JPWO2013081087A1 - 光学活性化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

低光学純度のtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸から、溶媒中で光学的に不活性な酸との塩の結晶を晶析させ、これを分取する工程を含む、高い光学純度を有するtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸を製造する方法。

Description

本発明は、医薬の有効成分等として有用なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の光学活性体の製造方法に関する。
trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸は、強力なコレステロールエステル転送タンパク(CETP)阻害活性を有しており、脂質異常症などの疾患の治療や予防のための医薬の有効成分として有用な化合物であることが知られている(特許文献1)。
本化合物においてはメチル基が結合するベンジル位の炭素原子が不斉炭素となることから、この不斉炭素に関して2種類のエナンチオマーが存在することとなるが、特許文献1 実施例45には、下記構造式で示されるラセミ体のみが開示されており、そのエナンチオマーは未だ提供されていない。
Figure 2013081087
一般的に、エナンチオマーの間では薬理作用が異なる場合があり得ることから、上記のエナンチオマーについても異なるCETP阻害活性を有する可能性があり、また、他に有用な薬理作用を有する可能性もあり得ることから、当該エナンチオマーをそれぞれ分取することは、有用性の高い医薬の有効成分を得るうえで極めて重要である。
なお、一般的に、ラセミ体を合成した後にキラルカラムにより光学分割して光学的に純粋な化合物を分離することができる場合があることが知られている。しかしながら、キラルカラムを用いる光学分割法はスケールアップ製造に向けての分割条件の設定が非常に困難であり、さらに工業的な大量スケールでの製造には不向きであるという問題があることから、反応的にエナンチオマーを作り分ける方法の開発が望まれる。
また、一般的に、カルボン酸化合物やアミン化合物については、それぞれ光学活性な塩基や光学活性な酸との塩を形成させた後、ジアステレオマー塩の分別再結晶を経て光学分割できる場合があることが知られている。
しかしながら、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸についてはこれまでに有効な光学分割法は全く報告されていない。さらに、光学的に純粋な中間体化合物を用いた製造方法も知られていない。
国際公開第2008/129951号パンフレット
本発明の課題は、高い光学純度を有するtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の各種エナンチオマーを簡便に製造する方法を提供することにある。より具体的には、高い光学純度を有する、下記式(I)
Figure 2013081087
で表される(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(以下、本明細書において、「(S)体化合物(I)」とも称する。)、又は下記式(II)
Figure 2013081087
で表される(R)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(以下、本明細書において、「(R)体化合物(II)」とも称する。)を簡便に製造する方法を提供することにある。
上記特許文献1には、ラセミ体につき、下記のスキーム1に示す方法に従って、中間体化合物(a)とラセミ体のベンジルブロミド(b)とを塩基存在下にてカップリングさせ、得られた化合物(c)のエステル基を加水分解して化合物(d)とし、最後に硫黄原子を酸化する方法によって合成することができる旨開示されている。
スキーム1
Figure 2013081087
そこで、本発明者らは高い光学純度を有する(S)体化合物(I)又は(R)体化合物(II)を製造することを目的として、上記スキーム1を参考に、ラセミ体のベンジルブロミド(b)の代わりに光学活性な1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−1−メタンスルホニルオキシエタンを用いて反応を行ったが、メタンスルホニル基のβ脱離反応が優先し、目的とする高光学純度の(S)体化合物(I)又は(R)体化合物(II)を得ることができなかった。
また、メタンスルホニル基の代わりにトルエンスルホニル基、クロロメタンスルホニル基、又は2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル基等の脱離基を有する光学活性ベンジル化剤を用いて検討を行ったが、1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−1−メタンスルホニルオキシエタンの場合と同様に、目的とする高光学純度の(S)体化合物(I)又は(R)体化合物(II)を得ることはできなかった。
また、上記スキーム1に示す通り、これまで、ベンジルブロミド(b)を用いた場合に、中間体化合物(a)の窒素原子への1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル基の導入が達成されていることから、ラセミ体のベンジルブロミド(b)の代わりに光学活性なベンジルブロミドを用いることにより高光学純度の(S)体化合物(I)又は(R)体化合物(II)を得ることも考えられる。
しかしながら、一般的に臭化物イオンが脱離する求核置換反応では、反応により生じた臭化物イオンが反応系中でベンジルブロミドと反応し、部分的にラセミ化が進行することが知られている。また、一般的にベンジル位での求核置換反応は、ベンジルカチオンの安定化によりSN1型の置換反応も競合するため、部分的にラセミ化が起こることが知られている。
そして、実際に本発明者らが上記スキーム1に従ってラセミ体のベンジルブロミド(b)の代わりに光学活性なベンジルブロミドを用いて反応を行ったところ、予想通り部分的にラセミ化が生じ、得られた化合物の光学純度が、原料として用いた光学活性ベンジルブロミドの光学純度と比較して低下することが判明した。
斯かる状況下において、本発明者らは、部分的なラセミ化により光学純度が低下した化合物(本明細書において、当該部分的なラセミ化により光学純度が低下した化合物を「部分ラセミ化体」と表現する場合がある。当該「部分ラセミ化体」の光学純度は、部分的にラセミ化が生ずる反応に供される光学活性な反応原料(例えば、光学活性ベンジルハライド)の光学純度と比較して相対的に低い光学純度であればその絶対値は特に限定されないが、具体的には例えば95%ee以下、好適には10〜95%ee、より好適には30〜94.5%ee、特に好適には50〜94%eeの光学純度を意味する。さらに、当該「部分ラセミ化体」において、下記の部分構造
Figure 2013081087
において*印で示される不斉炭素原子がS配置のエナンチオマーが、R配置のエナンチオマーよりも過剰量存在する場合を特に「(S)体優位の部分ラセミ化体」と称する。また、当該「部分ラセミ化体」において、*印で示される不斉炭素原子がR配置のエナンチオマーが、S配置のエナンチオマーよりも過剰量存在する場合を特に「(R)体優位の部分ラセミ化体」と称する。)のうち、下記式(III)
Figure 2013081087
で表されるtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の部分ラセミ化体につき、溶媒中で塩酸塩とし、次いで当該塩酸塩を結晶化することにより、部分ラセミ化体中に過剰量存在する一方のエナンチオマーを優先的に結晶化することができ、得られた結晶を分取することにより光学純度が顕著に向上したtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸を得ることができ、これを中間体として用いることにより、高光学純度の(S)体化合物(I)又は(R)体化合物(II)を得られることを見出した。
上記の通り、ラセミ体あるいは低い光学純度のカルボン酸化合物やアミン化合物につき、光学活性な塩基や光学活性な酸との塩を形成させた後に結晶化することで光学分割できる場合があることは一般的に知られているが、塩化水素等の光学的に不活性な酸を用いて物質の光学純度を高める方法は、当業者において全く予測できないことである。
すなわち、本発明は、具体的には例えば以下の[1]〜[13]に記載の発明に関する。
[1]結晶化後と比較して相対的に低光学純度の、下記式(III)
Figure 2013081087
で表されるtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(好適には、光学純度が95%ee以下、より好適には30〜94.5%ee、特に好適には50〜94%eeの当該化合物)から、溶媒中、光学的に不活性な酸の存在下で、下記式(IV)又は(IV´)
Figure 2013081087
(式中、HAは光学的に不活性な酸を示す。)
で表される光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(好適には、光学純度が97%ee以上、より好適には97.5〜100%ee、さらに好適には98〜100%ee、特に好適には99〜100%eeの当該化合物)と光学的に不活性な酸との塩の結晶を晶析させ、これを分取する工程を含む、光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法。
上記方法[1]において、結晶化後と比較して相対的に低光学純度のtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸が、S配置のエナンチオマーを過剰量含む場合(例えば、(S)体優位の部分ラセミ化体である場合)には、上記式(IV)で表される塩の結晶を得ることができ、最終的に(S)体化合物(I)を製造することができる。
一方、結晶化後と比較して相対的に低光学純度のtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸が、R配置のエナンチオマーを過剰量含む場合(例えば、(R)体優位の部分ラセミ化体である場合)には、上記式(IV´)で表される塩の結晶を得ることができ、最終的に(R)体化合物(II)を製造することができる。
[2]下記の一般式(V)
Figure 2013081087
(式中、RはC1−6アルキル基を示す)
で表される化合物の部分ラセミ化体を、溶媒中で、塩基の存在下に加水分解して、結晶化後と比較して相対的に低光学純度のtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸を製造する工程をさらに含む、上記[1]記載の方法。
[3]下記の一般式(VI)又は(VI´)
Figure 2013081087
(式中、Xはハロゲン原子を示す)
で表される光学活性ベンジルハライドと、下記の一般式(VII)
Figure 2013081087
(式中、Rは一般式(V)におけるものと同義である。)
で表される化合物とを、溶媒中で、塩基の存在下に反応させて、一般式(V)で表される化合物の部分ラセミ化体を製造する工程をさらに含む、上記[2]記載の方法。
[4]光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンと、上記一般式(VII)で表される化合物とを、溶媒中で、塩基の存在下、15℃以下(好適には0℃以下、より好適には−20℃以下、さらに好適には−40℃以下、さらに好適には−50℃以下、さらにより好適には−78〜−50℃、特に好適には−65〜−50℃)の温度条件で反応させるものである、上記[3]記載の方法。
[5]結晶化後と比較して相対的に低光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(好適には、光学純度が95%ee以下、より好適には30〜94.5%ee、特に好適には50〜94%eeの当該化合物)から、溶媒中、光学的に不活性な酸の存在下で、光学活性な(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(好適には、光学純度が97%ee以上、より好適には97.5〜100%ee、さらに好適には98〜100%ee、特に好適には99〜100%eeの当該化合物)と光学的に不活性な酸との塩の結晶を晶析させ、これを分取する工程を含む、光学活性な(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法。
[6]上記一般式(V)で表される化合物の(S)体優位の部分ラセミ化体を、溶媒中で、塩基の存在下に加水分解して、結晶化後と比較して相対的に低光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸を製造する工程をさらに含む、上記[5]記載の方法。
[7]上記一般式(VI)で表される光学活性ベンジルハライドと、上記一般式(VII)で表される化合物とを、溶媒中で、塩基の存在下に反応させて、一般式(V)で表される化合物の(S)体優位の部分ラセミ化体を製造する工程をさらに含む、上記[6]記載の方法。
[8]光学活性(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンと、上記一般式(VII)で表される化合物とを、溶媒中で、塩基の存在下、15℃以下(好適には0℃以下、より好適には−20℃以下、さらに好適には−40℃以下、さらに好適には−50℃以下、さらにより好適には−78〜−50℃、特に好適には−65〜−50℃)の温度条件で反応させるものである、上記[7]記載の方法。
[9]光学的に不活性な酸が、無機酸(より好適にはハロゲン化水素、特に好適には塩化水素)である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10]光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(好適には、光学純度が97%ee以上、より好適には97.5〜100%ee、さらに好適には98〜100%ee、特に好適には99〜100%eeの当該化合物)と、光学的に不活性な酸からなる塩の結晶(好適には無機酸塩の結晶、より好適にはハロゲン化水素塩の結晶、特に好適には塩酸塩の結晶)。
[11]光学活性な(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(好適には、光学純度が97%ee以上、より好適には97.5〜100%ee、さらに好適には98〜100%ee、特に好適には99〜100%eeの当該化合物)と、光学的に不活性な酸からなる塩の結晶(好適には無機酸塩の結晶、より好適にはハロゲン化水素塩の結晶、特に好適には塩酸塩の結晶)。
[12]光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(好適には、光学純度が97%ee以上、より好適には97.5〜100%ee、さらに好適には98〜100%ee、特に好適には99〜100%eeの当該化合物)、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[13]光学活性な(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(好適には、光学純度が97%ee以上、より好適には97.5〜100%ee、さらに好適には98〜100%ee、特に好適には99〜100%eeの当該化合物)、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
本発明の方法によれば、医薬の有効成分等として有用な(S)体化合物(I)又は(R)体化合物(II)を高い光学純度で、かつ簡便に製造することができる。
本発明の方法は、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸のうちS配置又はR配置のいずれか一方のエナンチオマーが他方のエナンチオマーと比較して過剰量存在する結果、光学活性を有する場合において、溶媒中、光学的に不活性な酸の存在下で当該過剰量存在する一方のエナンチオマーを優先的に結晶化し、得られる光学純度の向上した結晶を分取することによって光学純度を向上させる工程を含むことを一つの特徴とする。
従って、「結晶化後と比較して相対的に低光学純度のtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸」は、光学活性を有し、かつ、結晶化後に得られる光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸と比較して相対的に低い光学純度を有していれば、光学純度の絶対値は特に限定されないが、本発明においては、95%ee以下が好ましく、30〜94.5%eeがより好ましく、50〜94%eeが特に好ましい。
また、結晶化後に得られる「光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸」は、結晶化前と比較して相対的に高い光学純度を有していれば、光学純度の絶対値は特に限定されないが、本発明においては、97%ee以上が好ましく、97.5〜100%eeがより好ましく、98〜100%eeがさらにより好ましく、99〜100%eeが特に好ましい。
本発明において、「光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物」の光学純度は特に限定されないが、97%ee以上が好ましく、97.5〜100%eeがより好ましく、98〜100%eeがさらにより好ましく、99〜100%eeが特に好ましい。
また、本発明において、「光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物」としては、「光学活性な(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物」が好ましい。高光学純度の(S)体化合物(I)は、優れたCETP阻害活性を有し、また、後述する実施例3に記載の通り、優れた血中LDLコレステロール低下作用を有することが確認された。従って、本発明の方法により得られる高光学純度の(S)体化合物(I)は、例えば血中LDLコレステロールを低下させるための医薬(より具体的には、高LDL血症、脂質異常症(高脂血症)、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、心臓血管障害、狭心症、虚血、心虚血、血栓症、心筋梗塞、再灌流障害、血管形成性再狭窄、又は高血圧等の疾患の予防及び/又は治療のための医薬)の有効成分等として好適に利用できる。
本発明において、「C1−6アルキル基」としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、又はイソヘキシル基等の、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。本発明において、C1−6アルキル基としては、エチル基が好ましい。また、本発明において、「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。本発明において、ハロゲン原子としては、臭素原子が好ましい。
本発明において、各化合物(例えば、(S)体化合物(I)、(R)体化合物(II)、光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸など)の塩としては、酸付加塩又は塩基付加塩が挙げられ、医薬として許容される塩であれば特に限定されない。具体的には例えば、酸付加塩であれば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩のような無機酸との酸付加塩;安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等の有機酸との酸付加塩が挙げられる。また、塩基付加塩であればナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金属との塩基付加塩;アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、コリジン、ルチジン等のアミン塩;リシン、アルギニン等の有機塩基との塩基付加塩等が挙げられる。
本発明において、各化合物(例えば、(S)体化合物(I)、(R)体化合物(II)、光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸など)又はその塩の溶媒和物を形成する溶媒としては、水のほか、生理学的に許容される有機溶媒、例えばエタノール、ヘキサン、酢酸エチルなどを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
本発明の、光学活性な(S)体化合物(I)の製造方法の一例を下記のスキーム2に、光学活性な(R)体化合物(II)の製造方法の一例を下記のスキーム3にそれぞれ示す(下記スキーム中、HAは光学的に不活性な酸を示し、RはC1−6アルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。)。
以下、本発明の方法を下記スキームに記載の各工程に従って詳細に説明する。
スキーム2
Figure 2013081087
スキーム3
Figure 2013081087
<工程A>
本工程はアミン(VII)を塩基存在下、光学活性ベンジルハライド(VI)又は(VI´)と反応させ、部分ラセミ化体(V)を製造する工程である。光学活性ベンジルハライド(VI)又は(VI´)の量は、特に制限は無いが、アミン(VII)に対して1.0〜3.0モル当量、好ましくは1.5〜2.5モル当量用いればよい。
なお、アミン(VII)は公知の化合物であり、その製造方法は、例えば特許文献1に記載されている。
本反応は溶媒中、塩基の存在下により行うことができる。溶媒としては、特に制限は無いが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、トルエン等を単独又は組み合わせて使用することができる。溶媒としては、好ましくはN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン及びそれらの混合溶媒を挙げることができる。溶媒の量は、特に制限は無いが、アミン(VII)に対して2〜30倍量(V/W)、好ましくは10〜25倍量(V/W)、より好ましくは12〜20倍量(V/W)を用いればよい。
塩基としては、特に制限は無いが、例えば、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属類;金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム等のアルカリ金属類;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属類;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類;リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムジイソプロピルアミド、カリウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド等のアルカリ金属アミド類;t−ブトキシナトリウム、t−ブトキシカリウム、t−ペントキシナトリウム、t−ペントキシカリウム等のアルコキシアルカリ金属類;n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等の有機リチウム類を使用することができる。塩基としては、好ましくはアルコキシアルカリ金属類を、より好ましくはt−ペントキシナトリウムを挙げることができる。塩基の量は、特に制限は無いが、アミン(VII)に対して1.0〜5.0モル当量、好ましくは1.5〜3.0モル当量用いればよい。
反応温度は、特に制限は無いが、通常100℃以下の範囲で行えばよく、好ましくは−78〜0℃、より好ましくは−78〜−20℃、特に好ましくは−65〜−50℃である。反応時間は、特に制限は無いが、通常5分〜48時間、好ましくは30分〜24時間、より好ましくは3〜10時間である。
本反応では、光学純度が90%ee以上、好適には93〜100%ee、特に好適には96〜100%eeの、実質的に光学的に純粋なベンジルハライド(VI)又は(VI´)を用いることが好ましい。このような高光学純度の光学活性ベンジルハライド(VI)又は(VI´)を反応原料として用いることにより、部分的にラセミ化が進行して、例えば95%ee程度以下、好適には10〜95%ee、より好適には30〜94.5%ee、特に好適には50〜94%eeの光学純度を有する部分ラセミ化体(V)が得られる。この部分ラセミ化体(V)を次工程にそのまま用いることができる。工程Bにおいて光学純度は実質的に維持され、部分ラセミ化体(V)と同程度の光学純度を有する部分ラセミ化体(III)が得られる。
本工程において、特に光学活性ベンジルハライド(VI)又は(VI´)として光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを使用する場合においては、その反応温度は低く設定すること(具体的には15℃以下、好適には0℃以下、より好適には−20℃以下、さらに好適には−40℃以下、さらに好適には−50℃以下、さらにより好適には−78〜−50℃、特に好適には−65〜−50℃)が好ましい。実施例2に記載の通り、本発明者らは、当該条件を採用することにより、本工程により生じる部分ラセミ化が顕著に抑制されることを別途見出した。係る工程での部分ラセミ化が抑制できれば、後述する工程Cにおいて排除されることとなる不要なエナンチオマーの量が減り、製造方法の経済効率が格段に向上するため好ましい。
従って、別の観点から、本発明は、以下の[14]〜[15]に記載の発明に関する。
[14]光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンと、上記一般式(VII)で表される化合物とを、溶媒中で、塩基の存在下、15℃以下(好適には0℃以下、より好適には−20℃以下、さらに好適には−40℃以下、さらに好適には−50℃以下、さらにより好適には−78〜−50℃、特に好適には−65〜−50℃)の温度条件で反応させて、上記一般式(V)で表される化合物の部分ラセミ化体を製造する工程を含む、光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法。
[15]光学活性(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンと、上記一般式(VII)で表される化合物とを、溶媒中で、塩基の存在下、15℃以下(好適には0℃以下、より好適には−20℃以下、さらに好適には−40℃以下、さらに好適には−50℃以下、さらにより好適には−78〜−50℃、特に好適には−65〜−50℃)の温度条件で反応させて、上記一般式(V)で表される化合物の(S)体優位の部分ラセミ化体を製造する工程を含む、光学活性な(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法。
<工程B>
本工程は部分ラセミ化体(V)を加水分解し、部分ラセミ化体(III)を製造する工程である。
本反応は溶媒中で塩基の存在下により行うことができる。溶媒としては、特に制限は無いが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール等のアルコール類やアセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジオキサン及び水等を単独又は組み合わせて使用することができる。溶媒としては、好ましくはアルコール類と水の組合わせ、より好ましくはエタノールと水の組合せを挙げることができる。溶媒の量は、特に制限は無いが、部分ラセミ化体(V)に対して2〜100倍量(V/W)、好ましくは4〜20倍量(V/W)、より好ましくは5〜15倍量(V/W)を用いればよい。
塩基としては、特に制限は無いが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属類;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類;水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(Triton B)等の水酸化四級アンモニウム等を使用することができる。塩基としては、好ましくは水酸化アルカリ金属類、より好ましくは水酸化ナトリウムを挙げることができる。塩基の量は、特に制限は無いが、部分ラセミ化体(V)に対して1.0〜10.0モル当量、好ましくは2.0〜5.0モル当量用いればよい。
反応温度は、特に制限は無いが、通常0〜100℃の範囲で行えばよく、好ましくは30〜80℃、より好ましくは40〜60℃である。反応時間は、特に制限は無いが、通常5分〜48時間が好ましく、より好ましくは30分〜12時間、特に好ましくは2〜8時間である。
<工程C>
本工程は、部分ラセミ化体(III)と光学的に不活性な酸(HA)により塩を形成し、さらに得られた塩を結晶化することによって部分ラセミ化体(III)において過剰量存在する一方のエナンチオマーを優先的に結晶化させ、得られた結晶を回収することにより光学純度が結晶化前と比較して向上したエナンチオマー(IV)又は(IV´)を製造する工程である。
なお、本工程においては、塩の形成と塩の結晶化を同一溶媒中で連続的に行ってもよいが、形成した塩を一度単離した後、単離した塩を溶媒に溶解して結晶化を行ってもよい。さらに、本工程を複数回繰り返すことによって光学純度をさらに向上させることも可能である。
本発明において、「光学的に不活性な酸」としては、光学的に不活性なものであれば特に制限はないが、具体的には例えば、ハロゲン化水素(具体的には例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素など)、硫酸、リン酸、硝酸、過塩素酸等の無機酸;酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸を使用することができる。
本発明において、「光学的に不活性な酸」としては、無機酸が好ましく、ハロゲン化水素がより好ましく、塩化水素及び臭化水素から選ばれるハロゲン化水素がさらに好ましく、塩化水素が特に好ましい。
光学的に不活性な酸(HA)の量は、特に制限は無いが、部分ラセミ化体(III)に対して、1.0〜3.0モル当量が好ましく、1.0〜2.0モル当量がより好ましく、1.0〜1.2モル当量が特に好ましい。
本工程は溶媒の存在下で行う。溶媒としては、反応に関与しない溶媒であれば特に制限は無いが、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等の酢酸エステル類;1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、t−ブタノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類を使用することができる。
溶媒としては、酢酸エステル類が好ましく、酢酸エチルが特に好ましい。なお、塩を一度単離する場合においては、塩を形成して単離させる際に、溶媒中にさらにn−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン等の脂肪族炭化水素類を添加して塩の溶解度を低下させてもよい。
溶媒の量は、特に制限は無いが、部分ラセミ化体(III)に対して、5〜100倍量(V/W)、好ましくは10〜20倍量(V/W)を用いればよい。
塩形成及び結晶化の温度は、特に制限は無いが、通常0〜100℃の範囲で行えばよく、好ましくは0〜80℃、より好ましくは0〜40℃である。塩形成に要する時間は、特に制限は無いが、通常5分〜10時間、好ましくは5分〜8時間、特に好ましくは5分〜6時間である。また、結晶化に要する時間は、特に制限は無いが、通常5分〜48時間、より好ましくは5分〜36時間、特に好ましくは5分〜30時間である。
本工程は、別途調製した種晶の存在下で行ってもよい。ここで用いる種晶は、上記した方法により製造することができる。再結晶を数回繰り返すことで、得られるエナンチオマー(IV)又は(IV´)の光学純度をさらに向上させることができる。
なお、工程Cによって得られる、光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸と、光学的に不活性な酸からなる塩の結晶や、当該結晶をさらに溶媒に溶解させ、汎用の方法により精製して得られる光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、本発明に係る(S)体化合物(I)又は(R)体化合物(II)の製造中間体として有用であるほか、そのもの自体を医薬の有効成分として利用することも可能である。すなわち、特許文献1 実施例44として、ラセミ体のtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸が開示されており、係る化合物もCETP阻害活性を有し、脂質異常症などの疾患の治療や予防のための医薬の有効成分として有用であることが記載されている。
<工程D>
本工程は、工程Cで得られた結晶を溶媒に溶解ないし懸濁させた後、溶媒存在下にてエナンチオマー(IV)又は(IV´)の硫黄原子を酸化することにより、高光学純度の(S)体化合物(I)又は(R)体化合物(II)を製造する工程である。
酸化方法としては硫黄原子をスルホニル基へと変換する通常の方法を適用することができる。酸化剤としては、例えば、触媒量のタングステン酸ナトリウム、二塩化二酸化モリブデンあるいは五塩化タンタルを用いた過酸化水素水による酸化反応や、過ホウ素酸ナトリウム、Oxone(登録商標)、過ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸カリウム、メタクロロ過安息香酸(mCPBA)、ピリジニウムクロロクロメート(PCC)、ピリジニウムジクロメート(PDC)、N−クロロコハク酸イミド(NCS)、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)、N−ヨードコハク酸イミド(NIS)、ヨウ素、臭素等を使用することができる。酸化方法としては、タングステン酸ナトリウムと過酸化水素水の組み合わせを用いた酸化反応によるのが好ましい。なお、当該酸化反応は、硫酸等の強酸の存在下で行うのがより好ましい。
酸化剤の量は、特に制限は無いが、エナンチオマー(IV)又は(IV´)に対して2.0〜10.0モル当量、好ましくは4.0〜6.0モル当量を用いればよい。
特に、酸化剤としてタングステン酸ナトリウムと過酸化水素水の組み合わせを用いる場合においては、タングステン酸ナトリウムの量は、特に制限は無いが、エナンチオマー(IV)又は(IV´)に対して0.001〜1.0モル当量、好ましくは0.05〜0.5モル当量を用いればよい。また、過酸化水素水の量は、特に制限は無いが、エナンチオマー(IV)又は(IV´)に対して1.0〜10.0モル当量、好ましくは4.0〜6.0モル当量を用いればよい。
溶媒としては、特に制限は無いが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノールなどのアルコール類;アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸及び水等が挙げられる。溶媒としては、好ましくはアルコール類、より好ましくは2−プロパノールを挙げることができる。
溶媒の量は、特に制限は無いが、エナンチオマー(IV)又は(IV´)に対して、5〜50倍量(V/W)、好ましくは5〜20倍量(V/W)を用いればよい。
反応温度は、特に制限は無いが、通常0〜100℃の範囲で行えばよく、好ましくは10〜60℃、より好ましくは10〜30℃である。反応時間は、特に制限は無いが、通常5分〜48時間が好ましく、より好ましくは30分〜24時間、特に好ましくは4〜16時間である。
なお、工程Aで用いる光学活性ベンジルハライド(VI)又は(VI´)は、例えば下記に示す方法で合成することができる。
スキーム4
Figure 2013081087
本反応は、光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(VIII)又は(VIII´)をハロゲン化剤の存在下でハロゲン化し、光学純度をほとんど低下させることなく高効率的に光学活性ベンジルハライド(VI)又は(VI´)を製造する工程である。
本反応に使用するハロゲン化剤としては、例えば、塩化チオニル、三塩化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン等の塩素化剤;三臭化リン、三臭化リンと臭化水素 (30%酢酸溶液)、三臭化リンとピリジン、N−ブロモコハク酸イミドとメチルスルフィド、N−ブロモコハク酸イミドとトリフェニルホスフィン、1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタンとトリフェニルホスフィン、ブロモジメチルスルホニウムブロミド、ピリジニウムブロミドペルブロミドとヘキサメチルジシラン、臭素とトリフェニルホスフィン、臭素とトリブチルホスフィン、臭素とメチルスルフィド、臭化亜鉛とトリフェニルホスフィン及びアゾジカルボン酸ジメチル、臭素化リチウムとクロロトリメチルシラン、臭素化リチウムと無水トリフルオロ酢酸、ブロモトリメチルシラン、四臭化炭素とトリフェニルホスフィン、臭素化チオニル等の臭素化剤;ヨウ化水素、ヨウ化カリウムとリン酸等のヨウ素化剤が挙げられる。ハロゲン化剤が臭素化剤の場合、好ましくは三臭化リンと臭化水素 (30%酢酸溶液)、1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタンとトリフェニルホスフィン、N−ブロモコハク酸イミドとメチルスルフィドである。
以下に、ハロゲン化剤として三臭化リンと臭化水素を用いる場合、1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタンとトリフェニルホスフィンを用いる場合、及びN−ブロモコハク酸イミドとメチルスルフィドを用いる場合について特に具体的に説明する。
<ハロゲン化剤として三臭化リンと臭化水素(30%酢酸溶液)を用いる場合>
ハロゲン化剤として三臭化リンと臭化水素 (30%酢酸溶液)を用いる場合は、三臭化リンはフェニルエタノール(VIII)又は(VIII´)に対して例えば0.3〜2.0モル当量使用すればよいが、好ましくは0.4〜0.6モル当量を用いるのがよい。臭化水素はフェニルエタノール(VIII)又は(VIII´)に対して例えば0.7〜3.0モル当量使用すればよいが、好ましくは0.8〜1.2モル当量を用いるのがよい。
本反応は溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。溶媒の存在下で反応を行う場合、使用する溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム及び四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられ、その中でも、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンが好ましく、特にトルエン、塩化メチレン、n−ヘプタンがより好ましい。また、これらの溶媒は、単独又は組み合わせて使用することもでき、溶媒の使用量は特に制限されない。
反応温度は、特に制限は無いが、通常−50〜150℃の範囲で行えばよく、−20〜80℃がより好ましく、0〜15℃が特に好ましい。反応時間は、特に制限は無いが、通常5分〜48時間が好ましく、30分〜36時間がより好ましく、12〜24時間が特に好ましい。
<ハロゲン化剤として1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタンとトリフェニルホスフィンを用いる場合>
ハロゲン化剤として1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタンとトリフェニルホスフィンを用いる場合は、1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタンはフェニルエタノール(VIII)又は(VIII´)に対して例えば1.0〜3.0モル当量使用すればよいが、好ましくは1.0〜1.2モル当量を用いるのがよい。トリフェニルホスフィンはフェニルエタノール(VIII)又は(VIII´)に対して例えば1.0〜3.0モル当量使用すればよいが、好ましくは1.0〜1.2モル当量を用いるのがよい。
本反応は溶媒の存在下で行うことができる。使用する溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム及び四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。溶媒としては、好ましくは芳香族炭化水素類又ハロゲン化炭化水素類、より好ましくはベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、特に好ましくはトルエン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンを挙げることができる。また、これらの溶媒は、単独又は組み合わせて使用することもできる。溶媒の使用量は特に制限は無いが、フェニルエタノール(VIII)又は(VIII´)に対して、1〜10倍量(V/W)、好ましくは2〜4倍量(V/W)を用いればよい。
反応温度は、特に制限は無いが、通常−50〜150℃の範囲で行えばよく、−20〜80℃がより好ましく、0〜30℃が特に好ましい。反応時間は、特に制限は無いが、通常5分〜48時間が好ましく、30分〜36時間がより好ましく、1〜2時間が特に好ましい。
<ハロゲン化剤としてN−ブロモコハク酸イミドとメチルスルフィドを用いる場合>
ハロゲン化剤としてN−ブロモコハク酸イミドとメチルスルフィドを用いる場合は、N−ブロモコハク酸イミドはフェニルエタノール(VIII)又は(VIII´)に対して例えば1.0〜3.0モル当量使用すればよいが、好ましくは1.0〜1.8モル当量、より好ましくは1.4〜1.6モル当量用いるのがよい。メチルスルフィドはフェニルエタノール(VIII)又は(VIII´)に対して例えば1.0〜3.0モル当量使用すればよいが、好ましくは1.5〜2.0モル当量、より好ましくは1.7〜1.9モル当量用いるのがよい。
本反応は溶媒の存在下で行うことができる。使用する溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、及びニトロベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、及びn−デカン等の脂肪族炭化水素類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、及び四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。溶媒としては、好ましくはベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、又は1,2−ジクロロエタン、より好ましくはトルエン、ジクロロメタン、又は1,2−ジクロロエタンを挙げることができる。また、これらの溶媒は、単独又は組み合わせて使用することもできる。溶媒の使用量は特に制限されない。
反応温度は、特に制限は無いが、通常―50〜150℃の範囲で行えばよく、−20〜80℃がより好ましく、0〜30℃が特に好ましい。反応時間は、特に制限は無いが、通常5分〜48時間が好ましく、30分〜36時間がより好ましく、1〜12時間が特に好ましい。
本発明の方法により製造される高光学純度の(S)体化合物(I)や(R)体化合物(II)は、上記の通り医薬の有効成分等として利用できる。
医薬の有効成分として利用する場合においては、(S)体化合物(I)や(R)体化合物(II)自体をそのまま投与してもよいが、当業者に周知の方法によって製造可能な経口用あるいは非経口用の医薬組成物に製剤化して投与するのが好ましい。経口用の医薬組成物としては、具体的には例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤及びシロップ剤等を挙げることができる。また、非経口用の医薬組成物としては、具体的には例えば、注射剤、坐剤、吸入剤、点眼剤、点鼻剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤等を挙げることができる。これらの医薬組成物は、薬学的、製剤学的に許容し得る添加物を用いて製造すればよい。斯かる添加物としては、具体的には例えば、賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、矯味剤、香料、被膜剤、希釈剤等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
医薬の有効成分として利用する場合における(S)体化合物(I)や(R)体化合物(II)の投与量は特に限定されず、疾患の種類、予防又は治療の目的、患者の体重や年齢、症状、投与経路などに応じて適宜決定することができる。例えば、経口投与の場合には成人一日あたり0.1〜500mg程度の範囲で用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、下記実施例中で用いられている略号は下記の意味を示す。
s:シングレット(singlet)
d:ダブレット(doublet)
t:トリプレット(triplet)
q:クアルテット(quartet)
m:マルチプレット(multiplet)
br:ブロード(broad)
J:カップリング定数(coupling constant)
Hz:ヘルツ(Hertz)
CDCl:重クロロホルム
DMSO−d:重ジメチルスルホキシド
H-NMR:プロトン核磁気共鳴
IR:赤外線吸収スペクトル
TFA:トリフルオロ酢酸
実施例1:光学活性な(S)体化合物(I)の製造
本発明者らが実施した、光学活性な(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の製造方法の概略をスキーム5として以下に示す。
なお、各化合物の絶対配置は、工程1で確認された(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの絶対配置から判断した。
また、1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸エチル、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、及びtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の光学純度は、それぞれ下記条件によるキラルHPLC分析により決定した。なお、本発明は、下記キラルHPLC分析条件(特に、下記カラムと下記移動相の組み合わせ)を用いる、各化合物、若しくはそれらの塩、又はそれらの溶媒和物の光学純度測定方法を提供する。
1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンのキラルHPLC分析条件
カラム:CHIRALPAK AS−RH
移動相:エタノール/水=60/40
流速:0.5mL/min
カラム温度:25℃
検出波長:220nm
保持時間:第一ピーク/21.8min((R)体)、第二ピーク/26.0min((S)体)
trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸エチルのキラルHPLC分析条件
カラム:CHIRALCEL OD−RH
移動相:0.05%TFA/0.05%TFA in アセトニトリル=30/70
流速:0.5mL/min
カラム温度:10℃
検出波長:242nm
保持時間:第一ピーク/75.3 min((R)体)、第二ピーク/78.6 min((S)体)
trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸のキラルHPLC分析条件
カラム:CHIRALCEL OD−RH
移動相:0.1%TFA/0.1%TFA in アセトニトリル=30/70
流速:0.5mL/min
カラム温度:10℃
検出波長:242nm
保持時間:第一ピーク/102.3min((R)体)、第二ピーク/109.2min((S)体)
trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸のキラルHPLC分析条件
カラム:CHIRALCEL OD−H
移動相:ヘキサン/エタノール/TFA=90/10/0.1
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出波長:242nm
保持時間:第一ピーク/21.3min((R)体)、第二ピーク/23.7min((S)体)
スキーム5
Figure 2013081087
(スキーム図中、Etはエチル基を示す。)
工程1:光学活性(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの製造
光学活性(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを下記1−(a)の方法により製造し、その絶対配置を以下の通り確認した。すなわち、1−(a)の方法により得られた(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンに導いたうえで、市販されている絶対配置既知の(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンの標準品と、比旋光度の実測値の符号を比較することで確認した。
また、光学活性(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを別途下記1−(b)の方法によっても製造した。
1−(a):光学活性(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの製造 その1
アルゴン雰囲気下、1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン(7.57g、23.2mmol)をトルエン(12.5mL)に溶解し、0℃にてトリフェニルホスフィン(6.1g、23.2mmol)を加え30分間撹拌した。これに(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(5.0g、19.4mmol、>99.5%ee)のトルエン溶液(12.5mL)を0℃で10分以上かけて滴下した後、室温まで昇温し、同温にて1時間撹拌した。撹拌後、反応液にn−ヘキサン(25mL)を加え、セライトろ過した。得られたろ液を水、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留(56℃、0.7mmHg)することで、5.52gの(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た(収率:88.6%)。
キラルHPLC分析:光学純度>99.5%ee(メインピーク:第一ピーク)
[α] 25 +59.1(c=1.03,CHCl).
H‐NMR(CDCl)δ:2.08(3H,d,J=7.1Hz),5.21(1H,q,J=7.1Hz),7.81(1H,s),7.87(2H,s).
(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの絶対配置の確認
上記1−(a)で得られた(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(106mg、0.336mmol、>99.5%ee)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(1mL)にアジ化ナトリウム(64.4mg、0.990mmol)を加え−18〜−15℃にて4時間撹拌した。反応溶液に酢酸エチル/n−ヘキサン(1:1)及び水を加え分液し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮することで111.5mgの1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアジド(粗生成物)を得た。
H‐NMR(CDCl)δ:1.61(3H,d,J=6.8Hz),4.79(1H,q,J=6.8Hz),7.78(2H,s),7.84(1H,s).
得られた1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアジド(粗生成物:111.5mg)をメタノール(6mL)に溶解し、パラジウム−フィブロイン(18mg)を加え、水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。撹拌後、反応液をセライトろ過し、ろ液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1〜5:1)にて精製し、77.6mgの1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンを無色油状物として得た(収率:91%、2工程)。
H‐NMR(CDCl)δ:1.42(3H,d,J=6.8Hz),1.58(2H,br‐s),4.30(1H,q,J=6.8Hz),7.75(1H,s),7.85(2H,s).
得られた1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンの比旋光度は以下の通りであった。
[α] 25 −15.9(c=1.31,CHCl).
一方、市販の絶対配置既知の標準品((S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミン(セントラル硝子社製、Lot.0102000、光学純度:99%ee))の比旋光度は以下の通りであった。
[α] 25 −15.9(c=1.15,CHCl).
比旋光度の実測値の符号が、市販の標準品の符号と一致したことから、得られた1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンは(S)体であることが確認された。そして、当該アミンはアジ化物イオンの求核置換反応を経て1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンから得られていることから、上記1−(a)で得られた1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンは(R)体であることが確認された。
1−(b):光学活性(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの製造 その2
アルゴン雰囲気下、(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(24.8kg、96.06mol、99%ee)のヘプタン懸濁液(34.0kg)に、−5〜5℃で三臭化リン(13.1kg、48.39mol)を3時間かけて滴下し、同温にて1時間撹拌した。反応液に、同温にて臭化水素(30%酢酸溶液)(22.6kg、96.26mol)を滴下し、12〜18℃で20時間撹拌した。反応液を10℃以下にてヘプタン(137kg)−水(262kg)の混合液に注ぎ、同温にて1時間撹拌した後、ヘプタン層を分離し、水層をヘプタン(34kg)で抽出した。ヘプタン層を合わせ、7%炭酸水素ナトリウム溶液(138kg)、25%食塩水(164kg)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下(90〜100mmHg)濃縮し、シリカゲル(5kg)を加えてろ過した。シリカゲル層をヘプタン(15kg)で洗浄し、ろ液と洗液を合わせた後25L程度まで減圧濃縮し、さらに蒸留(40℃、<10Pa)することにより、26.03kgの(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た(収率84.6%)。
なお、下記の通りキラルHPLC分析において第一ピークがメインピークとして現れたことから、1−(b)で製造した1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンも1−(a)と同様に、(R)体であることが確認された。
キラルHPLC分析:光学純度 96.2%ee(メインピーク:第一ピーク)
H‐NMR(CDCl)δ:2.08(3H,d,J=7.1Hz),5.21(1H,q,J=7.1Hz),7.81(1H,s),7.87(2H,s).
工程2:trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸エチルの、(S)体優位の部分ラセミ化体の製造
アルゴン雰囲気下、t−ペントキシナトリウム(3.49g、31.65mmoL)に無水トルエン(24mL)及び無水N,N−ジメチルホルムアミド(60mL)を加え、室温で15分撹拌した。反応液を−40〜−30℃に冷却し、同温にて、特許文献1(国際公開第2008/129951号パンフレット)記載の方法により合成したtrans−[4−([(エチル){2−[({5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}アミノ]メチル)シクロヘキシル]酢酸エチル(12.0g、21.1mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド溶液(36mL)を30分かけて加え、同温にて1時間撹拌した。反応液を−60〜−65℃に冷却し、工程1で得た(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(13.5g、42.2mmol、>99.5%ee)の無水N,N−ジメチルホルムアミド溶液(24mL)を20分かけて滴下し、同温にて3時間撹拌した。−55〜−45℃で反応液に酢酸をpHが7以下になるまで加え、室温まで昇温し、トルエン(180mL)を加えた。有機層を分取し、水層をトルエン(5mL)で抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮することにより、22.88gのtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸エチルの粗体を得た。
なお、上記工程1に記載の通り絶対配置が確認された(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを原料として使用し、アミンによる求核置換反応が進行していることから、得られた部分ラセミ化体は(S)体が優位である。
工程3:trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の、(S)体優位の部分ラセミ化体の製造
工程2で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸エチルの粗体(11.44g)にエタノール(90mL)を加え、40℃以下で2M NaOH水溶液(21.1mL、42.2mmol)を加え、45〜55℃にて8時間撹拌した。反応液を冷却し、0℃で、pH5〜6になるまで4M HCl水溶液を加え、40℃以下で減圧濃縮した。濃縮液に酢酸エチル(10mL)、水(55mL)を加え、有機層を分取し、水層を酢酸エチル(10mL)で抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(44mL)、水(44mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮して、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の粗体を得た。
なお、得られた部分ラセミ化体は、工程2で得られた(S)体優位の部分ラセミ化体と同様、(S)体が優位である。
工程4:高光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸 塩酸塩の結晶の製造
高光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸 塩酸塩の結晶を下記4−(a)の方法により製造した。
また、4−(a)で得られた結晶を種晶として用いて、別途下記4−(b)の方法によっても製造した。
4−(a):高光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸 塩酸塩の結晶の製造 その1
工程3で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の粗体の全量に酢酸エチル(35mL)を加え、0℃にて撹拌下、4M HCl/酢酸エチル溶液(10.6mL)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液に、同温にてヘプタン(90mL)を1時間かけて加え、さらに同温にて2時間撹拌した。析出物をろ取し、ヘプタン(20mL)で洗浄し、40℃にて減圧乾燥することにより、9.49gのtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸 塩酸塩を白色アモルファスとして得た。
キラルHPLC分析:光学純度 92.6%ee(メインピーク:第二ピーク)
得られたアモルファス状のtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸 塩酸塩(1.0g)に酢酸エチル(8mL)を加え、70℃にて加熱溶解した後、2時間かけて30℃まで冷却し、同温にて13時間撹拌した。析出物を氷冷酢酸エチル(5mL)で懸洗し、減圧乾燥することにより、789.8mgの(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸 塩酸塩を白色結晶として得た。
キラルHPLC分析:光学純度 99.0%ee(メインピーク:第二ピーク)
4−(b):高光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸 塩酸塩の結晶の製造 その2
アルゴン雰囲気下、t−ペントキシナトリウムのトルエン溶液(11.9w/w%、3.20kg)に無水N,N−ジメチルホルムアミド(8.5kg)及びトルエン(1.5kg)を加え、−40〜−30℃に冷却した。同温にて、特許文献1(国際公開第2008/129951号パンフレット)記載の方法により合成したtrans−[4−([(エチル){2−[({5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}アミノ]メチル)シクロヘキシル]酢酸エチル(1.218kg、2.14mol)の無水N−メチルピロリドン(5.82kg)溶液を30分かけて加え、同温にて1.5時間撹拌した。反応液に無水N−メチルピロリドン(3.44kg)を加え、反応液を−60〜−65℃に冷却し、工程1で製造した(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(1.36kg、4.24mol、96.2%ee)を20分かけて滴下し、同温にて8時間撹拌した。−55〜−45℃で反応液に氷酢酸(64g)をpHが7以下になるまで加え、室温まで昇温し、トルエンを2.4kg加えた。上記と同様の操作により19.2kgのtrans−[4−([(エチル){2−[({5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}アミノ]メチル)シクロヘキシル]酢酸エチルを12ロットに分けて反応させ、反応液を合わせた(合計:439.8kg)。
反応液に水(55kg)、トルエン(100kg)を加え、20〜30℃にて15分撹拌し、トルエン層を分取した。水層にトルエン(126kg)を加え、20〜30℃にて15分撹拌し、水層を分離した。トルエン層を合わせ、25%食塩水(35kg)、水(54kg)を加え、20〜30℃にて15分撹拌し、水層を分離した。同様の洗浄操作を再度繰り返し、354kgのtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸エチルのトルエン溶液(含有率:7.0%、含有量:24.8kg、収率91%)を得た。
キラルHPLC分析:光学純度 93.0%ee(メインピーク:第二ピーク)
得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸エチルのトルエン溶液の全量を50℃以下で50L程度に減圧濃縮した後、エタノール(80kg)を加え、50L程度まで減圧濃縮した。得られた濃縮液にエタノール(140kg)を加え、40℃以下で2M NaOH水溶液(83.2kg、155mol)を加え、45〜55℃にて8時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、40℃以下で、pH7〜8になるまで6M HCl水溶液を加え、40℃以下で100L程度まで減圧濃縮した。濃縮液に酢酸エチル(112kg)、水(125kg)を加え、6M HCl水溶液(9.3kg)を加えpH4〜5とし、有機層を分取した。水層を酢酸エチル(90kg)で抽出した。有機層を合わせ、5%食塩水(102kg)で2回洗浄し、60L程度まで減圧濃縮した後、酢酸エチル(82kg)を加え、60Lまで減圧濃縮することでエタノールを共沸した(エタノール:≦1.0%)。残渣に酢酸エチル(263.6kg)を加え、10〜20℃にて撹拌下、1.4M HCl/酢酸エチル溶液(30kg)を加え、65〜75℃に加熱した。同温にて、上記4−(a)で得られた結晶(50g)を種晶として加え3時間撹拌した後、1.4M HCl/酢酸エチル溶液(4.7kg)を加え、同温にて2時間撹拌した。2.5時間かけて50℃付近まで冷却し、更に4時間かけて30℃付近まで冷却し、20〜30℃にて27時間撹拌した。得られた結晶を遠心分離し、酢酸エチル(12.6kg、20.6kg)で懸洗し、40〜50℃にて12時間減圧乾燥することにより、22.95kgの(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸 塩酸塩を白色結晶として得た(収率91%)。
キラルHPLC分析:光学純度 99.4%ee(メインピーク:第二ピーク)
H‐NMR(DMSO−d)δ:0.72‐0.92(7H,m),1.30(1H,br.),1.42‐1.76(8H, m),2.02(2H,d,J=7.2Hz),2.13(3H,s),2.62‐2.96(6H, m),4.19(2H,t,J=6.6Hz),4.53(1H,d,J=16.8Hz),4.79(1H,d,J=16.8Hz),6.23(1H,q,J=6.8Hz),7.09(1H,s),7.30(1H,d,J=8.0Hz),7.46(1H,d,J=8.0Hz),7.83(2H, s),7.93(1H,s),8.31(2H,s).
工程5:高光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の製造
高光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸を、下記5−(a)の通りt−ブチルメチルエーテル溶液として製造した。
また、別途下記5−(b)の通り白色アモルファスとしても製造した。
5−(a):高光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の製造 その1
アルゴン雰囲気下、工程4で得られた(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸 塩酸塩の結晶(21.60kg、27.66mol、99.4%ee)を2−プロパノール(86.4kg)に溶解ないし懸濁し、10〜15℃にてタングステン酸ナトリウム二水和物(910g、2.76mol)の水溶液(3.2kg)を加え、さらに過酸化水素水(12.9kg、110.6mol)を1時間かけて加え、同温にて8時間撹拌した。反応液を−5〜5℃に冷却し、飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液(49kg)を加え同温にて30分撹拌後、7%炭酸水素ナトリウム水溶液(31kg)を加え、25分撹拌した。反応液に水(54kg)及びt−ブチルメチルエーテル(127.5kg)を加え分液し、有機層を5%食塩水(134kg)で3回洗浄することで、153.8kgの(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸のt−ブチルメチルエーテル(含有率:14.1%、含有量:21.7kg)溶液を得た。
キラルHPLC分析:光学純度 99.3%ee(メインピーク:第二ピーク)
5−(b):高光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の製造 その2
アルゴン雰囲気下、工程4と同様の操作で得られた(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸 塩酸塩の結晶(100mg、0.124mmol、99.5%ee)を2−プロパノール(1.5mL)に懸濁ないし溶解し、氷冷下でタングステン酸ナトリウム二水和物(4.1mg、0.0124mmol)を加え、さらに30%過酸化水素水(124μL、1.24mmol)を加え、室温にて4.5時間撹拌した。反応液に氷冷下、10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えて過剰の過酸化水素を分解した後、反応液を酢酸エチル(5mL)で2回抽出し、有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧留去した。得られた粗生成物を、分取薄層クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)にて精製し、93.4mgの(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸を白色アモルファスとして得た。(収率92.9%)
キラルHPLC分析:光学純度 99.4%ee(メインピーク:第二ピーク)
IR(ATR)cm−1:2921,1706,1479,1279,1134.
H‐NMR(CDCl)δ:0.80‐0.96(7H, m),1.38(1H. m),1.47(3H,d,J=7.1Hz),1.65‐1.77(5H, m), 2.19(2H,d,J=6.8Hz),2.72(1H, m),2.81‐2.91(3H, m),3.08(3H,s),3.45(2H,t,J=5.2Hz),4.44(2H,q,J=5.4Hz),4.62(1H,d,J=17.1Hz),4.86(1H,d,J=17.4Hz),6.21(1H,q,J=7.1Hz),7.13(1H,d,J=8.3Hz),7.19(1H,s),7.38(1H,d,J=6.6Hz),7.71(1H,s),7.73(2H,s),8.15(2H,s).
以上の結果から、工程4に示す塩酸塩の形成及び塩酸塩の結晶化により光学純度が向上し、最終的に99%eeを超える高光学純度の(S)体化合物(I)が得られることが明らかとなった。
実施例2:trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸エチルの部分ラセミ化体の製造工程における、反応温度条件の影響の検討
実施例1 工程2に記載の反応における、反応温度が部分ラセミ化に与える影響を検討するため、以下の試験を実施した。
すなわち、実施例1 工程2に準じ、溶媒(無水N,N−ジメチルホルムアミド 15mL。ただし、−60℃での反応においては凍結を防ぐため、無水N,N−ジメチルホルムアミド 10mLと無水テトラヒドロフラン 5mLの混液を用いた。)中、特許文献1(国際公開第2008/129951号パンフレット)記載の方法により合成したtrans−[4−([(エチル){2−[({5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}アミノ]メチル)シクロヘキシル]酢酸エチル(1g、1.76mmоl)と(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(1.13g、3.52mmol、95.4%ee)とを、t−ペントキシナトリウム(0.29g、2.64mmol)の存在下、反応温度条件を種々変更して3時間反応させた。反応後、得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸エチルの(S)体優位の部分ラセミ化体の光学純度を、実施例1と同様のキラルHPLC分析により測定した。
結果を表1に示す。
Figure 2013081087
表1に示す試験結果から、trans−[4−([(エチル){2−[({5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}アミノ]メチル)シクロヘキシル]酢酸エチルを塩基存在下、光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンと反応させ、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸エチルの部分ラセミ化体を得る反応においては、反応温度を低く設定することにより、部分ラセミ化による光学純度の低下が顕著に抑制されることが明らかとなった。
実施例3:(S)体化合物(I)の血中LDLコレステロール低下作用の確認
高光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸((S)体化合物(I):光学純度>99%ee)を0.5%メチルセルロース溶液に懸濁させた後、正常ハムスター(雄性Syrian Hamster)に金属ゾンデを用いて1日1回、14日間反復経口投与した。最終投与の4時間後に血液を採取し、血漿を得た。血漿中のリポタンパク質の分析は、J. Lipid. Res., 43, p805-814に記載の方法に準じ、ポストラベル法を用いたHPLCシステムにより自動測定することで行なった。すなわち、血漿サンプル15μLを1mM EDTAを含むPBSで10倍希釈後、HPLCシステム(送液ユニット:Shimadzu LC‐20A system、島津製作所)に接続したゲルろ過カラム(Superose6カラム(カラムサイズ:10×300mm)、GEヘルスケアバイオサイエンス製)に80μL注入した。ランニングバッファとして1mM EDTAを含むPBSを用い、流速0.5mL/min、カラム温度40℃にて分離を行なった。カラムからの溶出液に対しコレステロール測定試薬(コレステロールE テストワコー、和光純薬工業社製)を流速0.25mL/minで混合し、反応コイル(0.5mm×15m)中にて送液下40℃にて反応させた。反応コイルからの溶出液中のコレステロールを、波長600nmで検出した。得られたコレステロールのピーク総面積に占めるLDL画分の面積割合を求め、あらかじめコレステロールE テストワコーを用いて測定した総コレステロール量に、LDL画分の面積割合を乗じてLDLコレステロール量を算出した。
なお、コントロール群(0.5%メチルセルロース溶液投与群)、被験化合物投与群((S)体化合物(I) 10mg/kg体重、30mg/kg体重投与群)それぞれにつき、あらかじめ血漿総コレステロール値を指標に群分けした正常ハムスター6匹を用いた。
各群の血漿中のLDLコレステロール量(LDL−C、mg/dl)を表2に示す。なお、表2中の*印及び***印は、それぞれコントロール群と被験化合物投与群の間で行なった多群比較検定(Dunnettの多重比較検定)の結果、危険率5%以下(p<0.05)、及び危険率0.1%以下(p<0.001)で優位差があることを示す。また、被験化合物投与群における、コントロール群に対するLDLコレステロール量の低下率を、LDLコレステロール低下率として下記計算式1により算出し、%で示した。
LDLコレステロール低下率(%)=[(コントロール群の平均LDLコレステロール量−各化合物投与群の平均LDLコレステロール量)/コントロール群の平均LDLコレステロール量]×100 (計算式1)
Figure 2013081087
表2に記載の結果から、(S)体化合物(I)は、優れた血中LDLコレステロール低下作用を有することが明らかとなった。
以上の試験結果から、(S)体化合物(I)は、血中LDL低下作用を有する医薬の有効成分等として有用であることが明らかとなった。
本発明の方法によれば、医薬の有効成分等として有用な(S)体化合物(I)又は(R)体化合物(II)を高い光学純度で、かつ簡便に製造することができ、医薬品産業において利用できる。

Claims (13)

  1. 結晶化後と比較して相対的に低光学純度のtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸から、溶媒中、光学的に不活性な酸の存在下で、光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸と光学的に不活性な酸との塩の結晶を晶析させ、これを分取する工程を含む、光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法。
  2. 光学的に不活性な酸が、無機酸である、請求項1に記載の方法。
  3. 光学的に不活性な酸が、塩化水素である、請求項1に記載の方法。
  4. 下記の一般式(V)
    Figure 2013081087
    (式中、RはC1−6アルキル基を示す)
    で表される化合物の部分ラセミ化体を、溶媒中で、塩基の存在下に加水分解して、結晶化後と比較して相対的に低光学純度のtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸を製造する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  5. 下記の一般式(VI)又は(VI´)
    Figure 2013081087
    (式中、Xはハロゲン原子を示す)
    で表される光学活性ベンジルハライドと、下記の一般式(VII)
    Figure 2013081087
    (式中、Rは一般式(V)におけるものと同義である。)
    で表される化合物とを、溶媒中で、塩基の存在下に反応させて、一般式(V)で表される化合物の部分ラセミ化体を製造する工程をさらに含む、請求項4に記載の方法。
  6. 光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンと、一般式(VII)で表される化合物とを、溶媒中で、塩基の存在下、15℃以下の温度条件で反応させるものである、請求項5に記載の方法。
  7. 結晶化後と比較して相対的に低光学純度のtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の光学純度が、95%ee以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の光学純度が、97%ee以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  9. 光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸と、光学的に不活性な酸からなる塩の結晶。
  10. 光学的に不活性な酸が、無機酸である、請求項9に記載の結晶。
  11. 光学的に不活性な酸が、塩化水素である、請求項9に記載の結晶。
  12. trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸が、(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の結晶。
  13. 光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の光学純度が、97%ee以上である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の結晶。
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