JP2013136573A - 光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体の製造方法 - Google Patents

光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールから高い光学純度を維持しつつ光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを効率的かつ高収率に製造し、さらに[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体の光学活性体を製造する方法を提供すること。
【解決手段】臭素化剤として(a)ハロゲン化リン及び臭化水素の組み合わせ;(b)1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン及び一般式(4)
P(R10)(R11)(R12)(R10、R11、及びR12はC6-10アリール基等を示す)で表される有機リン化合物の組み合わせ;又は(c)N−ブロモコハク酸イミド及びジアルキルスルフィドの組み合わせを用いて光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールを臭素化して光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを得る工程を含む1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体の光学活性体の製造方法。

Description

本発明は、医薬の有効成分等として有用な1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体の光学活性体の製造方法に関する。
特許文献1及び2には、強力なコレステロールエステル転送タンパク(CETP)阻害活性を有し脂質異常症等の疾患の治療や予防のための医薬の有効成分として有用な、1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル基を有する化合物が多数開示されている。これらの化合物においてはメチル基が結合するベンジル位の炭素原子が不斉炭素となることから、この不斉炭素に関して2種類のエナンチオマーが存在することとなるが、特許文献1及び2にはこれらのラセミ体のみが開示されており、そのエナンチオマーは未だ提供されていない。一般的に、エナンチオマーの間では薬理作用が異なる場合があり得ることから、特許文献1及び2に開示されている1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体の各エナンチオマーについても異なるCETP阻害活性を有する可能性があり、また、他に有用な薬理作用を有する可能性もあり得ることから、当該エナンチオマーをそれぞれ分取することは、有用性の高い有効成分を得るうえで極めて重要である。
特許文献1及び2には、ラセミ体である各化合物につき、それぞれ下記のスキーム1及び2に示す方法に従って、中間体化合物(a)又は(a´)とラセミ体の1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(b)とを塩基存在下にてカップリングさせる方法で製造することができる旨開示されている。
スキーム1
Figure 2013136573
(スキーム図中、R7´〜R10´はそれぞれ独立に水素原子などを、R11´及びR12´はそれぞれ独立に低級アルキル基などを、R13´は低級アルキルチオ低級アルコキシ基などを示す。)
スキーム2
Figure 2013136573
(スキーム図中、R7´´及びR8´´はそれぞれ独立に低級アルキル基などを、R9´´は低級アルキルチオ低級アルコキシ基などを、R10´´及びR11´´はそれぞれ独立に水素原子などを、環Aはピリジン環などを示す。)
従って、ラセミ体の1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(b)の代わりに光学活性な1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを用いれば、光学活性な1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体が得られるものと考えられる。
しかしながら、1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンについてはラセミ体の製造方法しか知られておらず、光学活性な1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの製造方法については具体的な報告例はない。
特許文献1には、ラセミ体の1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンに関し下記スキーム3に示す方法によって合成することができる旨、開示されている。この方法は、3',5’−ビス(トリフルオロメチル)アセトフェノンをメタノール中で水素化ホウ素ナトリウムにより還元してアルコール化合物に変換し、このアルコール化合物をトルエン中で三臭化リンを用いて臭素化する工程を含んでいる。
スキーム3
Figure 2013136573
また、非特許文献1には、ラセミ体の1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンが下記スキーム4に示す方法によって合成することができる旨、開示されている。この方法は、3',5’−ビス(トリフルオロメチル)アセトフェノンをメタノール中で水素化ホウ素ナトリウムにより還元してアルコール化合物とし、このアルコール化合物を臭化水素酸及び硫酸で処理して臭素化する工程を含んでいる。
スキーム4
Figure 2013136573
しかしながら、特許文献1及び非特許文献1には光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを製造する方法は具体的に示されていない。
光学活性な1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールは、3',5'− ビス(トリフルオロメチル)アセトフェノンの不斉還元反応、又は3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドの不斉メチル化反応によって、いずれか一方のエナンチオマーを高い光学純度で得ることができる。従って、出発原料として高い光学純度の1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールを用い、高い光学純度を維持したまま1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンへ変換することができれば、当該製造方法は工業的に簡便で且つ効率のよい製造方法となる。
しかしながら、光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールを出発原料として、高い光学純度を維持したまま1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを効率よく製造する方法はこれまでに知られていない。
ところで、水酸基を臭素化する一般的な方法として、アルキルアルコールやベンジルアルコールをスルホン酸エステルなどの脱離基に変換し、臭化物イオンによる置換反応により臭素化を行う方法が知られている(非特許文献2)。また、下記スキーム5に示す通り、光学活性な1−フェニルエタノールに対してジエチルエーテル中で過剰量のピリジン存在下に低温で三臭化リンを作用させると、高収率(転化率93.9%)で1−フェニルブロモエタンが得られることが報告されている(非特許文献3)。
スキーム5
Figure 2013136573
さらに、1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン及びトリフェニルホスフィンを用いて水酸基をハロゲンに交換する方法(非特許文献4)、及びN−ブロモコハク酸イミド及びジメチルスルフィドを用いて水酸基をハロゲンに交換する方法も報告されている(非特許文献5)。
しかしながら、これらの方法が光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールに適用可能か否かについてはこれまでに知られていない。
国際公開第2008/129951号パンフレット 国際公開第2008/111604号パンフレット
Tetrahedron Lett. 48, 8001-8004 (2007). J. Org. Chem. 26, 3645-3649 (1961). Indian J. Chem., Sec B, 44B, 557-562 (2005). Synthesis Commun., 139−141 (1983) Tetrahedron Lett., 42, 4339-4342 (1972)
本発明の課題は、光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールを原料として用いて、高い光学純度を維持しつつ光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを効率的かつ高収率に製造し、得られた光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを用いて、1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体の光学活性体を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行い、上記非特許文献2記載の臭素化法を光学活性な(R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールに適用したところ、一旦生じた所望のベンジルブロミドと反応系中に存在する臭化物イオンとの間で臭素の置換交換反応が起こり、得られた1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンはほぼ完全にラセミ化してしまうという結果を得た(比較例1参照)。また、(R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールに対して上記非特許文献3と同様の条件下で臭素化反応を行ったところ、所望のベンジルブロミドは低収率でしか得られないという結果を得た(比較例2参照)。
本発明者らはさらに鋭意研究を行ったところ、臭素化剤として以下の(a)〜(c)のいずれか:
(a)ハロゲン化リンと臭化水素との組み合わせ;
(b)1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタンとトリフェニルホスフィンなどの有機リン化合物との組み合わせ;
(c)N−ブロモコハク酸イミドとジメチルスルフィドなどのジアルキルスルフィドとの組み合わせ;
を用いて光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールを臭素化することにより、高い光学純度を維持したまま所望の光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを製造することができ、得られた高光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを原料として用いることで、特許文献1及び2に開示された1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体の光学活性体を製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明により、一般式(1)
Figure 2013136573
(式中、
1は、水素原子、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ低級アルコキシ基、低級アルキルスルフィニル低級アルコキシ基、低級アルキルスルホニル低級アルコキシ基、置換基を有してもよいアリール低級アルコキシ基、水酸基、低級アルキルアミノ基、低級ジアルキルアミノ基、低級アルキルチオ低級アルキルアミノ基、低級アルキルスルフィニル低級アルキルアミノ基、低級アルキルスルホニル低級アルキルアミノ基、アリールアミノ基、環構成原子にヘテロ原子を有してもよい環状アミノ基、低級アルコキシ低級アルコキシ基、低級アルコキシ低級アルキルアミノ基、ヒドロキシ低級アルコキシ基、ヒドロキシ低級アルキルアミノ基、アシルアミノ基、低級アルキルスルホニルアミノ基、ヒドロキシカルボニル低級アルコキシ基、アミノ低級アルコキシ基、低級アルキルアミノ低級アルコキシ基、又は低級ジアルキルアミノ低級アルコキシ基を示し、
2及びR3は、それぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル低級アルキル基、アリール基、置換基を有してもよいアリール低級アルキル基、若しくは低級シクロアルキル基を示すか、又はR2及びR3が一緒になって隣接する窒素原子とともに置換基を有してもよい含窒素飽和複素環を形成してもよく、
Figure 2013136573
は一般式(2)又は一般式(3)で表される基のいずれか:
Figure 2013136573
(式中、
4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級シクロアルキル基、低級シクロアルキル低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルコキシ低級アルコキシ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルキルスルホニルアミノ基、ハロ低級アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、置換基を有してもよいアミノ基、カルボキシル基、低級アルキルカルボニル基、又は低級アルコキシカルボニル基を示す。);
Figure 2013136573
(式中、
8及びR9は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級シクロアルキル基、低級シクロアルキル低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルコキシ低級アルコキシ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルキルスルホニルアミノ基、ハロ低級アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、置換基を有してもよいアミノ基、カルボキシル基、低級アルキルカルボニル基、又は低級アルコキシカルボニル基を示し、
環A´は構成原子が6〜10個であり、環構成原子の少なくとも一つが窒素原子である単環性又は二環性の複素環を示す。);
を示す。)
で表される1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体の光学活性体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法であって、
臭素化剤として以下の(a)〜(c)のいずれか:
(a)ハロゲン化リン及び臭化水素の組み合わせ;
(b)1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン及び一般式(4)
Figure 2013136573
(式中、R10、R11、及びR12は、それぞれ独立にC6-10アリール基、C6-10アリールオキシ基、C1-10アルキル基、C1-10アルコキシ基、C3-6シクロアルキル基、又はC3-6シクロアルコキシ基を示す)で表される有機リン化合物の組み合わせ;
(c)N−ブロモコハク酸イミド及びジアルキルスルフィドの組み合わせ;
を用いて光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールを臭素化して光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを得る工程を含む方法が提供される。
上記(a)の組み合わせを用いる方法の好ましい態様によれば、ハロゲン化リンが三臭化リンである上記の方法;臭化水素として臭化水素酸を用いる上記の方法;臭化水素として臭化水素の酢酸溶液を用いる上記の方法;三臭化リンを光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールに対して0.4〜0.6モル当量の範囲で用いる上記の方法;臭化水素を光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールに対して0.8〜1.2モル当量の範囲で用いる上記の方法;溶媒の非存在下で行う上記の方法;溶媒としてヘプタンを用いる上記の方法;反応温度が10〜15℃である上記の方法が提供される。
上記(b)の組み合わせを用いる方法の好ましい態様によれば、反応を溶媒の存在下に行う上記の方法;一般式(4)で表される有機リン化合物がトリフェニルホスフィンである上記の方法;1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタンを光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールに対して1.0〜1.2モル当量の範囲で用いる上記の方法;一般式(4)で表される有機リン化合物を光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールに対して1.0〜1.2モル当量の範囲で用いる上記の方法;溶媒が芳香族炭化水素類又はハロゲン化炭化水素類である上記の方法;溶媒がトルエン、ジクロロメタン、又は1,2−ジクロロエタンである上記の方法;及び反応温度が0〜30℃である上記の方法が提供される。
上記(c)の組み合わせを用いる方法の好ましい態様によれば、反応を溶媒の存在下に行う上記の方法;ジアルキルスルフィドがジメチルスルフィドである上記の方法;N−ブロモコハク酸イミドを光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールに対して1.4〜1.6モル当量の範囲で用いる上記の方法;ジアルキルスルフィドを光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールに対して1.7〜1.9モル当量の範囲で用いる上記の方法;溶媒がハロゲン化炭化水素類である上記の方法;溶媒がジクロロメタンである上記の方法;反応温度が0〜30℃である上記の方法が提供される。
別の観点からは、本発明により光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンが提供される。好ましくは、該光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの光学純度は97%ee以上、より好ましくは97.0〜100%eeである。
本発明の方法によれば、光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールから煩雑な操作を伴うことなく原料の光学純度を高く維持しつつ一工程で高収率で製造することができ、得られた光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを用いて簡便な方法により医薬の有効成分として有用な1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体の光学活性体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を製造できる。
本発明の方法は、光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの製造工程であって、臭素化剤として以下の(a)〜(c)のいずれか:
(a)ハロゲン化リン及び臭化水素の組み合わせ;
(b)1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン及び一般式(4)
Figure 2013136573
(式中、R10、R11及びR12はそれぞれ独立にC6-10アリール基、C6-10アリールオキシ基、C1-10アルキル基、C1-10アルコキシ基、C3-6シクロアルキル基、又はC3-6シクロアルコキシ基を示す)で表される有機リン化合物の組み合わせ;
(c)N−ブロモコハク酸イミド及びジアルキルスルフィドの組み合わせ;
を用いて光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールを臭素化する工程を含むことを特徴としている。
臭素化剤として上記(b)又は(c)の組み合わせを用いる場合には、反応を溶媒の存在下で行うことが好ましい。
本発明の方法において原料として用いる光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールは、3',5'− ビス(トリフルオロメチル)アセトフェノンの不斉還元反応、または3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドの不斉メチル化反応などの公知の方法により製造することができ、いずれか一方の鏡像体を高い光学純度で得ることができる。また、市販の光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールを用いてもよい。
<(a)ハロゲン化リン及び臭化水素の組み合わせについて>
上記(a)の組み合わせを用いる方法について以下詳しく説明する。
ハロゲン化リンとしては三臭化リン、五臭化リン、オキシ臭化リンなどの臭化リンを用いることができるが、臭化リンのほか、三塩化リン、五塩化リン、オキシ塩化リンなどを用いてもよい。また、2種以上の異なるハロゲン化リンを組み合わせて用いてもよい。本発明においてハロゲン化リンとしては、臭化リンが好ましく、三臭化リンが特に好ましい。
臭化水素としては、臭化水素酸のほか、臭化水素の酢酸溶液、例えば30%酢酸溶液などを用いることができる。本発明において臭化水素としては、臭化水素の酢酸溶液が好ましい。
本発明においてハロゲン化リン及び臭化水素の組み合わせとしては、三臭化リンと臭化水素の酢酸溶液との組み合わせが好ましい。
三臭化リンなどのハロゲン化リンは原料アルコールに対して例えば0.4〜2.0モル当量の範囲で使用することができるが、好ましくは0.4〜0.6モル当量を用いるのがよい。臭化水素は原料アルコールに対して例えば0.7〜3.0モル当量の範囲で使用することができるが、好ましくは0.8〜1.2モル当量を用いるのがよい。
上記反応は溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。溶媒の存在下で反応を行う場合、使用する溶媒の種類は反応に関与しないものであれば特に制限はない。溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン等の脂肪族炭化水素類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム及び四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンを用いることができ、ヘプタンをより好ましく用いることができ、n−ヘプタンを特に好ましく用いることができる。これらの溶媒は単独又は組み合わせて使用することもでき、溶媒の使用量は特に制限されない。
反応温度は特に限定されないが、通常は−50〜150℃の範囲で行えばよく、−20〜80℃がより好ましく、0〜15℃が特に好ましい。反応時間は、通常5分〜48時間が好ましく、30分〜36時間がより好ましく、12〜24時間が特に好ましい。
反応終了後、通常の後処理操作を行うことにより、粗生成物を得ることができる。得られた粗生成物は、必要に応じて、活性炭処理、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の精製操作を行うことにより、光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを高い化学純度及び光学純度で得ることができる。光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの光学純度としては、例えば95%ee以上、好ましくは96%ee以上であるが、特に限定されることはない。
なお、上記(a)の組み合わせを用いる方法で用いる三臭化リンなどのハロゲン化リン及び臭化水素酸などの臭化水素は一般的な臭素化反応に用いられており、カイニン酸、クエン酸ペントキシベリン、ホスフェストロール、及びメシル酸ベタヒスチン等の製造(第13改正日本薬局方解説書、1996年、廣川書店)にも用いられているように工業的規模での生産にも適した汎用試薬であることから、本発明の方法は工業的な応用に適した方法である。
<(b)1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン及び一般式(4)で表される有機リン化合物の組み合わせについて>
上記(b)の組み合わせを用いる方法について以下詳しく説明する。
上記一般式(4)で表される有機リン化合物において、C6-10アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アズレニル基等の、単環状又は縮合環状の、炭素数6〜10の芳香族炭化水素環式基が挙げられる。C6-10アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、アズレニルオキシ基等の、上記「C6-10アリール」が酸素原子を介して結合した基が挙げられる。C1-10アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。C1-10アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基等の直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜10のアルコキシ基が挙げられる。C3-6シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状の炭素数3〜6のアルキル基が挙げられる。C3-6シクロアルコキシ基としては、例えば、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、上記「C3-6シクロアルキル」が酸素原子を介して結合した基が挙げられる。
上記一般式(4)で表される有機リン化合物としては、R10、R11、及びR12がC6-10アリール基であることが好ましく、R10、R11、及びR12がフェニル基である場合、すなわち上記一般式(4)で表される有機リン化合物がトリフェニルホスフィンである場合がより好ましい。
1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタンは原料アルコールに対して例えば1.0〜3.0モル当量の範囲で使用することができるが、好ましくは1.0〜1.2モル当量を用いるのがよい。一般式(4)で表される有機リン化合物、例えばトリフェニルホスフィンは原料アルコールに対して例えば1.0〜3.0モル当量の範囲で使用することが好ましいが、特に好ましくは1.0〜1.2モル当量を用いるのがよい。
上記反応は、好ましくは溶媒の存在下で行うことができる。溶媒の存在下で反応を行う場合、使用する溶媒の種類は反応に関与しないものであれば特に制限はない。溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、及びニトロベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、及びn−デカン等の脂肪族炭化水素類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、及び四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。これらのうち、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、又は1,2−ジクロロエタンが好ましく、トルエン、ジクロロメタン、又は1,2−ジクロロエタンがより好ましい。これらの溶媒は単独又は組み合わせて使用することもでき、溶媒の使用量は特に制限されない。
反応温度は特に限定されないが、通常は−50〜150℃の範囲で行えばよく、−20〜80℃がより好ましく、0〜30℃が特に好ましい。反応時間は、通常5分〜48時間が好ましく、30分〜36時間がより好ましく、1〜12時間が特に好ましい。
反応終了後、通常の後処理操作を行うことにより、粗生成物を得ることができる。得られた粗生成物は、必要に応じて、活性炭処理、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の精製操作を行うことにより、光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを高い化学純度及び光学純度で得ることができる。光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの光学純度としては、例えば95%ee以上、好ましくは96%ee以上であるが、特に限定されることはない。
<(c)N−ブロモコハク酸イミド及びジアルキルスルフィドの組み合わせについて>
上記(c)の組み合わせを用いる方法について以下詳しく説明する。
ジアルキルスルフィドにおける2個のアルキル基は同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。アルキル基としては上記のC1-10アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。本発明においては、2個のアルキル基がメチル基である場合、すなわちジアルキルスルフィドがジメチルスルフィドである場合が好ましい。
N−ブロモコハク酸イミドは原料アルコールに対して例えば1.0〜3.0モル当量の範囲で使用することができるが、好ましくは1.0〜1.8モル当量、より好ましくは1.4〜1.6モル当量を用いるのがよい。ジアルキルスルフィド、例えばジメチルスルフィドは原料アルコールに対して例えば1.0〜3.0モル当量の範囲で使用することができるが、好ましくは1.5〜2.0モル当量、より好ましくは1.7〜1.9モル当量を用いるのがよい。
上記反応は、好ましくは溶媒の存在下で行うことができる。溶媒の存在下で反応を行う場合、使用する溶媒の種類は反応に関与しないものであれば特に制限はない。溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、及びニトロベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、及びn−デカン等の脂肪族炭化水素類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、及び四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。これらのうち、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、又は1,2−ジクロロエタンが好ましく、トルエン、ジクロロメタン、又は1,2−ジクロロエタンがより好ましい。これらの溶媒は単独又は組み合わせて使用することもでき、溶媒の使用量は特に制限されない。
反応温度は特に限定されないが、通常は−50〜150℃の範囲で行えばよく、−20〜80℃がより好ましく、0〜30℃が特に好ましい。反応時間は、通常5分〜48時間が好ましく、30分〜36時間がより好ましく、1〜12時間が特に好ましい。
反応終了後、通常の後処理操作を行うことにより、粗生成物を得ることができる。得られた粗生成物は、必要に応じて、活性炭処理、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の精製操作を行うことにより、光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを高い化学純度及び光学純度で得ることができる。光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの光学純度としては、例えば95%ee以上、好ましくは96%ee以上であるが、特に限定されることはない。
<一般式(1)で表される1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体の光学活性体の製造方法>
上記の方法により得られた光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを用いて一般式(1)で表される1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体の光学活性体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を製造する方法としては、例えば、特許文献1及び特許文献2記載の、1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体のラセミ体の製造方法(上記 スキーム1及びスキーム2記載の方法)において、ラセミ体の1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(b)の代わりに光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを用いる方法等が挙げられる。
この場合において、光学活性1−ブロモ1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを塩基存在下において中間体化合物(a)又は(a´)とカップリングさせる反応は、低温条件(具体的には15℃以下、好適には0℃以下、より好適には−20℃以下、さらに好適には−40℃以下、さらに好適には−50℃以下、さらにより好適には−78〜−50℃、特に好適には−65〜−50℃)で行うのが好ましい。実施例4に記載の通り、当該条件を採用することにより、より高い光学純度の一般式(1)で表される1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体の光学活性体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を得ることができる。
なお、特許文献1及び特許文献2の記載は、参照により本明細書に引用する。
一般式(1)における、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級シクロアルキル低級アルキル基、アリール低級アルキル基、ヒドロキシカルボニル低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル低級アルキル基における低級アルキル基としては、直鎖、又は分岐鎖の炭素数1〜6のもの(C1-6アルキルと表記する)、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基等が挙げられる。
一般式(1)における、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルキルチオ低級アルコキシ基、低級アルキルスルフィニル低級アルコキシ基、低級アルキルスルホニル低級アルコキシ基、アリール低級アルコキシ基、低級アルコキシ低級アルコキシ基、低級アルコキシ低級アルキルアミノ基、ヒドロキシ低級アルコキシ基、ヒドロキシカルボニル低級アルコキシ基、アミノ低級アルコキシ基、低級アルキルアミノ低級アルコキシ基、低級ジアルキルアミノ低級アルコキシ基における低級アルコキシ基としては、直鎖、又は分岐鎖の炭素数1〜6のもの(C1-6アルコキシと表記する)、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、2−メチルブトキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基等が挙げられる。
一般式(1)における、低級アルキルチオ基、低級アルキルチオ低級アルコキシ基、低級アルキルチオ低級アルキルアミノ基における低級アルキルチオ基としては、直鎖、又は分岐鎖の炭素数1〜6のもの(C1-6アルキルチオと表記する)、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、t−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、2−メチルブチルチオ基、2,2−ジメチルプロピルチオ基等が挙げられる。
一般式(1)における、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルフィニル低級アルコキシ基、低級アルキルスルフィニル低級アルキルアミノ基における低級アルキルスルフィニル基としては、直鎖、又は分岐鎖の炭素数1〜6のもの(C1-6アルキルスルフィニルと表記する)、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、n−プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、n−ブチルスルフィニル基、イソブチルスルフィニル基、t−ブチルスルフィニル基、n−ペンチルスルフィニル基、2−メチルブチルスルフィニル基、2,2−ジメチルプロピルスルフィニル基等が挙げられる。
一般式(1)における、低級アルキルスルホニル基、低級アルキルスルホニル低級アルコキシ基、低級アルキルスルホニル低級アルキルアミノ基における低級アルキルスルホニル基としては、直鎖、又は分岐鎖の炭素数1〜6のもの(C1-6アルキルスルホニルと表記する)、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基、n−ペンチルスルホニル基、2−メチルブチルスルホニル基、2,2−ジメチルプロピルスルホニル基等が挙げられる。
一般式(1)における、低級アルキルカルボニル基としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数2〜6のもの(C2-6アルキルカルボニルと表記する)、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、イソブチルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、2−メチルブチルカルボニル基、2,2−ジメチルプロピルカルボニル基等が挙げられる。
一般式(1)における、低級アルコキシカルボニル基、低級アルコキシカルボニル低級アルキル基における低級アルコキシカルボニル基としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数2〜6のもの(C2-6アルコキシカルボニルと表記する)、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、2−メチルブトキシカルボニル基、2,2−ジメチルプロポキシカルボニル基等が挙げられる。
一般式(1)における、アシルアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数2〜6のもの(C2-6アシルアミノと表記する)、例えば、アセチルアミノ基、n−プロピオニルアミノ基、イソプロピオニルアミノ基、ブチリルアミノ基、イソブチリルアミノ基、t−ブチリルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、2−メチルブチリルアミノ基、2,2−ジメチルプロピオニルアミノ基等が挙げられる。
一般式(1)における、低級アルキルアミノ基、低級アルキルチオ低級アルキルアミノ基、低級アルキルスルフィニル低級アルキルアミノ基、低級アルキルスルホニル低級アルキルアミノ基、低級アルコキシ低級アルキルアミノ基、ヒドロキシ低級アルキルアミノ基、低級アルキルアミノ低級アルコキシ基における低級アルキルアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6のもの(C1-6アルキルアミノと表記する)、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、2−メチルブチルアミノ基、2,2−ジメチルプロピルアミノ基等が挙げられる。
一般式(1)における、低級ジアルキルアミノ基、低級ジアルキルアミノ低級アルコキシ基における低級ジアルキルアミノ基としては、それぞれ同一又は異なる直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基が2個置換したアミノ基(ジC1-6アルキルアミノと表記する)、例えば、(エチル)(メチル)アミノ基、(イソプロピル)(n−プロピル)アミノ基、(n−ブチル)(イソブチル)アミノ基、(t−ブチル)(n−ペンチル)アミノ基、(2,2−ジメチルプロピル)(2−メチルブチル)アミノ基等が挙げられる。
一般式(1)における、低級アルキルスルホニルアミノ基、ハロ低級アルキルスルホニルアミノ基における低級アルキルスルホニルアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6のもの(C1-6アルキルスルホニルアミノと表記する)、例えば、メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、n−プロピルスルホニルアミノ基、イソプロピルスルホニルアミノ基、n−ブチルスルホニルアミノ基、イソブチルスルホニルアミノ基、t−ブチルスルホニルアミノ基、n−ペンチルスルホニルアミノ基、2−メチルブチルスルホニルアミノ基、2,2−ジメチルプロピルスルホニルアミノ基等が挙げられる。
一般式(1)における、低級シクロアルキル基、低級シクロアルキル低級アルキル基における低級シクロアルキル基としては、環状の炭素数3〜8のもの(C3-8シクロアルキルと表記する)、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基等が挙げられる。
一般式(1)における、アリール基、アリール低級アルキル基、アリール低級アルコキシ基、アリールアミノ基、アリールスルホニルアミノ基におけるアリール基としては、炭素数6〜10のもの(C6-10アリールと表記する)、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
一般式(1)における、ハロゲン原子、ハロ低級アルキル基、ハロ低級アルコキシ基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
1における低級アルキルチオ低級アルコキシ基としては、メチルチオメトキシ基、2−メチルチオエトキシ基、3−メチルチオプロポキシ基等のC1-6アルキルチオC1-6アルコキシ基が挙げられ、2−メチルチオエトキシ基が好ましい。
1における低級アルキルスルフィニル低級アルコキシ基としては、メチルスルフィニルメトキシ基、2−メチルスルフィニルエトキシ基、3−メチルスルフィニルプロポキシ基等のC1-6アルキルスルフィニルC1-6アルコキシ基が挙げられ、2−メチルスルフィニルエトキシ基が好ましい。
1における低級アルキルスルホニル低級アルコキシ基としては、メチルスルホニルメトキシ基、2−メチルスルホニルエトキシ基、3−メチルスルホニルプロポキシ基等のC1-6アルキルスルホニルC1-6アルコキシ基が挙げられ、2−メチルスルホニルエトキシ基が好ましい。
1における構成原子にヘテロ原子を有してもよい環状アミノ基としては、例えば、ピロリジニル基、モルホリニル基、ピペリジニル基が挙げられ、モルホリノ基、ピペリジノ基が好ましい。
1における置換基を有してもよいアリール低級アルコキシ基における置換基としては、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、シアノ基等が挙げられる。また、これらの置換基の置換位置は特に限定されないが、本発明においては、アリール低級アルコキシ基のアリール環上に置換するのが好ましい。さらに、こうした置換基の数としては、1〜3個が好ましい。このような基としては、フェニル基上に置換基としてハロゲン原子、ハロC1-6アルキル基、又はシアノ基を1〜3個有してもよいフェニルC1-6アルコキシ基、例えば、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル基、3−シアノ−5−トリフルオロメチルベンジルオキシ基、2,3−ジフルオロベンジルオキシ基等が挙げられる。
1としては、ハロゲン原子、C1-6アルキルチオC1-6アルコキシ基、C1-6アルキルスルフィニルC1-6アルコキシ基、C1-6アルキルスルホニルC1-6アルコキシ基、C6-10アリールC1-6アルコキシ基(当該C6-10アリールC1-6アルコキシ基は、そのアリール環上に置換基としてハロゲン原子、ハロC1-6アルキル基、若しくはシアノ基を有してもよい)、モルホリニル基、又はピペリジニル基であるのが好ましく、C1-6アルキルチオC1-6アルコキシ基、C1-6アルキルスルフィニルC1-6アルコキシ基、又はC1-6アルキルスルホニルC1-6アルコキシ基であるのが特に好ましい。
2、及びR3における低級アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基等が挙げられる。R2、及びR3における低級アルキル基としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基、又はエチル基がさらに好ましく、エチル基が特に好ましい。
2、及びR3における低級シクロアルキル低級アルキル基としては、例えば、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロへキシルメチル基、シクロプロピルエチル基、シクロブチルエチル基、シクロペンチルエチル基、シクロへキシルエチル基等のC3-8シクロアルキルC1-6アルキル基が挙げられる。R2、及びR3における低級シクロアルキル低級アルキル基としては、C3-8シクロアルキルC1-6アルキル基が好ましく、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロへキシルメチル基がさらに好ましく、シクロペンチルメチル基、シクロへキシルメチル基が特に好ましい。
2、及びR3において、置換基を有してもよい低級シクロアルキル低級アルキル基における置換基としては、例えば、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、ヒドロキシカルボニル基、低級アルコキシカルボニル基、ヒドロキシカルボニル低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル低級アルキル基等が挙げられ、ヒドロキシカルボニルC1-6アルキル基、又はC1-6アルコキシカルボニルC1-6アルキル基が好ましい。また、これらの置換基の置換位置は特に限定されないが、本発明においては、低級シクロアルキル基上に置換するのが好ましい。さらに、こうした置換基の数としては、1〜3個が好ましい。このような置換基を有する低級シクロアルキル低級アルキル基としては例えば、{4−[(ヒドロキシカルボニル)メチル]シクロヘキシル}メチル基、{4−[(エトキシカルボニル)メチル]シクロヘキシル}メチル基等の、シクロアルキル基上に置換基としてヒドロキシカルボニルC1-6アルキル基、又はC1-6アルコキシカルボニルC1-6アルキル基を1個有するC3-8シクロアルキルC1-6アルキル基が挙げられる。
2、及びR3が一緒になって隣接する窒素原子とともに形成する含窒素飽和複素環としては、例えば、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ホモピペリジノ基、モルホリノ基等の、R2、及びR3が隣接する窒素原子の他に、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群から選ばれる1種又は2種以上のヘテロ原子を1〜2個有していてもよい5〜8員の含窒素飽和複素環が挙げられる。R2、及びR3が一緒になって隣接する窒素原子とともに形成する含窒素飽和複素環は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級シクロアルキル基等が挙げられる。また、こうした置換基の数としては、1〜2個が好ましい。こうした置換基を有する、R2、及びR3が一緒になって隣接する窒素原子とともに形成する含窒素飽和複素環としては、4−メチルピペリジノ基、cis−2,6−ジメチルモルホリノ基等の、置換基としてC1-6アルキル基を1〜2個有するピペリジノ基、又はモルホリノ基が挙げられる。
2、及びR3において、置換基を有してもよいアリール低級アルキル基における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、又はシアノ基が挙げられる。また、こうした置換基の数としては、1〜3個が好ましい。また、これらの置換基の置換位置は特に限定されないが、本発明においては、アリール低級アルキル基のアリール環上に置換するのが好ましい。このような基としては、フェニル基上に置換基としてC1-6アルコキシ基を有してもよいフェニルC1-6アルキル基、例えば、4−メトキシベンジル基等が挙げられる。
2、及びR3としては、それぞれ独立にC1-6アルキル基、C3-8シクロアルキルC1-6アルキル基(当該C3-8シクロアルキルC1-6アルキル基は、そのシクロアルキル基上に置換基としてヒドロキシカルボニルC1-6アルキル基若しくはC1-6アルコキシカルボニルC1-6アルキル基を有してもよい)、若しくはアリール環上に置換基としてC1-6アルコキシ基を有してもよいC6-10アリールC1-6アルキル基であるか、又はR2、及びR3が一緒になって隣接する窒素原子とともに置換基としてC1-6アルキル基を有してもよい5〜8員の含窒素飽和複素環(当該複素環は、R2、及びR3が隣接する窒素原子の他に、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群から選ばれる1種以上のヘテロ原子を1〜2個有していてもよい)を形成するものであるのが好ましく、C1-6アルキル基、若しくはC3-8シクロアルキルC1-6アルキル基(当該C3-8シクロアルキルC1-6アルキル基は、そのシクロアルキル基上に置換基としてヒドロキシカルボニルC1-6アルキル基若しくはC1-6アルコキシカルボニルC1-6アルキル基を1個有してもよい)であるか、又はR2、及びR3が一緒になって隣接する窒素原子とともにモルホリノ基、若しくはピペリジノ基(当該モルホリノ基、若しくはピペリジノ基は、置換基としてC1-6アルキル基を1〜2個有してもよい)を形成するものであるのがより好ましく、エチル基、シクロペンチルメチル基、エトキシカルボニルメチルシクロヘキシルメチル基、若しくはヒドロキシカルボニルメチルシクロヘキシルメチル基であるか、又はR2、及びR3が一緒になって隣接する窒素原子とともにモルホリノ基、ピペリジノ基、メチルピペリジノ基、ジメチルモルホリノ基を形成するのが特に好ましい。
4、R5、R6、及びR7におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
4、R5、R6、及びR7における低級アルキル基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。R4、R5、R6、及びR7における低級アルキル基としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基、又はエチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
4、R5、R6、及びR7におけるハロ低級アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基等のハロゲン原子が1〜5個置換した低級アルキル基が挙げられ、トリフルオロメチル基が好ましい。
4、R5、R6、及びR7における低級アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基等が挙げられる。R4、R5、R6、及びR7における低級アルコキシ基としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、又はエトキシ基がさらに好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
4、R5、R6、及びR7において、置換基を有してもよいアミノ基における置換基としては、例えば、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、アリール基等が挙げられる。
4、R5、R6、及びR7としては、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、又はC1-6アルコキシ基であるのが好ましく、R4、R6、及びR7が水素原子であり、R5がハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、又はC1-6アルコキシ基であるのがより好ましい。
4、R5、R6、及びR7における一つの好適な態様としては、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも一つがハロゲン原子であり、R4、R5、R6、及びR7における残りが水素原子であるのが好ましく、R4、R6、及びR7が水素原子であり、R5がハロゲン原子、さらに好適には臭素原子であるのがより好ましい。
また、R4、R5、R6、及びR7における別の好適な態様としては、R5がC1-6アルキル基であり、R4、R6、及びR7が、それぞれ独立に水素原子、又はハロゲン原子であるのが好ましく、R5がC1-6アルキル基であり、R4、R6、及びR7が、水素原子であるのがより好ましい。
また、R4、R5、R6、及びR7における別の好適な態様としては、R5、及びR6のうちの少なくとも一つがハロC1-6アルキル基であり、R4、R5、R6、及びR7における残りが水素原子であるのが好ましく、R5がハロC1-6アルキル基であり、R4、R6、及びR7が水素原子であるのがさらに好ましい。
また、R4、R5、R6、及びR7における別の好適な態様としては、R5、及びR6のうちの少なくとも一つがC1-6アルコキシ基であり、R4、R5、R6、及びR7における残りが水素原子であるのが好ましく、R5がC1-6アルコキシ基であり、R4、R6、及びR7が水素原子であるのがさらに好ましい。
8、及びR9における低級アルキル基としては例えば、メチル基、エチル基等が挙げられる。
8、及びR9におけるハロ低級アルキル基としては例えば、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
8、及びR9における低級アルコキシ基としては例えば、メトキシ基等が挙げられる。
8、及びR9における置換基を有してもよいアミノ基における置換基としては例えば、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、アリール基等が挙げられる。
8、及びR9としては、それぞれ独立に水素原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、ハロゲン原子、又はC1-6アルコキシ基であることが好ましく、水素原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、又はC1-6アルコキシ基であることがより好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、又はメトキシ基であることが特に好ましい。
環A´で表される、環構成原子が6〜10個であり、環構成原子の少なくとも一つが窒素原子である単環性の複素環は、少なくとも1つの不飽和結合を有していればよく、芳香族性を有する単環性の複素環も芳香族性を有しない単環性の複素環も含まれるが、芳香族性を有する単環性の複素環が好ましい。また、環構成原子としては、少なくとも一つ窒素原子を有していればよく、さらに他に窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を複数有していてもよい。こうした単環性の複素環としては例えば、
Figure 2013136573
等が挙げられる。
環A´で表される、環構成原子が6〜10個であり、環構成原子の少なくとも一つが窒素原子である二環性の複素環は、少なくとも1つの不飽和結合を有していればよく、芳香族性を有する二環性の複素環も芳香族性を有しない二環性の複素環も含まれるが、縮合する二個の環のうち少なくとも一方が芳香族性を有する環であるのが好ましい。また、環構成原子としては、少なくとも一つ窒素原子を有していればよく、さらに他に窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を複数有していてもよい。こうした二環性の複素環としては例えば、
Figure 2013136573
等が挙げられる。
環A´としては、
Figure 2013136573
が好ましく、
Figure 2013136573
がより好ましい。
8、及びR9の環A´上の結合位置は、特に限定されるものではないが、例えば
Figure 2013136573
(この場合において、R8、及びR9は上記と同様であるが、それぞれ独立に水素原子、又はC1-6アルキル基であることが好ましく、R8が水素原子、又はC1-6アルキル基であり、R9がC1-6アルキル基であるのがより好ましい。)、
Figure 2013136573
(この場合において、R8、及びR9は上記と同様であるが、それぞれ独立に水素原子、又はC1-6アルコキシ基であることが好ましく、R8がC1-6アルコキシ基であり、R9が水素原子であるのがより好ましい。)、
Figure 2013136573
(この場合において、R8、及びR9は上記と同様であるが、水素原子であるのが好ましい。)、
Figure 2013136573
(この場合において、R8、及びR9は上記と同様であるが、それぞれ独立に水素原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、又はC1-6アルコキシ基であることが好ましく、R8が水素原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、又はC1-6アルコキシ基であり、R9が水素原子であるのがより好ましい。)、
Figure 2013136573
(この場合において、R8、及びR9は上記と同様であるが、C1-6アルキル基であるのが好ましい。)等が挙げられる。
一般式(1)において、各置換基の組み合わせとしては、
1が、C1-6アルキルチオC1-6アルコキシ基、C1-6アルキルスルフィニルC1-6アルコキシ基、又はC1-6アルキルスルホニルC1-6アルコキシ基であり、
2、及びR3が、それぞれ独立にC1-6アルキル基、若しくはC3-8シクロアルキルC1-6アルキル基(当該C3-8シクロアルキルC1-6アルキル基は、そのシクロアルキル基上に置換基としてヒドロキシカルボニルC1-6アルキル基若しくはC1-6アルコキシカルボニルC1-6アルキル基を1個有してもよい)であるか、又はR2、及びR3が一緒になって隣接する窒素原子とともにモルホリノ基、若しくはピペリジノ基(当該モルホリノ基、若しくはピペリジノ基は、置換基としてC1-6アルキル基を1〜2個有してもよい)を形成するものであり、
4、R5、R6、及びR7が、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、又はC1-6アルコキシ基であり、
8、及びR9が、それぞれ独立に水素原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、又はC1-6アルコキシ基であり、
環A´が、
Figure 2013136573
である組み合わせが好ましい。
本発明において、一般式(1)で表される1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体としては、特許文献1及び2にラセミ体として開示されている以下の化合物:
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−5−(トリフルオロメチル)フェニル}メチル)−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例1記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−5−(トリフルオロメチル)フェニル}メチル)−5−[2−(メチルスルフィニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例2記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−5−(トリフルオロメチル)フェニル}メチル)−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例3記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−5−メトキシフェニル}メチル)−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例4記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−5−メトキシフェニル}メチル)−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例5記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−3,5−ジフルオロフェニル}メチル)−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例6記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−3,5−ジフルオロフェニル}メチル)−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例7記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−5−メチルフェニル}メチル)−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例8記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−5−メチルフェニル}メチル)−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例9記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−4−フルオロフェニル}メチル)−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例10記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−4−フルオロフェニル}メチル)−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例11記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−4−メトキシフェニル}メチル)−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例12記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−4−メトキシフェニル}メチル)−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例13記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}メチル)−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例14記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}メチル)−5−[2−(メチルスルフィニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例15記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}メチル)−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例16記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−クロロ−6−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−3−メチルフェニル}メチル)−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例17記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−クロロ−6−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−3−メチルフェニル}メチル)−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例18記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]フェニル}メチル)−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例19記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]フェニル}メチル)−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例20記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−4,5−ジフルオロフェニル}メチル)−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例21記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−4,5−ジフルオロフェニル}メチル)−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例22記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({4−クロロ−2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]フェニル}メチル)−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例23記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({4−クロロ−2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]フェニル}メチル)−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例24記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−5−フルオロフェニル}メチル)−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例25記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−5−フルオロフェニル}メチル)−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例26記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({4−ブロモ−2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]フェニル}メチル)−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例27記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({4−ブロモ−2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]フェニル}メチル)−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例28記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({5−ブロモ−2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]フェニル}メチル)−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例29記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({5−ブロモ−2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]フェニル}メチル)−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例30記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−{[2−(ピペリジノ)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例35記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−{[2−(ピペリジノ)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例36記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−{[2−(モルホリノ)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例37記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−{[2−(モルホリノ)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例38記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−{[2−(4−メチルピペリジノ)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例39記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−{[2−(4−メチルピペリジノ)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例40記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−{[2−(cis−2,6−ジメチルモルホリノ)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例41記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−{[2−(cis−2,6−ジメチルモルホリノ)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例42記載の化合物)、
trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸エチル(特許文献1 実施例43記載の化合物)、
trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(特許文献1 実施例44記載の化合物)、
trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(特許文献1 実施例45記載の化合物)、
N−({2−[ビス(シクロプロピルメチル)アミノ]−3,5−ジフルオロフェニル}メチル)−N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例46記載の化合物)、
N−({2−[ビス(シクロプロピルメチル)アミノ]−3,5−ジフルオロフェニル}メチル)−N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献1 実施例47記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({3−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−6−メトキシピリジン−2−イル}メチル)−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献2 実施例1記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({3−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−6−メトキシピリジン−2−イル}メチル)−5−[2−(メチルスルフィニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献2 実施例2記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({3−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−6−メトキシピリジン−2−イル}メチル)−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献2 実施例3記載の化合物)、
5−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−N−(シクロペンチルメチル)−N−エチル−1,3−ジメチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−アミン(特許文献2 実施例4記載の化合物)、
5−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−N−(シクロペンチルメチル)−N−エチル−1,3−ジメチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−アミン(特許文献2 実施例5記載の化合物)、
3−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−N−(シクロペンチルメチル)−N−エチルキノリン−2−アミン(特許文献2 実施例6記載の化合物)、
3−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−N−(シクロペンチルメチル)−N−エチルキノリン−2−アミン(特許文献2 実施例7記載の化合物)、
3−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−N−(シクロペンチルメチル)−N−エチル−6−メトキシキノリン−2−アミン(特許文献2 実施例8記載の化合物)、
3−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−N−(シクロペンチルメチル)−N−エチル−6−メトキシキノリン−2−アミン(特許文献2 実施例9記載の化合物)、
3−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−N−(シクロペンチルメチル)−N−エチル−6−トリフルオロメチルキノリン−2−アミン(特許文献2 実施例10記載の化合物)、
3−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−N−(シクロペンチルメチル)−N−エチル−6−トリフルオロメチルキノリン−2−アミン(特許文献2 実施例11記載の化合物)、
3−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−N−(シクロペンチルメチル)−N−エチル−6−メチルキノリン−2−アミン(特許文献2 実施例12記載の化合物)、
3−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−N−(シクロペンチルメチル)−N−エチル−6−メチルキノリン−2−アミン(特許文献2 実施例13記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−6−メチルピリジン−3−イル}メチル)−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献2 実施例14記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−6−メチルピリジン−3−イル}メチル)−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献2 実施例15記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−6−エチルピリジン−3−イル}メチル)−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献2 実施例16記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−6−エチルピリジン−3−イル}メチル)−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献2 実施例17記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−5,6−ジメチルピリジン−3−イル}メチル)−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献2 実施例18記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({2−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]−5,6−ジメチルピリジン−3−イル}メチル)−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献2 実施例19記載の化合物)、
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({3−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]ピラジン−2−イル}メチル)−5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献2 実施例24記載の化合物)、又は
N−{1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−N−({3−[(シクロペンチルメチル)(エチル)アミノ]ピラジン−2−イル}メチル)−5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−アミン(特許文献2 実施例25記載の化合物)
が好ましく、
trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、又はtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸がより好ましい。
なお、上記の各化合物のラセミ体の構造式を以下の表に示す。
Figure 2013136573
Figure 2013136573
Figure 2013136573
Figure 2013136573
Figure 2013136573
Figure 2013136573
一般式(1)で表される1−[3,5−(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体の光学活性体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物としては、光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が好ましく、光学活性な、下記式
Figure 2013136573
で表される(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(以下、本明細書において「(S)体化合物」とも称する。)、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が特に好ましい。
すなわち、本発明としては、
臭素化剤として以下の(a)〜(c)のいずれか:
(a)ハロゲン化リン及び臭化水素の組み合わせ;
(b)1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン及び一般式(4)
Figure 2013136573
(式中、R10、R11及びR12はそれぞれ独立にC6-10アリール基、C6-10アリールオキシ基、C1-10アルキル基、C1-10アルコキシ基、C3-8シクロアルキル基、又はC3-8シクロアルコキシ基を示す)で表される有機リン化合物の組み合わせ;
(c)N−ブロモコハク酸イミド及びジアルキルスルフィドの組み合わせ;
を用いて光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールを臭素化して光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを得る工程を含む、光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法であるのが好ましく、
臭素化剤として以下の(a)〜(c)のいずれか:
(a)ハロゲン化リン及び臭化水素の組み合わせ;
(b)1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン及び一般式(4)
Figure 2013136573
(式中、R10、R11及びR12はそれぞれ独立にC6-10アリール基、C6-10アリールオキシ基、C1-10アルキル基、C1-10アルコキシ基、C3-8シクロアルキル基、又はC3-8シクロアルコキシ基を示す)で表される有機リン化合物の組み合わせ;
(c)N−ブロモコハク酸イミド及びジアルキルスルフィドの組み合わせ;
を用いて光学活性(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールを臭素化して光学活性(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを得る工程を含む、光学活性な(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法であるのが特に好ましい。
高い光学純度を有する(S)体化合物は優れたCETP阻害活性を有しており、また、下記実施例5に記載の通り、優れた血中LDLコレステロール低下作用を有することが確認された。従って、本発明の方法により得られる光学活性な(S)体化合物は、例えば血中LDLコレステロールを低下させるための医薬(より具体的には、高LDL血症、脂質異常症(高脂血症)、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、心臓血管障害、狭心症、虚血、心虚血、血栓症、心筋梗塞、再灌流障害、血管形成性再狭窄、又は高血圧等の予防及び/又は治療のための医薬)の有効成分等として好適に利用できる。
なお、下記実施例2、3に記載のとおり、特許文献1記載の上記スキーム1の方法において光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを用いた場合、塩基存在下にて行うカップリング反応時に部分的にラセミ化が生じ光学純度が低下する(なお、本明細書において、当該部分的なラセミ化により光学純度が低下した化合物を「部分ラセミ化体」と表現する場合がある。さらに、当該「部分ラセミ化体」において、下記の部分構造
Figure 2013136573
において*印で示される不斉炭素原子がS配置のエナンチオマーが、R配置のエナンチオマーよりも過剰量存在する場合を特に「(S)体優位の部分ラセミ化体」と称する。また、当該「部分ラセミ化体」において、*印で示される不斉炭素原子がR配置のエナンチオマーが、S配置のエナンチオマーよりも過剰量存在する場合を特に「(R)体優位の部分ラセミ化体」と称する。)。
従って、光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の中でも、特に高光学純度(具体的には、好ましくは95%ee以上、より好ましくは97〜100%ee、さらに好ましくは98〜100%ee、特に好ましくは99〜100%ee)のものを製造する場合においては、以下に示す2種の優先晶析法を利用した方法(それぞれ「優先晶析法A」、「優先晶析法B」と称する。)によるのが好ましい。
<優先晶析法A>
本方法は、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸のカルボン酸をベンジルエステル等のアリールアルキル又はヘテロアリールアルキルエステルに変換して得られる化合物が、ラセミ体を主成分とする低光学純度の結晶(以下、本明細書において「ラセミ体優位の結晶」と称する場合がある。)として単離可能であることを見出したことに基づく方法である。
光学活性な(S)体化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の、優先晶析法Aによる製造の概略を下記のスキーム6に示す。
また、光学活性な(R)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(以下、本明細書において「(R)体化合物」とも称する)、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の、優先晶析法Aによる製造の概略を下記のスキーム7に示す。
なお、スキーム6及びスキーム7中、R13はC1-6アルキル基を示し、R14は置換基を有していてもよいC6-10アリール基又は置換基を有してもよい5−10員ヘテロアリール基を示し、nは1〜6の整数を示す。
ここで、「置換基を有していてもよいC6-10アリール基」の「C6-10アリール」部は、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を意味し、例えば、フェニル基、ナフチル基、アズレニル基等が挙げられる。また、「置換基を有していてもよい5−10員へテロアリール基」の「5−10員へテロアリール」部は、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選ばれるヘテロ原子を環構成原子として1から4個含有する5〜10員の単環式、多環式、又は縮合環式の芳香族ヘテロ環基を意味し、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、プリニル基、プテリジニル基、フロピリジル基、チエノピリジル基、ピロロピリジル基、オキサゾロピリジル基、チアゾロピリジル基、イミダゾピリジル基等が挙げられる。さらに、「置換基を有していてもよいC6-10アリール基」、「置換基を有していてもよい5−10員ヘテロアリール基」の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、ニトロ基等が挙げられる。また、置換基の数は、1〜置換可能な最大数であり、通常、1〜5個の置換基を有していてもよい。
スキーム6
Figure 2013136573
スキーム7
Figure 2013136573
<工程A>
本工程はアミン(I)を塩基存在下、光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(II)又は(II´)と反応させ、部分ラセミ化体(III)を製造する工程である。光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(II)又は(II´)の量は、特に制限は無いが、アミン(I)に対して1.0〜3.0モル当量、好ましくは1.5〜2.5モル当量用いればよい。
なお、アミン(I)は公知の化合物であり、その製造方法は、例えば特許文献1に記載されている。
本反応は溶媒中、塩基の存在下により行うことができる。溶媒としては、特に制限は無いが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、トルエン等を単独又は組み合わせて使用することができる。溶媒としては、好ましくはN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン及びそれらの混合溶媒を挙げることができる。溶媒の量は、特に制限は無いが、アミン(I)に対して2〜30倍量(V/W)、好ましくは10〜25倍量(V/W)、より好ましくは12〜20倍量(V/W)を用いればよい。
塩基としては、特に制限は無いが、例えば、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属類;金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム等のアルカリ金属類;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属類;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類;リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムジイソプロピルアミド、カリウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド等のアルカリ金属アミド類;t−ブトキシナトリウム、t−ブトキシカリウム、t−ペントキシナトリウム、t−ペントキシカリウム等のアルコキシアルカリ金属類;n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等の有機リチウム類を使用することができる。塩基としては、好ましくはアルコキシアルカリ金属類を、より好ましくはt−ペントキシナトリウムを挙げることができる。塩基の量は、特に制限は無いが、アミン(I)に対して1.0〜5.0モル当量、好ましくは1.5〜3.0モル当量用いればよい。
反応温度は、特に制限は無いが、通常100℃以下の範囲で行えばよく、好ましくは−78〜0℃、より好ましくは−78〜−20℃、特に好ましくは−65〜−50℃である。反応時間は、特に制限は無いが、通常5分〜48時間、好ましくは30分〜24時間、より好ましくは3〜10時間である。
なお、本工程において、その反応温度は低く設定すること(具体的には15℃以下、好適には0℃以下、より好適には−20℃以下、さらに好適には−40℃以下、さらに好適には−50℃以下、さらにより好適には−78〜−50℃、特に好適には−65〜−50℃)が好ましい。実施例4に記載の通り、本発明者らは、当該条件を採用することにより、本工程により生じる部分ラセミ化が顕著に抑制されることを別途見出した。係る工程での部分ラセミ化が抑制できれば、後述する工程Eにおいて排除されることとなる不要なラセミ体の量が減り、製造方法の経済効率が格段に向上するため好ましい。
<工程B>
本工程は部分ラセミ化体(III)を加水分解し、部分ラセミ化体(IV)を製造する工程である。
本反応は溶媒中で塩基の存在下により行うことができる。溶媒としては、特に制限は無いが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール等のアルコール類やアセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジオキサン及び水等を単独又は組み合わせて使用することができる。溶媒としては、好ましくはアルコール類と水の組み合わせ、より好ましくはエタノールと水の組合せを挙げることができる。溶媒の量は、特に制限は無いが、部分ラセミ化体(III)に対して2〜100倍量(V/W)、好ましくは4〜20倍量(V/W)、より好ましくは5〜15倍量(V/W)を用いればよい。
塩基としては、特に制限は無いが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属類;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類;水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(Triton B)等の水酸化四級アンモニウム等を使用することができる。塩基としては、好ましくは水酸化アルカリ金属類、より好ましくは水酸化ナトリウムを挙げることができる。塩基の量は、特に制限は無いが、部分ラセミ化体(III)に対して1.0〜10.0モル当量、好ましくは2.0〜5.0モル当量用いればよい。
反応温度は、特に制限は無いが、通常0〜100℃の範囲で行えばよく、好ましくは30〜80℃、より好ましくは40〜60℃である。反応時間は、特に制限は無いが、通常5分〜48時間が好ましく、より好ましくは30分〜12時間、特に好ましくは2〜8時間である。
<工程C>
本工程は部分ラセミ化体(IV)とアルコール(V)とを縮合し、部分ラセミ化体(VI)を製造する工程である。アルコール(V)の量は、特に制限は無いが、部分ラセミ化体(IV)に対して、0.8〜2.0モル当量、好ましくは1.0〜1.2モル当量用いればよい。
本反応は溶媒中、塩基の存在下又は非存在下、縮合剤を用いて行うことができる。縮合促進剤の存在下で反応を行ってもよい。溶媒としては特に制限は無いが、例えば、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等の酢酸エステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、プロピオニトリル等を使用することができる。溶媒としては、好ましくはハロゲン化炭化水素類、より好ましくはジクロロエタンを挙げることができる。溶媒の量は、特に制限は無いが、部分ラセミ化体(IV)に対して、5〜100倍量(V/W)、好ましくは10〜20倍量(V/W)を用いればよい。
塩基としては特に制限は無いが、例えば、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、コリジン、ルチジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルペンチルアミン、トリメチルアミン等の有機塩基類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属類;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属類;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の重炭酸アルカリ金属等を使用することができる。
縮合促進剤としては特に制限は無いが、DMAP、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HODhbt)、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド(HONB)、ペンタフルオロフェノール(HOPfp)、N−ヒドロキシフタルイミド(HOPht)、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)等を使用することができる。縮合促進剤としては、DMAPが好ましい。縮合促進剤の量は、特に制限は無いが、部分ラセミ化体(IV)に対して、0.001〜1.0モル当量、好ましくは0.05〜0.5モル当量を用いればよい。
縮合剤としては特に制限は無いが、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチル−カルボジイミド(通称:Water soluble carbodiimide:WSCI)、WSC・HCl等を使用することができる。縮合剤としては、好ましくはWSC・HClである。縮合剤の量は、特に制限は無いが、部分ラセミ化体(IV)に対して、1.0〜3.0モル当量、好ましくは1.0〜1.2モル当量を用いればよい。
反応温度は、特に制限は無いが、通常0〜100℃の範囲で行えばよく、好ましくは0〜80℃、より好ましくは10〜30℃である。反応時間は、特に制限は無いが、通常5分〜48時間が好ましく、より好ましくは30分〜24時間、特に好ましくは8〜16時間である。
<工程D>
本工程は部分ラセミ化体(VI)の硫黄原子を酸化することにより、部分ラセミ化体(VII)を製造する工程である。
酸化方法としては硫黄原子をスルホニル基へと変換する通常の方法を適用することができる。酸化剤としては、特に制限は無いが、例えば、触媒量のタングステン酸ナトリウム、二塩化二酸化モリブデンあるいは五塩化タンタルを用いた過酸化水素水による酸化反応や、過ホウ素酸ナトリウム、Oxone(登録商標)、過ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸カリウム、メタクロロ過安息香酸(mCPBA)、ピリジニウムクロロクロメート(PCC)、ピリジニウムジクロメート(PDC)、N−クロロコハク酸イミド(NCS)、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)、N−ヨードコハク酸イミド(NIS)、ヨウ素、臭素等を使用することができる。酸化剤としては、好ましくは五塩化タンタルと過酸化水素水の組み合わせである。五塩化タンタルの量は、特に制限は無いが、部分ラセミ化体(VI)に対して、0.001〜1.0モル当量、好ましくは0.05〜0.5モル当量を用いればよい。過酸化水素水の量は、特に制限は無いが、部分ラセミ化体(VI)に対して、1.0〜10モル当量、好ましくは4.0〜6.0モル当量を用いればよい。
溶媒としては特に制限は無いが、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノールなどのアルコール類;アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸等が挙げられる。溶媒としては、好ましくはアルコール類、より好ましくは2−プロパノールを挙げることができる。溶媒の量は、特に制限は無いが、部分ラセミ化体(VI)に対して、5〜100倍量(V/W)、好ましくは10〜30倍量(V/W)を用いればよい。
反応温度は、特に制限は無いが、通常0〜100℃の範囲で行えばよく、好ましくは10〜60℃、より好ましくは10〜30℃である。反応時間は、特に制限は無いが、通常5分〜48時間が好ましく、より好ましくは30分〜24時間、特に好ましくは8〜16時間である。
<工程E>
本工程は部分ラセミ化体(VII)からラセミ体優位な低光学純度の結晶を優先晶析することにより、高光学純度のエナンチオマー(VIII)又は(VIII´)を製造する
工程である。
本工程は、部分ラセミ化体(VII)を含有する溶媒中で、ラセミ体優位な結晶を晶出させた後、得られたラセミ体優位の結晶を除去することにより、母液中に高光学純度の化合物(VIII)又は(VIII´)を残存させる工程である。
溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類が挙げられ、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6のアルコールが好ましく、エタノール、イソプロパノールが特に好ましい。溶媒の量は、特に制限は無いが、部分ラセミ化体(VII)に対して、2〜20倍量(V/W)、好ましくは4〜10倍量(V/W)、より好ましくは5〜8倍量(V/W)である。
結晶化は、部分ラセミ化体(VII)を溶媒に溶解し、10〜40℃、好ましくは15〜20℃で、30分〜2日間、好ましくは15〜24時間攪拌すればよく、結晶の収量を高めたければ次いで温度を−10〜10℃、好ましくは−5〜5℃に冷却して30分〜24時間、好ましくは2〜5時間攪拌してもよい。ラセミ体優位の結晶は、完全なラセミ体の結晶であってもよいが、一般的にはラセミ体成分を60〜100%程度含む低光学純度(0〜40%ee程度)の結晶である。
本工程は、別途調製したラセミ体の種晶の存在下で行なってもよい。ここで用いるラセミ体の種晶としては、例えば、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルのラセミ体の結晶が挙げられる。
また、本工程Eで得られるラセミ体優位の結晶をそのままラセミ体の種晶として使用してもよいが、スキーム図中、(VII)で示される化合物のラセミ体を別途製造し結晶化して得られる結晶を、ラセミ体の種晶として用いてもよい。係る化合物のラセミ体は、例えば、下記に示す方法で製造することができる。
Figure 2013136573
本反応は、特許文献1に開示されているラセミ体のtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(IX)とアルコール(V)とを縮合し、ラセミ体(VII)を製造するものである。アルコール(V)の量は、特に制限は無いが、ラセミ体(IX)に対して、0.8〜2.0モル当量、好ましくは1.0〜1.2モル当量用いればよい。
本反応は溶媒中、塩基の存在下又は非存在下、縮合剤を用いて行うことができる。縮合促進剤の存在下で反応を行ってもよい。溶媒としては特に制限は無いが、例えば、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等の酢酸エステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、プロピオニトリル等を使用することができる。溶媒としては、好ましくはハロゲン化炭化水素類、より好ましくはジクロロメタンを挙げることができる。溶媒の量は、特に制限は無いが、ラセミ体(IX)に対して、5〜100倍量(V/W)、好ましくは10〜20倍量(V/W)を用いればよい。
塩基としては特に制限は無いが、例えば、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、コリジン、ルチジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルペンチルアミン、トリメチルアミン等の有機塩基類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属類;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属類;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の重炭酸アルカリ金属等を使用することができる。
縮合促進剤としては特に制限は無いが、DMAP、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HODhbt)、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド(HONB)、ペンタフルオロフェノール(HOPfp)、N−ヒドロキシフタルイミド(HOPht)、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)等を使用することができる。縮合促進剤としては、DMAPが好ましい。縮合促進剤の量は、特に制限は無いが、ラセミ体(IX)に対して、0.001〜1.0モル当量、好ましくは0.05〜0.5モル当量を用いればよい。
縮合剤としては特に制限は無いが、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチル−カルボジイミド(通称:Water soluble carbodiimide:WSCI)、WSC・HCl等を使用することができる。縮合剤としては、好ましくはWSC・HClである。縮合剤の量は、特に制限は無いが、ラセミ体(IX)に対して、1.0〜3.0モル当量、好ましくは1.0〜1.2モル当量を用いればよい。
反応温度は、特に制限は無いが、通常0〜100℃の範囲で行えばよく、好ましくは0〜80℃、より好ましくは10〜30℃である。反応時間は、特に制限は無いが、通常5分〜48時間が好ましく、より好ましくは30分〜24時間、特に好ましくは8〜16時間である。
ラセミ体(VII)の結晶化(ラセミ体の種晶の製造)は、部分ラセミ化体(VII)からのラセミ体優位な結晶の優先晶析と同様の条件で行なうことができる。
すなわち、ラセミ体(VII)を溶媒に溶解し、10〜40℃、好ましくは15〜20℃で、30分〜2日間、好ましくは15〜24時間攪拌すればよく、結晶の収量を高めたければさらに温度を−10〜10℃、好ましくは−5〜5℃に冷却して、30分〜24時間、好ましくは2〜5時間攪拌してもよい。また、溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類が挙げられ、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6のアルコールが好ましく、エタノール、イソプロパノールが特に好ましい。溶媒の量は、特に制限は無いが、ラセミ体(VII)に対して、2〜20倍量(V/W)、好ましくは4〜10倍量(V/W)、より好ましくは5〜8倍量(V/W)である。
<工程F>
本工程は高光学純度のエナンチオマー(VIII)又は(VIII´)を脱保護するこ
とにより、高光学純度の(S)体化合物又は(R)体化合物を製造する工程である。
本反応は、溶媒中で金属触媒及び水素源を用いた接触還元、又は溶媒中で塩基を用いた加水分解反応により行うことができる。接触還元により脱保護を行う場合は、溶媒としては、特に制限は無いが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等の酢酸エステル類;酢酸;水等を用いることができる。溶媒としては、好ましくはアルコール類、より好ましくはエタノールである。溶媒の量は、特に制限は無いが、エナンチオマー(VIII)又は(VIII´)に対して、5〜30倍量(V/W)、好ましくは5〜15倍量(V/W)を用いればよい。
水素源としては、特に制限は無いが、例えば、水素、シクロヘキサジエン、ギ酸、ギ酸アンモニウム等を使用することができる。水素源としては水素が好ましい。金属触媒としては、特に制限は無いが、例えばパラジウム炭素、パラジウム黒、ラネーニッケル、二酸化白金、白金黒等を使用することができる。金属触媒としてはパラジウム炭素が好ましい。パラジウム炭素の量は特に制限は無いが、10%Pd−C(wet)の量としてエナンチオマー(VIII)又は(VIII´)に対して、0.001〜0.5倍量(W/W)、好ましくは0.05〜0.2倍量(W/W)を用いればよい。
接触還元は、特に制限は無いが、通常0〜100℃の範囲で行えばよく、好ましくは10〜60℃、より好ましくは10〜30℃である。反応時間は、特に制限は無いが、通常5分〜24時間が好ましく、より好ましくは30分〜16時間、特に好ましくは1〜6時間である。
加水分解反応により脱保護を行う場合は、溶媒としては特に制限は無いが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、t−ブタノール等のアルコール類やアセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジオキサン及び水等を単独又は組み合わせて使用することができる。塩基としては、特に制限は無いが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属類;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類;水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(Triton B)等の水酸化四級アンモニウム等を使用することができる。
<優先晶析法B>
本方法は、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の部分ラセミ化体を、溶媒中で光学的に不活性な酸との塩とし、次いでこれを結晶化して分取することにより、光学純度が向上することを見出したことに基づく方法である。
光学活性な(S)体化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の、優先晶析法Bによる製造の概略を下記のスキーム8に示す。
また、光学活性な(R)体化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の、優先晶析法Bによる製造の概略を下記のスキーム9にそれぞれ示す。
なお、スキーム8及びスキーム9中、HAは光学的に不活性な酸を示し、R13はC1-6アルキル基を示す。
スキーム8
Figure 2013136573
スキーム9
Figure 2013136573
<工程A>
本工程は、上記の優先晶析法Aにおける工程Aと同様の反応工程であり、同様の条件により反応を行えばよい。
<工程B>
本工程は、上記の優先晶析法Aにおける工程Bと同様の反応工程であり、同様の条件により反応を行えばよい。
<工程C>
本工程は、部分ラセミ化体(IV)と光学的に不活性な酸(HA)により塩を形成し、さらに得られた塩を結晶化することによって部分ラセミ化体(IV)において過剰量存在する一方のエナンチオマーを優先的に結晶化させ、得られた結晶を回収することにより光学純度が結晶化前と比較して向上したエナンチオマー(X)又は(X´)を製造する工程である。
なお、本工程においては、塩の形成と塩の結晶化を同一溶媒中で連続的に行ってもよいが、形成した塩を一度単離した後、単離した塩を溶媒に溶解し結晶化を行ってもよい。
「光学的に不活性な酸」としては、光学的に不活性なものであれば特に制限は無いが、具体的には例えば、ハロゲン化水素(具体的には例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素など)、硫酸、リン酸、硝酸、過塩素酸等の無機酸;酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸を使用することができる。
「光学的に不活性な酸」としては、無機酸が好ましく、ハロゲン化水素がより好ましく、塩化水素及び臭化水素から選ばれるハロゲン化水素がさらに好ましく、塩化水素が特に好ましい。
光学的に不活性な酸(HA)の量は、特に制限は無いが、部分ラセミ化体(IV)に対して、1.0〜3.0モル当量が好ましく、1.0〜2.0モル当量がより好ましく、1.0〜1.2モル当量が特に好ましい。
本工程は溶媒の存在下で行う。溶媒としては、反応に関与しない溶媒であれば特に制限はないが、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等の酢酸エステル類;1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、t−ブタノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類を使用することができる。
溶媒としては、酢酸エステル類が好ましく、酢酸エチルが特に好ましい。なお、塩を一度単離する場合においては、塩を形成して単離させる際に、溶媒中にさらにn−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン等の脂肪族炭化水素類を添加して塩の溶解度を低下させてもよい。
溶媒の量は、特に制限は無いが、部分ラセミ化体(IV)に対して、5〜100倍量(V/W)、好ましくは10〜20倍量(V/W)を用いればよい。
塩形成及び結晶化の温度は、特に制限は無いが、通常0〜100℃の範囲で行えばよく、好ましくは0〜80℃、より好ましくは0〜40℃である。塩形成に要する時間は、特に制限は無いが、通常5分〜10時間、好ましくは5分〜8時間、特に好ましくは5分〜6時間である。また、結晶化に要する時間は、特に制限は無いが、通常5分〜48時間、好ましくは5分〜36時間、特に好ましくは5分〜30時間である。
なお、本工程は、別途調製した種晶の存在下で行ってもよい。ここで用いる種晶は、上記した方法により製造することができる。再結晶を数回繰り返すことで、得られるエナンチオマー(X)又は(X´)の光学純度をさらに向上させることができる。
なお、工程Cによって得られる、光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸と、光学的に不活性な酸からなる塩の結晶や、当該結晶をさらに溶媒に溶解させ、汎用の方法により精製して得られる光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、(S)体化合物又は(R)体化合物の製造中間体として有用であるほか、そのもの自体を医薬の有効成分として利用することも可能である。すなわち、特許文献1 実施例44として、ラセミ体のtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸が開示されており、係る化合物もCETP阻害活性を有し、脂質異常症などの疾患の治療や予防のための医薬の有効成分として有用であることが記載されている。
<工程D>
本工程は、工程Cで得られた結晶を溶媒に溶解ないし懸濁させた後、溶媒存在下にてエナンチオマー(X)又は(X´)の硫黄原子を酸化することにより、高光学純度の(S)体化合物又は(R)体化合物を製造する工程である。
酸化方法としては硫黄原子をスルホニル基へと変換する通常の方法を適用することができる。酸化剤としては、特に制限は無いが、例えば、触媒量のタングステン酸ナトリウム、二塩化二酸化モリブデンあるいは五塩化タンタルを用いた過酸化水素水による酸化反応や、過ホウ素酸ナトリウム、Oxone(登録商標)、過ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸カリウム、メタクロロ過安息香酸(mCPBA)、ピリジニウムクロロクロメート(PCC)、ピリジニウムジクロメート(PDC)、N−クロロコハク酸イミド(NCS)、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)、N−ヨードコハク酸イミド(NIS)、ヨウ素、臭素等を使用することができる。酸化剤としては、好ましくはタングステン酸ナトリウムと過酸化水素水の組み合わせである。
酸化剤の量は、特に制限は無いが、エナンチオマー(X)又は(X´)に対して2.0〜10.0モル当量、好ましくは4.0〜6.0モル当量を用いればよい。
特に、酸化剤としてタングステン酸ナトリウムと過酸化水素水の組み合わせを用いる場合においては、タングステン酸ナトリウムの量は、エナンチオマー(X)又は(X´)に対して0.001〜1.0モル当量、好ましくは0.05〜0.5モル当量を用いればよい。また、過酸化水素水の量は、エナンチオマー(X)又は(X´)に対して1.0〜10モル当量、好ましくは4.0〜6.0モル当量を用いればよい。
溶媒としては、特に制限は無いが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノールなどのアルコール類;アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸及び水等が挙げられる。溶媒としては、好ましくはアルコール類、より好ましくは2−プロパノールを挙げることができる。
溶媒の量は、特に制限は無いが、エナンチオマー(X)又は(X´)に対して、5〜50倍量(V/W)、好ましくは5〜20倍量(V/W)を用いればよい。
反応温度は、特に制限は無いが、通常0〜100℃の範囲で行えばよく、好ましくは10〜60℃、より好ましくは10〜30℃である。反応時間は、特に制限は無いが、通常5分〜48時間が好ましく、より好ましくは30分〜24時間、特に好ましくは4〜16時間である。
本発明の方法により製造される、一般式(1)で表される1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体の光学活性体の塩としては例えば、酸付加塩や塩基付加塩等が挙げられ、医薬として許容される塩であれば特に制限されない。具体的には例えば、酸付加塩であれば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩のような無機酸との酸付加塩;安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等の有機酸との酸付加塩が挙げられる。また、塩基付加塩であればナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金属との塩基付加塩;アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、コリジン、ルチジン等のアミン塩;リシン、アルギニン等の有機塩基との塩基付加塩等が挙げられる。
本発明の方法により製造される、一般式(1)で表される1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体の光学活性体又はその塩の溶媒和物を形成する溶媒としては、水のほか、生理学的に許容される有機溶媒、例えばエタノール、ヘキサン、酢酸エチルなどを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
本発明の方法により製造される、一般式(1)で表される1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体の光学活性体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、医薬の有効成分等として利用できる。この場合においては、当該化合物をそのまま投与してもよいが、当業者に周知の方法によって製造可能な経口用あるいは非経口用の医薬組成物に製剤化して投与するのが好ましい。経口用の医薬組成物としては、具体的には例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤及びシロップ剤等を挙げることができる。また、非経口用の医薬組成物としては、具体的には例えば、注射剤、坐剤、吸入剤、点眼剤、点鼻剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤等を挙げることができる。これらの医薬組成物は、薬学的、製剤学的に許容し得る添加剤を用いて製造すればよい。斯かる添加物としては、具体的には例えば、賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、矯味剤、香料、被膜剤、希釈剤等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
医薬の有効成分として利用する場合における、一般式(1)で表される1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体の光学活性体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の投与量は特に限定されず、疾患の種類、予防又は治療の目的、患者の体重や年齢、症状、投与経路などに応じて適宜決定することができる。例えば、経口投与の場合には成人一日あたり0.1〜500mg程度の範囲で用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。下記実施例中で用いられている略号は下記の意味を示す。
s:シングレット(singlet)
d:ダブレット(doublet)
t:トリプレット(triplet)
q:クアルテット(quartet)
m:マルチプレット(multiplet)
br:ブロード(broad)
J:カップリング定数(coupling constant)
Hz:ヘルツ(Hertz)
CDCl3:重クロロホルム
DMSO−d6:重ジメチルスルホキシド
1H-NMR:プロトン核磁気共鳴
IR:赤外線吸収スペクトル
TFA:トリフルオロ酢酸
PBr3:三臭化リン
HBr/AcOH:臭化水素(30%酢酸溶液)
(CCl2Br)2:1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン
PPh3:トリフェニルホスフィン
NBS:N−ブロモコハク酸イミド
Me2S:ジメチルスルフィド
DCM:ジクロロメタン
Pyr:ピリジン
1,2−DCE:1,2−ジクロロエタン
THF:テトラヒドロフラン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
TMSCl:塩化トリメチルシリル
PyHBr3:ピリジニウムトリブロミド
HMDS:1,1,1,2,2,2−ヘキサメチルジシラン
DEAD:ジエチルアゾジカルボキシレート
[実施例1]臭素化剤を用いた光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの製造
例1:臭素化剤として(a)ハロゲン化リン及び臭化水素の組み合わせを用いた反応の検討
例1に示す1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの絶対配置は、絶対配置既知の市販されているα−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンに導き比旋光度の符号を比較する方法により決定した。また、1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの光学純度は、下記条件によるキラルHPLC分析により決定した。
<1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンのキラルHPLC分析条件>
カラム:CHIRALPAK AS−RH
移動相:エタノール/水=60/40
流速:0.5mL/min
カラム温度:25℃
検出波長:220nm
保持時間:第一ピーク/21.8min((R)体)、 第二ピーク/26.0min((S)体)
なお、製造原料である(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール又は(R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールとしては、光学純度99.5%超又は98%のものを用い、生成物については光学純度(%ee)を記載した。
例1−1
アルゴン雰囲気下、(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(1.0g、3.87mmol、>99.5%ee)に水浴上、20℃以下で三臭化リン(0.52g、1.94mmol)を滴下し、19〜22℃で30分撹拌した。反応液を冷却し、0℃以下で臭化水素(30%酢酸溶液)(0.76mL、3.87mmol)を滴下し、13〜15℃で18時間撹拌した。反応液を氷水に注加し、n−ヘキサン(15mL×2)で抽出した。有機層を合わせ、飽和重曹水(15mL×1)で洗浄、次いで飽和食塩水(15mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた粗体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル8g、展開溶媒:n−ヘキサン)で精製することにより1.06gの(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た。
収率:85%
キラルHPLC分析:光学純度 96.8%ee(第一ピーク)
[α]D 25 +56.6(c=1.18,CHCl3).
1H−NMR(CDCl3)δ:2.08(3H,d,J=7.1Hz),5.21(1H,q,J=7.1Hz),7.81(1H,s),7.87(2H, s).
(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの絶対配置の確認
例1−1で得られた(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(102mg、0.32mmol、96.8%ee(第一ピーク))のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(1mL)にアジ化ナトリウム(62.0mg、0.95mmol)を加え−18〜−15℃にて3時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチル/n−ヘキサン(1:1)で希釈し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮することで118.8mgの1−アジド−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの粗生成物を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.61(3H,d,J=6.8Hz),4.79(1H,q,J=6.8Hz),7.78(2H,s),7.84(1H,s).
得られた1−アジド−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの粗生成物にパラジウム−フィブロイン(18mg)とメタノール(6mL)を加え、水素雰囲気下、室温で撹拌した。1時間撹拌後、反応液をセライトろ過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1〜5:1)にて精製し、58.9mgのα−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンを無色油状物として得た。
収率:74%(2工程)
1H−NMR(CDCl3)δ:1.42(3H,d,J=6.8Hz),1.58(2H,br‐s),4.30(1H,q,J=6.8Hz),7.75(1H,s),7.85(2H,s).
得られたα−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンの比旋光度は以下の通りであった。
[α]D 25 −15.4(c=1.01,CHCl3).
一方、市販の絶対配置既知の標準品((S)−α−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミン(セントラル硝子社製、Lot.0102000、光学純度:99%ee))の比旋光度は以下の通りであった。
[α]D 25 −15.9(c=1.15,CHCl3).
比旋光度の実測値の符号が、市販の標準品の符号と一致したことから、得られたα−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンは(S)体であることが確認された。そして、当該アミンはアジ化物イオンの求核置換反応を経て1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンから得られていることから、例1−1で得られた1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンは(R)体(キラルHPLC分析:第一ピーク)であることが確認された。
例1−2
アルゴン雰囲気下、(R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(1.0g、3.87mmol、>99.5%ee)に水浴上、20℃以下で三臭化リン(0.52g、1.94mmol)を滴下し、19〜22℃で30分撹拌した。反応液を冷却し、0℃以下で臭化水素(30%酢酸溶液)(0.76mL、3.87mmol)を滴下し、13〜15℃で18時間撹拌した。反応液を氷水に注加し、n−ヘキサン(15mL×2)で抽出した。有機層を合わせ、飽和重曹水(15mL×1)で洗浄、次いで飽和食塩水(15mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた粗体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル8g、展開溶媒:n−ヘキサン)で精製することにより1.13gの(S)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た。
収率:91%
キラルHPLC分析:光学純度96.3%ee(第二ピーク)
[α]D 25 −55.6(c=1.23,CHCl3).
1H−NMRスペクトルは例1−1に示したものと同じであった。
例1−3
アルゴン雰囲気下、(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(1.0g、3.87mmol、>99.5%ee)のヘプタン懸濁液(2mL)に0〜5℃で三臭化リン(0.52g、1.94mmol)を滴下し、0〜5℃で30分撹拌した。反応液に0〜5℃で臭化水素(30%酢酸溶液)(0.76mL、3.87mmol)を滴下し、10℃で17時間撹拌した。反応液を氷水に注加し、n−ヘキサン(15mL×2)で抽出した。有機層を合わせ、飽和重曹水(15mL×1)で洗浄、次いで飽和食塩水(15mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた粗体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル8g、展開溶媒:n−ヘキサン)で精製することにより1.12gの(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た。
収率:90%
キラルHPLC分析:光学純度97.7%ee(第一ピーク)
1H−NMRスペクトルは例1−1に示したものと同じであった。
例1−1〜1−3と同様にして、表2に示す条件で三臭化リンを用いた臭素化反応を行った。単離収率、及び光学純度(%ee)を表2に示す。
Figure 2013136573
表2に示された結果から明らかなように、特にNo.1〜3及びNo.22の反応条件において極めて高収率で、かつ高い光学純度を保ったまま目的物を得ることができた。
例2:臭素化剤として(b)1,2−ジブロモ−1,1,2,2―テトラクロロエタン及び有機リン化合物の組み合わせ、並びに(c)N−ブロモコハク酸イミド及びジアルキルスルフィドの組み合わせを用いた反応の検討
例2に示す1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの絶対配置は、例1の場合と同様、絶対配置既知の市販されているα−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンに導き比旋光度の符号を比較する方法により決定した。また、1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの光学純度は、例1の場合と同一の条件によるキラルHPLC分析により決定した。
なお、製造原料である(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール又は(R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールとしては、光学純度99.5%超のものを用い、生成物については光学純度(%ee)を記載した。
例2−1
アルゴン雰囲気下、1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン(7.57g、23.2mmol)をトルエン(12.5mL)に溶解し、0℃にてトリフェニルホスフィン(6.1g、23.2mmol)を加え30分間撹拌した。(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(5.0g、19.4mmol、>99.5%ee)のトルエン溶液(12.5mL)を0℃で10分以上かけて滴下した後、室温まで昇温し、同温にて1時間撹拌した。反応液にn−ヘキサン(25mL)を加え、セライトろ過した。ろ液を水、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留(56oC、0.7mmHg)することで、5.52gの(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た。
収率:89%
キラルHPLC分析:光学純度>99.5%ee(第一ピーク)
[α]D 25 +59.1(c=1.03,CHCl3).
1H−NMR(CDCl3)δ:2.08(3H,d,J=7.1Hz),5.21(1H,q,J=7.1Hz),7.81(1H,s),7.87(2H,s).
(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの絶対配置の確認
例2−1で得られた(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(106mg、0.33mmol、>99.5%ee(第一ピーク))のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(1mL)にアジ化ナトリウム(64.4mg、0.99mmol)を加え−18〜−15℃にて4時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチル/n−ヘキサン(1:1)で希釈し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮することで111.5mgの1−アジド−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの粗生成物を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.61(3H,d,J=6.8Hz),4.79(1H,q,J=6.8Hz),7.78(2H,s),7.84(1H,s).
得られた1−アジド−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの粗生成物にパラジウム−フィブロイン(18mg)とメタノール(6mL)を加え、水素雰囲気下、室温で撹拌した。1時間撹拌後、反応液をセライトろ過し、ろ液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1〜5:1)にて精製し、77.6mgのα−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンを無色油状物として得た。
収率:91%(2工程)
1H−NMR(CDCl3)δ:1.42(3H,d,J=6.8Hz),1.58(2H,br‐s),4.30(1H,q,J=6.8Hz),7.75(1H,s),7.85(2H,s).
得られたα−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンの比旋光度は以下の通りであった。
[α]D 25 −15.9(c=1.31,CHCl3).
一方、市販の絶対配置既知の標準品((S)−α−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミン(セントラル硝子社製、Lot.0102000、光学純度:99%))の比旋光度は以下の通りであった。
[α]D 25 −15.9(c=1.15,CHCl3).
比旋光度の実測値の符号が、市販の標準品の符号と一致したことから、得られたα−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンは(S)体であることが判明した。そして、当該アミンはアジ化物イオンの求核置換反応を経て1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンから得られていることから、例2−1で得られた1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンは(R)体(キラルHPLC分析:第一ピーク)であることが確認された。
例2−2
アルゴン雰囲気下、1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン(7.57g、23.2mmol)をトルエン(12.5mL)に溶解し、0℃にてトリフェニルホスフィン(6.1g、23.2mmol)を加え30分間撹拌した。(R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(5.0g、19.4mmol、>99.5%ee)のトルエン溶液(12.5mL)を0℃で10分以上かけて滴下した後、室温まで昇温し、同温にて1時間撹拌した。反応液にn−ヘキサン(25mL)を加え、セライトろ過した。ろ液を水、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留(56oC、0.7mmHg)することで、5.45gの(S)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た。
収率:88%
キラルHPLC分析:光学純度 99.0%ee(第二ピーク)
1H−NMRスペクトルは例2−1に示したものと同じであった。
例2−3
アルゴン雰囲気下、N-ブロモコハク酸イミド(206mg、1.16mmol)の無水ジクロロメタン(3.8mL)懸濁液に、氷冷下にてジメチルスルフィド(105μL、1.40mmoL)を3分間かけて滴下した。−20℃にて、(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(200mg、0.78mmol、>99.5%ee)の無水ジクロロメタン(2mL)溶液を滴下し、室温にて9時間攪拌した。反応液にn−ヘキサンを加え、有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン)で精製し、144mgの(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た。
収率:58%
キラルHPLC分析:光学純度>99.5%ee(第一ピーク)
1H−NMRスペクトルは例2−1に示したものと同じであった。
例2−4
アルゴン雰囲気下、N-ブロモコハク酸イミド(103mg、0.58mmol)の無水ジクロロメタン(2.0mL)懸濁液に、氷冷下にてジメチルスルフィド(53μL、0.70mmoL)を3分間かけて滴下した。−20℃にて、(R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(100mg、0.39mmol、>99.5%ee)の無水ジクロロメタン(1mL)溶液を滴下し、室温にて6時間攪拌した。反応液にn−ヘキサンを加え、有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン)で精製し、82mgの(S)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た。
収率:66%
キラルHPLC分析:光学純度>99.5%ee(第二ピーク)
1H−NMRスペクトルは例2−1に示したものと同じであった。
例2−1〜2−4と同様にして、表3に示す条件で反応を行った。単離収率、及び光学純度(%ee)を表3に示す。
Figure 2013136573
Figure 2013136573
表3に示された結果から明らかなように、特にNo.1〜4の反応条件において極めて高収率で、かつ高い光学純度を保ったまま目的物を得ることができた。
例3(比較例1)
日本国特許第3938651号を参考に、(R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(1.6g、6.20mmol、>99.5%ee)のジクロロメタン(20mL)溶液に氷冷攪拌下、塩化メタンスルホニル(0.58mL、7.44mmol)、トリエチルアミン(1.30mL、9.3mmol)、ジメチルアミノピリジン(76mg、0.62mmol)を加え、同温にて30分間攪拌した。反応液に同温にて1N塩酸とクロロホルムを加え有機層を分取した。水層をクロロホルム(20mL×3)で抽出し、有機層を合わせ飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、減圧濃縮し、2.23gの(R)−メタンスルホン酸 1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルエステルを無色油状物として得た。得られた(R)−メタンスルホン酸 1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルエステル(2.23 g)のN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)溶液に臭化ナトリウム(1.26g、12.25mmoL)を加え、50℃にて1時間攪拌した。反応液に室温にて水(30mL)を加え、ヘキサン(30mL×3)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて精製し、1.85gの1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た。
比旋光度より、得られた1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンはほぼ完全にラセミ化していることが確認された。
収率:93%(2工程)
[α]D 25 −0.19(c=1.01,CHCl3).
1H−NMRスペクトルは例1−1に示したものと同じであった。
例4(比較例2)
(R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(100mg、0.39mmol、>99.5%ee)の脱水ジエチルエーテル(1.0mL)溶液にアルゴン雰囲気下、脱水ピリジン(69.4mg、0.89mmol)を加えた。−15〜−20℃にて三臭化リン(117.2mg、0.43mmol)の脱水ジエチルエーテル(0.5mL)溶液をゆっくり滴下し、同温にて2時間攪拌し、さらに−5℃で48時間静置させた後、氷冷下、反応液に冷却水 (3mL)を加え室温で15分攪拌した後、ジエチルエーテル (10mL)で抽出した。有機層を減圧濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル3.0g, 展開溶媒:n−ヘキサン)で精製し、17.6mgの1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た。
目的とするベンジルブロミドの収率は、極めて低いものであった。
収率:14%
1H−NMRスペクトルは例1−1に示したものと同じであった。
[実施例2]優先晶析法Aを用いた光学活性な(S)体化合物の製造
優先晶析法Aによる光学活性な(S)体化合物の製造方法の概略をスキーム10として以下に示す。
なお、各化合物の絶対配置は、工程1で確認された(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの絶対配置から判断した。
また、工程1で得られた1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの光学純度は、実施例1中、例1の場合と同一の条件によるキラルHPLC分析により決定した。また、工程4及び5で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステル、及び工程6で得られた(S)体化合物((S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸)の光学純度は、それぞれ下記条件によるキラルHPLC分析により決定した。
<trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルのキラルHPLC分析条件>
カラム:CHIRALCEL OD−H
移動相:ヘキサン/エタノール=80/20
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出波長:242nm
保持時間:第一ピーク/11.3min((R)体)、第二ピーク/13.0min((S)体)
<trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸のキラルHPLC分析条件>
カラム:CHIRALCEL OD‐H
移動相:ヘキサン/エタノール/TFA=90/10/0.1
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出波長:242nm
保持時間:第一ピーク/21.3min((R)体) 、第二ピーク/23.7min((S)体)
スキーム10
Figure 2013136573
(スキーム図中、Etはエチル基を示し、Bnはベンジル基を示す。)
工程1:(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの製造
(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを下記1−(a)の方法(臭素化剤として、1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン及びトリフェニルホスフィンの組み合わせを用いる方法)により製造し、その絶対配置を以下の通り確認した。すなわち、得られた(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンに導いたうえで、市販されている絶対配置既知の(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンの標準品と比旋光度の実測値の符号を比較することで確認した。
また、(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを別途下記1−(b)の方法(臭素化剤として、三臭化リン及び臭化水素(30%酢酸溶液)の組み合わせを用いる方法)によっても製造した。
1−(a):(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの製造 その1
アルゴン雰囲気下、1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン(7.57g、23.2mmol)をトルエン(12.5mL)に溶解し、0℃にてトリフェニルホスフィン(6.1g、23.2mmol)を加え30分間撹拌した。これに(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(5.0g、19.4mmol、>99.5%ee)のトルエン溶液(12.5mL)を0℃で10分以上かけて滴下した後、室温まで昇温し、同温にて1時間撹拌した。反応液にn−ヘキサン(25mL)を加え、セライトろ過した。ろ液を水、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留(56oC、0.7mmHg)することで、5.52gの(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た(収率:88.6%)。
キラルHPLC分析:光学純度>99.5%ee(メインピーク:第一ピーク)
[α]D 25 +59.1(c=1.03,CHCl3).
1H‐NMR(CDCl3)δ: 2.08(3H,d,J=7.1Hz),5.21(1H,q,J=7.1Hz),7.81(1H,s),7.87(2H,s).
(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの絶対配置の確認
上記1−(a)で得られた(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(106mg、0.336mmol、>99.5%ee)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(1mL)にアジ化ナトリウム(64.4mg、0.990mmol)を加え−18〜−15℃にて4時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチル/n−ヘキサン(1:1)及び水を加え分液し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮することで111.5mgの1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアジド(粗生成物)を得た。
1H‐NMR(CDCl3)δ:1.61(3H,d,J=6.8Hz),4.79(1H,q,J=6.8Hz),7.78(2H,s),7.84(1H,s).
得られた1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアジド(粗生成物:111.5mg)をメタノール(6mL)に溶解し、パラジウム−フィブロイン(18mg)を加え、水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。撹拌後、反応液をセライトろ過し、ろ液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1〜5:1)にて精製し、77.6mgの1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンを無色油状物として得た(収率:91%、2工程)。
1H‐NMR(CDCl3)δ:1.42(3H,d,J=6.8Hz),1.58(2H,br‐s),4.30(1H,q,J=6.8Hz),7.75(1H,s),7.85(2H,s).
得られた1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンの比旋光度は以下の通りであった。
[α]D 25 −15.9(c=1.31,CHCl3).
一方、市販の標準品((S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミン(セントラル硝子社製:Lot.0102000:光学純度:99%ee))の比旋光度は以下の通りであった。
[α]D 25 −15.9(c=1.15,CHCl3).
比旋光度の実測値の符号が、市販の標準品の符号と一致したことから、得られた1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンは(S)体であることが確認された。そして、当該アミンはアジ化物イオンの求核置換反応を経て1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンから得られていることから、上記1−(a)で得られた1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンは(R)体であることが確認された。
1−(b):(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの製造 その2
アルゴン雰囲気下、(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(300g、1.16mol、96%ee)に水浴下、20℃以下で三臭化リン(157.3g、0.58mol)を滴下し、19〜22℃で30分撹拌した。反応液を冷却し、0℃以下で臭化水素(30%酢酸溶液)(228mL、1.16mol)を滴下し、13〜15℃で16時間撹拌した。反応液を氷水に注加し、n−ヘキサン(3L×2)で抽出した。有機層を合わせ、飽和重曹水(3L)、飽和食塩水(3L)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下(90〜100mmHg)濃縮し、389.2gの粗体を得た。得られた粗体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル900g、展開溶媒:n−ヘキサン)で精製することにより、349.8gの(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た(収率93.8%)。
なお、下記の通りキラルHPLC分析において、第一ピークがメインピークとして現れたことから、1−(b)で製造した1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンも1−(a)と同様に、(R)体であることが確認された。
キラルHPLC分析:光学純度>93.9%ee(メインピーク:第一ピーク)
1H‐NMR(CDCl3)δ: 2.08(3H,d,J=7.1Hz),5.21(1H,q,J=7.1Hz),7.81(1H,s),7.87(2H,s).
工程2:trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の、(S)体優位の部分ラセミ化体の製造
アルゴン雰囲気下、特許文献1(国際公開第2008/129951号パンフレット)記載の方法により合成したtrans−[4−([(エチル){2−[({5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}アミノ]メチル)シクロヘキシル]酢酸エチル(565.4g、0.99mol)の無水テトラヒドロフラン(THF、2.26L)溶液に氷冷下、NaH(60% in oil、119g、2.98mol)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液を−30℃に冷却し、工程1で得られた(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(682g、1.99mol、93.9%ee)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(4.53L)溶液を反応系内が−15℃以下となるように滴下し、−15℃〜−1℃で5時間撹拌した。反応液を氷水(35L)とトルエン(30L)の混合溶液に注加し、pHが6.9になるまでクエン酸を加え、有機層を分離した。
水層をトルエン(20L)で2回抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、粗体を得た。粗体をエタノール(8L)に溶解させ、氷冷下2M NaOH水溶液(1.24L、2.48mol)を加え、50℃にて3.5時間撹拌した。反応液に氷冷下、pH5.4になるまで1M HCl水溶液を加え、水(25L)に注ぎ、酢酸エチル(22L)で2回抽出した。有機層を飽和食塩水(12L)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 21g、展開溶媒:ヘプタン/アセトン=7/1→3/1)で精製することにより744.1gのtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の部分ラセミ化体を得た(黄色油状物、収率96%)。
なお、上記工程1に記載の通り絶対配置が確認された(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを原料として使用し、アミンによる求核置換反応が進行していることから、得られた部分ラセミ化体は(S)体が優位である。
1H‐NMR(CDCl3)δ: 0.85‐0.96(7H,m),1.35‐1.45(4H,m),1.60‐1.78(5H,m),2.18‐2.21(5H,m),2.69(1H,m),2.81‐2.91(5H,m),4.16(2H,q,J=6.8Hz),4.61(1H,d,J=17.1Hz),4.85(1H,d,J=17.1Hz),6.22(1H,q,J=6.8Hz),7.11(1H,d,J=8.6Hz),7.23(1H,s),7.37(1H,d,J=8.3Hz),7.70(1H,s),7.73(2H,s),8.14(2H,s).
工程3:trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの、(S)体優位の部分ラセミ化体の製造
アルゴン雰囲気下、工程2で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の、(S)体優位の部分ラセミ化体(744.1g、0.95mol)の無水ジクロロエタン(11.6L)溶液に、氷冷下、ベンジルアルコール(113.1g、1.05mol)、WSC・HCl(200.5g、1.05mol)及びDMAP(11.9g、98mmol)を加え、室温で終夜撹拌した。反応液に水(10L)を加え、クロロホルム(19L、14L)にて抽出し、有機層を飽和食塩水(12L)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 28g、展開溶媒:ヘプタン/酢酸エチル=6/1)で精製することにより、745.8gのtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの部分ラセミ化体を得た(黄色油状物、収率90%)。
なお、得られた部分ラセミ化体は、工程2と同様(S)体が優位である。
1H‐NMR(CDCl3)δ: 0.87‐0.95(7H,m),1.37(1H.m),1.43(3H,d,J=7.1Hz),1.65‐1.77(5H,m),2.20(2H,d,J=6.8Hz),2.22(3H,s),2.66‐2.71(2H,m),2.82‐2.91(4H,m),4.15(2H,t,J=6.6Hz),4.62(1H,d,J=17.1Hz),4.85(1H,d,J=17.1Hz),5.10(2H,s),6.21(1H,q,J=7.1Hz),7.10(1H,d,J=8.3Hz),7.22(1H,s),7.28‐7.38(6H,m),7.70(1H,s),7.73(2H,s),8.14(2H,s).
工程4:trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの、(S)体優位の部分ラセミ化体の製造
アルゴン雰囲気下、工程3で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの、(S)体優位の部分ラセミ化体(745.8g、0.87mol)の2−プロパノール(15.2L)溶液に、五塩化タンタル(31.3g、87.3mmol)及び30%過酸化水素水(496mL、4.38mol)を加え、室温にて5時間撹拌した。反応液を飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液(3.1L)でクエンチし、水(15L)を加え、クロロホルム(14L、12L)で抽出し、有機層を飽和食塩水(20L)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 26kg、展開溶媒:ヘプタン/酢酸エチル=3/1→2/1)で精製することにより、619.5gのtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの部分ラセミ化体を得た(黄色アモルファス、収率79%)。
なお、得られた部分ラセミ化体は、工程2及び工程3と同様、(S)体が優位である。
キラルHPLC分析:光学純度67.7%ee(メインピーク:第二ピーク)
1H‐NMR(CDCl3)δ:0.87‐0.96(7H,m),1.38(1H.m),1.45(3H,d,J=7.1Hz),1.65‐1.80(5H,m),2.21(2H,d,J=6.6Hz),2.69(1H,m),2.81‐2.91(3H,m),3.08(3H,s),3.44(2H,t,J=5.4Hz),4.44(2H,t,J=5.4Hz),4.64(1H,d,J=17.1Hz),4.86(1H,d,J=17.3Hz),5.10(2H,s),6.19(1H,q,J=6.9Hz),7.12(1H,d,J=8.3Hz),7.19(1H,s),7.30‐7.39(6H,m),7.71(1H,s),7.72(2H,s),8.16(2H,s).
工程5:高光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの製造
工程4で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルの、(S)体優位の部分ラセミ化体(111.7g、123.7mmol、67.7%ee)をエタノール(825mL)に溶解し、別途調製した種晶(下記工程7で製造したラセミ体結晶)2.0mgを15℃〜20℃にて加え、同温にて21時間、0℃にて3時間撹拌した。析出物をろ別し、冷エタノール(165mL)で洗浄した後、母液を減圧濃縮することにより、66.38gの、実質的に光学的に純粋なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルを得た(黄色アモルファス、収率59%)。
なお、得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルは、(S)体優位の部分ラセミ化体からラセミ体優位の結晶をろ別して得られていることから、(S)体である。
キラルHPLC分析:光学純度>99%ee(メインピーク:第二ピーク)
[α]D 20 −42.36(c=1.0w/v%,CHCl3).
なお、ろ別したラセミ体優位の結晶の光学純度は、キラルHPLC分析の結果、22%eeであった(43.39g、収率39%)。
工程6:高光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の製造
窒素雰囲気下、工程5で得られた(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステル(34.2g、37.88mmol、>99%ee)のエタノール(340mL)溶液に、10%Pd−C(wet)(3.4g)を加え、水素置換後、室温にて2時間撹拌した。反応懸濁液をセライトろ過し、エタノール(50mL)で洗浄し、洗液を減圧濃縮することにより、31.78gの、高光学純度のtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸を得た(白色アモルファス、収率100%)。
なお、得られた化合物は、下記比旋光度に示す通り、左旋性の化合物であった。また、得られた化合物は、(S)体であるベンジルエステルよりエステルを脱保護して得られたことから、同様に(S)体である。
キラルHPLC分析:光学純度>99%ee(メインピーク:第二ピーク)
[α]D 20 −46.68 (c=1.0,CHCl3).
IR(ATR)cm-1:2921,1706,1479,1279,1134.
1H‐NMR(CDCl3)δ:0.80‐0.96(7H,m),1.38(1H.m),1.47(3H,d,J=7.1Hz),1.65‐1.77(5H,m),2.19(2H,d,J=6.8Hz),2.72(1H,m),2.81‐2.91(3H,m),3.08(3H,s),3.45(2H,t,J=5.2Hz),4.44(2H,q,J=5.4Hz),4.62(1H,d,J=17.1Hz),4.86(1H,d,J=17.4Hz),6.21(1H,q,J=7.1Hz),7.13(1H,d,J=8.3Hz),7.19(1H,s),7.38(1H,d,J=6.6Hz),7.71(1H,s),7.73(2H,s),8.15(2H,s).
工程7:trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルのラセミ体種晶の製造
特許文献1(国際公開第2008/129951号パンフレット) 実施例45記載の方法により合成したラセミ体のtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸(20g、24.61mmol)の無水ジクロロメタン(200mL)溶液に、氷冷下、ベンジルアルコール(2.93g、27.07mmol)、DMAP(300mg、2.46mmol)及びWSC・HCl(5.19g、27.07mmol)を加え、室温に昇温し、16時間撹拌した。反応液に水(100mL)を加え、クロロホルム(500mL)で抽出し、有機層を2M 塩酸水溶液(100mL)及び飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 350g、展開溶媒:N−ヘキサン/酢酸エチル=3/1→1/1)で精製することにより、21.15gのtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステル(収率95.2%)を白色アモルファスとして得た。
得られた白色アモルファスのtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステル(7.9g)をエタノール(40mL)に溶解し、室温で15時間撹拌することにより得られた析出物をろ取し、冷エタノール(20mL)で洗浄し、60℃で4時間減圧乾燥することにより、6.98gのtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸ベンジルエステルのラセミ体結晶(白色結晶性粉末、回収率88.4%)を得た。
[実施例3]優先晶析法Bを用いた光学活性な(S)体化合物の製造
優先晶析法Bによる光学活性な(S)体化合物の製造方法の概略をスキーム11として以下に示す。
なお、各化合物の絶対配置は、工程1で確認された(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの絶対配置から判断した。
また、工程1で得られた1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの光学純度は、実施例1中、例1の場合と同一の条件によるキラルHPLC分析により決定した。また、工程5で得られた(S)体化合物の光学純度は、実施例2と同一の条件によるキラルHPLC分析により決定した。さらに、工程2で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸エチル、工程3、4で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の光学純度は、それぞれ下記条件によるキラルHPLC分析により決定した。
<trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸エチルのキラルHPLC分析条件>
カラム:CHIRALCEL OD−RH
移動相:0.05%TFA/0.05%TFA in アセトニトリル=30/70
流速:0.5mL/min
カラム温度:10℃
検出波長:242nm
保持時間:第一ピーク/75.3 min((R)体)、第二ピーク/78.6 min((S)体)
<trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸のキラルHPLC分析条件>
カラム:CHIRALCEL OD−RH
移動相:0.1%TFA/0.1%TFA in アセトニトリル=30/70
流速:0.5mL/min
カラム温度:10℃
検出波長:242nm
保持時間:第一ピーク/102.3min((R)体)、第二ピーク/109.2min((S)体)
スキーム11
Figure 2013136573
(スキーム図中、Etはエチル基を示す。)
工程1:光学活性(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの製造
光学活性(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを下記1−(a)の方法(臭素化剤として、1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン及びトリフェニルホスフィンの組み合わせを用いる方法)により製造し、その絶対配置を以下の通り確認した。すなわち、1−(a)の方法により得られた(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンに導いたうえで、市販されている絶対配置既知の(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンの標準品と、比旋光度の実測値の符号を比較することで確認した。
また、光学活性(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを別途下記1−(b)の方法(臭素化剤として、三臭化リン及び臭化水素(30%酢酸溶液)の組み合わせを用いる方法)によっても製造した。
1−(a):光学活性(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの製造 その1
アルゴン雰囲気下、1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン(7.57g、23.2mmol)をトルエン(12.5mL)に溶解し、0℃にてトリフェニルホスフィン(6.1g、23.2mmol)を加え30分間撹拌した。これに(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(5.0g、19.4mmol、>99.5%ee)のトルエン溶液(12.5mL)を0℃で10分以上かけて滴下した後、室温まで昇温し、同温にて1時間撹拌した。撹拌後、反応液にn−ヘキサン(25mL)を加え、セライトろ過した。得られたろ液を水、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残渣を減圧蒸留(56℃、0.7mmHg)することで、5.52gの(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た(収率:88.6%)。
キラルHPLC分析:光学純度>99.5%ee(メインピーク:第一ピーク)
[α]D 25 +59.1(c=1.03,CHCl3).
1H‐NMR(CDCl3)δ:2.08(3H,d,J=7.1Hz),5.21(1H,q,J=7.1Hz),7.81(1H,s),7.87(2H,s).
(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの絶対配置の確認
上記1−(a)で得られた(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(106mg、0.336mmol、>99.5%ee)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(1mL)にアジ化ナトリウム(64.4mg、0.990mmol)を加え−18〜−15℃にて4時間撹拌した。反応溶液に酢酸エチル/n−ヘキサン(1:1)及び水を加え分液し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮することで111.5mgの1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアジド(粗生成物)を得た。
1H‐NMR(CDCl3)δ:1.61(3H,d,J=6.8Hz),4.79(1H,q,J=6.8Hz),7.78(2H,s),7.84(1H,s).
得られた1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアジド(粗生成物:111.5mg)をメタノール(6mL)に溶解し、パラジウム−フィブロイン(18mg)を加え、水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。撹拌後、反応液をセライトろ過し、ろ液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1〜5:1)にて精製し、77.6mgの1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンを無色油状物として得た(収率:91%、2工程)。
1H‐NMR(CDCl3)δ:1.42(3H,d,J=6.8Hz),1.58(2H,br‐s),4.30(1H,q,J=6.8Hz),7.75(1H,s),7.85(2H,s).
得られた1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンの比旋光度は以下の通りであった。
[α]D 25 −15.9(c=1.31,CHCl3).
一方、市販の絶対配置既知の標準品((S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミン(セントラル硝子社製、Lot.0102000、光学純度:99%ee))の比旋光度は以下の通りであった。
[α]D 25 −15.9(c=1.15,CHCl3).
比旋光度の実測値の符号が、市販の標準品の符号と一致したことから、得られた1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミンは(S)体であることが確認された。そして、当該アミンはアジ化物イオンの求核置換反応を経て1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンから得られていることから、上記1−(a)で得られた1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンは(R)体であることが確認された。
1−(b):光学活性(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンの製造 その2
アルゴン雰囲気下、(S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール(24.8kg、96.06mol、99%ee)のヘプタン懸濁液(34.0kg)に、−5〜5℃で三臭化リン(13.1kg、48.39mol)を3時間かけて滴下し、同温にて1時間撹拌した。反応液に、同温にて臭化水素(30%酢酸溶液)(22.6kg、96.26mol)を滴下し、12〜18℃で20時間撹拌した。反応液を10℃以下にてヘプタン(137kg)−水(262kg)の混合液に注ぎ、同温にて1時間撹拌した後、ヘプタン層を分離し、水層をヘプタン(34kg)で抽出した。ヘプタン層を合わせ、7%炭酸水素ナトリウム溶液(138kg)、25%食塩水(164kg)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下(90〜100mmHg)濃縮し、シリカゲル(5kg)を加えてろ過した。シリカゲル層をヘプタン(15kg)で洗浄し、ろ液と洗液を合わせた後25L程度まで減圧濃縮し、さらに蒸留(40℃、<10Pa)することにより、26.03kgの(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを無色油状物として得た(収率84.6%)。
なお、下記の通りキラルHPLC分析において第一ピークがメインピークとして現れたことから、1−(b)で製造した1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンも1−(a)と同様に、(R)体であることが確認された。
キラルHPLC分析:光学純度 96.2%ee(メインピーク:第一ピーク)
1H‐NMR(CDCl3)δ:2.08(3H,d,J=7.1Hz),5.21(1H,q,J=7.1Hz),7.81(1H,s),7.87(2H,s).
工程2:trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸エチルの、(S)体優位の部分ラセミ化体の製造
アルゴン雰囲気下、t−ペントキシナトリウム(3.49g、31.65mmoL)に無水トルエン(24mL)及び無水N,N−ジメチルホルムアミド(60mL)を加え、室温で15分撹拌した。反応液を−40〜−30℃に冷却し、同温にて、特許文献1(国際公開第2008/129951号パンフレット)記載の方法により合成したtrans−[4−([(エチル){2−[({5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}アミノ]メチル)シクロヘキシル]酢酸エチル(12.0g、21.1mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(36mL)溶液を30分かけて加え、同温にて1時間撹拌した。反応液を−60〜−65℃に冷却し、工程1で得た(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(13.5g、42.2mmol、>99.5%ee)の無水N,N−ジメチルホルムアミド溶液(24mL)を20分かけて滴下し、同温にて3時間撹拌した。−55〜−45℃で反応液に酢酸をpHが7以下になるまで加え、室温まで昇温し、トルエン(180mL)を加えた。有機層を分取し、水層をトルエン(5mL)で抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮することにより、22.88gのtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸エチルの粗体を得た。
なお、上記工程1に記載の通り絶対配置が確認された(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを原料として使用し、アミンによる求核置換反応が進行していることから、得られた部分ラセミ化体は(S)体が優位である。
工程3:trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の、(S)体優位の部分ラセミ化体の製造
工程2で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸エチルの粗体(11.44g)にエタノール(90mL)を加え、40℃以下で2M NaOH水溶液(21.1mL、42.2mmol)を加え、45〜55℃にて8時間撹拌した。反応液を冷却し、0℃で、pH5〜6になるまで4M HCl水溶液を加え、40℃以下で減圧濃縮した。濃縮液に酢酸エチル(10mL)、水(55mL)を加え、有機層を分取し、水層を酢酸エチル(10mL)で抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(44mL)、水(44mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮して、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の粗体を得た。
なお、得られた部分ラセミ化体は、工程2で得られた(S)体優位の部分ラセミ化体と同様、(S)体が優位である。
工程4:高光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸 塩酸塩の結晶の製造
高光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸 塩酸塩の結晶を下記4−(a)の方法により製造した。
また、4−(a)で得られた結晶を種晶として用いて、別途下記4−(b)の方法によっても製造した。
4−(a):高光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸 塩酸塩の結晶の製造 その1
工程3で得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の粗体の全量に酢酸エチル(35mL)を加え、0℃にて撹拌下、4M HCl/酢酸エチル溶液(10.6mL)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液に、同温にてヘプタン(90mL)を1時間かけて加え、さらに同温にて2時間撹拌した。析出物をろ取し、ヘプタン(20mL)で洗浄し、40℃にて減圧乾燥することにより、9.49gのtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸 塩酸塩を白色アモルファスとして得た。
キラルHPLC分析:光学純度 92.6%ee(メインピーク:第二ピーク)
得られたアモルファス状のtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸 塩酸塩(1.0g)に酢酸エチル(8mL)を加え、70℃にて加熱溶解した後、2時間かけて30℃まで冷却し、同温にて13時間撹拌した。析出物を氷冷酢酸エチル(5mL)で懸洗し、減圧乾燥することにより、789.8mgの(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸 塩酸塩を白色結晶として得た。
キラルHPLC分析:光学純度 99.0%ee(メインピーク:第二ピーク)
4−(b):高光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸 塩酸塩の結晶の製造 その2
アルゴン雰囲気下、t−ペントキシナトリウムのトルエン溶液(11.9w/w%、3.20kg)に無水N,N−ジメチルホルムアミド(8.5kg)及びトルエン(1.5kg)を加え、−40〜−30℃に冷却した。同温にて、特許文献1(国際公開第2008/129951号パンフレット)記載の方法により合成したtrans−[4−([(エチル){2−[({5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}アミノ]メチル)シクロヘキシル]酢酸エチル(1.218kg、2.14mol)の無水N−メチルピロリジノン(5.82kg)溶液を30分かけて加え、同温にて1.5時間撹拌した。反応液に無水N−メチルピロリジノン(3.44kg)を加え、反応液を−60〜−65℃に冷却し、工程1で製造した(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(1.36kg、4.24mol、96.2%ee)を20分かけて滴下し、同温にて8時間撹拌した。−55〜−45℃で反応液に氷酢酸(64g)をpHが7以下になるまで加え、室温まで昇温し、トルエンを2.4kg加えた。上記と同様の操作により19.2kgのtrans−[4−([(エチル){2−[({5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}アミノ]メチル)シクロヘキシル]酢酸エチルを12ロットに分けて反応させ、反応液を合わせた(合計:439.8kg)。
反応液に水(55kg)、トルエン(100kg)を加え、20〜30℃にて15分撹拌し、トルエン層を分取した。水層にトルエン(126kg)を加え、20〜30℃にて15分撹拌し、水層を分離した。トルエン層を合わせ、25%食塩水(35kg)、水(54kg)を加え、20〜30℃にて15分撹拌し、水層を分離した。同様の洗浄操作を再度繰り返し、354kgのtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸エチルのトルエン溶液(含有率:7.0%、含有量:24.8kg、収率91%)を得た。
キラルHPLC分析:光学純度 93.0%ee(メインピーク:第二ピーク)
得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸エチルのトルエン溶液の全量を50℃以下で50L程度に減圧濃縮した後、エタノール(80kg)を加え、50L程度まで減圧濃縮した。得られた濃縮液にエタノール(140kg)を加え、40℃以下で2M NaOH水溶液(83.2kg、155mol)を加え、45〜55℃にて8時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、40℃以下で、pH7〜8になるまで6M HCl水溶液を加え、40℃以下で100L程度まで減圧濃縮した。濃縮液に酢酸エチル(112kg)、水(125kg)を加え、6M HCl水溶液(9.3kg)を加えpH4〜5とし、有機層を分取した。水層を酢酸エチル(90kg)で抽出した。有機層を合わせ、5%食塩水(102kg)で2回洗浄し、60L程度まで減圧濃縮した後、酢酸エチル(82kg)を加え、60Lまで減圧濃縮することでエタノールを共沸した(エタノール:≦1.0%)。残渣に酢酸エチル(263.6kg)を加え、10〜20℃にて撹拌下、1.4M HCl/酢酸エチル溶液(30kg)を加え、65〜75℃に加熱した。同温にて、上記4−(a)で得られた結晶(50g)を種晶として加え3時間撹拌した後、1.4M HCl/酢酸エチル溶液(4.7kg)を加え、同温にて2時間撹拌した。2.5時間かけて50℃付近まで冷却し、更に4時間かけて30℃付近まで冷却し、20〜30℃にて27時間撹拌した。得られた結晶を遠心分離し、酢酸エチル(12.6kg、20.6kg)で懸洗し、40〜50℃にて12時間減圧乾燥することにより、22.95kgの(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸 塩酸塩を白色結晶として得た(収率91%)。
キラルHPLC分析:光学純度 99.4%ee(メインピーク:第二ピーク)
1H‐NMR(DMSO−d6)δ:0.72‐0.92(7H,m),1.30(1H,br.),1.42‐1.76(8H, m),2.02(2H,d,J=7.2Hz),2.13(3H,s),2.62‐2.96(6H, m),4.19(2H,t,J=6.6Hz),4.53(1H,d,J=16.8Hz),4.79(1H,d,J=16.8Hz),6.23(1H,q,J=6.8Hz),7.09(1H,s),7.30(1H,d,J=8.0Hz),7.46(1H,d,J=8.0Hz),7.83(2H, s),7.93(1H,s),8.31(2H,s).
工程5:高光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の製造
高光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸を、下記5−(a)の通りt−ブチルメチルエーテル溶液として製造した。
また、別途下記5−(b)の通り白色アモルファスとしても製造した。
5−(a):高光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の製造 その1
アルゴン雰囲気下、工程4で得られた(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸 塩酸塩の結晶(21.60kg、27.66mol、99.4%ee)を2−プロパノール(86.4kg)に溶解ないし懸濁し、10〜15℃にてタングステン酸ナトリウム二水和物(910g、2.76mol)の水溶液(3.2kg)を加え、さらに過酸化水素水(12.9kg、110.6mol)を1時間かけて加え、同温にて8時間撹拌した。反応液を−5〜5℃に冷却し、飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液(49kg)を加え同温にて30分撹拌後、7%炭酸水素ナトリウム水溶液(31kg)を加え、25分撹拌した。反応液に水(54kg)及びt−ブチルメチルエーテル(127.5kg)を加え分液し、有機層を5%食塩水(134kg)で3回洗浄することで、153.8kgの(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸のt−ブチルメチルエーテル(含有率:14.1%、含有量:21.7kg)溶液を得た。
キラルHPLC分析:光学純度 99.3%ee(メインピーク:第二ピーク)
5−(b):高光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸の製造 その2
アルゴン雰囲気下、工程4と同様の操作で得られた(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸 塩酸塩の結晶(100mg、0.124mmol、99.5%ee)を2−プロパノール(1.5mL)に懸濁ないし溶解し、氷冷下でタングステン酸ナトリウム二水和物(4.1mg、0.0124mmol)を加え、さらに30%過酸化水素水(124μL、1.24mmol)を加え、室温にて4.5時間撹拌した。反応液に氷冷下、10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えて過剰の過酸化水素を分解した後、反応液を酢酸エチル(5mL)で2回抽出し、有機層を飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧留去した。得られた粗生成物を、分取薄層クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)にて精製し、93.4mgの(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸を白色アモルファスとして得た。(収率92.9%)
キラルHPLC分析:光学純度 99.4%ee(メインピーク:第二ピーク)
IR(ATR)cm-1:2921,1706,1479,1279,1134.
1H‐NMR(CDCl3)δ:0.80‐0.96(7H, m),1.38(1H. m),1.47(3H,d,J=7.1Hz),1.65‐1.77(5H, m), 2.19(2H,d,J=6.8Hz),2.72(1H, m),2.81‐2.91(3H, m),3.08(3H,s),3.45(2H,t,J=5.2Hz),4.44(2H,q,J=5.4Hz),4.62(1H,d,J=17.1Hz),4.86(1H,d,J=17.4Hz),6.21(1H,q,J=7.1Hz),7.13(1H,d,J=8.3Hz),7.19(1H,s),7.38(1H,d,J=6.6Hz),7.71(1H,s),7.73(2H,s),8.15(2H,s).
[実施例4]trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸エチルの部分ラセミ化体の製造工程における、反応温度条件の影響の検討
実施例2 工程2及び実施例3 工程2に記載の反応における、反応温度が部分ラセミ化に与える影響を検討するため、以下の試験を実施した。
すなわち、実施例2 工程2及び実施例3 工程2に準じ、溶媒(無水N,N−ジメチルホルムアミド 15mL。ただし、−60℃での反応においては凍結を防ぐため、無水N,N−ジメチルホルムアミド 10mLと無水テトラヒドロフラン 5mLの混液を用いた。)中、特許文献1(国際公開第2008/129951号パンフレット)記載の方法により合成したtrans−[4−([(エチル){2−[({5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}アミノ]メチル)シクロヘキシル]酢酸エチル(1g、1.76mmоl)と(R)−1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン(1.13g、3.52mmol、95.4%ee)とを、t−ペントキシナトリウム(0.29g、2.64mmol)の存在下、反応温度条件を種々変更して3時間反応させた。反応後、得られたtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸エチルの(S)体優位の部分ラセミ化体の光学純度を、実施例2及び実施例3と同様のキラルHPLC分析により測定した。
結果を表4に示す。
Figure 2013136573
表4に示す試験結果から、trans−[4−([(エチル){2−[({5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}アミノ]メチル)シクロヘキシル]酢酸エチルを塩基存在下、光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンと反応させ、trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルチオ)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸エチルの部分ラセミ化体を得る反応においては、反応温度を低く設定することにより、部分ラセミ化による光学純度の低下が顕著に抑制されることが明らかとなった。
[実施例5](S)体化合物の血中LDLコレステロール低下作用の確認
高光学純度の(S)−trans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸((S)体化合物:光学純度>99%ee)を0.5%メチルセルロース溶液に懸濁させた後、正常ハムスター(雄性Syrian Hamster)に金属ゾンデを用いて1日1回、14日間反復経口投与した。最終投与の4時間後に血液を採取し、血漿を得た。血漿中のリポタンパク質の分析は、J. Lipid. Res., 43, p805- 814に記載の方法に準じ、ポストラベル法を用いたHPLCシステムにより自動測定することで行なった。すなわち、血漿サンプル15μLを1mM EDTAを含むPBSで10倍希釈後、HPLCシステム(送液ユニット:Shimadzu LC‐20A system、島津製作所)に接続したゲルろ過カラム(Superose6カラム(カラムサイズ:10×300mm)、GEヘルスケアバイオサイエンス製)に80μL注入した。ランニングバッファとして1mM EDTAを含むPBSを用い、流速0.5mL/min、カラム温度40℃にて分離を行なった。カラムからの溶出液に対しコレステロール測定試薬(コレステロールE テストワコー、和光純薬工業社製)を流速0.25mL/minで混合し、反応コイル(0.5mm×15m)中にて送液下40℃にて反応させた。反応コイルからの溶出液中のコレステロールを、波長600nmで検出した。得られたコレステロールのピーク総面積に占めるLDL画分の面積割合を求め、あらかじめコレステロールE テストワコーを用いて測定した総コレステロール量に、LDL画分の面積割合を乗じてLDLコレステロール量を算出した。
なお、コントロール群(0.5%メチルセルロース溶液投与群)、被験化合物投与群((S)体化合物 10mg/kg体重、30mg/kg体重投与群)それぞれにつき、あらかじめ血漿総コレステロール値を指標に群分けした正常ハムスター6匹を用いた。
各群の血漿中のLDLコレステロール量(LDL−C、mg/dl)を表5に示す。なお、表5中の*印及び***印は、それぞれコントロール群と被験化合物投与群の間で行なった多群比較検定(Dunnettの多重比較検定)の結果、危険率5%以下(p<0.05)、及び危険率0.1%以下(p<0.001)で優位差があることを示す。また、被験化合物投与群における、コントロール群に対するLDLコレステロール量の低下率を、LDLコレステロール低下率として下記計算式1により算出し、%で示した。
LDLコレステロール低下率(%)=[(コントロール群の平均LDLコレステロール量−各化合物投与群の平均LDLコレステロール量)/コントロール群の平均LDLコレステロール量]×100 (計算式1)
Figure 2013136573
表5に記載の結果から、(S)体化合物は、優れた血中LDLコレステロール低下作用を有することが明らかとなった。
以上の試験結果から、(S)体化合物は、血中LDL低下作用を有する医薬の有効成分等として有用であることが明らかとなった。
本発明の方法によれば、医薬の有効成分等として有用な1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体の光学活性体を製造することができ、医薬品産業において利用できる。

Claims (13)

  1. 臭素化剤として以下の(a)〜(c)のいずれか:
    (a)ハロゲン化リン及び臭化水素の組み合わせ;
    (b)1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン及び一般式(4)
    Figure 2013136573
    (式中、R10、R11及びR12は、それぞれ独立にC6-10アリール基、C6-10アリールオキシ基、C1-10アルキル基、C1-10アルコキシ基、C3-6シクロアルキル基、又はC3-6シクロアルコキシ基を示す。)で表される有機リン化合物の組み合わせ;
    (c)N−ブロモコハク酸イミド及びジアルキルスルフィドの組み合わせ;
    を用いて光学活性1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノールを臭素化して光学活性1−ブロモ−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタンを得る工程を含む、一般式(1)
    Figure 2013136573
    (式中、
    1は、水素原子、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ低級アルコキシ基、低級アルキルスルフィニル低級アルコキシ基、低級アルキルスルホニル低級アルコキシ基、置換基を有してもよいアリール低級アルコキシ基、水酸基、低級アルキルアミノ基、低級ジアルキルアミノ基、低級アルキルチオ低級アルキルアミノ基、低級アルキルスルフィニル低級アルキルアミノ基、低級アルキルスルホニル低級アルキルアミノ基、アリールアミノ基、環構成原子にヘテロ原子を有してもよい環状アミノ基、低級アルコキシ低級アルコキシ基、低級アルコキシ低級アルキルアミノ基、ヒドロキシ低級アルコキシ基、ヒドロキシ低級アルキルアミノ基、アシルアミノ基、低級アルキルスルホニルアミノ基、ヒドロキシカルボニル低級アルコキシ基、アミノ低級アルコキシ基、低級アルキルアミノ低級アルコキシ基、又は低級ジアルキルアミノ低級アルコキシ基を示し、
    2及びR3は、それぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル低級アルキル基、アリール基、置換基を有してもよいアリール低級アルキル基、若しくは低級シクロアルキル基を示すか、又はR2及びR3が一緒になって隣接する窒素原子とともに置換基を有してもよい含窒素飽和複素環を形成してもよく、
    Figure 2013136573
    は一般式(2)又は一般式(3)で表される基のいずれか:
    Figure 2013136573
    (式中、
    4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級シクロアルキル基、低級シクロアルキル低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルコキシ低級アルコキシ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルキルスルホニルアミノ基、ハロ低級アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、置換基を有してもよいアミノ基、カルボキシル基、低級アルキルカルボニル基、又は低級アルコキシカルボニル基を示す。);
    Figure 2013136573
    (式中、
    8及びR9は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級シクロアルキル基、低級シクロアルキル低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルコキシ低級アルコキシ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルキルスルホニルアミノ基、ハロ低級アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、置換基を有してもよいアミノ基、カルボキシル基、低級アルキルカルボニル基、又は低級アルコキシカルボニル基を示し、
    環A´は構成原子が6〜10個であり、環構成原子の少なくとも一つが窒素原子である単環性又は二環性の複素環を示す。);
    を示す。)
    で表される1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体の光学活性体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法。
  2. 1が、C1-6アルキルチオC1-6アルコキシ基、C1-6アルキルスルフィニルC1-6アルコキシ基、又はC1-6アルキルスルホニルC1-6アルコキシ基であり、
    2及びR3が、それぞれ独立にC1-6アルキル基、若しくはC3-8シクロアルキルC1-6アルキル基(当該C3-8シクロアルキルC1-6アルキル基は、そのシクロアルキル基上に置換基としてヒドロキシカルボニルC1-6アルキル基若しくはC1-6アルコキシカルボニルC1-6アルキル基を1個有してもよい)であるか、又はR2及びR3が一緒になって隣接する窒素原子とともにモルホリノ基、若しくはピペリジノ基(当該モルホリノ基、若しくはピペリジノ基は、置換基としてC1-6アルキル基を1〜2個有してもよい)を形成するものであり、
    4、R5、R6及びR7が、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、又はC1-6アルコキシ基であり、
    8及びR9が、それぞれ独立に水素原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、又はC1-6アルコキシ基であり、
    環A´が、
    Figure 2013136573
    である請求項1に記載の方法。
  3. 一般式(1)で表される1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタン誘導体の光学活性体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、光学活性なtrans−{4−[({2−[({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}{5−[2−(メチルスルホニル)エトキシ]ピリミジン−2−イル}アミノ)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル}(エチル)アミノ)メチル]シクロヘキシル}酢酸、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物である請求項1に記載の方法。
  4. 臭素化剤として(a)の組み合わせを用いて溶媒の非存在下又は存在下に臭素化を行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. ハロゲン化リンが三臭化リンである請求項4に記載の方法。
  6. 臭化水素が臭化水素の酢酸溶液又は臭化水素酸である請求項4又は5に記載の方法。
  7. 溶媒が脂肪族炭化水素類である請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 溶媒がヘプタンである請求項7に記載の方法。
  9. 臭素化剤として(b)又は(c)の組み合わせを用いて溶媒の存在下に臭素化を行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  10. 一般式(4)で表される有機リン化合物がトリフェニルホスフィンである請求項9に記載の方法。
  11. ジアルキルスルフィドがジメチルスルフィドである請求項9又は10に記載の方法。
  12. 溶媒が芳香族炭化水素類又はハロゲン化炭化水素類である請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 溶媒がトルエン、ジクロロメタン、又は1,2−ジクロロエタンである請求項12に記載の方法。
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