JPWO2013021562A1 - モータの制御装置 - Google Patents

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Abstract

本発明のモータの制御装置は、モータを駆動するモータ駆動部と、電流ベクトル制御部と、弱め磁束電流指令生成部と、目標指令リミッタあるいはq軸電流指令リミッタと、を備える。電流ベクトル制御部は、外部からの目標指令値に従ってモータの電流を直交したd軸電流とq軸電流に分離して制御する。弱め磁束電流指令生成部は、電流ベクトル制御部からのモータ駆動部への電圧指令の絶対値と第1の所定の基準値との差分あるいは電圧指令のq軸成分と第2の所定の基準値との差分に基づいてd軸電流の量を制御するd軸電流指令を生成する。目標指令リミッタは、d軸電流指令が負の上限値を超えた値に基づいて外部からの目標指令値の制限値を設定する。

Description

本発明は、電流ベクトル制御を用いたモータの制御装置において、弱め磁束制御や指令制限を行い、電圧飽和領域付近でモータを力行動作あるいは回生動作する技術に関する。
一般にモータの電流を制御する方法として、モータの電流をトルクに寄与するq軸電流成分とそれに直交するd軸電流成分に分離して制御するベクトル制御が用いられる。ベクトル制御部は外部からの指令を受けて、モータに電力を供給するモータ駆動部への指令電圧を計算する。
外部からの指令の値が大きくなった場合など、この指令電圧がモータ駆動部の供給可能電圧を上回る現象がある。この現象を電圧飽和と呼ぶ。電圧飽和は、モータの回転速度が大きいほど生じやすい。これは、モータ回転中に生じる誘起電圧が、回転速度に比例して上昇し、この誘起電圧の上昇を供給電圧で補うためにモータの端子間電圧も同様に上昇するためである。また、負荷が大きい場合や電源電圧が低い場合も、供給電圧余裕が小さくなるため、電圧飽和が生じやすくなる。
電圧飽和状態になると、力行動作時は、q軸電流を増やせなくなり、トルクが低下したり、電流制御器の積分項が飽和(ワインドアップ)したりして、静特性や動特性が劣化する。また、回生動作時は、指令値よりも大きなq軸電流が流れ、過電流・過電圧、過大なブレーキトルクが発生して安全性が低下する。
電圧飽和を抑制する手段として、負のd軸電流を流すことによって、永久磁石による磁束を減磁し、誘起電圧の増加を抑制する弱め磁束制御が用いられる。
従来の弱め磁束制御の例として、電圧飽和の検出手段を備え、この検出手段によって検出した飽和量に相当する信号または適当な固定値を積分し、この積分値をd軸電流指令として電流制御器に出力する閉ループ弱め磁束制御がある(例として、特許文献1参照)。
しかし、負のd軸電流を増加し続けると、電圧低減効果は縮小し、やがて電圧は減少から増加に転じる。電圧が増加に転じる境界が上記弱め磁束制御の限界点である。この限界点において、モータ端子間電圧の余裕が最も大きくなる。すなわち、流すことのできるq軸電流および出力可能なトルクが最大の状態になる(以下、モータが出力可能な最大トルクを限界トルクと呼ぶことがある)。
限界トルクは一定ではなく、モータの状態によって変化する。誘起電圧が大きいほどモータ端子間電圧の余裕は小さくなるため、限界トルクは回転数上昇に伴って低下する。このため、低速域では出力可能だったトルクを、高速域では弱め磁束制御を行っても出力できない場合がある。
限界トルクよりも大きいトルクを出力しようとすると、電圧飽和状態となり、トルク追従誤差やワインドアップが生じ、制御の不安定化や特性劣化を招く。また、電圧飽和状態で上記閉ループ弱め磁束制御を用いた場合、d軸電流指令が負の方向に発散し、制御が不安定になる。
この出力限界に対する従来技術の例として、特許文献2がある。図14は、特許文献2記載の従来技術によるモータの制御装置のブロック図を示す。この制御装置は、電流ベクトル制御部103、飽和検出器904、飽和積分器905、d軸電流上限値演算部108、d軸電流指令リミッタ109、目標指令の制限値演算部914、目標指令リミッタ110を備えている。電流ベクトル制御部103は、外部からのトルク指令τ に従ってモータ101の電流を制御する。飽和検出器904は、電流ベクトル制御部103からモータ駆動部102への電圧指令vdとvqに基づいて電圧飽和の有無を検出する。飽和積分器905は、飽和検出器904から出力される飽和検出信号に基づいて積分演算を行って、負のd軸電流指令である弱め磁束電流指令ids を生成する。d軸電流上限値演算部108およびd軸電流指令リミッタ109は、モータ駆動部102の供給可能電圧Vcとモータ101の回転速度ωに基づいて弱め磁束電流指令の負の上限値idslmtを設定する。目標指令の制限値演算部914は、上記Vc、ω、idslmtに基づいて限界トルク値τlmt を設定する。
上述の構成によって、弱め磁束制御で電圧飽和を抑制し、外部からの指令トルクτ をモータが出力可能な限界トルクτlmt に制限するため、全運転領域に渡って電圧飽和を解消できる。また、弱め磁束電流指令idsを限界トルクτlmt を得るための弱め磁束電流指令の上限値idslmtに制限するため、d軸電流指令の発散も回避できる。
しかしながら、特許文献2の方法では、モータ101が出力可能な限界トルクτlmt を、モータ駆動部102が供給可能な電圧Vcと、モータ101の回転速度ωと、弱め磁束電流指令の負の上限値idslmtとから、インダクタンスなどのモータ固有の定数を含む計算式を用いることよって計算している。そのため、運転状態によるインダクタンスの変動や、モータ毎のモータ定数のばらつきがある場合、限界トルクτlmt が正しく計算されない。
この計算誤差により、限界トルクτlmt が実際の限界トルクよりも大きい値に設定されると、実際の限界トルクよりも大きいトルク指令τに基づいて電流制御が行われ、電圧飽和を解消できない場合がある。
また、逆にトルク制限値τlmt が実際の限界トルクよりも小さい値に設定された場合、トルク指令τが過剰に制限され、十分なトルクを得られない場合がある。
特開平11−27996号公報 特開2003−209996号公報 特開2006−254572号公報
本発明のモータの制御装置は、モータを駆動するモータ駆動部と、電流ベクトル制御部と、弱め磁束電流指令生成部と、目標指令リミッタあるいはq軸電流指令リミッタと、を備える。電流ベクトル制御部は、外部からの目標指令値に従ってモータの電流を直交したd軸電流とq軸電流に分離して制御する。弱め磁束電流指令生成部は、電流ベクトル制御部からのモータ駆動部への電圧指令の絶対値と第1の所定の基準値との差分あるいは電圧指令のq軸成分と第2の所定の基準値との差分に基づいてd軸電流の量を制御するd軸電流指令を生成する。目標指令リミッタは、d軸電流指令が負の上限値を超えた値に基づいて外部からの目標指令値の制限値を設定する。q軸電流指令リミッタは、q軸電流の量を制御するq軸電流指令の制限値を設定する。
この構成によって、モータの出力可能限界を超える目標指令値が入力された場合でも、d軸電流指令を上限値に保ち、目標指令値あるいはq軸電流指令を自動的かつ正確に出力可能限界に制限できる。その結果、モータ定数の変動やばらつきがある場合でも、電圧飽和を解消でき、なおかつモータの出力可能限界を維持して駆動できる。
図1は本発明の実施の形態1におけるモータの制御装置のブロック図である。 図2は本発明の実施の形態1におけるモータの制御装置の変形例のブロック図である。 図3は本発明の実施の形態1におけるモータの制御装置の変形例のブロック図である。 図4は本発明の実施の形態2におけるモータの制御装置のブロック図である。 図5は本発明の実施の形態3におけるモータの制御装置のブロック図である。 図6は本発明の実施の形態4におけるモータの制御装置のブロック図である。 図7は本発明の実施の形態5におけるモータの制御装置のブロック図である。 図8Aは本発明の実施の形態5における簡略ブロック図である。 図8Bは本発明の実施の形態5における変形例の簡略ブロック図である。 図9は埋込み永久磁石型同期モータにおける電流ベクトル軌跡の図である。 図10は表面永久磁石型同期モータにおける電流ベクトル軌跡の図である。 図11は埋込み永久磁石型同期モータにおける回生時動作時の電流ベクトル軌跡の図である。 図12は本発明の実施の形態3における電流ベクトル軌跡の図である。 図13は本発明の実施の形態5における速度軌跡の図である。 図14は従来技術によるモータの制御装置のブロック図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるモータの制御装置のブロック図である。図1は、永久磁石型同期モータ(以下、「PMSM」あるいは単に「モータ」と呼ぶことがある。)101を外部からのトルク指令τ に従って駆動する装置の駆動制御系を示す。
以下に各部の動作を説明する。本実施の形態におけるモータの制御装置は、モータ駆動部102、電流ベクトル制御部103、弱め磁束電流指令生成部105、d軸電流上限値演算部108、d軸電流指令リミッタ109、目標指令リミッタ110、通常領域d軸電流指令設定部111、d軸電流指令加算部112、q軸電流指令生成部113を備えている。また、弱め磁束電流指令生成部105は、出力電圧演算部104、積分器106、比例器107から構成されている。
モータ駆動部102は、PMSMの界磁方向であるd軸とそれと直交する方向であるq軸のそれぞれへの電圧指令vd、vqを、PMSMのU相、V相、W相に与える3相電圧指令に変換する2相−3相変換の処理と、この3相電圧指令に従ってPMSM各相に実際の電圧を発生する電力変換の処理を行う。
電流ベクトル制御部103は、d軸電流の量を制御するd軸電流指令idの値とd軸電流値との誤差がゼロになるようにd軸電圧指令vdを生成する。また、電流ベクトル制御部103は、q軸電流の量を制御するq軸電流指令iqの値とq軸電流値との誤差がゼロになるようにq軸電圧指令vqを生成する。d軸電圧指令vdおよびq軸電圧指令vqを生成する生成手段として、例えばPI制御がある。
通常領域d軸電流指令設定部111は、電圧飽和が生じない運転領域におけるd軸電流指令iduを生成する。生成則は、特に限定されるものではなく、例えば、最大トルク/電流比運転、最大効率運転等がある。電圧飽和が生じない運転領域において、モータの銅損や鉄損が小さくなるように電流位相を調整する用途に用いる。あるいは単に、idu=0を出力して、電圧飽和が生じない運転領域ではd軸電流を常にゼロに保つようにしてもよい。
q軸電流指令生成部113は、PMSMのトルクをトルク指令τに追従させるためのq軸電流指令iqを生成する。生成則として、例えばPMSMの出力トルクと電流の関係を表す(数1)を用いる。(数1)において、LdとLqはd軸とq軸のインダクタンス、PはPMSMの極対数、Ψは永久磁石による電機子鎖交磁束、τはトルク、idとiqはd軸とq軸の電流である。
Figure 2013021562
本実施の形態においては、q軸電流指令生成部113内部に(数1)ないしは同式に基づくデータテーブルが実装され、トルク指令τおよびd軸電流指令idとに基づいてq軸電流指令iqが生成される。
出力電圧演算部104は、電流ベクトル制御部103からモータ駆動部102への電圧指令vdおよびvqを(数2)に代入し、電圧指令の絶対値|v|を演算する。
Figure 2013021562
弱め磁束電流指令生成部105は、電圧指令の絶対値|v|を第1の所定の基準値Vlmtから引いた電圧差分Δvを積分器106により積分した値と、電圧差分Δvを比例器107により比例計算した値とを加算して、弱め磁束制御のためのd軸電流指令成分ids(以下、「弱め磁束電流指令」と呼ぶ。)を生成する。
ここで、第1の所定の基準値Vlmtを、モータ駆動部102の供給可能最大電圧値と同じ値に設定することにより、電圧飽和時には負の電圧差分Δvが入力されて弱め磁束電流指令idsが負の方向に増加する。一方、電圧飽和がない時には正の電圧差分Δvが入力されて弱め磁束電流指令idsが正の方向に増加する。つまり、電圧飽和の程度に応じて弱め磁束電流指令idsが生成される。
ただし、第1の所定の基準値Vlmtをモータ駆動部102の供給可能最大電圧値よりも小さい値としてもよい。また、正のd軸電流は必要ないため、後述のd軸電流指令リミッタ109で最大値をゼロに制限する。また、弱め磁束電流指令生成部105の積分器106でも積分値の最大値をゼロに制限する。
d軸電流指令加算部112は、通常領域d軸電流指令設定部111で生成したd軸電流指令成分iduと、弱め磁束電流指令生成部105で生成した弱め磁束電流指令idsを加算して、d軸電流指令id を生成する。
次に、d軸電流上限値演算部108と、d軸電流指令リミッタ109と、トルク指令を制限する目標指令リミッタ110の動作について説明する。これらは連動して動作する。
説明の補助のために、図9にPMSMにおける電流ベクトル軌跡の図を示す。電流ベクトル軌跡とは、d軸とq軸の直交座標上で、d軸にd軸電流値、q軸にq軸電流値をとり、d軸電流とq軸電流を合成した電流を、原点を始点とする電流ベクトルとして表示し、その軌跡をプロットしたものである。図9は、特に埋込み永久磁石型同期モータ(以下、「IPMSM」と呼ぶことがある。)における電流ベクトル軌跡の図である。
図9における電圧制限楕円15は、モータ駆動部102の供給可能電圧によって制限される電流ベクトルの選択範囲を示しており、この楕円外部は電圧飽和領域を意味する。電圧制限楕円15は、回転速度の上昇や電源電圧の低下に従って小さくなる。
図9における定トルク曲線1、2、3は、各々特定の値のトルクを出力するための電流ベクトル軌跡を示し、(数1)に基づく。
d軸電流上限値演算部108は、モータ101の回転速度ωと、モータ駆動部102の供給可能電圧Vcとから、d軸電流指令の負の上限値idlmtを演算する。上限値idlmtの定義は、特に限定されるものではないが、ここではモータ101が出力可能な限界トルクを得るd軸電流とする。限界トルクは、電圧制限楕円と接する定トルク曲線(図9の場合、定トルク曲線2)で表され、限界トルクを得るd軸電流はその接点のd軸座標(図9の場合、X)で表される。
以下、限界トルクを得るd軸電流指令の演算則について説明する。まず、電圧制限楕円を定式化する。IPMSMの電圧方程式を(数3)に示す。(数3)において、vdとvqはd軸とq軸の電圧、Rはモータの巻線抵抗、ωはモータの回転速度、pは微分演算子である。
Figure 2013021562
ここでは定常状態を想定し、モータの巻線抵抗Rでの電圧降下と電流変化によるインダクタンスLd、Lqでの電圧降下を無視し、誘起電圧によって電圧の大きさを議論する。モータ駆動部102の供給可能電圧をVc、誘起電圧をVbとすると、電圧飽和を起こさないための誘起電圧の大きさの条件は(数4)で示される。
Figure 2013021562
次にVb=Vcとし、(数5)に変形することにより、誘起電圧がモータ駆動部102の供給可能電圧Vcと等しくなったときの電圧制限楕円の式が導かれる。この楕円はid=−Ψ/Ld、iq=0を中心点にもつ。
Figure 2013021562
次に、トルク曲線を表す(数1)と電圧制限楕円を表す(数5)とからq軸電流iqを消去し、トルクτを表す式を(数6)に導く。
Figure 2013021562
(数6)を、idとVc/ωの関数と見做す。
Figure 2013021562
ここで、接点の条件(数8)を満たすidが、ある値のVc/ωの場合において最大トルクを得るd軸電流値である。
Figure 2013021562
限界トルクを得るd軸電流は、モータが表面永久磁石型同期モータ(以下、「SPMSM」と呼ぶことがある。)である場合、IPMSMの場合よりも簡単に求まる。図10に、SPMSMにおける電流ベクトル軌跡の模擬図を示す。図10に示すように、SPMSMの定トルク曲線4、5、6はd軸に平行な直線になる。このため、電圧制限楕円15と定トルク曲線5の接点は常に楕円の中心点と同じd軸座標を持つことになり、限界トルクを得るd軸電流は定数−Ψ/Ldとなる。IPMSMの場合も、突極性が小さいものはSPMSMに近い特性を持つため、簡易的にd軸電流指令の負の上限値idlmtを上記定数−Ψ/Ldとしてもよい。
以上、限界トルクを得るd軸電流指令の演算則について説明した。
d軸電流指令リミッタ109は、d軸電流指令を上述した負の上限値idlmtとゼロの間に制限する。そして、制限前入力id から制限後出力idを引いた差分Δidlmt を目標指令リミッタ110に出力する。この差分Δidlmt は、d軸電流指令idが負の上限値idlmtを超えて生成された超過量を意味する。
目標指令リミッタ110は、d軸電流指令の超過量Δidlmt に基づく値によってトルク指令τ を制限する。制限方法は、特に限定されるものではないが、例えば、予め定めておいたトルク指令τ の最大値からd軸電流指令の超過量Δidlmt に比例した値を引いた値を制限値に設定してもよい。こうすることにより、制限値は電圧飽和の度合いに応じて自動的に調整される。また、制限値をトルク指令τ の絶対値に対する制限値とすることにより、外部から入力されるトルク指令が正の値であっても負の値(回生トルク指令)であっても、同様にトルクを出力可能限界に維持することができる。
以上のように構成されたモータの制御方法および制御装置について、以下にその作用を説明する。
力行動作時におけるトルク指令の制限動作を、図9の電流ベクトル軌跡上で説明する。
外部からのトルク指令値τ が定トルク曲線1で示される場合、電流指令ベクトルおよび実際の動作点は、弱め磁束制御によって電圧制限楕円15と定トルク曲線1の交点Aに収束する。この間、目標指令リミッタ110に入力される差分Δidlmt はゼロのため、トルク指令の制限動作は行われない。
外部からのトルク指令値τ が定トルク曲線3で示される場合、電圧制限楕円15と交点を持たないため、弱め磁束制御のみでは電圧飽和を解消できない。そこで、次のようにトルク指令τ の制限動作が行われる。
まず弱め磁束制御により電流指令ベクトルが定トルク曲線3に沿ってd軸の負方向に移動する。電流指令ベクトルがd軸電流指令idが負の上限値Xとなる点Bに到達した後は、目標指令リミッタ110に入力される差分Δidlmt が正の値を持つため、トルク指令が制限されていく。トルク指令が制限されていく間、電流指令ベクトルは、d軸電流指令idを負の上限値Xに保ちながら(破線上を移動しながら)、電圧制限楕円15上の点Cに向かって移動する。電流指令ベクトルが点Cに到達すると、電圧飽和が解消され、電流指令および実際の動作点は点Cに収束する。
以上は力行動作の場合の動作説明である。一方、トルク指令を負の値とした場合、負のq軸電流でモータにブレーキをかける回生動作(ブレーキ動作)となる。回生動作において電圧飽和が生じた場合、負のq軸電流が本来の値よりも増大してしまうため、弱め磁束制御を行うことでモータの誘起電圧を抑制しブレーキや電流の増大を抑えることが必要となる。しかしながら、回生動作においても、外部からのトルク指令値がモータの出力可能限界を超える限界域では、力行動作と同様にトルク指令値を制限する必要がある。
回生動作時におけるトルク指令の制限動作を、図11に示す電流ベクトル軌跡上で説明する。図11に示されるように、回生動作時はq軸電流指令が負の値になる。ここで、外部からのトルク指令値τ が定トルク曲線8で示される場合、電圧制限楕円15と交点を持たないため、弱め磁束制御のみでは電圧飽和を解消できない。そこで、力行動作の場合と同様に、弱め磁束電流指令生成部105から目標指令リミッタ110へのループの動作によって、電圧制限楕円15と接点Eを共有する定トルク曲線7までトルク指令が制限される。
以上のように、本実施の形態においては、弱め磁束電流指令生成部105と、目標指令リミッタ110を備えることにより、モータの出力可能限界を超えるトルク指令値τ が入力された場合に、モータ定数の変動やばらつきがある場合でも、目標指令値を自動的かつ正確に出力可能限界に維持でき、モータを高安定かつ高出力で駆動できる。ここで、弱め磁束電流指令生成部105は、電流ベクトル制御部103からモータ駆動部102への電圧指令の絶対値|v|と第1の所定の基準値Vlmtとの差分Δvに基づいて弱め磁束電流指令idsを生成する。また、目標指令リミッタ110は、d軸電流指令id が負の上限値idlmtを超えた値である差分Δidlmt に基づいて外部からのトルク指令値τ の制限値を設定する。このように、回生動作時においても同様に目標指令値が適正に制限されるので、q軸電流の流れすぎによる過電流や過電圧、過大なブレーキトルクの発生を回避でき、限界域まで高安定かつ高効率な回生動作ができる。
図2は、本発明の実施の形態1におけるモータの制御装置の変形例のブロック図である。図2では、d軸電流指令リミッタ109とd軸電流指令加算部112の配置を入れ替え、d軸電流指令リミッタ109の代わりに弱め磁束電流指令を制限する弱め磁束電流指令リミッタ209を配置している。本実施の形態では、モータの制御装置を図2の構成としても、図1の構成と同等の作用および効果が得られる。
図2の構成では、弱め磁束電流指令リミッタ209は弱め磁束電流指令idsを弱め磁束電流指令の負の上限値idslmtとゼロの間に制限し、弱め磁束電流指令idsが負の上限値idslmtを超過した値Δidslmt を目標指令リミッタ110に出力する。ここで、上限値idslmtは(数9)より計算される値である。
Figure 2013021562
図3は、本発明の実施の形態1におけるモータの制御装置の他の変形例のブロック図である。図3に示すモータの制御装置では、目標指令リミッタの代わりにq軸電流指令iqを制限するq軸電流指令リミッタ310を用いる構成としている。本実施の形態では、モータの制御装置を図3の構成としても、図1の構成と同様の作用および効果が得られる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2におけるモータの制御装置のブロック図である。本実施の形態は、図1に示す実施の形態1における目標指令リミッタ110の前段にフィルタ400を挿入したものである。その他の部分は実施の形態1と同じ構成である。
フィルタ400は、外部から入力されるトルク指令τ を平滑化する。平滑化のアルゴリズムは、特に限定されるものではなく、例えば一次遅れローパスフィルタがある。平滑化されたトルク指令τflt は、目標指令リミッタ110に入力される。
フィルタ400の作用と効果を説明する。
外部からモータ101の出力可能限界を超えるトルク指令値τ が入力された場合、実施の形態1の説明で述べたように、目標指令リミッタ110がトルク指令値τ を制限することにより電圧飽和が解消される。しかし、d軸電流指令id が上限値idlmtを上回るまでは目標指令リミッタ110は動作を開始しない。つまり、トルク指令τ が入力開始されてから制限開始されるまでにタイムラグがある。このタイムラグ期間中は、トルク指令値τ が目標指令リミッタ110からそのまま出力され、このτ に基づいてトルク制御が行われる。
このため、フィルタ400のない実施の形態1では、トルク指令τ の変化が急峻な場合、出力トルクにオーバーシュートやアンダーシュートを生じるおそれがある。
一方、本実施の形態の場合、フィルタ400によって、このタイムラグ期間中におけるトルク指令τflt の変化を緩やかにすることにより、出力トルクのオーバーシュートやアンダーシュートを抑制する効果が得られる。
以上のように、本実施の形態においては、フィルタ400を備える上述の構成とすることにより、実施の形態1と同様の効果に加えて、出力トルクのオーバーシュートやアンダーシュートを抑制する効果が得られる。
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3におけるモータの制御装置のブロック図である。本実施の形態は、図1に示す実施の形態1に電流リミッタ500を追加したもので、その他の部分は実施の形態1と同じ構成である。
弱め磁束制御は、負のd軸電流を流すことによって電圧飽和を解消する。しかし、その弊害として、モータ電流の上昇に伴う発熱や効率低下を招く。電流リミッタ500は、これらの弊害を緩和する。
電流リミッタ500は、d軸電流指令idを(数10)に代入して、q軸電流指令の絶対値の上限値Iqlmtを演算し、q軸電流指令生成部113から出力されたq軸電流指令iq の絶対値を上限値Iqlmtに制限する。つまり、q軸電流指令iqを上限値Iqlmtから下限値−Iqlmtの間に制限する。q軸電流指令iq の絶対値を制限することにより、外部から入力されるトルク指令が正の値であっても負の値(回生トルク指令)であっても、リミッタとして動作する。(数10)において、Imaxはd軸電流とq軸電流を合わせた電流ベクトルの大きさの最大値(以下、「最大電流値」と呼ぶことがある。)である。
Figure 2013021562
電流リミッタ500よって、d軸電流とq軸電流を合わせた電流の大きさが最大電流値Imaxを超えないように制限される。このため、d軸電流の増加に伴いモータ101の電流が過大に増加することによる発熱や効率悪化の影響を抑制することができる。
本実施の形態の動作を、図12の電流ベクトル軌跡上で説明する。
図12において、d軸電流制限線(破線)9はd軸電流指令の負の上限値idlmtを示し、定トルク曲線10は外部からのトルク指令τ を示し、電流制限円11は座標原点を中心点とする半径Imaxの円を示す。ここで、d軸電流制限線9は、d軸電流リミッタ109(図5)の負の上限値idlmtである。
動作点の初期位置を点Fとすると、まず弱め磁束制御により、動作点が定トルク曲線10に沿ってd軸の負方向に移動する。動作点が定トルク曲線10と電流制限円11の交点に到達すると、電流リミッタ500によって電流指令ベクトルの大きさが上限値Iqlmtに制限され、動作点は電流制限円11に沿って移動する。動作点が電流制限円11とd軸電流制限線9の交点に到達すると、実施の形態1と同様に、トルク指令が制限されていき、動作点はd軸電流指令idを負の上限値idlmtに保ったままd軸電流制限線9に沿って移動する。動作点が電圧制限楕円15とd軸電流制限線9の交点Gに到達すると、電圧飽和が解消され、電流指令および実際の動作点は点Gに収束する。
以上のように、本実施の形態においては、電流リミッタ500を備える上述の構成とすることにより、モータ101に流れる電流の大きさを所定の最大電流値に制限することができる。これにより、実施の形態1と同様の効果に加えて、d軸電流の増加に伴いモータ101の電流が過大に増加することによる発熱や効率悪化などの弊害を緩和する効果が得られる。
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4におけるモータの制御装置のブロック図である。本実施の形態は、図1に示す実施の形態1における弱め磁束電流指令生成部105を変形したものである。
図6における弱め磁束電流指令生成部605は、実施の形態1における電圧指令の絶対値|v|の代わりに、電圧指令のq軸成分vqを用いる。また、実施の形態1における第1の所定の基準値Vlmtを、電圧指令のd軸成分vdを用いて(数11)により補正して第2の所定の基準値Vqlmtを生成している。このように本実施の形態の弱め磁束電流指令生成部605は、電流ベクトル制御部103からモータ駆動部102への電圧指令のq軸成分vqと第2の所定の基準値Vqlmtとの差分Δvqに基づいて弱め磁束電流指令idsを生成する。その他の部分は実施の形態1と同じ構成である。
Figure 2013021562
(数11)は、出力変数vqlmtに対して入力変数が1つ(vd)であるため、入力変数が2つある(数2)に比べて計算処理負荷を低減できる特徴を持つ。特許文献3には弱め磁束電流指令生成部605を上述のように構成し、弱め磁束制御を行う方法が記載されている。しかし、このような構成であったとしても、実施の形態1と同様の作用および効果が得られる。
(実施の形態5)
図7は、本発明の実施の形態5におけるモータの制御装置のブロック図である。本実施の形態は、図1の実施の形態1に速度制御器714を追加し、外部から入力される速度指令に従ってモータを速度制御で駆動する。速度制御系700以外の部分は実施の形態1と同じ構成である。
目標指令リミッタ110は、外部からの速度指令ω を、モータ101の出力可能限界に制限し、制限した速度指令ωを速度制御器714に出力する。
速度制御器714は、入力された速度指令ωとモータ101の回転速度ωとの誤差がゼロになるように、例えばPI制御によりトルク指令τを生成する。生成されたトルク指令τは、通常領域d軸電流指令設定部111およびq軸電流指令生成部113に出力される。
その他の処理は実施の形態1で述べたトルク制御と同様である。
本実施の形態において、速度指令を制限する代わりに、速度制御器714から出力されるトルク指令あるいはq軸電流指令を制限する構成とすると、以下に述べる理由により動作が劣化したり不安定になったりする。
説明の簡単化のため、図8Aに図7を簡略化したブロック図を示し、図8Bに速度指令の代わりにトルク指令を制限する構成としたブロック図を示す。また、図13に図8Aおよび図8Bの両構成を用いた場合の速度軌跡を示す。図13において、点線で示す速度指令波形12は外部からの速度指令波形を示し、速度波形13は図8Aの構成を用いた速度波形を示し、速度波形14は図8Bの構成を用いた速度波形を示す。
図13において、トルクを必要とする加速中において電圧飽和が生じており、時間Hで出力可能限界に達しているものとする。速度波形13、14ともに、出力可能限界到達後において指令が制限されることによる速度追従誤差が生じている。しかし、速度波形13は滑らかに速度指令に収束しているのに対し、速度波形14では、速度指令に到達した時間Iの後もトルクが収束せず、速度がオーバーシュートを起こしている。これは、トルク指令τ が制限される間の速度追従誤差が速度制御器714の積分項に積算されるためである。このように、積分器が含まれる制御ループの内側で指令信号を制限すると、積分項のワインドアップが生じて応答性が劣化したり動作が不安定になったりする。
従って、本発明における指令信号の制限動作は、図7、図8Aの構成ように、最外縁の制御ループよりも外側の指令信号に対して行うことが望ましい。
上述の構成により、モータの出力可能限界を超えた時に、モータ定数の変動やばらつきがある場合でも、外部からの速度指令値ω を自動的かつ正確に出力可能限界に制限するため、モータを高安定かつ高出力で駆動できる。
以上説明したように、本発明のモータの制御装置は、モータを駆動するモータ駆動部と、電流ベクトル制御部と、弱め磁束電流指令生成部と、目標指令リミッタあるいはq軸電流指令リミッタと、を備える。電流ベクトル制御部は、外部からの目標指令値に従ってモータの電流を直交したd軸電流とq軸電流に分離して制御する。弱め磁束電流指令生成部は、電流ベクトル制御部からのモータ駆動部への電圧指令の絶対値と第1の所定の基準値との差分あるいは電圧指令のq軸成分と第2の所定の基準値との差分に基づいてd軸電流の量を制御するd軸電流指令を生成する。目標指令リミッタは、d軸電流指令が負の上限値を超えた値に基づいて外部からの目標指令値の制限値を設定する。q軸電流指令リミッタは、q軸電流の量を制御するq軸電流指令の制限値を設定する。
これにより、電圧指令が所定の基準値を超過する場合は負のd軸電流指令を増加させ、d軸電流指令が負の上限値に達してもなお電圧指令が所定の基準値を超過する場合は外部からの目標指令値あるいはq軸電流指令を電圧指令の超過分がゼロに収束するまで制限する。あるいは、電圧指令のq軸成分が所定の基準値を超過する場合は負のd軸電流指令を増加させ、d軸電流指令が負の上限値に達してもなお電圧指令のq軸成分が所定の基準値を超過する場合は外部からの目標指令値あるいはq軸電流指令を電圧指令の超過分がゼロに収束するまで制限する。
よって、モータの出力可能限界を超える目標指令値が入力された場合に、モータ定数の変動やばらつきがある場合でも、目標指令値あるいはq軸電流指令を自動的かつ正確に出力可能限界に維持でき、モータを高安定かつ高出力で駆動できる。また、回生動作時においても同様に目標指令値が適正に制限されるので、q軸電流の流れすぎによる過電流や過電圧、過大なブレーキトルクの発生を回避でき、限界域まで高安定かつ高効率な回生動作ができる。
また本発明のモータの制御装置では、外部からの目標指令値の制限値を設定するリミッタあるいはq軸電流の指令の制限値を設定するリミッタの前段部に、外部からの目標指令値あるいはq軸電流の指令を平滑化するフィルタを備えた。これにより、出力トルクのオーバーシュートやアンダーシュートを抑制できる。
また本発明のモータの制御装置では、d軸電流指令とq軸電流指令を合わせたモータの電流指令ベクトルの大きさが所定の最大電流値を超えないように、d軸電流指令の大きさに応じてq軸電流指令の大きさを制限する電流リミッタを備えた。これにより、モータに流れる電流の大きさを所定の最大電流値に制限できる。
また本発明のモータの制御装置では、弱め磁束電流指令生成部の第2の所定の基準値は第1の所定の基準値をモータ駆動部への電圧指令のd軸成分を用いて補正したものである。
また本発明のモータの制御装置では、d軸電流指令の負の上限値をゼロに設定する。これにより、弱め磁束制御を用いない場合においても、モータ定数の変動やばらつきがある場合でも、外部からの目標指令値あるいはq軸電流指令を適正に制限する動作によって電圧飽和領域で安定な力行駆動あるいは回生動作を確保することができる。
以上のように、本発明にかかるモータの制御装置は、モータの出力可能限界を超える目標指令値が入力された場合に、モータ定数の変動やばらつきがある場合でも、目標指令値あるいはq軸電流指令を自動的かつ正確に出力可能限界に維持できるため、モータを高安定かつ高出力で駆動できる。よって、電圧飽和領域で駆動するモータ、例えば、モータ本体やバッテリの容量が制約される車載用モータや、瞬間的あるいは断続的に大きなトルクを必要とする各種アクチュエータや工作機械用のモータなどを駆動する用途に適用できる。
1,2,3,4,5,6,7,8,10 定トルク曲線
9 d軸電流制限線
11 電流制限円
12 速度指令波形
13,14 速度波形
15 電圧制限楕円
101 モータ
102 モータ駆動部
103 電流ベクトル制御部
104 出力電圧演算部
105,605 弱め磁束電流指令生成部
106 積分器
107 比例器
108 d軸電流上限値演算部
109 d軸電流指令リミッタ
110 目標指令リミッタ
111 通常領域d軸電流指令設定部
112 d軸電流指令加算部
113 q軸電流指令生成部
209 弱め磁束電流指令リミッタ
310 q軸電流指令リミッタ
400 フィルタ
500 電流リミッタ
604 基準電圧補正部
700 速度制御系
714 速度制御器
800 電流(トルク)制御系
801 弱め磁束制御系
904 飽和検出器
905 飽和積分器
912 d軸電流選択器
914 目標指令の制限値演算部
本発明は、電流ベクトル制御を用いたモータの制御装置において、弱め磁束制御や指令制限を行い、電圧飽和領域付近でモータを力行動作あるいは回生動作する技術に関する。
一般にモータの電流を制御する方法として、モータの電流をトルクに寄与するq軸電流成分とそれに直交するd軸電流成分に分離して制御するベクトル制御が用いられる。ベクトル制御部は外部からの指令を受けて、モータに電力を供給するモータ駆動部への指令電圧を計算する。
外部からの指令の値が大きくなった場合など、この指令電圧がモータ駆動部の供給可能電圧を上回る現象がある。この現象を電圧飽和と呼ぶ。電圧飽和は、モータの回転速度が大きいほど生じやすい。これは、モータ回転中に生じる誘起電圧が、回転速度に比例して上昇し、この誘起電圧の上昇を供給電圧で補うためにモータの端子間電圧も同様に上昇するためである。また、負荷が大きい場合や電源電圧が低い場合も、供給電圧余裕が小さくなるため、電圧飽和が生じやすくなる。
電圧飽和状態になると、力行動作時は、q軸電流を増やせなくなり、トルクが低下したり、電流制御器の積分項が飽和(ワインドアップ)したりして、静特性や動特性が劣化する。また、回生動作時は、指令値よりも大きなq軸電流が流れ、過電流・過電圧、過大なブレーキトルクが発生して安全性が低下する。
電圧飽和を抑制する手段として、負のd軸電流を流すことによって、永久磁石による磁束を減磁し、誘起電圧の増加を抑制する弱め磁束制御が用いられる。
従来の弱め磁束制御の例として、電圧飽和の検出手段を備え、この検出手段によって検出した飽和量に相当する信号または適当な固定値を積分し、この積分値をd軸電流指令として電流制御器に出力する閉ループ弱め磁束制御がある(例として、特許文献1参照)。
しかし、負のd軸電流を増加し続けると、電圧低減効果は縮小し、やがて電圧は減少から増加に転じる。電圧が増加に転じる境界が上記弱め磁束制御の限界点である。この限界点において、モータ端子間電圧の余裕が最も大きくなる。すなわち、流すことのできるq軸電流および出力可能なトルクが最大の状態になる(以下、モータが出力可能な最大トルクを限界トルクと呼ぶことがある)。
限界トルクは一定ではなく、モータの状態によって変化する。誘起電圧が大きいほどモータ端子間電圧の余裕は小さくなるため、限界トルクは回転数上昇に伴って低下する。このため、低速域では出力可能だったトルクを、高速域では弱め磁束制御を行っても出力できない場合がある。
限界トルクよりも大きいトルクを出力しようとすると、電圧飽和状態となり、トルク追従誤差やワインドアップが生じ、制御の不安定化や特性劣化を招く。また、電圧飽和状態で上記閉ループ弱め磁束制御を用いた場合、d軸電流指令が負の方向に発散し、制御が不安定になる。
この出力限界に対する従来技術の例として、特許文献2がある。図14は、特許文献2記載の従来技術によるモータの制御装置のブロック図を示す。この制御装置は、電流ベクトル制御部103、飽和検出器904、飽和積分器905、d軸電流上限値演算部108、d軸電流指令リミッタ109、目標指令の制限値演算部914、目標指令リミッタ110を備えている。電流ベクトル制御部103は、外部からのトルク指令τ に従ってモータ101の電流を制御する。飽和検出器904は、電流ベクトル制御部103からモータ駆動部102への電圧指令vdとvqに基づいて電圧飽和の有無を検出する。飽和積分器905は、飽和検出器904から出力される飽和検出信号に基づいて積分演算を行って、負のd軸電流指令である弱め磁束電流指令ids を生成する。d軸電流上限値演算部108およびd軸電流指令リミッタ109は、モータ駆動部102の供給可能電圧Vcとモータ101の回転速度ωに基づいて弱め磁束電流指令の負の上限値idslmtを設定する。目標指令の制限値演算部914は、上記Vc、ω、idslmtに基づいて限界トルク値τlmt を設定する。
上述の構成によって、弱め磁束制御で電圧飽和を抑制し、外部からの指令トルクτ をモータが出力可能な限界トルクτlmt に制限するため、全運転領域に渡って電圧飽和を解消できる。また、弱め磁束電流指令idsを限界トルクτlmt を得るための弱め磁束電流指令の上限値idslmtに制限するため、d軸電流指令の発散も回避できる。
しかしながら、特許文献2の方法では、モータ101が出力可能な限界トルクτlmt を、モータ駆動部102が供給可能な電圧Vcと、モータ101の回転速度ωと、弱め磁束電流指令の負の上限値idslmtとから、インダクタンスなどのモータ固有の定数を含む計算式を用いることよって計算している。そのため、運転状態によるインダクタンスの変動や、モータ毎のモータ定数のばらつきがある場合、限界トルクτlmt が正しく計算されない。
この計算誤差により、限界トルクτlmt が実際の限界トルクよりも大きい値に設定されると、実際の限界トルクよりも大きいトルク指令τに基づいて電流制御が行われ、電圧飽和を解消できない場合がある。
また、逆にトルク制限値τlmt が実際の限界トルクよりも小さい値に設定された場合、トルク指令τが過剰に制限され、十分なトルクを得られない場合がある。
特開平11−27996号公報 特開2003−209996号公報 特開2006−254572号公報
本発明のモータの制御装置は、モータを駆動するモータ駆動部と、電流ベクトル制御部と、弱め磁束電流指令生成部と、目標指令リミッタあるいはq軸電流指令リミッタと、を備える。電流ベクトル制御部は、外部からの目標指令値に従ってモータの電流を直交したd軸電流とq軸電流に分離して制御する。弱め磁束電流指令生成部は、電流ベクトル制御部からのモータ駆動部への電圧指令の絶対値と第1の所定の基準値との差分あるいは電圧指令のq軸成分と第2の所定の基準値との差分に基づいてd軸電流の量を制御するd軸電流指令を生成する。目標指令リミッタは、d軸電流指令が負の上限値を超えた値に基づいて外部からの目標指令値の制限値を設定する。q軸電流指令リミッタは、q軸電流の量を制御するq軸電流指令の制限値を設定する。
この構成によって、モータの出力可能限界を超える目標指令値が入力された場合でも、d軸電流指令を上限値に保ち、目標指令値あるいはq軸電流指令を自動的かつ正確に出力可能限界に制限できる。その結果、モータ定数の変動やばらつきがある場合でも、電圧飽和を解消でき、なおかつモータの出力可能限界を維持して駆動できる。
図1は本発明の実施の形態1におけるモータの制御装置のブロック図である。 図2は本発明の実施の形態1におけるモータの制御装置の変形例のブロック図である。 図3は本発明の実施の形態1におけるモータの制御装置の変形例のブロック図である。 図4は本発明の実施の形態2におけるモータの制御装置のブロック図である。 図5は本発明の実施の形態3におけるモータの制御装置のブロック図である。 図6は本発明の実施の形態4におけるモータの制御装置のブロック図である。 図7は本発明の実施の形態5におけるモータの制御装置のブロック図である。 図8Aは本発明の実施の形態5における簡略ブロック図である。 図8Bは本発明の実施の形態5における変形例の簡略ブロック図である。 図9は埋込み永久磁石型同期モータにおける電流ベクトル軌跡の図である。 図10は表面永久磁石型同期モータにおける電流ベクトル軌跡の図である。 図11は埋込み永久磁石型同期モータにおける回生時動作時の電流ベクトル軌跡の図である。 図12は本発明の実施の形態3における電流ベクトル軌跡の図である。 図13は本発明の実施の形態5における速度軌跡の図である。 図14は従来技術によるモータの制御装置のブロック図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるモータの制御装置のブロック図である。図1は、永久磁石型同期モータ(以下、「PMSM」あるいは単に「モータ」と呼ぶことがある。)101を外部からのトルク指令τ に従って駆動する装置の駆動制御系を示す。
以下に各部の動作を説明する。本実施の形態におけるモータの制御装置は、モータ駆動部102、電流ベクトル制御部103、弱め磁束電流指令生成部105、d軸電流上限値演算部108、d軸電流指令リミッタ109、目標指令リミッタ110、通常領域d軸電流指令設定部111、d軸電流指令加算部112、q軸電流指令生成部113を備えている。また、弱め磁束電流指令生成部105は、出力電圧演算部104、積分器106、比例器107から構成されている。
モータ駆動部102は、PMSMの界磁方向であるd軸とそれと直交する方向であるq軸のそれぞれへの電圧指令vd、vqを、PMSMのU相、V相、W相に与える3相電圧指令に変換する2相−3相変換の処理と、この3相電圧指令に従ってPMSM各相に実際の電圧を発生する電力変換の処理を行う。
電流ベクトル制御部103は、d軸電流の量を制御するd軸電流指令idの値とd軸電流値との誤差がゼロになるようにd軸電圧指令vdを生成する。また、電流ベクトル制御部103は、q軸電流の量を制御するq軸電流指令iqの値とq軸電流値との誤差がゼロになるようにq軸電圧指令vqを生成する。d軸電圧指令vdおよびq軸電圧指令vqを生成する生成手段として、例えばPI制御がある。
通常領域d軸電流指令設定部111は、電圧飽和が生じない運転領域におけるd軸電流指令iduを生成する。生成則は、特に限定されるものではなく、例えば、最大トルク/電流比運転、最大効率運転等がある。電圧飽和が生じない運転領域において、モータの銅損や鉄損が小さくなるように電流位相を調整する用途に用いる。あるいは単に、idu=0を出力して、電圧飽和が生じない運転領域ではd軸電流を常にゼロに保つようにしてもよい。
q軸電流指令生成部113は、PMSMのトルクをトルク指令τに追従させるためのq軸電流指令iqを生成する。生成則として、例えばPMSMの出力トルクと電流の関係を表す(数1)を用いる。(数1)において、LdとLqはd軸とq軸のインダクタンス、PはPMSMの極対数、Ψは永久磁石による電機子鎖交磁束、τはトルク、idとiqはd軸とq軸の電流である。
Figure 2013021562
本実施の形態においては、q軸電流指令生成部113内部に(数1)ないしは同式に基づくデータテーブルが実装され、トルク指令τおよびd軸電流指令idとに基づいてq軸電流指令iqが生成される。
出力電圧演算部104は、電流ベクトル制御部103からモータ駆動部102への電圧指令vdおよびvqを(数2)に代入し、電圧指令の絶対値|v|を演算する。
Figure 2013021562
弱め磁束電流指令生成部105は、電圧指令の絶対値|v|を第1の所定の基準値Vlmtから引いた電圧差分Δvを積分器106により積分した値と、電圧差分Δvを比例器107により比例計算した値とを加算して、弱め磁束制御のためのd軸電流指令成分ids(以下、「弱め磁束電流指令」と呼ぶ。)を生成する。
ここで、第1の所定の基準値Vlmtを、モータ駆動部102の供給可能最大電圧値と同じ値に設定することにより、電圧飽和時には負の電圧差分Δvが入力されて弱め磁束電流指令idsが負の方向に増加する。一方、電圧飽和がない時には正の電圧差分Δvが入力されて弱め磁束電流指令idsが正の方向に増加する。つまり、電圧飽和の程度に応じて弱め磁束電流指令idsが生成される。
ただし、第1の所定の基準値Vlmtをモータ駆動部102の供給可能最大電圧値よりも小さい値としてもよい。また、正のd軸電流は必要ないため、後述のd軸電流指令リミッタ109で最大値をゼロに制限する。また、弱め磁束電流指令生成部105の積分器106でも積分値の最大値をゼロに制限する。
d軸電流指令加算部112は、通常領域d軸電流指令設定部111で生成したd軸電流指令成分iduと、弱め磁束電流指令生成部105で生成した弱め磁束電流指令idsを加算して、d軸電流指令id を生成する。
次に、d軸電流上限値演算部108と、d軸電流指令リミッタ109と、トルク指令を制限する目標指令リミッタ110の動作について説明する。これらは連動して動作する。
説明の補助のために、図9にPMSMにおける電流ベクトル軌跡の図を示す。電流ベクトル軌跡とは、d軸とq軸の直交座標上で、d軸にd軸電流値、q軸にq軸電流値をとり、d軸電流とq軸電流を合成した電流を、原点を始点とする電流ベクトルとして表示し、その軌跡をプロットしたものである。図9は、特に埋込み永久磁石型同期モータ(以下、「IPMSM」と呼ぶことがある。)における電流ベクトル軌跡の図である。
図9における電圧制限楕円15は、モータ駆動部102の供給可能電圧によって制限される電流ベクトルの選択範囲を示しており、この楕円外部は電圧飽和領域を意味する。電圧制限楕円15は、回転速度の上昇や電源電圧の低下に従って小さくなる。
図9における定トルク曲線1、2、3は、各々特定の値のトルクを出力するための電流ベクトル軌跡を示し、(数1)に基づく。
d軸電流上限値演算部108は、モータ101の回転速度ωと、モータ駆動部102の供給可能電圧Vcとから、d軸電流指令の負の上限値idlmtを演算する。上限値idlmtの定義は、特に限定されるものではないが、ここではモータ101が出力可能な限界トルクを得るd軸電流とする。限界トルクは、電圧制限楕円と接する定トルク曲線(図9の場合、定トルク曲線2)で表され、限界トルクを得るd軸電流はその接点のd軸座標(図9の場合、X)で表される。
以下、限界トルクを得るd軸電流指令の演算則について説明する。まず、電圧制限楕円を定式化する。IPMSMの電圧方程式を(数3)に示す。(数3)において、vdとvqはd軸とq軸の電圧、Rはモータの巻線抵抗、ωはモータの回転速度、pは微分演算子である。
Figure 2013021562
ここでは定常状態を想定し、モータの巻線抵抗Rでの電圧降下と電流変化によるインダクタンスLd、Lqでの電圧降下を無視し、誘起電圧によって電圧の大きさを議論する。モータ駆動部102の供給可能電圧をVc、誘起電圧をVbとすると、電圧飽和を起こさないための誘起電圧の大きさの条件は(数4)で示される。
Figure 2013021562
次にVb=Vcとし、(数5)に変形することにより、誘起電圧がモータ駆動部102の供給可能電圧Vcと等しくなったときの電圧制限楕円の式が導かれる。この楕円はid=−Ψ/Ld、iq=0を中心点にもつ。
Figure 2013021562
次に、トルク曲線を表す(数1)と電圧制限楕円を表す(数5)とからq軸電流iqを消去し、トルクτを表す式を(数6)に導く。
Figure 2013021562
(数6)を、idとVc/ωの関数と見做す。
Figure 2013021562
ここで、接点の条件(数8)を満たすidが、ある値のVc/ωの場合において最大トルクを得るd軸電流値である。
Figure 2013021562
限界トルクを得るd軸電流は、モータが表面永久磁石型同期モータ(以下、「SPMSM」と呼ぶことがある。)である場合、IPMSMの場合よりも簡単に求まる。図10に、SPMSMにおける電流ベクトル軌跡の模擬図を示す。図10に示すように、SPMSMの定トルク曲線4、5、6はd軸に平行な直線になる。このため、電圧制限楕円15と定トルク曲線5の接点は常に楕円の中心点と同じd軸座標を持つことになり、限界トルクを得るd軸電流は定数−Ψ/Ldとなる。IPMSMの場合も、突極性が小さいものはSPMSMに近い特性を持つため、簡易的にd軸電流指令の負の上限値idlmtを上記定数−Ψ/Ldとしてもよい。
以上、限界トルクを得るd軸電流指令の演算則について説明した。
d軸電流指令リミッタ109は、d軸電流指令を上述した負の上限値idlmtとゼロの間に制限する。そして、制限前入力id から制限後出力idを引いた差分Δidlmt を目標指令リミッタ110に出力する。この差分Δidlmt は、d軸電流指令idが負の上限値idlmtを超えて生成された超過量を意味する。
目標指令リミッタ110は、d軸電流指令の超過量Δidlmt に基づく値によってトルク指令τ を制限する。制限方法は、特に限定されるものではないが、例えば、予め定めておいたトルク指令τ の最大値からd軸電流指令の超過量Δidlmt に比例した値を引いた値を制限値に設定してもよい。こうすることにより、制限値は電圧飽和の度合いに応じて自動的に調整される。また、制限値をトルク指令τ の絶対値に対する制限値とすることにより、外部から入力されるトルク指令が正の値であっても負の値(回生トルク指令)であっても、同様にトルクを出力可能限界に維持することができる。
以上のように構成されたモータの制御方法および制御装置について、以下にその作用を説明する。
力行動作時におけるトルク指令の制限動作を、図9の電流ベクトル軌跡上で説明する。
外部からのトルク指令値τ が定トルク曲線1で示される場合、電流指令ベクトルおよび実際の動作点は、弱め磁束制御によって電圧制限楕円15と定トルク曲線1の交点Aに収束する。この間、目標指令リミッタ110に入力される差分Δidlmt はゼロのため、トルク指令の制限動作は行われない。
外部からのトルク指令値τ が定トルク曲線3で示される場合、電圧制限楕円15と交点を持たないため、弱め磁束制御のみでは電圧飽和を解消できない。そこで、次のようにトルク指令τ の制限動作が行われる。
まず弱め磁束制御により電流指令ベクトルが定トルク曲線3に沿ってd軸の負方向に移動する。電流指令ベクトルがd軸電流指令idが負の上限値Xとなる点Bに到達した後は、目標指令リミッタ110に入力される差分Δidlmt が正の値を持つため、トルク指令が制限されていく。トルク指令が制限されていく間、電流指令ベクトルは、d軸電流指令idを負の上限値Xに保ちながら(破線上を移動しながら)、電圧制限楕円15上の点Cに向かって移動する。電流指令ベクトルが点Cに到達すると、電圧飽和が解消され、電流指令および実際の動作点は点Cに収束する。
以上は力行動作の場合の動作説明である。一方、トルク指令を負の値とした場合、負のq軸電流でモータにブレーキをかける回生動作(ブレーキ動作)となる。回生動作において電圧飽和が生じた場合、負のq軸電流が本来の値よりも増大してしまうため、弱め磁束制御を行うことでモータの誘起電圧を抑制しブレーキや電流の増大を抑えることが必要となる。しかしながら、回生動作においても、外部からのトルク指令値がモータの出力可能限界を超える限界域では、力行動作と同様にトルク指令値を制限する必要がある。
回生動作時におけるトルク指令の制限動作を、図11に示す電流ベクトル軌跡上で説明する。図11に示されるように、回生動作時はq軸電流指令が負の値になる。ここで、外部からのトルク指令値τ が定トルク曲線8で示される場合、電圧制限楕円15と交点を持たないため、弱め磁束制御のみでは電圧飽和を解消できない。そこで、力行動作の場合と同様に、弱め磁束電流指令生成部105から目標指令リミッタ110へのループの動作によって、電圧制限楕円15と接点Eを共有する定トルク曲線7までトルク指令が制限される。
以上のように、本実施の形態においては、弱め磁束電流指令生成部105と、目標指令リミッタ110を備えることにより、モータの出力可能限界を超えるトルク指令値τ が入力された場合に、モータ定数の変動やばらつきがある場合でも、目標指令値を自動的かつ正確に出力可能限界に維持でき、モータを高安定かつ高出力で駆動できる。ここで、弱め磁束電流指令生成部105は、電流ベクトル制御部103からモータ駆動部102への電圧指令の絶対値|v|と第1の所定の基準値Vlmtとの差分Δvに基づいて弱め磁束電流指令idsを生成する。また、目標指令リミッタ110は、d軸電流指令id が負の上限値idlmtを超えた値である差分Δidlmt に基づいて外部からのトルク指令値τ の制限値を設定する。このように、回生動作時においても同様に目標指令値が適正に制限されるので、q軸電流の流れすぎによる過電流や過電圧、過大なブレーキトルクの発生を回避でき、限界域まで高安定かつ高効率な回生動作ができる。
図2は、本発明の実施の形態1におけるモータの制御装置の変形例のブロック図である。図2では、d軸電流指令リミッタ109とd軸電流指令加算部112の配置を入れ替え、d軸電流指令リミッタ109の代わりに弱め磁束電流指令を制限する弱め磁束電流指令リミッタ209を配置している。本実施の形態では、モータの制御装置を図2の構成としても、図1の構成と同等の作用および効果が得られる。
図2の構成では、弱め磁束電流指令リミッタ209は弱め磁束電流指令idsを弱め磁束電流指令の負の上限値idslmtとゼロの間に制限し、弱め磁束電流指令idsが負の上限値idslmtを超過した値Δidslmt を目標指令リミッタ110に出力する。ここで、上限値idslmtは(数9)より計算される値である。
Figure 2013021562
図3は、本発明の実施の形態1におけるモータの制御装置の他の変形例のブロック図である。図3に示すモータの制御装置では、目標指令リミッタの代わりにq軸電流指令iqを制限するq軸電流指令リミッタ310を用いる構成としている。本実施の形態では、モータの制御装置を図3の構成としても、図1の構成と同様の作用および効果が得られる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2におけるモータの制御装置のブロック図である。本実施の形態は、図1に示す実施の形態1における目標指令リミッタ110の前段にフィルタ400を挿入したものである。その他の部分は実施の形態1と同じ構成である。
フィルタ400は、外部から入力されるトルク指令τ を平滑化する。平滑化のアルゴリズムは、特に限定されるものではなく、例えば一次遅れローパスフィルタがある。平滑化されたトルク指令τflt は、目標指令リミッタ110に入力される。
フィルタ400の作用と効果を説明する。
外部からモータ101の出力可能限界を超えるトルク指令値τ が入力された場合、実施の形態1の説明で述べたように、目標指令リミッタ110がトルク指令値τ を制限することにより電圧飽和が解消される。しかし、d軸電流指令id が上限値idlmtを上回るまでは目標指令リミッタ110は動作を開始しない。つまり、トルク指令τ が入力開始されてから制限開始されるまでにタイムラグがある。このタイムラグ期間中は、トルク指令値τ が目標指令リミッタ110からそのまま出力され、このτ に基づいてトルク制御が行われる。
このため、フィルタ400のない実施の形態1では、トルク指令τ の変化が急峻な場合、出力トルクにオーバーシュートやアンダーシュートを生じるおそれがある。
一方、本実施の形態の場合、フィルタ400によって、このタイムラグ期間中におけるトルク指令τflt の変化を緩やかにすることにより、出力トルクのオーバーシュートやアンダーシュートを抑制する効果が得られる。
以上のように、本実施の形態においては、フィルタ400を備える上述の構成とすることにより、実施の形態1と同様の効果に加えて、出力トルクのオーバーシュートやアンダーシュートを抑制する効果が得られる。
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3におけるモータの制御装置のブロック図である。本実施の形態は、図1に示す実施の形態1に電流リミッタ500を追加したもので、その他の部分は実施の形態1と同じ構成である。
弱め磁束制御は、負のd軸電流を流すことによって電圧飽和を解消する。しかし、その弊害として、モータ電流の上昇に伴う発熱や効率低下を招く。電流リミッタ500は、これらの弊害を緩和する。
電流リミッタ500は、d軸電流指令idを(数10)に代入して、q軸電流指令の絶対値の上限値Iqlmtを演算し、q軸電流指令生成部113から出力されたq軸電流指令iq の絶対値を上限値Iqlmtに制限する。つまり、q軸電流指令iqを上限値Iqlmtから下限値−Iqlmtの間に制限する。q軸電流指令iq の絶対値を制限することにより、外部から入力されるトルク指令が正の値であっても負の値(回生トルク指令)であっても、リミッタとして動作する。(数10)において、Imaxはd軸電流とq軸電流を合わせた電流ベクトルの大きさの最大値(以下、「最大電流値」と呼ぶことがある。)である。
Figure 2013021562
電流リミッタ500よって、d軸電流とq軸電流を合わせた電流の大きさが最大電流値Imaxを超えないように制限される。このため、d軸電流の増加に伴いモータ101の電流が過大に増加することによる発熱や効率悪化の影響を抑制することができる。
本実施の形態の動作を、図12の電流ベクトル軌跡上で説明する。
図12において、d軸電流制限線(破線)9はd軸電流指令の負の上限値idlmtを示し、定トルク曲線10は外部からのトルク指令τ を示し、電流制限円11は座標原点を中心点とする半径Imaxの円を示す。ここで、d軸電流制限線9は、d軸電流リミッタ109(図5)の負の上限値idlmtである。
動作点の初期位置を点Fとすると、まず弱め磁束制御により、動作点が定トルク曲線10に沿ってd軸の負方向に移動する。動作点が定トルク曲線10と電流制限円11の交点に到達すると、電流リミッタ500によって電流指令ベクトルの大きさが上限値Iqlmtに制限され、動作点は電流制限円11に沿って移動する。動作点が電流制限円11とd軸電流制限線9の交点に到達すると、実施の形態1と同様に、トルク指令が制限されていき、動作点はd軸電流指令idを負の上限値idlmtに保ったままd軸電流制限線9に沿って移動する。動作点が電圧制限楕円15とd軸電流制限線9の交点Gに到達すると、電圧飽和が解消され、電流指令および実際の動作点は点Gに収束する。
以上のように、本実施の形態においては、電流リミッタ500を備える上述の構成とすることにより、モータ101に流れる電流の大きさを所定の最大電流値に制限することができる。これにより、実施の形態1と同様の効果に加えて、d軸電流の増加に伴いモータ101の電流が過大に増加することによる発熱や効率悪化などの弊害を緩和する効果が得られる。
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4におけるモータの制御装置のブロック図である。本実施の形態は、図1に示す実施の形態1における弱め磁束電流指令生成部105を変形したものである。
図6における弱め磁束電流指令生成部605は、実施の形態1における電圧指令の絶対値|v|の代わりに、電圧指令のq軸成分vqを用いる。また、実施の形態1における第1の所定の基準値Vlmtを、電圧指令のd軸成分vdを用いて(数11)により補正して第2の所定の基準値Vqlmtを生成している。このように本実施の形態の弱め磁束電流指令生成部605は、電流ベクトル制御部103からモータ駆動部102への電圧指令のq軸成分vqと第2の所定の基準値Vqlmtとの差分Δvqに基づいて弱め磁束電流指令idsを生成する。その他の部分は実施の形態1と同じ構成である。
Figure 2013021562
(数11)は、出力変数vqlmtに対して入力変数が1つ(vd)であるため、入力変数が2つある(数2)に比べて計算処理負荷を低減できる特徴を持つ。特許文献3には弱め磁束電流指令生成部605を上述のように構成し、弱め磁束制御を行う方法が記載されている。しかし、このような構成であったとしても、実施の形態1と同様の作用および効果が得られる。
(実施の形態5)
図7は、本発明の実施の形態5におけるモータの制御装置のブロック図である。本実施の形態は、図1の実施の形態1に速度制御器714を追加し、外部から入力される速度指令に従ってモータを速度制御で駆動する。速度制御系700以外の部分は実施の形態1と同じ構成である。
目標指令リミッタ110は、外部からの速度指令ω を、モータ101の出力可能限界に制限し、制限した速度指令ωを速度制御器714に出力する。
速度制御器714は、入力された速度指令ωとモータ101の回転速度ωとの誤差がゼロになるように、例えばPI制御によりトルク指令τを生成する。生成されたトルク指令τは、通常領域d軸電流指令設定部111およびq軸電流指令生成部113に出力される。
その他の処理は実施の形態1で述べたトルク制御と同様である。
本実施の形態において、速度指令を制限する代わりに、速度制御器714から出力されるトルク指令あるいはq軸電流指令を制限する構成とすると、以下に述べる理由により動作が劣化したり不安定になったりする。
説明の簡単化のため、図8Aに図7を簡略化したブロック図を示し、図8Bに速度指令の代わりにトルク指令を制限する構成としたブロック図を示す。また、図13に図8Aおよび図8Bの両構成を用いた場合の速度軌跡を示す。図13において、点線で示す速度指令波形12は外部からの速度指令波形を示し、速度波形13は図8Aの構成を用いた速度波形を示し、速度波形14は図8Bの構成を用いた速度波形を示す。
図13において、トルクを必要とする加速中において電圧飽和が生じており、時間Hで出力可能限界に達しているものとする。速度波形13、14ともに、出力可能限界到達後において指令が制限されることによる速度追従誤差が生じている。しかし、速度波形13は滑らかに速度指令に収束しているのに対し、速度波形14では、速度指令に到達した時間Iの後もトルクが収束せず、速度がオーバーシュートを起こしている。これは、トルク指令τ が制限される間の速度追従誤差が速度制御器714の積分項に積算されるためである。このように、積分器が含まれる制御ループの内側で指令信号を制限すると、積分項のワインドアップが生じて応答性が劣化したり動作が不安定になったりする。
従って、本発明における指令信号の制限動作は、図7、図8Aの構成ように、最外縁の制御ループよりも外側の指令信号に対して行うことが望ましい。
上述の構成により、モータの出力可能限界を超えた時に、モータ定数の変動やばらつきがある場合でも、外部からの速度指令値ω を自動的かつ正確に出力可能限界に制限するため、モータを高安定かつ高出力で駆動できる。
以上説明したように、本発明のモータの制御装置は、モータを駆動するモータ駆動部と、電流ベクトル制御部と、弱め磁束電流指令生成部と、目標指令リミッタあるいはq軸電流指令リミッタと、を備える。電流ベクトル制御部は、外部からの目標指令値に従ってモータの電流を直交したd軸電流とq軸電流に分離して制御する。弱め磁束電流指令生成部は、電流ベクトル制御部からのモータ駆動部への電圧指令の絶対値と第1の所定の基準値との差分あるいは電圧指令のq軸成分と第2の所定の基準値との差分に基づいてd軸電流の量を制御するd軸電流指令を生成する。目標指令リミッタは、d軸電流指令が負の上限値を超えた値に基づいて外部からの目標指令値の制限値を設定する。q軸電流指令リミッタは、q軸電流の量を制御するq軸電流指令の制限値を設定する。
これにより、電圧指令が所定の基準値を超過する場合は負のd軸電流指令を増加させ、d軸電流指令が負の上限値に達してもなお電圧指令が所定の基準値を超過する場合は外部からの目標指令値あるいはq軸電流指令を電圧指令の超過分がゼロに収束するまで制限する。あるいは、電圧指令のq軸成分が所定の基準値を超過する場合は負のd軸電流指令を増加させ、d軸電流指令が負の上限値に達してもなお電圧指令のq軸成分が所定の基準値を超過する場合は外部からの目標指令値あるいはq軸電流指令を電圧指令の超過分がゼロに収束するまで制限する。
よって、モータの出力可能限界を超える目標指令値が入力された場合に、モータ定数の変動やばらつきがある場合でも、目標指令値あるいはq軸電流指令を自動的かつ正確に出力可能限界に維持でき、モータを高安定かつ高出力で駆動できる。また、回生動作時においても同様に目標指令値が適正に制限されるので、q軸電流の流れすぎによる過電流や過電圧、過大なブレーキトルクの発生を回避でき、限界域まで高安定かつ高効率な回生動作ができる。
また本発明のモータの制御装置では、外部からの目標指令値の制限値を設定するリミッタあるいはq軸電流の指令の制限値を設定するリミッタの前段部に、外部からの目標指令値あるいはq軸電流の指令を平滑化するフィルタを備えた。これにより、出力トルクのオーバーシュートやアンダーシュートを抑制できる。
また本発明のモータの制御装置では、d軸電流指令とq軸電流指令を合わせたモータの電流指令ベクトルの大きさが所定の最大電流値を超えないように、d軸電流指令の大きさに応じてq軸電流指令の大きさを制限する電流リミッタを備えた。これにより、モータに流れる電流の大きさを所定の最大電流値に制限できる。
また本発明のモータの制御装置では、弱め磁束電流指令生成部の第2の所定の基準値は第1の所定の基準値をモータ駆動部への電圧指令のd軸成分を用いて補正したものである。
また本発明のモータの制御装置では、d軸電流指令の負の上限値をゼロに設定する。これにより、弱め磁束制御を用いない場合においても、モータ定数の変動やばらつきがある場合でも、外部からの目標指令値あるいはq軸電流指令を適正に制限する動作によって電圧飽和領域で安定な力行駆動あるいは回生動作を確保することができる。
以上のように、本発明にかかるモータの制御装置は、モータの出力可能限界を超える目標指令値が入力された場合に、モータ定数の変動やばらつきがある場合でも、目標指令値あるいはq軸電流指令を自動的かつ正確に出力可能限界に維持できるため、モータを高安定かつ高出力で駆動できる。よって、電圧飽和領域で駆動するモータ、例えば、モータ本体やバッテリの容量が制約される車載用モータや、瞬間的あるいは断続的に大きなトルクを必要とする各種アクチュエータや工作機械用のモータなどを駆動する用途に適用できる。
1,2,3,4,5,6,7,8,10 定トルク曲線
9 d軸電流制限線
11 電流制限円
12 速度指令波形
13,14 速度波形
15 電圧制限楕円
101 モータ
102 モータ駆動部
103 電流ベクトル制御部
104 出力電圧演算部
105,605 弱め磁束電流指令生成部
106 積分器
107 比例器
108 d軸電流上限値演算部
109 d軸電流指令リミッタ
110 目標指令リミッタ
111 通常領域d軸電流指令設定部
112 d軸電流指令加算部
113 q軸電流指令生成部
209 弱め磁束電流指令リミッタ
310 q軸電流指令リミッタ
400 フィルタ
500 電流リミッタ
604 基準電圧補正部
700 速度制御系
714 速度制御器
800 電流(トルク)制御系
801 弱め磁束制御系
904 飽和検出器
905 飽和積分器
912 d軸電流選択器
914 目標指令の制限値演算部

Claims (5)

  1. モータを駆動するモータ駆動部と、
    外部からの目標指令値に従って前記モータの電流を直交したd軸電流とq軸電流に分離して制御する電流ベクトル制御部と、
    前記電流ベクトル制御部からの前記モータ駆動部への電圧指令の絶対値と第1の所定の基準値との差分あるいは前記電圧指令のq軸成分と第2の所定の基準値との差分に基づいて前記d軸電流の量を制御するd軸電流指令を生成する弱め磁束電流指令生成部と、
    前記d軸電流指令が負の上限値を超えた値に基づいて前記外部からの目標指令値の制限値を設定する目標指令リミッタあるいは前記q軸電流の量を制御するq軸電流指令の制限値を設定するq軸電流指令リミッタと、
    を備えたモータの制御装置。
  2. 前記外部からの目標指令値あるいは前記q軸電流指令を平滑化するフィルタを備えた請求項1記載のモータの制御装置。
  3. 前記d軸電流指令と前記q軸電流指令を合わせたモータの電流指令ベクトルの大きさが所定の値を超えないように、前記d軸電流指令の大きさに応じて前記q軸電流指令の大きさを制限する電流リミッタを備えた請求項1記載のモータの制御装置。
  4. 前記弱め磁束電流指令生成部の前記第2の所定の基準値は前記第1の所定の基準値を前記モータ駆動部への前記電圧指令のd軸成分を用いて補正したものである請求項1記載のモータの制御装置。
  5. 前記d軸電流指令の上限値をゼロに設定した請求項1に記載のモータの制御装置。
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