することにより、原料供給孔と、上記原料供給孔に連通する成形溝とを形成する。
金型本体を構成する基体の材質としては、特に限定されないが、超硬合金、工具鋼、又は、熱間金型用の工具鋼等を用いることが望ましい。
原料供給孔を形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、エンドミル又はドリル等を用いる機械加工により、基体を切削して所望の内径を有する原料供給孔を形成する方法等が挙げられる。
また、成形溝を形成する方法も、特に限定されるものではないが、例えば、原料供給孔を形成した後、原料供給孔を形成した部分と反対側から、ダイヤモンド等を含む砥石を用いるダイシングマシン等による機械加工で、基体を切削して所望のスリット幅を有する成形溝を形成する方法等が挙げられる。
成形溝は、目的とするハニカム成形体(ハニカム構造体)の形状に応じて、格子状等の所望の形状のものを、所定間隔で所定数設ければよい。
一方、原料供給孔は、通常、成形溝を形成した面と反対側の基体の面から、成形溝の交差部の位置に対応させて形成すればよい。
次に、原料供給孔及び成形溝の間に連結部を形成する。
連結部を形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、流体研磨、放電加工、電解加工、又は、機械加工等により連結部を形成する方法が挙げられる。
これらの中では、流体研磨により連結部を形成することが望ましい。
流体研磨を用いると、曲線部を有し、かつ、2.0≦a/bを満たす部分を含む押出成形用金型を容易に作製することができる。
流体研磨により連結部を形成する場合、具体的には、基体の材質より高い硬度を有する材料である炭化ケイ素(SiC)研粒含有研磨剤等を含有する研磨剤を、セラミック原料と同様に原料供給孔から繰り返し導入し、成形溝から押し出すことにより、上記の構成を有する連結部を形成することができる。また、成形溝から、上記研磨剤を導入してもよい。
なお、流体研磨により連結部を形成する場合、連結部の長さaの長さbに対する比(以下、a/b比ともいう)は、流体研磨の条件(例えば、粒度、研磨時間、研磨圧力、又は、研磨温度等)を変更することにより調整することができる。例えば、研磨時間を長くすることにより、a/b比を大きくすることができる。
図5は、本発明の第一実施形態に係る押出成形用金型を備える押出成形装置を用いてハニカム成形体を作製する様子を模式的に示す斜視図である。
図5に示す押出成形装置200では、ケーシング210の先端部に押出成形用金型100が設けられており、この押出成形用金型100を介して成形体300が連続的に押し出されている。ケーシング210の内部には、スクリュー(図示せず)が設けられており、このスクリューにより、セラミック原料の混合と押出成形用金型100へのセラミック原料の押し込みとが行われる。
その結果、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、周囲に外周壁が形成された成形体300が連続的に作製される。この後、連続的に延びた成形体300は、所定の長さに切断されることにより、ハニカム成形体となる。
図5に示す押出成形装置200を使用して押出成形を行う際には、セラミック原料をケーシング210内に投入する。セラミック原料は、押出成形装置200の内部で、さらに混練されるとともに、スクリュー羽根(図示せず)に押されて次第に端部の方向に移動していく。そして、セラミック原料が押出成形用金型100内の成形溝を通過して押し出された後、所定の長さに切断される。
以下、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法の一例について説明する。
(1)まず、セラミック粉末とバインダとを含む湿潤混合物(セラミック原料)を調製する。
具体的には、まず、セラミック粉末と、有機バインダと、液状の可塑剤と、潤滑剤と、水とを混合することにより、ハニカム成形体製造用の湿潤混合物を調製する。
上記セラミック粉末は、作製するハニカム成形体(ハニカム構造体)の構成材料に応じて選択すればよい。
ハニカム成形体の構成材料の主成分としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、シリカ、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等を挙げることができる。
ハニカム成形体の構成材料の主成分の中では、非酸化物セラミックが好ましく、炭化ケイ素が特に好ましい。耐熱性、機械強度、熱伝導率等に優れるからである。
本明細書において、「主成分が炭化ケイ素である」とは、セラミック粉末が炭化ケイ素を60重量%以上含有することをいう。主成分が炭化ケイ素である場合、炭化ケイ素のみならず、ケイ素結合炭化ケイ素も含まれる。また、炭化ケイ素以外の構成材料の主成分についても同様である。
(2)次に、上記湿潤混合物(セラミック原料)を押出成形することにより、所定の形状のハニカム成形体を作製する。
この際、本発明の第一実施形態に係る押出成形用金型を用いて押出成形を行う。
図6(a)は、本発明の第一実施形態に係るハニカム成形体の一例を模式的に示す斜視図であり、図6(b)は、図6(a)に示すハニカム成形体のC−C線断面図である。
図6(a)及び図6(b)に示すハニカム成形体30には、多数のセル31がセル壁32を隔てて長手方向(図6(a)中、矢印cの方向)に並設されるとともに、その周囲に外周壁33が形成されている。
(3)その後、上記ハニカム成形体を、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させることにより、ハニカム成形体の乾燥体を作製する。
さらに、ハニカム成形体の乾燥体を、所定の条件で脱脂処理(例えば、200〜500℃)、及び、焼成処理(例えば、1400〜2300℃)を行う。
上記の工程を経ることにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、周囲に外周壁が形成されたハニカム焼成体を作製することができる。
なお、上記ハニカム成形体の乾燥体の脱脂処理及び焼成処理の条件は、従来からハニカム焼成体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法においては、セルのいずれか一方の端部が封止されたハニカム焼成体を作製することもできる。この場合、上記(3)の工程において、乾燥後、ハニカム成形体の乾燥体が有するセルの所定の端部に、封止材となる封止材ペーストを所定量充填してセルを封止する。その後、上述した脱脂処理及び焼成処理を行うことにより、セルのいずれか一方の端部が封止されたハニカム焼成体を作製することができる。
ここで、封止材ペーストとしては、上記湿潤混合物を用いることができる。
図7(a)は、本発明の第一実施形態に係るハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図であり、図7(b)は、図7(a)に示すハニカム焼成体のD−D線断面図である。
図7(a)及び図7(b)に示すハニカム焼成体40には、多数のセル41がセル壁42を隔てて長手方向(図7(a)中、矢印dの方向)に並設されるとともに、その周囲に外周壁43が形成されている。そして、セル41のいずれかの端部は、封止材44で封止されている。
従って、一方の端面が開口したセル41に流入した排ガスG(図7(b)中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、必ずセル41を隔てるセル壁42を通過した後、他方の端面が開口した他のセル41から流出するようになっている。排ガスGがセル壁42を通過する際に、排ガス中のPM等が捕集されるため、セル壁42は、フィルタとして機能する。
このように、セルのいずれか一方の端部が封止されたハニカム焼成体を含むハニカム構造体は、セラミックフィルタとして好適に使用することができる。また、セルのいずれの端部も封止されていないハニカム焼成体を含むハニカム構造体は、触媒担持体として好適に使用することができる。
(4)続いて、少なくとも1つのハニカム焼成体を用いてセラミックブロックを作製する。
一例として、複数のハニカム焼成体が接着材層を介して結束されてなるセラミックブロックを作製する方法について説明する。
まず、上記ハニカム焼成体のそれぞれの所定の側面に、接着材層となる接着材ペーストを塗布して接着材ペースト層を形成し、この接着剤ペースト層の上に、順次他のハニカム焼成体を積層する工程を繰り返し、ハニカム焼成体の集合体を作製する。
次に、ハニカム焼成体の集合体を加熱して接着剤ペースト層を乾燥、固化させて接着材層とすることにより、セラミックブロックを作製する。
ここで、接着材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機粒子とからなるものを使用する。また、上記接着材ペーストは、さらに無機繊維及び/又はウィスカを含んでいてもよい。
(5)その後、セラミックブロックに切削加工を施す。
具体的には、ダイヤモンドカッター等を用いてセラミックブロックの外周を切削することにより、外周が円柱状に加工されたセラミックブロックを作製する。
(6)さらに、円柱状のセラミックブロックの外周面に、外周コート材ペーストを塗布し、乾燥固化して外周コート層を形成する。
ここで、外周コート材ペーストとしては、上記接着材ペーストを使用することができる。なお、外周コート材ペーストして、上記接着材ペーストと異なる組成のペーストを使用してもよい。
また、外周コート層は必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて設ければよい。
以上の工程によって、ハニカム構造体を製造することができる。
図8は、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
図8に示すハニカム構造体50では、ハニカム焼成体40が複数個ずつ接着材層51を介して結束されてセラミックブロック53を構成し、さらに、このセラミックブロック53の外周に外周コート層52が形成されている。なお、外周コート層は、必要に応じて形成されていればよい。
このような、ハニカム焼成体が複数個結束されてなるハニカム構造体は、集合型ハニカム構造体ともいう。
以下、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法、及び、押出成形用金型の作用効果について列挙する。
(1)本実施形態の押出成形用金型では、セラミック原料を押し出す方向に平行な断面において、連結部及び成形溝が連結する箇所に曲線部が設けられている。この曲線部により、原料供給孔から成形溝へセラミック原料を流れやすくすることができる。従って、成形速度が大きい場合においても、セラミック原料が成形溝等に詰まりにくくなる。
(2)さらに、本実施形態の押出成形用金型では、セラミック原料を押し出す方向に平行な方向における連結部の長さをa、セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、連結部と連結する箇所の原料供給孔の幅をx、セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、ハニカム成形体のセル壁又は外周壁の厚さに対応する成形溝の幅をyとし、b=(x−y)/2としたとき、2.0≦a/bを満たす部分を含む。そのため、原料供給孔から成形溝へセラミック原料をより流れやすくすることができる。従って、成形速度が大きい場合においても、セラミック原料が成形溝等により詰まりにくくなる。
(3)本実施形態のハニカム構造体の製造方法では、本実施形態の押出成形用金型を用いてセラミック原料を押出成形することにより、ハニカム成形体を作製することを特徴としている。従って、成形速度が大きい場合においても、セラミック原料が成形溝等に詰まることに起因してハニカム成形体に割れ又は変形が発生することを防止することができる。その結果、ハニカム成形体の成形性及び生産性をともに向上させることができる。
(実施例)
以下、本発明の第一実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、超硬合金を基体として、基体の両側面に原料供給孔及び成形溝をそれぞれ形成した。
ハニカム成形体のセル壁の厚さに対応する成形溝の幅を0.18mmとし、ハニカム成形体の外周壁の厚さに対応する成形溝の幅は0.30mmとし、成形溝の深さを2mmとした。
また、原料供給孔の内径を1.2mmとし、原料供給孔の深さを10mmとした。
次に、流体研磨により、成形溝と連結する箇所に曲線部を有し、かつ、a/b比がa/b=2.0である連結部を形成した。以上により作製した金型本体と、上記金型本体を押出成形装置の先端に固定するための外枠とを備える押出成形用金型を作製した。
なお、流体研磨の条件は、砥粒材質:SiC、砥粒径:25〜35μm、研磨時間:40時間とした。流体研磨は、研磨剤を原料供給孔へ均等に導入し、成形溝から押し出す作業を繰り返すことにより行った。
続いて、上記押出成形用金型を押出成形装置に取り付けた。炭化ケイ素を主成分とする湿潤混合物(セラミック原料)を押出成形装置内に投入し、70kgf/cm(6.86MPa)の圧力で連続して押出成形を行うことにより、成形体を連続的に作製した。その後、成形体を切断することにより、ハニカム成形体を作製した。
この際、押出成形装置から1分間に押し出される成形体の長さ(押出方向に進んだ距離)を計測し、計測した値を成形速度とした。実施例1における成形速度は、2912mm/minであった。
また、得られたハニカム成形体を目視にて確認したところ、ハニカム成形体に割れ又は変形は発生していなかった。
炭化ケイ素を主成分とする湿潤混合物としては、平均粒子径22μmを有する炭化ケイ素の粗粉末54.6重量%と、平均粒子径0.5μmを有する炭化ケイ素の微粉末23.4重量%とを混合し、得られた混合物に対して、有機バインダ(メチルセルロース)4.3重量%、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)2.6重量%、グリセリン1.2重量%、及び、水13.9重量%を加えて混練した湿潤混合物を用いた。
次いで、マイクロ波乾燥機を用いて上記ハニカム成形体を乾燥させることにより、ハニカム成形体の乾燥体を作製した。その後、ハニカム成形体の乾燥体が有する所定のセルに封止材ペーストを充填してセルの封止を行った。なお、上記湿潤混合物を封止材ペーストとして使用した。セルの封止を行った後、封止材ペーストを充填したハニカム成形体の乾燥体を再び乾燥機を用いて乾燥させた。
続いて、セルの封止を行ったハニカム成形体の乾燥体を400℃で脱脂する脱脂処理を行い、さらに、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成処理を行った。
これにより、ハニカム焼成体を作製した。
実施例1で作製したハニカム焼成体は、気孔率が42%、平均気孔径が9μm、大きさが34.3mm×34.3mm×200mm、セルの数(セル密度)が24×24個/ユニット、セル壁の厚さが0.18mm、外周壁の厚さが0.30mmである。
(実施例2〜3及び比較例1〜2)
押出成形用金型を作製する際、流体研磨の条件(研磨時間)を変更することにより、a/b比の異なる金型本体を作製した。
具体的には、実施例2〜3及び比較例1〜2における研磨時間を、それぞれ48時間、70時間、0時間及び20時間とした。その他の条件は、実施例1と同様である。
実施例2〜3及び比較例1〜2におけるa/b比は、それぞれ、a/b=2.4、3.7、0.5及び1.6である。
次に、それぞれの金型本体を備える押出成形用金型を用いた他は、実施例1と同様に、ハニカム成形体を作製した。また、実施例1と同様に、それぞれの成形速度を計測した。
実施例2〜3及び比較例1〜2における成形速度は、それぞれ、3382mm/min、4912mm/min、1146mm/min及び2441mm/minであった。
また、得られたハニカム成形体を目視にて確認したところ、ハニカム成形体に割れ又は変形は発生していなかった。
その後、実施例1と同様に、ハニカム焼成体を作製した。
実施例2〜3及び比較例1〜2で作製したハニカム焼成体も、実施例1で作製したハニカム焼成体と同様、気孔率が42%、平均気孔径が9μm、大きさが34.3mm×34.3mm×200mm、セルの数(セル密度)が24×24個/ユニット、セル壁の厚さが0.18mm、外周壁の厚さが0.30mmである。
実施例1〜3及び比較例1〜2について、押出成形用金型の金型本体におけるa/b比、及び、成形速度をまとめて表1に示した。
また、実施例1〜3及び比較例1〜2におけるa/b比と成形速度との関係を図9のグラフに示した。
Figure 2013145151
実施例1〜3では、いずれも成形速度が2500mm/min以上と高い値であった。従って、成形速度が大きい場合においても、割れ又は変形を発生させることなくハニカム成形体を作製することができることが判明した。
なお、成形速度が2500mm/min以上であれば、ハニカム構造体の製造効率として充分なレベルであると考えられる。
一方、比較例1〜2では、得られたハニカム成形体に割れ又は変形は発生していなかったものの、成形速度は2500mm/min未満と低い値であった。従って、比較例1〜2では、実施例1〜3と比べて、ハニカム構造体を効率的に製造することができないと考えられる。
また、比較例1〜2における押出成形用金型を用いて成形速度を上昇させようとする場合、成形時の圧力を増加させる必要がある。しかし、成形時の圧力が増加すると、その分、ハニカム成形体に割れ又は変形が発生する可能性は高くなると考えられる。
以上の結果から、2.0≦a/bを満たす部分を含む押出成形用金型を用いてハニカム成形体を作製することにより、成形速度が大きい場合においても、ハニカム成形体に割れ又は変形が発生することを防止することができると考えられる。
(その他の実施形態)
本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法では、複数のハニカム焼成体が接着材層を介して結束されてなるセラミックブロックを作製する方法について説明した。
しかしながら、本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法においては、1つのハニカム焼成体を用いてセラミックブロックを作製してもよい。つまり、1つのハニカム焼成体からなるハニカム構造体を製造してもよい。このような、1つのハニカム焼成体からなるハニカム構造体は、一体型ハニカム構造体ともいう。
一体型ハニカム構造体を製造する場合には、押出成形により成形するハニカム成形体の大きさが、本発明の第一実施形態において説明したハニカム成形体の大きさに比べて大きく、その外形が異なる他は、本発明の第一実施形態と同様にしてハニカム成形体を作製する。
つまり、得られるハニカム成形体の形状に対応する断面形状を有する他は、本発明の第一実施形態に係る押出成形用金型と同様の構成を有する押出成形用金型を用いてハニカム成形体を作製すればよい。
その他の工程は、本発明の第一実施形態で説明したハニカム構造体の製造工程と同様である。ただし、ハニカム構造体が1つのハニカム焼成体からなるため、ハニカム焼成体の集合体を作製する必要はない。また、円柱状のハニカム成形体を作製する場合には、セラミックブロックの外周を切削する必要はない。
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法においては、断面形状が異なる複数種類のハニカム焼成体を作製し、複数種類のハニカム焼成体を組み合わせて、ハニカム焼成体が接着材層を介して複数個結束されてなるセラミックブロックを作製してもよい。これにより、セラミックブロックの外周を切削することを省略することができる。
なお、断面形状の異なるハニカム焼成体は、それぞれ、押出形成用金型の形状を変更することにより作製することができる。この場合にも、得られるハニカム成形体の形状に対応する断面形状を有する他は、本発明の第一実施形態に係る押出成形用金型と同様の構成を有する押出成形用金型を用いてハニカム成形体を作製すればよい。
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において、複数のハニカム焼成体が接着材層を介して結束されてなるセラミックブロックを作製する場合、接着材ペーストを各ハニカム焼成体の側面に塗布する方法以外に、例えば、作製するセラミックブロック(又はハニカム焼成体の集合体)の形状と同形状の型枠内に各ハニカム焼成体を仮固定した状態とし、接着材ペーストを各ハニカム焼成体間に注入する方法等によって行ってもよい。
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において、製造するハニカム構造体の形状は、円柱状に限定されるものでなく、楕円柱状、長円柱状、多角柱状等の任意の柱の形状であればよい。
本発明の実施形態に係る押出成形用金型において、ハニカム成形体が押し出される部分の面積は、900〜1600mm(直径30〜40mm)であることが望ましい。
本発明の実施形態に係る押出成形用金型において、金型本体の原料供給孔の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、セラミック原料を押し出す方向に平行な断面形状が矩形状、テーパー形状、又は、台形状等を挙げることができる。
これらの中では、原料供給孔の形成が容易である点で、断面形状が矩形状であることが望ましい。
同様に、本発明の実施形態に係る押出成形用金型において、金型本体の成形溝の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、セラミック原料を押し出す方向に平行な断面形状が矩形状、又は、テーパー形状等を挙げることができる。
これらの中では、成形溝の形成が容易である点で、断面形状が矩形状であることが望ましい。なお、本発明の実施形態に係る押出成形用金型を構成する金型本体においては、成形溝と連結する箇所に曲線部が設けられているため、成形溝の断面形状が矩形状であっても、原料供給孔から成形溝へセラミック原料を流れやすくすることができる。
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において、製造するハニカム構造体をフィルタとして使用する場合には、ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の気孔率は、特に限定されないが、35〜60%であることが望ましい。
ハニカム焼成体の気孔率が35%未満であると、ハニカム焼成体が目詰まりを起こしやすくなる。一方、ハニカム焼成体の気孔率が60%を超えると、ハニカム焼成体の強度が低下するため、ハニカム焼成体が破壊されやすくなる。
また、本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において、製造するハニカム構造体をフィルタとして使用する場合には、ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の平均気孔径は、5〜30μmであることが望ましい。
ハニカム焼成体の平均気孔径が5μm未満であると、ハニカム焼成体が目詰まりを起こしやすくなる。一方、ハニカム焼成体の平均気孔径が30μmを超えると、パティキュレートがハニカム焼成体の気孔を通り抜けてしまい、ハニカム焼成体がパティキュレートを捕集することができず、ハニカム構造体がフィルタとして機能することができない。
なお、上記気孔率及び気孔径は、従来公知の方法である水銀圧入法により測定することができる。
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において、製造するハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の断面におけるセル密度は、特に限定されないが、望ましい下限は、31.0個/cm(200個/inch)、望ましい上限は、93.0個/cm(600個/inch)、より望ましい下限は、38.8個/cm(250個/inch)、より望ましい上限は、77.5個/cm(500個/inch)である。
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において、製造するハニカム構造体を構成するハニカム焼成体のセル壁の厚さは、特に限定されるものではないが、0.1〜0.4mmであることが望ましい。
セル壁の厚さが0.1mm未満であると、セル壁の厚さが薄くなりすぎるため、ハニカム焼成体の強度を保つことができなくなる。一方、セル壁の厚さが0.4mmを超えると、ハニカム構造体の圧力損失の上昇を引き起こしやすくなる。
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において、製造するハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の外周壁の厚さは、セル壁の厚さと同一であってもよいし、セル壁の厚さよりも厚くてもよいが、ハニカム焼成体の強度の観点から、セル壁の厚さよりも厚いことが望ましい。
ハニカム焼成体の外周壁の厚さが、セル壁の厚さよりも厚い場合、外周壁の厚さは、セル壁の厚さの1.3〜3.0倍であることが望ましい。
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において、製造するハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の各セルのハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円形、楕円形、四角形、五角形、六角形、台形、八角形等の任意の形状であればよい。また、種々の形状を混在させてもよい。
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法に用いられるセラミック粉末の粒径は特に限定されないが、後の焼成工程で収縮の少ないものが好ましく、例えば、3〜70μm程度の平均粒径を有する粉末100重量部と0.1〜1.0μmの平均粒径を有する粉末5〜65重量部とを組み合わせたものが好ましい。
また、上記セラミック粉末は酸化処理が施されたものであってもよい。
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法に用いられる湿潤混合物に含まれる有機バインダとしては、特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの中では、メチルセルロースが望ましい。有機バインダの配合量は、通常、上記セラミック粉末100重量部に対して、1〜10重量部が望ましい。
上記湿潤混合物に含まれる可塑剤としては、特に限定されず、例えば、グリセリン等が挙げられる。
また、上記湿潤混合物に含まれる潤滑剤としては、特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物等が挙げられる。
潤滑剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等が挙げられる。
なお、可塑剤、潤滑剤は、場合によっては、上記湿潤混合物に含まれていなくてもよい。
また、上記湿潤混合物を調製する際には、分散媒液を使用してもよく、分散媒液としては、例えば、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられる。
さらに、上記湿潤混合物中には、成形助剤が添加されていてもよい。
成形助剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられる。
さらに、上記湿潤混合物には、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。これらの中では、アルミナバルーンが望ましい。
上記接着材ペースト及び上記外周コート材ペーストに含まれる無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機バインダの中では、シリカゾルが望ましい。
上記接着材ペースト及び上記外周コート材ペーストに含まれる有機バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。有機バインダの中では、カルボキシメチルセルロースが望ましい。
上記接着材ペースト及び上記外周コート材ペーストに含まれる無機粒子としては、例えば、炭化物粒子、窒化物粒子等が挙げられる。具体的には、炭化ケイ素粒子、窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機粒子の中では、熱伝導性に優れる炭化ケイ素粒子が望ましい。
上記接着材ペースト及び上記外周コート材ペーストに含まれる無機繊維及び/又はウィスカとしては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等からなる無機繊維及び/又はウィスカ等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機繊維の中では、アルミナ繊維が望ましい。また、無機繊維は、生体溶解性繊維であってもよい。
さらに、上記接着材ペースト及び上記外周コート材ペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーン、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。これらの中では、アルミナバルーンが好ましい。
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において、製造するハニカム構造体を構成するハニカム焼成体のセル壁には、排ガスを浄化するための触媒を担持させてもよい。担持させる触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が望ましい。また、その他の触媒として、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属、ゼオライト等を用いることもできる。これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
本発明のハニカム構造体の製造方法においては、連結部が、成形溝と連結する箇所に設けられた曲線部と、曲線部から原料供給孔へ向かう直線部とを含み、かつ、2.0≦a/bを満たす部分を含む押出成形用金型を用いてセラミック原料を押出成形することを必須の構成要素としている。また、本発明の押出成形用金型においても、連結部が、成形溝と連結する箇所に設けられた曲線部と、曲線部から原料供給孔へ向かう直線部とを含み、かつ、2.0≦a/bを満たす部分を含むことを必須の構成要素としている。
係る必須の構成要素に、本発明の第一実施形態、及び、その他の実施形態で詳述した種々の構成(例えば、押出成形用金型を構成する金型本体の形状、得られるハニカム成形体の形状、ハニカム構造体の製造工程等)を適宜組み合わせることにより所望の効果を得ることができる。
10 金型本体
11 原料供給孔
12 成形溝
13 連結部
13a 曲線部
13b 直線部
30 ハニカム成形体
31、41 セル
32、42 セル壁
33、43 外周壁
40 ハニカム焼成体
50 ハニカム構造体
53 セラミックブロック
100 押出成形用金型
A 金型本体の原料導入側面
B 金型本体の成形体押出側面
a セラミック原料を押し出す方向に平行な方向における連結部の長さ
x セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、連結部と連結する箇所の原料供給孔の幅
y セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、ハニカム成形体のセル壁又は外周壁の厚さに対応する成形溝の幅

Claims (17)

  1. 押出成形用金型を用いてセラミック原料を押出成形することにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、周囲に外周壁が形成されたハニカム成形体を作製する工程と、
    前記ハニカム成形体を焼成することにより、ハニカム焼成体を作製する工程と、
    少なくとも1つのハニカム焼成体を用いてセラミックブロックを作製する工程とを含むハニカム構造体の製造方法であって、
    前記押出成形用金型は、原料導入側面及び成形体押出側面を有する金型本体を備え、
    前記金型本体の前記原料導入側面には、前記セラミック原料を供給するための原料供給孔が形成されており、
    前記金型本体の前記成形体押出側面には、前記セラミック原料を前記ハニカム成形体の形状に成形するための成形溝が形成されており、
    前記原料供給孔及び前記成形溝の間には、前記原料供給孔及び前記成形溝を連通する連結部が形成されており、
    前記セラミック原料を押し出す方向に平行な断面において、前記連結部は、前記成形溝と連結する箇所に設けられた曲線部と、前記曲線部から前記原料供給孔へ向かう直線部とを含み、かつ、
    前記セラミック原料を押し出す方向に平行な方向における前記連結部の長さをa、前記セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、前記連結部と連結する箇所の前記原料供給孔の幅をx、前記セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、前記ハニカム成形体のセル壁又は外周壁の厚さに対応する前記成形溝の幅をyとし、b=(x−y)/2としたとき、2.0≦a/bを満たす部分を含む押出成形用金型であることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  2. 前記押出成形用金型において、前記2.0≦a/bを満たす部分は、前記金型本体の50%以上の領域である請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
  3. 前記押出成形用金型において、前記2.0≦a/bを満たす部分は、前記金型本体のセラミック原料を押し出す方向に垂直な断面の中心から該断面の外周までの1/2の領域を含む請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
  4. 前記押出成形用金型において、前記2.0≦a/bを満たす部分は、2.0≦a/b≦4.0を満たす請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  5. 前記押出成形用金型において、前記ハニカム成形体のセル壁の厚さに対応する前記成形溝の幅は、0.1〜0.2mmである請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  6. 前記押出成形用金型において、前記ハニカム成形体の外周壁の厚さに対応する前記成形溝の幅は、0.2〜0.5mmである請求項1〜5のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  7. 前記押出成形用金型において、前記曲線部は、流体研磨により形成されている請求項1〜6のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  8. 前記ハニカム成形体の構成材料の主成分は、炭化ケイ素である請求項1〜7のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  9. 前記セラミックブロックを作製する工程では、接着材ペーストを介して前記ハニカム焼成体を複数個結束する請求項1〜8のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  10. セラミック原料を押出成形することにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、周囲に外周壁が形成されたハニカム成形体を作製するために用いられる押出成形用金型であって、
    前記押出成形用金型は、原料導入側面及び成形体押出側面を有する金型本体を備え、
    前記金型本体の前記原料導入側面には、前記セラミック原料を供給するための原料供給孔が形成されており、
    前記金型本体の前記成形体押出側面には、前記セラミック原料を前記ハニカム成形体の形状に成形するための成形溝が形成されており、
    前記原料供給孔及び前記成形溝の間には、前記原料供給孔及び前記成形溝を連通する連結部が形成されており、
    前記セラミック原料を押し出す方向に平行な断面において、前記連結部は、前記成形溝と連結する箇所に設けられた曲線部と、前記曲線部から前記原料供給孔へ向かう直線部とを含み、かつ、
    前記セラミック原料を押し出す方向に平行な方向における前記連結部の長さをa、前記セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、前記連結部と連結する箇所の前記原料供給孔の幅をx、前記セラミック原料を押し出す方向に垂直な方向における、前記ハニカム成形体のセル壁又は外周壁の厚さに対応する前記成形溝の幅をyとし、b=(x−y)/2としたとき、2.0≦a/bを満たす部分を含むことを特徴とする押出成形用金型。
  11. 前記2.0≦a/bを満たす部分は、前記金型本体の50%以上の領域である請求項10に記載の押出成形用金型。
  12. 前記2.0≦a/bを満たす部分は、前記金型本体のセラミック原料を押し出す方向に垂直な断面の中心から該断面の外周までの1/2の領域を含む請求項10又は11に記載の押出成形用金型。
  13. 前記2.0≦a/bを満たす部分は、2.0≦a/b≦4.0を満たす請求項10〜12のいずれかに記載の押出成形用金型。
  14. 前記ハニカム成形体のセル壁の厚さに対応する前記成形溝の幅は、0.1〜0.2mmである請求項10〜13のいずれかに記載の押出成形用金型。
  15. 前記ハニカム成形体の外周壁の厚さに対応する前記成形溝の幅は、0.2〜0.5mmである請求項10〜14のいずれかに記載の押出成形用金型。
  16. 前記曲線部は、流体研磨により形成されている請求項10〜15のいずれかに記載の押出成形用金型。
  17. 前記ハニカム成形体の構成材料の主成分は、炭化ケイ素である請求項10〜16のいずれかに記載の押出成形用金型。
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