JPWO2013005425A1 - ニトロベンゼン化合物の製造方法 - Google Patents

ニトロベンゼン化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】特殊な反応装置を用いることなく、簡便な操作で且つ穏やかな条件下で実施可能なニトロベンゼン化合物の製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、一般式(1)(式中、R1及びR5は、同一又は異なって、ハロゲン原子その他の官能基を示し、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子その他の官能基を示す。)で表されるアニリン化合物を、タングステン化合物の存在下に酸性条件下で過酸化水素により酸化させ、更に中性からアルカリ性条件下で過酸化水素により酸化させることを特徴とする、一般式(2)(式中、R1、R2、R3、R4、R5は前記と同じ意味を示す。)で表されるニトロベンゼン化合物の製造方法を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、ニトロベンゼン化合物、特に2,6−ジ置換されたニトロベンゼン化合物の製造方法に関する。この2,6−ジ置換されたニトロベンゼン化合物は、例えば、種々の有機化合物(例えば、医農薬等の生理活性な有機化合物)の合成中間体として有用である。
ニトロベンゼン化合物、特に2,6−ジ置換されたニトロベンゼン化合物は、上記の通り、種々の有機化合物の合成中間体として広く知られていて、特に2,6−ジクロロニトロベンゼンは、EP4レセプターアンタゴニストとして記載されている化合物を製造する合成中間体として(特許文献1、実施例55参照)、或いは、ブラジキニンB受容体アンタゴニストとして記載されている化合物を製造する合成中間体として(特許文献2、実施例8及び実施例104参照)、報告されている。又、毛髪用染色組成物を製造する合成中間体(特許文献3、製造例6及び実施例10参照)としても知られている。
同様に、2−クロロ−6−アルコキシカルボニルニトロベンゼンも、有益な中間体として知られていて、プロテインチロシンホスファターゼの阻害剤として記載されている化合物を製造する合成中間体として(特許文献4、実施例76参照)、或いは、高い除草活性を有する化合物を製造する合成中間体として{特許文献5、Synthesis of Compound 2, (2)-(5)参照}、知られている。
更に、2−クロロ−6−アルコキシカルボニルニトロベンゼンは、還元してメチロール化した後にメトキシメチル化することにより、有用な農薬中間体である2−クロロ−6−メトキシメチルニトロベンゼンに誘導できることも知られている(特許文献6参照)。
このように、有用な化合物へ誘導することができるニトロベンゼン化合物については、従来より、工業的に安価な過酸化水素によるアニリン化合物からニトロベンゼン化合物への酸化において、アニリン化合物のアミノ基のオルソ位が置換されていない場合、アニリン類からニトロベンゼン化合物への酸化は容易に反応が進行することが知られている(特許文献7)。しかしながら、2,6−ジ置換されたアニリン化合物の酸化を同じ条件で行おうとした場合、目的とする2,6−ジ置換されたニトロベンゼン化合物を収率良く得ることはできない(比較例1及び2参照)。従って、従来は、2,6−ジ置換されたアニリン化合物から2,6−ジ置換されたニトロベンゼン化合物を得るためには、作業において多くの注意を払う必要のある高濃度の過酸化水素を使用し、更に危険性の高い過酢酸又はトリフルオロ過酢酸などの有機過酸を使用しなければならず(非特許文献1及び非特許文献2)、2,6−ジ置換されたニトロベンゼン化合物を穏やかな条件で製造する合成法は存在しなかった。
特表2005−533756号公報 特表2008−537953号公報 特開昭62−246967公報 国際公開2005/081960号公報 米国特許5084086号公報 国際公開2000/006553号公報 特許第4284999号公報
第4版実験化学講座、20巻、有機合成II、402頁(1992、丸善株式会社) Organic Syntheses,Col.Vol.V 367頁
本発明の課題は、上記した従来技術における1以上の欠点を解決することが可能なニトロベンゼン化合物、特に2,6−ジ置換されたニトロベンゼン化合物の製造方法を提供することにある。
即ち、本発明の課題は、安価で且つ反応後には無害な水となる、クリーンで優れた酸化剤として注目を集めている過酸化水素の利用の中で、危険性の高い高濃度の過酸化水素を用いることなく、更に危険性の高い過酢酸又はトリフルオロ過酢酸などの有機過酸を使用しなくても、簡便な操作で、穏やかな条件下、廃棄物の副生を抑えると共に高収率で、高純度のニトロベンゼン化合物を工業的規模で製造することが可能な方法を提供することにある。
上記のような状況に鑑み、本発明者がニトロベンゼン化合物、特に2,6−ジ置換されたニトロベンゼン化合物を製造する方法について鋭意研究を重ねた結果、意外にも、高濃度の過酸化水素を使用しなくても、アニリン化合物と、タングステン化合物を使用し、酸性条件下で過酸化水素と反応させ、そして次に中性からアルカリ性条件下で過酸化水素と反応させることにより、上記課題の解決が可能であることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記〔1〕乃至〔29〕項に記載の発明を提供することにより前記課題を解決したものである。
〔1〕一般式(1)

(式中、R及びRは、同一又は異なって、ハロゲン原子、C1〜C4アルコキシカルボニル基、C1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ基又はC1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基を示し、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ基又はC1〜C4ハロアルキル基を示す。)
で表されるアニリン化合物を、タングステン化合物の存在下に酸性条件下で過酸化水素により酸化させ、更に中性からアルカリ性条件下で過酸化水素により酸化させることを特徴とする、一般式(2)

(式中、R、R、R、R及びRは前記と同じ意味を示す。)
で表されるニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔2〕一般式(1)で表されるアニリン化合物の、一般式(2)で表されるニトロベンゼン化合物への過酸化水素による酸化を、酸化反応の液性を酸性条件から中性乃至アルカリ性条件に変更して行う、〔1〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔3〕アニリン化合物のニトロベンゼン化合物への酸化を、溶媒の存在下で行う、〔1〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔4〕前記溶媒が水、アルコール類、ニトリル類、芳香族炭化水素類又はこれらの混合溶媒である、〔3〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔5〕前記溶媒が水である、〔3〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔6〕前記溶媒が水と芳香族炭化水素類の混合溶媒であり、アニリン化合物のニトロベンゼン化合物への酸化を、相間移動触媒の存在下で行う、〔3〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔7〕前記芳香族炭化水素類がベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン又はエチルベンゼンから選択される1種以上である、〔6〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔8〕一般式(1)におけるR又はRのいずれか一方がC1〜C4アルコキシカルボニル基であるアニリン化合物が、一般式(3)

(式中、R、R、R及びRは前記と同じ意味を示す。)
で表されるハロゲノ安息香酸化合物をアミノ化して得られる、一般式(4)

(式中、R、R、R及びRは前記と同じ意味を示す。)
で表されるアミノ安息香酸化合物をエステル化することにより製造されたものである、〔1〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔9〕タングステン化合物がタングステン酸である、〔1〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔10〕タングステン化合物がタングステン酸塩である、〔1〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔11〕タングステン化合物が金属タングステンである、〔1〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔12〕相間移動触媒が四級アンモニウム塩である、〔6〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔13〕相間移動触媒がテトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド又はミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイドから選ばれる1種以上である、〔12〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔14〕酸性条件下での液性がpH2.0以下である、〔1〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔15〕中性からアルカリ性条件下での液性がpH6.5から16.0である、〔1〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔16〕中性からアルカリ性条件下での液性がpH6.5から15.0である、〔1〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔17〕一般式(1)におけるR、R及びRが水素原子である、〔1〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔18〕一般式(1)におけるR及びRが同一又は異なってハロゲン原子又はC1〜C4アルコキシカルボニル基である、〔1〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔19〕一般式(1)におけるR及びRがハロゲン原子である、〔1〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔20〕一般式(1)におけるRがハロゲン原子であり、RがC1〜C4アルコキシカルボニル基である、〔1〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔21〕一般式(1)におけるR及びRがハロゲン原子であり、R、R及びRが水素原子であり、タングステン化合物がタングステン酸塩であり、酸性条件下での液性がpH2.0以下であると共に、中性からアルカリ性条件下での液性がpH6.5から15.0であり、溶媒が水とベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン又はエチルベンゼンから選択される1種以上との混合溶媒であり、酸化反応を相間移動触媒の存在下で行うと共に、相間移動触媒がテトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド又はミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイドから選ばれる1種以上である、〔3〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔22〕一般式(1)におけるRがハロゲン原子であり、RがC1〜C4アルコキシカルボニル基であり、R、R及びRが水素原子であり、タングステン化合物がタングステン酸塩であり、酸性条件下での液性がpH2.0以下であると共に、中性からアルカリ性条件下での液性がpH6.5から15.0であり、溶媒が水とベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン又はエチルベンゼンから選択される1種以上との混合溶媒であり、酸化反応を相間移動触媒の存在下で行うと共に、相間移動触媒がテトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド又はミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイドから選ばれる1種以上である、〔3〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔23〕一般式(1)におけるR及びRがハロゲン原子であり、R、R及びRが水素原子であり、タングステン化合物がタングステン酸であり、酸性条件下での液性がpH2.0以下であると共に、中性からアルカリ性条件下での液性がpH6.5から15.0であり、溶媒が水とベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン又はエチルベンゼンから選択される1種以上との混合溶媒であり、酸化反応を相間移動触媒の存在下で行うと共に、相間移動触媒がテトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド又はミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイドから選ばれる1種以上である、〔3〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔24〕一般式(1)におけるRがハロゲン原子であり、RがC1〜C4アルコキシカルボニル基であり、R、R及びRが水素原子であり、タングステン化合物がタングステン酸であり、酸性条件下での液性がpH2.0以下であると共に、中性からアルカリ性条件下での液性がpH6.5から15.0であり、溶媒が水とベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン又はエチルベンゼンから選択される1種以上との混合溶媒であり、酸化反応を相間移動触媒の存在下で行うと共に、相間移動触媒がテトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド又はミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイドから選ばれる1種以上である、〔3〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔25〕一般式(1)におけるR及びRがハロゲン原子であり、R、R及びRが水素原子であり、タングステン化合物が金属タングステンであり、酸性条件下での液性がpH2.0以下であると共に、中性からアルカリ性条件下での液性がpH6.5から15.0であり、溶媒が水とベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン又はエチルベンゼンから選択される1種以上との混合溶媒であり、酸化反応を相間移動触媒の存在下で行うと共に、相間移動触媒がテトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド又はミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイドから選ばれる1種以上である、〔3〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔26〕一般式(1)におけるRがハロゲン原子であり、RがC1〜C4アルコキシカルボニル基であり、R、R及びRが水素原子であり、タングステン化合物が金属タングステンであり、酸性条件下での液性がpH2.0以下であると共に、中性からアルカリ性条件下での液性がpH6.5から15.0であり、溶媒が水とベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン又はエチルベンゼンから選択される1種以上との混合溶媒であり、酸化反応を相間移動触媒の存在下で行うと共に、相間移動触媒がテトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド又はミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイドから選ばれる1種以上である、〔3〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔27〕一般式(1)におけるRがハロゲン原子であり、RがC1〜C4アルコキシカルボニル基であり、R、R及びRが水素原子であり、タングステン化合物がタングステン酸塩であり、酸性条件下での液性がpH2.0以下であると共に、中性からアルカリ性条件下での液性がpH6.5から15.0であり、溶媒が水とベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン又はエチルベンゼンから選択される1種以上との混合溶媒であり、酸化反応を相間移動触媒の存在下で行うと共に、相間移動触媒がテトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド又はミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイドから選ばれる1種以上である、〔8〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔28〕一般式(1)におけるRがハロゲン原子であり、RがC1〜C4アルコキシカルボニル基であり、R、R及びRが水素原子であり、タングステン化合物がタングステン酸であり、酸性条件下での液性がpH2.0以下であると共に、中性からアルカリ性条件下での液性がpH6.5から15.0であり、溶媒が水とベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン又はエチルベンゼンから選択される1種以上との混合溶媒であり、酸化反応を相間移動触媒の存在下で行うと共に、相間移動触媒がテトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド又はミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイドから選ばれる1種以上である、〔8〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
〔29〕一般式(1)におけるRがハロゲン原子であり、RがC1〜C4アルコキシカルボニル基であり、R、R及びRが水素原子であり、タングステン化合物が金属タングステンであり、酸性条件下での液性がpH2.0以下であると共に、中性からアルカリ性条件下での液性がpH6.5から15.0であり、溶媒が水とベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン又はエチルベンゼンから選択される1種以上との混合溶媒であり、酸化反応を相間移動触媒の存在下で行うと共に、相間移動触媒がテトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド又はミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイドから選ばれる1種以上である、〔8〕に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
本発明方法により、種々の有機化合物の合成中間体として有用な、一般式(2)で表されるニトロベンゼン化合物の新規な工業的製造法が提供される。本発明方法によれば、原料として、一般式(1)で表されるアニリン化合物を使用して、安価で且つ反応後には無害な水となる、クリーンで優れた酸化剤として注目を集めている過酸化水素を利用し、更に工業的に入手が容易で安価であるタングステン化合物を使用し、取り扱いが難しく危険な高濃度の過酸化水素を使用しなくても、反応を完結することができる。
又、本発明方法では、危険性の高い過酢酸又はトリフルオロ過酢酸などの有機過酸を使用しなくても、ニトロベンゼン化合物を温和な条件で製造することができる。
更に、本発明方法では、ニトロベンゼン化合物を高収率且つ効率的に工業的規模で簡便に実施可能である。従って、本発明の方法は、簡便で、安全性が高く、安価であるために、工業的な利用価値が高い。
更に、酸性条件とするために使用される酸は、環境汚染に重要な問題を起こす可能性のあるリン酸等は使用する必要はなく、苛性ソーダ等で中和するだけで、廃液として環境に対して問題を起こさない塩酸、硫酸又は臭化水素酸で反応を行うことができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明方法は、一般式(1)で表されるアニリン化合物を、タングステン化合物の存在下、酸性条件下で過酸化水素により酸化させ、更に中性からアルカリ条件下で過酸化水素により酸化させることを特徴とする、一般式(2)で表されるニトロベンゼン化合物の製造方法であり、当該製造方法は溶媒の存在下で行うことが好ましく、必要に応じて相間移動触媒を使用することもできる。
(原料化合物)
まず、本発明方法の原料として用いる、上記した一般式(1)で表される原料化合物であるアニリン化合物について説明する。
一般式(1)におけるR及びRは、例えば、同一又は異なって、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子よりなるハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基又はtert−ブチル基等のC1〜C4アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基又はtert−ブトキシ基等のC1〜C4アルコキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル又はブトキシカルボニル等のC1〜C4アルコキシカルボニル基;又はメトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基又はブトキシメチル基等のC1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基を示し、R、R及びRは、例えば、同一又は異なって、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子よりなるハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基又はtert−ブチル基等のC1〜C4アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基又はtert−ブトキシ基等のC1〜C4アルコキシ基;又はトリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、フルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基又は4,4,4−トリフルオロブチル基等のC1〜C4ハロアルキル基を示す。
尚、例えば「C1〜C4」は、これに続く置換基の炭素数が1から4であることを意味し、以下同様である。
当反応に使用できる一般式(1)で表されるアニリン化合物としては、具体的には例えば、2,6−ジクロロアニリン、2,6−ジブロモアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、2−クロロ−6−フルオロアニリン、2−ブロモ−6−クロロアニリン、2−クロロ−6−ヨードアニリン、2,3,6−トリクロロアニリン、2,4,6−トリクロロアニリン、2,4,6−トリメチルアニリン、2,4,6−トリメトキシアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、2,4,6−トリブロモアニリン、2,6−ジクロロ−4−メトキシアニリン、2,6−ジクロロ−4−エトキシアニリン、2,6−ジクロロ−4−プロポキシアニリン、2,6−ジクロロ−4−ブトキシアニリン、2,6−ジクロロ−4−メチルアニリン、2,6−ジクロロ−4−エチルアニリン、2,6−ジクロロ−4−プロピルアニリン、2,6−ジクロロ−4−ブチルアニリン、2,3,5,6−テトラクロロアニリン、2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチル、2−アミノ−3−クロロ安息香酸エチル、2−アミノ−3−クロロ安息香酸プロピル、2−アミノ−3−クロロ安息香酸イソプロピル、2−アミノ−3−クロロ安息香酸ブチル、2−アミノ−3−クロロ安息香酸イソブチル、2−アミノ−3−クロロ安息香酸sec−ブチル、2−アミノ−3−クロロ安息香酸tert−ブチル、2−アミノ−3−フルオロ安息香酸メチル、2−アミノ−3−フルオロ安息香酸エチル、2−アミノ−3−ブロモ安息香酸メチル、2−アミノ−3−ブロモ安息香酸エチル、2−クロロ−6−メチルアニリン、2−クロロ−6−エチルアニリン、2−クロロ−6−プロピルアニリン、2−クロロ−6−ブチルアニリン、2−ブロモ−6−メチルアニリン、2−フルオロ−6−メチルアニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジエチルアニリン、2−クロロ−6−メトキシアニリン、2−クロロ−6−エトキシアニリン、2−クロロ−6−プロポキシアニリン、2−クロロ−6−ブトキシアニリン、2−クロロ−6−メトキシメチルアニリン、2−クロロ−6−(2−メトキシエチル)アニリン、2−クロロ−6−(3−メトキシプロピル)アニリン、2−クロロ−6−(4−メトキシブチル)アニリン、2−クロロ−6−エトキシメチルアニリン、2−クロロ−6−プロポキシメチルアニリン、2−ブトキシメチル−6−クロロアニリン、2−アミノ−3,5−ジクロロ安息香酸メチル又は2−アミノ−3,5−ジクロロ安息香酸エチルを挙げることができる。尚、上記アニリン化合物は、例えば塩酸、硫酸等の酸との付加塩であっても良い。
一般式(1)で表されるアニリン化合物は公知の化合物であるか、或いは、公知の化合物から公知の方法により製造することができる化合物である。又、上記アニリン化合物に包含される2,6−ジ置換されたアニリン化合物は、すでに説明したように、対応する2,6−ジ置換されたニトロベンゼン化合物へ穏やかな条件化では変換することが難しい化合物である。
(タングステン化合物)
本発明方法で用いるタングステン化合物としては、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム2水和物、タングステン酸ナトリウム10水和物、タングステン酸カリウム、タングステン酸カルシウム又はタングステン酸アンモウム等のタングステン酸塩類や、タングステン酸、金属タングテン又は炭化タングステンを挙げることができる。
タングステン化合物の使用モル比は、一般式(1)で表されるアニリン化合物1モルに対して、通常0.001〜1.0モル、好ましくは0.005〜0.3モルの範囲を例示することができる。
(酸性条件)
本発明方法では、まず酸性条件下でアニリン化合物を酸化するが、この際、酸性条件が高いことが好ましく、pH値として2.0以下の数値の範囲を挙げることができる。
高い酸性条件とするためには、反応系に酸を添加する。使用できる当該酸としては、硫酸、塩酸又は臭化水素酸を挙げることができるが、入手性や取り扱いの簡便さ、反応性、価格、安全性等の観点からは、硫酸又は塩酸が好ましく、硫酸が更に好ましい。
尚、タングステン化合物としてタングステン酸を使用する場合は、当該タングステン酸の十分に高い酸性度により所望の酸性条件となるため、必ずしもタングステン酸以外の酸を加える必要はないが、加えても良い。タングステン化合物としてタングステン酸塩、金属タングステン又は炭化タングステンを使用する場合は、酸を加える必要がある。
又、タングステン化合物がタングステン酸以外の場合は、当該酸の使用モル比は、使用されたタングステン化合物1モルに対して、通常1.5〜100.0モル、好ましくは2.0〜50.0モルの範囲を例示することができ、タングステン化合物がタングステン酸の場合は、当該酸の使用モル比は、使用されたタングステン化合物1モルに対して、通常0.0〜100.0モル、好ましくは0.0〜50.0モルの範囲を例示することができる。
(相間移動触媒)
本発明方法では、必要に応じ、相間移動触媒を使用することもできる。この相間移動触媒としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、水酸化テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイド、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムブロマイド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ベンジルラウリルジメチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルエチルアンモニウムクロライド、トリオクチルエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムブロマイド、ベンジルラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイド又はベンジルラウリルジメチルアンモニウムブロマイド等の四級アンモニウム塩、12−クラウン−4、15−クラウン−5又は18−クラウン−6等のクラウンエーテル類、テトラn−ブチルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド又はテトラオクチルホスホニウムブロマイドなど等のホスホニウム塩を挙げることができる。好ましくは、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、ベンジルラウリルジメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムブロマイド又はミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイド等の四級アンモニウム塩を挙げることができる。
相間移動触媒の使用モル比は、アニリン化合物1モルに対して、通常0.001〜0.5モル、好ましくは0.005〜0.3モルの範囲を例示することができる。
(中性からアルカリ性条件)
本発明方法は、一般式(1)で表されるアニリン化合物を、酸性条件下での酸化に続き、更に中性からアルカリ性条件下で過酸化水素により酸化させるのであるが、この中性からアルカリ条件としては、pH値として6.0以上の範囲を示し、好ましくは6.5〜16.0の範囲を示し、更に好ましくは6.5〜15.0の範囲を示す。
(塩基)
従って本発明方法では、酸性条件の系内をアルカリ性とするために塩基を使用するのであり、この塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム又は水酸化カルシウム等のアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム又は炭酸マグネシウム等のアルカリ金属炭酸塩又はアルカリ土類金属炭酸酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム又は炭酸カルシウム等のアルカリ金属炭酸水素塩又はアルカリ土類金属炭酸水素塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム又は酢酸マグネシウム等のアルカリ金属カルボン酸塩又はアルカリ土類金属酢酸塩等のカルボン酸塩類;トリエチルアミン、ピリジン又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基類を挙げることができる。
塩基の使用量については、酸性条件下での酸化のために使用された前記硫酸、塩酸、臭化水素酸又はタングステン酸等の酸の使用量に対して、中和に必要とする当量の塩基に加えて、更に過剰の塩基を加える。過剰の塩基の使用モル比は、アニリン化合物1モルに対して、通常0.01〜10.0モル、好ましくは0.1〜5.0モルの範囲を例示することができる。尚、中和とはpH値が6.0以上8.0以下の状態を示す。
(アニリン化合物の消失の確認方法)
本発明方法は、上記の通り、酸性条件下での酸化に続き、更に中性からアルカリ性条件下で酸化させるのであるが、このためにはアニリン化合物の残存状況を確認することが好ましく、この確認は、ガスクマトグラフィー分析及びHPLC分析によることが簡便である。当該分析は全面積値による分析、絶対検量線法による分析又は内部標準法による分析等の何れであっても良いが、当該分析において原料に用いたアニリン化合物が通常0〜10%、好ましくは0〜5%、更に好ましくは0〜3%の範囲であるとき、「アニリン化合物の消失」と判断して差し支えない。
(過酸化水素)
本発明方法では、一般式(1)で表されるアニリン化合物の酸性条件下での酸化、及び、中性からアルカリ性条件下での酸化を、共に過酸化水素により行う。過酸化水素の濃度は特に制限されないが、容積効率、安全面等を考慮すると、実用的には60%未満で、好ましくは45%未満である。過酸化水素水は、通常市販のものをそのまま又は必要に応じて希釈若しくは濃縮等により濃度調整を行なった後、用いることができる。
過酸化水素の添加方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、一般式(1)で表されるアニリン化合物と同時に添加する方法と、一般式(1)で表されるアニリン化合物の存在下に添加する方法がある。更に、一般式(1)で表されるアニリン化合物から一般式(2)で表されるニトロベンゼン化合物への酸化で使用される過酸化水素の全量を酸性条件下で添加する方法と、酸性条件下、及び、中性からアルカリ性条件下で分けて添加する方法がある。
過酸化水素の全量を最初に酸性条件下で添加する場合の使用モル比は、一般式(1)で表されるアニリン化合物1モルに対して、通常3.0〜14.0モル、好ましくは3.0〜9.0モルの範囲を例示することができ、酸性条件下、及び、中性からアルカリ性条件下で分けて添加する場合の使用モル比は、酸性条件下のときは一般式(1)で表されるアニリン化合物1モルに対して、通常2.0〜8.0モル、好ましくは2.0〜5.0モルの範囲を例示することができ、中性からアルカリ性条件のときは一般式(1)で表されるアニリン化合物1モルに対して、通常1.0〜6.0モル、好ましくは1.0〜4.0モルの範囲を例示することができる。即ち、過酸化水素は酸性条件下での酸化、及び、中性からアルカリ性条件下での酸化の際に加えても、酸性条件下での酸化に必要な全量を加えてもよいのである。
(高濃度の過酸化水素)
尚、上記従来技術で使用されていた「高濃度の過酸化水素」とは、通常は45%以上、更に限定すると60%以上の濃度の過酸化水素を例示することができる。
(溶媒)
本発明方法では、酸性条件下での酸化と中性からアルカリ性条件下での酸化のいずれにおいても、無溶媒で実施することができるが、反応を円滑に進行させるためには溶媒を用いることが好ましい。尚、本発明方法でいう「溶媒」には、試薬を加えた場合に懸濁液になるものも含む。
当反応に用いることができる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール又はt−ブチルアルコール等のアルコール類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン又はメチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル又はメチル−t−ブチルエーテル等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム又は四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン又はエチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物;及び水を挙げることができる。尚、溶媒は単独で又は任意の混合割合の混合溶媒として用いることができる。好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン又はエチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;及び水を挙げることができ、更に好ましくは、価格、安全性、収率の面から、メタノールや、水とベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン又はエチルベンゼンから選択される1種以上との混合溶媒を挙げることができる。
溶媒量としては、反応系の攪拌が充分にできる量であることが好ましく、例えば、一般式(1)で表される原料化合物1モルに対して、通常10.0L(リットル)以下、更に好ましくは0.01〜3.0Lの範囲を例示することができる。
(酸性条件における反応条件)
当反応の反応温度は、通常、−20℃〜90℃の範囲を例示することができるが、好ましくは−10℃〜80℃、更に好ましくは0℃〜70℃の範囲が良い。
当反応の反応時間は特に制限されないが、副生物抑制の観点等から、通常、0.5時間〜36時間、好ましくは1時間〜24時間が良い。
(中性からアルカリ条件における反応条件)
当反応の反応温度は、通常、−20℃〜95℃の範囲を例示することができるが、好ましくは−10℃〜90℃、更に好ましくは0℃〜85℃の範囲が良い。尚、この反応条件下での酸化には、前記タングステン化合物は必要ではないが、タングステン化合物が反応系内に存在しても、反応は進行する。
当反応の反応時間は特に制限されないが、副生物抑制の観点等から、通常、0.2時間〜36時間、好ましくは0.5時間〜24時間が良い。
当反応によれば、特別な反応装置を用いることなく、穏やかな条件下で高収率に一般式(2)で表されるニトロベンゼン化合物が生成する。
(収率)
本発明方法において、目的とする生成物の収率は、好ましくは60%以上であり、より好ましくは62〜98%であり、更に好ましくは70〜98%(特に好ましくは、80〜98%)である。
この収率は、原料である一般式(1)で表されるアニリン化合物のモル数に対する、得られる目的物であるニトロベンゼン化合物のモル数から計算することができる。すなわち、本発明における収率は、以下の式で表される。
収率(%)=100×{(得られた目的物のモル数)/(原料のモル教)}
後述する実施例1〜3においては、原料の一般式(1)のアニリン化合物1モルから、ニトロベンゼン化合物1モルが理論的に製造できる。よって、この理論値から、実際の収率を計算することができる。
一方、一般式(1)で表されるアニリン化合物におけるR又はRのいずれか一方がC1〜C4アルコキシカルボニル基であるアニリン化合物は、以下のようにして製造することができる。
(アミノ化によるアミノ安息香酸化合物の製造方法)
当該製造方法は、まず、一般式(3)

(式中、R、R、R及びRは前記と同じ意味を示す。)
で表されるハロゲノ安息香酸化合物を、ハロゲン化銅又は酸化銅存在下で、必要に応じて塩基或いは高圧反応缶を使用し、アンモニアと反応させることによりアミノ化して、一般式(4)

で表されるアミノ安息香酸化合物を製造するのである。
(ハロゲノ安息香酸化合物)
当反応に使用できる、一般式(3)で表されるハロゲノ安息香酸化合物において、R、R、R及びRは前記一般式(1)表されるアニリン化合物におけるそれらと同じ意味を示すので、この化合物としては、具体的には例えば、2,3−ジクロロ安息香酸、2−クロロ−3−フルオロ安息香酸、2,3,5−トリクロロ安息香酸、2−クロロ−3−メチル安息香酸、2,3−ジブロモ安息香酸を挙げることができる。尚、一般式(3)で表されるハロゲノ安息香酸化合物は公知の化合物であるか、或いは、公知の化合物から公知の方法により製造することができる化合物である。
(ハロゲン化銅)
一般式(3)で表されるハロゲノ安息香酸化合物のアミノ化に使用するハロゲン化銅としては、塩化第一銅(I)、塩化第二銅(II)、臭化第一銅(I)、臭化第二銅(II)を挙げることができる。
当反応における、ハロゲン化銅の使用モル比は、一般式(3)で表される原料化合物に対して如何なるモル比でも反応が進行するが、一般式(3)で表されるハロゲノ安息香酸化合物(原料化合物)1モルに対して、通常0.01〜0.5モル、好ましくは0.05〜0.2モルの範囲を例示することができる。
(酸化銅)
一般式(3)で表されるハロゲノ安息香酸化合物のアミノ化に使用する酸化銅としては、酸化第一銅(I)、酸化第二銅(II)を挙げることができる。
当反応における、酸化銅の使用モル比は、一般式(3)で表される原料化合物に対して如何なるモル比でも反応が進行するが、一般式(3)で表されるハロゲノ安息香酸化合物(原料化合物)1モルに対して、通常0.01〜0.5モル、好ましくは0.05〜0.2モルの範囲を例示することができる。
(溶媒)
当反応は無溶媒でも実施することができるが、反応を円滑に進行させるためには溶媒を用いることが好ましい。
当反応に用いることができる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物;水を挙げることができる。尚、溶媒は単独で又は任意の混合割合の混合溶媒として用いることができる。
溶媒の使用量は、式(4)で表される原料化合物1モルに対して、通常10.0L(リットル)以下、更には0.01〜3.0Lの範囲であることが好ましい。
当反応の反応温度としては、通常、−30℃〜200℃の範囲を例示することができるが、好ましくは−10℃〜150℃の範囲が良い。
当反応の反応時間は特に制限されないが、副生物抑制の観点等から、通常、0.5時間〜48時間、好ましくは1時間〜36時間が良い。
(アンモニア)
アンモニアとしては、水、アルコール等によるアンモニア溶液又はアンモニアガスを例示することができる。
アンモニア溶液の濃度は特に制限されないが、容積効率、安全面等を考慮すると、実用的には30%以下である。アンモニア溶液は、通常市販のものをそのまま又は必要に応じて希釈若しく濃縮等により濃度調整を行なった後、用いられる。
当反応における、アンモニア溶液の使用モル比は、一般式(3)で表される原料化合物に対して如何なるモル比でも反応が進行するが、一般式(3)で表されるハロゲノ安息香酸化合物(原料化合物)1モルに対して、通常2.0〜30.0モル、好ましくは2.0〜15.0モルの範囲を例示することができる。
アンモニアは、液化アンモニアとして通常市販のものをそのまま使用するか又は、苛性ソーダ又は苛性カリにアンモニア水を加えて発生させたアンモニアが用いられる。
当反応における、アンモニアガスの使用モル比は、一般式(4)で表される原料化合物に対して如何なるモル比でも反応が進行するが、一般式(4)で表されるハロゲノ安息香酸化合物(原料化合物)1モルに対して、通常2.0〜30.0モル、好ましくは2.0〜15.0モルの範囲を例示することができる。
(塩基)
一般式(4)で表されるハロゲノ安息香酸化合物をアンモニアと反応させるには、塩基を使用することができ、この塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム又は水酸化カルシウム等のアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等のアルカリ金属炭酸塩又はアルカリ土類金属炭酸酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム等のアルカリ金属炭酸水素塩又はアルカリ土類金属炭酸水素塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム等のアルカリ金属酢酸塩又はアルカリ土類金属酢酸塩等のカルボン酸塩類を挙げることができる。
当反応における塩基の使用モル比は、ハロゲノ安息香酸化合物(原料化合物)1モルに対して、通常0.1〜10.0モル、好ましくは0.1〜5.0モルの範囲を例示することができる。
(高圧反応缶)
一般式(4)で表されるハロゲノ安息香酸化合物をアンモニアと反応させるには、高圧反応缶を使用することができ、この高圧反応缶とは、実験室的には10mLから3Lのシールド管を使用したり、工業的には50Lから20000Lの高圧反応器を使用する。
高圧反応缶内の圧力は、通常1〜100気圧、好ましくは2〜50気圧の範囲を例示することができる。
(収率)
本発明において、目的とする生成物の収率は、好ましくは60%以上であり、より好ましくは63〜95%であり、更に好ましくは67〜95%(特に好ましくは70〜95%)である。
この収率は、原料である一般式(1)で表されるハロゲノ安息香酸化合物のモル数に対する、得られる中間体のアミノ安息香酸化合物のモル数から計算することができる。すなわち、本発明における収率は、以下の式で表される。
収率(%)=100×{(得られた目的物のモル数)/(原料のモル教)}
後述する実施例4、5においては、原料の一般式(3)のハロゲノ安息香酸1モルから、アミノ安息香酸化合物1モルが理論的に製造できる。よって、この理論値から、実際の収率を計算することができる。
当反応によれば、高収率に一般式(4)で表されるアミノ安息香酸化合物が生成する。得られる一般式(4)で表されるアミノ安息香酸化合物は、処理して単離するかもしくは単離せずに、一般式(1)で表されるアニリン化合物におけるR又はRのいずれか一方がC1〜C4アルコキシカルボニル基であるアニリン化合物(アミノ安息香酸エステル化合物)の中間原料として利用される。
(エステル化によるアミノ安息香酸エステル化合物の製造方法)
当該製造方法は、次いで一般式(4)で表されるアミノ安息香酸化合物を、アルキル化剤と塩基の存在下、必要に応じて相間移動触媒の存在下に反応させるか、アルコールの存在下、酸触媒を添加して反応させるか、又は、アルコールとチオニルクロリドにより調製し得られるクロロ亜硫酸エステルと、必要に応じて塩基の存在下に反応させ、一般式(1)で表されるアニリン化合物におけるR又はRのいずれか一方がC1〜C4アルコキシカルボニル基であるアニリン化合物(アミノ安息香酸エステル化合物)を製造するのである。
(アミノ安息香酸化合物)
当反応に使用できる一般式(4)で表されるアミノ安息香酸化合物において、R、R、R及びRは前記一般式(1)表されるアニリン化合物におけるそれらと同じ意味を示すので、この化合物としては、具体的には例えば、2−アミノ−3−クロロ安息香酸、2−アミノ−3−フルオロ安息香酸、2−アミノ−3,5−ジクロロ安息香酸、2−アミノ−3−メチル安息香酸、2−アミノ−3−ブロモ安息香酸を挙げることができる。これらの化合物は公知であるか、或いは、上記の方法により製造することができる化合物である。
(アルキル化剤と塩基の存在下で行う製造方法)
当該製造方法では、一般式(4)で表されるアミノ安息香酸化合物を、アルキル化剤と塩基の存在下、必要に応じて相間移動触媒の存在下に反応させ、目的とするアミノ安息香酸エステル化合物を製造する。
(アルキル化剤)
アルキル化剤としては、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等のジアルキル硫酸エステル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、臭化エチル等のハロゲン化アルキルを挙げることができる。
アルキル化剤の使用モル比は、一般式(4)で表されるアミノ安息香酸化合物(原料化合物)1モルに対して、通常1.0〜6.0モル、好ましくは1.0〜3.0モルの範囲を例示することができる。
(塩基)
塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム又は水酸化カルシウム等のアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等のアルカリ金属炭酸塩又はアルカリ土類金属炭酸酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム等のアルカリ金属炭酸水素塩又はアルカリ土類金属炭酸水素塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム等のアルカリ金属酢酸塩又はアルカリ土類金属酢酸塩等のカルボン酸塩類;トリエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基類を挙げることができる。
塩基の使用モル比は、アミノ安息香酸化合物1モルに対して、通常1.0〜6.0モル、好ましくは1.0〜3.0モルの範囲を例示することができる。
(相間移動触媒)
必要に応じて使用される相間移動触媒としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、水酸化テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイド、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムブロマイド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ベンジルラウリルジメチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルエチルアンモニウムクロライド、トリオクチルエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムブロマイド、ベンジルラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイド又はベンジルラウリルジメチルアンモニウムブロマイド等の四級アンモニウム塩、12−クラウン−4、15−クラウン−5又は18−クラウン−6等のクラウンエーテル類、テトラn−ブチルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド又はテトラオクチルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩を挙げることができる。好ましくは、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、ベンジルラウリルジメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムブロマイド又はミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイド等の四級アンモニウム塩を挙げることができる。
必要に応じて使用される相間移動触媒の使用モル比は、アミノ安息香酸化合物1モルに対して、通常0.001〜0.5モル、好ましくは0.005〜0.2モルの範囲を例示することができる。
(溶媒)
当反応は無溶媒でも実施することができるが、反応を円滑に進行させるためには溶媒を用いることが好ましい。
当反応に用いることができる溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物;水を挙げることができる。尚、溶媒は単独で又は任意の混合割合の混合溶媒として用いることができる。
溶媒の使用量は、一般式(4)で表されるアミノ安息香酸化合物(原料化合物)1モルに対して、通常0.01〜10.0L(リットル)の範囲、更には0.1〜3.0L(リットル)の範囲であることが好ましい。
当反応の反応温度としては、通常、−30℃〜100℃の範囲を例示することができるが、好ましくは−10℃〜80℃、更に好ましくは−10℃〜60℃の範囲が良い。
当反応の反応時間は特に制限されないが、副生物抑制の観点等から、通常、0.5時間〜48時間、好ましくは1時間〜36時間が良い。
(アルコールの存在下、酸触媒を添加し反応させる製造方法)
当該製造方法では、一般式(4)で表されるアミノ安息香酸化合物を、アルコールの存在下、酸触媒を添加して反応させ、目的とするアミノ安息香酸エステル化合物を製造する。
(アルコール)
当反応に用いることができるアルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール等を例示することができる。
アルコールの使用量は、一般式(4)で表されるアミノ安息香酸化合物(原料化合物)1モルに対して、通常0.5〜10.0L(リットル)の範囲、更には1〜5.0L(リットル)の範囲であることが好ましい。
(酸触媒)
当反応に用いることができる酸触媒としては、塩化水素、硫酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、リン酸等を例示することができる。
酸触媒の使用モル比は、一般式(4)で表されるアミノ安息香酸化合物(原料化合物)1モルに対して、通常0.01〜2.0モル、好ましくは0.01〜1.5モルの範囲を例示することができる。
(溶媒)
当反応はアルコールだけでも実施することができるが、アルコール以外の他の溶媒との混合溶媒も用いることができる。
当反応の混合溶媒として用いることができる溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物、水を挙げることができる。
アルコール以外の溶媒の使用量は、一般式(4)で表されるアミノ安息香酸化合物(原料化合物)1モルに対して、通常0.01〜10.0L(リットル)の範囲、更には0.1〜3.0L(リットル)の範囲であることが好ましい。
当反応の反応温度としては、通常、−30℃〜140℃の範囲を例示することができるが、好ましくは−10℃〜120℃の範囲が良い。
当反応の反応時間は特に制限されないが、副生物抑制の観点等から、通常、0.5時間〜48時間、好ましくは1時間〜36時間が良い。
(アルコールとチオニルクロリドにより調製したクロロ亜硫酸エステルを反応させる製造方法)
当該製造方法では、一般式(4)で表されるアミノ安息香酸化合物を、アルコールとチオニルクロリドにより調製されるクロロ亜硫酸エステルと、必要に応じて塩基の存在下に反応させ、目的とするアミノ安息香酸エステル化合物を製造する。
(塩基を使用しないで、クロロ亜硫酸エステルと反応させる製造方法)
(クロロ亜硫酸エステルの調製)
クロロ亜硫酸エステルは、チオニルクロリドとアルコールを反応させることにより、得ることができる。
チオニルクロリドの使用モル比は、一般式(4)で表されるアミノ安息香酸化合物(原料化合物)1モルに対して、通常1.0〜6.0モル、好ましくは1.0〜3.0モルの範囲を例示することができる。
当反応に用いることができるアルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール等を例示することができる。
アルコールの使用モル比は、チオニルクロリド1モルに対して、通常1.0〜6.0モル、好ましくは1.0〜3.0モルの範囲を例示することができる。又、アルコールは溶媒としても使用できるので、その場合は原料の一般式(4)のアミノ安息香酸化合物1モルに対して、通常0.5〜10.0L(リットル)の範囲、更には1.0〜3.0L(リットル)の範囲であることが好ましい。
クロロ亜硫酸エステルの使用モル比は、一般式(4)で表されるアミノ安息香酸化合物(原料化合物)1モルに対して、通常1.0〜6.0モル、好ましくは1.0〜3.0モルの範囲を例示することができる。クロロ亜硫酸エステルの量については、使用したチオニルクロリドがアルコールと収率100%で反応して、クロロ亜硫酸エステルを生成したと計算する。ここで収率は、以下の式で表される。
収率(%)=100×{(得られた目的物のモル数)/(原料のモル教)}
(溶媒)
当反応は無溶媒でも実施することができるが、反応を円滑に進行させるためには溶媒を用いることが好ましい。
当反応に用いることができる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物を挙げることができる。尚、溶媒は単独で又は任意の混合割合の混合溶媒として用いることができる。
溶媒の使用量は、一般式(4)で表されるアミノ安息香酸化合物(原料化合物)1モルに対して、通常0.01〜10.0L(リットル)の範囲、更には0.01〜3.0L(リットル)の範囲であることが好ましい。
当反応の反応温度としては、通常、−30℃〜60℃の範囲を例示することができるが、好ましくは−20℃〜40℃の範囲が良い。
当反応の反応時間は特に制限されないが、副生物抑制の観点等から、通常、0.5時間〜24時間、好ましくは1時間〜12時間が良い。
尚、本反応で調製したクロロ亜硫酸エステルは、精製せずに次の塩基を使用して反応させる製造方法に利用することができる。
(塩基を使用して、クロロ亜硫酸エステルと反応させる製造方法)
(クロロ亜硫酸エステルの調製)
クロロ亜硫酸エステルは、上記塩基を使用しない反応の場合と同様に、チオニルクロリドとアルコールを反応させることにより、得ることができる。
クロロ亜硫酸エステルの使用モル比は、一般式(4)で表されるアミノ安息香酸化合物(原料化合物)1モルに対して、通常1.0〜6.0モル、好ましくは1.0〜3.0モルの範囲を例示することができる。クロロ亜硫酸エステルの量については、使用したチオニルクロリドがアルコールと収率100%で反応して、クロロ亜硫酸エステルを生成したと計算する。ここで収率は、以下の式で表される。
収率(%)=100×{(得られた目的物のモル数)/(原料のモル教)}
(塩基)
必要に応じて使用される塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム又は水酸化カルシウム等のアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等のアルカリ金属炭酸塩又はアルカリ土類金属炭酸酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム等のアルカリ金属炭酸水素塩又はアルカリ土類金属炭酸水素塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム等のアルカリ金属酢酸塩又はアルカリ土類金属酢酸塩等のカルボン酸塩類;トリエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基類を挙げることができる。
必要に応じて使用される塩基の使用モル比は、一般式(4)で表されるアミノ安息香酸化合物(原料化合物)1モルに対して、通常1.0〜5.0モル、好ましくは1.0〜3.0モルの範囲を例示することができる。
(溶媒)
当反応は無溶媒でも実施することができるが、反応を円滑に進行させるためには溶媒を用いることが好ましい。
当反応に用いることができる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物を挙げることができる。尚、溶媒は単独で又は任意の混合割合の混合溶媒として用いることができる。
溶媒の使用量は、式(1)で表される原料化合物1モルに対して、通常0.01〜10.0L(リットル)の範囲、更には0.01〜3.0L(リットル)の範囲であることが好ましい。
当反応の反応温度としては、通常、−30℃〜60℃の範囲を例示することができるが、好ましくは−10℃〜40℃の範囲が良い。
当反応の反応時間は特に制限されないが、副生物抑制の観点等から、通常、0.5時間〜24時間、好ましくは1時間〜12時間が良い。
当反応によれば、特別な反応装置を用いることなく、穏やかな条件下で高収率に、一般式(1)におけるR又はRのいずれか一方がC1〜C4アルコキシカルボニル基であるアニリン化合物(アミノ安息香酸エステル化合物)が生成する。得られる当該アミノ安息香酸エステル化合物は、処理して単離するかもしくは単離せずに、一般式(2)で表されるニトロベンゼン化合物の一部(ニトロ安息香酸エステル化合物)の中間原料として利用される。
(収率)
本発明において、目的とする生成物の収率は、好ましくは60%以上であり、より好ましくは61〜99%であり、更に好ましくは74〜99%(特に好ましくは、90〜99%)である。
この収率は、原料である一般式(4)で表されるアミノ安息香酸化合物(原料化合物)のモル数に対する、得られる目的物のアミノ安息香酸エステル化合物のモル数から計算することができる。すなわち、本発明における収率は、以下の式で表される。
収率(%)=100×{(得られた目的物のモル数)/(原料のモル教)}
後述する実施例6〜9においては、原料の一般式(4)で表されるアミノ安息香酸化合物1モルから、アミノ安息香酸エステル化合物1モルが理論的に製造できる。よって、この理論値から、実際の収率を計算することができる。
次に、実施例を挙げて本発明化合物の製造方法を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
2,6−ジクロロニトロベンゼンの製造
2,6−ジクロロアニリン16.2g(100mmol)のメタノール120ml溶液に、タングステン酸ナトリウム2水和物1.32g(4.0mmol)、濃硫酸4.0g(40mmol)を加え、40℃に加熱した。30%過酸化水素水30ml(291mmol)を10時間かけて滴下した。この時のpH値は0.5を示した。滴下終了後、40℃で9時間撹拌した。ガスクロマトグラフィー(面積百分率法)で2,6−ジクロロアニリンの消失を確認した後、86%水酸化カリウム9.8g(150mmol)のメタノール24.3ml溶液を、反応液の温度が40℃以下になるように調整しながら滴下した。滴下終了後、室温にて2時間撹拌し、反応を終了とした。反応終了後、トルエン95mlと水32mlを加えてしばらく撹拌、ろ過し、ろ液を分液した。得られた有機相を水8mlで洗浄した後、加熱還流させ脱水した。これにより2,6−ジクロロニトロベンゼンをトルエン溶液として得た。この溶液を絶対検量線法にてガスクロマトグラフィーにより分析した結果、収率は92%であった。尚、添加した水酸化カリウムの量は、液性をアルカリ性にするに十分なものである。
H−NMR(300MHz,DMSO−d,σ):7.36〜7.47(m,3H)
実施例2
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの製造
タングステン酸ナトリウム2水和物5.3g(16.2mmol)、濃硫酸3.2g(32.3mmol)のメタノール53ml溶液を40℃に加熱し、2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチル15g(80.8mmol)のメタノール13ml溶液と、30%過酸化水素水33.0ml(323mmol)をそれぞれ10時間かけて同時に滴下した。この時のpH値は0.5を示した。滴下終了後、40℃で2時間撹拌した。HPLC分析(面積百分率法)にて2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチルの消失を確認した後、反応液にトルエン30mlと30%過酸化水素水8.3ml(80.8mmol)を加え、更に25%水酸化カリウム水溶液19.9g(88.9mmol)を30℃以下になるように滴下して加えた。12時間室温にて撹拌し、反応を終了とした。反応終了後、メタノールを留去し、トルエン58mlを加えて分液した。得られた有機相を水20mlで洗浄し、3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルをトルエン溶液として得た。この溶液を絶対検量線法にてHPLCにより分析した結果、収率は88%であった。尚、添加した水酸化カリウムの量は、液性をアルカリ性にするに十分なものである。
H−NMR(300MHz,DMSO−d,σ):3.87(S,3H),7.77(dd,J=6.6,6.6Hz,1H),8.06(dd,J=1.0,6.6Hz,1H),8.08(dd,J=1.0,6.6Hz,1H).
実施例3
2,6−ジクロロニトロベンゼンの製造
2,6−ジクロロアニリン2.0g(12.3mmol)の水6mlの懸濁液に、タングステン酸0.66g(2.64mmol)、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.40g(1.23mmol)を加え、40℃に加熱した。30%過酸化水素水4.9g(43.1mmol)を加えた。この時のpH値は1.5を示した。その後、40℃で16時間撹拌した。ガスクロマトグラフィー(面積百分率法)で2,6−ジクロロアニリンの消失を確認した後、メタノール3ml、30%過酸化水素水3.49g(30.8mmol)を添加し、25%水酸化カリウム水溶液2.8g(12.3mmol)を、反応液の温度が40℃以下になるように調整しながら滴下した。滴下終了後、室温にて終夜撹拌し、反応を終了とした。反応終了後、トルエン30mlと水20mlを加えてしばらく撹拌、ろ過し、ろ液を分液した。得られた有機相を水10mlで洗浄した後、加熱還流させ脱水した。これにより2,6−ジクロロニトロベンゼンのトルエン溶液を得た。この溶液を絶対検量線法にてガスクロマトグラフィーにより分析した結果、収率は80%であった。尚、添加した水酸化カリウムの量は、液性をアルカリ性にするに十分なものである。
実施例4
2,6−ジクロロニトロベンゼンの製造
タングステン酸7.5g(30mmol)、濃硫酸5.2g(52mmol)、2,6−ジクロロアニリン32.7g(200mmol)、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩6.9g(19mmol)のトルエン溶液74ml溶液を47℃に加熱し、35%過酸化水素水53ml(600mmol)を10時間かけて滴下した。この時のpH値は0.3を示した。滴下終了後、47℃で4時間撹拌した。HPLC分析(面積百分率法)にて2,6−ジクロロアニリンの消失を確認した後、トルエン230ml、25%水酸化ナトリウム水溶液20g(160mmol)を添加した。この時のpH値は13.5であった。反応液を75℃で分液し水層91gを除いた。その後、得られた有機層を60℃以下に冷却し、48%水酸化カリウム水溶液35g(300mmol)を添加し、35%過酸化水素水34ml(400mmol)を反応温度が60℃以下になるように調整しながら滴下した。滴下終了後、60℃で2時間攪拌し、反応終了とした。室温で分液し、得られた有機層を絶対検量線法にてガスクロマトグラフィーにより分析した結果、収率は81%であった。
実施例5
2,6−ジクロロニトロベンゼンの製造
タングステン酸7.5g(30mmol)、濃硫酸5.2g(52mmol)、2,6−ジクロロアニリン32.7g(200mmol)、ミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイド5.84g(20mmol)のトルエン溶液74ml溶液を47℃に加熱し、35%過酸化水素水53ml(600mmol)を10時間かけて滴下した。この時のpH値は0.3を示した。滴下終了後、47℃で4時間撹拌した。HPLC分析(面積百分率法)にて2,6−ジクロロアニリンの消失を確認した後、トルエン230ml、25%水酸化ナトリウム水溶液20g(160mmol)を添加した。この時のpH値は13.5であった。反応液を75℃で分液し水層91gを除いた。その後、得られた有機層を60℃以下に冷却し、48%水酸化カリウム水溶液35g(300mmol)を添加し、35%過酸化水素水34ml(400mmol)を反応温度が60℃以下になるように調整しながら滴下した。滴下終了後、60℃で2時間攪拌し、反応終了とした。室温で分液し、得られた有機層を絶対検量線法にてガスクロマトグラフィーにより分析した結果、収率81%であった。
実施例6
2,6−ジクロロニトロベンゼンの製造
タングステン酸7.5g(30mmol)、濃硫酸5.2g(52mmol)、2,6−ジクロロアニリン32.7g(200mmol)、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド10.1g(20mmol)のトルエン溶液74ml溶液を47℃に加熱し、35%過酸化水素水53ml(600mmol)を10時間かけて滴下した。この時のpH値は0.3を示した。滴下終了後、47℃で4時間撹拌した。HPLC分析(面積百分率法)にて2,6−ジクロロアニリンの消失を確認した後、トルエン230ml、25%水酸化ナトリウム水溶液20g(160mmol)を添加した。この時のpH値は13.5であった。反応液を75℃で分液し水層91gを除いた。その後、得られた有機層を60℃以下に冷却し、48%水酸化カリウム水溶液35g(300mmol)を添加し、35%過酸化水素水34ml(400mmol)を反応温度が60℃以下になるように調整しながら滴下した。滴下終了後、60℃で2時間攪拌し、反応終了とした。室温で分液し、得られた有機層を絶対検量線法にてガスクロマトグラフィーにより分析した結果、収率90%であった。
実施例7
2,6−ジクロロニトロベンゼンの製造
タングステン酸7.5g(30mmol)、濃硫酸5.2g(52mmol)、2,6−ジクロロアニリン32.7g(200mmol)、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド10.1g(20mmol)のクロロベンゼン溶液74ml溶液を47℃に加熱し、35%過酸化水素水53ml(600mmol)を10時間かけて滴下した。この時のpH値は0.3を示した。滴下終了後、47℃で4時間撹拌した。HPLC分析(面積百分率法)にて2,6−ジクロロアニリンの消失を確認した後、クロロベンゼン243g(2.16mol)、25%水酸化ナトリウム水溶液20g(160mmol)を添加した。この時のpH値は13.5であった。反応液を75℃で分液し水層91gを除いた。その後、得られた有機層を60℃以下に冷却し、48%水酸化カリウム水溶液35g(300mmol)を添加し、35%過酸化水素水34ml(400mmol)を反応温度が60℃以下になるように調整しながら滴下した。滴下終了後、60℃で2時間攪拌し、反応終了とした。室温で分液し、得られた有機層を絶対検量線法にてガスクロマトグラフィーにより分析した結果、収率70%であった。
実施例8
2,6−ジクロロニトロベンゼンの製造
タングステン酸7.5g(30mmol)、濃硫酸5.2g(52mmol)、2,6−ジクロロアニリン32.7g(200mmol)、ミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイド5.84g(20mmol)のクロロベンゼン溶液74ml溶液を47℃に加熱し、35%過酸化水素水53ml(600mmol)を10時間かけて滴下した。この時のpH値は0.3を示した。滴下終了後、47℃で4時間撹拌した。HPLC分析(面積百分率法)にて2,6−ジクロロアニリンの消失を確認した後、クロロベンゼン220ml、25%水酸化ナトリウム水溶液20g(160mmol)を添加した。この時のpH値は13.5であった。反応液を75℃で分液し水層91gを除いた。その後、得られた有機層を60℃以下に冷却し、48%水酸化カリウム水溶液35g(300mmol)を添加し、35%過酸化水素水34ml(400mmol)を反応温度が60℃以下になるように調整しながら滴下した。滴下終了後、60℃で2時間攪拌し、反応終了とした。室温で分液し、得られた有機層を絶対検量線法にてガスクロマトグラフィーにより分析した結果、収率63%であった。
実施例9
2,6−ジクロロニトロベンゼンの製造
タングステン酸7.5g(30mmol)、濃硫酸5.2g(52mmol)、2,6−ジクロロアニリン32.7g(200mmol)、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩6.9g(20mmol)のクロロベンゼン溶液74ml溶液を47℃に加熱し、35%過酸化水素水53ml(600mmol)を10時間かけて滴下した。この時のpH値は0.3を示した。滴下終了後、47℃で4時間撹拌した。HPLC分析(面積百分率法)にて2,6−ジクロロアニリンの消失を確認した後、クロロベンゼン220ml、25%水酸化ナトリウム水溶液20g(160mmol)を添加した。この時のpH値は13.5であった。反応液を75℃で分液し水層91gを除いた。その後、得られた有機層を60℃以下に冷却し、48%水酸化カリウム水溶液35g(300mmol)を添加し、35%過酸化水素水34ml(400mmol)を反応温度が60℃以下になるように調整しながら滴下した。滴下終了後、60℃で2時間攪拌し、反応終了とした。室温で分液し、得られた有機層を絶対検量線法にてガスクロマトグラフィーにより分析した結果、収率62%であった。
実施例10
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの製造
タングステン酸7.1g(28.5mmol)、濃硫酸4.9g(48.5mmol)、2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチル35.6g(190mmol)、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩6.9g(19mmol)のトルエン74ml溶液を47℃に加熱し、35%過酸化水素水50ml(570mmol)を10時間かけて滴下した。この時のpH値は0.3を示した。滴下終了後、47℃で4時間撹拌した。HPLC分析(面積百分率法)にて2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチルの消失を確認した後、トルエン189.4g(2.06mol)、25%水酸化ナトリウム水溶液19g(150mmol)を添加した。この時のpH値は7.5であった。反応液を75℃で分液し水層を除いた。その後、得られた有機層を60℃以下に冷却し、炭酸水素ナトリウム5.2g(61.9mmol)、水5.2mlを添加し、35%過酸化水素水25ml(285mmol)を反応温度が60℃以下になるように調整しながら滴下した。滴下終了後、60℃で2時間攪拌し、反応終了とした。室温で分液し、得られた有機層を絶対検量線法にてHPLCにより分析した結果、収率は72%であった。
実施例11
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの製造
タングステン酸7.1g(28.5mmol)、濃硫酸4.9g(48.5mmol)、2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチル35.6g(190mmol)、ミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイド5.84g(20mmol)のトルエン74ml溶液を47℃に加熱し、35%過酸化水素水50ml(570mmol)を10時間かけて滴下した。この時のpH値は0.3を示した。滴下終了後、47℃で4時間撹拌した。HPLC分析(面積百分率法)にて2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチルの消失を確認した後、トルエン189.4g(2.06mol)、25%水酸化ナトリウム水溶液19g(150mmol)を添加した。この時のpH値は7.5であった。反応液を75℃で分液し水層91gを除いた。その後、得られた有機層を60℃以下に冷却し、炭酸水素ナトリウム5.2g(61.9mmol)、水5.2mlを添加し、35%過酸化水素水25ml(285mmol)を反応温度が60℃以下になるように調整しながら滴下した。滴下終了後、60℃で2時間攪拌し、反応終了とした。室温で分液し、得られた有機層を絶対検量線法にてHPLCにより分析した結果、収率は72%であった。
実施例12
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの製造
タングステン酸7.1g(28.5mmol)、濃硫酸4.9g(48.5mmol)、2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチル35.6g(190mmol)、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド10.1g(20mmol)のトルエン74ml溶液を47℃に加熱し、35%過酸化水素水50ml(570mmol)を10時間かけて滴下した。この時のpH値は0.3を示した。滴下終了後、47℃で4時間撹拌した。HPLC分析(面積百分率法)にて2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチルの消失を確認した後、トルエン189.4g(2.06mol)、25%水酸化ナトリウム水溶液19g(150mmol)を添加した。この時のpH値は7.5であった。反応液を75℃で分液し水層91gを除いた。その後、得られた有機層を60℃以下に冷却し、炭酸水素ナトリウム5.2g(61.9mmol)、水5.2mlを添加し、35%過酸化水素水25ml(285mmol)を反応温度が60℃以下になるように調整しながら滴下した。滴下終了後、60℃で2時間攪拌し、反応終了とした。室温で分液し、得られた有機層を絶対検量線法にてHPLCにより分析した結果、収率は74%であった。
実施例13
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの製造
タングステン酸7.1g(28.5mmol)、濃硫酸4.9g(48.5mmol)、2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチル35.6g(190mmol)、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩6.9g(19mmol)のクロロベンゼン74ml溶液を47℃に加熱し、35%過酸化水素水50ml(570mmol)を10時間かけて滴下した。この時のpH値は0.3を示した。滴下終了後、47℃で4時間撹拌した。HPLC分析(面積百分率法)にて2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチルの消失を確認した後、クロロベンゼン243g(2.06mol)、25%水酸化ナトリウム水溶液19g(150mmol)を添加した。この時のpH値は7.5であった。反応液を75℃で分液し水層91gを除いた。その後、得られた有機層を60℃以下に冷却し、炭酸水素ナトリウム5.2g(61.9mmol)、水5.2mlを添加し、35%過酸化水素水25ml(285mmol)を反応温度が60℃以下になるように調整しながら滴下した。滴下終了後、60℃で2時間攪拌し、反応終了とした。室温で分液し、得られた有機層を絶対検量線法にてHPLCにより分析した結果、収率は72%であった。
実施例14
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの製造
タングステン酸7.1g(28.5mmol)、濃硫酸4.9g(48.5mmol)、2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチル35.6g(190mmol)、ミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイド5.84g(20mmol)のクロロベンゼン74ml溶液を47℃に加熱し、35%過酸化水素水50ml(570mmol)を10時間かけて滴下した。この時のpH値は0.3を示した。滴下終了後、47℃で4時間撹拌した。HPLC分析(面積百分率法)にて2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチルの消失を確認した後、クロロベンゼン243g(2.06mol)、25%水酸化ナトリウム水溶液19g(150mmol)を添加した。この時のpH値は7.5であった。反応液を75℃で分液し水層91gを除いた。その後、得られた有機層を60℃以下に冷却し、炭酸水素ナトリウム5.2g(61.9mmol)、水5.2mlを添加し、35%過酸化水素水25ml(285mmol)を反応温度が60℃以下になるように調整しながら滴下した。滴下終了後、60℃で2時間攪拌し、反応終了とした。室温で分液し、得られた有機層を絶対検量線法にてHPLCにより分析した結果、収率は70%であった。
実施例15
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの製造
タングステン酸7.1g(28.5mmol)、濃硫酸4.9g(48.5mmol)、2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチル35.6g(190mmol)、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド10.1g(20mmol)のクロロベンゼン溶液74ml溶液を47℃に加熱し、35%過酸化水素水50ml(570mmol)を10時間かけて滴下した。この時のpH値は0.3を示した。滴下終了後、47℃で4時間撹拌した。HPLC分析(面積百分率法)にて2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチルの消失を確認した後、クロロベンゼン243g(2.06mol)、25%水酸化ナトリウム水溶液19g(150mmol)を添加した。この時のpH値は7.5であった。反応液を75℃で分液し水層91gを除いた。その後、得られた有機層を60℃以下に冷却し、炭酸水素ナトリウム5.2g(61.9mmol)、水5.2mlを添加し、35%過酸化水素水25ml(285mmol)を反応温度が60℃以下になるように調整しながら滴下した。滴下終了後、60℃で2時間攪拌し、反応終了とした。室温で分液し、得られた有機層を絶対検量線法にてHPLCにより分析した結果、収率は76%であった。
実施例16
2−アミノ−3−クロロ安息香酸の製造(アンモニア水使用)
2,3−ジクロロ安息香酸30g(157mmol)、塩化銅(I)0.78g(7.85mmol)をオートクレーブに量り取り、28%アンモニア水95.6g(1570mmol)を加え、密封してオイルバスで130℃、8気圧で20時間加熱した。反応終了後、室温まで冷却し、反応液を反応フラスコに取り出し、90℃で加熱しアンモニアを取り除いた。その後、反応液を室温まで冷却し、塩酸を用いpH値を3に調整し、析出した結晶をろ過し乾燥して、19.1gの2−アミノ−3−クロロ安息香酸を白色結晶として、71%の収率で得た。
H−NMR(300MHz,CDCl,σ):6.29(br,2H),6.62(dd,J=8.0,8.0Hz,1H),7.47(d,J=8.0Hz,1H),7.89(d,J=8.0Hz,1H)
実施例17
2−アミノ−3−クロロ安息香酸の製造(アンモニアガス使用)
メタノール70mlをオートクレーブに加え−70℃に冷却し、発生させたアンモニアガス16g(942mmol)を加えた。2,3−ジクロロ安息香酸30g(157mmol)、塩化銅(I)0.78g(7.85mmol)を加え、密封し、オイルバスで130℃、30気圧で20時間加熱した。反応終了後、室温まで冷却し、反応液を反応フラスコに取り出し、反応液に水100mlを加えオイルバスで100℃に加熱しアンモニア及びメタノールを取り除いた。その後、反応液を室温まで冷却して、塩酸を加えてpH値を3に調整し、析出した結晶をろ過し乾燥して、21.8gの2−アミノ−3−クロロ安息香酸を白色結晶として、81%の収率で得た。
実施例18
2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチルの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた1000mlの四つ口フラスコに、2−アミノ−3−クロロ安息香酸85.5g(0.50mоl)、MIBK(メチルイソブチルケトン)300ml、テトラブチルアンモニウムブロミド16.1g(0.05mol)、ジメチル硫酸69.4g(0.55mol)を加え、20℃で攪拌しながら、炭酸カリウム76.0g(0.55mol)、MIBK150mlの混合液を滴下した。その後室温で1時間攪拌した。反応液に水250mlを加え、室温で分液した後、MIBK相を水250mlで洗浄し、減圧下でMIBKを留去した。88.2gの2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチルを褐色結晶として、95%の収率で得た。
融点:36℃
H−NMR(300MHz,CDCl3,σ):7.79(d,J=8.0Hz,1H),7.384(d,J=8.0Hz,1H),6.561(dd,J=8.0,8.0Hz,1H),6.260(brs,2H),3.866(s、3H)
LC−MS(m/z):186.0[M+H]
実施例19
2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチルの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた100mlの四つ口フラスコに、2−アミノ−3−クロロ安息香酸5.13g(0.03mоl)、トルエン24ml、テトラブチルアンモニウムブロミド0.97g(0.003mol)、ジメチル硫酸4.54g(0.04mol)を加え、80℃で攪拌しながら、炭酸カリウム4.56g(0.033mol)、トルエン9mlの混合液を滴下した。その後80℃で1時間攪拌した。この溶液を絶対検量線法にてHPLCにより分析した結果、収率は96%であった。
実施例20
2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチルの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた100mlの四つ口フラスコに、2−アミノ−3−クロロ安息香酸5.13g(0.03mоl)、メタノール24ml(0.59mоl)を加え、65℃で攪拌しながら、塩化水素ガスを吹き込んだ。10時間後、この溶液を絶対検量線法にてHPLCにより分析した結果、収率は75%であった。
実施例21
2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチルの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた50mlの四つ口フラスコに、メタノール3ml(0.074mоl)を加え、−5℃で攪拌しながら塩化チオニル1.43g(0.012mоl)を滴下した。その後、2−アミノ−3−クロロ安息香酸1.71g(0.010mоl)、メタノール2.0ml(0.049mоl)の混合液を−5℃で攪拌しながら滴下した。その後、室温で15時間、65℃で17時間攪拌した。この溶液を絶対検量線法にてHPLCにより分析した結果、収率は61%であった。
比較例1
{特許第4284999号公報(特許文献7)、実施例1に記載の方法}
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの製造
タングステン金属0.01g(0.054mmol)の30%過酸化水素水0.12g(1.08mmol)の懸濁液を40℃に加熱し、30分間撹拌した後、2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチル0.2g(1.08mmol)のt-ブチルアルコール3g溶液と、30%過酸化水素水0.49g(4.32mmol)を加えた。この時のpH値は2.4を示した。その後70℃で22時間撹拌した。この溶液を絶対検量線法にてHPLCにより分析した結果、目的物の3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルが26.6%であった。
比較例2
{特許第4284999号公報(特許文献7)、実施例5に記載の方法}
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの製造
炭化タングステン0.013g(0.066mmol)の30%過酸化水素水0.12g(1.08mmol)の懸濁液を40℃で30分間撹拌した後、2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチル0.2g(1.08mmol)のt-ブチルアルコール3g溶液と、30%過酸化水素水0.49g(4.32mmol)を加えた。この時のpH値は4.6を示した。その後70℃で22時間撹拌した。この溶液を絶対検量線法にてHPLCにより分析した結果、目的物の3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルは9.0%であった。
比較例1及び比較例2が示すように、特許文献5の条件は、2,6−ジ置換されているアニリンの酸化では有効な製造法ではないということができる。
(HPLC分析方法)
上記したHPLC分析方法の詳細に関しては、必要に応じて、以下の文献を参照することができる。
(a):(社)日本化学会編「新実験化学講座9 分析化学 II」、第86〜112頁(1977年)、発行者 飯泉新吾、丸善株式会社(例えば、カラムに使用可能な充填剤−移動相の組合せに関しては、第93〜96頁を参照することができる。)
(b)(社)日本化学会編、「実験化学講座20−1 分析化学」第5版、第130〜151頁(2007年)、発行者 村田誠四郎、丸善株式会社(例えば、逆相クロマトグラフィー分析の具体的な使用方法・条件に関しては、第135〜137頁を参照することができる。)
(ガスクロマトグラフィー分析方法)
上記したガスクロマトグラフィー分析方法の詳細に関しては、必要に応じて、以下の文献を参照することができる。
(c):(社)日本化学会編「新実験化学講座9 分析化学 II」、第60〜86頁(1977年)、発行者 飯泉新吾、丸善株式会社
(d)(社)日本化学会編、「実験化学講座20−1 分析化学」第5版、第121〜129頁(2007年)、発行者 村田誠四郎、丸善株式会社
(pH値の測定方法)
pH値はガラス電極式水素イオン濃度指示計により測定した。ガラス電極式水素イオン濃度指示計としては、具体的には例えば東亜ディーケーケー株式会社製、形式:HM−20Pが使用することができる。
本発明によれば、ニトロベンゼン化合物、特に2,6−ジ置換されたニトロベンゼン化合物の新規な工業的製造法が提供される。本発明方法によれば、原料として一般式(1)で表されるアニリン化合物を用いることが可能で、安価で且つ反応後には無害な水となる、クリーンで優れた酸化剤として注目を集めている過酸化水素を利用し、高純度の一般式(2)で表されるニトロベンゼン化合物を工業的規模で製造することができる。
又、作業において多くの注意を払う必要のある高濃度の過酸化水素を使用する必要はなく、市販の30%程度の過酸化水素を使用して、一般式(2)で表されるニトロベンゼン化合物を収率良く工業的規模で製造することができる。
更に、危険性の高い過酢酸又はトリフルオロ過酢酸などの有機過酸を使用しなくても、一般式(2)で表されるニトロベンゼン化合物を収率良く工業的規模で製造できる。
得られる一般式(2)で表されるニトロベンゼン化合物は、種々の有機化合物の合成中間体として有用な化合物であり、従って、本発明方法は工業的な利用価値が高い。

Claims (22)

  1. 一般式(1)

    (式中、R及びRは、同一又は異なって、ハロゲン原子、C1〜C4アルコキシカルボニル基、C1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ基又はC1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基を示し、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ基又はC1〜C4ハロアルキル基を示す。)
    で表されるアニリン化合物を、タングステン化合物の存在下に酸性条件下で過酸化水素により酸化させ、更に中性からアルカリ性条件下で過酸化水素により酸化させることを特徴とする、一般式(2)

    (式中、R、R、R、R及びRは前記と同じ意味を示す。)
    で表されるニトロベンゼン化合物の製造方法。
  2. 一般式(1)で表されるアニリン化合物の、一般式(2)で表されるニトロベンゼン化合物への過酸化水素による酸化を、酸化反応の液性を酸性条件から中性乃至アルカリ性条件に変更して行う、請求項1に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
  3. アニリン化合物のニトロベンゼン化合物への酸化を、溶媒の存在下で行う、請求項1に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
  4. 前記溶媒が水、アルコール類、ニトリル類、芳香族炭化水素類又はこれらの混合溶媒である、請求項3に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
  5. 前記溶媒が水である、請求項3に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
  6. 前記溶媒が水と芳香族炭化水素類の混合溶媒であり、アニリン化合物のニトロベンゼン化合物への酸化を、相間移動触媒の存在下で行う、請求項3に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
  7. 前記芳香族炭化水素類がベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン又はエチルベンゼンから選択される1種以上である、請求項6に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
  8. 一般式(1)におけるR又はRのいずれか一方がC1〜C4アルコキシカルボニル基であるアニリン化合物が、一般式(3)

    (式中、R、R、R及びRは前記と同じ意味を示す。)
    で表されるハロゲノ安息香酸化合物をアミノ化して得られる、一般式(4)

    (式中、R、R、R及びRは前記と同じ意味を示す。)
    で表されるアミノ安息香酸化合物をエステル化することにより製造されたものである、請求項1に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
  9. タングステン化合物がタングステン酸である、請求項1に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
  10. タングステン化合物がタングステン酸塩である、請求項1に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
  11. タングステン化合物が金属タングステンである、請求項1に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
  12. 相間移動触媒が四級アンモニウム塩である、請求項6に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
  13. 相間移動触媒がテトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド又はミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイドから選ばれる1種以上である、請求項12に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
  14. 酸性条件下での液性がpH2.0以下である、請求項1に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
  15. 中性からアルカリ性条件での液性下がpH6.5から16.0である、請求項1に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
  16. 中性からアルカリ性条件下での液性がpH6.5から15.0である、請求項1に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
  17. 一般式(1)におけるR、R及びRが水素原子である、請求項1に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
  18. 一般式(1)におけるR及びRが同一又は異なってハロゲン原子又はC1〜C4アルコキシカルボニル基である、請求項1に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
  19. 一般式(1)におけるR及びRがハロゲン原子である、請求項1に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
  20. 一般式(1)におけるRがハロゲン原子であり、RがC1〜C4アルコキシカルボニル基である、請求項1に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
  21. 一般式(1)におけるR及びRがハロゲン原子であり、R、R及びRが水素原子であり、タングステン化合物がタングステン酸塩であり、酸性条件下での液性がpH2.0以下であると共に、中性からアルカリ性条件下での液性がpH6.5から15.0であり、溶媒が水とベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン又はエチルベンゼンから選択される1種以上との混合溶媒であり、酸化反応を相間移動触媒の存在下で行うと共に、相間移動触媒がテトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド又はミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイドから選ばれる1種以上である、請求項3に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
  22. 一般式(1)におけるRがハロゲン原子であり、RがC1〜C4アルコキシカルボニル基であり、R、R及びRが水素原子であり、タングステン化合物がタングステン酸塩であり、酸性条件下での液性がpH2.0以下であると共に、中性からアルカリ性条件下での液性がpH6.5から15.0であり、溶媒が水とベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン又はエチルベンゼンから選択される1種以上との混合溶媒であり、酸化反応を相間移動触媒の存在下で行うと共に、相間移動触媒がテトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド又はミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイドから選ばれる1種以上である、請求項3に記載のニトロベンゼン化合物の製造方法。
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